説明

高度検針インフラストラクチャでデータを送信するためのシステムおよび方法

【課題】高度検針インフラストラクチャ(AMI)でデータを送信するためのシステムを提供する。
【解決手段】データ送信システム200は、少なくとも第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体を含む複数の物理的通信媒体を介してデータを送信することによって通信するように構成されたAMIネットワーク110と、複数のメータ206、208、210、212とを備える。複数のメータのそれぞれは、第1の物理的通信媒体の動作状態と第2の物理的通信媒体の動作状態とに少なくとも一部は基づき第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体のうちから物理的通信媒体を選択し、選択された物理的通信媒体を介してAMIネットワークと通信するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に電力検針システム(metered power systems)に関するものであり、より具体的には、メータと電力ネットワークとの間で通信するためのシステムに関するものである。
【0002】
顧客による電力需要は、電力会社からの利用可能な供給電力量を超えることがある。例えば、エネルギー需要のピークがすべての顧客に電力を供給する電力会社の能力を上回るレベルに達する原因となりうる事象がいくつかある。そのため、顧客に対して「停電」または「計画停電」を課すことがある。電力会社は、一般に、停電または計画停電により顧客の施設内のどの負荷を使用不能にするかを選択的に決定する能力を有していないと思われる。むしろ、そのような電力事情において、計画停電または停電が発生したときに顧客の施設全体が典型的には電力減少または電力の完全喪失を被りやすい。
【0003】
このような大体は無差別的な電力喪失に対抗するため、少なくとも一部の電力会社は、いわゆる「スマートグリッド」または高度検針インフラストラクチャ(AMI)電力ネットワークを使用している。電力会社は、AMIネットワークを使用することで、顧客の施設内の個別の負荷と通信して、ピーク使用期間において電力消費量を選択的に低減することができる。そのようなものとして、電力会社では、高優先度負荷に対する電力を維持しながら、低優先度負荷に対する電力を低減することができる。
【0004】
AMIネットワークが正常に機能するためには、個別のメータが通信リンクを介してAMIネットワークと通信できなければならない。少なくともいくつかのシステムでは、メータは、単一の通信媒体を使用して通信リンク経由でAMIネットワークと通信する。しかし、そのような通信リンクおよび/または通信媒体が故障した場合、メータは、サービスプロバイダが損傷した通信リンクまたはメータを手作業で修理もしくは交換するか、またはメータの通信機能を再設定するまでAMIネットワークと通信することができなくなる。しかし、多くの場合、そのような通信問題は、消費者への電力を減らさなければならない電力需要になるまで発見されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7826398号明細書
【発明の概要】
【0006】
一態様では、高度検針インフラストラクチャ(AMI)でデータを送信するためのシステムが実現される。このシステムは、少なくとも第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体を含む複数の物理的通信媒体を介してデータを送信することによって通信するように構成されたAMIネットワークと、複数のメータとを備える。複数のメータのそれぞれは、第1の物理的通信媒体の動作状態と第2の物理的通信媒体の動作状態とに少なくとも一部は基づき第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体のうちから物理的通信媒体を選択し、選択された物理的通信媒体を介してAMIネットワークと通信するように構成される。
【0007】
別の態様では、高度検針インフラストラクチャ(AMI)で使用するためのメータが実現される。このメータは、第1の物理的通信媒体を使用してAMIネットワークと通信するように構成されている第1の通信インターフェースと、第2の物理的通信媒体を使用してAMIネットワークと通信するように構成されている第2の通信インターフェースと、第1の通信インターフェースおよび第2の通信インターフェースに結合されているプロセッサとを備える。プロセッサは、第1の物理的通信媒体の動作状態と第2の物理的通信媒体の動作状態とに少なくとも一部は基づき第1の通信インターフェースおよび第2の通信インターフェースのうちの一方を選択し、選択された通信インターフェースを使用してAMIネットワークと通信するようにプログラムされる。
【0008】
さらに別の態様では、高度検針インフラストラクチャ(AMI)でデータを送信するための方法が提供される。この方法は、第1の物理的通信媒体を介して、また第2の物理的通信媒体を介してデータを送信することによってAMIネットワークと通信するように構成されているメータを実現することと、第1の物理的通信媒体の動作状態および第2の物理的通信媒体の動作状態に少なくとも一部は基づき第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体のうちの一方を選択することと、選択された通信媒体を介してメータからAMIネットワークにデータを送信することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的なユーティリティ配電システム(utility power distribution system)のブロック図である。
