説明

飲料製造装置

【課題】コンパクトで低コストの飲料製造装置を提供する。
【解決手段】筐体2の内部に、貯蔵している粉末原料を飲料調整の都度供給する粉末原料キャニスタ7と、粉末原料キャニスタ7から供給される粉末原料に高温の湯を添加する湯タンク11と、アイス飲料調製時に粉末原料に添加する冷水を冷却する冷凍サイクル装置21と、粉末原料と高温の湯または冷水を受け入れて飲料を調製するミキシングボウル9とを備え、飲料原料から飲料を製造する飲料製造装置において、ミキシングボウル9と冷凍サイクル装置21に設けられている放熱ファン部24との間に湯気排出管路26、27を設け、ミキシングボウル9に供給された高温の湯で発生する湯気を湯気排出管路26、27を介して放熱ファン部24で吸引し、筐体2の外部に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料原料からコーヒーやココア等の飲料を製造して提供する飲料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からカップ式自動販売機等の飲料原料から飲料を製造して提供する飲料製造装置が知られている。
例えば、特許文献1には、コーヒーやココア等の粉末原料キャニスタ、湯タンク、ミキシングボウル、カップ供給装置、カップ載置台、冷却水槽等から構成されるカップ式自動販売機が開示されている。このカップ式自動販売機の機械室には、圧縮機、凝縮器、放熱ファンが備えられ、冷却水槽の冷却水に浸漬されている冷却器(冷媒蒸発パイプ)と冷媒配管で接続されて冷凍サイクル装置を構成している。そして、冷媒が冷却器で蒸発する際に発生する蒸発熱でアイスバンク(氷塊)を形成し、該アイスバンクの溶解熱で冷却水を略0℃に冷却している。この略0℃に冷却されている冷却水には、アイス飲料調製に使用するシロップや冷水の冷却パイプ、また炭酸水を製造するカーボネータが浸漬されて冷やされている。
【0003】
かかる構成で、飲料製造販売命令が与えられると、粉末原料キャニスタからコーヒーやココア等の粉末原料が、湯タンクから高温の湯が、そしてアイス飲料選択時には冷却水槽の冷却水に浸漬されている冷却パイプから冷水が、それぞれミキシングボウルへと供給され、これらが混合されて粉末原料が湯、あるいは冷水に溶解した飲料となり、予めカップ供給装置から供給されてカップ載置台に載置されているカップへと注がれ、カップ式自動販売機の利用者にカップ飲料が引き渡される。
【0004】
また、特許文献2の飲料製造装置には、粉末原料であるレギュラーコーヒー用のコーヒー挽き豆を貯蔵し、レギュラーコーヒーの製造命令に応じてコーヒー挽き豆を供給する挽き豆キャニスタ、該コーヒー挽き豆と湯タンクから供給される高温の湯を混合した混合液からコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア(コーヒー液抽出装置)が備えられている。
【0005】
さらに、砂糖入りのレギュラーコーヒーおよびインスタントコーヒーの製造命令に応じて貯蔵している砂糖を供給する砂糖キャニスタ、インスタントコーヒーの製造命令に応じて貯蔵しているインスタントコーヒー粉末原料を供給するインスタントコーヒーキャニスタ、クリーム入りのレギュラーコーヒーおよびインスタントコーヒーの製造命令に応じて貯蔵しているクリーム粉末原料を供給するクリームキャニスタや、砂糖、インスタントコーヒー粉末原料およびクリーム粉末原料やレギュラーコーヒー液、湯タンクから供給される高温の湯を受け入れ、製造命令に応じた飲料を混合するミキシングボウル、カップを供給するカップ供給装置、カップ供給装置から供給されたカップを載置させるカップ載置台等が備えられている。
【0006】
かかる構成で、砂糖、クリーム入りのレギュラーコーヒーの飲料製造販売命令が与えられると、挽き豆キャニスタからコーヒーブリュアにコーヒー挽き豆が供給される。これと同時に、湯タンクから高温の湯がコーヒーブリュアに供給され、コーヒーブリュア内で混合されたコーヒー挽き豆と高温の湯との混合液からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液と、砂糖キャニスタから供給された砂糖、クリームキャニスタから供給されたクリーム粉末原料がミキシングボウル内で混合され、砂糖、クリーム入りのレギュラーコーヒーが製造されてカップ載置台に載置されているカップに注がれ、利用者にカップ飲料が引き渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−166061号公報(図1)
【特許文献2】特開平11−66422号公報(図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようにして、挽き豆キャニスタからコーヒーブリュアに供給されたコーヒー挽き豆に湯タンクから高温の湯が供給される。また、粉末原料キャニスタからミキシングボウルに供給された粉末原料に湯タンクから高温の湯が供給されると、コーヒーブリュアやミキシングボウルのケース内に湯気が発生する。
