説明

駐車場管理システム

【課題】駐車券の廃棄数を減らして資源の有効活用を図ると共に、既存の装置を利用し、または簡単な構造により駐車券の再利用を実現し、かつランニングコストの上昇を抑える。
【解決手段】出口精算機25または事前精算機31は、駐車料金の精算時に、駐車券に、当該駐車券が再利用の許容された駐車券であることを示すIDコードを記録した後、当該駐車券を利用者に返却する。その後、利用者が、返却された前回の駐車場利用に係る駐車券を車両入場時に駐車券発行機15の挿入口に挿入したとき、駐車券発行機15は、当該駐車券に記録されたIDコードを読み取り、そのIDコードが、当該駐車券が再利用の許容された駐車券であること示すIDコードである場合には、当該駐車券を再利用して今回の駐車場利用に係る駐車券として利用者に発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における車両の駐車を管理する駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駐車場で発行される紙製の駐車券を様々な用途に有効利用する試みがなされている。例えば、特許文献1には、駐車時に用いた駐車券を使用して、駐車場の利用者に対して駐車券の再利用を促すため、駐車料金の割引を行うことができる駐車料金割引機能を備えた駐車場管理装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、入場管理機で駐車券としての時間貸券・定期券・回数券等を発券した後に、その駐車券を用いて料金精算機で駐車料金を精算し、かつ、料金精算機を用いて定期券、回数券の購入を可能にした駐車場管理システムが記載されている。
【0004】
さらに、駐車場で用いた駐車券を回収して、何回も使い回しするリユース式駐車場システムも今までに多数提案されている。例えば特許文献3には、入庫時の情報を書き込んだ駐車券を発行する券発行部と、投入された駐車券の券データを読み取って精算を行う券受領部とを一体化した券処理部を設け、券発行部を車両の入庫側に、券受領部を出庫側に形成し、券処理部内には投入された駐車券に対してデータの消去や保管等のリサイクル処理を行なうリサイクル部を設けた駐車券処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3499423号公報
【特許文献2】特開2007−4505号公報
【特許文献3】特開平7−29040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、昨今の駐車場においても駐車券の廃棄数を減らし、資源の有効活用を図り、今日の深刻化した環境問題の解決に貢献することが望まれる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の駐車料金割引機能を備えた駐車場管理装置では、使用済み駐車券から割引券への転用が可能となるが、その割引券として使用を終えた駐車券は廃棄される。すなわち、1つの券を駐車券として1回利用した後、割引券として1回利用しているに過ぎない。このため、上記特許文献1に記載の駐車場管理装置では、駐車券の廃棄数を十分に減らすことができない。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の駐車場管理システムでは、入場時には券種を指定せずに発行し、精算時に料金収受と共に他種類の券に書き換えるものであり、駐車券を自動的に発行しながらも様々な券種に転用できるという多機能性があるものの、やはり駐車券の廃棄数の減少を狙ったものではない。
【0009】
また、上記特許文献3に記載の駐車券処理装置は、券受領部から投入されたリライト可能な駐車券を、リサイクル処理部により再度使用可能な状態にした後、これを自動的に券発行部へ移送する構造等を有するため、装置の構造が複雑であり、既存の装置を利用して実現することが難しく、実現にかかるコストが過大となるおそれがある。
【0010】
さらに、上記特許文献3に記載の駐車券処理装置は、他人が使用したカードを使い回すため不衛生であるという問題があり、この問題を解決するために、回収したカードを洗浄し、または良否選別する手段を設けることも考えられるが、このような手段を設けた場合にはランニングコストが高くなる。
【0011】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、駐車場で発行された駐車券を有効利用して駐車券の廃棄数を減らし、資源の有効活用を図ることができる駐車場管理システムを提供することにある。
【0012】
本発明の第2の課題は、既存の装置を利用し、または簡単な構造により駐車券の再利用を実現することができ、かつランニングコストの上昇を抑えることができる駐車場管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の駐車場管理システムは、駐車券発行機および出場処理機を備えた駐車場管理システムであって、前記駐車券発行機は、新しい駐車券の発行指示を入力する発行指示入力手段と、前記発行指示入力手段により利用者が新しい駐車券の発行指示を入力したときには、今回の車両入場時刻を含む今回の駐車場利用に係る入場情報を新しい駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する新駐車券発行手段と、駐車券を利用者から受け取る第1の駐車券受取手段と、前記第1の駐車券受取手段により前回の駐車場利用に係る駐車券を利用者から受け取ったときには、当該駐車券が再利用の許容された駐車券か否かを当該駐車券に記録された駐車券識別情報に基づいて判断し、当該駐車券が再利用の許容された駐車券である場合には、今回の車両入場時刻を含む今回の駐車場利用に係る入場情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する再利用駐車券発行手段と、前記新駐車券発行手段または前記再利用駐車券発行手段による駐車券の発行に続いて入口ゲート開閉機のゲート開制御を行う入場制御手段とを備え、前記出場処理機は、駐車券を利用者から受け取る第2の駐車券受取手段と、前記第2の駐車券受取手段により前記今回の駐車場利用に係る駐車券を利用者から受け取ったときには、当該駐車券が再利用の許容された駐車券であることを示す駐車券識別情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を前記利用者に返却する駐車券返却手段と、駐車料金の精算の有無に応じ、前記駐車券返却手段による駐車券の返却に続いて出口ゲート開閉機のゲート開制御を行う出場制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の駐車場管理システムは、本発明の第1の駐車場管理システムにおいて、前記出場処理機は、駐車料金の精算を行う駐車料金精算手段を備えた駐車料金精算機であることを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の第3の駐車場管理システムは、本発明の第1または第2の駐車場管理システムにおいて、前記新駐車券発行手段は、前記発行指示入力手段により利用者が新しい駐車券の発行指示を入力したときには、利用者が今回利用する駐車場を特定する駐車場特定情報をさらに含む今回の駐車場利用に係る前記入場情報を新しい駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行し、前記再利用駐車券発行手段は、前記第1の駐車券受取手段により利用者から受け取った前回の駐車場利用に係る駐車券が再利用の許容された駐車券である場合には、当該駐車券に既に記録されている前記駐車場特定情報により特定される利用者が前回利用した駐車場と前記利用者が今回利用する駐車場との異同を問わず、利用者が今回利用する駐車場を特定する前記駐車場特定情報を含む今回の駐車場利用に係る入場情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行することを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の第4の駐車場管理システムは、本発明の第1ないし第3のいずれかの駐車場管理システムにおいて、前記駐車券発行機または前記出場処理機は、入場車両を特定する車両特定情報を取得する車両特定情報取得手段と、前記車両特定情報取得手段により取得された車両特定情報を駐車券に記録する車両特定情報記録手段と、1つの駐車券が利用された回数を示す利用回数情報を当該駐車券に記録する利用回数情報記録手段とを備え、前記利用回数情報記録手段は、前記第1の駐車券受取手段により利用者から受け取った前回の駐車場利用に係る駐車券が再利用の許容された駐車券である場合には、当該駐車券に既に記録されている前回の駐車場利用に係る前記車両特定情報と前記車両特定情報取得手段により取得された今回の入場車両を特定する前記車両特定情報とが一致するときには、当該駐車券に記録されている前記利用回数情報を1増加させ、前記第1の駐車券受取手段により利用者から受け取った再利用の許容された前回の駐車場利用に係る駐車券に既に記録されている前回の駐車場利用に係る前記車両特定情報と前記車両特定情報取得手段により取得された今回の入場車両を特定する前記車両特定情報とが一致しないときには、当該駐車券に記録されている前記利用回数情報を増加させず、または初期化することを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の第5の駐車場管理システムは、本発明の第4の駐車場管理システムにおいて、前記駐車券発行機または前記出場処理機は、駐車券に記録された前記利用回数情報が示す回数が所定の回数に達したときには、駐車料金の割引に係る情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を、駐車場利用に係る割引券として、または今回の駐車場利用に係る駐車券と駐車場利用に係る割引券とを合わせた複合券として発行する割引券発行手段を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の第6の駐車場管理システムは、本発明の第1ないし第3のいずれかの駐車場管理システムにおいて、駐車券交換機を備え、前記駐車券交換機は、駐車券を利用者から受け取る第3の駐車券受取手段と、前記第3の駐車券受取手段により利用者から受け取られた駐車券が紙により形成された駐車券である場合には、紙よりも耐久性のある材料により形成された耐久駐車券に、前記紙により形成された駐車券に記録された情報、および耐久駐車券であることを示す駐車券識別情報を記録した後、当該耐久駐車券を発行する耐久駐車券発行手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
