説明

高コレステロール値に関連する病気の治療のための組成物、キット、及び方法

本明細書において開示されるのは、高コレステロール値に関連する病気を治療する方法であって、こうした治療を必要とする哺乳類に、安全且つ有効な量のコレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維を投与することを含む方法が提供される。本明細書において更に開示されるのは、HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質を含む第1組成物、並びに可溶性繊維を含む第2組成物を含むキットである。なお更に記載されるのは、HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質、並びに可溶性繊維を含む組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高コレステロール値に関連する病気の治療のために有用な組成物、キット、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HMG CoAレダクターゼ阻害物質(「スタチン」として通常参照される部類を含む)を含むコレステロール生合成阻害物質として既知の化合物の部類は、哺乳類系のコレステロール値の低下をもたらすために商業的に使用される。ヒト用の市販製品には、メバコール(MEVACOR)(ロバスタチンを含む;メルク(Merck))、プラバコール(PRAVACHOL)(プラバスタチンを含む;ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol Myers Squibb))、レスコール(LESCOL)(フルバスタチンを含む;ノバルティス(Novartis))、ゾコール(ZOCOR)(シムバスタチンを含む;メルク(Merck))、及びリピトール(LIPITOR)(アトルバスタチンを含む;ファイザー(Pfizer))が挙げられる。これらの製品は、約25%〜約45%のLDLコレステロール値の低下をもたらし、有用であることが証明されているが、幾つかの製品は、投与量が高い時には、約60%の程度のより大きい低下をもたらすことが報告されている。しかしながら、幾つかの例外はあるとしても、これらの製品は相対的に低い経口生物学的利用能を有する。なお更には、高い投与量のスタチンに耐えることができない患者もいる。
【0003】
その上、これらの製品は、食事性コレステロールの吸収、内因性胆汁性コレステロールの吸収、及び胆汁酸の再吸収に対して、もしあるとしてもほんの僅かの効果しか持たない。胆汁酸は、コレステロールを用いて肝臓により合成される。そのため、現在のところ食事性コレステロールを吸収し、胆汁性コレステロールを吸収し、及び/又は胆汁酸を結合する一方で(これは、次には循環から更なるコレステロールを摂取して更なる胆汁酸を合成する結果となり得る)、LDLコレステロール値を低下させる方法を提供することは有益である。LDLコレステロール及びその他の構成成分の低下を増大しながら、スタチンの投与量又は頻度の減少を実現し得る。
【0004】
こうした目的に到達するための、調査され得る非常に広範な多種多様の手法が存在するが、これまで僅かな成功しか報告されていない。例えば、エゼチマイブ及びシムバスタチンの組み合わせ治療が、米国における規制認可プロセスの現在の主題である。今日まで、何らかの卓越したところまで到達したその他の手法は知られていない。
【0005】
幾つかの可溶性繊維は、コレステロール値の低下において効果をもたらすことが報告されてきた。例えば、オオバコ及びオート麦繊維は、有益な効果を有するとして特に参照されてきた。しかしながら、今日まで、こうした繊維が、スタチンの有効性を超える又は同等である有効性を持つという報告又は示唆さえなかった。このために、組み合わせ治療は、こうした治療がごく僅かな効果しか生み出さないことが予想されたであろうために、文献中で提議されてこなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維の組み合わせ治療が、これらの構成成分単独のいずれとも比較して、真に相乗的な結果をもたらすことは、本発明者らの驚くべき及び胸躍る発見である。これらの結果はまさに予想外のことであり、ヒト及びその他の哺乳類のコレステロール低下治療に革命をもたらす機会を今や提示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態では、高コレステロール値に関連する病気を治療する方法であって、こうした治療を必要とする哺乳類に、安全且つ有効な量のコレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維を投与することを含む方法が提供される。
