説明

高圧装置

本発明は、膨張性反応混合物をある表面に、場合によっては同時に、および場合によっては均一に適用するための高圧装置、膨張性発泡体を製造するための方法、サンドイッチ複合要素を製造するための装置、ならびに膨張したサンドイッチ複合要素を製造するための方法に関する。詳しくは、その高圧装置は、混合ヘッド、混合ヘッドの下流に流体的に接続されている分配器ヘッド、分配器ヘッドに取り付けられている少なくとも3つの送出ライン、混合ヘッドへの成分Aの高圧供給ライン、混合ヘッドへの成分Bの高圧供給ライン、不活性ガスと、成分A、成分Bまたは成分AおよびBの混合物とを混ぜ合わせるための少なくとも1つのスタティックミキサ、高圧下にある不活性ガスのための少なくとも1つの高圧供給ライン、ならびに成分の所望の圧力を混合ヘッドで設定するための少なくとも1つの計測および制御ユニットを有して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性反応混合物をある表面に、場合によっては同時に、および場合によっては均一に適用するための高圧装置、発泡性反応混合物を製造するための方法、サンドイッチ複合要素を製造するための装置、ならびに発泡したサンドイッチ複合要素を製造するための方法に関する。
【0002】
本発明において、高圧供給ラインは、最終ポンプを混合ヘッドに接続する供給ラインの区域を意味するように受け取られるべきである。本発明において、最終ポンプは、高圧計量ポンプに指定される。許容圧供給ラインは、高圧計量ポンプの流れの上流に位置する供給ラインの区域を意味するように受け取られるべきである。
【0003】
本発明において、許容圧側は、高圧計量ポンプの流れの上流に位置する側を意味するように受け取られるべきであり、一方、高圧側は、高圧計量ポンプの流れの下流に位置する側を意味するように受け取られるべきである。
【0004】
本発明において、運転寿命は、適用システム(即ち分配器ヘッドおよびホース)を洗浄する必要なく、発泡性反応混合物が前記装置によって製造され得る期間を意味するように受け取られるべきである。
【背景技術】
【0005】
製造速度を15m/分よりも大きな、特に40m/分よりも大きな、更により好ましくは60m/分よりも大きな速度まで上昇させることができる、サンドイッチ複合要素を連続的に製造するための装置に関する要求が長いことあった。
【0006】
サンドイッチ複合要素を連続的に製造するために、混合ヘッドを往復させることが、先行技術から公知である。ここで混合ヘッドは、下側フェーシングの幅にわたって往復運動を行ない、混合ヘッドに直角かつ下側フェーシングと平行に配置されている、キャストレーキまたはトング/スプーンノズルを用いて、まだ液体の反応混合物を下側フェーシングに適用する。混合ヘッドは、下側フェーシングの上方で、ガイドレールまたは「構台」に取り付けられ、電気モータの助けを受けて、加速させられ、反転地点の前でブレーキをかけられる。発泡原料は、ホースラインを介して混合ヘッドに供給される。場合によっては、水圧ホースまたは空気圧ホースも混合ヘッドに通じる。発泡原料は、ノズルを介して混合ヘッドの中に導入され、混ぜ合わせられる。次に、反応混合物はキャストレーキに流れ込み、規則的に配置された穴から現れる。混合ヘッドの往復運動と共に、キャストレーキの長さおよびその穴は、反応混合物の均一な分配を確実にし、運搬方向に対して斜めに横たわっている。適用後、反応混合物は発泡し、上側フェーシングまで上昇する。発泡工程の間、それは、発泡体が固化または硬化する前に、2つのフェーシングに接着的に結合する。
【0007】
この製造方法は、製造速度の観点で製造技術に関して制限される。たとえ十分に強力なモータ、ガイドレール、ホース、混合ヘッドおよびキャストレーキまたはトング/スプーンノズルを用いたとしても、反応混合物は、反転地点にて広がる過剰な遠心力のせいで、フェーシングの縁部を超えて突出するであろう。先行技術によれば、この適用方法を用いて、サンドイッチ複合要素を連続的に製造する際、15m/分を上回る製造速度を達成することは不可能である。
【0008】
固定混合ヘッド技術および硬質送出システムを含む方法を用いることによって、60m/分まで製造速度を増大させることは、十分に周知である。この方法は、US技術として知られている。このUS技術(高速機械)は、別箇の供給および別箇の混合ヘッドを有する3つの同一な分配ラインならびに送出システムから実質的に成る。しかしながら、この技術は、ただ1つの分配器ヘッドを含むのではなく、不都合なことに、複数の分配器ヘッドを必要とする。更に、この方法は、個々の混合ヘッドからその都度現れる反応混合物が、圧力および温度の観点で異なる物理的条件下にもなり得るという不利益を有し、そのことは、例えば、反応動力学の局所変化のせいによる不均一な表面、縮小した気泡、異なる熱導電率値のような低下した品質特性によって、それぞれの得られた発泡体において明らかにされ得る。
