説明

駆動装置

【課題】2つのモータとそれぞれのモータを制御する2つの制御装置とを備えるものにおいて、2つのモータのそれぞれの出力が正常か否かを判定できるようにする。
【解決手段】モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*の設定やトルク指令Tm2*に基づくモータMG2の制御,トルク指令Tm1*と出力トルクとの比較によるモータMG1の出力の監視を行なうマスター電子制御ユニット50と、トルク指令Tm1*に基づくモータMG1の制御やトルク指令Tm2*と出力トルクとの比較によるモータMG2の出力の監視を行なうスレーブ電子制御ユニット52と、を備え、マスター電子制御ユニット50からスレーブ電子制御ユニット52に、シリアル通信ライン60によりトルク指令Tm1*,Tm2*を送信し、アナログ通信ライン62によりトルク指令Tm2*を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関し、詳しくは、第1の電動機と、第2の電動機と、第1の電動機から出力すべき目標トルクとしての第1目標トルクに基づいて第1の電動機を制御する第1の制御装置と、第2の電動機から出力すべき目標トルクとしての第2目標トルクに基づいて第2の電動機を制御する第2の制御装置と、を備える駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駆動装置としては、モータと、モータ指令値を演算する第1のMPUと、第1のMPUにより算出されたモータ指令値を用いてモータを駆動制御する第2のMPUと、を備え、第1のMPUと第2のMPUとをシリアル通信ラインとアナログ通信ラインとによって接続するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、第2のMPUは、第1のMPUとのシリアル通信が正常に行なわれているか否かを判定し、シリアル通信が正常に行なわれているときには第1のMPUからシリアル通信ラインにより送られてきたモータ指令値に基づいてモータを駆動制御し、シリアル通信が異常であるときには第1のMPUからアナログ通信により送られてきたモータ指令値に基づいてモータを駆動制御することにより、シリアル通信が正常に行なわれないときでもモータの駆動制御を継続できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−173371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした駆動装置において、2つのモータを備える場合、第1のMPUと第2のMPUとでそれぞれモータを駆動することが考えられる。この場合、それぞれのモータの出力が正常か否かを判定(監視)することが望まれるが、そのためだけに更なるMPUを設けるものとすると、装置の複雑化や大型化につながるため、好ましくない。そのため、それぞれのモータの出力が正常か否かの判定を2つのMPUを用いてどのように行なうかが課題となる。
【0005】
本発明の駆動装置は、2つのモータとそれぞれのモータを制御する2つの制御装置とを備えるものにおいて、2つのモータのそれぞれの出力が正常か否かを判定できるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の駆動装置は、
第1の電動機と、第2の電動機と、前記第1の電動機から出力すべき目標トルクとしての第1目標トルクに基づいて前記第1の電動機を制御する第1の制御装置と、前記第2の電動機から出力すべき目標トルクとしての第2目標トルクに基づいて前記第2の電動機を制御する第2の制御装置と、を備える駆動装置において、
前記第1の制御装置は、前記第1目標トルクおよび前記第2目標トルクを設定すると共に該設定した第1目標トルクおよび第2目標トルクを前記第2の制御装置に送信し更に前記設定した第2目標トルクと前記第2の電動機から出力されると推定されるトルクである第2出力トルクとの比較により前記第2の電動機からの出力が正常か否かを判定する制御装置であり、
前記第2の制御装置は、前記設定された第1目標トルクおよび第2目標トルクを前記第1の制御装置から受信すると共に前記受信した第1目標トルクと前記第1の電動機から出力されると推定されるトルクである第1出力トルクとの比較により前記第1の電動機からの出力が正常か否かを判定する制御装置であり、
更に、前記第1の制御装置は、前記設定した第1目標トルクおよび第2目標トルクを第1の通信ラインにより前記第2の制御装置に送信すると共に、前記設定した第1目標トルクを第2の通信ラインにより前記第2の制御装置に送信する制御装置である、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の駆動装置では、第1の制御装置は、第1目標トルクおよび第2目標トルクを設定し、設定した第1目標トルクに基づいて第1の電動機を制御し、設定した第1目標トルクおよび第2目標トルクを第2の制御装置に送信し、設定した第2目標トルクと第2の電動機から出力されると推定されるトルクである第2出力トルクとの比較により第2の電動機からの出力が正常か否かを判定する制御装置である。また、第2の制御装置は、第1目標トルクおよび第2目標トルクを第1の制御装置から受信し、第2目標トルクに基づいて第2の電動機を制御し、第1目標トルクと第1の電動機から出力されると推定されるトルクである第1出力トルクとの比較により第1の電動機からの出力が正常か否かを判定する制御装置である。したがって、第1の制御装置により、第2目標トルクと第2出力トルクとの比較により第2の電動機からの出力が正常か否かを判定し、第2の制御装置により、第1目標トルクと第1出力トルクとの比較により第1の電動機からの出力が正常か否かを判定するから、第1の電動機からの出力や第2の電動機からの出力が正常か否かを判定するための制御装置を別に設ける必要がない。これにより、装置を複雑化せずに第1の電動機や第2の電動機からの出力が正常か否かを判定することができる。そして、第1の制御装置は、第1目標トルクおよび第2目標トルクを第1の通信ラインにより第2の制御装置に送信すると共に、設定した第1目標トルクを第2の通信ラインにより第2の制御装置に送信する。これにより、第1の通信ラインに異常が生じたときでも、第2の制御装置により、第1目標トルクと第1出力トルクとの比較により第1の電動機からの出力が正常か否かを判定することができる。
