説明

高レベルのヒト配列抗体を産生するハイブリドーマ

高レベルのヒト配列抗体を産生するハイブリドーマ・セルライン。無血清培地又は動物由来成分不含培地中での増殖に適したヒト配列抗体を産生するハイブリドーマ・セルラインをも記載する。抗−CTLA4抗体を産生するハイブリドーマ・セルラインが最も好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明は、高レベルのヒト配列モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ・セルラインであって、血清その他の動物由来成分を欠いた培地中で増殖するように適応しているものの開発に関する。本発明のハイブリドーマは、当該抗体の大規模生産において使用されうる。
【背景技術】
【0002】
現在開発される全バイオテクノロジー製品の3分の1は、MAbsである。理解されるであろうが、大量の上記MAbsの要求が高まっている。不幸なことに、動物細胞の培養は、しばしば、このような高まった要求を容易には満たさない。複雑な巨大分子、例えば、MAbsが製造されるためには、一般に、(細菌細胞ではなく)動物細胞の細胞機構が要求される。しかしながら、細菌の培養に比較して、動物細胞の培養は、低い生産効率をもち、そして典型的には、低い生産収率をもたらす(Bierau et al., J Biotechnology 62 : 195-207, 1998)。結果として、動物細胞培養から大量のMAbsを製造する要求は、しばしば、満たされない。
【0003】
さらに、動物細胞培養は、典型的には、動物血清、その他の規定されていない成長因子又は動物由来成分を含有する複合培地を要求する。これは、培地が通常、胎児ウシ血清(FBS)を含有するところのハイブリドーマ細胞培養に関して、特にそうである。元の培養が所望のMAbの製造に関して最適化されることができる場合でさえ、その培養基中の動物由来成分の存在は、当該MAbの製造のためのコストを上昇させることになる。さらに、所望のMAbの使用についての規制認可は、上記巨大分子が動物由来成分を含有する培養において製造される場合は、与えられない。規制当局は、疾患を引き起こす病原体が動物由来成分から伝播される可能性を考慮しなければならない。したがって、動物起源の成分を欠いた培地の使用が、費用と安全性の両者の観点から望まれる。
【0004】
CTLA4は、以下の2つのシグナルを要求するT細胞活性化に関係する。1つ目は、抗原特異的であり、かつ、主要組織適合複合体(MHC)−ペプチド・カップリングのT細胞受容体認識に基づき、そして2つ目は、抗原非特異的であり、かつ、抗原提示細胞(ACPs)により発現されるそれらのリガンド(共同刺激性分子)とのライゲーション後の特異的T細胞受容体によりデリバリーされる。APCs上のB7ファミリーの分子とT細胞会合リガンド、CD28とCTLA4(CD152ともいう)との結合は、T細胞活性化における中心的な共同刺激性シグナルを提供する。
【0005】
T細胞活性化の調節におけるCTLA4の役割が与えられれば、CTLA4にアフィニティーをもつMAbsの用途は多数ある。これらMAbsは診断キットや手順の開発のために使用できるだけでなく、それらは、CTLA4とB7アイソフォームの間の結合を標的とする免疫治療的処置においても有用である。
【0006】
公開国際特許出願WO00/37504とWO01/14424は、抗−CTLA4 MAbsについて言及する。2002年5月22日に出願された米国出願番号第10/153,382号は、CTLA4抗体を用いた癌の治療方法について言及している。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明は、バッチ培養において培養されるとき、少なくとも200mg/Lのヒト配列を作り出すハイブリドーマに関する。好ましい態様においては、上記ハイブリドーマは、300mg/L超、そしてより好ましくは390mg/L超の抗体を作り出す。本発明は、動物由来成分を含有しない培地中で高レベルのヒト配列MAbを作り出すハイブリドーマにも関する。
【0008】
1の態様においては、本発明は、バッチ培養において培養されるとき、少なくとも200mg/Lの抗−CTLA4ヒト配列抗体を産生するハイブリドーマを提供する。他の態様においては、本発明はバッチ培養において培養されるとき、少なくとも300mg/Lの、又は他の態様においては、少なくとも390mg/Lの抗−CTLA4抗体を産生するハイブリドーマを提供し、特に、ここで、ハイブリドーマ・カルチャーは、無血清培地又は動物由来成分を含有しない培地中で維持される。
【0009】
本発明は、ATCC受託番号PTA−4537において寄託されたハイブリドーマの同定特徴を有するハイブリドーマ、例えば、当該ハイブリドーマに由来するハイブリドーマをも提供する。
【0010】
他の局面においては、本発明は、実質的に無血清であるか又は動物由来成分を実質的に含有しない培地中でヒト・アミノ酸配列を有する抗体を製造するハイブリドーマを含む細胞カルチャーに関する。本発明は、抗体の発現のために好適な条件下で、上記カルチャーを培養し、そして上記カルチャーから上記抗体を単離することによる、上記培養からの抗体の製造方法にも関する。好ましい態様においては、上記抗体は、CTLA4抗体である。
【0011】
