説明

高圧放電ランプ用給電装置

【課題】 高圧放電ランプを小電力点灯モードで点灯させたときに、フリッカの発生を抑制しながら、輝度むらの発生を防止または抑制することのできる高圧放電ランプ用給電装置を提供すること。
【解決手段】 液晶プロジェクタ装置の光源として用いられる高圧放電ランプに交流電流を供給する高圧放電ランプ用給電装置において、定常点灯モードにおける電力より低い電力を定電力制御により供給する小電力点灯モードにおいて、高圧放電ランプに対して、所定のベース電流が連続して供給されると共にこのベース電流に所定の大きさの電流を重畳したブースト電流が周期的に供給されるよう電流供給指令信号を発信すると共に、ブースト電流の供給に対応して動作される前記高圧放電ランプの動作電力の大きさに応じた、液晶プロジェクタ装置における映像信号の輝度を調整するための輝度調整信号を発信する機能を有する給電装置制御部を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、調光機能を有する液晶プロジェクタ装置の光源として好適に用いることができる高圧放電ランプ用給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投射型プロジェクタ装置においては、矩形状のスクリーンに対して、均一でかつ十分な色再現性をもった画像を投影させることが要求されている。このため、光源としては、点灯時の水銀蒸気圧が例えば150気圧以上となるショートアーク型の高圧放電ランプが採用されており、例えば定常点灯時において交流点灯方式で点灯されて用いられる。
而して、最近においては、使用環境の明るさや投影する画像の種類に応じて画面の明るさを調整することが可能な調光機能を有するプロジェクタ装置、例えば、画面に応じて電力を下げることによりコントラストを上げて使用するディミング機能を用いたいわゆる「明るさ調整モード」や、更に電力を下げて使用するいわゆる「スーパーエコモード」などの小電力点灯モードを採用したものが開発されている。このようなプロジェクタ装置においては、小電力点灯モード時の電力を、定格電力の25〜70%の大きさまで小さくすることが要求されている。
【0003】
しかしながら、このような小電力点灯モードの期間は、電極先端に投入される電力が絞られることにより電極先端温度が低下するために、アークの位置が不安定になりフリッカを起こしやすくなる。
このような問題に対して、特許文献1の特開2010−238526号公報には、定格電力の例えば70%以下の大きさの電力を供給して高圧放電ランプを点灯させる小電力点灯モードにおいて、所定の周波数を有するベース電流を供給するベース点灯と、ベース電流の電流値よりも大きな電流値を有するブースト電流を供給するブースト点灯を交互に行うことが記載されている。
【0004】
一方、交流点灯される放電ランプにおいて、供給される電力が増加されて点灯される場合には、電力の増加に伴ってランプ輝度が増加するために、投射画像に明るさの異なる領域が生じることとなって、スクリーン上に投射される投射画像に横縞状ノイズが知覚されるという問題が生ずることが知られている。
このような問題に対して、特許文献2の特開2009−198886号公報には、交流電流により駆動される光源からの光を液晶パネルに照射して投射画像光を生成する液晶プロジェクタにおいて、図7に示すように、液晶パネルの垂直ブランキング期間を決定するパネル駆動用垂直同期信号に基づいて、ブースト点灯される期間(パルス期間t1)における映像信号の輝度を予め定められた一定の量ΔL減少させることが記載されており、フリッカの発生を抑制しながら、スクリーン上に投射される投射画像の横縞状ノイズの発生を防止することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−238526号公報
【特許文献2】特開2009−198886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された放電ランプ点灯装置のように、定格電力より小さい電力が供給されて高圧放電ランプを点灯させる小電力点灯モードにおいても、ブースト点灯させることにより投射画像に明るさの異なる領域が生じることが判明した。
そこで、本発明者らは、高圧放電ランプに定格電力より低い電力を定電力制御により供給する小電力点灯モードによって高圧放電ランプを点灯する機能を有するランプ点灯装置を備えた液晶プロジェクタ装置において、小電力点灯モード時に、上記の特許文献2に記載された液晶パネルの透過率を制御する技術を利用した構成のものを試作したところ、上記の問題を解決することができないことが確認された。この理由は、次のように考えられる。
【0007】
小電力点灯モードによって高圧放電ランプを点灯させたときには、放電空間の蒸気温度および電極温度が低下しているため、放電空間内の水銀が不飽和状態、すなわち水銀の一部が凝集しており、水銀を蒸発させるのに時間を要するため、高圧放電ランプをブースト点灯させるに際しての電流供給指令信号の急峻な変化に対して、実際のランプ点灯電力の変化を追従させることができない状態となっている。このため、放電ランプに対して予め設定された一定の周期のブースト点灯期間で、ベース電流に予め設定された一定の大きさの電流を重畳したブースト電流が供給されるよう電流供給指令信号が発信された場合であっても、実際に高圧放電ランプに流れるランプ電流もブースト点灯期間毎に変動してしまい、所期のブースト点灯を行うことができない。
