説明

高い放射線不透過性を有する医療装置用ポリマー

ポリマー重合体製マーカー中の高い放射線不透過性は、ポリマー樹脂、均一な粒子形状および特別な粒子の大きさの配分を有する粉末状の放射線不透過剤、並びに、浸潤剤を混合することにより達成される。まず、このようなマーカーの製造において求められる材料の混合とペレット化は、支持ビード上への押出加工により実現される。次に、結果物はチューブに支持され、静置されたビードとともに適切な長さに切断される。ビードの残余物が排出された後、マーカーは装置の上に滑り込まされ、溶着されて装置に取り付けられる。このようにしてマーカーが付されたガイドワイヤーにより、病巣を測定することができる。また、このようにしてマーカーが付されたバルーンカテーテルにより、バルーンを病巣に対し適切な相対的位置に配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年10月22日に提出された出願(10/667,710号)の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、細長い身体内装置に関するものであり、とりわけ、ステントの配置、経皮経管冠動脈形成手段(PTCA)またはこれに類する手段を備えた管腔内装置に関する。
【背景技術】
【0003】
PTCAは、冠状動脈性心臓病の治療に広く用いられている手段である。この手段は、バルーン膨張カテーテルを、患者の冠状動脈内部を進行させ、次に、カテーテルのバルーンを患者の動脈内の狭窄部において膨張させ、これにより、動脈内の通路を拡大するとともに動脈内の血流を増大させる手段である。このバルーン膨張カテーテルを患者の冠状動脈内において進めるため、まず、末端部が予形成されたガイドカテーテルを、セルディンガー法により患者の上腕動脈または大腿部の動脈を経由して心臓血管組織内に経皮的に挿入する。このガイドカテーテルは、ガイドカテーテルに形成された末端部が、所望の冠状動脈の孔に近接する大動脈内部に達するまで動脈内部を進む。その後、バルーン膨張カテーテルが、カテーテルのバルーンが患者の動脈内の狭窄部に達するまで、ガイドカテーテル内部を通過して患者の冠状動脈内に向けて進む。
【0004】
一旦バルーンが狭窄部を横切って適切に配置されると、比較的高圧(例えば、通常4乃至12気圧)の放射線不透過性の液体により、バルーンは所定の大きさになるまで一回以上膨張され、これにより、動脈の狭窄部が拡げられる。この膨張の後、バルーン膨張カテーテルを血流が再開するように拡げられた狭窄部から抜き去るために、バルーンは最終的に収縮される。
【0005】
同様に、バルーンカテーテルは、ステントのような人工内部装置を配置するためにも用いられる。通常、ステントは円筒形状からなる血管内装置であり、損傷を受けた動脈内に配置され、この動脈を開いた状態に保持する。またステントは、血管内治療の直後に血管が再狭窄することを防止するとともに、血管内の開通性を保持することに用いることもできる。典型的には、圧縮などにより直径が小さくなったステントが、カテーテルの末端部に設けられたバルーンなどの拡張部材近傍に配置され、カテーテルとカテーテルに取り付けられたステントが共に患者の血管内部を進む。その後、バルーンが膨張し、これにより血管内のステントが拡張される。
【0006】
次に、カテーテルを引き抜けるようにバルーンが収縮し、カテーテルを引き抜いた後に拡張したステントが血管内部に取り残される。
【0007】
一般に、バルーンカテーテルの末端部や他の経皮的な装置の末端部には、放射線不透過性を有する1つ以上のマーカー部が設けられている。このマーカー部は、装置の作業者がX線画像または蛍光透視画像の下、装置の場所や方向を確かめられるようにするためのものである。
【0008】
一般に、放射線不透過性固体金属からなるバンドやリングは、バルーンカテーテルの内側または外側に設けられた軸に固定され、放射線不透過性マーカーとしての機能を果たす。しかしながら、固体金属からなるバンドはポリマー重合体からなるバルーンカテーテルの軸と比べて柔軟性を欠くため、上述した形状によりカテーテルの軸が局所的に硬くなり、この軸に好ましくない裂け目を生じさせる。加えて、金属製のマーカーは製造コストが高く、また正確に基礎となる装置に貼り合わせることが比較的難しい。
【0009】
参考文献である、米国特許No.6,540,721に記載されているとおり、従来のマーカーを使用するうえでの多くの問題点は、硬い貴金属製のチューブを適当な放射性不透過剤を充填または塗布したポリマー重合体製のチューブに置き換えることにより解消されている。このようなマーカーは、元素タングステン等からなる粉末状の放射線不透過剤を含むポリマー合成樹脂を混合し、その後この混合物を適切な内径および肉厚からなる管状形状に成型することにより作製される。その後この成型品は個々の長さに切断され、溶着工程において所望の構成部材に取り付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したポリマー重合体および放射線不透過剤は、容易に混合することができ、マーカーの寸法として適当な形状に安価に形成することができ、かつポリマー基質の望ましい特性を過度に損なうことなく構成部材に取り付けることができる混合物を生ずるようなものでなければならないと。このような点は、上述した方法の欠点として知られている。放射線不透過剤の現実的な充填比率は、顕著な放射線不透過性を実現するために必要とされるマーカーの厚みにより決定される。タングステンが充填された、ペバックス(Pebax)(ポリエーテル阻害アミド)のようなポリマー重合体の場合、従来、前記充填比率の限界は約80重量%であることが知られている。この重量比率は18体積%に相当し、この比率においてマーカーが十分な放射線不透過性を有するためには、マーカーを極めて厚くしなければならない。
【0011】
したがって、ポリマー重合体製マーカーにおける放射線不透過剤の充填比率を、従来から実現可能な充填比率より実質的に高い充填比率とすることが求められる。
