説明

高剛性パネルの断熱構造

【課題】 外気と接する部分に用いられた場合でも、熱流出が小さく熱貫流率の低い、高い断熱性能を有する構造とする。
【解決手段】 金属製折板2と第1表面板3と第2表面板4とを備えた構造について、断面に断熱材5を充填させ、折板2の山頂部2a及び谷頂部2bをR状にする等して第1表面板3及び第2表面板4との接合部を線状または点状とすることで接触面積を小さくし、また、第1表面板3と第2表面板4との接合部をなくすことで、熱流出を抑え熱貫流率を下げる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建物の床、壁、天井に用いられる、折板と第1表面板及び第2表面板とからなる高剛性パネルに断熱材を充填させたものについて、更に断熱性能を向上させた断熱構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平11−200544には、床板の平坦下面に金属製折板が重ねられ、床板が金属製折板の山部に接合されて床板と金属製折板とを一体化した構造とし、断面内に断熱材を充填することで、剛性及び断熱性能を高め、部材の軽量化も実現した高剛性パネルが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この高剛性パネルに断熱材が充填されたものを室内床として外気と接する部分において用いる場合、床板と折板の接触部分で熱流出が起こってしまい、室内側から室外側への熱貫流率が高くなってしまう。
【0004】本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、床、壁、天井として外気と接する部分に用いられた場合でも、熱流出が少なく熱貫流率の低い、高い断熱性能を有する高剛性パネルの断熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載の高剛性パネルの断熱構造は、山部と谷部とを連続させた波形に成形された金属製の折板と、前記折板の山部又は谷部の一方に接合された金属製の第1表面板と、前記折板の山部又は谷部の他方に接合された第2表面板と、前記折板の山部と谷部の少なくとも一方に充填された断熱材とを備え、前記折板の山部又は谷部の前記他方の頂点と前記第2表面板とが線状又は点状に接合されていることを特徴とする高剛性パネルの断熱構造である。
【0006】断熱材を充填することで高剛性パネルに断熱性を持たせ、金属音および残存振動を軽減でき、また、折板の山部又は谷部の一方の頂点と第2表面板とが線状または点状に接合されることで、熱流出の起こる折板と第2表面板との接合部分の接触面積を小さくし、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0007】請求項2に記載の高剛性パネルの断熱構造は、前記折板の山部又は谷部の前記他方の頂点をR状にして、折板と第2表面板との接合部の接触部分を線状とすることを特徴とする請求項1記載の高剛性パネルの断熱構造である。
【0008】折板の山部又は谷部の一方の頂点がR状とされ、第2表面板との接合部分が線状とされることで、熱流出の起こる折板と第2表面板との接合部分の接触面積を小さくし、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0009】請求項3に記載の高剛性パネルの断熱構造は、前記折板の山部及び谷部の頂点をR状にして、折板と第1表面板及び第2表面板との接合部の接触部分を線状とすることを特徴とする請求項1記載の高剛性パネルの断熱構造である。
【0010】折板の山部及び谷部の頂点がR状とされ、第1表面板及び第2表面板との接合部分が線状とされることで、熱流出の起こる折板と第1表面板及び第2表面板との接合部分の接触面積を小さくし、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0011】請求項4に記載の高剛性パネルの断熱構造は、前記高剛性パネルの断熱構造において、前記第1表面板が前記第2表面板に接合されていないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の高剛性パネルの断熱構造である。
【0012】第1表面板と第2表面板を接合しないことで、熱流出が起こる第1表面板と第2表面板との接合部分を無くし、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0013】請求項5に記載の高剛性パネルの断熱構造は、前記高剛性パネルの断熱構造において、前記折板の山部又は谷部の前記他方の頂点がそれぞれの折板の端に位置していることを特徴とする請求項4記載の高剛性パネルの断熱構造である。
【0014】折板の山部又は谷部の一方の頂点がそれぞれの折板の端に位置しているので、第2表面板を継ぐ必要がある場合、折板の両端部で第2表面板を継ぐことができ、折板の配置と第2表面板の配置を同じとすることができるため、施工が容易なものとすることができる。