他の局面においては、本発明は、動物由来成分を含有しない培養培地(本明細書中、eRDF−ACF培地という)を提供する。当該培地は、2〜10g/L(又は好ましくは、4〜9、又は最も好ましくは6.6g/L)の小麦グルテン・ペプチド、0.85〜0.99倍(又は好ましくは、0.9〜0.99倍、又は最も好ましくは、0.95培)のeRDFストックであってHEPESバッファーを含まないもの、0〜0.5%(又は好ましくは、0.05〜0.3、又は最も好ましくは、0.095%)のグリセロール、0〜2倍(又は好ましくは、0.5〜1.5倍の、又は最も好ましくは、0.95倍)の2−メルカプトエタノール・ストック、0.5〜8mM(又は好ましくは、1〜4、又は最も好ましくは、1.9mM)のL−グルタミン、0.5〜5倍(又は好ましくは、0.8〜3、又は最も好ましくは、0.95倍)のIESストック、2〜8μM(又は好ましくは、4〜6、又は最も好ましくは、4.7μM)のアスコルビン酸、1〜5mM(又は好ましくは、1.5〜4、又は最も好ましくは、1.9mM)のクエン酸第2鉄、2〜10×10-4倍(又は好ましくは、4〜6、又は最も好ましくは、4.7×10-4倍)の脂質ストック、0〜0.5%(又は好ましくは0.05〜0.2、又は最も好ましくは、0.095%)の医療消泡Cエマルジョン、及び0〜4倍(又は好ましくは、0.5〜2、又は最も好ましくは、0.95倍)のプルロニックF−68(10%ストック=100倍)を含有する。
【0012】
他の局面においては、本発明は、細胞培養基、並びにアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)受託番号PTA−4537において寄託されたハイブリドーマ及び少なくとも200mg/Lの、又は他の態様において少なくとも300mg/Lの、又は他の態様において少なくとも390mg/Lの抗−CTLA4抗体を、バッチ培養において培養されるときに、産生するハイブリドーマから成る群から選ばれるハイブリドーマを含む抗−CTLA4抗体デリバリー・システムであって、特に、当該ハイブリドーマ・カルチャーが無血清細胞培養基又は動物由来成分を含有しない細胞培養基中で維持されるものを提供する。
【0013】
特に好ましい態様においては、本発明は、上記細胞培養基が動物由来成分を含有しないeRDF−ACF培地であるところの上記抗−CTLA4抗体デリバリー・システムを提供する。ここで、当該培地は、2〜10g/Lの小麦グルテン・ペプチド、0.85〜0.99倍のeRDFストックであってHEPESバッファーを含有しないもの、0〜0.5%のグリセロール、0〜2倍の2−メルカプトエタノール・ストック、0.5〜8mLのL−グルタミン、0.5〜5倍のIESストック、2〜8μMのアスコルビン酸、1〜5mMのクエン酸第2鉄、2〜10×10-4培の脂質ストック、0〜0.5%医療消泡Cエマルジョン、及び0〜4倍のプルロニックF−68(10%ストック=100倍)を含有する。
【0014】
他の局面においては、本発明は、抗−CTLA4抗体の製造方法であって、以下のステップ:i)細胞培養基と、少なくとも200mg/Lの、又は他の態様において少なくとも300mg/Lの、又は他の態様において少なくとも390mg/Lの抗−CTLA4抗体を、バッチ培養において培養するときに産生するハイブリドーマ、及びATCC受託番号PTA−4537において寄託されたハイブリドーマから成る群から選ばれるハイブリドーマとを混合して混合物を作製し、ここで特に、ハイブリドーマ・カルチャーは、無血清培養基又は動物由来成分を含有しない細胞培養基中で維持され;ii)上記混合物を培養し;そしてiii)上記培養された混合物から抗−CTLA4モノクローナル抗体を取得する、を含む前記方法を提供する。
【0015】
他の局面においては、本発明は、癌の治療に有効な量の本発明のハイブリドーマにより産生される抗−CTLA4抗体、及び医療として許容される担体を含む、哺乳動物における当該癌の治療用医薬組成物に関する。本発明は、癌の治療に有効な量の、本発明のハイブリドーマにより産生される抗体を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における当該癌の治療方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の詳細な説明
本明細書中に列記する刊行物及び特許文献の全てを、それらを全体として本明細書中に援用する。
【0017】
定義及び略号
APC−抗原提示細胞
ATCC−アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション
本明細書中に使用するとき、用語「バッチ培養」とは、培養プロセスであって、細胞が液体培地と混合され、そしてその培養プロセスにおいて、当該培地が交換、添加又は除去されずに、当該培地中で増殖、代謝、及び複製に供されるところの前記培養プロセスをいい;ハイブリドーマの「バッチ培養」は、中空ファイバー灌流システム、流動床反応器、又は類似の培養プロセス又はシステムであって培地が培養中に更新されるものを包含しない(中空ファイバー灌流システム、流動床反応器、又は類似の培養プロセス又はシステムについては、Freshney“Culture of animal cells:a manual of basic technique,”4th ed., Wiley-Liss, New York, NY, 2000を参照のこと)。
【0018】
BBS−ホウ酸塩バッファー生理食塩水
BSA−ウシ血清アルブミン
CS−ハイブリドーマ融合及びクローニング・サプリメント
DMEN−ダルベッコ修飾イーグル培地
DMSO−ジメチル・スルホキシド
ELISA−エンザイム−リンク
FBS−胎児ウシ血清
IL6−インターロイキン6
MAb−モノクローナル抗体
MHC−主要組織適合性複合体
PBS−リン酸塩バッファー生理食塩水
【0019】
本明細書中に使用するとき、「小麦グルテン・ペプチド」とは、例えば、酵素消化による、小麦グルテンからのペプチド組成物の調製品をいう;1例は、高品質のペプチド源を提供し、かつ、好適なグルタミン含有ペプチドが特に富む小麦グルテンの酵素消化物である、HYPEP(商標)4602(QUEST INTERNATIONAL, 5115 Sodge Blvd., Hoffman Estates, Illinois, 60192, United States; Cat. No. 5Z10471)により表される調製品であり;それは、比較的高レベルの遊離アミノ酸(例えば、28%)、並びにジ−及びトリ−ペプチドを含有し;そしてそれは、アミノ酸及びグルタミン源として、及び/又はウシ血清リプレーサーとして組織培養適用のために消化された。