【0009】
こうした本発明の駆動装置において、前記第1の制御装置は、前記第1の電動機のロータの回転位置と前記第1の電動機の各相に印加される相電流と前記第2の電動機のロータの回転位置と前記第2の電動機の各相に印加される相電流とを入力し、前記第1目標トルクと前記第1の電動機のロータの回転位置と前記第1の電動機の各相に印加される相電流とに基づいて前記第1の電動機を制御し、前記第2の電動機のロータの回転位置と前記第2の電動機の各相に印加される相電流とに基づいて前記第2出力トルクを設定する制御装置であり、前記第2の制御装置は、前記第1の電動機のロータの回転位置と前記第1の電動機の各相に印加される相電流と前記第2の電動機のロータの回転位置と前記第2の電動機の各相に印加される相電流とを入力し、前記第2目標トルクと前記第2の電動機のロータの回転位置と前記第2の電動機の各相に印加される相電流とに基づいて前記第2の電動機を制御し、前記第1の電動機のロータの回転位置と前記第1の電動機の各相に印加される相電流とに基づいて前記第1出力トルクを設定する制御装置である、ものとすることもできる。
【0010】
本発明の駆動装置では、第1の制御装置は、第1目標トルクおよび第2目標トルクを第1の通信ラインにより第2の制御装置に送信すると共に第1目標トルクを第2の通信ラインにより第2の制御装置に送信する制御装置であるものとしたが、第1目標トルクおよび第2目標トルクを第2の通信ラインにより第2の制御装置に送信するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例としての駆動装置20の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例の駆動装置20は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されており、図示するように、周知の同期発電電動機として構成された2つのモータMG1,MG2と、2つのモータMG1,MG2をそれぞれ駆動するインバータ24,25と、インバータ24,25を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ26と、モータMG1,MG2から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したり設定したトルク指令Tm2*に基づいてモータMG2を制御したりする電子制御ユニット(以下、マスター電子制御ユニットという)50と、マスター電子制御ユニット50から受信したトルク指令Tm1*に基づいてモータMG1を制御する電子制御ユニット(以下、スレーブ電制御ユニットという)52と、を備える。ここで、スレーブ電子制御ユニット52とマスター電子制御ユニット50とは、シリアル通信ライン60およびアナログ通信ライン62により接続されている。
【0014】
マスター電子制御ユニット50は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。マスター電子制御ユニット50には、モータMG1,MG2のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ40,41からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の三相コイルのV相,W相に印加される相電流を検出する電流センサ42V,42W,43V,43Wからの相電流Iv1,Iw1,Iv2,Iw2などが入力されている。また、マスター電子制御ユニット50からは、インバータ25のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力されている。
【0015】
このマスター電子制御ユニット50は、搭載される自動車の駆動要求など(例えば、アクセル開度と車速とに基づく駆動要求など)に基づいてモータMG1,MG2から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したり、設定したトルク指令Tm2*と回転位置検出センサ41からのモータMG2のロータの回転位置θm2と電流センサ43V,43WからのモータMG2の三相コイルのV相,W相に印加される相電流Iv2,Iw2とに基づいてインバータ25のスイッチング素子をスイッチング制御したり、回転位置検出センサ40からのモータMG1のロータの回転位置θm1と電流センサ42V,42WからのモータMG1の三相コイルのV相,W相に印加される相電流Iv1,Iw1とに基づいてモータMG1から出力されると推定されるトルクとしての出力トルクTm1estを演算したり、設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と出力トルクTm1estとの比較によりモータMG1の出力が正常か否かを(モータMG1が正常に駆動されているか否か)を判定(監視)したりする。これにより、マスター電子制御ユニット50により、モータMG2を制御したり、モータMG1の出力が正常か否かを判定したりすることができる。なお、トルク指令Tm2*とモータMG2のロータの回転位置θm2とモータMG2のV相,W相に印加される相電流Iv2,Iw2とに基づいてインバータ25のスイッチング素子をスイッチング制御する処理や、モータMG1のロータの回転位置θm1とモータMG1のV相,W相に印加される相電流Iv1,Iw1とに基づいてモータMG1の出力トルクTm1estを演算する処理については周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0016】
