説明

飲料ディスペンサとともに使用されるカップの注入レベルの設定

飲料調製装置(1)は、出口(8)を介して出口の下方に配置されるカップ(18)に飲料を注入する手段と、使用者にカップ内への飲料(24)の所望の注入レベル(25)を選択させるユーザインタフェース(30c、30d)とを備える。インタフェースは、カップの側面に隣接してカップ側面を指し示す人間の指(5)および/または手持ち式の移動自由なポインティング器具(5’)の位置を検出する手段(30c、30d)を備える。注入手段は、指および/またはポインティング器具の検出位置から、使用者が選択した注入レベル(25)を導き出し、この導き出したレベルまでカップへの注入を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、コーヒーマシンや同様の装置などの飲料調製装置とともに使用されるカップの注入レベルの設定に関する。
【背景技術】
【0002】
ある特定の飲料調製機では、抽出または溶解される原料を収めたカプセルが使用される。他の機械の場合、原料は、機械に貯蔵されて自動的に供給されるか、または飲物の調製時に添加される。
【0003】
大部分のコーヒーマシンは、液体用、通常は水用のポンプを備えた注入手段を有しており、ポンプは、冷水源または、実際には、抵抗加熱体、サーモブロックなどの加熱手段を通して温められた水の源から液体を圧送する。
【0004】
カップやグラスなどの容器内への飲物の注入は、通常、いくつかの様々な方法で制御される。
【0005】
ある特定の方法では、注入の制御は、コントローラにいくつかの注入プログラムを記憶させ、コントローラ自体がポンプの起動時間を指令し、リレーを介してポンプを停止させることによって行われる。1つの欠点は、マシンの状態、例えば湯あかの程度に応じて実際に送給される量が大きく変わる恐れがあることである。結果的に、注入制御は、通例、流量計を使用し、流体供給回路に配置された流量計に記録されるパルス数を計数する制御装置によって行われている。しかしながら、異なる送給量の数に応じて一連の操作ボタンを設ける必要があるという点が欠点である。例えば、従来のコーヒーマシンでは、「リストレット(ristretto)」ボタンが極小カップのコーヒー(25mL)用に、「エスプレッソ(espresso)」ボタンが小カップのコーヒー(40mL)用に、「ロング(long)」ボタンが大カップコーヒー(110mL)用に必要である。マシンの使用に慣れていない使用者が混乱するという現実の恐れがあり、これによって、通常、濃厚すぎるコーヒーを送給することになったり、カップからコーヒーが溢れ出したりすることになる。別の欠点は、選択されるカプセルや飲物の種類によっては、中間の量を望む使用者に対しての柔軟性が欠如していることから生じる。流量計が精度に欠ける場合もあり、流量計の精度が表面に堆積した湯あかのせいで損なわれる場合もある。さらに別の欠点は、流量計による制御が、作られる泡の量を計算に入れないということから生じる。これにより、非常に泡の多い製造物の場合には、泡が溢れ出す恐れがある。
【0006】
別の方法は、ボタン、レバーまたは他の何らかの操作手段によって手動でポンプの起動および停止を行うことである。換言すれば、使用者だけがカップ中への飲物の流入の停止に関与する。しかしながら、この場合、いくつかの欠点が生じる。1つは、飲物の流入中に、使用者が注意を向け続けなければならないという点である。そうしなければ、システムが液体を送給し続け、したがって、溢れ出しの危険が起こりやすくなる。もう1つの欠点は、このような手動操作が不正確であるということから生じる。特に、飲物が多かれ少なかれ泡を発生させる場合には、使用者が普段所望している注入を再現することが難しくなる可能性があり、これにより、カップへの液体注入の制御において使用者が欺かれる可能性がある。
【0007】
より複雑で、実施するのにより費用がかかる別の制御の方法は、送給量を調整するようにマシンに指令を伝える、パッケージ入りの原料部分(例えば、カプセル)上のバーコードなどの認識手段から成る。同じように、このシステムは、記録されたプログラムを使用したポンプの起動と、流量計由来のデータの取得を取り扱う。
【0008】
