説明

高分子量のオルガノポリシロキサンの製造法

本発明は、第一の段階において、一般式HO(RSiO)(HRSiO)H (I)のOH末端の主として線状のシロキサン(1)と、k=0の時、HC=CR−Z (2a)およびk=1の時、RC≡C−Z (2b)の群から選択された式C2f−2k−1−Z (II)の有機化合物(2)とを反応させ、かつ第二の段階において、第一の段階において得られた一般式HO(RSiO)((Z−C2f−2k)RSiO)n−o(HRSiO)H (III)[式中、oは、0でありまたは1〜10の整数である]のシロキサンジオール(3)を縮合し、その際、基および添え字は請求項1の中で示された意味を有することを特徴とする、高分子量のシロキサンポリマーの製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機変性された高分子量のシロキサンポリマーの製造法に関する。
【0002】
US6,759,094B2には、2度のヒドロシリル化を介して合成される、有機変性された高分子量のシロキサンポリマーが記載される:第一の段階においては、分岐鎖状のSiH末端シロキサンポリマーが作り出され、それは後続反応において脂肪族不飽和有機化合物を用いて再びヒドロシリル化を介してSiH末端で官能基化される。この反応サイクルを介して非常に高分子のシロキサンポリマーが得られるが、それでも1分子当たりの有機物質の平均的な数は前駆体のSiH末端の数によって制限されている。官能基化の度合いが非常に高いと、ゲル形成のリスクが存在し、かつ側鎖の有機置換基を有する高分子量のシロキサンポリマーの製造は原則的に可能ではない。
【0003】
出願US−A5,981,681およびUS−A5,807,956には、テレケリックジエポキシシロキサンとジアミノポリエーテルとから製造され、かつ線状のブロック構造を有する高分子量のシロキサンポリマーの製造も記載される。合成にはもっぱら二官能性の有機成分のみが必要とされが、それは通常手に入れるのが難しく、かつ一般にコストが掛かる。この方法は、側鎖に有機置換されているシロキサンポリマーの製造には適していない。ジメチルシロキシ単位と水素メチルシロキシ単位とからの商業的に入手可能なコポリマーは、通常メチル末端化されている。たしかに、これらの原料は脂肪族不飽和有機化合物による変性には良く適しているが、しかし、高分子量のシロキサンポリマーの製造は、低反応性のシロキサン主鎖によってヒドロシリル化工程後に非常に困難となる。
【0004】
本発明の対象は、
第一の段階において、一般式
HO(RSiO)(HRSiO)H (I)
のOH末端の主として線状のシロキサン(1)と

2f−2k−1−Z (II)
の有機化合物(2)であって
k=0の時、HC=CR−Z (2a)および
k=1の時、RC≡C−Z (2b)
の群から選択された有機化合物(2)
[式中、
Rは、同じまたは異なっていてよく、かつ1価の、末端の脂肪族炭素−炭素−多重結合を含まない、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
およびRは、それぞれ互いに無関係に、水素原子または炭素原子1〜20個を有するアルキル基の意味を有し、
mは、0または1〜1000の整数、有利には0または1〜300の整数、とりわけ有利には20〜200の整数であり、
nは、1〜200の整数、有利には1〜50の整数、とりわけ有利には3〜30の整数であり、ただし、m+n単位は、分子中に統計学的に分布していてよく、
Zは、1価の、末端の脂肪族炭素−炭素−多重結合を含まない炭化水素基であり、該基は、酸素、窒素、ホウ素、ケイ素およびチタンの群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有してよく、
または1価の、20個より多い炭素原子を有するポリマー基を意味し、
fは、2〜22の整数、好ましくは2であり、かつ
kは、0または1である]
とを反応させ
かつ第二の段階において、第一の段階において得られた
一般式
HO(RSiO)((Z−C2f−2k)RSiO)n−o(HRSiO)H (III)
[式中、oは、0または1〜10の整数、有利には0または1〜3の整数である]
のシロキサンジオール(3)
を縮合することを特徴とする、高分子量のシロキサンポリマーの製造法である。
【0005】
有利には、基Rは、1価の、末端の脂肪族炭素−炭素−多重結合を含まない、場合によってはハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、シアノ基または(ポリ)グリコール基で置換された、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基、とりわけ有利には炭素原子1〜12個を有するアルキル基、殊にメチル基である。有利には、基Rは、ヒドロシリル化反応を本質的に阻害する基を含有しない。
【0006】
