説明

駆動式運搬車

【課題】 センサー等の外力検出手段を用いずに、簡単な構成で迅速かつ正確な運転が行えるようにする。
【解決手段】 運搬車1の本体1aの前面に把持パイプ(8)、支軸部9およびステー(11)等からなる操作ハンドル(2)を回動自在に取り付け、また支軸部(9)を前後、左右にスライド自在として、該支軸部(9)の前または後へのスライド、或いは更に左または右へのスライドに伴ってそれぞれ対応するスイッチが入るようにしておき、これらスイッチのON/OFF状態に基づいて、左右のモータ4A・4Bが所定の回転を行うことで、左右の駆動車輪20A・20Bが駆動して前進または後退、或いは更に左旋回または右旋回するようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置を備えた運搬車に関し、病院や老人ホーム等において、調理した食品をトレイに載せて入院患者や入所者等に配るのに用いられる配膳車等として利用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種運搬車としては、走行用駆動車輪および操舵用駆動車輪とこれら駆動車輪を駆動する駆動部と操作部とを備えている車体と、上記操作部に加えられた外力を検出して推進方向と操舵方向との力に応じたトルクの補助力を走行用駆動車輪および操舵用駆動車輪の駆動源に発生させる制御手段とからなる運搬車が知られている。この運搬車は前記走行用駆動車輪と操舵用駆動車輪が左右独立に駆動されて差動で操舵を行う操舵兼用の走行用駆動車輪で形成され、各駆動車輪に走行方向の外力に応じたアシスト力と操舵方向の外力に応じたアシスト力とを加えるものであった。
【0003】
また、前記運搬車に類似するものとして、操作部が車体にバネを介して連結された操作ハンドルで形成され、操作ハンドルに加わる外力を外力検出手段としての非接触式変位センサーで検知し、その検知結果に基づいて駆動力を与えるようにしたパワーアシスト付の手押し車も知られている。
【特許文献1】特許第3032698号公報
【特許文献2】特許第3170438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した運搬車および手押し車の場合、先ず操作部に加わる力をセンサーである外力検出手段で検知した上、その検知結果に基づいて駆動制御を行うものであるため、先ず操作部の状態がセンサーで正確に検知されることが前提となり、またこの検知結果に基づいた適切な駆動力を補助する必要があることから、制御機構全体が複雑となり、誤差が生ずる場合がある他、製造コストも高くなる等の問題があった。
【0005】
本発明の目的は、基本的にセンサー等の外力検出手段を用いずに、簡単な構成で適切な運転が可能な運搬車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、運転を行うための操作ハンドルと、操作ハンドルの動きによって機械的に切り換えられる複数のスイッチと、これらスイッチの入力状態に基づいて所定の駆動制御処理を行う駆動制御部と、駆動制御部からの出力信号に基づいて作動する駆動源と、駆動源によって個別に回転する左右一対の駆動車輪を有する駆動式運搬車である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の駆動式運搬車について、操作ハンドルの全部または一部が前後、左右に動き、スイッチが前進用スイッチ、後退用スイッチ、左旋回用スイッチおよび右旋回用スイッチからなり、操作ハンドルの前後左右の動きに連動して少なくとも前進用スイッチまたは後退用スイッチが入り、或いは更に右旋回用スイッチまたは左旋回用スイッチが入るようになされ、これらスイッチの入力状態に基づく駆動制御部での処理により左右の駆動車輪が正回転または逆回転して前進または後退が行われ、或いは更に前記左右の駆動車輪の回転速度に差を設けるか、或いは回転方向を逆にすることによって、左または右方向に旋回するようになされていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2記載の駆動式運搬車について、前進用スイッチ、後退用スイッチ、左旋回用スイッチおよび右旋回用スイッチがいずれもフォトスイッチであり、運搬車本体の前面には操作ハンドルの支軸部両端を支持するベース部