説明

高められた粘度を有する含水媒体、該媒体の製造法及び使用

本発明は、変性がa)ポリフェノールオキシダーゼ活性を有するタンパク質、及び/又はb)ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ及びペルオキシダーゼを含有する酵素混合物により行われていることを特徴とする、オキシダーゼを用いて変性された、フェノール性置換基を有するゲル化可能なポリマー成分を含有する、高められた粘度を有する含水媒体に関する。相応する変性された媒体は、有利に(部分)乾燥された及び/又は(部分)再水和された状態のゲルであり、その粘度もしくはゲル強度を意図的に調節することができ、乾燥工程及び再水和の後であっても、もとの粘度もしくはゲル強度を再度安定に達成することができる。更に、含水媒体は、感覚的な特性に影響を与えるゲルの品質に不利な影響を与える副生成物を有しない。含水媒体の他に、高められた粘度を有する相応する含水媒体を製造し、オキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ、ヒドロラーゼ及び/又はカタラーゼを使用する方法も開示される。適用分野として、開示された含水媒体のために、食品分野、化粧品分野及び製薬学的目的が予定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、高められた粘度を有する含水媒体、該媒体の製造法及び使用である。
【0002】
品質改良系は添加剤として特に食品分野及び化粧品分野において重要な役割を担っており、該系が添加された混合物に所望の稠性を付与する。この場合、一方では生成物の粘度の意図的な増加が非常に重要であり、かつ他方ではゲル状構造の形成が非常に重要である。
【0003】
ゲルは、多数の分子が分子間相互作用により架橋することによって生じる。この場合、3次元ネットワークが形成され、その中に比較的多量の水を結合させることができる。このための例は、高い糖濃度の存在下か又はジャムの製造におけるCa2+イオンの添加後の、ペクチンのゲル形成、又は、Kイオンの存在下でのκ−カラゲナンのゲル形成である。
【0004】
分子量が少ないこと、又は疎水性相互作用もしくは静電相互作用によりゲル形成の可能性が欠如してることに基づき、多くの多糖類、例えばテンサイペクチンは、粘度の増加又はゲル形成のために不適当であるかあまり適当でない。ここで、前記の制限を払拭することのできる新規の技術が求められる。
【0005】
最近になって示された通り、植物細胞壁の多数の多糖類、例えばテンサイ中のペクチン又は小麦穀粒中のアラビノキシランは、特にケイ皮酸誘導体として、主にエステル結合を介して前記ポリマーに結合しているフェノール性基を有する。前記フェノール性基は、化学反応又は酵素触媒反応により相互に反応し得る。相互の多数の多糖類分子の多数のフェノール性基の共有結合により、最終的には3次元ネットワークが形成され、従ってゲルも形成される。
【0006】
この原理に従って、US4,672,034の記載によれば、フェルラ酸を含有するテンサイペクチンを、少なくとも1種の酸化性物質と酵素(この酵素にとって前記酸化性物質は基質である)とからの酸化性系を用いて変性し、ゲル形成をもたらす。記載された系は、酸化性化合物である過酸化水素と酵素であるペルオキシダーゼとから成る。
【0007】
WO96/03440には、微生物からの酵素ラッカーゼを、フェノール性基を有する置換基を有するゲル化可能なポリマー物質に添加することにより、ゲルを形成させるか又は水溶液の粘度を高めるための方法が記載されている。ゲル形成を改善するための酵素的横架橋の前に、アラビノース基の一部をポリマーから除去するために、酵素を用いて前処理することも提案されている。更に、ゲルの乾燥又は脱水、及び、水性液体のための吸着剤としての、乾燥された生成物の使用が記載されている。
【0008】
WO97/27221には、フェノール性基を有するゲル化可能なポリマー(例えばテンサイペクチン)を用いて、ゲルを形成させるか又は水溶液の粘度を増加させるための方法が開示されている。ゲル形成は、ここでは、エステラーゼ(ペクチンメチルエステラーゼ)及びオキシダーゼ(ラッカーゼ)又はペルオキシダーゼを、これらの酵素により酸化可能な物質の存在下で添加することに基づく。ここでも、乾燥及び乾燥された生成物の使用が記載されている。
【0009】
Norskerら(Food Hydrocolloids, 14, (2000), 第237-43頁)は、2種の異なるラッカーゼと1種のペルオキシダーゼとを用いた、食品、例えば果汁、牛乳、挽肉におけるテンサイペクチンの酵素的ゲル形成のプロセスを記載している。しかしながら、そのように処理された食品において、酵素反応の結果として、アントシアンの不所望な白化及び感覚的に不利な脂肪酸化も生じる。
【0010】
総括的に言えば、刊行物に記載された、フェノール含有多糖類のゲルを酵素的に形成するための方法は、従来、特に化粧品における適用のために、及び食品の分野において、種々の制限を有することが認められる:
ペルオキシダーゼは、効果的なゲル形成のために、酸化性物質、大抵は過酸化水素の添加に依存している。比較的長い反応の際には、前記化合物により多糖類鎖の不所望の加水分解が生じ、これは形成されたゲルの分解を招く。過酸化水素は、化粧品調製物中にしばしば存在する脂肪及び油分の不所望な化学的酸化をもしばしば招くことがあり、敗油性の芳香族の生成を招くことがある。更に、過酸化水素を食品に直接添加することは許されない。