基Rに関する例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基;およびアラルキル基、例えばベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0007】
置換された基Rに関する例は、メトキシエチル基、エトキシエチル基およびエトキシエトキシエチル基である。
【0008】
基RおよびRに関する例は、それぞれ互いに無関係に、水素原子およびRに関して示されたアルキル基である。
【0009】
有利には、RおよびRは、それぞれ互いに無関係に、水素原子である。
【0010】
本発明により使用されるシロキサン(1)に関する例は、ジメチルシロキシ単位とメチル水素シロキシ単位とからの縮合物またはジエチルシロキシ単位とメチル水素シロキシ単位とからの縮合物である。
【0011】
式(1)には示されていないが、ジオルガノシロキサン単位mもしくは水素オルガノシロキシ単位nの3モルパーセントまで、他のシロキシ単位、例えばRSiO3/2単位およびSiO4/2単位で置換されていてよく、式中、Rは、それに関して前述で示された意味に等しく、その際、しかし、モルパーセントは1未満が有利である。同様に、本発明の範囲内で、式(1)においてOH基を有する僅かな量の末端基がRSiO基で置換されていてもよく、このことは技術的に排除されないが、しかし有利ではない。好ましくは、(HO)RSiO単位およびHRSiO(OH)単位対RSiO基の合計からのモル比は2より大きく、とりわけ有利には20より大きい。
【0012】
本発明により使用されるシロキサン(1)は、そのつど25℃で、有利には10〜10000mPasの、とりわけ有利には20〜2000mPasの粘度を有する。
【0013】
シロキサン(1)は公知であり、かつケイ素化学において慣用の方法に従って製造されうる。
【0014】
有機化合物(2)は、Si−H基に対してヒドロシリル化反応において反応性であり、かつこれらをSi−C結合の形成下で付加する脂肪族C−C二重結合または三重結合を含有する。
【0015】
k=0の時、成分(2)は二重結合(2a)を含有する。k=1の時、成分(2)は三重結合(2b)を含有する。
【0016】
化合物(1)におけるSiH基の、(2a)または(2b)における二重結合または三重結合への付加に際して、以下:
【化1】

[式中、RおよびRは、上で挙げられた意味の1つを有する]
のように当業者に公知の異性体が形成される。
【0017】
本発明により第一の段階において製造されるオルガノシロキサンの−C2f−2k基は、この異性体形成を包含し、それゆえ好ましくは、異性体基
【化2】

を意味し、ならびにfは、(2a)のHC=CR基または(2b)のRC≡C基におけるC原子の全体数を意味し、その際、RおよびRは、上で挙げられた意味の1つを有する。
【0018】
およびRは、好ましくは水素原子であり、それゆえfは、有利には2である。
【0019】
有機化合物(2a)におけるHC=CR基に関する例は、
C=CH−、
C=C(CH)−、
C=C(C)−および
C=C(C17)−
である。
【0020】
有機化合物(2b)におけるRC≡C基に関する例は、
HC≡C−、
CH≡C−および
C≡C−
である。
【0021】
二重結合または三重結合に結合した(2a)または(2b)における基Zは、炭素原子および水素原子以外に、酸素、窒素、ホウ素、ケイ素およびチタンの群から選択された1つ以上のヘテロ原子も含有してよく、かつヒドロシリル化反応においてSiH基に対して反応性ではない。
【0022】
従って、本発明により使用される不飽和化合物(2)は、官能基、例えばヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、尿素基、アミノ基、オキシモ基、イミノ基、カルボキシル基、カルボニル基またはエポキシ基を含有してよい。有利には、該化合物は、ヒドロシリル化反応を本質的に阻害する基を含有しない。
【0023】
基Zに関する例は、
【化3】

である。
【0024】
有利には、本発明により使用される有機化合物(2)は、炭素原子、水素原子、場合によっては酸素原子および場合によっては窒素原子から成り、その際、炭素原子、水素原子および場合によっては酸素原子から成るものがとりわけ有利である。
【0025】
有機化合物(2)は市販製品であるか、もしくは化学において慣用の方法に従って製造されうる。
【0026】
化合物(2)は、脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する基対成分(1)のSiH基のモル比が、好ましくは0.5〜5、とりわけ有利には1.0〜3.0、殊に1.0〜1.8となるような量で使用される。
【0027】
有利には、本発明による方法の第一の段階は、脂肪族多重結合を促進する触媒(7)、いわゆるヒドロシリル化触媒へのSi結合した水素の添加の存在において実施される。
【0028】
