説明

駐車場誘導システム

【課題】駐車場において、利用者が自己の選択に基づいてスムースに空きスペースに移動できるようにするような誘導システムを提供する。
【解決手段】ホストコンピュータ9が、カメラ8によって撮影された駐車場4の俯瞰の画像に基づいて、駐車場4中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を生成し、生成された画像を、狭域無線アンテナ6が通信エリア7に送出する。通信機能を有するカーナビゲーション装置10を搭載した車両1は通信エリア7において、当該送出された画像を受信し、カーナビゲーション装置10の表示装置に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の空き状況を利用者に示すためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場においては、その入口に当該駐車場に空きスペースがあるか否かを示すために、満車、空車などの表示が行われている場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような満車、空車だけの表示では、当該駐車場を利用しようとする者にとっては、実際に駐車場のどの位置に空きスペースがあるのかがわからない。このような場合、駐車場内を空きスペースを探して長時間移動しなければならないという状況が発生することもあり、駐車場内の歩行者や他の車両との衝突の恐れが高くなる。
【0004】
また、駐車場によっては、空きスペースまで音声や経路表示を行って誘導するシステムを採用しているものもあるが、このようなシステムにおいては、空きスペースが複数あっても、利用者の意思に関わらずシステム側が決定した空きスペースに誘導されてしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、駐車場において、利用者が自己の選択に基づいてスムースに空きスペースに移動できるようにするような誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、駐車場(4)を撮影するカメラ(8)から、前記駐車場の撮影画像を取得する取得手段(93)と、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、前記駐車場中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を生成する生成手段(92)と、前記生成手段(92)によって生成された画像をサーバにアップロードするアップロード手段と、前記駐車場を利用しようとする車両(1)に搭載された画像表示機能を有する通信端末(10)が前記生成手段によって生成された画像を表示できるようにするための情報として、前記アップロード手段によるアップロード先の所在の指定を、前記通信端末に送信する送信手段(6)と、を備えた駐車場誘導システムである。
【0007】
このように、カメラによる撮影画像に基づいて生成された、駐車場中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を、画像表示機能を有する通信端末が表示することで、ユーザは駐車場のどの位置に空きスペースがあるかを一望することができる。したがって、駐車場において、利用者が自己の選択に基づいてスムースに空きスペースに移動できるようにするような誘導システムを提供することができる。
【0008】
なお、「撮影画像に基づいて生成する画像」とは、撮影画像中に含まれる情報に基づいて新たに生成された画像を含む概念である。更に、「撮影画像に基づいて生成する画像」とは、撮影画像に対する画像の修正、追加、付加的情報付加、画像形式変換等の加工を施した結果の画像を含む概念である。
【0009】
また、「画像を表示できるようにするための情報」としては、当該画像そのもののデータであってもよいし、その画像の所在についての情報(例えばURL(Universal Reference Locator))であってもよい。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の駐車場誘導システムにおいて、前記生成手段は、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、前記空きスペースの位置を検出し、前記検出した空きスペースの位置が前記撮影画像において強調されるような画像を生成することを特徴とする。
【0011】
これによって、カメラが撮影した画像の解像度が低い場合や、天候の悪い日など、そのまま画像を送信してもユーザにとって空きスペースの把握が困難な場合でも、当該強調表示によって容易に空きスペースの視認ができるようになる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の駐車場誘導システムにおいて、前記生成手段は、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、図形から成る画像を生成することを特徴とする。
