飲食物及び抗腫瘍剤
【課題】癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物及び抗腫瘍剤を提供する。
【解決手段】本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物は、メシマコブ成分(メシマコブ抽出物であることが好ましい)、マイタケ成分(マイタケ抽出物であることが好ましい)及びモズク成分を含有する。本発明の抗腫瘍剤は、メシマコブ成分(メシマコブ抽出物であることが好ましい)、マイタケ成分(マイタケ抽出物であることが好ましい)及びモズク成分を含有する。これらの癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物及び抗腫瘍剤は免疫賦活性及びアポトーシス誘導性に優れる。
【解決手段】本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物は、メシマコブ成分(メシマコブ抽出物であることが好ましい)、マイタケ成分(マイタケ抽出物であることが好ましい)及びモズク成分を含有する。本発明の抗腫瘍剤は、メシマコブ成分(メシマコブ抽出物であることが好ましい)、マイタケ成分(マイタケ抽出物であることが好ましい)及びモズク成分を含有する。これらの癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物及び抗腫瘍剤は免疫賦活性及びアポトーシス誘導性に優れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物及び抗腫瘍剤に関する。更に詳しくは、本発明はメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有する飲食物及び抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
健常人の細胞は、生体の制御を受けて恒常性を維持させているが、癌では、何らかの要因で発生した異常細胞が、生体制御を離れて自律的に増殖を始め、急速な発育と周囲への浸潤や転移を繰り返す。癌の予防及び治療等の手段としては、癌細胞を撃退する免疫系細胞を賦活化する方法や、癌細胞にアポトーシスを誘導させる方法や、癌の転移を抑制する方法等が知られている。
近年、この癌を各種食品に含まれる成分を効率的に摂取して予防及び治療する試みが注目されている。例えば、下記特許文献1では腫瘍増大抑制効果が示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−315512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では腫瘍増大抑制効果が示されているものの腫瘍増大抑制効果の要因に関する検討はなされていない。また、本発明に係るキノコ類及び海藻類の組合せに関する言及はない。後述の実施例に示すように、単独で効果が認められる成分を2種以上併用したとしても、相互の阻害等に起因して、その効果は必ずしも増大されるものではない。
本発明は、上記に実状に鑑みてなされたものであり、所定の複数種の成分の併用により特異的に抗腫瘍効果(癌患者の治療のための又は癌の予防のための効果)の増大が認められる飲食物及び抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のとおりである。
(1)マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有し、癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物。
(2)上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である上記(1)に記載の飲食物。
(3)上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である上記(1)又は(2)に記載の飲食物。
(4)アポトーシス誘導作用及び免疫賦活作用を有する上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の飲食物。
(5)マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有することを特徴とする抗腫瘍剤。
(6)上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である上記(5)に記載の抗腫瘍剤。
(7)上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である上記(5)又は(6)に記載の抗腫瘍剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物によれば、癌細胞の増殖を抑制できる。
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である場合及び上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である場合は、高効率に癌細胞の増殖を抑制できる。
アポトーシス誘導作用及び免疫賦活作用を有する場合は、アポトーシス誘導による直接的作用と免疫賦活による間接的作用との2つの作用による優れた癌細胞の増殖を抑制効果を得ることができる。
本発明の抗腫瘍剤によれば、腫瘍細胞の増殖を抑制できる。
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である場合及び上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である場合は、高効率に腫瘍細胞の増殖を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]抗腫瘍剤
本発明の抗腫瘍剤は、マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有する。
この抗腫瘍剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とする免疫賦活剤と、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とするアポトーシス誘導剤と、のうちの少なくとも一方を含有できる。即ち、本発明の抗腫瘍剤は、免疫賦活剤のみを含有する抗腫瘍剤とすることもでき、また、アポトーシス誘導剤のみを含有する抗腫瘍剤とすることもできる。これらのうちでは両剤が含有される抗腫瘍剤が特に好ましい。この両剤を含有する抗腫瘍剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有し、TNF−αの分泌を誘導し、且つ癌細胞のアポトーシスを誘導する抗腫瘍剤とすることができる。
【0008】
また、本発明の抗腫瘍剤には、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の免疫賦活成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。同様に、これら3成分以外のアポトーシス誘導成分以外のアポトーシス誘導成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。他の免疫賦活成分及び他のアポトーシス誘導成分を含有しない抗腫瘍剤とは、即ち、免疫賦活成分及びアポトーシス誘導成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有する抗腫瘍剤である。
【0009】
本発明の抗腫瘍剤に含有される免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤の量は特に限定されないが、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。また、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して50mg以上(通常、25000mg以下)含有されることが好ましい。更に、メシマコブ成分が含有される場合にはメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0010】
また、本発明の抗腫瘍剤の使用方法は特に限定されず、投与する対象(ヒト、又はその他の動物、これらの年齢、体重及び性別)、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、投与方法(経口投与、注射剤投与、外用投与、坐剤投与等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)投与されることが好ましい。また、その際には、1回で投与してもよく、2回以上に分割して投与してもよい。
【0011】
本発明の抗腫瘍剤は、本発明の抗腫瘍剤の効果が得られる範囲においてメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の他の成分を含有できる。他の成分としては、後述する免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤における他の成分をそのまま適用できる。更に、本発明の抗腫瘍剤の形態は特に限定されず、後述する免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤における形態をそのまま適用できる。
本発明の抗腫瘍剤は、各種腫瘍の予防及び治療などに用いることができる。この腫瘍としては後述する免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤において述べる腫瘍を適用できる。
【0012】
[2]免疫賦活剤
上記免疫賦活剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とする。この免疫賦活剤によれば、サイトカインの分泌を誘導するために免疫賦活能を発揮できる。特にこの免疫賦活剤はTNF−αの分泌を誘導できる。この免疫賦活剤は、各構成成分を単用する場合に比べて3成分を併用することで大幅にTNF−αの分泌を向上させることができ、更に、IL12についても分泌誘導することができる。また、この免疫賦活剤に含有される上記メシマコブ成分は、メシマコブの抽出物であることが好ましく、上記マイタケ成分は、マイタケの抽出物であることが好ましい。これらの少なくとも一方、更には、両方が抽出物である場合には、特に高効率にサイトカインの誘導を行うことができる。
【0013】
上記「メシマコブ成分」は、メシマコブ(メシマコブの乾燥粉末等)及びメシマコブから抽出された抽出物(以下、単に「メシマコブ抽出物」という)などを含む意味である。これらのうちではメシマコブ抽出物が好ましい。有効成分がより多く含有されるためである。このメシマコブ成分に用いるメシマコブは、子実体及び/又は菌糸体を用いることができる。また、天然メシマコブを用いてもよく、培養メシマコブを用いてもよく、これらを併用してもよい。通常、天然メシマコブは桑などの広葉樹の幹に寄生して成長する。培養メシマコブは人工的に培地を用いて培養される。また、メシマコブの採取される時期等は限定されない。更に、メシマコブは生体物(未乾燥物)、乾燥物及び凍結物等のどのような形態のものを用いてもよく、これらの形態のうちの2種以上を併用してもよい。
メシマコブ成分の含有量は特に限定されないが、本免疫賦活剤中にメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0014】
上記「マイタケ成分」は、マイタケ(マイタケの乾燥粉末等)及びマイタケから抽出された抽出物(以下、単に「マイタケ抽出物」という)などを含む意味である。これらのうちではマイタケ抽出物が好ましい。有効成分がより多く含有されるためである。このマイタケ成分に用いるマイタケとしては、子実体、菌糸体及び培養された菌糸体を含む菌床等が挙げられる。また、天然マイタケを用いてもよく、培養マイタケを用いてもよい。通常、天然マイタケはブナ及びミズナラ等の広葉樹の根元に成長する。培養マイタケは人工的に培地を用いて培養される。培養マイタケは、どのような手段で培養されたものであってもよく、培養時の培地等も特に限定されない。また、マイタケの採取される時期等は限定されない。更に、マイタケは生体物(未乾燥物)、乾燥物、凍結物等のどのような形態のものであってもよい。これらの各種のマイタケは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マイタケ成分の含有量は特に限定されないが、本免疫賦活剤中にマイタケ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0015】
上記「モズク成分」は、モズク(モズクの乾燥粉末等)及びモズクから抽出された抽出物(以下、単に「モズク抽出物」という)などを含む意味である。これらはいずれを用いてもよい。このモズク成分に用いるモズクとしては、ナガマツモ科に属するオキナワモズク及びイシモズク、モズク科に属するモズク等が挙げられる。また、これらのモズクは、天然モズクを用いてもよく、養殖モズクを用いてもよい。養殖モズクはどのような手段で養殖されたものであってもよい。また、モズクの採取される時期等は限定されない。更に、モズクは生体物(未乾燥物)、乾燥物、凍結物等のどのような形態のものであってもよい。これらの各種のモズクは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モズク成分の含有量は特に限定されないが、本免疫賦活剤中にモズク原体の乾燥物に換算して50mg以上(通常、25000mg以下)含有されることが好ましい。