【0009】
この湯気をそのまま放置しておくとケース内に充満し、その湿気によって粉末原料をケースの内壁へ堆積固化させる。また、コーヒーブリュアやミキシングボウルから立ち上った湯気は各キャニスタの原料吐出口に粉末原料を堆積固化させる。このような湯気による粉末原料の堆積固化は衛生上好ましくなく、また、これを排除するために頻繁かつ念入りな洗浄作業が必要となる。さらに、コーヒーブリュアやミキシングボウルから立ち上った湯気が筐体内部にこもると、各機器に悪影響を与える虞がある。
【0010】
そのため、飲料製造と同時に排気ファンを回転させ、高温の湯が供給されたコーヒーブリュアやミキシングボウルで発生する湯気を湯気排出管路から筐体外部へと排出し、コーヒーブリュアやミキシングボウルのケース内壁への粉末原料の堆積固化や、各キャニスタの原料吐出口に粉末原料が堆積固化することを防止するようにしている。
【0011】
しかしながら、コーヒーブリュアやミキシングボウルで発生する湯気を筐体外部へと排出するためには飲料製造装置内にファンモータや排気ファンを設ける必要があるため、飲料製造装置を大型化し、材料コストを高くさせるという問題があった。
【0012】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、コンパクトで低コストの飲料製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る飲料製造装置は、筐体内部に、貯蔵している飲料原料を飲料調整の都度供給する原料キャニスタと、前記原料キャニスタから供給される前記飲料原料に湯を添加する湯タンクと、アイス飲料調製時に前記飲料原料に添加する冷水を冷却する冷凍サイクル装置と、前記飲料原料と前記湯または前記冷水を受け入れて飲料を調製する飲料調製手段とを備え、飲料原料から飲料を製造する飲料製造装置において、
前記飲料調整手段と前記冷凍サイクル装置に設けられている放熱ファン部との間に湯気排出管路を設け、前記飲料調整手段に供給された湯で発生する湯気を前記湯気排出管路を介して前記放熱ファン部で吸引し、前記筐体外部に排出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る飲料製造装置は、上述した請求項1において、前記飲料調製手段は、コーヒー挽き豆と前記湯から飲料を抽出するコーヒーブリュア、および/または、粉末原料と前記湯または前記冷水を混合して飲料を調整するミキシングボウルであり、
前記湯気排出管路は、前記コーヒーブリュアと前記放熱ファン部との間に接続された第1湯気排出管路、および/または、前記ミキシングボウルと前記放熱ファン部との間に接続された第2湯気排出管路と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る飲料製造装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記第1湯気排出管路には第1管路規制部を、前記第2湯気排出管路には第2管路規制部を、設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、筐体内部に、貯蔵している飲料原料を飲料調整の都度供給する原料キャニスタと、前記原料キャニスタから供給される前記飲料原料に湯を添加する湯タンクと、アイス飲料調製時に前記飲料原料に添加する冷水を冷却する冷凍サイクル装置と、前記飲料原料と前記湯または前記冷水を受け入れて飲料を調製する飲料調製手段とを備え、飲料原料から飲料を製造する飲料製造装置において、前記飲料調整手段と前記冷凍サイクル装置に設けられている放熱ファン部との間に湯気排出管路を設け、前記飲料調整手段に供給された湯で発生する湯気を前記湯気排出管路を介して前記放熱ファン部で吸引し、前記筐体外部に排出することにより、コーヒーブリュアやミキシングボウルで発生した湯気がコーヒーブリュアやミキシングボウルのケース内に充満し、その湿気によって粉末原料をケースの内壁へ堆積固化させることや、コーヒーブリュアやミキシングボウルから立ち上った湯気がコーヒー豆キャニスタや粉末原料キャニスタの原料吐出口に粉末原料を堆積固化させることを防止することができる。