説明

飲料抽出装置

【課題】飲料をろ過するフィルタを清浄に保つことができ、高品質の飲料を抽出することができる飲料抽出装置を提供する。
【解決手段】下面が開放するシリンダ23と、飲料をフィルタ27aによってろ過するフィルタブロック27と、フィルタブロック27が第1高さ位置に位置するときに、フィルタ27aに沿って待機位置から抽出滓排出位置に移動することにより、フィルタ27aに摺接しながら、フィルタ27a上の抽出滓Gを掻き取り、排出するためのスクレーパ29と、を備えている。制御手段は、シリンダ23からフィルタブロック27を介して飲料が搬出された後、フィルタブロック27を第1高さ位置に位置させた状態で、スクレーパ29を待機位置から抽出滓排出位置に移動させ、その後、フィルタブロック27を第2高さ位置に下降させてから、スクレーパ29を待機位置に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーサーバーやティーサーバー、カップ式自動販売機などに内蔵され、コーヒー豆や茶葉などの原料を用いてコーヒーや茶系飲料などを抽出する飲料抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料抽出装置として、例えば、本出願人がすでに出願した特許文献1に開示されたものが知られている。この飲料抽出装置は、原料と湯を用いてコーヒーなどの飲料を抽出するものであり、上下方向に延びる円筒状に形成され、内部で飲料を抽出するためのシリンダと、このシリンダの下方に昇降自在に設けられ、シリンダ内の飲料をろ過するためのフィルタを上面に有するフィルタブロックと、このフィルタブロックの上側に前後方向に移動自在に設けられ、抽出後の原料である抽出滓を排出するためのスクレーパと、フィルタブロックおよびスクレーパをそれぞれ駆動する駆動機構などを備えている。
【0003】
この飲料抽出装置は、飲料の抽出の際に次のように動作する。まず、フィルタブロックが、シリンダの下方の待機位置から上昇し、シリンダの下面をシールする。次いで、原料および湯をシリンダに供給し、その内部で飲料を抽出する。この抽出された飲料は、フィルタブロックのフィルタでろ過されながら、フィルタブロック内を通過し、外部に搬送される。その後、フィルタブロックが下降し、待機位置に戻る。この場合、フィルタブロックのフィルタ上には、抽出滓が残留しており、これを排出するために、スクレーパが、フィルタに接した状態で、フィルタの前方の待機位置から、フィルタの後方まで移動する。これにより、フィルタ上に残留した抽出滓は、スクレーパによって後方に掻き取られ、外部に排出される。その後、スクレーパは、前方に移動し、待機位置に戻る。
【0004】
このように、従来の飲料抽出装置では、飲料の抽出後にフィルタ上に残留した抽出滓を、スクレーパによって掻き取り、排出するので、フィルタを清浄にした状態で、次回の飲料の抽出を行うことが可能である。しかし、抽出滓の掻き取りを行ったスクレーパには、微量の抽出滓や飲料が付着し、残留することがある。この場合、スクレーパが、抽出滓を掻き出し、排出した後、前方の待機位置に戻る際に、抽出滓の排出時と同様、フィルタに接するため、スクレーパに付着・残留した抽出滓などでフィルタを汚すおそれがある。このようなフィルタで飲料の抽出が行われると、飲料の品質が低下することがある。したがって、上記の飲料抽出装置には、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、飲料をろ過するフィルタを清浄に保つことができ、高品質の飲料を抽出することができる飲料抽出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】特開2007−319554号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、原料および水を用いて飲料を抽出するための飲料抽出装置であって、下面が開放し、原料および水が供給され、内部において飲料の抽出を行うための抽出容器と、上面にフィルタを有し、抽出容器の下方において、抽出容器の下面をシールするシール位置と、このシール位置よりも下位で、かつ抽出容器から所定距離、離隔した第1高さ位置と、この第1高さ位置よりも下位の第2高さ位置とに昇降自在に設けられ、シール位置に位置するときに、抽出容器内で抽出され、抽出容器から搬出される飲料が通過する際に、飲料をフィルタによってろ過する飲料ろ過部と、この飲料ろ過部を駆動する飲料ろ過部駆動手段と、飲料ろ過部の上側に、所定の待機位置と所定の抽出滓排出位置の間で移動自在に設けられ、飲料ろ過部が第1高さ位置に位置するときに、フィルタに沿って待機位置から抽出滓排出位置に移動することにより、フィルタに摺接しながら、フィルタ上に残留した抽出後の原料である抽出滓を掻き取り、排出するためのスクレーパと、このスクレーパを駆動するスクレーパ駆動手段と、飲料ろ過部駆動手段およびスクレーパ駆動手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、抽出容器から飲料ろ過部を介して飲料が搬出された後、飲料ろ過部を第1高さ位置に位置させた状態で、スクレーパを待機位置から抽出滓排出位置に移動させ、その後、飲料ろ過部を第2高さ位置に下降させてから、スクレーパを待機位置に復帰させることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、下面が開放した抽出容器の下方に、飲料ろ過部が昇降自在に設けられている。この飲料ろ過部は、上面にフィルタを有しており、抽出容器の下面をシールするシール位置と、この位置よりも下位で、かつ抽出容器から所定距離、離隔した第1高さ位置と、この位置よりも下位の第2高さ位置とに昇降自在であり、シール位置に位置するときに、抽出容器内で抽出され、その抽出容器から搬出される飲料が通過する際に、その飲料をフィルタによってろ過する。また、飲料ろ過部の上側には、抽出滓を排出するためのスクレーパが、所定の待機位置と抽出滓排出位置の間で移動自在に設けられている。
【0009】
上記の飲料ろ過部およびスクレーパはそれぞれ、飲料ろ過部駆動手段およびスクレーパ駆動手段によって駆動され、両駆動手段を制御する制御手段により、抽出容器からの飲料の搬出後、次のように制御される。まず、シール位置の飲料ろ過部を下降させ、第1高さ位置に位置させる。この場合、飲料ろ過部のフィルタ上には、抽出後の原料である抽出滓が残留する。次いで、スクレーパを待機位置から抽出滓排出位置に移動させる。これにより、スクレーパは、フィルタに沿って、これに摺接しながら、フィルタ上の抽出滓を掻き取り、排出する。その後、第1高さ位置の飲料ろ過部を、第2高さ位置に下降させてから、抽出滓排出位置のスクレーパを待機位置に復帰させる。このように、スクレーパの待機位置への復帰に先立ち、飲料ろ過部を、スクレーパがフィルタに摺接可能な第1高さ位置よりも下位の第2高さ位置に下降させるので、スクレーパと飲料ろ過部のフィルタとの間に隙間を確保することができる。それにより、抽出滓の排出時に、スクレーパに抽出滓や飲料が付着・残留している場合でも、スクレーパが待機位置に復帰する際に、フィルタに接することがなく、フィルタを清浄に保つことができる。その結果、次回の抽出時に、清浄なフィルタで飲料のろ過を行うことができ、高品質の飲料を抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による飲料抽出装置を内蔵するコーヒーサーバーを示している。このコーヒーサーバー1は、オフィスなどに設置され、利用者による押しボタン操作により、コーヒーを1杯分ずつ抽出することによって調理し、カップCに供給するものである。
【0011】