【0011】
ラッカーゼは植物及び菌類中に存在する。ラッカーゼは、植物中に存在するリグニンの合成及び分解の原因となる。その反応のために、付加的な酸化性化合物の添加は不必要であり、それというのも、フェノール性化合物を酸素の存在下で酸化させ得るためである。しかしながら、専らジフェノール性化合物の酸化のみを触媒することができる。モノフェノール性化合物、例えばチロシンを反応させることはできない。
【0012】
ラッカーゼで触媒される反応の進行において、還元すべきフェノール性化合物から酸素への直接の電子移動が生じる。この場合にラジカルが生じ、これは以下の段階において非酵素的に反応し、例えばフェルラ酸含有多糖類の横架橋を導き得る。しかしながら既に記載されたように(Food Hydrocolloids, 14, (2000), 第237-43頁)、酵素的に形成されたラジカル生成物と脂質との反応の進行において、食品及び化粧品における不飽和脂肪酸の酸化も生じることがあり、これは、既に記載した不所望な敗油性の風味及び臭気の印象を招く。
【0013】
ラッカーゼは酵素的な白化のためにも使用することができるが:食品及び化粧品調製物において、これと結合する反応はしばしば不所望な着色の損失を導く。
【0014】
先行技術によれば、その都度多糖類の横架橋のために使用される酵素は、活性形のままで最終製品中に存在する。これにより、ゲル強度及び前記の不所望な副生成物の形成は極めてわずかに影響を受けるか、又は全く影響を受けない。更に、食品における上記の酵素の使用は、主に、上記の酵素が最終製品中でもはや作用せず、即ちもはや活性形で存在しない場合にのみ可能である。
【0015】
ラッカーゼは、比較的高い濃度で、酵素取得のために培養しなければならない微生物中にのみ存在する。引き続く酵素の単離には、抽出、及び、沈殿、クロマトグラフィーによる方法等による精製のための極めて高い費用が必要である。
【0016】
その上、ラッカーゼは、殊に比較的高いタンパク質濃度又は塩濃度の存在下で、テンサイペクチンのフェノール性基を用いても、ゲルを形成することができないか、又は極めて軟質であるゲルのみを形成することができるに過ぎない。
【0017】
この知識に基づいて、本発明のために、オキシダーゼを用いて変性された、フェノール性置換基を有するゲル可能なポリマー成分を含有する、高められた粘度を有する水性媒体、該媒体の製造法及びその使用を提供するという課題が課せられた。
【0018】
この場合、所定の濃度又は所定のゲル強度のゲルを形成するための酵素反応の制御、並びに、最終製品中の不所望の副生成物の酵素に由来する形成の回避が特に重要である。
【0019】
前記課題は、相応する媒体を用いて解決され、その際、変性は、
a)ポリフェノールオキシダーゼ活性を有するタンパク質、及び/又は
b)ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ及びペルオキシダーゼを含有する酵素混合物
により行われた。
【0020】
”高められた粘度”とは、本発明によれば、ゲル化可能なポリマーが膨潤状態にあるか、又は既にゲル形成が開始、進行又は終了した含水媒体の状態であると解釈され、従って含水媒体は濃縮された、粘性流動性の、半固体の、又は固体の状態である。
【0021】
前記媒体を用いて、課された課題を完全に満たすことができた:高められた粘度は、酵素的変性により事実上意図的に調節され、後反応なしに安定に保持され得る。更に、本発明による媒体は、それ以外の不利な副生成物を有しない。極めて驚異的にも、特許請求された含水媒体により、媒体中の粘度増加又はそれに伴うゲル形成が極めて厳密に予定され、所望の程度で比較的長時間に亘っても安定に維持されることができ、従って前記媒体は従来全く無関係であった適用範囲において使用することもできることが明らかとなった。更に、所望の通りに調節された、元々のゲル強度は再現可能であり:例えば、本発明による含水媒体を、容易に問題なく乾燥させ、引き続き比較的長い貯蔵時間の後であっても、再水和させ、元来の特徴を有するゲルにすることができる。
【0022】
ゲル状の媒体が有意の水漏れ又はゲル構造の崩壊を生じることなく、このゲル状の媒体を凍結及び再度融解させることもできる。最終的に、形成されたゲルを、構造又は水結合能力を決定的に変化させることなく100℃を上回るまでの温度に加熱することができる。
【0023】
これは前記の特徴において予見不可能であった。
【0024】
特に前記の理由から、本発明では、本発明による媒体が有利にゲルであり、殊に有利に(部分)乾燥及び/又は(部分)再水和された状態のゲルであることが予定されている。
【0025】
ポリフェノールオキシダーゼは、ラッカーゼ(p−ジフェノールオキシダーゼ;EC 1.10.3.2)とは異なり、モノフェノラーゼ活性のみならずジフェノラーゼ活性をも有する。ポリフェノールオキシダーゼは植物中に比較的高濃度で存在し、そこで特に、ポリフェノール性化合物の形成により微生物の防御の役割を果たす。
【0026】
従って、ポリフェノールオキシダーゼは2つの異なる酵素活性を統合する。一方ではモノフェノラーゼ活性であり、これはモノフェノールからo−ジフェノールへのo−ヒドロキシル化を触媒し、この酵素は他のフェノール酸化性酵素、例えばペルオキシダーゼ又はラッカーゼとは異なる。他方では、ポリフェノールオキシダーゼはジフェノラーゼ活性を有し、これは2種のo−ジフェノールから2種のo−ジキノンへの酸化、及び同時に、酸素分子の還元を触媒する。
