説明

高分解能の画像形成およびリソグラフィのための試料基板上で浸液を供給する方法

高い開口数の光学顕微鏡およびリソグラフィにおける、屈折率を一致させる浸液を供給するための方法および装置が記述される。浸液の液滴のアレイ(70)が、浸液印刷装置によって、試料基板または試料基板カバーに送られる。浸液貯蔵容器は、浸液を、精密ポンプによって該印刷装置に供給する。印刷装置は、浸液を、決められた量およびアレイパターンで、基板または基板カバーに送る。該基板または基板カバーに送られる小滴の該量およびアレイパターンは、浸液における気泡の生成および浸液の過剰な量の堆積を回避しつつ、基板または基板カバーと浸液対物レンズの間に、適切な浸液を維持するように最適化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年9月13日に出願された”DISPERSING IMMERSION LIQUID FOR HIGH RESOLUTION IMAGING AND LITHOGRAPHY”なる名称の第60/972,190号の仮出願、および2007年9月13日に出願された”DISPERSING IMMERSION LIQUID FOR HIGH RESOLUTION IMAGING AND LITHOGRAPHY”なる名称の第60/972,193号の仮出願の両方の利益を主張するものであり、これらは、ここで参照により取り入れられる。
【0002】
本発明は、概して、顕微鏡(microscopy)の分野に関し、より具体的には、高分解能の顕微鏡およびリソグラフィのために浸液(immersion liquid)を供給するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来からの液浸の対物レンズを利用した手動の光学顕微鏡において、試料基板(specimen substrate)は、顕微鏡ステージの上に位置付けられることができ、ここで、典型的には、標本(sample)は、基板カバー(たとえば、カバースリップ)の下であって、該基板の上面上に置かれる。顕微鏡の対物レンズは、該基板カバーの真上に配置されることができる。高い開口数の対物レンズで試料を見るのに先立ち、顕微鏡の使用者は、見るべき試料の特定領域上の試料基板カバーの表面上に、少量の浸液(immersion liquid)を手で供給することができる。試料基板カバーにアクセスするため、該ユーザは、対物レンズを、関心のある領域から離れる方向に動かす必要があるかもしれない。流体が適用された後、ユーザは、液浸の対物レンズを、該関心のある領域に戻し、除々に標本に近づき、それによって、標本と対物レンズの間に液体を閉じこめる。直立型(正立型)の顕微鏡の試料領域の全体を、浸液で浸すことが可能であるが、これが実際の顕微鏡で望ましいものとなるのは稀である。
【0004】
顕微鏡の使用者は、手で、試料の広い領域を走査したり画像化(imaging)したりすることを望む場合、これは、浸液の手による再適用ないし再補充を必要とすることがある。顕微鏡使用者が、顕微鏡の対物レンズもしくは顕微鏡ステージのいずれか一方を、顕微鏡の基板の広い領域にわたって、他方に対して動かすと、浸液は、たとえば、蒸発によって、または基板の既に走査された領域への付着によって、または他の何らかの手段によって、失われるおそれがある。広い領域の走査を行うと、ついには、浸液の量が、対物レンズのフロントレンズ上に光線を適切に結合するのに不十分になるおそれがある。この場合、手動の顕微鏡のオペレータは、典型的には、中断を行い、対物レンズを動かし、流体を再適用し、対物レンズを元に戻すこととなる。短い作動距離(working distance)および高いNA(開口数)の対物レンズを備える場合、これは、標本近くから対物レンズを取り除くことを必要とし、これによって、焦点を失うこととなりうる。
【0005】
他の自動化された顕微鏡システムでは、浸液を補充する必要性は、該システムの完全な自動化を阻害する。浸液を自動的に補充する現在のオプションは、気泡が浸液において形成されないようにすることに関する困難性で苦しめられている。いくつかの従来技術では、気泡の除去を支援するため、超音波デバイスを顕微鏡または補充システムに組み込むことを教示している。
【0006】