【0009】
欧州特許第1857248A2は、それぞれの送出ラインが別個の混合ヘッドを有さないことによって、この問題を解決する。ただ1つの混合ヘッドを設ける代わりに、そこから複数の送出ラインが供給される。欧州特許第1857248A2に記載されたシステムは、PU発泡体を製造するために慣習的な、圧力で作動する装置を有して成り、そこにおいて6バールの圧力は越えず;そのような装置は、15m/分〜最大60m/分の製造速度を可能にする。
【0010】
国際公開WO03/064236A1は、幅広い範囲内で発泡体気泡数を制御する問題、および発泡体内の気泡のサイズ分布を確立する問題に対処し、かつ溶解した発泡剤ならびに泡核形成剤としての空気および/または窒素の存在下で、混合ユニット内でイソシアネート成分とポリオール成分とを混ぜ合わせることによって、ポリウレタン発泡体を製造するための方法を開示しており、その泡核形成剤は、良好な分散および低圧側での圧力上昇によって進行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術を背景に、本発明の目的は、製造速度を更に増大させることができる装置または方法を開発することであった。更なる目的は、先に規定した製品品質と共に、そのような装置/方法によって得られる発泡体の表面を向上(とりわけその均一性の観点で)させることでもあった。本発明の更なる目的は、上記適用システム(即ち分配ヘッドおよびホース)が、欧州特許第1857248A2から既知の方法よりも長い運転寿命を有することを確実にすることであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、第1の実施形態において、
−混合ヘッド、
−混合ヘッドの流れの下流に位置する分配器ヘッド、
−分配器ヘッドに適合し、分配器ヘッドの流れの下流に適合している、少なくとも3つの送出ライン、
−混合ヘッドへの成分Aのための高圧供給ライン、
−混合ヘッドへの成分Bのための高圧供給ライン、
−不活性ガスと、成分A、成分Bまたは成分AおよびBの混合物とを混ぜ合わせるための少なくとも1つのスタティックミキサ、
−高圧下の不活性ガスのための少なくとも1つの高圧供給ラインならびに
−混合ヘッドにて、成分の所望の圧力を確立するための少なくとも1つの計測および制御ユニット
を有して成る発泡性反応混合物を適用するための装置によって、達成される。
【0013】
この文脈において、分配器ヘッドが、混合ヘッドの下流に位置するように記載される場合、これは、これら2つのヘッドを通って流れる材料の流れの方向との関係においてであるように理解されるべきであり、従って材料は、まず混合ヘッドを通り、ちょうどその後、分配器ヘッドを通って流れる。
【0014】
ポリオールのストリームへのガスを計量するために、下記の方法が先行技術から既知である:ポンプ(例えばスクリューポンプまたはギアポンプ)を用いることによって、貯蔵タンク内で許容圧を発生させ、この圧力は、一般的に3バールと8バール(最大10バール)との間である。ガス充填を、許容圧側で実施することが可能である。この目的を達成するために、ガス充填ユニットが許容圧側に取り付けられ、それは、高速運転中空撹拌機を用いることによって規定された方法で、ガスをポリオールの中に混ぜる。通常の製造において、ガス濃度は、1NL/分(標準リットル/分;標準リットルは、1.01325バールの圧力P、0%の大気湿度(乾燥ガス)および237.15Kの温度Tにおいけるガスによって占められる体積)と同じくらいであり、計量ポンプの精度に影響を及ぼさない。欠点は、より高いガス濃度において、計量ポンプ内でキャビテーションが起こり得ることである。これは、計量ポンプが不正確に計量すること、および摩耗が殊更よりひどくなることをもたらす。ガス充填を、加圧ポンプを用いて、許容圧側で行なうことも可能である。これは、許容圧を最大30バールまで増大させる加圧ポンプを、ガス充填ユニットと計量ポンプとの間に設置することによって、キャビテーションを防ぐ。これらの装置において、ガス充填地点から混合ヘッドまでの総体積は、一般的に20〜30dmである。ガス充填なしまたは低圧力側でのガス充填を伴う、そのような先行技術の装置における運転寿命は、発泡性反応混合物を製造する場合、1時間未満である。
【0015】