【0027】
ラッカーゼとは異なり、ポリフェノールオキシダーゼの場合、ジフェノールの酸化の反応工程は、酵素反応のラジカル性最終生成物を導かず、従って、ラッカーゼ−及びペルオキシダーゼ反応から公知である不所望の副反応、例えば脂肪酸化又は白化を導かない。
【0028】
ポリフェノールオキシダーゼ、例えば公知のチロシナーゼ[EC1.14.18.1]は、果実、球根又は葉中に比較的高濃度で存在するため、散発的に、例えば紅茶を製造する際の茶発酵の際の工業的プロセスのために、抽出又は精製なしでも利用される。
【0029】
食品加工の際に生じ、かつ従来利用されていない多数の副生成物中にも、比較的高濃度でチロシナーゼが存在する。例えば、高いチロシナーゼ活性を、ジャガイモの果実の汁、ジャガイモデンプン製造の副生成物中に検出することができる。大抵、テンサイペクチンの酵素的横架橋のために十分であるチロシナーゼ活性を有する抽出物を得るためには、ジャガイモのデンプン及び繊維成分の分離で十分である。
【0030】
特許請求された変性の特別な利点は、ポリフェノールオキシダーゼ活性においても認めることができるため、ポリマー成分がモノフェノール性置換基を有する場合に有利であると見なすことができる。
【0031】
この文脈において、本発明は有利に、ポリマー成分が殊に(非)置換ケイ皮酸エステル基を有する少なくとも1種の多糖類であり、多糖類として殊に有利にアラビノキシラン及び/又はペクチンを含有する媒体をも予定している。
【0032】
本発明による媒体は、ペクチン成分がアカザ科植物、及び殊にテンサイ又はその果肉に由来する場合、殊に良好な特性を示す。
【0033】
しかしながら本発明は、特別な変形として、ペクチンを含有する媒体をも予定しており、その際、少なくとも1つのアラビノース基を除去し、これは有利にわずかに酸性の条件下で6.0〜7.5のpH値で行われているべきであり、かつ/又は殊に有利にアラビノフラノシダーゼが予定されている酵素を用いて行われているべきである。
【0034】
同様に有利な多糖類として考慮されるアラビノキシラン成分は、本発明の範囲内では、殊に穀類、例えばトウモロコシ又は小麦及びこれに関して殊に穀粉又は粗びき穀物に由来することができる。
【0035】
ポリマー成分に関して、ポリフェノールオキシダーゼを用いて、及びここで殊に有利にチロシナーゼを用いて変性されている変形は有利であると見なすことができる。
【0036】
そのために使用されるポリフェノールオキシダーゼは、この場合殊にナス科の植物及び殊に有利にジャガイモ、リンゴ、ナス、チコリー、バナナ、アボカド、茶の木又はマッシュルームに由来することができる。
【0037】
ポリフェノールオキシダーゼ活性を有するタンパク質を用いたポリマー成分の変性に代わって、又はこれに対して補足的に、本発明では、このために酵素混合物を使用することが本質的であると見なしている。この場合、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び/又は場合によりカタラーゼを含有する酵素混合物を用いて変性を実施した変形が有効であることが実証された。
【0038】
既に述べたように、本発明による含水媒体の重要な利点の1つは、品質の損失を被ることなくこの含水媒体を乾燥及び再水和させることができることにある。従って、乾燥処理にかけられ;この場合乾燥を当然のことながら低温(凍結乾燥)により、又は高められた温度により、及び双方の場合真空中で行うこともできる媒体も有利であると見なすことができ、これにより利点が付加的に証明される。
【0039】
同様に、本発明によれば、中に含まれる酵素及び殊に有利に変性の原因となる酵素、即ち殊にオキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ及び/又はヒドロラーゼが、成果のある変性の後に不活性形で存在し、従って特にそれ以上技術的作用を及ぼし得ないような媒体が予定されている。
【0040】
更に、化学的及び/又は熱的に不活性化された酵素を含有する媒体が殊に適当であることが明らかとなった。
【0041】
チロシナーゼを典型的なポリフェノールオキシダーゼとして使用する場合、例えばゲル中の酵素の熱的不活性化は95℃の温度で15分間で可能であり;チロシナーゼの化学的不活性化のためには、乾燥されたゲルないし乾燥された粘性溶液への1%アスコルビン酸溶液の添加又は1%アスコルビン酸の添加で十分である。
【0042】
含水でありかつ特別に変性された媒体自体の他に、本発明は、食品分野における、化粧品の分野における及び/又は製薬的目的のための、殊に有利に品質改良剤、粘度増加剤、ゲル化剤としての、塗膜形成剤としての、レオロジー添加剤としての、又は安定剤としての、該媒体の使用も考慮している。
【0043】
従って、不活性化された酵素を有する本発明による媒体を、粘度の増加のために、又はゲル状構造を形成するために、容易に食品及び化粧品又は医薬品に添加することができる。殊に、上記の適用において、酵素(−混合物)は、従来公知である変法とは異なり、酵素成分の不活性化によりもはや不所望の副生成物を形成することができない。
【0044】
更に、本発明による方法により、
a)フェノール性置換基を有するゲル化可能なポリマー成分の少なくとも一部分を水性媒体中に溶解させた状態で装入し、その後、