【0020】
1の局面においては、本発明のハイブリドーマの特別な利点は、生育し、かつ、バッチ培養において200mg/L以上のヒト配列抗体を産生するそれらの能力である。ここで、上記ハイブリドーマ・カルチャーは、無血清培地又は動物由来成分を含有しない培地中で維持される。動物由来成分を含有しない培地中で生育する本発明のハイブリドーマの能力は、ハイブリドーマ培養に関わる費用を低減するために、そして確かに病原体を含有しない精製MAb調製品を取得するために、特に望ましい。
【0021】
本発明のハイブリドーマは、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する。トランスジェニック・マウスの使用は、このような「ヒト配列」抗体を産生することが本分野において知られている。
【0022】
1の上記方法は、Mendez et al. Nature Genetics 15 : 146-156 (1997), Green and Jakobovits J. Exp. Med. 188 : 483-495 (1998)、及び米国特許出願第08/759,620号(1996年12月3日出願)中に記載されている。ヒト抗体を取得するための上記マウスの使用も、米国特許出願第07/466,008号(1990年1月12日出願)、同第07/610,515号(1990年11月8日出願)、同第07/919,297号(1992年7月24日出願)、同第07/922,649号(1992年7月30日出願)、同第08/031,801号(1993年3月15日出願)、同第08/112,848号(1993年8月27日出願)、同第08/234,145号(1994年4月28日出願)、同第08/376,279号(1995年1月20日出願)、同第08/430,938号(1995年4月27日出願)、同第08/464,584号(1995年6月5日出願)、同第08/464,582号(1995年6月5日出願)、同第08/463,191号(1995年6月5日出願)、同第08/462,837号(1995年6月5日出願)、同第08/486,853号(1995年6月5日出願)、同第08/486,857号(1995年6月5日出願)、同第08/486,859号(1995年6月5日出願)、同第08/462,513号(1995年6月5日出願)、同第08/724,752号(1996年10月2日出願)、及び同第08/759,620号(1996年12月3日出願)中に記載されている。ヨーロッパ特許EP 0 463 151(1996年6月12日特許公表)、国際特許出願WO94/02602(1994年2月3日公開)、国際特許出願WO96/34096(1996年10月31日公開)、及びWO98/24893(1998年6月11日公開)をも参照のこと。上記マウスを使用して作製された上記ヒト配列抗−CTLA4抗体について記載する国際特許公開WO00/37504及びWO01/14424をも参照のこと。
【0023】
ヒト配列抗体を産生するハイブリドーマの作製は、上記文献に従って達成される。以下、実施例においてさらに示すように、上記ハイブリドーマは、記載される方法に従う製造及び無血清増殖のために改作される。
【0024】
本発明のさらなる態様においては、上記ハイブリドーマを含有するカルチャーは、300超、かつ、600mg/L未満の抗体を産生する。
本発明の1態様に従って製造されたCTLA4抗体は、例えば、癌の治療に有用である。このような癌の例は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部又は首部の癌、皮膚又は眼内悪性メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、精巣癌、子宮癌、ファロピーオ管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、陰門の癌腫、ホジキン病、非ホジキン・リンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎の癌、柔組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性又は急性白血病であって、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽白血病、慢性リンパ球性白血病を含むもの、子供の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎細胞癌腫、腎孟の癌腫、中枢神経系(CNS)の新形成、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、上皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、環境誘導癌であって、アスベストにより誘導されるものを含むもの、並びに上記癌の組合せを含む。
【0025】
上記抗体は、患者への投与に好適な医薬組成物中に取り込まれることができる。典型的には、上記医薬組成物は、上記抗体、及び医薬として許容される担体を含む。本明細書中に使用するとき、「医薬として許容される担体」は、生理学的に適合性であるいずれかの及び全ての溶媒、分散媒質、コーティング、抗バクテリア及び抗真菌剤、等張性及び吸収遅延剤等を含む。医薬として許容される担体の例は、水、生理食塩水、リン酸塩バッファー生理食塩水、デキストロース、グリセロール等、並びにそれらの組合せの中の1以上を含む。多くの場合、上記組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。医薬として許容される物質、例えば、水和剤又は微量の補助物質、例えば、水和又は乳化剤、保存料又はバッファーは、上記抗体の保存寿命の有効性を高める。
