説明

骨形成増進組成物

【課題】骨および軟骨の修復のための骨形成増進組成物およびその使用方法を提供すること。
【解決手段】いくつかの実施形態では、骨形成促進分子はN−アセチルシステイン(NAC)である。該組成物は、骨の再生と、再構築治療と、骨工学とに有効である。例えば、該組成物は、骨もしくは軟骨組織の傷の治癒、修正、形成もしくは再生に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して骨形成増進組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折と、膝および股関節の変性変化はよくある問題である。例えば、アメリカ合衆国だけで、300,000件を超える股関節骨折の再構築があり、これは、重度の予後障害(Campion EW, et al., J Gen Intern Med 2:78−82(1987))、長期間に及ぶ非依存性(Guccione A.A, et al., Phys Ther 76:818−26(1996))、骨セメントの使用に起因する術後の死亡率(Bhandari M, et al., Int J Surg Investig 1:319−26(1999))、5%から40%の範囲の高い割合での再建手術(Espehaug B, et al., J Bone Joint Surg Br 84:832−8(2002); Hudson JI, et al., Clin Orthop Relat Res:59−66(1998);Lu−Yao GL, et al., J Bone Joint Surg Am 76:15−25(1994); Ravikumar and Marsh Injury 31:793−7(2000);Tidemark J, et al., J Bone Joint Surg Br 85:380−8(2003))、生活の質の実質的な低下(Tidemark J, et Aal., J Bone Joint Surg Br85:380−8(2003);Tidemark J, et al., J Orthop Trauma 17:S17−21(2002))などを伴っている。骨粗鬆症による骨折の治療の年間支出額は、1,380億ドルと推定されている(Ray NF, Chan JK, Thamer M, Melton LJ, 3rd (1997)。1995年のアメリカ合衆国における骨粗鬆による骨折のための治療年間支出額:アメリカ骨粗鬆症財団のレポートによる。J bone Miner Res 12:24−35)。アンカーとしての金属製移植片の使用は、このようなケースの再構築治療のための重要な手段となっている。
【0003】
成長ホルモンを使った骨再生治療は、ある程度の成功を収めている。例えば、BMP2およびBMP7に代表される骨形成タンパク質(BMPs)は、骨再生治療の新しい治療薬である。In vitroでは、BMPsは、多能性間葉系幹細胞の骨芽細胞系への分化を促進させる。
【0004】
BMPsは、骨の発達、成長、および修復に重要な役目を担っている。FDAによる限定的な承認が、脊椎の癒合および癒合不全などの選択されたBMPsの用途に与えられた。臨床的には、BMPsは、大量に使用された時に効果を現すようである(Govender S, et al., J Bone Joint Surg Am 84−A:2123−2134(2002))。しかしながら、BMPsは骨折の治癒の促進および感染率の低下に対する全体的な効果は証明されているものの、効果にバラツキがあることが分かっている:多くのパーセンテージの患者がBMPsに対して感受性がない(Govender et al., 2002, supra)。もともと、BMPsは、タンパク質分解、移送の方法および高価という問題点を含む。
【0005】
全身における骨セメントの深刻な副作用が報告されている。骨セメント移植症候群(bone cement implantation syndrome:BCIS)は、低血圧、低酸素血症、不整脈、心停止、もしくはこれらの組み合わせを特徴としており、これは0.6から1%のレシピエントにおいて即死を引き起こしている(Bhandari M, et al., Int J Surg Invesig 1:319−26(1996); Lamade WR, et al., Arch Orthop Trauma Surg 114:35−9(1995))。
【0006】
従って、骨および/または軟骨の修復のための骨形成増進組成物が望まれている。
【0007】
ここに記載するポリマーおよび移植可能な材料の組成物および製造方法は、上述の問題について言及する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Campion EW, et al., J Gen Intern Med 2:78−82(1987)
【非特許文献2】Bhandari M, et al., Int J Surg Investig 1:319−26(1999)
【非特許文献3】Espehaug B, et al., J Bone Joint Surg Br 84:832−8(2002)
【非特許文献4】Hudson JI, et al., Clin Orthop Relat Res:59−66(1998)
【非特許文献5】Lu−Yao GL, et al., J Bone Joint Surg Am 76:15−25(1994)
【非特許文献6】Ravikumar and Marsh Injury 31:793−7(2000)
【非特許文献7】Tidemark J, et al., J Bone Joint Surg Br 85:380−8(2003)
【非特許文献8】Tidemark J, et Aal., J Bone Joint Surg Br85:380−8(2003)
【非特許文献9】Tidemark J, et al., J Orthop Trauma 17:S17−21(2002)
【非特許文献10】Ray NF, Chan JK, Thamer M, Melton LJ, 3rd (1997)
【非特許文献11】Govender S, et al., J Bone Joint Surg Am 84−A:2123−2134(2002)
【非特許文献12】Govender et al., 2002, supra
【非特許文献13】Bhandari M, et al., Int J Surg Invesig 1:319−26(1996)
【非特許文献14】Lamade WR, et al., Arch Orthop Trauma Surg 114:35−9(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで提供されるのは骨形成増進組成物である。該組成物は、骨形成増進分子を効果的な量含んでもよい。いくつかの実施形態において、骨形成増進分子は、N−アセチルシステイン(NAC)分子である。該組成物は、骨の再生と、再構築治療と、骨工学に有効である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで使われている「効果的な量」とは、例えば、ヒトなどの哺乳類における骨芽細胞の分化を促進するのに有効な骨形成促進分子の量を言う。いくつかの実施形態において、効果的な量は、約1ng/Lから約100g/Lの範囲でもよい。いくつかの実施形態において、効果的な量は、約0.1ng/mlから約500μg/ml、約0.1μg/mlから約1.5μg/ml、もしくは約0.1μg/mlから約4μg/mlの範囲でもよい。
【0011】
該組成物は、骨および軟骨の再生/修復および治癒のためにどんな配合物に配合されてもよい。