【0012】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、装置の全体形状を過度に大きくすることなく、かつ基礎となる構成部材の柔軟性を阻害することなく、装置の視認性を向上させることができるポリマー重合体製マーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、医療装置における放射線不透過性ポリマー重合体製マーカーに関する。
【0014】
本発明は、従来より実現可能な量を上回る極めて多量の放射性不透過剤を充填または塗布することにより、放射線不透過性を有するポリマー重合体製マーカーにおける上述した欠点を解決するものである。また、このように充填比率が高いにも関わらず、ペレットを均一に混合することができ、かつ適切な肉厚に加工して形成することができる。
【0015】
このようなマーカーにより、マーカーが有する放射線不透過性および柔軟性の両方を実現することができる。また、このようなマーカーにより様々な管腔内装置内部に放射性不透過部を形成することができるが、マーカーを取り付ける装置としては、冠状動脈末梢バルーンカテーテル、ステント運搬カテーテル、ならびにガイドカテーテルおよびガイドワイヤーに限定されない。
【0016】
本発明によるマーカーは、放射線不透過剤の使用方法によるものであり、この放射線不透過剤は、ポリマー/放射線不透過剤の混合物内に一以上の添加物からなる含有物を有し、かつ、予め選択された粒子形状および予め選択された粒子直径の分布を有する。多機能なポリマー重合体からなる添加剤が混合物に加えられ、この添加剤は、ポリマー重合体による個々の放射性不透過部分の湿潤性、粘着性および流れ性を向上させる。これにより、放射性不透過部分がポリマー重合体内にカプセル化されるようになり、また、ポリマー重合体に連続的な結合体を形成することができる。この混合物に酸化防止剤を任意的に加えても良く、これにより、混合工程および押出加工工程において高温下で剪断応力が加わっても、ポリマー基質の高い分子量を保持することができる。
【0017】
前記充填比率を増加させる従来の試みは、タングステン粉末の粒子直径を相対的に適正なものとすることに傾注していた。一方、本発明は、上述した作用効果を得るために、粒子直径を増大した粒子を使用する方法に依拠する。このように粒子直径を増大させることにより、ポリマー重合体の連続的な結合体としての機能をより効果的なものとすることができる。これにより、同一の充填比率であっても可塑性を増加させ、または、充填比率が増大しても可塑性を維持することができる。また、望ましい結果を得るためには、粒子直径の平均を少なくとも2ミクロンとすることが必要であり、かつ、粒子直径の最大は約20ミクロンに制限される。本発明によるポリマー重合体製マーカーによれば、例えば、ペバックス(Pebax)内のタングステン粒子の場合、容易に充填比率を約91.3重量%(36.4体積%)以上とすることができる。一つの具体例として、充填比率を約90.8重量%(34.9体積%)乃至約93.2重量%(42.7体積%)とすることができる。加えて、タングステン粉末が製造される工程は、個々の粒子形状および粒子直径の分布に重要な効果をもたらす。
【0018】
「プッシャー」工程または「微粒子化」工程において製造されたタングステン粉末は、その後、製粉および分類され、比較的等軸の形状と大きさとを有する分離した粒子となる。この結果、製粉され分類されたタングステン粉末は、「回転式」処理工程により製造された粉末よりも本発明の目的に適するものとなる。
【0019】
本発明によるマーカーは以下のようにして製造される。まず、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)のようなペレット化した湿潤剤を有するポリマー重合体樹脂および酸化防止剤を回転混合させ、この混合物を2軸スクリュー押出機の第1供給機内に投入する。この混合物は、流量質量を制御されて2軸スクリュー押出機内に送り込まれ、融解点を上回る温度で加熱され混合されながら、外筒部の長さになるまで下方に押出される。次に、下流工程において、この混合物内に、第2供給機を経由したタングステン粉末が流量質量を制御されて投入される。このタングステン粉末および融解された混合物は、下流工程に運搬されて融解したひも状の混合物として金型内に排出されるまでの間、十分に混合される。次に、この融解したひも状の混合物は、水により冷却されてペレット状になる。その後、タングステン粉末を混合したポリマー重合体を細長い連続的なPTFEのビード上に押出すことにより、所望の肉厚を有するマーカーが形成される。この押出工程における許容公差は、上記押出物の外径が0.001インチ(0.025mm)程度も変動するほどの公差であり、これはマーカーの放射線不透過性およびマーカーの完成品の特性に顕著な影響を与えるほど大きい公差である。このため、好ましい実施例では、この押出物は高温の金型内でくびれが形成され(すなわち、支持棒から押出された細長いPTFEのビードのようなチューブは、高温の金型内に挿入されて金型の形状と同一となる)、外径が再度形成されて適当な肉厚を有するようになる。このようにして加工された押出物は適切な長さに切断され、支持体に取り付けるために適当な場所に静置される。次に、ビードの残余物を除去することにより、マーカーが医療装置上または医療構成部材上に滑り込まされ、適当な位置において溶着固定される。このポリマー重合体製マーカーは、典型的には筒形状または環形状の閉塞した固体壁を有するバンドからなる。しかしながら、このポリマー重合体製マーカーは、適切な種々の形状からなるものであってもよい。
【0020】
上述した確実な溶着方法により、マーカーが基礎となる装置上を完全に囲む必要性が除かれる。例えば、2つのマーカーが断面C字形状となるように縦方向に半分に分離されて設けられていても良い。また、固体のひも状に押出されたマーカーの材料が一側面に溶着され、1つ以上の縦縞模様または螺旋模様を描くようになっていても良い。
【0021】