図2(a)および(b)はそれぞれ、コーヒーサーバー1の正面図および後述する右パネル5Bを取り外した状態の右側面図を示しており、図3は、コーヒーサーバー1を機能ユニットごとに分解して示している。図1〜図3に示すように、このコーヒーサーバー1は、コーヒーを抽出する抽出機ユニット2(飲料抽出装置)と、この抽出機ユニット2に原料としての粉状のコーヒー豆を供給する原料供給ユニット3と、抽出機ユニット2に湯(水)を供給する給湯ユニット4とを備えている。これらの機能ユニット2、3および4は、各々の機能ユニット2、3および4をそれぞれ支持する後述のフレーム12、31および51を介して組み付けられ、これらの周囲が、後述する複数のパネルで構成される外装ケース5によって覆われている。また、コーヒーサーバー1の前部の上半部には、コーヒーサーバー1を操作するための操作機能、およびコーヒーを吐出し供給するための吐出・供給機能を有するフロント上部ユニット6が設けられている。このフロント上部ユニット6も、上記機能ユニット2、3および4と同様、後述するフレーム77を有しており、これを介して、原料供給ユニット3に組み付けられている。さらに、コーヒーサーバー1の前部の下半部には、カップCを載置した状態でセットするためのカップセット機能、および抽出後の原料である抽出滓を収容するための抽出滓収容機能を有するフロント下部ユニット7が設けられている。
【0012】
なお、図示しないが、コーヒーサーバー1は、上記の抽出機ユニット2、原料供給ユニット3および給湯ユニット4を制御するマイクロコンピュータで構成された制御装置(制御手段)を備えており、この制御装置が給湯ユニット4の下部に配置されている。
【0013】
図2および図3に示すように、抽出機ユニット2は、平面形状がほぼ矩形状のベース11に立設されたフレーム12に取り付けられている。図4(a)は、ベース11およびフレーム12を拡大して示しており、同図(b)は、抽出機ユニット2を示している。同図(a)に示すように、ベース11およびフレーム12はいずれも、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどによって構成されている。ベース11は、左右両側および後ろ側の縁部が上方に直角に屈曲している。また、ベース11の底面の所定位置には、下方に若干突出する4つの脚部11a(図2(b)参照)が設けられている。さらに、ベース11には、フレーム12よりも前方の所定位置に、左右方向に延びるとともに、上方に若干突出する係合凸部11bが形成されている。
【0014】
一方、フレーム12は、正面形状が矩形状のフレーム本体部13と、このフレーム本体部13の下端部において直角に屈曲し、後方に延びるフレームベース部14とで、側面形状がほぼL字状に形成されている。フレーム本体部13は、左右両側および上側の縁部が後方に直角に屈曲しており、一方、フレームベース部14は、前部および後端部が適宜、屈曲し、それらがベース11に接するとともに、中央部がベース11から若干浮いた状態に配置されている。そして、フレーム12は、フレーム本体部13の下端部が左右両側からねじ止めされることによって、ベース11に取り付けられている。
【0015】
図4(b)に示すように、抽出機ユニット2は、コーヒーを抽出するためのドリップユニット21と、このドリップユニット21を駆動する駆動ユニット22で構成されており、前者21がフレーム本体部13の前面に着脱自在に取り付けられる一方、後者22がフレーム本体部13の背面に着脱自在に取り付けられている。同図(a)に示すように、フレーム本体部13の所定位置には、ドリップユニット21を取り付けるための4つの取付け孔13a、および駆動ユニット22からの動力をドリップユニット21に伝達するために、駆動ユニット22の後述する駆動ジョイントギヤ135とドリップユニット21の後述する従動ジョイントギヤ128Aとの噛み合いを許容する開口13bが形成されている。また、フレーム本体部13の上部および中央部には、後述するシリンダヘッド28およびスクレーパ29の前後方向の移動をそれぞれ許容する上部開口13cおよび中央部開口13dが形成されている。
【0016】
ここで、図5を参照して、抽出機ユニット2について簡単に説明する。ドリップユニット21は、原料および湯が供給され、内部においてコーヒーの抽出を行うためのシリンダ23(抽出容器)と、このシリンダ23を着脱自在に収容するシリンダホルダ24とで構成されている。シリンダ23は、プラスチックから成り、同図(b)に示すように、上下方向に延びるとともに、上面および下面が開放した円筒状に形成されている。また、シリンダ23の外周面には、シリンダ23をシリンダホルダ24に対して着脱する際に利用される取っ手23aおよび上下2つのガイド部23bが設けられている。
【0017】
シリンダホルダ24は、前面および上面が開放し、ほぼボックス状に形成されている。同図(a)に示すように、シリンダホルダ24の上面には、これを覆うホルダカバー25が取り付けられている。このホルダカバー25には、原料をシリンダ23に投入するための原料投入口25a、コーヒーの調理時に発生する湯気を排出するための湯気排出口25b、およびシリンダ23に湯を供給するための湯供給口25cが設けられている。また、シリンダホルダ24内には、シリンダ23を左右から挟んだ状態で保持するシリンダキャッチャ26が設けられている。さらに、シリンダホルダ24内の下部には、上面にフィルタ27aを有するとともに、下部に飲料搬送チューブDTを接続したフィルタブロック27(飲料ろ過部)が昇降自在に設けられている。このフィルタブロック27は、シリンダ23内で抽出されたコーヒーをろ過しながら、飲料搬送チューブDTを介して、ドリップユニット21の外部に搬送するものであり、コーヒーの抽出時にシリンダ23の下面をシールし、コーヒーの抽出、搬送後に、下降することによって、シリンダ23から離隔する。
【0018】
また、シリンダホルダ24の上部には、エア搬送チューブATを介してエアポンプAPに接続されたシリンダヘッド28が前後方向に移動自在に設けられている。このシリンダヘッド28は、シリンダ23の上面を開閉するとともに、シリンダ23内にエアを送り込むことによって、シリンダ23内のコーヒーを外部に圧送するものであり、原料および湯の投入時にシリンダ23の上面を開放し、コーヒーの抽出時にシリンダ24の上面をシールする。
【0019】
さらに、シリンダホルダ24の背面側には、コーヒーの抽出後にフィルタブロック27のフィルタ27a上に残留した抽出滓を掻き取り、前方に払い出すためのスクレーパ29が設けられている。このスクレーパ29は、平面形状が矩形枠状のサポート29aと、サポート29aにその前端部から垂下するように取り付けられ、正面形状が横長矩形状のゴム製のスクレーパ本体29bとで構成されている。このように構成されたスクレーパ29は、フレーム12のフレームベース部14に立設され、スクレーパ29を下方から支持するスクレーパ支持部材30と、シリンダホルダ24内の左右側面に設けられたガイドレール(図示せず)とで案内されながら、フィルタ27aの後方の待機位置と、フィルタ27aの前方の抽出滓排出位置との間で、前後方向に移動自在になっている。コーヒーの抽出、搬送後に、フィルタブロック27が下降した後、スクレーパ29が待機位置から抽出滓排出位置に移動することにより、フィルタ27a上の抽出滓が掻き取られ、前方に払い出される。
【0020】
一方、駆動ユニット22は、前記制御装置に電気的に接続されており、この制御装置によって制御されることにより、上述したフィルタブロック27、シリンダヘッド28およびスクレーパ29を駆動する。なお、駆動ユニット22の詳細な説明については後述する。
【0021】
図6は、原料供給ユニット3を示している。この原料供給ユニット3は、フレーム31に下方から支持された状態で、これに取り付けられている。このフレーム31は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどによって構成されており、平面形状が矩形状のフレーム本体部32と、このフレーム本体部32の後端上部に設けられた取付部33とで構成されている。フレーム本体部32は、前側の縁部が下方に直角に屈曲するとともに、左右両側の縁部32a、32aも下方に直角に屈曲し、その側面形状が三角形状に形成されている。また、フレーム本体部32の前部には、開口32bが形成されている。
【0022】
原料供給ユニット3は、原料を収容するキャニスタ34を有しており、このキャニスタ34内の底部には、原料を前方に送り出すための前後方向に延びるオーガ35が回転自在に設けられている。また、キャニスタ34の後方には、フレーム31の取付部33に取り付けられたオーガモータ36およびギヤボックス37が配置されており、これらによって、オーガ35が所定方向に回転駆動される。オーガモータ36は、前記制御装置に電気的に接続されており、この制御装置によって制御される。さらに、キャニスタ34の下部の前端部には、前方に開口し、オーガ35によって送り出された原料を前方に吐出する原料吐出部38が設けられている。この原料吐出部38には、原料シュート39が取り付けられており、この原料シュート39は、フレーム本体部32の開口32bを介して、フレーム本体部32の下方に延び、前記抽出機ユニット2の原料投入口25aに接続されている。