【0012】
ここに記載する組成物は、種々の用途に使用できる。いくつかの実施形態においては、該組成物は、骨セメントに配合できる。いくつかの実施形態においては、該組成物は、軟骨、骨、もしくは脊椎組織工学および修復のための足場剤でもよい。該組成物は、骨、軟骨または脊椎に関連する症状の治療、予防、または改良に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、種々の濃度でNACを添加したもしくは無添加の7日目の骨芽細胞培養のアルカリホスフェターゼ染色を示す。培養面積に対するALP陽性面積はデジタル画像解析機で計測した。データは、平均値±SD(n=3)で示す。
【図2】図2は、種々の濃度でNACを添加したもしくは無添加の14日目の骨芽細胞培養のVon Kossa染色を示す。培養面積に対するALP陽性面積がデジタル画像解析機で計測された。データは、平均値±SD(n=3)で示す。
【図3】図3は、NACを添加もしくは添加していない骨芽細胞培養の骨に関連する遺伝子の発現解析の結果を示す。RT―PCR後の電気泳動の代表的な画像である(上段)。GAPDH発現に対するコラーゲンI、オステオポンチン、オステオカルシン、bmp2およびrumx2/cbfa1の定量型遺伝子発現レベルを示す(下段)。
【図4】図4は、NACを添加したもしくは無添加の脱ミネラル化した骨マトリクス材料で培養したラットの骨芽細胞のアルカリホスフェターゼ(ALP)の活性を示す。上段のパネルは、ALP染色の図を示し、培養面積に対するALP陽性面積のパーセンテージはデジタル画像解析機を使って計測した。データは、平均値±SD(n=3)で示す。
【図5】図5は、NACを添加したもしくは無添加のコラーゲンゲル材料において培養したラットの骨芽細胞にアリザリンレッド染色を行った結果を示す。上段のパネルは、カルシウムに対するアリザリンレッド染色の図を示し、培養面積に対するアリザリンレッド陽性面積のパーセンテージはデジタル画像解析機で計測した。
【図6】図6は、NACを添加したもしくは無添加のコラーゲン膜材料において培養したラットの骨芽細胞のアリカリホスフェターゼ(ALP)活性を示す。上段のパネルは、ALP染色の図を示し、培養面積に対するALP陽性面積のパーセンテージは、デジタル画像解析機を使って計測した。データは、平均値±SD(n=3)で示す。
【図7】図7Aおよび7Bは、NACを添加したもしくは無添加の骨セメント材料において培養したラットの骨芽細胞のアリカリホスフェターゼ(ALP)活性と(図7A)、Von Kassaミネラル化容量(図7B)を示す。データは、平均値±SD(n=3)で示す。
【図8】図8は、未処理のコントロール骨セメントおよびNACを添加した骨セメントにおいて24時間培養したラットの骨髄由来の骨芽細胞に対して行われた細胞アポトーシス解析の結果を示す。上段は、フローサイトメトリーの図であり、アポトーシス細胞(上段の図のエリア4)、二次的な壊死性細胞(エリア2)、および生存細胞(エリア1および3)のパーセンテージは下段に示されている。
【図9】図9は、培養3日目および6日目における細胞密度で計測された骨芽細胞の増殖活性を示す。ラットの骨髄由来の骨芽細胞は、NACを添加したもしくは無添加の骨セメントにおいて培養した。データは、平均値±SD(n=3)で示す(「*」の記号は、そのデータが、コントロールとNACを添加した骨セメントサンプルとにおいて統計的に有意であることを意味する、p<0.0001)。
【図10】図10Aは、NACにより再生した骨芽細胞のアルカリホスフェターゼ活性を示す。図10Bは、NACを添加した骨セメントにおける骨芽細胞のミネラル化能力を示す。
【図11】図11Aおよび11Bは、ポリスチレン、コントロール骨セメント、NACを培養液に添加した骨セメント、もしくはNACを添加した骨セメントにおける骨芽細胞培養の遺伝子の発現解析を示す。図11Aは、RT−PCR後の電気泳動の結果を示す。図11Bは、GAPDHの発現に対するコラーゲンI、オステオポンチン、およびオステオカルシン遺伝子の定量型遺伝子発現レベルを示す。
【図12】図12Aから12Dは、コントロール骨セメントおよびNACを添加した骨セメントの生体力学的特性を示す。データは、平均値±SD(n=5)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで提供されるのは、骨形成増進組成物である。該組成物は、骨形成促進分子を効果的な量含むことができる。いくつかの実施形態では、骨形成促進分子はN−アセチルシステイン(NAC)である。該組成物は、骨の再生と、再構築治療と、骨工学とに有効である。例えば、該組成物は、骨もしくは軟骨組織の傷の治癒、修正、形成もしくは再生に有効である。
【0015】
ここで使われているように、「効果的な量」という言葉は、例えばヒトなどの哺乳類における骨芽細胞の分化を促進するのに効果的な骨形成増進分子の量を言う。いくつかの実施形態では、効果的な量は、約1ng/Lから約100g/Lの範囲でもよい。いくつかの実施形態において、効果的な量は、約0.1ng/mlから約500μg/ml、約0.1μg/mlから約1.5μg/ml、もしくは約0.1μg/mlから約4μg/mlの範囲でもよい。
【0016】
「増進」という言葉は、例えば骨形成工程もしくは機構などの生物学的工程もしくは機構を少なくとも、約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%もしくはそれ以上増進することを言う。
【0017】
該組成物は、骨および軟骨の再生/修復のためにいかなる所望の配合物に配合されてもよい。
【0018】
酸化ストレス
骨芽細胞は、様々なタイプの酸化ストレスに常に曝されている。例えば、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、およびヒドロキシラジカルなどのフリーラジカル酸化物は、骨折の治癒工程時の炎症もしくはその反応分子として生成され、また通常の細胞代謝時においても生成される。
【0019】
酸化ストレスは、細胞内シグナル伝達経路および細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)の活性を調整すること(Park BG., Toxicology 215:115−125(2005))で、骨芽細胞を含む様々な細胞の種類に対してセルアポトーシスを誘発することが知られている(Cortizo AM, et al., Toxicology 147:89−99(2000))。ERKおよびERK依存NF−カッパーB活性を通して(Bai XC, et al., Biochem Biophys Res Commun 314:197−207(2004))、酸化ストレスが骨芽細胞の分化を阻害することが最近の研究で示された(Mody N, et al., Free Radic Biol Med 31:509−519(2001))。
【0020】
酸化物質に誘発された骨芽細胞のアポトーシスは、骨粗鬆症などの骨の代謝疾病の発病と関連しているかもしれない(Weinstein RS, Manolagas SC, AM J Med 108:153−164(2000))。グルタチオンは、細胞膜に主に存在するシステインの誘導体であり、グルタチオン介在酸化還元回路は、フリーラジカルを除去する最も重要な機構である(例えば、Stanislawski L, et al., J Biomed Mater Res 51:469−74(2003)参照)。
【0021】
骨形成増進分子