【0013】
このように、通常の撮影された画像に比べて一般的に情報量の少ない図形画像を送信することで、送信データ量を低減することができ、送信速度も向上する。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の駐車場誘導システムにおいて、前記生成手段は、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、前記駐車場近辺の施設の画像を含んだ画像を生成することを特徴とする。
【0015】
これによって、ユーザは、空きスペースのどの位置に駐車するかについて、表示された施設との位置関係に基づいて意思決定することができる。なお、駐車場近辺とは、駐車場周辺および駐車場内を含む領域をいう。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の駐車場誘導システムにおいて、前記送信手段が前記駐車場内の複数箇所に存在していることを特徴とする。
【0017】
これによって、利用者の車両が駐車場内を移動中に空きスペースの状況に変化があった場合でも、複数箇所にある送信手段のいずれかによって駐車場の画像を更新することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、駐車場(4)の空き駐車スペースの位置の情報を検出する検出手段(81〜84)と、前記検出手段が検出した前記情報に基づいて、前記駐車場中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を生成する生成手段(92)と、前記生成手段(92)によって生成された画像をサーバにアップロードするアップロード手段と、前記駐車場を利用しようとする車両に搭載された画像表示機能を有する通信端末(10)が前記生成手段によって生成された画像を表示できるようにするための情報として、前記アップロード手段によるアップロード先の所在の指定を、前記通信端末に送信する送信手段(6)と、を備えた駐車場誘導システムである。
【0019】
これによって、検出手段が検出した駐車場の空き駐車スペースの位置の情報に基づいて生成された、駐車場中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を、画像表示機能を有する通信端末が表示することで、ユーザは駐車場のどの位置に空きスペースがあるかを一望することができる。したがって、駐車場において、利用者が自己の選択に基づいてスムースに空きスペースに移動できるようにするような誘導システムを提供することができる。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段および構成物との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に、本発明の一実施形態に係る駐車場誘導システムの設置された駐車場の概略図を示す。本実施形態においては、車両1は、高速道路2から進入路3を経由して駐車場4に入る。駐車場4内に進入した車両1は、駐車スペース41等の、あらかじめ区画された駐車スペースのうちで、空いているもの(すなわち空き駐車スペース)の1つに駐車する。そして車両1は、駐車場4から退出するとき、退出路5を経由して高速道路2に戻る。
【0022】
進入路3の終端部における駐車場4への入口には、狭域無線アンテナ6が設置されている。この狭域無線アンテナ6からの電波が十分に届く範囲である通信エリア7は、進入路3の当該終端部を含む楕円領域を形成する。車両1は、この通信エリア7において狭域無線アンテナ6と通信可能であり、かつ画像表示可能なカーナビゲーション装置10を有している。
【0023】
また、駐車場4には、駐車場4全体を俯瞰できるような位置に、カメラ8が設置され、当該カメラは、駐車場4全体を撮影し、その撮影画像を常時ホストコンピュータ9に出力するようになっている。また狭域無線アンテナ6は、ホストコンピュータ9から出力された、駐車場4中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像等を送信する。また、駐車場4の各駐車スペースには、図示しない車両センサ設置されており、それらセンサの出力はホストコンピュータ9に入力されるようになっている。
【0024】
このような狭域無線アンテナ6、カメラ8、ホストコンピュータ9、および車両センサが、駐車場誘導システムを構成する。以下、この駐車場誘導システムの具体的な構成および作動について説明する。
【0025】
図2に、この駐車場誘導システムのハードウェア構成をブロック図として示す。駐車場誘導システムは、狭域無線アンテナ6、カメラ8、ホストコンピュータ9、車両センサ81〜84を有している。なお、車両センサは、実際には駐車場4の駐車スペースの数だけ存在するが、簡単のために図2においては4つのみ示す。