上記本発明の第1の駐車場管理システムによれば、駐車券を再利用することができるので、駐車券の廃棄数を減らすことができ、資源の有効利用を図ることができる。また、上記先行技術文献に記載されたような、出口側で回収された利用済みの駐車券を再利用するために入口側に移送する構造を採用することなく駐車券の再利用を実現することができ、機器のコストの上昇を抑えることができる。さらに、他人が使用した駐車券を使い回す方法ではないので、衛生的であり、利用者に不快感を与えることがなく、駐車券の洗浄や良否選別が不要であり、ランニングコストの上昇を抑制することができる。ここで、出場処理機は、例えば出口精算機、事前精算機、ラグタイムリーダ(出口通過機)である。
【0020】
上記本発明の第2の駐車場管理システムによれば、出口精算機または事前精算機等の既存の駐車料金精算機により駐車券の再利用を簡単に低コストで実現することができる。
【0021】
上記本発明の第3の駐車場管理システムによれば、利用者は、前回利用した駐車券を、前回利用した駐車場と異なる駐車場で再利用することができる。このように、1つの駐車券を複数の駐車場で再利用することができるので、利用者にとって駐車券を再利用しやすいものとすることができ、駐車券の再利用を促進することができる。
【0022】
上記本発明の第4の駐車場管理システムによれば、駐車券を再利用した回数が多い利用者に例えば駐車料金割引等の優遇措置を実施する場合には、1つの駐車券を1台の車両の駐車のために再利用した利用者に対してのみ優遇措置を実施することができる。すなわち、1つの駐車券を使い回して複数の車両を駐車する利用者や、再利用が許容された駐車券を拾得した者等に対して優遇措置が実施されることを避けることができる。
【0023】
上記本発明の第5の駐車場管理システムによれば、1つの駐車券の利用を複数回繰り返した利用者を優遇することにより、駐車券の再利用を促進することができる。また、複数回利用された駐車券を割引券または複合券とし、当該割引券または複合券の利用後、当該割引券または複合券を廃棄することにより、繰り返し利用されて駐車券が劣化したことで、券詰まりや、情報書込・読取不良といった不具合が発生するのを抑制することができる。
【0024】
上記本発明の第6の駐車場管理システムによれば、例えば駐車場の利用を継続的に行う利用者に耐久駐車券を容易に付与することができる。これにより、紙製の駐車券の利用と紙よりも耐久性のある耐久駐車券の利用との双方を、利用者の駐車場利用頻度や利用態様に応じて効率的に促進することができる。
【発明の効果】
【0025】
上述した本発明によれば、駐車場で発行された駐車券を有効利用して駐車券の廃棄数を減らし、資源の有効活用を図ることができる。また、既存の装置を利用し、または簡単な構造により駐車券の再利用を実現することができ、かつランニングコストの上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態による駐車場管理システムを駐車場および車両と共に示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車券発行機の構造を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車料金精算機の構造を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車券発行機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける出口精算機の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車券の磁気ストライプ部に記録された情報の具体例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態による駐車場管理システムが複数設置されたショッピングモールを示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける紙製駐車券および耐久駐車券を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0028】
(駐車場管理システム)
図1は本発明の実施形態による駐車場管理システムを駐車場および車両と共に示している。図1において、本発明の実施形態による駐車場管理システム1が設置された駐車場101には、駐車場101に入場する車両が通過する2つの入場車路102、駐車場101から出場する車両が通過する2つの出場車路103、および駐車場101内において車両を駐車させる駐車エリア104が設けられている。各入場車路102の両側にはアイランド105がそれぞれ設けられている。各出場車路103の両側にもアイランド106がそれぞれ設けられている。
【0029】
駐車場管理システム1は、第1の入口ループコイル11、第2の入口ループコイル12、発光部13と受光部14とを有する入口トリガーセンサ、駐車券発行機15、入口ゲート開閉機16、および入口撮像装置17を入場車路102の個数に対応して2組備えている。各組の構成および動作は相互に同じである。第1の入口ループコイル11および第2の入口ループコイル12は入場車路102に埋設されている。入口トリガーセンサの受光部14、駐車券発行機15、入口ゲート開閉機16、および入口撮像装置17は、入場車路102の車両進行方向右側のアイランド105上に、車両進行方向においてこの順番で設置されている。入口トリガーセンサの発光部13は、入場車路102の車両進行方向左側のアイランド105上において受光部14と対向する位置に設置されている。
【0030】
第1の入口ループコイル11は車両の金属部分を検知するセンサとして機能する。入場車両107が第1の入口ループコイル11上に達すると、第1の入口ループコイル11から出力される高周波信号が変化する。第1の入口ループコイル11はケーブル等を介して駐車券発行機15に接続されており、第1の入口ループコイル11から出力される高周波信号は駐車券発行機15に入力される。第2の入口ループコイル12も第1の入口ループコイル11と同様の機能を有する。
【0031】
駐車券発行機15は、第1の入口ループコイル11から出力される高周波信号の変化を検出することにより、入場車両107が入場車路102に進入したことを認識し、これに応じて駐車券の発行処理等を行う。駐車券発行機15により発行された駐車券を利用者が抜き取ったとき、駐車券発行機15はゲート開信号を出力する。駐車券発行機15は入口ゲート開閉機16にケーブル等を介して接続されており、駐車券発行機15から出力されたゲート開信号は入口ゲート開閉機16に入力される。入口ゲート開閉機16はゲート開信号に従ってゲートバー16Aを上げる。その後、入場車両107が入場車路102を進行して入場車路102を通過し切ったとき、駐車券発行機15は、その旨を、第2の入口ループコイル12から出力される高周波信号の変化を検出することにより認識し、ゲート閉信号を入口ゲート開閉機16に出力する。これに応じ、入口ゲート開閉機16はゲートバー16Aを下げる。
【0032】
また、入口撮像装置17は入口トリガーセンサおよび駐車券発行機15とそれぞれケーブル等を介して接続されている。入口撮像装置17は、駐車券発行機15からトリガー受付許可信号を受け取ってからトリガー受付禁止信号を受け取るまでの間に限り、入口トリガーセンサからトリガー信号を受け取ったタイミングで入場車両107のナンバープレートを撮像する。トリガー信号は、入口トリガーセンサの発光部13から受光部14に向けて発せられている赤外線ビームが入場車両107により遮られたときに出力される。また、入口撮像装置17は、ナンバープレートの撮像により得られたナンバープレート画像に対して画像認識処理を行い、入場車両107の車両ナンバーを認識し、この認識した車両ナンバー(車両特定情報)を駐車券発行機15に出力する。
【0033】
さらに、駐車場管理システム1は、第1の出口ループコイル21、第2の出口ループコイル22、発光部23と受光部24とを有する出口トリガーセンサ、出口精算機25、出口ゲート開閉機26、および出口撮像装置27を出場車路103の個数に対応して2組備えている。各組の構成および動作は相互に同じである。第1の出口ループコイル21および第2の出口ループコイル22は出場車路103に埋設されている。出口トリガーセンサの受光部24、出口精算機25、出口ゲート開閉機26、および出口撮像装置27は、出場車路103の車両進行方向右側のアイランド106上に、車両進行方向においてこの順番で設置されている。出口トリガーセンサの発光部23は、出場車路103の車両進行方向左側のアイランド106上において受光部24と対向する位置に設置されている。