材が取り付けられ、一方のベース部材の円形孔には支軸部の一端部が挿入され、支軸部の他端部は軸受部材の円形孔に挿入されており、他方のベース部材にはその前方に伸びる一または複数本のガイドバーが取り付けられ、ガイドバーは前記軸受部材に取り付けられたスライド部材に挿通されており、スライド部材の前面には前進用スイッチ操作突部、同後面には後進用スイッチ操作突部がそれぞれ設けられ、支軸部の左端には左旋回用スイッチ操作突部、支軸部の右端には右旋回用スイッチ操作突部がそれぞれ設けられ、一方のベース部材と軸受部材のうちのいずれか一方に左旋回用スイッチが取り付けられ、同他方には右旋回用スイッチが取り付けられ、支軸部の左右方向へのスライドに伴って左旋回用スイッチ操作突部または右旋回用スイッチ操作突部が対応するスイッチの遮光域に進入することで左旋回または右旋回が行われ、スライド部材の前進用スイッチ操作突部の前方には前進用スイッチ、後進用スイッチ操作突部の後方には後退用スイッチがそれぞれ設けられ、支軸部の前後方向の移動に伴ってスライド部材が前後にスライドすることで前進用スイッチ操作突部または後進用スイッチ操作突部が対応するスイッチの遮光域に進入して前進または後退が行われるようになされていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載の駆動式運搬車について、操作ハンドルの支軸部にスイッチ作動用レバーが設けられ、運搬車本体の前側にはスイッチ作動用レバーが当接する起動スイッチが取り付けられ、支軸部の回動に伴うスイッチ作動用レバーの回動によって起動スイッチのON/OFFが行われるようになされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る駆動式運搬車によれば、操作ハンドルの前後、左右等への動きに伴って対応するスイッチが直接入って、前進または後退、或いは更に左旋回または右旋回が行われるため、従来に比べて制御機構を簡略化でき、しかも迅速かつ正確な運転操作が可能となる。また、このような構造としたことにより製造コストを低く抑えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を配膳車に適用した場合の実施形態について図面にしたがって説明するが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0012】
本実施形態において、前後左右および上下は図2記載の配膳車(1)を基準とし、前側とは図2記載の配膳車(1)の操作ハンドル(2)側(図2下側)を意味し、後側とは図2記載の配膳車(1)の操作ハンドル(2)と反対側(図2の上側)を指し、左側とは図2記載の配膳車の前進方向に向かって左側(図2の右側)を意味し、右側とは図2記載の配膳車の前進方向に向かって右側(図2の左側)を指し、また上側とは図2の図面紙葉の表側を指し、下側とは図2の図面紙葉の裏側を指すものとする。
【0013】
先ず、本実施形態に係る駆動式配膳車(1)の全体構成について説明すると、図1および図2に示すように、配膳車(1)の本体(1a)内には、市販されている配膳車と同様に、トレイを支持するための左右一対のレールが上下方向に多段に設けられている(図示略)。そして、配膳車(1)の前側には、後述する操作機構を備えた操作ハンドル(2)が設けられ、配膳車(1)の台車部(1b)下面には、その前側に一対の自在車輪(3)が設けられ、後側には後述する制御機構によって動くモータ(4A)(4B)が取り付けられた左右一対の駆動車輪(20A)(20B)が設けられている。なお、図中(5A)(5B)は必要に応じて設けられるクラッチを示す。
【0014】
配膳車(1)の駆動制御について説明すると、図3に示すように、配膳車(1)の使用者(人間)が操作ハンドル(2)を動かすことで、複数のスイッチ(23) (32A)(32B)(41)のうちの一または二のスイッチが「ON」となり、その「ON」となったスイッチの信号状態によってシーケンス制御回路(47)で所定の処理が行われ、その処理結果に基づいてD/A変換回路(40)および左右のモータ制御回路(48A)(48B)を介して左右のモータ(4A)(4B)が回転し、これによって左右の駆動車輪(20A)(20B)が動いて当該配膳車(1)の車体が前進または後退並びに左旋回または右旋回を行う。なお、前記シーケンス制御回路(47)、D/A変換回路(40)、左右のモータ制御回路(48A)(48B)は制御装置(50)に含まれる。