【0026】
狭域無線アンテナ6は、ホストコンピュータ9の狭域無線コントローラ94から出力された無線信号を電波として、通信エリア7に送出するものであり、本実施形態においては、情報処理部92が生成した画像を車両1のカーナビゲーション装置10に送信するためのものである。
【0027】
カメラ8は、駐車場4全体を上方から撮影し、撮影画像のアナログ信号をホストコンピュータ9の画像処理部93に出力する。
【0028】
車両センサ81〜84は、駐車スペース毎に1つ設置されている。これら車両センサ81〜84は、赤外線センサ等から成り、当該駐車スペースに車両が入っていることを検出し、その検出に基づいてホストコンピュータ9の情報処理部92に検出信号を出力する。なお、検出信号の種類は車両センサ毎に異なっており、これによってどの駐車スペースに車両があるかを特定することが可能になる。
【0029】
ホストコンピュータ9は、ディスプレイ91、情報処理部92、画像処理部93、狭域無線コントローラ94、ハードディスクドライブ95、およびキーボード96を有している。
【0030】
ディスプレイ91は、情報処理部92からの映像信号の入力に応じてその表示面に当該映像を表示する。
【0031】
画像処理部93は、カメラ8から入力された撮影画像のアナログ信号を取得し、これをデジタルデータに変換して情報処理部92に出力する回路である。
【0032】
狭域無線コントローラ94は、情報処理部92から入力されたデータに対して、DSRC(Dedicated Short Range Communications)の通信プロトコルに従った処理としてD/A変換、変調、周波数変換、増幅等を施し、その結果の信号を狭域無線アンテナ6に出力する。
【0033】
ハードディスクドライブ95(図2中ではHDDと記載)は、大容量の磁気記憶媒体であり、後述する画像データベース(図2中では画像DBと記載)のための記憶領域を有している。
【0034】
キーボード96は、文字等のキーを有し、ユーザによる当該キーの押下に基づく信号を情報処理部92に出力する。
【0035】
情報処理部92は、図示しないCPU、RAM、ROMを備え、このCPUは、このROMに保存されているプログラムを実行し、この実行するプログラム、およびキーボード96、画像処理部93、車両センサ81〜84等からのデータに基づいた動作を行う。そしてこの動作の際、必要に応じてこのRAM、ROM、およびハードディスクドライブ95からデータを読み出し、またこのRAMおよびハードディスクドライブ95にデータを書き込む。
【0036】
図3に、この情報処理部92のCPUが動作中に定期的(周期は駐車場誘導システムの性能の許す限り短くする。例えば0.1秒)に実行するプログラムのフローチャートを示す。
【0037】
まず、ステップ310で、撮影画像の取り込みを行う。具体的には、画像処理部93から入力された画像のデジタルデータを、情報処理部92のRAMの所定の領域に保存する。
【0038】
次にステップ320で、ステップ310において取り込んだ撮影画像に基づいて、送信画像を生成する。送信画像とは、通信エリア7内のカーナビゲーション装置10に送信するための画像データであり、カーナビゲーション装置10によって表示されることで、車両1のユーザが駐車場中の空き駐車スペースの位置を視認できるような画像をいう。このような送信画像を生成する方法の詳細については後述する。なお、送信画像は、車両1の進入方向と同じ方向に向いて駐車場4を見た画像となるように、情報処理部92によって処理される。
【0039】
次にステップ330では、ステップ320で生成した送信画像の送信処理を行う。具体的にはステップ320で生成した送信画像のデータを、狭域無線コントローラ94に出力する。この処理によって、送信画像は狭域無線コントローラ94、狭域無線アンテナ6を介して通信エリア7に送出される。
【0040】
以上のようなプログラムによる動作によって、情報処理部92は、画像処理部93がカメラ8から取得した撮影画像に基づいて、駐車場4中の空き駐車スペースの位置が視認できる送信画像を生成し、その送信画像を狭域無線コントローラ94に出力する。これによって、狭域無線アンテナ6は、当該送信画像を通信エリア7に送出する。
【0041】
以上が駐車場誘導システムの構成および作動である。次に、車両1に搭載されるカーナビゲーション装置10の構成および作動について説明する。
【0042】
図4に、カーナビゲーション装置10のハードウェア構成をブロック図として示す。このカーナビゲーション装置10は、位置検出器11、内部メモリ制御装置16、操作スイッチ群17、表示装置20、リモコンセンサ21、狭域無線アンテナ23、狭域無線コントローラ24、および制御回路18を備えている。
【0043】
表示装置20は、液晶ディスプレイ等の表示面およびスピーカを有し、制御回路18からの映像信号の入力に応じて液晶ディスプレイ等の表示面に当該映像を表示し、また制御回路18からの音声信号の入力に応じてスピーカに当該音声を出力させる。