【0034】
第1の出口ループコイル21は、第1の入口ループコイル11と同様な機能を有し、出口精算機25にケーブル等を介して接続されており、第1の出口ループコイル21から出力される高周波信号は出口精算機25に入力される。第2の出口ループコイル22も第1の出口ループコイル21と同様の機能を有する。
【0035】
出口精算機25は、第1の出口ループコイル21から出力される高周波信号の変化を検出することにより、出場車両108が出場車路103に進入したことを認識し、これに応じて精算処理、および再利用のために駐車券の返却処理等を行う。出口精算機25により返却された駐車券を利用者が抜き取ったとき、出口精算機25はゲート開信号を出力する。出口精算機25は出口ゲート開閉機26にケーブル等を介して接続されており、出口精算機25から出力されたゲート開信号は出口ゲート開閉機26に入力される。出口ゲート開閉機26はゲート開信号に従ってゲートバー26Aを上げる。その後、出場車両108が出場車路103を進行して出場車路103を通過し切ったとき、出口精算機25は、その旨を、第2の出口ループコイル22から出力される高周波信号の変化を検出することにより認識し、ゲート閉信号を出口ゲート開閉機26に出力する。これに応じ、出口ゲート開閉機26はゲートバー26Aを下げる。
【0036】
また、出口撮像装置27は出口トリガーセンサおよび出口精算機25とそれぞれケーブル等を介して接続されている。出口撮像装置27は、出口精算機25からトリガー受付許可信号を受け取ってからトリガー受付禁止信号を受け取るまでの間に限り、出口トリガーセンサからトリガー信号を受け取ったタイミングで出場車両108のナンバープレートの撮像を行う。トリガー信号は、出口トリガーセンサの発光部23から受光部24に向けて発せられている赤外線ビームが出場車両108により遮られたときに出力される。
【0037】
さらに、駐車場管理システム1は事前精算機31を備えている。事前精算機31は駐車場101内において、例えば利用者用の通路やエレベータホール等、これから出場しようとする利用者が利用しやすい場所に設置されている。これから出場しようとする利用者は事前精算機31により精算を行うことができ、事前精算機31により精算を済ませた後は、出場時に出口精算機25により精算を行う必要がなくなる。
【0038】
さらに、駐車場管理システム1は管理用パーソナルコンピュータ(管理PC)33、サーバ34、およびデータベース35を備えている。管理PC33、サーバ34およびデータベース35は駐車場101内に設けられた管理室36内に設けられている。管理PC33は、各駐車券発行機15、各入口撮像装置17、各出口精算機25、各出口撮像装置27および事前精算機31とケーブルを介してそれぞれ接続されており、管理PC33、各駐車券発行機15、各入口撮像装置17、各出口精算機25、各出口撮像装置27および事前精算機31によりLAN(Local Area Network)37が形成されている。これにより、管理PC33、各駐車券発行機15、各入口撮像装置17、各出口精算機25、各出口撮像装置27および事前精算機31はそれぞれ相互に情報通信を行うことができる。また、データべース35には契約車の車両ナンバーが記憶されており、管理PC33およびサーバ34は必要に応じてデータベース35に記憶された契約車の車両ナンバーを参照することができる。さらに、管理PC33またはサーバ34等には、未精算の車両の車両ナンバー、事前精算が済んだ車両の車両ナンバー、出場済みの車両の車両ナンバー等が記憶される。
【0039】
(駐車券発行機の構成)
図2は駐車券発行機15の構造を示している。図2に示すように、駐車券発行機15は、CPU(Central Processing Unit)41およびメモリ42を有し、これらはバス43を介して相互に接続されている。さらに、駐車券発行機15は、カードリーダ/ライタ44、駐車券発行釦45、設定器46、車両センサ47、I/O信号端子(入出力端子)48、表示器49、スピーカ50、インターホン51、第1の通信部52、第2の通信部53等を備え、これらはインターフェース54およびバス43を介してCPU41およびメモリ42に接続されている。また、車両センサ47は、当該駐車券発行機15が設置された入場車路102に埋設された第1の入口ループコイル11および第2の入口ループコイル12にそれぞれ接続されている。さらに、第1の通信部52はLAN37に接続され、第2の通信部53は当該駐車券発行機15が設置された入場車路102に配置された入口撮像装置17に接続され、I/O信号端子48は当該駐車券発行機15が設置された入場車路102に配置された入口ゲート開閉機16に接続されている。
【0040】
(出口精算機・事前精算機の構成)
図3は出口精算機25の構造を示している。図3に示すように、出口精算機25は、CPU61およびメモリ62を有し、これらはバス63を介して相互に接続されている。さらに、出口精算機25は、カードリーダ/ライタ64、表示器65、設定器66、車両センサ67、I/O信号端子(入出力端子)68、取消釦69、領収証発行釦70、インターホン71、領収証プリンタ72、コインセレクタ73、硬貨払い出し装置74、紙幣リーダ75、スピーカ76、ドア開センサ77、第1の通信部78、第2の通信部79等を備え、これらはインターフェース80およびバス63を介してCPU61およびメモリ62に接続されている。また、車両センサ67は、当該出口精算機25が設置された出場車路103に埋設された第1の出口ループコイル21および第2の出口ループコイル22にそれぞれ接続されている。さらに、第1の通信部78はLAN37に接続され、第2の通信部79は当該出口精算機25が設置された出場車路103に配置された出口撮像装置27に接続され、I/O信号端子68は当該出口精算機25が設置された出場車路103に配置された出口ゲート開閉機26に接続されている。
【0041】
一方、事前精算機31は、出口精算機25と類似する構成を有する。すなわち、事前精算機31は、図3に示す出口精算機25が有する構成要素のうち、車両センサ67、I/O信号端子68および第2の通信部79以外の構成要素を備え、さらに、精算開始釦81および人感センサ82を備えている。なお、各出口精算機25および事前精算機31は駐車料金精算機の具体例であると共に、出場処理機の具体例である。
【0042】
(新駐車券の発行)
図4は駐車場管理システム1における駐車券発行機15の動作を示している。図6は駐車場管理システム1において用いられる駐車券の磁気ストライプ部に記録される情報の具体例を示している。これより、図4および図6(1)を参照しながら、新しい駐車券を発行して入場を許可する場合の駐車券発行機15の動作について説明する。図4において、駐車券発行機15は、第1の入口ループコイル11から出力される高周波信号を監視している(ステップS1)。入場車路102に進入した入場車両107が第1の入口ループコイル11上に達すると、第1の入口ループコイル11から出力される高周波信号が変化する。駐車券発行機15はこの高周波信号の変化を車両センサ47により検出し、入場車両107が入場車路102に進入したことを認識する。続いて、駐車券発行機15は、トリガー受付許可信号を入口撮像装置17に出力する(ステップS2から丸Aルートへ)。トリガー受付許可信号を受け取った入口撮像装置17は、トリガーセンサから出力されるトリガー信号を待つ。入場車両107が入口トリガーセンサの発光部13から受光部14に発せられている赤外線ビームを遮ったとき、トリガーセンサからトリガー信号が出力される。これに応じ、入口撮像装置17は入場車両107のナンバープレートを撮像し、これにより得られたナンバープレート画像に対して画像認識処理を行い、入場車両107の車両ナンバーを認識し、この認識した車両ナンバー(車両特定情報)を駐車券発行機15に出力する。さらに、入口撮像装置17は、認識した車両ナンバーを管理PC33に送信し、当該車両ナンバーの付された車両が契約車(駐車場101等の定期利用契約をしている利用者の車両)か否かを管理PC33に問い合わせ、管理PC33からの返答に基づいて、当該車両ナンバーの付された車両が契約車か否かを示す認識結果情報を生成し、この認識結果情報を駐車券発行機15に出力する。駐車券発行機15は入口撮像装置17から車両ナンバーおよび認識結果情報を受け取り(丸BルートからステップS3)、続いて、駐車券発行機15は、認識結果情報に基づいて入場車両107が契約車であるか否かを判断する(ステップS4)。入場車両107が契約車でない場合には(ステップS4:NO)、駐車券発行機15は、例えば「釦を押して駐車券をお取り下さい。再利用券をお持ちの方は挿入口にお入れ下さい」などの音声ガイドをスピーカ50から出力し、同時に、表示器49に文字やアニメーションでその旨を表示出力する(ステップS5)。
【0043】
ここで、駐車場101等の定期利用契約をしていない利用者は、少なくとも、(a)過去に駐車場101等を利用したことがあり、そのときに発行を受けた駐車券(前回の駐車場利用に係る駐車券(後述の耐久駐車券を含む))を所持している場合、(b)このような前回の駐車場利用に係る駐車券を所持していない場合が考えられる。利用者が前回の駐車場利用に係る駐車券を所持していない場合には、利用者は、駐車券発行機15の駐車券発行釦45を押下する。駐車券発行釦45の押下により、これがCPU41によって認識される(ステップS6:YES)。これに応じて、駐車券発行機15は、新しい駐車券を、今回の駐車場利用に係る駐車券として利用者に発行する(ステップS7)。