そして、放電ランプから放射される光の輝度はランプ電力に依存しており、このランプ電力は、放電ランプに実際に流れるランプ電流とランプ点灯電圧とによって決まることから、ランプ点灯電力WLについても、ブースト点灯期間毎に変動して高圧放電ランプから出射される光の輝度がブースト点灯期間毎に変動して一定しなくなるため、輝度をあらかじめ知る(予測する)ことができないのが実情である。
従って、ブースト点灯時において、予め設定された一定のブースト点灯期間のタイミングで、輝度を予め設定された一定の量ΔL減少させる特許文献2に記載の技術では、実際上は、制御されるべきブースト点灯状態がブースト点灯期間毎に異なっているので、あるブースト点灯期間においては十分に減光できなかったり、別のブースト点灯期間においては減光しすぎたりし、結局、投射画像に明るさの異なる領域ができてしまうものと考えられる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、放電ランプを小電力点灯モードで点灯させたときに、フリッカの発生を抑制しながら、輝度むらの発生を防止または抑制することのできる高圧放電ランプ用給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の高圧放電ランプ用給電装置は、液晶プロジェクタ装置の光源として用いられる高圧放電ランプに交流電流を供給する高圧放電ランプ用給電装置において、
前記高圧放電ランプに定格電力の70%以上の大きさの電力を供給する定常点灯モードと、前記高圧放電ランプに前記定常点灯モードにおける電力より低い電力を定電力制御により供給する小電力点灯モードとを切り替えて前記高圧放電ランプを点灯する機能を有する給電装置制御部を具えており、
当該給電装置制御部は、前記小電力点灯モードにおいては、前記高圧放電ランプに対して、所定のベース電流が連続して供給されると共にこのベース電流に所定の大きさの電流を重畳したブースト電流が周期的に供給されるよう電流供給指令信号を発信すると共に、当該ブースト電流の供給に対応して動作される前記高圧放電ランプの動作電力の大きさに応じた、液晶プロジェクタ装置における映像信号の輝度を調整するための輝度調整信号を発信する機能を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の高圧放電ランプ用給電装置においては、前記輝度調整信号は、前記ベース電流の供給によってベース点灯される前記高圧放電ランプの動作電力と、前記ブースト電流の供給によってブースト点灯される前記高圧放電ランプの動作電力との電力差に応じて設定されたものとすることができる。
【0011】
本発明の高圧放電ランプ用給電装置においては、前記小電力点灯モードにおける電流供給指令信号は、ブースト電流の供給時期、ブースト電流の大きさ若しくはブースト電流の供給時間が前記高圧放電ランプの点灯電圧の測定値に応じて制御されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高圧放電ランプ用給電装置によれば、給電装置制御部によって、小電力点灯モードにおけるブースト点灯時に、ブースト電流の供給により動作される高圧放電ランプのランプ点灯電力の大きさに応じた、液晶プロジェクタ装置における映像信号の輝度を調整するための輝度調整信号が発信されることにより、液晶パネルの透過率がブースト点灯時における実際のブースト点灯状態に即した調整量で制御されるので、フリッカの発生を抑制しながら、投射スクリーン上に投射される投射画像に明るさの異なる領域が生じること(例えば横縞状ノイズなどによる輝度ムラの発生)を防止または抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の高圧放電ランプ用給電装置によって給電される高圧放電ランプの一例における構成の概略を、管軸に沿った平面で切断して示す説明用断面図である。
【図2】本発明の高圧放電ランプ用給電装置を具えてなる液晶プロジェクタ装置の一例における構成の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の高圧放電ランプ用給電装置の一例における構成の概略を示すブロック図である。
【図4】小電力点灯モードにおける高圧放電ランプの点灯波形および液晶パネルの透過率を示す波形の一例を示す図であって、(a)は電流供給指令信号を示す波形、(b)は高圧放電ランプに実際に流れるランプ電流を示す波形、(c)はランプ点灯電力を示す波形、(d)はブースト点灯に伴う電流変化によるランプ点灯電力の変化量を示す波形、(e)は液晶パネルの透過率を示す波形である。
【図5】本発明の実施の形態に係る小電力点灯モードにおけるブースト点灯に伴う輝度調整動作を説明するための動作フロー図である。
【図6】本発明に係る小電力点灯モードにおける高圧放電ランプの点灯波形および液晶パネルの透過率の波形の他の例を示す図であって、(a)は高圧放電ランプの平均点灯電力の波形、(b)は電流供給指令信号を示す波形、(c)はランプ点灯電力を示す波形、(d)はブースト点灯に伴う電流変化によるランプ点灯電力の変化量を示す波形、(e)は液晶パネルの透過率を示す波形である。