【0015】
図1、図2および図4〜図7に示すように、操作ハンドル(2)は、配膳車(1)の本体(1a)前側に設けられ、把持パイプ(8)、支軸部(9)および該支軸部(9)と把持パイプ(8)とをつなぐ左右一対のステー(11)を有している。支軸部(9)の両端は左右のステー(11)の一端に形成された透孔(図示せず)を通って左右に突出しており、そして、支軸部(9)はより詳細には中心軸(10)とその外側の押パイプ(12)とからなり、押パイプ(12)の両端にはエンドキャップ(6)が取り付けられ、押パイプ(12)の右端外面には起動スイッチ作動用レバー(7)が一体に設けられている(図6参照)。また前記中心軸(10)の両端部には左右旋回用スイッチ操作突部(13A)(13B)が形成されている。
【0016】
次に、配膳車(1)の前側における前述した操作ハンドル(2)の取付構造について説明すると、図4および図5に示すように、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の右端側部分においては、配膳車(1)の前面(1c)に平面から見て略倒L字形の右側ベース部材(14)が複数のネジ(15)により取り付けられ、右側ベース部材(14)の前方突出部(14a)に形成された円形孔(16)には中心軸(10)の右端部分を受けるフランジユニット(17)が取り付けられている。また、フランジユニット(17)と対向するように中心軸(10)の右端寄り部分にはバネ受け用フランジ(18a)を有する略スリーブ状部材(18)が挿嵌され、略スリーブ状部材(18)のバネ受け用フランジ(18a)とフランジユニット(17)との間にコイルスプリング(19)が嵌め入れられている。
【0017】
右側ベース部材(14)の前方突出部(14a)の右側面には平面から見て略倒L字形のスイッチブラケット(21)がネジ(22)で固定され、スイッチブラケット(21)の右側面には、右旋回用フォトスイッチ(23)が取り付けられている。そして、右旋回用フォトスイッチ(23)の遮光域(23a)には中心軸(10)右端の右旋回用スイッチ操作突部(13B)がコイルスプリング(19)を介して進入自在となされている。
【0018】
図6に示すように、右側ベース部材(14)の前面には、横断面略コ字状部(24a)とその上縁部分に立設された起立壁部(24b)とからなるスイッチ取付部材(25)がボルト(26)で固定されており、スイッチ取付部材(25)の起立壁部(24b)前面には起動用リミットスイッチ(27)が固定され、その作動部(27a)は右側ベース部材(14)の略コ字状部(24a)の下部に形成された透孔(24c)から突出している。そして、操作ハンドル(2)の把持パイプ(8)を引き下げた場合、支軸部(9)の押パイプ(12)が回動して、その右端外面に設けられたスイッチ作動用レバー(7)が前記起動用リミットスイッチ(27)の作動部(27a)を押し上げて起動用リミットスイッチ(27)が入るようになされている。
【0019】
図4および図5に示すように、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側部分においては、配膳車(1)の前面(1c)に板状の左側ベース部材(28)が複数のネジ(図示せず)より取り付けられ、また左側ベース部材(28)の前方には所定間隔をあけて板状部材(29)が配され、板状部材(29)と左側ベース部材(28)とは左右方向に所定間隔をあけて設けられた二本のガイドバー(31A)(31B)を介して連結されている。すなわち、ガイドバー(31A)(31B)は、それらの後端部分が左側ベース部材(28)に形成された穴(28a)に嵌め入れられ、それらの前端部分は板状部材(29)を貫通してナット(34)により固定されている。
