説明

高圧放電ランプ、高圧放電ランプの製造方法および照明装置

【課題】
外管を最小化しても透光性セラミックスを用いた発光管の外管内への収納作業と外管の封止の両立を図れる高圧放電ランプ、その製造方法および高圧放電ランプを備えた照明装置を提供する。
【解決手段】
高圧放電ランプHDLは、透光性セラミックス気密容器1、この内部に離間対向して封装された一対の電極2、2、放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体3を備えた発光管ITと、内部に気密に導入されて軸方向に作用する摺接接続部7cを有する電流供給導体7を備え、電流供給導体の摺接接続部に電流導入導体が軸方向に摺接可能に接続した状態で発光管を内部に収納するとともに、外気に対して気密に保持された外管OTとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性セラミックスからなる透光性気密容器を備えた高圧放電ランプ、その製造方法および高圧放電ランプを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性セラミックスからなる透光性気密容器を備えた高圧放電ランプは既知である(例えば、特許文献1参照。)。なお、特許文献1においては、透光性セラミックスの直線透過率が60〜85%の液晶バックライト用セラミック製メタルハライドランプを得るために、透光性セラミック放電容器に平均粒径が5μm以下の結晶からなる多結晶イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)を用いている。
【0003】
透光性セラミックスを用いた透光性気密容器を封止するには、フリットガラスを用いるのが一般的である。耐熱性が透光性セラミックスに比較して低いフリットガラスを用いて封止するために、透光性放電容器の両端から延長する小径筒部を形成し、小径筒部の端部において封止する。そして、小径筒部の内部に電極軸部と小径筒部の内面との間にキャピラリーと称されるわずかな隙間を形成して温度勾配を生じさせることにより、封止部の温度を低くしている。
【0004】
発光管が透光性セラミックスを用いて形成される場合、発光管を内部に収納する外管の内部を真空に保持することで、ニオブなどの酸化しやすい金属からなる電流導入導体の酸化を防止したり、発光管の最冷部温度を所望に高めたりすることができる。後者の場合、最冷部温度を高くすることで、石英ガラス製の透光性気密容器を用いるよりも発光効率を高くすることができる。また、ランプ電圧形成用媒体として亜鉛などの低融点金属のハロゲン化物を水銀に代えて封入する場合には、発光管の最冷部温度を高めることで、当該ハロゲン化物の蒸気圧が高くなり、ランプ電圧を一層高くすることができる。なお、外管内には所望により不活性ガスを所定圧力で封入することもできる。
【0005】
また、透光性セラミックスを用いた発光管であっても、一般に外管は、硬質ガラス、石英ガラスまたは軟質ガラスなどのガラスを用いて形成されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−255719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、自動車前照灯用の高圧放電ランプなどにおいて、規格に適合させるなどのためにランプ全体をコンパクトにする場合、外管を最小化する必要がある。そこで、外管の内径を発光管の外径に接近した値にしようとすると、発光管の外管内への収納作業と外管の封止の両立を図ることが困難になるという問題がある。
【0008】
本発明は、外管を最小化しても透光性セラミックスを用いた発光管の外管内への収納作業と外管の封止の両立を図れる高圧放電ランプ、その製造方法および高圧放電ランプを備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明の高圧放電ランプは、透光性セラミックス気密容器、透光性セラミックス気密容器内に離間対向して封装された一対の電極、透光性セラミックス気密容器内に封入された放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体を備えた発光管と;内部に気密に導入されて軸方向に作用する摺接接続部を有する電流供給導体を備え、電流供給導体の摺接接続部に少なくとも一方の電流導入導体が軸方向に摺接可能に接続した状態で発光管を内部に収納するとともに、外気に対して気密に保持され内部に気密空間を形成した外管と;を具備していることを特徴としている。
【0010】
第1の発明は、上記のように外管内に導入される電流供給導体の構成を改良して本発明の目的を達成するものである。すなわち、電流供給導体に発光管の電流導入導体を軸方向に摺接可能に接続する摺接接続部を配設したものである。
【0011】
発光管は、基端側が外部に露出し、中間部が透光性セラミックス気密容器に形成された封止部を気密に貫通し、先端側が透光性セラミックス気密容器の内部に露出して電極に接続する電流導入導体を備えている。また、放電媒体は、高圧放電ランプの種類に応じて多様な構成を採用することができる。
【0012】
また、発光管は、その透光性セラミックス気密容器がフリットガラスを用いて封止した構造であることを許容するが、所望によりフリットガラスを用いないで封止した構造であってよい。したがって、透光性セラミックス気密容器は、キャピラリーと称されるわずかな隙間を形成するための小径筒部を備えていてもよいし、実質的に小径筒部を備えていないものであってもよい。
【0013】
外管が備えている電流供給導体は、外部の点灯回路に接続して電流の供給手段として機能し、また外管内に気密に導入されている。したがって、電流供給導体は、その基端部が外管の外部に露出し、中間部が外管に気密に封着され、先端部が外管の内部に露出する。
【0014】
なお、電流供給導体は、導電体により構成されているが、その材質および構成については特段限定されない。また、電流供給導体を外管内に気密に導入するための手段も特段限定されない。
【0015】
外管を構成する透光性部材、好適にはガラスと気密導入部における電流供給導体の材質に応じて既知の封着手段を適宜採用することができる。例えば、外管が石英ガラスで電流供給導体を気密に導入するためには、モリブデン箔を封着金属箔として用いて、当該封着金属箔を封止部内に気密に埋設させるシュリンク封止や圧潰封止またはそれらの組み合わせを用いることができる。なお、この構成においては、モリブデン箔に接続して外管の外部へ露出する部分および同じく外管内部へ露出する部分に例えばモリブデン、タングステンおよび白金などの高融点金属を用いることができる。
【0016】
さらに、電流供給導体の摺接接続部は、電流供給導体が一対配設される場合、その両方または一方に配設される。そして、発光管から外部に露出する電流導入導体との間で電気的に導通する機能、発光管を支持するのに寄与する程度の機械的保持機能および電流供給導体と電流導入導体とが導通を維持しながら相対的な摺動を許容する摺動機能を有している。また、所望により上記の機能に加えて発光管の透光性セラミックス気密容器の端部部分を抱持する補助的支持機能を追加することができる。
【0017】
電流供給導体は、上記機能を具有している摺接接続部であればよく、したがって摺接接続部の具体的な構造は、本発明においては特段限定されない。例えば、電流供給導体の先端部がコイル状、スリーブ状などをなした構造を採用することができる。
【0018】
また、一対の電流供給導体の両方に摺接接続部を配設する場合、両方の摺接接続部がその機能を持続し続けるような構成であるだけでなく、一方の摺接接続部は、そこに電流導入導体が接続された後に、溶接または加締めなどで当該電流供給導体と電流導入導体とが固着されることによって、その摺動機能がランプ完成後においては喪失されている構成であってもよい。
【0019】