【図7】従来の投影装置におけるブースト点灯時の点灯波形の一例を、映像信号の輝度調整信号と共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の高圧放電ランプ用給電装置は、例えば、調光機能を有する液晶プロジェクタ装置に搭載されるものであって、高圧放電ランプに交流電力を供給するものである。以下においては、先ず、本発明の高圧放電ランプ用給電装置によって給電される高圧放電ランプについて説明する。
【0015】
〔高圧放電ランプ〕
図1は、本発明の高圧放電ランプ用給電装置によって給電される高圧放電ランプの一例における構成の概略を、管軸に沿った平面で切断して示す説明用断面図である。
この高圧放電ランプ10は、交流点灯方式により点灯されるものであり、内部に放電空間Sを形成する外形が略球形状の発光管部12と、この発光管部12の両端の各々に一体に連設された、管軸CLに沿って外方に延びるロッド状の封止部13とを有する発光管11を具えている。
発光管11における発光管部12内には、それぞれタングステンよりなる一対の電極14,15が互いに対向して配置されている。具体的に説明すると、一対の電極14,15の各々は、発光管11の管軸CLに沿って延びる棒状の軸部14b,15bと、この軸部14b,15bの各々の先端に連続して形成された、先端に突起pが形成された略球状の頭部14a,15aと、頭部14a,15aの後端部分および軸部14b,15bの先端部分に巻き回されたコイル部14c,15cとにより構成されており、それぞれの頭部14a,15aが互いに対向するよう配置されると共に、各軸部14b,15bの基端部分が封止部13の各々に埋設されることによって保持されている。ここに、電極間距離は、例えば2.0mm以下であって、例えば0.5〜2.0mmである。
発光管11における封止部13の各々の内部には、モリブデンよりなる金属箔16が気密に埋設され、各々の金属箔16の各々の一端には、一対の電極14,15の各々における軸部14b,15bの基端が溶接されて電気的に接続されており、一方、各々の金属箔16の他端には、封止部13の外端から外方に突出する外部リード18が溶接されて電気的に接続されている。
【0016】
発光管11は石英ガラスにより構成され、この発光管11の発光管部12内には、例えば、水銀、希ガスおよびハロゲンが封入されている。
発光管部12内に封入される水銀は、必要な可視光波長、例えば波長360〜780nmの放射光を得るためのものであり、点灯時に例えば150気圧以上の高い水銀蒸気圧を確保するために、その封入量が0.15mg/mm3 以上とされており、この水銀の封入量を増加することにより、点灯時に200気圧以上、または300気圧以上の高い水銀蒸気圧を得ることができ、プロジェクタ装置に適した光源を実現することができる。
発光管部12内に封入される希ガスは、点灯始動性を改善するためのものであり、その封入圧は、静圧で例えば10〜26kPaである。また、希ガスとしては、アルゴンガスを好適に用いることができる。
発光管部12内に封入されるハロゲンは、発光管部12内においてハロゲンサイクルを形成すると共に、これにより、電極物質であるタングステンが発光管部12の内壁に付着することを抑制するためのものであり、水銀その他の金属との化合物の形態で封入される。ハロゲンの封入量は、例えば1×10-6〜1×10-2μmol/mm3 である。また、ハロゲンとしては、沃素、臭素、塩素などを用いることができる。
また、発光管部12内には、更に他の放電媒体としてハロゲン化金属を封入することもできる。
【0017】
このような高圧放電ランプ10の具体的な仕様の一例を示すと、発光管11における発光管部12の最大外径が12mm、電極間距離が1.2mm、発光管11における発光管部12の内容積が120mm3 、定格電圧が85V、定格電力が300Wである。
また、高圧放電ランプ10においては、その点灯中に発光管部12内の水銀蒸気圧が例えば150気圧以上となり、また、プロジェクタ装置においては、装置全体の小型化が図られる一方、高い光量が要求されることから、高圧放電ランプ10の発光管11における発光管部12内の熱的条件は極めて厳しいものであり、例えば高圧放電ランプ10の管壁負荷値は0.8〜3.0W/mm2 、より具体的には2.1W/mm2 である。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することにより、プロジェクタ装置の光源として用いられる場合に色再現性の良好な放射光を得ることができる。
【0018】
〔液晶プロジェクタ装置〕
図2は、本発明の高圧放電ランプ用給電装置を具えてなる液晶プロジェクタ装置の一例における構成の概略を示すブロック図、図3は、本発明の高圧放電ランプ用給電装置の一例における構成の概略を示すブロック図である。
この液晶プロジェクタ装置は、ランプユニット20、このランプユニット20から出射される光を例えば平行光として液晶パネル25に照射する光学素子23、液晶パネル25および液晶パネル25を透過した光(映像)を投射スクリーン28上に投射する投射レンズ24を具えた光学系と、プロジェクタ制御装置30、高圧放電ランプ用給電装置(以下、単に「給電装置」という。)40、映像信号制御装置31および液晶パネル駆動装置32を具えた制御系とにより構成されている。なお、光学系においては、上記の構成部品以外にも、カラーフィルターや偏光素子などの部品が必要に応じて配置される。
【0019】