そして、板状部材(29)と左側ベース部材(28)の対向面には前進用フォトスイッチ(32A)、後退用フォトスイッチ(32B)が取り付けられている。またガイドバー(31A) (31B)は後述するスライド部材(33)に挿通されている。すなわち、スライド部材(33)は略立方体状のヘッド部(33a)とヘッド部(33a)の右側面から右方に伸びるスイッチ操作用壁部(33b)とからなり、右側のガイドバー(31A)にはスイッチ操作用壁部(33b)を挟んで前後にコイルスプリング(51A)(51B)が装着されており、スイッチ操作用壁部(33b)の前面には前進用スイッチ操作突部(33c)が設けられ、スイッチ操作用壁部(33b)の後面には後退用スイッチ操作突部(33d)が設けられ、前進用スイッチ操作突部(33c) 並びに後退用スイッチ操作突部(33d)の各先端部は、前記コイルスプリング(51A)(51B)によりそれぞれ対応するフォトスイッチ(32A)(32B)の遮光域に進入自在となされている。
【0020】
なお、前進用スイッチ操作突部(33c) 並びに後退用スイッチ操作突部(33d)は、本実施形態では、屈曲部材をねじ(30)でスイッチ操作用壁部(33b)に固定することにより形成されているが、スイッチ操作用壁部(33b)に前記各突部を一体成形するようにしても良い。
【0021】
また、スライド部材(33)のヘッド部(33a)の左側面には、板状の軸受部材(35)の後側部分がボルト(36)で固定され、軸受部材(35)の前側部分には円形孔(35a)が形成され、円形孔(35a)にはフランジユニット(37)が取り付けられ、フランジユニット(37)により支軸部(9)の中心軸(10)の左端側部分が支持されており、この部分における構造は、中心軸(10)の右端側部分と同様である。また、軸受部材(35)の左側面には平面から見て略逆倒L字形のスイッチブラケット(38)がネジ(39)で固定され、スイッチブラケット(38)の左側面には、左旋回用フォトスイッチ(41)が取り付けられている。そして、左旋回用フォトスイッチ(41)の遮光域には中心軸(10)左端の左旋回用スイッチ操作突部(13A)がコイルスプリング(19)を介して進入自在となされている。
【0022】
次に、本実施形態に係る駆動式配膳車(1)の作動要領について説明すると、先ず図6に示すように、操作ハンドル(2)を前方に倒した場合には、その支軸部(9)に設けられた起動スイッチ作動用レバー(7)が上方に回動して起動用リミットスイッチ(27)の作動部(27a)を押し上げる結果、リミットスイッチ(27)がONとなって電源が入る。
【0023】
図7および図8に示すように、配膳車(1)の使用者が操作ハンドル(2)を左右方向にスライドさせずに、該操作ハンドル(2)の左側を前方に引っ張った場合には、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側を支持する軸受部材(35)が前方へ移動すると共に軸受部材(35)に取り付けられたスライド部材(33)も同様に動き、その際、該スライド部材(33)のスイッチ操作用壁部(33b)前面の前進用スイッチ操作突部(33c)が前進用フォトスイッチ(32A)の遮光域(F)に進入する結果、該フォトスイッチ(32A)がONとなり、これに伴ってモータ(4A)(4B)がそれぞれ同速で正回転して左右の駆動車輪(20A)(20B)が正回転する結果、当該配膳車(1)が前進する。
【0024】
図9および図10に示すように、配膳車(1)の使用者が操作ハンドル(2)を左右方向にスライドさせずに、該操作ハンドル(2)の左側を後方へ押した場合には、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側を支持する軸受部材(35)が後方へ移動すると共に軸受部材(35)に取り付けられたスライド部材(33)も同様に動き、その際、該スライド部材(33)のスイッチ操作用壁部(33b)後面の後退用スイッチ操作突部(33d)が後退用フォトスイッチ(32B)の遮光域に進入する結果、該フォトスイッチ(32B)がONとなり、これに伴って左右モータ(4A)(4B)が同速で逆回転して左右の駆動車輪(4A)(4B)も同様に動くことで当該配膳車(1)が後退する。
【0025】