【0044】
ステップS7において、駐車券発行機15は、新しい駐車券の発行を例えば次のように行う。すなわち、ここで用いられる駐車券は、紙製の磁気式駐車券であり、例えば表面に磁気ストライプ部が形成された紙片により構成されている。磁気ストライプ部には情報を符号化して記録することができ、記録した情報を消去し、書き換えることができる。新しい駐車券として発行する前の駐車券には、磁気ストライプ部には入場情報も出場情報も記録されていない。駐車券発行機15は、図6(1)に示すように、このような駐車券の磁気ストライプ部に、IDコードA、今回の駐車場利用に係る入場情報、および今回の入場車両の車両ナンバーを記録する。IDコードAは、当該駐車券が今回の駐車場利用に係る駐車券として駐車場101で使用可能であることを示す。今回の駐車場利用に係る入場情報には、利用者が今回利用する駐車場101の番号(駐車場No)、今回入場に利用した駐車券発行機15の番号(発行機No)、種別、当該駐車券の番号(駐車券No)、今回の車両入場年月日および車両入場時分が含まれている。今回の入場車両の車両ナンバーは、ステップS3において入口撮像装置17から受け取った入場車両107の車両ナンバーである。なお、駐車券に記録する車両ナンバーは、入場車両107のナンバープレートに実際に記載されたすべての情報でなくてもよく、例えば4桁の一連番号だけを抽出して駐車券に記録してもよい。
【0045】
利用者が今回の駐車場利用に係る駐車券を駐車券発行機15から抜き取ったとき(ステップS8:YES)、続いて、駐車券発行機15は入口ゲート開閉機16にゲート開信号を出力し、入口ゲート開閉機16のゲートバー16Aを上げる(ステップS9)。続いて、入場車両107は、入場車路102を駐車場エリア104に向けて通過する間、まず第2の入口ループコイル12上に達し、次に第2の入口ループコイル12上から離れる。駐車券発行機15は、この間において第2の入口ループコイル12から出力される高周波信号の変化を検出し、入場車両107が入場車路102を通過し切ったことを認識する(ステップS10)。続いて、駐車券発行機15は、入口ゲート開閉機16にゲート閉信号を出力し、入口ゲート開閉機16のゲートバー16Aを下げる(ステップS11)。続いて、駐車券発行機15は、入口撮像装置17にトリガー受付禁止信号を出力すると共に、今回発行した駐車券の番号、今回の駐車場利用に係る車両入場年月日、車両入場時分、車両ナンバー等を管理PC33に送信する(ステップS12から丸Cルートへ)。これらの情報は必要に応じて管理PC33から各出口精算機25、事前精算機31等に送信される。
【0046】
なお、入場車両107が契約車である場合には(ステップS4:YES)、駐車券発行機15は駐車券を発行せず、直ちに入口ゲート開閉機16を制御してゲートバー16Aを上げる。また、利用者が駐車券発行釦45を押下せずに、定期券を駐車券発行機15に挿入した場合には(ステップS6:NO、ステップS13:YES)、駐車券発行機15はその定期券を読み取り、所定の処理(有効日付の確認等)を行った後、この定期券を駐車券発行機15の挿入口(図示せず)へ返却し(ステップS16)、その定期券を利用者が抜取ったのを検出(ステップS8)してからゲートバー16Aを上げる。定期券は駐車場101等の定期利用契約をした利用者に渡されるものであり、このような利用者の車両は契約車として直ちに入場が許されるのであるが、ナンバープレートの撮像が違法なナンバー目隠しフィルタの装着などでうまくいかなかった場合や、契約後初めて入場する場合などの例外的な場合には、利用者は定期券を駐車券発行機15に挿入し、返却を受けてから入場する。また、図4中のステップS14およびステップS15は、利用者が前回の駐車場利用に係る駐車券を所持していた場合についての処理であり、これについて後述する。
【0047】
(新駐車券による出口精算)
図5は駐車場管理システム1における出口精算機25の動作を示している。これより、図5および図6(2)を参照しながら、新駐車券を利用して駐車料金の精算を行う場合における出口精算機25の動作について説明する。図5において、出口精算機25は、第1の出口ループコイル21から出力される高周波信号を監視している(ステップS21)。出場車路103に進入した出場車両108が第1の出口ループコイル21上に達すると、第1の出口ループコイル21から出力される高周波信号が変化する。出口精算機25はこの高周波信号の変化を車両センサ67により検出し、出場車両108が出場車路103に進入したことを認識する。続いて、出口精算機25は、トリガー受付許可信号を出口撮像装置27に出力する(ステップS22から丸Dルートへ)。トリガー受付許可信号を受け取った出口撮像装置27は、入口撮像装置17と同様の動作を行って出場車両108のナンバープレートを撮像し、これにより得られたナンバープレート画像に対して画像認識処理を行い、出場車両108の車両ナンバーを認識し、この認識した車両ナンバーを出口精算機25に出力する。さらに、出口撮像装置27は、認識した車両ナンバーを管理PC33に送信し、当該車両ナンバーの付された車両が、契約車(定期車)か、事前精算機31により精算済みの車両(以下、これを「精算済み一般車」という。)か、契約車でも精算済み一般車でもない車両(以下、これを「未精算一般車」という。)か等を管理PC33に問い合わせる。そして、出口撮像装置27は、管理PC33からの返答に基づいて、当該車両ナンバーの付された車両が契約車か、精算済み一般車両か、未精算一般車かを示す認識結果情報を生成し、この認識結果情報を出口精算機25に出力する。出口精算機25は出口撮像装置27から車両ナンバーおよび認識結果情報を受け取り(丸EルートからステップS23)、続いて、出口精算機25は、認識結果情報に基づいて出場車両108が契約車か、精算済み一般車両か、未精算一般車かを判断する(ステップS24)。出場車両108が未精算一般車である場合には、出口精算機25は、例えば「駐車券を入れて精算して下さい」などの音声ガイドをスピーカ76から出力し、同時に表示器65に文字やアニメーションでその旨を表示出力する(ステップS25)。
【0048】
出場車両108が未精算一般車であると判断された場合、利用者は、今回の駐車場利用に係る駐車券を出口精算機25の挿入口(図示せず)に挿入し、出口精算機25はこの駐車券を受け取る(ステップS26)。ここで、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券は、少なくとも、(a)今回の車両入場時に発行された新しい駐車券である場合、(b)前回の駐車場利用に係る駐車券を再利用することにより今回の駐車場利用に係る駐車券として発行されたもの(後述の耐久駐車券を含む)である場合が考えられる。ここでは、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券が今回の車両入場時に発行された新しい駐車券であると仮定する。当該駐車券を受け取った出口精算機25は駐車料金の精算処理を行う(ステップS27)。具体的には、出口精算機25は、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録された今回の車両入場年月日および車両入場時分を読み取り、これらを現在時刻と比較して駐車時間を算出し、予め設定された料金体系に従って駐車料金を算出し、その駐車料金の支払いを利用者に要求し、利用者からこの駐車料金の支払いを受ける。続いて、出口精算機25は、今回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録された情報を書き換えた後、当該駐車券を挿入口から利用者に返却する(ステップS28)。
【0049】
ステップS28において、出口精算機25は、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券の情報書換を例えば次のように行う。出口精算機25が利用者から今回の駐車場利用に係る駐車券を受け取った直後、当該駐車券の磁気ストライプ部には、図6(1)に示すように、IDコードA、今回の車両入場年月日および車両入場時分等を含む今回の駐車場利用に係る入場情報、および車両ナンバーが記録されている。出口精算機25は、これらの情報を図6(2)に示す情報に書き換える。すなわち、出口精算機25は、IDコードAをIDコードB(駐車券識別情報)に書き換える。IDコードBは、当該駐車券が精算済みであること、および当該駐車券が再利用の許容された駐車券であることを示す。さらに、出口精算機25は、今回の駐車場利用に係る入場情報を、駐車場番号(駐車場No)、発行機番号(発行機No)、種別、駐車券番号(駐車券No)、今回の精算年月日、精算時分および駐車料金の額を含む今回の駐車場利用に係る出場情報に書き換える(なお、出場情報のうち入場情報と同一の情報について書き換えずに維持してもよい)。また、車両ナンバーは書き換えずに維持する。さらに、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券が今回の車両入場時に発行された新しい駐車券である場合には、当該駐車券の磁気ストライプ部には、当該駐車券を初めて利用した年月日を示す初回入場年月日、および当該駐車券の利用回数を示す利用回数情報がいずれも記録されていない。そこで、出口精算機25は、初回入場年月日および利用回数情報を磁気ストライプ部に記録する。具体的には、出口精算機25は、書換前に磁気ストライプ部から読み取って記憶保持しておいた今回の駐車場利用に係る入場情報のうちの車両入場年月日を初回入場年月日として記録し、利用回数情報として「1」を記録する。
【0050】