【0023】
なお、キャニスタ34の上面には、常時は閉鎖され、原料の補給時に開放される蓋34aが設けられており、また、キャニスタ34の内部には、オーガ35に係合し、その回転に伴って回転することにより、キャニスタ34内の原料を攪拌するための攪拌ギヤ34bが設けられている。
【0024】
また、上記の原料供給ユニット3を支持するフレーム31には、主にコーヒー調理時に発生する湯気を、コーヒーサーバー1自体(以下、適宜「装置本体」という)の外部に排出するための湯気排出ユニット41が取り付けられている。この湯気排出ユニット41は、湯気を右から左に送り出すファン42と、このファン42の右側に配置され、フィルタ43を保持するフィルタホルダ44と、このフィルタホルダ44に接続されるとともに、フレーム31の前記開口32bを介して、フレーム本体部32の下方に延び、前記抽出機ユニット2の湯気排出口25bに接続された吸気ダクト45などで構成されている。
【0025】
ファン42は、常時、作動しており、これにより、抽出機ユニット2によるコーヒーの調理時に発生する湯気、およびドリップユニット21の周囲の湿気が、吸気ダクト45を介して吸引される。吸引された湯気などは、フィルタ43およびファン42を順に通過し、左パネル5Aの後述する排気口62を介して、装置本体の外部に排出される。また、湯気がフィルタ43を通過する際に、その湯気に含まれる原料の微粉が、フィルタ43で捕集される。これにより、装置本体からは、清浄な湯気が排出される。
【0026】
図7は、給湯ユニット4を示している。この給湯ユニット4は、フレーム51に支持された状態で、これに取り付けられている。このフレーム51は、所定形状の複数の金属板を折曲げ加工するとともに、それらを互いに組み付けることによって、縦長ボックス状に形成されている。
【0027】
給湯ユニット4は、湯を貯留する湯タンク52と、この湯タンク52内の湯を、給湯チューブ53を介して、抽出機ユニット2に送り出す湯ポンプ54と、給湯チューブ53の途中に設けられ、電磁弁から成る湯弁55などを備えている。湯タンク52は、所定容量(例えば4リットル)を有する円筒状に形成され、貯留した水を加熱するヒータ(図示せず)を備えている。また、湯タンク52の上面には、上方に開口する水投入口52aが設けられており、この水投入口52aが、後述する上パネル5Cに開閉自在に取り付けられた蓋52bにより、常時は閉鎖され、湯タンク52への水の補給時に開放される。
【0028】
湯ポンプ54および湯弁55はいずれも、フレーム51に取り付けられ、前者54が湯タンク52の下方に、後者55が湯タンク52の前方上部に配置されている。これらの湯ポンプ54および湯弁55は、前記制御装置に電気的に接続されており、この制御装置によって制御される。
【0029】
以上のように構成された抽出機ユニット2、原料供給ユニット3および給湯ユニット4は、それぞれのフレーム12、31および51が、ねじ止めなどで互いに連結されることによって組み付けられている。具体的には、図2(b)に示すように、抽出機ユニット2のフレーム12の上側に、原料供給ユニット3のフレーム31が載置された状態で、このフレーム31の左右の縁部32a、32aが、フレーム12にねじ止めされている。また、抽出機ユニット2の後方には、給湯ユニット4が配置され、そのフレーム51の下端部が、ベース11の左右の縁部に係合するとともにねじ止めされている。さらに、原料供給ユニット3のフレーム31は、その後部の取付部33の左右両縁部が、給湯ユニット4のフレーム51の前部にねじ止めされている。以上のようにして、金属板から成るフレーム12、31および51が互いに連結されることにより、装置本体内の骨組みが構成される。そして、フレーム12、31および51を介して互いに組み付けられた抽出機ユニット2、原料供給ユニット3および給湯ユニット4の周囲が、外装ケース5によって覆われている。
【0030】
図3に示すように、外装ケース5は、複数のパネル、具体的には、装置本体の左右の側壁をそれぞれ構成する左パネル5Aおよび右パネル5Bと、装置本体の上壁を構成する上パネル5Cと、装置本体の背壁を構成する背面パネル5Dとを有している。なお、フロント上部ユニット6の後述する前上パネル5Eも、外装ケース5の一部を構成する。
【0031】
左パネル5Aおよび右パネル5Bは、左右対称の所定形状に形成されたプラスチック成形品であり、いずれも中央部が外方に凸に若干、湾曲している。また、両パネル5A、5Bの下部にはいずれも、ベース11の底面の脚部11a、11aに対応する位置に、外方に突出する前後2つの凸部61、61が形成されている。また、左パネル5Aの上部には、多数の細孔を有する排気口62が設けられている。この排気口62は、前記湯気排出ユニット41のファン42に対向しかつ近接している。また、左パネル5Aの排気口62の周囲には、これを囲った状態で右方に突出するリブ62aが設けられており、このリブ62aとファン42の周囲に設けられたファンカバー42aとにより、排気口62とファン42の間に通路が画成される。したがって、ファン42によって送り出される湯気などが、上記通路を通り、排気口62から、装置本体の左方に排出される。また、左パネル5Aおよび右パネル5Bの上端部はいずれも、外方に凸に湾曲しており、その湾曲部分から連なる最上端部に、各パネル5A、5Bに沿って前後方向に延びるとともに、上方に突出する係合凸部63、63が設けられている。そして、これらの係合凸部63、63が、上パネル5Cの左右の縁部の内側に係合した状態で、左右パネル5A、5Bが上パネル5Cに連結されている。
【0032】
上パネル5Cは、前後方向に延びるとともに、縁部が外周全体にわたって下方に直角に屈曲する所定形状に形成されており、前半部に前蓋65が、後半部に前記湯タンク52の蓋52bが、いずれも後端部を支点として回動自在に設けられている。前蓋65は、常時は閉鎖され、前記原料供給ユニット3のキャニスタ34に原料を補充する際に開放される。なお、上パネル5Cの前蓋65の下側には、平面形状がL字状のカバー66が設けられており、このカバー66によって、給湯ユニット4の湯弁55や湯気排出ユニット41などが上方から覆われている。したがって、前蓋65を開放したときには、キャニスタ34の蓋34aのみが外部に露出する。また、背面パネル5Dは、正面形状が縦長矩形状の金属板で構成されている。
【0033】
図8および図9は、フロント上部ユニット6を示している。前述したように、このフロント上部ユニット6は、外装ケース5の一部を構成する前上パネル5Eを有している。この前上パネル5Eは、前方に凸に大きく湾曲し、側面形状が「く」の字状に形成されるとともに、下部に、前方に凸に湾曲するスカート部71が設けられている。また、前上パネル5Eの後ろ側の上端部には、上方に突出し、前記上パネル5Cの前端部に係合する左右2つの係合爪72、72が設けられている。
【0034】
前述したように、フロント上部ユニット6は、コーヒーサーバー1を操作するための操作機能を有しており、前上パネル5Eの上部に、コーヒーを吐出し、カップCに供給するために操作されるコーヒー供給ボタン73が設けられ、下部の左右に、電源ボタン74およびリンス・湯抜きボタン75が設けられている。電源ボタン74は、コーヒーサーバー1の電源をON/OFFするために操作されるボタンである。一方、リンス・湯抜きボタン75は、抽出機ユニット2のドリップユニット21に、湯タンク52から所定量の湯を供給することによって、シリンダ23などをリンスしたり、湯タンク52のすべての湯を排出することによって、湯タンク52内を空にしたりするために操作されるボタンである。なお、リンス・湯抜きボタン75は、例えば、リンスを行う際には1回押され、湯抜きを行う際には長押しされる。
【0035】
また、前述したように、フロント上部ユニット6は、コーヒーの吐出・供給機能も有しており、図9に示すように、前上パネル5Eの内側には、抽出機ユニット2から飲料搬送チューブDTを介して搬送されたコーヒーを吐出し、カップCに供給する飲料供給ノズルとして機能するディフューザ76が設けられている。このディフューザ76は、所定形状のフレーム77によって支持されている。