【0026】
抗体は、さまざまな形態にあることができる。これらは、例えば、液体、半固体、及び固体投与形態、例えば、液体溶液(例えば、注射及び輸注溶液)、分散又は懸濁液、錠剤、ピル、粉末、リポソーム、及び坐剤を含む。好ましい形態は、意図された投与モード、及び治療適用に依存する。典型的な好ましい組成物は、注射又は輸注溶液、例えば、他の抗体によるヒトの受動免疫のために使用されるものに類似する組成物の形態にある。好ましい投与モードは、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉中)である。好ましい態様においては、抗体は、静脈内輸注又は注射により投与される。他の好ましい態様においては、抗体は、筋肉中又は皮下注射により投与される。
【0027】
治療用組成物は、典型的には、製造及び保存の条件下で、滅菌され、かつ、安定性でなければならない。上記組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、又は高医薬濃度に好適な他の秩序ある構造として配合されることができる。滅菌注射溶液は、必要により、先に挙げられた成分の中の1又はその組合せを含む適当な溶媒中に必要とされる量で上記抗体を取り込み、その後滅菌濾過することにより、調製されることができる。一般に、分散剤は、塩基性分散媒質と、先に挙げたものからの必要とされる他の成分とを含有する滅菌媒質中に上記活性化合物を取り込むことにより、調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、上記活性成分と予め滅菌濾過されたその溶液からの追加の所望成分の粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥である。溶液の適正な流動性は、例えば、コーティング、例えば、レシチンの使用により、分散液の場合には要求される粒子サイズを維持することにより、そして界面活性剤の使用により、維持されることができる。注射用組成物の延長された吸収は、当該組成物中に、吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含入されることにより、達成されうる。
【0028】
上記抗体は、非制限的に、経口、非経口、粘膜、吸入、表在局所、バシカル、鼻内、及び直腸を含む本分野に知られたさまざまな方法により、投与されることができる。多くの治療適用のためには、好ましい投与経路/モードは、皮下、筋肉中、静脈内又は輸注である。針なし注射は、所望により、使用されうる。当業者上は理解するであろうが、投与経路及び/又はモードは、望ましい結果に依存して、変化するであろう。
【0029】
ある態様においては、上記抗体は、上記化合物が速く放出されることを妨害するであろう担体、例えば、制御放出配合品とともに調製され、これらは、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化デリバリー・システムを含む。生物分解性、生体適合性ポリマー、例えば、酢酸ビニル・エチレン、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸が、使用されうる。このような配合品の多くの製造方法が、特許されており又は当業者に一般に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
【0030】
特定の態様においては、上記抗体は、例えば、不活性希釈剤又は同化性食用担体とともに、経口投与されうる。上記抗体(所望により、その他の成分)は、ハード又はソフト・シェル・ゼラチン・カプセル内に封入され、錠剤に圧縮され、又は患者の食事中に直接に取り込まれることもできる。経口治療投与のためには、上記抗体は、賦形剤とともに取り込まれ、そして摂取可能な錠剤、口内錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、坐剤、シロップ、ウェハーその他の形態で使用されることもできる。非経口投与以外により上記抗体を投与するためには、その失活を防止するための材料で、それをコートし、又は当該材料と上記化合物を同時投与することが必要かもしれない。
【0031】
投薬養生法は、最適に望ましい応答(例えば、治療又は予防応答)を提供するために調整されうる。例えば、単一ボーラスが投与され、数回に分けられた投与量が一定時間にわたり投与され、又は当該投与量は、その治療状況の緊急性により指示されるとき、比例して減少され又は増加されうる。投与を容易にするため、かつ、投与量を均質にするため、単位投与形態で非経口組成物を配合することが特に有利である。本明細書中に使用するとき、単一投与形態とは、処置される哺乳動物患者のための単位投与量としてふさわしい物理的に別個の単位をいい;各単位は、要求される要求担体とともに所望の治療効果を作り出すと計算される所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位投与形態の明細は、(a)上記抗体のユニークな特性及び達成されるべき特別な治療又は予防効果、及び(b)個体の感受性の治療のために上記活性化合物を配合する分野に固有の制限、により決定され、かつ、それらに直接依存する。
【0032】
本発明に従って投与される抗体の治療又は予防有効量についての例示的、非制限的な範囲は、0.1〜100mg/kg、より好ましくは、0.5〜50mg/kg、より好ましくは、1〜20mg/kg、そしてさらにより好ましくは、1〜10mg/kgである。投与量の値は、軽減されるべき症状のタイプ及び重度に伴って変化しうることに留意すべきである。特定の患者、特定の投薬養生法が個体の必要性及び上記組成物を投与し又は当該投与を監督する者のプロフェッショナルな判断に従って一定時間にわたって調整されるべきであること、及び本明細書中に言及する投薬レンジが単なる例示であり、そして請求に係る組成物の範囲又は実施を制限することを意図するものでないこと、も理解されるべきである。