以上のような情報書換が行われた後に返却された駐車券を利用者が出口精算機25の挿入口から抜き取ったとき(ステップS29:YES)、続いて、出口精算機25は出口ゲート開閉機26にゲート開信号を出力し、出口ゲート開閉機26のゲートバー26Aを上げる(ステップS30)。続いて、出場車両108は、出場車路103を駐車場外に向けて通過する間、まず第2の出口ループコイル22上に達し、次に第2の出口ループコイル22上から離れる。出口精算機25は、この間において第2の出口ループコイル22から出力される高周波信号の変化を検出し、出場車両108が出場車路103を通過し切ったことを認識する(ステップS31)。続いて、出口精算機25は、出口ゲート開閉機26にゲート閉信号を出力し、出口ゲート開閉機26のゲートバー26Aを下げる(ステップS32)。続いて、出口精算機25は、出口撮像装置27にトリガー受付禁止信号を出力すると共に、今回精算した駐車券の番号、今回の駐車場利用に係る精算年月日、精算時分、車両ナンバー等を管理PC33に送信する(ステップS33から丸Fルートへ)。管理PC33は、今回精算した駐車券の番号を、出場済み駐車券番号として管理PC33またはサーバ34等に登録する。また、出場済み駐車券番号を各出口精算機25、事前精算機31に送信し、保持させてもよい。
【0051】
なお、ステップS24において、出場車両108が契約車であると判断された場合には、出口精算機25は精算処理を行わずに直ちに出口ゲート開閉機26を制御してゲートバー26Aを上げる。また、ステップS24において、出場車両108が、事前精算機31により精算済みの車両である精算済み一般車であると判断された場合には、出口精算機25は、通常、精算処理を行わずに直ちに出口ゲート開閉機26を制御してゲートバー26Aを上げる。もっとも、ナンバープレートの撮影がうまくいかなかった場合など例外的な場合には、事前精算機31により精算を済ませたにもかかわらず、出口精算機25が利用者に駐車券の挿入を要求することがある。この場合には、利用者は、事前精算機31により精算を済ませて返却された駐車券を、出口精算機25に挿入する。出口精算機25は、当該駐車券を受け取り、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されているIDコードが、精算済みを示すIDコードBであり、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されている駐車場番号が当該駐車場101の駐車場番号と同一であり、かつ、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されている駐車券番号が、出場済み駐車券番号として登録されていない場合には、当該駐車券は適正に精算が済んでいると判断し、当該駐車券を利用者に返却してからゲートバー26Aを上げる。また、利用者が定期券を出口精算機25に挿入した場合には(ステップS26:NO、ステップS34:YES)、出口精算機25はその定期券を読み取り、所定の処理(有効日付の確認等)を行った後、この定期券を出口精算機25の挿入口へ返却し(ステップS35)、その定期券を利用者が抜取ったのを検出(ステップS29)してからゲートバー26Aを上げる。定期券は駐車場101等の定期利用契約をした利用者に渡されるものであり、このような利用者の車両は契約車として直ちに出場が許されるのであるが、ナンバープレートの撮像が違法なナンバー目隠しフィルタの装着などでうまくいかなかった場合などの例外的な場合には、利用者は定期券を出口精算機25に挿入し、返却を受けてから出場する。
【0052】
(再利用駐車券による入場)
次に、図4および図6(3)を参照しながら、前回の駐車場利用に係る駐車券を再利用することにより今回の駐車場利用に係る駐車券として発行して入場を許可する場合における駐車券発行機15の動作について説明する。図4において、上述した通り、入場車両107の入場車路102への進入に応じ、駐車券発行機15がステップS1ないしステップS3の処理を行い、ステップS4で入場車両107が契約車でないと判断した後、ステップS5で、例えば「釦を押して駐車券をお取り下さい。再利用券をお持ちの方は挿入口にお入れ下さい」などの音声ガイドをスピーカ50で出力し、同時に、表示器49に文字やアニメーションでその旨を表示出力する。利用者が過去に駐車場101等を利用したことがあり、そのときに発行を受けた駐車券、すなわち前回の駐車場利用に係る駐車券(後述の耐久駐車券を含む)を所持している場合には、利用者は、この前回の駐車場利用に係る駐車券を再利用して入場することができる。この場合、利用者は、前回の駐車場利用に係る駐車券を駐車券発行機15の挿入口(図示せず)に挿入し、駐車券発行機15は当該駐車券を受け取る(ステップS14:YES)。
【0053】
利用者から前回の駐車場利用に係る駐車券を受け取った駐車券発行機15は、当該駐車券の磁気ストライプ部にIDコードBが記録されているか否かを判断する。上述したように、IDコードBは、当該駐車券が精算済みであること、および当該駐車券が再利用の許容された駐車券であることを示す。すなわち、磁気ストライプ部にIDコードBが記録されている駐車券は、再利用が許容されている駐車券である。当該駐車券の磁気ストライプ部にIDコードBが記録されている場合には、駐車券発行機15は、当該前回の駐車場利用に係る駐車券を再利用することにより今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する(ステップS15)。
【0054】
すなわち、ステップS15において、駐車券発行機15は、利用者から受け取った前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録されているIDコードBをIDコードAに書き換える。続いて、駐車券発行機15は、当該前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録されている前回の駐車場利用に係る出場情報を、今回の駐車場利用に係る入場情報に書き換える。この今回の駐車場利用に係る入場情報の項目(種類)は、図6(3)に示すように、新しい駐車券を発行して入場を許可する際に新しい駐車券の磁気ストライプ部に記録する入場情報の項目(種類)と同じである。すなわち、この今回の駐車場利用に係る入場情報には、利用者が今回利用する駐車場101の番号(駐車場No)、今回入場に利用した駐車券発行機15の番号(発行機No)、種別、当該駐車券の番号(駐車券No)、今回の車両入場年月日および車両入場時分が含まれている。続いて、駐車券発行機15は、当該前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録されている車両ナンバーと、ステップS3において入口撮像装置17から受け取った車両ナンバーとが一致しない場合には、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されている車両ナンバーを、ステップS3において入口撮像装置17から受け取った車両ナンバーに書き換える。当該前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録されている初回入場年月日は維持する。
【0055】
ここで、前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録されている車両ナンバーと、ステップS3において入口撮像装置17から受け取った車両ナンバーとが一致していなかった場合には、当該前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録されている利用回数情報を書き換えず、一致していた場合には利用回数に1増加させて書き換える。なお、車両ナンバーが一致していなかった場合に、利用回数情報を初期化してもよい。利用回数情報の初期化とは、利用回数情報が示す利用回数を「1」にすることを意味する。
【0056】
このように、今回の車両入場時に利用者から受け取った駐車券の磁気ストライプ部に記録されていた車両ナンバーと、実際の今回の入場車両107に付されている車両ナンバーとが一致している場合に限り利用回数を増加させることにより、駐車券を再利用した回数が多い利用者に後述するような駐車料金割引等の優遇措置を実施する場合に、1つの駐車券を使い回して複数の車両を駐車する利用者や、再利用が許容された駐車券を拾得した者等に対して優遇措置が実施されることを避けることができる。
【0057】
駐車券発行機15は、以上の処理が完了した駐車券を、今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する。この発行された今回の駐車場利用に係る駐車券は、前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録された情報の一部または全部が書き換えられているものの、紙片および磁気ストライプ部等の駐車券を物理的に形成している部材については、前回の駐車場利用に係る駐車券をそのまま利用している。
【0058】
利用者が今回の駐車場利用に係る駐車券を駐車券発行機15から抜き取ったとき(ステップS8:YES)、続いて、駐車券発行機15は、上述した通り、ステップS9ないしステップS12の処理を行う。
【0059】
