説明

食用組成物の一部としての、有効成分送達システム及び事前選択された疎水性材料

【課題】1つ以上の有効成分の制御放出及び/又は遅延放出が得られる送達システムを提供する。
【解決手段】送達システムは、少なくとも1つの封入材料と共に少なくとも1つの有効成分を含み、前記少なくとも1つの封入材料が、ASTM D570−98に従った測定に基づいて約5%以下の保水値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食用組成物内への内包用の送達システムであって、食用組成物が消費される際に所望の放出プロファイルで活性物質を送達するための、封入材料と共に少なくとも1つの有効成分を有する態様で調製された送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高甘味度甘味料は一般に、糖(スクロース)の甘味強度を上回り、同じ甘味レベルあたりでカロリー値が砂糖よりも低い。場合によって、高甘味度で消費者が閉口しやすい傾向となることから、組成物中の高甘味度甘味料の放出総量を制御することが特に望ましい。さらに、甘味料の制御放出によって、不快な調味料に対する所望のマスキングが得られ、他の成分の風味特性を得るのに有用であると考えられる。各高甘味度甘味料は化学的及び物理的に特有の性質を有するため、各々を食用組成物で用いる場合には試行錯誤が必要となり、また各々が1つ以上の欠点を有するため封入によってそれを緩和する場合がある。
【0003】
例えば、多くの高甘味度甘味料は、特定の風味のチューインガム及び糖菓などの食用組成物に用いられると直ちにその甘味度が低下する。封入材料によって、放出を調節及び延長でき、より所望の呈味プロファイルが得られる。サッカリン、ステビオシド、アセスルフェーム−K、グリチルリジン、及びタウマチンなどのいくつかの高甘味度甘味料は、苦み又はオフノート(off−note)を伴う。また、特定の高甘味度甘味料は、アルデヒド類及びケトン類を含む特定の化学薬品の存在下で不安定であり、湿気を含む環境中への曝露に対して感受性がある。固体スクロースは、長期保存又は熱及び大気への曝露に伴い暗色化することが知られている。封入することより、不安定な化合物を隔離して分解を防ぎ、賞味期限を延長することができる。
【0004】
典型的には、高甘味度甘味料の呈味プロファイルは、甘味の迅速なバーストとして表すことができる通常、高甘味度甘味料の甘味度は、迅速にピークに達し、その後直ちに、迅速に低下する。最初の迅速なバーストによって、食用組成物中に存在する可能性のある他の風味を高甘味度が圧倒してしまう傾向があるため、多くの消費者にとって不快なものとなると考えられる。また、比較的迅速な甘味度の低下は、苦い後味を生じさせる場合もある。この理由により、放出を調節及び延長させ、また全体的な呈味プロファイルを化学的に安定化及び向上させるために、封入材料によって、高甘味度甘味料を封入するのが望ましいと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、1つ以上の有効成分の制御放出及び/又は遅延放出が得られる送達システムを提供することによる、当該技術分野での飛躍的な進歩である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、食用組成物、例えば、チューインガム組成物及び菓子組成物中の活性組成物を制御放出する新規な手法を提供する。有効成分及びその有効成分を封入するのに用いられる材料により、多様な送達システムにおいて、有効成分の特別な制御放出が可能となり、送達システムの調製に使用できる様々な封入材料や添加剤の使用が包含される。封入された有効成分は、放出が望ましくなるまで保持され、水分、反応性化合物、pH変化などから保護される。活性組成物が甘味剤である場合、当該送達システムによって、甘味剤の一貫した徐放が可能となる。このため、甘味剤が放出される時間が延長されることによって、甘味料を望ましいプロファイル以上又は以下で放出させていた従来のシステムにおける不都合がなくなり、それにより長く持続する所望の呈味プロファイル、唾液分泌量の増加、並びに全体的な呈味の楽しみが得られる食用組成物が提供される。
【0007】
例えば、本発明は、1つ以上の可変要素(つまり、引張強度及び/又は疎水性)に焦点を当てて、製剤に望ましく添加できる封入材料及びあらゆる添加剤などの送達システムの全成分を利用することによって、好適な標的送達システムを調製することができ、また食用組成物に添加される際に送達システムを所望の放出プロファイルで有効成分を放出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一態様で、チューインガム組成物又は菓子組成物などの食用組成物内への内包用の送達システムであって、少なくとも1つの有効成分と、少なくとも1つの封入材料を含む送達システムが提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様で、チューインガム組成物又は菓子組成物などの食用組成物であって、少なくとも1つの食用組成物形成用成分と、封入材料を有する少なくとも1つの有効成分を含む送達システムを含む食用組成物が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の態様で、食用組成物のための標的送達システムを調製する方法であって、同一又は類似の有効成分を含み有効成分の既知の放出プロファイルを有する少なくとも1つの試料送達システムに対して、本明細書に記載の基準により事前選択された特徴、及び/又は所望の標的送達システムが得られるまで少なくとも1つの有効成分と、少なくとも1つの封入材料と、任意に少なくとも1つの添加剤を配合することを含む、食用組成物の標的送達システムを調製する方法が提供される。
【0011】
所望の放出プロファイルにて少なくとも1つの有効成分を送達するのに有用な食用組成物の標的送達システムを調製する方法であって、本明細書に記載の事前選択された特徴及び/又は所望の特徴を備えた標的送達システムが得られるように、少なくとも1つの有効成分を封入材料と混合することを含む方法も提供される。
【0012】
さらに、所望の放出プロファイルにて食用組成物から少なくとも1つの有効成分を放出できる所望の放出速度及び/又はプロファイルと関連する本明細書に記載の事前選択された特徴及び/又は所望の特徴を備えた標的送達システムが得られるように、少なくとも1つの有効成分を、封入材料と混合することと、食用組成物に標的送達システムを添加することによって、所望の放出プロファイルにて少なくとも1つの有効成分を送達するために有用な少なくとも1つの送達システムを含有する食用組成物を調製する方法が提供される。
【0013】
本明細書に記載の送達システムを含有する食用組成物も提供される。本発明の一実施形態は、チューインガム組成物、菓子組成物及び飲料に関するが、本発明を利用して、限定されないが、食品、食材、栄養含有組成物、医薬品、栄養補助食品、ビタミン類、及び消費者による消費用に調製できる他の製品を内包する様々な食用組成物を製造できる。本明細書で用いる場合、チューインガム組成物には、バブルガム組成物が含まれる。送達システムは、食用組成物に容易に取り込むことができるため、本発明の利点を享受し本発明に包含されうる食用組成物は、上記のとおり広範囲に及ぶ。
【0014】
本明細書で用いる場合、「送達システム」という用語は、少なくとも1つの封入材料と、少なくとも1つの有効成分と、さらに以下に記載するように送達システムを形成するのに用いられる他の任意添加物を内包するものを意味する。本発明の食用組成物が複数の送達システムを含有し、各送達システムが単一又は複数の有効成分を含有してもことは自明である。
【0015】
「封入材料」という用語は、有効成分の周囲に保護バリヤとして固体コーティング又はフィルムを形成できる1つ以上の水に不溶性又は可溶性の食用材料を内包するという意味である。本明細書の記載から理解されるように、封入材料は少なくとも1つの有効成分でマトリックスを形成することによって、封入材料は少なくとも1つの有効成分を完全に封入でき、少なくとも1つの有効成分を部分的に封入でき、或いは、少なくとも1つの有効成分と会合できる。このように本明細書における記載に従い、封入材料によって少なくとも1つの有効成分が制御放出及び/又は遅延放出される。
【0016】
食用組成物中の成分は、消費者によりその食用組成物が消費される際の放出プロファイルを有する。いくつかの実施形態で、成分は、咀嚼の機械的行為及び/又はその成分と別の成分、唾液又は消費者の口中の他の物質との化学的作用若しくは反応によって放出されてもよい。成分に対する放出プロファイルは、消費者の口中の受容体(例えば味覚受容体)、粘膜、歯等と相互作用する消費者の口中成分の利用可能性の指標である。食用組成物は、異なる成分に対して、同一又は異なる放出プロファイルを含んでもよい。いくつかの実施形態で、限られた数(例えば、1又は2)のみの成分に対する放出プロファイルが最重要なものとなりうる。
【0017】
食用組成物中の1つの成分の放出プロファイルは、例えば、咀嚼の速度、咀嚼の強度、成分の量、食用組成物に添加される成分の形態(例えば、送達システム中に封入される、封入されない、前処理された形態)、食用組成物をどのように混合又は調製するか、成分を食用組成物中の他の成分に添加する時期及び方法、成分の量と食用組成物中の他の1つ以上の成分の量との比、成分の量と食用組成物に含まれる送達システムにおける他の1つ以上の成分の量との比などの多くの要因によって影響を受ける可能性がある。
【0018】
いくつかの実施形態で、1つの成分に対する1つの放出プロファイルは、特定の時間に依存しうる。例えば、送達システムからの1つの成分の放出は、第1の期間で増加してピークに達し、次いで第2の期間で減少してもよい。このように、いくつかの実施形態で、1つの成分に対する1つの放出プロファイルは1つ以上の期間を含んでよく、その各々は、関連する(既知又は測定可能であってもなくてもよい)放出速度を有する。その期間の長さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。第1の期間は、当該第1の期間中、その成分に対し一定又は変動する放出速度を有してよく、当該第1の期間全体でその成分に対し平均放出速度を有してもよい。同様に、第2の期間は、当該第2の期間中、その成分に対し一定又は変動する放出速度を有してよく、当該第2の期間全体でその成分に対し平均放出速度を有してもよい。いくつかの実施形態で、食用組成物中の1つの成分に対する1つの放出プロファイルは、1つの期間のみを含んでよく、或いは、期間中の単一の時点にのみ関連してもよく、いずれの場合でも通常、食用組成物の消費開始時に関連又は相関する。他の実施形態で、放出プロファイルは2つ以上の期間及び/又は2つ以上の時点に関連してもよく、それらの場合のすべてにおいて通常、食用組成物の消費の開始時に関連又は相関する。
【0019】
いくつかの実施形態で、放出プロファイルは、その放出プロファイルの他の態様又は全態様が定義、選択又は認知されていない場合でも、1つ以上の要因又は特徴により特定又は特徴付けされてもよい。このように、いくつかの実施形態で、1つの成分に対する1つの放出プロファイルは、1つの特徴のみを含んでもよい。例えば、その特徴としては、成分を含む食用組成物の消費中に最少量、平均量又は過半量の成分が放出される特定期間中における成分の放出速度(その特定期間の前後に成分が幾分放出された場合、或いはその期間中の放出速度が特定できない若しくは変化する場合も含めて)、成分を含む食用組成物の消費中に最少量、平均量又は過半量の成分が放出された後の特定期間(特定期間の前に成分が幾分放出された場合、或いは放出速度が特定された若しくはされない場合を含めて)における成分の放出速度のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態で、1つ以上の成分に対する放出プロファイルの制御には、その期間の開始終了時間を変更又は制御すること、その期間の長さを変更又は制御すること、及び/又はその期間中の放出速度を変更又は制御することが含んでもよい。例えば、放出プロファイルの制御には、期間中に放出速度を変更又は制御することを含んでもよい。これらの期間における成分の放出速度を増大させることによって、第1又は第2の期間中にその成分をより迅速に、或いは、初期放出させることができる。同様に、これらの期間中の成分の放出速度を低減することによって、第1又は第2の期間中にその成分をより緩慢に放出又は遅延放出させることができる。別の例として、放出プロファイルの制御には、放出プロファイルにおける期間の開始及び終了を移動させることが含まれてもよいが、その期間の長さは同じであってよく、その期間中の1つ以上の成分の放出速度も同じであってもよい(例えば、1つの成分の放出は、成分の過半量の放出が1分、5分、10分、30分等遅延させるように制御してもよい)。第3の例として、放出プロファイルの制御には、1つ以上の期間の開始又は終了を移動させること、及び1つ以上の期間内で放出速度を変更することを含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態で、食用組成物中の成分の放出を遅延させることには、食用産物の消費を開始した後に成分の過半量の放出若しくは利用を遅延させること、及び/又は、食用産物の消費を開始した後、所定時間で、所定時間後、又は所望の期間にわたり、所望量、過半量又は最小量の成分の放出する、或いは、放出を可能にすることが含まれる。いくつかの実施形態で、所定の時点より前、又は、所望の期間経過の前後に、成分が放出又は放出可能にはならない。他の実施形態で、成分の一部分が所定時間の前、及び/又は所望の期間の前後に、放出又は放出可能となってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態で、所望の放出プロファイルを決定することや選択する場合は、上記のように、所望の放出プロファイルの1つ以上の要因又は特徴を決定又は選択してもよい。それらの要因又は特徴は、たとえ放出プロファイルの他の又はすべての態様が決定されず、或いは選択されない場合でも、放出プロファイルの定義づけ又は特徴付けに有用である。したがって、1つの成分に対する1つの放出プロファイルの決定又は選択には、成分の放出についての特徴を1つのみ決定又は選択した場合が含まれうる。いくつかの実施形態で、例えば、化学的試験及び/又は機械的な試験及び分析、消費者試験、記述式若しくは専門家の試食又は咀嚼パネル、他のインビボ又はインビトロ試験等の1つ以上の技術又は方法によって、特徴を決定してもよく、或いは、測定してもよい。