本発明に基づく装置において、ガスは、高圧側で(例えばスタティックミキサ内で)計量される。これは、発泡の初期において、ガスが、許容圧側でのガス充填を伴う先行技術から既知の先に記載した方法と比べ、より早く(一般的には約10倍早く)適用システム内に(即ち、現れる発泡反応混合物およびホース内に)存在するという利点を有する。本発明に基づく装置のスタティックミキサから混合ヘッドまでの総体積は、2.0dm未満であることが好ましい。これは、発泡工程の間、ホースが詰まらないという驚くべき利点を有する。高圧側が、150〜250バールの圧力で運転されること、ならびにガスが、スタティックミキサの上流で、高圧側の圧力よりも少なくとも5バール高い圧力まで(例えばコンプレッサを用いることによって)圧縮されることが、特に有利である。
【0016】
ガスが高圧側で導入される本発明に基づく装置を用いることによって、有利なことに、適用システム(分配器ヘッドおよびホース)は、発泡性混合物を製造する場合、洗浄の必要なく、少なくとも8時間の運転寿命を有する。既に先に説明したように、ガス充填を伴わない、あるいは低圧力側でのガス充填を伴い、他は同一条件下で発泡性反応物を製造する際の対応する先行技術装置における運転寿命は、たった1時間未満である。本発明に基づく装置および方法の更なる利点は、ガス充填が適用地点のすぐ近くで達成されるため、その方法の初期に、材料が廃棄される必要が全くないことである。
【0017】
不活性ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、ならびにアルゴンおよびヘリウムのような希ガスの群から選択されることが有利である。化学的に不活性なガスとして、空気が用いられることが好ましい。
【0018】
ここにおいて、スタティックミキサの目的は、特定の成分または混合物と、高圧化の不活性ガスとの徹底的な混合を提供することである。不活性ガスの導入後、混合/分配器ヘッドまでのそれらの経路にある成分、または分配器ヘッドまでのその経路にある成分の混合物(なぜなら、ここで不活性ガスは、混合ヘッド内、または混合ヘッドと分配器ヘッドとの間のいずれかに導入されるため)は、高い圧力を示し、それは、発泡性反応混合物の放出速度の上昇をもたらし、そこで、製造速度の上昇を可能にする。加えて、放出速度の増大は、製造されるべき発泡体に、より均一な表面をもたらす。上記の製品品質は、更に向上している。
【0019】
本発明に基づく高圧装置の送出ラインは、硬質フレームに、発泡性反応混合物の送出方向の横方向に取り付けられることが有利である。そのような取り付けは、簡単であり、固定は種々のタイプのパネルに対して同様に再現可能である。ここで、混合/分配器ヘッド内の圧力は、既知の先行技術装置によって達成される圧力に対応しない。
【0020】
本発明に基づく高圧装置において、少なくとも1つのスタティックミキサ、特に成分Aのための第1スタティックミキサおよび成分Bのための第2スタティックミキサは、混合ヘッドの上流に配置されることが有利である。
【0021】
そのような配置は、混合ヘッドへの流入口で、成分AおよびBの双方は高圧下にあり、そこで、2つの成分のより徹底した混合をもたらし、それゆえ、発泡体のより均質な形成をもたらすことを確実にする。
【0022】
発明に基づく高圧装置において、スタティックミキサは、混合ヘッドの下流に配置されることが有利である。
【0023】
従って、このプロセスの変化形において、それは、2つの成分AおよびBの混合物のみであり、例えば、高圧下で配置されている2つの成分は、既に単独ではない。この工程の変化形は、スタティックミキサ、計測および制御ユニットのような対応する構成要素は1つしか必要とされないため、コストを低減させる。
【0024】
本発明に基づく高圧装置において、不活性ガス供給ラインは、スタティックミキサに入る成分A、成分Bならびに/または成分AおよびBの混合物のストリームの中へと、スタティックミキサの領域内で開口することが有利である。
【0025】
これは、ある程度の予混合をもたらし、そしてその後直ちに、スタティックミキサによって完全にされる。不活性ガス入口地点が、スタティックミキサから(空間的に)あまりにも遠くに位置する場合、成分/混合物と不活性ガスとが、スタティックミキサへのそれらの経路で分離する恐れがあり、これを十分に補償することはできないであろう。
【0026】
本発明に基づく高圧装置において、少なくとも1つのスタティックミキサおよび少なくとも1つの計測/制御手段は、フレームに取り付けられることが有利である。
【0027】
本発明に基づく装置は、このアレンジメントのおかげで非常にコンパクトに構成されることができる。
【0028】
本発明に基づく高圧装置は、不活性ガスを圧縮するための高圧コンプレッサを有して成ることが有利である。
【0029】
結果として、例えば、予圧縮させた不活性ガスを収容するいずれかの金属ガスボンベを用いる必要はなく、それは明らかなコスト削減をもたらす。
【0030】
本発明に基づく高圧装置は、成分Aおよび/または成分Bの温度を調節するために、少なくとも1つの熱交換器、特に高圧熱交換器を有して成ることが有利である。加圧だけだと、成分/混合物を強力に加熱し過ぎてしまうであろう。