図11および図12に示すように、配膳車(1)の使用者が操作ハンドル(2)を左にスライドさせると共に、操作ハンドル(2)の左側を前方に引っ張った場合には、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側を支持する軸受部材(35)が前方へ移動すると共に軸受部材(35)に取り付けられたスライド部材(33)も同様に動き、その際、該スライド部材(33)のスイッチ操作用壁部(33b)前面の前進用スイッチ操作突部(33c)が前進用フォトスイッチ(32A)の遮光域(F)に進入する結果、該フォトスイッチ(32A)がONとなり、これに伴ってモータ(4A)(4B)が回転して左右の駆動車輪(4A)(4B)が正回転し、当該配膳車(1)が前進するが、この際、前述したように、操作ハンドル(2)を左にスライドさせているのに伴って、操作ハンドル(2)の支軸部(9)における中心軸(10)左端の左旋回用スイッチ操作突部(13A)が左旋回用フォトスイッチ(41)の遮光域に進入する結果、左右のモータ(4A)(4B)のうち、左側モータ(4A)の回転が右側モータ(4B)の回転より遅くなり、その結果当該配膳車(1)が左へ旋回する。
【0026】
図13、図14および図15に示すように、配膳車(1)の使用者が操作ハンドル(2)を右にスライドさせると共に、操作ハンドル(2)の左側を前方に引っ張った場合には、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側を支持する軸受部材(35)が前方へ移動すると共に軸受部材(35)に取り付けられたスライド部材(33)も同様に動き、その際、該スライド部材(33)のスイッチ操作用壁部(33b)前面の前進用フォトスイッチ操作突出部(33c)が前進用フォトスイッチ(32A)の遮光域(F)に進入する結果、前進用フォトスイッチ(32A)がONとなり、これに伴ってモータ(4A)(4B)が正回転して左右の駆動車輪(4A)(4B)も同様に正回転し、当該配膳車(1)が前進するが、この際、前述したように、操作ハンドル(2)を右にスライドさせているのに伴って、操作ハンドル(2)の支軸部(9)における中心軸(10)右端の右旋回用スイッチ操作突部(13B)が右旋回用フォトスイッチ(23)の遮光域(F)に進入する結果、左右のモータ(4A)(4B)のうち、右側モータ(4B)の回転が左側モータ(4A)の回転より遅くなって当該配膳車(1)が右へ旋回する。
【0027】
図16および図17に示すように、配膳車(1)の使用者が操作ハンドル(2)を左方向にスライドさせると共に、該操作ハンドル(2)の左側を後方へ押した場合には、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側を支持する軸受部材(35)が後方へ移動すると共に軸受部材(35)に取り付けられたスライド部材(33)も同様に動き、その際、該スライド部材(33)のスイッチ操作用壁部(33b)後面の後退用スイッチ操作突部(33d)が後退用フォトスイッチ(32B)の遮光域に進入する結果、後退用フォトスイッチ(32B)がONとなり、これに伴ってモータ(4A)(4B)がそれぞれ逆回転して左右の駆動車輪(4A)(4B)も同様に回転する結果、当該配膳車(1)が後退するが、この際、この際、前述したように、操作ハンドル(2)を左方向にスライドさせているのに伴って、操作ハンドル(2)の支軸部(9)における中心軸(10)左端の左旋回用スイッチ操作突部(13A)が左旋回用フォトスイッチ(41)の遮光域に進入する結果、左右のモータ(4A)(4B)のうち、左側モータ(4A)の回転が右側モータ(4B)の回転より遅くなって当該配膳車(1)が左へ旋回する(進行方向に向かって右側へ旋回)。
【0028】
図18〜図20に示すように、配膳車(1)の使用者が操作ハンドル(2)を右方向にスライドさせると共に、該操作ハンドル(2)の左側を後方へ押した場合には、操作ハンドル(2)の支軸部(9)の左端側を支持する軸受部材(35)が後方へ移動すると共に軸受部材(35)に取り付けられたスライド部材(33)も同様に動き、その際、該スライド部材(33)後面の後退用スイッチ操作突部(33d)が後退用フォトスイッチ(32B)の遮光域に進入する結果、後退用フォトスイッチ(32B)がONとなり、これに伴ってモータ(4A)(4B)がそれぞれ逆回転して左右の駆動車輪(4A)(4B)も同様に回転し、当該配膳車(1)が後退するが、この際、前述したように、操作ハンドル(2)を右方向にスライドさせているのに伴って、操作ハンドル(2)の支軸部(9)における中心軸(10)右端の右旋回用スイッチ操作突部(13B)が右旋回用フォトスイッチ(23)の遮光域に進入する結果、左右のモータ(4A)(4B)のうち、右側モータ(4B)の回転が左側モータ(4A)の回転より遅くなって当該配膳車(1)が右へ旋回する(進行方向に向かって左側へ旋回)。