【0008】
本発明の別の実施形態では、
(a)HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質を含む第1組成物、並びに
(b)可溶性繊維を含む第2組成物
を含むキットが提供される。
【0009】
本発明の更に別の実施形態では、
(a)HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質、並びに
(b)可溶性繊維
を含む組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
例えば刊行物及び特許を含む様々な文書が、本開示を通して詳述される。このようなすべての文書は参考として本明細書に組み込まれる。
【0011】
百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0012】
本明細書で参照するのは、本発明で使用する様々な成分を含む構成要素の商品名である。本発明者らは本明細書において、ある特定の商品名の物質により限定されることは意図していない。商品名により参照されているものと同等の材料(例えば、異なる名称又は参照番号で異なる供給源から得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられて使用されてもよい。
【0013】
本発明の明細書では、様々な実施形態及び/又は個々の特徴が開示される。当業者には明らかであるが、このような実施形態及び特徴の全ての組み合わせが可能であり、並びに本発明の好ましい実施となり得る。
【0014】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないかなる要素を含んでもよいし、それらから本質的に成ってもよいし、又はそれらから成ってもよい。
【0015】
本発明の様々な実施形態及び個々の特徴を例示し説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかであろうが、先行する開示で教示された実施形態及び特徴の全ての組み合わせが可能であると共に、本発明の好ましい実施となり得る。
【0016】
(本発明で使用される組成物及び構成成分)
本発明は、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維の組み合わせを使用する組成物、キット、及び方法に関する。この組成物、キット、及び方法は、内腔のコレステロール及び胆汁酸の吸収の阻害に加えてコレステロール生合成の阻害のために有用である。本発明者らは、この組み合わせが、血漿コレステロールの低下に関して、予想外の及び真に相乗的な結果をもたらすことを見出した。即ち、本発明者らは、単独のコレステロール生合成阻害物質と比較して、更には、可溶性繊維と組み合わせた時に使用される濃度と比べてコレステロール生合成阻害物質がより高濃度で使用される場合と比較して、コレステロール生合成阻害物質の可溶性繊維との組み合わせが、より一層のコレステロール低下の有効性をもたらすことを発見した。これは、関連した治療に革命をもたらす可能性を有する胸躍る発見である。
【0017】
理論に制限されることを意図するものではないが、本発明者らは、可溶性繊維が、食事性コレステロール、並びに内因性コレステロール、胆汁酸、及び胆汁から分泌されるその他の物質を封鎖し、それによって血漿中のこれらの物質の吸収を阻害すると考えている。これらの物質はその後哺乳類系を通過し、更なる内因性コレステロールが、更なる胆汁酸を生成するために使用されなければならない。したがって、再び理論に制限されるものではないが、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維は相乗的に作用して、哺乳類系のコレステロール、特にLDLコレステロールの値を低下させると考えられている。そのため、本組成物、キット、及び方法は、高コレステロールに関連する病気を治療するために有用であり、これらは本明細書においては簡単にするために、アテローム性動脈硬化症の治療、アテローム性動脈硬化症の予防、血漿コレステロール値の低下、及びこれらの組み合わせとして定義される。
【0018】
構成成分は、本発明の組成物のものであり、加えて(更に下に記載されるような)キット及び方法中のそれらの構成成分については、以下のように記載される。
