説明

駆動アセンブリ

【課題】効率が改善された、適用可能な用途がより多様な駆動装置を実現する。
【解決手段】駆動アセンブリは、車輪回転軸線を有する車輪と、動作時に車輪に駆動モーメントを加える電気モータを含む駆動手段と、を有する。電気モータは、複数の巻き線を有するステータと、ステータの周りに複数の永久磁石を備えているロータとを有している同期モータであり、ステータは静止して乗り物に接続され、ロータはステータの周りを回転するように配置された永久磁石を有し、かつ車輪の車軸に接続されている。車輪は、駆動アセンブリが動作中に道路の表面と係合する外部表面を有する駆動アセンブリにおいて、ロータの内側半径を前記車輪の半径の大きさで割った駆動率が0.7よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪と駆動手段とを有している駆動アセンブリ、および少なくとも1つのそのような駆動アセンブリを備えている乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪を、燃焼エンジン、(ジェット)タービン、またはたとえば電気モータなどの駆動手段によって駆動するのが一般に行われている。駆動手段は、通常、加速付きギヤボックスまたは無段変速機(CVT)等の減速変速機によって車輪に接続されている。
【0003】
一方、オランダ特許出願公開明細書第1014182号に記載されているように、車輪内に取り付けられている電気モータが知られている。 EPO特許出願公開明細書第0 588 478号は、そのような車輪の多数の模式図を使用して、寸法と詳細についてはより詳細には触れずに、車輪内の電気モータについて記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】オランダ特許出願公開明細書第1014182号
【特許文献2】EPO特許出願公開明細書第0 588 478号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、効率が改善された、適用可能な用途がより多様な駆動装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、
車輪回転軸線を有する車輪と、
動作時に前記車輪に駆動モーメントを加える電気モータを含む駆動手段と、
を有し、
前記電気モータは、複数の巻き線を有するステータと、前記ステータの周りに複数の永久磁石を備えているロータとを有している同期モータであり、前記ステータは静止して前記乗り物に接続され、前記ロータは前記ステータの周りを回転するように配置された前記永久磁石を有し、かつ前記車輪の車軸に接続されており、
前記車輪は、前記駆動アセンブリが動作中に道路の表面と係合する外部表面を有する駆動アセンブリにおいて、ロータの内側半径を前記車輪の半径の大きさで割った駆動率が0.7よりも大きい、
ことを特徴とする駆動アセンブリを提供する。
【0007】
車輪の半径に対するアームのそのような比率を選択することによって、一方では実用的な乗り物の製造を可能にする有効な状態が得られ、他方では効率が最適化される。
【0008】
前述のオランダ特許に記述されているような車輪内の電気モータに関する試験と研究によって、オランダ特許出願公開明細書第1014182号に記述された実施形態に関する効率を、駆動モーメントのアームを車輪の半径にできるだけ近くした場合に、さらに改良できる可能性のあるという発見と洞察が得られた。
【0009】
さらに、エネルギーを使用するその他の構成部品の純損失を大幅に減少させる他の効果があることもわかった。効率の向上によって、予期したよりも容量の小さいモータを駆動に使用することができる。したがって、必要な電池容量も減少させることができる。さらに、充電器やその他の電子部品などのいくつかの部品をより軽量な構造にすることができる。その結果、必要なモータ容量をさらに小さくすることができる。その結果、理論的に計算された駆動よりもはるかに効率的な駆動が可能なことが明らかになった。
【0010】
その結果、その時点で計算され、そして知られていた効率を超える効率の改善が可能になった。
【0011】
ここで、アームは、回転の軸線つまりロータの中心と、駆動手段が駆動軸つまりロータを回転させるように駆動軸つまりロータに作用させる力の作用線との間の距離によって定義される。
【0012】
本発明の駆動装置は、電気モータが使用されている場合に、構造の実現が技術的に容易なことがわかった。
【0013】