このように、前回の駐車場利用に係る駐車券を再利用して今回の駐車場利用に係る駐車券を発行することにより、駐車券を有効活用することができ、駐車券の廃棄数を減らすことができる。特に、1つの券を駐車券として複数回利用することができるので、1つの券を駐車券として1回利用した後に割引券として1回利用する上記特許文献1に記載の技術と比べて、駐車券の廃棄数を減らすことができる。また、上記特許文献3に記載の技術のような、出口側で回収された利用済みの駐車券を再利用するために入口側に移送する構造が不要であるため、駐車券の有効活用を、既存の装置を利用した簡単な構造により実現することができる。さらに、駐車場管理者とっては次のようなメリットがある。すなわち、新しい駐車券の発行に用いるための未記録駐車券の購入数を減らして購入費用を削減することができると共に、利用済みの駐車券を産業廃棄物として廃棄する量を減らして廃棄費用を削減することができ、さらに、駐車券の洗浄も良否選別も行う必要がない。したがって、ランニングコストを抑えることができる。
【0060】
ここで、図4中のステップS15において、利用者から前回の駐車場利用に係る駐車券を受け取った駐車券発行機15は、当該駐車券の磁気ストライプ部にIDコードBが記録されている場合には、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されている前回の駐車場利用に係る駐車場の番号(駐車場特定情報)と、利用者が今回利用する駐車場の番号とが異なる場合(つまり利用者が前回利用した駐車場と利用者が今回利用する駐車場とが異なる場合)でも、当該駐車券を再利用することにより今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する。これにより、駐車券の再利用を行う駐車場が複数ある場合には、利用者はそれら複数の駐車場のうちの任意の駐車場で駐車券を再利用することができ、利用者による駐車券の再利用を促進させることができる。
【0061】
例えば、図7に示すように、ショッピングモール109の敷地109A内および周囲に、複数の駐車場P1ないしP6があり、各駐車場に駐車場管理システム1(駐車場の大きさ、入場車路・出場車路の個数に応じて駐車券発行機15や出口精算機25の個数が異なり、事前精算機31がない場合もある)が設置されている場合、ショッピングモール109に車でよく買い物に訪れる利用者は、ショッピングモール109に車で訪れた際に利用した駐車場P1で発行された新しい駐車券を、次にショッピングモール109に車で訪れる際に、駐車場P1ないしP6のうちのいずれの駐車場でも利用することができ、便利である。これに後述する割引券・複合券による優遇措置を導入すれば、駐車券の再利用の促進に加え、ショッピングモール109への買い物客のリピート率の向上も期待できる。また、駐車場管理者側またはショッピングモール109の経営者側にとっては、車両の駐車を複数の駐車場P1ないしP6に分散させることができ、特定の駐車場だけが混雑するといった不都合が生じる頻度を小さくすることができる。
【0062】
また、図4中のステップS15において、駐車券発行機15は、利用者から受け取った前回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に、当該駐車券が再利用の許容された駐車券であることを示すIDコード(IDコードBおよび後述のIDコードC、D、E)以外のIDコードが記録されている場合には、当該駐車券を再利用した駐車券の発行は行わない。この仕組みを利用することにより、駐車券の再利用を行う駐車場と、駐車券の再利用を行わない駐車場とが混在している場合に対処することができる。例えば、駐車券の再利用を行う駐車場では、出口精算機、事前精算機により駐車券にIDコードB(C、D)を記録(書換)した後、当該駐車券を利用者に返却し、駐車券の再利用を行わない駐車場では、事前精算機に限って駐車券に例えばIDコードFを記録(書換)した後、当該駐車券を利用者に返却する。このような処理を経て利用者に返却された駐車券を利用者が保持していた場合に、これを当該利用者から受け取った駐車券発行機15は、当該駐車券の磁気ストライプ部にIDコードB(C、D、E)が記録されているときに限り当該駐車券を再利用した駐車券の発行を行う。これにより、駐車券の再利用を行う駐車場により発行された駐車券のみ再利用することができ、駐車券の再利用を行わない駐車場により発行された駐車券が再利用されるのを防ぐことができる。なお、駐車券の再利用を行なわない駐車場により発行された駐車券を利用者が保持するのは、ナンバー撮像システムを導入している駐車場で事前精算を行ない、出口では車両のナンバーによって事前精算済みとされて出場した車両が、そのまま駐車券を保持している場合であり、その他には廃棄用の駐車券を不正に入手した場合もある。
【0063】
(再利用駐車券による出口精算)
次に、図5および図6(2)を参照しながら、前回の駐車場利用に係る駐車券を再利用することにより発行された今回の駐車場利用に係る駐車券により駐車料金の精算を行う場合における出口精算機25の動作について説明する。図5において、上述した通り、出場車両108の出場車路103への進入に応じ、出口精算機25がステップS21ないしステップS23の処理を行い、ステップS24で出場車両108が未精算一般車であると判断した後、ステップS25で、例えば「駐車券を入れて精算して下さい」などの音声ガイドをスピーカ76で出力し、同時に、表示器65に文字やアニメーションでその旨を表示出力する。これに応じ、利用者は、今回の駐車場利用に係る駐車券を出口精算機25の挿入口に挿入し、出口精算機25はこの駐車券を受け取り(ステップS26)、駐車料金の精算処理を行う(ステップS27)。続いて、出口精算機25は、今回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録された情報を書き換えた後、当該駐車券を挿入口から利用者に返却する(ステップS28)。
【0064】
ここで、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券が、前回の駐車場利用に係る駐車券(後述の耐久駐車券を含む)を再利用することにより今回の駐車場利用に係る駐車券として発行されたものである場合、ステップS28において、出口精算機25は、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券の情報書換を例えば次のように行う。出口精算機25が利用者から今回の駐車場利用に係る駐車券を受け取った直後、当該駐車券の磁気ストライプ部には、図6(3)に示すように、IDコードA、今回の駐車場利用に係る入場情報、車両ナンバー、初回入場年月日、および利用回数情報が記録されている。出口精算機25は、これらの情報を図6(2)に示す情報に書き換える。すなわち、出口精算機25は、IDコードAをIDコードBに書き換える。さらに、出口精算機25は、今回の駐車場利用に係る入場情報を、今回の駐車場利用に係る出場情報に書き換える。車両ナンバー、初回入場年月日および利用回数情報は書き換えずに維持する。
【0065】
以上のような情報書換が行われた後に返却された駐車券を利用者が出口精算機25の挿入口から抜き取ったとき(ステップS29:YES)、続いて、出口精算機25は、上述した通り、ステップS30ないしステップS33の処理を行う。
【0066】
(新駐車券・再利用駐車券による事前精算)
事前精算機31の人感センサ82が利用者の接近を検知したとき、または利用者が精算開始釦81を押下したとき、事前精算機31は、図5中のステップS25ないしステップS29と同様の処理を行う。すなわち、事前精算機31は、IDコードAからIDコードBへの書換、入場情報から出場情報への書換、初回入場年月日の記録、利用回数情報の記録等につき、出口精算機25と同様に動作する。事前精算機31から利用者に返却された駐車券の磁気ストライプ部には図6(2)に示す情報が記録されている。また、精算処理が完了した後、事前精算機31は、今回精算した駐車券の番号、今回の駐車場利用に係る精算年月日、精算時分、車両ナンバー等を管理PC33に送信する。なお、事前精算機31は定期券の受付を行わない。
【0067】
(割引券・複合券の発行)
次に、図5および図6(4)を参照しながら、出口精算機25における割引券発行動作、および事前精算機31における複合券発行動作について説明する。
【0068】
図5中のステップS28において、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録された利用回数情報が示す利用回数が所定の上限回数に達した場合、出口精算機25は、当該駐車券を、駐車場利用に係る割引券として利用者に返却する。具体的には、出口精算機25は、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録された利用回数情報が示す利用回数が所定の上限回数に達した場合、IDコードBおよび今回の駐車場利用に係る出場情報等の記録を行わずに次のような処理を行う。すなわち、出口精算機25は、図6(4)に示すように、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されているIDコードAを、当該駐車券が駐車場利用に係る割引券であることを示すIDコードCに書き換える。続いて、出口精算機25は、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されている入場情報を、駐車場の番号(駐車場No)、サービス種別、サービス価値、有効開始年月日、有効終了年月日を含む割引情報に書き換える。そして、当該駐車券を駐車場利用に係る割引券として利用者に返却する。利用者はこの割引券を利用して、駐車料金の割引を1回受けることができる。利用者がこの割引券を利用した後、この割引券は出口精算機25または事前精算機31により回収され、その後廃棄される。
【0069】
