説明

駆動制御装置、噴流はんだ槽及び自動はんだ付け装置

【課題】噴流はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できるようにする。
【解決手段】制御部20は、操作パネル9に表示される手動噴流調整ボタンによって調整要求D4が受け付けられると、操作パネル9で予め設定されたはんだの噴流量にロータリエンコーダ8A,8Bにより設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量をモータM1,M2に出力する。これにより、手動噴流調整ボタンによる調整要求D4を制御部20が受け付けなければ、モータM1,M2の回転数を上昇させてはんだの噴流量を増加させる方向に誤ってロータリエンコーダ8A,8Bを操作しても、噴流はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等の駆動手段を制御する駆動制御装置、噴流はんだ槽及び自動はんだ付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、テレビジョン装置等の表示装置及びビデオデッキ等の録画再生装置のような家電製品に組み込むプリント基板のはんだ付けは、当該プリント基板を大量に、かつ安価に生産するためにフロー法で行うことが多い。
【0003】
フロー法は、プリント基板全面に一度にはんだ付けを行うことができるため、他のはんだ付けに比べて大量生産に優れたはんだ付け方法である。フロー法によってはんだ付けを行う自動はんだ付け装置には、プリヒータ、噴流はんだ槽及び冷却機等の各種処理装置が設けられる。また、これらの処理装置にはプリント基板を搬送するコンベアが設けられる。このような自動はんだ付け装置は、フラクサ等によってフラックスが塗布されたプリント基板をコンベアで搬送しながらプリヒータで予備加熱をし、はんだ槽ではんだを付着させ、冷却機でプリント基板を冷却することによりプリント基板の所定箇所にはんだを形成させることができる。
【0004】
この自動はんだ付け装置の各処理装置の中でも最も重要な構成要素として、噴流はんだ槽が挙げられる。噴流はんだ槽は、プリント基板に溶融はんだを噴きつけてはんだ付けを行う装置で、溶融はんだがポンプ等でダクトに圧送され、ダクトからノズル本体内に流入した後、ノズル先端から噴流する構造となっている。噴流はんだ槽は、電子部品等を確実にはんだ付けする目的で使用される第一次噴流ノズルと、この第一次噴流ノズルで付着させた所定箇所以外に付着されたはんだを取り除く目的で使用される第二次噴流ノズルとを有する。
【0005】
噴流はんだ槽の第一次噴流ノズル及び第二次噴流ノズルから噴流されるはんだの高さによって、プリント基板にはんだを付着させる量が決定され、所定箇所以外にはんだが付着されるブリッジ不良や所定箇所にはんだが付着されない未はんだ不良の有無が決定される。このはんだの噴流高さは、タッチパネル式ディスプレイ等の入力表示装置によってはんだの噴流量を設定してから、噴流はんだ槽に設けられる噴流ボリュームではんだの噴流量を調整しながらゲージ等で当該はんだの噴流高さが設定される。
【0006】
特許文献1には、手動ではんだの噴流高さを調整するはんだ付け装置が開示されている。この自動はんだ付け装置によれば、噴流はんだ槽に手動ではんだの噴流高さを調整する噴流ボリュームを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3398538号(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1によれば、噴流はんだ槽に設けられる噴流ボリュームをはんだの高さを調整する前に誤って動かして、噴流はんだ槽の電源をONにしてしまうと、大きなはんだの噴流が生じてしまい、はんだが溢れ出るという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題を解決したものであって、はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できる自動はんだ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る駆動制御装置は、所定の駆動量で駆動する駆動部と、駆動部によって駆動される駆動量を設定する第1の設定部と、第1の設定部によって設定された駆動量を調整するための要求である調整要求を受け付ける調整受付部と、調整受付部によって受け付けられた調整要求に基づいて駆動部の駆動量を設定する第2の設定部と、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定された駆動量に第2の設定部により設定された駆動量を演算して、当該演算された駆動量を駆動部に出力する制御部を備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る駆動制御装置によれば、駆動部は所定の駆動量で駆動し、第1の設定部は駆動部の駆動量を設定し、調整受付部は第1の設定部によって設定された駆動量を調整するための要求である調整要求を受け付け、第2の設定部は調整受付部によって受け付けられた調整要求に基づいて駆動部の駆動量を設定する。
【0012】
これを前提にして、制御部は、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定された駆動量に第2の設定部により設定された駆動量を演算して、当該演算された駆動量を駆動部に出力する。
【0013】