b)工程a)からの溶液に、室温で、植物又は菌類源の、溶解されたオキシドレダクターゼ及び/又はペルオキシダーゼ及び/又はヒドロラーゼ及び/又はカタラーゼを添加し、引き続き、
c)工程b)からの溶液を15〜60℃の温度で少なくとも15分間撹拌し、最終的に、
d)場合により工程c)から得られた溶液中に含まれる酵素を熱的及び/又は化学的に不活性化させる
ことを特徴とする、高められた粘度を有する含水媒体の製造法の特許請求もなされる。
【0045】
特許請求された処理工程の組合せにより、そのようにして得られた媒体が、既に述べた利点と同様の利点を有するか又は発揮することが保証される。
【0046】
この場合、処理工程d)により、酵素成分を不活性化することが選択的に予定される。それにより、添加された酵素(−混合物)の全ての反応が終了される。媒体の粘度又はそのゲル強度はもはや不変であり、その他の不所望の副反応(色調の白化又は酵素的脂肪酸化)も、ゲル形成のために使用された酵素(−混合物)によりもはや生じ得ない。
【0047】
処理工程a)において、ポリマー成分としてオリゴ糖類含有媒体又は多糖類含有媒体、アルコール含有媒体、ラクテート含有媒体、グルタメート含有媒体、ペクチン含有媒体及びラクトース含有媒体、有利に牛乳又は牛乳含有媒体の列の少なくとも1種を装入する場合、極めて有利であることが判明した。
【0048】
従って、有利に、酵素反応の進行中に過酸化水素を形成させ得るか、又は他の酵素反応の間に過酸化水素を形成し得る化合物へと変換し得る、食品中に含有される化合物の使用が予定されている。このために媒体において特許請求された多糖類(ヒドロラーゼ及びオキシダーゼ)、オリゴ多糖類(ヒドロラーゼ及びオキシダーゼ)、アルコール(アルコールオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ)、ラクテート(ラクテートオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ)、グルタメート(グルタメートオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ)を、フェノール性基を有する多糖類の酵素的ゲル形成のために、及び、フェノール含有多糖類の酵素的横架橋による粘度増加又はゲル形成のための前記の酸化性化合物の使用のために使用ないし必要とするのと同様に、前記多糖類を酸化性物質の形成のために使用することができる。
【0049】
本発明の範囲内で、処理工程b)において少なくとも1種のガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ラッカーゼ又はポリフェノールオキシダーゼを添加する場合、同様に有利であると見なすことができる。
【0050】
ラクトースは確かに既に散発的にβ−ガラクトシダーゼを用いて牛乳又は乳製品から除去されており、それというのも、ラクトース非相容性下に極めて高い割合の曇りを被るためである。しかしながら、有利に使用される媒体である牛乳中に存在するラクトースは、本発明による方法の場合、β−ガラクトシダーゼ及びグルコースオキシダーゼを用いた反応の後に、ホースラディッシュペルオキシダーゼを用いたゲル形成のために必要な過酸化水素をもたらす。従って、前記の酵素反応の生成物は、前記の酵素反応カスケードの進行においてゲル形成のための助剤として役立つ。従って、前記の方法を用いることにより初めて2つの効果が達成される:一方では、しばしば不所望であるラクトースが食品から除去され、他方では媒体はゲル形成により所望の品質改良を得る。
【0051】
最終的に、前記方法において、処理工程b)から得られる溶液を、 −場合により、他のゲル化可能でかつ場合により変性されたポリマーの添加後に− 少なくとも1つの乾燥工程にかけることができる。この場合、本発明によれば、乾燥工程から得られる粉末を後で再水和させることもできる。
【0052】
本発明のもう1つの対象は、前記の方法を用いて製造可能である、高められた粘度を有する含水媒体において認めることができる。この場合、中に含まれる酵素及び殊に処理工程b)において添加された酵素が不活性化形で存在している変形が殊に有利である。
【0053】
同様に特許請求された含水媒体自体と同様に、前記方法により得られるそれぞれの含水媒体も、食品分野において、化粧品の分野において及び/又は製薬的目的のために、殊に有利に品質改良剤、粘度増加剤、ゲル化剤として、塗膜形成剤として、レオロジー添加剤として、又は安定剤として使用することができる。
【0054】
総括的に言えば、本発明による高められた粘度を有する含水媒体は、その粘度又はゲル強度を意図的に調節することができ、得られた粘度又はゲル強度が安定かつ持続的であり、かつ、媒体が、もとの粘度又はゲル強度を、先行する乾燥及び再水和の後であっても再度安定かつ再現可能に構成するという点においてその特別な利点を有する。それに加えて、本発明による媒体は不所望な副生成物を含まず、それというのも、変性のために使用されるか又は全ての他のもとからその中に含まれているか又は人工的に添加される酵素を不活性化させることができるためであり、その際、それぞれの不活性化工程は、媒体の粘度もしくはゲル強度に不利な影響を及ぼさない。
【0055】
ゲル形成に対して、特にマトリックスの、即ち生成物中に存在する内容物質、例えばタンパク質、塩、脂肪又は糖の影響が比較的重要な意味を持つ、食品−又は化粧品の分野における適用に関して、ポリフェノールオキシダーゼを用いて形成されたゲルは、殊に比較的高い塩濃度及びタンパク質濃度の存在下で、比較可能でありかつラッカーゼを用いて得られるゲルよりも本質的に良好であることが判明した。