【0016】
上記各成分のうちの各抽出物の抽出条件及び抽出方法等は特に限定されない。抽出溶媒の種類は特に限定されず、水及び各種有機溶媒等を用いることができる。これらの抽出溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記水は、冷水、常温水、温水、熱水、水蒸気等を含む意味であり、全ての温度における水の状態を含むものである。また、水は殺菌処理及び/又はイオン交換処理が施された水を用いることができる。更に、水は浸透圧調整及び/又は緩衝化して用いることができる。
【0017】
上記有機溶媒としては、親水性有機溶媒及び親油性有機溶媒が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記親水性有機溶媒としては、炭素数1〜5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、炭素数2〜5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等)、エステル(酢酸メチル等)及びケトン(アセトン等)などが挙げられる。これらのなかでは炭素数1〜5の1価アルコール及び/又は炭素数2〜5の多価アルコールが好ましく、更には、炭素数1〜5の1価アルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。これらの親水性有機溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記親油性有機溶媒としては、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの親油性有機溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの抽出溶媒のなかでは、水、水と親水性有機溶媒との混合溶媒、及び/又は親水性有機溶媒が好ましく、水、及び/又は上記混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。
【0018】
また、抽出手法は特に限定されず、浸漬抽出、攪拌抽出、還流抽出、振とう抽出及び超音波抽出等を用いることができる。これらは1種の抽出方法のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、抽出条件は特に限定されない。即ち、例えば、抽出対象物は、メシマコブ、マイタケ及びモズクの各抽出対象物を単独で用いてもよく、3種全てを混合して用いてもよい。また、抽出に際しては加熱を行ってもよく、加熱を行わなくてもよい。また、加圧してもよく、加圧しなくてもよい。更に、混合溶媒を用いてもよく、各種溶媒を単独で使用して抽出を行った後に抽出液及び/又は抽出成分を混合してもよい。また、抽出操作は1回で行ってもよく、複数回(抽出操作を行った後に得られる抽出残渣を再度抽出することを複数回数繰り返す)行ってもよい。
【0019】
上記のうち、例えば、加熱して行う場合には30〜100℃(好ましくは30〜70℃、より好ましくは30〜60℃)で行うことができる。この抽出温度は抽出対象物及び抽出溶媒の種類等により適宜とすることができる。但し、通常、抽出温度が過度に高いと抽出成分の免疫賦活能の活性を阻害する場合があるために、より低温度で、短時間で、行うことが好ましい。加熱せず抽出を行う場合は常温(10〜25℃)で行うことができる。更に、抽出時間は特に限定されず、例えば、0.5〜168時間(好ましくは0.5〜120時間、より好ましくは0.5〜72時間)とすることができる。また、pH調整を行ってもよく、pH調整を行わなくてもよい。pH調整を行うことで抽出効率を向上させることができる。
【0020】
これらの各抽出条件における抽出物のなかでも、特に温度32〜45℃(特に35〜40℃)の水(温水)による抽出物が少なくとも含有されることが好ましい。即ち、温度32〜45℃の水によって抽出されたメシマコブ抽出物、温度32〜45℃の水によって抽出されたマイタケ抽出物及び温度32〜45℃の水によって抽出されたモズク抽出物が含有されることが好ましい。
尚、この温度32〜45℃の水による抽出物が含有されるとは、この温度32〜45℃の水のみによる抽出物以外にも、例えば、水と水以外の抽出溶媒との混合溶媒で温度32〜45℃で抽出して得られた抽出物にも含まれる抽出物である。
【0021】
上記抽出により得られる抽出液と抽出残渣との分離方法は特に限定されず、例えば、フィルタプレス及び濾過(加圧、常圧)等により分離できる。抽出残渣から分離された抽出液は、そのまま免疫賦活剤として用いることができる。また、抽出液から抽出溶媒を除去して用いることもできる。抽出液からの抽出溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば、噴霧乾燥法、エバポレーション及び凍結乾燥法等により行うことができる。抽出液から分取された固形分(免疫賦活剤)はそのまま用いてもよく、更に精製を行ってもよい。即ち、この固形分を水及び/又は有機溶媒等に溶解させた後、濾過を行って夾雑物等を除去し、その後、溶媒を除去して精製することができる。更に、必要に応じて、滅菌処理等を施すことができる。
【0022】
抽出(抽出工程)を行う前には各種前処理工程を行うことができる。前処理工程としては、殺菌処理工程、粉砕処理工程、細胞壁構成成分を分解させる酵素処理工程等が挙げられる。殺菌処理工程は、紫外線照射、脱酸素、加熱等により行うことができる。粉砕処理工程における粉砕方法は特に限定されず、各種ミル等を用いることができる。この粉砕処理を行うことで抽出効率を向上させることができる。粉砕粒径は特に限定されないが、通常、10〜1000μmとすることができる。酵素処理工程は、各種酵素に適した溶媒、pH及び温度等の環境に酵素と抽出対象物(粉砕後物でもよい)を浸漬して行うことができる。この際には、例えば、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びペクチナーゼ等のうちの1種又は2種以上の酵素を用いることができる。
【0023】
免疫賦活剤は、免疫賦活成分(免疫賦活能を発揮させることができる成分、特にTNF−αの分泌を誘導する成分)として、本免疫賦活剤の効果が得られる範囲においてメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の他の成分を含有してもよいが、含有しなくてもよい。即ち、免疫賦活剤は、免疫賦活成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有する免疫賦活剤とすることができる。
また、免疫賦活剤の効果が得られる範囲において上記免疫賦活成分以外の他の成分を含有できる。即ち、例えば、成形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、滑沢剤、担体、溶剤、増量剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤、被覆剤、吸収促進剤、凝固剤、保存剤(安定剤、防湿剤、着色防止剤、酸化防止剤等)、矯味剤、矯臭剤、着色剤、消泡剤、無痛化剤、帯電防止剤及びpH調節剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記のうち例えば、成形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、コーンスターチ及びアルギン酸等が挙げられる。結合剤としては、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、水及びエタノール等が挙げられる。崩壊剤としては、澱粉、アルギン酸、寒天、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース及び澱粉グリコール酸ナトリウム等が挙げられる。崩壊抑制剤としては、ステアリルアルコール、ステアリン酸、カカオバター及び水素添加油等が挙げられる。滑沢剤としては、硬化植物油誘導体、胡麻油、サラシミツロウ、カルナバロウ、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリエチレングリコール等が挙げられる。担体としては、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びコロイド状ケイ酸等が挙げられる。吸収促進剤としては、第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、尿素及び酵素等が挙げられる。
【0025】
免疫賦活剤の形態は特に限定されず、固形状、粉末状、顆粒状、クリーム状、液状等とすることができる。また、上記各々の形態において、錠剤(糖衣錠、ゼラチン被包錠、胃溶性被覆錠、腸溶性被覆錠及び水溶性フィルムコーティング錠等)、カプセル剤(硬質ゼラチンカプセル剤及び軟質カプセル剤等)、散剤、顆粒剤、液剤、軟膏剤及び貼付剤などとすることができる。更に、各々経口剤、注射剤、坐剤、外用剤及び飲食物添加剤等として用いることができる。
【0026】
免疫賦活剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有する。これにより、メシマコブ成分のみである場合、マイタケ成分のみである場合、モズク成分のみである場合、メシマコブ成分を含有しない場合、マイタケ成分を含有しない場合、モズク成分を含有しない場合のいずれの場合の比べても特異的に高いサイトカイン分泌誘導能を発揮できる。特にサイトカインのなかでもTNF−αの分泌誘導能に優れている。また、本免疫賦活剤を構成する各成分を単用した場合と少なくとも同等のIL12の分泌誘導能を発揮できる。
【0027】
従って、免疫賦活剤は、各種異常細胞(腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、自己反応性細胞等)に対して用いることができ、なかでも腫瘍細胞(癌細胞を含む)に好適である。腫瘍細胞による腫瘍は、悪性及び良性を含むものである。更に、各腫瘍には造血器性、上皮性及び非上皮性を含むものである。これらのなかでも癌細胞に好適であり、各種悪性腫瘍に対して好適である。即ち、癌細胞を伴う造血器性腫瘍としては、白血病、多血症、血小板血症及び骨髄線維症等の骨髄増殖性疾患が挙げられる。このうち白血病は、急性、慢性、骨髄性、単球性及びリンパ性などを含むものである。更に、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫等)、骨髄腫、形質細胞性腫瘍(多発性骨髄腫、形質細胞腫、原発性マクログロブリン血症等)などを含むものである。また、上皮性悪性腫瘍及び非上皮性悪性腫瘍としては、肺癌、乳癌、前立腺癌、大腸癌、結腸腺癌、頸部癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膀胱癌、ウィルムス腫瘍、線維肉腫、骨肉種、黒色腫、骨膜肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、神経内分泌腫瘍、腎臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、胃癌、食道癌、肝癌、胆道癌、肉腫、皮膚癌、甲状腺癌、睾丸腫瘍、膵臓癌、中皮腫等が挙げられる。
【0028】
本免疫賦活剤の使用方法は特に限定されず、投与する対象(ヒト、又はその他の動物、これらの年齢、体重及び性別)、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、投与方法(経口投与、注射剤投与、外用投与、坐剤投与等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)投与されることが好ましい。また、その際には、1回で投与してもよく、2回以上に分割して投与してもよい。
【0029】
[3]アポトーシス誘導剤
上記アポトーシス誘導剤は、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とする。このアポトーシス誘導剤によれば、アポトーシス機構が抑制された各種細胞に対してアポトーシスを誘導できる。特にこのアポトーシス誘導剤は、各構成成分を単用する場合に比べて、2成分を併用することで大幅にアポトーシスの誘導を向上させることができる。また、特に癌細胞のアポトーシスを誘導する効果が高い。更に、このアポトーシス誘導剤は、マイタケ成分及びモズク成分に加えて、メシマコブ成分を含有することが好ましい。この場合は、アポトーシス誘導能を更に向上させることができる。
また、このアポトーシス誘導剤に含有される上記メシマコブ成分は、メシマコブの抽出物であることが好ましく、上記マイタケ成分は、マイタケの抽出物であることが好ましい。これらの少なくとも一方、更には、両方が抽出物である場合には、特に高効率にアポトーシスの誘導を行うことができる。
【0030】
上記「メシマコブ成分」、上記「マイタケ成分」及び上記「モズク成分」は、前記免疫賦活剤における各々の成分をそのまま適用できる。また、その好ましい含有量も前記免疫賦活剤における各々の好ましい含有量をそのまま適用できる。更に、各成分のうちの抽出物における抽出条件等は特に限定されず、前記免疫賦活剤における各々をそのまま適用できる。従って、抽出物が含有される場合には、特に温度32〜45℃(特に35〜40℃)の水(温水)による抽出物が少なくとも含有されることが好ましい。
【0031】