これにより、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定された駆動量に第2の設定部により設定された駆動量を演算して、当該演算された駆動量を駆動部に出力するので、調整受付部による調整要求を制御部が受け付けなければ、駆動部の駆動量を増加させる方向に誤って第2の設定部を操作しても、第1の設定部で操作された駆動量以上で駆動部が駆動されることを防止できるようになる。
【0014】
本発明に係る噴流はんだ槽は、所定の噴流量ではんだを噴流する噴流部と、噴流部によって噴流されるはんだの噴流量を設定する第1の設定部と、第1の設定部によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求を受け付ける調整受付部と、調整受付部によって受け付けられた調整要求に基づいて噴流部のはんだの噴流量を設定する第2の設定部と、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を噴流部に出力する制御部を備えることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る噴流はんだ槽によれば、噴流部は所定の噴流量ではんだを噴流し、第1の設定部は噴流部によって噴流されるはんだの噴流量を設定し、調整受付部は第1の設定部によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求を受け付け、第2の設定部は調整受付部によって受け付けられた調整要求に基づいて噴流部のはんだの噴流量を設定する。
【0016】
これを前提にして、制御部は、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を噴流部に出力する。
【0017】
これにより、調整受付部によって調整要求が受け付けられたとき、第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を噴流部に出力するので、調整受付部による調整要求を制御部が受け付けなければ、はんだの噴流量を増加させる方向に誤って第2の設定部を操作しても、当該噴流はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できるようになる。
【0018】
本発明に係る自動はんだ付け装置は、はんだを噴流する噴流はんだ槽に設けられ、所定の噴流量ではんだを噴流する噴流部と、噴流部によって噴流されるはんだの噴流量を設定する第1の設定部と、第1の設定部によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求を受け付ける調整受付部と、噴流はんだ槽の近傍に設けられ、調整受付部によって受け付けられた調整要求に基づいて噴流部のはんだの噴流量を設定する第2の設定部と、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を噴流部に出力する制御部を備えることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る自動はんだ付け装置によれば、噴流部ははんだを噴流する噴流はんだ槽に設けられ、所定の噴流量ではんだを噴流し、第1の設定部は噴流部によって噴流されるはんだの噴流量を設定し、調整受付部は第1の設定部によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求を受け付け、第2の設定部は噴流はんだ槽の近傍に設けられ、調整受付部によって受け付けられた調整要求に基づいて噴流部のはんだの噴流量を設定する。
【0020】
これを前提にして、制御部は、調整受付部によって調整要求が受け付けられると、第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を噴流部に出力する。
【0021】
これにより、調整受付部によって調整要求が受け付けられたとき、第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を噴流部に出力するので、調整受付部による調整要求を制御部が受け付けなければ、はんだの噴流量を増加させる方向に誤って第2の設定部を操作しても、噴流はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る駆動制御装置によれば、調整受付部による調整要求を制御部が受け付けなければ、駆動部の駆動量を増加させる方向に誤って第2の設定部を操作しても、第1の設定部で操作された駆動量以上で駆動部が駆動されることを防止できるので、駆動部に負荷がかかり過ぎることを防止できる。この結果、駆動制御装置の破壊を防ぎ、その寿命を延ばすことができる。
【0023】
本発明に係る噴流はんだ槽によれば、調整受付部によって調整要求を受け付けなければ、はんだの噴流量を増加させる方向に誤って第2の設定部を操作しても、当該噴流はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できるので、当該噴流はんだ槽及びその周辺がはんだで汚染されることを防止できる。
【0024】
本発明に係る自動はんだ付け装置によれば、調整受付部による調整要求を制御部が受け付けなければ、はんだの噴流量を増加させる方向に誤って第2の設定部を操作しても、はんだ槽からはんだが溢れ出ることを防止できるので、当該自動はんだ付け装置及びその周辺がはんだで汚染されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る自動はんだ付け装置1の構成例を示す正面図である。
【図2】噴流はんだ槽5の構成例を示す平面図である。
【図3】操作パネル9の表示例(その1)を示す説明図である。
【図4】操作パネル9の表示例(その2)を示す説明図である。
【図5】自動はんだ付け装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図6】制御部20の構成例を示すブロック図である。
