説明

骨関節炎を処置するための組成物および方法

本発明は、対象において異常な状態を処置するための組成物および方法を提供し、その際、異常な状態はその対象の筋骨格関節に影響を及ぼす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、動物において異常な関節状態を処置するための組成物および方法に関するものであり、その際、異常な関節状態は動物の筋骨格関節に関係する。特に、本発明は異常な骨関節炎、リウマチ性関節炎および局所関節炎症を含む異常な筋骨格関節状態の処置、ならびにそのような異常な筋骨格関節状態に関連する症状の軽減に関する。本発明は、動物に差次発現する遺伝子、たとえば関節炎ではない動物と比較して関節炎の動物に差次発現する遺伝子を、本発明組成物の投与により調節することをも包含する。本発明は、それに関係する、イヌおよびネコを含む愛玩動物における新規バイオマーカーの同定、診断方法、組成物およびキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 遺伝子は動物の発達に際して役割を果たすこと、また遺伝子発現の調節は動物の健康状態および健全性に影響を及ぼすある疾患または状態の発症に際して重要な役割を果たすことは、科学分野で一般に受け入れられている。また、遺伝子の差次発現がそのような疾患および状態の発症における一因であり、遺伝子発現パターンの評価はそのような疾患および状態の発症および制御を分子レベルで理解するためにきわめて重要なものとして広く認識されるようになった。遺伝子およびそれらと疾患の関係の理解を進めるために、差次遺伝子発現を研究するための多数の方法が開発された;たとえばDNAマイクロアレイ、発現遺伝子タグ(expressed tag sequencing(EST))、遺伝子発現の一連の解析(serial analysis of gene expression(SAGE))、mRNAに関するサブトラクティブハイブリダイゼーション、サブトラクティブクローニングおよびディファレンシャルディスプレー(DD)、RNA−arbitrarily primed PCR(RAP−PCR)、Representational Difference Analysis(RDA)、二次元ゲル電気泳動、質量分析、ならびにタンパク質マイクロアレイベースのタンパク質に対する抗体結合。
【0003】
[0003] 哺乳動物の身体の実質的にすべての関節に軟骨がある。軟骨は身体の支持構造であり、線維状タンパク質(コラーゲン)の厚い束から構成され、これらが織成されて関節表面を形成している。プロテオグリカンは、コラーゲンが占めていない細胞外間隙を充填する。そのようなプロテオグリカンはタンパク質と糖の組合わせから構成される。各プロテオグリカンサブユニットは、グリコサミノグリカン(GAG)として知られる修飾された糖の長い鎖からなるタンパク質コアを含む。グルコサミンはGAGの最も重要な1成分であり、かつ前駆物質である。身体によるコラーゲンの合成は、GAG合成に依存する。軟骨中の軟骨細胞はグルコサミンを利用してN−アセチルグルコサミン(NAG)およびグルクロン酸を生成し、これらは身体によりヒアルロンの形成に利用される。ヒアルロンは動物の身体の関節に潤滑性を与える。
【0004】
[0004] 軟骨は動物の身体において、関節内における柔軟性、加圧下での圧縮性、クッション性、引張り強さ、動作の範囲、および動きの滑らかさ付与するために重要である。軟骨を含む関節の例には、手指および足指、首、膝、股関節、肩などが含まれる。動物は軟骨が分解する多くの状態に罹患する可能性があり、それにより関節の柔軟性、圧縮性の低下が生じ、その結果しばしば関節および/または関節周囲組織の全体的炎症、ならびに場合により骨関節炎およびリウマチ性関節炎などの状態が発症する。その際、そのような動物は関節機能が著しく損なわれ、かつ痛みを感じる。
【0005】
[0005] 関節炎は筋骨格障害である。骨関節炎は、動物およびヒトにおいて最も一般的なタイプの関節炎である。骨関節炎はヒトおよび愛玩動物に一般的に起きる変性性の関節疾患であり、この疾患は関節軟骨の変性性変化を特徴とし、プロテオグリカンおよびコラーゲンの損失ならびに軟骨周縁における新生骨の増殖を伴う。これらの変化には、滑膜内の変動性炎症反応が付随する。関節表面のヒアリン軟骨の主な欠損は、マトリックスのグリコサミノグリカンとコラーゲン線維の含量比の変化である。関節の軟骨直下にある骨は軟骨下骨と呼ばれる。これらの軟骨下骨は、それを覆う、それ自体は血管、神経またはリンパ組織をもたない軟骨に栄養を供給する。
【0006】
[0006] 自然な軟骨侵食は加齢に伴って起きるが、関節に過度の負荷を与えることによっても生じる可能性があり、肥満症、遺伝、外傷、循環低下、骨配列不良および反復ストレスが関節の状態を増悪させる可能性がある。フリーラジカル損傷は骨関節炎の発症に関与する可能性があると推定されている。
【0007】
[0007] 軟骨細胞として知られるヒアリン軟骨細胞は周囲の細胞外マトリックスを産生および維持する。軟骨マトリックスの恒常性の維持は、マトリックスタンパク質、たとえばII型コラーゲンおよびアグリカンの異化作用に依存する。これらのタンパク質は消化されて、軟骨細胞により合成される新たなタンパク質で置き換えられる。異化作用は、一部はタンパク質分解酵素、たとえばマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびアグリカナーゼなどのタンパク質により行われる。正常な動物では合成と分解の間にバランスが達成され、これによって健康な軟骨が維持される。このバランスが分解の方へシフトすると、続いて異常発生が起き、結果的に関節の炎症および骨関節炎が生じる可能性がある。
【0008】
[0008] 軟骨の恒常状態は、軟骨細胞間の細胞間シグナル伝達を介した調節に依存する。したがって、軟骨細胞はシグナル伝達分子を産生し、かつ応答する。そのようなシグナル伝達分子には、細胞の代謝に直接作用することができるサイトカインおよび増殖因子を含めることができる。細胞間シグナル伝達は複雑であり、完全には解明されていない。TGF−ベータなどの増殖因子分子が関係しており、それらはII型コラーゲンの産生を促進しかつコラーゲン開裂を阻害すると考えられる。サイトカイン、たとえばTNF−アルファおよびIL−1−ベータも役割を果たす。これらのサイトカインは、軟骨を分解することができるプロテアーゼの産生を促進すると考えられる。細胞間シグナル伝達の結果として他の多数の複雑な相互作用が起きていると考えられる。
【0009】
[0009] 細胞間シグナル伝達プロセスの複雑さのため、起きている相互作用を遺伝子レベルで理解することがきわめて望ましい。前関節炎または関節炎状態における調節異常な遺伝子の検出は、異常な筋骨格関節障害の生態を特にゲノム範囲で理解するのに役立つ。関係する生物学的経路を遺伝子発現プロファイリングよってより詳細に理解することは、保健医薬、栄養医薬(nutraceutical)および栄養(食事)による疾患経路への介入法を開発するのに役立つであろう。これらの方法は、基礎疾患である異常な筋骨格関節状態の予防、早期検出および治療、ならびにそのような異常な筋骨格関節障害、特に骨関節炎の予後のモニタリングを可能にするであろう。そのような障害の病理に関係する調節異常な遺伝子は、適切な医薬、栄養医薬および栄養(食事)による介入法の選択を最適化するための重要なバイオマーカーとして利用できる。
【0010】
[0010] さらに、骨関節炎の経過を反転させる薬物を同定すべきである。現在使用できる療法薬は、炎症を軽減し、および/または痛みを緩和するために用いられる。現在の療法は、骨関節炎などの筋骨格関節障害を処置するために非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)として知られるクラスの薬物を用いるが、これらの療法は特に消化器障害を含めたさまざまな欠点をもち、またそれらは軟骨形成を阻害する可能性もある。
【0011】
[0011] 大型犬はそれらの加齢に伴って関節炎を発症する場合がある。大型品種犬はそれらの大きな体格および/または遺伝的素因のため関節炎を発症しやすい。大型犬が関節炎その他の軟骨状態のリスクをもつ唯一の動物ではない。関節炎その他の変性性関節疾患はイヌに普通に認められており、そのような状態がネコに一般にみられることが示されている。ネコ類の骨関節炎は、主に10歳以上の高齢のネコ類が罹患する疾患である。軟骨を冒す異常な筋骨格関節障害を発症するリスクをもつ動物には、哺乳動物、たとえばイヌ類、ネコ類、ウマ類、ヤギ類、ヒツジ類、ブタ類、ウシ類、ヒトおよび霊長類の種、ならびにシチメンチョウおよびニワトリを含めた鳥類が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
[0012] 食事は代謝に根本的に関係するので、疾患の原因および進行において重要な役割を果たす。疾患調節遺伝子は、栄養因子によってある程度調節される。したがって、食物中に栄養素として存在する食事成分は、遺伝子発現を転写および翻訳のレベルで、ならびに特定の翻訳後修飾において調節する可能性がある。それらは分解および酵素活性にも関係する可能性がある。栄養素レベルは代謝経路の平衡に影響を及ぼす可能性がある。代謝経路はしばしば複雑であり、異なる代謝経路間で多くの重複および相互作用を伴う場合がある。1種類の酵素、増殖因子、サイトカインまたは代謝産物の濃度の変化が、疾患関連の生理に関係する多数の代謝経路に影響を及ぼす可能性がある。ホルモンおよび他の細胞シグナル伝達分子が食事により調節されることは十分に理解されており、疾患の発症および進行に関与することも知られている。
【0013】
[0013] 同じ疾患表現型が異なる代謝経路の障害から生じる場合があり、かつ各動物の遺伝子構成は異なっており、これらにより栄養因子および環境因子を含めた同じ因子に対する応答に変動が生じる。遺伝因子、栄養因子および環境因子の相互関係は、動物の疾患の病因、予防、治療および進行を理解する際に重要である。種々の疾患および障害に関連する栄養素に対する遺伝子発現応答を見いだすことにより、異常な筋骨格関節障害などの疾患に対して罹病性である動物のための食事を処方することができ、さらに基礎疾患の診断、治療および予後モニタリングが可能になる。
【0014】
[0014] 栄養成分は、mRNA産生(転写)、mRNAプロセシング、タンパク質産生(翻訳)および翻訳後修飾を含めた遺伝子発現に影響を及ぼし、これにより動物の代謝状態全体に影響を及ぼす。したがって、疾患の早期検出および疾患進行のモニタリングのためのバイオマーカーの利用、ならびに/あるいは遺伝子型に基づく食事は、動物、特に愛玩動物の疾患の予防または治療および新規療法の開発を可能にするであろう。食事は、議論の余地なく、疾患に対する罹病性を含めた動物の表現型に影響を及ぼす最も重要な環境因子である。
【0015】
[0015] 遺伝子発現は、遺伝子機能の活性化因子および抑制因子により制御される不安定なプロセスにより調節されている可能性がある。栄養状態は、遺伝子転写速度に著しい変化を引き起こす可能性がある。多量栄養素、たとえばグルコース、脂肪酸およびアミノ酸、ならびに微量栄養素、たとえば鉄、亜鉛およびビタミンが、遺伝子発現を調節することができる。種々の生物活性食物成分、たとえばカロテノイド、フラボノイド、モノテルペンおよびフェノール系の酸は、遺伝子発現に影響を及ぼす転写因子として作用する可能性がある。これらの物質は遺伝子発現に直接的な作用をもつ傾向がある。他の状況では、腸内で細菌により発酵する食物繊維などの物質が短鎖脂肪酸などの栄養素の産生をもたらす可能性がある。そのような物質は、遺伝子発現の間接的な活性化因子または抑制因子として作用する可能性がある。
【0016】
[0016] 転写および翻訳における栄養素に関係した変化の同定は、本明細書に記載するタイプの実験で検出することができる。本明細書の実施例においてプロファイリングした遺伝子の広範なアレイからみて、遺伝子の発現および量の変化は本明細書に教示する方法で容易に検出される。したがって、食事および代謝による遺伝子発現シグネチャーは、本明細書の実施例に教示する技術を用いて容易に確認できる。本発明のバイオマーカーは、動物に差次発現するタンパク質および/または核酸である。バイオマーカーの発現は、タンパク質または核酸のレベルで、当業者に既知の多様な方法を用いて評価することができる。
【0017】
[0017] イヌ類およびネコ類のゲノムのスクリーニングに際し、これらの愛玩動物の食事の栄養成分に応答した遺伝子発現プロフィールについては現在までごく限られた研究が行われたにすぎない。癌の領域では、腫瘍のCG分析のためにイヌ類の遺伝子マイクロアレイを用いた研究が行われている。Thomas R. et al. A canine cancer gene microarray for CGH analysis tumors, Cyrogenet. Genome Res., 2003; 102: 254-260。他の研究が拡張型心筋症の分野で行われた。Oyayma, M. A. et al., Genomic expression patterns of cardiac tissue from dogs with dilated cardiomyopathy, Am. J. Vet. Res. 2005; 66: 1140-1155。現在のところ、骨関節炎に関するイヌ類のゲノムの研究はごく限られている。1研究において、MIG−6遺伝子が骨関節炎の高リスクグループのイヌにおいて増加することが見いだされ、この遺伝子がイヌの軟骨分解および軟骨生成に関与する可能性があるという仮説が立てられた。Mateescu, R.G. et al., Increased MIG-6 mRNA transcipts in osteoarthritic cartilage. Biochem. Biophy. Res. Commun. 2005; 332: 482-486。
【0018】
[0018] 本明細書に記載するように健康な動物集団を異常な筋骨格関節障害などの疾患を伴う集団と対比した研究は、これまで広範には実施されていない。イヌ類のゲノムに関して入手できるデータはほとんどなく、ネコ類のゲノムに関してはこれよりはるかに少ない。本明細書に含まれる遺伝子発現データにより、イヌおよびネコの軟骨分解に関連する遺伝子が同定される。そのような遺伝子発現データは、そのような遺伝子の発現を好ましい様式で調節することができる栄養組成物の同定を可能にする。これは、炎症に一般に関連する遺伝子に関しても当てはまる。ネコ類における同様なデータをさらに本明細書、図面、および本明細書中の実施例に示す。
【0019】
[0019] 本明細書および実施例に含まれる遺伝子発現データは、ここに記載する遺伝子発現プロフィールに基づく多様な望ましい発明を可能にする。これらのデータにより、栄養供給のバイオマーカーとしての遺伝子発現生成物を同定および定量し、基礎疾患である異常な筋骨格関節障害を予防、同定および治療することができる。本発明方法の実施の結果として誘導される遺伝子発現データにより、そのような異常な筋骨格関節障害の進行をモニターすることもできる。これらの発明はさらに、基礎疾患および炎症を処置するために、本明細書に示す知見に基づいて、そのような異常な筋骨格関節障害に罹患しやすい罹病性動物亜集団を同定し、そのような障害を予防または治療するのに最適な食事を同定し、かつ医薬、栄養医薬および栄養(食事)介入法を同定するための、遺伝子検査を含む。本発明は、そのような異常な筋骨格関節障害に罹病性であるかまたはそれらを伴う動物からの組織および血液試料を分析するための、早期疾患検出用バイオマーカー、標的療法薬、診断試薬およびキットをも含む。
【0020】
[0020] 動物、たとえば愛玩動物、たとえばネコおよびイヌのための食物を設計する際には、良好な栄養供給による動物の最適な健康およびウェルネスが重要な目標である。しかし、動物がその食物をおいしくないと知ったため、動物がその食物を食べることを拒絶もしくは拒否し、または動物によるその食物の摂取量が限られるならば、最も栄養のある動物用食物ですらほとんど役立たない。したがって本明細書中に述べる発明はさらに、そのような異常な筋骨格関節障害に罹病性であるかまたはそれらを伴う動物の健康およびウェルネスを増進できる栄養組成物を含む。したがって本発明には、愛玩動物が食べられる食物組成物であって、治療および予防効力をもち、かつ現在市販されている愛玩動物用食品より高い嗜好性をもつ組成物が包含される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Thomas R. et al. A canine cancer gene microarray for CGH analysis tumors, Cyrogenet. Genome Res., 2003; 102: 254-260
【非特許文献2】Oyayma, M. A. et al., Genomic expression patterns of cardiac tissue from dogs with dilated cardiomyopathy, Am. J. Vet. Res. 2005; 66: 1140-1155
【非特許文献3】Mateescu, R.G. et al., Increased MIG-6 mRNA transcipts in osteoarthritic cartilage. Biochem. Biophy. Res. Commun. 2005; 332: 482-486
【発明の概要】
【0022】
[0021] 本発明は、少なくとも1種類のオメガ−3脂肪酸、少なくとも1種類のグリコサミノグリカン、少なくとも1種類のアミノ糖、少なくとも1種類の抗酸化剤、およびカルニチンまたはアセチルカルニチンを含む組成物に関する。本発明は、動物、特に愛玩動物に投与するための栄養組成物、食事サプリメント、栄養医薬、およびおやつ(treat)を含むが、これらに限定されない。
【0023】
[0022] 本発明は、異常な筋骨格関節状態を伴う動物を処置する方法であって、その対象に少なくとも1種類の本発明組成物を投与することを含む方法にも関する。
[0023] 本発明はさらに、異常な筋骨格関節状態を伴う動物において発症を遅延させ、または動物の痛みを軽減する方法であって、その対象に少なくとも1種類の本発明組成物を投与することを含む方法に関する。
【0024】
[0024] 1態様において本発明は、少なくとも1種類のオメガ−3脂肪酸、少なくとも1種類のグリコサミノグリカン、少なくとも1種類のアミノ糖、少なくとも1種類の抗酸化剤、およびカルニチンまたはアセチルカルニチンを含む、イヌ用ペットフード組成物を包含する。
【0025】
[0025] 他の態様において本発明は、少なくとも1種類のオメガ−3脂肪酸、少なくとも1種類のグリコサミノグリカン、少なくとも1種類のアミノ糖、少なくとも1種類の抗酸化剤、およびカルニチンまたはアセチルカルニチンを含む、ネコ用ペットフード組成物を包含する。
【0026】
[0026] 他の態様は、その必要がある動物において、異常な筋骨格関節障害を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
[0027] さらに他の態様は、その必要がある動物において、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症からなる群から選択される異常な筋骨格関節障害を、本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0027】
[0028] 本発明のさらに他の態様は、その必要がある愛玩動物において、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症からなる群から選択される筋骨格関節障害を、本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0028】
[0029] 本発明の他の態様は、その必要があるイヌ類において、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症からなる群から選択される筋骨格関節障害を、本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0029】
[0030] 本発明の他の態様は、その必要があるネコ類において、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症からなる群から選択される筋骨格関節障害を、本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0030】
[0031] 本発明の他の態様は、その必要があるイヌ類において、骨関節炎を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
[0032] 本発明の他の態様は、その必要があるネコ類において、骨関節炎を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0031】
[0033] 本発明の他の態様は、その必要があるイヌ類において、リウマチ性関節炎を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
