説明

高分子材料の劣化診断方法

【課題】高分子材料表面における電位分布の変化が起こる前の早期の段階で高分子材料の劣化を発見する。
【解決手段】高分子材料表面の物理化学的変化量を定量することにより前記高分子材料の劣化を診断する。前記物理化学的変化量の定量としては前記高分子材料表面上の親水性化学種の分光分析による定量がある。前記分光分析としては赤外線分光分析またはラマン分光分析が挙げられる。前記親水性化学種としてはヒドロキシル基、水素還元されたフェニル基、カルボキシル基、硫酸イオンが例示される。前記物理化学変化量の定量として高分子材料表面の単位面積当たりの平均表面電位分布の測定が挙げられる。前記平均表面電位分布の測定としては原子間力顕微鏡像による測定法が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子材料を絶縁材として用いた電気設備の絶縁劣化を診断するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気設備の絶縁劣化を診断するための技術としては例えば特許文献1〜3に開示された診断方法が挙げられる。
【0003】
特許文献1の沿面絶縁劣化検出装置は、絶縁材表面の汚損度を測るのに比べて直接的に絶縁材の劣化を測る方法としては、絶縁フレームに櫛形電極を付して表面抵抗をモニターし、モニターされた抵抗値が閾値以下の状態になったらアラーム信号を出力している。
【0004】
特許文献2の診断方法は、受配電設備を構成する主回路部分に用いる固体絶縁材料と同等材料からなる未劣化部位と劣化部位の表面電気抵抗率の変化を測定し、予め測定された表面電気抵抗率の時間依存性基準曲線に基づいて受配電設備の余寿命を算出している。
【0005】
これらの診断方法は、絶縁材料が短絡事故を起こしたとき、事故前後の装置における絶縁抵抗の測定では、図17(a)に示したように絶縁材の抵抗測定では周囲の温室度による表面抵抗の変動が激しく、絶縁劣化状態を正確に測定することが困難である。
【0006】
電気設備においては、短絡事故後の絶縁材付近から多量の硝酸塩が検出されている。非特許文献1によると、図16に示されたように、絶縁物の組成成分である炭酸カルシウム、ポリエステル樹脂、ガラス繊維のうち、大気中のNOxと反応して潮解性の硝酸カルシウムが生成し、これが表面抵抗率の低下の原因とされている。点検という立場から稼動中の設備に使われている絶縁材料そのものを分解、調査することが困難であったので、樹脂表面上の硝酸イオン性汚染物質の調査や、樹脂成分、樹脂表面の光沢や変色によりマハラノビスの距離を指標として、統計的信頼性手法であるMT法により間接的な情報から絶縁劣化状態を推測する手法が提案されている(非特許文献1)。
【0007】
また、特許文献3の高分子材料の劣化診断方法は、充填材を含む高分子材料が熱等の環境負荷で劣化していくとき光沢や色彩が微妙に変化することを利用して単一波長光を照射してその反射率を測定し、加速劣化による反射率の変化と比較して劣化度を診断している。
【特許文献1】特開平8−220158号公報
【特許文献2】特開2002−372561号公報
【非特許文献1】三菱電機“電力設備の絶縁材料から見た劣化診断技術”調査専門委員会編,MT法による受配電機絶縁物の劣化診断・余寿命推定技術,2008年1月25日
【特許文献3】特開2007−285930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高分子材料の絶縁フレームが焼損、短絡する事故が生じたとき、硝酸イオンが多量に検出することは事実である。ところが、高分子材料の絶縁劣化速度の環境依存性を調査すると、事故が発生した環境においては特に高濃度の窒素酸化物が検出されていない。事故前後で硝酸塩イオン濃度が高いのは短絡、焼損した絶縁フレームの周囲のみであり、同じ施設に設置されている別の盤では異常な量の硝酸イオンは検出されていない。この環境調査結果から、絶縁フレーム短絡時の硝酸イオンは短絡事故による放電プラズマにより大気中の窒素と酸素が結合して発生してものであり、環境中の窒素酸化物や硝酸イオンの調査結果と現地サンプルの劣化状態とは、良い相関関係は認められず、劣化の主要因とは考えにくい(表1)。
【0009】
【表1】

【0010】
特許文献2で述べられているように絶縁フレームの絶縁抵抗値は高分子材料の抵抗が高すぎるため温湿度などの周囲環境による抵抗値変化(測定値のばらつき)が大きすぎて高分子材料の正確な劣化診断ができない(図17(a))。また、図17(b)に示されるように、部分放電等の電気的異常が発生する前では表面抵抗率の測定範囲が狭く、電気的評価では測定は困難である。
【0011】