たとえば、複数の巻き線を有しているステータと、周囲に取り付けられている複数の永久磁石を有しているロータ(いわゆる外部作動ロータ、“buitenloper”)とを備えている電気モータを使用しており、ステータは、不動状態で、乗り物に連結されており、複数の永久磁石を有しているロータは、ステータを中心に回転し、かつ車輪の車軸と車輪に接続されている場合、アームはロータの内径の半分、たとえばロータの内側の半径になる。そのような設定によって、驚異的に高効率の本発明の駆動装置を実現することができる。
【0014】
電気モータは、ロータとして駆動軸に取り付けられている複数の巻き線を有していてもよく、複数の永久磁石はステータの外側に不動状態に取り付けられていても良い。この場合、アームはロータの直径の半分である。種々の変形も可能である。
【0015】
駆動手段が電気モータを有している実施態様では、ステータは複数の巻き線を有することになり、ロータは複数の永久磁石を有することになる。その結果、複雑な電力供給は必要なく、電気モータの構造を簡略化できる。さらに、乗り物への接続、つまり組み込みも簡略化できる。ロータが複数の巻き線内で回転する、内部作動ロータ(“binnenloper”)をここで選択することも可能で、外部作動ロータ(“buitenloper”)は複数の巻き線を中心に回転する。できるだけ大きい駆動率を実現するには、外部作動ロータ(“buitenloper”)が好ましい。
【0016】
一実施態様では、車輪はタイヤ、好ましくは空気入りタイヤを備えている。車輪の半径には、タイヤの厚さも含まれている。タイヤを備えている乗り物の場合、本発明の駆動アセンブリを選択する明白な理由は少ない。
【0017】
簡単な取り付けについての他の実施態様では、駆動手段は、車軸と駆動手段の駆動軸との間に角度をつけることが可能な接続手段によって取り付けられている。そのような接続手段の例としては、差動伝達装置、いわゆるホモキネティックカプリング(homokinetic coupling)の使用、または、同様な手段がある。
【0018】
一実施態様では、複数の巻き線は、不動状態で乗り物に接続されており、複数の永久磁石が複数の巻き線の周囲に配置され、かつ駆動軸に接続されている。その結果、電力の供給が簡単なため、構造を簡略化することができる。さらに、複数の磁石が取り付けられているロータは、軽量な構造にすることができる。
【0019】
本発明の駆動アセンブリの一実施態様では、駆動率は0.65よりも大きい。駆動手段を適切に選択することにより、この駆動率が実現可能であると考えられた。他の実施態様では、駆動率は0.7よりも大きい。しかし、これは、駆動手段の設計に対する要求が高いことを意味する。
【0020】
一実施態様では、駆動率は1.0よりも小さく、好ましくは0.95よりも小さい。その場合、車輪の材質と種類を適切に選択しなければならない。たとえば、空気入りタイヤを使用する場合、空気入りタイヤの例外的な種類と型とを選択しなければならなくなる。
【0021】
本発明の駆動アセンブリの一実施態様では、駆動手段は電気モータを含んでいる。電気モータは、本発明の駆動アセンブリで使用するのに特に適していることがわかっている。たとえば、電気モータは低い回転数で高いトルクを発生する。さらに、注意深い設計によって、駆動率に対する本発明の要求に応じた駆動が実現される。
【0022】
本発明の他の実施態様では、電気モータは複数の永久磁石を備えている同期モータである。このようにして、モータは単純な構造を有することができる。さらに、複数の永久磁石を使用することによって、モータを十分に小型に作ることができる。
【0023】
駆動手段が電気モータである本発明の駆動アセンブリの一実施態様では、電気モータは、乗り物内に、乗り物に対して静止状態で配置されている複数の巻き線を備えているステータと、複数の永久磁石を備えているロータとを有している。その結果、電気モータは、本発明で使用するのに十分に小型に作ることができる。
【0024】
一実施態様では、駆動手段は、ステータ内に、好ましくはステータに押し当てられている、電気モータを動作させる動作手段と制御手段とを有している。
【0025】
他の実施態様では、ロータは、ステータの周りにこれと同軸に配置され、かつ電気モータの駆動軸に接続されている(外部作動ロータ、“buitenloper”)。
【0026】
一実施態様では、駆動手段は、車輪に隣接して取り付けられている。
【0027】
一実施態様では、駆動手段は駆動軸を有し、駆動軸と車軸とは一直線に揃えられている。