アポトーシス誘導剤は、アポトーシス誘導成分(アポトーシス誘導能を発揮させることができる成分)として、本アポトーシス誘導剤の効果が得られる範囲においてメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の他の成分を含有してもよいが、含有しなくてもよい。即ち、アポトーシス誘導剤は、アポトーシス誘導成分として、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有するアポトーシス誘導剤とすることができ、更には、アポトーシス誘導成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有するアポトーシス誘導剤とすることができる。
また、アポトーシス誘導剤は、アポトーシス誘導剤の効果が得られる範囲において上記アポトーシス誘導成分以外の他の成分を含有できる。他の成分としては、前記免疫賦活剤における他の成分をそのまま適用できる。更に、アポトーシス誘導剤の形態は特に限定されず、前記免疫賦活剤における形態をそのまま適用できる。
【0032】
アポトーシス誘導剤は、実施例においても例示するように細胞のアポトーシスを誘導することができる。このためアポトーシス機構が抑制等されることによって引き起こされる疾患の予防及び治療に用いることができる。即ち、このような疾病としては、癌などの腫瘍、滑膜細胞の異常増殖による炎症に起因する慢性関節リウマチ及びウイルス感染(ヘルペスウイルス、アデノウイルス等)が挙げられる。これらの疾病のなかでも特に腫瘍に対して好適である。即ち、腫瘍細胞のアポトーシスを特に確実に誘導できる。上記腫瘍としては、前記免疫賦活剤において示した各種癌等の腫瘍をそのまま適用できる。
【0033】
本アポトーシス誘導剤の使用方法は特に限定されず、投与する対象(ヒト、又はその他の動物、これらの年齢、体重及び性別)、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、投与方法(経口投与、注射剤投与、外用投与、坐剤投与等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)投与されることが好ましい。また、その際には、1回で投与してもよく、2回以上に分割して投与してもよい。
【0034】
[4]癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物
本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物(以下、単に「飲食物」という)は、マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有する。
この飲食物は、上記免疫賦活剤及び/又は上記アポトーシス誘導剤を含有できる。上記免疫賦活剤及び上記アポトーシス誘導剤は、前記各々をそのまま適用できる。本発明の飲食物においては、免疫賦活剤のみを含有することもでき、また、アポトーシス誘導剤のみを含有することもできるが、免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤の両剤が含有された飲食物が特に好ましい。
【0035】
また、本発明の飲食物には、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の免疫賦活成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。同様に、これら3成分以外のアポトーシス誘導成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。他の免疫賦活成分及び他のアポトーシス誘導成分を含有しない飲食物とは、即ち、免疫賦活成分及びアポトーシス誘導成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有する飲食物である。
【0036】
本発明の飲食物に含有される免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤の量は特に限定されないが、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。また、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して50mg以上(通常、25000mg以下)含有されることが好ましい。更に、メシマコブ成分が含有される場合にはメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0037】
本発明の飲食物の摂取方法は特に限定されず、摂取するヒトの年齢、体重及び性別、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)摂取されることが好ましい。また、その際には、1回で摂取してもよく、2回以上に分割して摂取してもよい。
【0038】
本発明の飲食物は特定の保健効果が認められる飲食物、又は、免疫賦活成分及びアポトーシス誘導成分の機能を活かした機能性飲食物等とすることができる。飲食物の形態は特に限定されず種々のものとすることができる。即ち、例えば、液状食品、固形食品、半流動食品及びゲル状食品等が挙げられる。即ち、例えば、アルコール含有飲料(酒、焼酎、ビール等)、清涼飲料(炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー、ココア及び茶等)、乳、乳酸菌飲料、乳製品、氷菓子、飴、ガム、焼き菓子(ビスケット、クッキー等)、加工穀物(パン、麺、シリアル、強化米等)、加工水産物(モズク等)などが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]免疫賦活剤
(1)実施例1、比較例1〜7の免疫賦活剤等の調整
下記に示す抽出物及び原末を各々別々に純水に添加して10質量%液を調整した。得られた各10質量%液を40℃に48時間保って抽出を行った。その後、孔径0.22μmのフィルター(日本ミリポア株式会社製、マイレクスGS)を用いて濾過して非水溶性成分と水溶性成分とを分離した。このようにして下記比較例1〜3の水溶液を得た。また、これらの比較例1〜3の水溶液を2種ずつ混合して比較例4〜6の混合水溶液を得た。更に、これらの比較例1〜3の水溶液3種を混合して実施例1の混合水溶液を得た。また、比較例7(コントロール)として純水のみを用いた。
実施例1;メシマコブ抽出物水溶液とマイタケ抽出物水溶液とモズク抽出物水溶液との混 合水溶液
比較例1:メシマコブ抽出物水溶液
比較例2:マイタケ抽出物水溶液
比較例3:モズク抽出物水溶液
比較例4:メシマコブ抽出物水溶液とマイタケ抽出物水溶液との混合水溶液
比較例5:マイタケ抽出物水溶液とモズク抽出物水溶液との混合水溶液
比較例6:モズク抽出物水溶液とメシマコブ抽出物との混合水溶液
比較例7:純水
【0040】
メシマコブ成分 ;株式会社韓国新薬製、メシマコブ抽出物(熱水抽出物)、粉末状
マイタケ成分 ;Guilin Layn Natural lngredients社製、マイタケ抽出物(熱水抽出物)、粉末状
モズク成分 ;沖縄県つけん島モズク事業協同組合製、モズク乾燥粉末(非抽出物)
【0041】
(2)ヒトリンパ球の培養
ヒトの上腕部より採取した20mLの血液からLymphoprep(Nycomed Pharma AS社製)を用いてリンパ球を単離した。得られたリンパ球を96穴プレートの各ウェルに50万〜100万個/mLで播種し、更に、上記(1)で得られた実施例1及び比較例1〜6の各水溶液を表1に示す量となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養を行った。培養には血清(10%FCS)、β−メルカプトエタノール(50μM)及びL−グルタミン(2mM)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0042】
【表1】
表1中の「μg/mL」とは、ウェル内の濃度を表す。ウェル内の液体量に対する上記[1](1)で用いた非抽出物(メシマコブ抽出物及びモズク原末等)の作用量を意味する。
【0043】
(3)TNF−α及びIL12の測定
TNF−αの分泌量を測定するため、上記培養を開始してから6時間後の培養上清を回収し、ELISA法を行った。この測定に際してはEndogen社製の品名「Endogen Human TNFα ELISA Kit」を用いた。また、定量にはVmaxプレートリーダー(Molecular Devices社製)を測定波長450nmで用いた。この結果を表1に示し、グラフ化して図1に示した。
更に、IL−12の分泌量を測定するため、上記培養を開始してから6時間後の培養上清を回収し、ELISA法を行った。しかし、IL−12を検出できなかったため、上記培養を開始してから24時間後の培養上清を回収し、ELISA法を行った。この測定に際してはEndogen社製の品名「Endogen Human IL12 ELISA Kit」を用いた。また、定量にはVmaxプレートリーダー(Molecular Devices社製)を測定波長450nmで用いた。この結果を表1に併記し、グラフ化して図1に示した。
【0044】
(4)免疫賦活能の評価
表1及び図1より、TNF−αの分泌量は、比較例1(メシマコブ成分)と比較例4(メシマコブ成分+マイタケ成分)とを比較すると比較例4では44%減少している。また、比較例2(マイタケ成分)及び比較例3(モズク成分)と比較例5(マイタケ成分+モズク成分)とを比較すると、比較例2と比較例5とはほぼ同じであり、比較例3と比較例5ともほぼ同じである。更に、比較例1(メシマコブ成分)と比較例6(メシマコブ成分+モズク成分)とを比較すると、比較例1と比較例6ともほぼ同じである。このように、単独でTNF−αの分泌誘導効果が認められる成分同士を併用した場合の効果の向上は必ずしも認められるものではなく、場合によっては単用に比べて併用によって効果が劣ることもある。
【0045】
これに対して、実施例1の分泌量は2001pg/mLであり、比較例2に対して43%増加、比較例3に対して44%増加、比較例1に対して22%増加、といずれも単用した場合に比較して3成分を併用した場合には著しく大幅な効果の向上が認められる。即ち、実施例1は優れたTNF−α分泌誘導能を有していることが分かる。この2成分の併用では認められない効果が、3成分を併用した場合に特異的に認められる要因は不明である。
【0046】
また、表1及び図1より、IL12の分泌量は、比較例1〜3である各成分を単用した場合と比べて、実施例1では同程度(−11.4〜+20.0%)に保たれていることが分かる。表1及び図1は、TNF−αのみでなくIL12も発現誘導させていることから、早期の免疫応答反応のみでなく、獲得免疫をも賦活化させると考えられる。
【0047】
つまり、実施例1は比較例1〜3である各成分を単用した場合と比べてTNF−αを早期に発現誘導させていることが分かる。即ち、TNF−αの発現から促された早期の免疫応答反応は、獲得免疫機構を効果的に賦活化し、癌細胞などの以上細胞をより強力に排除できる。また、ウイルスや細菌などの感染のような早期の免疫応答反応がカギとなる疾病に対して特に有効であると考えられる。
【0048】
[2]アポトーシス誘導剤
(1)実施例1のアポトーシス誘導剤
前記[1](1)で調製した実施例1の免疫賦活剤をそのまま、実施例1のアポトーシス誘導剤として用いた。また、前記[1](1)で調製した比較例5の抽出水溶液をそのまま実施例2として用いた。更に、前記[1](1)で調製した比較例1〜4及び6の各抽出水溶液をそのまま比較例1〜4及び6として用いた。また、前記[1](1)で調整した比較例7をそのまま比較例7のコントロールとして用いた。
【0049】
(2)ヒト骨髄性白血病由来細胞の培養(アネキシンV染色による評価用)
ヒト骨髄性白血病由来細胞HL60(以下、単に「HL60細胞」という)を24穴プレートの各ウェルに20万個/mLで播種し、更に、上記[2](1)の実施例1〜2、比較例1〜4及び比較例6〜7の各水溶液を表2に示す量(免疫賦活剤における配合と同じ)となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養を行った。培養には血清(10%FCS)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0050】
【表2】
【0051】
(3)アポトーシス誘導能の評価(アネキシンV染色による評価)
上記(2)で48時間培養したHL60細胞を、市販の染色キット(TREVIGEN社製、品名「TACS Annexin V Kits」)を用いて細胞を染色し、フローサイトメーター(BD Biosciences社製、型式「FACS Calibur」)を用いて各細胞の蛍光強度を測定し、得られたデータをプロットして図2(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分)、図3(比較例1;メシマコブ成分)、図4(比較例2;マイタケ成分)、図5(比較例3;モズク成分)、図6(比較例7;コントロール)に各々示した。これら図2〜6の結果より、各図中の右下領域にプロットが現れていることから初期アポトーシスが認められることが分かる。尚、初期アポトーシスを生じた細胞の全細胞に対する割合は実施例1が25.44%、比較例1が4.95%、比較例2が13.33%、比較例3が5.63%、比較例7が7.91%であった。
【0052】
(4)ヒト骨髄性白血病由来細胞の培養(DNAラダー法による評価用)