溶着を行なっている間、ポリマー重合体製マーカーは、ポリマー重合体を溶着するのに十分な高度になるまで加熱される。しかしながら、前記温度は必要最小限度に抑え、またはマーカーのポリマー重合体材料が流動化しない程度とするのが好ましい。
【0022】
したがって、溶着後におけるポリマー重合体製マーカーの両壁間距離(外径から内径を引いた長さ)は、溶着前における両壁間距離と同一またはそれ以上(多くとも5%乃至25%以上)となる。ポリマー重合体製マーカー端部に設けられた曲面の一部は、マーカーが溶着される間に形成されるが、マーカーの溶着中にマーカーの壁の最大厚さが減少しないことが好ましい。マーカーの放射線不透過性は、マーカーに含まれる放射線不透過剤の投入割合およびマーカーの最終的な肉厚により強く影響される。したがって、所望の放射線不透過性を得るためには、マーカーに含まれる放射線不透過剤の投入割合およびマーカーの最終的な肉厚を慎重に制御する必要がある。仮にポリマー重合体製マーカーの肉厚が、必要とされる肉厚の最小値より小さい場合、マーカーの放射線不透過性が小さすぎることになる。一方、仮にポリマー重合体製マーカーの外径/肉厚が、必要とされる外径/肉厚の最大値より大きい場合、このような大きい形状および余計に付与された剛性により、カテーテルの特性に不都合な影響を及ぼす。
【発明の効果】
【0023】
このように、高温の金型でくびれが形成された押出物が上限値と下限値との間の好ましい外径および肉厚を有することより、マーカーの溶着時において、マーカーの薄肉化がなくなるため、全体として適切な外径のマーカーを得ることができる。このようにして、完成品におけるマーカーの放射性不透過性を低減させる効果を有するマーカーの肉厚の減少を完全に防ぐことができるか、または最小化することができる。一の実施の形態において、医療装置上または医療構成部材上にポリマー重合体製マーカーが粘着された場合、結果的に、このマーカーの肉厚はマーカーの溶着工程により何らの影響も受けない。
【0024】
本発明によるマーカーが高い放射線不透過性、柔軟性および溶着性を有することにより、例えばバルーンカテーテル、ガイドワイヤー、およびガイドカテーテルのチップ等の内側部材に対してマーカーを容易に取り付けることができる。このようにして、一般的な寸法を有する放射線不透過性マーカーをガイドワイヤーへ取り付け、または、複数のマーカーを一般的な間隔を空けてガイドワイヤーへ取り付けることにより、カテーテルの測定性能が決定される。また、このようなカテーテルを用いることにより、医師が迅速かつ簡単に病巣を発見し、かつ医師が迅速かつ簡単に適切なステントの長さを決定することができる。
【0025】
本発明による上述の特徴および他の特徴は、本発明の原理を具体的に示す、後述する実施の形態に関する詳細な説明を添付図面と併せて参照することにより明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明による放射線不透過マーカーは様々な装置に対して適用することができるものであり、また、柔軟性があり、高い放射線不透過性を有し、かつ様々な装置に容易に溶着固定することができるものである。このような性質により、放射線不透過マーカーの厚さを最小とすることができ、マーカーが有する全体的な特性による影響を最小化することができ、かつマーカーが取り付けられる装置の剛性を最低限のものとすることができる。
【0027】
ポリマー重合体材料の混合性および加工性を損なわず、またポリマー重合体材料の極限強度および柔軟性に関して妥協することなく、所望の放射線不透過性を実現するために必要となる放射線不透過剤の高い充填比率を達成するためには、多くの異なるパラメータが重要となる。より具体的には、ポリマー重合体の混合物内部におけるMA−g−PO等の湿潤剤からなる含有量が重要となるとともに、放射線不透過剤の粒子形状および粒子直径を慎重に制御しなければならない。酸化防止剤は、高い加工温度および剪断応力がポリマー重合体の特性に与える悪影響を軽減するために付加的に加えられる。
【0028】
本発明によるマーカーを製造するのに好適なポリマー重合体材料は多数存在する。マーカーを柔軟なものとし、最終的にマーカーが取り付けられる基礎となる医療装置の構成部材の柔軟性を損なわないようにするために、このようなポリマー重合体材料は、デュロメーターによる硬さの低いポリマーからなるのが好ましい。加えて、一の実施の形態において、マーカーを構成部材の適切な位置に溶着できるように、マーカーを構成するポリマー重合体と、構成部材を構成するポリマー重合体材料とが適合することが好ましい。例えば一の実施の形態において、ポリマー重合体製マーカーと、カテーテルシャフトの少なくとも外層部分とを互いに溶着できるように、これらが同種のポリマー重合体(例えばポリアミド)からなるのが好ましい。また、他の実施の形態において、ポリマー重合体製マーカーが、異種のポリマー重合体からなる基材に粘着手段または形状的結合手段により取り付けられていても良い。さらに、混合物を押出してマーカーとして成型することを促進し、次工程においてマーカーを搬送して医療装置に取り付けることを促進し、かつ、医療器具の使用時における医療器具の可撓性や操作性をマーカーが完全に保持できるように、ポリマー重合体がマーカーの混合物に十分な強度と可塑性とを与える必要がある。上述したポリマーには、ペバックス(Pebax)等のポリアミド共重合体、ペレタン(Pellethane)(登録商標)等のポリエーテルウレタン、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)等のポリエステル共重合体、オレフィン誘導共重合体、シリコンゴムやサントプレーン(Santoprene)(登録商標)のような天然ゴムや合成ゴム、クラトン(Kraton)(登録商標)のような熱可塑性エラストマー、またはEVAおよびイオノマーのような特殊ポリマー共重合体等、並びにそれらを有する合金を含んでいるが、これに限定されるものではない。ショアデュロメーター(Shore Durometer)による硬さは、約63Dから約25Dの範囲内が好ましい。本発明によるマーカーの製造に用いられるポリマー重合体として好適なのは、約40Dのショアデュロメーター(Shore Durometer)の硬さからなるポリエーテル阻害アミド共重合体(Pebax)である。しかしながら、他の種類の低デュロメーターポリマー重合体もポリウレタ