【0056】
以下の実施例により、本発明の顕著な利点を明確に説明する。
【実施例】
【0057】
実施例
実施例1
チロシナーゼを用いた媒体の横架橋及び乾燥、並びに得られた粉末の再水和
ペクチン0.75gを60℃の熱水25ml中に撹拌混入し、完全に溶解させた。その後、溶液のpH値を0.1MのNaOHを用いてpH6.0に調節し、予め100mMのHNaPO緩衝液(pH6.5)1ml中に溶解させたチロシナーゼ(Sigma T-7755)1mgを添加した。反応溶液を水浴中でまず50℃で、被覆された容器中で3時間放置し、その後、20℃で20時間放置し、引き続きゲルを−18℃で凍結させた。凍結乾燥装置中で、0.1hPaで乾燥させた。乾燥させた粉末0.3gを引き続き60℃の熱水10ml中に溶解させた。
【0058】
比較として、チロシナーゼなしの反応溶液を使用した。チロシナーゼを有する/有しない種々の試料のゲル強度を、ゾンデP20(20mm)と円筒状センサとを有するTexture Analyser TA-XT2 (Stable Microsystems)を用いて、アルミニウム5kg、3mm/秒の速度で、5mmの通路で測定した。ゲルは50mmの直径を有する結晶殻中に存在していた。第1表は酵素濃度と力Fとの関係を示す。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例2
ジャガイモからのチロシナーゼを用いた媒体の横架橋
ジャガイモからチロシナーゼを抽出するために、ジャガイモ1kgを搾汁し(搾汁機 AFK, Aachen)、ジャガイモの汁を4000U/分で20分間遠心分離し、上澄み液をSchwarzbandフィルターで濾過した。このように得られた濾液25ml中に、テンサイペクチン0.75gを撹拌下に50℃で溶解させた。20℃で3時間後に生じたゲル形成が終了した後、ゲルを−18℃で凍結させ、凍結乾燥装置中で0.1hPaで乾燥させた。最終的に、乾燥させた粉末0.3gを60℃の熱水10ml中に溶解させた。
【0061】
実施例3
β−グルコシダーゼ/グルコースオキシダーゼ/ホースラディッシュペルオキシダーゼ混合物を用いた媒体の横架橋及び乾燥、並びに得られた粉末の再水和
ペクチン0.75g及びラクトース3.5mgを60℃の熱水25ml中に撹拌混入し、完全に溶解させた。その後、溶液のpH値を0.1MのNaOHを用いてpH6.0に調節し、予めまとめて100mMのHNaPO緩衝液(pH6.5)1ml中に溶解させたβ−ガラクトシダーゼ(Sigma G-6160)5μg、グルコースオキシダーゼ(Sigma G-7016)250μg並びにペルオキシダーゼ(Sigma P-6782)1mgを添加した。その後、反応溶液を20℃で1時間放置し、生じたゲルを−18℃で凍結させた。凍結乾燥装置中で、0.1hPaで乾燥させた。乾燥させた粉末0.3gを引き続き60℃の熱水10ml中に溶解させた。
【0062】
実施例4
ラッカーゼを用いた媒体の横架橋、酵素の熱的不活性化、並びに乾燥及び得られた粉末の再水和(比較)
ペクチン0.375gを60℃の熱水25ml中に撹拌混入し、完全に溶解させた。その後、溶液のpH値を0.1MのNaOHを用いてpH5.0に調節し、予め水1ml中に溶解させたLaccase C(ASA Enzyme, Best. Nr. 2020)0.2mgを添加した。反応溶液を20℃で24時間放置し、その後、ラッカーゼをゲルの加熱により90℃で20分間不活性化させた。引き続き、ゲルを−18℃で凍結させ、凍結乾燥装置中で0.1hPaで乾燥させた。乾燥させた粉末0.3gを引き続き60℃の熱水10ml中に溶解させた。
【0063】
実施例5
チロシナーゼを用いた媒体の横架橋、及び酵素の熱的不活性化、並びに乾燥及び得られた粉末の再水和
ペクチン0.75gを60℃の熱水25ml中に撹拌混入し、完全に溶解させた。その後、溶液のpH値を0.1MのNaOHを用いてpH6.0に調節し、予め100mMのHNaPO緩衝液(pH6.5)1ml中に溶解させたチロシナーゼ(Sigma T-7755)1.2mgを添加した。引き続き、水浴中で、被覆された容器中で、まず50℃で少なくとも2時間放置し、その後20℃で20時間放置し、その後チロシナーゼをゲルの加熱により90℃で40分間不活性化させた。その後、ゲルを−18℃で凍結させ、凍結乾燥装置中で0.1hPaで乾燥させた。最終的に、乾燥させた粉末0.3gを60℃の熱水10ml中に溶解させた。
【0064】
実施例6
ホースラディッシュペルオキシダーゼを用いた媒体の横架橋、及び酵素の熱的不活性化、並びに乾燥及び得られた粉末の再水和
ペクチン0.5gを60℃の熱水25ml中に撹拌混入し、完全に溶解させた。その後、溶液のpH値を0.1MのNaOHを用いてpH6.0に調節し、100mMのHNaPO緩衝液(pH6.5)100ml中に溶解させたペルオキシダーゼ(Sigma P-6782)5mgの溶液1mlを添加した。3%H溶液6μlの添加後に、10秒間撹拌し、20℃で1時間放置し、ペルオキシダーゼをゲルの加熱により90℃で40分間不活性化させた。引き続き、ゲルを−18℃で凍結させ、凍結乾燥装置中で0.1hPaで乾燥させた。最終的に、乾燥させた粉末0.3gを60℃の熱水10ml中に溶解させた。
【0065】
実施例7
ラッカーゼを用いた植物抽出物の横架橋(比較)