以上のように従来,絶縁フレームの劣化評価方法は主に絶縁抵抗測定によって行われてきたが,周囲の温湿度による影響を受け、劣化兆候を正確に把握することは困難である。
【0012】
最近では非特許文献1のように絶縁物の表面に付着している硝酸イオンの調査や特許文献3のように光沢・色調等の情報から劣化兆候を推測する方法が提案されている。しかしながら、これらの診断方法は絶縁破壊に至るメカニズムにおいて劣化の後期からの評価であり(後述の図1参照)、絶縁抵抗と相関性の高い評価は困難である。
【0013】
本発明は、以上の事情に鑑みなされたもので、その目的は高分子材料表面における電位分布の変化が起こる前の早期の段階で高分子材料の劣化を発見できる高分子材料劣化の診断方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、前記課題を解決するための高分子材料の劣化診断方法は、高分子材料表面の物理化学的変化量を定量することにより前記高分子材料の劣化を診断する。
【0015】
前記物理化学的変化量の定量としては前記高分子材料表面上の親水性化学種の分光分析による定量がある。前記分光分析としては赤外線分光分析またはラマン分光分析が挙げられる。前記親水性化学種としてヒドロキシル基または水素還元されたフェニル基を定量すると高分子材料の経年による加水分解の程度を診断できる。前記親水性化学種としてカルボキシル基を定量すると高分子材料の熱劣化の程度を診断できる。前記親水性化学種として硫酸イオンを定量すると腐食性ガスによる高分子材料表面の酸化状態を診断できる。
【0016】
また、前記物理化学変化量の定量として高分子材料表面の単位面積当たりの平均表面電位分布の測定が挙げられる。この測定により高分子材料の表面抵抗の劣化の程度を診断できる。前記平均表面電位分布の測定としては原子間力顕微鏡像による測定法が挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
以上の発明によれば高分子材料表面における電位分布の変化が起こる前の早期の段階で高分子材料の劣化を発見できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1.絶縁破壊事故品の調査に基づく新しい劣化メカニズム
事故品の絶縁フレームの調査によると、焼損しないで残っている高分子表面から本来のポリエステル樹脂には存在しないはずのOH基(ヒドロキシル基)が検出され、絶縁フレームの樹脂内部からは検出されなかった。
【0019】
そこで、イメージングIR法を用いて事故品の樹脂断面のOH基のマッピング像を採取したところ、図2に示された高分子材料断面のOH基分布のように、事故品の表面にOH基が多く存在し、数μm〜数十μmで急速に減少しているのが確認された。この調査結果から高分子材料の表面から深さ方向へのOH基の変化量と絶縁劣化には因果関係があると考えられる。
【0020】
また、稼動中の事故を発生していない絶縁フレームの高分子材料表面のIR分析を実施したところ、図3に示されたように稼動時間や設置環境によって量の異なるOH基が検出された。
【0021】
以上のことから環境中の窒素酸化物により高分子材料中の炭酸カルシウムが吸湿性の硝酸カルシウムになって絶縁抵抗が低下するのではなく、図1の説明図のように、最初に絶縁フレームのポリエステル樹脂の加水分解により絶縁フレームの表面抵抗が低下して部分放電が発生し、この放電による硝酸イオンにより絶縁劣化が加速して事故に至ることが考えられる。
【0022】
2.高分子材料の絶縁劣化における表面抵抗と化学変化の相関
絶縁材料の表面抵抗は周囲環境によって大きく左右され、現地での絶縁抵抗測定では劣化による差異の検出は難しいが、絶縁フレームを恒温恒湿槽で環境制御して精度の高い絶縁抵抗計で測定すれば、劣化による絶縁抵抗の変化を正確に検出できる。そして、その抵抗特性と単位面積当たりの高分子材料の化学変化を定量化した数値に強い相関があれば、検出が容易で定量化しやすい化学状態変化を用いて絶縁劣化の指標とし、直接的な劣化診断が可能となる。
【0023】
(1)高分子材料の絶縁劣化の温湿度特性
通常の環境における絶縁抵抗では、測定時の誤差が大きく劣化による差異が観測できないため、絶縁フレーム(高分子材料)をサンプルとして切出し、このサンプルを図4に示したように環境試験装置1内の抵抗セル2に設置し、これに図示省略の測定電極を貼り付け、温湿度を制御しながらハイレジスタンスメータ3を用いて表面抵抗の挙動を測定した。測定された表面抵抗は端末PCにおいてモニタリングした。
【0024】
図5は新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の湿度90℃における温度/表面抵抗特性を示す。図6は経年32年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の湿度90℃における温度/表面抵抗特性を示す。