ン等からなる放射線不透過性マーカーに用いられ
、このようなマーカーは極めて高い柔軟性を有する。
【0029】
また、多くの種類の金属が放射線不透過剤として知られており、これらの金属は、単体または合金として、蛍光透視検査において視認可能となるように、医療装置にマーカーを付すために用いられている。一般に、このような金属としては白金、金、イリジウム、パラジウム、レニウムまたはロジウムを含有するものが用いられるが、これらに限られるものではない。さらに安価な放射線不透過剤としてはタングステン、タンタル、銀または錫を含有するものが用いられ、本発明のマーカーに使用されるものとしてはタングステンが最も好ましい。
【0030】
放射線不透過剤の所望の極めて高い充填比率を達成するうえで、放射線不透過剤の粒子直径を制御することが非常に重要である。充填比率を増加させるための努力として、押出加工されたままの状態における、肉厚に対する粒子直径の割合を最小化するために、予め平均粒子直径が小さい(1ミクロン以下)ものを利用する。一方、平均粒子直径がこれより幾分大きいものを使用することにより、より高い充填比率を実現することが可能となる。充填比率が高い混合物の好ましい構成は、次のような属性を有する。すなわち、1)充填された粒子が均一な配分を有すること、2)周囲のポリマー重合体が連続性を有すること、および3)バルク混合物が固体状態においても溶融した状態においても加工可能性を有するように、ポリマー重合体がバルク混合物に可塑性を与えるように、充填された粒子間に十分な間隔が設けられていることである。
【0031】
平均粒子直径が比較的大きい放射線不透過剤を用いることにより、既定の充填割合で投入された粒子の間隔がより大きくなり、これにより、混合工程およびそれに続く押出コーティング工程中における加工可能性を維持することができる。平均粒子直径の上限は、コーティングの肉厚および不均一性の許容限度(すなわち表面欠陥)により決定される。平均粒子直径の範囲が少なくとも2ミクロンから10ミクロンであり、かつ、最大粒子直径が20ミクロンとなるような粒子直径の配分である場合に、好ましい充填比率となり、また、完成したマーカーの表面が滑らかとなる。
【0032】
また、放射線不透過剤の充填比率を極めて高くて好ましい比率とするためには、粒子形状についても制御することが非常に重要である。等軸形状の分離した粒子がとりわけ効果的である。しかしながら、個々の粒子が不規則な形状を有しており、多数の粒子凝集体を含むものはマーカー表面に悪い効果をもたらす。このようにして、最大充填比率を実現できる。
【0033】
所定の金属粉末を製造する工程も、個々の粒子形状に対して重要な効果を与える。金属タングステンの場合、「回転」工程、「プッシャー」工程、または「微粒化」工程のうちいずれかの工程で粉末酸化物が減らされ、金属タングステン粉末として形成される。これらの工程では、「回転」工程において一旦好ましい粒子形状および好ましい粒子直径の配分とされるが、部分焼結により粗い粒子の凝集体が形成される。この凝集体は混合工程および押出工程の途中でも破壊されず、完成したマーカーに悪い効果をもたらす。「回転」工程および「プッシャー」工程において溶解および再凝固がなされ、微粒化粉末が再度形成される。この微粒化粉末は、概ね等軸かつ分離された粒子であり、本発明に対して用いるのに適切なものである。プッシャー工程を経た粉末は、廉価であり、かつ分離されて均一化された形状となるため好適である。
【0034】
ポリマー重合体が個々の放射線不透過剤の粒子を最も効果的にカプセル化するために、このような粒子とポリマー重合体との間に界面が存在することが必要であり、これにより、ポリマー重合体が粒子の表面を「濡らす」ことができる。ポリマー重合体材料は、粒子と適合するように、粒子と同様の表面エネルギーを有している必要がある。当初、ポリマー重合体材料が粒子と同様の表面エネルギーを有していない場合、ポリマー重合体材料に同様の表面エネルギーの界面、すなわち、ポリマー重合体材料の表面エネルギー間に当初介在する表面エネルギーの界面を発生させることにより、両者間の適合度を上昇させる。界面活性剤やカップリング剤のような一部の添加剤は、当初適合しない関係にあるポリマー重合体および金属に対する湿潤剤および粘着促進剤としての役割を果たす。ポリオレフィン骨格を有する無水マレイン酸グラフトを含有させた添加剤は、顕著な利点を有する。すなわち、タングステンとPebaxの組合せを用いる場合に、市販のロタダー(Lotader)8200(鎖状低密度ポリエチレン骨格)やリコモント(Licomont)(登録商標)AR504(ポリプロピレン骨格)を使用できる点でとりわけ有効である。押出された直後の押出物は破断力の影響を受けにくく、また混合中の溶解粘度は、押出工程において加えられる回転力が減少することで明らかとなる溶解粘度と同様に比較的低かった。このような添加剤により、高い放射線不透過剤の充填比率を有する混合物が上手く製造される。
【0035】
マーカーの混合物に酸化防止剤を含有することもまた有効である。イルガノックス(Irganox)B225やイルガノックス(Irganox)1010のような市販の利用可能な酸化防止剤は、混合工程、押出工程および溶着工程における複合的な熱および剪断履歴の影響下において、ポリマー重合体の劣化(すなわち分子量の低下)を最小化させる。
【0036】