【0019】
(コレステロール生合成阻害物質)
本発明の組成物は、HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質を含む。
【0020】
本明細書に用いるためのHMG CoAレダクターゼ阻害物質には、例えばロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、及びロスバスタチンが挙げられ、これらのすべてが、対応する製薬上許容できる塩を含むと解釈されるべきである。ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン、及びロスバスタチンは各々、個々に(又は任意で組み合わせて)、本明細書に用いるのに特に好ましい。
【0021】
本明細書に用いるためのHMG CoAシンターゼ阻害物質には、例えば(E,E)−11−[3’R−(ヒドロキシメチル)−4’−オキソ−2’R−オキセタニル]−3,5,7,R−トリメチル−2,4−ウンデカジエン酸が挙げられる。
【0022】
(可溶性繊維)
可溶性繊維は当業者に周知である。可溶性繊維の非限定例には、これらに限定されないが、グルコマンナン(コンニャク)、オート麦繊維、ペクチン、オオバコ、グアーガム、キサンタンガム、アルギネート、アラビアゴム、フラクトオリゴ糖(チコリーの根及びイヌリンを含む)、寒天、メチルセルロース、及びカラギーナンが挙げられる。オオバコ(例えば、オオバコ外皮又は分画オオバコ(fractionated psyllium)を含む)は、本明細書に用いるのに特に好ましい。オオバコ外皮は、米国オハイオ州シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)から市販される場合がある。分画オオバコは、米国特許第6,287,609号に記載されるように、多様な効果をもたらすことが見出された。この特許に記載されるような画分B又はCは、本明細書のオオバコとして特に有用であり得る。
【0023】
フラクトオリゴ糖もまた、本明細書において好ましい可溶性繊維である。例として、フラクトオリゴ糖(fructooliogosaccharides)は、バナナ、大麦、ニンニク、ハチミツ、タマネギ、ライ麦、ブラウンシュガー、トマト、アスパラガス、チョウセンアザミ、小麦、ヤーコン、又はチコリーを含む、多様な果物又は野菜の中に見出し得る天然起源の化合物である。フラクトオリゴ糖は、例えばチコリーの根として、長鎖オリゴフラクトース(例えば、イヌリン)として、又は短鎖オリゴフラクトースとして提供されることができる。本明細書において特に有用なのは、1−ケストース(GFと略される)、ニストース(GF)及び1F−β−フラクトフラノシルニストース(GF)の内の少なくとも1つを含むフラクトオリゴ糖である。フラクトオリゴ糖は、本明細書で記載されるもののような植物から抽出できるが、一方それらはまた、フルクトース単位(類)と、スクロースのフルクトース単位とのB−(2−1)−グリコシド結合によって、1、2、又は3個のフルクトース単位をスクロース分子に加えることにより人工的に形成することができる。例として、フラクトオリゴ糖は、ゴールデン・テクノロジーズ・カンパニー社(Golden Technologies Company,Incorporated)から商標名ニュートラフローラ(NUTRAFLORA)(これは、1−ケストース、ニストース及び1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む短鎖オリゴフラクトースである)として市販されている。別の例として、短鎖フラクトオリゴ糖及びイヌリンの混合物は、プレバイオ1(PREBIO1)又は市販のラフティロース(RAFTILOSE)及びラフティライン(RAFTILINE)の混合物であることができる。
【0024】
好ましいペクチンには、柑橘類の果皮からの熱い酸性抽出物により得られるものが挙げられ、例えば、デンマークのブラバンド(Braband)のダニスコ社(Danisco Co.)から得られてもよい。
【0025】
メチルセルロースもまた本明細書で使用されてもよく、これは米国グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)から市販されるシトラセル(CITRUCEL)の活性構成成分である。
【0026】
(本発明のキット)
本明細書の更に別の実施形態では、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維を別個の組成物として提供することが望ましい場合がある。本発明は更に、