【0044】
操作スイッチ群17は、表示装置20の表示面の周囲に設けられた複数のメカニカルスイッチ、当該表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下(例えば押しボタンの押下)、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路18に出力する。
【0045】
リモコンセンサ21は、ユーザの操作に基づいて赤外線等による無線信号を送信するリモコン22から受信した信号を制御回路18に出力する。
【0046】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサ等を有しており、これらのセンサ等の性質に基づいた現在位置を特定するための情報を制御回路18に出力する。
【0047】
内部メモリ制御装置16は、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶媒体を備え、制御回路18からの制御命令等に基づいて、この不揮発性記憶媒体に対してデータの読み出しおよび可能であればデータの書き込みの制御を行う。この不揮発性記憶媒体が記憶している情報としては、上記した位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データおよび目印データを含む各種データ、カーナビゲーション装置10の動作のためのプログラム等がある。
【0048】
狭域無線コントローラ24は、狭域無線アンテナ23が受信した信号に対して、DSRCの通信プロトコルに従った処理として増幅、周波数変換、復調、A/D変換等を施し、その結果を制御回路18に出力する。
【0049】
制御回路18は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。制御回路18は、ROM、内部メモリ制御装置16から読み出したカーナビゲーション装置10の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはROM、RAM、フラッシュメモリから情報を読み出し、RAM、フラッシュメモリに対して情報の書き込みを行い、I/Oを介して位置検出器11、操作スイッチ群17、表示装置20、リモコンセンサ21、狭域無線コントローラ24等と信号の授受を行う。
【0050】
この制御回路18のCPUが実行するプログラムとしては、メニュープログラム、経路探索プログラム、地図表示プログラム、受信画像表示プログラムおよびその他のプログラムがある。なお制御回路18のCPUは、これらプログラムの実行において、現在位置を特定する必要があれば、位置検出器11から出力される現在位置を特定するための信号に基づいて、現在位置を算出する。
【0051】
メニュープログラムは、OS上で動作する各種プログラムを、そのプログラムの機能や目的別に階層的にメニュー表示し、そのメニュー表示されたものの中からユーザが選択したプログラムの実行を開始させる。なお、メニュー表示は表示装置20に当該メニューの画像データを出力することで行い、また、ユーザの選択は、リモコンセンサ21を介した下リモコン22または操作スイッチ群17に対する選択操作(カーソル移動、確定ボタン押下等)によって制御回路18に入力された信号に基づいて検出する。
【0052】
経路探索プログラムは、リモコン22により、あるいは操作スイッチ群17により目的地の位置が入力されると、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して誘導経路を形成し表示装置20に表示させる。自動的に最適な経路を設定する手法としては、ダイクストラ法等が知られている。
【0053】
地図表示プログラムは、位置検出器11から入力された現在位置情報に基づく車両現在位置マークと、内部メモリ制御装置16より読み出した地図データと、経路探索プログラムによって形成した誘導経路等の付加データとを重ねて表示装置20の表示面に表示させる。
【0054】
受信画像表示プログラムは、上記したメニュープログラムにおいて選択されることにより、または狭域無線コントローラ24から画像データが入力されることにより起動し、当該入力された画像データを表示装置20に出力することで、当該画像を表示装置20に表示させ、車両1のユーザが画像を視認することができるようにする。
【0055】
以上の様な受信画像表プログラムによって、カーナビゲーション装置10は、画像表示機能を有する通信端末として機能する。そしてカーナビゲーション装置10は、車両1が通信エリア7内にあるときに、駐車場誘導システムが通信エリア7に送出した画像を受信して表示できるようになる。
【0056】
このように、カメラ8による撮影画像に基づいて生成された、駐車場4中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を、画像表示機能を有する通信端末が表示することで、ユーザは駐車場4のどの位置に空きスペースがあるかを一望することができる。したがって、駐車場4において、車両1のドライバーであり駐車場4を利用する者が自己の選択に基づいてスムースに空きスペースに移動できるようになる。