そうして、第1の発明においては、発光管と外管の熱膨張係数の違いによりランプ製造時や使用中点灯、消灯などにおいて、電流供給導体と電流導入導体との間に応力が作用したときに、電流供給導体の摺接接続部とそこに接続する電流導入導体との間の相対的な摺動が生じるために、当該応力が吸収される。その結果、透光性セラミックス気密容器の封止部のシール材にクラックを生じるなどの不具合発生が抑制される。
【0020】
また、電流供給導体が摺接接続部を有しているので、この部分の表面積が大きくなり、かつ熱容量も大きくなるので、電流導入導体の封止部と外管の封止部との間の熱的な影響を軽減することができる。
【0021】
第2の発明の高圧放電ランプは、透光性セラミックス気密容器、透光性セラミックス気密容器内に離間対向して封装された一対の電極、透光性セラミックス気密容器内に封入された放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体を備えた発光管と;透光性セラミックス気密容器の最大外径より大きな内径を有する管状の外管主体部、外管主体部の一端に接続する細管部、外管主体部の他端に形成された第1の封止部、細管部に形成された第2の封止部、ならびに基端が第1および第2の封止部を経由して内部にそれぞれ気密に導入されて先端が電流導入導体に接続して発光管を支持している一対の電流供給導体を備えた外管と;を具備していることを特徴としている。
【0022】
第2の発明は、上記のように外管の封止構造を改良して本発明の目的を達成するものである。すなわち、外管の両端に配設する一対の封止部を非対称な第1および第2の封止部として構成している。なお、第1の発明が内在する構成であるのが好ましい。
【0023】
発光管は、第1の発明におけるのと同様な構成であることを許容する。
【0024】
外管は、外管主体部、細管部、第1および第2の封止部ならびに一対の電流供給導体を備えていて、外気に対して気密に保持されている。
【0025】
外管主体部は、その内径が発光管の外径より大きい。高圧放電ランプをなるべくコンパクトにするためには、外管主体部の内径を、発光管の外径の1.2〜3.5倍程度、好ましくは1.5〜3.0倍の範囲に設定するのがよい。また、外管主体部は、少なくともその内部に発光管を収納可能な程度の管軸方向の長さを有しているものとする。さらに、外管主体部は、その内部形状が円筒状にすることでその製作が容易になるが、発光管を収納できれば内部形状は特段限定されない。
【0026】
第1の封止部は、管状の外管主体部の他端である開放端を閉止して形成されているとともに、一対の電流供給導体の一方を気密に封着して導入している。第1の封止部を形成する前の段階において、管状の外管主体部の他端である開放端から発光管をその内部へ挿入することができる。このため、外管の内径が発光管の外径よりわずかに大きい程度であれば、発光管を外管内部に収納することが可能になる。なお、第1の封止部の形状は、好適には管軸に直交する方向の断面がほぼ円形を成すように形成される。また、所望により第1の封止部を高圧放電ランプに口金を装着する際の装着部として利用することができる。
【0027】
また、第1の封止部は、所望により一方の電流供給導体の封着と外管主体部の開放端の閉止とが時間的および空間的に分離して形成される構造を採用することができる。
【0028】
すなわち、その第1の態様としては、予め一方の電流供給導体を気密に導入して第1の封止部とこの封止部から電流供給導体の軸方向に離間したガラス部分、例えば杯状部分とを有する封着用ガラスバルブを製作しておき、発光管を収納した外管主体部の開放端に上記封着用ガラスバルブの上記ガラス部分をガラス溶着する構成である。
【0029】
また、その第2の態様としては、予め一方の電流供給導体を気密に導入して第1の封止部を主体とする封着用ガラスバルブを製作しておき、発光管を収納した外管主体部の開放端を主として上記封着用ガラスバルブにおける第1の封止部の外周部にガラス溶着する構成である。
【0030】
したがって、上述した第1の封止部における上記第1および第2の態様は、後述する第3の発明を実施することにより得られる。
【0031】
細管部または排気管部は、外管主体部の一端に接続し、しかも外管に比較して細くなっていて、かつ外管の内部に連通している。なお、細管の接続を容易にするために、外管主部の一端側を半球状など順次縮径するように予め成形することができる。また、予め発光管を収納し、さらに第1の封止部を形成しておくことにより、細管を経由して外管の内部を排気することができる。さらに、所望により排気後に外管内に所望の雰囲気ガスを封入することもできる。
【0032】
さらに、細管部には、他方の電流供給導体が挿通し、後述する第2の封止部を経由して外管内へ気密に導入されている。
【0033】
そうして、細管部を利用して外管の内部を排気後またはそれに続く封入後に、後述する第2の封止部を形成することができる。したがって、細管の内径および肉厚は、外管内の排気、封入および電流供給導体の封着が可能な程度であればよく、特段限定されない。
【0034】
第2の封止部は、上述から理解できるように細管部に形成されている。したがって、第2の封止部を第1の封止部に比較して小さく形成することができる。そうすれば、第2の封止部を形成する際に必要な熱量が少なくなり、外管内に発光管が収納されている状態で第2の封止部を形成しても、発光管の第2の封止部側に位置する封止部が受熱により損傷するのを防止することができる。
【0035】
第1および第2の封止部の態様は、本発明において特段限定されない。外管を構成する透光性部材、好適にはガラスと封止部内に気密に埋設される電流供給導体の材質に応じて既知の封止手段を適宜採用することができる。例えば、外管が石英ガラスで電流供給導体がモリブデンの場合には、モリブデン箔を封着金属箔として用いて、当該封着金属箔を封止部内に気密に埋設させるシュリンク封止や圧潰封止またはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0036】
外管内に気密に導入される一対の電流供給導体の少なくとも一方に、第1の発明における摺接接続部を形成することができる。この態様によれば、後述する第3の発明において封着用ガラスバルブを形成する際に、一方の電流供給導体に発光管を接続しないでおくことが可能になる。これにより、封着用ガラスバルブを形成する際の加熱で発光管の封止部が受熱により損傷するのを防止できる。
【0037】
次に、第1および第2の発明における電流供給導体の外管内部への導入の好ましい態様について説明する。すなわち、その第1の態様は、電流供給導体を、傾斜機能材からなるシール体の導電性部分を介して外管の内部に気密に導入している。
【0038】
シール体は、耐火性導電性金属粉末および耐火性絶縁体粉末の混合焼結体であって、導電性部分、中間部分および非導電性部分が順次隣接した傾斜機能材である。耐火性導電性金属粉末としては、例えばMoやWなどの耐火性導電性金属の粉末を用いることができる。
【0039】
導電性部分は、耐火性導電性金属リッチであり、相対的に高い導電性を有していて、電流供給導体の一部を構成する。
【0040】
また、導電性部分には、外部リード部材および電流供給導体の主体部分が接続される。外部リード部材および電流供給導体の主体部分を、棒状をなした単一の導電体で構成してシール体の導電性部分を貫通するように構成することもできるが、高い気密性を得るためには導電性部分が外部リード部材および電流供給導体の主体部分間に介在するように外部リード部材および電流供給導体の主体部分を別体として構成し、かつ導電性部分内において相互に離間するように配置するのがよい。
【0041】
非導電性部分は、耐火性絶縁体リッチであり、相対的に高い絶縁性を有していて、その熱膨張率が外管のそれに近似している。そして、非導電性部分が外管の開口部に封着することにより、シール体と外管とが協働して封止部を形成する。耐火性絶縁体粉末としては、例えばSiOなどの粉末を用いることができる。
【0042】