光学系を構成するランプユニット20は、上記の高圧放電ランプ10と、例えば楕円面反射鏡よりなるリフレクタ21とにより構成されており、高圧放電ランプ10は、発光管11の管軸CLがリフレクタ21の光軸CRと一致し、リフレクタ21の第1焦点の位置にアーク中心が位置される状態で、配置されている。
【0020】
プロジェクタ制御装置30は、給電装置40に対して電流供給指令信号Isおよび点灯モード設定信号Msを出力すると共に、映像信号制御装置31に映像信号Vsを出力する機能を有する。
【0021】
映像信号制御装置31は、プロジェクタ制御装置30からの映像信号Vsの輝度を給電装置制御部U4からの輝度調整信号Lsに基づいて調整した液晶透過率制御信号Tsを出力する機能を有する。
【0022】
液晶パネル駆動装置32は、映像信号制御装置31からの液晶透過率制御信号Tsに応じた液晶パネル駆動信号Psを出力して液晶パネル25の動作を制御する機能を有する。 液晶パネル25の透過率を制御する具体的手段としては、特に限定されるものではなく、液晶パネル25における液晶分子の配列状態(開閉の程度)を調整する方法、および、液晶分子の開閉時間(液晶分子の配列状態が開とされた状態が維持される時間)を調整する方法のいずれであってもよい。
【0023】
給電装置40は、図3に示すように、ランプ点灯回路41と、例えばマイクロプロセッサ等の処理装置で構成された給電装置制御部U4とを具えている。ランプ点灯回路41は、直流電圧が供給される降圧チョッパ回路U1と、降圧チョッパ回路U1の出力側に接続された、直流電圧を交流電圧に変換させて高圧放電ランプ10に供給するフルブリッジ型インバータ回路U2(以下、「フルブリッジ回路」ともいう。)と、フルブリッジ回路U2と高圧放電ランプ10との間で高圧放電ランプ10に直列接続されたスターターコイルLhおよびコンデンサChを具えたスタータ回路U3とにより構成されている。
【0024】
ランプ点灯回路41を構成する降圧チョッパ回路U1は、直流電圧が供給される正極(+)側電源端子に接続されたスイッチング素子QxおよびリアクトルLxと、スイッチング素子QxおよびリアクトルLxの接続点と負極(−)側電源端子間にカソード側が接続されたダイオードDxと、リアクトルLxの出力側に接続された平滑コンデンサCxと、平滑コンデンサCxの負極(−)側端子とダイオードDxのアノード側の間に接続された電流検出用の抵抗Rxとにより構成されている。
この降圧チョッパ回路U1においては、例えばIGBTやFETなどからなるスイッチング素子Qxがゲート信号Gxに対応する所定のデューティで駆動されることにより、入力直流電圧Vdcが当該デューティに応じた電圧に降圧される。
そして、降圧チョッパ回路U1の出力側には、電圧検出用の抵抗R1,R2の直列回路Vxが設けられている。
【0025】
ランプ点灯回路41を構成するフルブリッジ回路U2は、ブリッジ状に接続された、各々例えばIGBTやFETなどからなる4つのスイッチング素子Q1〜Q4と、これらのスイッチング素子Q1〜Q4を駆動するドライバ回路45とにより構成されており、ドライバ回路45からのドライブ信号(ゲート信号G1〜G4)に応じた極性反転動作を行う機能を有する。
このフルブリッジ回路U2においては、ドライバ回路45によって、スイッチング素子Q1およびQ4が共にオンとされると共にスイッチング素子Q2およびQ3が共にオフとされるスイッチング動作、および、スイッチング素子Q1およびQ4が共にオフとされると共にスイッチング素子Q2およびQ3が共にオンとされるスイッチング動作が交互に行われることにより、スイッチング素子Q1およびQ2の接続点と、スイッチング素子Q3およびQ4の接続点との間に矩形波状の交流電圧が発生し、高圧放電ランプ10に交流矩形波電流が供給される。
スタータ回路U3におけるリアクトルLhの入力側と、コンデンサChの負極側端子との間には、コンデンサCptが接続されている。
【0026】
給電装置制御部U4は、高圧放電ランプ10に定格電力の70%以上の大きさの電力を供給する定常点灯モードと、高圧放電ランプ10に定常点灯モードにおける電力より低い電力を定電力制御により供給する小電力点灯モードとを切り替えて高圧放電ランプ10を点灯する機能を有し、小電力点灯モードにおいて、高圧放電ランプ10に対して、例えば100Hz〜5kHzの範囲から選択された所定の周波数を有するベース電流を連続して供給すると共にこのベース電流に所定の大きさの電流を重畳したブースト電流を周期的に供給するものである。ここで、小電力点灯モードにおいて供給される電力の値は、定常点灯モードにおける電力の値より低いものであれば特に制限されないが、通常、定格電力の40〜70%の範囲内で選択される。
【0027】
この給電装置制御部U4は、例えばプロセッサ(CPU)により構成されたいわゆるコントローラであって、電流・電圧検出部51と、電力変化量演算部52と、調整輝度演算部53と、点灯電力制御部55と、点灯モード設定部56とを具えている。
【0028】
点灯モード設定部56は、プロジェクタ制御装置30から入力される点灯モード設定信号Msから高圧放電ランプ10の点灯モードを判別し、その結果を点灯電力制御部55に送出する機能を有する。
【0029】
点灯電力制御部55は、高圧放電ランプ10の点灯状態を制御するものであって、降圧チョッパ回路U1におけるスイッチング素子Qxを、プロジェクタ制御装置30からの電流供給指令信号Isに応じて、設定されたデューティで駆動させるゲート信号Gxを出力することにより、高圧放電ランプ10に対して供給する電力の大きさ、および、後述するブースト点灯を行う際のブースト率、すなわち小電力点灯モードにおける電流供給指令信号Isの、ブースト電流値Ibのベース電流値Iaに対する比(Ib/Ia)を制御する機能を有する。