(a)HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質を含む第1組成物、並びに
(b)可溶性繊維を含む第2組成物
を含むキットに関する。
【0027】
この実施形態では、少なくとも2つの別個の異なった組成物が提供される。本発明者らは、こうしたキットが治療計画に従いやすく、本明細書の最適化された実施形態に従う異なる投与頻度、並びにその他の同様の要因などの問題に取り組むことを発見した。加えて、本明細書の特に好ましい実施形態では、こうしたキットは、コレステロールが哺乳類系により合成される傾向がある晩の時間(夕食の間若しくはその後、又は次の日の最初の食事の前(例えば、就寝前)を含む)にコレステロール生合成阻害物質が利用可能である一方で、コレステロールの封鎖のための可溶性繊維の本質的に連続的、又は少なくとも間断的な利用能を可能にする。そのため、本発明のキットは、本明細書において提供される相乗的組み合わせの異なる機構についての問題に独自に取り組む。
【0028】
こうしたキットにおいて、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維の様々な実施形態又は選好については、本明細書に上述される通りである。簡単にするために、こうした実施形態又は選好はここでは繰り返さない。
【0029】
第1組成物がHMG CoAレダクターゼ阻害物質を含む例として、HMG CoAレダクターゼ阻害物質は、メバコール(MEVACOR)(ロバスタチンを含む)、プラバコール(PRAVACHOL)(プラバスタチンを含む)、レスコール(LESCOL)(フルバスタチンを含む)、ゾコール(ZOCOR)(シムバスタチンを含む)、リピトール(LIPITOR)(アトルバスタチンを含む)、又はバイコール(BAYCOR)(セリバスタチンを含む)として、任意に提供されてもよい。コレステロール生合成阻害物質を含むその他の組成物は、当業者に周知となるものにしたがって配合されてもよい。
【0030】
第2組成物がオオバコを含む別の例として、オオバコは、任意に、米国オハイオ州シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)のメタムシル(METAMUCIL)として提供されてもよいし、又はさもなければファイバーオール(FIBERALL)若しくはペルディエム(PERDIEM)として提供されてもよい。第2組成物がメチルセルロースを含む別の例として、メチルセルロースは、米国グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)のシトラセル(CITRUCEL)として入手されてもよい。可溶性繊維を含むその他の組成物は、当業者に周知となる方法にしたがって配合されてもよい。
【0031】
この実施形態にしたがって、第1及び第2組成物はキットの中に別個の組成物として存在してもよく、例えば箱、瓶、又は同様のものなど、格納装置内に共に包装される別個の単位剤形として存在してもよい。
【0032】
本明細書のキットの特に好ましい実施形態では、キットは、第1組成物の複数個の1回用量及び/又は第2組成物の複数個の1回用量を含む。任意に、キットが、第1及び第2組成物の両方の複数個の1回用量を含む場合、第1組成物の複数個の1回用量は、第2組成物の複数個の1回用量より少ない。別の実施形態では、第2組成物の1回用量の数は、第1組成物の1回用量の数の約2〜約10倍である。更に別の実施形態では、第2組成物の1回用量の数は、第1組成物の1回用量の数の約2〜約4倍である。更に別の実施形態では、第2組成物の1回用量の数は、第1組成物の1回用量の数の3倍である。
【0033】
本発明の組成物のなお更なる実施形態では、キットは、キットの使用がアテローム性動脈硬化症の治療、アテローム性動脈硬化症の予防、血漿コレステロール値の低下及びこれらの組み合わせからなる群から選択される効果をもたらすという、組成物に関連する情報を更に含んでもよい。好ましくは、こうした情報は、本明細書に記載される効果の1つは、使用説明に従って組成物を用いた時にもたらされることを示唆する。例えば、こうした使用についての指導又は説明は、投与量の推奨量及び頻度、最大許容投与量、並びに/又はいかなる禁忌をも含んでよい。
【0034】
(可溶性繊維及びコレステロール生合成阻害物質の好ましい濃度)