また、コーヒーブリュアやミキシングボウルで発生する湯気を筐体の外部へと排出するための専用のファンモータや排気ファンを設ける必要がなくなるので、コンパクトで低コストの飲料製造装置を提供することが可能となる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、前記飲料調製手段は、コーヒー挽き豆と前記湯から飲料を抽出するコーヒーブリュア、および/または、粉末原料と前記湯または前記冷水を混合して飲料を調整するミキシングボウルであり、前記湯気排出管路は、前記コーヒーブリュアと前記放熱ファン部との間に接続された第1湯気排出管路、および/または、前記ミキシングボウルと前記放熱ファン部との間に接続された第2湯気排出管路と、からなることにより、コーヒーブリュアやミキシングボウルで発生した湯気がコーヒーブリュアやミキシングボウルのケース内に充満し、その湿気によって粉末原料をケースの内壁へ堆積固化させることや、コーヒーブリュアやミキシングボウルから立ち上った湯気がコーヒー豆キャニスタや粉末原料キャニスタの原料吐出口に粉末原料を堆積固化させることを防止することができ、コーヒーブリュアやミキシングボウルで発生する湯気を筐体の外部へと排出するための専用のファンモータや排気ファンを設ける必要がなくなるので、コンパクトで低コストの飲料製造装置を提供することが可能となる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、前記第1湯気排出管路には第1管路規制部を、前記第2湯気排出管路には第2管路規制部を、設けたことにより、コーヒーブリュアでコーヒー液を抽出する場合には、第2管路規制部で第2湯気排出管路を閉塞し、放熱ファン部で発生する吸引力を第1湯気排出管路のみに作用させてコーヒーブリュアで発生する湯気を効率良く筐体の外部に排出することができる。
【0019】
また、ミキシングボウルで混合して飲料を調製する場合には、第1管路規制部で第1湯気排出管路を閉塞し、放熱ファン部で発生する吸引力を第2湯気排出管路のみに作用させてミキシングボウルで発生する湯気を効率良く筐体の外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る飲料製造装置の一例としてのカップ式自動販売機の前扉を開いた正面概要図
【図2】図1に示した飲料製造装置の湯気排出管路を示す概要図
【図3】図1に示した飲料製造装置の制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る飲料製造装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る飲料製造装置の一例としてのカップ式自動販売機の前扉を開いた正面概要図である。ここで例示するカップ式自動販売機1は、前面が開放される筐体2と、筐体2の前面の一端に蝶番で取り付けられる前扉3とを備え、前扉3の外表面には、図示しない、貨幣を投入するための貨幣投入口、投入した貨幣を返却するための貨幣返却レバー、貨幣を返却するための貨幣返却口、飲料を選択するための飲料選択ボタン97(図3参照)等が設けられている。
【0022】
筐体2の内部には、飲料原料としての焙煎されたコーヒー豆を貯蔵しているコーヒー豆キャニスタ(原料キャニスタ)4、コーヒー豆キャニスタ4から供給されたコーヒー豆を粉砕刃で所定の粒度に粉砕して粉末状のコーヒー豆(以下「コーヒー挽き豆」という)とするミル5、ミル5から供給されたコーヒー挽き豆と湯タンク11から供給された高温の湯との混合液をペーパーフィルタで濾過してコーヒー成分を含むコーヒー液(飲料)を抽出するコーヒーブリュア(飲料調製手段)6、コーヒーブリュア6で抽出されたコーヒー液に粉末原料キャニスタ7から供給された砂糖やクリームの粉末原料を混合してコーヒー飲料とするミキシングボウル8、粉末原料キャニスタ7から供給されたココアやインスタントコーヒーの粉末原料に湯タンク11から供給された高温の湯や冷却水槽12で冷却された冷水を混合してココア飲料やインスタントコーヒー飲料とするミキシングボウル9、ミキシングボウル8やミキシングボウル9で混合された飲料が注ぎ入れられるカップを載置するカップ載置台10、冷凍サイクル装置21(図2参照)の冷却器(冷媒蒸発パイプ)の周囲に形成したアイスバンクの溶解熱で略0℃に冷却した冷却水を貯留してアイス飲料調製に使用するシロップや冷水の冷却パイプ、また炭酸水を製造するカーボネータを浸漬して冷却する冷却水槽12、コーヒー滓やペーパーフィルタが廃棄される滓バケツ13、アイス飲料を販売するときに使用するチップ氷を製造して貯蔵しているオーガ式製氷機14等が備えられている。
【0023】
また、前扉3には、飲料販売の都度、収容しているカップを供給してカップ載置台10に載置するカップ供給装置15、販売扉を開いて調製されたカップ飲料を取り出す販売口16等が取り付けられている。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る飲料製造装置の一例としてのカップ式自動販売機の湯気排出管路を示す概要図である。筐体2の内部には、ミル5から供給されたコーヒー挽き豆と湯タンク11から供給された高温の湯との混合液をペーパーフィルタで濾過してコーヒー成分を含むコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア6、コーヒーブリュア6で抽出されたコーヒー液に粉末原料キャニスタ7から供給された砂糖やクリームの粉末原料を混合してコーヒー飲料とするミキシングボウル8、粉末原料キャニスタ7から供給されたココアやインスタントコーヒーの粉末原料に湯タンク11から供給された高温の湯や冷却水槽12で冷却された冷水を混合してココア飲料やインスタントコーヒー飲料とするミキシングボウル9が備えられている。