さらにまた、点灯電力制御部55は、点灯モード設定部56による点灯モードの判別結果に基づいて、フルブリッジ回路U2を構成するスイッチング素子Q1〜Q4を駆動するための、高圧放電ランプ10の点灯モードに対応した周波数の駆動信号Dsをドライバ回路45に出力する機能を有する。そして、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング周期を調整することにより交流駆動周波数の調整を行うことができる。
【0030】
電流・電圧検出部51は、検出される電流検出用の抵抗Rxの両端電圧および電圧検出用の直列回路Vxの両端電圧に基づいて、実際に高圧放電ランプ10に流れているランプ電流およびランプ点灯電圧を算出し、算出されたランプ電流の値およびランプ点灯電圧の値よりランプ点灯電力を算出する機能を有する。
【0031】
電力変化量演算部52は、後述するように、小電力点灯モードにおいて、ベース電流の供給によってベース点灯される高圧放電ランプ10の動作電力(ランプ点灯電力)の値と、ブースト電流の供給によってブースト点灯される高圧放電ランプ10の動作電力(ランプ点灯電力)の値との電力差を算出する機能を有する。
【0032】
調整輝度演算部53は、プロジェクタ制御装置30からの映像信号の輝度を調整するための、電力変化量演算部52によって算出された電力差に応じた輝度調整信号Lsを画像信号制御装置31に発信する機能を有する。
【0033】
以下、上記の給電装置40の動作について説明する。
先ず、プロジェクタ制御装置30からの点灯モード設定信号Msが点灯モード設定部56に入力されると、この点灯モード設定部56によって、高圧放電ランプ10をいずれの点灯モードで点灯すべきか判別する判別処理が行われて点灯モード判別信号が点灯電力制御部55に出力される。また、点灯電力制御部55においては、点灯モード設定信号Msに対応する電流供給指令信号Isがプロジェクタ制御装置30から入力され、降圧チョッパ回路U1におけるスイッチング素子Qxを制御されたデューティで動作させると共に、フルブリッジ回路U2におけるドライバ回路45に点灯モードに対応した駆動信号Dsを出力してスイッチング素子Q1〜Q4を駆動させる。これにより、直流電源より供給される直流電圧は降圧チョッパ回路U1によって所定の大きさに降圧され、当該直流電圧がフルブリッジ回路U2によって交流電圧に変換され、その後、スタータ回路U3によって、高圧放電ランプ10に交流矩形波電流が供給されて高圧放電ランプ10が点灯される。
【0034】
そして、高圧放電ランプ10が点灯されると、電流・電圧検出部51によって、実際に高圧放電ランプ10に流れているランプ電流の値およびランプ点灯電圧の値が算出され、これらの値よりランプ点灯電力が算出され、その結果が点灯電力制御部55に出力される。そして、点灯電力制御部55によって、算出されたランプ点灯電力の値が入力された電流供給指令信号Isに基づく電力値と合致するよう制御されたデューティで、降圧チョッパ回路U1のスイッチング素子Qxの動作が調整される。例えば、スイッチング素子Qxをゲート信号Gxのデューティに応じてオン/オフすることにより高圧放電ランプ10に供給される電力を変化させることができるので、ランプ点灯電力をアップさせるときにはスイッチング素子Qxのデューティを上げ、ランプ点灯電力をダウンさせるときにはスイッチング素子Qxのデューティを下げるようゲート信号Gxの制御が行われる。また、小電力点灯モードにおいてブースト点灯を行う時には、ベース電流が供給されるベース点灯時よりスイッチング素子Qxのデューティを上げるようゲート信号Gxの制御が行われ、これにより、ブースト電流が供給される。
【0035】
具体的には、入力された電流供給指令信号Isが定格電力の70%以上の大きさの電力が高圧放電ランプ10に供給される定常点灯モードに係るものであると点灯モード設定部56によって判別された場合には、点灯電力制御部55によって、スイッチング素子Qxが定常点灯モードに対応した予め決められたデューティで動作されると共に、駆動信号Dsがフルブリッジ回路U2におけるドライバ回路45に出力されてドライバ回路45が駆動されることにより、フルブリッジ回路U2においては、ドライバ回路45からのドライブ信号(ゲート信号G1〜G4)に応じた極性反転動作が行われ、例えば100Hz〜5kHzの範囲から選択された所定の周波数を有する設定された一定の大きさの電流が高圧放電ランプ10に供給され、高圧放電ランプ10が点灯される。
【0036】
一方、入力された電流供給指令信号Isが定格電力の70%未満(実用上は40〜70%)の大きさの電力が高圧放電ランプ10に供給される小電力点灯モードに係るものであると点灯モード設定部56によって判別された場合には、点灯電力制御部55によって、スイッチング素子Qxが、小電力点灯モードに対応する予め決められた、定常点灯モードより小さいデューティで、動作されると共に、駆動信号Dsがフルブリッジ回路U2におけるドライバ回路45に出力されてドライバ回路45が駆動されることにより、高圧放電ランプ10に対して、例えば100Hz〜5kHzの範囲から選択された所定の周波数を有する設定された一定の大きさのベース電流が連続的に供給されると共にこのベース電流に所定の大きさの電流が重畳されたブースト電流が周期的に供給されて、高圧放電ランプ10が点灯される。小電力点灯モードにおける電流供給指令信号を示す波形の一例を図4(a)に示す。
