駆動機構及びこれを用いた移動テーブル
【課題】 カム及びカムフォロアを用いた駆動機構であって、前記カムに駆動回転力を与える駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な駆動機構等を提供する。
【解決手段】 直進の相対移動可能に案内された二部材1,3間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構である。一方の部材1に回転可能に軸支され、前記直進の相対移動方向に沿って適宜間隔に配列された複数のカムフォロア11,11,…11と、他方の部材3に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線21cが前記相対移動方向に沿うように配された円錐カム21と、を備えている。前記円錐カムを駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝23に前記複数のカムフォロアを順次転動させて前記一つの母線の方向に移動させることによって、前記二部材に直進の相対移動をさせる。
【解決手段】 直進の相対移動可能に案内された二部材1,3間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構である。一方の部材1に回転可能に軸支され、前記直進の相対移動方向に沿って適宜間隔に配列された複数のカムフォロア11,11,…11と、他方の部材3に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線21cが前記相対移動方向に沿うように配された円錐カム21と、を備えている。前記円錐カムを駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝23に前記複数のカムフォロアを順次転動させて前記一つの母線の方向に移動させることによって、前記二部材に直進の相対移動をさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直進の相対移動可能に案内された二部材間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構およびこれを用いた移動テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
図19に、マシニングセンタ等の工作機械に利用される移動テーブルの正面図を、また図20に、図19中のXX−XX線矢視の断面図を示す。図示のように、この移動テーブルは、基台1上面に設けられたリニアガイド5,5と、これらリニアガイド5,5に、直進移動方向に移動可能に支持されたテーブル本体3と、を備えている。そして、このテーブル本体3を直進移動させるための駆動機構としては、通常は、図示のラックギヤ101とピニオンギヤ103とを用いたラックアンドピニオン駆動機構が使用されている。
【0003】
但し、最近では、この駆動機構に代わるものとして、図21及び図22に示すような、カム121及びカムフォロア11を用いた駆動機構が使用されている。なお、図21は、この駆動機構を備えた前記移動テーブルの斜視図であり、図22は、図21中のXXII−XXII線矢視の断面図である。
【0004】
この駆動機構は、テーブル本体3の直進移動方向に沿って、基台1上面に等間隔に配置された複数のカムフォロア11,11,…11(以下では、これらをまとめてカムフォロア列11aとも言う)と、前記テーブル本体3に回転可能に軸支され、その回転軸121aを前記直進移動方向に沿わせて設けられた円筒カム121と、を備えている。そして、前記テーブル本体3に搭載されたモータ131で円筒カム121を駆動回転して、前記円筒カム121の円筒面に形成された転動溝123に前記カムフォロア11,11,…11を順次転動させて当該カムフォロア11を前記回転軸方向に相対移動させることによって、前記テーブル本体3を直進移動させるようになっている(特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2004−162912号公報(第6頁−第8頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記モータ131から円筒カム121への駆動回転力の伝達方法としては、図22に示すような軸継手33を用いて、モータ131の駆動回転軸131aと円筒カム121の回転軸121aとを互いの回転中心を揃えて連結する方法や、プーリーと無端ベルトとからなる巻掛け伝達装置を用いる方法(不図示)等が挙げられる。そして、駆動回転力の伝達精度の観点からは、前者の軸継手33による方法の方が望ましい。
【0006】
しかしながら、当該軸継手33による方法には、モータ131の取り付け用スペースが小さく制限されるという短所がある。すなわち、図22に示すように、前記軸継手33によって、円筒カム121の回転軸121aにモータ131の駆動回転軸131aを連結する場合には、前記回転軸121aとカムフォロア列11aとの間のスペースに、前記モータ131の下半部を収めねばならない。しかし、この円筒カム121にあっては、その回転軸131aが、前記直進移動方向に沿って平行に配置されていることから、取り付け可能なモータ131の最大径は、この回転軸121aとカムフォロア列11aとの離間距離の2倍の大きさに制限されてしまい、これより大きな寸法のモータ131の搭載は不可能であった。その結果、駆動機構がテーブル本体3に付与可能な移動力の大きさが制限されていた。
【0007】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みて成されたもので、カム及びカムフォロアを用いた駆動機構であって、前記カムに駆動回転力を与える駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な駆動機構を提供することを第1の目的とする。また、この駆動機構を用いた移動テーブルを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、直進の相対移動可能に案内された二部材間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構であって、
一方の部材に回転可能に軸支され、前記直進の相対移動方向に沿って適宜間隔に配列された複数のカムフォロアと、他方の部材に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線が前記相対移動方向に沿うように配された円錐カムと、を備え、
前記円錐カムを駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝に前記複数のカムフォロアを順次転動させて前記一つの母線の方向に移動させることによって、前記二部材に直進の相対移動をさせることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、他方の部材に軸支された前記円錐カムを駆動回転すると、その円錐面の転動溝を、一方の部材のカムフォロアが転動し、当該カムフォロアは前記円錐カムに対して前記一つの母線の方向に相対移動する。そして、カムフォロアが前記一つの母線の方向に所定量だけ相対移動すると、この転動中のカムフォロアの隣に配されたカムフォロアも円錐カムの転動溝を転動するようになり、これを順次繰り返して、転動溝を転動するカムフォロアは、前記一つの母線の方向に順次移っていく。これによって、円錐カムとカムフォロアとは、前記相対移動方向に沿って相対移動する結果、これらがそれぞれに軸支された他方の部材と一方の部材とは、直進の相対移動をするようになり、これをもって、円錐カムとカムフォロアとで駆動機構として有効に機能する。
【0010】
また、この円錐カムは、その円錐面の母線のうちの一つの母線が前記相対移動方向に沿うように配されていることから、当該円錐カムの回転軸は前記直線移動方向から傾くこととなる。そして、その傾きの方向は、前記回転軸の一端部がカムフォロアに近づき、他端部が遠ざかる方向である。よって、当該他端部に、前記駆動源を取り付けることにすれば、カムフォロアとの干渉が有効に回避されて、前記駆動源の取り付けスペースは拡大される。その結果、例えば、軸継手を用いて駆動源の駆動回転軸と円錐カムの回転軸とを互いの回転中心を揃えて連結する場合には、前記取り付けスペースが拡大された分だけ、より大きな寸法の駆動源を取り付け可能となる。
なお、母線とは、一つの直線の運動により、円錐面や柱面などが描かれるとき各々の位置における直線のことをいう。
【0011】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の駆動機構において、
前記円錐カムを駆動回転するための駆動源は、前記他方の部材に搭載されるとともに、該駆動源は、投入された動力によって駆動回転する駆動回転軸を有し、
該駆動回転軸と前記円錐カムの回転軸とは、軸継手を介して互いの回転中心を揃えて連結されていることを特徴とする。
上記発明によれば、軸継手を介して前記円錐カムの回転軸は、駆動源の駆動回転軸に連結されているので、駆動回転力を伝達する際の摩擦損失等の機械的損失を小さく抑えることができて、駆動回転力の伝達精度に優れる。
【0012】
請求項3に示す発明は、請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における片方の端部を回転可能に軸支された片持ち状態で前記他方の部材に支持されており、
前記片方の端部よりも、もう片方の端部の方が、前記カムフォロアとの離間距離が小さいことを特徴とする。
上記発明によれば、前記円錐カムは、カムフォロアとの離間距離が大きい方の端部にて軸支されている。従って、円錐カムを軸支するための軸受け部材の取り付け用スペースを容易に確保可能となる。
【0013】
請求項4に示す発明は、請求項3に記載の駆動機構において、
前記片方の端部は、前記回転軸方向に並設された少なくとも二つの軸受け部材によって軸支されていることを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、前記円錐カムは、少なくとも2点支持されるので、円錐カムの軸支状態の安定化が図れる。
【0015】
請求項5に示す発明は、請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における両端部を回転可能に軸支された両持ち状態で、前記他方の部材に支持されていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記円錐カムは両持ち状態に支持されているので、当該駆動機構は、その円錐カムの支持安定性に優れたものとなる。
【0016】
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、前記円錐カムの回転軸方向に亘って該円錐カムの円錐面に形成されるとともに、前記一つの母線の方向における位置が、前記円錐カムの回転方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状溝であり、
該転動溝を転動するカムフォロアが転動溝から外れる前に、その隣に位置するカムフォロアが転動溝での転動を開始することを特徴とする。
上記発明によれば、前記転動溝を転動するカムフォロアが転動溝から外れる前に、その隣に位置するカムフォロアが転動溝での転動を開始するので、円錐カムを駆動回転することによって、確実に前記二部材を相対移動させることができる。
【0017】
請求項7に示す発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、互いに対向する一対の内側面と、これら内側面を繋ぐ底面とからなり、
前記カムフォロアは、その外周面を前記一対の内側面のうちの少なくとも一方に当接させて転動することを特徴とする。
上記発明によれば、カムフォロアは、その外周面を前記転動溝の一対の内側面のうちの少なくとも一方に当接させて転動するので、前記二部材の相対移動の安定性に優れる。
【0018】
請求項8に示す発明は、請求項7に記載の駆動機構において、
前記転動溝には、常に二つ以上のカムフォロアが転動し、これらのうちの少なくとも二つのカムフォロアは、前記転動溝の一対の内側面のうちの互いに逆側の内側面を転動していることを特徴とする。