飲料調製装置を操作して容器に自動的に飲料を注入する様々なシステムが、特許文献、例えば、オーストリア特許第410377号、独国特許第4429353号、独国特許第202006019039号、欧州特許第1305040号、欧州特許第1448084号、欧州特許第1676509号、仏国特許第2624844号、英国特許第2397510号、米国特許第4,458,735号、米国特許第4,767,632号、米国特許第5,312,020号、米国特許第5,335,705号、米国特許第5,372,061号、米国特許第5,375,508号、米国特許第5,731,981号、米国特許第5,645,230号、米国特許第5,836,236号、米国特許第5,959,869号、米国特許第6,182,555号、米国特許第6,354,341号、米国特許第6,759,072号、米国特許第2007/0157820号、国際公開第97/25634号、国際公開第99/50172号、国際公開第2004/030435号、国際公開第2004/030438号、国際公開第2006/063645号、国際公開第2006/090183号、国際公開第2007/003062号、国際公開第2007/003990号およびPCT/EP08/054858号に開示されている。
【0009】
より具体的には、米国特許第4,458,735号は、半透明の紙または発泡体からなる容器の中への「ミルクセーキ」などの飲物の送給を自動的に制御する装置に関する。容器は、光線を容器の縁に向ける放射光源の下方に置かれ、光線は、容器を通過して、容器の反対側に配置される放射光検出器によって検出される。検出器によって受信された信号は、信号値レベルと比較され、減衰した信号が信号値レベル以下まで下がると、送給が停止される。そのような装置は、入射信号が検出された後に比較されるという方法のために、特にコーヒー容器の場合には、検出精度が十分でない。さらに、この装置は、半透明の容器には不向きである。最後に、この装置は、注入位置を選択することができない。
【0010】
国際特許出願公開第97/25634号は、放射エネルギーの三角測量の概念を用いて、目標窓の中の容器などの物体の位置を検出する方法および装置に関する。このような装置は、第1のエミッタおよびレシーバの組と、第2のエミッタおよびレシーバの組とを使用し、三角測量計算を用いて容器の存在を検出する。国際公開第99/50172号は、複数の光送信器と、カップによって反射された光線の受光器と、カップの中の液体とを使用して、供給装置でカップへの注入を検出および制御する方法を開示している。
【0011】
同時係属出願のPCT/EP08/054858(出願人の名義である)は、飲料供給プロセスが開始されて所望のレベルまでカップに飲料が注入される前に、使用者が所望の注入レベルを上げ下げできる、仮想のカップ表示付きタッチスクリーンを有する飲料調製装置を開示している。
【0012】
国際公開第2006/063645(出願人の名義である)は、注入されるカップの注入レベルを選択するためのインタフェースを備えた飲料調製機を開示している。一実施形態では、カップの側面に所望の注入レベルを表示するマーキング手段が、カップの内側に変位可能な可視スポットを形成する、使用者により操作可能なレーザ光線エミッタの形で設けられている。使用者により操作可能なエミッタは、飲料が所望の注入レベルに達すると、カップに供給された飲料の存在を検出するレシーバと協力して飲料の供給を中止させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の好ましい目的は、飲料調製装置に使用される様々なサイズのカップの所望の注入レベルを選択する装置の使い勝手と直観性を向上させることである。
【0014】
本発明の詳細な目的は、使用者がカップサイズを予めプログラムする必要がなく、使用者が使用するいかなるサイズのカップにも直ちに適応可能な、様々なカップサイズ用の注入レベル選択装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は容器に飲料を注入する装置に関する。例えば、飲料装置は、コーヒーマシンやティーマシンやスープマシンであり、特に、温水、冷水または別の液体を、挽いたコーヒーなど、供給される飲料の原料が入ったカプセルに通すことによって飲料を供給する機械である。
【0016】
飲料装置は、出口を介して出口の下方に配置される容器に飲料を注入する手段と、使用者に容器内への飲料の所望の注入レベルを選択させるユーザインタフェースとを備える。インタフェースは、出口の下方の物体を検出する手段を備える。注入手段は、使用者が選択した注入レベルまで容器への注入を行うように構成されている。
【0017】