HL60細胞を24穴プレートの各ウェルに40万個/mLで播種し、更に、上記[2](1)の実施例1〜2、比較例1〜4及び比較例6〜7の各水溶液を表2に示す量(免疫賦活剤における配合と同じ)となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養を行った。培養には血清(10%FCS)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0053】
(5)アポトーシス誘導能の評価1
(DNAラダー法による測定−添加成分量を800μg/mLずつ使用した試験)
市販のTUNEL法による染色キット(TREVIGEN社製、品名「FlowTACS FITC」)を用いて断片化されたDNAの3’−OH末端を標識(染色)し、フローサイトメーター(BD Biosciences社製、型式「FACS Calibur」)を用いて標識されたDNAの断片数を測定した。得られたデータをプロットして図7(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−48h培養)、図8(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−72h培養)、図9(実施例2;マイタケ成分+モズク成分−48h培養)、図10(実施例2;マイタケ成分+モズク成分−72h培養)、図11(比較例1;メシマコブ成分−48h培養)、図12(比較例1;メシマコブ成分−72h培養)、図13(比較例2;マイタケ成分−48h培養)、図14(比較例2;マイタケ成分−72h培養)、図15(比較例3;モズク成分−48h培養)、図16(比較例3;モズク成分−72h培養)、図17(比較例4;メシマコブ成分+マイタケ成分−48h培養)、図18(比較例4;メシマコブ成分+マイタケ成分−72h培養)、図19(比較例6;メシマコブ成分+モズク成分−48h培養)、図20(比較例6;メシマコブ成分+モズク成分−72h培養)、図21(比較例7;コントロール−48h培養)、図22(比較例7;コントロール−72h培養)に各々示した。更に、断片化されたDNAの割合をアポトーシス誘導率として算出した。この結果を表2に併記した。また、この結果をグラフにして図23に示した。
【0054】
図7〜23及び表2より、48時間におけるアポトーシス誘導率について、比較例1(メシマコブ成分)、比較例3(モズク成分)及び比較例6(メシマコブ成分+モズク成分)のアポトーシス誘導能は比較例7(コントロール)と同等程度でありほとんど認められないことが分かる。また、比較例2(マイタケ成分)は18.25%と多少のアポトーシス誘導能が認められる。
更に、比較例4(マイタケ成分+メシマコブ成分)は20.08%と多少のアポトーシス誘導能が認められる。しかし、比較例4は、比較例1(メシマコブ成分)の1.35%と比較例2(マイタケ成分)の18.25%との合計である19.60%と近いアポトーシス誘導率であり、単に相加的な効果が得られただけであると考えられる。
【0055】
これに対して、実施例2(マイタケ成分+モズク成分)では56.55%と高いアポトーシス誘導率が認められる。このアポトーシス誘導率は、実施例2を構成する比較例2(マイタケ成分)と比較例3(モズク成分)とを併用した場合に想定される相加値(21.58%)を大きく上回る値である。即ち、実施例2のアポトーシス誘導率は、相加的な効果では得られない特異的なアポトーシス誘導能であることが分かる。
【0056】
更に、実施例1(メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分)では90.68%と著しく高いアポトーシス誘導率が得られている。即ち、実施例2の結果から考えると、この実施例2を構成する2成分に更に、単独ではアポトーシス誘導能がほとんど認められないメシマコブ成分を追加することで、著しく高いアポトーシス誘導率が得られていることとなり、予測不可能な極めて特異的な効果であることが分かる。また、この実施例1のアポトーシス誘導率は、実施例1を構成する3成分の相加値をはるかに超える高い誘導率でもあり、このことからも、極めて特異的な効果であることは分かる。
【0057】
(6)アポトーシス誘導能の評価2
(DNAラダー法による測定−添加成分量を2400μg/mLに統一した試験)
前記[1](1)で調製した実施例1の免疫賦活剤をそのまま、実施例1のアポトーシス誘導剤として用いた{上記(5)と同じ}。また、前記[1](1)で調製した比較例1〜3の各抽出水溶液をそのまま比較例1〜3として用いた。
更に、上記[2](2)と同様に、HL60細胞を24穴プレートの各ウェルに20万個/mLで播種し、更に、実施例1、比較例1〜3及び比較例7の各水溶液を表3に示す量(免疫賦活剤における配合と同じ)となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養(48時間及び72時間)を行った。培養には血清(10%FCS)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0058】
その後、上記(5)と同様にDNAラダー法により、DNAの断片数を測定し、得られたデータをプロットして図24(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−48h培養)、図25(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−72h培養)、図26(比較例1;メシマコブ成分−48h培養)、図27(比較例1;メシマコブ成分−72h培養)、図28(比較例2;マイタケ成分−48h培養)、図29(比較例2;マイタケ成分−72h培養)、図30(比較例3;モズク成分−48h培養)、図31(比較例3;モズク成分−72h培養)、図32(比較例7;コントロール−48h培養)、図33(比較例7;コントロール−72h培養)に各々示した。更に、断片化されたDNAの割合をアポトーシス誘導率として算出した。この結果を表3に併記した。また、この結果をグラフにして図34に示した。
【0059】
【表3】
【0060】
図24〜33、表3及び図34より、実施例1(メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分)では72時間では、94.04%と著しく高いアポトーシス誘導率が得られている。即ち、比較例1〜3の結果から考えると、各成分の全体成分量を2400μg/mLに統一したとしても、実施例1のアポトーシス誘導率には全く及ばないことが分かる。従って、実施例1では、各単成分を併用することで、著しく高いアポトーシス誘導率が得られていることとなり、予測不可能な極めて特異的な効果であることが分かる。
【0061】
[3]抗腫瘍剤及び癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物
上記[1]で免疫賦活効果が認められ、特にリンパ球からのTNF−αの分泌が大幅に向上されていること、また、上記[2]でHL60に対する高いアポトーシス誘導能が認められていることから、本発明の抗腫瘍剤は、免疫賦活剤及び/又はアポトーシス誘導剤を含有することで優れた抗腫瘍性を発揮することが分かる。同様に、本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物は、免疫賦活剤及び/又はアポトーシス誘導剤を含有することで優れた抗腫瘍性を発揮することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物及び抗腫瘍剤は、食品分野及び医療分野等で広く利用できる。例えば、保健飲料、健康食品、保健食品、医薬品等として利用される。特に癌の予防、癌細胞増殖の抑制の目的で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施例で測定したサイトカインの分泌誘導能を実施例及び比較例毎にグラフ化した説明図である。
【図2】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図3】比較例1を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図4】比較例2を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図5】比較例3を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図6】比較例7を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図7】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図8】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図9】実施例2(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図10】実施例2(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図11】比較例1を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図12】比較例1を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図13】比較例2を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図14】比較例2を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図15】比較例3を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図16】比較例3を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図17】比較例4を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図18】比較例4を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図19】比較例6を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図20】比較例6を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図21】比較例7を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図22】比較例7を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図23】表2のDNAラダー法による結果をグラフ化した説明図である。
【図24】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図25】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図26】比較例1を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図27】比較例1を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図28】比較例2を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図29】比較例2を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図30】比較例3を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図31】比較例3を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図32】比較例7を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図33】比較例7を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図34】表2のDNAラダー法による結果をグラフ化した説明図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物及び抗腫瘍剤に関する。更に詳しくは、本発明はメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有する飲食物及び抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
健常人の細胞は、生体の制御を受けて恒常性を維持させているが、癌では、何らかの要因で発生した異常細胞が、生体制御を離れて自律的に増殖を始め、急速な発育と周囲への浸潤や転移を繰り返す。癌の予防及び治療等の手段としては、癌細胞を撃退する免疫系細胞を賦活化する方法や、癌細胞にアポトーシスを誘導させる方法や、癌の転移を抑制する方法等が知られている。
近年、この癌を各種食品に含まれる成分を効率的に摂取して予防及び治療する試みが注目されている。例えば、下記特許文献1では腫瘍増大抑制効果が示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−315512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では腫瘍増大抑制効果が示されているものの腫瘍増大抑制効果の要因に関する検討はなされていない。また、本発明に係るキノコ類及び海藻類の組合せに関する言及はない。後述の実施例に示すように、単独で効果が認められる成分を2種以上併用したとしても、相互の阻害等に起因して、その効果は必ずしも増大されるものではない。