本明細書の特に好ましい実施形態では、本発明者らは、本明細書の組成物、1回用量、又はキットは、可溶性繊維とコレステロール生合成阻害物質を、少なくとも約100:1の重量比で、あるいは少なくとも約200:1の重量比で、あるいは少なくとも約250:1の重量比で、あるいは更に少なくとも約300:1の重量比で含むことを見出した。記載したように、有利には、可溶性繊維はオオバコであり、またコレステロール生合成阻害物質はHMG CoAレダクターゼ阻害物質である。
【0035】
あるいは又は更には、本明細書の組成物、1回用量、又はキットは、少なくとも約1gの可溶性繊維、あるいは少なくとも約2gの可溶性繊維、あるいは少なくとも約3gの可溶性繊維、あるいは約5gの可溶性繊維、あるいは約1g〜約20gの可溶性繊維、あるいは約2g〜約17gの可溶性繊維、あるいは約3g〜約15gの可溶性繊維、あるいは約4g〜約7gの可溶性繊維を含む。
【0036】
あるいは又は更には、本明細書の組成物、1回用量、又はキットは、少なくとも約1mgのコレステロール生合成阻害物質、あるいは少なくとも約2mgのコレステロール生合成阻害物質、あるいは少なくとも約5mgのコレステロール生合成阻害物質、あるいは約1mg〜約100mgのコレステロール生合成阻害物質、あるいは約2mg〜約80mgのコレステロール生合成阻害物質、あるいは約5mg〜約80mgのコレステロール生合成阻害物質を含む。
【0037】
(本発明の組成物の任意成分及び投与形態並びに1回用量)
本明細書に記載される組成物は、他の物質と同時に投与されてもよいし、又は治療期間中に投与計画の一部として別個に摂取されてもよい。
【0038】
好適な賦形剤及び/又はその他の補助剤の非限定的記述は、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)により出版された「不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)」の中に提供されている(例えば、http://www.fda.gov/cder/drug/iigを参照のこと)。
【0039】
cd
本明細書に記載される組成物は、例えば、カプセル、錠剤(飲み込める又は噛める形態を含む)、懸濁液、座薬、粉末(例えば、水又は果汁などの液体と混合するのに好適であるような粉末を含む)、又は同様のものを含む、いかなる便利な形態で投与されてもよい。コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維が別個の組成物として投与される場合は、各々の1回用量の形態は他方に依存しなくてもよい。例えば、コレステロール生合成阻害物質はカプセル又はカプレットである1回用量の形態であってもよいが、可溶性繊維はカプセル又は粉末である1回用量の形態であってもよい。
【0040】
(本発明の方法)
本発明の方法は、高コレステロール値に関連する病気の治療(治療、予防、及び/又は阻害を含む)に関する多様な目的に有用である。こうした病気には、これらに限定されないが、以下の1以上が挙げられる:アテローム性動脈硬化症(冠状動脈性心疾患を含む)、再狭窄、血栓症、高コレステロール血症、高血圧、心臓発作の危険、糖尿病、血管機能不全、及び血行不良、及びショックなどその他の病気が挙げられるが、これらに限定されない心臓血管の病気。本明細書の好ましい方法は、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高血圧、心臓発作の危険、糖尿病及び血行不良の内の1以上の治療を含む。本明細書の可溶性繊維の利用に基づく補助的治療又は効果は、可溶性繊維の使用により典型的に治療される胃腸の病気の治療を当然ながら含む。
【0041】
こうした方法は、哺乳類(好ましくは、ヒト)に、本明細書に記載される組成物の継続治療上有効な投与量を全身的に(典型的には経口で)投与することを含む。特に、本発明の方法は、治療の必要な哺乳類に、コレステロール生合成阻害物質と可溶性繊維とを含む組成物、又はコレステロール生合成阻害物質を含む第1組成物と可溶性繊維を含む第2組成物とを含む別個の組成物を投与することを含む。
【0042】
本発明の方法は、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維を、別個の1回用量として(例えば、キットに関して本明細書で以上に記載されたような第1組成物及び第2組成物)、又は同時に単一の組成物として(これも本明細書で記載されたように)のいずれかにより、哺乳類(最も好ましくは、ヒト)に投与すること(典型的には、経口で)を含む。投与の頻度は限定されていないが、本明細書に記載される組成物は、典型的には、不定期若しくは必要に応じてという原則で投与されるか、又はより日常的な方式で毎日若しくは程度の差はあるが常習的な原則で投与されてもよい。
