説明

飲料用容器の蓋材、その蓋材を用いた飲料用容器

【課題】飲料用容器の蓋材の構成材料からアルミニウム箔などの金属を使用せず、飲料用容器の内容物の保存性に優れ、ストロー等の突刺適正を有する飲料用容器の蓋材、その蓋材を用いた飲料用容器を提供することを目的とする。
【解決手段】飲料用容器の上端開口部を密封し、ストローで突刺し可能な飲料用容器の蓋材において、前記飲料用容器の蓋材は、フィルム基材層、絵柄インキ層、遮光インキ層、接着層、熱可塑性樹脂層の積層構成からなり、前記フィルム基材層がポリエステルを主たるポリマー成分とし、前記飲料用容器の蓋材の全光線透過率が1%以上、25%以下であり、食品衛生法強度試験法で測定した前記飲料用容器の蓋材の突刺強度が3N以上、10N以下であり、JIS‐Z1707で測定した前記熱可塑性樹脂層と前記飲料用容器とのシール接着強度が、5N/15mm以上、15N/15mm以下であることを特徴とする飲料用容器の蓋材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器の蓋材に関し、更に詳しくは、蓋材の構成材料からアルミニウム箔などの金属を除いた、樹脂を主とする材料で構成した、ストロー突刺し適性を有する飲料用容器蓋材、その蓋材を用いた飲料用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジュース、コーヒー飲料、乳成分配合飲料等のような飲料物を充填した容器としては、プラスチック製の容器に充填された状態で販売される形態が知られている。この場合、プラスチック製の容器の口にはシート状の蓋材が、蓋材の最内層とプラスチック製の容器のフランジとをヒートシールによって接着されてなり、その蓋材によりプラスチック製の容器の口が密封されている。また更に、本蓋材の上に、デザイン性、包材強度の強化を目的としてプラスチック製の被せ蓋が装着されている場合が多く、飲用の際には、被せ蓋を装着したままで、被せ蓋に設けられたストロー孔から蓋材にストロー等を突き刺すことによって中身を飲むことが多い。そのため、蓋材には、ストロー等での突刺しによって、蓋材を貫通する、いわゆる蓋材の突刺性が要求される。
【0003】
蓋材としては、例えば特許文献1に記載されているように、樹脂フィルム又は紙の単体又は複合体より成る基材、アルミ箔、熱封緘層より成る積層体で、樹脂フィルム基材にのみストロー突刺し用貫通切れ目を設け、ストロー等の突刺適性を改善することを目的としている。
【0004】
しかしながら、アルミ箔含む構成であるために、プラスチック容器を蓋材の被着体とする場合は、廃棄の際には、プラスチック容器と蓋材との分別が必要である。また、樹脂フィルム基材に貫通切れ目を入れているために、樹脂フィルム基材への印刷適性、ラミネート適性が不足する。さらに貫通切れ目以外の領域ではストロー等の突刺適性が得られないため、被せ蓋を用いる流通形態では、被せ蓋を一旦取り外してから所定の切れ目部にストローを挿入することが必要である。
【0005】
また蓋材としては、例えば特許文献2に記載の蓋材のように、延伸プラスチックフィルムを表基材として、アルミ箔、シーラント樹脂層を積層しているものが一般的である。
【0006】
しかしながら、本蓋材の延伸プラスチックフィルムは、厚み12μm以下の二軸延伸ポリエステルフィルムを使用するとの記述があり、本発明の範囲では、実用に十分な突刺適性を得ることは難しい。また、アルミ箔を積層していることから、容器使用後の廃棄の際に、容器と蓋材とを分別廃棄することが必要である一方、上述のような被せ蓋を装着した容器では分別作業が煩雑となり、分別廃棄がなされない場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−180557号公報
【特許文献2】特開2008−80769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、飲料用容器の蓋材の樹脂フィルム基材に一般的にポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする、二軸延伸フィルム、もしくはアルミ箔、これらを貼り合わせた基材を用いることが一般的である。
【0009】