【0015】請求項6に記載の高剛性パネルの断熱構造は、前記高剛性パネルの断熱構造において、前記第1表面板の両端部がパネル外向き斜め前記第2表面板方向に折り曲げられ、少なくとも一方に接合部が設けられており、前記第1表面板と前記第2表面板とが接合されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の高剛性パネルの断熱構造である。
【0016】第1表面板がパネル外向き斜め第2表面板方向に折り曲げられているため、折板両端の斜面部の役割を果たし、折板の幅よりも幅広のパネルとすることができる。また、第1表面板と第2表面板の接触部分において熱流出が起こるが、第1表面板が斜めに折り曲げられているため、熱伝達経路のピッチが広くなり熱流出が抑えられ、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0017】また、第1表面板両端の少なくとも一方に接合部が設けられているため、第2表面板を継ぐ必要がある場合、第1表面板の接合部で第2表面板を継ぐことができ、第1表面板の配置と第2表面板の配置を同じとすることができるので、施工が容易なものとすることができる。さらに、2つの並置された第1表面板の接合部において第2表面板を継ぐ場合、一方の第1表面板に接合部があれば第2表面板を継ぐことができるため、他方の第1表面板の端部は接合部がないものとすることができ、第1表面板と第2表面板との接触部分の面積を小さくすることができ、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を床に適用した場合の実施の形態例を説明する。図1及び図2において、本発明の第1実施形態を説明する。
【0019】図1は本発明を適用した場合の第1実施形態の斜視図を示すもので、図2は断面図を示す。床構造11は、折板2と、第1表面板(以下、表面板)3と、第2表面板(以下、床板)4と、断熱材5とからなる。床構造11を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル11aとする。
【0020】折板2は、鋼製の折板によるもので、山頂部2a、谷頂部2b及び斜面部2cからなり、斜面部2cは平板状であるが、山頂部2a及び谷頂部2bは、R状にして出来るだけ平坦部を小さくしたものとし、概三角形山部と、概三角形谷部を交互に繰り返していくタイプの波形に形成されたものである。表面板3は鋼製であり、折板2の下面を覆った底部3aから、折板2の側面に沿う方向で垂直上方に折板2の山部と同じ高さの側面部3bが設けられており、更に底部3aと平行に接合部として上面部3cが設けられている。
【0021】床構造11は、折板2の谷頂部2bと表面板3の底部3aとが、また折板2の山頂部2aと床板4とが線状に接合され、更に表面板3の上面部3cと床板4とが接合されている。そして、折板2の概三角形山部に山部断熱材5aが、概三角形谷部に谷部断熱材5bが、両端部に両端部断熱材5cが充填されている。床板4を継ぐ必要がある場合、表面板3の上面部3cで継ぐことができる。
【0022】折板2の山頂部2aを、床板4との接触幅をできるだけ狭く、好ましくは1mm以内となるように形成された、製造可能な範囲の小さな曲率のR状にすることで、折板2と床板4との接合部の接触部分を線状にし、熱流出の起こる折板2と床板4との接触部分の接触面積を小さくし、床構造11の熱貫流率を下げることができる。なお、折板2の山頂部2aの形状としてはR状にする以外に、図11(a)〜(e)のような形状でも適用できる。
【0023】図11(a)〜(e)で、折板2と床板4との接合部の接触部分を線状または点状とする時の、折板2の山頂部2aの形状の例を示す。図11(a)に示す例では、折板2断面の山頂部2aに半円の凸状部を設けることで、接触部分が線状となる。図11(b)に示す例では、折板2断面の山頂部2aに四角形の凸状部を設けることで、接触部分が線状となる。図11(c)に示す例では、折板2断面の山頂部2aにR状の凸部を並列して設けることで、接触部分が2列の線状となる。図11(d)に示す例では、折板2の山頂部2aに凸状の開口部を点在させて設けることで、接触部分が点状となる。図1111(e)に示す例では、折板2の山頂部2aに凸部を点在させて設けることで、接触部分が点状となる。また、図11(a)〜(e)に示す形状は、谷頂部2bにも適用できる。
【0024】図3は、本発明を適用した場合の第2実施形態における床構造12の断面図を示す。床構造12を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル12aとする。折板2の山頂部2a及び谷頂部2bを、R状にして出来るだけ平坦部を小さくしたものとする。また、表面板3は、側面部3bと上面部3cを無くし、底面部3aのみとする。床板4は継ぐ必要がある場合、折板2の山頂部2aで行なう。両端部断熱材5cは、折板2の斜面部2c及び床板4に、接着材や両面テープ等を用いて固定される。