【0043】
例えば、本明細書に記載される組成物は、毎日1回又は食事と共に投与されてもよい。組成物、特にコレステロール生合成阻害物質を含むものを、晩の時間(夕食の間若しくはその後、又は次の日の最初の食事の前(例えば、就寝時)を含む)に、コレステロール生合成が頂点に達する時に投与することが、典型的である。あるいは又は更には、胆汁は内因性コレステロールと共に朝に最も濃縮される可能性があるため、組成物、特に可溶性繊維を含むものは、朝早く投与されてもよい。構成成分が別個に投与される場合には、構成成分は様々な時間又は頻度で投与されてもよい。
【0044】
例えば、任意に、可溶性繊維を含む組成物が毎日2又は3回、食事と共に投与されることが特に有利である場合があり、一方コレステロール生合成阻害物質を含む組成物は毎日1回だけ任意に投与されてもよい。一般に、コレステロール生合成阻害物質を含む組成物は、毎月少なくとも1回、より典型的には毎週少なくとも1回、より典型的には毎日少なくとも1回投与される。また一般に、可溶性繊維を含む組成物は、毎月少なくとも1回、より典型的には毎週少なくとも1回、より典型的には毎日少なくとも1回、更により典型的には毎日少なくとも2回、又は更により典型的には毎日少なくとも3回投与される。
【0045】
コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維が別個の組成物として投与される好ましい実施形態では、コレステロール生合成阻害物質を含む組成物は毎日1回投与される。あるいは又は更には、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維が別個の組成物として投与される場合には、可溶性繊維を含む組成物は、毎日少なくとも1回、又は毎日少なくとも2回、又は毎日少なくとも3回投与される。1つの実施形態では、可溶性繊維を含む組成物の少なくとも1個の1回用量が、コレステロール生合成阻害物質を含む組成物と同時に投与される。
【0046】
本明細書で使用する時、特定の組成物に関して「投与する」、「投与」という用語、又は同様の用語は、組成物を哺乳類(自らを含む)に提供すること、及び/又はいずれかの目的のために(好ましくは、本明細書に記載される目的のために)組成物の使用を指導、説明若しくは推奨することを意味する。1以上の本発明の組成物の投与を指導、説明又は推奨する場合、このような指導は、組成物の使用が本明細書に記載される効果の1以上をもたらす可能性がある及び/又はもたらすことになることを、ユーザーに説明及び/又は知らせるものであってもよい。そのような説明又は情報の非限定例は、本発明のキットについての説明の一部として本明細書に記載される。
【0047】
指導される投与には、例えば、口頭指導(例:例えば、医師、保健専門家、専門販売員若しくは協会による口頭での説明、及び/又はラジオやテレビ媒体(即ち、広告)を通じて)、又は書面での指導(例:例えば、医師、若しくは他の保健専門家からの書面での指導(例:手書きメモ)、専門販売員、若しくは協会からの書面での指導(例:例えば、広告用チラシ、パンフレット、若しくはその他教育的備品を通じて)を通じて)、文字媒体(例:インターネット、電子メール、若しくはその他コンピュータ関連媒体)、及び/又は本組成物に関連する包装(例:本組成物を収容するパッケージ上のラベル))が含まれていてもよい。本明細書で使用する時、「書面での」とは、言葉、絵、記号、及び/又はその他の視覚的記述子を介することを含む。このような指導は、本明細書に使用される実際の言葉を使用する必要はなく、むしろそれと同一又は類似の意味を伝達する言葉、絵、記号などの使用が本発明の範囲内で考慮される。
【0048】
本明細書で使用する時、構成成分、組成物、又は同様の物質の「安全且つ有効な量」という用語は、本発明の方式で用いられる時に、過度の不利な副作用(例えば、毒性、炎症、又はアレルギー反応)なしに、妥当な効果/危険率に相応する、哺乳類(好ましくは、ヒト)の高コレステロール値に関連する病気の治療に有効な量である。具体的な「安全且つ有効な量」は、明らかに、治療される特定の病気、治療される哺乳類の健康状態、治療される動物の大きさ及び重量、治療期間、併用療法の性質(ある場合)、用いられる具体的な剤形、所与の投与される組成物中に存在する他の構成成分、並びに構成成分又は組成物に望ましい服用量計画のような要因によって変化する。
【0049】
(本明細書に記載される組成物の生体内分析)
ここで記載される組成物の生体内活性、並びにキットの治療への利用及び治療方法は、以下の手順のいずれかにより任意に決定されることができる。