また、非導電性部分は、その熱膨張率が外管のそれと近似した値に予め調整されているのが好ましい。非導電性部分を外管の熱膨張率と近似した値にするには、外管の構成材料と同様な材料を主成分として用いるのがよい。外管が石英ガラスや硬質ガラスから構成されている場合、SiOを主成分とする材料を用いることにより、外管との間に良好な封着性を得ることができる。
【0043】
中間部分は、導電性部分と非導電性部分との間に介在しており、耐火性導電性金属粉末および耐火性絶縁体粉末が導電性部分および非導電性部分における混合割合に対して中間の割合で混合されていて、導電性部分および非導電性部分のそれぞれの有する熱膨張率に対して中間の熱膨張率になっている。また、同時に中間の導電率を有する部分を構成している。そして、中間部分は、導電性部分および非導電性部分の熱膨張率差の緩和帯として機能する。
【0044】
また、中間部分は、シール体の導電性部分に隣接する部位の熱膨張率が導電性部分の熱膨張率に接近し、かつ非導電性部分に隣接する部位の熱膨張率が非導電性部分の熱膨張率に接近するように構成される。したがって、中間の熱膨張率部分の好適な構成としては、導電性部分と非導電性部分との間において熱膨張率および導電率が複数の値をもって分布している。そして、複数の値の態様としては連続的および段階的のいずれであってもよい。
【0045】
なお、シール体の傾斜機能材を製作するには、既知の各種構成および製造方法を適宜採用することができる。
【0046】
そうして、電流供給導体の外管内に導入される部分が傾斜機能材からなるシール体により構成されているので、外管の封止時にはシール体の導電性部分を包囲する非導電性部分を加熱して外管に封着するので、電流供給導体およびシール体の導電性部分を直接加熱する必要がない。さらに、封止のために加熱する非導電性部分と導電性部分との間には中間部分が介在しているので、外管とシール体とを封着する際に外管内に位置する電流供給導体に伝わる熱が少なくなる。
【0047】
以上の結果、本態様においては、外管の封止時に熱によって発光管に作用する熱的ダメージが効果的に抑制される。すなわち、本態様では電流供給導体を経由する伝導熱が低減するので、効果的である。
【0048】
一方、従来のこの種高圧放電ランプにおいては、発光管の透光性セラミックス気密容器を封止するために一般的なフリットガラスを用いて封止している場合、発光管の封止部の耐熱性が低いので、発光管の封止部と外管の封止部との間の距離をなるべく大きく設定する必要がある。そのために、高圧放電ランプが大型化してしまうという問題がある。
【0049】
また、第1の態様によれば、傾斜機能材からなるシール体を用いて外管を封止することにより、封止部自体の長さを短縮することができる。例えば、封着金属箔を用いる封止に比較して封止部長を約半分程度に短縮することができる。
【0050】
以上を要約すれば、第1の態様においては、外管の封止部と発光管との間の距離および封止部長を短縮することができるので、高圧放電ランプのコンパクト化を図る目的に対して頗る効果的である。
【0051】
電流供給導体を外管内部へ導入するための好ましい第2の態様は、前記シール体と外管がシュリンク封止部を形成している構成である。シール体は、これを例えば円柱状に成形するなどシュリンク封止に効果的な所望の形状に成形することができる。
【0052】
なお、シュリンク封止は、シール体を外管の開口部内に挿入した状態で開口部を、その外周側から加熱して軟化させるとともに、外管内を排気して減圧状態に維持しながら封止することにより、軟化した開口部がシール体に縮径しながら溶着して封止部を形成する封止である。なお、本発明においては、シュリンク封止により形成された封止部をシュリンク封止部という。
【0053】
そうして、第2の態様によれば、良好な封止を得ることができるとともに、封止が容易になる。
【0054】
第3の発明の高圧放電ランプの製造方法は、透光性セラミックス気密容器、透光性セラミックス気密容器内に離間対向して封装された一対の電極、透光性セラミックス気密容器内に封入された放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体を備えた発光管を製作する第1の工程と;一方の電流供給導体が気密に封着された第1の封止部を備えている封着用ガラスバルブを準備し、発光管の少なくとも一方の電流導入導体を一方の電流供給導体に接続して発光管を封着用ガラスバルブに支持させる第2の工程と;透光性セラミックス気密容器の最大外径より大きな内径を有し一端が開放した管状の外管主体部および外管主体部の他端に接続した細管を備えているガラス製の外管を準備して、外管主体部の開放端から第2の工程で得た封着用ガラスバルブに支持された発光管を外管主体部の内部に挿入し、外管主体部の開放端および封着用ガラスバルブの間を気密にガラス溶着して外管主体部の開放端を気密に封止する第3の工程と;発光管の他方の電流導入導体を他方の電流供給導体に接続した状態にして、外管の細管内部に他方の電流供給導体を挿通し、当該電流供給導体が細管部に気密に封着された第2の封止部を形成する第4の工程と;を具備していることを特徴としている。
【0055】
第3の発明は、第2の発明の高圧放電ランプを製造するのに好適な方法である。
【0056】
第1の工程には、既知の発光管製造工程を採用することができる。
【0057】
第2の工程において、封着用ガラスバルブは、一方の電流供給導体が気密に封着された第1の封止部を備えている。すなわち、ガラスバルブ素材に一方の電流供給導体を気密に封着して第1の封止部を形成しているとともに、ガラスバルブ素材を外管主体部の開放端に挿入してガラス溶着により上記開放端を封止する。このため、上記ガラスバルブ素材は、これを外管主体部の開放端に挿入して、上記開放端を封止するのに都合のよいような形状および寸法に形成されている。
【0058】
上記ガラスバルブ素材は、外管主体部の開放端内に嵌合して外管の縮径端部を形成しやすいように杯状に形成されているのが好ましい。しかし、第1の封止部が適当な外径を有しているのであれば、第1の封止部の外周部分に外管主体部の開放端を直接、例えば縮径しながらガラス溶着させて外管主体部の開放端を封着用ガラスバルブで封止することも許容される。この場合、見かけ上第1の封止部が外管主体部の外径に比較的接近している大径となる。上記のような態様の場合、ガラスバルブ素材は、その殆どが第1の封止部のみにより構成されている。
【0059】
また、封着用ガラスバルブのガラス素材が杯状をなしている場合であっても、所望により第1の封止部の外周部分に外管主体部の開放端を直接、例えば縮径しながらガラス溶着させて外管主体部の開放端を封着用ガラスバルブで封止することもできる。
【0060】
封着用ガラスバルブの一方の電流供給導体と発光管の一方の電流導入導体との接続は、封着用ガラスバルブに一方の電流供給導体を気密に封着した後に行うのが好ましい。そうすれば、第1の封止部を形成する際に発光管、特にその一方の電流供給導体に対面する方の封止部が熱履歴を受けなくて済む。これを実現するためには、一方の電流供給導体に第1の発明における摺接接続部を形成しておけばよい。
【0061】
しかし、所望により封着用バルブに一方の電流供給導体を気密に封着する前に、封着用ガラスバルブの一方の電流供給導体と発光管の一方の電流導入導体とを接続することもできる。なお、この態様においても、封着用ガラスバルブの一方の電流供給導体に第1の発明における摺接接続部を形成することができる。ただし、所望により最初から固定的な接続を行うことも許容される。
【0062】
また、一方の電流供給導体に摺接接続部を形成する態様において、当該摺接接続部と発光管の一方の電流導入導体との接続部を、そのまま摺接可能な状態にしておく態様でもよいし、さらに例えば溶接、加締めなどにより固定的な接続状態にする態様にすることもできる。
【0063】