上記の問題は、観察されている試料がユーザと対物レンズの間に位置付けられる倒立型の顕微鏡システムで浸液の対物レンズを使用するとき、より悪化する。この倒立型のシステムでは、試料基板は、顕微鏡ステージ上に位置付けられ、標本は、該基板の上面上に置かれるが、対物レンズは、該試料基板の下に上向きに位置付けられる。顕微鏡使用者が、浸液の対物レンズを使用すると、浸液は、典型的には、浸液の対物レンズの最上部のレンズの表面上に堆積される。したがって、浸液の対物レンズに浸液を加えるためには、対物レンズの頂部にアクセスしなければならず、あるいは代替的に、光路の内外に対物レンズを動かすことが必要とされる。これらの両方の方法は、倒立型の顕微鏡構成において問題および制限を提起するものとなり、しばしば、光学系の移動についての可能性を制約するものとなりうる。さらに、浸液は、典型的には対物レンズに直接適用されるので、倒立型の構成は、液体が対物レンズの本体に入る可能性があるというリスクを増大させる。不注意な顕微鏡使用者であれば、液体の過剰な適用により、高価な対物レンズを損なうことが多くなる。閲覧(ビューイング)および画像化のシステムにおける浸液を供給することに関する上記の問題は、また、高分解能のリソグラフィシステムについても存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当該分野において、浸液の補充に関連する上記の問題を回避するよう、浸液の対物レンズで試料を閲覧することを容易化するための方法および装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の実施形態において、基板または基板カバー上に、精度良く、かつ直接的に浸液を与えることによって、広い試料領域の閲覧および画像化を容易化するよう、浸液の補充を最適化することができる。基板または基板カバーは提供されることができ、浸液の小滴のアレイを、該基板または基板カバーの表面上に供給すなわち印刷することができる。印刷された基板または基板カバーを、高い開口数の対物レンズと共に用いて、インスツルメント(機器)のさらなる操作を必要とすることなく、また浸液のさらなる補充を必要とすることなく、広い試料領域を閲覧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】浸液印刷装置の一例を概略的に表した図。
【図2】浸液印刷装置の一例を、展開して概略的に表した図。
【図3】浸液が印刷された基板の一例の画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。これらは、当業者が本願発明を実施することができるように、例示的なものとして与えられている。以下の図および例は、本願発明の範囲を、単一の実施形態に制限するものではなく、記述され、または図示された要素のいくつか、もしくはすべての交換によって他の実施形態も可能となるものである。
【0011】
顕微鏡の分解能は、対物レンズの開口数(NA)によって決められ、ここで、NA=nsinθと表される。nは、作動媒体(working medium)の屈折率である。対物レンズに入ることのできる光は円錐形となるが、θは、該円錐形の半分の角度となる。空気を作動媒体として用いる対物レンズ(n≒1)は、約1.0のNAに制限される(θ≒90°)。NAひいては分解能における実質的な改良は、油のような、屈折率nが1より大きい(n>1)の透過性流体を、空気に代えて用いることによって達成することができる。高い開口数の対物レンズを、流体を用いて動作するよう設計することができ、典型的には、これは、対物レンズの前面(フロント面)および顕微鏡の試料の間の空間に液体が広がる、ないし該空間を液体が橋渡しし、これによって浸液のカラム(段)を形成するように動作されることのできる浸液の対物レンズを備える。浸液は、水、グリセリン、および(または)浸液対物レンズで使用するよう選択された特定の油を含むことができる。たとえば、高倍率の油浸対物レンズは、対物レンズのフロントレンズの屈折率に一致するよう1.516の屈折率の浸液を使用することができ、これにより、1.40の作動開口数を達成する。
【0012】
本発明の実施形態は、浸液の複数の滴(drop)、スポット、あるいは小滴(droplet)を、基板または基板カバー上に提供する。ここで、該提供は、顕微鏡の対物レンズが配置されている所で該滴、スポットおよび小滴のもとの状態を損なうことなく、該対物レンズを該滴、スポット、小滴間で動かすことができるように、行われる。こうして、たとえば、小滴のアレイないしパターンを、浸液対物レンズを備える光学顕微鏡の基板上に印刷する、すなわち堆積することができる。試料基板を、顕微鏡ステージ上に位置付けることができ、標本を、該基板の上面上であって、基板カバーの下に位置付けることができる。浸液の対物レンズを、該基板カバーの真上に置いて、小滴のアレイのうちの1つの小滴に位置付けることができる。小滴は、標本における関心のある領域に位置合わせされるように構成される。小滴は、典型的には、空気に比べて高い屈折率を持つ材料からなり、該材料は、液体またはゲル(gel)であることができる。