【0031】
本発明に基づく高圧装置は、分配器ヘッドに適合する同一断面を有し、同一の長さであり、かつ同一の材料から成る、少なくとも4つの送出ラインを有して成ることが有利である。
【0032】
本発明に基づく高圧装置は、送出ラインがパネル形状に従って配置され、かつ現れる反応混合物が下側フェーシングの幅全体にわたって、均一に分配される場合、有利である。
【0033】
第2の実施形態において、本発明の目的は、本発明に基づく高圧装置を用いることにより発泡性反応混合物を製造するための方法によって達成される。
【0034】
成分Bとして、イソシアネート成分を用いることが好ましい。成分Aとして、ポリオール成分を用いることが好ましい。この文脈において、「イソシアネート成分」および「ポリオール成分」なる用語にはそれぞれ、種々のイソシアネートおよび種々のポリオールの混合物も含まれる。
【0035】
不活性ガスが、成分A、成分Bならびに/または成分AおよびBの混合物の中への導入前に、150バールよりも大きい圧力まで圧縮されるように、前記方法を実施することが好ましい。ここで、ガスは、それが導入される成分よりも常に高い圧力である必要がある。不活性ガスと成分との間での10バールの圧力差は、いずれの場合においても十分である。
【0036】
本発明に基づく方法において、送出ラインは、流出する発泡性混合物によって濡らされない領域が、覆われるべき領域とサイズが同一となるように、フレームに取り付けられることが好ましい。
【0037】
本発明に基づく方法において、送出ラインは、流出する発泡性反応混合物が、覆われるべき領域の幅全体にわたって均一に分配されないように、フレームに取り付けられることが好ましい。
【0038】
本発明に基づく方法において、送出ラインは、流出する発泡性反応混合物が、反応ベルトの運搬方向に下側フェーシングの上へ放出されるように、フレームに取り付けられることが好ましい。
【0039】
本発明に基づく方法において、送出ラインは、流出する発泡性反応混合物が反応ベルトの運搬方向と逆に下側フェーシングに放出されるように、フレームに取り付けられることが好ましい。
【0040】
第3の実施形態において、本発明の目的は、サンドイッチ複合要素を製造するための装置によって達成され、その装置は、いずれの場合においても、上側フェーシングおよび下側フェーシングのための少なくとも2つの供給装置、上側フェーシングを誘導するための回転上側ベルト、ならびに下側フェーシングを誘導するための回転下側ベルトを有して成り、そこに、本発明に基づく高圧装置、成形セクションおよび切断装置が連続して配置される。
【0041】
第4の実施形態において、本発明の目的は、発泡したサンドイッチ複合要素を製造するための方法によって達成され、本発明に基づく装置が、サンドイッチ複合要素を製造するために用いられる。
【0042】
本発明に基づく高圧装置において、種々の製品厚さを生み出すための種々の反応プロファイルが可能であるように、混合ヘッドは、下側フェーシングの上方の硬質フレームに同様に取り付けられる。分配器ヘッドは、個々の発泡成分が一緒に混ぜ合わせられる混合ヘッドに取り付けられる。この分配器ヘッドは、例えば少なくとも3つ、多くて8つの送出ラインを有し、その長さ、断面および材料は、全て同一であることが好ましい。これは、下側フェーシングと接触しているまだ液体の反応混合物の発泡挙動が、それぞれの接触地点で同じ程度まで進行し、そこで、得られた製品の特に均一な発泡をもたらすという利点を有する。この利点は、送出ラインの同一の長さ、断面および材料によってだけでなく、適用されるべき混合物全体が全く同一の混合ヘッドから出るという事実によっても促される。送出ラインとして、発泡されるべき反応混合物と反応せず、かつ反応混合物が通常強く接着しない、当業者に既知のいずれかの材料を用いてよい。送出ラインの材料は、鋼鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリウレタン(PU)を含んで成る群から選択されることが好ましい。ゴムは、供給ラインを形成するように加工できる、当業者に既知のいずれかの可撓性ゴムを意味するように受け取られるべきであり、ニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)であることが好ましい。PE、PP、PETおよびPVCを含んで成る群から選択される可撓性材料が、特に好ましい。送出ラインがパネル形状に適合し、かつ下側フェーシングの幅にわたる均一な適用が確実になるように、送出ラインは、上側フェーシングにわたってコンベヤベルトの運搬方向に対して横方向に配置された硬質フレームに配置され、固定される。