骨形成増進分子は、例えばヒトなどの哺乳類の骨芽細胞の分化を促進するのに有効ないかなる骨形成増進分子であってよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、骨形成増進分子は、抗酸化物質を含んでもよい。抗酸化物質は、N−アセチルシステイン(NAC)、システイン、システイン誘導体、グルタチオンもしくはグルタチオン誘導体、グルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化アミノ酸、ビタミンC(アスコルビン酸)およびビタミンEなどのビタミン、ベータカロチン、フラボノイド、ユビキノン、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)、もしくはスーパーオキサイドジスムターゼの模倣物(これはスーパーオキサイドジスムターゼミミックとも一般的に言われる)(SODm)もしくはこれらの組み合わせを含むことも出来る。
【0023】
NACは、ほとんどの種類の細胞で生成される抗酸化システイン誘導体である。NACは、簡単に脱アセチル化されてグルタチオンの前駆物質として重要なシステインになることができ(例えばLean JM et al., J Clin Invest 112:915−23(2003)参照)、細胞グルタチオン機構を補助する(例えば、Gillissen A et al., Lung 175:235−42(1997)参照)。また、NACは、強力な酸化物質捕捉剤として直接的に作用する(Gillissen et al., 1997)。したがって、NACは、酸化ストレスを減少させることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗酸化物質は、酸化ストレスを減少できる植物もしくは動物の抽出物、もしくはそれらから分離された化合物であってもよい。例えば、抽出物は、緑茶、椰子の木の皮、ブドウの皮、ブドウの種、もしくはそれらの組み合わせの抽出物でもよい。
【0025】
NACなどの抗酸化物質を骨セメントに含有しても、骨セメントの機械的特性を損なわないことを証明した。いくつかの実施形態において、ここに記載する骨セメントは、特に列挙した抗酸化物質を除外することもできる。
【0026】
ここで記載する組成物は、種々の用途があってよい。いくつかの実施形態において、該組成物は、骨セメントへ配合できる。いくつかの実施形態において、該組成物は、軟骨、骨、もしくは脊椎組織工学および修復のための足場剤であってもよい。該組成物は、骨、軟骨もしくは脊椎に関連する症状の治療、予防、もしくは改善に使用できる。
【0027】
生理活性剤
いくつかの実施形態において、配合物は、生理活性剤を含んでもよい。生理活性剤は、いかなる生理活性剤であってもよい。いくつかの実施形態において、生理活性剤は、接着因子、骨成長因子、トランスフォーミング成長因子(TGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ホルモン、抗炎症剤、リン酸カルシウム、ビタミン、骨形成細胞、骨芽細胞もしくはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、生理活性剤はコラーゲン、骨マトリクス、腱マトリクス、靱帯マトリクスもしくはそれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
接着分子のいくつかの例としては、これに限定されるわけではないが、RGDもしくは環状RGDペプチド(もしくは、RGDの模倣物、もしくは環状RGDペプチドの模倣物)もしくは血管細胞接着分子(VCAM)が挙げられる。
【0029】
成長因子のいくつかの例として、これに限定されるわけではないが、BMP2、BMP4、もしくはBMP7などの骨形成タンパク質(BMP)が挙げられる。
【0030】
転写因子のいくつかの例として、これに限定されるわけではないが、Runx2/cbfa1が挙げられる。
【0031】
繊維芽細胞成長因子(FGFs)のいくつかの例として、アルファーFGFもしくはベータFGFが挙げられる。
【0032】
リン酸カルシウムのいくつかの例として、ヒドロキシアパタイトおよびリン酸トリカルシウムが挙げられる。
【0033】
ビタミンのいくつかの例として、ビタミンDが挙げられる。
【0034】
抗炎症剤のいくつかの例として、これに限定されるわけではないが、ステロイド系もしくは非ステロイド系の抗炎症剤や、デキサメタゾン、ベータメタゾン、およびコーチゾンなどのグルココルチコイドなどを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、該組成物は、上述の生理活性剤を明確に除外してもよい。
【0036】
配合
ここに記載する組成物は、いかなる所望の配合物に配合してもよい。いくつかの実施形態において、配合物は、骨、軟骨、もしくは脊椎用のセメントでもよい。いくつかの実施形態において、配合物は、骨、軟骨、もしくは脊椎用の足場剤でもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、組成物は、増進された骨誘導性容量を有する骨移植片代替物、コラーゲンゲル、コラーゲン膜、コラーゲンスポンジ、および骨セメントでもよい。いくつかの実施形態において、該組成物は、金属製もしくは非金属製の骨内インプランテーションに使われるコーティングに使われてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、例えば、配合物は骨セメントでもよい。いくつかの実施形態において、配合物は、軟骨もしくは背骨の修復のための足場剤でもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、組成物は、骨もしくは軟骨のための傷を治癒する材料を含有してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、組成物は、顎および頭蓋顔面付近の傷の治癒、修復、形成、および再生のための配合物でもよい。
【0041】
該配合物は、この技術分野において現在使用されているいかなる材料を含んでもよい。実施形態の一つに、配合物は、生物学的もしくは薬学的に適合したキャリアーを任意で含むことができる。いくつかの実施形態において、キャリアーは、人工もしくは天然ポリマーのポリマー性キャリアーでもよく、これは例えば酵素もしくは加水分解性の機構などにより分解可能で、生分解できる。ポリマー性キャリアーの例としては、これに限定されるわけではないが、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(D,L−乳酸)(PDLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(p−ジオキサン)、ポリ(カプロラクトン−コ−グリコール酸)、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)ポリ(D,L−乳酸−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリアリレート、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ酸無水物、ポリ(無水物−コ−イミド)、プロピレン−コ−フマル酸塩、ポリラクトン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアニオンポリマー、ポリ酸無水物、ポリエステル−アミド、ポリ(アミノ酸)、ホモポリペプチド、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(グラクサノン)(poly(glaxanone))、多糖類、ポリ(オルトエステル)、ポリグラクチン、ポリグラクト酸、ポリアルドン酸、ポリアクリル酸、ポリアルケノエートと、これらの共重合体および混合物と、いかなる誘導体および変形などのポリ(α−ヒドロキシ酸)などの合成吸収性ポリマーを含む(例えば、ここで参考として挿入する、米国特許4,563,489と、PCT国際出願番号WO/03024316とを参照)。その他のキャリアーの例として、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの陽イオン塩などを含むセルロース性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。その他のキャリアーの例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、生体活性ガラスおよびサンゴ由来のアパタイトなどの合成および天然の生体機能性セラミックスが挙げられるが、これらに限定されるわけでない。例として、ここで参考として挿入する、米国特許出願番号2002187104;PCT国際出願番号WO/9731661、およびPCT国際出願番号WO/0071083を参照されたい。