【0023】
本発明は一般に、本明細書で定義する食用組成物における使用のための送達システムであって、これは少なくとも1つの封入材料と、少なくとも1つの有効成分を含む送達システムに関する。本発明の送達システムは、長期間など事前選択した期間中有効成分が一貫して制御放出するように調製される。この期間は、送達システムが添加する製品の種類、封入材料の種類、製品中の他の有効成分(例えば、脂肪)等によって変化してもよい。当業者であれば、本明細書における開示に基づいて、所望の効果が得られるように送達システムを調整できる。
【0024】
長期間とは、本明細書で用いる場合、従来報告のシステムよりも長期間にわたり、送達システムからの有効成分が多量に放出されることをいい、少なくとも15分であり、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、さらにはこれらの数値及び範囲、例えば、約25〜30分、約45〜60分又はそれ以上を含むことができる。さらに、本発明の送達システムはまた、長期間にわたって有効成分を送達する方法のみならず、長期間にわたり有効成分の強度を高く維持する方法も提供する。例えば、有効成分が香料又は甘味料である場合、本発明の一態様で、放出される有効成分の量を長期間変動させることができる。例えば、送達の初期には、有効成分の放出量(その時点で送達システム中に存在する総量に対する)を、有効成分のそれ以降又は後の時点における放出量(その時点で送達システム中に存在する総量に対する)よりも多くすることができる。
【0025】
一実施形態で、前記長期間化により、食用組成物中の有効成分の送達開始(チューインガム組成物の咀嚼開始など)から30分後に少なくとも1つの有効成分の少なくとも約5%保持(30分後に少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%又はそれ以上保持されることが含まれる)される。別の実施形態で、前記長期間化により、有効成分の送達開始から20分後に少なくとも1つの有効成分の少なくとも約10%(20分後に少なくとも約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%又はそれ以上保持することが含まれる)保持される。別の実施形態で、前記長期間化により、有効成分の送達開始から15分後に少なくとも1つの有効成分の少なくとも約30%保持(15分後に少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、又はそれ以上保持することが含まれる)される。
【0026】
別の実施形態で、チューインガムの甘味料を例として用いた場合、前記長期間化により、少なくとも上記の期間全体(例えばチューインガム組成物の咀嚼開始から少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分等の間)甘味の知覚が得られる。さらに、咀嚼中に甘味料を利用できる時間を延長することによって、消費者が風味を知覚する時間を延長させてもよい。
【0027】
送達システムは、チューインガム組成物、食品、菓子組成物、医薬組成物、飲料、食材、栄養含有組成物、ビタミン類、栄養補助食品等を含め、多岐にわたる食用組成物での有効成分の制御放出を円滑にする。
【0028】
本発明に従って開発される送達システムは、所望の有効成分の放出プロファイルと有効成分にある程度応じて、既知放出プロファイルを有する有効成分を含有する既知の標準的な送達システムから選択してもよい。送達システムの一部である有効成分は、保護、制御放出及び/又は味のマスキングのための被覆が有用であると考えられる高甘味度甘味料を含む甘味料、酸、香料、医薬品、治療剤、ビタミン類、ミネラル類、歯の漂白剤又は洗浄剤、口中清涼剤、冷感剤、温感剤、知覚物質、及び他の材料から選択してもよい。有効成分としては、タバコ製品への添加処理に有用なニコチン並びにコーヒー及び/又は飲料に典型的に認められるカフェインが挙げられる。本発明の一実施形態で、有効成分は甘味料(例えばネオテーム、アスパルテーム、スクラロース、アセスルフェームカリウム及び本明細書に記載の他のものなどの高甘味度甘味料)である。
【0029】
本発明によれば、有効成分の種類及び量及び所望の放出プロファイルに基づいて、有効成分の効果的な徐放を確実にするように有効成分を送達する送達システムを調製できることを見出した。例えば、25〜30分間にわたって高甘味度甘味料の制御放出を行わせ、消費者に多少の不快感を与える可能性のある甘味の迅速なバーストを防止することが望ましいと考えられる。医薬品又は治療剤などの他の種類の有効成分の場合は、放出時間が短い方が望ましいと考えられ、各有効成分に対して別々の送達システムを用いることにより同一食用組成物に取り込むことができる。本発明によれば、標準物質に対する放出プロファイルの範囲に基づいて、送達システムを調製してもよい。標準物質としては、例えば、特異的な疎水性及び/又は所定の範囲にわたる引張強度を有する一連のポリマー封入材料を有する既知送達システムが挙げられる。その標準物質の送達システムの各々は、特有の放出プロファイル又は放出プロファイルの範囲を示す。
【0030】
一実施形態で、本発明には、明確に異なる放出プロファイルにて放出されることが望ましいと考えられる有効成分をそれぞれ含む、複数の有効成分を別個に送達する複数の送達システムを添加し、所望の放出プロファイルを得ることが含まれる。有効成分は同一であっても、異なってもよい。各々の送達システムでは、各々異なる有効成分及び/又は異なる封入材料を用いてもよい。
【0031】
例えば、高甘味度甘味料は、長期間(例えば、20〜30分)放出されることが望ましいと考えられる一方、医薬品のいくつかは、かなり短い期間で放出されるのが望ましいと考えられる。
【0032】
本発明の特定の実施形態で、少なくとも1つの有効成分の少なくとも一部又は全ての放出が、送達の時間に対して特異的な速度となるように送達システムを調製できる。例えば、一実施形態で、送達システムは、少なくとも1つの有効成分の放出が、15分間で80%、20分間で90%及び/又は30分間で95%の速度で放出されるように調製できる。別の実施形態で、送達システムは、1つ以上の有効成分が、15分間で25%、20分間で50%及び/又は30分間で75%の速度で放出されるように調製できる。例えば、例としてチューインガムを用いた場合、同一の甘味料を2種の異なる送達システムに添加し、第1の送達システムでは初期放出させ、第2の送達システムでは放出を遅延させることによって、消費者が知覚する甘味及び/又は風味の長期持続させることが可能となる。
【0033】
封入材料の疎水性
本発明の一態様で、有効成分の放出プロファイルは、封入材料、例えばポリマーの疎水性に基づいて、送達システムを調製することによって制御できる。高疎水性ポリマーを用いて送達システムを形成することによって、その送達システムを含む食用産物の消費の際に有効成分の放出を遅延させることができる。同様に、疎水性の低い封入材料を用いて、有効成分をより初期放出又は迅速に放出させることができる。
【0034】
疎水性は、American Society of Testing Materials、方法第ASTM D570−98号に従って測定される相対的な水の吸収によって定量できる。従って、比較的低い吸水性の封入材料を選択して混合物に添加することにより、形成された送達システムに含まれる有効成分の放出を、高吸水性の封入材料に比べて遅延させることができる。特定の実施形態では、約50〜100%の吸水性(ASTM D570−98で測定)を有する封入材料を含む送達システムを用いることができる。有効成分の相対的な送達速度を低減する、或いは、有効成分の放出を遅延させる場合には、吸水性が約15〜約50%(ASTM D570−98で測定)になるように封入材料を選択できる。さらに、他の実施形態で、封入材料の吸水性を0.0〜約5%又は約15%以下(ASTM D570−98で測定)となるように選択して、有効成分の放出をさらに遅延させることができる。
【0035】
他の実施形態で、異なる吸水性を有する封入材料で調製した2つ以上の送達システムの混合物を用いて、後に食用組成物に添加してもよい。2つ以上の送達システムを組み合わせる場合、一方の送達システムは、例えば、送達システムに含有する食用産物の消費の際に初期放出させ、消費中の後の段階で同じ有効物質又は残りの有効物質を放出させるように有効成分の放出を制御できる。
【0036】
本発明に関連して使用できる好適な疎水性を有するポリマーとして、例えば、ビニルアセテート、ビニルアルコール、エチレン、アクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸等のホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。好適な疎水性コポリマーの例として、限定されないが、ビニルアセテート/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマーが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態で、疎水性封入材料は、食用組成物の総質量に対して約0.2〜10質量%の量(0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.25、1.4、1.7、1.9、2.2、2.45、2.75、3.0、3.5、4.0、4.25、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.25、7.75、8.0、8.3、8.7、9.0、9.25、9.5、9.8質量%、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲、例えば1〜5質量%など)で含有されてもよい。当然、封入材料の量は用いる有効成分の量にある程度依存する。送達システムの質量に対する封入材料の量は、約30〜99%(35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、97質量%、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲、例えば約60〜90質量%など)である。
【0038】
封入材料の疎水性の選択基準に基づいて送達システムを調製する際に、得られる送達システムが上記の基準を満たすという条件で、有効成分を封入材料内に全体を封入するか、或いは封入材料内に不完全に封入してもよい。不完全な封入は、製造工程を改変及び/又は調整して有効成分を部分的に被覆することにより実施できる。いくつかの実施形態で、封入材料は、有効成分とマトリックスを形成してもよい。
【0039】
例えば、エチレン−ビニルアセテートが封入材料である場合、疎水度は、コポリマー中のエチレンとビニルアセテートの比を調整することによって制御できる。エチレン:ビニルアセテート比が高いほど、有効成分の放出が遅くなる。ビニルアセテート/エチレンコポリマーを例として用いると、コポリマー中のビニルアセテート/エチレンの比は、約1〜約60%(2.5、5、7.5、9、12、18、23、25、28、30、35、42、47、52、55、58.5%の比、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲)であってもよい。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態は、食用組成物用の有効成分を含有する標的送達システムを、封入材料の疎水性に基づいて選択する方法である。本方法は通常、事前選択される疎水性を有する封入材料を用いて、有効成分、封入材料及び任意添加物を含有する標的化送達システムを調製することを含む。標的化送達システムで用いる封入材料の疎水性は、有効成分の所望の放出プロファイルが得られるように事前選択される。この封入材料の選択は、同一又は類似の有効成分及び有効成分の既知の放出プロファイルを有する試料送達システムの疎水性に基づく。
【0041】
本発明の別の実施形態で、前記方法は、
(a)有効成分、少なくとも1つの封入材料及び任意添加物を含む複数の試料送達システムであって、前記送達システムの各々が、異なる疎水性を有する異なる封入材料で調製される試料送達システムを得ることと、
(b)試料送達システムを試験して、有効成分のそれぞれの放出プロファイルを決定することと、