【0025】折板2の山頂部2aを、床板4との接触幅をできるだけ狭く好ましくは1mm以内となるように形成された、製造可能な範囲の小さな曲率のR状にすることで、折板2と床板4との接触部分を線状にし、熱流出の起こる折板2と床板4との接触部分の接触面積を小さくし、更に、熱流出が起こる表面板3と床板4との接触部分を無くすことで、床構造12の熱貫流率を下げることができる。
【0026】図4は、本発明を適用した場合の第3実施形態における床構造13の断面図を示す。床構造13を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル13aとする。折板2の山頂部2a及び谷頂部2bを、R状にして出来るだけ平坦部を小さくしたものとする。また、折板2の側面の端を山頂部2aとし、下方折曲げ部2dが設けられたものとし、表面板3において、側面部3bと上面部3cを無くし、上方折曲げ部3dが設けられたものとする。
【0027】折板2の山頂部2aを、床板4との接触幅をできるだけ狭く好ましくは1mm以内となるように形成された、製造可能な範囲の小さな曲率のR状にすることで、折板2と床板4との接触部分を線状にし、熱流出の起こる折板2と床板4との接触部分の接触面積を小さくし、熱流出が起こる床板4と表面板3との接触部分を無くすことで、床構造13の熱貫流率を下げることができる。また、折板2に下方折曲げ部2dを、表面板3上方折曲げ部3dを設けることで、座屈等に対する強度を高め、両端断熱材5cの保持ができる。更に、床板4を継ぐ必要がある場合、折板2の両端の山頂部2aで継ぐことができ、折板2の両端と床板4の継目を同位置とすることができ、床構造13の施工を容易なものとすることができる。
【0028】図5は、本発明を適用した場合の第4実施形態における床構造14の断面図を示す。床構造14を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル14aとする。表面板3の底部3aの両端を斜め上方に折り曲げ斜面部3eとし、さらに少なくとも一方の端に接合部として上面部3cを設け、上面部3cと床板4とが接合される。山部断熱材5aと谷部断熱材5bが充填され、両端部断熱材5cは、接着材や両面テープ等で表面板3の斜面部3eに貼り付けられて保持される。
【0029】表面板3に斜面部3eが設けられているため、折板2両端の斜面部2cの役割を果たし、折板2の幅よりも幅広の床パネル14aとすることができる。また、床板4と表面板3の接触部分において熱流出が起こるが、表面板3の斜面部3eにより、熱伝達経路のピッチが広くなり熱流出が抑えられ、床構造14の熱貫流率を下げることができる。
【0030】また、表面板3両端の少なくとも一方に上面部3cが設けられているため、床板4を継ぐ必要がある場合、表面板3の上面部3cで床板4を継ぐことができ、表面板3の配置と床板4との配置を同じとすることができるので、施工が容易なものとすることができる。さらに、2つの並置された表面板3の接合部において床板4を継ぐ場合、一方の表面板3に上面部3cがあれば床板4を継ぐことができるため、他方の表面板3の端部は継ぐための幅としての上面部3cがないものとし、折板2と床板4との接合と同様な線状の接合状態とすることができるので、表面板3と床板4との接触部分の面積を小さくすることができ、床構造14の熱貫流率を下げることができる。
【0031】第2実施形態において、床構造12の製作時の両端断熱材5cの保持や、座屈防止等の補強のため、表面板3の底部3aの両端を垂直上方に折り曲げた場合の床構造15の断面図を図6に示す。床構造15を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル15aとする。
【0032】第3実施形態において、床構造13の表面板3の底部3aを、折板2の両端の谷部2bまでの大きさとし、両端部断熱材5cは、接着材や両面テープ等で、折板2の斜面部2cに貼り付けられて保持される場合の床構造16の断面図を図7に示す。床構造16を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル16aとする。
【0033】第1実施形態から第4実施形態について、使用する地域によっては、必要とされる断熱性能を保てるのであれば、床構造の山部及び谷部の全てに断熱材5を充填する必要はなく、一部を省くことができる。第2実施形態の床構造12において、谷部断熱材5b及び両端部断熱材5cが省かれた場合の床構造17の断面図を図8に示す。床構造17を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル17aとする。