乾燥したテンサイ果肉3.5gを水100ml中に添加し、混合物のpH値をHNO(28%)を用いてpH2に調節した。その後、70℃で15時間撹拌し、pH値を10NのNaOHを用いて3.3の値に調節し、20℃で20分間4000r.p.m.で遠心分離した。引き続き、上澄み液を透析した:
透析チューブφ48mm;18ml/cm;MWCO 12.000−14.000;外側相:水1800ml pH3.5(HNOで調節された)、20h;20℃;外側相:水5000ml pH3.5 22h;20℃
透析液をその後50℃、80hPaで3%の乾燥質量含分に濃縮し、その後、この溶液25mlに、水1ml中に溶解させたLaccase C(ASA Enzyme, Best. Nr. 2020)0.2mgを添加した。その後、これを20℃で24時間放置した。
【0066】
実施例8
ペルオキシダーゼを用いた植物抽出物の横架橋
テンサイ抽出物からの乾燥残留物3.5gを水100ml中に添加し、この混合物のpH値をHNO(28%)を用いてpH2に調節した。その後、70℃で15時間撹拌し、pH値を10NのNaOHを用いてpH3.3に調節し、20℃で20分間4000r.p.m.で遠心分離し、上澄み液を50℃、80hPaで3%の乾燥質量含分に濃縮した。この溶液25mlに、水1ml中に溶解させたペルオキシダーゼ(Sigma P-6782)0.25mg及び3%H溶液6μlを添加し、混合物を40℃で24時間放置した。
【0067】
実施例9
テンサイペクチンへのリンゴ圧縮抽出物の添加によるゲルの形成
リンゴ200gを搾汁機(Braun Modell 201)中で圧縮し、圧縮汁を回転蒸発器上で低下された圧力(40hPa)下で40℃で20%の乾燥質量含分になるまで回転させた。この濃縮された圧縮汁20mlに4%のテンサイペクチン溶液10mlを添加し、その後撹拌し、40℃で24時間放置した。
【0068】
更に、添付の図により本発明を具体的に説明する。図1及び2は、実施例4(ラッカーゼ)からの比較媒体及び実施例5(チロシナーゼ)からの本発明による媒体の種々の相対ゲル強度を示す:
図1は、種々の塩濃度(NaCl)の存在下でのチロシナーゼ及びラッカーゼの相対ゲル強度の比較を示す。
【0069】
図2は、種々のタンパク質濃度(ウシ血清アルブミン)の存在下でのチロシナーゼ及びラッカーゼの相対ゲル強度の比較を示す。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】種々の塩濃度(NaCl)の存在下でのチロシナーゼ及びラッカーゼの相対ゲル強度の比較を示す図。
【図2】種々のタンパク質濃度(ウシ血清アルブミン)の存在下でのチロシナーゼ及びラッカーゼの相対ゲル強度の比較を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシダーゼを用いて変性された、フェノール性置換基を有するゲル化可能なポリマー成分を含有する、高められた粘度を有する含水媒体において、変性が、
a)ポリフェノールオキシダーゼ活性を有するタンパク質、及び/又は
b)ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ及びペルオキシダーゼを含有する酵素混合物
により行われていることを特徴とする含水媒体。
【請求項2】
ゲル及び殊に有利に(部分)乾燥された及び/又は(部分)再水和された状態である、請求項1記載の媒体。
【請求項3】
ポリマー成分がモノフェノール性置換基を有する、請求項1又は2記載の媒体。
【請求項4】
ポリマー成分が、殊に(非)置換ケイ皮酸エステル基を有する少なくとも1種の多糖類である、請求項1から3までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項5】
多糖類としてアラビノキシラン及び/又はペクチンを含有している、請求項4記載の媒体。
【請求項6】
ペクチン成分が、アカザ科植物、及び殊にテンサイ又はその果肉に由来している、請求項4又は5記載の媒体。
【請求項7】
ペクチンを含有し、その際、有利にわずかに酸性の条件下で6.0〜7.5のpH値で、かつ/又は酵素を用いて、及び殊に有利にアラビノフラノシダーゼを用いて、少なくとも1つのアラビノース基が除去されている、請求項4から6までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項8】
アラビノキシラン成分が、穀類、例えばトウモロコシ又は小麦及び殊に穀粉又は粗びき穀物に由来している、請求項5から7までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項9】
ポリマー成分がポリフェノールオキシダーゼ及び殊に有利にチロシナーゼを用いて変性されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項10】
ポリフェノールオキシダーゼが、ナス科の植物及び殊に有利にジャガイモ、リンゴ、ナス、チコリー、バナナ、アボカド、茶の木又はマッシュルームに由来している、請求項1から9までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項11】
変性が、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び場合によりカタラーゼを含有する酵素混合物を用いて行われている、請求項1から10までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項12】