[0034] 本発明の他の態様は、その必要があるネコ類において、リウマチ性関節炎を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0032】
[0035] 本発明の他の態様は、その必要があるイヌ類において、関節の炎症を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
[0036] 本発明の他の態様は、その必要があるネコ類において、関節の炎症を本発明組成物により治療または予防する方法を包含する。
【0033】
[0037] 本発明の他の態様は、異常な筋骨格関節障害(たとえば骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症を含めることができる)を伴う動物においてそのような異常な筋骨格関節障害を伴わない動物と比較して差次発現する、1種類以上の遺伝子または遺伝子セグメントを包含する。
【0034】
[0038] 本発明の他の態様は、異常な筋骨格関節障害(たとえば骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症を含めることができる)を伴う動物においてそのような異常な筋骨格関節障害を伴わない動物と比較して差次発現する、2種類以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの組合わせを包含する。
【0035】
[0039] 本発明の他の態様は、異常な筋骨格関節障害(たとえば骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症を含めることができる)を伴う動物においてそのような異常な筋骨格関節障害を伴わない動物と比較して差次発現する遺伝子の発現を検出するのに適切な、2種類以上のポリヌクレオチドプローブまたはポリペプチドプローブの組成物を包含する。
【0036】
[0040] 本発明の他の態様は、異常な筋骨格関節障害(たとえば骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症を含めることができる)を伴う動物においてそのような異常な筋骨格関節障害を伴わない動物と比較して差次発現する1種類以上の遺伝子の差次発現を検出するための、方法および組成物を包含する。
【0037】
[0041] 本発明の他の態様は、異常な筋骨格関節障害(たとえば骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症を含めることができる)を伴う動物においてそのような異常な筋骨格関節障害を伴わない動物と比較して差次発現する1種類以上の遺伝子の発現プロフィールに対する被験物質の作用を測定するための方法であって、被験物質がそれらの動物においてそのような障害を調節するのに有用な可能性があるかどうかを判定するための被験物質のスクリーニング方法としての方法を包含する。
【0038】
[0042] 本発明の他の態様は、動物が異常な筋骨格関節障害(たとえば骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症を含めることができる)を発症する可能性がある予後を明確にするための方法、または動物がそのような筋骨格関節障害を伴うという診断法を開発する際の方法を包含する。
【0039】
[0043] 本発明のさらに他の観点は、本発明が、動物、特に愛玩動物における異常な筋骨格関節障害、特に骨関節炎の新規バイオマーカーの同定、およびインビボでのそのようなバイオマーカーの特徴的な遺伝子発現パターンに基づいてそのような動物における異常な筋骨格関節障害を検出する方法に関するということである。具体的には本発明は、身体試料、好ましくは血液試料において、対照発現レベルと比較した少なくとも1種類のバイオマーカーの差次発現を検出することを含み、その際、そのようなバイオマーカーの差次発現の検出により、異常な筋骨格関節障害、特に骨関節炎を伴う動物が特異的に同定される。したがってそのような方法は、正常な動物または対照動物からの細胞と比較して異常な筋骨格関節障害において差次発現する少なくとも1種類のバイオマーカーの検出に依存する。
【0040】
[0044] 異常な筋骨格関節障害、特に骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症状態に関係する種々のイヌ類バイオマーカーを調節する必要がある動物にバイオマーカーの調節に有効な量の本発明組成物を投与することによりそのバイオマーカーを調節することも本発明の態様である。異常な筋骨格関節障害に関係する調節可能なバイオマーカーの例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:アネキシンAl、カテプシンD、カテプシンF、カテプシンS、RELA、HMGBl、IL−lβ、TNFα、TNFβ、TLR−2、TLR−4、p38 MAPK、TIMP−1、TIMP−2、MMP−1、MMP−2、MMP−13、IL−15およびIL−17受容体、COL2A1、COL1A2、C0L3A1、COL4A1、MMP−13、TIMP−2、MMP−2、C2C、C1,2C、FLAP、PLA2、MAPKl、MAPK2ならびにアグリカン。
【0041】
[0045] 本発明のバイオマーカーは、異常な筋骨格関節障害、特に骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症状態を伴うかまたは発症する可能性のある動物に差次発現するタンパク質および/または核酸である。
【0042】
[0046] 本発明においてはさらに、変性性筋骨格関節疾患の身体的および形態的特徴を検出できる伝統的な診断法と組み合わせて本発明方法を使用できるものとする。たとえば骨関節炎の診断を裏付けるために、動物の血液試料から得た細胞における骨関節炎バイオマーカーに関する遺伝子の差次発現の解明を一般的な診断(たとえば放射線)技術と組み合わせることができる。
【0043】
[0047] さらに他の観点において、本発明は、本発明のバイオマーカーをコードする核酸またはそのフラグメントに特異的にハイブリダイズする1種類以上の核酸プローブを含む組成物に関する。
【0044】
[0048] 他の観点において、本発明は、本発明のバイオマーカーを発現する遺伝子によりコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む組成物に関する。
[0049] 本発明は、動物において異常な筋骨格関節障害を診断するためのキットであって、本発明のバイオマーカーの発現を検出するのに使用できる構成要素(本明細書に記載する組成物およびマイクロアレイが含まれるが、これらに限定されない)を含むキットにも関する。
【0045】
[0050] 他の観点において、本発明は動物において変性性筋骨格関節状態を治療または改善するそれらの能力を試験することができる生物活性食事成分または他の天然化合物(以下において“食事成分”または“成分”と呼ぶ)を同定するための下記を含む方法に関するものであることも本発明に含まれるものとする:(a)表2および/または表3に開示する1種類以上のバイオマーカーのRNAまたはタンパク質生成物を発現することができる細胞を、被験成分と接触させ;(b)被験成分と接触させた細胞において産生された該RNAおよび/または生成物の量を測定し;そして(c)被験成分と接触させた細胞内の該RNAおよび/またはタンパク質生成物の量を、被験成分と接触させなかった対応する対照細胞内に存在する同じRNAまたはタンパク質生成物の量と比較し;その際、対照における量と対比して該RNAまたはタンパク質生成物の量が変化した場合、その成分は異常な筋骨格関節障害、特に骨関節炎、リウマチ性関節炎、または局所関節炎症状態を治療または改善するそれらの能力について試験すべきものであると同定される。
【0046】
[0051] 本発明の他の観点は、動物において骨関節炎を診断および/または予後判定するための方法であり、その際、この方法は下記の段階を含む:少なくとも1つの組織試料または体液検体を動物から採取し;動物から採取したその少なくとも1つの試料または検体における表2および/または表3から選択される1種類以上のバイオマーカーの量を測定し、その際、バイオマーカーはポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物である。さらに他の態様は、そのような1種類以上のバイオマーカーがアネキシンA1、カテプシンD、カテプシンF、カテプシンS、RELA、HMGB1、IL−1β、TNFα、TNFβ、TLR−2、TLR−4、p38 MAPK、TIMP−1、TIMP−2、MMP−1、MMP−2、MMP−13、IL−15およびIL−17受容体からなる群から選択される、前記方法である。
【0047】
[0052] 本発明のさらに他の態様は、動物において骨関節炎を診断および/または予後判定するためのキット、特に動物において骨関節炎を診断および/または予後判定する方法を実施するためのキットであり、その際、この方法は下記の段階を含む:少なくとも1つの組織試料または体液検体を動物から採取し;動物から採取したその少なくとも1つの試料または検体における表2および/または表3から選択される1種類以上のバイオマーカーの量を測定し、その際、バイオマーカーはポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物でり、場合によりさらにバイオマーカーに連結した検出可能な作用剤を含む。
【0048】
[0053] 本発明のさらに他の態様は、動物において骨関節炎を診断および/または予後判定するための試薬、特に動物において骨関節炎を診断および/または予後判定する方法を実施するための試薬であり、その際、この方法は下記の段階を含む:少なくとも1つの組織試料または体液検体を動物から採取し;動物から採取したこの少なくとも1つの試料または検体における表2および/または表3から選択される1種類以上のバイオマーカーの量を測定し、その際、バイオマーカーはポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物であり、場合によりさらにバイオマーカーに連結した検出可能な作用剤を含む。
【0049】
[0054] 本発明の他の態様は、異常な筋骨格関節障害を診断および/または予後判定するためのバイオマーカーとしての、特に異常な筋骨格関節障害を診断および/または予後判定するキットの作製のための、表2および/または表3に同定した1種類以上のポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物の使用である。さらに他の態様は、そのような1種類以上のバイオマーカーが、アネキシンA1、カテプシンD、カテプシンF、カテプシンS、RELA、HMGB1、IL−1β、TNFα、TNFβ、TLR−2、TLR−4、p38 MAPK、TIMP−1、TIMP−2、MMP−1、MMP−2、MMP−13、IL−15およびIL−17受容体からなる群から選択されるキットである。さらに他の態様は、そのようなキットであって、試薬および装置がオリゴヌクレオチドマイクロアレイ、c−DNAマイクロアレイ、およびフォーカスト遺伝子チップ、またはその組合わせを含めたDNAマイクロアレイ分析材料を含むものである。
【0050】
[0055] 本発明の他の態様は、動物において骨関節炎を検出する方法であり、この方法は、その動物に由来する組織試料または体液検体を含む試料を用意し;試料または検体における表2および/または表3に同定したバイオマーカーであるポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物のレベルを検出し;そして試料または検体中のバイオマーカーのレベルを対照試料中のそれらのバイオマーカーのレベルと比較することを含み;その際、バイオマーカーの発現が対照動物の細胞における発現と比較して少なくとも1倍以上の遺伝子発現差をもつ。
【0051】
[0056] 本発明のさらに他の態様は、動物において骨関節炎を検出する方法であり、この方法は、前記方法の試料または検体を、前記バイオマーカーに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む第1プライマー、および前記バイオマーカーポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む第2プライマーと接触させ、増幅反応を実施し、そして試料または検体中のバイオマーカーポリヌクレオチドの増幅生成物を定量することを含む。
【0052】
[0057] 本発明の他の態様は、骨関節炎に罹患している動物に対する処置または栄養管理の経過の有効性を評価する方法であり、この方法は、(a)その動物に由来する組織試料または体液検体における表2および/または表3に同定したバイオマーカーであるポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物の第1レベルを、処置経過期間中の第1時点で測定し;(b)その動物に由来する試料または検体における該バイオマーカーの第2レベルを、処置経過期間中の第2時点で測定し;そして(c)第1時点および第2時点における該バイオマーカーの測定値を比較することを含み;その際、該バイオマーカーの発現が対照動物の細胞における発現と比較して少なくとも1倍以上の遺伝子発現差をもつ。
【0053】
[0058] 本発明の他の態様は、骨関節炎に罹患している動物に対する処置または栄養管理の経過の進行を評価する方法であり、この方法は、(a)その動物に由来する組織試料または体液検体における表2および/または表3に同定したバイオマーカーであるポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物の第1レベルを、処置経過期間中の第1時点で測定し;(b)その動物に由来する試料または検体における該バイオマーカーの第2レベルを、処置経期間中の第2時点で測定し;そして(c)第1および第2時点における該バイオマーカーの測定値を比較することを含み;その際、該バイオマーカーの発現が対照動物の細胞における発現と比較して少なくとも1倍以上の遺伝子発現差をもつ。
【0054】
[0059] 本発明の他の態様は、動物において骨関節炎を診断するための分子を同定する方法であり、この方法は、(1)その動物に由来する組織試料または体液検体であって、表2および/または表3に同定したバイオマーカーであるポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物を含む試料を用意し;(2)試料または検体を被験分子と接触させ;(3)被験分子が該バイオマーカーに結合するかまたはそれにより結合されるかを判定することを含み;その際、バイオマーカーの発現が対照動物の細胞における発現と比較して少なくとも1倍以上の発現差をもつ。
【0055】
[0060] 本発明のさらに他の態様は、動物において骨関節炎をスクリーニングするための、下記の段階を含む方法である:i)組織試料または体液検体を動物から採取し、試料における1種類以上のバイオマーカーであるポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物の遺伝子発現プロフィールを決定し;そしてii)試料における1種類以上のバイオマーカーの遺伝子発現プロフィールを、骨関節炎の症状を示す動物に由来する複数の基準試料における平均的な遺伝子発現レベルの1種類以上のバイオマーカーを含む陽性対照と比較して、試料と陽性対照の間の差次遺伝子発現を判定し、その際、試料と陽性対照において1種類以上のバイオマーカーの遺伝子発現プロフィール間に統計的に有意の差次遺伝子発現がない場合には骨関節炎の存在が指摘される;その際、バイオマーカーは表2および/または表3の1種類以上の遺伝子を含む。
【0056】
[0061] 本発明のさらに他の態様は、動物において骨関節炎をスクリーニングするための、下記の段階を含む方法である:i)組織試料または体液検体を動物から採取し、試料における1種類以上のバイオマーカーであるポリペプチド、タンパク質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物の遺伝子発現プロフィールを決定し;そしてii)試料における1種類以上のバイオマーカーの遺伝子発現プロフィールを、骨関節炎の症状を示さない対照動物に由来する複数の基準試料における平均的な遺伝子発現レベルの1種類以上のバイオマーカーを含む陽性対照と比較して、試料と対照動物の基準試料との間の差次遺伝子発現を判定し、その際、試料と陽性対照において1種類以上のバイオマーカーの遺伝子発現プロフィール間に1倍の差次遺伝子発現がある場合には骨関節炎の存在が指摘される;その際、バイオマーカーは表2および/または表3の1種類以上の遺伝子を含む。
【0057】
[0062] 本発明の他の態様は、ある作用剤が骨関節炎の1以上の症状を治療または予防する能力をスクリーニングするための、下記の段階を含むアッセイ法である:i)骨関節炎に典型的な差次遺伝子発現プロフィールを示す動物に由来する組織試料から核酸対照試料を単離し、この対照試料における遺伝子発現レベルを測定し;ii)この組織試料を作用剤に付与し;iii)組織試料を作用剤に付与した後の段階ii)の組織試料から核酸試験試料を単離し、この試験試料における遺伝子発現レベルを測定し;iv)対照試料と試験試料の間で遺伝子発現の生成、安定性、分解および/または活性化を比較して、試験試料と対照試料の間の差次遺伝子発現プロフィールを求め;その際、対照試料と比較した試験試料の差次遺伝子発現プロフィールは、その作用剤が骨関節炎の1以上の症状を治療または予防する能力の指標となる。
【0058】
[0063] 本発明のさらに他の態様は、インフォーマティブアレイ(informative array)に使用するために組織試料間で差次発現する複数の遺伝子を同定するための、下記を含む方法である:第1組織試料に由来する第1セットの不均一核酸プローブを用意し;第2組織試料に由来する第2セットの不均一核酸プローブを用意し;ある生物学的プロセスの遺伝子に由来する複数の配列を含む核酸アレイを第1セットのプローブとハイブリダイズさせ、そのアレイの配列について第1発現レベルを測定し;該アレイを第2セットのプローブとハイブリダイズさせ、そのアレイの配列について第2発現レベルを測定し;ハイブリダイズした配列について第1発現レベルを第2発現レベルと比較することにより、前記の生物学的プロセスにおいて差次発現する複数の遺伝子を同定し;そして同定した遺伝子のランキングを、下記からなる段階群から選択される段階により確立する:第1発現レベルと第2発現レベルの間の差の絶対値を判定し、より高い差をもつ遺伝子をより低い差をもつ遺伝子より高くランキングし;そして第1発現レベルと第2発現レベルの間の差の標準偏差を決定し、より高い標準偏差をもつ遺伝子をより低い標準偏差をもつ遺伝子より高くランキングする;その際、遺伝子は表2および/または表3の1種類以上の遺伝子を含む。
【0059】
[0064] 本発明の他の態様は、核酸アレイをインフォーマティブアレイに変換するための、下記を含む方法である:第1組織試料に由来する第1セットの不均一核酸プローブを用意し;第2組織試料に由来する異なる第2セットの不均一核酸プローブを用意し;複数の配列を含む核酸アレイを第1セットのプローブとハイブリダイズさせ、そのアレイの配列について第1発現レベルを測定し;このアレイを第2セットのプローブとハイブリダイズさせ、そのアレイの配列について第2発現レベルを測定し;同定した遺伝子に関する第1発現レベルと第2発現レベルの差に基づいて、下記からなる段階群から選択される段階により、前記の生物学的プロセスにおいて差次発現する複数の遺伝子を同定し:第1発現レベルと第2発現レベルの間の差の絶対値を判定し、より高い差をもつ遺伝子をより低い差をもつ遺伝子より高くランキングし;そして第1発現レベルと第2発現レベルの間の差の標準偏差を決定し、より高い標準偏差をもつ遺伝子をより低い標準偏差をもつ遺伝子より高くランキングする;そして同定した複数の差次発現遺伝子からインフォーマティブアレイに収容する遺伝子を選択する;その際、遺伝子は表2および/または表3に挙げた遺伝子から選択される。
【0060】
[0065] 本発明のさらに他の態様は、骨関節炎をスクリーニングするために遺伝子発現を分析するための、下記の段階を含むコンピューター処理方法である:i)組織試料のオリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、c−DNAマイクロアレイ分析およびフォーカスト遺伝子チップ分析、またはその組合わせからなる群から選択される核酸マイクロアレイ分析から得られる複数の遺伝子発現信号の測定値を含むデータを、コンピューターベースの分析に適切な形態にコンパイルし;そしてii)コンパイルしたデータを分析し、その際、分析は多数のアップレギュレートされたバイオマーカー遺伝子およびダウンレギュレートされたバイオマーカー遺伝子から遺伝子ネットワークを同定することを含み、その際、バイオマーカー遺伝子は骨関節炎の存在または重症度に関連すると同定された遺伝子であり、それらの遺伝子は表2および/または表3に挙げた遺伝子を含む。