第3の工程において、発光管の他方の電流導入導体と外管の他方の電流供給導体との接続は、発光管を外管主体部の内部に挿入する前に予め行う態様を採用することができる。この場合、封着用ガラスバルブ、発光管および他方の電流供給導体が一体化されて発光管マウントを形成することになる。また、上記挿入の後に、後述するように第4の工程において、細管の端面から細管の内部へ他方の電流供給導体を挿入して、発光管の他方の電流導入導体に接続する態様であってもよい。さらに、他方の電流供給導体を予め細管内に挿入しておき、外管主体部内に発光管を挿入したときに他方の電流導入導体を他方の電流供給導体の摺接接続部に接続させる態様であってもよい。
【0064】
他方の電流供給導体には、上記いずれの態様であっても、第1の発明における摺接接続部を形成するのが好ましい。
【0065】
また、第3の工程において、外管主体部の開放端を封止するための外管主体部と封着用ガラスバルブとのガラス溶着は、主として完成後の外管を見た場合に、前述のように外管主体部の領域内で行われていてもよいし、主として第1の封止部の領域、したがって第1の封止部の周囲において行われていてもよい。後者の態様の場合、第1の封止部の肉厚が大きくなるので、外観上第1の封止部の径が大きくなっているように見える。
【0066】
第4の工程において、他方の電流供給導体は、第2の封止部を形成する以前に細管内に挿入されている。なお、他方の電流供給導体は、細管内に挿入されるが、その先端部が細管の内部に位置していてもよいし、細管から突出して外管主体部内に位置していてもよい。
【0067】
なお、第2の封止部を形成するのに先立って、外管内の排気を行って内部を真空状態にするのが好ましいが、所望によりその後適当な雰囲気ガスを封入することもできる。また、第2の封止部の構造は、第2の発明における説明と同様であることを許容する。
【発明の効果】
【0068】
第1ないし第4の発明によれば、外管を最小化しても透光性セラミックスを用いた発光管の外管内への収納作業と外管の封止の両立を図れる高圧放電ランプ、その製造方法および高圧放電ランプを備えた照明装置を提供することができる。
【0069】
また、第1の発明によれば、上記に加えて発光管と外管との間の熱膨張係数の相違に伴う管軸方向の収縮、膨張を電流導入導体と給電導体との間で吸収し、振動による電流導入導体と給電導体との間の接続外れを防止し、または発光管の封止部に加わる応力を軽減して、発光管を外管内の所定位置に保持する高圧放電ランプおよび高圧放電ランプを備えた照明装置を提供することができる。
【0070】
さらに、第2の発明によれば、上記に加えて外径および全長が短縮してコンパクトな高圧放電ランプおよび高圧放電ランプを備えた照明装置を提供することができる。
【0071】
第3の発明によれば、上記に加えて製造が容易で、しかも信頼性の高い高圧放電ランプの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0073】
図1および図2は、第1の発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態を示し、図1は要部断面図、図2は発光管の断面図である。本形態において、高圧放電ランプHDLは、発光管ITおよび外管OTを具備している。
【0074】
〔発光管ITについて〕
発光管ITは、図2に示すように、透光性セラミックス気密容器1、電極2、放電媒体および電流導入導体3を備えている。また、図示の形態においては、透光性セラミックス気密容器1を封止するために、シール材4が用いられている。なお、図1において、発光管ITは、輪郭が点線で示され、また薄墨部分が外面を示している。
【0075】
(透光性セラミックス気密容器1について)
透光性セラミックス気密容器1は、透光性セラミックスを主体として形成されている。透光性セラミックスとしては、透光性アルミナ、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)と、多結晶非酸化物、例えばアルミニウム窒化物(AlN)などの多結晶または単結晶のセラミックスなどを用いることができる。なお、必要に応じて、気密容器の内面に耐ハロゲン性または耐金属性の透明性被膜を形成するか、気密容器の内面を改質することが許容される。
【0076】
また、透光性セラミックス気密容器1は、その内部に放電空間1cを有している。そして、放電空間1cを包囲するために、透光性気密容器1は、包囲部1aを備えている。包囲部1aは、その内部に形成される放電空間1cを適当な形状、例えば球状、楕円球状、ほぼ円柱状などの形状にしている。放電空間1cの容積は、高圧放電ランプDHLの定格ランプ電力、電極間距離などに応じてさまざまな値が選択され得る。例えば、液晶プロジェクタ用ランプの場合、0.5cc以下にすることができる。自動車前照灯用ランプの場合、0.05cc以下にすることができる。また、一般照明用ランプの場合、定格ランプ電力に応じて1cc以上および以下のいずれにすることもできる。
【0077】
また、包囲部1aは、所望によりその主要部の直線透過率が20%超、好適には30%超、より一層好適には50%超であるように構成するのがよい。なお、上記主要部は、放電により発生する光の導出に対して配光上影響の大きい重要な部分であり、主として後述する一対の電極2、2間に対向する部位である。
【0078】
そうして、直線透過率が上記の範囲内であれば、反射鏡などの光学系との組合せにおいて配光制御が容易になるため、自動車前照灯用などの用途に適した高圧放電ランプを得ることができる。しかしながら、直線透過率が20%以下であると、見かけ上放電アークが太くなりすぎて配光制御が困難になり、所望の配光パターンを得ることができない。したがって、自動車前照灯などに組み込んで所定の規格を満足するように配光を厳格に制御することが要求される場合に、それが困難になる。加えて、直線透過率が30%超であれば見かけ上の放電アークがさらに細くなって配光制御がさらに容易になり、50%超であればなお一層配光制御が容易になる。なお、直線透過率は高い方が好ましいので、その上限はない。
【0079】
さらに、透光性セラミックス気密容器1は、所望により包囲部1aに連続する小径筒部1bを備えることが許容される。小径筒部1bは、一般に包囲部1aの管軸方向の両端から管軸方向に延在し、内部が包囲部1aに連通していて、その一対が配設される。
【0080】
小径筒部1bは、その内径が包囲部1aの内径より明らかに小さくて、例えばその1/10以下である。そして、透光性セラミックス気密容器1が封止されない状態において、小径筒部1aの内部には管軸方向に延在する細長い貫通孔を有していて、その一端が包囲部1aの放電空間1cに連通し、他端が外部へ開口している。
【0081】
また、所望により小径筒部1bの直線透過率が包囲部1aにおける直線透過率より低くすることができる。小径筒部1bの直線透過率は直接配光に影響することが少ないので、包囲部1aの直線透過率より低くてもよい。なお、直線透過率が相対的に低ければ、例えば包囲部1aの表面、例えば外面を研磨して直線透過率を高める場合であっても、小径筒部1bの表面、例えば外面は研磨しなくてよくなったり、通常用いられる平均粒径が前述のように大きい透光性セラミックス粒子を用いて小径筒部1bを形成したりすることができる。そのため、高圧放電ランプの製造が容易で、しかも安価になる。
【0082】
さらに、透光性セラミックス気密容器1は、その包囲部1aおよび小径筒部1bを連続して一体化しているように形成するのが好ましい。このような構成であれば、透光性セラミックス気密容器1には熱的および光学的な不連続部分が形成されないからである。この構成における最も典型的な構造によれば、透光性セラミックス気密容器1の包囲部1aおよび小径筒部1bは一体成形により形成されている。また、異なる構造によれば、透光性セラミックス気密容器1を形成する前の段階において、包囲部1aおよび小径筒部1bの全体またはそれらの部分がそれぞれ別の部材としてセラミックス微粒子材料を圧縮成形するか、または仮焼結して用意され、次にそれぞれの部材を焼結型内にて透光性セラミックス気密容器1の形になるように組み込んで本焼結することで、隣接する別部材間のアルミナ粒子が直接結合して熱的および光学的な不連続部分の存在しない透光性セラミックス気密容器1を得る。これに対して、いわゆる焼き嵌め構造の透光性セラミックス気密容器1では、熱的および光学的な不連続部分が形成されるが、所望により採用することができる。