【0042】
その他のキャリアーの例として、コラーゲン(例えば、コラーゲンスポンジの吸収性止血剤(Collastat)と微繊維止血剤(Helistat))、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、アルギン酸、およびゼラチンもしくはこれらの混合物を含む。例えば、PCT国際出願番号WO/9505846;WO/02085422を参照されたい、これらに記載する教示は、ここで参考として取り入れられている。
【0043】
一実施形態では、ヘパリン結合試薬が含まれてもよく、例えば、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、フカン、アルギン酸もしくはそれらの誘導体、さらにヘパリン親和性を増加させるアミノ酸変性を伴うペプチド断片を含むが、これらに限定されるわけではない。例えば、Journal of Biological chemistry (2003),274(44),p.43229−43235を参照されたい。これに記載する教示は、ここで参考として取り入れられている。
【0044】
いくつかの実施形態において、配合物は、流動性ゲルの形態をとってもよい。ゲルは、骨形成が必要な箇所に注射器などで注入できるものを選択してもよい。ゲルは、第一級結合により形成され、さらにpH、イオン類、および/または溶媒の濃度により制御される化学ゲルでもよい。ゲルは、第二級結合により形成され、温度および粘度により制御される物理的ゲルでもよい。ゲルの例としては、プルロニック、ゼラチン、ヒアルロン酸、コラーゲン、ポリラクチド−ポリエチレングリコール溶液および複合体、キトサン、キトサン&b−グリセロリン酸(BST−ゲル)、アルギン酸、アガロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酸化ポリエチレン、N−メチル−2−ピロリドン中のポリラクチド/グリコリドを含むが、これらに限定されない。例えば、Anatomical Record (2001), 263(4),342−349を参照されたい。これに記載する教示は、ここで参考として取り入れられている。
【0045】
一実施形態において、配合物は、少なくとも250nmの波長を持つ電磁波などにより光重合可能なポリマー性キャリアーを含んでもよい。光重合可能なポリマーとして、ポリエチレン(PEG)アクリレート誘導体、PEGメタクリレート誘導体、プロピレンフマル酸−コ−エチレングリコール、ポリビニルアルコール誘導体、PEG−コ−ポリ(−ヒドロキシ酸)ジアクリレート高分子、ヒアルロン酸誘導体などの変性多糖類、およびデキストランメタクリレートを含む。例えば、ここで参考として取り入れられている米国特許5,410,016を参照されたい。
【0046】
一実施形態において、配合物は、温度感受性のキャリアーを含んでもよい。例えば、より低い下部完溶温度(LCST)を有するN−イソプロピルアクリルアミド(NiPAM)もしくは変性したNiPAMと、さらにエチルメタクリレートおよびN−アクリロキシスクシンイミドまたはブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、もしくはドデシルメタクリレートなどのアルキルメタクリレートの挿入により増強されたペプチド結合(例えば、NELL1)とからできるキャリアーを含む(PCT国際出願番号WO/2001070288、米国特許5,124,151、これらに記載する教示は、ここで参考として取り入れられている)。
【0047】
一実施形態において、配合物は、細胞マトリクスの付着をレセプター介在機構を介して促進する細胞接着分子、接着ペプチド、接着ペプチドアナログ、および/またはポリカチオン性ポリアミノ酸−ペプチド(例えば、ポリリシン)、ポリアニオン性ポリアミノ酸−ペプチド、Mefp−クラスの接着分子およびその他のDOPAが豊富なペプチド(例えば、ポリリシン−DOPA)、多糖類、およびプロテオグリカンなどの、これに限定されるわけではないが、レセプター不在型機構を介して接着を促進する分子部分で装飾され、さらに固定された表面を持てるキャリアーを含んでもよい。例えば、PCT国際出願番号WO/2004005421;WO/2003008376;WO/9734016を参照されたい。これらに記載する教示はここで参考として取り入れられている)。
【0048】
一実施形態において、配合物は、グリシン、グルタミン酸塩酸塩、塩化ナトリウム、グアニジン、ヘパリン、グルタミン酸塩酸塩、酢酸、コハク酸、ポリソルベート、硫酸デキストラン、スクロース、およびアミノ酸などの緩衝剤を含むことができるキャリアーを含んでもよいが、これらに限定されるわけではない。例えば、米国特許5,385,887を参照されたい、これに記載する教示は、ここで参考として取り入れられている)。一実施形態において、キャリアーは、上記の材料の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、配合物は、PLGA/コラーゲンキャリアー膜を含有するキャリアーを含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、MAもしくはアクリル酸のポリマーもしくはプレポリマーでもよい。例えば、配合物は、プレポリメライズポリ−メチルメタクリレート(PMMA)およびメチルメタクリレート(MMA)の液体部分を含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、配合物は、非−MMAもしくは非−アクリル酸ポリマーのポリマーを含んでもよい。そのようなポリマーは、生分解性であっても、非生分解性でもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)、またはラクトンのポリマーもしくはコポリマーである。いくつかの実施形態において、配合物は、リン酸カルシウムを基にした材料を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、配合物は、セルロースもしくはデンプンなどの天然材料を含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、上述のポリマーもしくは天然材料のどれでもを明らかに除外することができる。
【0054】