脂肪族多重結合へのSi結合した水素の付加を促進する触媒(7)として、本発明による方法の場合も、脂肪族多重結合へのSi結合した水素の付加を促進するのにこれまでも使用されえた同じ触媒が使用されうる。触媒は、好ましくは白金金属の群からの金属または白金金属の群からの化合物または錯体である。そのような触媒に関する例は、担体上、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは活性炭上に存在してよい金属の微粉砕された白金、白金の化合物または錯体、例えば白金ハロゲン化物、例えばPtCl、HPtCl・6HO、NaPtCl・4HO、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体、例えばHPtCl・6HOとシクロヘキサノンとからの反応生成物、検出可能な無機的に結合したハロゲン含量を有するかまたは有さない白金−ビニルシロキサン錯体、例えば白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ビス−(ガンマ−ピコリン)−白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルスルホキシドエチレン白金−(II)−二塩化物、シクロオクタジエン−白金二塩化物、ノルボルナジエン−白金二塩化物、ガンマ−ピコリン−白金二塩化物、シクロペンタジエン−白金二塩化物、ならびに四塩化白金とオレフィンおよび第一級アミンまたは第二級アミンまたは第一級アミンおよび第二級アミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解された四塩化白金とsec−ブチルアミンまたはアンモニウム−白金錯体とからの反応生成物である。
【0029】
好ましくは、触媒(7)は第一の方法工程において、それぞれ元素の白金として計算された、かつシロキサン(1)および化合物(2)の全質量に対して0.2〜20質量ppm(百万質量部当たりの質量部)の量、有利には1〜10質量ppmの量で使用される。
【0030】
好ましくは、第一の方法工程は、周囲雰囲気の圧力、つまり約900〜1100hPaで実施されるが、それはしかし、より高い圧力またはより低い圧力でも実施されうる。そのうえ好ましくは、第一の方法工程は、20〜150℃、有利には40〜100℃の温度で実施される。
【0031】
所望される場合、第一の方法工程に際して、ラジカル抑制剤、例えば4−メトキシフェノール、2,6−ビス(t−ブチル)−4−メチルフェノール、フェノチアジン、ヒドロキノンまたはブレンツカテヒンが併用されうる。その際、好ましくは、ラジカル抑制剤は、化合物(1)および(2)の全質量に対して10〜500質量%の量で使用される。
【0032】
第一の方法工程において、好ましくは化合物(1)と化合物(2)との反応に対して不活性である有機溶媒が併用されうる。不活性の有機溶媒に関する例は、トルエン、キシレン、オクタン異性体、ヘプタン異性体、ブチルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびシクロヘキサンである。
【0033】
場合によっては併用される不活性の有機溶媒は、第一もしくは第二の方法工程に従って蒸留により除去されえ、または反応混合物中に残留してもよい。
【0034】
本発明による方法の第一の段階は、有利には不活性ガス雰囲気下、例えば窒素下で実施され、その際、しかし、例えば約10000体積ppmまでの少量の酸素の存在が反応促進効果を示しうる。
【0035】
本発明による方法の第二の段階による第一の段階において得られた化合物(3)の縮合は、分子量の増加につながり、かつ縮合促進剤(6)の存在または不存在において実施されうる。
【0036】
縮合促進剤(6)として、これまでも縮合反応に際して使用されてきた全ての成分が使用されうる。縮合促進剤(6)に関する例は、アルミニウム化合物、ビスマス化合物、亜鉛化合物およびチタン化合物および有機スズ化合物、例えばジ−n−ブチルスズジラウレートおよびジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズオキシドならびにこれらの化合物とアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシランとの反応生成物、酸、例えばトルエンスルホン酸およびペルフルオロカルボン酸であり、その際、チタン化合物および酸が有利であり、ならびにスルホン酸および活性化されたカルボン酸がとりわけ有利である。
【0037】
本発明による方法の第二の段階に際して縮合促進剤(6)が使用される場合、そのつど化合物(3)100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、有利には0.05〜2質量部の量が重要である。
【0038】
本発明による縮合は、他のSiOH官能性化合物を添加してまたは添加しないで(変法a)水の放出下で行われえ、かつ/または化合物(3)のシラノール基と縮合する1分子当たり2個の加水分解可能な基を含有するケイ素化合物の添加(変法b)によって行われうる。
【0039】