【0083】
(電極2について)
電極2は、透光性セラミックス気密容器1に封装されてその内部の放電空間1cに離間して臨むように一般にその一対が配設される。一対の電極2、2間に形成される電極間距離は、一般的には5mm以下が好適であり、自動車前照灯用の高圧放電ランプの場合には、中心値で4.2mmが規格化されている。
【0084】
また、電極2の構成材としては、耐火性があって、導電性の金属、例えば純タングステン(W)、ドープ剤(例えばスカンジウム(Sc)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)およびケイ素(Si)などのグループから選択された一種または複数種)を含有するドープドタングステン、酸化トリウムを含有するトリエーテッドタングステン、レニウム(Re)またはタングステン−レニウム(W−Re)合金などを用いて形成することができる。
【0085】
さらに、小形の高圧放電ランプの場合、直棒状の線材や先端部に径大部を形成した線材を電極として用いることができる。中形ないし大形の電極の場合、電極軸の先端部に電極構成材製の電極コイルを巻回したりすることができる。なお、一対の電極2、2は、交流で作動する場合に同一構造とする。しかし、直流で作動する場合には、一般に陽極は温度上昇が激しいから、陰極より放熱面積の大きい、したがって主部が太いものを用いることができる。
【0086】
また、電極2は、その中間部および基端が透光性セラミックス気密容器1の小径筒部1b内に挿入され、小径筒部1bの内面との間にキャピラリーと称されるわずかな隙間が形成される。なお、電極2の基端は、後述する導入導体3の先端に接続して支持される。
【0087】
(放電媒体について)
放電媒体は、少なくとも始動ガスおよび発光に寄与するイオン化媒体を含んでいる。なお、発光に寄与する媒体は、所望により始動ガスがこれを兼ねていていもよい。また、好ましくはランプ電圧形成用のイオン化媒体を含んでいる。
【0088】
始動ガスは、緩衝ガスとしても作用し、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)およびネオン(Ne)などのグループの一種を単独で、または複数種を混合して封入することができる。希ガスの封入圧力は、高圧放電ランプの用途に応じて適宜設定することができる。
【0089】
希ガスの中でもキセノンは、その原子量が他の希ガスより大きいため、熱伝導率が相対的に小さいので、これを0.6気圧以上、好適には5気圧以上封入することにより、点灯直後のランプ電圧形成に寄与するとともに、ハロゲン化物の蒸気圧が低い段階で白色の可視光放射を行って光束立ち上がりに寄与するので、前照灯用の高圧放電ランプの場合に効果的である。この場合、キセノンの好ましい封入圧は、6気圧以上、より好適には8〜16気圧の範囲である。このため、点灯直後からの光束立ち上がりおよび光色立ち上がりに寄与して点灯直後から自動車前照灯用のHID光源としての白色発光の規格を満足することができる。
【0090】
発光に寄与する媒体は、発光金属のハロゲン化物を主体とする他、所望により発光金属をそのまま封入することも許容される。発光金属は、本発明において、特段限定されないが、一好適例としてツリウム(Tm)ハロゲン化物を主体として封入することができる。
【0091】
ツリウムハロゲン化物は、水銀フリーランプとして好適な発光金属のハロゲン化物であり、放電により主として可視光を放射する。また、ツリウムハロゲン化物は、透光性セラミックス気密容器1内に封入されるイオン化媒体中最大封入比率、好適にはこの条件に加えて40〜90質量%で封入することができる。そして、ツリウムハロゲン化物は、後述するランプ電圧形成用のイオン化媒体であるところの蒸気圧が高くて、可視光発光の少ない金属のハロゲン化物との共存下において、それ自体電極2、2間の電位傾度、したがってランプ電圧を高くする作用を有している。
【0092】
また、ツリウムハロゲン化物は、その蒸気圧が低いが、ツリウムの発光のピークが視感度曲線のピークに一致するので、発光効率を向上させるのに極めて効果的な発光金属である。ツリウムの発光強度は、高圧放電ランプの点灯中の動作温度に大きく依存しており、その最冷部温度が約800℃となる条件下で効率が最大になる。透光性セラミックス気密容器1が透光性セラミックスを主体として形成される場合、最冷部温度が約800℃となる条件下での動作に全く問題がなく、しかも耐薬品性が強いので、ツリウムハロゲン化物の封入は、ランプ寿命および光束維持率に悪影響を与えない。すなわち、ツリウムハロゲン化物は、透光性セラミックスからなる気密容器を用いる高圧放電ランプに好適な発光金属ハロゲン化物である。
【0093】
上記以外に封入することが許容されるその他の発光金属のハロゲン化物としては以下がある。
【0094】
1.(アルカリ金属) アルカリ金属を封入する場合には、透光性セラミックス気密容器1内に封入されている全ての金属ハロゲン化物に対して10質量%未満の範囲内で許容される。アルカリ金属の封入比率が10質量%以上になると、ランプ電圧が低下しやすくなるので、ランプ電圧の形成の観点からは好ましくない。しかしながら、アルカリ金属の封入比率が10質量%未満であれば、ランプ電圧の低下は最小限に抑制される一方、発光効率、ランプ寿命改善および光色調整、特に色偏差改善が可能になる。このような観点から、所要のランプ電圧を確保できる場合には、上記の範囲内であれば封入が許容される。なお、好ましくは2〜8質量%、より好ましくは3〜7質量%、なお一層好ましくは4〜6質量%である。また、アルカリ金属としては、主としてナトリウム(Na)、しかし所望によりまたは/およびセシウム(Cs)およびリチウム(Li)の少なくとも一方を選択的に封入することができる。
【0095】
ナトリウム(Na)は、主として発光効率向上に寄与する。セシウム(Cs)は、放電アーク温度の適正化による寿命特性の向上に寄与する。リチウム(Li)は、赤色演色性の改善に寄与する。
【0096】
2.(その他の希土類金属のハロゲン化物) ツリウムハロゲン化物に加えて以下の金属ハロゲン化物を主として発光金属のハロゲン化物として封入することができる。プラセオジム(Pr)、セリウム(Ce)、ホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)およびサマリウム(Sm)からなるグループの希土類金属の一種または複数種のハロゲン化物である。
【0097】
上記希土類金属は、ツリウムハロゲン化物に次いで発光金属として有用であり、所定量以下の封入比率で封入することが許容される。すなわち、上記希土類金属は、そのいずれも視感度特性曲線のピーク波長付近で無数の輝線スペクトルを有するため、発光効率向上に寄与することができる。
【0098】
また、上記希土類金属のハロゲン化物を添加する場合には、ツリウム(Tm)ハロゲン化物を含めて全イオン化媒体に対する封入比率が50質量%以上になるように構成するのが好ましい。
【0099】
3.(タリウムまたは/およびインジウムのハロゲン化物) タリウム(Tl)または/およびインジウム(In)のハロゲン化物は、所望の演色性および/または色温度などを得るなどの目的で副成分として選択的に封入することが許容される。また、インジウムは、ランプ電圧形成用のイオン化媒体としても効果的である。
【0100】
タリウム(Tl)ハロゲン化物は、波長535nmに輝線を有するタリウムの緑色成分を発光中に加えることができる。なお、一般的に採用し得るタリウムハロゲン化物の封入比率範囲は、封入される全ての金属ハロゲン化物に対して30質量%未満であるのが望ましい。タリウムハロゲン化物の封入比率範囲が30質量%以上になると、発光効率の低下が顕著になる。なお、好適には15質量%未満の範囲で封入するのがよい。