【0057】
ここで、情報処理部92がステップ320で送信画像を生成する具体的な方法について説明する。送信画像の生成方法は、生成する送信画像の種類によって異なる。本実施形態においては、情報処理部92が生成する送信画像、すなわち駐車場中の空き駐車スペースの位置を視認できるような画像、の種類として、実写画像、空きスペース強調実写画像、簡易図形画像がある。
【0058】
実写画像とは、カメラ8が撮影した撮影画像を、その駐車場4の空きスペース部分については実質的な表示内容はほとんど変化させないように加工した結果の画像である。完全実写画像を生成する場合、情報処理部92は、ステップ320において、画像処理部93から入力された画像データに対して、所定の圧縮処理(例えばGIFフォーマットに変換するためのLZW圧縮、JPEGフォーマットに変換するための離散コサイン変換)、あるいは所定のヘッダ(撮影の日付、時刻、画像データのフォーマットの種類等の付加情報)追加等の、画像の視認性そのものにはほとんど影響を与えない加工を撮影画像に施した送信画像を生成する。なお、この生成の際、車両1の現在位置、すなわち通信エリア7の位置を強調表示してもよい。
【0059】
カーナビゲーション装置10の表示装置20によって表示されるこのような実写画像の一例を図5に示す。このような画像を車両1のドライバーが視認することにより、エリア42、43に空き駐車スペースがあり、他の位置には車両(例えば車両61)があることを直ちに把握できる。また、車両1の現在位置44と、エリア42および43との位置関係に基づいて、当該エリア42、43の方向へ迷わずに進むことができる。
【0060】
また、空きスペース強調実写画像とは、撮影画像について、駐車場4の部分で、空き駐車スペースとなっている部分を強調表示するように加工した結果の画像である。空きスペース強調実写画像を生成する場合、情報処理部92は、ステップ320において、画像処理部93から入力された画像データから、空きスペースの位置を特定し、画像データ中のその特定した位置の部分に、強調表示のための処理を施した送信画像を生成する。強調表示としては、例えば当該空き駐車スペースを囲む太線を撮影画像に重ねる表示がある。また、この生成の際、車両1の現在位置、すなわち通信エリア7の位置を強調表示してもよい。
【0061】
カーナビゲーション装置10の表示装置20によって表示されるこのような空きスペース強調実写画像の一例を図6に示す。このような画像を車両1のドライバーが視認することにより、エリア42、43、45に空き駐車スペースがあることを、強調表示によって直ちに把握できる。このような強調表示は、撮影画像の解像度が悪い場合や、天候の悪い日の場合等、上記した実写画像を送信画像としても、車両1のドライバーが空き駐車スペースを把握しづらい場合に特に有効である。
【0062】
また、簡易図形画像とは、カメラ8が撮影した撮影画像の空き駐車スペースを含む全ての部分を、四角形等の簡易図形に置き換えた画像である。例えば、駐車場4を大きな長方形に置き換え、駐車場4中の駐車スペースを小さい長方形に置き換えたものは簡易図形である。簡易図形画像を生成する場合、情報処理部92は、ステップ320において、画像処理部93から入力された画像データから、空きスペースの位置を特定し、変換された簡易図形中のその特定した位置に対応する部分に、強調表示のための処理を施した送信画像を生成する。強調表示としては、例えば当該空き駐車スペースを囲む太線を簡易図形に重ねる表示がある。また、各々の駐車スペースに車両の有り無しの文字情報を書き加えてもよい。
【0063】
なお、駐車場4を簡易図形に変換した画像については、ステップ320の処理の度に撮影画像に基づいて作成してもよいし、あらかじめ作成したものをハードディスクドライブ95の画像データベースに保存しておき、ステップ320の処理の度にその画像データベースから簡易図形を読み出してもよい。
【0064】
カーナビゲーション装置10の表示装置20によって表示されるこのような簡易図形画像の一例を図7に示す。このような画像を車両1のドライバーが視認することにより、エリア42、43、45に空き駐車スペースがあることを、強調表示によって直ちに把握できる。このような表示は、撮影画像の解像度が悪い場合や、天候の悪い日の場合等、上記した実写画像を送信画像としても、車両1のドライバーが空き駐車スペースを把握しづらい場合に特に有効である。また、撮影された実写を含む画像に比べて一般的に情報量の少ない図形画像を送信することで、カーナビゲーション装置10への送信データ量を低減することができ、送信画像の送信速度も向上する。
【0065】