【0013】
本発明の実施形態は、試料基板または試料基板カバー上に、浸液の小滴のアレイを印刷するためのシステムおよび方法を提供する。本発明の実施形態は、多くの利点を提供し、従来のシステムに関連する様々な問題に対処し、解決するものである。たとえば、本発明の実施形態は、高い開口数の浸液の対物レンズを用いるとき、浸液を補充することに関する上記の問題を克服する。より具体的には、試料基板または試料基板カバーにわたって、適切な間隔をおいて浸液の小滴を配置することにより、本発明の実施形態は、浸液における気泡の形成および過剰の浸液の堆積を回避することができ、インスツルメント(機器)が浸液の量を損なうのを回避することができる。浸液の小滴を選択的に配置することにより、小滴のアレイを、顕微鏡または画像化(画像形成,imaging)のインスツルメント(機器)の走査領域および走査パターンの両方について最適化することができる。表面張力および小滴の表面効果(surface effects)により、倒立した形態においても、表面に付着する小滴を、非常に安定させることができる。
【0014】
図1および図2を参照すると、本発明の実施形態は、印刷装置10を提供する。印刷装置10は、試料基板または試料基板カバー(以下、総称して、“基板”と呼ぶ)を支持するよう動作可能なベース30を備える。印刷装置10は、さらに、基板20の表面に浸液の小滴を送るように配置された、一連の、特定の大きさにされた導管(ダクト)60を備える。ベース30は、ポート50を備えることができると共に、ベースプレート40に取り付けられることができる。
【0015】
実際には、浸液の適用を必要とする基板20の表面が、ダクト60近くに向けられるように、ベース30上またはベース30内に基板20を置くことができる。精密計量ポンプ(precision metering pump)を、浸液の貯蔵容器から浸液を吸い上げるよう起動させることができる(ポンプおよび浸液の貯蔵容器は、図示せず)。浸液のフロー(流れ)がダクト60間で分配されることができるように、浸液を、該ポンプで、ポート50を経由して印刷装置10に吸い上げることができる。該精密ポンプを利用して、基板20の表面上に送られて供給される特定の量の浸液を制御することができる。これらのダクト60を、互いに対し、かつ基板の相対的な領域に対し、指定的に配置することにより、滴のアレイを、走査領域および走査パターンの両方について最適化することができる。
【0016】
本発明の実施形態において、印刷装置10は、画像化(画像形成)システムの外部にあることができ、このような実施形態を利用すれば、顕微鏡または画像形成機器(インスツルメント)に対して何の変更も必要ないということもありうる。本発明の実施形態を、通常の型の、または倒立型の、手動ないし自動化された機器で用いるよう効果的に構成することができる。浸液の印刷に先立ち、顕微鏡使用者は、典型的には、通常の型の、または倒立型の機器を使用すべきかどうか、およびそれに応じて印刷できるかどうかを判断する。たとえば、従来の顕微鏡の場合には、試料基板カバーの上面を印刷し、倒立型顕微鏡の場合には、試料基板の底面を印刷することができる。
【0017】
本発明の実施形態を、通常の型の、または倒立型の顕微鏡または画像形成機器に組み込み、これによって、基板の印刷および画像形成の両方の自動化を図ることができる。このような実施形態は、ロボット工学、精密アクチュエータ、コンピュータプロセス、学習用(instructional)ソフトウェア等の手段を用いて、印刷および閲覧のために基板を動かして位置付けることができる。
【0018】
図1および図2に示されるように、ダクト60は、ベース30に埋め込まれた、もしくは取り付けられることのできる、個々に形成された中空の円筒部を備えることができる。一実施形態では、ベース30において個々の開口部を製作することによって、ベース30内にダクト60を形成することができ、こうして、ベース30から基板20に浸液の小滴を送るための付加的な構成を何ら必要としない。ダクト60は、この呈示された例では円形として示されているが、ダクト60を、様々な形態および形状で構成することができ、これには、四角形、楕円形、直線形状、三角形状が含まれる。結果として、浸液の小滴は、それに応じて形作られ、または、液体の表面張力の特性に依存して、液体が供給されたダクトの形状とは異なる形状を取ることもできる。本発明の実施形態は、水、グリセリン、炭化水素(ハイドロカーボン)、合成油(synthetic oil)のような浸液を使用することができる。
【0019】