【0101】
また、インジウム(In)ハロゲン化物を添加することにより、ハロゲン化物の発光中に青色成分を増加させることができるとともに、ランプ電圧形成にも寄与する。
【0102】
以上説明した各発光金属ハロゲン化物のハロゲンとしては、適度の反応性を有していることからヨウ素が好適であるが、所望により臭素および塩素のいずれかでもよく、またヨウ素、臭素および塩素のうち所望の二種以上を用いてもよい。
【0103】
次に、ランプ電圧形成用のイオン化媒体は、水銀フリーの高圧放電ランプを得る場合には、前記のように蒸気圧が高くて、可視光発光の少ない金属のハロゲン化物を封入するのがよい。この場合、水銀(Hg)は、全く含まないのが環境負荷物質削減のために好ましいことであるが、不純物程度に含んでいても許容される。また、水銀入りの高圧放電ランプを得る場合には、水銀を封入する。
【0104】
また、水銀フリーの場合に、ランプ電圧形成用のイオン化媒体として封入するのが効果的な金属は、例えば次のとおりである。すなわち、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)からなるグループから選択された一種または複数種の金属である。上記の各金属のハロゲン化物は、蒸気圧が高く、電子との衝突断面積が大きくて、しかもイオン化ポテンシャルが大きいため、前述の透光性セラミックス気密容器1との組み合わせにおいて、水銀に代わるランプ電圧形成用のイオン化媒体として好適な物質である。
【0105】
(電流導入導体3について)
電流導入導体3は、電極2に給電するための機能、透光性セラミックス気密容器1を封止する機能および電極2を支持する機能を有する部材である。そして、その基端部が透光性セラミックス気密容器1の例えば小径筒部1bから外部に露出して図示しない点灯回路に接続し、先端部が電極2の基端に接続する。電流導入導体3の先端部は、透光性セラミックス気密容器1が図2に示すように小径筒部1bを備えている場合、その内部に挿入され、さらに小径筒部1bの内部において電極2の基端に接続している。
【0106】
また、電流導入導体3の小径筒部1b内に挿入される部分の直径を、電極2の少なくとも基端部、好ましくは電極軸の直径より大きくすることができる。これにより、電極2または電極軸2aの直径を導入導体3の直径に影響されることなく最適なサイズに設定することができるとともに、イオン化媒体の滞留に伴う侵食が低減する。
【0107】
さらに、電流導入導体3は、その全体を封着性導電部材により形成してもよいし、また封着性導電部材および耐ハロゲン性導電部材の直列接続構体により形成することができる。導入導体3の全体を封着性導電部材により形成する場合には、当然ながら封着性導電部材が上記3機能を奏するように配慮して構成される。これに対して、電流導入導体3が封着性導電部材および耐ハロゲン性導電部材の直列接続構体により形成される場合には、封着性導電部材が小径筒部および後述するシール材4と協働して透光性セラミックス気密容器1を封止する機能を担当し、耐ハロゲン性導電部材が電極を支持する機能を担当し、さらに両部材はともに電極に給電する機能を担当する。
【0108】
封着性導電部材としては、電極の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有する導電性部材を用いるのがよい。例えば、透光性セラミックスの種類に応じてニオブ(Nb)、タンタル(Ta)および白金(Pt)などを用いることができる。なお、透光性気密容器1が透光性多結晶アルミナセラミックスからなる場合にはニオブが好適である。
【0109】
耐ハロゲン性導電部材としては、電極からの伝熱に耐える耐火性と電極構成物質の接近した熱膨張係数を有している部材を用いるのがよい。例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびサーメットなどから選択することができる。なお、サーメットは、セラミックス粒子と耐火性の導電性金属(例えば、MoやW)粉末の混合体を焼成して形成される。
【0110】
電流導入導体3に予め電極2を接続して電極2を支持して透光性セラミックス気密容器1に対する組立を容易にするために、例えば両者を突合せ溶接により一体化して電極マウントを構成することができる。また、電流導入導体3を封着性導電部材および耐ハロゲン性導電部材により形成する場合にもこれらを突合せ溶接して一体化することができる。
【0111】
(シール材4について)
シール材4は、高融点フリットガラスなどからなり、透光性セラミックス気密容器1の小径筒部1bの内面と導入導体3との間に進入して透光性セラミックス気密容器1を気密に封止する。この封止を行うには、一般的な方法として採用されているように、小径筒部1bの端部において、導入導体3の周囲にシール材4のペレットを施与して、加熱溶融させることができる。そうすると、高温で溶融したシール材4が小径筒部1bの内面と導入導体3との間に形成されるわずかな隙間に進入して固化するので、封止が形成される。なお、シール材4は、導入導体3の封止に機能する部位を被覆するので、ニオブのように耐ハロゲンに劣る物質であっても問題ない。
【0112】
〔外管OTについて〕
外管OTは、図1に示すように、外管主体部6および電流供給導体7を備えている。図示形態において、外管OTは、上記に加えて封止部8を備えている。また、図1では切除されているために図示されていないが、外管OTは、その他端にも封止部および一方の電流供給導体を備えている。なお、図1において、外管OTの薄墨部分は、断面を示している。
【0113】
(外管主体部6について)
外管主体部6は、例えば石英ガラスからなり、図1に示すように、その内部に発光管ITを収納し、かつ内部が外部に対して気密に保持されている。外管主体部6の形状は特段限定されないが、例えば管軸方向に長いほぼ円筒状をなしている。
【0114】
(電流供給導体7について)
電流供給導体7は、外管OTに気密に導入されている。すなわち、電流供給導体7は、その基端7aが外管OTの外部に露出し、中間7bが後述する封止部8を気密に経由して外管OTの内部に導入され、さらに先端側に摺接接続部7cを有している。
【0115】
本形態の場合、上記中間7bには封着金属箔7b1が含まれており、当該封着金属箔7b1が封止部8の内部に気密に埋設されていることによって、上述の気密な導入が実現する。なお、一対の電流供給導体7が一対配設される場合、少なくとも一方の電流供給導体7のみが上記構成を有しているが、他方の電流供給導体7はこれと異なる構成であってもよい。
【0116】
摺接接続部7cは、本形態の場合、電流供給導体7の先端側の部分をコイル状に形成することにより実現されている。なお、コイルの内径は電流導入導体3の直径より若干小さいか、ほぼ同等になっていて、電流導入導体4を摺接接続部7c内に挿入可能で、しかも挿入したときに両者が導通し、かつ両者間が相対的に管軸方向の摺動が可能であるように構成されている。
【0117】
(封止部8について)
封止部8は、例えばシュリンク封止により形成されていて、そこを経由して前述の電流供給導体7が気密に導入されている。
【0118】
(発光管ITの外管OT内における支持について)
発光管ITは、外管OT内に収納されるとともに、その両端が一対の電流供給導体7、7に支持されている。なお、図1には一端側における支持の状態のみを示している。
【0119】
〔高圧放電ランプの作用について〕
第1の発明における第1の形態において、発光管ITは、その両端が一対の電流供給導体7、7間に保持されることにより、外管OT内の所定の位置に支持される。
【0120】
また、発光管ITは、透光性セラミックス気密容器1を備えている一方、外管OTはガラスなどの透光性セラミックスとは熱膨張係数の異なる材料で形成されているので、高圧放電ランプHDLの点灯−消灯の繰り返しの中で、発光管ITと外管OTとの間で熱膨張係数差に基づく管軸方向の膨張−収縮が繰り返される。