【0037】
以上において、高圧放電ランプ10の点灯条件についての具体的な例を挙げると、高圧放電ランプ10の定格電力が230W(ランプ入力電流3A)、点灯周波数が170Hzであるとすると、小電力点灯モードにおけるベース点灯時のランプ点灯電力が115W(定格電力の50%、ベース電流2.3A)、ブースト点灯時のランプ点灯電力が118W(定格電力の51%、ブースト電流3A(ブースト率130%))である。
【0038】
上述したように、小電力点灯モードによって高圧放電ランプ10を点灯させたときには、放電空間の蒸気温度および電極温度が低下しているため、放電空間内の水銀が不飽和状態、すなわち水銀の一部が凝集しており、水銀を蒸発させるのに時間を要するため、高圧放電ランプをブースト点灯させるに際しての電流供給指令信号の急峻な変化に対して、実際のランプ点灯電力の変化を追従させることができない状態となっている。このため、例えば図4(a)に示すように、高圧放電ランプ10に対して予め設定された一定の周期のブースト点灯期間で、ベース電流baIに予め設定された一定の大きさの電流ΔIを重畳したブースト電流buIが供給されるよう電流供給指令信号が発信された場合であっても、図4(b)に示すように、実際に高圧放電ランプに流れるランプ電流ILは、ブースト点灯期間毎に変動してしまう。例えばブースト電流buIがベース電流baIの140%程度(重畳される電流の大きさΔIがベース電流baIの40%程度)の大きさであるブースト電流が供給されるよう電流供給指令信号が発信された場合において、高圧放電ランプに流れるランプ電流は、ベース電流baIに対して例えば130%程度の大きさであったり、ベース電流baIに対して例えば120%程度の大きさであったりすることがある。従って、図4(c)に示すように、ランプ点灯電力WLは、ブースト点灯期間毎に変動して高圧放電ランプから出射される光の輝度がブースト点灯期間毎に変動して一定しないこととなる。なお、図4(d)は、ブースト点灯に伴う電流変化によるランプ点灯電力の変化量、具体的には、ベース電流の供給によって点灯される高圧放電ランプのランプ点灯電力の値と、ブースト電流の供給によって点灯される高圧放電ランプのランプ点灯電力の値との電力差ΔWLの波形を示す図である。
【0039】
而して、この実施の形態に係る給電装置40においては、給電装置制御部U4が、ブースト電流の供給によってブースト点灯される高圧放電ランプ10のランプ点灯電力の値に応じた、プロジェクタ制御装置30からの映像信号Vsの輝度を調整するための輝度調整信号Lsを映像信号制御装置31に出力する機能を有しており、以下のようにして、プロジェクタ装置における液晶パネル25の透過率が調整される。
【0040】
図5に示すように、先ず、プロジェクタ制御装置30から点灯モード設定部56に入力される点灯モード設定信号Msが小電力点灯モードに係るものであるか否かの判定処理が行われ(S1)、点灯モード設定信号Msが小電力点灯モードに係るものであると判断された場合には、例えば図4(a)に示すように、所定の周波数を有する設定された一定の大きさのベース電流baIが連続的に供給されると共にこのベース電流baIに設定された一定の大きさの電流ΔIが重畳されたブースト電流が高圧放電ランプ10に供給されるよう電流供給指令信号Isが点灯電力制御部55に入力され、点灯電力制御部55によって、降圧チョッパ回路U1におけるスイッチング素子Qxのデューティが電流供給指令信号Isに基づいて制御されることにより、小電力点灯モードに応じた電力で高圧放電ランプ10が点灯される。この小電力点灯モードにおいては、ベース電流baIに一定の大きさの電流ΔIを重畳したブースト電流buIを供給することにより電力を増大させて高圧放電ランプ10を点灯させるブースト点灯を半サイクルだけ行う「半サイクルブースト」が行われる(S2)。
【0041】
ランプ点灯時においては、電流・電圧検出部51によって、実際に高圧放電ランプ10に流れるランプ電流ILが算出されると共にランプ点灯電圧が算出され、当該ランプ電流ILの値およびランプ点灯電圧の値よりランプ点灯電力(動作電力)が算出される(S3)。
そして、算出されたブースト点灯時のランプ点灯電力の値と、ベース点灯時のランプ点灯電力の値との電力差(電流変化に伴う電力変化量)が電力変化量演算部52によって算出される(S4)。
【0042】
次いで、調整輝度演算部53によって、電力変化量演算部52によって算出された電力差に応じて設定された、プロジェクタ制御装置30からの映像信号の輝度を調整するための輝度調整信号Lsが出力され(S5)、映像信号制御装置31によって、プロジェクタ制御装置30からの映像信号Vsの輝度を給電装置40における調整輝度演算部53からの輝度調整信号Lsに基づいて調整した液晶透過率制御信号Tsが出力される(S6)。そして、液晶パネル駆動装置32によって、映像信号制御装置31からの液晶透過率制御信号Tsに対応する液晶パネル駆動信号Psが出力され、液晶パネル25が調整された透過率で駆動される(S7)。