【図2】図1に示されているシステムとともに使用することができる例示的な通信システムの略図である。
【図3】図2に示されている通信システムとともに使用することができる例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
【図4】図1に示されているシステムとともに使用することができる例示的な通信システムの略図である。
【図5】図1のシステムとともに使用することができる例示的な通信システムの略図である。
【図6】図2に示されている例示的な通信システムを実装する際に使用することができる例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で説明されているシステムおよび方法は、高度検針インフラストラクチャ(AMI)における通信を維持することを円滑にするものである。より具体的には、本明細書で説明されているシステムおよび方法は、複数の物理的通信媒体を使用して通信するメータを備える。そのようなものとして、一方の物理的通信媒体が故障した場合、本明細書で説明されているメータはそれでもAMIネットワークと通信することができる。さらに、本明細書で説明されているメータは、順位付けされた階層に基づき使用される物理的通信媒体を選択するように構成され、これにより、AMIにおける通信の効率が改善される。最後に、本明細書で説明されているシステムおよび方法では、メータはメータ同士とAMIネットワークとの間の新しい通信リンクを動的に発見して確立することができる。
【0011】
本明細書で説明されている方法およびシステムの技術的効果は、(a)第1の物理的通信媒体を介して、また第2の物理的通信媒体を介してデータを送信することによってAMIネットワークと通信するように構成されているメータを実現することと、(b)第1の物理的通信媒体の動作状態および第2の物理的通信媒体の動作状態に少なくとも一部は基づき第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体のうちの一方を選択することと、(c)選択された通信媒体を介してメータからAMIネットワークにデータを送信することとを含む。
【0012】
図1は、電力会社などの、公益事業会社(図示せず)で使用することができる例示的なシステム100を示している。さらに、例示的な実施形態では、公益事業会社は、電力などのエネルギーを複数の場所102に供給する。あるいは、公益事業会社によって供給されるエネルギーは、天然ガス、プロパン、および/または他の形態のエネルギーおよび/またはエネルギーを発生するために使用可能な製品を含むものとしてよい。場所102としては、限定はしないが、住宅、オフィスビル、工業施設、および/または公益事業会社からエネルギーを受け取る他の建物または場所が挙げられる。例示的な実施形態では、システム100は、公益事業会社から場所102へのエネルギーの送達を監視する。
【0013】
例示的な実施形態では、それぞれの場所102は、少なくとも1つのネットワークデバイス104とネットワークデバイス104に結合されている少なくとも1つのエネルギー消費機器106とを備える。本明細書で使用されているような「結合」という言い回しは、コンポーネント間の直接的機械的および/または電気的接続に限定されず、コンポーネント間の間接的機械的および/または電気的接続も含みうる。例示的な実施形態では、ネットワークデバイス104は、ダッシュボード、コンソール、および/またはシステム100を本明細書で説明されているように機能させることができる他のデバイスを備える。ネットワークデバイス104は、エネルギー消費機器106と公益事業会社の1つまたは複数のシステムもしくはコンポーネントとの間で、パワーマネージメントメッセージなどの、データを送受信する。例示的な実施形態では、エネルギー消費機器106は、電気器具、機械、照明システム、セキュリティシステム、コンピュータシステム、および/または公益事業から受け取るエネルギーを消費する他の負荷などのデバイスである。
【0014】
例示的な実施形態では、少なくとも1つの高度検針インフラストラクチャ(AMI)メータ108は、それぞれの場所102内の、またはそれぞれの場所102の近くにあるそれぞれのネットワークデバイス104に結合される。さらに、例示的な実施形態では、AMIメータ108は、ネットワークデバイス104を介して、場所102内で、それぞれのエネルギー消費機器106に結合される。代替的一実施形態では、場所102は、ネットワークデバイス104を備えず、むしろ、AMIメータ108が、場所102内のエネルギー消費機器106に直接結合される。例示的な実施形態では、AMIメータ108は、場所102内のそれぞれのエネルギー消費機器106によって消費されるエネルギーの量を計測し、エネルギー消費量を表すデータ(これ以降、「エネルギー消費計測結果」と称する)をAMIネットワーク110に送信するが、これについて以下でさらに詳しく説明する。