図1および図2に示されるように、ダクト60は、非類似の大きさないし形状を備えることができる。図1および図2は、均一の小さめのダクトの中に、1つの大きめの直径を持つダクトを示している。本発明の実施形態では、浸液の大きい小滴を提供して、試料の画像化ないし走査のための開始ポイントとして作用させるのが有利である。
【0020】
図1および図2は、ダクト60の交互配置されたハッシュパターン(staggered hash pattern)を示す。図3は、ダクト60の交互配置されたハッシュパターンによる印刷によって結果として生じた、交互配置されたハッシュパターンの浸液の小滴のアレイ70を示す。浸液のアレイのパターンは、交互配置されたハッシュパターンに制限されるものではないけれども、走査の方向および方法について設計され最適化されることができる。たとえば、浸液のアレイは、列、行、対角線の通常のグリッド(格子)における、浸液の2つ以上の小滴、ライン(線)、または他の形状であることができ、もしくは、走査の要件に適した、完全にランダムなアレイパターンでもよく、および(または)任意の他のパターンでもよい。
【0021】
実施形態において、浸液の小滴は、“要求に応じた(on-demand)”やり方で、基板上に印刷されてもよい。たとえば、2つ以上のダクトを用いて、画像化(画像形成)の最中に、標本をレンズに対して移動させながら、次の動きまたは走査の方向に浸液を置くことができる。実施形態において、閲覧および浸液供給のステップを協調するために、印刷装置を、顕微鏡または画像形成の機器に組み込むことができる。
【0022】
印刷装置10を備える所定の構成要素を、任意の適切な材料から、あるいは、金属、合金、プラスチック、およびガラスを含む材料の組み合わせから製作することができる。該材料を、それらの個々の特性、たとえば、剛性、腐食性、加工容易性、およびコストを含む特性に基づいて選択することができる。
【0023】
実施形態において、基板上に浸液パターンを印刷するのに代替の方法を使用することができる、ということが予測されるであろう。たとえば、インクを印刷する産業で使用されるものと類似の浸液印刷技術を使用することができ、ここで、これらの技術は、サーマル(熱)インクジェット印刷、圧電性インクジェット印刷、および(または)連続式(continuous)インクジェット印刷の使用を含むことができる。
【0024】
実施形態において、浸液を、細かい霧状(ファインミスト(fine mist))の小滴として基板上に送ることができる。該霧を、超音波噴霧器(ultrasonic nebulizer)によって、または他の適切な手段によって生成することができる。該霧に関する技術は、典型的には、流体適用器(fluid applicator)および基板の間の接触を必要とせず、画像形成プロセス中に動作することができ、連続的に浸液をリフレッシュすることができる。連続的にまたは間欠的に使用されるとき、流れる霧によって基板に印加される力は非常に弱く、よって、基板を何ら変位させることがない(このような変位は、画像化の焦点を潜在的に狂わせるものである)。流れによって運ばれる気泡については、噴霧器の思慮深い設計および動作を介して除去することができる。
【0025】
本発明の側面の付加的な説明
本発明の一実施形態は、浸液を提供するためのシステムであって、基板、浸液、および、該基板の表面上に該浸液の小滴のアレイを供給するよう動作可能な印刷装置を備える。一実施形態では、該基板は、試料基板を含む。一実施形態では、該試料基板は、顕微鏡のスライドを含む。また、一実施形態では、該基板は、試料基板のカバーを含む。一実施形態では、該試料基板カバーは、顕微鏡のスライドのカバーを含む。一実施形態では、該基板は、ガラスまたはプラスチックから作成されている。一実施形態では、該印刷装置は、該基板に浸液の小滴を提供するよう手動で動作可能である。一実施形態では、該印刷装置は、該基板に浸液の小滴を自動的に提供するよう動作可能である。一実施形態では、浸液は、水、グリセリンおよび油を含む一群の浸液から選択される。一実施形態では、該印刷装置は、複数のダクトのシステムを使用する。一実施形態では、該印刷装置は、超音波噴霧器を使用する。一実施形態では、該印刷装置は、熱(サーマル)印刷要素を使用する。一実施形態では、該印刷装置は、圧電素子を使用する。
【0026】
本発明の一実施形態は、基板に浸液を提供するための方法を使用し、該方法は、基板を提供し、該基板の表面上に浸液の小滴のアレイを印刷することを含む。一実施形態では、該基板は、試料基板を含む。一実施形態では、該試料基板は、顕微鏡のスライド、またはマルチウェルプレート(multi-well plate)を含む。一実施形態では、該基板は、試料基板のカバーを含む。一実施形態では、該試料基板カバーは、顕微鏡のスライドのカバーを含む。一実施形態では、該基板は、ガラスまたはプラスチックから作成されている。一実施形態では、該提供することは、手動で行われる。一実施形態では、該提供することは、自動化される。一実施形態では、浸液が、水、グリセリンおよび油を含む一群の浸液から選択される。一実施形態では、印刷は、手動で制御される。一実施形態では、印刷は、自動的に制御される。