乾燥処理にかけられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項13】
中に含まれる酵素及び殊に有利に変性の原因となる酵素、殊にオキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ及び/又はヒドロラーゼが、成果のある変性の後に不活性形で存在している、請求項1から12までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項14】
化学的及び/又は熱的に不活性化された酵素を含有する、請求項13記載の媒体。
【請求項15】
食品分野における、化粧品の分野における及び/又は製薬的目的のための、殊に有利に品質改良剤、粘度増加剤、ゲル化剤としての、塗膜形成剤としての、レオロジー添加剤としての、又は安定剤としての、請求項1から15までのいずれか1項記載の含水媒体の使用。
【請求項16】
高められた粘度を有する含水媒体の製造法において、
a)フェノール性置換基を有するゲル化可能なポリマー成分少なくとも一部分を水性媒体中に溶解させた状態で装入し、その後、
b)工程a)からの溶液に、室温で、植物又は菌類源の、溶解されたオキシドレダクターゼ及び/又はペルオキシダーゼ及び/又はヒドロラーゼ及び/又はカタラーゼを添加し、引き続き、
c)工程b)からの溶液を15〜60℃の温度で少なくとも15分間撹拌し、最終的に、
d)場合により工程c)から得られた溶液中に含まれる酵素を熱的及び/又は化学的に不活性化させる
ことを特徴とする、高められた粘度を有する含水媒体の製造法。
【請求項17】
処理工程a)において、ポリマー成分として、オリゴ糖類含有媒体又は多糖類含有媒体、アルコール含有媒体、ラクテート含有媒体、グルタメート含有媒体、ペクチン含有媒体及びラクトース含有媒体、有利に牛乳又は牛乳含有媒体の列の少なくとも1種を装入する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
処理工程b)において、少なくとも1種のガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ラッカーゼ又はポリフェノールオキシダーゼを添加する、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
処理工程b)から得られる溶液を、場合により、他のゲル化可能でかつ場合により変性されたポリマーの添加後に、少なくとも1つの乾燥工程にかける、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
乾燥工程から得られる粉末を再水和させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項16から20までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、高められた粘度を有する含水媒体。
【請求項22】
中に含まれる酵素及び殊に有利に処理工程b)において添加された酵素が不活性化形で存在している、請求項21記載の媒体。
【請求項23】
食品分野における、化粧品の分野における及び/又は製薬的目的のための、殊に有利に品質改良剤、粘度増加剤、ゲル化剤としての、塗膜形成剤としての、レオロジー添加剤としての、又は安定剤としての、請求項16から20までのいずれか1項記載の方法により得られる含水媒体の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノールオキシダーゼを用いて変性された、フェノール性置換基を有するゲル化可能なポリマー成分を含有する、高められた粘度を有する含水媒体において、変性がチロシナーゼ活性を有するタンパク質により行われていることを特徴とする含水媒体。
【請求項2】
変性が、付加的に、ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ及びペルオキシダーゼを含有する酵素混合物を用いて実施されている、請求項1記載の媒体。
【請求項3】
ゲル及び殊に有利に(部分)乾燥された及び/又は(部分)再水和された状態である、請求項1又は2記載の媒体。
【請求項4】
ポリマー成分がモノフェノール性置換基を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項5】
ポリマー成分が、殊に(非)置換ケイ皮酸エステル基を有する少なくとも1種の多糖類である、請求項1から4までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項6】
多糖類としてアラビノキシラン及び/又はペクチンを含有している、請求項5記載の媒体。
【請求項7】
ペクチン成分が、アカザ科植物、及び殊にテンサイ又はその果肉に由来している、請求項5又は6記載の媒体。
【請求項8】
ペクチンを含有し、その際、有利にわずかに酸性の条件下で6.0〜7.5のpH値で、かつ/又は酵素を用いて、及び殊に有利にアラビノフラノシダーゼを用いて、少なくとも1つのアラビノース基が除去されている、請求項5から7までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項9】