本発明によるマーカーを製造するのに用いられる混合物は、好ましくは初めにポリマー樹脂と湿潤剤が混合され、第1供給機を経由して2軸スクリュー押出機にこの混合物が投入された後、任意的に酸化防止剤を加えて回転混合することにより製造される。この混合物の供給比率は、次工程で放射性不透過剤が配合されて実現される放射線不透過剤の充填比率が適切なものとなるように、流量質量の点から慎重に制御されなければならない。材料が押出機中を運搬されている間にこれらの材料に熱が加えられ、この熱によりポリマー重合体が溶解されて混合物中の全成分の均質化が促進される。次に、均一な粒子形状が選択されかつ粒子直径の配分が制御された上述の放射線不透過剤の粉末は、第2供給機を経由し、所望の充填比率を達成するために再び質量流量を慎重に制御され、溶解した混合物中に投入される。この固体粉末、溶解したポリマー重合体、および添加剤は、下流工程に運搬される過程で均質化され、水で冷却された後ペレット化されて、金型内にひも状体として排出される。全ての構成材料を単独の第1供給機から供給する場合、過剰なトルクを必要とし、またスクリューとバレル部の磨耗が大きいため、押出加工装置は、2つの独立した供給機を有していることが好ましい。また、粉末供給機は側部供給装置と協働して動作し、固体粉末を密閉された主バレルポートを経由して直接的に溶解された混合物中に投入するように、交互に運搬することが好ましい。好ましい配合において、タングステン(H.C.Starck's Kulite HC600s、HC180sおよびKMP-103JP)の充填比率はペバックス(Pebax)40Dに対して少なくとも90.8重量%となる。リコモント(Licomont)AR504中に占める無水マレイン酸材料は、初めにポリマー樹脂に対して約3部(樹脂100部に対する相対部数)加えられ、一方、酸化防止剤は、チバ・ゲイジー社製イルガノックス(Ciba Geigy Irganox)B225に対して約2部加えられる。これら材料が押出機中で晒される温度は約221℃に達する。
【0037】
一旦マーカー材料が混合されると、マーカーは、押出コーティング工程において適切な形状に形成される。自由押出による製造も可能であるが、この方法はポリマー重合体の充填比率を高くした場合に多くの問題を生ずる。継続的に長いビード上の押出物は、溶解した押出物が破壊されるのを防止するために必要な保護を与える。このような支持ビードは、使い捨て品からなり、ステンレス製ワイヤーにPTFE(テフロン(登録商標))をコーティングした丸い心棒、または押出物と容易に接着しないような他の耐熱材質からなっている。加えて、範囲引き下ろし割合(ADDR)を10:1以下に制限することにより、タングステン含有溶解品を押出引込機により適切な形状に引き出すことができる。ビードは更に、押出物の内径を固定するとともに、最後にタングステン/ポリマー重合体のコーティングにおける全体的な形状の安定性を向上させることにも寄与する。直径0.0215インチ(0.55mm)以上のPTFEビード上で形成され、かつタングステン/Pebax配合の充填比率が91.3重量%となる押出物は、その肉厚が0.0025インチ(0.064mm)となるように適切に引き出される。このような押出物は、例えば直径が0.022インチ(0.56mm)のバルーンカテーテルの内側部材に取り付けるマーカーとして適切な大きさを有している。また、0.007インチ(0.18mm)のテフロン(登録商標)をコーティングすることにより、ステンレスワイヤー上に充填比率が91%の押出コーティング品が形成される。このコーティング品は、ガイドワイヤーをコーティングするための肉厚0.002インチ(0.050mm)の押出コーティング品として引き出される。
【0038】
一の実施の形態において、一旦押出物が冷却されると、この押出物は、単純に個々のマーカーとしての所望の長さ(例えば1〜1.5mm)に切断される。この切断には剃刀刃と目盛付レンズのようなものを用い、また、切断中ビードを所定の位置に静置しておくことが好ましい。次に、ビードの残余物が排出され、マーカーは医療装置上またはこの装置の特定の構成部材上に滑り込まされる。一の実施の形態において、押出物の一部は、個々のマーカーとして切断される前に、外径と肉厚を調整するため、内部のビートとともに高温の金型内に入れられ、くびれが形成される。例えば、内径が約0.0215−0.0005インチ(約0.55mm−約0.013mm)であり、かつ外径が約0.0275−0.001インチ(約0.70mm−約0.0025mm)である押出物は、外径が約0.0265インチ(約0.67mm)であり、両壁部の肉厚がそれぞれ約0.005インチおよび約0.005インチ(約0.13mmおよび約0.13mm)となるように高温の金型内においてくびれを形成される。両壁部の部分毎の肉厚のばらつきを最小化するために、実際の高温の金型の大きさは、高温の金型でくびれが形成される前の実際のビード直径に基づいて選択される。
【0039】
最後にマーカーは基材に取り付けられ、この際熱圧縮性チューブおよび熱源(熱風、レーザ光等)が利用されるのが好ましい。すなわち、この熱(〜171−210℃)によりマーカーを溶解させ、また熱圧縮性チューブにより溶解した基材に対して圧縮力を生じさせるのが好ましい。ポリマー重合体製マーカーの形状が大幅に変化すること(例えば、薄層化)を防止するため、この温度は融点より低くする必要がある。したがって、マーカーを軟らかくして基材との粘着力を生じさせるのは熱と圧力とによる。ペバックス(Pebax)40Dにより形成されたマーカーの上記温度は、120−135℃である。基礎となる構成部材にマーカーを熱接着させることは、マーカーの端部をやや先細として端部の引っ掛かりの可能性を減らすことができるとともに、医療装置の製造または運搬中にマーカーまたは医療装置が損傷を受ける可能性を減らすことができるという他の利点も有している。
【0040】