また、マスター電子制御ユニット50は、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をシリアル通信ライン60によりスレーブ電子制御ユニット52に送信すると共に、モータMG2のトルク指令Tm2*をアナログ信号に変換してアナログ通信ライン62によりスレーブ電子制御ユニット52に送信し、スレーブ電子制御ユニット52からはモータMG2の出力が正常か否かの判定結果を図示しない通信ラインにより受信する。
【0017】
スレーブ電子制御ユニット52は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。スレーブ電子制御ユニット52には、モータMG1,MG2のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ40,41からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の三相コイルのV相,W相に印加される相電流を検出する電流センサ42V,42W,43V,43Wからの相電流Iv1,Iw1,Iv2,Iw2などが入力されている。また、スレーブ電子制御ユニット52からは、インバータ24のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力されている。
【0018】
このスレーブ電子制御ユニット52は、シリアル通信ライン60に異常が生じていないときには、マスター電子制御ユニット50から、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*(デジタル信号)をシリアル通信ライン60により受信すると共に、モータMG2のトルク指令Tm2*(アナログ信号)をアナログ通信ライン62により受信する。この場合、スレーブ電子制御ユニット52は、マスター電子制御ユニット50からシリアル通信ライン60により受信したモータMG1のトルク指令Tm1*と回転位置検出センサ40からのモータMG1のロータの回転位置θm1と電流センサ42V,42WからのモータMG1の三相コイルのV相,W相に印加される相電流Iv1,Iw1とに基づいてインバータ24のスイッチング素子をスイッチング制御したり、回転位置検出センサ41からのモータMG2のロータの回転位置θm2と電流センサ43V,43WからのモータMG2の三相コイルのV相,W相に印加される相電流Iv2,Iw2とに基づいてモータMG2から出力されると推定されるトルクとしての出力トルクTm2estを演算したり、マスター電子制御ユニット50からシリアル通信ライン60により受信したモータMG2のTm2*と出力トルクTm2estとの比較によりモータMG2の出力が正常か否かを(モータMG2が正常に駆動されているか否か)を判定(監視)したりし、モータMG2の出力が正常か否かの判定結果を図示しない信号ラインによりマスター電子制御ユニット50に送信する。これにより、スレーブ電子制御ユニット52により、モータMG1を制御したり、モータMG2の出力が正常か否かを判定したりすることができる。なお、トルク指令Tm1*とモータMG1のロータの回転位置θm1とモータMG1のV相,W相に印加される相電流Iv1,Iw1とに基づいてインバータ24のスイッチング素子をスイッチング制御する処理や、モータMG2のロータの回転位置θm2とモータMG2のV相,W相に印加される相電流Iv2,Iw2とに基づいてモータMG2の出力トルクTm2estを演算する処理については周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0019】
また、スレーブ電子制御ユニット52は、シリアル通信ライン60に異常が生じているときには、マスター電子制御ユニット50からアナログ通信ライン62により受信したモータMG2のトルク指令Tm2*(アナログ信号)をデジタル信号に変換して、そのモータMG2のトルク指令Tm2*と出力トルクTm2estとの比較によりモータMG2の出力が正常か否か(モータMG1が正常に駆動されているか否か)を判定し、その判定結果を図示しない信号ラインによりマスター電子制御ユニット50に送信する。これにより、シリアル通信ライン60に異常が生じたときでも、モータMG2の出力が正常か否かを判定することができる。なお、実施例では、マスター電子制御ユニット50からスレーブ電子制御ユニット52にアナログ通信ライン62によりモータMG2のトルク指令Tm2*(アナログ信号)だけを送信するものとしたから、シリアル通信ライン60に異常が生じたときには、スレーブ電子制御ユニット52はモータMG1のトルク指令Tm1*を取得することができない。このため、この場合、モータMG1は駆動されないことになる。
【0020】
以上説明した実施例の駆動装置20によれば、マスター電子制御ユニット50では、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したりモータMG2のトルク指令Tm2*に基づいてモータMG2を制御したりモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をスレーブ電子制御ユニット52に送信したりモータMG1のトルク指令Tm1*と出力トルクTm1estとの比較によりモータMG1の出力が正常か否かを判定したりし、スレーブ電子制御ユニット52では、マスター電子制御ユニット50から受信したモータMG1のトルク指令Tm1*に基づいてモータMG1を制御したりマスター電子制御ユニット50から受信したモータMG2のトルク指令Tm2*と出力トルクTm2estとの比較によりモータMG2の出力が正常か否かを判定したりするものとしたから、それぞれの電子制御ユニットにより、モータMG1,MG2のうち制御対象でないモータの出力が正常か否かを判定することができる。しかも、マスター電子制御ユニット50からスレーブ電子制御ユニット52に、シリアル通信ライン60によりモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を送信すると共にアナログ通信ライン62によりモータMG2のトルク指令Tm2*を送信するから、シリアル通信ライン60に異常が生じたときでも、スレーブ電子制御ユニット52により、モータMG2の出力が正常が否かを判定することができる。