【0025】
また、筐体2を筐体仕切板2aで仕切られた機械室20には、圧縮機22、凝縮器23、放熱ファン部24が備えられ、冷却水槽12の冷却水に浸漬されている冷却器(冷媒蒸発パイプ)と冷媒配管(図示せず)で接続されて構成される冷凍サイクル装置21が配設されている。放熱ファン部24は、ファン24aと、ファン24aを回転させるファンモータ24bを有している。
【0026】
このファン24aとファンモータ24bを囲繞しているカバー24cの天板開口には湯気吸引部28が配設され、湯気吸引部28には粉塵フィルター(図示せず)が内設されており、コーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9から湯気とともに吸引された粉末原料が筐体2の外部に排出されることを防止するようにしている。ファンモータ24bは、制御装置90の通電部95(図3参照)からの通電により回転駆動されてファン24aを回転させる。
【0027】
さらに、コーヒーブリュア6の湯気排出部6aに接続された湯気排出管路25、および、ミキシングボウル8、9の湯気排出部8a、9aに接続された湯気排出管路26が、湯気吸引部28に接続されている湯気排出管路27に集合接続されている(湯気排出管路25と湯気排出管路27で第1湯気排出管路を構成し、湯気排出管路26と湯気排出管路27で第2湯気排出管路を構成する)。
【0028】
また、湯気排出管路25には湯気排出管路25を閉塞する湯気通流規制部(第1管路規制部、例えば、電磁弁やモーター弁)29を設け、湯気排出管路26には湯気排出管路26を閉塞する湯気通流規制部(第2管路規制部、例えば、電磁弁やモーター弁)30を設けている。
【0029】
そして、コーヒーブリュア6でコーヒー挽き豆と高温の湯との混合液をペーパーフィルタで濾過してコーヒー成分を含むコーヒー液を抽出する場合や、ミキシングボウル8でコーヒー液に砂糖やクリームの粉末原料を混合してコーヒー飲料とする場合、ミキシングボウル9でココアやインスタントコーヒーの粉末原料に高温の湯を混合してココア飲料やインスタントコーヒー飲料とする場合、制御装置90が通電部95でファンモータ24bに通電することで回転するファン24aの吸引力が湯気吸引部28に湯気吸引力を発生させ、これらのコーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9で発生する湯気を湯気排出管路25や湯気排出管路26から湯気排出管路27を介して湯気吸引部28で吸引し、図中矢印で示すようにファン24aの送風力で筐体2の外部に排出する。
【0030】
また、コーヒーブリュア6でコーヒー液を抽出する場合には湯気通流規制部30で湯気排出管路26を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路25のみに作用させ、ミキシングボウル8、9で飲料を混合する場合には湯気通流規制部29で湯気排出管路25を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路26のみに作用させることにより、コーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9で発生する湯気を効率良く筐体2の外部に排出することができる。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態に係る飲料製造装置の一例としてのカップ式自動販売機1の制御ブロック図を示し、カップ式自動販売機1での飲料の製造などを制御する制御装置90は、中央処理装置としてのCPU91、CPU91の制御プログラムを格納するROM(リード・オンリー・メモリ)92、CPU91の制御に必要な各種のプログラムやデータを随時記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)93、基準クロック発生部(図示せず)で発生するクロックをカウントして各種時刻(例えば、コーヒー豆キャニスタ4や粉末原料キャニスタ7の運転時間等)を計時するタイマー94、カップ式自動販売機1に備えられている各機器に通電する電力回路を有する通電部95から構成されている。
【0032】
また、制御装置90には、カップ式自動販売機1の各種設定データを入力するキーボード96、飲料を選択するための飲料選択ボタン97や、コーヒー豆キャニスタ4、ミル5、コーヒーブリュア6、粉末原料キャニスタ7、ミキシングボウル8、9、湯タンク11、オーガ式製氷機14、圧縮機22、ファンモータ24b、湯気通流規制部29、30等が接続されている。