【0028】
一実施態様では、駆動軸と車軸とは直接駆動のために接続されている。
【0029】
一実施態様では、駆動手段は駆動軸を有しており、駆動軸は車軸を直接駆動する。この実施態様の特別の実施態様では、駆動軸は車軸である。
【0030】
駆動手段が複数の磁石を備えている電気モータである、駆動アセンブリの一実施態様では、複数の永久磁石は車軸に連結されている。
【0031】
任意に、車軸と駆動軸は、車軸の縦方向の軸線と駆動軸の縦方向の軸線とが180°に等しくない角度にできる接続部分によって連結されていてもよい。このような接続部分の例としては、差動変速機とホモキネティックカプリングがある。
【0032】
一実施態様では、駆動手段が少なくとも0.3Nm/kg乗り物質量のトルクを発生する電気モータを有しているときには、効率をさらに改善できると考えられ、特に、本発明の、前述のような駆動アセンブリを備えている乗り物のエネルギー消費をさらに改善できると考えられる。少なくとも0.4Nm/kg乗り物質量において、さらなる改善が達成されると考えられる。このトルクは最大公称トルク(maximum nominal torque)である。電気モータは、その最大(公称)トルクのたとえば2倍のトルクをも短時間で出力することができる。しかし、前述の、一見して大きな、極端な寸法設定によって効率上の大きな利点が得られることがわかっている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の駆動ユニットを有している車輪の側面図である。
【図2】図1の車輪の断面の側面図である。
【図3】本発明の他の態様の特定の電気モータの図である。
【図4】本発明の駆動アセンブリ内の図3のモータの用途の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を、本発明の直接駆動される車輪の例示的な実施形態に基づいてさらに明確にする。
【0035】
図1は、本発明の直接駆動される車輪1の側面図を示している。ここで、タイヤ2は、車軸4に接続されているリム3に取り付けられている。車輪自体の外径はD1である。
【0036】
車軸4には電気モータ5が取り付けられ、駆動軸8が車軸4に接続されている。図示の実施形態では、駆動軸と車軸とは、一体である。
【0037】
この実施形態では、電気モータは、複数の巻き線7を備えているステータを内側に有している複数の永久磁石10を有しているロータ6を備えている、いわゆる同期モータを備えている。この実施形態では、複数の永久磁石10は、ロータ6によって駆動軸8に接続されており、複数の巻き線7は、乗り物に対して不動状態に接続されて、ステータを構成しており、ロータ6はステータを中心に作動する。その結果、単純で、軽量で、信頼性のある構造が達成され、本発明の駆動装置を容易に実現することができる。
【0038】
複数の巻き線を駆動軸に接続し、複数の永久磁石を乗り物に対して不動状態とすることもできる。さらに、複数の永久磁石を複数の巻き線内に取り付け、複数の永久磁石か複数の巻き線かのいずれかを不動状態に取り付けることも、もちろん可能である。
【0039】
図1に示されている電気モータにおいて、駆動軸8の中心からD2/2の距離で複数の出力が結合されている。D2はロータの内径である。これは、電気モータによって発生するモーメントのアームがD2/2であることを意味する。
【0040】
本発明によれば、D2/D1は>0.57である。D2がD1に近づくほど、効率が高くなり、損失をさらに減少させる追加の効果が大きくなると考えられている。
【0041】
図2は、図1の車輪の側面の断面図である。この側面図は、複数の永久磁石10と複数の巻き線7との間の空気スリット11を示している。本発明を明確に示すために、電気モータの直径をD2と示している。この直径は、ロータの内径である。
【0042】
物や人の道路による運送のための乗り物には好ましい空気入りタイヤの厚さと、電気モータの最大径に関して、1>D2/D1>0.65であることが好ましい。
【0043】
電気モータは、構造に関して、参照により本明細書に援用されるPCT特許出願公開明細書第01/54939号に記載されている電気モータとほぼ同一であることが好ましい。前述の特許出願公開明細書に記載されているように、様々な被駆動輪を1台の乗り物で協働することもできる。
【0044】
車輪は、タイヤ2と共に、表面9上を回転する。
【0045】