薬理学的に認められるキャリアーであれば、キャリアーはなんであってもよい。いくつかの実施形態において、キャリアーは、生理食塩水、アルコール、培養液、もしくは生物学的緩衝剤でもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、該組成物は、この分野の通常の技術を有したものであれば、公知の方法もしくは工程に従って設計および作成できる、上述のいかなる骨の症状の治療、予防、もしくは向上に使用するのに適切ないかなる配合物(例えば、骨代替物)に配合することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、配合物は、上述のどのキャリアーも明らかに除外できる。
【0057】
使用方法
ここに記載する組成物は、骨、軟骨、もしくは脊椎に関連する症状を治療、予防もしくは向上するために、通常の技術を有する者により異なる配合物に簡単に配合できる。該組成物は、骨の症状の傷の治癒、修復、形成、再生に有効である。いくつかの実施形態において、該組成物は、骨の状態の代替物として有効である。
【0058】
いくつかの実施形態において、骨に関連する症状とは、大腿骨頚部骨折、頸部骨折、および手首の骨折などの骨折、抜歯による骨喪失および歯周病関連の骨喪失などのガンおよび外傷による欠損、病気に関連する骨喪失、骨の質の低下、リュウマチ、骨溶解および顎骨などの骨組織のその他の退行性変化もしくは治癒、難治性の骨の傷の治癒、時間のかかる骨の治癒、骨の再吸収または金属もしくは非金属の移植片を安定もしくは固定および大腿骨全体を置換するなどの骨組織の再構築ために設置する必要のある症状を含む。いくつかの実施形態において、ここに記載する骨に関連する症状とは、顎および頭蓋顔面における症状でもよい。該方法は、このような症状を有する患者に該組成物を投与することを含む。
【0059】
軟骨に関連する症状とは、ガンおよび外傷による欠損、軟骨の質の低下、リュウマチおよび穿孔、軟骨のずれおよび軟骨組織のその他の退行性変化、難治性の関節の傷の治癒、および金属もしくは非金属の移植片を安定もしくは固定および関節の再構築のために設置する必要のある症状を含む。
【0060】
脊椎に関連する症状とは、脊椎骨折/障害もしくは脊椎椎間板のずれ、脊椎組織の骨折もしくは退行性変化、骨およびその他の欠損、ガン、怪我、全身性代謝、感染症、加齢、脊椎組織の固定および再構築治療などから引き起こされる退縮および退行性変化を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明は、骨、軟骨、もしくは脊椎に関連する症状を治療、予防、向上する方法を提供する。前記方法は、骨、軟骨もしくは脊椎に関連する症状を有する患者に組成物を投与することを含む。投与の形態としては、移植、直接注入、金属もしくは非金属性の人工移植片にコーティング、もしくは移植片(例えば、金属もしくは非金属性の人工移植片)の周りに設置してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、人間における骨もしくは軟骨の修復に使用できる。例えば、人間は、女性でも男性でもよい。人間の年齢はいくつの年齢層であってもよい。いくつかの実施形態において、25歳もしくはそれ以上であってもよい。
【0063】
本発明の実施形態は、以下の実施例により説明される。全てのパラメータおよびデータは、本発明の技術範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0064】
実施例1:NACを含有する骨形成増進組成物の考察
方法
骨芽細胞培養
8週齢のオスのスプラーグドーリーラットの大腿骨から分離された骨髄細胞は、15%ウシ胎児血清、50□/mgアスコルビン酸、10−8Mデキサメタゾン、10mM Na−β−グリセロリン酸、および10,000ユニット/mlのペニシリンG溶液、10,000mg/mlのストレプトマイシンサルフェートおよび25mg/mlのアンホテリシンBを含有する抗生物質−抗真菌物質溶液を添加したアルファー改変イーグル培地の中に置かれた。細胞は、95%空気、5%COの加湿された雰囲気で、37℃において培養された。80%の集密度において、細胞は、0.25%トリプシン−1mM EDTA−4Naを使って剥離され、NACを添加もしくは無添加で、骨代替物(脱ミネラル化した骨マトリクス、オルトブラスト(Orthoblast)IsoTis OrthoBiologics社、アーバイン、カルフォルニア州)、コラーゲンゲル(PureCol,Inamed社、フレモント、カルフォルニア州)を添加したポリスチレンディッシュ、またはNACを組み込んでいるもしくは組み込んでいない(Endurance MV,DePuy OrthoPaedics,ワルシャワ、インディアナ州)骨セメントに細胞を4x10セル/cmの密度で添加した。培養液は、3日おきに新しくした。NACを組み込んだ骨代替物およびコラーゲン膜材料は、それぞれの材料を24時間NACに浸して調製した。NACが組み込まれたコラーゲンゲルは、コラーゲンゲルとNACを混ぜることで調製した。
【0065】
遺伝子発現解析
骨に関連する遺伝子の発現は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使って解析した。培養液中のトータルRNAは、トリゾル(インビトロジェン社、カールズバッド、カルフォルニア州)および精製コラム(RNeasy、キアゲン社、バレンシア、カルフォルニア州)を使って抽出した。DNaseI処理の後、0.5μgのトータルRNAの逆転写を、オリゴ(dT)プライマー(クロンテック社、カールズバッド、カルフォルニア州)の存在下でMMLV逆転写酵素(クロンテック社、カールズバッド、カルフォルニア州)を使って行った。PCR反応は、アルファー−IタイプIコラーゲン(collagen I)、オステオポンチン、およびオステオカルシンmRNAを検知するためにTaqDNAポリメラーゼ(EXTaq、タカラバイオ社、マディソン、WN)を使って行った。プライマー配列およびPCR条件は前述した。生成物は、エチジウムブロマイド染色した1.5%アガロースゲルで可視化した。バンドの強度は、紫外線化で定量化され、数値は、GAPDHmRNAと比較して基準化した。
【0066】
アルカリホスフェターゼ(ALP)活性
培養した骨芽細胞をハンクス溶液で2回洗浄し、0.9mMのナフトールAS−MXリン酸と1.8mMのfast red TRを含んだ120mMのトリス緩衝液(pH8.4)と共に37℃において30分培養した。{(染色した面積/培養器の全面積)x100}(%)で定義されるALP陽性面積の染色された画像は、デジタル画像解析システム(Image Pro−plus、Media Cybernetics社、メリーランド州)を用いて解析した。それぞれの実験グループにおいて、3つの別々の培養物を評価した。
【0067】
ミネラル化アッセイ
骨セメントの様々な条件における骨芽細胞のミネラル化能力を判断するために、Von Kassaおよびアリザリンレッド染色技術を使用した。{(染色した面積/培養器の全面積)x100}(%)で定義されるミネラル化した団塊は、デジタル画像解析システム(Image Pro−plus、Media Cybernetics社、メリーランド州)を用いて計測した。それぞれの実験グループにおいて、3つの別々の培養物を評価した。
【0068】
統計解析
グループ間のALP、アリザリンレッド、Von Kassa染色を評価するために一元配置分散分析(one way ANOVA)を使用し、適切であればBonferroni多重比較テストを使用した;0.05以下を統計的に有意とした。
【0069】
結果
NACによる骨芽細胞の増進された骨形成容量