【0121】
本形態においては、少なくとも一方の電流供給導体7が摺接接続部7cを有しているので、膨張−収縮の際に電流供給導体7と電流導入導体3との間に管軸方向に沿った応力が作用したときに、摺接接続部7c内を電流供給導体3が導通を維持しながら相対的に摺動するので、応力が吸収される。そのため、発光管ITの封止部のシール材4にクラックを生じるなどの不都合が発生するのを効果的に抑制できる。
【0122】
また、従来の外管のように管体中間部に排気用のチップオフ部が形成されないので、光学的に有利である。
【実施例1】
【0123】
実施例1は、図1に示す高圧放電ランプについてのものである。
【0124】
電流導入導体 :直径0.65mm
電流供給導体の摺接接続部 :直径0.5mmのMo線を内径0.7mmのコイル状に5ターン巻回 した。

図3は、第1の発明の高圧放電ランプを実施するための第2の形態を示す要部断面図である。本形態は、電流供給導体7の摺接接続部7cがスリーブ状をなしている点で第1の形態と異なる。
【実施例2】
【0125】
電流供給導体の摺接接続部 :外径1.2mm、内径0.75mmのMo製のスリーブを用いた。
【0126】
その他は、実施例1と同じである。

図4は、第2の発明の高圧放電ランプを実施するための一形態を示す断面図である。なお、図中、図1と同一部分には同一符号を付してある。本形態において、高圧放電ランプHDLは、発光管ITおよび外管OTを具備している点は第1の発明におけるのとほぼ同様であるが、外管OTの構成が以下説明するように構成が異なっている。
【0127】
すなわち、外管OTは、外管主体部6に加えて、細管部9、第1の封止部8Aおよび第2の封止部8B、ならびに一対の電流供給導体7A、7Bを備えていて、例えば石英ガラスからなる。
【0128】
外管主体部6は、外管OTの主要部であり、内部に発光管ITを収容するために発光管ITの外径より大きい内径を有している透光性の中空体部分であり、例えばほぼ円筒状をなしている。また、外管主体部6の少なくとも一端、例えば図において左端すなわち一端は、半球形状、帽状または縮径形状に成形されている。なお、図において右端は、第1の封止部8Aの寸法および/または形状に応じて多様な形状になり得る。
【0129】
細管部9は、外管主体部6の一端に接続し、かつ外管主体部6の内部に連通している。そして、外管主体部6内部の排気や封入経路として利用されるとともに、後述するように第2の封止部6Bを形成して封じ切られている。
【0130】
第1の封止部8Aは、外管主体部6の他端部に形成されている。本形態において、第1の封止部8Aは、例えば封着用ガラスバルブ10を用いて形成されている。この封着用ガラスバルブ10は、その基端において一方の電流供給導体7Aが気密に導入され、基端から深笠状に展開している。電流供給導体7Aが気密に導入されている部分は、例えばシュリンク封止によって電流供給導体7Aの部分である封着金属箔7b1が気密に埋設されている。
【0131】
また、封着用ガラスバルブ10の深笠状に拡開している部分は、ガラス溶着により外管主体部6の他端を封止していて、その一部を構成することができる。なお、図において、封着用ガラスバルブ10は、外管主体部6との間の境界が明示されているが、封着用ガラスバルブ10と外管主体部6とが互いにガラス溶着しているため、上記境界は実際上は殆ど識別できない。
【0132】
第2の封止部8Bは、前述のように細管部9を封じ切る部分に形成されていて、電流供給導体7Bの封着金属箔7b1の部分である封着金属箔7b1が気密に埋設されている。
【0133】
一対の電流供給導体7A、7Bは、それぞれ基端7aが外管OTの外部に露出し、中間7bに上記封着金属箔7b1を備え、先端側に摺接接続部7cを有している。そして、摺接接続部7cには、発光管ITの一対の電流導入導体3A、3Bの基端部が挿入されて、導通すると同時に発光管ITを外管OT内の所定の位置に支持している。なお、摺接接続部7cは、コイル状をなしているが、例えばスリーブ状をなしていてもよいことはいうまでもない。
【0134】
また、一方の電流供給導体7Aの摺接接続部7cには発光管ITの一方の電流導入導体3Aが挿入されている。他方の電流供給導体7Bの摺接接続部7cには発光管ITの他方の電流導入導体3Bが挿入されている。その結果、発光管ITは、外管OT内の所定の位置に支持されていると同時に一対の電流供給導体7A、7Bを介して点灯回路に接続することができる。
【実施例3】
【0135】
封着用ガラスバルブ :外径6.8mm、内径3.0mmの石英ガラス管の成形体
外管主体部 :外径11.0mm、内径9.0mmの石英ガラス管の成形体
第1および第2の封止部:封着金属箔が幅7.0mm、厚さ20μmのMo箔
一対の電流供給導体 :直径0.5mmのMo線
発光管 :透光性セラミックス気密容器の外径4.5mm、全長38mm

図5および図6は、第3の発明の高圧放電ランプの製造方法を実施するための一形態を示し、図5は第1および第2の工程の説明図、図6は第3および第4の工程の説明図である。なお、図中、図4と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0136】
最初に、図5を参照して本形態における第1および第2の工程について説明する。
【0137】
第1の工程においては、発光管ITを製作する。
【0138】
第2の工程においては、封着用バルブ10を準備し、封着用バルブ10に発光管ITを支持させる。この支持は、一方の電流供給導体7Aを発光管ITの一方の電流導入導体3Aの摺接接続部7cに挿入することで行うことができる。また、所望により封止前の他方の電流供給導体7Bを、その摺接接続部7cを発光管ITの他方の電流導入導体3Bに挿入することで、発光管ITに接続しおくことができる。
【0139】
次に、図6を参照して本形態における第3および第4の工程について説明する。
【0140】
第3の工程においては、第2の工程において発光管ITを支持した封着用バルブ10の所要部分(本形態においては深笠部分)を一端に細管9´を接続した外管主体部6の他端に形成された開放端から外管主体部6の内部に挿入して発光管ITを外管主体部6の内部に収納し、かつ上記開放端および上記所要部分を加熱して当該両者をガラス溶着により一体化して、外管主体部6の開放端を封止する。
【0141】
第4の工程においては、細管9´を封止して第2の封止部8Bを形成する工程である。第2の封止部8Bの形成に先立ち予め他方の電流供給導体7Bを細管9´内に挿通しておく。そして、外管主体部6の内部を排気して、例えば真空状態にしていから、細管9´の封着金属箔7b1およびその前後に対向する領域を加熱軟化させて、例えばシュリンク封止により第2の封止部8Bを形成する。
【0142】
図7は、第1の発明を実施するための第3の形態および第2の発明を実施するための第2の形態を示す一部切欠断面図ならびに要部拡大斜視図および要部拡大平面図である。図において、図1と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0143】
本形態は、外管OTが傾斜機能材からなるシール体Sを用いて電流供給導体をその内部に導入するとともに、外管OTの封止部8を形成するように構成されている。
【0144】
すなわち、シール体Sは、円柱形状をなし、中心部が導電性部分Rc、外周部が非導電性部分Ri、中間部が中間部分Rmを有するとともに、Mo粉末とSiO粉末の混合焼結体により形成された傾斜機能材からなる。
【0145】
導電性部分Rcは、Moリッチの層で高導電率を有しており、シール体Sの中心部に位置している。そして、電流供給導体7の中間部においてその一部として機能し、ランプ電流が主として通流する。
【0146】