【0061】
[0066] 本発明の他の態様は、薬物候補をインビトロでスクリーニングする方法であり、この方法は、選択した遺伝子の発現または選択した遺伝子発現生成物の活性をその候補が調節する能力を測定することを含み、その際、選択した遺伝子または遺伝子発現生成物は、表2および/または表3に挙げた遺伝子または遺伝子生成物からなる群から選択される骨関節炎のバイオマーカーまたは遺伝子発現生成物である。
【0062】
[0067] 本発明の他の態様は、栄養食物、食事サプリメント、栄養医薬またはおやつをインビトロでスクリーニングする方法であり、この方法は、選択した遺伝子の発現または選択した遺伝子発現生成物の活性をその候補が調節する能力を測定することを含み、その際、選択した遺伝子または遺伝子発現生成物は、表2および/または表3に挙げた遺伝子または遺伝子生成物からなる群から選択される骨関節炎のバイオマーカーまたは遺伝子発現生成物である。
【0063】
[0068] 本発明の他の態様は、薬物候補をインビトロでスクリーニングする方法であり、この方法は、a)少なくとも2つの生物試料を採集し;その際、第1試料は骨関節炎を模倣し、第2試料は健康な状態を模倣し;b)少なくとも1つの試料または試料混合物を1種類以上の被験薬物候補と接触させ;c)b)で得た生物試料または試料混合物において、表2および/または表3に挙げた遺伝子の遺伝子発現または遺伝子発現生成物のレベルまたは活性を測定し;そしてd)b)で得た生物試料または試料混合物において測定した遺伝子発現または遺伝子発現生成物のレベルまたは活性を調節することができる薬物候補を選択し、そのレベルを薬物候補と混合していない試料と比較する。
【0064】
[0069] 本発明の他の態様は、栄養食物、食事サプリメント、栄養医薬またはおやつをインビトロでスクリーニングする方法であり、この方法は、a)少なくとも2つの生物試料を採集し;その際、第1試料は骨関節炎を模倣し、第2試料は健康な状態を模倣し;b)少なくとも1つの試料または試料混合物を1種類以上の被験栄養食物、食事サプリメント、栄養医薬またはおやつと接触させ;c)b)で得た生物試料または試料混合物において、表2および/または表3に挙げた遺伝子の遺伝子発現または遺伝子発現生成物のレベルまたは活性を測定し;そしてd)b)で得た生物試料または試料混合物において測定した遺伝子発現または遺伝子発現生成物のレベルまたは活性を調節することができる栄養食物、食事サプリメント、栄養医薬またはおやつを選択し、そのレベルを栄養食物、食事サプリメント、栄養医薬またはおやつと混合していない試料と比較する。
【0065】
[0070] 本発明の他の態様は、骨関節炎に対する動物の感受性をインビトロで判定する方法であり、この方法は、表2および/または表3に挙げた遺伝子および遺伝子生成物からなる群から選択されるバイオマーカーの遺伝子発現または遺伝子発現生成物のレベルまたは活性を比較することを含む。
【0066】
[0071] 本発明の他の態様は、骨関節炎を処置するための組成物を調製する方法であり、この方法は、表2および/または表3に挙げた遺伝子および遺伝子生成物からなる群から選択される骨関節炎バイオマーカーの調節剤を含む組成物を調製することを含む。
【0067】
[0072] 本発明の他の態様は、骨関節炎に対する処置の有効性を判定するための、下記の段階を含む方法である:(a)骨関節炎に罹患しておりかつその処置を受けていた動物に由来する生物試料を用意し、(b)その試料における骨関節炎に関する1種類以上のバイオマーカーのレベルを測定して、その動物に関する発現プロフィールを作製し、そして(c)その発現プロフィールを下記のものと比較する:i)その被験動物から処置開始前に得た比較可能な発現プロフィール、および/またはii)その被験動物から処置のより早い時期に得た比較可能な発現プロフィール、および/またはiii)骨関節炎に罹患していない対象に特徴的な比較可能な発現プロフィール;その際、骨関節炎に関する1種類以上のバイオマーカーは表2および/または表3に示す1種類以上の遺伝子の発現生成物を含む。
【0068】
[0073] 本発明の他の態様は、骨関節炎の1以上の症状を治療または予防する能力について動物用食物組成物を選択するための、下記の段階を含む方法である:i)骨関節炎を伴う動物に由来する組織試料または生物体液検体の遺伝子発現プロフィールに関する第1データセットを含む少なくとも1つのデータベースにアクセスし;ii)生物活性食事成分が前記の遺伝子発現プロフィールに及ぼす影響に関する第2データセットを含む少なくとも1つのデータベースにアクセスし;そしてiii)第1および第2データセットを用いる第1アルゴリズムの使用により第1データセットおよび第2データセットを処理して、その動物のための食物組成物を選択および調製するのに有用な栄養処方を導き出し;そしてiv)その栄養処方をユーザー可読フォーマットに保存または使用する。
【0069】
[0074] 本発明のさらに他の目的、特徴および利点は当業者に容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】[0075] 図1は、イヌ用組成物j/dとして同定された少なくとも1種類の本発明組成物を与えた後のイヌにおける軟骨分解に関連する種々の遺伝子の遺伝子発現低下を示す。
【図2】[0076] 図2は、イヌ用組成物j/dとして同定された少なくとも1種類の本発明組成物を与えた後のイヌにおける軟骨分解に関連する種々の遺伝子の遺伝子発現低下を示す。
【図3】[0077] 図3は、関節炎ではないネコと比較した関節炎のネコの炎症に関連する種々の遺伝子の遺伝子発現増大を示す。
【図4】[0078] 図4は、組成物j/dとして同定された本発明組成物の1態様を示す。
【図5】[0079] 図5は、正常なイヌと比較した関節炎のイヌにおける遺伝子C2Cのアップレギュレーションを示す。
【図6】[0080] 図6は、関節炎ではない(非関節炎)イヌと比較した関節炎のイヌにおける遺伝子C1,2Cのアップレギュレーションを示す。
【図7】[0081] 図7は、イヌにおける関節炎ではない軟骨と対比して関節炎の軟骨に関連するタンパク質を発現する特定の遺伝子を示す。
【図8】[0082] 図8は、イヌにおける関節炎ではない軟骨と対比して関節炎の軟骨に関連するタンパク質を発現する特定の遺伝子を示す。
【図9】[0083] 図9は、イヌ用食物組成物j/dをそれぞれ14および18日間イヌに与えた後のEPAおよびDHAの血清レベルを示す。
【図10】[0084] 図10は、イヌ用食物組成物j/dを14日間イヌに与えた後の遺伝子C2Cの発現調節を示す。
【図11】[0085] 図11は、イヌ用食物組成物j/dを14日間イヌに与えた後の遺伝子C1,2Cの発現調節を示す。
【図12】[0086] 図12は、イヌ用食物組成物j/dを14日間イヌに与えた後の遺伝子CXT−IIの発現調節を示す。
【図13】[0087] 図13は、関節炎ではないネコと対比した関節炎のネコにおける遺伝子C2Cのアップレギュレーションを示す。
【図14】[0088] 図14は、関節炎ではないネコと対比した関節炎のネコにおける遺伝子CXT−IIのアップレギュレーションを示す。
【図15】[0089] 図15は、関節炎ではないネコと対比した関節炎のネコにおける軟骨修復に関連する種々の遺伝子のアップレギュレーションを示す。
【図16】[0090] 図16は、ネコ用組成物j/dを与えた後のネコの運動性の増大を示す。
【図17】[0091] 図17は、イヌ用食物組成物j/dを与えたイヌの慰安の改善の指標となる、イヌの夜間活動度低下を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
[0092] 本発明は動物における異常な状態を処置する組成物および方法に関連し、その際、異常な状態は動物の筋骨格関節に影響を及ぼす。本発明組成物は経口投与用として配合することができ、これには動物用飼料が含まれるが、これらに限定されない。動物用飼料は、その組成物をそのために配合したいずれかのタイプの動物に与えることができる。たとえば、飼料は愛玩動物用に配合することができ、これにはイヌまたはネコが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
[0093] 本明細書中で用いる異常な動物は、動物の筋骨格関節に影響を及ぼす状態に罹患していると診断された、もしくは罹患していると思われる動物、または本発明に含まれる遺伝子発現データからそのような状態に対する素因が示唆される動物である。たとえば、骨関節炎に罹患していると診断された、もしくは罹患していると思われるイヌまたはネコは、異常な動物とみなされる。
【0073】
[0094] 本発明組成物は、少なくとも1種類のオメガ−3脂肪酸を含む。オメガ−3脂肪酸は当技術分野で周知である。オメガ−3脂肪酸は動物の健康に必須の栄養素であり、動物はそのような脂肪酸を形成できないか、または十分な量では形成できない。そのような脂肪酸は、本発明により教示される組成物および方法において食事成分(単数または複数)として用いられる。本発明に含まれる栄養組成物の配合は、一部はそのような栄養組成物が本明細書に記載するタイプの筋骨格関節障害に罹患している動物の遺伝子発現に及ぼす影響に基づく。オメガ−3脂肪酸の例には、アルファ−リノール酸(ALA)、ドコサヘキサン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)が含まれるが、これらに限定されない。本発明の1態様において、組成物はALA、DHAまたはEPAのうち1種類を含む。他の態様において、組成物はALA、DHAまたはEPAのうち少なくとも2種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はALA、DHAまたはEPAの3種類すべてを含む。
【0074】
[0095] 本発明組成物は、少なくとも1種類のグリコサミノグリカン(GAG)をも含む。GAGは当技術分野で周知であり、反復二糖単位から構成される枝分かれしていない多糖類であるとみなされる。多糖類が枝分かれしておらずかつ反復二糖単位から構成される限り、その分子またはポリマーはGAGとみなされる。GAGの例には、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸およびヒアルロナンが含まれるが、これらに限定されない。本発明の1態様において、組成物はコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸またはヒアルロナンのうち少なくとも1種類を含む。本発明の他の態様において、組成物はコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸またはヒアルロナンのうち少なくとも2種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸またはヒアルロナンのうち少なくとも3種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸および/またはヒアルロナンのうち少なくとも4、5種類またはすべてを含む。
【0075】
[0096] 本発明組成物は、少なくとも1種類のアミノ糖をも含む。アミノ糖は当技術分野で十分に理解されており、簡単には、糖部分にヒドロキシル基のほかにアミン基が置換または存在するものを意味する。アミノ糖の例には、ガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸およびN−アセチルグルコサミンが含まれるが、これらに限定されない。本発明の1態様において、組成物はガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸またはN−アセチルグルコサミンのうち少なくとも1種類を含む。本発明の他の態様において、組成物はガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸またはN−アセチルグルコサミンのうち少なくとも2種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸またはN−アセチルグルコサミンのうち少なくとも3種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸またはN−アセチルグルコサミンの4種類すべてを含む。
【0076】
[0097] 本発明組成物は、少なくとも1種類の抗酸化剤をも含む。抗酸化剤は当技術分野で周知である。抗酸化剤の例には、ビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類および/またはトコトリエノール類)、グルタチオン、リポ酸、メラトニン、カルニチンおよびベータ−カロテンが含まれるが、これらに限定されない。本発明の1態様において、組成物はビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類および/またはトコトリエノール類)、グルタチオン、リポ酸、メラトニンまたはベータ−カロテンのうち少なくとも1種類を含む。本発明の他の態様において、組成物はビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類および/またはトコトリエノール類)、グルタチオン、リポ酸、メラトニンまたはベータ−カロテンのうち少なくとも2種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類および/またはトコトリエノール類)、グルタチオン、リポ酸、メラトニンまたはベータ−カロテンのうち少なくとも3種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類および/またはトコトリエノール類)、グルタチオン、リポ酸、メラトニンまたはベータ−カロテンのうち少なくとも4種類を含む。本発明のさらに他の態様において、組成物はビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類および/またはトコトリエノール類)、グルタチオン、リポ酸、メラトニンおよび/またはベータ−カロテンのうち少なくとも5種類またはそれ以上を含む。
【0077】
[0098] 本発明組成物はカルニチンまたはアセチルカルニチンをも含み、これらは抗酸化作用をもつ第四級アンモニウム化合物である。
[0099] 特定の態様において、本発明組成物はさらに少なくとも1種類の食物無機質および/または少なくとも1種類の天然アミノ酸を含む。食物無機質および天然アミノ酸の例は周知である。食物無機質の例には、カルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛およびバナジウムが含まれるが、これらに限定されない。1態様において、組成物はカルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛またはバナジウムのうち少なくとも1種類を含む。他の態様において、組成物はカルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛またはバナジウムのうち少なくとも2種類を含む。さらに他の態様において、組成物はカルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛またはバナジウムのうち少なくとも3種類を含む。さらに他の態様において、組成物はカルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛またはバナジウムのうち少なくとも4種類を含む。さらに他の態様において、組成物はカルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛またはバナジウムのうち少なくとも5種類またはそれ以上を含む。
【0078】
[00100] 天然アミノ酸は当技術分野で周知であり、タンパク質中にみられるアミノ酸である。特定の1態様において、組成物は必須アミノ酸を含み、その際、必須アミノ酸という用語は対象の種に関係する。たとえば、イヌおよびネコにとっての必須アミノ酸には、アルギニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、イソロイシン、トレオニン、ロイシン、トリプトファン、リジンおよびバリンが含まれる。タウリンもネコにおいては必須アミノ酸であるとみなすことができる。
【0079】
[00101] 1態様において、イヌ用食物組成物j/dは、一般に図4に示す組成をもち、コンドロイチン硫酸の形のグリコサミノグリカン、および塩酸グルコサミンの形のアミノ糖、ならびにカルニチンおよび少なくとも1種類の抗酸化剤を含有する。この組成物は追加の栄養素源、たとえば下記のものをも含有することができる:粉砕全粒トウモロコシ、チキン副産物ミール、亜麻仁、大豆ミルラン(Soybean Mill Run)、醸造米(Brewers Rice)、大豆ミール、豚脂(トコフェロールとクエン酸の混合物で保存)、チキンレバーフレーバー、粉末セルロース、魚油、塩化カリウム、L−リジン、炭酸カルシウム、コリン塩化物、ヨード添加食塩、DL−メチオニン、ビタミンEサプリメント、ビタミン類(L−アスコルビル−2−ポリホスフェート(ビタミンC源)、ビタミンEサプリメント、ナイアシン、一硝酸チアミン、ビタミンAサプリメント、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12サプリメント、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、葉酸、ビタミンD3サプリメント)、L−トレオニン、タウリン、大豆レシチン、塩酸グルコサミン、無機質(硫酸鉄(II)、酸化亜鉛、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)、L−トリプトファン、L−カルニチン(トコフェロールとクエン酸の混合物で保存)、コンドロイチン硫酸、ベータ−カロテン、ローズマリーエキス。
【0080】
[00102] 実施例中で用いた本発明のネコ用j/k食物組成物は、オメガ−3脂肪酸、オメガ−6脂肪酸を含有し、アルファ−リノレン酸をも含有していた。この組成物は、コンドロイチン硫酸の形のグリコサミノグリカン、および塩酸グルコサミンの形のアミノ糖を含有していた。さらにこの組成物は、カルニチン、および少なくとも1種類の抗酸化剤、たとえばビタミンCおよびベータ−カロテンを含有していた。
【0081】
[00103] 用語“動物”は、ヒトまたはヒト以外の動物を意味し、鳥類、ウシ類、イヌ類、ウマ類、ネコ類、ヤギ類、ネズミ類、ヒツジ類、霊長類、およびブタ類などの動物を含む。
【0082】
[00104] 用語“抗体”は、特異的抗原に結合するいずれかの免疫グロブリンを意味し、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE抗体を含む。この用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一価抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、ポリエピトープ特異性をもつ抗体組成物、キメラ抗体、二重特異性抗体、ジアボディー(diabodiy)、一本鎖抗体、および抗体フラグメント、たとえばFab、Fab’、F(ab’)、およびFv、または他の抗原結合性フラグメントが含まれる。
【0083】
[00105] 用語“アレイ”は、支持体上における少なくとも2つのプローブの秩序配置を意味する。プローブのうち少なくとも1つは対照または基準品であり、プローブのうち少なくとも1つは診断用プローブである。支持体上における約2から約40,000までのプローブの配置によって、プローブと試料のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間に形成された標識複合体それぞれのサイズおよび信号強度を確実に個々に識別できる。
【0084】
[00106] 用語“差次発現(differential expression)”または“差次発現した(differentially expressed)”は、増大または無調節な遺伝子発現を意味し、あるいは低下またはダウンレギュレートされた遺伝子発現を意味し、試料中の転写されたメッセンジャーRNAまたは翻訳されたタンパク質の存在、不存在、または少なくとも2倍、または少なくとも1.5、1.4、1.3、1.2、1.1もしくは1倍の量の変化により検出される。
【0085】
[00107] 差次遺伝子発現の尺度として用いる用語“倍”は、ある動物における遺伝子発現量が、比較動物における遺伝子発現量と比較して倍量または部分量の遺伝子発現であることを意味する;たとえば、関節炎の動物を関節炎ではない動物と比較。たとえば、その動物において比較動物より3倍の量で発現する遺伝子は3倍の差次遺伝子発現をもち、その動物において比較動物より1/3の量で発現する遺伝子も3倍の差次遺伝子発現をもつ。
【0086】