本発明によれば、検出手段は、容器の側面に隣接して側面を指し示す人間の指および/または手持ち式の移動自在なポインティング器具の位置を検出するように構成されている。注入手段は、指および/またはポインティング器具の検出位置から、使用者が選択した注入レベルを導き出し、導き出したレベルまで容器への注入を行うように構成されている。
【0018】
そのようなポインティング器具は、一般に、タッチペン、ティースプーンやコーヒースプーンなどの台所用品、または所望の注入レベルを表すカップ上の位置を指し示して、その後のカップへの注入のために飲料調製機にこの注入レベルを取得させるように、使用者により自在に操作可能な他のいかなる装置であってもよい。
【0019】
ボタン、タッチスクリーンまたはレーザポインティング装置の操作によって所望の注入レベルの情報を与える必要がなく、注入されるカップ上の所望のレベルの位置を直接指および/またはポインティング器具で指し示すことによって所望の注入レベルを示すことができることは、飲料調製機の操作の使い勝手と直観性の著しい向上を意味する。
【0020】
入力された注入レベルが不適切であることによる容器からの溢れ出しを回避するため、あるいは使用者の急な心変わりがあった場合に飲料調製機が飲料の量を選択しないようにするために、飲料装置は、容器の高さを検出するように構成された検出器を備えており、注入手段は、使用者が選択した注入レベルを表す指および/またはポインティング器具の検出位置が、検出された容器の高さより下方に配置される場合にのみ、容器への注入を行うように構成されている。追加の検出器が必要にならないように、指および/またはポインティング器具検出手段は、任意に上記高さ検出器も構成している。
【0021】
飲料装置は、飲料注入サイクルの間に注入手段の出口の下方の容器の存在を検出するように構成された検出器をさらに備えてもよい。そのような場合、注入手段は、容器が出口の下方から離されると、注入を停止するように構成することができる。任意に、指および/またはポインティング器具検出手段は、追加の検出器を避けるため、上記存在検出器も構成している。
【0022】
どの注入レベルが使用者に選択されるかを判定するため、例えば、使用者が迷っていて、指し示す指および/またはポインティング器具をカップに沿って上下に動かす場合に、検出手段は、指し示す指および/またはポインティング器具を隣接する容器から引っ込める動きを検出するように構成することが可能であり、注入手段は、指し示す指および/またはポインティング器具の引っ込み直前の位置に相当するレベルまで容器への注入を行うように構成されている。換言すれば、この実施形態では、その位置は、容器の所望の注入レベルの設定にとって決定的な引っ込み時の指し示す指および/またはポインティング器具の位置である。
【0023】
また、飲料装置は、容器への注入の進行状況を正確に監視するように、注入中の容器内の飲料レベルの検出器をさらに備えてもよい。任意に、指検出手段は、上記レベル検出器も構成している。
【0024】
飲料調製装置の直観的な操作をさらに向上させるため、ユーザインタフェースは、容器に対する指および/またはポインティング器具の位置についておよび/または容器内の飲料レベルについての使用者へのフィードバック装置を提供するように組み込まれてもよい。そのようなユーザインタフェースは、任意に画面またはタッチスクリーンを備えている。適切なフィードバック装置は、容器の内壁、好ましくは使用者が選択した注入レベルおよび飲料装置によって容器が飲料注入されるべきレベルに対応する容器内の深さ位置に、使用者の目に見える光スポットを発生させるレーザやLEDなどの手段を備えてもよい。
【0025】
さらに、飲料調製装置の直観性と使い勝手を向上させるという観点で、ユーザインタフェースは、容器のグラフィック表示と、容器内の少なくとも1つのレベルの表示とを提供するように構成することができる。少なくとも1つのレベル表示が、指し示す指および/またはポインティング器具の、上記仮想の容器の側面に沿って隣接するいかなる上下動をも追うようになってもよい。このレベル表示は、任意に、容器の表示を背景にした指および/またはポインティング器具、例えば、指し示す指を伴った手やタッチペンの表示も含んでいる。この仮想の容器内の注入中の飲料レベルを示す少なくとも1つのレベル表示が、実際の容器内への飲料の注入に従って上昇するように構成することもできる。この場合、レベル表示は、単純に、容器の表示内で上方に移動する水平線または水平バーであってもよい。
【0026】