骨芽細胞の培地にNACを添加すると、7日目(p<0.001)でアルカリホスフェターゼ活性が増加した(図1)。効果は、NAC濃度が5mMまでは濃度に依存した。同様に、NACの添加は、14日目におけるVon Kassa陽性面積を濃度依存的に著しく増加させ(p<0.001)、NACの添加が骨芽細胞のミネラル化能力を増進させたことを示した(p<0.001)(図2)。コラーゲンIおよびオステオポンチンの発現は、NACを添加した14日目の培養において常にトップで、亢進されていた。オステオカルシンの発現は、NACを添加した培養液において3日目の早い段階で亢進しており、これは、骨芽細胞の分化はNACによって加速されることをしめしている。Bmp2およびRunx2/cbfa1の遺伝子発現レベルは、NACの添加により著しく増加し、これは骨芽細胞の分化がNACにより促進されることをサポートしている。
【0070】
培養液にNACを添加することで、間葉系幹細胞/骨芽細胞の分化を促進し、骨芽細胞の表現形質を増進させることを結果が示している。
【0071】
NACにより増進された種々の骨再生および工学材料の骨伝導性容量
NACを取り込んでいるもしくは取り込んでいない脱ミネラル化した骨マトリクスの骨伝導性容量をテストした。NACを取り込んでいる骨マトリクスサンプルは、より広いALP陽性面積を14日目の培養(p<0.001)において示しており、これはNACが骨伝導性を増進したことを示す。
【0072】
図4は、NACを取り込んでいるもしくは取り込んでいない脱ミネラル化した骨マトリクスで、培養したラットの骨芽細胞のアルカリホスフェターゼ(ALP)活性を示す。上段のパネルは、ALP染色の画像を示し、培養面積に対するALP陽性面積のパーセンテージは、デジタル画像解析を用いて計測した。データは、平均値±SD(n=3)で示されている。
【0073】
NACを添加したコラーゲンゲルで培養した骨芽細胞は、未処理のコントロールコラーゲンゲルよりもアリザリンレッド染色を示し(p<0.001)、これは、NACの添加によりコラーゲンゲルがより骨伝導性を有したことを示す(図5)。NACを取り込んだコラーゲン膜で培養した骨芽細胞は、未処理のコラーゲン膜よりも広いALP陽性面積を示し、コラーゲン膜の骨伝導性が増進していることを示す(p<0.001)(図6)。ALP活性およびVon Kassaミネラル化容量からわかるように、NACを添加した骨セメントでは、未処理のコントロールよりも骨形成活性が著しく増進された(図7)。
【0074】
実施例2:解毒されさらに骨伝導性を有するセメントの考察
方法
骨セメントの調製
未処理のコントロール骨セメントは、推奨される割合の粉末と液体(0.34gの粉末および173.15μlの液体、Endurance MV、Depuy、Orthopaedics、ワルシャワ、インディアナ州)を10秒間12ウェル培養プレートで混ぜ、さらに手動および振動により表面を平らにして調製した。実験用骨セメントを二通りで調製した:N−アセチルシステイン(NAC)で処理された骨セメントとNACを添加した骨セメント。NACで処理した骨セメントは、未処理のコントロールと同じように調製されたが、培養液に5mMNACを含有した。NACを添加した骨セメントは、0.34gの粉末と、173.15μlの液体と5mMNACを混ぜて調製した。
【0075】
骨芽細胞培養
8週齢のオスのスプラーグドーリーラットの大腿骨から分離された骨髄細胞は、15%ウシ胎児血清、50μg/mgアスコルビン酸、10−8Mデキサメタゾン、10mM Na−β−グリセロリン酸、および10,000ユニット/mlのペニシリンG溶液、10,000mg/mlのストレプトマイシンサルフェートおよび25mg/mlのアンホテリシンBを含有する抗生物質−抗真菌物質溶液を添加したアルファー改変イーグル培地の中に置かれた。細胞は、95%空気、5%COの加湿された雰囲気で、37℃において培養された。80%の集密度において、細胞は、0.25%トリプシン−1mM EDTA−4Naを使って剥離し、そして、セルカルチャーグレードのポリスチレンディッシュ、骨セメント、NAC処理された骨セメント、もしくはNACを添加した骨セメントのいずれかに細胞を4x10セル/cmの密度で添加した。培養液は、3日おきに新しくした。
【0076】
増殖アッセイ
接種から3日および6日後、細胞をPBSで2回丁寧に洗浄し、300mlの0.25%トリプシン−1mM EDTA−4Na中の0.1%コラゲナーゼで37℃において15分間処理した。剥離された細胞の数をカウントするために、血球計数機を使用した。選択された基板は、走査型電子顕微鏡を使用して、残っている細胞がないことを確認した。それぞれのコントロール骨セメントおよびNACを添加した骨セメントのそれぞれの時点において、3つの個別の培養物が用意された。
【0077】
遺伝子発現解析
骨に関連する遺伝子の発現は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使って解析した。培養液中のトータルRNAは、トリゾル(インビトロジェン社、カールズバッド、カルフォルニア州)および精製コラム(RNeasy、キアゲン社、バレンシア、カルフォルニア州)を使って抽出した。DNaseI処理の後、0.5μgのトータルRNAの逆転写は、オリゴ(dT)プライマー(クロンテック社、カールズバッド、カルフォルニア州)の存在下でMMLV逆転写酵素(クロンテック社、カールズバッド、カルフォルニア州)を使って行った。PCR反応は、アルファー−IタイプIコラーゲン(collagen I)、オステオポンチン、およびオステオカルシンmRNAを検知するためにTaqDNAポリメラーゼ(EXTaq、タカラバイオ社、マディソン、WN)を使って行った。プライマー配列およびPCR条件は前述した。生成物は、エチジウムブロマイド染色した1.5%アガロースゲルで可視化した。バンドの強度は、紫外線化で定量化され、数値は、GAPDHmRNAと比較して基準化した。
【0078】
アルカリホスフェターゼ(ALP)活性
培養7日目の骨芽細胞をハンクス溶液で2回洗浄し、0.9mMのナフトールAS−MXリン酸と1.8mMのfast red TRを含んだ120mMのトリス緩衝剤と共に37℃において30分培養した。{(染色した面積/培養器の全面積)x100}(%)で定義されるALP陽性面積の染色された画像は、デジタル画像解析システム(Image Pro−plus、Media Cybernetics社、メリーランド州)を用いて解析した。それぞれの実験グループにおいて、3つの別々の培養物を評価した。
【0079】
Von Kassa染色
骨セメントの種々の条件における骨芽細胞のミネラル化能力を判断するために、Von Kassa染色を使用した。21日目の培養において細胞は、50%エタノール/18%ホルムアルデヒド溶液に30分固定した。その後、細胞は、紫外線下で30分間5%硝酸銀と共に培養した。最後に、細胞を、ddHOで2回洗浄し、5%チオ硫酸ナトリウム溶液と共に2から5分培養した。{(染色した面積/培養器の全面積)x100}(%)で定義されるミネラル化した団塊は、デジタル画像解析システム(Image Pro−plus、Media Cybernetics社、メリーランド州)を用いて計測した。それぞれの実験グループにおいて、3つの別々の培養物を評価した。
【0080】
アポトーシスの検出
骨芽細胞の生存率は、アポトーシスのフローサイトメトリー検出(アネクシンV−FITCキット)により評価した。この方法は、アネクシンVのホスファチジルセリン(PS)への結合特性と、DNAのヨウ化プロピジウム(PI)への相互作用能力に基づいている。骨セメントもしくはNACを添加した骨セメントで24時間培養した骨芽細胞の細胞生存率をテストした。
【0081】
骨セメントの機械的テストのための実験プロトコル