上記発明によれば、前記転動溝を同時に転動する幾つかのカムフォロアのうちの少なくとも二つのカムフォロアは、互いに逆側の内側面を転動している。従って、転動溝とカムフォロアの外周面との間に隙間(バックラッシ)が存在する場合であっても、すなわち転動溝幅がカムフォロアの外径よりも大きい場合であっても、これら二つのカムフォロアが、回転軸方向におけるカムとカムフォロアとの間のガタツキを抑制する。
【0019】
請求項9に示す発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動機構を備えた移動テーブルであって、
前記カムフォロアが軸支された前記一方の部材は、床部側に固定される基台であるとともに、前記カムが軸支された前記他方の部材は、前記直進の相対移動可能に前記基台に支持されるテーブル本体であることを特徴とする。
上記発明によれば、駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な移動テーブルを提供することができる。そして、この移動テーブルに、大きな寸法の駆動源を取り付ければ、大きな移動力でテーブル本体を移動可能となり、もって、移動テーブルの搬送能力の向上を図ることができる。
【0020】
請求項10に示す発明は、請求項9に記載の複数の移動テーブルを、互いの相対移動方向が異なるように多段に積み重ねたことを特徴とする。
上記発明によれば、床部側に固定された基台から最も離れたテーブル本体は、複数の異なる相対移動方向に移動可能となり、もってテーブル本体の移動自由度の高い移動テーブルを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カム及びカムフォロアを用いた駆動機構であって、前記カムに駆動回転力を与える駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な駆動機構を提供できる。また、この駆動機構を用いた移動テーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
===第1実施形態===
図1乃至図4は、本発明に係る第1実施形態の駆動機構の説明図であり、図1には斜視図を、図2には平面図を、図3には正面図をそれぞれ示している。また、図4A及び図4Bには、駆動機構が移動体3を移動する様子を、図2中のIV−IV線矢視断面で示している。但し、同図中のカムフォロア11、円錐カム21、及びモータ31は側面視である。
【0024】
図1に示すように、本発明に係る駆動機構は、直進の相対移動可能に案内された二部材1,3間に介装されて、これら二部材1,3を相対移動させるためのものである。図示例では、これら二部材1,3として、床部側に固定される基台1と、この基台1にリニアガイド5,5を介して直進移動可能に案内された移動体3が示されている。また、駆動機構としては、円錐カム21及びカムフォロア11を用いたカム機構を用いている。すなわち、図4A及び図4Bに示すように、この駆動機構は、前記基台1に前記直進移動の方向(以下、直進移動方向と言う)に沿って等間隔P0に配置された複数のカムフォロア11,11,…11と、前記移動体3に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線21cが前記直進移動方向に沿うように配された円錐カム21と、を備えている。そして、移動体3に搭載された駆動源としてのモータ31にて円錐カム21を駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝23に前記カムフォロア11,11,…11を順次転動させて当該カムフォロア11を前記母線21cの方向に移動させることによって、前記移動体3を直進移動させるようになっている。なお、母線とは、一つの直線の運動により、円錐面が描かれるとき各々の位置における直線のことをいう。
【0025】
以下、各構成要素について詳細に説明する。
前記基台1は、図1に示すように、上面が水平な底板1aを本体とし、その上面の両脇には、それぞれに、前記直進移動方向に沿う壁部1b,1bが立設されている。そして、これら壁部1b,1bの水平な上面には、それぞれにリニアガイド5のレール部5aが前記直線移動方向に沿って設けられている。このレール部5aには、前記直進移動方向に移動自在にブロック(不図示)が係合しており、このブロックと前記レール部5aとで前述のリニアガイド5が構成される。
【0026】
前記移動体3は、平板3aを本体とする。そして、その両端部が、それぞれに、前記ブロックの上面に固定支持されており、これによって、移動体3は、前記基台1の一対の壁部1b,1bに両持ち支持されながら、前記直進移動方向に移動可能となっている。この平板3aの下面には、図3及び図4Aに示すように、前記円錐カム21や前記モータ31を支持するためのマウント部3b,3cが突設されている。
【0027】
前記複数のカムフォロア11,11,…11は、図2及び図4Aに示すように、前記基台1の底板1aの上面に、前記直進移動方向に沿って一直線上に整列配置されており、もって、前記直進移動方向に沿うカムフォロア列11aを構成している。カムフォロア11は、転動のための回転軸(以下、転動軸と言う)としての略円柱状軸体(不図示)と、この軸体の一端側を、ニードルベアリング(不図示)を介して覆う円筒状外輪12と、を備えた周知構成のものである。そして、前記軸体の他端側には雄ねじが形成されており、前記底板1aの上面の雌ねじ(不図示)にねじ込み締結することによって、カムフォロア11は、前記底板1aの上面に立設固定される。この立設固定状態においては、各カムフォロア11,11,…11の転動軸は、前記底板1aの上面の法線方向を向いており、つまり、これらの転動軸は互いに平行に揃っている。そして、これらカムフォロア11,11,…11の転動軸の延長線上には、図3及び図4Aに示すように円錐カム21の回転軸21aが存在している。
【0028】
前記円錐カム21は、図4Aに示すような円錐体であり、その回転軸方向の片方の端部に設けられた軸受け部材41によって、前記移動体3のマウント部3bに片持ち状態に支持されている。前記軸受け部材41には、ローラーベアリング41,41が使用され、前記円錐カム21を安定支持すべく、前記回転軸方向に二つ並設されている。そして、この軸支状態においては、前記円錐カム21の円錐面の母線のうちの一つの母線21cは、前記直線移動方向に揃えられており、すなわち、前記カムフォロア列11aに沿っていて、これによって、円錐カム21の円錐面は、前記カムフォロア列11aに臨んでいる。そして、この円錐カム21の円錐面には、前記カムフォロア11,11,…11が係合して転動する転動溝23が形成されている。
【0029】
図4Bに示すように、この転動溝23は、互いに対向する一対の内側面23a,23bと、これら内側面23a,23bを繋ぐ底面23eとからなる。そして、これら内側面23a,23bが転動面として機能するようになっており、すなわち、これら内側面23a,23bの一方に前記外輪12を当接させて前記カムフォロア11は転動する。尚、この内側面23a,23bはカムフォロア外輪12の周面が、転動軸方向に亘って均一に当接するように、前記周面に倣わせて形成され、本第1実施形態にあってはカムフォロア外輪12が円筒形状であることから、転動軸と平行に形成されている。よって、これら一対の内側面23a,23bの間隔である転動溝幅は、深さ方向に亘って一定となっている。
【0030】
このような転動溝23は、図4Aに示すように、円錐面における前記回転軸方向の位置が、円錐カム21の円周方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状溝に設定されている。そして、この螺旋状溝は、その回転軸21aの全長に亘って連続形成されており、この回転軸方向の一端にはカムフォロア11を転動溝23へ導くための入口23cが、また他端にはカムフォロア11を転動溝23から出すための出口23dが設定されている。よって、円錐カム21が回転すると、この転動溝23を転動中のカムフォロア11は、前記母線21cの方向に送られて、図4Bに示すように前記他端へと移動する。そして、この他端の出口23dにさしかかると、このカムフォロア11の隣のカムフォロア11が前記一端の入口23cから入って転動を開始し、順次これを繰り返して、円錐カム21を転動するカムフォロア11は隣から隣へと一方向に順に移っていく。但し、これらカムフォロア11,11,…11は基台1に固定されているため、絶対運動としては、円錐カム21を軸支する移動体3が直進移動することとなる。
【0031】
尚、この第1実施形態の駆動機構は、転動溝23を同時に転動するカムフォロア11が基本的に一本であるという一本送りの構成であるが、図4Bに示すように、転動しているカムフォロア11が転動溝23の出口23dから出る際には、入口23cから隣のカムフォロア11が入って来るため、この時だけは、これら二つのカムフォロア11,11が同時に転動溝23を転動することになる。
【0032】
この転動溝23の螺旋形状は、移動体3の移動パターンに応じて適宜変更可能である。例えば、円錐カム21を等速回転することによって移動体3を等速で直進移動させる場合には、前記母線21cの方向に関する転動溝23の位置が、円錐カム21の回転量に正比例して変位する等変位曲線にすれば良い。他方、移動体3を間欠移動させる場合には、すなわち円錐カム21を回転することによって、移動体3の直進移動および停止を繰り返すようにする場合には、前記母線21cの方向に関する転動溝23の位置が変化しない部分を円周方向の所定範囲に亘って設ければ良い。
【0033】
前記モータ31は、図2及び図4Aに示すように、前記移動体3のマウント部3cに搭載されている。このモータ31は、電動モータ31であり、投入された電力によって駆動回転する駆動回転軸31aと、この駆動回転軸31aを収容しつつ回転自在に支持するケーシング31bと、を有している。そして、ケーシング31bは、前記マウント部3cに据え付けられている。また、駆動回転軸31aは、軸継手33によって、前記円錐カム21の回転軸21aと回転中心を揃えた状態で突き合わされて連結されている。このために、モータ31の駆動回転力を円錐カム21に直接伝達可能であり、もって、駆動回転力を伝達する際の摩擦損失等の機械的損失を小さく抑えることができて、駆動回転力の伝達精度に優れたものになっている。
【0034】
なお、前記軸継手33には、図4Bに破断して示すスリーブ継手(筒形部材33の中で二つの回転軸3c,21aを突き合わせてキー(不図示)で固着したもの)や、フランジ継手(二つの回転軸のそれぞれにフランジ部材を嵌合しキーで固着し、これらフランジ部材の互いのフランジ面をボルト・ナットで締め合わせたもの)等が使用可能であるが、これ以外のものを適用しても良い。
【0035】
ここで、この第1実施形態の駆動機構の作用効果を、円筒カム121を用いた従来の駆動機構との対比によって説明する。図5Aに従来の駆動機構を、また図5Bに本発明に係る第1実施形態の駆動機構を示す。なお、両図共に図4Aと同じ様式で示している。
【0036】
図5Aに示すように、従来の駆動機構は円筒カム121を用いているが故に、そのモータ131の取り付け用スペースが小さく制限されている。すなわち、軸継手33によって前記回転軸121aにモータ131の駆動回転軸131aを連結する場合には、前記回転軸121aと基台1上面のカムフォロア列11aとの間のスペースに、前記モータ131の下半部を収めねばならない。しかしながら、この円筒カム121にあっては、その回転軸121aが前記直進移動方向に沿って平行に配されているために、取り付け可能なモータ131の最大径は、前記回転軸121aとカムフォロア列11aとの離間距離の2倍の大きさに制限され、これよりも大きな寸法のモータ131の搭載は不可能である。
【0037】
これに対して、円錐カム21を採用した本発明によれば、図5Bに示すように、モータ31の取り付け用スペースが拡大される。すなわち、この円錐カム21は、その円錐面の前記母線21cが前記直進移動方向に沿うように配されていることから、当該円錐カム21の回転軸21aは前記直線移動方向から傾くこととなる。そして、その傾きの方向は、回転軸21aの一端部が基台1上面のカムフォロア列11aに近づき、他端部が遠ざかる方向である。よって、図5Bに示すように、この他端部に前記モータ31を取り付けることにすれば、前記図5Aに示す最大径のモータ131よりも更に大きなモータ31を取り付け可能となる。その結果、この駆動機構が移動体3に付与可能な移動力の大きさを拡大することができる。
【0038】