[00108] 用語“フラグメント”は下記のものを意味する:(1)完全配列の一部であって特定の用途について完全ポリヌクレオチド配列と同一もしくは類似の活性をもつ、オリゴヌクレオチド配列もしくはポリヌクレオチド配列、または(2)完全配列の一部であって特定の用途について完全ポリペプチド配列と同一もしくは類似の活性をもつ、ペプチドもしくはポリペプチド配列。そのようなフラグメントは、特定の用途に適切であると思われる任意数のヌクレオチドまたはアミノ酸を含むことができる。一般にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのフラグメントは完全配列に由来する少なくとも約10、50、100または1000個のヌクレオチドを含み、ポリペプチドフラグメントは少なくとも約4、10、20または50個の連続アミノ酸を含む。この用語には、これらのフラグメントのポリヌクレオチドバリアントおよびポリペプチドバリアントが含まれる。
【0087】
[00109] 用語“遺伝子(単数)”または“遺伝子(複数)”は、ポリペプチドの産生に関係するDNAの完全または部分セグメントを意味し、コード領域の前および後の領域(リーダーおよびトレイラー)、ならびに個々のコードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含む。この用語には、遺伝子コード配列の相補体にハイブリダイズするいずれかのDNA配列が含まれる。
【0088】
[00110] 用語“ホモログ”は、下記のものを意味する:(1)ポリヌクレオチド:同一もしくは異なる動物種に由来するポリヌクレオチドであって、あるポリヌクレオチドに対して30%、50%、70%もしくは90%を超える配列類似性をもち、かつ完全ポリヌクレオチドと同一もしくは実質的に同一の特性をもち、同一もしくは実質的に同一の機能を行なうもの、またはあるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズする能力をもつものが含まれる、あるいは(2)ポリペプチド:同一もしくは異なる動物種に由来するポリペプチドであって、ポリヌクレオチドの発現により同定されるあるポリペプチドに対して30%、50%、70%もしくは90%を超える配列類似性をもち、かつ完全ポリペプチドと同一もしくは実質的に同一の特性をもち、同一もしくは実質的に同一の機能を行なうもの、またはポリヌクレオチドの発現により同定されるあるポリペプチドに特異的に結合する能力をもつものが含まれる。2つのポリペプチド配列または2つのポリヌクレオチド配列の配列同一性は、当業者に既知の方法、たとえばKarlin and Altschulのアルゴリズム(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268 (1990))を用いて決定される。そのアルゴリズムを、Altschul et al. (J. MoI. Biol. 215:403-410 (1990))のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込む。比較の目的でギャップ付きアラインメントを得るために、Altschul et al. (Nucl. Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))に記載のGapped Blastを利用できる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(たとえばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いる。参照:http://ww.ncbi.nlm.nih.gov。
【0089】
[00111] 用語“ハイブリダイゼーション複合体”は、1つのポリヌクレオチドのプリン類が相補的ポリヌクレオチドのピリミジン類と水素結合した際に試料ポリヌクレオチド間に形成される複合体を意味する;たとえば、5’−A−G−T−C−3’は3’−T−C−A−G−5’と塩基対合する。相補性の程度およびヌクレオチド類似体の使用がハイブリダイゼーション反応の効率およびストリンジェンシーに影響を及ぼす。
【0090】
[00112] 用語“併せて(in conjunction)”は、薬物、食物または他の物質を、(1)組成物、特に食物組成物中で一緒に、または(2)個別に、同一もしくは異なる頻度で、同一もしくは異なる投与経路を用いて、ほぼ同時もしくは周期的に、投与することを意味する。“周期的に”は、物質を特定の物質に許容できる投与計画で投与することを意味する。“ほぼ同時に”は、一般に物質(食物または薬物)を同時に、または互いに約72時間以内に投与することを意味する。“併せて”は、具体的には薬物などの物質を処方期間投与し、本発明組成物を不定に投与する投与計画を含む。
【0091】
[00113] 用語“ポリヌクレオチド”または“オリゴヌクレオチド”は、ヌクレオチドのポリマーを意味する。この用語には、一本鎖または二本鎖のDNAおよびRNA(cDNAおよびmRNAを含む)分子、ならびに一本鎖の場合にはそれの線状または環状の相補配列が含まれる。この用語には、元の配列と同一または実質的に同一の特性をもち、同一または実質的に同一の機能を行なうフラグメント、バリアント、ホモログ、および対立遺伝子(その配列に応じて)も含まれる。これらの配列は、アラインさせた際に完全相補的(不適正塩基対合がない)であってもよく、あるいは約30%までの配列不適正塩基対合をもつこともできる。好ましくは、ポリヌクレオチドに関して、その鎖は約50から10,000個までのヌクレオチド、より好ましくは約150から3,500個までのヌクレオチドを含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドに関して、その鎖は約2から100個までのヌクレオチド、より好ましくは約6から30個までのヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの厳密なサイズは、多様な要因、ならびにポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの個々の用途および使用に依存するであろう。この用語には、合成されたヌクレオチドポリマー、ならびに天然源から単離および精製されたものが含まれる。用語“ポリヌクレオチド”には“オリゴヌクレオチド”が含まれる。
【0092】
[00114] 用語“ポリペプチド”、“ペプチド”または“タンパク質”は、アミノ酸のポリマーを意味する。この用語には、天然ポリマー、および天然に存在しない(合成)ポリマー、および1個以上のアミノ酸が人為的な化学模倣体で置換されたポリマーが含まれる。この用語には、元の配列と同一または実質的に同一の特性をもち、同一または実質的に同一の機能を行なうフラグメント、バリアントおよびホモログも含まれる。この用語には、任意長さのポリマー、好ましくは約2から1000個までのアミノ酸、より好ましくは約5から500個までのアミノ酸を含むポリマーが含まれる。。この用語には、合成されたアミノ酸ポリマー、ならびに天然源から単離および精製されたものが含まれる。
【0093】
[00115] 用語“プローブ”は下記のものを意味する:(1)RNAまたはDNAのいずれかのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり、精製された制限酵素消化物中などに天然に存在するもの、または合成により製造されるものであって、そのプローブに相補的な配列をもつポリヌクレオチドへのアニーリングまたは特異的ハイブリダイゼーションが可能なもの、あるいは(2)実質的に他のタンパク質またはタンパク質フラグメントを排除して特定のタンパク質またはタンパク質フラグメントを特異的に結合することができるペプチドまたはポリペプチド。オリゴヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプローブは、一本鎖または二本鎖のいずれであってもよい。プローブの厳密な長さは、温度、供給源および用途を含めた多数の要因に依存するであろう。たとえば診断用途については、標的配列の複雑さに応じて、オリゴヌクレオチドプローブは一般に約10〜100、15〜50、または15〜25個のヌクレオチドを含む。特定の診断用途においては、ポリヌクレオチドプローブは約10〜1000、300〜600個のヌクレオチド、好ましくは300個のヌクレオチドを含む。本発明におけるプローブは、特定の標的配列の種々の鎖に“実質的に”相補的になるように選択される。これは、一組の予め定めた条件下でプローブがそれらの各標的配列と特異的にハイブリダイズまたはアニールするのに十分なほど相補的でなければならないことを意味する。したがって、プローブ配列は標的の厳密な相補配列を反映する必要はない。たとえば、非相補的なヌクレオチドフラグメントをプローブの5’または3’末端に結合させ、残りのプローブ配列が標的配列に相補的であってもよい。あるいは、プローブ配列が標的ポリヌクレオチドに特異的にアニールするのに十分なほど標的ポリヌクレオチドの配列との相補性をもつ限り、非相補的な塩基類または比較的長い配列をプローブに挿入することができる。ペプチドプローブまたはポリペプチドプローブは、それにタンパク質またはペプチドが特異的に結合するいかなる分子であってもよく、これにはDNA(DNA結合タンパク質について)、抗体、細胞膜受容体、ペプチド、補因子、レクチン、糖類、多糖類、細胞、細胞膜、細胞小器官および細胞小器官膜が含まれる。
【0094】
[00116] 用語“試料”は、たとえばポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、代謝産物などを含有するいずれかの動物組織または体液を意味し、これにはDNAおよびRNAを含有する細胞および他の組織が含まれる。例には、血液、軟骨、結合組織、上皮、リンパ球、筋肉、神経、喀痰などが含まれる。試料は固体または液体であってもよく、DNA、RNA、cDNA、体液、たとえば血液または尿、細胞、細胞調製物、またはその可溶性画分もしくは培地の一部、染色体、細胞小器官などであってもよい。
【0095】
[00117] 用語“単一パッケージ”は、キットの構成要素が1以上の容器内で、または1以上の容器によって物理的に関連づけられており、製造、流通、販売または使用のためのユニットとみなされることを意味する。容器にはバッグ、ボックス、ボトル、収縮ラップパッケージ、ステープラー止めその他の様式で固定した構成要素、またはその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。単一パッケージは、製造、流通、販売または使用のためのユニットとみなされる状態で物理的に関連づけられた個別の食物組成物の容器であってもよい。
【0096】
[00118] 用語“有用なバリエーション”は下記のことを意味する:(1)ポリヌクレオチドについては、そのポリヌクレオチドの相補体;そのポリヌクレオチドおよびそれの相補体のホモログ;そのポリヌクレオチド、それの相補体およびそれのホモログのバリアント;ならびにそのポリヌクレオチド、それの相補体、それのホモログおよびそれのバリアントのフラグメント;ならびに(2)ポリペプチドについては、そのポリペプチドのホモログ;そのポリペプチドおよびそれのホモログのバリアント;ならびにそのポリペプチド、それのホモログおよびそれのバリアントのフラグメント。
【0097】
[00119] 用語“仮想パッケージ”は、キットの構成要素が、ユーザーに他の構成要素の入手方法を指令する1以上の物理的または仮想的なキット構成要素上の指示によって関連づけられていることを意味する;たとえばバッグ内に、1つの構成要素、およびキットの使用方法に関する指示を入手するためにウェブサイトを訪れる、記録されたメッセージとコンタクトをとる、ビジュアルメッセージを見る、または介護者もしくはインストラクターとコンタクトをとるようにユーザーに指令する指示を収容したもの。
【0098】
[00120] 用語“基準品”は下記のものを意味する:(1)対照試料であって、たとえば関節炎の動物を試験する場合には正常な動物に由来する組織を含むもの、または正常な動物を試験する場合にはたとえば関節炎の動物に由来する組織を含むもの、あるいは(2)対照試料であって、その用途の状況に応じて、被験物質が差次遺伝子発現を引き起こすかどうかを判定するためには、対応する正常動物またはたとえば関節炎の動物において試験すべき被験物質に曝露されていない正常動物またはたとえば関節炎の動物に由来する組織を含むもの。
【0099】
[00121] 用語“ストリンジェントな条件”は下記のものを意味する:(1)0.1%ウシ血清アルブミンを有する50%(vol/vol)ホルムアミド、0.1% Ficoll、0.1%ポリビニルピロリドン、750mM NaClを有する50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.5、75mMクエン酸ナトリウム中、42℃でのハイブリダイゼーション、(2)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl,0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×Denhardt溶液、音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDS、および10%デキストラン硫酸中、42℃でのハイブリダイゼーション;ならびに42℃で、0.2×SSCおよび0.1% SDS中での洗浄、または0.015M NaCl、0.0015Mクエン酸ナトリウム、0.1% NaSO中、50℃での洗浄、あるいは同様な低いイオン強度および高温の洗浄剤および同様な変性剤を用いる同様な操作。
【0100】
[00122] 用語“物質”は、元素、化合物、分子、もしくはその混合物、または動物において異常な関節状態の発症もしくは重症度を診断、予後判定もしくは調節するのに有用な可能性がある他のいずれかの物質を意味し、これにはいずれかの薬物、化学物質または生物学的物質が含まれる。
【0101】
[00123] 用語“siRNA”は、そのsiRNAが遺伝子と同一細胞内で発現した場合にその遺伝子の発現を低下させまたは阻害する二本鎖RNAを形成するポリヌクレオチドを意味する。この用語には、相補鎖により形成された二本鎖RNAが含まれる。ハイブリダイズして二本鎖分子を形成するsiRNA相補部分は、一般に実質的または完全な同一性をもつ。一般にsiRNAは少なくとも約15〜50個のヌクレオチドを含み、二本鎖siRNAは約15〜50の塩基対、好ましくは約20〜30個のヌクレオチドおよび塩基対を含む。
【0102】
[00124] 用語“特異的に結合する”は、2分子間の特別かつ厳密な相互作用を意味し、これはそれらの構造、特にそれらの分子側鎖基に依存する。たとえば、DNA分子の主溝内への調節タンパク質のインターカレーション、2つの一本鎖核酸間の主鎖に沿った水素結合、またはタンパク質のエピトープとアゴニスト、アンタゴニストまたは抗体との間の結合。
【0103】
[00125] 用語“特異的にハイブリダイズする”は、当技術分野で一般に用いられる予め定めた条件下でそのようなハイブリダイゼーションが可能なほど十分に相補的な(時には“実質的に相補的な”と言う)配列の2つの一本鎖ポリヌクレオチド間の会合を意味する。たとえば、この用語は、本発明の観点に従った、ポリヌクレオチドプローブと一本鎖DNAまたはRNA分子内に含まれる実質的に相補的な配列とのハイブリダイゼーションであって、そのポリヌクレオチドプローブと相補的ではない配列の一本鎖ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを実質的に除外したものを表わすことができる。
【0104】
[00126] 用語“バリアント”は下記のものを意味する:(1)ポリヌクレオチド配列の1個以上のヌクレオチドのいずれかの置換、変更、修飾、交換、欠失または付加を含み、かつ元の配列と同一または実質的に同一の特性をもち、同一または実質的に同一の機能を行なうポリヌクレオチド配列、および(2)ポリペプチド配列の1個以上のアミノ酸のいずれかの置換、変更、修飾、交換、欠失または付加を含み、かつ元の配列と同一または実質的に同一の特性をもち、同一または実質的に同一の機能を行なうポリペプチド配列。したがってこの用語には、一塩基多型(SNP)および対立遺伝子バリアントが含まれ、またポリペプチドにおける保存的および非保存的アミノ酸置換が含まれる。この用語には、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの化学的誘導体化、およびそれぞれ自然界には存在しないヌクレオチドまたはアミノ酸によるヌクレオチドまたはアミノ酸の置換も含まれる。
【0105】
[00127] 本明細書に記載する特定の方法、プロトコルおよび試薬は変更できるので、本発明はそれらに限定されない。さらに、本明細書中で用いる専門用語は特定の態様を記述するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。本明細書および付随する特許請求の範囲で用いる単数形(“a”、“an”、“the”)には、そうでないことが状況から明らかに示されない限り複数表記が含まれる;たとえば”バリアント”という表記は複数のバリアントを含む。さらに、定義した用語には、適正な文法状況で用いられるそれらの用語の変形が含まれる;たとえば、用語“特異的に結合する”には“特異的結合”およびその用語の他の形態が含まれる。同様に、用語“含む(comprise、comprises、comprising)”は除外ではなく包括として解釈すべきである。
【0106】
[00128] 別途定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語ならびにいずれかの頭字語は、本発明の技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味をもつ。本明細書に記載したものと類似または均等な組成物、方法、製品、または他の手段もしくは材料をいずれも本発明の実施に使用できるが、好ましい組成物、方法、製品、または他の手段もしくは材料を本明細書に記載する。
【0107】
[00129] 本明細書中で引用または参照したすべての特許、特許出願、刊行物および他の参考文献を、法律が許す範囲で本明細書に援用する。それらの参考文献の考察はそれらにおいてなされた主張をまとめるためのものにすぎない。それらの特許、特許出願、刊行物もしくは他の参考文献のいずれか、またはそれらのいずれかの部分が本発明に関係する先行技術であると認めるわけではなく、それらの特許、特許出願、刊行物もしくは他の参考文献の正確さおよび妥当性に意義を唱える権利は明確に保持する。
【0108】
[00130] 1態様において、本発明は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する1種類以上の遺伝子または遺伝子セグメント(本明細書中で定義する“遺伝子”)を包含する。本発明は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現するポリヌクレオチドを見いだしたことに基づく。これらの遺伝子は、異常であると診断された動物に由来するリンパ球における遺伝子の発現と、正常であると診断された動物に由来するリンパ球における遺伝子の発現を、Affymetrix GeneChip(登録商標)技術を用いて比較することにより同定された。
【0109】
[00131] 本発明のポリヌクレオチドおよび遺伝子は、異常であると診断されたイヌ類に由来するリンパ球からの遺伝子発現と正常であると診断されたイヌ類に由来するリンパ球における遺伝子発現の差を測定することにより同定された。遺伝子発現の変化は、当業者に既知であるいずれかの方法により判定できる。一般に、遺伝子発現の変化は転写の測定(遺伝子により産生されるmRNAの量を判定する)、または翻訳の測定(遺伝子により産生されるタンパク質の量を判定する)により判定される。遺伝子により産生されるRNAまたはタンパク質の量は、当業者に既知であるポリヌクレオチドおよびタンパク質の定量のためのいずれかの方法を用いて判定できる。一般に、RNA発現はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(限定ではないが、逆転写PCR(RT−PCR)および定量リアルタイムPCR(qPCR)が含まれる)、RNase保護、ノーザンブロット法、および他のハイブリダイゼーション法により判定される。測定するRNAは一般にmRNAまたは逆転写されたmRNAの形である。タンパク質またはポリペプチドの発現は、種々の比色アッセイおよび分光アッセイ、ならびにローリーアッセイ(lowry assay)、ビウレットアッセイ、蛍光アッセイ、比濁法、ビシンコニン酸アッセイ(bicinchoninic assay)、プロテインチップ技術、赤外線吸収、ニンヒドリン、ブラッドフォードアッセイ(bradford assay)、および紫外線吸収などの方法を用いて判定される。好ましい方法においては、Affymetrix,Inc.から購入できるAffymetrix Canine−1およびCanine−2遺伝子チップ、ならびにそれらのチップを用いて遺伝子発現を判定するための指示を用いて、遺伝子発現の変化を判定する。