ここに、輝度調整信号Lsは、ブースト電流の供給によってブースト点灯される高圧放電ランプ10のランプ点灯電力の値と、ベース電流の供給によってベース点灯される高圧放電ランプ10のランプ点灯電力の値との電力差に応じて、設定されたものであり、具体的には、図4(e)に示すように、ベース点灯時のランプ点灯電力の値とブースト点灯時のランプ点灯電力の値との電力差ΔWLが大きくなるに従って、液晶パネル25の透過率が低くなるよう、設定される。
【0043】
その後、このような輝度調整動作を継続して行うか否かの判定処理が点灯モード設定部56によって行われ、点灯モードを定常点灯モードに切り替えることに係る点灯モード設定信号Msの入力がない場合には、上記の輝度調整動作が継続して行われ、点灯モードを定常点灯モードに切り替えることに係る点灯モード設定信号Msの入力がある場合には、上記の輝度調整動作が終了される。
【0044】
なお、定常点灯モード、例えば定格電力が供給される定格電力点灯モードにおいては、例えば100Hz〜5kHzの範囲から選択された所定の周波数を有する設定された一定の大きさの電流が高圧放電ランプ10に供給され、給電装置40による上記輝度調整動作が行われることなしに、プロジェクタ制御装置30からの映像信号Vsの輝度に対応する液晶透過率制御信号Tsが出力されて液晶パネル25が駆動される。
【0045】
而して、上記構成の給電装置40によれば、小電力点灯モードにおけるブースト点灯時に、ベース電流の供給によりベース点灯される高圧放電ランプ10のランプ点灯電力の値と、ブースト電流の供給によりブースト点灯される高圧放電ランプ10のランプ点灯電力の値との電力差に応じた輝度調整信号Lsがブースト点灯期間毎に給電装置制御部U4より出力されることにより、液晶パネル25の透過率がブースト点灯時における実際の点灯状態に即した調整量で制御されるので、フリッカの発生を抑制しながら、投射スクリーン28上に投射される投射画像に明るさの異なる領域が生じること(例えば横縞状ノイズなどによる輝度ムラの発生)を確実に防止または抑制することができる。
【0046】
また、暗い映像(画像)を投射する場合には、通常、ランプ入力電力が減じられる。しかしながら、小電力点灯モードにおいて、明るい映像を投射する場合と同じブースト率のままでブースト点灯を行うのであれば、電極温度の低下が起こり、フリッカが発生してしまうことになるため、このような場合には、ブースト率を高くすることが考えられるが、ベース点灯時に比べ、ブースト点灯時の投射画像の明るさが高くなって、輝度むら、フリッカとして認識されてしまうことになる。然るに、上記構成の給電装置40によれば、液晶パネル25の透過率がブースト点灯時における実際の点灯状態に即した調整量で制御されるので、所期の輝度調整を確実に行うことができる。
【0047】
以上においては、小電力点灯モードにおいて、高圧放電ランプ10に対して、所定の周波数を有する設定された一定の大きさのベース電流を連続的に供給すると共にこのベース電流に設定された一定の大きさの電流を重畳したブースト電流を一定の周期で供給することにより、高圧放電ランプ10を点灯させる例について説明したが、小電力点灯モードにおいて、ブースト電流の供給時期、ブースト電流の大きさ若しくはブースト電流の供給時間を高圧放電ランプの点灯電圧の測定値に応じて制御して供給することにより、高圧放電ランプ10を点灯させる構成とされていることがより好ましい。
【0048】
図6は、本発明に係る小電力点灯モードにおける高圧放電ランプの点灯波形および液晶パネルの透過率の波形の他の例を示す図であって、(a)は高圧放電ランプの平均点灯電力の波形、(b)は電流供給指令信号を示す波形、(c)はランプ点灯電力を示す波形、(d)はブースト点灯に伴う電流変化によるランプ点灯電力の変化量を示す波形、(e)は液晶パネルの透過率を示す波形である。
この例における小電力点灯モード(1)は、定格電力の50〜70%、例えば60%の大きさのランプ点灯電力で点灯される小電力点灯モードであって(図6(a))、例えば100Hz〜5kHzの範囲から選択された所定の周波数を有する設定された一定の大きさのベース電流が供給されると共に、ブースト電流が、電流・電圧検出部51によって検出される高圧放電ランプ10のランプ点灯電圧の測定値に応じて設定されたブースト条件、具体的には例えばブースト電流の大きさ(ベース電流に重畳される電流の大きさ)、ブースト電流を供給するタイミング、ブースト電流を供給する時間間隔(周期)で供給される(図6(b))。ここで、ブースト電流は、高圧放電ランプ10の点灯電圧の測定値が所定の基準値より低いことが検出されたときに供給され(ブースト電流が供給されるタイミング)、ブースト電流の大きさ(ブースト率)は、高圧放電ランプ10のランプ点灯電圧の測定値と所定の基準値との差が大きくなるに従って、大きくなるよう設定される。
【0049】
そして、ベース点灯時におけるランプ電流の測定値およびランプ点灯電圧の測定値より算出されるランプ点灯電力の値(図6(c))と、ブースト点灯時におけるランプ電流の測定値およびランプ点灯電圧の測定値より算出されるランプ点灯電力(図6(c))との電力差ΔWL(図6(d))に応じた輝度調整信号Lsがブースト点灯期間毎に出力され、プロジェクタ制御装置30からの映像信号Vsの輝度を調整した液晶透過率制御信号Tsに基づいて液晶パネル25が調整された透過率で駆動される(図6(e))。
【0050】