また、本第1実施形態にあっては、以下のような作用効果も奏する。前述したように本第1実施形態では、円錐カム21の回転軸方向における片方の端部のみを片持ち状態で支持している。よって、この端部として、図5Bに示す、カムフォロア列11aとの離間距離が大きい方の前記他端部を選択すれば、円錐カム21を軸支するローラーベアリング41の取り付け用スペースも容易に確保可能となり、軸受け部材41の取り付け性にも優れたものとなる。
【0039】
図6に、第1実施形態の変形例を図4Aと同じ様式で示す。前記第1実施形態では、図4Aに示すように、円錐カム21の回転軸方向における片方の端部のみを移動体3のマウント部3bに軸支し、もって、円錐カム21は片持ち状態に支持されていた。これに対して、本変形例では、前記回転軸方向の両端部を前記移動体3のマウント部3b,3dに軸支し、これによって、円錐カム21は両持ち状態に支持されている点で相違する。
【0040】
すなわち、本変形例では、図示のように、前記円錐カム21の片方の端部だけでなく、もう片方の端部にも対応させて、移動体3の下面からマウント部3b,3dが突設されている。そして、これらマウント部3b,3dには、それぞれに、ローラーベアリング41,41が設けられている。その結果、円錐カム21は両持ち状態に、すなわち、その回転軸方向の両脇で支持されており、その支持安定性が高められている。
【0041】
===第2実施形態===
図7A及び図7Bは、第2実施形態の駆動機構が移動体3を動かす様子を示す図であって、両図共に図4Aと同じ様式で示している。図8は図7A中のVIII部の拡大図である。また、図9A及び図9B、並びに、図10A乃至図10Dは、本第2実施形態の駆動機構が、バックラッシGによるガタツキを抑制する様子を示している。尚、図8乃至図10Dでは、カムフォロア11と転動溝23との接触状態が明瞭になるように、円錐カム21をその中心断面で示している。また、前記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して示し、同じ構成部分の説明は省略する。
【0042】
前記第1実施形態では、転動溝23を同時に転動するカムフォロア11が基本的に一本である一本送りの構成を示したが、本第2実施形態は、図7Aに示すように、同時に二本のカムフォロア11,11が転動溝23を転動する二本送りの構成になっている点で相違する。そして、この二本送りの構成によれば、転動溝23とカムフォロア11との間のバックラッシGによるガタツキを抑制して、移動体3の位置決め精度に優れたものとなる。
【0043】
ここで、図8を参照しつつバックラッシGについて説明すると、このバックラッシGは、転動溝幅がカムフォロア11の外径よりも大きいことに起因して生じる両者間の隙間Gのことである。つまり、基本的にカムフォロア11は転動溝23の一方の内側面23bを転動面にして転動するが、この時、他方の内側面23aとの間には隙間Gを生じている。そして、このバックラッシGが存在すると、この隙間Gの分だけ円錐カム21とカムフォロア11との間で前記直進移動方向にガタツキを生じてしまい、この結果、前記移動体3の位置決め精度が悪くなる。
【0044】
このようなバックラッシGによるガタツキを抑制すべく、この第2実施形態では、図9A及び図9B、並びに、図10A乃至図10Dに示すように、転動溝23を同時に転動する二つのカムフォロア11,11が、転動溝23の一対の内側面23a,23bのうちの互いに逆側の内側面23a,23bを転動するようにしている。
【0045】
このようにする具体的手法としては、カムフォロア11,11,…11の配置ピッチを工夫する方法と、転動溝23の螺旋形状を工夫する方法の二つが挙げられる。
【0046】
先ず、前者の方法を、転動溝の形状が前述の等変位曲線である場合を例に説明する。この方法は、カムフォロア列11aを構成するカムフォロア11,11同士の配置ピッチを等間隔にせずに、図9Aに示すように、広いピッチP1と狭いピッチP2とを交互に繰り返してカムフォロア11,11,…11を配置するものである。尚、この広い方のピッチP1は、狭いピッチP2よりも前記バックラッシGの2倍だけ広く設定されている。
【0047】
そして、このようにすれば、図9Aのように狭いピッチP2で隣り合う二つのカムフォロア11,11が転動溝23を転動している時には、これらカムフォロア11,11は、それぞれの周面における互いに対向する部分を、互いに逆側の内側面23a,23bに当接させることができる。そして、これらの当接によって、これらカムフォロア11,11の間の円錐カム21の部分21bを挟み込んで円錐カム21の前記直進移動方向のガタツキを抑制する。
【0048】
また、この状態から円錐カム21が回転すると、一方のカムフォロア11を転動溝23に残しつつ、他方のカムフォロア11は出口23dから出るが、この時、図9Bに示すように、転動溝23の入口23cからは、前記転動溝23に残ったカムフォロア11と隣り合うカムフォロア11が入って来る。ここで、このカムフォロア11と、転動溝23に残ったカムフォロア11との間隔は広いピッチP1に設定されている。このため、このカムフォロア11は、転動溝23に残ったカムフォロア11が当接する内側面23aと逆側の内側面23bに当接することができて、もってこれらの当接によって、これらカムフォロア11,11の間の円錐カム21の部分21bを引張って円錐カム21の前記直進移動方向のガタツキを抑制する。
【0049】
以降、円錐カム21の回転による直進移動に伴って、これを順次繰り返すことによりバックラッシGのガタツキを抑制しながら移動体3を移動するようになっている。
【0050】
次に後者の方法を、カムフォロア列11aのカムフォロア11,11,…11が等間隔P0に配置されている場合を例に説明する。
【0051】
先ず図10A乃至図10Dを参照して、この駆動機構による円錐カム21の直進移動動作について概略説明する。図10Aにその動作の初期状態を示すが、転動溝23を転動する二つのカムフォロア11,11は、それぞれの周面における互いに対向する部分を、互いに逆側の内側面23a,23bに当接させている。そして、これにより、これら内側面23a,23bの間の円錐カム21の部分21bを挟み込んでガタツキを抑えながら、円錐カム21の回転によって、これらカムフォロア11,11は前記直進移動方向に沿って転動溝23の出口23dの方へ向けて移動し、絶対運動としては円錐カム21が直進移動するようになっている。そして、最終的には、図10Dに示すように、一方のカムフォロア11を出口23dから出して、その代わりに次のカムフォロア11を入口23cから転動溝23に入れることによって、円錐カム21は1ストロークだけ直進移動する。そして、この時には、この入って来たカムフォロア11と、転動溝23に残った方のカムフォロア11とによって円錐カム21の前記部分21bを挟み込んで、ガタツキを押さえ込むようになっている。
【0052】
但し、この転動溝23に残った方のカムフォロア11が、円錐カム21の前記部分21bを挟み込むためには、当該カムフォロア11はその転動面を、図10Aで転動している内側面23a(図中左側の内側面)から、図10Dで転動しているもう一方の内側面23b(図中右側の内側面)に乗り換えなければならない。しかし、乗り換えるためには、図10Bに示すように、このカムフォロア11は内側面23aから離れねばならず、その際にバックラッシGによるガタツキを顕在化させてしまう。
【0053】
ここで、この後者の方法にあっては、この乗り換え時に顕在化するガタツキを防止すべく、図10Bに示すように、当に出口23dから出ようとするカムフォロア11と、当に入口23cから入って来たカムフォロア11とで、円錐カム21を挟み込んで抑えるようにしている。すなわち、前記乗り換え時には、出口23dのカムフォロア11および入口23cのカムフォロア11の、それぞれの周面における互いに対向する部分を、互いに逆側の内側面23a,23bに当接させており、これによってガタツキを抑えている。そして、図10Cに示すように、前記カムフォロア11の乗り換えが完了したら、この乗り換え完了したカムフォロア11および入口23cのカムフォロア11の、それぞれの周面における互いに対向する部分は、互いに逆側の内側面23a,23bに当接する。そして、これにより、これら内側面23a,23bの間の円錐カム21の部分21bを挟み込んでガタツキを抑えるようにしている。
【0054】
尚、このカムフォロア11がなす転動面の乗り換えや、この乗り換え中になされる出入口23d,23cのカムフォロア11による挟み込みは、転動溝23の螺旋形状の調整によって実現される。
【0055】
<<<第2実施形態の変形例>>>
図11に、前記第2実施形態の変形例の駆動機構を図4Aと同じ様式で示し、また図12には図11中のXII部を示す。尚、図12では、カムフォロア13と転動溝25との接触状態が明瞭になるように、円錐カム21をその中心断面で示している。また、両図においては、前記第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付して示し、その同じ構成部分の説明は省略する。
【0056】
前記第2実施形態では、そのカムフォロア外輪12が円筒形状であるとともに、円錐カム21の転動溝23は、前記外輪12の周面に倣わせて溝幅が深さ方向に亘って一定になっていたが、本変形例にあっては、そのカムフォロア外輪14は、転動軸方向の先端に向かうに従って外径が小さくなるテーパー円筒形状であるとともに、円錐カム21の転動溝25は、前記外輪14の周面に倣わせて、深さ方向に溝幅が狭くなるテーパー溝である点で相違する。そして、図12に示すように、カムフォロア外輪14のテーパー勾配と、転動溝25の内側面25a,25aのテーパー勾配とは揃えられており、カムフォロア13は、転動軸方向に亘って前記内側面25aに外輪14を均一に当接させて転動するようになっている。
【0057】
そして、この構成によれば、転動溝25を同時に転動する二つのカムフォロア14,14の内側面25a,25bへの当接力の調整を、円錐カム21の回転軸21aとカムフォロア列13aとの間隔の調整によって容易に調整可能となる。すなわち、当接力を大きくする場合には、前記カムフォロア列13aに対する前記円錐カム21の回転軸21aの傾き角を維持しつつ、両者の間の間隔を狭くし、逆に小さくする場合には広げれば良い。そして、この当接力を適正に調整すれば、転動面たる内側面25a,25bにカムフォロア13を確実に転動させることが可能となり、もってカムフォロア外輪14の周面と前記内側面25aとの相対滑りに起因したピッチング等を有効に抑制可能となる。
【0058】
===第3実施形態===
図13は、本発明に係る第3実施形態の駆動機構の平面図であって、カムフォロア列11a,11bと円錐カム21の転動溝23との位置関係を示している。また、図14Aおよび図14Bには、図13中のA−A線矢視およびB−B矢視の断面図をそれぞれ示している。
【0059】
前述の第1および第2実施形態では、カムフォロア列11aが1列だけの単列配置を例示したが、本第3実施形態にあっては、図13に示すように、カムフォロア列11a,11bが2列配置された複列配置になっている点で相違する。すなわち、本第3実施形態では、前記直進移動方向に沿って2列のカムフォロア列11a,11bが、円錐カム21の母線のうちの一つの母線21cから等距離の位置に並設されている。そして、第1列目のカムフォロア列11aを構成するカムフォロア11,11,…11から少し遅れて、第2列目のカムフォロア列11bを構成するカムフォロア11,11,…11が、円錐カム21の転動溝23を転動するようになっている。
【0060】
各カムフォロア列11a,11bにおけるカムフォロア11,11,…11の配置ピッチP3は等間隔に設定されており、また、転動溝23は、前記等変位曲線に形成されており、もって、円錐カム21の一回転につき、各カムフォロア列毎に一つのカムフォロア11が転動溝23の入口23cから入って来るとともに、転動溝23を転動しているカムフォロア11が出口23dから出るようになっている。
【0061】
なお、これらカムフォロア列11a,11bは、前記直進移動方向に関して互いに所定のずらし量だけずらされて配されており、これによって、第1列目のカムフォロア列11aと、第2列目のカムフォロア列11bとは、互いに逆側の内側面23a,23bを転動面として転動するようになっている。すなわち、第1列目11aのカムフォロア11の転動面は、転動溝23の一対の内側面23a,23bのうちの一方23a(図13中の左側の内側面)に統一されているとともに、第2列目11bのカムフォロア11の転動面は、残る一方の内側面23b(図13中の右側の内側面)に統一されている。よって、第1列目11aおよび第2列目11bのカムフォロア11,11によって、バックラッシGのガタツキを抑制できて、移動体3を高精度に位置決め可能である。