反応混合物が下側フェーシングに適用され、かつ下側フェーシング上の個々の適用区域間の濡れていない領域が同一サイズとなるように、送出ラインは、下側フェーシングにわたって有利に配置される。複合要素の均一なその場での発泡を確実とするように、隙間は、その場での発泡の間に埋められる。送出ラインは、微調節の目的で、コンベヤベルトの運搬方向に対して横方向に硬質フレーム上で移動可能である。硬質フレームも同様に、高さが移動可能である。更に、反応混合物が、コンベヤベルトの運搬方向またはそれと逆のいずれかに下側フェーシングと接触するように、送出ラインはフレームに適合される。反応混合物が、下側フェーシングとコンベヤベルトの運搬方向に接触するか、あるいはそれと逆に接触するかは、送出ラインからの放出速度、コンベヤベルトの運搬速度、および場合によっては反応混合物の粘度に依存する。1.2〜2m/分の放出速度および20〜60m/分の運搬速度では、反応混合物の適用は、運搬方向と逆に進行することが有利である。1.2〜2m/分の放出速度および最大20m/分の運搬速度では、コンベヤベルトの運搬方向への適用が有利である。
【0043】
相対する適用は、小さな放出量および製造速度の上昇を伴い好ましい。相対する適用場合、混合物のフェーシングに対する相対速度はより大きくなり、個々のストランドの若干より幅広い適用をもたらす。
【0044】
1つの特定の実施形態において、送出ラインと共に混合ヘッドおよび分配器ヘッドの双方は、コンベヤベルトの運搬方向に対して横方向に減少する厚さを有する製品、または絶えず厚さの比率が変化する製品を製造することも可能であるように配置され、固定されてよく、下側フェーシング上の個々の適用区域間の濡れていない領域は、直線的に減少する大きさまたは常に異なる大きさであってよい。これらの隙間は、その場での発泡の間に埋められ、そこで、望ましくは製品高さの点で不規則な、その場での発泡を可能にする。
【0045】
キャストレーキまたはトング/スプーンノズルを往復させる場合、構台は絶対に必要であるが、この種類のアレンジメントのおかげで、構台なしで済ますことが可能である。更に、このアレンジメントの場合、製造速度は、コンベヤベルトの速度または発泡機の放出能力に依存するだけである。60m/分よりも大きな速度が、このアレンジメントによって達成され得る。複数の混合ヘッドを用いる必要がある方法と比較して、本発明に基づくこの装置の更なる利点は、1つの混合ヘッドしか用いないため、異なる処理圧力、温度または同様のものによる製造信頼性および製品品質の点で関連する悪化によって、変動は起こり得ない。
【0046】
本発明に基づく装置のための混合ヘッドとして、先行技術で既知のいずれかの混合ヘッドを用いてよい。しかしながら、そのようなヘッドは、ポリウレタンサンドイッチ複合要素を製造するために、特にポリオール成分およびイソシアネート成分を発泡させるのに適する必要がある。送出ラインの起こり得る詰まりを防ぐために、化学的に不活性なガスを、混合ヘッド内で反応混合物の中に混ぜて、あるいは予め反応混合物の一方または双方の中に混ぜてよい。化学的に不活性なガスは、窒素、空気、二酸化炭素、ならびにアルゴンおよびヘリウムのような希ガスの群から選択される。ガスの代わりに、他の構成成分を反応成分と混ぜ合わせてもよい。これらの物質は、例えば、グラファイト、ポリウレタン粉末、メラミン、ケイ砂、Al、タルク、および例えばフィロケイ酸塩、ナノチューブ、ナノサンドのようなナノ複合材料の群から選択され、かつ特に混合ヘッド内で反応成分に添加される。
【0047】
分配器ヘッドの材料は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウムおよびプラスチックから選択されてよい。選択された材料は、いずれの場合も、最大320バールおよび20〜40℃の範囲で、混合ヘッド内に広がる圧力および温度に耐える必要がある。
【0048】
分配器ヘッドの形状は、分配器流入口から、送出ラインへのそれぞれの送出口までの通路が同一の長さであるように選択されることが好ましい。分配器ヘッド送出口の断面は、全ての分配器ヘッド送出口に対して同一であることが更に有利である。他方、分配器ヘッド流入口の断面は、それぞれの分配器ヘッド送出口よりも大きくてもよい。
【0049】
本発明に基づく適用装置は、サンドイッチ複合要素を製造するために用いられる更なる装置の一部であってよい。ポリウレタンサンドイッチ要素(パネル)は、一般的に連続工程で製造される。ここで、パネルは、一般的に約20〜240mmの厚さで、「対の」コンベヤベルト上で連続的に製造される。しかしながら、20mmより小さいおよび240mmよりも大きな厚さも同様に可能である。ここで、そのような対のコンベヤベルトは、従来、上側フェーシングを誘導するための回転上側ベルト、下側フェーシングを誘導するための回転下側ベルト、上側フェーシングのための供給手段、下側フェーシングのための供給手段、ポリウレタン反応混合物が上側フェーシングと下側フェーシングとの間で発泡し、完了まで反応する成形セクション、製造されたパネルのための切断手段、およびポリウレタン反応混合物を下側フェーシングに適用するための混合ヘッドを有する計量ステーションからなる。