しかしながら、二軸延伸PETフィルムは薄いフィルムであっても、延伸配向による結晶化によって強靭な強度を示すことから、本用途におけるストロー等の突刺適性に劣る。 また、アルミ箔単層基材であればストロー等の突刺適性は良好である一方で、輸送適性や落下耐性等の物性強度を付与する為には20μm以上の厚みを必要とする為、ストロー等の突刺適性の改善効果も十分ではなく、コストや環境側面においても適正ではない。さらに、容器使用後の廃棄の際に、容器と蓋材との分別作業が必要となり、印刷基材としての適性も乏しい。
【0010】
ストロー等の突刺適性の優れたフィルムとしては一般的にセロハンが知られている。しかし、セロハンは吸湿性を有するため、季節により諸物性が変動するので、飲料用容器の蓋材のフィルムとして使用した場合、充填物の一定の品質を維持することは困難である。
【0011】
その他、一軸配向のポリエステルフィルム(特公昭55−8551号公報)やジエチレングリコール成分等を共重合したポリエチレンテレフタレートフィルム(特公昭56−50692号公報)、低分子量ポリエステル配合フィルム(特公昭56-50692)等が提案されている。
しかしながら、上記の一軸配向のポリエステルフィルムにおいては、その配向方向へは直線的に容易に切れるが、配向方向以外には切れ難いという問題があり、また、ジエチレングリコール成分や低分子量ポリエステル配合フィルムにおいては、ポリエチレンテレフタレート本来の特性が損なわれ、製膜適性、加工適性、衝撃耐性に不足が生じ、実用できるものではなかった。
【0012】
そこで本発明は、飲料用容器の蓋材の構成材料からアルミニウム箔などの金属を使用せず、飲料用容器の内容物の保存性に優れ、ストロー等の突刺適性を有する飲料用容器の蓋材、その蓋材を用いた飲料用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、飲料用容器の上端開口部を密封し、ストローで突刺し可能な飲料用容器の蓋材において、前記飲料用容器の蓋材は、フィルム基材層、絵柄インキ層、遮光インキ層、接着層、熱可塑性樹脂層の積層構成からなり、前記フィルム基材層がポリエステルを主たるポリマー成分とし、前記飲料用容器の蓋材の全光線透過率が1%以上、25%以下であり、食品衛生法強度試験法で測定した前記飲料用容器の蓋材の突刺強度が3N以上、10N以下であり、JIS‐Z1707で測定した前記熱可塑性樹脂層と前記飲料用容器とのシール接着強度が、5N/15mm以上、15N/15mm以下であることを特徴とする飲料用容器の蓋材である。
【0014】
また、前記接着層がエポキシ樹脂からなるガスバリア性接着層であることを特徴とする蓋材である。また、前記容器の内容物が、冷温流通を必要とする乳成分配合飲料であることを特徴とする飲料用容器である。さらに、前記飲料用容器の蓋材上に被せ蓋を有することを特徴とする飲料用容器である。
【発明の効果】
【0015】
この発明にかかる飲料用容器の蓋材を用いると、アルミニウム箔などの金属を使用しないことで、プラスチック製の容器と蓋材とを分別することなく廃棄可能であり、アルミニウム箔などの金属を使用しなくても、飲料用容器の内容物の保存性に優れ、ストロー突刺適性を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明にかかる飲料用容器の蓋材の断面図
【図2】この発明にかかる別の飲料用容器の蓋材の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を詳細に説明する。本発明の飲料用容器の蓋材6は、図1に示すように、フィルム基材層1、遮光インキ層2、接着層3、熱可塑性樹脂層4の順に積層されている。
【0018】
上記のフィルム基材層1は、飲料用容器の蓋材6の最外層になり、この発明にかかる飲料用容器の蓋材6として使用する場合に、製品の内容を表示して購買者に訴える役割を有するため、印刷適正およびラミネート適性を損なわずに、ストロー突刺適性が良好な樹脂が好ましい。
【0019】
この樹脂としては、融点の異なる少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層が積層されてなるフィルムにおいて、最外層を共に融点の高い層とし、中間層である低融点のポリエステル層の分子配向がないことを特徴とするフィルムを用いることができる。
【0020】
融点の高い側のポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、あるいはそれらの構成成分を主成分とする共重合体等が挙げられる。好ましくはテレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるアルコール成分とするポリエステルである。