指および/またはポインティング器具検出手段は、特に従来技術に関する上記の論考に開示された引用文献において、当業者に知られているいかなる適切な物体検出器も備えてもよい。指および/またはポインティング器具検出手段は、1台以上のカメラなどの光検出器と、任意に光エミッタとを備えてもよい。例えば、指および/またはポインティング器具検出手段は、可視光線または不可視光線を放射する一連の光エミッタと、エミッタによって放射された光線の存在(または欠如)および位置を検出する、対応する一連の受光器とを備えている。飲料調製機がポインティング器具とともに使用されることが意図されている場合には、特にポインティング器具が電磁部品またはRFIDモジュールからなっているか、あるいはそれらを備えている場合に、検出手段は、カップ近くのポインティング器具の位置を、例えば、無線周波数によって、またはより一般的には磁気的に検出するように特別に構成されてもよい。
【0027】
直観性と使い勝手をさらに向上させるため、注入手段は、選択された注入レベルが、容器への注入の間に、特に指および/またはポインティング器具検出手段を介して、またはスイッチなどの別のインタフェースを介して使用者によって変更されるように構成されてもよい。
【0028】
指および/またはポインティング器具検出手段は、使用者が選択した注入レベルを示す、指し示す指の上下方向位置を検出し、任意に、容器内に注入される飲料の温度、濃さ、混合比などの飲料の別のパラメータを示す、指し示す指および/またはポインティング器具の水平方向位置を検出するように構成することができる。指および/またはポインティング器具検出手段は、容器の外側の隣接する周辺空間における指し示す指および/またはポインティング器具の水平方向位置を検出するように構成することができる。コーヒーマシンの場合、マシンは、指し示す指および/またはポインティング器具の上下方向位置から注入レベルを取得し、容器周りの水平方向位置からコーヒーの濃さを取得してもよい。例えば、使用者が指および/またはポインティング器具でカップの左側を指せば、薄めのコーヒーが出されるのに対し、カップの右側を指せば、濃いめのコーヒーが出される。同様の方法で、使用者は、ミルクコーヒーやカプチーノのコーヒーまたはミルクの割合を選択してもよい。
【0029】
当然ながら、使い勝手を向上させるため、飲料調製装置は、飲料調製装置の適切な操作に関して使用者を導き、および/または使用者に再確認させるように関連する入力指示やフィードバックを提供して、使用者に不要なストレスや不安感を与えないようにする画面を装備してもよい。
【0030】
本発明を概略的な図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、使用者が指でカップを指し示すことによって注入レベルが選択されている、本発明に係る飲料調製装置の一部を示す。
【図2】図2は、飲料が供給されている図1の飲料調製装置を示す。
【図3】図3は、使用者がタッチペンでカップを指し示すことによって注入レベルが選択されている、本発明に係る飲料調製装置の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および図2は、挽いたコーヒー入りのカプセルからコーヒーを抽出するためのコーヒーマシンなどの、本発明に係る飲料調製装置1を示す。図1は、装置1によって供給されるある量の飲料の使用者による選択を説明しており、図2は、使用者が選択した飲料の量までカップに注入するように飲料を供給する様子を示している。
【0033】
装置1は、水タンク、ポンプ、ヒータおよび抽出室が、ポンプとヒータを経由してタンクから抽出室まで水を導く水導管を介して接続された飲料注入手段(図示せず)を有する液体循環システムを有している。抽出室は、内部で調製された飲料を出口8まで供給するように構成されており、出口8は、出口8の下方でカップ18を支持するグリッド15に覆われた滴下トレイの上方に配置されている。飲料注入手段は、ポンプとヒータの制御など、飲料調製プロセスのためのパラメータを含む装置1のさまざまなパラメータを制御するコントローラ(図示せず)をさらに備えている。
【0034】
さらに、装置1は、使用者にカップ18内への飲料の所望の注入レベル、すなわち、図1に破線25で示す注入レベルを選択させるユーザインタフェース30c、30dを有している。インタフェース30c、30dは、光線検出器30dの第2の列、例えば光検出器の列に面する、光線30’、30’’のエミッタ30cの第1の列、例えばLEDの列を備えている。エミッタ30cと検出器30dは、出口8およびカップ18の前方の両側に配置されている。