【0062】
図15Aには、当該第3実施形態に係るカムフォロア列11a,11bと円錐カム21との位置関係を正面視で示している。この図示例にあっては、各カムフォロア列11a,11bの各カムフォロア11,11,…11の転動軸は、基台1の底板1aの上面の法線方向を向いている。但し、この転動軸の向きは、何等これに限るものではなく、前記転動溝23の内側面23a,23bと平行な状態を維持していれば、例えば、図15Bに示すように、前記法線方向から所定角度だけ傾いていても良い。そして、図15Bに示すように、転動軸の向きが円錐カム21の回転軸21aの方へ向くように傾ければ、カムフォロア11の外輪12と転動溝23との相対滑りを緩和できる結果、ピッチング等の発生を抑制可能となる。
【0063】
===本発明に係る駆動機構の移動テーブル81への適用例===
図16は、本発明に係る駆動機構を適用した移動テーブル81の平面図であり、図17は、その正面図である。尚、図17は、一部を破断して示している。
【0064】
この移動テーブル81は、マシニングセンタ等の工作機械に使用されるXYテーブルであり、その必須機能は、被加工物を載置するテーブル本体3’が、互いに直交するXYの2方向に水平移動可能になっていることである。
ここでは、このようなXYテーブル81を構築すべく、前記駆動機構にて直進移動する移動体3(3’)を基台1(1’)上面に備えた移動テーブルを二つ用意し、これら移動テーブル83(83’)を、上下二段に積み重ねている。すなわち、下段側移動テーブル83’の移動体3’上に上段側移動テーブル83の基台1を固定してこれらを一体化している。そして、この一体化に際しては、これら移動テーブル3,3’の互い直進移動方向が直交するようにし、これによって、上段側の移動体3が、前述の2方向に移動可能なテーブル本体として機能するようにしている。尚、下段側の構成部材を上段側の構成部材に対して区別して示すべく、下段側移動テーブル83’に関する構成部材の符号には、’(ダッシュ)を付して示している。
【0065】
以下、このXYテーブル81を詳細に説明する。
このXYテーブル81は、床部側に固定される基台1’と、一対のリニアガイド5’,5’を介して前記基台1’に両持ち支持された中間テーブル3’と、この中間テーブル3’に一対のリニアガイド5,5を介して両持ち支持されたテーブル本体3とを備えている。そして、基台1’のリニアガイド5’,5’はX方向に沿って配されており、もって中間テーブル3’はX方向に直進移動自在である。また、中間テーブル3’のリニアガイド5,5はY方向に沿って配されており、もってテーブル本体3はY方向に直進移動自在となっている。よって、このテーブル本体3は、中間テーブル3’の直進移動を介してXY方向の任意位置に移動自在である。尚、言うまでもないが、この中間テーブル3’が、前述の下段側移動テーブル83’の移動体3’、およびこれに一体的に固定した上段側移動テーブル83の基台1の両者に対応している。
【0066】
一方、中間テーブル3’およびテーブル本体3を移動するための駆動機構は、中間テーブル用およびテーブル本体用のそれぞれに対して用意されている。中間テーブル用駆動機構は、前記基台1’における前記一対のリニアガイド5’,5’の中間に位置させて、これらリニアガイド5’,5’に沿って配されたカムフォロア列11a’と、中間テーブル3’に軸支されて駆動回転する円錐カム21’と、を備えている。そして、この円錐カム21’の円錐面の母線のうちの一つの母線21cは、前記カムフォロア列11a’に沿って配されている。よって、この円錐カム21’をモータ31‘によって駆動回転すると、その円錐面に形成された螺旋状転動溝23’をカムフォロア列11a’のカムフォロア11’,11’,…11’が順次転動し、これによって、中間テーブル3’はX方向に直進移動するようになっている。
【0067】
また、テーブル本体用駆動機構は、中間テーブル3’における前記一対のリニアガイド5,5の中間に位置させて、これらリニアガイド5,5に沿ってカムフォロア列11aと、中間テーブル3’に軸支されて駆動回転する円錐カム21と、を備えている。そして、この円錐カム21の円錐面の母線のうちの一つの母線21cは、前記カムフォロア列11aに沿って配されている。よって、この円錐カム21をモータ31によって駆動回転すると、その円錐面に形成された螺旋状転動溝23をカムフォロア列11aのカムフォロア11,11,…11が順次転動し、これによって、テーブル本体3はY方向に直進移動するようになっている。
【0068】
===その他の実施形態===
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
【0069】
(a)第1実施形態においては、図1に示すように、カムフォロア列11aの両脇に一対のリニアガイド5,5を設けて移動体3を両持ち支持するようにしたが、これに限るものではない。例えば、カムフォロア列11aの両脇のうちの片側だけに、一対のリニアガイド5,5を設けて移動体3を片持ち支持するようにしても良い。但し、この場合には両持ち支持と比べて支持安定性の面で劣るものとなる。
【0070】
(b)前述の実施形態においては、軸継手33によって、モータ31の駆動回転軸31aと円錐カム21の回転軸21aとを互いの回転中心を揃えて連結していたが、これに限るものではなく、例えば、巻掛け伝動装置を用いる等して、これら回転軸31a,21aの互いの回転中心をずらして連結しても良い。ちなみに、巻き掛け伝導装置とは、移動体3に固設されたモータ31の駆動回転軸と、前記円錐カム21の回転軸とのそれぞれにプーリを固定するとともに、これらプーリに無端ベルトを掛け回してモータ31の駆動回転力を円錐カム21に伝達するものである。但し、この構成では、プーリと無端ベルトとの間で滑りを生じる虞があり、その場合には、摩擦損失等の機械的損失が生じてしまう結果、駆動回転力の伝達精度が悪くなる。
【0071】
(c)前述の実施形態においては、駆動源として電力で駆動する電動モータ31を例示したが、投入された動力によって駆動回転する駆動回転軸31aを有するものであれば、何等これに限るものではなく、例えば、付属のホースや配管等によって、動力として高圧の空気や油が投入されて駆動回転軸が回転する所謂空圧モータや油圧モータであっても良い。
【0072】
(d)第1および第2実施形態においては、一本送りおよび二本送りの構成を示したが、これに限るものではなく、これ以上の本数のカムフォロア11を同時に転動させても良い。例えば、図18に示すように4本のカムフォロア11を同時に転動させても良い。
【0073】
(e)第3実施形態においては、カムフォロア列の複列化の例として、二列配置の構成を示したが、これに限るものではなく、三列以上のカムフォロア列を並列配置しても良い。
【0074】
(f)前述の実施形態では、転動溝23の例として溝状のものを示したが、この転動溝23の概念にはリブ状のものも含まれる。すなわち、外周面の溝の溝幅よりもその外周面の残部幅の方が広いものを溝といい、その逆に溝幅よりも残部幅の方が狭いものをリブと区別してとらえる場合もあるが、本発明にあっては転動溝の意味を広く解釈している。従って、例えば、螺旋状転動溝の概念には、外周面にその円周方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状リブも含まれる。
【0075】
(g)前述の実施形態では、基台1として床部側に固定された基台1を例示したが、この基台1の概念には、床部側に直接固定されずに間接的に固定されている基台1も含まれる。例えば、床部側に支持された壁に基台1が固定されている場合も含まれる。尚、この壁面の角度は鉛直でも傾斜していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る第1実施形態の駆動機構を説明するための斜視図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】前記駆動機構が移動体3を移動する様子を示す図である。
【図5】第1実施形態の駆動機構の作用効果を、従来の駆動機構との対比によって説明するための図である。
【図6】第1実施形態の駆動機構の変形例である。
【図7】第2実施形態の駆動機構が移動体3を動かす様子を示す図である。
【図8】図7中のVIII部である。
【図9】第2実施形態の駆動機構が、バックラッシGによるガタツキを抑制する様子を示す図である。
【図10】第2実施形態の駆動機構が、バックラッシGによるガタツキを抑制する様子を示す図である。
【図11】第2実施形態の駆動機構の変形例である。
【図12】図11中のXII部である。
【図13】第3実施形態の駆動機構の平面図である。
【図14】図13中のA−A線矢視およびB−B矢視の断面図である。
【図15A】第3実施形態に係るカムフォロア列11a,11bと円錐カム21との位置関係を正面視で示す図である。
【図15B】第3実施形態に係るカムフォロア列11a,11bと円錐カム21との位置関係を正面視で示す図である。
【図16】本発明に係る駆動機構を適用した移動テーブル81の平面図である。
【図17】同正面図である。
【図18】第1実施形態の駆動機構の変形例である。
【図19】従来の駆動機構としてのラックアンドピニオン駆動機構の正面図である。
【図20】図19中のXX−XX線矢視の断面図である。
【図21】カム121及びカムフォロア11を用いた駆動機構を説明するための斜視図である。
【図22】図21中のXXII−XXII線矢視の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 基台(部材)
3 移動体、本テーブル(部材)
11 カムフォロア
11a カムフォロア列
21 円錐カム
21c 母線
23 転動溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、直進の相対移動可能に案内された二部材間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構およびこれを用いた移動テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
図19に、マシニングセンタ等の工作機械に利用される移動テーブルの正面図を、また図20に、図19中のXX−XX線矢視の断面図を示す。図示のように、この移動テーブルは、基台1上面に設けられたリニアガイド5,5と、これらリニアガイド5,5に、直進移動方向に移動可能に支持されたテーブル本体3と、を備えている。そして、このテーブル本体3を直進移動させるための駆動機構としては、通常は、図示のラックギヤ101とピニオンギヤ103とを用いたラックアンドピニオン駆動機構が使用されている。
【0003】
但し、最近では、この駆動機構に代わるものとして、図21及び図22に示すような、カム121及びカムフォロア11を用いた駆動機構が使用されている。なお、図21は、この駆動機構を備えた前記移動テーブルの斜視図であり、図22は、図21中のXXII−XXII線矢視の断面図である。
【0004】
この駆動機構は、テーブル本体3の直進移動方向に沿って、基台1上面に等間隔に配置された複数のカムフォロア11,11,…11(以下では、これらをまとめてカムフォロア列11aとも言う)と、前記テーブル本体3に回転可能に軸支され、その回転軸121aを前記直進移動方向に沿わせて設けられた円筒カム121と、を備えている。そして、前記テーブル本体3に搭載されたモータ131で円筒カム121を駆動回転して、前記円筒カム121の円筒面に形成された転動溝123に前記カムフォロア11,11,…11を順次転動させて当該カムフォロア11を前記回転軸方向に相対移動させることによって、前記テーブル本体3を直進移動させるようになっている(特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2004−162912号公報(第6頁−第8頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記モータ131から円筒カム121への駆動回転力の伝達方法としては、図22に示すような軸継手33を用いて、モータ131の駆動回転軸131aと円筒カム121の回転軸121aとを互いの回転中心を揃えて連結する方法や、プーリーと無端ベルトとからなる巻掛け伝達装置を用いる方法(不図示)等が挙げられる。そして、駆動回転力の伝達精度の観点からは、前者の軸継手33による方法の方が望ましい。
【0006】