上述した混合・加工・組立工程を経て形成されるマーカーであって、放射線不透過剤の充填比率が91.3重量%(36.4体積%)であり、かつ0.0025インチ(0.064mm) の肉厚を有するマーカーは、市販されている充填比率が80重量%の混合物と比べ、格段に高い放射線不透過性を示し、0.00125インチ(0.032mm)の厚さを有する従来の白金10%含有イリジウムマーカーと遜色のない放射線不透過性を示す。放射線不透過性は、マーカー中に存在する放射線不透過性金属の全体積に依存する機能である(すなわち、マーカーの体積およびそこに含まれる放射線不透過剤の体積%により生じる機能である)。好ましい実施の形態において、マーカーは、長さが約1.5mmとなり、両壁の肉厚が約0.0045乃至約0.0055インチ(約0.14mm)となり、かつ充填比率が約90.8重量%乃至93.2重量%となる。このような放射線不透過剤の体積は、従来の白金イリジウムマーカーバンドにおける、長さが1.0mmで厚さ0.0025インチ(0.064mm)(両壁とも)である白金10%含有イリジウムマーカーの体積と実質的に等しい。マーカーが十分な放射性不透過性を有するためには、放射線不透過剤の体積は少なくとも30%となることが好ましく、マーカーの両側の肉厚が少なくとも0.004インチ(0.10mm)以上となるのが好ましい。しかしながら、上述したように、マーカーの肉厚を厚くすることによりマーカーの体積を増大する方法は、マーカーの外形と硬さとが増加する帰結を招くという制限を有する。したがって、好ましい実施の形態において、マーカーの両方の肉厚は、約0.006インチ(約0.15mm)を下回る。
【0041】
図1は、2つの放射線不透過性マーカー12がバルーンカテーテル16の内側部材14に取り付けられている状態を示す。カテーテル16の組立中において、内側部材14がバルーン18内で位置決めされて20の位置に取り付けられるのより先に、マーカー12が内側部材14に取り付けられる。蛍光透視下における放射線不透過マーカーの視認性およびマーカーとバルーンとの既知の相対的な位置関係に基づいて、装置の蛍光透視光源により、放射線透過性を有するバルーンと病巣との相対的な位置関係が明らかとなる。通常、バルーンカテーテル16は、膨張ルーメンとガイドワイヤールーメンとを有する細長いシャフトと、近接端部と末梢端部とを有し、シャフトの末端部に密封されて固定され、かつ内部の膨張ルーメンと流動的な関係にあるバルーン18とを備えている。このうちシャフトは、典型的には、膨張ルーメンと称される外側チューブ部材と、少なくとも膨張ルーメンの一部分の内部において拡張するガイドワイヤールーメンと称される内側チューブ部材14とを有している。
【0042】
図2は、測定機能を有するガイドワイヤー22の好ましい実施の形態を示す。測定機能を有するガイドワイヤー22は、病巣の大きさを測定する定規のような役割を果たすものであり、所定の間隔26を空けてガイドワイヤーの中心部材24に取り付けられた一連の放射線不透過性マーカー24を有している。互いに隣接するマーカーの間隔は、放射線透過性を有するチューブ状スペーサー28により規定されており、このスペーサー28はマーカー24と同様に基礎となるガイドワイヤーに固着されている。放射線不透過性マーカーおよび放射線透過性スペーサーがガイドワイヤーの中心部材の少なくとも末端部上に取り付けられる際、十分な長さを有する熱圧縮性チューブがガイドワイヤーの全体部分上に滑り込まされ、その後適切な温度まで加熱されて、これらの放射線不透過性マーカーおよび放射線透過性スペーサーがガイドワイヤーの中心部材に固着される。
【0043】
図3は、測定機能を有するガイドワイヤー30の他の好ましい実施の形態を示す。測定機能を有するガイドワイヤー30は、病巣の大きさを測定するゲージのような役割を果たすものであり、互いに等しい間隔を空けてガイドワイヤーの中心部材34に取り付けられた大きさの異なる一連の放射線不透過性マーカー32a−eを有している。互いに隣接するマーカーの間隔は、放射線透過性を有するチューブ状スペーサー36により規定されており、このスペーサー36はマーカー32a−eと同様、基礎となるガイドワイヤーに固着されている。放射線不透過性マーカーおよび放射線透過性スペーサーがガイドワイヤーに取り付けられる際、十分な長さを有する熱圧縮性チューブがガイドワイヤーの全体部分上に滑り込まされ、その後適切な温度まで加熱されて、これらの放射線不透過性マーカーおよび放射線透過性スペーサーがガイドワイヤーの中心部材に固着される。
【0044】
本発明について、ある特定の実施の形態に関して述べてきたが、本発明の思想を逸脱しない限り、本発明に関係する技術分野について熟練した者が、いくつかの修正および変更を加えることができる。とりわけ、様々な異なるポリマー重合体と放射線不透過剤とを適切な湿潤剤を用いて混合することができ、マーカーを上述した形状および大きさと異なる形状および大きさに形成することができ、かつ放射線不透過性マーカーを取り付ける利点を有する様々な医療装置にマーカーを取り付けることができる。したがって、本発明の範囲は、添付のクレームに制限されることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による放射線不透過性マーカーがバルーンカテーテルに取り付けられた状態を示す拡大側面図。
【図2】本発明による放射線不透過性マーカーがガイドワイヤーに適切に取り付けられた状態を示す拡大側面図。
【図3】本発明による放射線不透過性マーカーがガイドワイヤーに適切に取り付けられた状態を示す別の拡大側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマー重合体と、
b)前記ポリマー重合体中に配合され、平均粒子直径が少なくとも2ミクロンであるとともに最大粒子直径が約20ミクロンである複数の放射線不透過性の粒子と、
c)前記ポリマー重合体により前記粒子のカプセル化を促進する浸潤剤と、
を備えたことを特徴とする放射線不透過性マーカー。
【請求項2】
前記マーカー中の前記放射線不透過性の粒子の体積比率が18体積%より大きいことを特徴とする請求項1に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項3】
前記マーカー中の前記放射線不透過性の粒子の体積比率がおよそ36体積%であることを特徴とする請求項2に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項4】
前記ポリマー重合体はペバックス(Pebax)(登録商標)を含み、前記放射線不透過性の粒子はタングステン粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項5】