本発明は、上記に実状に鑑みてなされたものであり、所定の複数種の成分の併用により特異的に抗腫瘍効果(癌患者の治療のための又は癌の予防のための効果)の増大が認められる飲食物及び抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のとおりである。
(1)マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有し、癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物。
(2)上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である上記(1)に記載の飲食物。
(3)上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である上記(1)又は(2)に記載の飲食物。
(4)アポトーシス誘導作用及び免疫賦活作用を有する上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の飲食物。
(5)マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有することを特徴とする抗腫瘍剤。
(6)上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である上記(5)に記載の抗腫瘍剤。
(7)上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である上記(5)又は(6)に記載の抗腫瘍剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物によれば、癌細胞の増殖を抑制できる。
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である場合及び上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である場合は、高効率に癌細胞の増殖を抑制できる。
アポトーシス誘導作用及び免疫賦活作用を有する場合は、アポトーシス誘導による直接的作用と免疫賦活による間接的作用との2つの作用による優れた癌細胞の増殖を抑制効果を得ることができる。
本発明の抗腫瘍剤によれば、腫瘍細胞の増殖を抑制できる。
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である場合及び上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である場合は、高効率に腫瘍細胞の増殖を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]抗腫瘍剤
本発明の抗腫瘍剤は、マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有する。
この抗腫瘍剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とする免疫賦活剤と、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とするアポトーシス誘導剤と、のうちの少なくとも一方を含有できる。即ち、本発明の抗腫瘍剤は、免疫賦活剤のみを含有する抗腫瘍剤とすることもでき、また、アポトーシス誘導剤のみを含有する抗腫瘍剤とすることもできる。これらのうちでは両剤が含有される抗腫瘍剤が特に好ましい。この両剤を含有する抗腫瘍剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有し、TNF−αの分泌を誘導し、且つ癌細胞のアポトーシスを誘導する抗腫瘍剤とすることができる。
【0008】
また、本発明の抗腫瘍剤には、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の免疫賦活成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。同様に、これら3成分以外のアポトーシス誘導成分以外のアポトーシス誘導成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。他の免疫賦活成分及び他のアポトーシス誘導成分を含有しない抗腫瘍剤とは、即ち、免疫賦活成分及びアポトーシス誘導成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有する抗腫瘍剤である。
【0009】
本発明の抗腫瘍剤に含有される免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤の量は特に限定されないが、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。また、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して50mg以上(通常、25000mg以下)含有されることが好ましい。更に、メシマコブ成分が含有される場合にはメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0010】
また、本発明の抗腫瘍剤の使用方法は特に限定されず、投与する対象(ヒト、又はその他の動物、これらの年齢、体重及び性別)、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、投与方法(経口投与、注射剤投与、外用投与、坐剤投与等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)投与されることが好ましい。また、その際には、1回で投与してもよく、2回以上に分割して投与してもよい。
【0011】
本発明の抗腫瘍剤は、本発明の抗腫瘍剤の効果が得られる範囲においてメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の他の成分を含有できる。他の成分としては、後述する免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤における他の成分をそのまま適用できる。更に、本発明の抗腫瘍剤の形態は特に限定されず、後述する免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤における形態をそのまま適用できる。
本発明の抗腫瘍剤は、各種腫瘍の予防及び治療などに用いることができる。この腫瘍としては後述する免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤において述べる腫瘍を適用できる。
【0012】
[2]免疫賦活剤
上記免疫賦活剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とする。この免疫賦活剤によれば、サイトカインの分泌を誘導するために免疫賦活能を発揮できる。特にこの免疫賦活剤はTNF−αの分泌を誘導できる。この免疫賦活剤は、各構成成分を単用する場合に比べて3成分を併用することで大幅にTNF−αの分泌を向上させることができ、更に、IL12についても分泌誘導することができる。また、この免疫賦活剤に含有される上記メシマコブ成分は、メシマコブの抽出物であることが好ましく、上記マイタケ成分は、マイタケの抽出物であることが好ましい。これらの少なくとも一方、更には、両方が抽出物である場合には、特に高効率にサイトカインの誘導を行うことができる。
【0013】
上記「メシマコブ成分」は、メシマコブ(メシマコブの乾燥粉末等)及びメシマコブから抽出された抽出物(以下、単に「メシマコブ抽出物」という)などを含む意味である。これらのうちではメシマコブ抽出物が好ましい。有効成分がより多く含有されるためである。このメシマコブ成分に用いるメシマコブは、子実体及び/又は菌糸体を用いることができる。また、天然メシマコブを用いてもよく、培養メシマコブを用いてもよく、これらを併用してもよい。通常、天然メシマコブは桑などの広葉樹の幹に寄生して成長する。培養メシマコブは人工的に培地を用いて培養される。また、メシマコブの採取される時期等は限定されない。更に、メシマコブは生体物(未乾燥物)、乾燥物及び凍結物等のどのような形態のものを用いてもよく、これらの形態のうちの2種以上を併用してもよい。
メシマコブ成分の含有量は特に限定されないが、本免疫賦活剤中にメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0014】
上記「マイタケ成分」は、マイタケ(マイタケの乾燥粉末等)及びマイタケから抽出された抽出物(以下、単に「マイタケ抽出物」という)などを含む意味である。これらのうちではマイタケ抽出物が好ましい。有効成分がより多く含有されるためである。このマイタケ成分に用いるマイタケとしては、子実体、菌糸体及び培養された菌糸体を含む菌床等が挙げられる。また、天然マイタケを用いてもよく、培養マイタケを用いてもよい。通常、天然マイタケはブナ及びミズナラ等の広葉樹の根元に成長する。培養マイタケは人工的に培地を用いて培養される。培養マイタケは、どのような手段で培養されたものであってもよく、培養時の培地等も特に限定されない。また、マイタケの採取される時期等は限定されない。更に、マイタケは生体物(未乾燥物)、乾燥物、凍結物等のどのような形態のものであってもよい。これらの各種のマイタケは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マイタケ成分の含有量は特に限定されないが、本免疫賦活剤中にマイタケ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0015】
上記「モズク成分」は、モズク(モズクの乾燥粉末等)及びモズクから抽出された抽出物(以下、単に「モズク抽出物」という)などを含む意味である。これらはいずれを用いてもよい。このモズク成分に用いるモズクとしては、ナガマツモ科に属するオキナワモズク及びイシモズク、モズク科に属するモズク等が挙げられる。また、これらのモズクは、天然モズクを用いてもよく、養殖モズクを用いてもよい。養殖モズクはどのような手段で養殖されたものであってもよい。また、モズクの採取される時期等は限定されない。更に、モズクは生体物(未乾燥物)、乾燥物、凍結物等のどのような形態のものであってもよい。これらの各種のモズクは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モズク成分の含有量は特に限定されないが、本免疫賦活剤中にモズク原体の乾燥物に換算して50mg以上(通常、25000mg以下)含有されることが好ましい。
【0016】
上記各成分のうちの各抽出物の抽出条件及び抽出方法等は特に限定されない。抽出溶媒の種類は特に限定されず、水及び各種有機溶媒等を用いることができる。これらの抽出溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記水は、冷水、常温水、温水、熱水、水蒸気等を含む意味であり、全ての温度における水の状態を含むものである。また、水は殺菌処理及び/又はイオン交換処理が施された水を用いることができる。更に、水は浸透圧調整及び/又は緩衝化して用いることができる。
【0017】
上記有機溶媒としては、親水性有機溶媒及び親油性有機溶媒が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記親水性有機溶媒としては、炭素数1〜5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、炭素数2〜5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等)、エステル(酢酸メチル等)及びケトン(アセトン等)などが挙げられる。これらのなかでは炭素数1〜5の1価アルコール及び/又は炭素数2〜5の多価アルコールが好ましく、更には、炭素数1〜5の1価アルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。これらの親水性有機溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記親油性有機溶媒としては、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの親油性有機溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの抽出溶媒のなかでは、水、水と親水性有機溶媒との混合溶媒、及び/又は親水性有機溶媒が好ましく、水、及び/又は上記混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。
【0018】
また、抽出手法は特に限定されず、浸漬抽出、攪拌抽出、還流抽出、振とう抽出及び超音波抽出等を用いることができる。これらは1種の抽出方法のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、抽出条件は特に限定されない。即ち、例えば、抽出対象物は、メシマコブ、マイタケ及びモズクの各抽出対象物を単独で用いてもよく、3種全てを混合して用いてもよい。また、抽出に際しては加熱を行ってもよく、加熱を行わなくてもよい。また、加圧してもよく、加圧しなくてもよい。更に、混合溶媒を用いてもよく、各種溶媒を単独で使用して抽出を行った後に抽出液及び/又は抽出成分を混合してもよい。また、抽出操作は1回で行ってもよく、複数回(抽出操作を行った後に得られる抽出残渣を再度抽出することを複数回数繰り返す)行ってもよい。