【0050】
サンドイッチ複合要素のための連続的な製造工程のための個々の要素のアレンジメントは、ドイツ国特許第1247612A1およびドイツ国特許第1609668A1に記載されるように、先行技術から既知である。
【0051】
本発明において、サンドイッチ複合要素は、少なくとも2つのフェーシングおよびそれらの間に位置するコア層から構成された複合要素を意味するように理解される。
【0052】
コア層として、当業者に既知のいずれかの材料を用いてよい。鉱物繊維の繊維板、または例えばポリウレタンのような硬質発泡体もしくは硬質なポリイソシアヌレート(PIR)発泡体、ポリスチレン発泡体、フェノール樹脂発泡体の板が好ましい。
【0053】
特に、サンドイッチ複合要素は、硬質なまたは可撓性を有する材料の少なくとも2つのフェーシング、および例えば硬質PU発泡体のような発泡体のコア層からなる。ここで、硬質PU発泡体は、ポリウレタン、ポリ尿素およびポリイソシアヌレート化合物に基づくそれらの硬質発泡体を意味するように受け取られるべきである。
【0054】
コア層として、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートに基づく硬質発泡体を選択することが好ましい。ポリウレタン基および/またはポリイソシアヌレート基を含んで成る硬質発泡体は、出発成分として、NCOを含有するOH−化合物−反応性化合物を有する、当業者に既知のいずれかの化合物を用いることによって製造されてよく、それは例えば、a)脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族および複素環のポリイソシアヌレート、好ましくはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、尿素基またはビウレット基を含んで成るポリイソシアネート、特に好ましくはポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートに基づくもの、ならびにb)400〜10,000g/モルの範囲の分子量を有し、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素原子を有する化合物で、例えばアミノ基、チオール基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含んで成る化合物のようなものである。ポリマーMDIと、脂肪族または芳香族のポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとの反応から生成される、適当なNCOプレポリマーを用いることが更に可能であり、それは、例えば、60〜4000の数平均分子量を有する1〜4つのヒドロキシル基を有して成る、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールである。
【0055】
発泡体は、触媒、発泡剤、架橋剤、難燃剤、泡安定剤、流動促進剤、抑制剤、および場合によって熱伝導性および難燃性を向上させるための固体添加剤のような、当業者に既知の常套の補助物質および添加剤を用いて製造される。
【0056】
フェーシングのための材料として、当業者に既知のいずれかの材料を用いてよい。好ましい材料は、(亜鉛めっきしたおよび/または被覆した)鋼鉄、(被覆したおよび/または陽極酸化させた)アルミニウム、銅、ステンレス鋼のような金属、あるいは例えば、ポリ塩化ビニル系もしくはポリエステル系のような強化、非強化および/もしくは充填プラスチック、またはガラス繊維、含浸板紙、紙、木材、ビチューメンガラス不織布および鉱物ガラス不織布のような非金属である。
【0057】
例えば、フェーシングを被覆材料で被覆してよい。
【0058】
得られたパネルのそれぞれの側での、上記材料からのフェーシングの組み合わせも、フェーシングとして適する。
【0059】
(硬質なまたは可撓性を有する)種々のフェーシングおよび硬質ポリウレタン発泡体のコア層に基づくそのような複合要素は、先行技術から当業者に十分に周知であり、金属複合要素または絶縁パネルとしても知られている。更なる層が、コア層とフェーシングとの間に提供されてよい。
【0060】