【図7】自動はんだ付け装置1の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明に係る自動はんだ付け装置の実施形態の一例を説明する。
本実施の形態に係る自動はんだ付け装置1は、はんだを噴流する噴流はんだ槽5に設けられ、所定の噴流量ではんだを噴流する噴流部であるポンプ部56と、ポンプ部56によって噴流されるはんだの噴流量を設定する第1の設定部である操作パネル9と、操作パネル9によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求D4を受け付ける調整受付部である手動噴流調整ボタンA9と、噴流はんだ槽5に設けられ、手動噴流調整ボタンA9によって受け付けられた調整要求D4に基づいてポンプ部56のはんだの噴流量を設定する第2の設定部である第1のロータリエンコーダ(以下、ロータリエンコーダ8Aという)及び第2のロータリエンコーダ(以下、ロータリエンコーダ8Bという)と、手動噴流調整ボタンA9によって調整要求D4が受け付けられると、操作パネル9により設定されたはんだの噴流量にロータリエンコーダ8A,8Bにより設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量をポンプ部56に出力する制御部20を備える。
【0027】
これにより、手動噴流調整ボタンA9によって調整要求D4が受け付けられると、操作パネル9により設定されたはんだの噴流量にロータリエンコーダ8A,8Bにより設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量をポンプ部56に出力するので、手動噴流調整ボタンA9による調整要求D4を制御部20が受け付けなければ、はんだの噴流量を増加させる方向に誤ってロータリエンコーダ8A,8Bを操作しても、噴流はんだ槽5からはんだが溢れ出ることを防止できるものである。
【0028】
[自動はんだ付け装置1の構成例]
図1に示すように、自動はんだ付け装置1は、本体ケース2、第1のコンベア(コンベア7という)、第2のコンベア(以下、コンベア3という)、プリヒータ4、噴流はんだ槽5、冷却機6及び操作パネル9を備える。
【0029】
本体ケース2は、コンベア3、プリヒータ4、噴流はんだ槽5及び冷却機6を覆い、外部からの埃等のパーティクルにプリント基板W1が汚染されないように保護する機能カバーである。本体ケース2には操作パネル9が設けられる。操作パネル9によって、コンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4の温度、噴流はんだ槽5の温度及びはんだの噴流量が設定される。
【0030】
コンベア7は、プリント基板W1を本体ケース2内に搬送するものであり、プリント基板W1を本体ケース2内にあるコンベア3に連結され、コンベア3にプリント基板W1を搬送する。コンベア3は、コンベア7から搬送されたプリント基板W1を受け取り、プリヒータ4、噴流はんだ槽5及び冷却機6に当該プリント基板W1を搬送して自動はんだ付け装置1外に搬出する。
【0031】
プリヒータ4は、プリント基板W1が自動はんだ付け装置1に投入される前の工程であるフラクサ工程でフラックスが塗布された当該プリント基板W1を乾燥させ、かつ、後述する噴流はんだ槽5によるはんだ付けを行う際、プリント基板W1にはんだを付着させる度合いであるはんだの付着力を向上させるために当該プリント基板W1を加熱する。プリヒータ4は、第1のプリヒータ(以下、プリヒータ4aという)、第2のプリヒータ(以下、プリヒータ4bという)、第3のプリヒータ(以下、プリヒータ4cという)及び第4のプリヒータ(以下、プリヒータ4dという)を備え、プリヒータ4a,4b,4c,4dがプリント基板W1の搬送方向に4つに並んで設けられており、プリヒータ4a,4b,4c,4dのそれぞれが温度調節可能になっている。
【0032】
プリヒータ4には噴流はんだ槽5が隣接して設けられる。噴流はんだ槽5は、プリヒータ4で乾燥されたプリント基板W1にはんだを噴きつけて、プリント基板W1の所定の箇所にはんだを形成させる。噴流はんだ槽5は、搬送されたプリント基板W1に溶融はんだを均一の高さで噴きつけるために、後述する操作パネル9ではんだの噴流量が設定され、噴流はんだ槽5に設けられるロータリエンコーダ8A,8Bによって操作パネル9で設定されたはんだの噴流量が微調整される。ロータリエンコーダ8A,8Bを時計回りに回すとはんだの噴流量が増加され、ロータリエンコーダ8A,8Bを反時計回りに回すとはんだの噴流量が減少されるように調整できる。
【0033】
噴流はんだ槽5には冷却機6が隣接して設けられる。冷却機6は、当該冷却機6を構成する図示しないファンによる送風をプリント基板W1に送り、プリヒータ4及びはんだ槽5にて加熱されたプリント基板W1を冷却する。プリント基板W1を冷却機6で冷却することで、プリント基板W1に付着させたはんだに生じるクラック等を防ぐことができる。
【0034】
また、噴流はんだ槽には操作パネル9がコンベア7上部に設けられる。操作パネル9は、コンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4の温度、噴流はんだ槽5の温度及び噴流量等を表示して、それらを設定できる。操作パネル9には、例えば、液晶パネルとタッチパネルとで形成されたタッチパネル式ディスプレイが使用される。
【0035】
[噴流はんだ槽5の構成例]
次に、本実施の形態に係る噴流はんだ槽5の構成例について説明する。図2に示すように、噴流はんだ槽5は、はんだ収容部51、第1のノズル(以下、ノズル52Aという)、第2のノズル(以下、ノズル52Bという)、ポンプ部56及びロータリエンコーダ8A,8Bで構成される。