【0036】
フレーム77は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどによって構成されており、側面形状がL字状に形成され、ディフューザ76を支持するディフューザ支持部77aと、このディフューザ支持部77aの左右両端部から後方に直角に屈曲し、側面形状が台形状の左右屈曲部77b、77bと、これらの下端部から互いに接近するよう、左右方向に直角に屈曲する取付部77c、77cとで構成されている。そして、このフレーム77は、ディフューザ支持部77aの上端部が、前上パネル5Eの後ろ側の上端部に背面側から接した状態で、前方からねじ止めされるとともに、左右の取付部77c、77cが、前記原料供給ユニット3のフレーム本体部32に載った状態で、上方からねじ止めされる。なお、ディフューザ支持部77aの左右屈曲部77b、77b間には、開口77d(図8(b)参照)が形成されており、この開口77dを介して、飲料搬送チューブDTが、ディフューザ76に接続されている。
【0037】
ディフューザ77は、飲料搬送チューブDTを介して搬送されたコーヒーを、一時的に貯留しながら流出させ、下方に吐出し、カップCに供給するものである。このディフューザ77は、上下方向に延びる筒状のディフューザ本体部81と、その底壁81aから下方に延びるノズル部82とを有し、これらが一体のプラスチック成形品で構成されている。ディフューザ本体部81の上端部には、蓋83が取り付けられており、この蓋83に、飲料搬送チューブDTを接続する飲料流入部83aが設けられている。また、ディフューザ本体部81は、その横断面積が飲料搬送チューブDTの横断面積である通路面積よりも大きくなっている。また、ディフューザ本体部81の底壁81aは、下方に向かってテーパ状に形成され、下端部に、コーヒーを流出させるための流出口81bを有している。
【0038】
図10は、ディフューザ本体部81の内部を示している。同図に示すように、ディフューザ本体部81内の底壁81aには、平面形状が後方に開放するU字状に形成されたU字リブ84、および平面形状が前後方向に直線状に延びる直線リブ85が、立設されている。U字リブ84は、その湾曲部分で流出口81bを囲むように配置されており、また、湾曲部分にスリット84aが形成されている。一方、直線リブ85は、U字リブ85との間に隙間を空けた状態で配置されている。
【0039】
ノズル部82は、流出口81bに連なる吐出通路82a(図8、9参照)を内側に有する円筒状に形成されている。また、ノズル部82の先端部には、ノズル部82の長さ方向に沿って延びる前後2つのスリット82b、82bが形成されている。
【0040】
上記のように構成されたディフューザ76は、フレーム77によって支持されることにより、ノズル部82が、前上パネル5Eのスカート部71の底壁71aから下方に若干突出するとともに、全体として、鉛直線に対し、前下がりに傾斜するように配置されている。
【0041】
また、フロント上部ユニット6の前上パネル5Eの下側の左端部には、フロント下部ユニット7の後述する排水トレイ92が装置本体に取り付けられているか否かを検出するトレイセンサ78が取り付けられている。このトレイセンサ78は、互いに対向するとともに所定間隔を隔てて配置された発光素子および受光素子を有する光センサで構成され、前記制御装置に電気的に接続されている。そして、このトレイセンサ78により、排水トレイ92が装置本体に取り付けられていないことが検出されたときには、抽出機ユニット2への電力供給が停止される。
【0042】
以上のように構成されたフロント上部ユニット6は、前述したように、フレーム77を介して原料供給ユニット3に組み付けられる。そして、互いに組み付けられた抽出機ユニット2、原料供給ユニット3、給湯ユニット4およびフロント上部ユニット6に対し、その周囲に、前上パネル5E以外の外装ケース5、すなわち左右パネル5A、5B、上パネル5Cおよび背面パネル5Dを、次のようにして取り付ける。すなわち、まず、上パネル5Cを、図3に示すように、給湯ユニット4の上部に取り付けるとともに、前端部において、フロント上部ユニット6の係止爪72、72に係合させる。次いで、左右パネル5A、5Bを、上パネル5Cの左右縁部の内側に係合させるとともに、ベース11の左右縁部の外側に係合させた状態で、前方にスライドさせることによって、前上パネル5Eに係合させる。そして、背面パネル5Dを、給湯ユニット4のフレーム51の背面にねじ止めする。以上により、装置本体の周囲に外装ケース5が取り付けられる。
【0043】
図11は、フロント下部ユニット7を分解して示しており、(a)は前方斜め上から見たときの状態、(b)は後方斜め上から見たときの状態を示している。前述したように、このフロント下部ユニット7は、カップセット機能および抽出滓収容機能を有するものである。フロント下部ユニット7は、カップCが載置した状態でセットされるカップステージ91を有する排水トレイ92と、この排水トレイ92の下側に配置され、抽出滓を収容する滓バケツ93で構成されている。
【0044】
カップステージ91は、平面形状がほぼ楕円形の簀の子状に形成されている。また、排水トレイ92は、上方に開放するとともに、上縁部がカップステージ91の外周部に対し相補形状を有するように形成されたトレイ本体94と、このトレイ本体94の後端部から起立し、フロント上部ユニット6の前上パネル5Eの下端部まで延びる起立壁95とで構成されている。トレイ本体94の上端部には、カップステージ91が、嵌合した状態で、着脱自在に取り付けられている。
【0045】
また、トレイ本体94の背壁部94aは、前下がりに傾斜しており、背壁部94aの左右端部にはそれぞれ、トレイ排水孔94b、94bが形成されている。これにより、トレイ本体94内に溜まった液体、例えば、カップステージ91上で誤ってこぼされた飲料やディフューザ76から後だれした飲料による液体の液面が、トレイ排水孔94b、94bに達すると、それらを介して、トレイ排水孔94bを超えた分の液体が流出し、滓バケツ93に排出される。
【0046】
さらに、背壁部94aの背面の中央部には、後方に突出し、抽出機ユニット2から払い出された抽出滓、および滓バケツ93に収容され、堆積した抽出滓を左右方向に案内するための滓案内部96が設けられている。この滓案内部96は、図11(b)に示すように、背壁部94a側の面をひし形の底面とする角錐状に形成されている。また、起立壁95の背面の左上端部には、後方に突出し、フロント上部ユニット6のトレイセンサ78によって検出される被検出片95aが設けられている。
【0047】
滓バケツ93は、上面が開放し、所定容量(例えば2リットル)を有するボックス状に形成されている。具体的には、この滓バケツ93は、前後方向に延び、その前半部(以下「バケツ前半部97」という)が、前方に凸に湾曲するU字状の平面形状を有している。また、滓バケツ93の後半部(以下「バケツ後半部98」という)は、バケツ前半部97に連なるコ字状の平面形状を有している。滓バケツ93は、図2および図12に示すように、バケツ前半部97が装置本体から前方に突出し、バケツ後半部98が抽出機ユニット2のドリップユニット21の下方に位置した状態で、装置本体に着脱自在に取り付けられている。
【0048】
バケツ前半部97は、その上端部が、排水トレイ92の下端周縁部に対し相補形状を有するように形成されており、このバケツ前半部97の上端部に、排水トレイ92が嵌合した状態で、着脱自在に取り付けられている。また、バケツ前半部97の底壁には、バケツ排水孔97aが設けられている。このバケツ排水孔97aは、通常、着脱自在のキャップ99によってシールされている。
【0049】
一方、バケツ後半部98は、底壁の所定位置に、左右方向に延び、下方に開放する係合凹部98aが設けられている。この係合凹部98aは、滓バケツ93が装置本体に適正に取り付けられた際に、ベース11の係合凸部11bに嵌合した状態で係合する。
【0050】