アラビノキシラン成分が、穀類、例えばトウモロコシ又は小麦及び殊に穀粉又は粗びき穀物に由来している、請求項6から8までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項10】
ポリマー成分がチロシナーゼ[EC1.14.18.1]で変性されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項11】
チロシナーゼ活性を有するタンパク質が、ナス科の植物及び殊に有利にジャガイモ、リンゴ、ナス、チコリー、バナナ、アボカド、茶の木又はマッシュルームに由来している、請求項1から10までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項12】
変性が、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び場合によりカタラーゼを含有する酵素混合物を用いて行われている、請求項1から11までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項13】
乾燥処理にかけられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項14】
中に含まれる酵素及び殊に有利に変性の原因となる酵素、殊にオキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ及び/又はヒドロラーゼが、成果のある変性の後に不活性形で存在している、請求項1から13までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項15】
化学的及び/又は熱的に不活性化された酵素を含有する、請求項14記載の媒体。
【請求項16】
食品分野における、化粧品の分野における及び/又は製薬的目的のための、殊に有利に品質改良剤、粘度増加剤、ゲル化剤としての、塗膜形成剤としての、レオロジー添加剤としての、又は安定剤としての、請求項1から15までのいずれか1項記載の含水媒体の使用。
【請求項17】
a)フェノール性置換基を有するゲル化可能なポリマー成分の少なくとも一部分を水性媒体中に溶解させた状態で装入し、その後、
b)工程a)からの溶液に、室温で、植物又は菌類源の、溶解されたオキシドレダクターゼ及び/又はペルオキシダーゼ及び/又はヒドロラーゼ及び/又はカタラーゼを添加し、引き続き、
c)工程b)からの溶液を15〜60℃の温度で少なくとも15分間撹拌して、
高められた粘度を有する含水媒体を製造するための方法において、
最終的に、
d)工程c)から得られた溶液中に含まれる酵素を熱的及び/又は化学的に不活性化させる
ことを特徴とする、高められた粘度を有する含水媒体の製造法。
【請求項18】
処理工程a)において、ポリマー成分として、オリゴ糖類含有媒体又は多糖類含有媒体、アルコール含有媒体、ラクテート含有媒体、グルタメート含有媒体、ペクチン含有媒体及びラクトース含有媒体、有利に牛乳又は牛乳含有媒体の列の少なくとも1種を装入する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
処理工程b)において、少なくとも1種のガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ラッカーゼ又はポリフェノールオキシダーゼを添加する、請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
処理工程b)から得られる溶液を、場合により、他のゲル化可能でかつ場合により変性されたポリマーの添加後に、少なくとも1つの乾燥工程にかける、請求項17から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
乾燥工程から得られる粉末を再水和させる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項17から21までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、高められた粘度を有する含水媒体。
【請求項23】
中に含まれる酵素及び殊に有利に処理工程b)において添加された酵素が不活性化形で存在している、請求項22記載の媒体。
【請求項24】
食品分野における、化粧品の分野における及び/又は製薬的目的のための、殊に有利に品質改良剤、粘度増加剤、ゲル化剤としての、塗膜形成剤としての、レオロジー添加剤としての、又は安定剤としての、請求項17から21までのいずれか1項記載の方法により得られる含水媒体の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−500053(P2006−500053A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538990(P2004−538990)
【出願日】平成15年9月23日(2003.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010570
【国際公開番号】WO2004/029272
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(505106704)サティア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【Fターム(参考)】