非導電性部分Riは、SiOリッチの層で絶縁性ないし低導電率を有しており、導電性部分Rcを包囲するようにシール体Sの外周部を形成している。そして、外管OTの開口部の熱膨張率に近似した熱膨張率を有していて、未封止の外管OTの開口端に封着して外管OTを封止する部分として機能する。
【0147】
中間部分Rmは、MoおよびSiOが適当な割合で混合していて導電性部分Rcおよび非導電性部分Riのそれぞれの熱膨張率に対して中間的な熱膨張率を有していて、導電性部分Rcおよび非導電性部分Riの間の緩和帯として機能している。
【0148】
また、中間部分Rmは、好ましくは緩和帯としての機能を高めるためにその内部がさらに傾斜構造をなしている。傾斜構造としては、導電性部分Rcに隣接する側の導電性が導電性部分のそれに次いで相対的に高く、非導電性部分Riに隣接する側が非導電性部分Riのそれより相対的に導電性が高くなっていて、それらの中間部において導電性が傾斜的に順次変化している。導電性の傾斜的な変化は、段階的および連続的のいずれであってもよい。
【0149】
したがって、シール体Sは、導電性部分Rc、中間部分Rmおよび非導電性部分Riの間の境界が導電性または熱伝導率が段階的または連続的に、かつ順次傾斜した変化をなしているが、各部分間の境界は不明確であることが多い。
【0150】
また、シール体Sの導電性部分Rcには、電流供給導体7の中間7bおよび基端7aがそれぞれ導電性部分Rcを挟んで離間した状態で接続している。中間7bおよび基端7aの導電性部分Rcへの接続は、シール体Sの焼結の前後いずれにおいても所望により選択的に行うことができる。
【0151】
未封止の外管OTの開口部内にシール体Sが挿入され、次いで開口部およびシール体Sの非導電性部分Riが加熱溶融されて互いに融着することにより、外管OTに封止部8が形成されている。図示の形態において、封止部8は、外管OTの開口部がシール体Sの外周面にシュリンク封止されることによって形成されている。
【0152】
図8は、本発明の高圧放電ランプを配設した照明装置の一形態としての自動車前照灯を示す概念図である。図において、11は前照灯本体、12は高圧放電ランプ点灯装置、13は高圧放電ランプである。
【0153】
前照灯本体11は、容器状をなし、内部に反射鏡11a、前面にレンズ11bおよび図示を省略しているランプソケットなどを備えている。
【0154】
高圧放電ランプ点灯装置12は、主点灯回路12Aおよび始動器12Bを具備している。
【0155】
高圧放電ランプ13は、上記ランプソケットに装着されて点灯する。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】第1の発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態を示す要部断面図
【図2】同じく発光管の断面図
【図3】第1の発明の高圧放電ランプを実施するための第2の形態を示す要部断面図
【図4】第2の発明の高圧放電ランプを実施するための一形態を示す断面図
【図5】第3の発明の高圧放電ランプの製造方法を実施するための一形態における第1および第2の工程を示す説明図
【図6】同じく第3および第4の工程を示す説明図
【図7】第1の発明を実施するための第3の形態および第2の発明を実施するための第2の形態を示す一部切欠断面図ならびに要部拡大斜視図および要部拡大平面図
【図8】本発明の高圧放電ランプを配設した照明装置の一形態としての自動車前照灯を示す概念図
【符号の説明】
【0157】
1…透光性セラミックス気密容器、2…電極、3A…一方の電流導入導体、3B…他方の電流導入導体、4…シール材、6…外管主体部、7A…一方の電流供給導体、7B…他方の電流供給導体、7c…摺接接続部、8A…第1の封止部、8B…第2の封止部、9…細管部、10…封着用バルブ、HDL…高圧放電ランプ、IT…発光管、OT…外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性セラミックス気密容器、透光性セラミックス気密容器内に離間対向して封装された一対の電極、透光性セラミックス気密容器内に封入された放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体を備えた発光管と;
内部に気密に導入されて軸方向に作用する摺接接続部を有する電流供給導体を備え、電流供給導体の摺接接続部に少なくとも一方の電流導入導体が軸方向に摺接可能に接続した状態で発光管を内部に収納するとともに、外気に対して気密に保持され内部に気密空間を形成した外管と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
透光性セラミックス気密容器、透光性セラミックス気密容器内に離間対向して封装された一対の電極、透光性セラミックス気密容器内に封入された放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体を備えた発光管と;
透光性セラミックス気密容器の最大外径より大きな内径を有する管状の外管主体部、外管主体部の一端に接続する細管部、外管主体部の他端に形成された第1の封止部、細管部に形成された第2の封止部、ならびに基端が第1および第2の封止部を経由して内部にそれぞれ気密に導入されて先端が電流導入導体に接続して発光管を支持している一対の電流供給導体を備えた外管と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項3】
電流供給導体は、導電性部分、中間部分および非導電性部分を有していて非導電性部分で外管を封止する傾斜機能材からなるシール体を有しており、このシール体の導電性部分を介して外管の内部に気密に導入されていることを特徴とする請求項1または2記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
シール体は、外管と協働して外管にシュリンク封止部を形成していることを特徴とする請求項3記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
透光性セラミックス気密容器、透光性セラミックス気密容器内に離間対向して封装された一対の電極、透光性セラミックス気密容器内に封入された放電媒体および透光性セラミックス気密容器内に気密に導入されて電極に接続した電流導入導体を備えた発光管を製作する第1の工程と;
一方の電流供給導体が気密に封着された第1の封止部を備えている封着用ガラスバルブを準備し、発光管の少なくとも一方の電流導入導体を一方の電流供給導体に接続して発光管を封着用ガラスバルブに支持させる第2の工程と;
透光性セラミックス気密容器の最大外径より大きな内径を有し一端が開放した管状の外管主体部および外管主体部の他端に接続した細管を備えているガラス製の外管を準備して、外管主体部の開放端から第2の工程で得た封着用ガラスバルブに支持された発光管を外管主体部の内部に挿入し、外管主体部の開放端および封着用ガラスバルブの間を気密にガラス溶着して外管主体部の開放端を気密に封止する第3の工程と;
発光管の他方の電流導入導体を他方の電流供給導体に接続した状態にして、外管の細管内部に他方の電流供給導体を挿通し、当該電流供給導体が細管部に気密に封着された第2の封止部を形成する第4の工程と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプの製造方法。
【請求項6】
照明装置本体と;
照明装置本体に配設された請求項1または2記載の高圧放電ランプと;
高圧放電ランプを点灯する点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−84815(P2008−84815A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325041(P2006−325041)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】