ここで、図12を参照して、フロント下部ユニット7による抽出滓の収容について説明する。前述したように、抽出機ユニット2におけるコーヒーの抽出、搬送後、フィルタブロック27(フィルタ27a)上の抽出滓が、スクレーパ29によって掻き取られ、前方に払い出される。この場合、抽出滓は、抽出機ユニット2のドリップユニット21と、排水トレイ92の背面、具体的にはトレイ本体94の背壁部94aとの間に構成される滓排出通路100を通って落下し、滓バケツ93に収容される。上記の滓排出通路100を構成するトレイ本体94の背壁部94aは、前下がりに傾斜しているため、フィルタブロック27上から前方に払い出された抽出滓は、図12の矢印Eに示すように、放物線を描きながら滓排出通路100を通過し、前後方向に拡がった状態で、滓バケツ93内に落下する。またこの場合、滓排出通路100の通過中に、滓案内部96に当たった抽出滓は、この滓案内部96によって左右両側に案内される。
【0051】
また、コーヒーの供給(抽出)に伴い、抽出滓の払出しが繰り返し実行されると、滓バケツ93内に抽出滓が堆積し、その抽出滓が滓排出通路100に達する。この場合、堆積した抽出滓の上部が、前下がりに傾斜したトレイ本体94の背壁部94aや、滓案内部96に当接することにより、抽出滓が崩れ、前後方向や左右方向に拡がる。
【0052】
以上のように構成されたフロント下部ユニット7において、排水トレイ92に溜まった液体や、滓バケツ93に溜まった抽出滓を廃棄する場合には、滓バケツ93および排水トレイ92を一括して前方に引出し、装置本体から取り外す。そして、排水トレイ92および滓バケツ93を分離して、液体および抽出滓を廃棄する。なお、排水トレイ92および滓バケツ93を装置本体に取り付ける場合には、前者92を後者93の上に載せた状態で、前方から装置本体に押し入れる。
【0053】
また、このコーヒーサーバー1では、抽出機ユニット2のドリップユニット21を、簡単にメンテナンスすることが可能である。図13は、装置本体から排水トレイ92を取り外した状態を示している。同図に示すように、排水トレイ92を取り外すことにより、装置本体の前方からドリップユニット21に簡単にアクセスすることが可能になる。この場合、ドリップユニット21やシリンダ23を装置本体から取り外し、外部でメンテナンスを行ったり、装置本体の内部において直接、メンテナンスを行ったりする。
【0054】
後者の場合には、滓バケツ93を装置本体に取り付けたままの状態で、清掃などのメンテナンスを行うことにより、ドリップユニット21に付着していた原料や湯、抽出滓などを滓バケツ93で受けることができる。またこの場合には、排水トレイ92が装置本体から取り外されていることが、前記トレイセンサ78で検出され、その検出結果に基づき、抽出機ユニット2への電力供給が停止される。したがって、上記のメンテナンスを行う場合、抽出機ユニット2に電力が供給されないので、抽出機ユニット2が誤作動することがなく、それにより、ドリップユニット21のメンテナンスを安全に行うことができる。
【0055】
次に、図14〜図18を参照して、抽出機ユニット2をさらに詳細に説明する。図14(a)および(b)はそれぞれ、ドリップユニット21を斜め前方および斜め後方から見たときの状態を示しており、シリンダホルダ24の左右の側壁の一方の外カバーを省略して示している。同図に示すように、シリンダホルダ24は、左右の側壁101、101と、両側壁101、101の後端部間および下端部間にわたるようにそれぞれ設けられた背壁102および底壁103とを有し、前述したように、前面および上面が開放したボックス状に形成されている。また、左右の側壁101、101の前側の上端部には、両側壁101、101間を連結する前上カバー104が設けられている。なお、図示しないが、底壁103は、複数の棒状部材によって格子状に形成されている。
【0056】
各側壁101は、側面形状がほぼ矩形状に形成されるとともに、外側の側面が開放したケース状の側壁本体105と、その開放した側面を覆うように、側壁本体105にねじ止めされた外カバー106とを備えている。そして、図14に示すように、各側壁101内には、フィルタブロック27をシリンダ23の下方において昇降させるとともに、シリンダヘッド28によって、シリンダ23の上面のシールおよびその解除を行わせることによって、シリンダ23の下面および上面をそれぞれ開閉するシリンダ開閉機構111(飲料ろ過部駆動手段)が設けられている。なお、左右のシリンダ開閉機構111、111は、左右の側壁101、101内に、左右対称に構成されているので、以下の説明では、右側壁101に内蔵されたものを代表して説明するものとする。
【0057】
図14および図15に示すように、シリンダ開閉機構111は、側壁本体105内の中央付近の所定位置に突設された支軸105aに回転自在に支持され、所定形状の第1カム溝112および第2カム溝113を有するカム円板114と、側壁本体105内の下部に上下方向にスライド自在に設けられ、カム円板114の第1カム溝112に係合するとともにフィルタブロック27に連結されたスライダ115と、側壁本体105内の上部の所定位置に突設された支軸105bに回動自在に支持され、カム円板114の第2カム溝113に係合するとともにシリンダヘッド28をシリンダ23の上面に押圧した状態でロックするためのシリンダヘッドロック部材116などを備えている。
【0058】
カム円板114は、所定の直径および厚さを有する円板状に形成されており、周面全体にギヤ部114aが形成されている。また、カム円板114の側壁本体105側の側面に、前記第1カム溝112および第2カム溝113が設けられている。
【0059】
図16に示すように、第1カム溝112は、カム円板114の側面の周縁部に設けられ、カム円板114の支軸105aを中心とする円弧状にかつ反時計方向にほぼ一周するように延びる外側カム部121と、この外側カム部121に連なり、支軸105aに向かって円弧状に延びる駆動カム部122と、この駆動カム部122に連なり、支軸105aを中心とする円弧状にかつ支軸105aの付近でほぼ一周するように延びる内側カム部123とで構成されている。また、外側カム部121のうち、駆動カム部122付近の所定角度(約30度)部分(以下「近接部121a」)は、それ以外の外側カム部121(以下「遠隔部121b」という)に比べて、支軸105a寄りに形成されている。逆に言うと、外側カム部121の遠隔部121bは、近接部121aよりも、支軸105aから若干遠い位置に形成されている。
【0060】
一方、第2カム溝113は、第1カム溝112の外側カム部121よりも内側に設けられ、支軸105aを中心とする円弧状にかつ外側カム部121の先端部付近から反時計方向にほぼ3/4円弧状に延びる外側カム部124と、この外側カム部124に連なり、支軸105aに向かって延びる駆動カム部125と、この駆動カム部125に連なり、支軸105aを中心とする円弧状に延びる内側カム部126とで構成されている。
【0061】
スライダ115は、図15(b)に示すように、上下方向に延びるとともに下部が下方に向かって拡幅していて、ほぼ凸字状に形成されている。このスライダ115の上端部には、カム円板114側に突出する係合凸部115aが設けられており、この係合凸部115aが、カム円板114の第1カム溝112に摺動自在に係合している。また、スライダ115の下端部には、スライダ115と前記フィルタブロック27とを連結する2本の連結ロッド127、127が固定されている。両連結ロッド127、127は、互いに前後方向(図15では左右方向)に間隔を隔てかつ左右方向(図15では図の表裏方向)に平行に延びている。各連結ロッド127は、側壁本体105の上下方向に延びる長孔105cを貫通し、一端部が上記スライダ115に固定される一方、他端部が左側のシリンダ開閉機構111のスライダ115に固定されている。したがって、フィルタブロック27は、両連結ロッド127、127を介して、左右のスライダ115、115に支持されている。また、スライダ115の中央部には、上下方向に延びる長孔115bが形成されており、この長孔115bに、側壁本体105内の下部の所定位置に突設された係合凸部105dが摺動自在に係合している。
【0062】