また、これら3種の送信画像については、それぞれ駐車場4の周囲および駐車場4内の施設の情報、および案内のための情報を重ねたものを送信するようになっていてもよい。図8に、実写画像に、駐車場4の近辺(すなわち駐車場4の周囲および駐車場4内)の施設として、トイレ51、レストラン52、自動販売機53、屋根付き道路54を示す図形と文字表示、駐車場4の近辺の案内情報として出口55、大型車指定枠56、小型車指定枠57の図形および文字表示を重ねた送信画像の例を示す。このような表示を重ねることによって、ユーザは、空きスペースのどの位置に駐車するかについて、表示された施設との位置関係に基づいて意思決定することができる。
【0066】
なお、空きスペース強調実写画像と、簡易図形画像を生成する場合、情報処理部92は、ステップ320で、カメラ8の撮影画像に基づいて空き駐車スペースを特定する必要がある。この特定は、駐車場4中の駐車スペースの枠(例えば枠線)を撮影画像データから検出して、それぞれの駐車スペースについて、駐車車両があるか否かを判定することで行う。駐車車両があるか否かについては、あらかじめハードディスクドライブ95等に記憶している駐車場4の路面の色のデータと、当該駐車スペース内の撮影画像中の色とをと比較して、所定の閾値以上の差があれば、駐車車両があると判定し、差が所定の閾値以下ならば空き駐車スペースであると判定する。
【0067】
ここで注意しなければならないのは、路面は雨の降り始め、日差しの関係で、その色が識別しにくい場合がある。このような画像処理認識率が悪い場合は、車両センサ81〜84からの検知信号に基づいて、空き駐車スペースを特定する。
【0068】
なお、情報処理部92は、駐車場4の駐車場誘導システムを管理する者のキーボード96の操作に基づいて、例えば送信する画像の種類の変更、車両センサ81〜84を用いるか否かの切り替え等を行い、その旨の表示をディスプレイ91に行わせるようになっている。
【0069】
なお、本実施形態においては、狭域無線アンテナ6は、駐車場4の入口に1つだけあるが、必ずしもこのようになっている必要はなく、狭域無線アンテナ6が前記駐車場内の複数箇所に点在していてもよい。このように駐車場4内に点在する狭域無線アンテナ6の一例を図9に示す。このように狭域無線アンテナ6が点在することによって、利用者の車両が駐車場内を移動中に空きスペースの状況に変化があった場合でも、複数箇所にあるアンテナ6のいずれかによって駐車場の画像を更新することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、駐車場誘導システムは、駐車場中の空き駐車スペースの位置を視認できるような画像を通信端末であるカーナビゲーション装置10に送信しているが、送信する情報としては、画像そのものに限らず、画像を表示できるようにするための情報ならどのようなものでもよい。例えば送信画像を広域無線でインターネット等のサーバにアップロードし、そのアップロード先の所在(例えばURL)の指定を通信端末に送信してもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、駐車場誘導システムは、通信端末が通信エリア7に入ると否とに関わらず常に送信画像を送信している。すなわち放送モードで送信画像を送出している。しかし、必ずしもこの様な放送モードで送信する必要はなく、個別モード、すなわち通信端末が通信エリア7内に入って駐車場誘導システムと接続のためのネゴーシエーションをすることによって、初めて送信画像を送出するようなモードになっていてもよい。たとえば、契約駐車場において契約した車両1だけに画像の情報を送信する場合には、このような個別モードの方が都合が良い場合がある。このような個別モードを用いる場合、情報処理部92は、ステップ320で生成した画像をハードディスクドライブ95の画像データベースに保存し、その保存された画像のうち最新のものを読み出して狭域無線コントローラ94に出力してもよい。
【0072】
また、本実施形態においてはカメラ8が1台で駐車場4全体を撮影しているが、複数台のカメラが駐車場4の各部を撮影し、ホストコンピュータ9の情報処理部92または画像処理部93においてそれらの画像を合成するようになっていてもよい。
【0073】
また、駐車場誘導システムが送信する画像は静止画像であっても動画像であってもよい。すなわち、駐車場中の空き駐車スペースの位置を視認できるような画像であればどのようなものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係る駐車場誘導システムの設置された駐車場の概略図である。
【図2】駐車場誘導システムの構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理部92が動作中に常時実行するプログラムのフローチャートである。
【図4】車両1に搭載されたカーナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。
【図5】実写画像の表示例を示す図である。
【図6】空き駐車スペース強調実写画像の表示例を示す図である。