未処理のコントロール骨セメントおよびNACを添加した骨セメントの機械的特性は、3点曲げ試験から得られる曲げ強度および弾性係数と、マイクロブリネル試験から得られる硬さと、さらにチタン棒の生体力学的なプッシュアウト試験から得られる骨セメントおよびチタン間のせん断強度(例えば、Ogawa et al., J Dent Res 79:1857−63(2003)参照)とで評価した。
【0082】
A.3点曲げ試験
3点曲げ試験(曲げ強度)は、長方形の骨セメント試験片を、クロスヘッド速度1mm/分で実験機(インストロン実験機オートグラフ AGF−500D、島津製作所、日本)を用いて室温で行った。骨セメントは、前述の製造者の指示による割合で10秒間混ぜ、そして予め形成された長方形のステンレススティール成形(2mmx2mmx25mm)内に入れられた。試験片を37℃において24時間培養したあと、樹脂試験片は、成形から外され、#1000の研磨紙を使って磨いた。試験片の寸法の計測を行った。曲げ強度(D)および弾性係数(E)は、サポートの間の距離(l=20mm)と、試験片に作用する最大の負荷(L)と、試験片の幅(w)および深さ(t)と、最初の荷重変位曲線の傾き(S)とを使ってそれぞれ式D=3xLl/2wtおよびE=3Sl/4x3wtで表された。
【0083】
B.硬度試験
円柱状の試験片に、ミクロブリネル硬度試験機(富士試験機製作所、東京、日本)を使って、ミクロブリネル硬度試験を行った。骨セメントは10秒間混ぜられ、予め形成されたステインレスシリンダー成形(高さ10mm、直径8.0mm)に入れられた。試験片は、37℃において24時間重合させた。試験片の表面に、一定の負荷245Nを30秒間加えた。試験に加えられた負荷(L=245N)と、負荷を掛けるためのスティール製の球体の直径(D=2.5mm)と、30秒後の凹みの深さ(T)とを使って、ミクロブリネル硬度の数値は、式H=L/(9.8πDT)により決定した。
【0084】
C.プッシュアウト試験
プッシュアウト試験は、チタン−骨セメント境界面の強度を評価するために行われた(例えば、Ogawa T et al., J Dent Res 79:1857−63(2000)参照)。円柱状のチタン棒(直径1mmで長さ2mm)が、加熱硬化した硬いメチルメタクリレート樹脂製のアクリルブロックに入れられた。アクリルブロックは、直径2mmで高さ2mmの孔が予め用意された。5mMNACを有しているもしくは有していない骨セメントは、製造者により指示された粉末および液体を混ぜ、調製された骨セメントを塗布した移植片は、移植片の最上表面レベルを持つ孔に入れられて、樹脂ブロックの最上表面を流す。骨セメントは37℃において24時間重合した。2000Nのロードセルと押出ロッド(直径=0.8mm)を装備した試験機(インストロン5544 電子―機械試験システム、インストロン社、カントン、マサチューセッツ州)を使って、1mm/分のクロスヘッドスピードで移植片を垂直に下に乗せた。チタン−骨セメントのせん断強度は、荷重変位曲線のピークを計測して判断した。
【0085】
D.統計解析
グループ間のALPおよびVon Kassa染色を評価するために一元配置分散分析(One way ANOVA)を使用し、適切であれば、Bonferroni多重比較テストを使用した。未処理のコントロール骨セメントとNACを添加した骨セメントとの機械的差異を検定するためにt−検定(t−test)を使用した;0.05以下を統計的に有意とした。
【0086】
結果
NACによる骨芽細胞の救出
接種後24時間経過した骨芽細胞の生存率は、NACを添加した骨セメントにおいて76%で、未処理のコントロール骨セメントにおいて56%であることがフローサイトメトリー分析で明らかになった。これは、骨セメントによる細胞死をNACの添加が防いだことを示している(図8)。未処理のコントロール骨セメントと比較して、NACを添加した骨セメントにおいて、アポトーシス細胞および壊死細胞のパーセンテージは、おおよそ50%減少した。
【0087】
NACによる骨芽細胞増殖の回復
NACを添加した骨セメント上の骨芽細胞の密度は、コントロール骨セメントと比較して、3日目および6日目の培養の双方において、10から25倍大きかった(図9)。
【0088】
NACを添加した骨セメント上の骨芽細胞の骨形成形質の回復
未処理のコントロール骨セメントで14日間培養した骨芽細胞は、アルカリホスフェターゼ(ALP)陽性染色をほとんど示さなかった(図10A)。対照的に、NACを添加した骨セメント上の培養の広い範囲が、ポリスチレン培養のとほとんど同じであるが、ALP陽性であった。図10Aにおいて、上段のパネルは、ポリスチレン、未処理コントロール、もしくはNACを添加した骨セメントのいずれかで培養した骨芽細胞のALP染色の図を示す。培養面積に対するALP陽性面積のパーセンテージは、デジタル画像分析機を使って計測した。データは、平均値±SD(n=3)で示す(*はコントロールとNACを添加した骨セメント培養の間で統計的に有意、p<0.0001)。
【0089】
未処理のコントロール骨セメントの21日目の骨芽細胞培養は、Von Kassa陽性ミネラル化団塊をほとんど示さなかったが、NACを添加した骨セメントの培養は、ポリスチレンで培養されたものと同じ程度のVon Kassa陽性面積を示した(図10B)。図10Bにおいて、上段のパネルは、ポリスチレン、未処理コントロール、もしくはNACを添加した骨セメントのいずれかで培養した細胞のVon Kassa染色の図を示す。培養面積に対するVon Kassa陽性面積のパーセンテージは、デジタル画像分析機を使って計測した。データは、平均値±SD(n=3)で示す(*はコントロールとNACを添加した骨セメント培養の間で統計的に有意、p<0.0001)。骨セメントにNACを添加すると、骨セメントに誘導される骨形成形質の完全な抑制を通常のレベルまで完全に回復させることを結果は示している。
【0090】
NACを添加した骨セメントの骨芽細胞遺伝子の発現の回復
コントロール骨セメントにおけるコラーゲンIの発現は著しく抑制されていた(図11Aから11B)。さらに、オステオポンチンおよびオステオカルシンなどの後期の骨芽細胞のマーカー遺伝子の発現は、コントロール骨セメントにおいては完全に抑制されていた。このような骨芽細胞遺伝子の抑制は、NACを添加した骨セメントにおいてポリスチレン培養と同じレベルまで回復しもしくはそれよりも高いレベルまで増進されていた。
【0091】
NAC添加後の骨セメントの機械的特性の維持
NACを添加した骨セメントもしくはしない骨セメントの曲げ強度、弾性係数、もしくはミクロブリネル表面硬度には違いはなかった(図12AからC)。また、NACを添加しても、チタン棒および骨セメント間のせん断強度に影響はなかった(図12D)。図12AからDは、二種類の骨セメントにおいてテストされたどの固有の生体力学的パラメータもしくはチタン−骨セメントせん断強度にも著しい違いはなかったことを示している。
【0092】
本発明の特定の実施形態を示し、さらに説明してきたが、この分野の通常の知識を有する者にとっては、本発明の範囲をより広い範囲で逸脱せずに変更や修正を加えることができるのは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にこのような全ての変更や修正を本発明の真の思想と範囲で、含包する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨芽細胞の分化を増進するのに効果的な量の骨芽細胞増進分子を含有する骨芽細胞増進組成物であって、骨もしくは軟骨の傷の治癒、修復、形成、もしくは再生に有効な組成物。
【請求項2】
請求項1の骨芽細胞増進組成物であって、前記量が、約1ng/Lから約100g/Lである組成物。
【請求項3】
請求項1の組成物であって、前記増進分子がN−アセチルシステイン(NAC)である組成物。
【請求項4】