さらに、例示的な実施形態では、AMIメータ108は、課金期間の始めと課金期間の終わりにそれぞれのエネルギー消費機器106のエネルギー消費量を計測し、それぞれのAMIメータ108内に配置されているメモリデバイス(図示せず)内にエネルギー消費計測結果を格納するようにプログラムされる。例示的な課金期間は、30日間、1暦月、および/または他の定義された期間とすることができる。さらに、例示的な実施形態では、AMIメータ108は、1時間毎、10分毎、および/または他の定義された頻度などの間隔で、定期的に電力を計測し、電力計測結果を格納する。さらに、AMIメータ108は、AMIメータ108と通信するように結合されたシステムによって開始される要求があったときに(つまり、「オンデマンド」で)エネルギー消費量を計測する。例示的な実施形態では、AMIメータ108は、計測結果をAMIネットワーク110に自動的に送信するようにプログラムされる。
【0015】
AMIネットワーク110は、例示的な実施形態において、公益事業会社のデータセンター(図示せず)内など、公益事業会社に配置されている少なくとも1つのコンピュータを備える。あるいは、AMIネットワーク110を公益事業会社の外部に配置してもよく、AMIネットワーク110は、公益事業会社にあるコンピュータシステムまたは他のデバイス(図示せず)と通信するように結合されうる。例示的な実施形態では、AMIネットワーク110は、AMIメータ108からエネルギー消費計測結果を受信し、そのエネルギー消費計測結果をそれぞれのAMIメータ108に関連付けられている1つまたは複数のデータファイル(図示せず)上に格納する。
【0016】
明細書で使用されているような「コンピュータ」という用語は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリデバイスとを備えるシステムを指す。プロセッサは、1つまたは複数のシステムおよびマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および本明細書で説明されている機能を実行することができる任意の他の回路を含む任意の好適なプログラム可能回路を含みうる。上記のいくつかの例は、例示的なものにすぎず、したがって、いかなる点でも「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を制限することを意図していていない。さらに、例示的な実施形態では、メモリデバイスは、限定はしないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ディスケット、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、および/または命令および/またはデータを格納し、取り出し、および/または実行することを可能にする好適なメモリなどの、コンピュータ可読媒体を含む。
【0017】
図2は、システム100(図1に示されている)とともに使用することができる例示的な通信システム200の略図である。例示的な実施形態では、通信システム200は、高度検針インフラストラクチャ(AMI)ネットワーク110とメータネットワーク204とを備える。メータネットワーク204は、複数のメータ206、208、210、および212を備える。当業者であれば、メータネットワーク204は、本明細書で説明されているようにネットワーク204を機能させることができる任意の好適な数のメータを備えることができることを理解するであろう。
【0018】
例示的な実施形態では、メータ206、208、210、および212は、AMIネットワーク110に結合され、および/またはAMIネットワーク110の一部である。例示的な実施形態では、通信システム200は、メータ206、208、210、および212とAMIネットワーク110との間でデータを送受信することを可能にする、ネットワークおよび/または電源ケーブルなどの、データおよび/または電力管道を備える複数の通信リンク214、216、218、および220を具備する。さらに、例示的な実施形態では、AMIネットワーク110は、サーバなどの少なくとも1つのコンピュータ、および/またはさまざまな宛先へのデータの経路選択を行うことを可能にする少なくとも1つのルータもしくはスイッチを備える。
【0019】
メータ206、208、210、および212とAMIネットワーク110との間に確立された通信リンク214、216、218、および220は、メータ206、208、210、および212とAMIネットワーク110との間の通信を可能にする。それぞれの通信リンク214、216、218、および220では、物理的通信媒体を利用して通信を円滑にする。物理的通信媒体は、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理レイヤ(PHY)に対応するものとしてよい。異なる種類の物理的通信媒体として、限定はしないが、メッシュネットワーク、電力線通信(PLC)ネットワーク、セルラーネットワーク、汎用パケット無線通信システム(GPRS)ネットワーク、Enhanced Data Rates for Global Evolution(EDGE)ネットワーク、WiMAXネットワーク、WiFiネットワーク、Zigbee(登録商標)ネットワーク、P1901ネットワーク、およびHomePlugネットワークが挙げられる。ZigBee(登録商標)は、カリフォルニア州サンラモン所在のZigBee Alliance, Inc.社の登録商標である。