本発明による方法の第二の工程において使用されうるSiOH官能性化合物(5)は、これまでに公知の任意のSiOH官能性オルガノケイ素化合物である。化合物(5)に関する例は、nが0である式(I)のシロキサン、例えば末端のシラノール基を有する市販のポリジメチルシロキサンである。
【0040】
本発明による方法の第二の工程において化合物(5)が使用される場合、そのつど化合物(3)100質量部に対して、好ましくは10〜500質量部、とりわけ有利には50〜300質量部の量が重要である。
【0041】
しかし、本発明による方法の第二の工程において有利なのは、1分子当たり少なくとも2個の加水分解可能な基を含有するケイ素化合物(4)との縮合(変法b)である。これらの化合物は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーであってよく、その際、モノマー、つまりシランの使用が有利である。
【0042】
他方で有利なのは、化合物(3)との縮合のために、たしかに少量の効果的な触媒も要するが、しかしアシルシランまたはハロゲンシランと比較して中性の脱離生成物を供給するアルコキシシラン(4)の使用である。
【0043】
場合によっては使用される化合物(4)は、とりわけ有利には一般式
Si(OR4−a−b (IV)、
[式中、
Aは、同じまたは異なっていてよく、かつ式−CR−Yの1価の基を意味し、
は、同じまたは異なっていてよく、かつ水素原子またはアルキル基を意味し、
Yは、ハロゲン、一置換された原子OおよびSおよび置換された原子NおよびPの群からの単官能性ヘテロ原子を意味し、
は、同じまたは異なっていてよく、かつ1価の、場合によっては置換された炭化水素基であり、
は、同じまたは異なっていてよく、かつアルキル基であり、
aは、0、1または2、有利には1であり、
bは、0、1または2、有利には1であり、
ただし、a+b≦2である]
のシランである。
【0044】
基Aを有する式(IV)のシランの使用は、殊に有利である。それというのも、化合物(3)との縮合が25℃ですら、たいていの場合、付加的な触媒作用なしに進行するからである。この際、数分〜数時間までの反応時間に達する。生じる脱離アルコールは、反応混合物中に放置されえまたは真空中で除去されうる。
【0045】
基Rに関する例は、基Rに関して示された例である。
【0046】
有利には、基Rは、場合によっては置換された、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基であり、その際、メチル基およびエチル基がとりわけ有利である。
【0047】
基Rに関する例は、基Rに関して上で示された例である。
【0048】
有利には、基Rは、炭素原子1〜8個を有するアルキル基であり、その際、炭素原子1個または2個を有するアルキル基がとりわけ有利である。
【0049】
基Rに関する例は、水素原子および基Rに関して示された例である。
【0050】
有利には、基Rは、炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり、その際、水素原子がとりわけ有利である。
【0051】
基Yに関する例は、
フッ素置換基、塩素置換基、臭素置換基またはヨウ素置換基、
基−OHまたは−OR
基−SHまたは−SR
基−NH2、−NHRまたは−NRおよび
基PR、−P(OR、および−PO(ORであり、
その際、Rは、1価の、場合によってはN原子および/またはO原子を含有する有機基、有利には、1価の、場合によってはN原子および/またはO原子を含有する、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基である。
【0052】
基Aに関する例は、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエトキシメチル基、2−ブトキシエトキシメチル基、アセトキシメチル基、メルカプトメチル基、エチルチオメチル基、ドデシルチオメチル基、アミノメチル基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、シクロヘキシルアミノメチル基、アニリノメチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、アミノメチル基、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノメチル基、ジエチルホスフィノメチル基およびジブチルホスフィノメチル基ならびに式−CHNHCOR、−CHNHCOまたは−CHNHCONHRの基であり、その際、Rは、それに関して上で示された意味を有する。
【0053】
有利には、Aは、式−CHNHRまたは−CHNRの基であり、その際、Rは、それに関して上で示された意味を有する。
【0054】