【0033】
1の態様においては、上記抗体は、5又は10mg/mlの抗体、20mM酢酸ナトリウム、0.2mg/mlポリソルベート80、及び140mM塩化ナトリウムを含有するpH5.5の滅菌水溶液として、静脈内配合品として投与される。
【0034】
1の態様においては、上記投与量の一部は、静脈内ボーラスにより投与され、そしてその残部は、上記抗体配合品の輸注により投与される。さらに他の態様においては、上記抗体の0.01mg/kg静脈内ボーラス注射の後に、3〜5分間にわたる0.1mg/kgの静脈内注射が続き、100ml/時での100ml生理食塩水中の1及び3mg/kgの輸注が、その後に、100ml/時における250ml生理食塩水中の4〜10mg/kgの輸注が、その後に、100ml/時における500ml生理食塩水中の12.5〜21mg/kgの輸注が、その後に、120ml/時における600ml生理食塩水(500+100バッグ)中28mg/kg輸注が続く。
【0035】
癌を治療するために投与されるとき、上記抗体は、化学療法剤、癌ワクチン、免疫調節剤、抗血管形成剤、抗脈管剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、アポトーシス誘導剤、及び生存経路の阻害剤から成る群から選ばれる剤と併合されることができる。このような抗体の投与のさらなる説明は、国際特許出願WO00/37504、WO01/14424、2002年5月22日に出願された米国出願第10/153,382号中に記載され、これらの文書を本明細書中に援用する。
【0036】
上記抗体は、標識されることができる。これは、検出可能なマーカーの取り込みにより、例えば、放射標識アミノ酸の取り込み又は有標アビジンにより検出されることができるビオチニル成分のポリペプチドへの付着により行われうる(例えば、蛍光マーカー又は酵素活性を含有するストレプトアビジンは、光学又は比色方法により検出されうる)。ある状況においては、上記標識又はマーカーは、治療薬であることもできる。ポリペプチド及び糖タンパクを標識するさまざまな方法が本分野において知られており、そして使用されうる。ポリペプチドのための標識の例は、非制限的に、以下の:放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H,14C,15N,35S,90Y,99Tc,111In,125I,131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド、リン光体)、酵素標識(例えば、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリ・ホスファターゼ)、化学発光体、ビチオニル基、2次リポーターにより認識される所定ポリペプチド・エピトープ(例えば、ロイシン・ジッパー対配列、2次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープ・タグ)を含む。
ある態様においては、標識は、潜在的な立体妨害を減少させるためにさまざまな長さのスペーサー・アームにより付着される。
本発明を以下の実施例により説明するが、当該実施例は、請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0037】
実施例1:ERDF−ACF培地
eRDF−ACF培地は無血清培地であり;それは動物由来の成分を含有しない。eRDF−ACF培地を、小麦グルテン・ペプチド(例えば、HYPEP(商標)4602;2〜10g/L、好ましくは、4〜9又は6.6g/L)、eRDFストック、HEPESバッファーを含まない(0.85〜0.99倍、好ましくは、0.9〜0.99又は0.95倍)、グリセロール(0〜0.5%、好ましくは、0.05〜0.3又は0.095%)、2−メルカプトエタノール・ストック(0〜2倍、好ましくは、0.5〜1.5又は0.95倍)、L−グルタミン(0.5〜8mM、好ましくは1〜4又は1.9mM)、IESストック(0.5〜5.0倍、好ましくは、0.8〜3又は0.95倍)、アスコルビン酸(2〜8μM、好ましくは、4〜6又は4.7μM)、クエン酸第2鉄(1〜5mM、好ましくは、1.5〜4又は1.9mM)、脂質ストック(2〜10×10-4倍、好ましくは、4〜6×10-4又は4.7×10-4倍)、医療用消泡Cエマルジョン(0〜0.5%、好ましくは0.05〜0.2又は0.095%)、及びプルロニックF−68(すなわち、10%ストック=100培;0〜4倍、好ましくは、0.5〜2又は0.95倍)を混合することにより、作製した。
【0038】
特に好ましい組成物を以下に示す。eRDF−ACF培地についての供給者、カタログ番号、及び追加情報は、以下の通りである:
小麦グルテン・ペプチド(HYPEP(商標)4602、QUEST INTERNATIONAL, 5115 Sodge Blvd., Hoffman Estates, Illinois, 60192, United States; Cat. No. IPL # 5Z10471)。使用したHYPEP(商標)4602についてのアミノ酸分布(mg/g)、これは代表的な分布(mg/g)であるが、以下の通りである:
【0039】
【表1】

【0040】