【0050】
オスイヌ(ビーグル犬、約9〜14kg、1〜4歳の範囲)に、5.5%のラード及び1%のコレステロールにより補完された標準的ドッグフードが与えられる。基準の血液試料が、絶食したイヌから、血漿コレステロールの参照値を得るために研究を開始する前に採取される。イヌは次に、類似の血漿コレステロール値を有する5頭の動物の群に無作為抽出される。動物は、本明細書に記載される治療方法に従って、7日間、食餌を与えられる直前に投与される。血液試料は、血漿コレステロールの測定のため、最後の投与後24時間で得られる。血漿コレステロール値は、市販のキットを用いるコレステロールオキシダーゼ法の修正により測定される。
【0051】
任意の別の手順では、ハムスターが6匹の群に分けられ、0.5%のコレステロールを含有する管理されたコレステロールの食餌を7日間与えられる。食餌の消費が監視され、食事性コレステロールへの暴露を測定する。動物は、本明細書に記載される治療方法に従って、食餌の開始と共に毎日1回投与される。投与は経口強制飼養による。瀕死状態の又は健康状態がよくない動物はすべて安楽死させる。7日後、動物は、ケタミンの筋肉内(IM)注射により麻酔され、骨頭切除術により犠牲になる。血液が、血漿脂質分析のためにEDTAを含有するバキュテイナー採血管内に収集され、肝臓が、組織脂質分析のために摘出される。脂質分析が、公開された手順(例えば、シュニッツアー−ポロコフ(Schnitzer-Polokoff)ら、比較生化学生理学(Comp.Biochem.Physiol.)、99A、4(1991)、665〜670ページにより行われ、データは、対照に対する脂質の減少百分率として記録される。
【0052】
(本発明の非限定例)
以下は、ここで記載される組成物、キット及び方法の非限定例である。記載される組成物は、従来のプロセスを使用して調製されるか、又は別個の異なる組成物の場合には、別に市販されている場合もある。実施例は本発明を説明するために提供され、いかなる形においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
シムバスタチンを含む第1組成物の14個の1回用量(1回用量当たり10mg、各々がセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、酸化鉄、タルク、二酸化チタン及びデンプンの1以上などの賦形剤を更に含む錠剤として)、及びオオバコの42個の1回用量をばらで含む第2組成物(マルトデキストリン、クエン酸、風味剤、色及びアスパルテームの1以上などの賦形剤を更に含む原末として)の14日分の供給を含むキットが提供される。第2組成物の各1回用量の摂取時に、ヒトの男性は、各1回用量当たり5gの原末を計量し、こうした5gの原末を0.24L(8オンス)のすぐ飲める果汁又は水と混合する。高血漿コレステロール値を患い、心臓発作の危険があると忠告されたヒトの男性が、第1組成物の1回用量を1個、及び第2組成物の1回用量を3個、毎日経口摂取する。4つのキットを使用後、医師により測定及び報告される時、ヒトの男性は、LDLコレステロールについておよそ30%の低下を示す。
【0054】
(実施例2)
プラバスタチンナトリウム(10mg)をメチルセルロース(2g)と混合し、結果として得られる混合物は、標準的な賦形剤と共に柔らかいゼラチンカプセル中に充填される。
【0055】
(実施例3)
アトルバスタチンを含む第1組成物の28個の1回用量(1回用量当たり20mg、各々がセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、酸化鉄、タルク、二酸化チタン及びデンプンの1以上などの賦形剤を更に含む錠剤として)、及びオオバコを含む第2組成物の84個の1回用量(1回用量当たり1g、各々がゼラチンカプセルとして)の28日分の供給を含むキットが提供される。高血漿コレステロール値を患い、心臓発作の経歴があるヒトの女性が、第1組成物の1回用量を1個、及び第2組成物の1回用量を3個、毎日経口摂取する。2つのキットを使用後、医師により測定及び報告される時、ヒトの女性は、総コレステロールについておよそ25%の低下を示す。
【0056】
(実施例4)
試験試料1、果汁と併せたシムバスタチン(20mg)、試験試料2、果汁と併せたシムバスタチン(10mg)、並びに試験試料3、オオバコ(15g)及び果汁と併せたシムバスタチン(10mg)の各々の投与を含む、高コレステロール値を治療する方法の効力を判断するための比較研究が実施される。
【0057】