しかしながら、当該軸継手33による方法には、モータ131の取り付け用スペースが小さく制限されるという短所がある。すなわち、図22に示すように、前記軸継手33によって、円筒カム121の回転軸121aにモータ131の駆動回転軸131aを連結する場合には、前記回転軸121aとカムフォロア列11aとの間のスペースに、前記モータ131の下半部を収めねばならない。しかし、この円筒カム121にあっては、その回転軸131aが、前記直進移動方向に沿って平行に配置されていることから、取り付け可能なモータ131の最大径は、この回転軸121aとカムフォロア列11aとの離間距離の2倍の大きさに制限されてしまい、これより大きな寸法のモータ131の搭載は不可能であった。その結果、駆動機構がテーブル本体3に付与可能な移動力の大きさが制限されていた。
【0007】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みて成されたもので、カム及びカムフォロアを用いた駆動機構であって、前記カムに駆動回転力を与える駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な駆動機構を提供することを第1の目的とする。また、この駆動機構を用いた移動テーブルを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、直進の相対移動可能に案内された二部材間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構であって、
一方の部材に回転可能に軸支され、前記直進の相対移動方向に沿って適宜間隔に配列された複数のカムフォロアと、他方の部材に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線が前記相対移動方向に沿うように配された円錐カムと、を備え、
前記円錐カムを駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝に前記複数のカムフォロアを順次転動させて前記一つの母線の方向に移動させることによって、前記二部材に直進の相対移動をさせることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、他方の部材に軸支された前記円錐カムを駆動回転すると、その円錐面の転動溝を、一方の部材のカムフォロアが転動し、当該カムフォロアは前記円錐カムに対して前記一つの母線の方向に相対移動する。そして、カムフォロアが前記一つの母線の方向に所定量だけ相対移動すると、この転動中のカムフォロアの隣に配されたカムフォロアも円錐カムの転動溝を転動するようになり、これを順次繰り返して、転動溝を転動するカムフォロアは、前記一つの母線の方向に順次移っていく。これによって、円錐カムとカムフォロアとは、前記相対移動方向に沿って相対移動する結果、これらがそれぞれに軸支された他方の部材と一方の部材とは、直進の相対移動をするようになり、これをもって、円錐カムとカムフォロアとで駆動機構として有効に機能する。
【0010】
また、この円錐カムは、その円錐面の母線のうちの一つの母線が前記相対移動方向に沿うように配されていることから、当該円錐カムの回転軸は前記直線移動方向から傾くこととなる。そして、その傾きの方向は、前記回転軸の一端部がカムフォロアに近づき、他端部が遠ざかる方向である。よって、当該他端部に、前記駆動源を取り付けることにすれば、カムフォロアとの干渉が有効に回避されて、前記駆動源の取り付けスペースは拡大される。その結果、例えば、軸継手を用いて駆動源の駆動回転軸と円錐カムの回転軸とを互いの回転中心を揃えて連結する場合には、前記取り付けスペースが拡大された分だけ、より大きな寸法の駆動源を取り付け可能となる。
なお、母線とは、一つの直線の運動により、円錐面や柱面などが描かれるとき各々の位置における直線のことをいう。
【0011】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の駆動機構において、
前記円錐カムを駆動回転するための駆動源は、前記他方の部材に搭載されるとともに、該駆動源は、投入された動力によって駆動回転する駆動回転軸を有し、
該駆動回転軸と前記円錐カムの回転軸とは、軸継手を介して互いの回転中心を揃えて連結されていることを特徴とする。
上記発明によれば、軸継手を介して前記円錐カムの回転軸は、駆動源の駆動回転軸に連結されているので、駆動回転力を伝達する際の摩擦損失等の機械的損失を小さく抑えることができて、駆動回転力の伝達精度に優れる。
【0012】
請求項3に示す発明は、請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における片方の端部を回転可能に軸支された片持ち状態で前記他方の部材に支持されており、
前記片方の端部よりも、もう片方の端部の方が、前記カムフォロアとの離間距離が小さいことを特徴とする。
上記発明によれば、前記円錐カムは、カムフォロアとの離間距離が大きい方の端部にて軸支されている。従って、円錐カムを軸支するための軸受け部材の取り付け用スペースを容易に確保可能となる。
【0013】
請求項4に示す発明は、請求項3に記載の駆動機構において、
前記片方の端部は、前記回転軸方向に並設された少なくとも二つの軸受け部材によって軸支されていることを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、前記円錐カムは、少なくとも2点支持されるので、円錐カムの軸支状態の安定化が図れる。
【0015】
請求項5に示す発明は、請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における両端部を回転可能に軸支された両持ち状態で、前記他方の部材に支持されていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記円錐カムは両持ち状態に支持されているので、当該駆動機構は、その円錐カムの支持安定性に優れたものとなる。
【0016】
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、前記円錐カムの回転軸方向に亘って該円錐カムの円錐面に形成されるとともに、前記一つの母線の方向における位置が、前記円錐カムの回転方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状溝であり、
該転動溝を転動するカムフォロアが転動溝から外れる前に、その隣に位置するカムフォロアが転動溝での転動を開始することを特徴とする。
上記発明によれば、前記転動溝を転動するカムフォロアが転動溝から外れる前に、その隣に位置するカムフォロアが転動溝での転動を開始するので、円錐カムを駆動回転することによって、確実に前記二部材を相対移動させることができる。
【0017】
請求項7に示す発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、互いに対向する一対の内側面と、これら内側面を繋ぐ底面とからなり、
前記カムフォロアは、その外周面を前記一対の内側面のうちの少なくとも一方に当接させて転動することを特徴とする。
上記発明によれば、カムフォロアは、その外周面を前記転動溝の一対の内側面のうちの少なくとも一方に当接させて転動するので、前記二部材の相対移動の安定性に優れる。
【0018】
請求項8に示す発明は、請求項7に記載の駆動機構において、
前記転動溝には、常に二つ以上のカムフォロアが転動し、これらのうちの少なくとも二つのカムフォロアは、前記転動溝の一対の内側面のうちの互いに逆側の内側面を転動していることを特徴とする。
上記発明によれば、前記転動溝を同時に転動する幾つかのカムフォロアのうちの少なくとも二つのカムフォロアは、互いに逆側の内側面を転動している。従って、転動溝とカムフォロアの外周面との間に隙間(バックラッシ)が存在する場合であっても、すなわち転動溝幅がカムフォロアの外径よりも大きい場合であっても、これら二つのカムフォロアが、回転軸方向におけるカムとカムフォロアとの間のガタツキを抑制する。
【0019】
請求項9に示す発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動機構を備えた移動テーブルであって、
前記カムフォロアが軸支された前記一方の部材は、床部側に固定される基台であるとともに、前記カムが軸支された前記他方の部材は、前記直進の相対移動可能に前記基台に支持されるテーブル本体であることを特徴とする。
上記発明によれば、駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な移動テーブルを提供することができる。そして、この移動テーブルに、大きな寸法の駆動源を取り付ければ、大きな移動力でテーブル本体を移動可能となり、もって、移動テーブルの搬送能力の向上を図ることができる。
【0020】
請求項10に示す発明は、請求項9に記載の複数の移動テーブルを、互いの相対移動方向が異なるように多段に積み重ねたことを特徴とする。
上記発明によれば、床部側に固定された基台から最も離れたテーブル本体は、複数の異なる相対移動方向に移動可能となり、もってテーブル本体の移動自由度の高い移動テーブルを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カム及びカムフォロアを用いた駆動機構であって、前記カムに駆動回転力を与える駆動源の取り付け用スペースを拡大可能な駆動機構を提供できる。また、この駆動機構を用いた移動テーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
===第1実施形態===
図1乃至図4は、本発明に係る第1実施形態の駆動機構の説明図であり、図1には斜視図を、図2には平面図を、図3には正面図をそれぞれ示している。また、図4A及び図4Bには、駆動機構が移動体3を移動する様子を、図2中のIV−IV線矢視断面で示している。但し、同図中のカムフォロア11、円錐カム21、及びモータ31は側面視である。
【0024】
図1に示すように、本発明に係る駆動機構は、直進の相対移動可能に案内された二部材1,3間に介装されて、これら二部材1,3を相対移動させるためのものである。図示例では、これら二部材1,3として、床部側に固定される基台1と、この基台1にリニアガイド5,5を介して直進移動可能に案内された移動体3が示されている。また、駆動機構としては、円錐カム21及びカムフォロア11を用いたカム機構を用いている。すなわち、図4A及び図4Bに示すように、この駆動機構は、前記基台1に前記直進移動の方向(以下、直進移動方向と言う)に沿って等間隔P0に配置された複数のカムフォロア11,11,…11と、前記移動体3に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線21cが前記直進移動方向に沿うように配された円錐カム21と、を備えている。そして、移動体3に搭載された駆動源としてのモータ31にて円錐カム21を駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝23に前記カムフォロア11,11,…11を順次転動させて当該カムフォロア11を前記母線21cの方向に移動させることによって、前記移動体3を直進移動させるようになっている。なお、母線とは、一つの直線の運動により、円錐面が描かれるとき各々の位置における直線のことをいう。
【0025】
以下、各構成要素について詳細に説明する。
前記基台1は、図1に示すように、上面が水平な底板1aを本体とし、その上面の両脇には、それぞれに、前記直進移動方向に沿う壁部1b,1bが立設されている。そして、これら壁部1b,1bの水平な上面には、それぞれにリニアガイド5のレール部5aが前記直線移動方向に沿って設けられている。このレール部5aには、前記直進移動方向に移動自在にブロック(不図示)が係合しており、このブロックと前記レール部5aとで前述のリニアガイド5が構成される。
【0026】
前記移動体3は、平板3aを本体とする。そして、その両端部が、それぞれに、前記ブロックの上面に固定支持されており、これによって、移動体3は、前記基台1の一対の壁部1b,1bに両持ち支持されながら、前記直進移動方向に移動可能となっている。この平板3aの下面には、図3及び図4Aに示すように、前記円錐カム21や前記モータ31を支持するためのマウント部3b,3cが突設されている。
【0027】