【0036】
はんだ収容部51にははんだが収容される。はんだは、例えば、鉛フリーはんだであり、錫−銀−銅や錫−亜鉛−ビスマス等で構成されたものであり、その融点は180℃〜220℃程度を有する。
【0037】
ノズル52Aは、第一次噴流ノズルと称されるものであり、電子部品等を確実にプリント基板W1にはんだ付けするために、ポンプ部56により圧送されるはんだの噴流量を大きくして勢いのある溶融はんだを噴流する。ノズル52Bは、第二次噴流ノズルと称されるものであり、ノズル52Aで所定の箇所以外に付着されたはんだを取り除くために、ポンプ部56により圧送されるはんだの噴流量を小さくして安定した溶融はんだを噴流する。
【0038】
ポンプ部56は、第1のスクリュ(以下、スクリュ53Aという)、第2のスクリュ(以下、スクリュ53Bという)、第1のベルト(以下、ベルト54Aという)、第2のベルト(以下、ベルト54Bという)、第1のプーリ(以下、プーリ55Aという)、第2のプーリ(以下、プーリ55Bという)、第1のモータ(以下、モータM1という)及び第2のモータ(以下、モータM2という)を備える。
【0039】
ポンプ部56を構成するモータM1,M2は所定の回転数で回転駆動する。モータM1,M2にはプーリ55A,55Bがそれぞれ設けられる。プーリ55A,55Bは、モータM1,M2が回転駆動すると共に回転する。プーリ55Aとスクリュ53Aにはベルト54Aが、プーリ55Bとスクリュ53Bにはベルト54Bがそれぞれ巻き回される。プーリ55A,55Bが回転すると共にベルト54A,54Bを介してスクリュ53A,53Bが回転して、はんだ収容部51に収容される溶融はんだを圧送して、ノズル52A,52Bから溶融はんだを噴流させる。
【0040】
噴流はんだ槽5にはロータリエンコーダ8A,8Bが設けられる。ロータリエンコーダ8Aは、ノズル52Aから噴流されるはんだの噴流量を調節する。ロータリエンコーダ8Bは、ノズル52Bから噴流されるはんだの噴流量を調節する。後述する操作パネル9に表示される手動噴流調整ボタンA9を押して、ロータリエンコーダ8A,8Bの操作を有効にすると、操作パネル9で設定されたノズル52A,52Bから噴流されるはんだの噴流量から増加又は減少されるように、はんだの噴流量を微調整できる。すわなち、ロータリエンコーダ8A,8Bを時計回り及び反時計回りに回転すると、その回転変位量に応じてロータリエンコーダ8A,8Bから調整量情報D1A,D1Bを出力する。後述する制御部20がロータリエンコーダ8A,8Bが出力した調整量情報D1A,D1Bを受信して、その調整量情報D1A,D1BよりモータM1,M2の回転数を増減させて、ノズル52A,52Bから噴流されるはんだの噴流量を調整する。
【0041】
なお、本実施の形態では、ロータリエンコーダ8A,8Bは、噴流はんだ槽5に設けられているが、使用者が噴流はんだ槽5から噴流されるはんだの高さを目視して調整できる範囲内であれば、噴流はんだ槽5の近傍に設けられていても良い。
【0042】
[操作パネル9の表示例]
次に、操作パネル9の表示例について説明する。図3に示すように、操作パネル9には自動はんだ付け装置1を駆動されるための運転画面が表示される。操作パネル9には、コンベア設定ボタンA1、プリヒータ設定ボタンA2,A3,A4,A5、はんだ槽設定ボタンA6、1次噴流設定ボタン(以下、噴流設定ボタンA7という)、2次噴流設定ボタン(以下、噴流設定ボタンA8という)、手動噴流調整ボタンA9、データ選択ボタンA10及び噴流可/噴流不可表示A11が表示される。
【0043】
コンベア設定ボタンA1、プリヒータ設定ボタンA2,A3,A4,A5及びはんだ槽設定ボタンA6の上側の数値には操作パネル9で設定される値である設定値が表示され、それらの下側の数値には各種センサ等で測定された実際の値である測定値が表示される。
【0044】
コンベア設定ボタンA1は、コンベア3,7の搬送速度を設定できるボタンである。本実施の形態では、一例として、1.0m/minの搬送速度でコンベア3,7が搬送するように設定されている。コンベア設定ボタンA1の上部に表示される「コンベア」を押すと、コンベア3,7がONになり設定された搬送速度で駆動するようになされる。
【0045】
プリヒータ設定ボタンA2は、プリヒータ4aの温度を設定できるボタンである。本実施の形態では、一例として、プリヒータ4aの温度が250℃になるように設定されている。プリヒータ設定ボタンA2の上部に表示される「PH1」を押すと、プリヒータ4aがONになり設定された温度で加熱される。
【0046】
プリヒータ設定ボタンA3は、プリヒータ4bの温度を設定できるボタンである。本実施の形態では、一例として、プリヒータ4bの温度が250℃になるように設定されている。プリヒータ設定ボタンA3の上部に表示される「PH2」を押すと、プリヒータ4bがONになり設定された温度で加熱される。
【0047】
プリヒータ設定ボタンA4は、プリヒータ4cの温度を設定できるボタンである。本実施の形態では、一例として、プリヒータ4cの温度が300℃になるように設定されている。プリヒータ設定ボタンA4の上部に表示される「PH3」を押すと、プリヒータ4cがONになり設定された温度で加熱される。
【0048】
プリヒータ設定ボタンA5は、プリヒータ4dの温度の温度を設定できるボタンである。本実施の形態では、一例として、プリヒータ4dが300℃になるように設定されている。プリヒータ設定ボタンA5の上部に表示される「PH4」を押すと、プリヒータ4dがONになり設定された温度で加熱される。
【0049】