図3は、動作手段および制御手段用の第1のコンパートメント403と、実際の電気モータとコンパートメント403内の電子部品に計測データを供給するケーブル405用の通路とを備えている第2のコンパートメントとに再分割されているハウジング402を備えている電気モータ401を示している。一実施形態では、電気モータは車輪の外側に配置されている。
【0046】
電気モータは、電気モータのモータコンパートメント内で、ハウジングに取り付けられている複数の巻き線406を備えている。電気モータは、ハウジングのモータコンパートメント内に、ステータ巻き線406と同軸に回転可能に取り付けられているロータ407をさらに備えている。ロータは、複数の永久磁石408を備えている。
【0047】
2つまたは3つ以上の電気モータを互いに接続するために、ハウジングはハウジングを互いに接続する取り付け手段を備えている。
【0048】
さらに、ロータの軸線方向端部は、他のそのような電気モータのロータにロータを駆動接続する手段を備えている。ロータは、たとえば、ロータ全体を軸線方向に貫通して延びる穴を備えていてもよい。長い軸がすべてのロータを貫通して延びて、複数のロータを互いに接続していてもよい。この軸は、穴の凹部と協働して軸をロータと共に回転させる、たとえばカムを備えていてもよい。
【0049】
本実施形態では特に、ロータは、他の軸の端部をロータ軸に動作可能に接続するように収容可能なブッシュ410を備えており、他方の端部はホモキネティックカプリング411をロータの他方の端部に接続する取り付け手段を備えているロータ軸409を備えている。ハウジング402は、同様のハウジングをこのハウジングに取り付ける取り付け手段をさらに備えている。
【0050】
それから、電子部品、特に、デジタルデータを、光学的に、無線で、またはケーブル接続のいずれかによって、あるいは、たとえばTCP/IPプロトコルによって通信する(デジタル)ネットワーク内で送受信するデータ通信手段が互いに接続されると、機能的に単一の電気モータが構成される。
【0051】
図4は、接続軸420によって、動作するように互いに接続されている、図3に示しているような2つの電気モータ401を備えている本実施形態の乗り物419の一部を示している。コンパートメント403に収容されている両方の電気モータの動作用の電子部品は、接続部422によって互いに接続されている。特に、データ通信手段は、2つのモータが機能的に1つのモータに構成されるように互いに接続されている。ハウジング、接続部、ロータのカプリングは、任意の数の同一の電気モータが、1つの電気モータとして相互に協働して動作する動作上の単一物になるように、互いに連結可能であるようになっている。1つのホモキネティックカプリングや2つのホモキネティックカプリングなどの、2つの柔軟な屈曲部を備えている軸411によって、2つのモータは、車軸424を備えている車輪423に接続されている。車輪の直径はD1である。本実施形態では、空気スリット426の直径はD2である。この図に示している構成の結果、車輪の直径と比較して空気スリットの直径を非常に大きく選択することができ、空気スリットの直径D2は、車輪の直径D1よりも大きくすることもできる。このような直接駆動の結果、非常に大きなエネルギー利得を達成することができる。2つの電気モータをこのように接続することによって、本発明の他の態様による、規格化された電気モータを利用可能な駆動部を作ることができる。このような電気モータを図3に示している。軽量の乗用車には、たとえば、図3の電気モータを1つの車輪のいずれかの側に装備し、トラックや大型の乗用車には、たとえば、図4に示しているように車輪あたり2つの相互に接続された電気モータを装備することができる。
【0052】
図3に示している本発明の電気モータ用の電子制御部は、いくつかの部品からモジュラー形式に構築することができる。様々な部品は、階層的に互いに調整されている。以下の部品が、区分可能である。
【0053】
1.パワーモジュール
最下位の階層では、複数のIGBT主電流モジュールが使用された。IGBT主電流モジュール内に存在する構造は、それ自体信頼性が高く、低熱放射と最適な効率を保証する。主電流モジュールは、巻き線を流れる電流を調整する。巻き線は、3つのグループに分けられ、各々の位相は異なっている。巻き線あたり2つの主電流モジュールが設けられている。主電流モジュールは、上位の階層によって制御されており、それは以下のとおりである。
【0054】
2.電流レギュレータ