【0021】
また、実施例の駆動装置20によれば、マスター電子制御ユニット50およびスレーブ電子制御ユニット52は、それぞれ、回転位置検出センサ40,41からのモータMG1,MG2のロータの回転位置θm1,θm2や、電流センサ42V,42W,43V,43WからのモータMG1,MG2のV相,W相の相電流Iv1,Iw1,Iv2,Iw2を入力するものとしたから、マスター電子制御ユニット50とスレーブ電子制御ユニット52との間で通信する情報の種類や情報量を少なくすることができる。即ち、スレーブ電子制御ユニット52によってモータMG2の出力が正常か否かを判定するためにマスター電子制御ユニット50からスレーブ電子制御ユニット52にモータMG2のロータの回転位置θm2やモータMG2のV相,W相の相電流Iv2,Iw2を送信する必要がなく、マスター電子制御ユニット50によってモータMG1の出力が正常か否かを判定するためにスレーブ電子制御ユニット52からマスター電子制御ユニット50にモータMG1のロータの回転位置θm1やモータMG1のV相,W相の相電流Iv1,Iw1を送信する必要がない。
【0022】
実施例の駆動装置20では、マスター電子制御ユニット50からスレーブ電子制御ユニット52に、シリアル通信ライン60によりモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を送信すると共にアナログ通信ライン62によりモータMG2のトルク指令Tm2*を送信するものとしたが、シリアル通信ライン60によりモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を送信すると共にアナログ通信ライン62によりモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を送信するものとしてもよい。
【0023】
実施例の駆動装置20では、マスター電子制御ユニット50およびスレーブ電子制御ユニット52は、それぞれ、回転位置検出センサ40,41からのモータMG1,MG2のロータの回転位置θm1,θm2や、電流センサ42V,42W,43V,43WからのモータMG1,MG2のV相,W相の相電流Iv1,Iw1,Iv2,Iw2を入力するものとしたが、マスター電子制御ユニット50は、モータMG1のロータの回転位置θm1やモータMG1のV相,W相の相電流Iv1,Iw1についてはスレーブ電子制御ユニット52から通信により入力するものとしてもよいし、スレーブ電子制御ユニット52は、モータMG2のロータの回転位置θm2やモータMG2のV相,W相の相電流Iv2,Iw2についてはマスター電子制御ユニット50から通信により入力するものとしてもよい。
【0024】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「第1の電動機」に相当し、マスター電子制御ユニット50が「第1の制御装置」に相当し、モータMG1が「第2の電動機」に相当し、スレーブ電子制御ユニット52が「第2の制御装置」に相当する。
【0025】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0026】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、駆動装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
20 駆動装置、24,25 インバータ、26 バッテリ、40,41 回転位置検出センサ、42V,42W,43V,43W 電流センサ、50 マスター電子制御ユニット、52 スレーブ電子制御ユニット、60 シリアル通信ライン、62 アナログ通信ライン、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電動機と、第2の電動機と、前記第1の電動機から出力すべき目標トルクとしての第1目標トルクに基づいて前記第1の電動機を制御する第1の制御装置と、前記第2の電動機から出力すべき目標トルクとしての第2目標トルクに基づいて前記第2の電動機を制御する第2の制御装置と、を備える駆動装置において、
前記第1の制御装置は、前記第1目標トルクおよび前記第2目標トルクを設定すると共に該設定した第1目標トルクおよび第2目標トルクを前記第2の制御装置に送信し更に前記設定した第2目標トルクと前記第2の電動機から出力されると推定されるトルクである第2出力トルクとの比較により前記第2の電動機からの出力が正常か否かを判定する制御装置であり、
前記第2の制御装置は、前記設定された第1目標トルクおよび第2目標トルクを前記第1の制御装置から受信すると共に前記受信した第1目標トルクと前記第1の電動機から出力されると推定されるトルクである第1出力トルクとの比較により前記第1の電動機からの出力が正常か否かを判定する制御装置であり、
更に、前記第1の制御装置は、前記設定した第1目標トルクおよび第2目標トルクを第1の通信ラインにより前記第2の制御装置に送信すると共に、前記設定した第1目標トルクを第2の通信ラインにより前記第2の制御装置に送信する制御装置である、
駆動装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−210003(P2012−210003A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71786(P2011−71786)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】