(c)得られた試料送達システムに基づいて有効成分の所望の放出プロファイルに対応する疎水性封入材料を用いて、その有効成分を含有する標的送達システムを調製することを含む。
【0042】
食用組成物に取り込むのに好適な少なくとも1つの送達システムを選択する方法は、好ましくは、有効成分(すなわち第1の有効成分)の所望の放出プロファイルを決定することによって開始できる。所望の放出プロファイルは、既知文献又は技術参照から、或いはインビトロ又はインビボ試験から決定してもよい。所望の放出プロファイルを決定することにより、所望の放出で第1の有効成分を放出できる送達システム(すなわち第1の送達システム)用の封入材料(すなわち第1の疎水性封入材料)の所望の疎水性を決定することができる。希望どおりに有効成分を送達できる送達システムを得た後、その送達システムを選択し、食用組成物中への最終的な内包に供する。
【0043】
更に以上に記載の方法を、第2の有効成分及び他の有効成分に関して同様に繰り返して、好適な送達システムの決定及び選択を行ってもよい。
【0044】
食用組成物は、2つ以上の種類の送達システム(各々が同一又は異なる有効成分を含有する)を含んでよく、また送達システムの選択は、以下に記載の封入材料の疎水性及び/又は送達システムの引張強度に基づき行われる。それに加え、又はその代わりに、1つ以上の送達システムを、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム及びエースK甘味料などの有効成分(遊離型(非封入型))と共に食用組成物に取り込んでもよい。
【0045】
送達システムの引張強度
さらなる実施形態で、送達システムを、封入材料の疎水性に基づく選択に加えて、封入材料の引張強度の選択及び操作に基づいて選択することができ、それにより有効成分の遅延放出及び/又は制御放出が可能となる。従って、有効成分の制御放出及び/又は遅延放出は、封入材料の既定の引張強度及び既定の疎水性を選択することによって制御できる。
【0046】
本明細書で用いる場合、「引張強度」という用語は、伸張負荷をかけても破れない材料の最大応力を意味する。所定の物質の引張強度を測定するの標準方法は、American Society of Testing Materialsの方法第ASTM−D638号により定義されている。
【0047】
既定の引張強度は、有効成分、及びその所望の放出時間にある程度基づいて決定する。既定の引張強度は、1つ以上の送達システムを含む基準より選択してよく、各標準的な送達システムは、所望の有効成分の既知放出プロファイルを有している。本発明の送達システムはさらに、水分、及びpH変化、反応性化合物等、有効成分の望ましくない分解を生じさせるおそれがある他の条件から保護するためのバリヤと共に有効成分を提供する。
【0048】
各々が異なる有効成分を含有している複数の送達システムは、これらの各々の有効成分を含有する標準的な送達システムとの比較を利用することによって調製してもよいことは自明である。
【0049】
事前選択した所望の範囲内に送達システムの引張強度を維持することにより、高度に制御され一貫した様式で組成物から有効成分が放出される。送達システムの引張強度に着目することにより、好適な送達システムを選択及び調製する方法が、従来の技術システムで通常必要とされる試行錯誤の実験の必要性が顕著に低減する態様で改善される。
【0050】
送達システムの所望の引張強度は、所望の範囲内で容易に決定することができる。本発明の一実施形態で、送達システムの引張強度は、少なくとも6,500psi(44.82MPa)(7500psi(51.72MPa)、10,000psi(68.95MPa)、20,000psi(137.9MPa)、30,000psi(206.9MPa)、40,000psi(275.8MPa)、50,000psi(344.8MPa)、60,000psi(413.7MPa)、70,000psi(482.7MPa)、80,000psi(551.6MPa)、90,000psi(620.6MPa)、100,000psi(689.5MPa)、125,000psi(861.9MPa)、135,000psi(930.9MPa)、150,000psi(1,034MPa)、165,000psi(1,138MPa)、175,000psi(1,207MPa)、180,000psi(1,241MPa)、195,000psi(1,345MPa)、200,000psi(1,379MPa)及びこれらの範囲及び部分的範囲、例えば6,500〜200,000psi(44.82〜1,379MPa)の引張強度範囲など)である。所望の引張強度を備えた送達システムは、様々な封入材料及び少なくとも1つの添加剤(以下、「少なくとも1つの引張強度改良剤又は改良物質」と称する)を用いて調製できる。少なくとも1つの添加剤を用い、送達システムの引張強度を改良することや、高分子量ポリマーなどの引張強度増大材料に加えて、脂肪、乳化剤、可塑剤(軟化剤)、ロウ、低分子量ポリマー等の引張強度低下材料を配合することにより、送達システムを調製してもよい。さらに、送達システムの引張強度の形成の際、異なる引張強度の改良物質を組み合わせることにより微調整して送達システムを調製してもよい。例えば、ポリ酢酸ビニルなどの高分子量ポリマーの引張強度は、脂肪及び/又は油分などの引張強度低下剤を添加すると低下すると考えられる。
【0051】
本発明の一実施形態で、少なくとも1つの引張強度改良剤は、1つ以上の送達システムに完全に又は部分的に含まれる有効成分が、15分間で80%、20分間で90%、及び/又は30分間で95%の速度で放出されるのに充分な量で送達システム中に含まれる。別の実施形態で、少なくとも1つの引張強度改良剤は、1つ以上の有効成分が、15分間で25%、20分間で50%及び/又は30分間で75%の速度で放出されるのに充分量で送達システム中に含まれる。
【0052】
本発明の別の実施形態で、少なくとも1つの引張強度改良剤は、送達システムの引張強度が、少なくとも約6,500psi(44.82MPa)(7500psi(51.72MPa)、10,000psi(68.95MPa)、20,000psi(137.9MPa)、30,000psi(206.9MPa)、40,000psi(275.8MPa)、50,000psi(344.8MPa)、60,000psi(413.7MPa)、70,000psi(482.7MPa)、80,000psi(551.6MPa)、90,000psi(620.6MPa)、100,000psi(689.5MPa)、125,000psi(861.9MPa)、135,000psi(930.9MPa)、150,000psi(1,034MPa)、165,000psi(1,138MPa)、175,000psi(1,207MPa)、180,000psi(1,241MPa)、195,000psi(1,345MPa)、200,000psi(1,379MPa)及びこれらの範囲及び部分的範囲を含め、例えば6,500〜200,000psi(44.82〜1,379MPa)の範囲の引張強度)となるのに充分な量で送達システム中に含まれる。
【0053】
引張強度の改良物質又は改良剤の例として、限定されないが、脂肪(例えば、水素化又は非水素化植物油、動物性脂肪)、ロウ(例えば、微結晶性ロウ、ミツロウ)、可塑剤/乳化剤(例えば、鉱油、脂肪酸、モノ−及びジグリセリド、トリアセチン、グリセリン、アセチル化モノグリセリド、グリセロールロジンモノステアレートエステル)、低分子量及び高分子量ポリマー(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル)等が挙げられる、タルクのような充填剤、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ及びこれらの組み合わせが挙げられる。可塑剤は、軟化剤とも称される場合がある。
【0054】
このように、引張強度の改良物質を用いることにより、送達システムの全体の引張強度は、食用組成物からの有効成分の所望の放出プロファイルに対応する、標準物質との比較に基づいて事前選択した引張強度が得られるように調整又は変更できる。
【0055】
本発明の送達システムによって、用いる有効成分の種類に従って選択した所望の放出プロファイル、用いる封入材料、添加物、有効成分の所望の放出速度等に適合した場合に、事前選択した引張強度の使用により、有効成分の望ましく調整された制御放出が得られる。一般的に、送達システムで用いる封入材料は、有効成分の周囲に保護バリヤとして高マトリックス、固体コーティング又はフィルムを形成できる食用の水不溶性材料から選択される。封入材料は送達システムの引張強度に一致するように選択され、少なくとも約6,500psi(44.82MPa)、(7500psi(51.72MPa)、10,000psi(68.95MPa)、20,000psi(137.9MPa)、30,000psi(206.9MPa)、40,000psi(275.8MPa)、50,000psi(344.8MPa)、60,000psi(413.7MPa)、70,000psi(482.7MPa)、80,000psi(551.6MPa)、90,000psi(620.6MPa)、100,000psi(689.5MPa)、125,000psi(861.9MPa)、135,000psi(930.9MPa)、150,000psi(1,034MPa)、165,000psi(1,138MPa)、175,000psi(1,207MPa)、180,000psi(1,241MPa)、195,000psi(1,345MPa)、200,000psi(1,379MPa)及びこれら全ての間の範囲及び部分的範囲など、例えば6,500〜200,000psi(44.82〜1,379MPa)である。かかる封入材料は、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニルフタレート、ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート等、及びこれらの組み合わせから選択できる。
【0056】
封入材料は、封入材料の疎水性及び送達システムの引張強度の選択に基づいて、食用組成物の総質量の約0.2〜30質量%の量で含まれてもよく、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.25、1.4、1.7、1.9、2.2、2.45、2.75、3.0、3.5、4.0、4.25、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.25、7.75、8.0、8.3、8.7、9.0、9.25、9.5、9.8、12、14、15、18、21、24、26、28質量%、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲、例えば1〜5質量%が挙げられる。封入材料の量は当然、送達システムに存在する有効成分の量にある程度依存する。封入材料の量は、送達システムの質量に対して約30〜99%(35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、97%、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲、例えば約60〜90質量%)である。
【0057】
送達システムの引張強度は、緩慢な放出又は遅延放出が望ましい場合は比較的高い引張強度、一方より迅速な放出が望ましい場合は比較的低い引張強度から選択してもよい。従って、有効成分の放出プロファイルは通常、封入材料の疎水性が一貫して同様又は同一に維持される条件において、送達システムに50,000の引張強度が用いられる場合は、10,000psi(68.95MPa)の引張強度を有する送達システムでの有効成分の放出に比べて、選択される封入材料(例えば、ポリ酢酸ビニル)の種類に関わらず、通常遅延する。
【0058】
本発明の一実施形態で、封入材料はポリ酢酸ビニルである。本発明における封入材料としての使用に好適なポリ酢酸ビニル産物の代表例として、Wacker Polymer Systems社(Adrian、Michigan)から市販されているVinnapas(登録商標)B100が挙げられる。ポリ酢酸ビニルを利用する送達システムは、充分量のポリ酢酸ビニルを約65〜120℃の温度で短期間、例えば5分間溶融することによって調製してもよい。溶融温度は、ポリ酢酸ビニル封入材料の種類及び引張強度に依存し、高引張強度材料は通常高温で溶融する。封入材料が溶融した後、好適な量の有効成分(例えば、アスパルテームなどの高甘味度甘味料)を添加して、さらに短時間混合するために溶融物と十分に混合する。得られた混合物は半固体の物質であり、次いで(例えば、0℃に)冷却して固体を得て、その後米国標準で約30〜200(900〜75μm)のメッシュサイズに粉砕する。得られる送達システムの引張強度は、封入材料を必要な大きさ及び形状に成形した後、ASTM−D638に従って容易に試験することができる。
【0059】
好適な封入材料の選択は、有効成分の種類及び量並びに他の添加物又は成分の存在にある程度依存する。脂肪及び油分のみならず可塑剤又は軟化剤は、例えば、「引張強度改良剤」として機能し、送達システム内及び特に封入材料内に取り込ませ、得られる送達システムの引張強度を改良してもよい。前記の添加剤を、溶融状態の封入材料に添加してもよい。本発明の送達システムで用いる添加剤の量は、当然ながら、所望の引張強度に応じて、送達システムの総質量の40質量%以下で調節できる。
【0060】