硬質なフェーシングを有するそのような複合要素の使用の例は、工業用建物および冷蔵倉庫建造物のための平面的または直線的な壁要素および形作られた屋根要素である。複合要素は、トラック車体、大きなビルのドアおよび門として、ならびにコンテナ建造物内で用いられてもよい。可撓性フェーシングを有する絶縁パネルおよび複合要素は、屋根、外壁における絶縁材料として、および床板として用いられる。
【0061】
連続的または非連続的な工程を用いるこれら複合要素の製造は、先行技術から十分に周知である。この目的のために、まだ液体の反応混合物は、本発明に基づく高圧装置を用いることによって下側フェーシングに適用される。下側フェーシングで今ゆっくりと発泡する反応混合物は、下側ベルトによって、上側ベルトおよび下側ベルトによって規定される成形セクションの中に運搬される。発泡反応混合物が上側フェーシングに到達し、そこで、二つのフェーシングを接着的に一緒に結合する。発泡体は、上側ベルトおよび下側ベルトが製造されるべき製品の厚さを予め決定する成形セクション内で固まり、成形セクションを通過した後、得られたパネルを切断するための切断装置によって、所望の長さに切断される。
【0062】
本発明は、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、下側フェーシング13上に、まだ液体の反応混合物14を適用する間の、本発明に基づく適用装置を図示する。適用装置は、下側フェーシング13の上方に配置される混合ヘッド11を有して成る。製品ノズル7は、ポリオールのための製品ライン8およびイソシアネートのための製品ライン9を通って供給される成分を、混合ヘッド11の中に導入するように働く。混合ヘッド11に続いて、分配器ヘッド12があり、そこに同一材料かつ同一直径で作られた、6つの等しい長さの送出ライン17が取り付けられている。フェーシング13への均一な適用が、コンベヤベルトの運搬方向に進行し得るように、送出ライン17は、運搬方向を横切って延在するフレーム16の下方で、下側フェーシング13の幅全体にわたって取り付けられる。フレーム16は、下側フェーシング13の上方で強固に配置される。フレーム16上での送出ライン17の位置決めは、微調整のために、運搬方向の横方向に変化してよい(図示せず)。不活性ガス(例えば空気)は、コンプレッサ1によって例えば180バールの圧力まで圧縮される。次に、減圧レギュレータ2を用いることによって、例えば150バールよりも低い圧力まで調節を進めてよい。図示した実施形態において、計測/制御手段4、オン/オフバルブ3、逆止め弁5およびスタティックミキサ6は、第2フレーム部品10(構台とも呼ばれる)に取り付けられる。図1に図示した実施形態は、フレーム16上の送出ライン17のパネル形状に適合させたアレンジメントを提供し、フェーシング13の幅全体にわたる均一な発泡を確実にするために、被覆領域の間にある、下側フェーシング13の被覆されていない領域15のサイズが同一となるように、そのアレンジメントは、まだ液体の反応混合物14が下側フェーシング13と接触することを確実にする。このように、隙間15は、液体反応混合物14のその後の発泡の間に、均一に塞がれる。更なる実施形態において、送出ライン17は、反応混合物がコンベヤベルトの運搬方向とは逆に、下側フェーシング13に適用され得るように、フレーム16に適合させてもよい。更なる実施形態において、送出ライン17は、製造される特定の発泡体の厚さがコンベヤベルトの運搬方向の横方向に変化するように、フレーム16に配置されてもよい。
【0064】
図2は、本発明に基づく1つの実施形態のより詳細な図面を示す。43および44から入る成分は、初めに高圧熱交換器41および42によってそれぞれ予冷される。冷却(物質)回路は、高圧熱交換器41および42に加えて、冷却ユニット40も有して成る。次に、前記2つの成分は、高圧下の不活性ガスと混ぜ合わせられるために、いずれの場合においても側管33および34が設けられているスタティックミキサ31および32に入る。それらは、製品ノズル35および36を介して混合ヘッド38の中に導入される。次に、得られた混合物、即ち発泡する発泡体は、分配器ヘッド37、および下側フェーシング39に適用するための6つの送出オリフィスを通って流れる。圧縮不活性ガスは、コンプレッサ20および/またはガスボンベ21のいずれかによって提供される。必要に応じて、減圧レギュレータ22は、高圧装置にとって許容可能な値まで圧力を減少させる。バーストディスク23は、流れの下流に配置された成分へのダメージを避けるために、非常事態に備えられる。成分のストリームの中に導入される不活性ガスの量は、計測ユニット24、圧力計25および26、逆止め弁27および28ならびに逆止め弁29および30によって最終的に制御される。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−混合ヘッド、
−混合ヘッドの流れの下流に位置する分配器ヘッド、