第2の階層では、2つのIGBT主電流モジュールが1つの電流レギュレータに接続され、電流レギュレータによって制御されている。ホール原理によって動作する独立した電流センサ(ホールセンサ)と共に、電流レギュレータは、付随しているモータ巻き線内の電流を制御する独立した最終階層を構成している。この階層では、モジュールと電流レギュレータは、動作用電子部品からすでに電気的に分離されている。2つの主電流モジュールを有している電流レギュレータとホールセンサは、さらに4Q−モジュールと呼ばれる。電流レギュレータを備えている主電流モジュールは制御装置を構成している。制御装置は巻き線ごとに存在している。
【0055】
3.ベクトルジェネレータ
ベクトルジェネレータは、制御値を複数のいわゆる4Q−モジュール(階層1と2)に供給し、それによって、4Q−モジュールは同期モータの巻き線よって磁場ベクトルを発生して、トルクのモーメントを定める。
【0056】
いわゆるエンコーダまたはレゾルバである、角度と回転数を非常に正確に計測する計測装置は、ベクトルジェネレータに知られている、セパレータに対するロータの実際の位置を計測する。いわゆるFPGAであるプログラマブルロジックモジュールと共に、ロータの位置とそれに関連しているフィードバック値を素早く計算することで、モータのフィールドベクトルの最適な設定が保証される。ロータ位置は、記録することもできる。
【0057】
マイクロプロセッサとFPGAとの組み合わせによって、ベクトルジェネレータの全体の機能は、光ファイバまたは電気ケーブルのいずれか好ましい方を通して完全にプログラム可能である。各電気モータは、たとえば、TCP/IPプロトコルによって通信可能で、コンピュータネットワークの一部となることができるネットワーク機能を備えていることが好ましい。これは、特定の用途に対して必要な新しいデータまたは修正を本発明の既に使用中の車輪に直接(電話やインターネットによって)実装可能なことを意味している。これらの修正は、FPGAのソフトウェアと見なされるだけではなく、モジュールのハードウェアとも見なされる。
【0058】
たとえば、たとえ巻き線またはモジュールが故障しても、車輪自体は継続して動作可能なように、モータ自体の駆動率を変更することができる。ベクトルジェネレータは、動作装置を構成している。前述の実施形態のエンコーダおよびホールセンサと付随する電子部品は計測装置を構成している。
【0059】
4.CPUつまり中央処理装置
最初の3つの階層は一緒に電気モータ内に収容されている。CPUは、電気モータの外側に配置され、光学リングデータバスライン(ORDABUL)または他のコンピュータネットワーク接続によって乗り物上に存在する可能性のある本発明のさまざまなモータと通信する。右左折をして(taking bends)、運転の考え方全体(complete driving concept)を診断するときに、推定航法(odmetrics)によって、走行した道路について、AGV(無人搬送車)に必要な計算を実行することもできる。各階層は、運転状態にとって重要な情報を監視しCPUに報告する。エラー報告は、上層の階層に即座に報告され、上層の階層は、損傷が発生する前に必要な措置を講じることで対応する。上層の階層は、エラーに対して正しく応答する緊急プログラムを起動することができる。その結果、1つのモジュール内のエラーが乗り物全体に影響することはほとんどない。
【0060】
モジュラー装置は、後で難しい調整と設定動作を行わずにすむように、簡単なエラー診断を実施して、該当する部品を素早く特定することを可能にする。
【0061】
非同期および同期モータの一般的な制御との重要な違いは、好適な実施形態では3つのグループに再分割されており、各々が30個の独立した巻き線からなることが好ましい、すべての巻き線が電気的に互いに分離されており、各々の巻き線はそれ自体の4Q−モジュールによって制御されるということである。4Q−モジュールは、供給電圧によって互いに接続されているだけであり、その結果以下の利点が得られる。
【0062】
1:通常の3位相制御の中の2つの位相だけが監視され制御される。第3の位相の電流は、他の2つの位相の動作から計算される。これは、電子部品を動作させるときと、たとえば、1つまたは2つ以上のモジュールの故障を相殺するときに、自由度がはるかに大きくなるということを意味する。
【0063】
2:各モータ巻き線が正確に同一の電界強度を発生するように、電流の分配を正確に調整することができる。その結果、電界によって発生する、各巻き線内のトルクの実際のモーメントは調整可能で、かつ分離した巻き線の電気的変数の偏差には無関係である。
【0064】