【0027】
本発明の一実施形態は、前述したようなシステムまたは方法を含み、ここで、印刷することは、上記の浸液を、ダクトを介して送る。一実施形態で、印刷することは、超音波噴霧器を介して、上記の浸液を送る。一実施形態では、印刷することは、上記の浸液を、熱(サーマル)印刷要素の手段で送る。一実施形態では、印刷することは、上記の浸液を、圧電素子の手段によって送る。
【0028】
本発明の一実施形態は、試料基板を用意するための方法を提供する。一実施形態では、該基板上に小滴のアレイを印刷すること、試料に対して該小滴のアレイを位置付けること、および、該小滴のうちの選択された1つに対物レンズを接触させることを含む。ここで、該小滴は、高い屈折率を有する物質からなる。一実施形態では、該物質は、ゲルを含む。一実施形態では、該物質は、液体を含む。一実施形態では、該液体は、水を含む。一実施形態では、該液体は、グリセリンを含む。一実施形態では、該液体は油を含む。
【0029】
一実施形態では、対物レンズは、顕微鏡の対物レンズである。一実施形態では、印刷するステップは、小滴のアレイを形成することを含む。一実施形態では、小滴のアレイを形成することは、顕微鏡の走査領域を最適化することを含む。一実施形態では、小滴のアレイを形成することは、顕微鏡の走査パターンを最適化することを含む。一実施形態では、小滴のアレイを形成することは、液体の表面張力の特性に基づく。一実施形態では、該物質は、液体を含み、小滴のアレイを形成することは、該液体の表面張力の特性に基づく。
【0030】
一実施形態では、小液滴のアレイを印刷することは、。ダクトを介して液体を供給することを含み、小滴の該アレイを形成することは、ダクトの形状を選択することを含む。一実施形態では、顕微鏡は、倒立型の、画像化のための機器(画像形成機器)である。一実施形態では、基板は、顕微鏡のスライドを含む。一実施形態では、該基板は、マルチウェルプレートを含む。
【0031】
本発明の一実施形態は、高い屈折率の液体、および、基板の表面上に該液体の滴のアレイを印刷するよう構成された印刷装置を備える、顕微鏡システムを提供する。一実施形態では、滴の該アレイは、顕微鏡の浸液の対物レンズのために、高い屈折率のインターフェースを提供する。一実施形態では、該基板は、試料基板を含む。一実施形態では、浸液は、水、グリセリンおよび油のうちの少なくとも1つを備える一群の浸液から選択される。一実施形態では、印刷装置は、超音波噴霧器を含む。一実施形態では、該印刷装置は、圧電素子を含む。
【0032】
本発明の一実施形態は、高い屈折率の液体の1つ以上の滴に接触するよう位置付けられる浸液対物レンズと、基板の表面上に該液体の滴のアレイを印刷するよう構成された印刷装置と、を備える顕微鏡システムを提供する。一実施形態では、該1つ以上の滴のアレイは、基板によって運ばれる試料およびおよび浸液対物レンズの間のインターフェースを提供するよう配置される。一実施形態では、1つ以上の滴は、顕微鏡の浸液対物レンズについて、高い屈折率のインターフェースを提供する。一実施形態で、該液体は、水、グリセリンおよび油のうちの1つまたは複数を含む。一実施形態では、該印刷装置は、該液体を供給するための超音波噴霧器を含み、これにより、滴の該アレイを形成する。一実施形態では、該印刷装置は、該液体を供給するための圧電素子を含み、これにより、滴の該アレイを形成する。
【0033】
本発明を、特定の例示的な実施形態に関して述べたが、当業者であれば、本発明の広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を該実施形態に行うことができることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、例示的なものであって、制限される意図のものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料基板を用意するための方法であって、
前記基板上に、小滴のアレイを印刷するステップと、
試料に対して、前記小滴のアレイを位置付けるステップと、
対物レンズを、該小滴のうちの選択された1つに接触させるステップと、を含み、
該小滴は、高い屈折率を有する物質からなる、
方法。
【請求項2】