はんだ槽設定ボタンA6は、噴流はんだ槽5に収容されるはんだの温度を設定できるボタンである。本実施の形態では、一例として、はんだの温度が255℃になるように設定されている。はんだ槽設定ボタンA6の上部に表示される「はんだ槽」を押すと、噴流はんだ槽5がONになり設定された温度ではんだを加熱する。
【0050】
噴流設定ボタンA7は、ノズル52Aから噴流されるはんだの噴流量を設定できるボタンである。ノズル52Aから噴流されるはんだの噴流量は、モータM1が駆動する回転数によって決定されるため、噴流設定ボタンA7でノズル52Aから噴流されるはんだの噴流量が設定されると共に、モータM1の回転数が設定される。本実施の形態では、一例として、ノズル52Aから噴流されるはんだの最大噴流量を100%としたとき、40%になるように設定されている。
【0051】
噴流設定ボタンA7の左下には上矢印が表示されており、この上矢印を押すと0.1%ずつ噴流量の値が増加する。また、噴流設定ボタンA7の右下には下矢印が表示されており、この下矢印を押すと0.1%ずつ噴流量の値が減少する。噴流設定ボタンA7の上部に表示される「1次噴流」を押すと、後述する噴流可/噴流不可表示A11に「噴流可」が表示されていれば、設定された噴流量でノズル52Aからはんだが噴流され、「噴流不可」が表示されていれば、ノズル52Aからはんだは噴流されない。
【0052】
噴流設定ボタンA8は、ノズル52Bから噴流されるはんだの噴流量を設定できるボタンである。ノズル52Bから噴流されるはんだの噴流量は、モータM2が駆動する回転数によって決定されるため、噴流設定ボタンA8でノズル52Bから噴流されるはんだの噴流量が設定されると共に、モータM2の回転数が設定される。本実施の形態では、一例として、ノズル52Bから噴流されるはんだの最大噴流量を100%としたとき、40%になるように設定されている。
【0053】
噴流設定ボタンA8の左下には上矢印が表示されており、この上矢印を押すと0.1%ずつ噴流量の値が増加する。また、噴流設定ボタンA8の右下には下矢印が表示されており、この下矢印を押すと0.1%ずつ噴流量の値が減少する。噴流設定ボタンA8の上部に表示される「2次噴流」を押すと、噴流可/噴流不可表示A11に「噴流可」が表示されていれば、設定された噴流量でノズル52Bからはんだが噴流され、「噴流不可」が表示されていれば、ノズル52Bからはんだは噴流されない。
【0054】
コンベア設定ボタンA1、プリヒータ設定ボタンA2,A3,A4,A5、はんだ槽設定ボタンA6、噴流設定ボタンA7,A8の上側の数値部分を押すと、図4に示すように、テンキーB1が表示される。このテンキーB1で所定の数値を入力して、コンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4a,4b,4c,4dの温度、噴流はんだ槽5の温度及びノズル52A,52Bからのはんだ噴流量を設定できる。
【0055】
図3に戻って、手動噴流調整ボタンA9は、ロータリエンコーダ8A,8Bの操作を有効又は無効にできるボタンである。手動噴流調整ボタンA9を押すとロータリエンコーダ8A,8Bの操作が有効又は無効に切り替わる。自動はんだ付け装置1の電源をONにした直後は、ロータリエンコーダ8A,8Bの操作は無効になっており、手動噴流調整ボタンA9を押すとロータリエンコーダ8A,8Bの操作が有効になり、当該ロータリエンコーダ8A,8Bによってはんだの噴流量を調整できる。
【0056】
データ選択ボタンA10は、コンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4a,4b,4c,4dの温度、はんだ槽5の温度及びノズル52A,52Bからのはんだ噴流量のデータが記憶された後述する記憶部11から読み出すことができるボタンである。例えば、記憶部11には各はんだ処理に対して30個のデータが記憶されている。
【0057】
データ選択ボタンA10を押すと、コンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4a,4b,4c,4dの温度、はんだ槽5の温度、ノズル52A,52Bからのはんだ噴流量が記憶されたNo.1〜No.30の30個のデータのうち1つを選択できるような表が表示される。No.1〜No.30の30個のデータのうち1つを選択すると、コンベア設定ボタンA1、プリヒータ設定ボタンA2,A3,A4,A5、はんだ槽設定ボタンA6、噴流設定ボタンA7,A8のそれぞれの上側の数値にそれらの設定値が表示され、その表示された条件で稼動するようになされる。
【0058】
例えば、図3では、No.12のデータが選択され、コンベア3,7が1.0m/minの搬送速度で、プリヒータ4aが250℃の温度で、プリヒータ4bが250℃の温度で、プリヒータ4cが300℃の温度で、プリヒータ4dが300℃の温度で、噴流はんだ槽5が255℃のはんだの温度で、ノズル52A,52Bが40%のはんだの噴流量でそれぞれ稼動される。
【0059】
噴流可/噴流不可表示A11には、ノズル52A,52Bからはんだの噴流が可能か否かが表示される。噴流はんだ槽5に設けられる図示しない温度センサではんだの温度を測定して、はんだ槽設定ボタンA6で設定されたはんだの温度に達してから所定の時間が経過したときに「噴流可」が表示される。「噴流可」が表示されれば、ノズル52A,52Bからはんだの噴流が可能である。
【0060】
はんだ槽設定ボタンA6で設定されたはんだの温度に達していない、かつ、はんだ槽設定ボタンA6で設定されたはんだの温度に達してから所定の時間が経過していない場合には「噴流不可」が表示される。「噴流不可」が表示されれば、ノズル52A,52Bからはんだの噴流はされない。これにより、はんだの噴流が可能か否か視覚的に判断することができる。
【0061】
[自動はんだ付け装置1の制御系の構成例]