【0110】
[00132] 一般に、正常な動物と比較した異常な動物における差次遺伝子発現は、少なくとも1種類の遺伝子の発現を測定することにより判定される。好ましくは、2種類以上の差次発現遺伝子の発現を測定して、遺伝子発現パターンまたは遺伝子発現プロフィールを得る。より好ましくは、複数の差次発現遺伝子の発現を測定して、より有意の遺伝子発現パターンまたはプロフィールのための追加情報を得る。
【0111】
[00133] 他の観点において、本発明は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数の遺伝子の発現を検出するのに適切なデバイスを提供する。このデバイスは、支持体の既知の位置に固定された本発明の複数のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドプローブを備えた支持体を含む。このデバイスは、本質的に、本明細書に記載したオリゴヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプローブの固定化バージョンである。このデバイスは、遺伝子およびポリヌクレオチドならびにそれらの発現パターンおよびプロフィールを迅速かつ特異的に検出するために有用である。一般に、そのようなプローブを支持体またはそれに類する固体担体に結合させ、そして1種類以上のポリヌクレオチド(たとえば遺伝子、PCR生成物、リガーゼ連鎖反応(LCR)生成物、増幅技術を用いて合成したDNA配列、またはその混合物)を含有する試料を、試料ポリヌクレオチド(単数または複数)がプローブにハイブリダイズできる状態でそれらのプローブに曝露する。プローブ、試料ポリヌクレオチド(単数または複数)のいずれかまたは両方を、一般に蛍光体、または他のタグ、たとえばストレプトアビジンで標識し、そして当業者に既知の方法を用いて検出する。試料ポリヌクレオチド(単数または複数)を標識する場合、結合した蛍光の検出によりハイブリダイゼーションを検出することができる。プローブを標識する場合、一般に標識の消失によりハイブリダイゼーションを検出する。プローブと試料ポリヌクレオチド(単数または複数)の両方を標識する場合、一般に2種類の標識の接近から生じる色ずれをモニターすることによりハイブリダイゼーションを検出する。特に蛍光標識については、多様な標識方法および標識が当業者に知られている。好ましくは、当技術分野で既知のものに匹敵するアレイ(DNAマイクロアレイ、遺伝子チップ、バイオチップ、DNAチップおよび遺伝子アレイを含めた幾つかの名称で知られている)の形成に適切な支持体上にプローブを固定化する。
【0112】
[00134] ポリペプチドプローブは、一般的な方法に従って、たとえば本発明のポリヌクレオチドについて提示したヌクレオチド配列データおよび当技術分野で既知の方法を用いて作製できる。そのような方法には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ポリペプチドを細胞から直接単離する、ポリペプチドをコードするDNAまたはRNAを単離または合成し、それらのDNAまたはRNAを用いて組換え生成物を調製する、個々のアミノ酸からポリペプチドを化学合成する、および既存のポリペプチドの化学的開裂によりポリペプチドフラグメントを調製する。
【0113】
[00135] 他の観点において、本発明は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数の遺伝子の発現を検出するのに適切なデバイスを提供する。このデバイスは、支持体の既知の位置に固定された本発明の複数のペプチドプローブまたはポリペプチドプローブを備えた支持体を含む。このデバイスは、本質的に、本明細書に記載したペプチドプローブまたはポリペプチドプローブの固定化バージョンである。このデバイスは、タンパク質およびそれらの発現パターンを迅速かつ特異的に検出するために有用である。一般に、そのようなプローブを支持体に結合させ、そして1種類以上のタンパク質を含有する試料を、試料タンパク質がプローブにハイブリダイズできる状態でそれらのプローブに曝露する。特定の態様において、プローブ、試料タンパク質、または両方を、一般に蛍光体、または当業者に既知の他の試薬で標識し、検出する。一般に、ポリヌクレオチドマイクロアレイの読取りに用いるものと同じ方法および計測器をタンパク質アレイに適用できる。好ましくは、アレイの形成に適切な支持体上にプローブを固定化する。
【0114】
[00136] 試料中のタンパク質の量または濃度を測定するための方法は当業者に既知である。そのような方法には、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、およびELISAアッセイが含まれる。抗体を使用する方法には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が適切である。そのような抗体は、タンパク質、タンパク質エピトープまたはタンパク質フラグメントに対して免疫学的に特異性であってよい。
【0115】
[00137] 本発明のある態様は、本発明のポリヌクレオチドの発現により生成したタンパク質の検出および定量のために抗体を使用する。タンパク質は免疫沈降法、アフィニティー分離、ウェスタンブロット分析、タンパク質アレイなどにより検出できるが、好ましい方法はELISA技術を利用する;この場合、抗体を固体支持体上に固定化し、標的であるタンパク質またはペプチドをこの固定化抗体に曝露する。プローブもしくは標的のいずれかまたは両方を、既知の方法で標識することができる。
【0116】
[00138] ある態様において、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数の遺伝子の発現パターンまたはプロフィールは、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの検出のためのプローブのアレイを用いて観察される。1態様においてはオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのアレイを使用でき、一方、他の態様には本発明の差次発現した遺伝子生成物に特異的に結合する抗体または他のタンパク質のアレイを使用できる。そのようなアレイは市販されており、あるいはそれらを当業者に既知の方法、たとえば固体支持体上でのインサイチュー合成により、または予め合成したプローブをマイクロプリンティング技術で固体支持体に付着させることにより、特注作製することができる。多様な態様において、本発明の差次発現遺伝子により産生される転写体またはタンパク質を特異的に検出するために、ポリヌクレオチドプローブまたはポリペプチドプローブのアレイを特注作製する。
【0117】
[00139] 1態様において、表2および/または表3に同定した2種類以上のポリヌクレオチドまたは遺伝子により産生される転写体またはタンパク質を特異的に検出するために、ポリヌクレオチドプローブまたはポリペプチドプローブのアレイを特注作製する。これらのプローブは、動物において脂質およびグルコースの代謝経路に関連する遺伝子を検出するために設計される。他の態様において、表3に同定した2種類以上のポリヌクレオチドまたは遺伝子により産生される転写体またはタンパク質を特異的に検出するために、ポリヌクレオチドプローブまたはポリペプチドプローブのアレイを特注作製する。これらのプローブは、正常な動物と比較して異常な動物に特に関連する遺伝子を検出するために設計される。
【0118】
[00140] 他の観点において、本発明は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する1種類以上の遺伝子の差次発現を試料中で検出する方法を提供する。この方法は、下記を含む:(a)正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数のポリヌクレオチドプローブを含む組合わせを、試料中のポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて、1以上のハイブリダイゼーション複合体を形成し;(b)場合により、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数のポリヌクレオチドプローブを含む組合わせを、基準品中のポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて、1以上のハイブリダイゼーション複合体を形成し;(c)試料に由来する、および場合により段階(b)からの基準品に由来するハイブリダイゼーション複合体を検出し;そして(d)試料に由来するハイブリダイゼーション複合体を基準品に由来するハイブリダイゼーション複合体と比較し、その際、基準品と試料の間のハイブリダイゼーション複合体の量の差は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子がその試料中で差次発現したことの指標となる。
【0119】
[00141] 段階(b)、および段階(c)の一部は任意であり、2以上の試験系の比較を比較的同時に実施すべき場合に採用される。しかし、好ましい態様において、比較のために用いる基準品はそれ以前にこの方法を用いて得られたデータに基づく。
【0120】
[00142] これらのプローブを試料に曝露してハイブリダイゼーション複合体を形成し、これらを検出して基準品のものと比較する。試料と基準品に由来するハイブリダイゼーション複合体間の差は、試料中のポリヌクレオチドの差次発現、したがって正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子の指標となる。好ましい態様において、プローブは、本発明により同定された1種類以上の遺伝子または遺伝子フラグメントにより提示されるポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを特異的に検出するように作製される。ハイブリダイゼーション複合体を検出するための方法は、当業者に既知である。
【0121】
[00143] 1態様において、この方法はさらに、ハイブリダイゼーションの前に動物または試料を被験物質に曝露することを含む。その場合、この比較は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子、特に異常関連遺伝子の発現を、試料中で被験物質が変化させたかどうかの指標となる。
【0122】
[00144] 他の観点において、本発明は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子の差次発現を試料中で検出するための方法を提供する。この方法は、下記を含む:(a)正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数のポリペプチドプローブを含む組合わせと試料中のタンパク質とを、これらのプローブとタンパク質の間に特異的結合が生じうる条件下で反応させ、その際、プローブが結合したタンパク質は正常な動物と比較して異常な動物に差次発現するものであり;(b)場合により、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する複数のポリペプチドプローブを含む組合わせと基準品中のタンパク質とを、これらのプローブとタンパク質の間に特異的結合が生じうる条件下で反応させ、その際、プローブが結合したタンパク質は正常な動物と比較して異常な動物に差次発現するものであり;(c)試料および場合により段階(b)からの基準品における特異的結合を検出し;そして(d)試料における特異的結合を基準品におけるものと比較し、その際、基準品と試料における特異的結合間の差は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子がその試料中で差次発現したことの指標となる。
【0123】
[00145] これらのプローブを試料に曝露して特異的結合を形成させ、これを検出し、基準品のものと比較する。試料と基準品からの特異的結合間の差は、その試料における正常な動物と比較して異常な動物に差次発現するタンパク質の差次発現、したがって遺伝子、特に異常関連遺伝子の差次発現の指標となる。好ましい態様において、プローブは、本発明により同定された1種類以上の遺伝子または遺伝子フラグメントにより産生されるタンパク質またはそのフラグメントを特異的に検出するように作製される。
【0124】
[00146] 1態様において、この方法はさらに、ポリペプチドをタンパク質と反応させる前に動物または試料を被験物質に曝露することを含む。その場合、この比較は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子、特に異常関連遺伝子の発現を、試料中で被験物質が変化させたかどうかの指標となる。
【0125】
[00147] 他の態様においては、動物のたとえば関節炎の組織の量を調節することを試みる際に、軟骨組織調節プログラムに応答した動物の進行状況をモニターするために、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子の発現を試料中で検出する前記方法を用いる。この方法は、調節プログラム期間中、間隔をおいて、好ましくは設定した間隔をおいて実施され、調節プログラム期間中の2以上の時点でのこの方法の結果を比較することにより、動物の進行状況をモニターする。比較により得られた、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する1種類以上の遺伝子、特に異常関連遺伝子の発現もしくは遺伝子発現パターンの変化、または無変化は、その調節プログラムの有効性の指標となる。
【0126】
[00148] 被験物質は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現するポリヌクレオチドまたは遺伝子、特に異常関連遺伝子に影響を及ぼす可能性のあるいかなる物質であってもよい。被験物質には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:アミノ酸;タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、低分子、高分子、ビタミン、無機質、単純な糖類;複雑な糖類;多糖類;炭水化物;中鎖トリグリセリド(MCT);トリアシルグリセリド(TAG);下記を含むn−3(オメガ−3)脂肪酸:DHA、EPA、ALA;下記を含むn−6(オメガ−6)脂肪酸:LA、γ−リノレン酸(GLA)およびARA;SA、共役型リノール酸(CLA);コリン源、たとえばレシチン;下記を含む脂溶性ビタミン:ビタミンAおよびその前駆物質、たとえばカロテノイド(たとえばβ−カロテン)、ビタミンD源、たとえばビタミンD2(エルゴカルシフェロール)およびビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンE源、たとえばトコフェロール(たとえばα−トコフェロール)およびトコトリエノール、ならびにビタミンK源、たとえばビタミンKl(フィロキノン)およびビタミンK2(メナジオン);下記を含む水溶性ビタミン:B系列ビタミン、たとえばリボフラビン、ナイアシン(ニコチンアミドおよびニコチン酸を含む)、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンおよびコバラミン;ならびにビタミンC(アスコルビン酸);下記を含む抗酸化剤:前記ビタミンのうちのあるもの、特にビタミンEおよびC;ならびにビオフラボノイド、たとえばカテキン、ケルセチンおよびテアフラビン;キノン類、たとえばユビキノン;カロテノイド、たとえばリコペンおよびリコキサンチン;レスベラトロール;ならびにα−リポ酸;L−カルニチン;D−リモネン;グルコサミン;S−アデノシルメチオニン;ならびにキトサン。好ましい態様において、被験物質は栄養素であり、これらを食物に添加するか、あるいはサプリメントとして摂取することができる。例には、脂肪酸、たとえばオメガ−3脂肪酸(たとえばDHAおよびEPA)およびオメガ−6脂肪酸(たとえばARA)、カルニチン、メチオニン、ビタミンC、ビタミンEおよびビタミンDが含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
[00149] 好ましい態様において、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子、特に異常関連遺伝子の発現に影響を及ぼすのに有用な物質は、出願中の米国仮特許出願No.60/657980、2005年3月2日出願、およびそれに基づく優先権を主張する後続の米国特許出願または外国特許出願に開示された方法を用いて同定することができる。
【0128】
[00150] 比較に際して用いる正常な動物に関する発現プロフィールは、被験動物に関する発現プロフィールと同時に1匹以上の正常な動物から、または正常な動物の発現プロフィールのデータベースから、得ることができる。好ましくは、長年蓄積された正常な動物に関する発現プロフィールのデータベースを、基準として使用するために入手できる。
【0129】
[00151] ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが差次発現するかどうかの判定は、当業者に既知の方法を用いてそれらのポリヌクレオチドまたはポリペプチドを検出することにより達成でき、それらの方法のうち若干を本明細書に記載する。
【0130】
[00152] 他の観点において、本発明は動物のゲノムを操作するのに適切な組成物を提供する。この組成物は、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する1種類以上の遺伝子、特に異常関連遺伝子の発現に干渉する1種類以上の物質を含む。
【0131】
[00153] 他の態様において、本発明は、正常な動物と比較して異常な筋骨格関節障害を伴う動物に差次発現する1種類以上の遺伝子、特に異常な筋骨格関節障害に関連する遺伝子の発現を調節する方法を包含する。好ましい態様において、本発明組成物は下記のものを含む:ミリグラム/キログラム/日(mg/kg/日):DHAを、約1から約30まで、好ましくは約3から約15までの量;EPAを、約1から約30まで、好ましくは約3から約15までの量;EPA/DHA Combo(1.5:1の比率)を、約4/2から約30/45まで、好ましくは約9/6から約18/12までの量;ALAを、約10から約100まで、好ましくは約30から約60までの量;LAを、約30から約600まで、好ましくは約60から約300までの量;ARAを、約5から約50まで、好ましくは約15から約30までの量;SAを、約3から約60まで、好ましくは約6から約30までの量;およびCLA(対照として)を、約6から約120まで、好ましくは約12から約60までの量。組成物をその組成物に適切ないずれかの方式または形態で動物に投与することができる。好ましくは、組成物を食物組成物またはサプリメントの形態で動物に経口投与する。食物組成物はいかなる形態であってもよい:たとえば、動物、特に愛玩動物、たとえばネコ類およびイヌ類のための当技術分野で既知である栄養バランスのとれた食物組成物、たとえば乾燥食物、半湿潤食物、および湿潤食物。サプリメントには、錠剤、カプセル剤などの剤形、およびこれらに類する形態が含まれる。さらに他の観点において、動物の軟骨組織の量を調節する1種類以上の他の物質と組み合わせて本発明組成物を投与することができる。
【0132】
[00154] 他の観点において、本発明は、正常な動物と比較して異常な筋骨格関節障害を伴う動物に差次発現する1種類以上の遺伝子、特に異常な筋骨格関節障害に関連する遺伝子の発現を調節するのに適切な、または動物の軟骨組織の量を調節するのに適切な、組成物を提供する。この組成物は、遺伝子発現または組織を調節する量の、DHA、EPA、EPAおよびDHA、ALA、LA、ARA、ならびにSAのうち1種類以上を含む。多様な態様において、この組成物は下記のものを含む:mg/kg/日:DHAを、動物に約1から約30まで投与するのに十分な量;EPAを、動物に約1から約30まで投与するのに十分な量;EPA/DHA Combo(1.5:1の比率)を、動物に約4/2から約30/45まで投与するのに十分な量;ALAを、動物に約10から約100まで投与するのに十分な量;LAを、動物に約30から約600まで投与するのに十分な量;ARAを、動物に約5から約50まで投与するのに十分な量;SAを、動物に約3から約60まで投与するのに十分な量;およびCLA(対照として)を、動物に約6から約120まで投与するのに十分な量。そのような物質は、動物の軟骨組織の量を調節するために有用となることができる。好ましくは、これらの物質は複数のそれらの遺伝子の発現に影響を及ぼす。1態様において、組成物はさらに、動物の軟骨組織の量を調節する1種類以上の薬物または他の物質を含む。
【0133】