【0019】
上記のうち、例えば、加熱して行う場合には30〜100℃(好ましくは30〜70℃、より好ましくは30〜60℃)で行うことができる。この抽出温度は抽出対象物及び抽出溶媒の種類等により適宜とすることができる。但し、通常、抽出温度が過度に高いと抽出成分の免疫賦活能の活性を阻害する場合があるために、より低温度で、短時間で、行うことが好ましい。加熱せず抽出を行う場合は常温(10〜25℃)で行うことができる。更に、抽出時間は特に限定されず、例えば、0.5〜168時間(好ましくは0.5〜120時間、より好ましくは0.5〜72時間)とすることができる。また、pH調整を行ってもよく、pH調整を行わなくてもよい。pH調整を行うことで抽出効率を向上させることができる。
【0020】
これらの各抽出条件における抽出物のなかでも、特に温度32〜45℃(特に35〜40℃)の水(温水)による抽出物が少なくとも含有されることが好ましい。即ち、温度32〜45℃の水によって抽出されたメシマコブ抽出物、温度32〜45℃の水によって抽出されたマイタケ抽出物及び温度32〜45℃の水によって抽出されたモズク抽出物が含有されることが好ましい。
尚、この温度32〜45℃の水による抽出物が含有されるとは、この温度32〜45℃の水のみによる抽出物以外にも、例えば、水と水以外の抽出溶媒との混合溶媒で温度32〜45℃で抽出して得られた抽出物にも含まれる抽出物である。
【0021】
上記抽出により得られる抽出液と抽出残渣との分離方法は特に限定されず、例えば、フィルタプレス及び濾過(加圧、常圧)等により分離できる。抽出残渣から分離された抽出液は、そのまま免疫賦活剤として用いることができる。また、抽出液から抽出溶媒を除去して用いることもできる。抽出液からの抽出溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば、噴霧乾燥法、エバポレーション及び凍結乾燥法等により行うことができる。抽出液から分取された固形分(免疫賦活剤)はそのまま用いてもよく、更に精製を行ってもよい。即ち、この固形分を水及び/又は有機溶媒等に溶解させた後、濾過を行って夾雑物等を除去し、その後、溶媒を除去して精製することができる。更に、必要に応じて、滅菌処理等を施すことができる。
【0022】
抽出(抽出工程)を行う前には各種前処理工程を行うことができる。前処理工程としては、殺菌処理工程、粉砕処理工程、細胞壁構成成分を分解させる酵素処理工程等が挙げられる。殺菌処理工程は、紫外線照射、脱酸素、加熱等により行うことができる。粉砕処理工程における粉砕方法は特に限定されず、各種ミル等を用いることができる。この粉砕処理を行うことで抽出効率を向上させることができる。粉砕粒径は特に限定されないが、通常、10〜1000μmとすることができる。酵素処理工程は、各種酵素に適した溶媒、pH及び温度等の環境に酵素と抽出対象物(粉砕後物でもよい)を浸漬して行うことができる。この際には、例えば、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びペクチナーゼ等のうちの1種又は2種以上の酵素を用いることができる。
【0023】
免疫賦活剤は、免疫賦活成分(免疫賦活能を発揮させることができる成分、特にTNF−αの分泌を誘導する成分)として、本免疫賦活剤の効果が得られる範囲においてメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の他の成分を含有してもよいが、含有しなくてもよい。即ち、免疫賦活剤は、免疫賦活成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有する免疫賦活剤とすることができる。
また、免疫賦活剤の効果が得られる範囲において上記免疫賦活成分以外の他の成分を含有できる。即ち、例えば、成形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、滑沢剤、担体、溶剤、増量剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤、被覆剤、吸収促進剤、凝固剤、保存剤(安定剤、防湿剤、着色防止剤、酸化防止剤等)、矯味剤、矯臭剤、着色剤、消泡剤、無痛化剤、帯電防止剤及びpH調節剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記のうち例えば、成形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、コーンスターチ及びアルギン酸等が挙げられる。結合剤としては、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、水及びエタノール等が挙げられる。崩壊剤としては、澱粉、アルギン酸、寒天、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース及び澱粉グリコール酸ナトリウム等が挙げられる。崩壊抑制剤としては、ステアリルアルコール、ステアリン酸、カカオバター及び水素添加油等が挙げられる。滑沢剤としては、硬化植物油誘導体、胡麻油、サラシミツロウ、カルナバロウ、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリエチレングリコール等が挙げられる。担体としては、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びコロイド状ケイ酸等が挙げられる。吸収促進剤としては、第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、尿素及び酵素等が挙げられる。
【0025】
免疫賦活剤の形態は特に限定されず、固形状、粉末状、顆粒状、クリーム状、液状等とすることができる。また、上記各々の形態において、錠剤(糖衣錠、ゼラチン被包錠、胃溶性被覆錠、腸溶性被覆錠及び水溶性フィルムコーティング錠等)、カプセル剤(硬質ゼラチンカプセル剤及び軟質カプセル剤等)、散剤、顆粒剤、液剤、軟膏剤及び貼付剤などとすることができる。更に、各々経口剤、注射剤、坐剤、外用剤及び飲食物添加剤等として用いることができる。
【0026】
免疫賦活剤は、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分を含有する。これにより、メシマコブ成分のみである場合、マイタケ成分のみである場合、モズク成分のみである場合、メシマコブ成分を含有しない場合、マイタケ成分を含有しない場合、モズク成分を含有しない場合のいずれの場合の比べても特異的に高いサイトカイン分泌誘導能を発揮できる。特にサイトカインのなかでもTNF−αの分泌誘導能に優れている。また、本免疫賦活剤を構成する各成分を単用した場合と少なくとも同等のIL12の分泌誘導能を発揮できる。
【0027】
従って、免疫賦活剤は、各種異常細胞(腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、自己反応性細胞等)に対して用いることができ、なかでも腫瘍細胞(癌細胞を含む)に好適である。腫瘍細胞による腫瘍は、悪性及び良性を含むものである。更に、各腫瘍には造血器性、上皮性及び非上皮性を含むものである。これらのなかでも癌細胞に好適であり、各種悪性腫瘍に対して好適である。即ち、癌細胞を伴う造血器性腫瘍としては、白血病、多血症、血小板血症及び骨髄線維症等の骨髄増殖性疾患が挙げられる。このうち白血病は、急性、慢性、骨髄性、単球性及びリンパ性などを含むものである。更に、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫等)、骨髄腫、形質細胞性腫瘍(多発性骨髄腫、形質細胞腫、原発性マクログロブリン血症等)などを含むものである。また、上皮性悪性腫瘍及び非上皮性悪性腫瘍としては、肺癌、乳癌、前立腺癌、大腸癌、結腸腺癌、頸部癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膀胱癌、ウィルムス腫瘍、線維肉腫、骨肉種、黒色腫、骨膜肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、神経内分泌腫瘍、腎臓癌、頭頸部癌、鼻咽頭癌、胃癌、食道癌、肝癌、胆道癌、肉腫、皮膚癌、甲状腺癌、睾丸腫瘍、膵臓癌、中皮腫等が挙げられる。
【0028】
本免疫賦活剤の使用方法は特に限定されず、投与する対象(ヒト、又はその他の動物、これらの年齢、体重及び性別)、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、投与方法(経口投与、注射剤投与、外用投与、坐剤投与等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)投与されることが好ましい。また、その際には、1回で投与してもよく、2回以上に分割して投与してもよい。
【0029】
[3]アポトーシス誘導剤
上記アポトーシス誘導剤は、マイタケ成分及びモズク成分を含有することを特徴とする。このアポトーシス誘導剤によれば、アポトーシス機構が抑制された各種細胞に対してアポトーシスを誘導できる。特にこのアポトーシス誘導剤は、各構成成分を単用する場合に比べて、2成分を併用することで大幅にアポトーシスの誘導を向上させることができる。また、特に癌細胞のアポトーシスを誘導する効果が高い。更に、このアポトーシス誘導剤は、マイタケ成分及びモズク成分に加えて、メシマコブ成分を含有することが好ましい。この場合は、アポトーシス誘導能を更に向上させることができる。
また、このアポトーシス誘導剤に含有される上記メシマコブ成分は、メシマコブの抽出物であることが好ましく、上記マイタケ成分は、マイタケの抽出物であることが好ましい。これらの少なくとも一方、更には、両方が抽出物である場合には、特に高効率にアポトーシスの誘導を行うことができる。
【0030】
上記「メシマコブ成分」、上記「マイタケ成分」及び上記「モズク成分」は、前記免疫賦活剤における各々の成分をそのまま適用できる。また、その好ましい含有量も前記免疫賦活剤における各々の好ましい含有量をそのまま適用できる。更に、各成分のうちの抽出物における抽出条件等は特に限定されず、前記免疫賦活剤における各々をそのまま適用できる。従って、抽出物が含有される場合には、特に温度32〜45℃(特に35〜40℃)の水(温水)による抽出物が少なくとも含有されることが好ましい。
【0031】
アポトーシス誘導剤は、アポトーシス誘導成分(アポトーシス誘導能を発揮させることができる成分)として、本アポトーシス誘導剤の効果が得られる範囲においてメシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の他の成分を含有してもよいが、含有しなくてもよい。即ち、アポトーシス誘導剤は、アポトーシス誘導成分として、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有するアポトーシス誘導剤とすることができ、更には、アポトーシス誘導成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有するアポトーシス誘導剤とすることができる。
また、アポトーシス誘導剤は、アポトーシス誘導剤の効果が得られる範囲において上記アポトーシス誘導成分以外の他の成分を含有できる。他の成分としては、前記免疫賦活剤における他の成分をそのまま適用できる。更に、アポトーシス誘導剤の形態は特に限定されず、前記免疫賦活剤における形態をそのまま適用できる。
【0032】
アポトーシス誘導剤は、実施例においても例示するように細胞のアポトーシスを誘導することができる。このためアポトーシス機構が抑制等されることによって引き起こされる疾患の予防及び治療に用いることができる。即ち、このような疾病としては、癌などの腫瘍、滑膜細胞の異常増殖による炎症に起因する慢性関節リウマチ及びウイルス感染(ヘルペスウイルス、アデノウイルス等)が挙げられる。これらの疾病のなかでも特に腫瘍に対して好適である。即ち、腫瘍細胞のアポトーシスを特に確実に誘導できる。上記腫瘍としては、前記免疫賦活剤において示した各種癌等の腫瘍をそのまま適用できる。
【0033】
本アポトーシス誘導剤の使用方法は特に限定されず、投与する対象(ヒト、又はその他の動物、これらの年齢、体重及び性別)、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、投与方法(経口投与、注射剤投与、外用投与、坐剤投与等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)投与されることが好ましい。また、その際には、1回で投与してもよく、2回以上に分割して投与してもよい。
【0034】
[4]癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物
本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物(以下、単に「飲食物」という)は、マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有する。
この飲食物は、上記免疫賦活剤及び/又は上記アポトーシス誘導剤を含有できる。上記免疫賦活剤及び上記アポトーシス誘導剤は、前記各々をそのまま適用できる。本発明の飲食物においては、免疫賦活剤のみを含有することもでき、また、アポトーシス誘導剤のみを含有することもできるが、免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤の両剤が含有された飲食物が特に好ましい。