【0025】
図5に示されたように湿度90%における新品の絶縁フレーム用高分子材料表面の表面抵抗と温度変化による特性は温度を変えた瞬間に多少のゆらぎがあるものの、絶縁材料の表面温度と周囲温度の差がなくなると安定するという特性が示されている。
【0026】
一方、経年32の絶縁フレーム用高分子材料では、図6に示されたように、温度の切り替わり直後には漏洩電流による抵抗の低下が観測され、109Ω以下では部分放電による短絡も再現した。しかし、当該材料の表面温度と周囲温度との温度差がなくなると抵抗が回復する現象が観測された。
【0027】
図7はポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の35℃湿度90%における表面抵抗特性の経時的変化を示す。このような経年の異なる高分子絶縁フレームの表面抵抗特性を平均化し、35℃湿度90%における表面抵抗の安定した時点の平均値から抵抗導電率をプロットして経年による抵抗導電率の劣化カーブをえることができ、常温で部分放電が発生しやすくなる導電率に至る閾値を決めることができた。
【0028】
(2)高分子材料表面の化学変化の定量化
高分子材料表面の化学的変化の定量化としては、高分子材料の表面状態が同一材料内部ではどの場所を測定しても変動幅が1%未満になるような測定面積をきめ、経年による化学変化量を分光分析法によって定量できる。分光分析法としては赤外線分光分析法、ラマン分光分析法が挙げられる。赤外線分光分析法の具体的な分析法としてはイメージングIR法がある(図8、図9、図10)。ラマン分光分析法としてはラマンコンフォーカル−ラマン分析法がある(図8、図11、図12、表2)。
【0029】
図8(a)は前記分光分析の測定システムの概略構成図であり、図8(b)は前記測定システムの測定原理説明図である。図8(a)に示された赤外線分光法またはラマン分光法に基づく測定システムでは光源11から照射された光は干渉計12を介して試料室13内のサンプル17(図8(b)参照)の測定面に供される。そして、サンプル17の測定面上の物質または測定面における物質に起因する光成分(赤外線分光法の場合は赤外線吸収スペクトル、ラマン分光法の場合は散乱光(図8(b)参照))が検知器14によって検知される。検知された光成分はAD変換器15を介して端末16に入力される。端末16では検出された測定面上または内部に存在する各種の物質量の違いが可視化された状態(イメージング)で表示される。
【0030】
図9は新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料表面の加水分解によって生じたOH基の分布をイメージングIRによって経年的(新品、経年16年、経年20年、経年30年)に表示したイメージ像である。高分子材料の表面においてOH基の分布が経時的に拡大していくことが確認できる。
【0031】
図10はポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の表面における水酸基(OH基)検出量の比の経時的変化である。図10の特性図と図7の特性図との比較から明らかなように、高分子材料表面の親水基(水酸基等)の発現と表面抵抗との間に相関があることがわかる。すなわち、ポリエステル高分子材料の経年による加水分解のOH基の増加量はある単位面積以上になると表面抵抗の劣化と非常によい相関を示すことが確認された。このことから、疎水性の高分子表面が親水性のOH基に覆われていくことにより、通常環境で温湿度の変化、表面吸湿により、絶縁劣化、部分放電を発生すると判断される。したがって、未知試料上の親水性化学種例えばOH基を測定すること当該試料の劣化の程度を診断できる。
【0032】
図11は新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のコンフォーカル−ラマン分析によって得られた組成分布のイメージ像である。図12は経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のコンフォーカル−ラマン分析によって得られた組成分布のイメージ像である。図11及び図12に記載された番号1はフェニル基と結合した水素の分布、番号2は炭酸カルシウム由来のCO32-の分布、番号3はPE(ポリエチレン)の炭素と水素の結合(−CH2−)の分布、番号4は硫酸イオン(SO42-基)の分布を表す。図11,図12中の番号が付されていないイメージ像は前記各成分の分布を可視的に示したものである。
【0033】