以上のように構成されたスライダ115は、カム円板114の回転に伴い、側壁本体105内の上下方向に延びるガイドレール105e、105e間に案内されながら、上下方向にスライドする。これに伴い、フィルタブロック27が昇降し、シリンダ23の下面を開閉する。具体的には、図15(b)および図16に示すカム円板114が、両図の時計方向に回転し、スライダ115の係合凸部115aが、第1カム溝112の外側カム部121から内側カム部123に向かって、駆動カム部122を摺動することにより、スライダ115が上昇する。そして、スライダ115の係合凸部115aが、内側カム部123に到達することにより、フィルタブロック27がシリンダ23の下面に密着した状態で、これをシールする(図19(b)参照)。一方、その状態から、カム円板114が、反時計方向に回転し、スライダ115が下降することにより、フィルタブロック27も下降し、それにより、シリンダ23の下面が開放される(図20(a)参照)。
【0063】
また、図15(b)に示すように、シリンダヘッドロック部材116は、上下方向に延びる所定形状に形成され、その中心部が、側壁本体105内の支軸105bに回動自在に支持されている。シリンダヘッドロック部材116の下端部には、カム円板114側に突出する係合凸部116aが設けられており、この係合凸部116aが、カム円板114の前記第2カム溝113に摺動自在に係合している。また、シリンダヘッドロック部材116の上端部には、後方に突出するように延びる鉤状のロック部116bが設けられている。
【0064】
このように構成されたシリンダヘッドロック部材116は、カム円板114の回転に伴って回動し、上端部のロック部116bによって、シリンダヘッド28をシリンダ23の上面に押圧しかつロックすることにより、シリンダ23の上面をシールする。具体的には、図15(b)および図16に示すカム円板114が、両図の時計方向に回転し、シリンダヘッドロック部材116の係合凸部116aが、第2カム溝113の外側カム部124から内側カム部126に向かって、駆動カム部125を摺動することにより、シリンダヘッドロック部材116が、支軸105bを中心として、図15(b)の時計方向に回動する。そして、シリンダヘッドロック部材116のロック部116bが、シリンダヘッド28の後述するヘッドガイドロッド143に係合するとともに、これを下方に押し下げるようにロックする。それにより、シリンダヘッド28がシリンダ23の上面に密着した状態で、これをシールする(図19(c)参照)。
【0065】
以上のように構成されたシリンダ開閉機構111は、前述したように、左右の側壁101、101にそれぞれ内蔵されており、両シリンダ開閉機構111、111のカム円板114のギヤ部114aが、対応する側壁本体105内の所定位置に回転自在に設けられたギヤ128、128に噛み合っている。図14(b)に示すように、両ギヤ128、128は、左右方向に水平に延びる動力伝達シャフト129の両端部に固定されており、各ギヤ128が、対応する側壁本体105内の後端部の所定位置に設けられている。左側の側壁本体105に設けられたギヤ128(以下「従動ジョイントギヤ128A」という)は、側壁101から後方に若干、突出している。そして、ドリップユニット21と駆動ユニット22が、フレーム12(フレーム本体部13)の前面および背面に取り付けられた状態において、従動ジョイントギヤ128Aは、フレーム12の開口13bを介してフレーム本体部13の後方に臨み、駆動ユニット22側の後述する駆動ジョイントギヤ135に噛み合う。したがって、その駆動ジョイントギヤ135で駆動されることによって、従動ジョイントギヤ128Aが回転すると、これに噛み合う左側のカム円板114が回転し、動力伝達シャフト129および右側のギヤ128を介して、右側のカム円板114が左側のそれに同期して回転する。
【0066】
次に、図17および図18を参照して、駆動ユニット22について説明する。駆動ユニット22は、上述したドリップユニット21のカム円板114を駆動するカム駆動機構131(飲料ろ過部駆動手段)と、スクレーパ29およびシリンダヘッド28を駆動するスクレーパ・シリンダヘッド駆動機構132(スクレーパ駆動手段)とを備えている。
【0067】
図18に示すように、カム駆動機構131は、DCモータから成る第1モータ133と、この第1モータ133にギヤボックスを介して接続された出力ギヤ134と、この出力ギヤ134に噛み合うとともに、ドリップユニット21側の前記従動ジョイントギヤ128Aに噛み合う駆動ジョイントギヤ135とを有している。
【0068】
出力ギヤ134の付近には、カム円板114の回転角度を制御するためのモードスイッチ136が設けられている。このモードスイッチ136は、中間ギヤ137を介して出力ギヤ134に噛み合うとともに、カム円板114と同期して、等角度で回転するスイッチギヤ136aを有している。モードスイッチ136は、スイッチギヤ136aが複数の所定の回転角度においてON状態になる複数のモードを有しており、前記制御装置が、それらのモードに応じて、カム円板114の回転角度を識別する。
【0069】
一方、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構132は、DCモータから成る第2モータ137と、この第2モータ137に接続され、上下方向に延びかつ両端部が外部に突出した出力軸(図示せず)を有するギヤボックス138と、上記出力軸の上下端部にそれぞれ設けられたシリンダヘッド駆動部(図示せず)およびスクレーパ駆動部139などで構成されている。シリンダヘッド駆動部は、シリンダヘッド28に係合しており、上記出力軸の回転に伴って回転することにより、シリンダヘッド28を、待機位置(図18の実線で示す位置)と、シリンダ23を閉鎖する閉鎖位置(図18の2点鎖線で示す位置)との間で、前後方向に駆動する。一方、スクレーパ駆動部139は、スクレーパ29のサポート29aの係合溝29c(図5(b)参照)に摺動自在に係合しており、上記出力軸の回転に伴って回転することにより、スクレーパ29を待機位置(図18の実線で示す位置)と、抽出滓排出位置(図18の2点鎖線で示す位置)との間で、前後方向に駆動する。なお、上記のシリンダヘッド駆動部およびスクレーパ駆動部139はいずれも、ワンウェイクラッチを介して出力軸に連結されており、出力軸が所定方向に回転したときにシリンダヘッド駆動部のみが回転し、出力軸が上記と逆方向に回転したときにスクレーパ駆動部139のみが回転するようになっている。
【0070】
なお、詳細な説明は省略するが、駆動ユニット22にはさらに、前記エア搬送チューブATおよび飲料搬送チューブDTの途中の所定箇所を開閉するためのピンチ機構140を備えている。このピンチ機構140は、上述したカム駆動機構131の第1モータ133を共通の駆動源として駆動され、エア搬送チューブATおよび飲料搬送チューブDTの所定箇所を所定のタイミングで開閉することにより、エアポンプAPからのエアが、シリンダヘッド28またはフィルタブロック27を介して、シリンダ23に圧送される。
【0071】
ここで、シリンダヘッド28について説明する。シリンダヘッド28は、平面形状がシリンダ23の上面よりも大きい円形のヘッド本体141と、フレーム12の上部開口13cを貫通するように配置され、ヘッド本体141を前端部において支持するとともに、後端部において前記シリンダヘッド駆動部に係合し、前後方向に移動自在に設けられたスライダ142を備えている。ヘッド本体141の底面の所定位置には、前記エア搬送チューブATを介して搬送されたエアを下方に送り出すためのエア供給口(図示せず)が設けられている。また、ヘッド本体141の上端部には、ヘッド本体141の外径よりも長く、左右方向に延びるヘッドガイドロッド143が設けられている。このヘッドガイドロッド143は、シリンダホルダ24の左右の側壁101、101の上端部に、前後方向に摺動自在に係合している。
【0072】
さらに、ヘッド本体141の前半上部には、前記ホルダカバー25の原料投入口25aからの原料、および湯供給口25cからの湯を、シリンダ23に案内する原料・湯案内部材144が取り付けられている。この原料・湯案内部材144は、ヘッド本体141の前方に設けられた補助原料シュート145と、この補助原料シュート145の左方に設けられた湯案内受け部146とで一体に構成されている。補助原料シュート145は、上下方向に延びる筒状に形成されており、シリンダヘッド28が待機位置に位置するときに、ホルダカバー25の原料投入口25aとシリンダ23の間に位置し、原料投入口25aから投入された原料を、さらにシリンダ23に案内する。一方、湯案内受け部146は、上面が開放するケース状に形成されており、シリンダヘッド28が待機位置に位置するときに、ホルダカバー25の湯供給口25cから供給された湯を、さらにシリンダ23に案内するとともに、湯供給口25cから後だれする湯を受けることで、その湯でシリンダヘッド28が濡れるのを防止する。なお、湯案内受け部146の底壁の前端部には、上下方向に貫通し、下方に若干突出する補助給湯ノズル146aが設けられており、湯供給口25cから湯案内受け部146に流入した湯は、補助給湯ノズル146aから吐出し、シリンダ23に供給される。