【0020】
例示的な実施形態では、メータ206は、通信リンク220を介してAMIネットワーク110と通信する。メータ208、210、および212は、AMIネットワーク110と通信するために、最初にメータ206を通る通信の経路選択を行う。例示的な実施形態では、通信システム200は、以下でさらに詳しく説明される、潜在的な新しい通信リンク222および224も備える。
【0021】
例示的な実施形態では、メータ206、208、210、および212は、それぞれ、少なくとも第1の物理的通信媒体と第2の物理的通信媒体とを含む、複数の物理的通信媒体を使用して、通信リンク214、216、218、および220を介して通信する。したがって、通信リンク214、216、218、および220では、複数の物理的通信媒体も利用する。そのような構成では、メータ206、208、210、および212は、所定の物理的通信媒体が故障したときでもAMIネットワーク110との通信を維持することができる。
【0022】
図3は、例示的なコンピューティングデバイス300のブロック図である。例示的な実施形態では、それぞれのメータ206、208、210、および212は、コンピューティングデバイス300を備える。コンピューティングデバイス300は、メモリデバイス310と命令を実行するためにメモリデバイス310に結合されているプロセッサ315とを備える。いくつかの実施形態では、実行可能命令がメモリデバイス310に格納される。コンピューティングデバイス300は、プロセッサ315をプログラムすることによって本明細書で説明されている1つまたは複数のオペレーションを実行する。例えば、プロセッサ315は、1つのオペレーションを1つまたは複数の実行可能命令として符号化することによって、また実行可能命令をメモリデバイス310に収めるという形でプログラムすることができる。プロセッサ315は、1つまたは複数の処理ユニットを(例えば、マルチコア構成で)備えることができる。
【0023】
例示的な実施形態では、メモリデバイス310は、実行可能命令および/または他のデータなどの情報を格納し、取り出すことを可能にする1つまたは複数のデバイスである。メモリデバイス310は、限定はしないが、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、半導体ディスク、および/またはハードディスクなどの1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を備えることができる。メモリデバイス310は、限定はしないが、アプリケーションソースコード、アプリケーションオブジェクトコード、注目するソースコードの部分、注目するオブジェクトコードの部分、構成データ、実行イベント、および/または他の種類のデータを格納するように構成されうる。
【0024】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス300は、プロセッサ315に結合されているプレゼンテーションインターフェース320を備える。プレゼンテーションインターフェース320は、アプリケーションソースコードおよび/または実行イベントなどの情報をユーザー325に提示する。例えば、プレゼンテーションインターフェース320は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機LED(OLED)ディスプレイ、および/または「電子インク」ディスプレイなどの表示デバイスに結合することができるディスプレイアダプタ(図示さず)を備えることができる。いくつかの実施態様では、プレゼンテーションインターフェース320は、1つまたは複数の表示デバイスを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス300は、ユーザー入力インターフェース335などの入力インターフェース330を備える。例示的な実施形態では、ユーザー入力インターフェース335は、プロセッサ315に結合され、ユーザー325から入力を受け取る。ユーザー入力インターフェース335として、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチパネル(例えば、タッチパッドもしくはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、および/またはオーディオユーザー入力インターフェースが挙げられる。タッチスクリーンなどの、単一のコンポーネントは、プレゼンテーションインターフェース320およびユーザー入力インターフェース335の両方の表示デバイスとして機能することができる。
【0026】
例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス300は、複数の通信インターフェース340を備える。それぞれの通信インターフェース340は、異なる物理的通信媒体を使用して通信を行い、通信インターフェース340は、プロセッサ315に結合される。さらに、インターフェース340は、AMIネットワーク110または他のメータ206、208、210、および/または212の一部として含まれる別のコンピューティングデバイス300などの、1つまたは複数のリモートデバイスと通信するように結合される構成をとる。例えば、通信インターフェース340として、限定はしないが、有線ネットワークアダプタ、ワイヤレスネットワークアダプタ、および/またはモバイル電気通信アダプタが挙げられる。通信インターフェース340は、AMIネットワーク110または他のメータ206、208、210、および212の一部として含まれる別のコンピューティングデバイス300などの、1つまたは複数のリモートデバイスにデータを送信することもできる。