【0035】
このインタフェース30c、30dは、物体、この場合、カップ18の側面を指し示している人間の指5の上下方向位置を検出するように構成されている。注入レベル25を選択するため、使用者は、出口8の下方に配置されて列30c、30dによって画定されている、カップ18を収容している空間に指5を差し込む。エミッタ列30cは、一連の光線30’、30’’をその後に光線30’、30’’を検出する検出器列30dに向かって放射し、光線は受け取られ、かつ指し示す指5の存在によってある高さで遮られる。一連の光線30’、30’’のうち、遮られた光線30’’は、遮って指し示す指5の高さを表す。注入手段のコントローラは、ある量の飲料23、24を調製して使用者が選択した注入レベル25まで供給するように液体循環システムを制御するよう構成されている。
【0036】
装置1のコントローラは、飲料調製および供給サイクルが注入レベル25の取得とともに自動的に開始するように構成されてもよいし、飲料調製および供給サイクルを開始させる前に、使用者による確認を求めるように構成されてもよい。
【0037】
装置1は、例えば、当分野で知られているタイプの三角測量システムまたは画像認識システムによって、偏向された光線30’’’’を介して、注入されるカップ18の縁18aの高さを検出するよう構成された一対の光エミッタとカメラの組合せ30a、30bをさらに有している。あるいは、装置は、カップ18の高さを測定するためにカップ18の両側に配置された、例えば列30c、30dと同様のもう一対の列を備えてもよい。注入手段のコントローラは、遮られた光線30’’を介して検出された指のレベル25がカップ18の縁18aより下方に配置される場合にのみ、カップ18の注入プロセスを開始させるように構成されており、指検出手段は、例えば、指検出器が画像認識システム付きのカメラである場合に、任意にカップ18の高さ検出器を構成している。これにより、使用者がまちがってカップの容量を超える注入レベルを選択しても、飲料調製装置は飲料調製サイクルを開始しない。
【0038】
上述したように、指5の上下方向位置と、任意に水平方向位置とが、光エミッタおよびカメラ30a、30b(またはカメラのみ)と画像認識システムとによって測定されてもよい。
【0039】
コントローラと、カップ18上の指し示す指5の位置を測定するための検出器とは、隣接するカップ18から指5を引っ込める動きを検出するように構成されてもよい。注入手段は、指し示す指5の引込み直前の位置に相当するレベル25までカップ18への注入を行うように構成されている。そのような方法により、使用者は、コントローラによる所望の注入レベル25の取得の前に、指をカップ18に対して上下させて決心することができる。
【0040】
さらに、装置1は、例えば、上述の国際公開第2006/063645に教示されているように、カップ18内の飲料24の上昇レベルが、飲料調製サイクル中に、カップ18上で使用者の指5によって選択された注入レベル25に達する時を検出する検出器、この場合、上述の光エミッタおよびカメラ30a、30bによって構成される検出器を備えている。
【0041】
カップ18の縁18aの高さを測定する検出器30a、30bまたは指5の位置を測定する検出器30c、30dは、飲料注入サイクル中にカップ18を出口8の下方から取り出して、このサイクルを中断させるいかなる試みも検出するように使用することができる。
【0042】
装置1の使い勝手と直観的操作を向上させるため、使用者を楽にする直観的なフィードバック装置4、30aが設けられている。
【0043】
図1および図2に示すように、フィードバック装置は、使用者が選択したレベル25を示す可視光線スポットをカップ18の内側に同じレベルで形成する光線30’’’を放射する光線エミッタ30aを備えてもよい。したがって、エミッタ30aは、飲料23を供給するための所望の高さの注入レベル25が取得されるまで、指5の上下方向の動きを追い、それに応じて光線30’’’、ひいてはカップ18の内壁に結果として生じる光スポットを方向づけるように構成されてもよい。
【0044】
さらに、フィードバック装置は、注入されるカップ19のグラフィック表示と、カップ18の注入プロセス中のカップ19内の飲料レベルおよび/または注入レベル20の表示とを提供する画面、特にタッチスクリーン4をさらに備えてもよい。カップ19は、その側面が、カップ19の側面上の矢印、指し示す指または同様のグラフィック表示20aの形で、指5の対応する動きとともにカップ18の側面に沿って上下動している可能性のある、カップ18上の使用者の指5の位置を表す注入レベルの表示と関連付けされてもよい。これにより、指5の動きがスクリーン4上に表現される。仮想の注入レベル20用に同様のものが提供されてもよい。