【0033】
以上説明したカップ式自動販売機1において、利用者が硬貨投入口に硬貨を投入し、飲料選択ボタン97、例えばホットコーヒー飲料を選択するボタンを押すと、制御装置90がホットコーヒー飲料を製造するための信号を出力する。この制御装置90が出力する信号により通電部95から通電され、先ず、コーヒー豆キャニスタ4からコーヒー豆を送り出す。コーヒー豆キャニスタ4から送り出されたコーヒー豆はミル5で粉砕されたコーヒー挽き豆となってコーヒーブリュア6に供給され、コーヒーブリュア6ではコーヒー挽き豆と湯タンク11から供給された高温の湯との混合液からコーヒー液が抽出される。
【0034】
制御装置90は、このようにしてコーヒー豆キャニスタ4から送り出したコーヒー豆をミル5で挽いたコーヒー挽き豆と湯タンク11から供給された高温の湯を飲料原料としてコーヒーブリュア6でコーヒー液を抽出するとともに、ファンモータ24bが回転駆動されていない場合には通電部95からファンモータ24bに通電して回転駆動し、ファン24aを回転させる。同時に、湯気通流規制部30で湯気排出管路26を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路25のみに作用させてコーヒーブリュア6で発生する湯気を効率良く筐体2の外部に排出する。
【0035】
次に、コーヒーブリュア6で抽出されたコーヒー液はミキシングボウル8に供給されて粉末原料キャニスタ7から供給された砂糖やクリームの粉末原料と混合されてコーヒー飲料となり、カップ供給装置15から供給されてカップ載置台10に載置されているカップに注がれてカップ式自動販売機1の利用者に引き渡される。コーヒーブリュア6からミキシングボウル8にコーヒー液が供給されると、湯気通流規制部30で湯気排出管路26を開放するとともに湯気通流規制部29で湯気排出管路25を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路26のみに作用させてミキシングボウル8で発生する湯気を効率良く筐体2の外部に排出する。そして、コーヒー飲料が注がれたカップが利用者に引き渡されると、圧縮機22が駆動されていない場合にはファンモータ24bへの通電を停止する。
【0036】
また、利用者がホットインスタントコーヒー飲料を選択する飲料選択ボタン97を押すと、制御装置90がホットインスタントコーヒー飲料を製造するための信号を出力する。この制御装置90が出力する信号により通電部95から通電され、先ず、粉末原料キャニスタ7からミキシングボウル9にインスタントコーヒーの粉末原料が送り出されるとともに湯タンク11から供給された高温の湯が混合されてホットインスタントコーヒー飲料となり、カップ供給装置15から供給されてカップ載置台10に載置されているカップに注がれてカップ式自動販売機1の利用者に引き渡される。
【0037】
湯タンク11からミキシングボウル9に高温の湯が供給されると、ファンモータ24bが回転駆動されていない場合には通電部95からファンモータ24bに通電して回転駆動し、ファン24aを回転させる。同時に、湯気通流規制部29で湯気排出管路25を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路26のみに作用させてミキシングボウル9で発生する湯気を効率良く筐体2の外部に排出する。そして、コーヒー飲料が注がれたカップが利用者に引き渡されると、圧縮機22が駆動されていない場合にはファンモータ24bへの通電を停止する。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、筐体2の内部に、貯蔵しているコーヒー豆を飲料調整の都度供給するコーヒー豆キャニスタ4や粉末原料を供給する粉末原料キャニスタ7と、これらのコーヒー豆キャニスタ4や粉末原料キャニスタ7から供給される飲料原料に高温の湯を添加する湯タンク11と、アイス飲料調製時に飲料原料に添加する冷水を冷却する冷凍サイクル装置21と、コーヒー豆を挽いたコーヒー挽き豆と高温の湯から飲料を抽出するコーヒーブリュア6、および/または、粉末原料と高温の湯または冷水を混合して飲料を調整するミキシングボウル8、9とを備え、飲料原料から飲料を製造する飲料製造装置の一例としてのカップ式自動販売機1において、コーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9と冷凍サイクル装置21に設けられている放熱ファン部24との間に湯気排出管路25、26、27を設け、コーヒーブリュア6に供給された高温の湯で発生する湯気を湯気排出管路25、27、および/または、ミキシングボウル8、9に供給された高温の湯で発生する湯気を湯気排出管路26、27を介して放熱ファン部24で吸引し、筐体2の外部に排出することにより、コーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9で発生した湯気がコーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9のケース内に充満し、その湿気によって粉末原料をケースの内壁へ堆積固化させることや、コーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9から立ち上った湯気がコーヒー豆キャニスタ4や粉末原料キャニスタ7の原料吐出口に粉末原料を堆積固化させることを防止することができる。