【0073】
次に、以上のように構成された抽出機ユニット2におけるコーヒーの調理動作について、その一連の動作を順に示す図19および図20を参照しながら説明する。なお、これらの図は、上段にカム円板114の回転動作を中心に示し、下段にフィルタブロック27、シリンダヘッド28およびスクレーパ29の動作を中心に示している。
【0074】
図19(a)は、待機状態を示している。この待機状態では、カム円板114、フィルタブロック27、シリンダヘッド28およびスクレーパ29が、それぞれの待機位置に位置するとともに、シリンダ23の上面および下面がいずれも開放されている。この待機状態から、カム駆動機構131の第1モータ133が所定方向に回転することにより、カム円板114が、図19において時計方向に所定角度(例えば約120度)、回転する。それにより、同図(b)に示すように、カム円板114の第1カム溝112に係合するスライダ115が上昇し、それに伴い、フィルタブロック27も上昇し、シリンダ23の下面に当接した状態でこれをシールする(シール位置)。
【0075】
次いで、この状態において、原料供給ユニット3および給湯ユニット4からそれぞれ、所定量の原料および湯が、シリンダ23に供給される。具体的には、原料供給ユニット3から供給された原料は、ホルダカバー25の原料投入口25aおよびシリンダヘッド28の補助原料シュート145を介して、シリンダ23に供給される。一方、給湯ユニット4から供給された湯は、ホルダカバー25の湯供給口25cおよびシリンダヘッド28の補助給湯ノズル146aを介して、シリンダ23に供給される。
【0076】
原料および湯の供給後、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構132の第2モータ137が所定方向に回転し、待機位置のシリンダヘッド28が前方に移動することにより、ヘッド本体141がシリンダ23の真上に到達する。その後、カム駆動機構131の第1モータ133が再度回転し、それにより、カム円板114がさらに回転する。そして、図19(c)に示すように、カム円板114が待機位置から約240度回転することにより、カム円板114の第2カム溝113に係合するシリンダヘッドロック部材116が、同図において時計方向に若干回動し、そのロック部116bによって、ヘッドガイドロッド143を押し下げた状態でロックする。これにより、シリンダヘッド28のヘッド本体141は、シリンダ23の上面に当接した状態でこれをシールする。
【0077】
次いで、エアポンプAPが所定時間(例えば数秒)、作動し、エアが、エア搬送チューブATを介してシリンダヘッド28に圧送され、さらに、ヘッド本体141のエア供給口を介してシリンダ23に供給される。それにより、シリンダ23内が加圧され、抽出されたコーヒーが、フィルタブロック27、飲料搬送チューブDTおよびディフューザ76を順に通って、カップステージ91にセットされたカップCに供給される。
【0078】
以上のようにして、コーヒーがカップCに供給された後、カム駆動機構131の第1モータ133が上記と逆方向に回転することにより、カム円板114も逆方向に回転し、元の待機位置に戻る。これにより、図20(a)に示すように、フィルタブロック27が下降し、待機位置に戻る(第1高さ位置)。この場合、フィルタブロック27のフィルタ27a上には、抽出滓Gが残留する。またこの場合、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構132の第2モータ137が、上記と同じ方向に回転し、シリンダヘッド28も待機位置に戻る。
【0079】
次いで、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構132の第2モータ137が、上記と逆方向に回転することにより、スクレーパ駆動部139が180度回転する。これにより、図20(b)に示すように、スクレーパ29が待機位置から前方の抽出滓排出位置に移動する。この場合、スクレーパ本体29bの下端が、フィルタブロック27のフィルタ27aに摺接しながら、フィルタ27a上の抽出滓Gを掻き取り、前方に排出する。
【0080】
次いで、カム駆動機構131の第1モータ133が再度回転し、それにより、待機位置のカム円板114が、図20において反時計方向に所定角度(例えば約40度)、回転する。それにより、同図(c)に示すように、スライダ115の係合凸部115aが、第1カム溝112の外側カム部121の近接部121aから遠隔部121bに移動することで、スライダ115が若干、下降する。それに伴い、フィルタブロック27は、待機位置よりも若干、下降する(第2高さ位置)。つまり、フィルタブロック27のフィルタ27aが、スクレーパ29のスクレーパ本体29bの下端よりも下降する。
【0081】
このように、フィルタブロック27が待機位置よりも下降した後、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構132の第2モータ137が、上記と同じ方向に回転することにより、スクレーパ駆動部139が、さらに180度回転する。これにより、図20(c)の2点鎖線で示すように、スクレーパ29が抽出滓排出位置から待機位置に戻る。その後、カム駆動機構131の第1モータ133が、上記と逆方向に回転することにより、カム円板114も逆方向に回転し、元の待機位置に戻る。
【0082】
以上により、抽出機ユニット2によるコーヒー抽出の一連の動作が終了する。
【0083】
次に、コーヒーサーバー1の湯タンク52における湯抜き処理について、その一連の動作を順に示す図21および図22を参照しながら説明する。この湯抜き処理は、例えば、湯タンク52内の湯を入れ替えしたり、コーヒーサーバー1の設置場所を変更する際に、コーヒーサーバー1を軽量化したりするために行われるものであり、リンス・湯抜きボタン75を操作することによって、湯タンク52内のすべての湯を、抽出機ユニット2を経由して、滓バケツ93に自動的に排出する。
【0084】
図21(a)は、待機状態を示しており、フィルタブロック27およびシリンダヘッド28が、それぞれの待機位置に位置している。リンス・湯抜きボタン75が操作されると、フィルタブロック27が上昇し、同図(b)に示すように、シリンダ23の下面をシールする。次いで、この状態において、給湯ユニット4の湯ポンプ54が作動するとともに、湯弁55が開放し、湯タンク52内の湯を、給湯チューブ53を介して抽出機ユニット2に供給する。これにより、同図(c)に示すように、前述したコーヒーの調理時と同様、シリンダ23に湯が供給される。
【0085】
湯タンク52内の湯量がシリンダ23の容積よりも多い場合には、図22(a)に示すように、供給された湯が、シリンダ23の上側から溢れ出し、シリンダ23およびフィルタブロック27の外面を伝って流れ落ちる。そして、この流れ落ちた湯が、下方の滓バケツ93に収容される。またこの場合、リンス・湯抜きボタン75の1回の操作による湯タンク52からの湯の供給は、湯弁55の開放時間が設定されることなどにより、湯量が滓バケツ93の容積よりも少なくなるように制御される。これにより、湯抜き処理時の湯が、滓バケツ93から溢れ出ることを確実に防止することができる。なお、リンス・湯抜きボタン75の1回の操作で、湯タンク52内のすべての湯が排出されない場合には、リンス・湯抜きボタン75を再度、操作することにより、湯タンク52内のすべての湯を排出することが可能である。
【0086】
湯タンク52からの湯の排出が終了した後、フィルタブロック27が下降し、図22(b)に示すように、待機位置に戻る。これにより、シリンダ23内の湯が、下方に流れ落ち、滓バケツ93に収容される。
【0087】