前記湿潤剤は、多機能性ポリマー重合体の添加剤である無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)を含むことを特徴とする請求項4に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項6】
前記放射線不透過性の粒子は、実質的に等軸構造を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項7】
前記放射線不透過性の粒子は、プッシャー工程により形成されることを特徴とする請求項6に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項8】
前記放射線不透過性の粒子は、微粒化工程により形成され、実質的に球形状を有することを特徴とする請求項6に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項9】
酸化防止剤を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項10】
前記ポリマー重合体は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項11】
外形がチューブ状の形状からなることを特徴とする請求項1に記載の放射線不透過性マーカー。
【請求項12】
放射線不透過性マーカーの製造方法であって、
a)ポリマー重合体、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)、および酸化防止剤(AO)を供給する工程と、
b)前記ポリマー重合体を溶解させ、前記ポリマー重合体と前記無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)とを十分に混合する工程と、
c)溶解した前記ポリマー重合体および浸潤剤を放射線不透過性の粒子と結合させ、この結合体中に占める放射線不透過性の粒子の割合を少なくとも30体積%以上とするとともに、前記粒子の平均粒子直径を少なくとも2ミクロンとし、かつ前記粒子の最大粒子直径を約20ミクロンとする工程と、
d)この混合体を支持ビードに押出して、前記支持ビードをコーティングする工程と、
e)このコーティング体を所定の長さに切断する工程と、
を備えたことを特徴とする放射線不透過性マーカーの製造方法。
【請求項13】
混合押出機内における輸送中に前記ポリマー重合体を溶解させ、前記浸潤剤と十分に結合させることを特徴とする請求項12に記載の放射線不透過性マーカーの製造方法。
【請求項14】
前記放射線不透過性の粒子は、前記混合押出機内において、溶解した前記ポリマー重合体、前記無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)、および前記酸化防止剤(AO)と結合されることを特徴とする請求項13に記載の放射線不透過性マーカーの製造方法。
【請求項15】
前記混合体は、前記ビードに支持されながら引き出されるようにして押出されることを特徴とする請求項12に記載の放射線不透過性マーカーの製造方法。
【請求項16】
前記混合体は、前記ビード上に押出される前にペレット化されることを特徴とする請求項12に記載の放射線不透過性マーカーの製造方法。
【請求項17】
前記ポリマー重合体はペバックス(Pebax)を含み、前記放射線不透過性の粒子はタングステン粒子を含み、多機能性ポリマー重合体である前記添加剤は無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)を含み、かつ前記酸化防止剤はイルガノックス(Irganox)(登録商標)B225を含むことを特徴とする請求項12に記載の放射線不透過性マーカーの製造方法。
【請求項18】
医療装置に放射線不透過性のマーカーを取り付ける方法であって、
a)放射線不透過性の粒子の割合が少なくとも30体積%以上であるとともに、前記粒子の平均粒子直径が少なくとも2ミクロンであり、かつ前記粒子の最大粒子直径が約20ミクロンである柔軟性および放射線不透過性を有するポリマー重合体製マーカーを供給する工程と、
b)前記マーカーを前記医療装置上に正確に位置決めする工程と、
c)前記マーカーを所定の位置に溶着固定する工程と、
を備えたことを特徴とする医療装置に放射線不透過性のマーカーを取り付ける方法。
【請求項19】
熱圧縮性チューブを、前記医療装置上に正確に位置決めされた前記マーカー周囲に配置するとともに、前記チューブを加熱する工程を更に備えたことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線不透過性の粒子はタングステンを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記医療装置はバルーンカテーテルからなり、前記マーカーは膨張可能なバルーンの内側に設けられた内側部材上に配置されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記医療装置はガイドワイヤーからなることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ガイドワイヤーに複数個の前記マーカーが取り付けられていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記マーカーは互いに等しい間隔を空けて設けられ、これらのマーカーが蛍光透視検査において定規としての役割を果たすことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ガイドワイヤーに放射線不透過性を有する目印が設けられ、複数の前記マーカーは前記目印からそれぞれ所定の間隔を空けて設けられていることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