【0034】第1実施形態から第4実施形態について、高い断熱性能を要求される地域で使用するとき、床構造の下面に、更に断熱材を貼り付けて、熱貫流率を下げることができる。第2実施形態において、床構造12の下面に断熱材6が貼り付けられた場合の床構造18の断面図を図9に示す。床構造18を構成する折板2と表面板3と床板4と断熱材5とからなる一つのユニットを、床パネル18aとする。
【0035】第1実施形態から第4実施形態において、折板2の山頂部2a及び谷頂部2bにおける接合部と、床板4と表面板3の接合部は、ねじ、釘、リベット、かしめ等の機械的結合または接着剤による結合、あるいは両者の併用で行なうことができる。また、折板2及び表面板3の材質は、鉄系金属によるもののほか、アルミニウム等の各種金属材によるものであってもよい。なお、表面板3は、床構造の強度が保たれる限り、折板2の長手方向に分割されていても構わない。
【0036】また、床板4は、建物に要求される仕様に応じるため、パーティクルボード、合板、木片セメント板、木毛セメント板等による方形板を用いることができる。
【0037】また、第1実施形態から第4実施形態について、使用する地域によっては、必要とされる断熱性能を保てるのであれば、低性能で安価な断熱材を用いてもよい。
【0038】また、本発明を壁、天井に適用する場合は、第2表面板として石膏ボード等を用い、第2表面板が室内側になるように施工することができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0040】(実施例1)第1実施形態の床構造11について、折板2の山頂部2a及び谷頂部2bを、表面板3及び床板4との接触幅が1mmとなるように曲率を設けたR状とし、床板4と接する表面板3の上面部3cは30mm幅とした。また、折板2の山部の高さは130mm、谷頂部2bから隣接する谷頂部2bまでの距離は218.8mm、表面板3の断面幅は671mmとし、床パネル11aの間隔は4mmとした。なお、折板2は厚さ1mm、表面板3は厚さ0.8mmの鋼板とし、床板4は厚さ15mmのパーティクルボードとし、断熱材5として、グラスウール24kg/m3を用いた。この場合、熱貫流率は0.77W/m2℃となった。
【0041】(実施例2)第2実施形態の床構造12について、折板2の山頂部2a及び谷頂部2bを、表面板3及び床板4との接触幅が1mmとなるように曲率を設けたR状とした。また、折板2の山部の高さは130mm、谷頂部2bから隣接する谷頂部2bまでの距離は218.8mm、表面板3の断面幅は671mmとし、床パネル12aの間隔は4mmとした。なお、折板2は厚さ1mm、表面板3は厚さ0.8mmの鋼板とし、床板4は厚さ15mmのパーティクルボードとし、断熱材5として、グラスウール24kg/m3を用いた。この場合、熱貫流率は0.61W/m2℃となった。
【0042】(実施例3)第3実施形態の、図4に示す床構造13について、折板2の山頂部2a及び谷頂部2bを、表面板3及び床板4との接触幅が1mmとなるように曲率を設けたR状とし、折板2の下方折曲げ部2dを10mm、表面板3の上方折曲げ部3dを10mmとした。また、折板2の山部の高さは130mm、谷頂部2bから隣接する谷頂部2bまでの距離は218.8mm、表面板3の断面幅は671mmとし、床パネル13aの間隔は4mmとした。なお、折板2は厚さ1mm、表面板3は厚さ0.8mmの鋼板とし、床板4は厚さ15mmのパーティクルボードとし、断熱材5として、グラスウール24kg/m3を用いた。この場合、熱貫流率は0.62W/m2℃となった。
【0043】(比較例)図10に示す床構造19について、床板4と折板2及び表面板3の接合の接触幅が35mmになるように折板2の山頂部2a及び谷頂部2bを平板状とし、床板4と接する表面板3の上面部3cはは30mm幅とした。また、折板2の山部の高さは130mm、谷頂部2bから隣接する谷頂部2bまでの距離は218.8mm、表面板3の断面幅は671mmとし、床パネル19aの間隔は4mmとした。なお、折板2は厚さ1mm、表面板3は厚さ0.8mmの鋼板とし、床板4は厚さ15mmのパーティクルボードとし、断熱材5として、グラスウール24kg/m3を用いた。この場合、熱貫流率は0.98W/m2℃となった。
【0044】比較例の床構造19と比べて、第1実施例において、熱流出が起こる折板2の山頂部2aにおける床板4との接合部の接触面積を小さくすることにより、床構造11の熱貫流率を下げることができた。更に、第2実施例において、熱流出が起こる表面板3の上面部3cと床板4との接触部分をなくすことで、床構造12の熱貫流率を下げることができた。また、第3実施例において、第2実施例における床構造12の施工性を向上させて床構造13としたが、熱貫流率をほぼ保つことができた。
【0045】