前記複数のカムフォロア11,11,…11は、図2及び図4Aに示すように、前記基台1の底板1aの上面に、前記直進移動方向に沿って一直線上に整列配置されており、もって、前記直進移動方向に沿うカムフォロア列11aを構成している。カムフォロア11は、転動のための回転軸(以下、転動軸と言う)としての略円柱状軸体(不図示)と、この軸体の一端側を、ニードルベアリング(不図示)を介して覆う円筒状外輪12と、を備えた周知構成のものである。そして、前記軸体の他端側には雄ねじが形成されており、前記底板1aの上面の雌ねじ(不図示)にねじ込み締結することによって、カムフォロア11は、前記底板1aの上面に立設固定される。この立設固定状態においては、各カムフォロア11,11,…11の転動軸は、前記底板1aの上面の法線方向を向いており、つまり、これらの転動軸は互いに平行に揃っている。そして、これらカムフォロア11,11,…11の転動軸の延長線上には、図3及び図4Aに示すように円錐カム21の回転軸21aが存在している。
【0028】
前記円錐カム21は、図4Aに示すような円錐体であり、その回転軸方向の片方の端部に設けられた軸受け部材41によって、前記移動体3のマウント部3bに片持ち状態に支持されている。前記軸受け部材41には、ローラーベアリング41,41が使用され、前記円錐カム21を安定支持すべく、前記回転軸方向に二つ並設されている。そして、この軸支状態においては、前記円錐カム21の円錐面の母線のうちの一つの母線21cは、前記直線移動方向に揃えられており、すなわち、前記カムフォロア列11aに沿っていて、これによって、円錐カム21の円錐面は、前記カムフォロア列11aに臨んでいる。そして、この円錐カム21の円錐面には、前記カムフォロア11,11,…11が係合して転動する転動溝23が形成されている。
【0029】
図4Bに示すように、この転動溝23は、互いに対向する一対の内側面23a,23bと、これら内側面23a,23bを繋ぐ底面23eとからなる。そして、これら内側面23a,23bが転動面として機能するようになっており、すなわち、これら内側面23a,23bの一方に前記外輪12を当接させて前記カムフォロア11は転動する。尚、この内側面23a,23bはカムフォロア外輪12の周面が、転動軸方向に亘って均一に当接するように、前記周面に倣わせて形成され、本第1実施形態にあってはカムフォロア外輪12が円筒形状であることから、転動軸と平行に形成されている。よって、これら一対の内側面23a,23bの間隔である転動溝幅は、深さ方向に亘って一定となっている。
【0030】
このような転動溝23は、図4Aに示すように、円錐面における前記回転軸方向の位置が、円錐カム21の円周方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状溝に設定されている。そして、この螺旋状溝は、その回転軸21aの全長に亘って連続形成されており、この回転軸方向の一端にはカムフォロア11を転動溝23へ導くための入口23cが、また他端にはカムフォロア11を転動溝23から出すための出口23dが設定されている。よって、円錐カム21が回転すると、この転動溝23を転動中のカムフォロア11は、前記母線21cの方向に送られて、図4Bに示すように前記他端へと移動する。そして、この他端の出口23dにさしかかると、このカムフォロア11の隣のカムフォロア11が前記一端の入口23cから入って転動を開始し、順次これを繰り返して、円錐カム21を転動するカムフォロア11は隣から隣へと一方向に順に移っていく。但し、これらカムフォロア11,11,…11は基台1に固定されているため、絶対運動としては、円錐カム21を軸支する移動体3が直進移動することとなる。
【0031】
尚、この第1実施形態の駆動機構は、転動溝23を同時に転動するカムフォロア11が基本的に一本であるという一本送りの構成であるが、図4Bに示すように、転動しているカムフォロア11が転動溝23の出口23dから出る際には、入口23cから隣のカムフォロア11が入って来るため、この時だけは、これら二つのカムフォロア11,11が同時に転動溝23を転動することになる。
【0032】
この転動溝23の螺旋形状は、移動体3の移動パターンに応じて適宜変更可能である。例えば、円錐カム21を等速回転することによって移動体3を等速で直進移動させる場合には、前記母線21cの方向に関する転動溝23の位置が、円錐カム21の回転量に正比例して変位する等変位曲線にすれば良い。他方、移動体3を間欠移動させる場合には、すなわち円錐カム21を回転することによって、移動体3の直進移動および停止を繰り返すようにする場合には、前記母線21cの方向に関する転動溝23の位置が変化しない部分を円周方向の所定範囲に亘って設ければ良い。
【0033】
前記モータ31は、図2及び図4Aに示すように、前記移動体3のマウント部3cに搭載されている。このモータ31は、電動モータ31であり、投入された電力によって駆動回転する駆動回転軸31aと、この駆動回転軸31aを収容しつつ回転自在に支持するケーシング31bと、を有している。そして、ケーシング31bは、前記マウント部3cに据え付けられている。また、駆動回転軸31aは、軸継手33によって、前記円錐カム21の回転軸21aと回転中心を揃えた状態で突き合わされて連結されている。このために、モータ31の駆動回転力を円錐カム21に直接伝達可能であり、もって、駆動回転力を伝達する際の摩擦損失等の機械的損失を小さく抑えることができて、駆動回転力の伝達精度に優れたものになっている。
【0034】
なお、前記軸継手33には、図4Bに破断して示すスリーブ継手(筒形部材33の中で二つの回転軸3c,21aを突き合わせてキー(不図示)で固着したもの)や、フランジ継手(二つの回転軸のそれぞれにフランジ部材を嵌合しキーで固着し、これらフランジ部材の互いのフランジ面をボルト・ナットで締め合わせたもの)等が使用可能であるが、これ以外のものを適用しても良い。
【0035】
ここで、この第1実施形態の駆動機構の作用効果を、円筒カム121を用いた従来の駆動機構との対比によって説明する。図5Aに従来の駆動機構を、また図5Bに本発明に係る第1実施形態の駆動機構を示す。なお、両図共に図4Aと同じ様式で示している。
【0036】
図5Aに示すように、従来の駆動機構は円筒カム121を用いているが故に、そのモータ131の取り付け用スペースが小さく制限されている。すなわち、軸継手33によって前記回転軸121aにモータ131の駆動回転軸131aを連結する場合には、前記回転軸121aと基台1上面のカムフォロア列11aとの間のスペースに、前記モータ131の下半部を収めねばならない。しかしながら、この円筒カム121にあっては、その回転軸121aが前記直進移動方向に沿って平行に配されているために、取り付け可能なモータ131の最大径は、前記回転軸121aとカムフォロア列11aとの離間距離の2倍の大きさに制限され、これよりも大きな寸法のモータ131の搭載は不可能である。
【0037】
これに対して、円錐カム21を採用した本発明によれば、図5Bに示すように、モータ31の取り付け用スペースが拡大される。すなわち、この円錐カム21は、その円錐面の前記母線21cが前記直進移動方向に沿うように配されていることから、当該円錐カム21の回転軸21aは前記直線移動方向から傾くこととなる。そして、その傾きの方向は、回転軸21aの一端部が基台1上面のカムフォロア列11aに近づき、他端部が遠ざかる方向である。よって、図5Bに示すように、この他端部に前記モータ31を取り付けることにすれば、前記図5Aに示す最大径のモータ131よりも更に大きなモータ31を取り付け可能となる。その結果、この駆動機構が移動体3に付与可能な移動力の大きさを拡大することができる。
【0038】
また、本第1実施形態にあっては、以下のような作用効果も奏する。前述したように本第1実施形態では、円錐カム21の回転軸方向における片方の端部のみを片持ち状態で支持している。よって、この端部として、図5Bに示す、カムフォロア列11aとの離間距離が大きい方の前記他端部を選択すれば、円錐カム21を軸支するローラーベアリング41の取り付け用スペースも容易に確保可能となり、軸受け部材41の取り付け性にも優れたものとなる。
【0039】
図6に、第1実施形態の変形例を図4Aと同じ様式で示す。前記第1実施形態では、図4Aに示すように、円錐カム21の回転軸方向における片方の端部のみを移動体3のマウント部3bに軸支し、もって、円錐カム21は片持ち状態に支持されていた。これに対して、本変形例では、前記回転軸方向の両端部を前記移動体3のマウント部3b,3dに軸支し、これによって、円錐カム21は両持ち状態に支持されている点で相違する。
【0040】
すなわち、本変形例では、図示のように、前記円錐カム21の片方の端部だけでなく、もう片方の端部にも対応させて、移動体3の下面からマウント部3b,3dが突設されている。そして、これらマウント部3b,3dには、それぞれに、ローラーベアリング41,41が設けられている。その結果、円錐カム21は両持ち状態に、すなわち、その回転軸方向の両脇で支持されており、その支持安定性が高められている。
【0041】
===第2実施形態===
図7A及び図7Bは、第2実施形態の駆動機構が移動体3を動かす様子を示す図であって、両図共に図4Aと同じ様式で示している。図8は図7A中のVIII部の拡大図である。また、図9A及び図9B、並びに、図10A乃至図10Dは、本第2実施形態の駆動機構が、バックラッシGによるガタツキを抑制する様子を示している。尚、図8乃至図10Dでは、カムフォロア11と転動溝23との接触状態が明瞭になるように、円錐カム21をその中心断面で示している。また、前記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して示し、同じ構成部分の説明は省略する。
【0042】
前記第1実施形態では、転動溝23を同時に転動するカムフォロア11が基本的に一本である一本送りの構成を示したが、本第2実施形態は、図7Aに示すように、同時に二本のカムフォロア11,11が転動溝23を転動する二本送りの構成になっている点で相違する。そして、この二本送りの構成によれば、転動溝23とカムフォロア11との間のバックラッシGによるガタツキを抑制して、移動体3の位置決め精度に優れたものとなる。
【0043】
ここで、図8を参照しつつバックラッシGについて説明すると、このバックラッシGは、転動溝幅がカムフォロア11の外径よりも大きいことに起因して生じる両者間の隙間Gのことである。つまり、基本的にカムフォロア11は転動溝23の一方の内側面23bを転動面にして転動するが、この時、他方の内側面23aとの間には隙間Gを生じている。そして、このバックラッシGが存在すると、この隙間Gの分だけ円錐カム21とカムフォロア11との間で前記直進移動方向にガタツキを生じてしまい、この結果、前記移動体3の位置決め精度が悪くなる。
【0044】
このようなバックラッシGによるガタツキを抑制すべく、この第2実施形態では、図9A及び図9B、並びに、図10A乃至図10Dに示すように、転動溝23を同時に転動する二つのカムフォロア11,11が、転動溝23の一対の内側面23a,23bのうちの互いに逆側の内側面23a,23bを転動するようにしている。
【0045】
このようにする具体的手法としては、カムフォロア11,11,…11の配置ピッチを工夫する方法と、転動溝23の螺旋形状を工夫する方法の二つが挙げられる。
【0046】
先ず、前者の方法を、転動溝の形状が前述の等変位曲線である場合を例に説明する。この方法は、カムフォロア列11aを構成するカムフォロア11,11同士の配置ピッチを等間隔にせずに、図9Aに示すように、広いピッチP1と狭いピッチP2とを交互に繰り返してカムフォロア11,11,…11を配置するものである。尚、この広い方のピッチP1は、狭いピッチP2よりも前記バックラッシGの2倍だけ広く設定されている。
【0047】
そして、このようにすれば、図9Aのように狭いピッチP2で隣り合う二つのカムフォロア11,11が転動溝23を転動している時には、これらカムフォロア11,11は、それぞれの周面における互いに対向する部分を、互いに逆側の内側面23a,23bに当接させることができる。そして、これらの当接によって、これらカムフォロア11,11の間の円錐カム21の部分21bを挟み込んで円錐カム21の前記直進移動方向のガタツキを抑制する。
【0048】
また、この状態から円錐カム21が回転すると、一方のカムフォロア11を転動溝23に残しつつ、他方のカムフォロア11は出口23dから出るが、この時、図9Bに示すように、転動溝23の入口23cからは、前記転動溝23に残ったカムフォロア11と隣り合うカムフォロア11が入って来る。ここで、このカムフォロア11と、転動溝23に残ったカムフォロア11との間隔は広いピッチP1に設定されている。このため、このカムフォロア11は、転動溝23に残ったカムフォロア11が当接する内側面23aと逆側の内側面23bに当接することができて、もってこれらの当接によって、これらカムフォロア11,11の間の円錐カム21の部分21bを引張って円錐カム21の前記直進移動方向のガタツキを抑制する。