既定の引張強度及び事前選択した疎水性封入材料を有するように送達システムを調製する際、得られる送達システムの引張強度が上記の標準に適合するという条件で、有効成分を封入材料中に完全又は不完全に封入させることができる。不完全な封入は、製造工程を変更及び/又は調整し、有効成分を部分的に被覆することによって実施できる。
【0061】
添加剤としての脂肪及び油分の存在は、送達システムに対して2つの効果があることを見出した。第1の効果は、5質量%以下の低濃度(すなわち4.7、4.5、4.25、4.0、3.5、3.0、2.5、2.25、2.0、1.75、1.5、1.0以下及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲)で観察され、その濃度において脂肪及び/又は油分が送達システムの引張強度を維持又は増加させる。高濃度(すなわち、典型的には5質量%より高濃度)で、脂肪及び/又は油分は送達システムの引張強度を低減させる傾向がある。送達システムの引張強度に対するこのような異常効果又は非線形性効果を伴うものの、有効成分に対して既知の放出プロファイルを有する試料送達システムに基づいて標的化送達システムが調製されるため、有効成分の所望の放出が得られる好適な送達システムを本発明に従って容易に調製できる。
【0062】
本発明の一実施形態で、封入材料の疎水性及び送達システムの引張強度に基づいて、食用組成物用の有効成分を含有する標的送達システムを選択する方法が提供される。この方法には、通常、有効成分、封入材料及び任意の添加物を、事前選択される疎水性を有する封入材料と、事前選択される引張強度を有する標的化送達システムと共に有する標的送達システムを調製することが含まれる。すなわち標的化送達システムの引張強度、及び封入材料の疎水性を事前選択し、有効成分の所望の放出プロファイルを得る。この引張強度の選択は、同一又は類似の有効成分及び有効成分の既知の放出プロファイルを有する試料送達システムの引張強度に基づき行う。同様に、封入材料の選択は、同一又は類似の有効成分及び有効成分の既知の放出プロファイルを備えた試料送達システムの疎水性に基づき行う。
【0063】
本発明の別の実施形態で、前記方法は(a)有効成分、少なくとも1つの封入材料及び任意添加物を含む複数の試料送達システムであって、当該送達システムの各々が異なる引張強度、及び異なる疎水性を有する封入材料を有する、当該試料送達システムを得る工程と、(b)試料送達システムを試験して、有効成分のそれぞれの放出プロファイルを決定する工程と、(c)得られた試料送達システムに基づく有効成分の所望の放出プロファイルに対応する封入材料の引張強度及び疎水性を有する、同一有効成分を含有する標的送達システムを調製する工程を含む。
【0064】
食用組成物への添加に好適な少なくとも1つの送達システムを選択する方法は、有効成分(すなわち、第1の有効成分)の所望の放出プロファイルを決定することによって開始できる。所望の放出プロファイルは、既知文献若しくは先行技術を参照してもよいし、又はインビトロ又はインビボ試験によって決定してもよい。所望の放出プロファイルが決定されれば、所望の放出プロファイルにて第1の有効成分を放出できる送達システム用の封入材料の望ましい疎水性、及び望ましい引張強度が決定できることは自明である。必要に応じ有効成分を送達できる送達システムを得た後、その送達システムを選択し、食用組成物中へ最終的に内包させる。
【0065】
次いで、上記のように第2の有効成分及び他の有効成分に対して以上に記載の方法を繰り返して、好適な送達システムを決定及び選択してもよい。
【0066】
固体剤形、食用組成物又はチューインガムなどの理想的な特徴の1つとして、甘味料などの有効成分の放出が、咀嚼時間中均一に保たれることである。例えば、遊離型(非封入型)甘味料では、放出速度が迅速で、咀嚼時間の後半にはガムの風味が望ましくないものになる。高引張強度を有する送達システムでは放出速度が遅いため、甘味料が咀嚼時間後でも放出される。有効成分の初期放出及び後期放出の速度のバランスを取るには、例えば、食用組成物が遊離型の有効物質と、高引張強度及び/若しくは疎水性を有する送達システム、並びに/又は、有効成分が異なる速度で放出されるように設計された異なる引張強度及び/若しくは疎水性を有する2つ以上の送達システムの組み合わせとの混合物を含有する態様で食用組成物を製造することにより可能となる。
【0067】
例えば、チューインガム組成物などの食用組成物には、例えばアスパルテームなどの甘味料を、遊離型(非封入型)の形態、及び甘味料の遅延放出プロファイルを生じさせる引張強度が増加(少なくとも6,500psi(44.82MPa)の引張強度を有する)した1つ以上の送達システムの形態の両方で含有させてもよい。引張強度の代わりに、或いはそれと組み合わせて、送達システムは少なくとも50%の保水性を有してもよい。
【0068】
食用組成物の別の例では、2種又は数種の送達システムを添加してもよく、1つの送達システムは約6,500psi(約44.82MPa)の引張強度を有するように調製し、第2の送達システムは約50,000psi(約344.8MPa)の引張強度を有するように調製してもよい。非封入型(遊離型)有効物質は、初期の迅速放出が得られるように配合できる。それに加え、或いは、その代わりに、第1の送達システムが約5〜15%の保水性値を有し、第2の送達システムが50〜100%の保水性値を有する態様で食用組成物を調製してもよい。
【0069】
この場合、送達システムの選択は、少なくとも1つの非封入型の有効成分の量と、所望のパラメータ及び/又は特徴を有する少なくとも1つの封入型材料の量との比の選択並びに操作に基づいて実施でき、それにより有効成分の遅延及び/又は制御放出が可能となる。それにより、例えば、組成物は、0〜10分におけるの初期放出若しくは15〜30分におけるの後期放出、又はそれらの両方、或いはこれら全ての間に存在する値及び部分的範囲などの時間の組み合わせで、有効物質がを放出される。
【0070】
チューインガム組成物、菓子組成物及び飲料組成物を含め代表的な食用組成物に対して、非封入材料及び非封入型有効成分(例えば、甘味料)は、食用組成物の総質量の約0.1〜6質量%の量(0.5、1、2、3、4、5質量%、並びそれら全ての間に存在する値及び部分的な範囲、例えば、0.5〜3質量%の量)で含有させてもよい。
【0071】
有効成分のコーティング
いくつかの例において、送達システム中の有効成分のいくつかは、封入材料に対して混和性であってもよい。例えば、ポリ酢酸ビニルは、本発明で使用できる封入材料の1つの種類である。短鎖又は中鎖エステルである香料などのいくつかの成分は、ポリ酢酸ビニル(PVAc)と相互作用する可能性があることから、有効成分の制御放出及び/又は遅延放出プロファイルの効力が低減する。
【0072】
したがって、本発明の一実施形態は、それ自体で、或いは、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせて、混和性のない、又は封入材料との混和性と比較して混和性の低い「コーティング材料」で有効成分をコーティングする。有効成分は、封入材料で封入される前に、或いは、封入されると同時に、コーティング材料でコーティングできる。
【0073】
本発明にかかるコーティング材料は、有効成分の封入材料に対する混和性を、当該コーティング材料によって有効成分をコーティングしない場合の混和性に対して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%低減させることができ、10、15、20、30、40、60、70、75、80、85、90、95%又はそれ以上の低減であってもよい。
【0074】
一実施形態で、有効成分をコーティングするために使用される材料は、水溶性及び/又は親水性材料である。好適なコーティング材料の非限定例として、アラビアゴム、セルロース、修飾セルロース、ゼラチン、ポリオール類(例えば、ソルビトール、マルチトール)、シクロデキストリン、ゼイン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、及びポリウレタンが挙げられる。様々なコーティング材料の混合物を用いてもよい。
【0075】
コーティング厚は、活物質の開始時の粒径及び形状や、所望のコーティング量(質量百分率)に応じて変動する。本発明によれば、コーティング厚は、好ましくは約1〜約200μm(10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180及び190μm、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲など)であり、例えば、コーティング材料の厚さは約10μm〜約50μmで、且つ20〜54質量%であってもよい。
【0076】
有効成分の混和性を低減及び/又は排除できるバリヤ安定性を提供することに加えて、本発明で用いるコーティング材料は有効成分と封入材料との間のバリヤ形成を促進する良好なフィルム形成性も有してもよい。本明細書で用いる場合、フィルム形成性とは、コーティング材料を少なくとも1つの溶媒(例えば、水及び/又は有機溶媒など)中に溶解させた後、例えば少なくとも1つの溶媒が蒸発、吸収及び/又は有効成分上で分解することにより、コーティング材料が塗布されている有効成分上にフィルムが残留することを意味する。さらに、当業者であれば、コーティング材料がチューインガムなどの食用組成物の調製に使用された場合、コーティング材料がその味、賞味期限、粘性、抗菌性、及び消費用の成分を選択する他の一般的な基準に基づいて選択される必要があることを認識する。
【0077】
パン、スプレー、バッチ及び/又は材料をコーティングする際に通常用いられる連続工程を用いて有効成分にコーティング材料を塗布することにより、有効成分をコーティング材料でコーティングできる。一実施形態で、コーティング材料を溶媒に溶解又は分散させ、有効成分のコーティングを円滑にする。コーティング材料は、基材をコーティングする従来法を用いて送達できる。コーティングの好ましい方法で、例えば、米国特許第3196827号に記載の流動床技術が採用され、この文献の関連内容は、本願に引用して援用する。
【0078】
さらなる実施形態で、本明細書の記載に従って有効成分をコーティングし、有効成分を封入することによって、食用組成物の賞味期限を長期化できる。本明細書で用いる場合、賞味期限とは、有効成分を含有する食用組成物の成分の安定性の指標である。例として香料及び/又は甘味料を用いる場合、賞味期限の延長は、組成物中に含有される香料及び/又は甘味料の知覚される風味及び/又は甘味を測定することによって評価できる。本発明によれば、コーティング材料を用いて有効成分をコーティングする場合、有効成分をバリヤ材料でコーティングしていない同じ製品に比べて、賞味期限が5%延長(10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%以上やこれら全ての間に存在する数値及び範囲での賞味期限の延長など)される。別の実施形態で、賞味期限の延長は、製造後の保存時間とも関係し、本明細書に記載の本発明にかかるコーティング材料でコーティングされた有効成分を含有しない類似の組成物に比較して、コーティングされた有効成分を含有する組成物は、例えば10週間の賞味期限で50%、75%、80%、又は90%の改善を示す。さらなる例で、本明細書に記載の本発明にかかるコーティング材料でコーティングされた有効成分を含有しない類似の組成物に比較して、コーティングされた有効成分は、24週間の保存時において80〜90%の改善を示す。
【0079】
ポリマーマトリックス
本発明の別の実施形態で、ポリマーマトリックスを形成して有効成分を送達システム中に封入し、制御放出及び/又は遅延放出を行わせてもよい。ポリマーマトリックスの形成において、有効成分を封入するのに充分量の封入材料を有効成分と混合して、常温付近で錠剤に圧縮する。封入材料の軟化点を越えない温度まで加熱して、圧縮錠剤を形成させる。圧縮と比較的低温での加熱による錠剤の形成は、熱分解に感受性の有効成分又は加熱に対して比較的不安定な有効成分の封入にとり有用である。
【0080】
約7〜約28kN(約1573〜6300lbf)の圧力(6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、26、27、及び28.5kN及びこれら全ての間に存在する任意の値及び部分的範囲など)を用いる。一実施形態で、有効成分を封入するポリマーマトリックス封入材料は、Piccola Model D−8実験室用ロータリー式錠剤圧縮機を用いて作製できる。
【0081】
特定の実施形態で、常温付近で形成したポリマーマトリックスを、同様に形成した他のポリマーマトリックス及び/又は本明細書に記載の他の送達システムと混合してもよい。様々な送達システムを組み合わせることにより、異なる又は同一の成分の放出プロファイルを、例えば、一方を迅速放出させ、且つ、他方を長期にわたり遅延放出させるように制御できる。
【0082】
ポリマーマトリックスの調製に用いるポリマー封入材料は、好ましくは充分な引張強度、充分な接着特性を有し、化学的に不活性で、充分な疎水性を有し、封入型の有効成分の好適な制御放出が可能になる態様で選択される。ポリマーマトリックスを形成するのに使用できるポリマーの限定的でない例として、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニルフタレート、ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート、等が挙げられる。ポリマーの組み合わせも用いてもよい。