【0027】
例えば、図2および3を参照すると、一実施形態において、メータ212は、電力線通信(PLC)を使用して通信する第1の通信インターフェース350とWiFiを使用して通信する第2の通信インターフェース360とを有するコンピューティングデバイス300を備えることができることがわかる。そのようなものとして、メータ212は、PLCおよびWiFiの両方を使用して通信リンク218を介して通信するように構成され、PLCは第1の物理的通信媒体であり、WiFiはメータ212用の第2の物理的通信媒体である。より具体的には、メータ212は、最初に、PLCを使用して通信リンクに218を介して通信することができるが、例えばサービス障害が発生して、通信リンク218に対するPLC物理的通信媒体が使用不能になった場合、メータ212は、もはやPLCを使用して通信することはできない。サービス障害は、例えば、荒れ模様の天候、通信リンク218の物理的損傷、電気的干渉、無線干渉、植生の成長、および/または新規ビル建設の結果として生じる可能性がある。しかし、サービス障害は、WiFiを物理的通信媒体として使用する通信リンク218を介した場合には通信に影響を及ぼしていない可能性がある。そのようなものとして、通信を再確立するために、メータプロセッサ315は、第1の通信インターフェース350とのPLCを使用する通信から第2の通信インターフェース360とのWiFiを使用する通信に切り換えることができる。メータ212は、複数の通信インターフェースを使用する複数の物理的通信媒体を利用することができるため、一方の物理的通信媒体が故障したときに、メータ212および/または通信リンク218を手作業で修理または交換しなくても通信を維持することができる。
【0028】
したがって、例示的な実施形態では、プロセッサ315は、物理的通信媒体の動作状態に基づき物理的通信媒体を選択するようにプログラムされる。所定の物理的通信媒体の「動作状態」は、通信が所定の物理的通信媒体を介して使用可能にされたかどうかを示すものである。例えば、上記の例では、サービス障害により、PLC物理的通信媒体が非動作状態に置かれたが、WiFi物理的通信媒体はアクティブ化され動作状態になっている。
【0029】
例示的な実施形態では、それぞれのメータ206、208、210、および212は、メータに利用可能な物理的通信媒体のそれぞれを順位付けし、しかるべく通信を実行するようにも構成される。例示的な実施形態では、順位付けを有効にするために、物理的通信媒体の階層が、コンピューティングデバイス300のメモリデバイス310内に格納される。したがって、プロセッサ315は、メモリデバイス310内に格納されている階層に基づき通信用の通信機インターフェース340のうちの1つを選択する。
【0030】
例えば、メータ212は、Zigbee(登録商標)を使用する第1の通信インターフェース350、またはPLCを使用する第2の通信インターフェース360のいずれかを介して通信することができる場合がある。Zigbee(登録商標)ネットワークは、典型的には、PLCネットワークより少ない電力を使用し、そのため、メモリデバイス310内に格納されている階層は、両方の物理的通信媒体が利用可能なときにPLCではなくZigbee(登録商標)を使用して通信するようプロセッサ315に指令することができる。一実施形態では、メモリデバイス310に格納されている階層は、コスト、データ容量、スループット、信頼性、通信品質の予測性、送信時間の予測性、および/または電力消費量に基づき物理的通信媒体の順位付けを行う。あるいは、メモリデバイス310内に格納されている階層は、本明細書で説明されているようにメータを機能させることが可能な基準に基づき物理的通信媒体を順位付けすることができる。
【0031】
例示的な実施形態では、それぞれのメータ206、208、210、および212は、ポーリング信号をメータネットワーク204内の他のメータ206、208、210、および212に送信して、ポーリングされるメータの通信能力を判定する。例示的な実施形態では、それぞれのメータ206、208、210、および212は、それ専用の通信機能を備える信号のブロードキャストも行う。ブロードキャストおよびポーリング信号は、所定のメータによってサポートされている物理的通信媒体、現在確立されている通信リンク、確立された通信リンクのそれぞれの上で動作可能な物理的通信媒体、潜在的な新しい通信リンク、および潜在的な通信リンクの上で動作可能な物理的通信媒体のうちの少なくとも1つに関連する情報を含むことができる。ブロードキャストおよびポーリング信号により、メータ206、208、210、および212は、以下でさらに詳しく説明するように、利用可能な物理的通信媒体を使用して代替的通信経路を動的に発見することができる。
【0032】