使用したHYPEP(商標)4602の化学的特性についての他の典型的なデータ(%)は、以下の通りである:アミノ窒素(AN):4.0;全窒素(TN):13.3;AN/TN:30;水分:9.0未満;遊離アミノ酸:28;ナトリウム:0.5;カリウム:0.1;カルシウム:0.1。使用したHYPEP(商標)4602の化学的特性の他のデータは:pH(10%溶液):5.4;及び(25℃における)溶解度:300g/L。使用したHYPEP(商標)4602の微生物学的特性は:合計生存数:最大1,000/g;酵母及びカビ:最大100/g;サルモネラ:25g中、不存在;大腸菌(Escherichia coli):1g中、不存在;Staph. aureus:最大10/g。
【0041】
eRDFストック、HEPESバッファー不含(LIFE TECHNOLOGIES Cat. No. 000-0348)。
グリセロール(SIGMA-ALDRICH Cat. No. 2025)。
2−メルカプトエタノール・ストック(1000培)(LIFE TECHNOLOGIES Cat. No. 21985-023)。
L−グルタミン・ストック(200mM):0.85%NaCl中29.2mg L−グルタミン/mL(LIFE TECHNOLOGIES, Cat. No. 25030-081)。
IESストック(100倍)
【0042】
【表2】

【0043】
* イーグルス・バッファー塩溶液(EBSS)ストック
【0044】
【表3】

【0045】
上記成分に、ピコ純度の蒸留H2Oを100mL付近の容量まで添加し、そしてピコ純度の蒸留H2Oでその最終容量を100mLにする前に、そのpHを10%HClで7.2〜7.4(好ましくは、7.25)に調整することにより、EBSSストックを調整した。
【0046】
5mMアスコルビン酸ストック
【0047】
【表4】

【0048】
上記88.7μgのアスコルビン酸に、ピコ純度の蒸留H2Oを100mLまで添加することにより、5mMアスコルビン酸ストックを調整し、そして0.2ミクロン膜フィルター(CORNING Cat. No. 430757)を通して濾過した。
【0049】
クエン酸第2鉄ストック(200mM)
【0050】
【表5】

【0051】
上記489.4mgクエン酸第2鉄にピコ純度H2Oを100mLまで添加し、混合し、時々ボルテックスしながら6〜7時間37℃水中で上記混合物をインキュベートし、そして0.2μm膜濾過装置(CORNING Cat. No. 430757)を通して上記透明混合物を濾過することにより、クエン酸第2鉄ストックを調製した。上記クエン酸第2鉄ストックを、4〜8℃で光から保護して保存した。
【0052】
脂質ストック
【0053】
【表6】

【0054】
各成分を50mLポリプロピレン管に添加し、無水エタノールを10mL容量までさらに添加し、ボルテックスにより混合し、そして時々ボルテックスしながら6〜7時間37℃水浴内で上記混合物をインキュベートすることにより、脂質ストックを調整した。6〜7時間後、上記混合物(但し濁っていた)をSupor Acrodisc PFシリンジ・フィルター(0.8μm/0.2μm;GELMAN 4187)を通して濾過し、そして0℃未満で保存した。
【0055】
1倍脂質濃度を有するeRDF−ACF培地に関しては、培地1リッター当り、50μL脂質ストックを添加した(0.07mg d−ビタミンE;0.5mg綿実油;及び2.625mg Tween80の、リッター当りの最終濃度)。10倍脂質濃度を含有するeRDF−ACF培地に関しては、培地1リッター当り500μLの脂質ストックを添加した(0.7mg d−ビタミンE;5.0mg綿実油;及び26.25mg Tween80の、リッター当りの最終濃度)。
【0056】
医療用消泡Cエマルジョン(ピコ純度H2O中10%w/w、そして30分間オートクレーブ処理;DOW CORNING Cat. No. 1456211)。
【0057】
プルロニックF−68(10%)(100倍)30分間オートクレーブ処理(LIFE TECHNOLOGIES Cat. No. 24040-032)。
【0058】
eRDF−ACF培地
【0059】
【表7】

【0060】
eRDF−ACF培地を以下のように調製した:7gメジャーの粉末小麦グルテン・ペプチドを、滅菌1−Lポリスチレン保存ボトル内に入れた。HEPESバッファー不含液体eRDFストックの1000mLアリコートを、37℃に予熱し、上記保存ボトルに添加し、そしてマグネチック・スターラー・バーで混合した。次いで、グリセロール(1g)を添加し、そして溶解させた。次に、医療用消泡CエマルジョンとプルロニックF−68ストックを除く、全てのストック溶液を添加し、当該併合物を十分に混合し、そして次にMillipore GP Express 0.22μm真空フィルター装置を用いて濾過した。最後に、上記医療用消泡CエマルジョンとプルロニックF−68ストックを無菌的に添加した。
【0061】
実施例2:ELISA定量
ELISAプレートを、ヤギ抗−ヒトIg非標識抗体(SOUTHERN BIOTECHNOLOGY ASSOCIATES, Cat. No. 2010-01)でコートし、そして4℃で一夜インキュベートした。一夜インキュベートした後、上記プレートを空にし、そしてBBS溶液(すなわち、6.2g/Lホウ酸(SIGMA-ALDRICH Cat. No. B-7660)、9.5g/L Borax(SIGMA-ALDRICH Cat. No. B-9876)、4.4g/L NaCl、pHを8.2〜8.4に調整)で洗浄した。上記洗浄の後、1%アルブミンを含有するBBS溶液200〜300μL(BBS−BSA)を各ウェルに添加した。プレートを、少なくとも1時間室温でインキュベートし、又はプレート・シーラーを用いて冷蔵庫内で保存した。次いで、上記プレートを空にし、そしてBBS溶液で洗浄した。空にしたプレートに、BBS−BSA中に希釈した、100〜200μLのハイブリドーマ上清、標準、それらの希釈物、及びネガティブ・コントロールを、ウェル毎に添加した。次いで、上記プレートを3〜4時間インキュベートした。インキュベーション後、各ウェルをBBS溶液で洗浄した。検出抗体、ヤギ抗−ヒト・アルカリ・ホスフェート(SOUTHERN BIOTECHNOROGY ASSOCIATES, Cat. No. 2010-04)を、BBS−BSA溶液中、1:500希釈において100μL/ウェルにおいて添加した。上記プレートを、3〜4時間室温でインキュベートし、そして次に、BBS溶液で洗浄した。その後、新たに調製した基質100μL/ウェルを上記ウェルに添加した。SIGMA 104(商標)ホスファターゼ基質(p−ニトロフェニル・ホスフェート;SIGMA-ALDRICH Cat. No. 104-40)を1mg/mLの最終濃度に溶解することにより、上記基質を調製した。上記プレートを、1時間インキュベートした。次いで、上記プレートを、405ナノメーターの波長においてマイクロプレート・リーダー上で読んだ。