また、小電力点灯モード(2)は、定格電力の25〜50%、例えば40%の大きさのランプ入力電力で点灯される小電力点灯モードであって(図6(a))、小電力点灯モード(1)よりもブースト率を大きくしてブースト点灯が行われることの他は(図6(b))、小電力点灯モード(1)と同様の方法により、ベース点灯時におけるランプ電流の測定値およびランプ点灯電圧の測定値より算出されるランプ点灯電力(図6(c))と、ブースト点灯時におけるランプ電流の測定値およびランプ点灯電圧の測定値より算出されるランプ点灯電力(図6(d))との電力差ΔWL(図6(d))に応じた輝度調整信号Lsがブースト点灯期間毎に出力され、プロジェクタ制御装置30からの映像信号Vsの輝度を調整した液晶透過率制御信号Tsに基づいて液晶パネル25が調整された透過率で駆動される(図6(e))。
【0051】
而して、小電力点灯モード(1)および小電力点灯モード(2)において、高圧放電ランプ10の点灯電圧の測定値に応じて、重畳電力の供給時期、重畳電力の電力値若しくは重畳電力の供給時間を制御する機能を有する上記の給電装置40によれば、高圧放電ランプ10の電極14,15の周辺に存在する蒸発した電極物質の量が増加し、これにより、高圧放電ランプ10の電極14,15に対する蒸発した電極物質の堆積が促進されるので、高圧放電ランプ10の電極14,15の損耗およびフリッカの発生を一層確実に防止または抑制することができる。
そして、液晶パネル25の透過率がブースト点灯時における実際の点灯状態に即した調整量で制御されるので、ブースト点灯期間毎に入力される電流が異なる場合や、ブースト点灯期間のタイミングが周期的でない場合であっても、所期の輝度調整を確実に行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、上記の実施の形態においては、小電力点灯モードにおいて、「半サイクルブースト」を行う場合について説明したが、ブースト点灯を一サイクル乃至数サイクルにわたり行う「全サイクルブースト」を行ってもよい。
また、ベース電流の周波数とブースト電流の周波数とが互いに同一である必要はなく、互いに異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 放電ランプ
11 発光管
12 発光管部
13 封止部
14,15 電極
14a,15a 頭部
14b,15b 軸部
14c,15c コイル部
16 金属箔
18 外部リード
p 突起
20 ランプユニット
21 リフレクタ
23 光学素子
24 投射レンズ
25 液晶パネル
28 投射スクリーン
30 プロジェクタ制御装置
31 映像信号制御装置
32 液晶パネル駆動装置
40 給電装置
41 ランプ点灯回路
45 ドライバ回路
51 電流・電圧検出部
52 電力変化量演算部
53 調整輝度演算部
55 点灯電力制御部
56 点灯モード設定部
Qx スイッチング素子
U1 降圧チョッパ回路
U2 フルブリッジ型インバータ回路(フルブリッジ回路)
U3 スタータ回路
U4 給電装置制御部
Lh コイル
Lx リアクトル
Ch,Cx コンデンサ
Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子
Dx ダイオード
Vx,Rx 抵抗
S 放電空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶プロジェクタ装置の光源として用いられる高圧放電ランプに交流電流を供給する高圧放電ランプ用給電装置において、
前記高圧放電ランプに定格電力の70%以上の大きさの電力を供給する定常点灯モードと、前記高圧放電ランプに前記定常点灯モードにおける電力より低い電力を定電力制御により供給する小電力点灯モードとを切り替えて前記高圧放電ランプを点灯する機能を有する給電装置制御部を具えており、
当該給電装置制御部は、前記小電力点灯モードにおいては、前記高圧放電ランプに対して、所定のベース電流が連続して供給されると共にこのベース電流に所定の大きさの電流を重畳したブースト電流が周期的に供給されるよう電流供給指令信号を発信すると共に、当該ブースト電流の供給に対応して動作される前記高圧放電ランプの動作電力の大きさに応じた、液晶プロジェクタ装置における映像信号の輝度を調整するための輝度調整信号を発信する機能を有することを特徴とする高圧放電ランプ用給電装置。
【請求項2】
前記輝度調整信号は、前記ベース電流の供給によってベース点灯される前記高圧放電ランプの動作電力と、前記ブースト電流の供給によってブースト点灯される前記高圧放電ランプの動作電力との電力差に応じて設定されたものであることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ用給電装置。
【請求項3】
前記小電力点灯モードにおける電流供給指令信号は、ブースト電流の供給時期、ブースト電流の大きさ若しくはブースト電流の供給時間が前記高圧放電ランプの点灯電圧の測定値に応じて制御されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高圧放電ランプ用給電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238520(P2012−238520A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107854(P2011−107854)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】