【0083】
ポリマー封入材料は、食用組成物の総質量に対して約0.2〜10質量%の量(0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.25、1.4、1.7、1.9、2.2、2.45、2.75、3.0、3.5、4.0、4.25、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.25、7.75、8.0、8.3、8.7、9.0、9.25、9.5、及び9.8質量%、並びにこれら全ての間に存在する任意の数値及び範囲、例えば1〜5質量%など)で含有させてもよい。封入材料の量は、当然、封入しようとする有効成分の量にある程度依存する。送達システムの質量に対する封入材料の量は、約30〜99%(35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、及び97質量%、及びこれら全ての間に存在する任意の数値及び範囲、例えば約60〜90質量%など)である。
【0084】
有効成分は、ポリマーマトリックスを構成する封入材料中に完全に封入してもよく、又は封入材料で不完全に封入してもよいが、その送達システムが有効成分の長期放出及び/又は遅延放出に対する事前選択した基準を満足させることを条件とする。不完全な封入は、有効成分が部分的にコーティングされるように製造工程を変更及び/又は調整することにより実施できる。
【0085】
有効成分用の送達システムとして用いるポリマーマトリックスは、上記したものと同様である。それらの送達システムのように、ポリマーマトリックスによって、所望の引張強度及び/又はその疎水性に基づいた封入材料を選択するよう調製でき、上記の所望の特徴を有する制御放出及び/又は遅延放出プロファイルで有効成分の送達が可能となる。上記と同様、ポリマーマトリックスの引張強度は、前記のような引張強度の改良物質又は改良剤を用いて改良できる。
【0086】
好ましい実施形態で、ポリマーマトリックスの引張強度は、加熱工程後に約4000〜約300,000psi(約27.58〜約2069MPa)の範囲(5000psi(34.48MPa)、10000psi(68.95MPa)、25000psi(172.4MPa)、50,000psi(344.8MPa)、75000psi(517.20MPa)、90,000psi(620.6MPa)、100000psi(689.5MPa)、125000psi(861.9MPa)、155000psi(1,069MPa)、180000psi(1,241MPa)、205000psi(1,414MPa)、230000psi(1,586MPa)、255000psi(1,758MPa)、270000psi(1,862MPa)、及び295000psi(2,034MPa)及びこれら全ての間に存在する任意の値及び部分的範囲など)である。
【0087】
本発明の一実施形態で、封入材料の疎水性及び/又は送達システムの引張強度に基づいて、食用組成物用の有効成分を含有する含むポリマーマトリックスを構成する標的送達システムを選択する方法が提供される。この方法には通常、有効成分、封入材料(事前選択される疎水性及び/又は事前選択される引張強度を有する封入材料)及び任意の添加物を含むポリマーマトリックスを調製することが含まれる。ポリマーマトリックスの引張強度及び/又は封入材料の疎水性は事前選択され、有効成分の所望の放出プロファイルがもたらされる。この引張強度の選択は、同一又は類似の有効成分及び当該有効成分に関する既知の放出プロファイルを有する試料ポリマーマトリックスの引張強度に基づく。同様に、封入材料の選択は、同一又は類似の有効成分、及び当該有効成分に関する既知の放出プロファイルを有する試料ポリマーマトリックスの疎水性に基づく。
【0088】
本発明の別の実施形態で、前記方法は、(a)有効成分、少なくとも1つの封入材料及び任意添加物を含む複数の試料ポリマーマトリックスであって、当該ポリマーマトリックスの各々が異なる引張強度、及び/又は異なる疎水性を有する封入材料を有するポリマーマトリックスを得ることと、(b)試料ポリマーマトリックスを試験して、有効成分のそれぞれの放出プロファイルを決定することと、(c)得られた試料ポリマーマトリックスに基づいて有効成分の所望の放出プロファイルに対応する封入材料の引張強度及び/又は疎水性を有する同一有効成分を含有する標的ポリマーマトリックスを調製することを含む。
【0089】
食用組成物に取り込むのに好適な少なくとも1つのポリマーマトリックスを選択する方法は、有効成分(すなわち、第1の有効成分)の所望の放出プロファイルを決定することによって開始できる。所望の放出プロファイルは、既知文献又は技術参照から、或いはインビトロ又はインビボ試験から決定してもよい。所望の放出プロファイルを決定することにより、所望の放出にて第1の有効成分を放出できるポリマーマトリックスに用いられる封入材料の所望の疎水性、及び/又は所望の引張強度が決定できることは自明である。希望どおりに有効成分を送達できる送達システムを得た後、その送達システムを選択し、食用組成物中への最終的な内包に供する。
【0090】
更に以上に記載の方法を、第2の有効成分及び他の有効成分に関して繰り返して、好適なポリマーマトリックスの決定及び選択を行ってもよい。
【0091】
その他
いくつかの実施形態で、送達システムは、粉体又は顆粒の形態であってもよい。粒径は、通常、変動させることができ、本発明の機能に対して大きな影響を及ぼす。一実施形態で、平均粒径は、所望の放出速度及び/又は舌ざわり(すなわち、ざらつき)、並びに食用組成物に取り込む単体の種類に従って選択することが望ましい。
【0092】
従って、本発明の特定の実施形態で、平均粒径は、約75〜約600ミクロン(100、110、140、170、200、230、260、290、320、350、370ミクロン)、及びこれら全ての間に存在する任意の数値及び範囲など)である。その数値が平均である場合、所定の試料の粉体又は顆粒中で認識されるが、所定の数値を超える及び/又は未満の大きさの粒子が存在すると考えられる。以上記載した方法に従って製造される送達システムに添加する少なくとも1つの有効成分として、例えば高甘味度甘味料などの甘味料、例えば食品用酸などの酸、香料、医薬品、治療剤、ビタミン、ミネラル、口中清涼剤、歯の漂白剤又は洗浄剤、冷感剤、温感剤、知覚物質、咽頭無痛化剤、香辛料、カフェイン、薬物等が挙げられる。これら有効成分の組み合わせを、同一又は異なる送達システムに含めることができる。このような成分は、意図した効果を得るのに充分量で用いるとよい。
【0093】
多岐にわたる公知の冷感剤を用いてもよい。特に有用な冷感剤としては、例えばメントール、キシリトール、メンタン、メントン、ケタール、メントンケタール、メントングリセロールケタール、置換p−メンタン、環状カルボキサミド、置換シクロヘキサンアミド、置換シクロヘキサンカルボキサミド、置換ウレア及びスルホンアミド、置換メンタノール、p−メンタンのヒドロキシメチル及びヒドロキシメチル誘導体、2−メルカプト−シクロ−デカノン、2−イソプロパニル−5−メチルシクロヘキサノール、2〜6炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸、シクロヘキサンアミド、メンチルアセテート、メンチルラクテート、メンチルサリチレート、NN−2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、メンチルスクシネート、3,1−メントキシプロパン1,2−ジオールが特に挙げられる。以上及び他の好適な冷感剤は、米国特許第4230688号、米国特許第4032661号、米国特許第4459425号、米国特許第4136163号、米国特許第5266592号、米国特許第6627233号にさらに記載されており、これらすべては本願に引用して全体を援用する。
【0094】
使用できる食品用酸の例として、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酪酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グリコン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、その他が挙げられる。食品用酸の組み合わせを用いてもよい。
【0095】
温感成分は、使用者に暖かい感覚信号を得ることが知られている多岐にわたる化合物から選択してもよい。これらの化合物は、特に口腔において暖かい感覚を与え、香料、甘味料及び他の感覚受容性成分による知覚を増強させうる。有用な温感性化合物のうち、高砂香料工業株式会社(東京、日本)により供給されるバニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000)、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソ−アミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0096】
温感又は冷感の感覚の効果は、米国特許出願公開第2003/0072842A1号に記載(本願に引用して全体を援用する)のように疎水性甘味料の使用によって持続させることができる。例えば、かかる疎水性甘味料として、本明細書で式I−XIとして表すものが挙げられる。また、米国特許第6159509号に記載(本願に引用して全体を援用する)のようにペリラルチンを添加してもよい。
【0097】
上記の香料及び冷感剤に加えて、口中清涼剤(口臭予防効果を備えた種々の組成物)を含有させてもよい。これらには、限定されないがシクロデキストリン及びコウボクエキスが含まれうる。口中清涼剤をさらに封入して、口中清涼効果を持続させてもよい。口臭を制御する組成物の例が、Staplerらの米国特許第5300305号、並びに米国特許出願公開第2003/0215417号及び第2004/0081713号に開示されており、これらは本願に引用して全体を援用する。
【0098】
上記のとおり、様々な口腔ケア用品を、チューインガムに関するいくつかの実施形態中に含ませてもよい。これらには、歯の漂白剤、汚れ除去剤、及び抗歯石剤を含んでもよい。これらの例として、限定されないが、タンパク質分解酵素を含む加水分解剤、水和シリカ、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム及びアルミナなどの研削材、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、硫酸化オレイン酸ブチル、オレイン酸ナトリウム、フマル酸の塩、グリセロール、ヒドロキシル化レシチン、ラウリル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面有効成分などの表面有効成分、及びポリリン酸塩類などのキレート剤などの他の活性汚れ除去成分(歯石をコントロールする成分として歯磨剤組成物で通常用いられる)が挙げられる。さらにピロリン酸四ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム、キシリトール、ヘキサメタリン酸塩、及び研削材シリカも挙げられる。さらなる例は、米国特許第5227154号、米国特許第5378131号及び米国特許第6685916号に開示され、これらは本願に引用して全体を援用する。
【0099】
薬剤、薬草、及び栄養補給剤等の様々な薬物をガム調製物に配合してもよい。有用な薬物の例として、ACE−阻害剤、抗狭心症薬、抗不整脈、抗喘息薬、抗コレステロール病薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、抗下痢製剤、解毒薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗炎症薬、抗脂肪薬、抗躁病薬、制嘔吐剤、抗卒中薬、抗甲状腺製剤、抗腫瘍薬、抗ウイルス剤、ざ瘡薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、鎮咳薬、抗尿酸病薬、抗ウイルス薬、同化製剤、全身及び非全身抗感染剤、抗悪性腫瘍薬、抗パーキンソン剤、抗リウマチ剤、食欲刺激薬、生化学的応答改変剤、血液改変剤、骨代謝制御剤、心血管作動剤、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去薬、栄養補助食品、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症制御剤、酵素、Viagra(登録商標)として現在市販されているクエン酸シルデナフィルなどの勃起機能障害治療薬、排卵誘発剤、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症及び低カルシウム血症制御剤、免疫調節薬、免疫抑制薬、偏頭痛製剤、動揺病治療剤、筋弛緩薬、肥満制御剤、骨粗鬆症製剤、オキシトシン、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン、精神治療剤、呼吸作用薬、鎮静薬、ブロモデオキシウリジン又はニコチンなどの禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦製剤、尿路作用薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、解熱剤、食欲抑制薬、去痰薬、抗不安薬、抗腫瘍薬、抗炎症性物質、冠状動脈拡張薬、大脳拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、刺激薬、降圧薬、血管収縮薬、偏頭痛治療剤、抗生物質、精神安定剤、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗凝固薬、抗血栓薬、催眠薬、鎮吐薬、抗悪心薬、抗痙攣薬、神経筋作用薬、高血糖及び低血糖薬、甲状腺及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮(terine)弛緩薬、抗肥満薬、赤血球産生薬、抗喘息薬、鎮咳剤、粘液溶解薬、DNA及び遺伝子修飾薬、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