より具体的には、ポーリングおよび/またはブロードキャスト信号において、それぞれのメータ206、208、210、および212は、それがAMIネットワーク110への現在通信リンク214、216、218、220を有し、物理的通信媒体が通信リンク214、216、218、および220の上で動作可能かどうか、およびAMIネットワーク110への通信リンク214、216、218、および220が直接的であるか、または間接的であるか(別のメータを通じて)を示すことができる。それぞれのメータ206、208、210、および212は、メータ206、208、210、および212によってサポートされている物理的通信媒体も示すことができる。
【0033】
例えば、通信リンク218が完全に故障してしまうことがあり、これにより、メータ212は、物理的通信媒体がなんであろうと、通信リンク218を使用することができなくなる。図2に示されているように、最初に構成されたとおり、通信リンク218がない場合、メータ212はAMIネットワーク110と通信することができない。しかし、メータ212は、ポーリング信号を他のメータ206、208、および210および/またはAMIネットワーク110に送信し、その通信能力を判定し、新しい通信リンクを発見する。メータ212は、メータ210をその通信能力に関してポーリングすることができる。それに対する応答として、メータ210は、メータ210が通信リンク216および通信リンク220を通じてAMIネットワーク110と通信できるということを知らせるアラートをメータ212に送ることによって応答することができる。メータ212が、メータ210このアラートを受信した後、新しい通信リンク222がメータ212とメータ210との間で確立され、そこで、これを通じてメータ212はAMIネットワーク110と通信することができる。
【0034】
別の例では、メータ210は、他のメータ206、208、および212、およびAMIネットワーク110との通信能力を含む信号を定期的にブロードキャストすることができる。メータ212は、ブロードキャスト信号を受信して、新しい通信リンク222をしかるべく確立することができる。
【0035】
当業者であれば、前の例は、本明細書では詳しく説明していない複数の異なる構成に拡張できることを理解するであろう。例えば、一実施形態では、メータ212は、ポーリング信号をAMIネットワーク110に直接送信し、メータ212とAMIネットワーク110との間に新しい通信リンク224を確立することができる。
【0036】
一実施形態では、物理的通信媒体を選択することに加えて、プロセッサ315は、メータ206、208、210、および212の間の実効距離に基づき通信用の経路を選択する。「実効距離」は、AMIネットワーク110に到達するまでに通信が通らなければならないリモートデバイス(例えば、メータ206、208、210、および212)の個数として定義される。このような一実施形態では、プロセッサ315は、実効距離を比較して、しかるべく通信するようにプログラムされる。
【0037】
例えば、例示的な実施形態において、図2を参照すると、メータ212は、通信リンク218、214、および220を介してメータ208およびメータ206を通りAMIネットワーク110と通信することができることがわかる。あるいは、メータ212は、新しい通信リンク224を確立することによってAMIネットワークと通信することができる。メータ208は、通信リンク218、214、および220を介してAMIネットワーク110と間接的に通信するのとは反対に、新しい通信リンク224の上でAMIネットワーク110と直接的に通信する。そのようなものとして、メータ208とAMIネットワーク110との間の実効距離は、通信リンク218、214、および220よりも新しい通信リンク224において短い。プロセッサ315が、最短実行距離での通信を優先するようにプログラムされている場合、プロセッサ315は、通信リンク218、214、および220を介してではなく、新しい通信リンク224の上で通信を確立し、通信するようにメータ208に指令することができる。
【0038】
当業者であれば、前の例は、本明細書では詳しく説明していない複数の異なる構成に拡張できることを理解するであろう。例えば、プロセッサ315は、既存の通信リンク、潜在的な新しい通信リンク、直接的通信リンク、および/または間接的通信リンクの間で実効距離を比較することができる。
【0039】
図4は、システム100(図1に示されている)とともに使用することができる例示的な通信システム400の略図である。通信システム400は、通信システム200(図2に示されている)と一般的には類似している。しかし、通信システム200とは異なり、通信システム400では、メータ206、208、210、および212は、すべて、それぞれ通信リンク402、404、406、および408を介して高度検針インフラストラクチャ(AMI)ネットワーク110と直接通信するように最初に構成される。通信システム200に関して上で説明されている方法およびシステムは、通信システム400において実装されうる。つまり、例示的な実施形態では、メータ206、208、210、および212は、それぞれ、コンピューティングデバイス300を備え、上述のように、複数の物理的通信媒体を使用し、既存の通信リンク402、404、406、および408を介して通信を維持する。さらに、通信システム400内のメータ206、208、210、および212は、ポーリング信号とブロードキャスト信号とを送信して、新しい通信リンクを発見し、確立する。例えば、新しい通信リンク410および412は、メータ212がメータ208および206を通じてAMIネットワーク110と通信できるように確立されうる。
【0040】