複数の前記マーカーはそれぞれ互いに異なった長さを有しており、これらのマーカーが蛍光透視検査においてゲージとしての役割を果たすことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
病巣の大きさを測定する測定装置であって、
a)ガイドワイヤーと、
b)前記ガイドワイヤーに溶着された、柔軟性を有する少なくとも一つのポリマー重合体製マーカーとを備え、
前記マーカーは、前記マーカーの体積の少なくとも30%を占める放射線不透過性の粒子を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項28】
2以上の前記マーカーが所定の間隔を空けて前記ガイドワイヤーに溶着され、これらのマーカーが蛍光透視検査において定規としての役割を果たすことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ガイドワイヤーに放射線不透過性を有する目印が設けられ、前記マーカーは前記目印から所定の間隔を空けて溶着されていることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記マーカーは所定の長さを有しており、このマーカーが蛍光透視検査においてゲージとしての役割を果たすことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記ガイドワイヤーに複数の前記マーカーが取り付けられ、複数の前記マーカーはそれぞれ互いに異なった長さを有しており、これらのマーカーが蛍光透視検査においてゲージとしての役割を果たすことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記放射線不透過性の粒子はタングステンを含むことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項33】
ペバックス(Pebax)により、湿潤剤による前記放射線不透過性の粒子のカプセル化が促進されることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記湿潤剤が無水マレイン酸を含むことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
放射線不透過性を有するエラストマー配合物であって、
a)ポリマー重合体と、
b)前記ポリマー重合体中に配合され、平均粒子直径が少なくとも2ミクロンであるとともに最大粒子直径が約20ミクロンである複数の放射線不透過性の粒子と、
c)前記ポリマー重合体により前記粒子のカプセル化を促進する浸潤剤と、
を備えたことを特徴とするエラストマー配合物。
【請求項36】
マーカーとした場合に、前記マーカー中の前記放射線不透過性の粒子の体積比率が18体積%より大きいことを特徴とする請求項35に記載のエラストマー配合物。
【請求項37】
マーカーとした場合に、前記マーカー中の前記放射線不透過性の粒子の体積比率がおよそ36体積%であることを特徴とする請求項36に記載のエラストマー配合物。
【請求項38】
前記ポリマー重合体はペバックス(Pebax)を含み、前記放射線不透過性の粒子はタングステン粒子を含むことを特徴とする請求項35に記載のエラストマー配合物。
【請求項39】
前記湿潤剤は、多機能性ポリマー重合体の添加剤である無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂(MA−g−PO)を含むことを特徴とする請求項38に記載のエラストマー配合物。
【請求項40】
前記放射線不透過性の粒子は、実質的に等軸構造を有することを特徴とする請求項35に記載のエラストマー配合物。
【請求項41】
前記放射線不透過性の粒子は、プッシャー工程により形成されることを特徴とする請求項40に記載のエラストマー配合物。
【請求項42】
前記放射線不透過性の粒子は、微粒化工程により形成され、実質的に球形状を有することを特徴とする請求項41に記載のエラストマー配合物。
【請求項43】
酸化防止剤を更に備えたことを特徴とする請求項35に記載のエラストマー配合物。
【請求項44】
前記ポリマー重合体は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項35に記載のエラストマー配合物。
【請求項45】
マーカーとした場合に、前記マーカーがチューブ状の形状を有することを特徴とする請求項35に記載のエラストマー配合物。
【請求項46】
表面に放射線不透過性を有するマーカーが設けられた細長いシャフトまたは中心部材を備え、
前記放射線不透過性を有するマーカーはポリマー重合体の混合物からなり、この混合物は、
a)ポリマー重合体と、
b)前記マーカーに占める割合が少なくとも30体積%以上であるとともに、平均粒子直径が少なくとも2ミクロンであり、かつ最大粒子直径が約20ミクロンである放射線不透過性の粒子と、
c)前記ポリマー重合体により前記粒子のカプセル化を促進する浸潤剤と、
を含むことを特徴とする管腔内医療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505721(P2007−505721A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528077(P2006−528077)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/030526
【国際公開番号】WO2005/030284
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(591040889)アドバンスド、カーディオバスキュラー、システムズ、インコーポレーテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED CARDIOVASCULAR SYSTEMS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】