他の有効成分の例として、制酸剤、H2−アンタゴニスト及び鎮痛薬が挙げられる。例えば、制酸剤調剤は、炭酸カルシウムを単一成分としてもよく、或いは水酸化マグネシウム、及び/若しくは水酸化アルミニウムと組み合わせて用いて調製してもよい。さらに、制酸剤は、H2−アンタゴニストと組み合わせて使用できる。活性制酸剤成分としては、限定されないが、水酸化アルミニウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、重炭酸塩、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次珪酸ビスマス、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸又は塩)、アミノ酢酸、水和硫酸アルミン酸マグネシウム、マガルドレート、アルミノケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、乳固形分、リン酸アルミニウムモノ−又はジ塩基性カルシウム、リン酸三カルシウム、炭酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アルミノケイ酸マグネシウム、酒石酸及び塩が挙げられる。
【0101】
鎮痛薬として、オピエート、及びOXYCONTIN(登録商標)などのオピエート誘導体、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、及び任意にカフェインを含んでもよいこれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
ある実施形態で使用される他の薬物成分として、イモジウムADなどの止瀉薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、鬱血除去薬、ビタミン類及び口中清涼剤が挙げられる。さらにまた本発明での使用が企図されるものとして、XANAX(登録商標)などの抗不安薬;Clozaril及びHaldolなどの抗精神病薬;イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、VOLTAREN(登録商標)及びLODINE(登録商標)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、CLARITIN(登録商標)、HISMANAL(登録商標)、RELAFEN(登録商標)、及びTAVIST(登録商標)などの抗ヒスタミン薬;KYTRIL(登録商標)1及びCES AMET(登録商標)などの鎮吐薬;BENTOLIN(登録商標)、PROVENTIL(登録商標)などの気管支拡張薬;PROZAC(登録商標)、ZOLOFT(登録商標)、及びPAXIL(登録商標)などの抗鬱薬;IMIGRA(登録商標)などの抗偏頭痛薬、Vasotec、Capoten及びZestrilなどのACE−阻害剤;Nicergolineなどのアルツハイマー病治療薬;並びにPROCARDIA(登録商標)、ADALAT(登録商標)、及びCalanなどのCaH−アンタゴニストが挙げられる。
【0103】
使用できるH2−アンタゴニストとしては、シメチジン、ラニチジン塩酸塩、ファモチジン、ニザチジン、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン及びアセロキサチジンが挙げられる。
【0104】
他の種々の栄養補給剤としては、ビタミン又はミネラルなどが挙げられる。例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB6、ビタミンB12、チアミン、リボフラビン、ビオチン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、イオウ、塩素、鉄、銅、ヨウ素、亜鉛、セレン、マンガン、コリン、クロム、モリブデン、フッ素、コバルト及びこれらの組み合わせを用いてもよい。
【0105】
栄養補給剤の例は、米国特許出願公開第2003/0157213 A1号、米国特許出願公開第2003/0206993号及び米国特許出願公開第2003/0099741 A1号に記載されており、これらは本願に引用して全体を援用する。
【0106】
また、例えば様々な医薬的、或いは栄養補助的特性を有する種々の薬草も挙げられる。薬草は通常、薬用又は香味を与えるに使用できる芳香性の植物又は植物の部分である。好適な薬草は、単独で又は様々な混合物として使用できる。例として、Echinacea、Goldenseal、Calendula、Aloe、B100d Root、Grapefruit Seed Extract、Black Cohosh、Cranberry、Ginko Biloba、St. John’s Wort、Evening Primrose Oil、Yohimbe Bark、Green Tea、Maca、Bilberry、Lutein、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
用いてもよい香料としては、当業者にそれらの風味が既知である天然及び人工香料などが挙げられる。これらの香料は、合成香油及び着香芳香剤及び/又は油分、植物、葉、花、フルーツ等由来の含油樹脂及び抽出物、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよい。非限定的な代表的な香油分として、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーンの油(メチルサリチレート)、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズクの油、オールスパイス、セージの油、メース、クヘントウの油、及びケイヒ油が挙げられる。さらに有用な香料は、バニラ、及びレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツを含むシトラス油分、及びアップル、西洋ナシ、モモ、グレープ、ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットを含むフルーツエッセンスなどの人工、天然及び合成フルーツ香料である。これらの着香剤は、液体又は固体形状で用いてもよく、また単独又は混合物として用いてもよい。通常使用される香料としては、ペパーミント、メントール、スペアミントなどのミント類、人工バニラ、シナモン誘導体、及び様々なフルーツ香料が挙げられ、単独又は混合物として用いてもよい。香料(特にミント系香料)を本明細書で後述する冷感剤と組み合わせて用いた場合、口中清涼作用も得られると考えられる。
【0108】
他の有用な香料として用いてもよいものとして、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、酢酸ジヒドロカルビル、ギ酸オイゲニル、p−メチルアミソールなどの、アルデヒド及びエステルが挙げられる。通常、National Academy of SciencesによるChemicals Used in Food Processing出版1274、63−258頁に記載の香料又は食品添加剤を用いてもよい。この出版物は、本願に引用して援用する。これらには天然香料や合成香料も包含される。
【0109】
アルデヒド香料のさらなる例として、限定されないがアセトアルデヒド(アップル)、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(カンゾウ、アニス)、ケイヒアルデヒド(シナモン)、シトラール、すなわち、アルファ−シトラール(レモン、ライム)、ネラール、すなわち、ベータ−シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、すなわち、ピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、アルファ−アミルシンナムアルデヒド(スパイシーなフルーツ様の風味)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(修飾、多くの種類)、デカナール(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−8(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−9(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−12(シトラスフルーツ)、2−エチルブチルアルデヒド(ベリーフルーツ)、ヘキサナール、すなわち、トランス−2(ベリーフルーツ)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、ベラトル(veratr)アルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール、すなわち、メロナール(メロン)、2,6−ジメチルオクタナール(緑色フルーツ)、及び2−ドデセナール(シトラス、マンダリン)、チェリー、グレープ、ブルーベリー、ブラックベリー、ストロベリーショートケーキ及びそれらの混合物が挙げられる。
【0110】
用いる甘味料は、水溶性甘味料、水溶性人工甘味料、天然の水溶性甘味料由来の水溶性甘味料、ジペプチド系甘味料、及び蛋白質系甘味料と、これらの混合物を含め、広範囲の材料から選択できる。特定の甘味料に限定されることなく、代表的な分類及び例として、
(a)ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリチルリジン、ジヒドロフラベノールなどの水溶性甘味剤、及びソルビトール、マンニトール、マルチトールなどの糖アルコール類、並びにL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミドで、米国特許第4619834号に開示のものなど(この開示は本願に引用して援用する)及びこれらの混合物、
(b)可溶性サッカリン塩などの水溶性人工甘味料、すなわち、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム又はカルシウムサッカリン塩、シクラメート塩、アセスルフェーム塩、ナトリウム、アンモニウム又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルフェーム−K)など、遊離酸型のサッカリン及びこれらの混合物、
(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3492131号に記載の物質などのL−アスパラギン酸由来甘味料、L−アルファアスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、ネオテーム、及びこれらの混合物などのジペプチド系甘味料、
(d)天然由来の水溶性甘味料由来の水溶性甘味料、ステボシド、普通の砂糖(スクロース)の塩化物誘導体、例えば、スクラロースの品名で知られ、例えばクロロデオキシスクロース又はクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体などといったクロロデオキシ糖誘導体、限定されないが、例えば、1−クロロ−1−デオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−アルファ−D−フラクトフラノシド、又は4−クロロ−4−デオキシガラクトスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトスクロース;1’,6’−ジクロロ−1’,6’−ジデオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4、1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトスクロース;6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−スクロース;及び4,6,1’,6’−テトラデオキシ−スクロース及びこれらの混合物が挙げられるクロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロース誘導体、
(e)thaumaoccous danielli(タウマチンI及びII)、タリンなどの蛋白質系甘味料及び(f)アミノ酸系甘味料が挙げられる。
【0111】
高甘味剤を、当該技術分野で公知の多くの様々な物理的形態で用いて、初期の甘味のバースト及び/又は甘味の感覚の長期化が得られるようにしてもよい。限定されないが、かかる物理的形態には、スプレードライ、粉体、ビーズ型などの遊離型、封入型、及びこれらの混合形態が含まれる。一実施形態で、甘味料はアスパルテーム、スクラロース、及びアセスルフェームカリウム(Ace−K)などの高甘味度甘味料である。