【0029】
なお、前述した配膳車(1)の運転において、操作ハンドル(2)を左または右方向へ押して該ハンドル(2)をスライドさせた後、その力を緩めた際には、支軸部(9)両端におけるコイルスプリング(19)の力により操作ハンドル(2)が元の状態に復帰する。また、操作ハンドル(2)の左側を前後方向に動かした場合にも、該ハンドル(2)に対する力を緩めることで、スライド部材(33)のスイッチ操作用壁部(33b)の前後に配置されたコイルスプリング(51A)(51B)によってスライド部材(33)が元の位置に復帰する。
【0030】
図6に示すように、前述したような配膳車(1)の運転を行わない場合には、操作ハンドル(2)を放せば、スプリング(図示せず)によりハンドル(2)が再び起立状態になることで、その支軸部(9)の押パイプ(12)におけるスイッチ作動用レバー(7)が下がって起動用リミットスイッチ(27)の作動部(27a)が下降する結果、起動用リミットスイッチ(27)がOFFとなり、電源が切れる。
【0031】
図21は本実施形態の配膳車における電気配線図であり、その概要を説明すると、(59)は配膳車(1)の操作パネル、(32A)は前進用フォトスイッチ、(32B)は後退用フォトスイッチ、(23)は右旋回用フォトスイッチ、(41)は左旋回用フォトスイッチ、(27)はリミットスイッチ(停止スイッチ)、(47)はシーケンス制御回路、(48A)は左側モータ制御回路、(48B)は右側モータ制御回路、(4A)は左側モータ、(4B)は右側モータ、(51A)は左側モータブレーキ、(51B)は左側モータブレーキである。
【0032】
操作パネル(59)は主スイッチとなるキースイッチ等を備えている。シーケンス制御回路(47)は入力端子台(47a)、出力端子台(47b)およびアナログ出力端子台(47c)を有する。
【0033】
図22は、図3に示す駆動制御の変更例であって、操作ハンドル(2)の左右方向へのスライド状態に対応して左右の駆動車輪(20A)(20B)におけるクラッチ(52A)(52B)を作動させ、左右いずれかの駆動車輪(20A)(20B)を空転させることにより、配膳車(1)を左または右に旋回させるようにするものである。
【0034】
図23は、更に他の駆動制御の例を示しており、この場合、配膳車(1)の走行時において、例えば路面の凹凸によって、駆動車輪が空転した状態の場合、エンコーダ(53A)(53B)によってモータ制御回路へのフィードバック制御が行われ、駆動車輪の回転が一時的に抑えられる。
なお、配膳車(1)の左旋回および右旋回は、前述した方法の他、左右の駆動車輪を互いに逆回転させることで行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る運搬車は、配膳車の他、荷物等、種々ものを運ぶカートとして幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係る配膳車の概要を示す斜視図である。
【図2】同じく配膳車の平面図である。
【図3】配膳車における制御処理の一例を示すブロック図である。
【図4】配膳車における操作ハンドルの取付構造を示す断面図である。
【図5】同じく操作ハンドル部分の平面図である。
【図6】操作ハンドルの回動とリミットスイッチとの連動状態を示す側面図である。
【図7】配膳車が前進(直進)する場合の操作ハンドルの状態を示す平面図である。
【図8】同じく前進の場合における操作ハンドルの左側部分の拡大平面図である。
【図9】配膳車が後退する場合の操作ハンドルの状態を示す平面図である。
【図10】同じく後退の場合における操作ハンドルの左側部分の拡大平面図である。
【図11】配膳車が前進左旋回する場合の操作ハンドルの状態を示す平面図である。
【図12】同じく前進左旋回の場合における操作ハンドルの左側部分の拡大平面図である。
【図13】配膳車が前進右旋回する場合の操作ハンドルの状態を示す平面図である。
【図14】同じく前進右旋回の場合における操作ハンドルの左側部分の拡大平面図である。
【図15】同じく前進右旋回の場合における操作ハンドルの右側部分の拡大平面図である。
【図16】配膳車が後退左旋回する場合の操作ハンドルの状態を示す平面図である。