【0049】
以降、円錐カム21の回転による直進移動に伴って、これを順次繰り返すことによりバックラッシGのガタツキを抑制しながら移動体3を移動するようになっている。
【0050】
次に後者の方法を、カムフォロア列11aのカムフォロア11,11,…11が等間隔P0に配置されている場合を例に説明する。
【0051】
先ず図10A乃至図10Dを参照して、この駆動機構による円錐カム21の直進移動動作について概略説明する。図10Aにその動作の初期状態を示すが、転動溝23を転動する二つのカムフォロア11,11は、それぞれの周面における互いに対向する部分を、互いに逆側の内側面23a,23bに当接させている。そして、これにより、これら内側面23a,23bの間の円錐カム21の部分21bを挟み込んでガタツキを抑えながら、円錐カム21の回転によって、これらカムフォロア11,11は前記直進移動方向に沿って転動溝23の出口23dの方へ向けて移動し、絶対運動としては円錐カム21が直進移動するようになっている。そして、最終的には、図10Dに示すように、一方のカムフォロア11を出口23dから出して、その代わりに次のカムフォロア11を入口23cから転動溝23に入れることによって、円錐カム21は1ストロークだけ直進移動する。そして、この時には、この入って来たカムフォロア11と、転動溝23に残った方のカムフォロア11とによって円錐カム21の前記部分21bを挟み込んで、ガタツキを押さえ込むようになっている。
【0052】
但し、この転動溝23に残った方のカムフォロア11が、円錐カム21の前記部分21bを挟み込むためには、当該カムフォロア11はその転動面を、図10Aで転動している内側面23a(図中左側の内側面)から、図10Dで転動しているもう一方の内側面23b(図中右側の内側面)に乗り換えなければならない。しかし、乗り換えるためには、図10Bに示すように、このカムフォロア11は内側面23aから離れねばならず、その際にバックラッシGによるガタツキを顕在化させてしまう。
【0053】
ここで、この後者の方法にあっては、この乗り換え時に顕在化するガタツキを防止すべく、図10Bに示すように、当に出口23dから出ようとするカムフォロア11と、当に入口23cから入って来たカムフォロア11とで、円錐カム21を挟み込んで抑えるようにしている。すなわち、前記乗り換え時には、出口23dのカムフォロア11および入口23cのカムフォロア11の、それぞれの周面における互いに対向する部分を、互いに逆側の内側面23a,23bに当接させており、これによってガタツキを抑えている。そして、図10Cに示すように、前記カムフォロア11の乗り換えが完了したら、この乗り換え完了したカムフォロア11および入口23cのカムフォロア11の、それぞれの周面における互いに対向する部分は、互いに逆側の内側面23a,23bに当接する。そして、これにより、これら内側面23a,23bの間の円錐カム21の部分21bを挟み込んでガタツキを抑えるようにしている。
【0054】
尚、このカムフォロア11がなす転動面の乗り換えや、この乗り換え中になされる出入口23d,23cのカムフォロア11による挟み込みは、転動溝23の螺旋形状の調整によって実現される。
【0055】
<<<第2実施形態の変形例>>>
図11に、前記第2実施形態の変形例の駆動機構を図4Aと同じ様式で示し、また図12には図11中のXII部を示す。尚、図12では、カムフォロア13と転動溝25との接触状態が明瞭になるように、円錐カム21をその中心断面で示している。また、両図においては、前記第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付して示し、その同じ構成部分の説明は省略する。
【0056】
前記第2実施形態では、そのカムフォロア外輪12が円筒形状であるとともに、円錐カム21の転動溝23は、前記外輪12の周面に倣わせて溝幅が深さ方向に亘って一定になっていたが、本変形例にあっては、そのカムフォロア外輪14は、転動軸方向の先端に向かうに従って外径が小さくなるテーパー円筒形状であるとともに、円錐カム21の転動溝25は、前記外輪14の周面に倣わせて、深さ方向に溝幅が狭くなるテーパー溝である点で相違する。そして、図12に示すように、カムフォロア外輪14のテーパー勾配と、転動溝25の内側面25a,25aのテーパー勾配とは揃えられており、カムフォロア13は、転動軸方向に亘って前記内側面25aに外輪14を均一に当接させて転動するようになっている。
【0057】
そして、この構成によれば、転動溝25を同時に転動する二つのカムフォロア14,14の内側面25a,25bへの当接力の調整を、円錐カム21の回転軸21aとカムフォロア列13aとの間隔の調整によって容易に調整可能となる。すなわち、当接力を大きくする場合には、前記カムフォロア列13aに対する前記円錐カム21の回転軸21aの傾き角を維持しつつ、両者の間の間隔を狭くし、逆に小さくする場合には広げれば良い。そして、この当接力を適正に調整すれば、転動面たる内側面25a,25bにカムフォロア13を確実に転動させることが可能となり、もってカムフォロア外輪14の周面と前記内側面25aとの相対滑りに起因したピッチング等を有効に抑制可能となる。
【0058】
===第3実施形態===
図13は、本発明に係る第3実施形態の駆動機構の平面図であって、カムフォロア列11a,11bと円錐カム21の転動溝23との位置関係を示している。また、図14Aおよび図14Bには、図13中のA−A線矢視およびB−B矢視の断面図をそれぞれ示している。
【0059】
前述の第1および第2実施形態では、カムフォロア列11aが1列だけの単列配置を例示したが、本第3実施形態にあっては、図13に示すように、カムフォロア列11a,11bが2列配置された複列配置になっている点で相違する。すなわち、本第3実施形態では、前記直進移動方向に沿って2列のカムフォロア列11a,11bが、円錐カム21の母線のうちの一つの母線21cから等距離の位置に並設されている。そして、第1列目のカムフォロア列11aを構成するカムフォロア11,11,…11から少し遅れて、第2列目のカムフォロア列11bを構成するカムフォロア11,11,…11が、円錐カム21の転動溝23を転動するようになっている。
【0060】
各カムフォロア列11a,11bにおけるカムフォロア11,11,…11の配置ピッチP3は等間隔に設定されており、また、転動溝23は、前記等変位曲線に形成されており、もって、円錐カム21の一回転につき、各カムフォロア列毎に一つのカムフォロア11が転動溝23の入口23cから入って来るとともに、転動溝23を転動しているカムフォロア11が出口23dから出るようになっている。
【0061】
なお、これらカムフォロア列11a,11bは、前記直進移動方向に関して互いに所定のずらし量だけずらされて配されており、これによって、第1列目のカムフォロア列11aと、第2列目のカムフォロア列11bとは、互いに逆側の内側面23a,23bを転動面として転動するようになっている。すなわち、第1列目11aのカムフォロア11の転動面は、転動溝23の一対の内側面23a,23bのうちの一方23a(図13中の左側の内側面)に統一されているとともに、第2列目11bのカムフォロア11の転動面は、残る一方の内側面23b(図13中の右側の内側面)に統一されている。よって、第1列目11aおよび第2列目11bのカムフォロア11,11によって、バックラッシGのガタツキを抑制できて、移動体3を高精度に位置決め可能である。
【0062】
図15Aには、当該第3実施形態に係るカムフォロア列11a,11bと円錐カム21との位置関係を正面視で示している。この図示例にあっては、各カムフォロア列11a,11bの各カムフォロア11,11,…11の転動軸は、基台1の底板1aの上面の法線方向を向いている。但し、この転動軸の向きは、何等これに限るものではなく、前記転動溝23の内側面23a,23bと平行な状態を維持していれば、例えば、図15Bに示すように、前記法線方向から所定角度だけ傾いていても良い。そして、図15Bに示すように、転動軸の向きが円錐カム21の回転軸21aの方へ向くように傾ければ、カムフォロア11の外輪12と転動溝23との相対滑りを緩和できる結果、ピッチング等の発生を抑制可能となる。
【0063】
===本発明に係る駆動機構の移動テーブル81への適用例===
図16は、本発明に係る駆動機構を適用した移動テーブル81の平面図であり、図17は、その正面図である。尚、図17は、一部を破断して示している。
【0064】
この移動テーブル81は、マシニングセンタ等の工作機械に使用されるXYテーブルであり、その必須機能は、被加工物を載置するテーブル本体3’が、互いに直交するXYの2方向に水平移動可能になっていることである。
ここでは、このようなXYテーブル81を構築すべく、前記駆動機構にて直進移動する移動体3(3’)を基台1(1’)上面に備えた移動テーブルを二つ用意し、これら移動テーブル83(83’)を、上下二段に積み重ねている。すなわち、下段側移動テーブル83’の移動体3’上に上段側移動テーブル83の基台1を固定してこれらを一体化している。そして、この一体化に際しては、これら移動テーブル3,3’の互い直進移動方向が直交するようにし、これによって、上段側の移動体3が、前述の2方向に移動可能なテーブル本体として機能するようにしている。尚、下段側の構成部材を上段側の構成部材に対して区別して示すべく、下段側移動テーブル83’に関する構成部材の符号には、’(ダッシュ)を付して示している。
【0065】
以下、このXYテーブル81を詳細に説明する。
このXYテーブル81は、床部側に固定される基台1’と、一対のリニアガイド5’,5’を介して前記基台1’に両持ち支持された中間テーブル3’と、この中間テーブル3’に一対のリニアガイド5,5を介して両持ち支持されたテーブル本体3とを備えている。そして、基台1’のリニアガイド5’,5’はX方向に沿って配されており、もって中間テーブル3’はX方向に直進移動自在である。また、中間テーブル3’のリニアガイド5,5はY方向に沿って配されており、もってテーブル本体3はY方向に直進移動自在となっている。よって、このテーブル本体3は、中間テーブル3’の直進移動を介してXY方向の任意位置に移動自在である。尚、言うまでもないが、この中間テーブル3’が、前述の下段側移動テーブル83’の移動体3’、およびこれに一体的に固定した上段側移動テーブル83の基台1の両者に対応している。
【0066】
一方、中間テーブル3’およびテーブル本体3を移動するための駆動機構は、中間テーブル用およびテーブル本体用のそれぞれに対して用意されている。中間テーブル用駆動機構は、前記基台1’における前記一対のリニアガイド5’,5’の中間に位置させて、これらリニアガイド5’,5’に沿って配されたカムフォロア列11a’と、中間テーブル3’に軸支されて駆動回転する円錐カム21’と、を備えている。そして、この円錐カム21’の円錐面の母線のうちの一つの母線21cは、前記カムフォロア列11a’に沿って配されている。よって、この円錐カム21’をモータ31‘によって駆動回転すると、その円錐面に形成された螺旋状転動溝23’をカムフォロア列11a’のカムフォロア11’,11’,…11’が順次転動し、これによって、中間テーブル3’はX方向に直進移動するようになっている。
【0067】
また、テーブル本体用駆動機構は、中間テーブル3’における前記一対のリニアガイド5,5の中間に位置させて、これらリニアガイド5,5に沿ってカムフォロア列11aと、中間テーブル3’に軸支されて駆動回転する円錐カム21と、を備えている。そして、この円錐カム21の円錐面の母線のうちの一つの母線21cは、前記カムフォロア列11aに沿って配されている。よって、この円錐カム21をモータ31によって駆動回転すると、その円錐面に形成された螺旋状転動溝23をカムフォロア列11aのカムフォロア11,11,…11が順次転動し、これによって、テーブル本体3はY方向に直進移動するようになっている。
【0068】
===その他の実施形態===
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
【0069】
(a)第1実施形態においては、図1に示すように、カムフォロア列11aの両脇に一対のリニアガイド5,5を設けて移動体3を両持ち支持するようにしたが、これに限るものではない。例えば、カムフォロア列11aの両脇のうちの片側だけに、一対のリニアガイド5,5を設けて移動体3を片持ち支持するようにしても良い。但し、この場合には両持ち支持と比べて支持安定性の面で劣るものとなる。