【0021】
また、融点の低い方のポリエステル樹脂としては、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−ネオペンチルグリコール共重合体等のテレフタル酸およびエチレングリコールを主成分とし、他の酸成分および/または他のグリコール成分を共重合成分として含有するポリエステルが好ましい。他の酸成分としては、脂肪族の二塩基酸(例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸)や芳香族の二塩基酸(例えば、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、5−第3ブチルイソフタル酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸)が用いられる。グリコール成分としては、脂肪族ジオール(例えば、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール)または芳香族ジオール(例えば、キシリレングリコール、ビス(4−β−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体)が用いられる。
融点の高い側のポリエステル樹脂は、融点の低い方のポリエステル樹脂と比べて、10℃以上、好ましくは20℃以上高い融点を有するポリエステルであれば特に限定されるものではない。
融点の異なる少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層を積層し、延伸後のヒートセット温度をその2つの融点の中間値とすることにより、低融点層の配向由来の強度が消失することにより、ストロー等の突刺適性を付与することができる。
【0022】
フィルム基材層1の厚さは、9μm以上25μm以下が好ましい。9μm以下では、フィルム基材1の物性強度が低下してしまう。また、25μm以上では、ストロー等の突刺適性が悪くなる。
【0023】
フィルム基材層1の片面に、図示はしてないが、絵柄を施した絵柄インキ層を設けることができる。絵柄インキ層はフィルム基材層1と遮光インキ層2との層間、もしくはフィルム基材層1の最表面に設けることができ、グラビアインキ、オフセットインキ、フレキソインキを用い、それぞれのインキの印刷方式により設けることができる。
【0024】
上記の遮光インキ層2は、フィルム基材層1の最内層面側に設けられており、飲料用容器の内容物の保護する目的で、外部からの光等を遮断することができる。
遮光インキ層2のインキは、着色剤、ビヒクルおよび補助剤等からなる。遮光インキ層2の着色剤は、染料あるいは顔料が用いられる。顔料とは、白色または有色の無機化合物および有機化合物でビヒクル中に微細分散されて使用されるものである。
顔料の具体例として、黒顔料、紅顔料、白顔料、またはこれらの顔料を混合して使用することができる。
【0025】
ビヒクルは、樹脂・溶剤から構成されており、その役割は、被印刷物へ着色剤を均一に転移させ、固着されることである。
【0026】
補助剤は、遮光インキ層2の目的を外れない範囲で、例えば、顔料と樹脂の濡れ性を向上させるための分散剤または、樹脂等の光・熱による劣化を防ぐ酸化防止剤、紫外線吸収剤等がある。
遮光インキ層2は多層構成でもよく、例えば、黒顔料と紅顔料とを混合したセピアインキ層に、白顔料を使用した白インキ層を積層することができる。
また、遮光インキ層2で使用したインキとフィルム基材層1との密着改善の為、インキの樹脂系としてはウレタン/塩ビ・酢酸ビニル共重合樹脂系統を用いることが望ましい。
【0027】
上記の接着層3は、NH基またはNH2 基を有するポリウレタン樹脂を主剤とし、硬化剤としてポリイソシアネート化合物またはそれらの変性体を用いた二液型ウレタン系接着剤を使用することができる。主剤中の活性水素基(例えば、NH基、NH2 基またはOH基)に対する硬化剤中のNCO基の比が1〜20の範囲となるように両者を混合することによって良好な接着性を発揮する。また、接着剤を調製する際、必要に応じ反応促進のために前記のようなウレタン化触媒、その他シランカップリング剤や老化防止剤などの添加剤を適量配合することもできる。
【0028】