【図17】同じく後退左旋回の場合における操作ハンドルの左側部分の拡大平面図である。
【図18】配膳車が後退右旋回する場合の操作ハンドルの状態を示す平面図である。
【図19】同じく後退右旋回の場合における操作ハンドルの左側部分の拡大平面図である。
【図20】同じく後退右旋回の場合における操作ハンドルの右側部分の拡大平面図である。
【図21】配膳車の電気配線図の一例である。
【図22】配膳車における制御処理の他の例を示すブロック図である。
【図23】配膳車における制御処理の更に他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
(1) 配膳車
(2) 操作ハンドル
(4A)(4B) 左右モータ
(9) 支軸部
(10) 中心軸
(13A)(13B) 左右旋回用スイッチ操作突部
(14) 右側ベース部材
(19) 支軸部のコイルスプリング
(23) 右旋回用フォトスイッチ
(27) 起動用リミットスイッチ
(28) 左側ベース部材
(31A)(31B) ガイドバー
(32A) 前進用フォトスイッチ
(32B) 後退用フォトスイッチ
(33) スライド部材
(35) 軸受部材
(41) 左旋回用フォトスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転を行うための操作ハンドルと、操作ハンドルの動きによって機械的に切り換えられる複数のスイッチと、これらスイッチの入力状態に基づいて所定の駆動制御処理を行う駆動制御部と、駆動制御部からの出力信号に基づいて作動する駆動源と、駆動源によって個別に回転する左右一対の駆動車輪を有する、駆動式運搬車。
【請求項2】
操作ハンドルの全部または一部が前後、左右に動き、スイッチが前進用スイッチ、後退用スイッチ、左旋回用スイッチおよび右旋回用スイッチからなり、操作ハンドルの前後左右の動きに連動して少なくとも前進用スイッチまたは後退用スイッチが入り、或いは更に右旋回用スイッチまたは左旋回用スイッチが入るようになされ、これらスイッチの入力状態に基づく駆動制御部での処理により左右の駆動車輪が正回転または逆回転して前進または後退が行われ、或いは更に前記左右の駆動車輪の回転速度に差を設けるか、或いは回転方向を逆にすることによって、左または右方向に旋回するようになされている、請求項1記載の駆動式運搬車。
【請求項3】
前進用スイッチ、後退用スイッチ、左旋回用スイッチおよび右旋回用スイッチがいずれもフォトスイッチであり、運搬車本体の前面には操作ハンドルの支軸部両端を支持するベース部材が取り付けられ、一方のベース部材の円形孔には支軸部の一端部が挿入され、支軸部の他端部は軸受部材の円形孔に挿入されており、他方のベース部材にはその前方に伸びる一または複数本のガイドバーが取り付けられ、ガイドバーは前記軸受部材に取り付けられたスライド部材に挿通されており、スライド部材の前面には前進用スイッチ操作突部、同後面には後進用スイッチ操作突部がそれぞれ設けられ、支軸部の左端には左旋回用スイッチ操作突部、支軸部の右端には右旋回用スイッチ操作突部がそれぞれ設けられ、一方のベース部材と軸受部材のうちのいずれか一方に左旋回用スイッチが取り付けられ、同他方には右旋回用スイッチが取り付けられ、支軸部の左右方向へのスライドに伴って左旋回用スイッチ操作突部または右旋回用スイッチ操作突部が対応するスイッチの遮光域に進入することで左旋回または右旋回が行われ、スライド部材の前進用スイッチ操作突部の前方には前進用スイッチ、後進用スイッチ操作突部の後方には後退用スイッチがそれぞれ設けられ、支軸部の前後方向の移動に伴ってスライド部材が前後にスライドすることで前進用スイッチ操作突部または後進用スイッチ操作突部が対応するスイッチの遮光域に進入して前進または後退が行われるようになされている、請求項2記載の駆動式運搬車。
【請求項4】
操作ハンドルの支軸部にスイッチ作動用レバーが設けられ、運搬車本体の前側にはスイッチ作動用レバーが当接する起動スイッチが取り付けられ、支軸部の回動に伴うスイッチ作動用レバーの回動によって起動スイッチのON/OFFが行われるようになされている、請求項3記載の駆動式運搬車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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