【0045】
スクリーン4上には、カップの縁19aと、それを超えると装置1が飲料の供給を拒否する最高注入レベル20’も示されている。注入レベル20に対する仮想のカップ19の寸法、特に高さは、カップ18の縁18aおよび使用者が選択した注入レベル25に対するカップ18の寸法に対応する。
【0046】
さらに、注入サイクル中に、仮想のカップ19の表示の中に、意図した注入レベル20の表示だけでなく、カップ18への飲料供給23の進行状況およびカップ18内の飲料24の上昇レベルに一致して仮想のカップ19に供給されている上昇レベル21付きの飲料22の表示も含まれてもよい。
【0047】
スクリーン4には、さらなる特徴が含まれてもよい。特に、指検出器が、飲料の量を設定するために指の高さを検出するのみならず、飲料調製の別のパラメータ、例えば、温度、濃さないしは強さ(strangth)、濃度(concentration)などを設定するためにカップ周りの指の水平方向位置を検出するように構成されている場合に、この別のパラメータが、フィードバックスクリーン上に、例えば横目盛りの仮想カーソルでさらに表示されてもよい。さらに、スクリーンは、例えば上述のPCT/EP08/054858に開示されているように、飲料調製や供給のプロセスなどについてのパラメータに関連する使用者からのデータ入力を受け入れることも考えられる。
【0048】
一つの変形例では、エミッタおよび受光器30a、30bが、指し示す指5の位置を、例えば自動画像認識によって検出するために使用される。上述したように、指し示す指の高さだけでなく、例えば、カップ18のおおよそ左側、正面、右側など、カップ18周りの指の水平方向位置も検出可能であってもよい。
【0049】
同じ参照番号が同じ要素を示している図3は、タッチペン5’などの移動自在なポインティング器具でカップを指し示すことによって、使用者がカップの所望の注入レベルを設定する様子を説明している。使用者は、ティースプーンやコーヒースプーンなどの別の道具を使用してもよい。
【0050】
図3に示すように、飲料調製機1の検出システムは、上述のものと同様である。しかしながら、そのようなポインティング器具または装置を検出するために、専用のシステムを、特に、上述したように磁場または無線周波数に基づいて使用することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(18)に飲料(23、24)を注入する装置(1)であって、
出口(8)を介して前記出口の下方に配置される容器に飲料を注入する手段と、
使用者に前記容器内への飲料の所望の注入レベル(25)を選択させるユーザインタフェース(30c、30d)と
を備え、
前記インタフェースが、前記出口の下方の物体(5)を検出する手段を備えており、前記注入手段が、使用者が選択した前記注入レベルまで前記容器への注入を行うように構成されている、装置(1)において、
前記検出手段が、前記容器(18)の側面に隣接して容器側面を指し示す人間の指(5)および/または手持ち式の移動自在なポインティング器具(5’)の位置を検出するように構成されており、前記注入手段が、前記指および/またはポインティング器具の検出位置から、使用者が選択した前記注入レベル(25)を導き出し、前記導き出したレベルまで前記容器への注入を行うように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記容器の高さを検出するように構成された検出器を備え、
前記注入手段は、使用者が選択した前記注入レベルを表す前記指および/またはポインティング器具の検出位置が、前記検出された前記容器の高さより下方に配置される場合にのみ、前記容器への注入を行うように構成されており、前記指および/またはポインティング器具検出手段が、任意に前記高さ検出器を構成している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記注入手段の出口の下方の前記容器の存在を検出するように構成された検出器を備え、