場合によっては使用されるシラン(4)の例は、2−ブトキシエトキシメチルトリメトキシシラン、メトキシメチル−メチルジエトキシシラン、ジエチルアミノメチルメチルジメトキシシラン、ジブチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジブチルアミノメチルトリブトキシシラン、シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルアミノメチル−メチルジエトキシシラン、アニリノメチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピル−アミノメチルトリメトキシシラン、アセチルアミノメチルメチルジメトキシラン、エチルカルバモイルメチルトリメトキシシラン、エチルカルバモイルメチル−メチルジメトキシシラン、ジイソプロピルアミノカルバモイルメチル−メチルジメトキシシランおよびイミダゾイルカルバモイルメチル−メチルジメトキシシランである。
【0055】
化合物(4)は市販製品であるか、もしくはケイ素化学において慣用の方法に従って製造されうる
本発明による方法の第二の工程において化合物(4)が使用される場合、そのつど化合物(3)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、とりわけ有利には0.1〜2.0質量部の量が重要である。
【0056】
好ましくは、第二の方法工程は、周囲雰囲気の圧力で、つまり約900〜1100hPaで実施されるが、それはより高い圧力またはより低い圧力でも実施されうる。それゆえ好ましくは、第二の方法工程は、10〜120℃、有利には25〜80℃の温度で実施される。
【0057】
本発明による方法の第二の段階は、有利には不活性ガス雰囲気下、例えば窒素下で実施される。
【0058】
シロキサンジオール(3)と、場合によっては縮合相手(4)とからの縮合生成物の場合によっては高い粘性に基づき、本発明による方法の第二の工程において、希釈剤、例えば第一の工程において使用されうる有機溶媒、またはシロキサン、例えばシクロシロキサンおよび短鎖線状と同様また分岐鎖状のオルガノシロキサンまたはジメチルグリコールシロキサンを使用することが、取り扱いの理由から有利でありうる。
【0059】
本発明による方法において使用される成分は、そのつどそのような成分の1種類であっても、そのつどの成分の少なくとも2種類からの混合物であってもよい。
【0060】
本発明による方法は、不連続的、連続的または半連続的に実施されえ、その際、不連続的な運転様式が有利である。
【0061】
ところで、本発明による方法に従って製造されたポリマーは、直接的に加工されえ、またはこれまでに公知の任意の方法に従って、例えば、場合によっては併用される希釈剤の除去によって分離されうる。
【0062】
本発明による方法の場合、有利にはSiOSiを介して共有結合された、式
−O(RSiO)((Z−C2f−2k)RSiO)− (V)
[式中、R、Z、m、f、kおよびnは、それらに関して上で示された意味を有する]
のセグメントが得られる。
【0063】
場合によっては使用される化合物(4)および/または(5)の構造に応じて、線状(例えば、a+b=2の式(IV)のシランの場合)または分岐鎖状〜デンドリマー様(例えば、a+b<2の式(IV)のシランの場合)シロキサンポリマーが得られる。
【0064】
この本発明により製造されたシロキサンポリマーの粘度は、そのつど25℃で、有利には少なくとも5000mPa・s、とりわけ有利には少なくとも20000mPa・s、殊に少なくとも50000mPa・sである。第二の段階の縮合工程によって、問題なく100万mPa・sを超える粘度を得ることができる。
【0065】
本発明により製造されたシロキサンポリマーは、有利には高粘性の液体である。a+b<2の式(IV)のシランが使用される場合、適した化学量論で、つまりシロキサンジオール(3)におけるSiOH対化合物(4)におけるSiORのモル比がほぼ等しい時に、エラストマー様の固体も得ることができる。本発明による方法の特別な一実施態様とは、そのようなエラストマーゲルが、適した希釈剤、例えばジメチルグリコールシロキサンの併用によって、膨潤した状態で作製され、それゆえ生成物は、ポンプ、スクリューコンベヤーまたは類似の媒体を介して運搬されうる。
【0066】
ところで、本発明により製造されたポリマーは、これまでもオルガノポリシロキサンがそのために使用されてきた全ての目的のために使用されうる。
【0067】
本発明による方法は、実施が容易で、かつ高い収率のポリマーを供給するという利点を有する。
【0068】
本発明による方法は、合成が、有機変性された高分子量のシロキサンポリマーを可能にするという利点を有し、その際、オルガノ変性は、オレフィン系もしくはアセチレン系不飽和有機前駆体の良好な作業性に基づき、ヒドロシリル化を介して行われ、かつ分子量を高めることが容易であり、かつ確実に制御可能である。
【0069】