次に、自動はんだ付け装置1の制御系の構成例について説明する。図5に示すように、自動はんだ付け装置1は、記憶部11、制御部20、第1のインバータ(以下、インバータI1という)及び第2のインバータ(以下、インバータI2)を備える。制御部20は、コンベア3,7、プリヒータ4、冷却機6、操作パネル9、記憶部11、ロータリエンコーダ8A,8B及びインバータI1,I2に接続される。
【0062】
記憶部11は、コンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4の温度、噴流はんだ槽5の温度及びノズル52A,52Bからのはんだ噴流量のデータ等が記憶される。前述の操作パネル9に表示されるデータ選択ボタンA10(図3参照)を押すと、上述の各種データが呼び出される。
【0063】
制御部20は、記憶部11に記憶された各種データを読み込んで操作パネル9に表示させる。制御部20は、操作パネル9に表示されるコンベア設定ボタンA1及びプリヒータ設定ボタンA2,A3,A4,A5によって設定されたコンベア3,7の搬送速度及びプリヒータ4の設定温度でコンベア3,7及びプリヒータ4を駆動する。
【0064】
また、制御部20は、操作パネル9に表示される噴流設定ボタンA7,A8によって設定されたはんだの噴流量の情報を受信して、インバータI1,I2にその噴流量に基づく周波数を有する交流電圧を出力する。例えば、この交流電圧の周波数は、0Hzから50Hzであり、前述の噴流設定ボタンA7,A8で設定されるはんだの噴流量の0%から100%に対応している。つまり、噴流設定ボタンA7,A8で設定されるはんだの噴流量が40%のとき、交流電圧の周波数が20Hzとなる。
【0065】
インバータI1にはモータM1が接続され、インバータI2にはモータM2が接続される。インバータI1,I2は、周波数変換を行う。インバータI1,I2は、制御部20から出力された交流電圧を受信して、その交流電圧をモータM1,M2を駆動させる周波数を有する交流電圧に変換してからモータM1,M2に出力する。モータM1,M2は、インバータI1,I2から出力された交流電圧で回転駆動して、噴流設定ボタンA7,A8によって設定されたはんだの噴流量でノズル52A,53Bからはんだを噴流させる。
【0066】
ノズル52A,53Bからはんだが噴流されたことを前提に、操作パネル9に表示される手動噴流調整ボタンA9が押されると、制御部20は、噴流設定ボタンA7,A8によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求D4を受け付けて、ロータリエンコーダ8A,8Bの操作を有効にする。ロータリエンコーダ8Aは、操作が有効にされて当該ロータリエンコーダ8A操作されると調整量情報D1Aを制御部に出力する。ロータリエンコーダ8Bは、操作が有効にされて当該ロータリエンコーダ8Bが操作されると調整量情報D1Bを制御部に出力する。
【0067】
制御部20は、ロータリエンコーダ8A,8Bから出力された調整量情報D1A,D1Bを受信して、噴流設定ボタンA7,A8によって設定されたモータM1,M2の回転数に対応した交流電圧の周波数を、調整量情報D1A,D1Bに応じた周波数で演算して、交流電圧D2A,D2Bを生成する。例えば、噴流設定ボタンA7ではんだの噴流量を40%に設定したとき、制御部20は、周波数20Hzを有する交流電圧を生成する。ロータリエンコーダ8Aを時計回りに回して周波数を2Hz変化させるようにすると、調整量情報D1Aは「+2Hz」という情報になる。制御部20が当該情報を受信して、20Hz+2Hzの演算処理を行い、周波数が22Hzである交流電圧D2Aを生成する。
【0068】
制御部20は、生成した交流電圧D2A,D2BをインバータI1,I2に出力する。インバータI1,I2は、制御部20から出力された交流電圧D2A,D2Bを受信して、交流電圧D2A,D2BをモータM1,M2を駆動させる周波数を有する交流電圧D3A,D3Bに変換してからモータM1,M2に出力する。モータM1,M2は、インバータI1,I2から出力された交流電圧D3A,D3Bで回転駆動して、ロータリエンコーダ8A,8Bによって調整されたはんだの噴流量でノズル52A,53Bからはんだを噴流させる。
【0069】
[制御部20の構成例]
次に制御部20の構成例を説明する。制御部20は、CPU21、ROM22、RAM23、第1のI/O(以下、I/O24という)、第2のI/O(以下、I/O25という)及びシステムバス26で構成される。
【0070】
CPU21は、I/O24に接続される。また、CPU21は、ROM22、RAM23及びI/O25にシステムバス26を介して接続される。I/O24は、コンベア3,7、プリヒータ4、冷却機6、操作パネル9、記憶部11及びインバータI1,I2に接続される。I/O25は、ロータリエンコーダ8A,8Bに接続される。
【0071】
ROM22には、自動はんだ付け装置1を起動させるためのプログラムである起動プログラムが予め記憶される。CPU21は、自動はんだ付け装置1の電源をONにすると、ROM22に記憶される起動プログラムを読み出して、自動はんだ付け装置1を起動させる。CPU21は、操作パネル9で設定されたコンベア3,7の搬送速度、プリヒータ4の温度、噴流はんだ槽5の温度及びはんだの噴流量でコンベア3,7、プリヒータ4、噴流はんだ槽5を駆動させる。CPU21は、操作パネル9に表示される手動噴流調整ボタンA9が押されると、調整要求D4を受信してI/O25からの出力を許可する。RAM23は、操作パネル9で設定されたはんだの噴流量の情報を記憶する。
【0072】
I/O24には、コンベア3,7の速度センサで測定された搬送速度の情報、プリヒータ4の温度センサで測定された温度の情報、噴流はんだ槽5の温度センサで測定された温度の情報、操作パネル9で設定される各はんだ処理の設定情報及び記憶部11に記憶される各はんだ処理の設定情報が入力され、当該I/O24はそれらをCPU21に出力する。