【0112】
送達システムの一部をなす有効成分(例えば甘味料)は、有効成分の使用に伴う所望の効果(例えば甘味)を与えるのに必要量にて用いてもよい。送達システム中における有効成分の含量については、有効成分は送達システムの総質量の約1〜70質量%の量(5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65質量%、及びこれら全ての間に存在する任意の数値及び範囲、例えば送達システムの総質量の約10〜40質量%など)で含まれてもよい。チューインガム組成物、菓子組成物及び飲料組成物を含む代表的な食用組成物について、甘味料は食用組成物の総質量の約0.1〜6質量%の量(0.5、1、2、3、4、5質量%、及びこれら全ての間に存在する任意の値及び部分範囲、例えば0.5〜3質量%など)で含まれてもよい。有効成分を、特に有効成分が甘味料である場合、所望の放出プロファイルに応じて、遊離型で食用組成物中に存在させてもよい。
【0113】
本発明の別の態様で、本発明の送達システム及び当該送達システムを収容するのに適量の担体を含む食用組成物が提供される。本明細書で用いる「担体」という用語は、経口摂取できる媒体であって、送達システムと混合でき、ヒトを含む温血動物に害を及ぼすことのない、チューインガム組成物中の可溶性及び不溶性成分を指す。さらに、担体には、送達システムと顕著に相互作用することなく混合できる組成物の成分が含まれる。
【0114】
本発明の一実施形態で、食用組成物は、有効成分の遅延放出(例えば、概して少なくとも15分)を特徴とするチューインガム組成物である。当該チューインガム組成物は、チューインガムベースと、封入材料と、少なくとも1つの封入形態の有効成分(例えば甘味料又は香料など)が含まれる本発明の送達システムを含んでなる。送達システムは、チューインガム組成物の総質量の約0.2〜10質量%(0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0質量%、その全ての間に存在する値及び部分範囲、例えば約1〜5質量%など)で含まれる。
【0115】
本発明には、当該技術分野で公知のチューインガム組成物を調製する様々な方法を用いてもよい。かかるチューインガム組成物は、チューインガム製品の調製に通常使用される、様々な調製物であってもく、それらを含むものであってもよい。一般的に、チューインガム組成物は咀嚼可能なガムベースの部分であって、実質的に水不含であり、水不溶性であり、水溶性バルク部分を有する。
【0116】
水溶性部分は通常、咀嚼期間全体にわたりガムベース部分から放出される。ガムベース部分は咀嚼中口中で保持される。水不溶性ガムベースは通常、エラストマー、エラストマー溶媒、可塑剤、ロウ、乳化剤及び無機充填剤を含んでなる。ある程度可塑剤として挙動するポリ酢酸ビニルなどの可塑性ポリマーも配合される。使用してもよい他の可塑性ポリマーとして、ポリビニルラウリン酸塩、架橋ポリビニルピロリドン及びポリヒドロキシアルカノエートが挙げられる。
【0117】
エラストマーは、ガムベースの約5〜95質量%を構成してもよい。別の実施形態で、エラストマーはガムベースの約10〜70質量%を、また別の実施形態ではガムベースの15〜45質量%を構成してもよい。エラストマーの例として、ポリイソブチレン、ポリブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニルなどの合成エラストマーが挙げられる。エラストマーとしてはまた、天然ゴムや、ジェルトン、lechi caspi、perillo、massaranduba balata、チクル、gutta hang kangなどの天然ガム又はこれらの組み合わせなどの天然エラストマーも挙げられる。他のエラストマーは当業者に公知である。
【0118】
エラストマー可塑剤をガムベース中に添加することにより、生成物のガムの硬さを調節できる。エラストマー可塑剤は通常、ガムベースの75質量%以下の量で含まれる。別の実施形態で、エラストマー可塑剤はガムベースの約5〜45質量%、また別の実施形態でガムベースの約10〜30質量%の量で含まれる。エラストマー可塑剤の例として、部分的水素化ロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、部分的水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、ロジンのメチル及び部分的水素化メチルエステルなどの天然ロジンエステルが挙げられる。テルペン樹脂などの合成エラストマー可塑剤をガムベース組成物に用いてもよい。
【0119】
ロウとして、ポリエチレン、ミツロウ、カルナバなどの合成及び天然由来のロウが挙げられる。パラフィンなどの石油ロウも用いてもよい。ロウをガムベースの30質量%以下で含有させてもよい。ロウは、完成品のガムの硬化を助け、風味の放出を改善し、さらに製品の賞味期限を延長させる。
【0120】
エラストマー溶媒は、テルペン樹脂などの樹脂であることが多い。軟化剤とも称される可塑剤は、通常は脂肪及び油分であり、獣脂、水素化植物油及びココアバターが挙げられる。
【0121】
ガムベースには通常、充填剤成分を含有させる。充填剤成分は、ガムベースのテクスチャを改良し、加工を助ける。このような充填剤の例として、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム、粘土、アルミナ、タルク、チタンオキサイド、セルロースポリマー等が挙げられる。充填剤は通常1〜60質量%の量で含有させる。
【0122】
乳化剤(グリセロールモノステアレート、レシチン、及びグリセロールトリアセテートなど)により可塑性が付与され場合もある。さらに、ガムベースは、抗酸化物、着色剤、及び風味などの任意成分も含んでもよい。
【0123】
不溶性ガムベースをチューインガムの約5〜95質量%の量で含有させてもよい。一実施形態で、不溶性ガムベースは、ガムベースの約10〜50質量%、また別の実施形態では、ガムベースの約20〜40質量%の量で存在してもよい。
【0124】
ガムの咀嚼性及び口当たりを至適化するために、軟化剤をチューインガムに添加する。軟化剤は、当該技術分野において可塑剤又は可塑性物質としても知られており、一般にチューインガム組成物の総質量の約0.5〜15質量%の量で含まれる。本発明で企図する軟化剤として、例えばレシチンが挙げられる。さらに、ソルビトール、水素化デンプン加水分解物、コーンシロップ、及びこれらの組み合わせを含有する水性甘味料溶液などを、ガムの軟化剤及び結合剤として用いてもよい。
【0125】
本発明のチューインガム組成物は、コーティングされていてもいなくてもよく、平板、スティック、ペレット、ボール等の形態としてもよい。チューインガム組成物の異なる形態の組成物は、その成分の比率が類似していてもいなくてもよい。例えば、コーティングされたガム組成物では、軟化剤の含有率が低くてもよい。ペレット及びボールでは、チューインガムコアを有し、糖溶液又は無糖溶液のいずれかでコーティングして硬いシェルを形成させる。平板及びスティックは通常、チューインガムコアよりも柔らかいテクスチャになるように調製する。
【0126】
本発明のチューインガム組成物の一態様によれば、送達システムはチューインガム組成物の製造中に添加される。本発明の別の態様で、送達システムは最終工程のうちの1つの工程で、例えば、チューインガム組成物の形成の最終工程で添加される。
【0127】
本発明者らは、この工程変更により、ガム組成物に送達システムが物質的に結合する(送達システムをガムベースに直接混合する場合に、発生する可能性がある)ことなく、送達システムがガム組成物に添加することを見出している。すなわち、送達システムがガム組成物内にゆるく含まれるのみである場合には、典型的な咀嚼動作中に有効成分がより効率的に放出される。従って、送達システムの材料部分にはガムベース及びチューインガム関連成分が含まれない。
【0128】
パンコーティング及びスプレーコーティングなどのチューインガム組成物にコーティング材料を塗布するためのコーティング技術が公知である。一実施形態で、硬いキャンディ層を形成させるのに適合する溶液でコーティングしてもよい。糖及び糖アルコールの双方を、高甘味度甘味料、着色剤、香料及び結合剤と共にこの目的に使用してもよい。
【0129】
他の成分をコーティングシロップに微量添加してもよく、その例としては、吸水化合物、抗付着化合物、分散剤及びフィルム形成剤が挙げられる。コーティングシロップでの使用に好適な吸水化合物としては、マンニトール又はリン酸二カルシウムが挙げられる。充填剤としても機能しうる有用な抗付着化合物の例として、タルク、三ケイ酸マグネシウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。これらの成分は、シロップ中に約0.5〜5質量%の量で用いてもよい。コーティングシロップで使用できる分散剤の例として、二酸化チタン、タルク又はその他、前記の抗付着化合物が挙げられる。
【0130】
コーティングシロップは通常、加熱され、その一部がコアに沈着する。通常は、コーティングシロップの単回沈着では、所望の量又は厚さのコーティングを得るのには充分でないため、第2、第3又はそれ以上のコーティングシロップの塗布を行い、それらのコーティングの間に乾燥させて層を形成させ、所望の質量及び厚さのコーティングを構築してもよい。
【0131】
本発明の送達システムなどの様々なチューインガム成分を、当該技術分野において知られている市販のミキサーに連続添加することによって、チューインガム組成物を調製する方法が提供される。成分を充分に混合した後、ガムベースをミキサーから取り出し、シート状に巻き取ってスティック状に切断すること、塊状に押出すこと、又は、ペレット状にケーシングすることにより所望の形状に成形する。
【0132】
通常、初めにガムベースを溶融し、稼働中のミキサーに添加することにより成分を混合する。ガムベースをミキサー中で溶融させてもよい。着色剤又は乳化剤をこの時点で添加してもよい。軟化剤をこの時点で、シロップ及び増量剤の一部と共にミキサーに添加してもよい。次いで、増量剤の残りをミキサーに添加する。香料は通常、増量剤の残りと共に添加する。最後に、既定の引張強度を示す送達システムを、得られた混合物に添加する。他の任意成分を、当業者に公知の一般的な方法により、バッチ式で添加する。
【0133】
全体の混合手順で、通常は5〜15分かかるが、さらに長い混合時間が必要なこともある。当業者であれば、前記手順を多様に変更してもよいことを認識する。
【0134】
成分を混合した後、ガム塊を様々な形状及び製品に成形してもよい。例えば、成分をペレット又はボール状に成形してコアとして用い、コーティングされたチューインガム製品を調製してもよい。しかし当然ながら他のいずれのタイプのチューインガム製品の場合も、本発明が利用できる。
【0135】
コーティングした製品を所望する場合、コーティング材料には香料、人工甘味料、分散剤、着色剤、フィルム形成剤及び結合剤などの成分を含有させてもよい。本発明により企図される香料として、精油、合成香料、又はそれらの混合物など、当該技術分野において一般的に公知のものが挙げられ、これらには、限定されないが、シトラス油、フルーツエッセンス、ペパーミント油、スペアミント油、他のミント油、チョウジ油、ウィンターグリーン、アニス等の油など、植物及びフルーツに由来する油分が挙げられる。香料は、コーティング材料の重量に対して約0.2〜1.2質量%で存在する態様で、コーティングシロップ中に添加してもよい。別の実施形態で、コーティング材料中に約0.7〜1.0質量%で香料を添加してもよい。
【0136】
漂白効果及び粘着力の低減効果を目的としてコーティングシロップに分散剤を添加することが多い。コーティングシロップ中に用いることが本発明により企図される分散剤として、二酸化チタン、タルク、又は他の抗粘着化合物のいずれかが挙げられる。分散剤は、分散剤がコーティング中に約0.1〜1.0%(0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9質量%、及びこれら全ての間に存在する数値及び範囲、例えば約0.3〜0.6質量%など)で含有される量でコーティングシロップ中に添加してもよい。
【0137】
着色剤は、染料又はレーキの形態にて、直接コーティングシロップに添加してもよい。本発明により企図される着色剤として、食用グレードの着色剤が挙げられる。フィルム形成剤をコーティングシロップに添加してもよく、その例としてメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はそれらの組み合わせ等が挙げられる結合剤は、チューインガムの中心の最初のコーティングとして添加してもよく、コーティングシロップに直接添加してもよい。本発明により企図される結合剤として、アラビアゴム、タルハガム、ゼラチン、植物ガム等が挙げられる。コーティングシロップに添加する場合、結合剤を通常約0.5〜10質量%の量で添加する。
【0138】
本発明はさらに、本発明の送達システムを含有する菓子組成物が包含される。菓子組成物として、例えば、ミントなどの圧縮タブレット、ハードボイルドキャンディ、チョコレート、チョコレート含有製品、栄養バー、ヌガー、ゲル、センターフィル糖菓、フォンダン、パンニング製品、接触可能なフィルム、及び一般的に容認される菓子組成物の定義に入る他の組成物が挙げられる。
【0139】