【0035】
また、本発明の飲食物には、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分以外の免疫賦活成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。同様に、これら3成分以外のアポトーシス誘導成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。他の免疫賦活成分及び他のアポトーシス誘導成分を含有しない飲食物とは、即ち、免疫賦活成分及びアポトーシス誘導成分として、メシマコブ成分、マイタケ成分及びモズク成分のみを含有する飲食物である。
【0036】
本発明の飲食物に含有される免疫賦活剤及びアポトーシス誘導剤の量は特に限定されないが、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。また、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して50mg以上(通常、25000mg以下)含有されることが好ましい。更に、メシマコブ成分が含有される場合にはメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して50mg以上(通常、5000mg以下)含有されることが好ましい。
【0037】
本発明の飲食物の摂取方法は特に限定されず、摂取するヒトの年齢、体重及び性別、症状、目的とする効果(予防、抑制、改善、治療、治癒等)、使用期間、その他各種条件により適宜のものとすることが好ましい。例えば、1日あたり通常の成人に対して、マイタケ成分はマイタケ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)、モズク成分はモズク原体の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、500mg/kg以下)、メシマコブ成分はメシマコブ抽出物の乾燥物に換算して1mg/kg以上(通常、100mg/kg以下)摂取されることが好ましい。また、その際には、1回で摂取してもよく、2回以上に分割して摂取してもよい。
【0038】
本発明の飲食物は特定の保健効果が認められる飲食物、又は、免疫賦活成分及びアポトーシス誘導成分の機能を活かした機能性飲食物等とすることができる。飲食物の形態は特に限定されず種々のものとすることができる。即ち、例えば、液状食品、固形食品、半流動食品及びゲル状食品等が挙げられる。即ち、例えば、アルコール含有飲料(酒、焼酎、ビール等)、清涼飲料(炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー、ココア及び茶等)、乳、乳酸菌飲料、乳製品、氷菓子、飴、ガム、焼き菓子(ビスケット、クッキー等)、加工穀物(パン、麺、シリアル、強化米等)、加工水産物(モズク等)などが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]免疫賦活剤
(1)実施例1、比較例1〜7の免疫賦活剤等の調整
下記に示す抽出物及び原末を各々別々に純水に添加して10質量%液を調整した。得られた各10質量%液を40℃に48時間保って抽出を行った。その後、孔径0.22μmのフィルター(日本ミリポア株式会社製、マイレクスGS)を用いて濾過して非水溶性成分と水溶性成分とを分離した。このようにして下記比較例1〜3の水溶液を得た。また、これらの比較例1〜3の水溶液を2種ずつ混合して比較例4〜6の混合水溶液を得た。更に、これらの比較例1〜3の水溶液3種を混合して実施例1の混合水溶液を得た。また、比較例7(コントロール)として純水のみを用いた。
実施例1;メシマコブ抽出物水溶液とマイタケ抽出物水溶液とモズク抽出物水溶液との混 合水溶液
比較例1:メシマコブ抽出物水溶液
比較例2:マイタケ抽出物水溶液
比較例3:モズク抽出物水溶液
比較例4:メシマコブ抽出物水溶液とマイタケ抽出物水溶液との混合水溶液
比較例5:マイタケ抽出物水溶液とモズク抽出物水溶液との混合水溶液
比較例6:モズク抽出物水溶液とメシマコブ抽出物との混合水溶液
比較例7:純水
【0040】
メシマコブ成分 ;株式会社韓国新薬製、メシマコブ抽出物(熱水抽出物)、粉末状
マイタケ成分 ;Guilin Layn Natural lngredients社製、マイタケ抽出物(熱水抽出物)、粉末状
モズク成分 ;沖縄県つけん島モズク事業協同組合製、モズク乾燥粉末(非抽出物)
【0041】
(2)ヒトリンパ球の培養
ヒトの上腕部より採取した20mLの血液からLymphoprep(Nycomed Pharma AS社製)を用いてリンパ球を単離した。得られたリンパ球を96穴プレートの各ウェルに50万〜100万個/mLで播種し、更に、上記(1)で得られた実施例1及び比較例1〜6の各水溶液を表1に示す量となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養を行った。培養には血清(10%FCS)、β−メルカプトエタノール(50μM)及びL−グルタミン(2mM)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0042】
【表1】
表1中の「μg/mL」とは、ウェル内の濃度を表す。ウェル内の液体量に対する上記[1](1)で用いた非抽出物(メシマコブ抽出物及びモズク原末等)の作用量を意味する。
【0043】
(3)TNF−α及びIL12の測定
TNF−αの分泌量を測定するため、上記培養を開始してから6時間後の培養上清を回収し、ELISA法を行った。この測定に際してはEndogen社製の品名「Endogen Human TNFα ELISA Kit」を用いた。また、定量にはVmaxプレートリーダー(Molecular Devices社製)を測定波長450nmで用いた。この結果を表1に示し、グラフ化して図1に示した。
更に、IL−12の分泌量を測定するため、上記培養を開始してから6時間後の培養上清を回収し、ELISA法を行った。しかし、IL−12を検出できなかったため、上記培養を開始してから24時間後の培養上清を回収し、ELISA法を行った。この測定に際してはEndogen社製の品名「Endogen Human IL12 ELISA Kit」を用いた。また、定量にはVmaxプレートリーダー(Molecular Devices社製)を測定波長450nmで用いた。この結果を表1に併記し、グラフ化して図1に示した。
【0044】
(4)免疫賦活能の評価
表1及び図1より、TNF−αの分泌量は、比較例1(メシマコブ成分)と比較例4(メシマコブ成分+マイタケ成分)とを比較すると比較例4では44%減少している。また、比較例2(マイタケ成分)及び比較例3(モズク成分)と比較例5(マイタケ成分+モズク成分)とを比較すると、比較例2と比較例5とはほぼ同じであり、比較例3と比較例5ともほぼ同じである。更に、比較例1(メシマコブ成分)と比較例6(メシマコブ成分+モズク成分)とを比較すると、比較例1と比較例6ともほぼ同じである。このように、単独でTNF−αの分泌誘導効果が認められる成分同士を併用した場合の効果の向上は必ずしも認められるものではなく、場合によっては単用に比べて併用によって効果が劣ることもある。
【0045】
これに対して、実施例1の分泌量は2001pg/mLであり、比較例2に対して43%増加、比較例3に対して44%増加、比較例1に対して22%増加、といずれも単用した場合に比較して3成分を併用した場合には著しく大幅な効果の向上が認められる。即ち、実施例1は優れたTNF−α分泌誘導能を有していることが分かる。この2成分の併用では認められない効果が、3成分を併用した場合に特異的に認められる要因は不明である。
【0046】
また、表1及び図1より、IL12の分泌量は、比較例1〜3である各成分を単用した場合と比べて、実施例1では同程度(−11.4〜+20.0%)に保たれていることが分かる。表1及び図1は、TNF−αのみでなくIL12も発現誘導させていることから、早期の免疫応答反応のみでなく、獲得免疫をも賦活化させると考えられる。
【0047】
つまり、実施例1は比較例1〜3である各成分を単用した場合と比べてTNF−αを早期に発現誘導させていることが分かる。即ち、TNF−αの発現から促された早期の免疫応答反応は、獲得免疫機構を効果的に賦活化し、癌細胞などの以上細胞をより強力に排除できる。また、ウイルスや細菌などの感染のような早期の免疫応答反応がカギとなる疾病に対して特に有効であると考えられる。
【0048】
[2]アポトーシス誘導剤
(1)実施例1のアポトーシス誘導剤
前記[1](1)で調製した実施例1の免疫賦活剤をそのまま、実施例1のアポトーシス誘導剤として用いた。また、前記[1](1)で調製した比較例5の抽出水溶液をそのまま実施例2として用いた。更に、前記[1](1)で調製した比較例1〜4及び6の各抽出水溶液をそのまま比較例1〜4及び6として用いた。また、前記[1](1)で調整した比較例7をそのまま比較例7のコントロールとして用いた。
【0049】
(2)ヒト骨髄性白血病由来細胞の培養(アネキシンV染色による評価用)
ヒト骨髄性白血病由来細胞HL60(以下、単に「HL60細胞」という)を24穴プレートの各ウェルに20万個/mLで播種し、更に、上記[2](1)の実施例1〜2、比較例1〜4及び比較例6〜7の各水溶液を表2に示す量(免疫賦活剤における配合と同じ)となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養を行った。培養には血清(10%FCS)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0050】
【表2】
【0051】
(3)アポトーシス誘導能の評価(アネキシンV染色による評価)
上記(2)で48時間培養したHL60細胞を、市販の染色キット(TREVIGEN社製、品名「TACS Annexin V Kits」)を用いて細胞を染色し、フローサイトメーター(BD Biosciences社製、型式「FACS Calibur」)を用いて各細胞の蛍光強度を測定し、得られたデータをプロットして図2(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分)、図3(比較例1;メシマコブ成分)、図4(比較例2;マイタケ成分)、図5(比較例3;モズク成分)、図6(比較例7;コントロール)に各々示した。これら図2〜6の結果より、各図中の右下領域にプロットが現れていることから初期アポトーシスが認められることが分かる。尚、初期アポトーシスを生じた細胞の全細胞に対する割合は実施例1が25.44%、比較例1が4.95%、比較例2が13.33%、比較例3が5.63%、比較例7が7.91%であった。
【0052】
(4)ヒト骨髄性白血病由来細胞の培養(DNAラダー法による評価用)
HL60細胞を24穴プレートの各ウェルに40万個/mLで播種し、更に、上記[2](1)の実施例1〜2、比較例1〜4及び比較例6〜7の各水溶液を表2に示す量(免疫賦活剤における配合と同じ)となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養を行った。培養には血清(10%FCS)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0053】
(5)アポトーシス誘導能の評価1
(DNAラダー法による測定−添加成分量を800μg/mLずつ使用した試験)
市販のTUNEL法による染色キット(TREVIGEN社製、品名「FlowTACS FITC」)を用いて断片化されたDNAの3’−OH末端を標識(染色)し、フローサイトメーター(BD Biosciences社製、型式「FACS Calibur」)を用いて標識されたDNAの断片数を測定した。得られたデータをプロットして図7(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−48h培養)、図8(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−72h培養)、図9(実施例2;マイタケ成分+モズク成分−48h培養)、図10(実施例2;マイタケ成分+モズク成分−72h培養)、図11(比較例1;メシマコブ成分−48h培養)、図12(比較例1;メシマコブ成分−72h培養)、図13(比較例2;マイタケ成分−48h培養)、図14(比較例2;マイタケ成分−72h培養)、図15(比較例3;モズク成分−48h培養)、図16(比較例3;モズク成分−72h培養)、図17(比較例4;メシマコブ成分+マイタケ成分−48h培養)、図18(比較例4;メシマコブ成分+マイタケ成分−72h培養)、図19(比較例6;メシマコブ成分+モズク成分−48h培養)、図20(比較例6;メシマコブ成分+モズク成分−72h培養)、図21(比較例7;コントロール−48h培養)、図22(比較例7;コントロール−72h培養)に各々示した。更に、断片化されたDNAの割合をアポトーシス誘導率として算出した。この結果を表2に併記した。また、この結果をグラフにして図23に示した。
【0054】
図7〜23及び表2より、48時間におけるアポトーシス誘導率について、比較例1(メシマコブ成分)、比較例3(モズク成分)及び比較例6(メシマコブ成分+モズク成分)のアポトーシス誘導能は比較例7(コントロール)と同等程度でありほとんど認められないことが分かる。また、比較例2(マイタケ成分)は18.25%と多少のアポトーシス誘導能が認められる。