【0062】
実施例3:無血清培地中での培養のための抗−CTLA4抗体産生ハイブリドーマの開発
ハイブリドーマ4.1.1を、公開された国際特許出願WO00/37504中に記載されるように開発した。ハイブリドーマ4.1.1.1は、ハイブリドーマ4.1.1のサブクローンである。ハイブリドーマ4.1.1.1を、血清−及びCS−含有培地中で培養した。培地中のCSを次に、ネズミIL6で置換した。エンザイム・リンクト・イムノソルベント・アッセイ(ELISA)により評価されるとき、ハイブリドーマ4.1.1.1は、バッチ培養において約15mg/Lの抗−CTLA4抗体を産生した。
【0063】
伝統的な適応方法を使用して、ハイブリドーマ4.1.1.1を血清及びネズミIL6から分離した。この血清、CS、及びIL−6非依存性カルチャーを、ハイブリドーマ4C2と再命名した。無血清DMEM/F12−ベース培地(約2415mg/Lの2塩基性リン酸ナトリウムを含有する)中、ELISAにより抗−CTLA4抗体レベルが計測されるときバッチ培養において、ハイブリドーマ4C2も、約15mg/Lの抗−CTLA4抗体を産生した。
【0064】
ハイブリドーマ4C2カルチャーの慣用の限界逐次希釈によるクローニングの繰り返しランの間、0.5−10Bと命名されたハイブリドーマ・セル・ラインが、(約1208mg/Lの2塩基性リン酸ナトリウムを含有する)無血清DMEM/F12−ベース培地中での培養に関して得られた。行われた上記限界逐次希釈プロトコールの形式は、ハイブリドーマ0.5−G1の開発に関して実施例4中に記載したものと同じである。(約1208mg/Lの2塩基性リン酸ナトリウムを含有する)無血清DMEM/F12−ベース培地中、ハイブリドーマ0.5−10Bは、ELISAにより抗−CTLA4抗体レベルが計測されるとき、バッチ培養において約19mg/mLの抗−CTLA抗体を産生した。
【0065】
実施例4:ハイブリドーマ0.5−G1の開発
ハイブリドーマ0.5−10Bを、次いで、慣用の限界逐次希釈により無血清eRDF−ベース培地(0.95倍eRDFストック、HEPES含有;LIFE TECHNOLOGIES Cat. No. 00-0019DKを含有する)中でサブクローニングして、以下のようにハイブリドーマ0.5−G1を得た。液体窒素中で保存されていたハイブリドーマ0.5−10B細胞を、37℃水浴内で解凍した。解凍された細胞を、1週間の時間経過にわたり細胞カルチャーを2日毎に分割する(すなわち、カルチャーを3回分解する)ようなスケジュールで、(約1208mg/Lの2塩基性リン酸ナトリウムを含有する)無血清DMEM/F12−ベース培地中で、培養した。8日目に、培養された細胞を、1%L−グルタミン、1倍ITS−S、及び1%プルロニックF68ストックを補った無血清eRDF−ベース培地に移した。9日目に、細胞懸濁液(7.50×105細胞/ml)を、(補給物質を含有しない)無血清eRDF−ベース培地を用いて、1:7.5、1:37.5、1:375、1:3,750、1:30,000、1:75,000、1:150,000、及び1:750,000の希釈に、逐次希釈し;上記シリーズの4つの最大希釈懸濁液を生成するための希釈に使用した培地の半分は、ならし培地であった。
【0066】
上記シリーズの2つの最大希釈懸濁液の各々からの細胞を、96ウェル・プレートのウェルを接種するために使用して、0.5細胞/ウェル、及び0.1細胞/ウェルを作製し、ここで、各ウェルは、100μLの懸濁容量を含んでいた。上記プレートを、超加湿チャンバー内に入れ、そして5%CO2及び37℃で培養した。2日後、100μLの新鮮無血清eRDF−ベース培地を、上記プレート上のウェルの各々に添加して、栄養を補給した。
【0067】
高レベルのヒト抗体を生成するウェル懸濁液を、実施例2に記載したELISAにより測定した。高レベルのヒト抗体を産生するウェルからのハイブリドーマ・カルチャーを、一旦、ウェルが集密になったらスケール・アップした。0.5細胞/ウェルのプレートの中の9つのウェルからの、及び0.1細胞/ウェルのプレートの中の3つのウェルからのハイブリドーマは、ELISAにより計測されるとき、ヒト抗体(すなわち、抗−CTLA4 MAb)の高レベルの生産をもたらした。上記細胞についての1つの継代を代表すると考えられたもの(すなわち、96ウェル・プレート内での増殖)を完成するために、上記12ウェルの各々の内容物を、緩やかにピペットを用いて上記96ウェルELISAプレートから無菌的に取り出し、そして12ウェル・インキュベーション・プレート上の対応のウェルに移した。
【0068】
増殖を刺激することを助けるために、0.95倍Hybridoma FusionとCloning Supplement(BOEHRINGER MANNHEIM Cat. No. 1-363-735)をさらに含有する1ml無血清eRDF−ベース培地を、上記12ウェルの各々に添加した。数日間培養した後、3つのウェルは集密になった。緩やかなピペット操作を、上記ウェルから、7.5ml無血清eRDF−ベース培地(CS不含)を含有するT25フラスコまで、細胞を移すために使用した。12ウェル・プレート内の上記セルラインのカルチャーは、上記セルラインに関する第2継代を表すと考えられた。