この研究は、二重盲検無作為比較である。約30〜約80歳の年齢の60人のヒトが、研究のために利用されるが、それら全員が、アテローム性動脈硬化症の危険因子を有すると判断されている。ヒトは3つの治療群(治療群1、治療群2、及び治療群3)に無作為抽出される。各々のヒトは、いかなる脂質低下治療も停止し、基準の脂質の値を得る。
【0058】
すべて8週間の期間にわたって、治療群1は試験試料1を受け取り、治療群2は試験試料2を受け取り、治療群3は試験試料3を受け取る。試験試料1は、毎日1回同時投与として投与される。試験試料2は、毎日1回同時投与として投与される。試験試料3については、15gのオオバコが3つの1日投与量に、各々果汁と共に分けられ、その際1日の最後に投与された投与量は、シムバスタチンと同時に投与される。
【0059】
8週間経過した時、LDLコレステロール値、総コレステロール値、及びトリグリセリド値が測定される。トリグリセリドは、治療群に応じて影響されないことが見出された。しかしながら、平均して、LDLコレステロール及び総コレステロールは治療群1においてはおよそ29%低下し、LDLコレステロール及び総コレステロールは治療群2においてはおよそ33%低下し、LDLコレステロール及び総コレステロールは治療群3においてはおよそ38%低下する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の高コレステロール値に関連する病気を治療するために好適な薬剤の製造における、コレステロール生合成阻害物質及び可溶性繊維の使用。
【請求項2】
前記薬剤が単一の組成物である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤が、前記コレステロール生合成阻害物質を含む第1組成物と、前記可溶性繊維を含む第2組成物とを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記薬剤が、少なくとも1mgの前記コレステロール生合成阻害物質を含み、且つ該コレステロール生合成阻害物質が、HMG CoAレダクターゼ阻害物質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記HMG CoAレダクターゼ阻害物質が、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン及びこれらの混合物からなる群から選択され、且つ前記可溶性繊維が、オート麦繊維、ペクチン、オオバコ、グアーガム、キサンタンガム、アルギネート、アラビアゴム、フラクトオリゴ糖、寒天、メチルセルロース、カラギーナン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記可溶性繊維がオオバコである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
(a)HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質を含む第1組成物、並びに
(b)可溶性繊維を含む第2組成物
を特徴とする、キット。
【請求項8】
前記可溶性繊維がオオバコである、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
(a)HMG CoAレダクターゼ阻害物質、HMG CoAシンターゼ阻害物質及びこれらの混合物からなる群から選択されるコレステロール生合成阻害物質、並びに
(b)可溶性繊維
を特徴とする、組成物。
【請求項10】
前記可溶性繊維がオオバコである、請求項9に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−510743(P2007−510743A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539777(P2006−539777)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/037427
【国際公開番号】WO2005/046796
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【出願人】(506154188)ユニバーシティー、オブ、メディシン、アンド、デンティストリー、オブ、ニュージャージー (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF MEDICINE AND DENTISTRY OF NEW JERSEY
【Fターム(参考)】