また、接着層3は、バリア性接着層4に置き換えてもよい。(図2参照。)バリア性接着層4は、上記の遮光インキ層2で用いられるインキの臭気が、内容物にうつるのを防ぐ役割がある。バリア性接着層4の具体例としては、主剤(A剤)と硬化剤(B剤)からなる二つの液剤を混合した二液混合エポキシ系接着剤を使用することができる。主剤はエポキシ樹脂、硬化剤はポリアミド樹脂やポリチオール樹脂等が主に使用することができる。
【0029】
接着層3またはバリア性接着層4は、ノンソルベントラミネーション法を用いて、フィルム基材層1の遮光インキ層2を設けた面と後述する熱可塑性樹脂層4とを貼り合わせられるのが好ましい。
ノンソルベントラミネーション法では有機溶媒を使用しない為、貼り合わせ後の残留溶媒が、容器の内容物に移行することなく、良好な風味を保つことが出来る。
【0030】
上記の熱可塑性樹脂層4は、ヒートシールが可能な樹脂層であり、この樹脂としては、例えば、ポリプロピレン製飲料用容器とのイージーピール性を有するポリエチレン、ポリプロピレンをポリマーアロイ化したポリオレフィンが挙げられる。特に内容物が乳飲料の場合は、乳等省令による溶出物の規制適合の為、その樹脂成分としてポリスチレン(PS)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)は好ましくない。
【0031】
この樹脂層は単層または多層からなり、それらの層間、あるいは最内層の凝集破壊、容器界面において剥離し、蓋材を容器から開封するものである。
【0032】
熱可塑性樹脂層4と飲料用容器とのシール接着強度は、5N/15mm以上15N/15mm以下である必要がある。
【0033】
シール接着強度が5N/15mm以上にすることで、シール接着強度を確保でき、流通時の落下等の衝撃に耐えられる。また、特にコーヒー飲料や発酵乳については、充填後に二酸化炭素が発生することによる加圧状態になるので、これに耐える密封性を確保することが出来る。
【0034】
シール接着強度を15N/15mm以下にすることで、容器から本飲料用容器の蓋材を容易に剥離することが出来、飲用時に容器のフランジに口をつけて直接飲用すること、または廃棄の際に、容器から本飲料用容器の蓋材を容易に分離することを可能としている。 15N/15mm以上のシール接着強度である場合は、飲料用容器の蓋材の破断、およびフィルム基材層1と遮光インキ層2との剥離事故が発生し、容器から本飲料用容器の蓋材を剥離することが出来ない。
【0035】
本発明の飲料用容器の蓋材は、全光線透過率が1%以上25%以下である必要がある。全光線透過度は、JIS K−7105を用いて測定した。具体的には、自然光に近い光源を用い、全波長で積算した透過率を示している。遮光インキ層2の他、絵柄インキ層を積層する場合は、飲料用容器の蓋材内で、透過率の異なる領域が発生する可能性があるので、飲料用容器の蓋材の全面の透過率の平均値とする。
【0036】
全光線透過率が1%以下であると、遮光インキ層2のインキの積層厚み、または遮光インキ層2に含まれる顔料の含有率が高まり、遮光インキ層2の凝集力、フィルム基材層1への密着性が損なわれる為、フィルム基材層1と遮光インキ層2との層間のラミネート強度を確保することができなくなってしまう。これに対し、少量で遮光性の高い特殊顔料を用いる場合は、臭気、衛生面の問題により、内容物の風味や安全性に影響を与える恐れがある。
【0037】
全光線透過率が25%以上であると、容器の充填物である飲料に含まれるビタミン類、乳脂肪分、色素等の光により変質・分解される成分が保持できず、品質を保つことが出来ない。
【0038】
また、本発明の飲料用容器の蓋材は、突刺強度が3N以上10N以下であることが必要である。突刺強度とは、食品衛生法 強度試験法を用いて測定している。具体的には、0.5mmR半球針を使用し、突刺し速度50mm/minでフィルム基材層1側から突刺した場合の強度ピーク値を示している。
【0039】
突刺強度が3N以上にすることで、容器の落下等の流通耐性を付与することが可能である。
【0040】
突刺強度が10N以下にすることで、ストローを蓋材に容易に突刺すことが可能であり、特に3N以上、5N以下であることが望ましい。
【0041】
乳飲料を充填したプラスチック製の容器に、本発明の飲料用容器の蓋材をヒートシールで接着した後に、本発明の飲料用容器の蓋材上に被せ蓋を設けることが好ましい。