また、コーヒーブリュア6やミキシングボウル8、9で発生する湯気を筐体2の外部へと排出するための専用のファンモータや排気ファンを設ける必要がなくなるので、コンパクトで低コストのカップ式自動販売機1等の飲料製造装置を提供することが可能となる。
【0039】
また、湯気排出管路25には湯気通流規制部29を、湯気排出管路26には湯気通流規制部30を、設けたことにより、コーヒー挽き豆と高温の湯を飲料原料としてコーヒーブリュア6でコーヒー液を抽出する場合には、湯気通流規制部30で湯気排出管路26を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路25のみに作用させてコーヒーブリュア6で発生する湯気を効率良く筐体2の外部に排出することができる。
【0040】
さらに、コーヒー液に砂糖やクリームの粉末原料をミキシングボウル8で混合してコーヒー飲料を調製するときや、砂糖やクリーム、インスタントコーヒーの粉末原料と高温の湯をミキシングボウル9で混合して飲料を調製する場合には、湯気通流規制部29で湯気排出管路25を閉塞し、回転するファン24aにより発生する吸引力を湯気排出管路27を介して湯気排出管路26のみに作用させてミキシングボウル8、9で発生する湯気を効率良く筐体2の外部に排出することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 カップ式自動販売機(飲料製造装置)
2 筐体
3 前扉
4 コーヒー豆キャニスタ(原料キャニスタ)
5 ミル
6 コーヒーブリュア(飲料調製手段)
7 粉末原料キャニスタ(原料キャニスタ)
8 ミキシングボウル(飲料調製手段)
9 ミキシングボウル(飲料調製手段)
10 カップ載置台
11 湯タンク
12 冷却水槽
14 オーガ式製氷機
15 カップ供給装置
20 機械室
21 冷凍サイクル装置
22 圧縮機
23 凝縮機
24 放熱ファン部
24a ファン
24b ファンモータ
24c カバー
25 湯気排出管路(第1湯気排出管路)
26 湯気排出管路(第2湯気排出管路)
27 湯気排出管路(第1湯気排出管路および第2湯気排出管路を兼ねる)
28 湯気吸引部
29 湯気通流規制部(第1管路規制部)
30 湯気通流規制部(第2管路規制部)
90 制御装置
95 通電部
97 飲料選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部に、貯蔵している飲料原料を飲料調整の都度供給する原料キャニスタと、前記原料キャニスタから供給される前記飲料原料に湯を添加する湯タンクと、アイス飲料調製時に前記飲料原料に添加する冷水を冷却する冷凍サイクル装置と、前記飲料原料と前記湯または前記冷水を受け入れて飲料を調製する飲料調製手段とを備え、飲料原料から飲料を製造する飲料製造装置において、
前記飲料調整手段と前記冷凍サイクル装置に設けられている放熱ファン部との間に湯気排出管路を設け、前記飲料調整手段に供給された湯で発生する湯気を前記湯気排出管路を介して前記放熱ファン部で吸引し、前記筐体外部に排出することを特徴とする飲料製造装置。
【請求項2】
前記飲料調製手段は、コーヒー挽き豆と前記湯から飲料を抽出するコーヒーブリュア、および/または、粉末原料と前記湯または前記冷水を混合して飲料を調整するミキシングボウルであり、
前記湯気排出管路は、前記コーヒーブリュアと前記放熱ファン部との間に接続された第1湯気排出管路、および/または、前記ミキシングボウルと前記放熱ファン部との間に接続された第2湯気排出管路と、からなることを特徴とする請求項1に記載の飲料製造装置。
【請求項3】
前記第1湯気排出管路には第1管路規制部を、前記第2湯気排出管路には第2管路規制部を、設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185719(P2012−185719A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49073(P2011−49073)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】