本発明による方法は、互いにほとんど混和可能ではないかまたは全く混和可能ではないヒドロシリル化原料から製造される高分子量のシロキサンポリマーが製造されるべき場合にとりわけ魅力的である。そのような場合に有利なのは、低分子量のシロキサン(1)を使用することと、これをヒドロシリル化の後に初めて高分子に変えることである。それというのも、化合物(2)と高分子量のH−シロキサンとの反応は、いっそう悪化する混和性に基づき長い時間、高い触媒量および場合によっては高い温度が必要とされ、または十分な反応も達成可能ではないからである。
【0070】
後続の実施例において、部および百分率の全データは、他に示されない限り、質量に対するものである。他に示されない限りにおいて、以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力で、つまり約1000hPaで、かつ室温で、つまり約20℃で、もしくは反応物質を一緒に混合する場合に室温で付加的な加熱または冷却なしに生じる温度で実施される。実施例において挙げられた全ての粘度データは、25℃の温度に関するものである。
【0071】
ヨウ素価は、実施例において、脂肪族多重結合への添加に際して消費されるヨウ素量が、調査されるべき使用材料100グラム当たりのグラム量において示される数を表す。
【0072】
実施例1
1−オクタデセン83gを、統計学的なモノマー分布を有する式HO(MeSiO)60(HMeSiO)14.3Hのハイドロジェンシロキサン20gと、25℃で窒素雰囲気下において混合し、かつ90℃に加熱する。ヒドロシリル化を、イソプロパノール中のヘキサクロロ白金酸の1%の溶液0.38gの添加によって開始し、かつ100℃で20分の時間にわたって同一のH−シロキサン80gをさらに計量供給する。再度、触媒溶液の0.19gを供給する。3時間の全体の反応時間後、98%を超えるSiH変換率に達する。
【0073】
シラノール基とアルコキシ−Si基との縮合によって分子量を高めるために、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン2.0gを添加し、かつバッチ全体をさらに1時間100℃に保つ。粘度は、反応混合物がほぼ攪拌可能ではなくなるまで非常に強く上昇する。冷却に際して、約42℃の融点を有する生成物が固化する。それは三倍量のトルエン中に透明に溶け、ひいてはゲル化しない。平均シロキサンポリマーは、約90個のオクタデシル基を含有する。
【0074】
実施例2
2−メチル−3−ブテン−2−オール32.7gを、実施例1において使用したPt触媒0.32gと窒素雰囲気下で90℃に加熱する。式HO(MeSiO)60(HMeSiO)14.3HのH−シロキサンの計120gを計量供給し、かつ内部温度を約100℃に保つ。1時間後、IRスペクトルにおいてSiHはもはや検出可能でなく、このことは99%をずっと超える転換率に相当する。過剰のカルビノールを真空中で除去し、そのうえで14300mPa・sの粘度およびMn=6600の分子量を有するポリカルビノールシロキサンが得られる。
【0075】
a)ポリカルビノールシロキサン66gを、25℃でジエチルアミノメチルメチルジメトキシシラン1.9gと混合しかつ良く均質化する。数分以内に強い粘度上昇が始まり、それにより最終的に安定したエラストマー様の塊状物が生じる。25℃で24時間後、試料を10倍量のイソプロパノール中に分散させる。3日後に、透明の高粘性溶液が得られる:高縮合されたポリカルビノールシロキサンは、完全にかつ残留物不含でイソプロパノール中に溶ける。
29Si−NMRにおいて、−MeSiOH/MeSi(CHN)Oのモル比が、相応する積分比1:7.6を基にして出される。それに従って、平均シロキサンポリマーは、15.2のα−アミノシランモノマーを含有する:そのため、平均的に16.2のポリカルビノールシロキサン鎖が縮合されており、そのことから、おおよそ1200個のシロキシ単位の全長にて232個のt−カルビノール基の平均的な数が判明する。
【0076】
b)アルコキシシランを添加せずに、ポリカルビノールシロキサン50gを、式HO(MeSiO)48HのMe−シロキサン50gと混合する。初めのうち濁っていた混合物は、トルエン30gの添加後100℃で透明である。トルエンスルホン酸溶液0.25g(THF中で20%)を添加し、その後、約125℃に加熱し、そのうえで粘度の強い増加が顕著となる。攪拌性を保証するため、トルエン30gをさらに添加し、かつバッチをなおさらに2時間、還流で保つ。粘性溶液から、乾燥後に粘着性の、無色の完全に透明であるフィルムが生じる。最初は混和可能でない縮合出発材料は、酸触媒作用下で縮合され線状ポリマーとなる。それはカルビノール含有ブロックセグメントおよびカルビノール不含ブロックセグメントを含有する。29Si−NMRにおいてシクロシロキサンの形成は示されず、このことは平衡化試験条件を排除する。
【0077】
実施例3