3:各巻き線の磁気的許容誤差は、ベクトルジェネレータによって独立して較正可能である。
【0065】
4:1つの4Q−モジュールが故障したり、巻き線の1つが短絡した場合でも、モータは動作を継続することができる。ヒューズやリレーによって、故障したモジュールや位相を他の2つの4Q−モジュールや位相からそれらに影響を与えずに分離することができる。したがって、モータは、依然として制動することが可能で、いくつかの車輪が使用されているときは、それらを支援することができる。本実施形態では、特に、階層構造の利点は自明である。
【0066】
前述の記述内容は、好適な実施形態の動作を説明するためにのみ含まれており、本発明の保護の範囲を制限するものでないことが明確になるであろう。当業者にとっては明白な前述の記述内容で説明した実施形態の変形や構造も、本発明の保護の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の表面上を走行する乗り物のための駆動アセンブリであって、
車輪回転軸線を有する車輪と、
動作時に前記車輪に駆動モーメントを加える電気モータを含む駆動手段と、
を有し、
前記電気モータは、複数の巻き線を有するステータと、前記ステータの周りに複数の永久磁石を備えているロータとを有している同期モータであり、前記ステータは静止して前記乗り物に接続され、前記ロータは前記ステータの周りを回転するように配置された前記永久磁石を有し、かつ前記車輪の車軸に接続されており、
前記車輪は、前記駆動アセンブリが動作中に道路の表面と係合する外部表面を有する駆動アセンブリにおいて、ロータの内側半径を前記車輪の半径の大きさで割った駆動率が0.7よりも大きいことを特徴とする駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記駆動率が1.0よりも小さく、好ましくは0.95よりも小さい、請求項1に記載の駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記ステータ内に前記電気モータを動作させるための動作手段と制御手段とを有している、請求項1または2に記載の駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記ロータは、前記ステータの周りにこれと同軸に配置されており、かつ前記電気モータの駆動軸に接続されている、請求項3に記載の駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記駆動手段は駆動軸を有し、前記車輪は車軸を有しており、前記駆動軸と前記車軸とは一直線に揃えられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記駆動手段は駆動軸を有し、前記車輪は車軸を有しており、前記駆動軸は前記車軸を直接駆動する、請求項1から5のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記駆動軸は前記車軸である、請求項6に記載の駆動アセンブリ。
【請求項8】
前記車輪は車軸を有し、前記複数の永久磁石は前記車軸に接続されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項9】
前記車輪が車軸を有し、前記駆動手段は、前記車軸を直接駆動する駆動軸を有している電気モータを含み、前記電気モータは、少なくとも0.3Nm/kg乗り物質量の、好ましくは少なくとも0.4Nm/kg乗り物質量の最大公称トルクを有している、乗り物質量を有する乗り物のための、請求項1から8のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−30795(P2012−30795A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209900(P2011−209900)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2006−507850(P2006−507850)の分割
【原出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【出願人】(505335968)エー−トラクション ユーロペ ベスローテン フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】E−TRACTION EUROPE B.V.
【Fターム(参考)】