【0073】
また、I/O24は、CPU21から出力される、コンベア3,7を所望の搬送速度で駆動させる駆動情報、プリヒータ4を所望の温度に加熱する駆動情報、操作パネル9に各種データを表示させる表示情報及び各はんだ処理の設定のデータをコンベア3,7、プリヒータ4、操作パネル9及び記憶部11に出力する。I/O25は、CPU21から出力される調整要求D4によりロータリエンコーダ8A,8Bの操作を有効にする。I/O25は、調整要求D4を受信しない場合には、ロータリエンコーダ8A,8Bの操作を有効にする無効にする。
【0074】
[自動はんだ付け装置1の動作例]
次に、自動はんだ付け装置1の動作例について説明する。図7に示すように、ステップST1では、自動はんだ付け装置1の電源をONにすると、CPU21は、ROM22に予め記憶される自動はんだ付け装置1を起動させるためのプログラムを読み出す。CPU21は、I/O24を介して操作パネル9に図3に示した表示例を表示させる表示情報を出力して、操作パネル9に運転画面を表示させる。
【0075】
操作パネル9のデータ選択ボタンA10を押すと、記憶部11に格納された各種はんだ処理データが読み出され、当該操作パネルにそのデータが表示される。表示されたデータより所望のデータを選択すると、所望のデータが選択されたことがCPU21に出力されて、記憶部11から所望の各種はんだ処理データが読み出される。その読み出された各種はんだ処理データは、設定値として操作パネル9のコンベア設定ボタンA1、プリヒータ設定ボタンA2,A3,A4,A5、はんだ槽設定ボタンA6、噴流設定ボタンA7,A8の上側に数値として表示される。
【0076】
ステップST2に移行して、操作パネル9に表示されるはんだ槽設定ボタンA6の上側の数値を押すと、図4に示したように、テンキーB1が表示される。例えば、テンキーB1にて「2」「2」「5」「ENT」を押すと、噴流はんだ槽5に収容されるはんだの温度が225℃に設定される。はんだの設定温度を決定した後、はんだ槽設定ボタンA6上側の「はんだ槽」を押すと、設定された温度(例えば、225℃)ではんだが加熱される。
【0077】
ステップST3に移行して、CPU21は、はんだが設定された温度に到達したかを噴流はんだ槽5に設けられた温度センサからの出力によって判断する。はんだが設定された温度に到達して、所定の時間だけ経過していれば、操作パネル9の噴流可/噴流不可表示A11に「噴流可」が表示される(ステップST4)。はんだが設定された温度に到達していなければ、操作パネル9の噴流可/噴流不可表示A11に「噴流不可」が表示され、再度ステップST3に戻って、はんだの温度を監視し続ける。
【0078】
ステップST5に移行して、CPU21は、噴流設定ボタンA7,A8で設定されたはんだの噴流量の情報をRAM23に記憶させる。また、CPU21は、図3に示した噴流設定ボタンA7,A8の上部の「1次噴流」、「2次噴流」を押すと、噴流設定ボタンA7,A8で設定されたはんだの噴流量でポンプ部56を駆動してはんだを圧送させる。圧送されたはんだはノズル52A,52Bから噴流される。
【0079】
ステップST6に移行して、操作パネル9に表示される手動噴流調整ボタンA9が押されると、噴流設定ボタンA7,A8によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求D4がCPU21に出力される。CPU21は、調整要求D4を受信したか否かを判断する。調整要求D4を受信するとステップST7に移行する。調整要求D4を受信しなければ、ステップST10に移行する。
【0080】
ステップST7では、CPU21は、噴流はんだ槽5に設けられたロータリエンコーダ8A,8Bの操作を有効にするためにI/O25からの入力を許可する。
【0081】
ステップST8に移行して、ノズル52A,52Bから噴流されるはんだを調整するためにロータリエンコーダ8A,8Bを操作すると、当該ロータリエンコーダ8A,8Bから出力される調整量情報D1A,D1Bが、I/O25を介してCPU21に入力される。CPU21は、I/O25を介してロータリエンコーダ8A,8Bから出力された調整量情報D1A,D1Bに応じた交流電圧の周波数に変換して、その変換された周波数と噴流設定ボタンA7,A8より設定されたはんだの噴流量に対応する交流電圧の周波数とを演算して交流電圧D2A,D2Bを生成する。
【0082】
ステップST9に移行して、CPU21は、生成された交流電圧D2A,D2BをI/O24を介してインバータI1,I2に出力する。インバータI1,I2は、交流電圧D2A,D2BをモータM1,M2が駆動される周波数を有する交流電圧D3A,D3Bに変換して、交流電圧D3A,D3BをモータM1,M2に出力する。モータM1,M2は、インバータI1,I2から出力された交流電圧D3A,D3Bで回転駆動して、ロータリエンコーダ8A,8Bによって調整されたはんだの噴流量でノズル52A,53Bからはんだを噴流させる。
【0083】
ステップST10では、CPU21は、噴流はんだ槽5に設けられたロータリエンコーダ8A,8Bの操作を無効にするためにI/O25からの入力を禁止する。このため、ロータリエンコーダ8A,8Bを操作してもI/O25に調整量情報D1A,D1Bを入力することができない。再度ステップST6に戻って、CPU21は、調整要求D4の受信を待つ。
【0084】