また、事前精算機31は、利用者から受け取った今回の駐車場利用に係る駐車券の磁気ストライプ部に記録された利用回数情報が示す利用回数が所定の上限回数に達した場合、当該駐車券を、今回の駐車場利用に係る駐車券と割引券とを合わせた複合券として利用者に返却する。具体的には、事前精算機31は、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録された利用回数情報が示す利用回数が所定の上限回数に達した場合、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されているIDコードAを、当該駐車券が駐車場利用に係る複合券であることを示すIDコードDに書き換える。続いて、出口精算機25は、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されている入場情報を、駐車場番号(駐車場No)、発行機番号(発行機No)、種別、駐車券番号(駐車券No)、今回の精算年月日、精算時分および駐車料金の額を含む今回の駐車場利用に係る出場情報に書き換える。さらに、出口精算機25は、サービス種別、サービス価値、有効開始年月日、有効終了年月日を含む割引情報に当該駐車券の磁気ストライプ部に追記する。そして、当該駐車券を駐車場利用に係る複合券として利用者に返却する。利用者はこの複合券を利用して、駐車料金の割引を1回受けることができる。利用者がこの複合券を利用した後、この複合券は出口精算機25または事前精算機31により回収され、その後廃棄される。また、事前精算機31により精算を済ませた利用者は、上述したように、出口精算機25により精算を行う必要はないので、通常、複合券を駐車券として出口精算機25に挿入することはない。しかし、出場車両108のナンバープレートの撮像がうまくいかなかった場合などの例外的な場合に、利用者は複合券の出口精算機25への挿入を要請される。このとき、出口精算機25は、複合券を利用者から受け取り、複合券の磁気ストライプ部に記録された今回の駐車場利用に係る出場情報を参照し、適正な精算が行われていることを確認してから、当該複合券を利用者に返却して出場を許可する。
【0070】
このように、1つの駐車券の利用回数が所定の上限回数に達した場合には、当該駐車券を割引券(複合券)として利用者に返却することにより、利用者による駐車券の再利用を促進することができる。また、利用回数が所定の上限回数に達した駐車券を最後に割引券(複合券)として再利用し、利用者が当該割引券(複合券)を1回利用した後に、当該割引券(複合券)を回収して廃棄することにより、複数回の再利用により劣化した駐車券のさらなる再利用を避けることができ、劣化した駐車券の利用によるトラブルの発生を防止することができる。例えば、紙製の磁気式駐車券を繰り返し利用すると、駐車券にこしがなくなってきたり、折れ曲がったりする。また、磁気ストライプ部に対する情報の記録・読取精度が悪化する場合もある。このような劣化した駐車券を駐車券発行機15、出口精算機25または事前精算機31に挿入すると、駐車券が詰まったり、情報の読取・記録に誤りが生じるといったトラブルが生じるおそれがある。本発明の実施形態によれば、このようなトラブルを未然に防ぐことができる。
【0071】
なお、初回入場年月日に対しての最長経過日数を設定し、これに達したかどうかを判断に組み入れることも駐車券の劣化の有無を判定するのには有効な手段であり、前記の所定の上限回数か、若しくは所定の最長経過日数に達していた場合に、当該駐車券を割引券(複合券)として利用者に返却することにより、利用者による駐車券の再利用を促進することとしてもよい。
【0072】
(耐久駐車券への交換)
次に、図7を参照しながら、紙製の駐車券の耐久駐車券への交換について説明する。図7に示すように、ショッピングモール109の敷地109A内およびその周囲に設けられた駐車場P1ないしP6は、ショッピングモール109に車で頻繁に訪れる利用者により頻繁に利用される。このような利用者は、駐車場P1ないしP6を何度も利用するので、このような利用者が所持する駐車券は何度も繰り返し再利用されることになる。このように、駐車券の利用回数がきわめて多い利用者に対しては、紙製の駐車券よりも、紙よりも耐久性のある材料により形成された耐久駐車券を利用させる方が好ましい。そこで、本実施形態による駐車場管理システム1は、紙製の駐車券を耐久駐車券に交換する駐車券交換機110を備えている。
【0073】
耐久駐車券は、紙よりも耐久性のある材料、具体的には、紙と比較して、多数回繰り返し使用しても劣化が少なく、温度、湿度等の環境変化の影響を受けにくく、耐久性に優れた材料により形成され、例えば、PET(Polyethylene
Terephthalate)により形成されている。耐久駐車券の形状、大きさ、厚さは紙製の駐車券とほぼ同じであり、紙製の駐車券とほぼ同様に磁気ストライプ部を有している。各駐車券発行機15、各出口精算機25および事前精算機31は、紙製の駐車券と同様に、耐久駐車券を取り扱うことができる。また、耐久駐車券の磁気ストライプ部には、耐久駐車券であることを示すIDコードEが予め記録されている。なお、紙製駐車券を耐久駐車券に交換する際に駐車券交換機110によりIDコードEを耐久駐車券の磁気ストライプ部に記録してもよい。
【0074】
駐車券交換機110は、例えばショッピングモール109内に設けられたサービスカウンタの近傍に設置されている。利用者は、精算済みの紙製駐車券(再利用が許容された紙製駐車券)または未精算の紙製駐車券を駐車券交換機110の挿入口に挿入すると、駐車券交換機110は、挿入された紙製駐車券の磁気ストライプ部に記録された情報のうち、IDコード以外の情報を読み取り、この読み取った情報を新しい耐久駐車券に記録する。このとき、耐久駐車券の磁気ストライプ部に予め記録されたIDコードEは残すようにする。その後、駐車券交換機110は、当該耐久駐車券を挿入口から利用者に発行する。なお、IDコードEが予め記録され、他の情報は未記録の新しい耐久駐車券は、例えば駐車券交換機110に予め収容されている。なお、駐車券交換時にサービスカウンタの係員が新しい耐久駐車券を外部から駐車券交換機110に挿入するようにしてもよい。
【0075】
駐車料金の精算前に紙製駐車券を耐久駐車券に交換した利用者は、その耐久駐車券を利用して出口精算機25または事前精算機31により精算を行うことができ、その後、その耐久駐車券を再利用して駐車場P1ないしP6に入場することができる。また、駐車料金の精算後に紙製駐車券を耐久駐車券に交換した利用者は、その耐久駐車券を再利用して駐車場P1ないしP6に入場することができる。また、利用者は、耐久駐車券を、当該利用者個人が保有する専用駐車券として長期間利用することができる。
【0076】
また、出口精算機25および事前精算機31は、耐久駐車券が挿入されたときに、挿入された駐車券が耐久駐車券であることを、当該駐車券の磁気ストライプ部に記録されたIDコードEを読み取ることにより認識することができる。また、出口精算機25および事前精算機31により、耐久駐車券を所持する利用者に対し、紙製駐車券を所持する利用者と異なる利用者優遇措置を実施してもよい。例えば、耐久駐車券を割引券に切り換える上限利用回数を、紙製駐車券を割引券に切り換える上限利用回数よりも大きい値に設定してもよいし、耐久駐車券については割引券に切り換えることはせず、他の方法で耐久駐車券を所持する利用者に割引を実施してもよい。なお、耐久駐車券のIDコードEが精算済みの場合には別のIDコードGに書き換わるといった動作は、通常の紙製駐車券の再利用に係る動作と同様に行なわれる。
【0077】
また、ショッピングモール109内のサービスカウンタの近傍には、ショッピングモール109で購入した商品についてのレシートを用いて駐車料金割引の情報を駐車券に記録する駐車券割引書込機が設けられていることが多い。この駐車券割引書込機に、駐車券交換機としての機能を付加してもよい。さらに、駐車券発行機15、出口精算機25または事前精算機31に、駐車券交換機としての機能を付加してもよい。
【0078】
(紙製駐車券の具体例)
図8(1)は、駐車場管理システム1における紙製駐車券の具体例を示している。図8(1)に示すように、上述した駐車場管理システム1で用いられる紙製の駐車券91は、紙片92の表面に磁気ストライプ部93が形成された磁気式駐車券であり、IDコード、入場情報、出場情報、車両ナンバー、初回利用年月日、利用回数情報は、磁気ストライプ部93に磁気的に記録される。さらに、駐車券91には、紙片92の表面に印刷領域94を形成してもよい。この場合、車両入場時に、駐車券発行機15は今回の車両入場年月日および車両入場時分等を、利用者から受け取った駐車券の印刷領域94に印刷する。駐車券が再利用されたときには、駐車券発行機15は、印刷領域94において前回の車両入場年月日および車両入場時分等が印刷された行の次の行に、今回の車両入場年月日および車両入場時分等を追加印刷する。なお、駐車券を形成する紙片としてサーマルリライト用紙を用い、駐車券再利用時に、印刷領域94に記録された前回の車両入場年月日および車両入場時分等を、今回の車両入場年月日および車両入場時分等に書き換えてもよい。
【0079】
(耐久駐車券の具体例)
図8(2)は、駐車場管理システム1における耐久駐車券の具体例を示している。図8(2)に示すように、耐久駐車券95は、例えばPET製のシート部材96の表面に磁気ストライプ部97が形成されている。さらに、耐久駐車券95の表面に広告98を印刷してもよい。耐久駐車券95に広告媒体としての機能を付加し、広告98を耐久駐車券95に掲載する対価(広告料)を広告主から徴収することで、耐久駐車券の発行に関する駐車場管理者側の費用負担を軽減することができる。また、利用者のデポジットを徴収して耐久駐車券を発行するシステムや、ショッピングモールのポイントカードとしての機能を兼用した耐久駐車券を発行するシステムも実現可能である。これにより、利用者の利便性と駐車場管理者のコストダウンとを図ることができると共に、ショッピングモールやそのテナント、さらには広告主といった様々な関係者に利益を付与することができる。