【図7】簡易図形画像の表示例を示す図である。
【図8】実写画像に施設等の図形を重ねた表示例を示す図である。
【図9】狭域無線アンテナ6の設置例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1…車両、2…高速道路、3…進入路、4…駐車場、5…退出路、
6…狭域無線アンテナ、7…通信エリア、8…カメラ、9…ホストコンピュータ、
10…カーナビゲーション装置、11…位置検出器、16…内部メモリ制御装置、
17…操作スイッチ群、18…制御回路、20…表示装置、21…リモコンセンサ、
22…リモコン、23…狭域無線アンテナ、24…狭域無線コントローラ、
41…駐車スペース、42、43…エリア、44…車両1の現在位置、51…トイレ、
52…レストラン、53…自動販売機、54…屋根付き道路、55…出口、
56…大型車指定枠、57…小型車指定枠、81〜84…車両センサ、
91…ディスプレイ、92…情報処理部、93…画像処理部、
94…狭域無線コントローラ、95…ハードディスクドライブ、96…キーボード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場(4)を撮影するカメラ(8)から、前記駐車場の撮影画像を取得する取得手段(93)と、
前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、前記駐車場中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を生成する生成手段(92)と、
前記生成手段(92)によって生成された画像をサーバにアップロードするアップロード手段と、
前記駐車場を利用しようとする車両(1)に搭載された画像表示機能を有する通信端末(10)が前記生成手段によって生成された画像を表示できるようにするための情報として、前記アップロード手段によるアップロード先の所在の指定を、前記通信端末に送信する送信手段(6)と、を備えた駐車場誘導システム。
【請求項2】
前記生成手段は、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、前記空きスペースの位置を検出し、前記検出した空きスペースの位置が前記撮影画像において強調されるような画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の駐車場誘導システム。
【請求項3】
前記生成手段は、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、図形から成る画像を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車場誘導システム。
【請求項4】
前記生成手段は、前記取得手段が取得した前記撮影画像に基づいて、前記駐車場近辺の施設の画像を含んだ画像を生成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の駐車場誘導システム。
【請求項5】
前記送信手段が前記駐車場内の複数箇所に存在していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の駐車場誘導システム。
【請求項6】
駐車場(4)の空き駐車スペースの位置の情報を検出する検出手段(81〜84)と、前記検出手段が検出した前記情報に基づいて、前記駐車場中の空き駐車スペースの位置が視認できる画像を生成する生成手段(92)と、
前記生成手段(92)によって生成された画像をサーバにアップロードするアップロード手段と、
前記駐車場を利用しようとする車両に搭載された画像表示機能を有する通信端末(10)が前記生成手段によって生成された画像を表示できるようにするための情報として、前記アップロード手段によるアップロード先の所在の指定を、前記通信端末に送信する送信手段(6)と、を備えた駐車場誘導システム。
【請求項7】
前記送信手段(6)は、前記通信端末(10)と接続し、前記通信端末(10)が契約した車両に搭載されたものである場合に、前記通信端末(10)が前記生成手段(92)によって生成された画像を表示できるようにするための情報を、送信することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の駐車場誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−217835(P2008−217835A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156695(P2008−156695)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【分割の表示】特願2003−340022(P2003−340022)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】