このように、本実施の形態に係る自動はんだ装置1によれば、ポンプ部56は、はんだを噴流する噴流はんだ槽5に設けられ、所定の噴流量ではんだを噴流する。操作パネル9は、ポンプ部56によって噴流されるはんだの噴流量を設定する。手動噴流調整ボタンA9は、操作パネル9によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求D4を受け付ける。ロータリエンコーダ8A,8Bは、噴流はんだ槽5に設けられ、手動噴流調整ボタンA9によって受け付けられた調整要求D4に基づいてポンプ部56が噴流するはんだの噴流量を設定する。
【0085】
これを前提にして、制御部20は、手動噴流調整ボタンA9によって調整要求D4が受け付けられると、操作パネル9により設定されたはんだの噴流量にロータリエンコーダ8A,8Bにより設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量をポンプ部56に出力する。
【0086】
これにより、手動噴流調整ボタンA9によって調整要求D4が受け付けられると、操作パネル9により設定されたはんだの噴流量にロータリエンコーダ8A,8Bにより設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量をポンプ部56に出力するので、手動噴流調整ボタンA9による調整要求D4を制御部20が受け付けなければ、はんだの噴流量を増加させる方向に誤ってロータリエンコーダ8A,8Bを操作しても、噴流はんだ槽5からはんだが溢れ出ることを防止できる。この結果、自動はんだ付け装置1及びその周辺がはんだで汚染されることを防止できる。
【0087】
なお、本実施の形態では、自動はんだ装置1について説明したが、モータ等の駆動手段を制御する駆動制御装置に対しても適用可能である。また、本実施の形態では、ロータリエンコーダ8Aを用いて、ノズル52Aから噴流されるはんだの噴流量を調整し、ロータリエンコーダ8Bを用いて、ノズル52Bから噴流されるはんだの噴流量を調整したが、ノズル52A及びノズル52Bから噴流されるはんだの噴流量の調整を切り替える切り替えスイッチを噴流はんだ槽5に設けて、1つのロータリエンコーダで調整してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、モータ等の駆動手段を制御する駆動制御装置、噴流はんだ槽及び自動はんだ付け装置に適用し極めて好適である。
【符号の説明】
【0089】
1 自動はんだ付け装置
2 本体ケース
3 第2のコンベア
4 プリヒータ
5 噴流はんだ槽
6 冷却機
7 第1のコンベア
8A 第1のロータリエンコーダ
8B 第2のロータリエンコーダ
9 操作パネル
11 記憶部
20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の駆動量で駆動する駆動部と、
前記駆動部によって駆動される駆動量を設定する第1の設定部と、
前記第1の設定部によって設定された駆動量を調整するための要求である調整要求を受け付ける調整受付部と、
前記調整受付部によって受け付けられた前記調整要求に基づいて前記駆動部の駆動量を設定する第2の設定部と、
前記調整受付部によって前記調整要求が受け付けられると、前記第1の設定部により設定された駆動量に第2の設定部により設定された駆動量を演算して、当該演算された駆動量を前記駆動部に出力する制御部を備えることを特徴とする駆動制御装置。
【請求項2】
前記第2の設定部にはロータリエンコーダが使用されることを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
所定の噴流量ではんだを噴流する噴流部と、
前記噴流部によって噴流されるはんだの噴流量を設定する第1の設定部と、
前記第1の設定部によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求を受け付ける調整受付部と、
前記調整受付部によって受け付けられた前記調整要求に基づいて前記噴流部のはんだの噴流量を設定する第2の設定部と、
前記調整受付部によって前記調整要求が受け付けられると、前記第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を前記噴流部に出力する制御部を備えることを特徴とする噴流はんだ槽。
【請求項4】
前記第2の設定部にはロータリエンコーダが使用されることを特徴とする請求項3に記載の噴流はんだ槽。
【請求項5】
はんだを噴流する噴流はんだ槽に設けられ、所定の噴流量で前記はんだを噴流する噴流部と、
前記噴流部によって噴流されるはんだの噴流量を設定する第1の設定部と、
前記第1の設定部によって設定されたはんだの噴流量を調整するための要求である調整要求を受け付ける調整受付部と、
前記噴流はんだ槽の近傍に設けられ、前記調整受付部によって受け付けられた前記調整要求に基づいて前記噴流部のはんだの噴流量を設定する第2の設定部と、
前記調整受付部によって前記調整要求が受け付けられると、前記第1の設定部により設定されたはんだの噴流量に第2の設定部により設定されたはんだの噴流量を演算して、当該演算されたはんだの噴流量を前記噴流部に出力する制御部を備えることを特徴とする自動はんだ付け装置。
【請求項6】
前記第2の設定部にはロータリエンコーダが使用されることを特徴とする請求項5に記載の自動はんだ付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−177289(P2010−177289A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15869(P2009−15869)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000199197)千住金属工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】