表2は新品及び経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のコンフォーカル−ラマンによる組成の定量化された成分の一覧である。表に記載の占有面積比率とは、測定面積に対する各化学種の占める比率を意味する。本試験例でのラマン分光では経年劣化による水素還元されたフェニル基の増加やSO4基による酸化の状態を定量化できることが示された。
【0034】
【表2】

【0035】
以上のように高分子材料表面上の物理化学変化量として高分子材料表面上の親水性化学種を分光分析によって定量することで高分子材料表面における電位分布の変化が起こる前の早期の段階で高分子材料の劣化診断が行える。また、高分子材料表面上の親水性化学種の定量は以下の効果(a)〜(c)を有する。
【0036】
(a)容易性
少量のサンプルで分光分析を用いて単位面積当たりの化学種の量を測定しているので、定量化が容易である。本発明の診断方法による測定結果は測定が難しく時間と手間のかかる従来技術による表面抵抗劣化特性の測定結果とよく一致するので、本発明の診断方法は従来技術と比べて速やかに高分子の絶縁劣化診断が行える。
【0037】
(b)余寿命予測、保全コストの削減
表面抵抗を常時モニターする方法では、表面抵抗がある閾値まで低下したときの警報としてはよいが、その装置の絶縁状態がいつまで保てるのか、余寿命は判らない。本法では、測定時までの経年と測定時の劣化度合いから同じ環境であると何年使えるのか余寿命を推定でき、装置の保全点検頻度を大幅に減らすことができる。
【0038】
(c)種々の劣化モードに対する対応性
広域波長分を用いる分光分析では、種々の環境負荷による劣化に対して、化学変化量の比較が可能であるため、加水分解だけではなく、熱劣化によるカルボン酸の増加、腐食性ガスによるSO4基の増加等、種々な劣化に対して応用ができる。
【0039】
3.高分子材料表面の単位面積当たりの平均表面電位分布を測定することによる高分子材料の劣化診断
図13は新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFM(原子間力顕微鏡)による表面電位分布を示した顕微鏡像(20μm角)を示す。図14(a)は経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFMによる原子間力顕微鏡像(20μm角)を示す。図14(b)は経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFMによる表面電位顕微鏡像(20μm角)を示す。図15は経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFMによる表面電位顕微鏡像(20μm角)とその平均表面電位差を示す。
【0040】
図13の光学観察結果によると、フレームの表面にはあまり凹凸がみられないことがわかる。一方、図14(a)及び図14(b)に示された顕微鏡像観察結果によると経年30年の絶縁フレーム表面に形成された凹凸が確認された。また、図15に開示されたように表面電位顕微鏡による20μm角の平均表面電位差は2.804Vであった。このように原子間力顕微鏡での表面電位顕微鏡(Surface Potential Microscope)測定によれば、各劣化生成物による定量化ではなく、単位面積当たりの高分子絶縁材の平均表面電位差を直接観測することで高分子絶縁材の絶縁劣化の診断が可能となることが示された。
【0041】
以上のように高分子材料表面上の物理化学変化量として高分子材料表面の単位面積当たりの平均表面電位分布の測定によっても高分子材料表面における電位分布の変化が起こる前の早期の段階で高分子材料の劣化診断が行える。また、分光分析や平均表面電位分布の測定は以下の効果(a)〜(c)を有する。
【0042】
(a)絶縁劣化状態の直接観察
原子間力顕微鏡による表面電位顕微鏡(SPoM)像観察では、化学的な劣化メカニズムが判らなくても、微量のサンプルで絶縁材料の表面抵抗がどの程度劣化しているかが判断できる。
【0043】
(b)簡単な現場点検、余寿命予測
絶縁劣化の故障メカニズムが判っている材料については、代理特性となる官能基に対する単一スペクトルの光源を用いたポータブルタイプの分光分析機を用いて現地での診断もできる。
【0044】
(c)三次元的な劣化状態の把握
サンプル、劣化における測定マーカとなる官能基によっては、高分子材料の断面における面分布を分析することで三次元的な抵抗分布(表面抵抗と断面からの体積抵抗の空間分布)を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】発明に係る高分子材料の劣化診断と従来技術に係る高分子材料の劣化診断の概要を説明した説明図。
【図2】(a)イメージングIRによる高分子材料(27年経過品)の断面のOH基分布,(b)イメージングIRによる高分子材料(14年経過品)の断面のOH基分布。