【発明の効果】請求項1から請求項3の発明によると、断熱材を充填することで構造に断熱性を持たせ、金属音および残存振動を軽減でき、折板と第1表面板及び第2表面板との接合部を、点状または線状とすることで、折板と第2表面板との接合部分の接触面積を小さくし、室内側から室外側への熱の流出を抑え、熱貫流率を下げることができる。また、第2表面板を継ぐ必要がある場合は、第1表面板の接合部で継ぐことができる。さらに、請求項3により折板の山部及び谷部をR状等にすることにより、熱貫流率を下げることができる。
【0046】請求項4の発明によると、第1表面板の側面部及び上面部を無くし、熱流出が起こる第1表面板と第2表面板との接合部の接触部分を無くすことで、室内側から室外側への熱流出を抑え、構造の熱貫流率を下げることができる。
【0047】請求項5の発明によると、折板の両端で第2表面板を継ぐことができるので、折板の配置と第2表面板の配置を同じとすることができ、施工が容易なものとすることができる。
【0048】請求項6の発明によると、折板の幅よりも幅広のパネルとすることができ、また、第1表面板と第2表面板の接触部分において熱流出が起こるが、第1表面板が斜めに折り曲げられているため、熱伝達経路のピッチが広くなり熱流出が抑えられるうえ、第1表面板と第2表面板との接触部分の面積を小さくすることができるため、高剛性パネルの熱貫流率を下げることができる。
【0049】また、第2表面板を継ぐ必要がある場合、第1表面板の接合部で第2表面板を継ぐことができ、第1表面板の配置と第2表面板の配置を同じとすることができるので、施工が容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、第1実施形態の床構造11の斜視図である。
【図2】同床構造11の断面図である。
【図3】本発明の、第2実施形態の床構造12の断面図である。
【図4】本発明の、第3実施形態の床構造13の断面図である。
【図5】本発明の、第4実施形態の床構造14の断面図である。
【図6】本発明の、第2実施形態において下側表面板3に折曲げ部を設けた場合の床構造15の断面図である。
【図7】本発明の、第3実施形態において下側表面板3の幅を小さくした場合の床構造16の断面図である。
【図8】本発明の、第2実施形態において断熱材5を1部省いた場合の床構造17の断面図である。
【図9】本発明の、第2実施形態の床構造12下面に更に断熱材5を貼り付けた場合の床構造18の断面図である。
【図10】比較例の床構造19の断面図である。
【図11】本発明に用いることのできる折板2の斜視図である。
【符号の説明】
2 折板
2a 山頂部
2b 谷頂部
2c 斜面部
3 下側表面板
3a 底面部
3b 側面部
3c 上面部
4 上側表面板
5 断熱材
5a 山部断熱材
5b 谷部断熱材
5c 両端部断熱材
11 床構造
11a 床パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 山部と谷部とを連続させた波形に成形された金属製の折板と、前記折板の山部又は谷部の一方に接合された金属製の第1表面板と、前記折板の山部又は谷部の他方に接合された第2表面板と、前記折板の山部と谷部の少なくとも一方に充填された断熱材とを備え、前記折板の山部又は谷部の前記他方の頂点と前記第2表面板とが線状又は点状に接合されていることを特徴とする高剛性パネルの断熱構造。
【請求項2】 前記折板の山部又は谷部の前記他方の頂点をR状にして、折板と第2表面板との接合部の接触部分を線状とすることを特徴とする請求項1記載の高剛性パネルの断熱構造。
【請求項3】 前記折板の山部及び谷部の頂点をR状にして、折板と第1表面板及び第2表面板との接合部の接触部分を線状とすることを特徴とする請求項1記載の高剛性パネルの断熱構造。
【請求項4】 前記高剛性パネルの断熱構造において、前記第1表面板が前記第2表面板に接合されていないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の高剛性パネルの断熱構造。
【請求項5】 前記高剛性パネルの断熱構造において、前記折板の山部又は谷部の前記他方の頂点がそれぞれの折板の端に位置していることを特徴とする請求項4記載の高剛性パネルの断熱構造。
【請求項6】 前記高剛性パネルの断熱構造において、前記第1表面板の両端部がパネル外向き斜め前記第2表面板方向に折り曲げられ、少なくとも一方に接合部が設けられており、前記第1表面板と前記第2表面板とが接合されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の高剛性パネルの断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2002−348982(P2002−348982A)
【公開日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−153687(P2001−153687)
【出願日】平成13年5月23日(2001.5.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】