[00155] さらに他の観点において、本発明は、正常な動物と比較して異常な筋骨格関節障害を伴う動物に差次発現する1種類以上の遺伝子、特に異常な筋骨格関節障害に関連する遺伝子の差次発現を被験系において判定するのに適切なキットを提供する。
【実施例】
【0134】
[00156] 実施例1:種々の物質または成分がイヌ類の細胞系における遺伝子発現に及ぼす影響の判定
[00157] Affymetrixイヌ類遺伝子チップCanine Genome−1およびCanine Genome−2を用いて、種々の被験物質または成分、たとえば下記のものが、4種類のイヌ細胞系および適切な対照における遺伝子発現に及ぼす影響を判定する:MCT類;TAG類;ALA;EPA;DHA;リノール酸;ステアリン酸(SA)、共役型リノール酸(CLA)、GLA;アラキドン酸;レシチン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC、カテキン、ケルセチン、テアフラビン;ユビキノン;リコペン、リコキサンチン;レスベラトロール;α−リポ酸;L−カルニチン;D−リモネン;グルコサミン;S−アデノシルメチオニン;キトサン、これらの化合物を1種類以上含有する種々の材料、およびその多様な組合わせ。各成分を、表1に示す選択した試料成分について指示した2種類の濃度で試験する。2種類のうち高い方の濃度の溶媒を対照として用いる。4種類のイヌ細胞系を用いる:CCL34(腎臓)、CRL1430(胸腺)、CCL183(骨)(The American Tissue Culture Collectionから入手)およびCTAC(甲状腺)(参照:Measurement of NK Activity in Effector Cells Purified from Canine Peripheral Lymphocytes, Veterinary Immunology and Immunopathology, 35 (1993) 239-251)。特定濃度のある成分で処理した細胞系を“処理”と表記し、非処理試料を“対照”と表記する。“遺伝子”および“プローブ”という語をこの方法においては同義に使用する。Affymetrixチップに備えられた指示を用いて、遺伝子発現を処理細胞系と対照細胞について測定する。各ユニークプローブ識別番号についての詳細な情報は製造業者から入手できる。
【0135】
[00158] 遺伝子発現データを前記のいずれかの処理について“アップ(up)”または“ダウン(down)”レギュレートされたと判定する。遺伝子が“アップ”または“ダウン”のいずれであるかの決定は変化倍率に基づき、これは各プローブについて、処理における強度/対照における強度として計算される。その数値が<1/1.5(4種類の細胞系すべてにわたる分析について)または<1/2(細胞系内の分析について)である場合にはその変化倍率をダウンレギュレートされたとみなし、その数値が>1.5(4種類の細胞系すべてにわたる分析について)または>2(細胞系内の分析について)である場合にはその変化倍率をダウンレギュレートされたとみなす。また、使用したソフトウェアに従って、あるプローブが比較される条件(処理または対照)のうち一方においてのみ存在と呼出され、他方においては“不存在”または“境界”であり、かつ変化倍率が有意である場合、それを以後の精査のために有意とみなす。2つの処理において反対方向に調節されると思われるプローブを以後の分析から除外する。
【0136】
[00159] 生データをGeneSpring version 7.0(GS)ソフトウェア(Agilent Corporation)により分析し、R−Bioconductor(RB)フリーウェアにより確認する。両方のソフトウェアパッケージを用いて、Affymetrix Instrumentにより作製されたCELファイルからプローブ強度を計算する。プローブ毎の存在/不存在/境界の呼出、およびP−値は、R−BioconductorおよびGeneSpringソフトウェアを個別に用いて計算される。
【0137】
[00160] 2つのスキームをデータ解析に用いる。第1;“細胞系間”、および“個々の細胞系内”。第1スキームでは、遺伝子がすべての細胞系にわたって有意かつ共通であると認められた場合、それらを採点のために選択する。この“細胞系間”は、最小のノイズで最高の信頼データを与え、どの遺伝子が個々の成分により影響を受けるかについて可能な最良の手掛かりを提供することができる。第2スキームでは、2つの処理において個々の細胞系内で両方のソフトウェアパッケージに従って有意倍率の変化を示す遺伝子のみを採点する。これらの実験から得られたデータのサンプルを表2に示す。表2は、処理物質(Column 1)、プローブ(データリンク)(Column 2)、方向(Column 3)、最良BLAST標記(統計的に判定)(Column 4)、およびヒト寄託番号(Column 5)を示す。すべての被験成分の情報を参考のためにデータベースに保存する。
【0138】
[00161] イヌ類の生理的状態(異常としての診断)および表1〜2からの情報の比較に基づいて、すなわち被験物質または被験成分により影響を受けかつ正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子に注目して、異常なイヌ類のための食物組成物の選択および調製に有用な栄養処方は、下記の成分のうち1種類以上を下記の量で含有すると考えられる(インビボ量ミリグラム/キログラム/日(mg/kg/日)はインビトロで用いた量からの外挿に基づく):たとえばDHA−約1から約30まで;EPA−約1から約30まで;EPA/DHA Combo(1.5:1の比率)−約4/2から約30/45まで;ALA−約10から約100まで;LA−約30から約600まで;ARA−約5から約50まで;およびSA−約3から約60まで。これらのデータに基づいて、これらの成分のうち1種類以上を含有する食物組成物および関連の食事を調製し、正常な動物と比較して異常な動物に差次発現する遺伝子を調節するために用いることができる。そのような成分は、動物において異常な筋骨格関節障害の調節を生じ、したがって1態様においては望ましい状態または正常な状態への移行を促進し、動物のより良好な健康およびウェルネスを促進するであろう。
【0139】
[00162] 実施例2:RNA単離操作
[00163] 材料および方法:本明細書の実施例にさらに記載するように、下記の一般法を用い、遺伝子チップを利用して、イヌおよびネコの組織試料から遺伝子発現プロファイリング用のRNAを単離することができる。これらの方法または当技術分野で認識されているその変法を適用して、当業者が利用できる種々の分析法、特にマイクロアレイ技術を用いてさらに遺伝子発現を分析するためのRNAを組織または体液試料から単離することができるのは、当業者に明らかであろう。
【0140】
組織からのリボ核酸(RNA)の単離
[00164] 組織試料を採集し、液体窒素中で凍結させ、融解し、次いでホモジナイズし、TRIzol(登録商標)RNA抽出法を用いて処理して、良質のRNAを調製することができ、次いでこれをさらにゲノム分析する。
【0141】
[00165] 材料:氷、液体窒素、イヌ類またはネコ類の凍結組織、TRIzol(登録商標)細胞溶解試薬、最低99%のクロロホルム、イソプロピルアルコール、70%エタノール(無水エタノールおよび脱イオン無RNase水を用いて調製)、RNase Zap(登録商標)、脱イオン水、RNA Storage Solution(登録商標):Ambionから。
【0142】
[00166] 装置:Ultra−Turrax T25パワーホモジナイザー、Beckman Coulter Allegra 25R遠心機、Eppendorf遠心機、鉗子、メス、硬質カッティング面、すなわちカッティングボード、1.5mL無DNase無RNase/無菌ミクロ遠心管、50mL無DNase無RNase/無菌ディスポーザブルポリプロピレン試験管、Pl000、P200、P20、Pl0およびP2 Rainin Pipetmanピペット、無DNase無RNase/無菌のPl000、P200、P20、Pl0およびP2ピペット用フィルター付きピペットティップ、ならびに糸屑を含まない拭布。
【0143】
[00167] 調製:4mLのTRIzol(登録商標)を入れた50mLポリプロピレン試験管を用意する(RNA単離のために選択した各組織につき1本の試験管)。
[00168] 組織ホモジナイゼーション:液体窒素を保持できる容器に3〜4匙の液体窒素を装入する。一片の凍結組織を直ちに上記の容器に入れ(組織はほぼ豆の大きさとすべきである)、この組織を適宜ラベルを付けた50mLポリプロピレン試験管(既に4mLのTRIzol(登録商標)を入れたもの)に入れる。直ちにUltra−Turrax T25パワーホモジナイザーを用いてホモジナイゼーションを開始する。最高設定(6)で10〜15秒間ホモジナイズする。試料を氷上でさらに10〜15秒間冷却し、次いで繰り返す。組織が完全にホモジナイズされて溶液が混濁するまで続ける。完全にホモジナイズされると、50mL試験管に蓋をして氷へ戻す。ホモジナイズされた組織を室温で5分間インキュベートした後、単離操作を進める。
【0144】
[00169] 実施例3:RNA調製操作
[00170] RNAの単離:TRIzol(登録商標)試薬に備えられたInvitrogenの指示に示された操作法に全般的に従う。ホモジナイズした試料を4つの1mL部分試料に分けて4本の1.5mLミクロ遠心管に入れる。1mL部分試料それぞれに200uLのクロロホルムを添加する。遠心管に蓋をし、15秒間ボルテックス撹拌し、次いで上下に振とうする。桃色の乳濁液になるはずである。遠心管を室温で2〜3分間インキュベートする。遠心管を14,000rpmおよび4℃で15分間遠心する。水相(上層)を無菌の1.5mLミクロ遠心管へ移す。新たな遠心管へ移すべき水相の一般的な体積は約500uLである。中間相または下相を移さないことを確認する。水層を入れた各ミクロ遠心管に500uLのイソプロピルアルコールを添加することにより、溶液からRNAを沈殿させる。遠心管を少なくとも20秒間、上下に振とうする。試料を室温で10分間インキュベートする。試料を14,000rpmおよび4℃で10分間遠心する。ペレットを失わないことを確認しつつ、液体の吸引除去により上清を慎重に除去する。1mLの70%エタノールを添加してペレットを洗浄する。遠心管を揺らす(または遠心管を台上で軽く叩く)ことによりペレットを剥離させ、振とう混合する。8,200rpm、4℃で5分間遠心する。ペレットを失わないことを確認しつつ、液体の吸引除去により上清を慎重に除去する。糸屑を含まない拭布を用いて過剰のエタノールを慎重に吸い上げて、ペレットを確実に乾燥させる。各ペレットを30uLのRNA Storage Solutionに再懸濁する。RNAが再び溶解するまで穏やかにピペッティングにより混合し、次いで−80℃で保存する。RNAの再懸濁を容易にするために試料を数秒間、低速でボルテックス撹拌することが必要な場合がある。必要であれば、凍結前に試料をミクロ遠心機により遠心沈殿させる。
【0145】
[00171] RNAの清浄処理:RNeasy(登録商標)Mini Handbookに示された操作に従う。
OptiCellチャンバー内で培養した細胞からRNeasy Mini Kitを用いたRNAの単離
[00172] 哺乳動物細胞系由来の培養細胞を用いて良質のRNAを単離し、次いでこれを以後のゲノム分析に用いる。細胞の培養に関係するすべての作業を厳密な無菌条件下で実施すべきである。
【0146】
[00173] 試薬:10×PBS、脱イオンHO、無水エタノール、RNA Storage Solution、β−メルカプトエタノール、RNase Zap(登録商標)、緩衝液RLTおよび緩衝液RW lおよび緩衝液RPE(RNeasy Mini Kit中に備えられている)。
【0147】
[00174] 装填/材料:RNeasy Mini Kit、QIAshredderスピンカラム、OptiCellナイフ、20mL無菌注射器、OptiCellティップ、細胞スクレーパー、Pl000 Pipetmanピペット,Rainin、P200 Pipetmanピペット,Rainin、100〜l00uLフィルター付きピペットティップ、1〜200uLフィルター付きピペットティップ、無菌トランスファーピペット、55mL無菌溶液皿、1.5mL無菌ミクロ遠心管、およびEppendorfミクロ遠心機。
【0148】
[00175] 溶液:緩衝液RLT(RNeasy Mini Kitに備えられた原液);−プロトコルを開始する前に、10mLの緩衝液RTLにつきl00uLのβ−メルカプトエタノールを添加する。70%エタノール:35mLの無水エタノールを15mLの脱イオン無RNase水に添加することにより50mLの70%エタノールを調製する。1×PBS:−無RNase水。この溶液を.22umのフィルターにより濾過する。
【0149】
[00176] 操作:細胞をOptiCellチャンバーから取り出す(一度に1つのOptiCellを処理する)。細胞を顕微鏡下で検査して、細胞がRNA単離前に生存していることを確認する。細胞培養培地を分離し、廃棄する。OptiCellナイフを用いて上側の膜を切り取り、下側の膜上の細胞を露出させる。細胞が付着している膜を1×PBSで3回洗浄する。600uLの緩衝液RLT(β−メルカプトエタノールを含有する)を、細胞が付着している膜の中央にピペットで添加する。細胞スクレーパーを用いて、緩衝液RLTを穏やかに膜の全面に広げ、次いで液体を1隅に集める。緩衝液RLTの全体積をピペットで吸い取り、QIAshredderスピンカラムに入れる。
【0150】
[00177] RNAの単離:QIAshredderスピンカラムを14,000rpmで2分間遠心する。スピンカラムを廃棄し、ただし採集管とその内容物は残しておく。600uLの70%エタノールを採集管に添加し、ピペッティングによって十分に混合する(この時点での全体積=1.2mL)。600uLの細胞溶解物をRNeasyミニカラムへ移し、14,000rpmで15秒間遠心する。フロースルーを廃棄し、ただし採集管およびスピンカラムは残しておく。残りの体積の細胞溶解物(約600uL)をスピンカラムへ移し、遠心を繰り返す。フロースルーを廃棄し、ただし採集管およびスピンカラムは残しておく。700uLの緩衝液RWlをスピンカラムに添加する。14,000rpmで15秒間遠心してカラムを洗浄する。フロースルーおよび採集管を廃棄する。スピンカラムを新たな2mL採集管へ移し、500uLの緩衝液RPEをカラムに添加する。14,000rpmで15秒間遠心する。フロースルーを廃棄し、ただし採集管/カラムを残しておく。さらに500uLの緩衝液RPEをカラムに添加する。14,000rpmで2分間遠心する。スピンカラムを1.5mL採集管へ移す。30uLのRNA Storage Solutionをシリカゲル膜に直接添加し、14,000rpmで1分間遠心してRNAを溶離する。最終RNAを−70℃で保存する。
【0151】
RNA 6000 Nanoアッセイ
[00178] Agilent 2100 BioanalyserおよびRNA 6000 Nanoアッセイを用いて、哺乳動物の培養細胞、リンパ球または組織から単離したRNAを定量のために分析する。
【0152】
[00179] 試薬:RNA 6000 Nanoゲルマトリックス、RNA 6000 Nano濃縮色素、RNA 6000 Nanoマーカー(以上の試薬はすべてRNA 6000 Nanoアッセイキットに収容されている,Agilent)、RNA 6000ラダー(ladder)、RNase Zap、および無RNase水:Ambionから。
【0153】
[00180] 装置/他の材料:Agilent Chip Priming Station,Agilent、RNA 6000チップ,Agilent、電極クリーナー、P2、Pl0、P200およびPl000 Rainin Pipetmanピペット、無菌無DNase/RNaseフィルター付きピペットティップ、無菌1.5mLミクロ遠心管、ボルテックス、IKAボルテックスミキサー、ミクロ遠心機、および加熱ブロック。
【0154】
[00181] 操作:操作法は、Agilent TechnologiesによるReagent Kit Guide,RNA 6000 Nano Assay,Edition November 2003に示されている。この説明書に示された操作法に従い、ただし下記の変更を伴う:17頁のゲル調製−濾過したゲルをそれぞれ65uLの部分に分けるのではなく、濾過したゲルの原液を元のミクロ遠心管内に保持しておき、必要に応じて65uLを分取する。22頁のRNA 6000 Nanoマーカーの装填−試料を入れない予定の各試料ウェルに1uLの無RNase水を(RNA 6000 Nanoマーカーの代わりに)添加する。これはマーカーの使用量を節約するだけでなく、無RNase水を含めていずれの試薬も汚染されていないことを知るための陰性対照としても役立つ。23頁のラダーおよび試料の装填−試料およびRNA 6000ラダーを、さらに30秒間(合計2.5分間)、71℃で熱変性させる。26頁−チップ操作の開始−アッセイメニューから“Eukaryote Total RNA Nano”オプションを選択する。
【0155】
実施例4:Affymetrix GeneChip発現分析
[00182] Affymetrix Canine 1およびCanine 2 GeneChip(登録商標)を用いて遺伝子発現を分析する。Affymetrix,Inc.(95051カリフォルニア州サンタクララ)から市販されているアレイ。全RNAをcDNAに逆転写する。このcDNAを用いてcRNAを生成させ、これをフラグメント化し、GeneChipハイブリダイゼーションのためのプローブとして用いる。遺伝子チップを洗浄し、ハイブリダイゼーション信号をAffymetrixレーザースキャナーで測定する。次いでハイブリダイゼーションデータを確認し、以後の分析のために規準化する。
【0156】
[00183] 材料:Affymetrixが大部分の試薬およびキットを提供する。Affymetrixのマニュアルに挙げてあるがキット中に供給されていない他の試薬は、別個に入手できる(詳細についてはGeneChip Expression Analysis Technical Manual(701021 Rev.4)を参照)。RNase Zap(登録商標)および脱イオン水。
【0157】
[00184] 装置:Eppendorfミクロ遠心機、1.5mL無DNase無菌RNase/無菌ミクロ遠心管、50mL無DNase無RNase/無菌ディスポーザブルポリプロピレン試験管、Pl000、P200、P20、Pl0およびP2 Rainin Pipetmanピペット、無DNase無RNase/無菌のPl000、P200、P20、Pl0およびP2ピペット用フィルター付きピペットティップ、ならびにPeltier Thermal Cycler PTC−200。
【0158】
[00185] 操作法:すべての操作をGeneChip Expression Analysis Technical Manual (Affymetrix Copyright 1999−2003)に記載されたものに厳密に従う。5マイクログラムの全RNAを第1鎖cDNA合成に用いる。Peltier Thermal Cycler PTC−200または加熱ブロックを、反応およびプローブ変性に際しての温度制御に用いる。RNA NanoDropチップをBioAnalyer 2100と共に用いて品質管理を行なう。イヌ類の遺伝子チップには100 Format(Midi Array)を用いる。
【0159】
[00186] 実施例5:ネコにおけるアッセイ操作
[00187] ここに示す試験においては、以下に詳述する方法に従って、PAXgene(商標)RNA試験管を用いてネコから全血を採取し、全血試料からPAXgene(商標)RNA単離キットを用いて全RNAを単離する。
【0160】
[00188] PAXgene(商標)による血液RNAの単離:以下に示すように、PAXgene(商標)血液RNA試験管およびPAXgene(商標)血液RNAキット(Quiagen)を一緒に用いて、ネコ類から得た全血から細胞内RNAを単離および精製する(PAXgene(商標) Blood RNA Kit Handbook,PreAnalytix,June 2005も参照)。要約すると、Vacutainer(登録商標)注射針を用いて血液をPAXgene(商標)血液RNA試験管内へ直接採集し、次いで遠心、洗浄および精製の工程を数ラウンド行なうと、最終的に高品質のRNAが得られる。次いでこのRNAは品質管理工程を経由し、次いでAffymetrixプラットフォーム上に特注作製された専売ネコ遺伝子チップを用いて実施するその後の定量リアルタイムPCRおよび/またはマイクロアレイ分析に使用される。
【0161】