49.0のヨウ素価を有するアリルアルコールポリエトキシレート800gを、実施例1からのハイドロジェンシロキサン401gと乱流混合し、かつ窒素雰囲気下で87℃に加熱する。続けて、シクロヘキセンオキシド0.36gおよびイソプロパノール中でヘキサクロロ白金酸の1%の溶液1.25gを計量供給する。発熱反応下で、混合物は12分後に透明となる。1時間後、約100℃で再度同じ量のPt触媒を計量供給し、その後、バッチをなおさらに2時間、同じ温度で保つ。残留SiHに対するIR分析により、99%を上回る変換率が示される。バッチは、25℃で4470mm/sの粘度を有する。アニリノメチルメチルジエトキシシランを用いて、25℃で2つの縮合試験を実施する。
【0078】
a)シラン0.50%の添加および均一な分布により、1日後に21Pa・s(25℃)を有する透明の高粘性ポリエーテルシロキサンポリマーが生じ、該ポリマーは同じ量の水に透明に溶ける。
【0079】
b)シラン1.5%の添加および素早い均一な分布の結果、数分後に安定したエラストマー様の塊状物が生じ、それは水に透明に溶ける。137:1の積分比SiCHCH−/SiOHから、シロキサン鎖1個当たり平均して274個のポリエーテル鎖の含量が判明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の段階において、一般式
HO(RSiO)(HRSiO)H (I)
のOH末端の主として線状のシロキサン(1)と

2f−2k−1−Z (II)
の有機化合物(2)であって
k=0の時、HC=CR−Z (2a)および
k=1の時、RC≡C−Z (2b)
の群から選択された有機化合物(2)
[式中、
Rは、同じまたは異なっていてよく、かつ1価の、末端の脂肪族炭素−炭素−多重結合を含まない、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
およびRは、それぞれ互いに無関係に、水素原子または炭素原子1〜20個を有するアルキル基の意味を有し、
mは、0または1〜1000の整数であり、
nは、1〜200の整数であり、ただし、m+n単位は、分子中に統計学的に分布していてよく、
Zは、1価の、末端の脂肪族炭素−炭素−多重結合を含まない炭化水素基であり、該基は、酸素、窒素、ホウ素、ケイ素およびチタンの群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有してよく、
または1価の、20個より多い炭素原子を有するポリマー基を意味し、
fは、2〜22の整数であり、かつ
kは、0または1である]
とを反応させ
かつ第二の段階において、第一の段階において得られた一般式
HO(RSiO)((Z−C2f−2k)RSiO)n−o(HRSiO)H (III)
[式中、oは、0でありまたは1〜10の整数である]
のシロキサンジオール(3)
を縮合することを特徴とする、高分子量のシロキサンポリマーの製造法。
【請求項2】
使用される有機化合物(2)が、炭素原子、水素原子、場合によっては酸素原子および場合によっては窒素原子から成るものであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物(2)を、脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する基対成分(1)のSiH基のモル比が0.5〜5となるような量で使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
縮合を、化合物(3)のシラノール基と縮合する1分子当たり少なくとも2個の加水分解可能な基を含有するケイ素化合物(4)の添加によって行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
1分子当たり少なくとも2個の加水分解可能な基を含有するケイ素化合物が、一般式
Si(OR4−a−b (IV)、
[式中、
Aは、同じまたは異なっていてよく、かつ式−CR−Yの1価の基を意味し、
は、同じまたは異なっていてよく、かつ水素原子またはアルキル基を意味し、
Yは、ハロゲン、一置換された原子OおよびSおよび置換された原子NおよびPの群からの単官能性ヘテロ原子を意味し、
は、同じまたは異なっていてよく、かつ1価の、場合によっては置換された炭化水素基であり、
は、同じまたは異なっていてよく、かつアルキル基であり、
aは、0、1または2であり、
bは、0、1または2であり、
ただし、a+b≦2である]
のシランであることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ケイ素化合物(4)を、化合物(3)100質量部に対して0.01〜10質量部の量で使用することを特徴とする、請求項4または5記載の方法。

【公表番号】特表2009−541511(P2009−541511A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515857(P2009−515857)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056058
【国際公開番号】WO2007/147817
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】