前記注入手段が、前記容器が前記出口の下方から離されると、注入を停止するように構成されており、前記指および/またはポインティング器具検出手段が、任意に前記存在検出器を構成している、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記検出手段が、前記指し示す指および/またはポインティング器具を隣接する前記容器から引っ込める動きを検出するように構成されており、前記注入手段が、前記指し示す指および/またはポインティング器具の引っ込み直前の位置に相当するレベルまで前記容器への注入を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
注入中の前記容器内の飲料レベルの検出器を備え、
前記指および/またはポインティング器具検出手段が、任意に前記レベル検出器を構成している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ユーザインタフェースが、前記容器に対する前記指および/またはポインティング器具の位置についておよび/または前記容器内の飲料レベルについての使用者へのフィードバックを提供するように構成されており、前記ユーザインタフェースが、任意に画面またはタッチスクリーンを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記フィードバックが、前記容器の内壁に使用者の目に見える光線スポットを形成することを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザインタフェースが、前記容器の表示と、前記容器内の少なくとも1つのレベルの表示とを提供するように構成されている、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つのレベル表示が、前記指し示す指および/またはポインティング器具の、前記容器の側面に沿って隣接するいかなる上下動をも追うようになっており、前記レベル表示が、任意に前記指および/またはポインティング器具の表示を含んでいる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記容器内の注入中の飲料レベルを示す少なくとも1つのレベル表示が、前記容器内への注入に従って上昇するように構成されている、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記指および/またはポインティング器具検出手段が、少なくとも1台のカメラなどの光検出器と、任意に光エミッタとを備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記指および/またはポインティング器具検出手段が、光線を放射する一連の光エミッタと、前記エミッタによって放射された光線を検出する対応する一連の受光器とを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記選択された注入レベルが、前記容器への注入の間に、特に前記指および/またはポインティング器具検出手段を介して使用者によって変更される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記指および/またはポインティング器具検出手段が、前記使用者が選択した注入レベルを示す前記指し示す指および/またはポインティング器具の上下方向位置を検出し、任意に、前記容器内に注入される飲料の温度、濃さ、混合比などの前記飲料の別のパラメータを示す、前記指し示す指および/またはポインティング器具の水平方向位置を検出するように構成されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記指および/またはポインティング器具検出手段が、前記容器の外側の隣接する周辺空間における前記指し示す指および/またはポインティング器具の前記水平方向位置を検出するように構成されている、請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−523477(P2011−523477A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507884(P2011−507884)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055377
【国際公開番号】WO2009/135821
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】