被せ蓋を設けることで、容器口元の変形を低減し、容器を落とした際の衝撃耐性を向上させることができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によりこの発明をさらに詳細に説明する。それぞれの素材として以下のものを使用した。
・フィルム基材層:PETフィルム(東洋紡績(株)製 ティアファイン TF110 14μm)
・遮光インキ層:セピアインキ層(東洋インキ製造社製;ファインスター92黒および東洋インキ製造社製;ファインスター16紅を混合したもの)に白色インキ層(サカタインクス社製;ベルカラー115D白)を積層したもの
・接着層:二液混合ウレタン系接着剤(東洋モートン(株) ADN369)
・バリア性接着層:二液混合エポキシ系接着剤(三菱化学ガス(株) マクシーブ)
・熱可塑性樹脂層:ポリエチレンをベースにした樹脂層上に、ポリエチレン、ポリプロピレンをポリマーアロイ化した樹脂を積層したもの(ジェイフィルム(株)製 VMX−XB16C 30μm)
・絵柄インキ層:ファインスター23/16オレンジ(東洋インキ製造社製)、ファインスター23/3黄(東洋インキ製造社製)、;ファインスター23/3ベージュ(東洋インキ製造社製)を使用。
【0043】
遮光インキ層および絵柄インキ層は、各インキをそれぞれ溶剤で希釈し、ザーンカップ3番で20秒の粘度とし、特に遮光インキに関しては版深35μmの網グラビア版にて上記フィルム基材層上の製品配置部前面に形成した。次にフィルム基材層の遮光インキ層および絵柄インキ層を設けた面に、ノンソルベントラミネーション法を用いて熱可塑性樹脂層を積層した。このノンソルベントラミネーション法で塗布した接着層の塗布量は1.7g/mである。次に38度で2日間のエージングをして、本発明の飲料用容器の蓋材が作製された。
【0044】
また、接着層をガスバリア接着層に置き換えることができる。
【0045】
全光線透過率、突刺強度、シール接着強度、流通環境、被せ蓋の有無をまとめたのを表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の実施例4から実施例7は、本発明の比較例である。
〔評価方法〕
プラスチック製の容器に内容物である乳飲料を充填し、本発明の飲料用容器の蓋材を160℃で1秒間ヒートシールを行った。その後、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0048】
(1)保存性:充填品を冷温環境で2週間保存後、異臭がない場合:○
(2)突刺適性:ストローで突刺しが可能である場合:○
(3)開封性::本発明の飲料用容器の蓋材を容器から剥離した際、本発明の飲料用容器の蓋材のシーラント層と容器との間で完全に剥離可能である場合:○
【0049】
【表2】

【符号の説明】
【0050】
1 フィルム基材層
2 遮光インキ層
3 接着層
4 熱可塑性樹脂層
5 バリア性接着層
6 飲料用容器の蓋材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用容器の上端開口部を密封し、ストローで突刺し可能な飲料用容器の蓋材において、前記飲料用容器の蓋材は、フィルム基材層、絵柄インキ層、遮光インキ層、接着層、熱可塑性樹脂層の積層構成からなり、前記フィルム基材層がポリエステルを主たるポリマー成分とし、前記飲料用容器の蓋材の全光線透過率が1%以上、25%以下であり、食品衛生法強度試験法で測定した前記飲料用容器の蓋材の突刺強度が3N以上、10N以下であり、JIS‐Z1707で測定した前記熱可塑性樹脂層と前記飲料用容器とのシール接着強度が、5N/15mm以上、15N/15mm以下であることを特徴とする飲料用容器の蓋材。
【請求項2】
前記接着層がエポキシ樹脂からなるガスバリア性接着層であることを特徴とする請求項1記載の飲料用容器の蓋材。
【請求項3】
前記容器の内容物が、冷温流通を必要とする乳成分配合飲料であることを特徴とする請求項1または2記載の飲料用容器。
【請求項4】
前記飲料用容器の蓋材上に被せ蓋を有することを特徴とする請求項1または3記載の飲料用容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−30843(P2012−30843A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171996(P2010−171996)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】