前記物質は、ゲルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質は、液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体は、水を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記液体は、グリセリンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記液体は、油を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記対物レンズは、顕微鏡の対物レンズである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記印刷するステップは、前記小滴のアレイを形成することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記小滴のアレイを形成することは、前記顕微鏡の走査領域を最適化することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記小滴のアレイを形成することは、前記顕微鏡の走査パターンを最適化することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記小滴のアレイを形成することは、該液体の表面張力の特性に基づく、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記物質は、液体を含み、
前記小滴のアレイを形成することは、該液体の表面張力の特性に基づく、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記小滴のアレイを印刷することは、ダクトを介して液体を供給することを含み、
前記小滴のアレイを形成することは、該ダクトの形状を選択することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記顕微鏡は、倒立型の画像形成機器である、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、顕微鏡のスライドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基板は、マルチウェルプレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
顕微鏡システムであって、
高い屈折率の液体の1つ以上の滴に接するよう位置付けられる浸液対物レンズと、
前記液体の滴のアレイを、基板の表面上に印刷するよう構成された印刷装置と、を備え、
1つ以上の前記滴のアレイは、基板によって運ばれる試料と、前記浸液対物レンズとの間のインターフェースを提供するよう配置される、
システム。
【請求項18】
前記1つ以上の滴は、顕微鏡の前記浸液対物レンズについて、高い屈折率のインターフェースを提供する、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記印刷装置は、前記液体を供給するための超音波噴霧器を含み、これにより、前記滴のアレイを形成する、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記印刷装置は、前記液体を供給するための圧電素子を備え、これにより、前記滴のアレイを形成する、
請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記液体は、水を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記液体は、グリセリンを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記液体は、油を含む、請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−539543(P2010−539543A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524991(P2010−524991)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/076048
【国際公開番号】WO2009/036192
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(508253513)アプライド プレシジョン インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED PRECISION, INC.
【Fターム(参考)】