[00189] アッセイ調製物:アッセイ開始前に、PAXgene(商標)試験管(血液を入れたもの)を室温で最低2時間インキュベートする。試験管が凍結されており、凍結前に2時間インキュベートされていない場合、それらを室温にさらに2時間放置して融解させる必要があろう。1回目の遠心前に、各PAXgene(商標)試験管を8〜10回反転させる。最初に緩衝液BR4を用いる場合(緩衝液はPAXgene(商標)血液RNAキットに含まれる)、4体積の96〜100%エタノールを濃縮緩衝液に添加して作業溶液を得る。アッセイ開始前に2つの加熱ブロックを予熱する―65℃および55℃。DNase I原液を調製する(RNaseを含まないDNase SetはPAXgene(商標)血液RNAキットに含まれる)。固体DNase I酵素を、キットに備えられた550μLの無RNase水に溶解する。蓋をとる際にDNase Iを失わないことを確認する。試験管を反転させることにより穏やかに混合する。ボルテックスまたは遠心機を使用しない。DNase I酵素と緩衝液RDD(キット構成要素)の混合物を調製する(バッチ当たり処理する試料の数に十分な体積)。各試料に70μLの緩衝液RDDおよびl0μLのDNase Iが必要である(すなわち、20個の試料には1.4mLの緩衝液RDDと200μLのDNase Iとのカクテルが必要であろう)。このカクテルは必要になるまで2〜8℃で保存すべきである。再構成した酵素は2〜8℃で最高6週間は品質良好である。
【0162】
[00190] 試料の保存:PAXgene(商標)試験管(血液を入れたもの)は、処理前に室温で最高3日間保存できる。PAXgene(商標)血液RNA試験管に備えられた製品挿入説明書によれば、細胞RNAプロフィールはこれらの条件下で最高3日間安定である。しかし、これは種間で異なる可能性がある。PAXgene(商標)試験管は4℃で最高5日間保存することもできる。長期保存が必要な場合、PAXgene(商標)試験管を−20℃または−70℃で最高6カ月間保存することができる。試験管をゆるいワイヤリックに入れて垂直位置で凍結すべきである。試験管を−70℃で保存する場合、まず−20℃で凍結させ、次いで−70℃へ移ことを推奨する。試験管をフリーザーから取り出す際には、それらを室温(22℃を超えない温度)で融解すべきである。アッセイを進める前に、各試験管を10回反転させるべきである。
【0163】
[00191] 全血からのRNAの単離:PAXgene(商標)血液RNA試験管を4000×gで10分間遠心する。デカントにより上清を分離して廃棄する。PAXgene(商標)の縁に残っている過剰の上清を吸い取る。4mLの無RNase水をペレットに添加し、新たなHemogardクロージャーで蓋をする。ボルテックス撹拌によりペレットを再懸濁し、次いで4000×gで10分間遠心する。デカントにより上清を分離して廃棄する。PAXgene(商標)の縁に残っている過剰の上清を吸い取る。360μLの緩衝液BRl(キット構成要素)をペレットに添加し、ペレットが完全に再懸濁するまで穏やかにピペッティングする。試料を無菌1.5mLミクロ遠心管へ移し、300μLの緩衝液BR2(キット構成要素)および40μLのプロテイナーゼKを添加する(試料に添加する前に緩衝液BR2とプロテイナーゼKを混合してはならない)。各試験管をボルテックス撹拌によって十分に混合し、55℃に予熱したサーモミキサーに入れる。試験管を1400rpmで10分間、インキュベート/振とうする。細胞溶解物を、2mLの採集管に入れたQIAshredderスピンカラム内へピペットで装入する。14,000rpmで3分間遠心する。フロースルー画分の上清を無菌1.5mLミクロ遠心管へ移す。350μLの96〜100%エタノールを添加し、ピペッティングによって穏やかに混合する。700μLの試料を、2mL採集管に入れたPAXgene(商標)スピンカラムに添加し、14,000rpmで1分間遠心する。PAXgene(商標)スピンカラムを新たな2mL採集管へ移し、フロースルーおよび古い採集管を廃棄する。残りの体積の試料をPAXgene(商標)スピンカラムに添加する。14,000rpmで1分間遠心する。
【0164】
[00192] 上記のスピンカラムの遠心からの古い採集管およびフロースルーを廃棄する。PAXgene(商標)スピンカラムを新たな2mL採集管に入れる。350μLの緩衝液BR3(キット構成要素)をPAXgene(商標)スピンカラムに添加し、14,000rpmで1分間遠心する。フロースルーおよび採集管を廃棄する。カラムを新たな2mL採集管に入れ、80μLのDNase I/緩衝液RDDカクテル(参照:“アッセイ調製物”)をカラム膜に直接添加し、室温で15分間インキュベートする。さらに350μLの緩衝液BR3をPAXgene(商標)スピンカラムに添加する。14,000rpmで1分間遠心する。PAXgene(商標)スピンカラムを新たな2mL採集管へ移し、古い採集管およびフロースルーを廃棄する。
【0165】
[00193] 500μLの緩衝液BR4(キット構成要素)をPAXgene(商標)スピンカラムに添加する。14,000rpmで1分間遠心する。PAXgene(商標)スピンカラムを新たな2mL採集管に入れ、古い採集管およびフロースルーを廃棄する。さらに500μLの緩衝液BR4をPAXgene(商標)スピンカラムに添加する。14,000rpmで3分間遠心して、スピンカラム膜を乾燥させる。採集管およびフロースルーを廃棄し、カラムを新たな2mL採集管に入れる。試料を再び14,000rpmでさらに1分間遠心して、カラム膜をさらに乾燥させる。フロースルーおよび採集管を廃棄する。PAXgene(商標)スピンカラムを1.5mL溶離管へ移す。40μLの緩衝液BR5(キット構成要素)をPAXgene(商標)スピンカラム膜に直接添加する。14,000rpmで1分間遠心する。PAXgene(商標)スピンカラムを取り出し、1.5mL溶離管内の溶出液を同じPAXgene(商標)スピンカラム上へピペットで移す。PAXgene(商標)スピンカラムを同じ溶離管へ戻し、14,000rpmで1分間遠心する。最終溶出液を65℃で5分間インキュベートし、直ちに氷上で冷却する。最終RNA試料を、その後の使用のために−80℃で保存する。
【0166】
実施例6:対照ネコと比較した骨関節炎を伴うネコにおける遺伝子発現
[00194] 実施例5に従って関節炎ではないネコおよび骨関節炎を伴うネコを用いて試験を実施して、関節炎ではないネコと骨関節炎を伴うネコの間の基礎遺伝子発現差を判定する。第1試験においては、2グループのネコ間のベースライン比較を行なって、関節炎ではないネコと骨関節炎を伴うネコの間の基礎遺伝子発現差を判定する。組織および体液の試料を調製するために、本明細書中の実施例に全般的に記載した操作法を使用できる。
【0167】
[00195] ここに示す試験に関して、骨関節炎を伴うネコにこれまでに公開されている方法に従ってグレードを付ける;すなわち、関節炎ではないすべてのネコを“グレード0”とし、これは関節が正常と思われることを示す;骨関節炎を伴うネコは1(小さな腱(靭帯)増殖体(enthesophyte)または小さな骨増殖体(osteophyte))または2(より顕著な腱(靭帯)増殖体または骨増殖体)のいずれかのグレードをもつ。重篤な骨関節炎(グレード3)をもつネコはこの試験には含まれない。
【0168】
[00196] 専売の特注ネコ遺伝子チップ(Affymetrix)を用いて、骨関節炎を伴うネコおよび伴わないネコ(正常な動物10匹、関節炎の動物10匹)においてベースライン遺伝子発現を評価する。前記に示したように、2グループ間のベースライン比較を行なって関節炎ではないネコと骨関節炎を伴うネコの間の基礎遺伝子発現差を判定するために、常法を用い、製造業者の指示に従って、遺伝子チップ分析を実施する。
【0169】
[00197] 生の遺伝子チップデータを、ロバストマルチアレイ平均(Robust Multiarray Average)(RMA)基準化アルゴリズム(Irizarry, et al., Biostatistics 2003 Vol 4, Page 249-264)を用いて基準化し、次いでサポートベクターマシーン(Support Vector Machine)(SVM)アルゴリズム(Partek Genomic Suite,Version 6)を用いる統計分析を行なって、関節炎の動物と関節炎ではない動物を識別できる遺伝子発現差を判定する。OAバイオマーカーとして同定される遺伝子を、p値カットオフおよび変化倍率(fold change)(FC)に基づいて選択する。
【0170】
[00198] 関節炎の動物および関節炎ではない動物において遺伝子発現プロファイリングを決定し、図3および15に報告する。関節炎のネコにおいて1倍より大きくアップレギュレートされることが見いだされた遺伝子は下記のものである:IL−lベータ、TNF、HMGBl、p38、TLR2およびTLR4。これらの遺伝子およびそれらの遺伝子生成物は炎症プロセスに関連し、異常な筋骨格障害、特に骨関節炎のマーカーとみなされるであろう。さらに、下記の遺伝子が関節炎のネコにおいて1倍より大きくアップレギュレートされることが見いだされた:COL2A1、COLlAl、COL3A1、COL4A1およびアグリカン。これらの遺伝子およびそれらの遺伝子生成物は軟骨分解に関連し、異常な筋骨格障害、特に骨関節炎のマーカーとして役立つであろう。
【0171】
[00199] 実施例6に従って実施した試験の結果は、遺伝子発現を利用して正常なネコと骨関節炎を伴うネコを識別できることを指摘する。関節炎のネコにおいて炎症に関連して差次発現する遺伝子を図3および15に示す。したがって、これらの同定した遺伝子はネコにおいて本明細書に記載する発明のためのバイオマーカーとして使用でき、下記の遺伝子を含む:IL−lベータ、TNF、HMGBl、p38、TLR2、TLR4、COL2A1、COLlAl、COL3A1、COL4A1およびアグリカン。
【0172】
[00200] 実施例7:ネコ用食物組成物j/d投与後の関節炎のネコの平均活動度
[00201] 実施例6に記載した関節炎のネコおよび関節炎ではないネコに関する栄養試験から得られた臨床データは、食事介入が関節炎のネコに影響を及ぼし、その運動性を向上させることをを指摘する。本発明のネコ用食物組成物j/dの食事を与えたネコは、対照食を与えたネコを上回る統計的に有意の活動度向上を証明した。臨床試験の結果を図16に報告する。観察データに基づけば、本発明のネコ用食物組成物j/dを与えたネコは、30%を超える運動性向上を示した;これは、本発明の被験食の投与により、基礎疾患である骨関節炎の総体的症状の改善が達成されたことを証明する。図16に示したデータから、当業者は、被験食である食物組成物j/dの投与の結果として、ネコがより大きい運動性をもち、痛みおよび炎症がより少ないことを推測できる。
【0173】
[00202] 実施例8:組成物j/d投与後のイヌの夜間活動度
[00203] 本発明のイヌ用食物組成物j/dの投与を伴う臨床試験をイヌにおいて実施した。食物組成物j/dを与えた関節炎のイヌの夜間活動の観察を実施し、対照食を与えたイヌおよび投薬を受けなかったイヌと対比して記録した。測定はACTIWATCH(登録商標)装置で行なわれた。これらの装置は、肉眼的運動活動度のディジタル積分測定値を記録するアクチグラフィー(actigraphy)ベースのデータロガー(data logger)である。各装置はアクチグラフィー原理を用いて、睡眠スケジュール変動度、睡眠の量および質の統計値、ならびに昼間活動パターンを提供する。これらの装置は、動物の移動環境に関する客観的データを収集する。この臨床試験の結果により関節炎のイヌの夜間活動度の有意の低下が証明され、これにより、食物組成物j/dを与えたイヌは、関節の硬直および痛みを含めた基礎関節炎の総体的症状のより大幅な軽減および慰安を受けたことが証明される。この臨床試験からのデータを図17に報告する。
【0174】
[00204] 実施例9:イヌ用食物組成物j/dを与えた後のイヌにおけるタンパク質マーカーレベル
[00205] 関節炎のイヌおよび関節炎ではないイヌにおいて、イヌの軟骨分解に関連する2種類のタンパク質マーカーC2CおよびC1,C2のベースラインレベルを求めた。動物の血液試料を採取し、本明細書に記載する常法により検査した。この検査結果により、これらのマーカーの遺伝子生成物は関節炎のイヌにおいて増加し、遺伝子発現に対する食事成分の有効性を判定するためのマーカーとして使用できることが証明された。ベースラインデータを図5および6に示す。
【0175】
[00206] 関節炎のイヌおよび関節炎ではないイヌに関する栄養試験から臨床データを求めた。この実施例に記載する被験イヌに、図4の食物組成物として同定される本発明の食事を与えた。C2CおよびC1,C2関節炎マーカーのレベル、ならびに異常な筋骨格関節障害に関係することが知られている他のタンパク質マーカー、すなわち、コラーゲンCTX−IIのレベルの評価を行なった。図10、11および12に示すデータは、被験動物および対照動物の血液において測定したタンパク質マーカーレベルを表わす。図4に示すイヌ用食物組成物j/dの食事を与えたイヌは、図10、11および12に示すように統計的に有意の血漿C2C、C1,C2およびCTX−IIレベル低下を証明した。このバイオマーカーデータが、本発明の食事組成物、特にこの実施例に示した食物組成物j/dを与えたイヌが基礎疾患プロセス(この場合は骨関節炎)の総体的臨床症状の改善を示すという臨床所見を支持することは、当業者に認識されるであろう;これは、骨関節炎を含めた軟骨分解および局所関節炎症状態に関連する特定の遺伝子のダウンレギュレーションおよび特定の遺伝子生成物の発現低下と相関する。
【0176】
[00207] 実施例10:関節炎のイヌ類および関節炎ではないイヌ類においてアップレギュレートおよびダウンレギュレートされるイヌ類遺伝子の遺伝子チップ分析
[00208] 市販のイヌ類遺伝子チップ(Affymetrix GeneChip2)を用いて、当技術分野で知られている標準臨床診断基準に従って判定された関節炎を伴うイヌおよび伴わないイヌの2グループにおいて、ベースライン遺伝子発現を評価した。遺伝子チップ分析は、常法を用い、製造業者の指示に従って実施された。実施例1の一般的なプロファイリング法および本明細書に述べる他の実施例に概説した分析技術を用いて遺伝子発現プロファイリングを実施し、2グループ間のベースライン比較を求めて、関節炎ではないイヌ類とイヌ類との基礎遺伝子発現差を判定した。
【0177】
[00209] 当業者に慣用される標準的な動物栄養試験法に従って、関節炎のイヌおよび正常なイヌに、j/dと表記される食物組成物を含む被験食を与え、次いでqRT−PCRを用いて動物の遺伝子発現の変化を分析した。
【0178】
[00210] 生の遺伝子チップデータを、ロバストマルチアレイ平均(RMA)基準化アルゴリズム(Irizarry, et al., Biostatistics 2003 Vol 4, Page 249-264)を用いて基準化し、次いでサポートベクターマシーン(SVM)アルゴリズム(Partek Genomic Suite,Version 6)を用いる統計分析を行なって、関節炎の動物と関節炎ではない動物を識別できる遺伝子発現差を判定する。関節炎バイオマーカーとして同定される遺伝子を、p値カットオフおよび変化倍率(FC)に基づいて選択する。
【0179】
[00211] 生の遺伝子チップデータを、ロバストマルチアレイ平均(RMA)基準化アルゴリズム(Irizarry, et al., Biostatistics 2003 Vol 4, Page 249-264)を用いて基準化し、次いでサポートベクターマシーン(SVM)アルゴリズム(Partek Genomic Suite,Version 6)を用いる統計分析を行なって、関節炎の動物と関節炎ではない動物を識別できる遺伝子発現差を判定する。OAバイオマーカーとして同定される遺伝子を、p値カットオフおよび変化倍率(FC)に基づいて選択する。
【0180】
[00212] これらの試験の結果により、遺伝子発現を利用して正常なイヌと関節炎を伴うイヌを識別できることが指摘される。関節炎のイヌにおける炎症に関連する差次発現遺伝子を、図1、2、7および8に示す。本明細書に述べる開示内容の一般原理を限定するものではなく、図1、2、7および8に示す遺伝子は本明細書に記載する発明のバイオマーカーとして使用でき、これにはアネキシンAl、カテプシンD、カテプシンF、カテプシンS、RELA、HMGB1、IL−15、1L−17受容体、TLR4、COL2A1、COLlAl、COL4A1、MMP−13、TIMP−2、MMP−2、FLAP、PLA2、MAPKl、MAPK2が含まれる。
【0181】
[00213] 実施例11:食物組成物j/dの食事を与えた関節炎のイヌ類および関節炎ではないイヌ類においてアップレギュレートおよびダウンレギュレートされるイヌ類遺伝子の遺伝子チップ分析
[00214] 市販のイヌ類遺伝子チップ(Affymetrix GeneChip2)を用いて、骨関節炎を伴うイヌおよび伴わないイヌの2グループにおいて、遺伝子発現を評価した。合計30匹の関節炎のイヌおよび31匹の関節炎ではないイヌを試験した。遺伝子チップ分析は、常法を用い、製造業者の指示に従って実施された。実施例1の一般的なプロファイリング法および本明細書に述べる他の実施例に概説した分析技術を用いて遺伝子発現プロファイリングを実施した。第1グループ30匹の被験動物は、当技術分野で周知の臨床診断法に従って関節炎と判定された。第2グループのイヌ類は、同じ臨床診断基準に従って関節炎ではないとみなされた。当業者に慣用される標準的な動物栄養試験法に従って、関節炎のイヌおよび正常なイヌに、j/dと表記される食物組成物を含む被験食を与え、次いでqRT−PCRを用いて動物の遺伝子発現の変化を分析した。
【0182】
[00215] 当業者に慣用される標準的な動物栄養試験法に従って、関節炎のイヌおよび正常なイヌに、j/dと表記される被験食を与え、次いでqRT−PCRを用いて動物の遺伝子発現の変化を分析した。
【0183】
[00216] qRT−PCRに関して、Taqmanプローブ技術を用い、すべての分析をApplied Biosystems 7500リアルタイムPCR機器により実施する。製造業者が提供する配列検出ソフトウェアパッケージ、バージョン1.2.2.を用いてデータを分析する。
【0184】
[00217] 前記の実施例の記載に従って調製した組織試料を用い、市販のイヌ類遺伝子チップ(Affymetrix GeneChip2)を用いて、関節炎を伴うイヌおよび伴わないイヌにおいて遺伝子発現を評価した。生の遺伝子チップデータを、ロバストマルチアレイ平均(RMA)基準化アルゴリズム(Irizarry, et al., Biostatistics 2003 Vol 4, Page 249-264)を用いて基準化し、次いでサポートベクターマシーン(SVM)アルゴリズム(Partek Genomic Suite,Version 6)を用いる統計分析を行なって、関節炎の動物と関節炎ではない動物を識別できる遺伝子発現差を判定する。関節炎および炎症のバイオマーカーとして同定される遺伝子を、p値カットオフおよび変化倍率(FC)に基づいて選択する。
【0185】
[00218] この実施例からのデータを表3に示す。それらのデータは、変化倍率カットオフ1.1、p値カットオフ0.05、およびQ値カットオフ0.3を採用した場合の2383の記録を含む。これらの分析基準を用いると、1を超える変化倍率は、関節炎のイヌグループから採取した試料においてそれらのプローブがアップレギュレートされていることの指標となる。表3に示すデータは、第1カラムにユニークAffymetrixプローブ識別番号、以下それぞれp値、q値、変化倍率、1/変化倍率の値、Top BLAST注釈、一致率パーセント、ヒト寄託番号、トップヒット寄託番号、遺伝子記号、および遺伝子の説明を記載する。当業者はこのデータから、通常の実験分析のみを用いて下記の情報を演繹するであろう:変化倍率カットオフ基準、アップまたはダウンレギュレートされた目的遺伝子、およびBLAST注釈によるそのような遺伝子の同定、関係するヒト寄託番号、および同定されたそのような各遺伝子の配列、ならびに対応する遺伝子生成物、およびそのような遺伝子生成物の配列;これらは、製造業者から入手できる情報、および当業者が容易に入手できる遺伝子配列データベースから入手できる情報に基づく。さらに、Affymetrixアレイに用いられたユニークプローブに関する配列は、製造業者の公開情報源を参照することにより一般に入手できる。同様に、Affymetrixチップのバージョン1および2に用いられた各プローブの公開された配列情報および同定は、製造業者から、およびプローブセット相互の比較により、容易かつ一般に入手できる。本発明の組成物および製品の製造および使用を実施する際に、ならびに本明細書に教示される発明の製造方法および使用方法を実施する際に、当業者はそのような遺伝子発現データ、同定した調節異常な遺伝子、およびそれらに対応する遺伝子生成物を、このデータから同定して利用することができる。本明細書および特許請求の範囲に開示した本発明の範囲を限定することなく、特定の当該遺伝子および遺伝子生成物がイヌおよびネコの関節炎状態に高度に関係すると同定することができる。表3に述べたデータ中に教示されるこれらおよび他の遺伝子および遺伝子生成物は、表3に述べた当該遺伝子を調節する本発明組成物、特にj/dと表記する食物組成物を動物に与えた場合、イヌおよびネコが罹患する、基礎疾患である異常な筋骨格関節障害、特に関節炎状態に対して有益な作用をもつと推測することができる。
【0186】
【表1】