【図3】経年の異なるポリエステル樹脂のIR分析による赤外線吸収スペクトル。
【図4】高分子材料の絶縁劣化の温湿度特性を検証するための表面抵抗/環境測定システムの概略図。
【図5】新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の湿度90%に於ける温度/表面抵抗特性。
【図6】経年32年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の湿度90%に於ける温度/表面抵抗特性。
【図7】ポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の35℃湿度90%における表面抵抗特性の経時的変化。
【図8】(a)分光分析測定システムの概略構成図,(b)分光分析システムの測定原理説明図。
【図9】ポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料の表面の加水分解によって生じたOH基の分布をイメージングIRによって経年的(新品、経年16年、経年20年、経年30年)に表示したイメージ像。
【図10】高分子材料表面における水酸基(OH基)検出量の比の経時的変化。
【図11】新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のコンフォーカル−ラマン分析によって得られた組成分布のイメージ像。
【図12】経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のコンフォーカル−ラマン分析によって得られた組成分布のイメージ像。
【図13】新品のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFM(原子間力顕微鏡)による表面電位分布を示した顕微鏡像(20μm角)。
【図14】(a)経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFMによる原子間力顕微鏡像(20μm角),(b)経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFMによる表面電位顕微鏡像(20μm角)。
【図15】経年30年のポリエステル樹脂からなる絶縁フレーム用高分子材料のAFMによる表面電位顕微鏡像(20μm角)とその平均表面電位差。
【図16】従来予想されていた絶縁劣化メカニズム。
【図17】(a)絶縁抵抗に対する湿度の影響,(b)表面抵抗率の経年変化。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料表面の物理化学的変化量を定量することにより前記高分子材料の劣化を診断することを特徴とする高分子材料の劣化診断方法。
【請求項2】
前記物理化学的変化量の定量として前記高分子材料表面上の親水性化学種を分光分析によって定量することを特徴とする請求項1に記載の高分子材料の劣化診断方法。
【請求項3】
前記分光分析は赤外線分光分析またはラマン分光分析であることを特徴とする請求項2に記載の高分子材料の劣化診断方法。
【請求項4】
前記親水性化学種はヒドロキシル基または水素還元されたフェニル基であることを特徴とする請求項3に記載の高分子材料の劣化診断方法。
【請求項5】
前記親水性化学種はカルボキシル基であることを特徴とする請求項4に記載の高分子材料の劣化診断方法。
【請求項6】
前記親水性化学種は硫酸イオンであることを特徴とする請求項4または5に記載の高分子材料の劣化診断方法。
【請求項7】
前記物理化学変化量の定量として高分子材料表面の単位面積当たりの平均表面電位分布を測定することを特徴とする請求項1に記載の高分子材料の劣化診断方法。
【請求項8】
前記平均表面電位分布の測定は原子間力顕微鏡像によることを特徴とする請求項7に記載の高分子材料の劣化診断方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図16】
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【図17】
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【図2】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−71961(P2010−71961A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243187(P2008−243187)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】