【0069】
セルライン0.5−G1を、フラスコ内の追加の継代においてその後のクローニングのために選択した。セルライン0.5−G1のアリコートを、130rpm、及び37℃、5%CO2に設定したインキュベーター内の250ml振とうフラスコ内の無血清eRDF−ベース培地中で培養した。3日間培養した後、1mlサンプルを、ELISAのために上記フラスコから採取した。1日後、第2の1mlサンプルを、他のELISAのために上記フラスコから採取した。元のフラスコのカルチャーを、2日後までのELISAサンプルを取得するために維持した。
【0070】
実施例2に記載されたように、上記サンプルに対して標準的なプロトコールに従って実施したELISAは、セルライン0.5−G1が、1.20×106細胞/mlの密度において、かつ、57.1%の細胞生存率において、1リッター当り約73mgのヒト抗−CTLA4抗体を、開始時に産生したことを、示した。上記抗体力価は、従来のセルラインを上廻る有意な増加を提示したので、セルライン0.5−G1を、液体窒素中で冷凍保存した。
【0071】
ハイブリドーマ0.5−G1を、無血清、及び動物成分不含培地であるeRDF−ACF培地と、その後、混合し、及び、その中で培養した。eRDF−ACF培地中、0.5−G1ハイブリドーマは、抗−CTLA4抗体レベルがELISAにより計測されたとき、200mg/Lを超える(かつ、約260mg/Lまでの)バッチ培養における抗−CTLA4抗体レベルを産生した。
【0072】
実施例5:ハイブリドーマ5D3の開発
ハイブリドーマ0.5−G1培養の慣用の限界逐次希釈、及びeRDF−ACF培地中不での増殖の他の実行の間に、5D3と命名したハイブリドーマ・セル・ラインを取得した。実行した上記限界希釈プロトコールの形式は、実施例4に記載したものと同じであった。eRDF−ACF培地中、ハイブリドーマ5D3は、抗−CTLA4抗体レベルがELISAにより計測されたとき、バッチ培養においてより高レベルの抗−CTLA4抗体(例えば、200mg/L超、一般的には、300mg/L超、そして約390mg/Lまで)を産生した。ハイブリドーマ5D3は、2002年7月9日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209 ATCCに寄託され、そしてPTA−4537の受託番号を付与された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチ培養において培養されるとき、少なくとも200mg/Lのヒト配列抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項2】
少なくとも300mg/Lの前記抗体を産生する、請求項1に記載のハイブリドーマ。
【請求項3】
少なくとも390mg/Lの前記抗体を産生する、請求項1に記載のハイブリドーマ。
【請求項4】
前記抗体が、抗−CTLA4抗体である、請求項1に記載のハイブリドーマ。
【請求項5】
ATCC受託番号PTA−4537において寄託されたハイブリドーマの同定特性を有する、請求項4に記載のハイブリドーマ。
【請求項6】
ATCC受託番号PTA−4537において寄託されたハイブリドーマに由来する、請求項1に記載のハイブリドーマ。
【請求項7】
前記ハイブリドーマが、ネズミ・ハイブリドーマである、請求項1に記載のハイブリドーマ。
【請求項8】
請求項1に記載のハイブリドーマにより製造された抗体。
【請求項9】
少なくとも200mg/Lのヒト配列抗体を産生する、動物成分不含培地中でヒト・アミノ酸配列を有する抗体を産生するハイブリドーマを含む細胞カルチャー。
【請求項10】
少なくとも300mg/Lの前記抗体を産生する、請求項9に記載の細胞カルチャー。
【請求項11】
抗体の製造方法であって、当該抗体の産生のために有効な条件下で請求項10に記載の細胞カルチャーを培養するステップ、及び当該カルチャーから当該抗体を単離するステップを含む前記方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により製造された抗体。
【請求項13】
動物由来成分不含培地であって、2〜10g/Lの小麦グルテン・ペプチド、HEPESバッファを含まない0.85〜0.99倍eRDFストック、0〜0.5%のグリセロール、0〜2倍2−メルカプトメタノール・ストック、0.5〜8mM L−グルタミン、0.5〜5倍IESストック、2〜8μMアスコルビン酸、1〜5mMクエン酸第二鉄、2〜10×10-4倍脂質ストック、0〜0.5%の医療用消泡剤Cエマルジョン、及び0〜4倍プルロニック(商標)F−68(10%ストック=100倍)を含む培地。
【請求項14】
癌の治療に有効な量の請求項8又は12に記載の抗−CTLA−4抗体、及び医薬として許容される担体を含む、哺乳動物における癌の治療用医薬組成物。
【請求項15】
癌の治療に有効な量の請求項8又は12に記載の抗−CTLA−4抗体を、哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における癌の治療方法。

【公表番号】特表2006−500931(P2006−500931A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539322(P2004−539322)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004089
【国際公開番号】WO2004/029069
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】