ミントなどの圧縮タブレットの形態の菓子組成物は通常、細かくメッシュにかけた糖又は糖代用品、着香剤(例えば、ペパーミント風味)、アラビアゴムなどの増量剤及び任意の着色剤などを混合することによって調製される。着香剤、増量剤を合わせ、次いで必要に応じ、着色剤と共に糖又は糖代用品を徐々に添加する。
【0140】
次いで産物を所望のメッシュサイズ(例えば、12メッシュ)のメッシュに通すことによって造粒し、その後、通常約55〜60℃の温度で乾燥させる。大きなパンチを取り付けた打錠機に得られた粉体を供給し、得られるペレットを破壊して顆粒にし、その後圧縮する。
【0141】
ハイボイルドキャンディは普通、糖又は糖代用品、グルコース、水、着香剤及び任意の着色剤を含有する。糖を水に溶解させ、次いでグルコースを添加する。混合物を沸騰させる。予め着色剤を添加した調製液を、油を塗ったスラブの上に注いで冷却する。その後、冷却した塊に着香剤を添加して混練する。次いで、得られた混合物を、当該技術分野において知られているドロップローラアセンブリに供給して、最終的に硬いキャンディ形状に形成する。
【0142】
ヌガー組成物は、通常、ハイボイルドキャンディとフラッペの2種類の主成分を含む。一例として、卵アルブミン又はその代用品を水と混合して泡立て、軽い泡を形成させる。糖及びグルコースを水に添加し、通常約130〜140℃の温度で沸騰させて、得られる煮沸産物を混合機に注いで、クリーム状になるまで撹拌する。
【0143】
撹拌したアルブミン及び着香剤をクリーム状の産物と混合し、その混合物をその後充分に混合する。
【0144】
菓子組成物の調製に関してのさらなる詳細は、Skuse’s Complete Confectioner(第13版)(1957)第41−71、133−144、及び255−262頁;並びにSugar Confectionery Manufacture(第2版)(1995)、E.B.Jackson、Editor、第129−168、169−188、189−216、218−234、及び236−258頁に記載が存在し、これらの各々を本願に引用して援用する。
【0145】
別段示さない限り、本発明にかかる組成物に添加する成分の量は、組成物の総質量に対する質量%として示す。
【実施例】
【0146】
実施例1:圧縮錠剤封入方法
以下の実験により、比較的熱感受性の有効成分に対し、圧縮及び低温融合を用いて錠剤を形成する利点を立証する。
【0147】
スクラロースを粉体ポリ酢酸ビニル及び5%脂肪と混合して、110℃で押し出す。スクラロースの夥しい分解が観察される。代替の封入では、スクラロースを粉体ポリ酢酸ビニル、2%ポリビニルピロリドン及び1%ステアリン酸マグネシウムと混合し、25℃で錠剤に圧縮する。錠剤は次いで80℃に加熱することによって、ポリマーを軟化させ、ポリ酢酸ビニルをスクラロースに融合させる。変色は観察されない。その後、錠剤を冷却、粉砕、選別及び分析する。スクラロースの分解は観察されない。
【0148】
実施例2:アラビアゴム(スクラロース50%)を用いたスクラロースのスプレーコーティング
【0149】
【表1】

【0150】
Wurster法を用いて、スクラロースを封入する。20%のアラビアゴム水溶液を用いて、35℃で2時間撹拌して、コーティング溶液を調製する。通常はスプレーノズルの正面で循環流を提供する流動式空気流中に、スクラロース/セルロース及び第二リン酸カルシウムを懸濁化させるスプレーノズルによって、コーティング溶液の霧状流を115分間噴霧する。被覆された粒子は、次いで流動化チャンバーで50分間乾燥させて、乾燥条件下に35℃未満で保管する。
【0151】
実施例3:ポリ酢酸ビニルを用いた被覆されたスクラロース/アラビアゴムの封入
【0152】
【表2】

【0153】
ポリ酢酸ビニルを、押出機(一軸又は二軸)又はシグマ若しくはバンバリーミキサーなどの高剪断ミキサーにおいて、約85℃の温度で溶融する。水素化油を、溶解したポリ酢酸ビニルに添加する。次いで、得られた混合物にアラビアゴムで被覆されたスクラロースを加えて、高剪断下に混合し、成分を完全に分散させる。得られた充填ポリマー溶融物を冷却し、590μm未満の粒径に粉砕する。封入型スクラロースマトリックスを、35℃未満で低湿度の密封容器の中で保管する。
【0154】
実施例4:遊離型スクラロースを含有するチューインガム組成物
【0155】
【表3】

【0156】
チューイングガムを以下のとおりに調製する。ガム基剤をミキサーの中で溶融する。残りの成分を、溶融したガム基剤に添加する。成分と共に溶融したガム基剤を混合して、成分を完全に分散させる。得られたチューインガムを放冷する。冷却したチューインガムを選別して、約1週間調整して包装する。
【0157】
実施例5:封入型スクラロース(実施例3より、20%のスクラロースを有する)を含むチューインガム組成物
【0158】
【表4】

【0159】
チューイングガムを以下のとおりに調製する。ガム基剤をミキサーの中で溶融する。残りの成分を、溶融したガム基剤に添加する。成分と共に溶融したガム基剤を混合して、成分を完全に分散させる。得られたチューインガムを放冷する。冷却したチューインガムを選別して、約1週間調整して包装する。
【0160】
実施例6:WS−23のスプレーコーティング
【0161】
【表5】

【0162】
Wurster法を用いて、WS−23を封入する。20%のアラビアゴム水溶液を用いて、35℃で2時間撹拌して、コーティング溶液を調製する。通常はスプレーノズルの正面で循環流を提供する流動式空気流中に、WS−23/セルロース及び第二リン酸カルシウムを懸濁化させるスプレーノズルによって、コーティング溶液の霧状流を115分間噴霧する。次いで、被覆された粒子を、流動化チャンバーで50分間乾燥させて、乾燥条件下に35℃未満で保管する。
【0163】
実施例7:被覆されたWS−23の封入
【0164】
【表6】

【0165】
ポリ酢酸ビニルを、押出機(一軸又は二軸)又はシグマ若しくはバンバリーミキサーなどの高剪断ミキサーにおいて、約85℃の温度で溶融する。水素化油を、溶解したポリ酢酸ビニルに添加する。次いで、得られた混合物にアラビアゴムで被覆されたWS−23を加えて、高剪断下に混合し、成分を完全に分散させる。得られた充填ポリマー溶融物を冷却し、590μm未満の粒径に粉砕する。封入型スクラロースマトリックスを、35℃未満で低湿度の密封容器の中で保管する。
【0166】
実施例8:遊離型アスパルテーム、AceK、スクラロース及び封入型スクラロース(実施例3より、20%のスクラロースを有する)を含むチューインガム組成物
【0167】
【表7】

【0168】
チューイングガムを以下のとおりに調製する。ガム基剤をミキサーの中で溶融する。残りの成分を、溶融したガム基剤に添加する。成分と共に溶融したガム基剤を混合して、成分を完全に分散させる。得られたチューインガムを放冷する。冷却したチューインガムを選別して、約1週間調整して包装する。
【0169】
実施例9:ガム咀嚼放出解析
実施例4及び5で調製されたガムを、パネルが咀嚼して、食塊を5、10、15、20分に集めた。残存スクラロースを、咀嚼後の各食塊で分析した。平均残存スクラロース対咀嚼時間を、下記に表化して、図1に示した。
【0170】
【表8】

【0171】
本発明の数多くの修正や変更は、上記の教示の観点から可能であることは明らかである。本特許請求の範囲の範囲内で、本明細書に明確に記載されていない限り本発明を実施することが可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】遊離型又は封入型の被覆されたスクラロースを含有するチューインガムの咀嚼後の食塊中の残存スクラロースを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの封入材料と共に少なくとも1つの有効成分を含み、前記少なくとも1つの封入材料が、ASTM D570−98に従った測定に基づいて約5%以下の保水値を有する送達システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの封入材料が、約15%以下の保水値を有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの封入材料が、約50%以下の保水値を有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項4】
少なくとも約6,500psi(約44.82MPa)の引張強度を有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
少なくとも約10,000psi(約68.95MPa)の引張強度を有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
少なくとも約20,000psi(約137.9MPa)の引張強度を有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの有効成分が、前記有効成分と封入材料との混和性と比較して、前記封入材料に対する混和性が低い材料で被覆されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
少なくとも2つの有効成分を含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項9】
前記少なくとも2つの有効成分が同一である、請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
前記少なくとも2つの有効成分が異なる、請求項8に記載の送達システム。
【請求項11】
前記封入材料が、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニルフタレート、ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の送達システム。
【請求項12】
前記封入材料が、前記送達システムの全質量に対して約30〜99質量%の量で含まれる、請求項1に記載の送達システム。
【請求項13】
前記少なくとも封入材料が、前記送達システムの全質量に対して約60〜90質量%の量で含まれる、請求項1に記載の送達システム。
【請求項14】
前記有効成分が、甘味料、酸、香料、医薬品、治療剤、ビタミン、ミネラル、口中清涼剤、歯の漂白剤、歯の洗浄剤、温感剤、知覚物質、冷感剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の送達システム。
【請求項15】
前記有効成分が、少なくとも1つの甘味料であり、高甘味度甘味料である、請求項14に記載の送達システム。
【請求項16】
前記有効成分が、アミノ酸系甘味料、ジペプチド甘味料、グリチルリジン、サッカリン、サッカリン塩、アセスルフェーム塩、シクラメート、ステビオシド、タリン、ジヒドロカルコン化合物、塩化スクロース及びこれらの組み合わせからなる群から選択される甘味料である、請求項14に記載の送達システム。
【請求項17】
前記有効成分が、ネオテーム、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム及びこれらの組合せからなる群から選択された甘味料である、請求項14に記載の送達システム。
【請求項18】
請求項1に記載の少なくとも1つの送達システムを含む食用組成物。
【請求項19】
食品、医薬品、食材、栄養含有組成物、ビタミン、栄養補助食品及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の食用組成物。
【請求項20】
菓子である、請求項19に記載の食用組成物。
【請求項21】
チューインガムである、請求項19に記載の食用組成物。
【請求項22】
請求項19に記載の食用組成物を製造する方法であって、前記少なくとも1つの送達システムを前記食用組成物の少なくとも1つの他の成分と混合することを含む方法。
【請求項23】
請求項1に記載の送達システムを製造する方法であって、少なくとも1つの有効成分を前記封入材料と混合することを含む方法。
【請求項24】
食用組成物への内包に適した少なくとも1つの送達システムを調製する方法であって、前記送達システムが、少なくとも1つの有効成分と共に少なくとも1つの封入材料を含む場合において、少なくとも1つの有効成分の所望の放出プロファイルを選択することと、保水性を有する少なくとも1つの封入材料を選択することを含んでなり、それにより、それを少なくとも1つの有効成分と混合することにより、得られた前記送達システムが、前記食用組成物に内包され、前記食用組成物が消費された際に、前記少なくとも1つの有効成分の放出プロファイルが前記所望の放出プロファイルとなる方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−540690(P2008−540690A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513453(P2008−513453)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/005019
【国際公開番号】WO2006/127065
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(503267283)キャドバリー・アダムズ・ユーエスエイ・エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】