更に、比較例4(マイタケ成分+メシマコブ成分)は20.08%と多少のアポトーシス誘導能が認められる。しかし、比較例4は、比較例1(メシマコブ成分)の1.35%と比較例2(マイタケ成分)の18.25%との合計である19.60%と近いアポトーシス誘導率であり、単に相加的な効果が得られただけであると考えられる。
【0055】
これに対して、実施例2(マイタケ成分+モズク成分)では56.55%と高いアポトーシス誘導率が認められる。このアポトーシス誘導率は、実施例2を構成する比較例2(マイタケ成分)と比較例3(モズク成分)とを併用した場合に想定される相加値(21.58%)を大きく上回る値である。即ち、実施例2のアポトーシス誘導率は、相加的な効果では得られない特異的なアポトーシス誘導能であることが分かる。
【0056】
更に、実施例1(メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分)では90.68%と著しく高いアポトーシス誘導率が得られている。即ち、実施例2の結果から考えると、この実施例2を構成する2成分に更に、単独ではアポトーシス誘導能がほとんど認められないメシマコブ成分を追加することで、著しく高いアポトーシス誘導率が得られていることとなり、予測不可能な極めて特異的な効果であることが分かる。また、この実施例1のアポトーシス誘導率は、実施例1を構成する3成分の相加値をはるかに超える高い誘導率でもあり、このことからも、極めて特異的な効果であることは分かる。
【0057】
(6)アポトーシス誘導能の評価2
(DNAラダー法による測定−添加成分量を2400μg/mLに統一した試験)
前記[1](1)で調製した実施例1の免疫賦活剤をそのまま、実施例1のアポトーシス誘導剤として用いた{上記(5)と同じ}。また、前記[1](1)で調製した比較例1〜3の各抽出水溶液をそのまま比較例1〜3として用いた。
更に、上記[2](2)と同様に、HL60細胞を24穴プレートの各ウェルに20万個/mLで播種し、更に、実施例1、比較例1〜3及び比較例7の各水溶液を表3に示す量(免疫賦活剤における配合と同じ)となるように添加して、37℃、5%CO2の培養条件下で培養(48時間及び72時間)を行った。培養には血清(10%FCS)を含有するRPMI−1640を使用した。
【0058】
その後、上記(5)と同様にDNAラダー法により、DNAの断片数を測定し、得られたデータをプロットして図24(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−48h培養)、図25(実施例1;メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分−72h培養)、図26(比較例1;メシマコブ成分−48h培養)、図27(比較例1;メシマコブ成分−72h培養)、図28(比較例2;マイタケ成分−48h培養)、図29(比較例2;マイタケ成分−72h培養)、図30(比較例3;モズク成分−48h培養)、図31(比較例3;モズク成分−72h培養)、図32(比較例7;コントロール−48h培養)、図33(比較例7;コントロール−72h培養)に各々示した。更に、断片化されたDNAの割合をアポトーシス誘導率として算出した。この結果を表3に併記した。また、この結果をグラフにして図34に示した。
【0059】
【表3】
【0060】
図24〜33、表3及び図34より、実施例1(メシマコブ成分+マイタケ成分+モズク成分)では72時間では、94.04%と著しく高いアポトーシス誘導率が得られている。即ち、比較例1〜3の結果から考えると、各成分の全体成分量を2400μg/mLに統一したとしても、実施例1のアポトーシス誘導率には全く及ばないことが分かる。従って、実施例1では、各単成分を併用することで、著しく高いアポトーシス誘導率が得られていることとなり、予測不可能な極めて特異的な効果であることが分かる。
【0061】
[3]抗腫瘍剤及び癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物
上記[1]で免疫賦活効果が認められ、特にリンパ球からのTNF−αの分泌が大幅に向上されていること、また、上記[2]でHL60に対する高いアポトーシス誘導能が認められていることから、本発明の抗腫瘍剤は、免疫賦活剤及び/又はアポトーシス誘導剤を含有することで優れた抗腫瘍性を発揮することが分かる。同様に、本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物は、免疫賦活剤及び/又はアポトーシス誘導剤を含有することで優れた抗腫瘍性を発揮することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物及び抗腫瘍剤は、食品分野及び医療分野等で広く利用できる。例えば、保健飲料、健康食品、保健食品、医薬品等として利用される。特に癌の予防、癌細胞増殖の抑制の目的で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施例で測定したサイトカインの分泌誘導能を実施例及び比較例毎にグラフ化した説明図である。
【図2】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図3】比較例1を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図4】比較例2を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図5】比較例3を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図6】比較例7を用いてHL60を48時間培養した後にアネキシンV染色して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図7】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図8】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図9】実施例2(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図10】実施例2(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図11】比較例1を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図12】比較例1を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図13】比較例2を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図14】比較例2を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図15】比較例3を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図16】比較例3を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図17】比較例4を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図18】比較例4を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図19】比較例6を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図20】比較例6を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図21】比較例7を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図22】比較例7を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図23】表2のDNAラダー法による結果をグラフ化した説明図である。
【図24】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図25】実施例1(アポトーシス誘導剤)を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図26】比較例1を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図27】比較例1を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図28】比較例2を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図29】比較例2を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図30】比較例3を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図31】比較例3を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図32】比較例7を用いてHL60を48時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図33】比較例7を用いてHL60を72時間培養した後にDNAラダー法を施して得られたフローサイトメーターのチャートである。
【図34】表2のDNAラダー法による結果をグラフ化した説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有し、癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物。
【請求項2】
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である請求項1に記載の飲食物。
【請求項3】
上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である請求項1又は2に記載の飲食物。
【請求項4】
アポトーシス誘導作用及び免疫賦活作用を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の飲食物。
【請求項5】
マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有することを特徴とする抗腫瘍剤。
【請求項6】
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である請求項5に記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である請求項5又は6に記載の抗腫瘍剤。
【請求項1】
マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有し、癌患者の治療のための又は癌の予防のための飲食物。
【請求項2】
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である請求項1に記載の飲食物。
【請求項3】
上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である請求項1又は2に記載の飲食物。
【請求項4】
アポトーシス誘導作用及び免疫賦活作用を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の飲食物。
【請求項5】
マイタケ成分、モズク成分及びメシマコブ成分を含有することを特徴とする抗腫瘍剤。
【請求項6】
上記マイタケ成分がマイタケの抽出物である請求項5に記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
上記メシマコブ成分がメシマコブの抽出物である請求項5又は6に記載の抗腫瘍剤。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1】
【図23】
【図34】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1】
【図23】
【図34】
【公開番号】特開2007−153880(P2007−153880A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304491(P2006−304491)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物に発表 発行者名・日本癌学会 刊行物名:第65回 日本癌学会学術総会記事 発行年月日:平成18年8月28日 学術団体の研究集会において文書をもって発表 研究集会名:第65回 日本癌学会学術総会 主催者名・日本癌学会 開催日:平成18年9月28日から30日
【出願人】(399087433)日本製薬工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物に発表 発行者名・日本癌学会 刊行物名:第65回 日本癌学会学術総会記事 発行年月日:平成18年8月28日 学術団体の研究集会において文書をもって発表 研究集会名:第65回 日本癌学会学術総会 主催者名・日本癌学会 開催日:平成18年9月28日から30日
【出願人】(399087433)日本製薬工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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