−分配器ヘッドに適合した少なくとも3つの送出ライン、
−混合ヘッドへの成分Aのための供給ライン、
−混合ヘッドへの成分Bのための供給ライン、
−不活性ガスと、成分A、成分Bまたは成分AおよびBの混合物とを混ぜ合わせるための少なくとも1つのスタティックミキサ、
−高圧下の不活性ガスのための高圧側にある少なくとも1つの供給ラインならびに
−混合ヘッドにて成分の所望の圧力を確立するための少なくとも1つの計測および制御ユニット
を有して成る発泡性反応混合物を適用するための装置。
【請求項2】
前記送出ラインは、硬質フレームへ、発泡性反応混合物の送出方向の横方向に取り付けられることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのスタティックミキサは、混合ヘッドの流れの上流に配置されることを特徴とする、請求項1または請求項2いずれかに記載の装置。
【請求項4】
スタティックミキサは、混合ヘッドの下流に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項3いずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
不活性ガスのための供給ラインは、スタティックミキサに入る成分A、成分Bならびに/または成分AおよびBのストリームの中へ、スタティックミキサの領域内で開口することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の装置を用いることによって、発泡性反応混合物を製造するための方法。
【請求項7】
成分Aとして、イソシアネート成分が用いられることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
成分Bとして、ポリオール成分が用いられることを特徴とする、請求項6または請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
不活性ガスは、成分A、成分Bならびに/または成分AおよびBの混合物の中への導入前に、150バールよりも大きな圧力まで圧縮されることを特徴とする、請求項6〜請求項8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記送出ラインは、流出する発泡性反応混合物によって濡らされない領域が、覆われるべき領域とサイズが同一であるように、フレームに取り付けられることを特徴とする、請求項6〜請求項9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記送出ラインは、流出する発泡性反応混合物が、覆われるべき領域の幅全体にわたって均一に分配されないように、フレームに取り付けられることを特徴とする、請求項6〜請求項9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記送出ラインは、流出する発泡性反応混合物が、反応ベルトの運搬方向に下側フェーシングへ放出されるように、フレームに取り付けられることを特徴とする、請求項6〜請求項11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記送出ラインは、流出する発泡性反応混合物が、反応ベルトの運搬方向と逆に下側フェーシングへ放出されるように、フレームに取り付けられることを特徴とする、請求項6〜請求項11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
上側フェーシングおよび下側フェーシングのための少なくとも2つの供給装置、上側フェーシングを誘導するための回転上側ベルト、ならびに下側フェーシングを誘導するための回転下側ベルトを有して成るサンドイッチ複合要素を製造するための装置であって、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の装置、成形セクションおよび切断装置がそれに連続して配置される装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置が用いられる、発泡したサンドイッチ複合要素を製造するための方法。

【公表番号】特表2012−516791(P2012−516791A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548574(P2011−548574)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000461
【国際公開番号】WO2010/089041
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】