【0187】
【表2−1】

【0188】
【表2−2】

【0189】
【表2−3】

【0190】
【表2−4】

【0191】
【表2−5】

【0192】
【表2−6】

【0193】
【表2−7】

【0194】
【表2−8】

【0195】
【表2−9】

【0196】
【表2−10】

【0197】
【表2−11】

【0198】
【表2−12】

【0199】
【表2−13】

【0200】
【表2−14】

【0201】
【表2−15】

【0202】
【表2−16】

【0203】
【表2−17】

【0204】
【表2−18】

【0205】
【表2−19】

【0206】
【表2−20】

【0207】
【表2−21】

【0208】
【表2−22】

【0209】
【表2−23】

【0210】
【表2−24】

【0211】
【表2−25】

【0212】
【表2−26】

【0213】
【表2−27】

【0214】
【表2−28】

【0215】
【表2−29】

【0216】
【表2−30】

【0217】
【表2−31】

【0218】
【表2−32】

【0219】
【表2−33】

【0220】
【表2−34】

【0221】
【表2−35】

【0222】
【表2−36】

【0223】
【表2−37】

【0224】
【表2−38】

【0225】
【表3−1】

【0226】
【表3−2】

【0227】
【表3−3】

【0228】
【表3−4】

【0229】
【表3−5】

【0230】
【表3−6】

【0231】
【表3−7】

【0232】
【表3−8】

【0233】
【表3−9】

【0234】
【表3−10】

【0235】
【表3−11】

【0236】
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【0398】
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【表3−175】

【0400】
【表3−176】

【0401】
【表3−177】

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【表3−178】

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【表3−180】

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【表3−186】

【0411】
【表3−187】

【0412】
【表3−188】

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【表3−189】

【0414】
【表3−190】

【0415】
【表3−191】

【0416】
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【0418】
【表3−194】

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【表3−195】

【0420】
【表3−196】

【0421】
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【0422】
【表3−198】

【0423】
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【0424】
【表3−200】

【0425】
【表3−201】

【0426】
【表3−202】

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【表3−203】

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【表3−205】

【0430】
【表3−206】

【0431】
【表3−207】

【0432】
【表3−208】

【0433】
【表3−209】

【0434】
【表3−210】

【0435】
【表3−211】

【0436】
【表3−212】

【0437】
【表3−213】

【0438】
【表3−214】

【0439】
【表3−215】

【0440】
【表3−216】

【0441】
【表3−217】

【0442】
【表3−218】

【0443】
【表3−219】

【0444】
【表3−220】

【0445】
【表3−221】

【0446】
【表3−222】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のものを含む組成物:
a)少なくとも1種類のオメガ−3脂肪酸、
b)少なくとも1種類のグリコサミノグリカン、
c)少なくとも1種類のアミノ糖、
d)少なくとも1種類の抗酸化剤、および
e)カルニチンまたはアセチルカルニチン。
【請求項2】
オメガ−3脂肪酸が、アルファ−リノール酸(ALA)、ドコサヘキサン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
グリコサミノグリカンが、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸およびヒアルロナンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミノ糖が、ガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸およびN−アセチルグルコサミンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
抗酸化剤が、ビタミンC、トコフェロール類、トコトリエノール類、グルタチオン、リポ酸、メラトニンおよびベータ−カロテンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
さらに、少なくとも1種類の食物無機質を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
食物無機質が、カルシウム、塩化物、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、硫黄、亜鉛およびバナジウムからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、少なくとも1種類の必須アミノ酸を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
対象において異常な関節状態を処置する方法であって、その必要がある対象に請求項1に記載のいずれかの組成物を投与することを含む方法。
【請求項10】
異常な関節状態が、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
対象において異常な関節状態の発症を遅延させる方法であって、その必要がある対象に請求項1に記載のいずれかの組成物を投与することを含む方法。
【請求項12】
異常な関節状態が、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象において対象が異常な関節状態に罹患するリスクを低下させる方法であって、その必要がある対象に請求項1に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項14】
異常な関節状態が、骨関節炎、リウマチ性関節炎、および局所関節炎症である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象において1種類以上の遺伝子の発現を変化させる方法であって、その必要がある対象に請求項1に記載のいずれかの組成物を投与することを含み、1種類以上の遺伝子がアネキシンA1、カテプシンD、カテプシンF、カテプシンS、RELA、HMGB1、IL−1β、TNFα、TNFβ、TLR−2、TLR−4、p38 MAPK、TIMP−1、TIMP−2、MMP−1、MMP−2、MMP−13、IL−15およびIL−17受容体からなる群から選択される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−528668(P2011−528668A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518960(P2011−518960)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/051169
【国際公開番号】WO2010/009474
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】