【0070】
(b)前述の実施形態においては、軸継手33によって、モータ31の駆動回転軸31aと円錐カム21の回転軸21aとを互いの回転中心を揃えて連結していたが、これに限るものではなく、例えば、巻掛け伝動装置を用いる等して、これら回転軸31a,21aの互いの回転中心をずらして連結しても良い。ちなみに、巻き掛け伝導装置とは、移動体3に固設されたモータ31の駆動回転軸と、前記円錐カム21の回転軸とのそれぞれにプーリを固定するとともに、これらプーリに無端ベルトを掛け回してモータ31の駆動回転力を円錐カム21に伝達するものである。但し、この構成では、プーリと無端ベルトとの間で滑りを生じる虞があり、その場合には、摩擦損失等の機械的損失が生じてしまう結果、駆動回転力の伝達精度が悪くなる。
【0071】
(c)前述の実施形態においては、駆動源として電力で駆動する電動モータ31を例示したが、投入された動力によって駆動回転する駆動回転軸31aを有するものであれば、何等これに限るものではなく、例えば、付属のホースや配管等によって、動力として高圧の空気や油が投入されて駆動回転軸が回転する所謂空圧モータや油圧モータであっても良い。
【0072】
(d)第1および第2実施形態においては、一本送りおよび二本送りの構成を示したが、これに限るものではなく、これ以上の本数のカムフォロア11を同時に転動させても良い。例えば、図18に示すように4本のカムフォロア11を同時に転動させても良い。
【0073】
(e)第3実施形態においては、カムフォロア列の複列化の例として、二列配置の構成を示したが、これに限るものではなく、三列以上のカムフォロア列を並列配置しても良い。
【0074】
(f)前述の実施形態では、転動溝23の例として溝状のものを示したが、この転動溝23の概念にはリブ状のものも含まれる。すなわち、外周面の溝の溝幅よりもその外周面の残部幅の方が広いものを溝といい、その逆に溝幅よりも残部幅の方が狭いものをリブと区別してとらえる場合もあるが、本発明にあっては転動溝の意味を広く解釈している。従って、例えば、螺旋状転動溝の概念には、外周面にその円周方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状リブも含まれる。
【0075】
(g)前述の実施形態では、基台1として床部側に固定された基台1を例示したが、この基台1の概念には、床部側に直接固定されずに間接的に固定されている基台1も含まれる。例えば、床部側に支持された壁に基台1が固定されている場合も含まれる。尚、この壁面の角度は鉛直でも傾斜していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る第1実施形態の駆動機構を説明するための斜視図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】前記駆動機構が移動体3を移動する様子を示す図である。
【図5】第1実施形態の駆動機構の作用効果を、従来の駆動機構との対比によって説明するための図である。
【図6】第1実施形態の駆動機構の変形例である。
【図7】第2実施形態の駆動機構が移動体3を動かす様子を示す図である。
【図8】図7中のVIII部である。
【図9】第2実施形態の駆動機構が、バックラッシGによるガタツキを抑制する様子を示す図である。
【図10】第2実施形態の駆動機構が、バックラッシGによるガタツキを抑制する様子を示す図である。
【図11】第2実施形態の駆動機構の変形例である。
【図12】図11中のXII部である。
【図13】第3実施形態の駆動機構の平面図である。
【図14】図13中のA−A線矢視およびB−B矢視の断面図である。
【図15A】第3実施形態に係るカムフォロア列11a,11bと円錐カム21との位置関係を正面視で示す図である。
【図15B】第3実施形態に係るカムフォロア列11a,11bと円錐カム21との位置関係を正面視で示す図である。
【図16】本発明に係る駆動機構を適用した移動テーブル81の平面図である。
【図17】同正面図である。
【図18】第1実施形態の駆動機構の変形例である。
【図19】従来の駆動機構としてのラックアンドピニオン駆動機構の正面図である。
【図20】図19中のXX−XX線矢視の断面図である。
【図21】カム121及びカムフォロア11を用いた駆動機構を説明するための斜視図である。
【図22】図21中のXXII−XXII線矢視の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 基台(部材)
3 移動体、本テーブル(部材)
11 カムフォロア
11a カムフォロア列
21 円錐カム
21c 母線
23 転動溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直進の相対移動可能に案内された二部材間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構であって、
一方の部材に回転可能に軸支され、前記直進の相対移動方向に沿って適宜間隔に配列された複数のカムフォロアと、他方の部材に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線が前記相対移動方向に沿うように配された円錐カムと、を備え、
前記円錐カムを駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝に前記複数のカムフォロアを順次転動させて前記一つの母線の方向に移動させることによって、前記二部材に直進の相対移動をさせることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動機構において、
前記円錐カムを駆動回転するための駆動源は、前記他方の部材に搭載されるとともに、該駆動源は、投入された動力によって駆動回転する駆動回転軸を有し、
該駆動回転軸と前記円錐カムの回転軸とは、軸継手を介して互いの回転中心を揃えて連結されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における片方の端部を回転可能に軸支された片持ち状態で前記他方の部材に支持されており、
前記片方の端部よりも、もう片方の端部の方が、前記カムフォロアとの離間距離が小さいことを特徴とする駆動機構。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動機構において、
前記片方の端部は、前記回転軸方向に並設された少なくとも二つの軸受け部材によって軸支されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における両端部を回転可能に軸支された両持ち状態で、前記他方の部材に支持されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、前記円錐カムの回転軸方向に亘って該円錐カムの円錐面に形成されるとともに、前記一つの母線の方向における位置が、前記円錐カムの回転方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状溝であり、
該転動溝を転動するカムフォロアが転動溝から外れる前に、その隣に位置するカムフォロアが転動溝での転動を開始することを特徴とする駆動機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、互いに対向する一対の内側面と、これら内側面を繋ぐ底面とからなり、
前記カムフォロアは、その外周面を前記一対の内側面のうちの少なくとも一方に当接させて転動することを特徴とする駆動機構。
【請求項8】
請求項7に記載の駆動機構において、
前記転動溝には、常に二つ以上のカムフォロアが転動し、これらのうちの少なくとも二つのカムフォロアは、前記転動溝の一対の内側面のうちの互いに逆側の内側面を転動していることを特徴とする駆動機構。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動機構を備え、
前記カムフォロアが軸支された前記一方の部材は、床部側に固定される基台であるとともに、前記カムが軸支された前記他方の部材は、前記直進の相対移動可能に前記基台に支持されるテーブル本体であることを特徴とする移動テーブル。
【請求項10】
請求項9に記載の複数の移動テーブルを、互いの相対移動方向が異なるように多段に積み重ねたことを特徴とする移動テーブル。
【請求項1】
直進の相対移動可能に案内された二部材間に介装されて、これら二部材を相対移動させるための駆動機構であって、
一方の部材に回転可能に軸支され、前記直進の相対移動方向に沿って適宜間隔に配列された複数のカムフォロアと、他方の部材に回転可能に軸支され、円錐面の母線のうちの一つの母線が前記相対移動方向に沿うように配された円錐カムと、を備え、
前記円錐カムを駆動回転して、前記円錐面に形成された転動溝に前記複数のカムフォロアを順次転動させて前記一つの母線の方向に移動させることによって、前記二部材に直進の相対移動をさせることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動機構において、
前記円錐カムを駆動回転するための駆動源は、前記他方の部材に搭載されるとともに、該駆動源は、投入された動力によって駆動回転する駆動回転軸を有し、
該駆動回転軸と前記円錐カムの回転軸とは、軸継手を介して互いの回転中心を揃えて連結されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における片方の端部を回転可能に軸支された片持ち状態で前記他方の部材に支持されており、
前記片方の端部よりも、もう片方の端部の方が、前記カムフォロアとの離間距離が小さいことを特徴とする駆動機構。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動機構において、
前記片方の端部は、前記回転軸方向に並設された少なくとも二つの軸受け部材によって軸支されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の駆動機構において、
前記円錐カムは、該円錐カムの回転軸方向における両端部を回転可能に軸支された両持ち状態で、前記他方の部材に支持されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、前記円錐カムの回転軸方向に亘って該円錐カムの円錐面に形成されるとともに、前記一つの母線の方向における位置が、前記円錐カムの回転方向に沿って一方向に変位してなる螺旋状溝であり、
該転動溝を転動するカムフォロアが転動溝から外れる前に、その隣に位置するカムフォロアが転動溝での転動を開始することを特徴とする駆動機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動機構において、
前記転動溝は、互いに対向する一対の内側面と、これら内側面を繋ぐ底面とからなり、
前記カムフォロアは、その外周面を前記一対の内側面のうちの少なくとも一方に当接させて転動することを特徴とする駆動機構。
【請求項8】
請求項7に記載の駆動機構において、
前記転動溝には、常に二つ以上のカムフォロアが転動し、これらのうちの少なくとも二つのカムフォロアは、前記転動溝の一対の内側面のうちの互いに逆側の内側面を転動していることを特徴とする駆動機構。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動機構を備え、
前記カムフォロアが軸支された前記一方の部材は、床部側に固定される基台であるとともに、前記カムが軸支された前記他方の部材は、前記直進の相対移動可能に前記基台に支持されるテーブル本体であることを特徴とする移動テーブル。
【請求項10】
請求項9に記載の複数の移動テーブルを、互いの相対移動方向が異なるように多段に積み重ねたことを特徴とする移動テーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−77842(P2006−77842A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261117(P2004−261117)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】
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