【0080】
なお、紙製の駐車券は、紙片の表面に磁気ストライプ部が形成されたものに限らない。例えば、紙片の表面が印刷面で、裏面が磁気記録面である駐車券でもよい。また、耐久駐車券の材料はPETに限らず、例えば紙の面に樹脂材料によるコーティングを施したものでもよい。すなわち、耐久駐車券を形成する紙よりも耐久性のある材料には、紙以外の材料だけでなく、紙と紙以外の材料とを結合させたものも含まれる。
【0081】
また、IDコード、入場情報、出場情報、車両ナンバー、利用回数情報の駐車券の磁気ストライプ部への記録は、書換でなく追記でもよい。この場合には、駐車券発行時、精算時等において、駐車券の磁気ストライプ部に最後に追記された情報を、今回の駐車場利用に係る情報として用いるようにする。
【0082】
また、駐車券に対する利用回数情報更新を行う機能を、駐車券発行機15ではなく出口精算機25および事前精算機に持たせてもよい。また、前回の駐車場利用に係る駐車券に記録された車両ナンバーと、実際に駐車場に駐車する車両のナンバープレートに記載された車両ナンバーとを照合して車両ナンバー照合結果情報を生成する機能を、駐車券発行機15ではなく、出口精算機25に持たせてもよい。
【0083】
また、本発明の駐車場管理システム1は、入場車路102、出場車路103がそれぞれ単一または3つ以上の駐車場に適用することもできる。また、本発明の駐車場管理システム1は、事前精算機31を省くことにより、事前精算機を有しない小規模な駐車場にも適用することができる。さらに、本発明の駐車場管理システム1は、前回の駐車場利用に係る駐車券に記録された車両ナンバーと、実際に駐車場に駐車する車両のナンバープレートに記載された車両ナンバーとを照合して車両ナンバー照合結果情報を生成し、この車両ナンバー照合結果情報に基づいて、駐車券の利用回数情報が示す利用回数を増加させるか否かを判断する構成を省くことにより、撮像装置を有しない小規模な駐車場にも適用することができる。また、本発明の駐車場管理システム1は、撮像装置を用いて車両特定情報として車両ナンバーを撮像する以外に、例えばETC車載器とETC用アンテナを用いて車両特定情報として車載器番号の一部を利用してもよい。
【0084】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車場管理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、大型の施設に複数箇所に分かれて隣接された駐車場や、複数箇所の駐車場
を運営する自治体管理の駐車場など、様々な駐車場に適用することができる。また、今日においては、地球温暖化対策や熱帯雨林の保護等の環境保護活動が企業のなすべき活動となり、いわば環境保護も産業の一部と捉えることができるとすれば、本発明は、駐車券の有効利用を通じて、かかる環境保護に貢献することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 駐車場管理システム
15 駐車券発行機
16 入口ゲート開閉機
17 入口撮像装置
25 出口精算機(駐車料金精算機、出場処理機)
26 出口ゲート開閉機
27 出口撮像装置
31 事前精算機(駐車料金精算機、出場処理機)
45 駐車券発行釦(発行指示入力手段)
91 駐車券
95 耐久駐車券
110 駐車券交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車券発行機および出場処理機を備えた駐車場管理システムであって、
前記駐車券発行機は、
新しい駐車券の発行指示を入力する発行指示入力手段と、
前記発行指示入力手段により利用者が新しい駐車券の発行指示を入力したときには、今回の車両入場時刻を含む今回の駐車場利用に係る入場情報を新しい駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する新駐車券発行手段と、
駐車券を利用者から受け取る第1の駐車券受取手段と、
前記第1の駐車券受取手段により前回の駐車場利用に係る駐車券を利用者から受け取ったときには、当該駐車券が再利用の許容された駐車券か否かを当該駐車券に記録された駐車券識別情報に基づいて判断し、当該駐車券が再利用の許容された駐車券である場合には、今回の車両入場時刻を含む今回の駐車場利用に係る入場情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行する再利用駐車券発行手段と、
前記新駐車券発行手段または前記再利用駐車券発行手段による駐車券の発行に続いて入口ゲート開閉機のゲート開制御を行う入場制御手段とを備え、
前記出場処理機は、
駐車券を利用者から受け取る第2の駐車券受取手段と、
前記第2の駐車券受取手段により前記今回の駐車場利用に係る駐車券を利用者から受け取ったときには、当該駐車券が再利用の許容された駐車券であることを示す駐車券識別情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を前記利用者に返却する駐車券返却手段と、
駐車料金の精算の有無に応じ、前記駐車券返却手段による駐車券の返却に続いて出口ゲート開閉機のゲート開制御を行う出場制御手段とを備えていることを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記出場処理機は、駐車料金の精算を行う駐車料金精算手段を備えた駐車料金精算機であることを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記新駐車券発行手段は、前記発行指示入力手段により利用者が新しい駐車券の発行指示を入力したときには、利用者が今回利用する駐車場を特定する駐車場特定情報をさらに含む今回の駐車場利用に係る前記入場情報を新しい駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行し、
前記再利用駐車券発行手段は、前記第1の駐車券受取手段により利用者から受け取った前回の駐車場利用に係る駐車券が再利用の許容された駐車券である場合には、当該駐車券に既に記録されている前記駐車場特定情報により特定される利用者が前回利用した駐車場と前記利用者が今回利用する駐車場との異同を問わず、利用者が今回利用する駐車場を特定する前記駐車場特定情報を含む今回の駐車場利用に係る入場情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を今回の駐車場利用に係る駐車券として発行することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記駐車券発行機または前記出場処理機は、
入場車両を特定する車両特定情報を取得する車両特定情報取得手段と、
前記車両特定情報取得手段により取得された車両特定情報を駐車券に記録する車両特定情報記録手段と、
1つの駐車券が利用された回数を示す利用回数情報を当該駐車券に記録する利用回数情報記録手段とを備え、
前記利用回数情報記録手段は、前記第1の駐車券受取手段により利用者から受け取った前回の駐車場利用に係る駐車券が再利用の許容された駐車券である場合には、当該駐車券に既に記録されている前回の駐車場利用に係る車両特定情報と前記車両特定情報取得手段により取得された今回の入場車両を特定する車両特定情報とが一致するときには、当該駐車券に記録されている前記利用回数情報を1増加させ、前記第1の駐車券受取手段により利用者から受け取った再利用の許容された前回の駐車場利用に係る駐車券に既に記録されている前回の駐車場利用に係る車両特定情報と前記車両特定情報取得手段により取得された今回の入場車両を特定する車両特定情報とが一致しないときには、当該駐車券に記録されている前記利用回数情報を増加させず、または初期化することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
前記駐車券発行機または前記出場処理機は、駐車券に記録された前記利用回数情報が示す回数が所定の回数に達したときには、駐車料金の割引に係る情報を当該駐車券に記録した後、当該駐車券を、駐車場利用に係る割引券として、または今回の駐車場利用に係る駐車券と駐車場利用に係る割引券とを合わせた複合券として発行する割引券発行手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
駐車券交換機を備え、
前記駐車券交換機は、
駐車券を利用者から受け取る第3の駐車券受取手段と、
前記第3の駐車券受取手段により利用者から受け取られた駐車券が紙により形成された駐車券である場合には、紙よりも耐久性のある材料により形成された耐久駐車券に、前記紙により形成された駐車券に記録された情報、および耐久駐車券であることを示す駐車券識別情報を記録した後、当該耐久駐車券を発行する耐久駐車券発行手段とを備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の駐車場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−134036(P2011−134036A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291791(P2009−291791)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】