そして、滓バケツ93に溜まった湯を廃棄する場合には、前述した抽出滓の廃棄と同様、滓バケツ93を装置本体から取り外して廃棄し、その後、図22(c)に示すように、滓バケツ93を装置本体に再度、装着する。
【0088】
なお、以上の湯抜き処理を行う際に、滓バケツ93のバケツ排水孔97a(図11および12参照)に、ホースなどの一端部を接続するとともに、他端部を外部の大型バケツなどに入れ、さらに、バケツ排水孔97aからキャップ99を取り外した状態で行ってもよい。この場合には、途中で滓バケツ93を取り外すことなく、湯抜き処理を連続して行うことができる。
【0089】
以上詳述したように、本実施形態によれば、スクレーパ29による抽出滓の排出時に、待機位置に位置するフィルタブロック27に対し、スクレーパ29を待機位置から前方の抽出滓排出位置に移動させる。これにより、スクレーパ29のスクレーパ本体29bは、フィルタブロック27のフィルタ27aに沿って、これに摺接しながら、フィルタ27a上の抽出滓を掻き取り、排出する。その後、待機位置のフィルタブロック27を、若干下降させてから、抽出滓排出位置のスクレーパ29を待機位置に復帰させる。このように、スクレーパ29の待機位置への復帰に先立ち、フィルタブロック27を待機位置よりも下降させることにより、スクレーパ本体29bとフィルタ27aとの間に隙間を確保することができる。それにより、抽出滓の排出時に、スクレーパ本体29bに抽出滓やコーヒーが付着・残留している場合でも、スクレーパ29が待機位置に復帰する際に、フィルタ27aに接することがなく、フィルタ27aを清浄に保つことができる。その結果、次回の抽出時に、清浄なフィルタ27aでコーヒーのろ過を行うことができ、高品質の飲料を抽出することができる。
【0090】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。実施形態では、コーヒーを抽出によって調理した場合について例示したが、コーヒー以外の飲料、例えば茶系飲料を、抽出によって調理するティーサーバーや、カップ式自動販売機などに、本発明を適用することも、もちろん可能である。
【0091】
また、実施形態で示したコーヒーサーバー1や抽出機ユニット2の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態による飲料抽出装置を内蔵するコーヒーサーバーを示す斜視図である。
【図2】図1のコーヒーサーバーを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右パネルを取り外した状態の右側面図である。
【図3】図1のコーヒーサーバーを機能ユニットごとに分解して示す斜視図である。
【図4】(a)は、ベース、および抽出機ユニットを支持するフレーム、(b)は、抽出機ユニットを示す斜視図である。
【図5】抽出機ユニットを説明するための図であり(a)は、シリンダヘッドカバーをドリップユニットから取り外した状態、(b)は、シリンダを取り外したドリップユニット、およびスクレーパを示す斜視図である。
【図6】原料供給ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のb−b線に沿って切断した断面図である。
【図7】給湯ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図8】フロント上部ユニットを示す図であり、(a)は斜め上方から見たときの状態、(b)は斜め下方から見たときの状態を示す。
【図9】フロント上部ユニットを示す図であり、(a)は右側面図、(b)は断面図である。
【図10】ディフューザの内部構造を示す図であり(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図11】フロント下部ユニットを分解して示す斜視図であり、(a)は前方斜め上から見たときの状態、(b)は後方斜め上から見たときの状態を示す。
【図12】装置本体に取り付けられたフロント下部ユニットの断面を、その周囲とともに示す図である。
【図13】装置本体から排水トレイを取り外した状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図14】シリンダホルダの左右の側壁の一方の外カバーを省略したドリップユニットを示す斜視図であり、(a)は前方から見たときの状態、(b)は後方から見たときの状態を示す。
【図15】シリンダホルダの右側壁の内部構造を示す側面図であり、(a)は外カバーを省略した状態、(b)は(a)のカム円板のカム溝を表示した状態を示す。
【図16】カム溝を表示したカム円板を拡大して示す図である。
【図17】フレームに支持された抽出機ユニットにおいて、ドリップユニットを省略した状態を示す斜視図である。
【図18】駆動ユニットを示す左側面図である。
【図19】コーヒー調理時における抽出機ユニットの動作を順に説明するための説明図であり、(a)は待機状態、(b)はシリンダへの原料および湯の供給状態、(c)はシリンダヘッドがシリンダの上面をシールした状態を示す。
【図20】図19に続く説明図であり、(a)は抽出終了後にフィルタブロックおよびシリンダヘッドが待機位置に戻った状態、(b)はスクレーパによって抽出滓を払い出した状態、(c)はフィルタブロックが待機位置よりも下降した状態を示す。
【図21】湯タンクの湯抜き処理時における抽出機ユニットの動作を順に説明するための説明図である。
【図22】図21に続く説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1 コーヒーサーバー
2 抽出機ユニット(飲料抽出装置)
3 原料供給ユニット
4 給湯ユニット
21 ドリップユニット
22 駆動ユニット
23 シリンダ(抽出容器)
27 フィルタブロック(飲料ろ過部)
27a フィルタ
29 スクレーパ
29b スクレーパ本体
111 シリンダ開閉機構(飲料ろ過部駆動手段)
131 カム駆動機構(飲料ろ過部駆動手段)
132 スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構(スクレーパ駆動手段)
C カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料および水を用いて飲料を抽出するための飲料抽出装置であって、
下面が開放し、原料および水が供給され、内部において飲料の抽出を行うための抽出容器と、
上面にフィルタを有し、前記抽出容器の下方において、当該抽出容器の下面をシールするシール位置と、このシール位置よりも下位で、かつ前記抽出容器から所定距離、離隔した第1高さ位置と、この第1高さ位置よりも下位の第2高さ位置とに昇降自在に設けられ、前記シール位置に位置するときに、前記抽出容器内で抽出され、当該抽出容器から搬出される飲料が通過する際に、当該飲料を前記フィルタによってろ過する飲料ろ過部と、
この飲料ろ過部を駆動する飲料ろ過部駆動手段と、
前記飲料ろ過部の上側に、所定の待機位置と所定の抽出滓排出位置の間で移動自在に設けられ、前記飲料ろ過部が前記第1高さ位置に位置するときに、前記フィルタに沿って前記待機位置から前記抽出滓排出位置に移動することにより、前記フィルタに摺接しながら、当該フィルタ上に残留した抽出後の原料である抽出滓を掻き取り、排出するためのスクレーパと、
このスクレーパを駆動するスクレーパ駆動手段と、
前記飲料ろ過部駆動手段および前記スクレーパ駆動手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記抽出容器から前記飲料ろ過部を介して飲料が搬出された後、前記飲料ろ過部を前記第1高さ位置に位置させた状態で、前記スクレーパを前記待機位置から前記抽出滓排出位置に移動させ、その後、前記飲料ろ過部を前記第2高さ位置に下降させてから、前記スクレーパを前記待機位置に復帰させることを特徴とする飲料抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−69187(P2010−69187A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242055(P2008−242055)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】