請求項1の組成物であって、前記増進分子が、抗酸化アミノ酸、グルタチオンペルオキシダーゼ、ビタミン、ベータカロチン、フラボノイド、ユビキノン、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)、スーパーオキサイドジスムターゼの模倣体(SODm)もしくはこれらの組み合わせから選択される抗酸化物質である組成物。
【請求項5】
請求項1の組成物であって、前記増進物質が、システイン、システイン誘導体、グルタチオン、グルタチオン誘導体、もしくはこれらの組み合わせから選択される抗酸化物質である組成物。
【請求項6】
請求項1の組成物であって、メタクリレートもしくはアクリレート系のポリマーもしくはプレポリマーをさらに含有する組成物。
【請求項7】
請求項2の組成物であって、メチルメタクリレートもしくはメチルアクリレートをさらに含有する組成物。
【請求項8】
請求項1の組成物であって、生分解性ポリマーをさらに含有する組成物。
【請求項9】
請求項1の組成物であって、非分解性ポリマーをさらに含有する組成物。
【請求項10】
請求項8の組成物であって、前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)、もしくはラクトンのポリマーもしくはコポリマーである組成物。
【請求項11】
請求項1の組成物であって、生理活性剤をさらに含有している組成物。
【請求項12】
請求項11の組成物であって、前記生理活性剤が、接着分子、骨成長因子、トランスフォーミング成長因子(TGF)、転写因子、繊維芽細胞成長因子(FGF)、インスリン樣成長因子(IGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、ホルモン、抗炎症剤、リン酸カルシウム、ビタミン、骨形成細胞、骨芽細胞、もしくはこれらの組み合わせから選択される組成物。
【請求項13】
請求項11の組成物であって、前記生理活性剤が、コラーゲン、骨マトリクス、腱マトリクス、靱帯マトリクスもしくはこれらの組み合わせから選択される組成物。
【請求項14】
請求項12の組成物であって、前記リン酸カルシウムが、ヒドロキシアパタイトもしくはリン酸トリカルシウムである組成物。
【請求項15】
請求項12の組成物であって、前記ビタミンがビタミンDである組成物。
【請求項16】
請求項11の組成物であって、前記接着分子が、RGDペプチド、環状RGDペプチド、RGDペプチドの模倣体、環状RGDペプチドの模倣体、血管細胞接着分子もしくはそれらの組み合わせから選択される組成物。
【請求項17】
請求項12の組成物であって、前記骨成長因子が、骨形成タンパク質(BMP)である組成物。
【請求項18】
請求項17の組成物であって、前記BMPが、BMP2、BMP4、もしくはBMP7である組成物。
【請求項19】
請求項12の組成物であって、前記繊維芽細胞成長因子(FGF)がアルファーFGFもしくはベータFGFである組成物。
【請求項20】
請求項12の組成物であって、前記抗炎症剤が、ステロイド性もしくは非ステロイド性の抗炎症剤、グルココルチコイド、もしくはこれらの組み合わせから選択される組成物。
【請求項21】
請求項12の組成物であって、前記抗炎症剤が、デキサメタゾン、ベータメタゾン、コーチゾンもしくはそれらの組み合わせから選択される組成物。
【請求項22】
請求項12の組成物であって、前記転写因子が、Runx2/cbfa1である組成物。
【請求項23】
請求項1の組成物であって、薬理学的に許容できるキャリアーをさらに含有する組成物。
【請求項24】
請求項1の組成物であって、骨、軟骨もしくは脊椎用のセメントもしくは足場剤である組成物。
【請求項25】
請求項4の組成物であって、骨、軟骨もしくは脊椎用のセメントもしくは足場剤である組成物。
【請求項26】
請求項1の組成物であって、骨、軟骨もしくは脊椎用のセメントもしくは足場剤である組成物。
【請求項27】
請求項2の組成物であって、骨、軟骨もしくは脊椎用のセメントもしくは足場剤である組成物。
【請求項28】
請求項1の組成物であって、骨移植片代替物、コラーゲンゲル、コラーゲンスポンジ、コラーゲン膜、もしくは骨セメントから選択される組成物。
【請求項29】
請求項1の組成物であって、金属もしくは非金属の骨内インプラントのコーティングに配合される組成物。
【請求項30】
請求項1の組成物であって、顎もしくは頭蓋顔面付近の、傷の治癒、修復、形成、および再生のための配合物に配合される組成物。
【請求項31】
請求項1の組成物であって、骨もしくは軟骨の代替物である組成物。
【請求項32】
骨、軟骨、もしくは脊椎に関連する症状を治療、予防、もしくは向上する方法であって、請求項1から31に記載の組成物のいずれかをヒトに投与する方法。
【請求項33】
請求項32の方法であって、前記骨に関連する症状が、大腿骨頚部骨折、頸部骨折および手首の骨折、ガンもしくは怪我由来の欠損、病気に関連する骨の喪失、もしくは、骨組織の安定化もしくは固定および再構築のために金属もしくは非金属の移植片の設置が必要とされる症状から選択される方法。
【請求項34】
請求項32の方法であって、前記軟骨に関連する症状が、ガンもしくは怪我に起因する欠損、軟骨の質の低下、リュウマチもしくは穿孔、軟骨のずれおよび軟骨組織のその他の退行性変化、難治性の関節の傷の治癒もしくは時間のかかる傷の治癒、および金属もしくは非金属の移植片を安定化もしくは固定および再構築のために設置する必要のある症状から選択される方法。
【請求項35】
請求項32の方法であって、前記脊椎に関連する症状が、脊椎骨折/障害もしくは脊椎椎間板のずれ、脊椎組織の骨折もしくは退行性変化、骨およびその他の組織欠損、ガン、怪我、全身性代謝、感染症、加齢、脊椎組織の治療および再構築処理などから引き起こされる退縮および退行性変化から選択される方法。
【請求項36】
請求項32の方法であって、病気に関連する骨の喪失が、抜歯後の骨の喪失および歯周病に関連する骨の喪失、骨の質の低下、リュウマチ、骨溶解もしくは退行性変化もしくは骨組織の治癒、難治性の骨の治癒もしくは時間のかかる骨の治癒、骨の再吸収を伴う骨の治癒から選択される方法。
【請求項37】
請求項36の方法であって、前記骨溶解もしくは退行性変化および骨組織の治癒は、顎の骨の融解もしくは退行性変化および治癒である方法。
【請求項38】
請求項32の方法であって、投与は、移植、直接注入、金属もしくは非金属の人工移植片にコーティングする、もしくは移植片の周りに置くことにより投与することを含む方法。
【請求項39】
請求項32の方法であって、前記移植片は、金属もしくは非金属の移植片である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−544411(P2009−544411A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521838(P2009−521838)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/016825
【国際公開番号】WO2008/013900
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(508085729)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (6)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA
【住所又は居所原語表記】1111 Franklin Street, 12th Floor, Oakland, CA, 94607−5200, US
【Fターム(参考)】