図5は、システム100(図1に示されている)とともに使用することができる例示的な通信システム500の略図である。通信システム500は、高度検針インフラストラクチャ(AMI)ネットワーク110と、第1のメータネットワーク502と、第2のメータネットワーク504とを備える。第1のメータネットワーク502および第2のメータネットワーク504は、それぞれ、複数のメータ506と複数の通信リンク508とを備える。例示的な実施形態では、メータ506は、それぞれ、コンピューティングデバイス300を備える。第1のメータネットワーク502は、AMIネットワーク110と直接通信し、第2のメータネットワーク504は、第1のメータネットワーク502を通る通信の経路選択を行うことによってAMIネットワーク110と通信する。
【0041】
例示的な実施形態では、第2のメータネットワーク504は、少なくとも1つのブリッジメータ510を通して、またブリッジ通信リンク512を通して第1のメータネットワーク502と通信する。例示的な実施形態では、ブリッジメータは、コンピューティングデバイス300を備える。いくつかの実施形態では、ブリッジメータ510は、別のメータネットワーク(図示せず)の一部である。一実施形態では、ブリッジメータ510およびブリッジ通信リンク512は、第1のメータネットワーク502と第2のメータネットワーク504における通信リンク508と同じ物理的通信媒体を使用する。あるいは、ブリッジメータ510およびブリッジ通信リンク512は、第1のメータネットワーク502と第2のメータネットワーク504における通信リンク508で使用されるものと異なる物理的通信媒体を使用することもできる。メータ506、通信リンク508、ブリッジメータ510、およびブリッジ通信リンク512は、通信システム500における通信を円滑にするために通信システム200に関して説明されている方法およびシステムを使用することができる。
【0042】
図6は、図2に示されている通信システム200とともに使用することができる例示的な方法600の流れ図である。例示的な実施形態では、方法600は、第1の物理的通信媒体を介して、また第2の物理的通信媒体を介してデータを送信することによって高度検針インフラストラクチャ(AMI)ネットワーク110と通信することができるメータ206、208、210、および212を実現する(602)ことを含む。それに加えて、第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体のうちの一方は、第1の物理的通信媒体の動作状態および第2の物理的通信媒体の動作状態とに少なくとも一部は基づき選択される(604)。データは、選択された通信媒体を介してメータ212からAMIネットワーク110に送信される(606)。
【0043】
当業者であれば、本明細書で具体的に説明されている構成を超えて、メータ、AMIネットワーク、および通信リンクの多くの異なる構成を利用して、本明細書で説明されているシステムと方法とを実行することができることを理解するであろう。
【0044】
本明細書で説明されているシステムおよび方法は、高度検針インフラストラクチャ(AMI)における通信を維持することを円滑にするものである。より具体的には、本明細書で説明されているシステムおよび方法は、複数の物理的通信媒体を使用して通信するメータを備える。そのようなものとして、一方の物理的通信媒体が故障した場合、本明細書で説明されているメータはそれでもAMIネットワークと通信することができる。さらに、本明細書で説明されているメータは、順位付けされた階層に基づき使用される物理的通信媒体を選択するように構成され、これにより、AMIにおける通信の効率が改善される。最後に、本明細書で説明されているシステムおよび方法では、メータはメータ同士とAMIネットワークとの間の新しい通信リンクを動的に発見して確立することができる。
【0045】
高度検針インフラストラクチャでデータを送信するためのシステムおよび方法の例示的な実施形態が、上で詳しく説明されている。これらのシステムおよび方法は、本明細書で説明されている特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムのコンポーネントおよび/または方法のステップを、本明細書で説明されている他のコンポーネントおよび/またはステップと独立して、また別に使用することができる。例えば、本明細書で説明されているメータは、他のエネルギーシステムおよび方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書で説明されているようなシステムのみを使って実施することに限定されることはない。むしろ、例示的な実施形態は、他の多くの公益事業会社および/またはエネルギー用途に関連して実装し、利用することができる。
【0046】
本発明のさまざまな実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示されているが、他の図面には示されていないということもありうるが、便宜上のことにすぎない。本発明の原理により、図面の特徴は、他の図面の特徴と組み合わせて参照され、および/または請求されうる。
【0047】
本明細書では、いくつかの例を使用して、最良の態様を含む発明を開示し、これにより、当業者は、デバイスまたはシステムを製作し、使用すること、および組み込まれている方法を実行することも含めて本発明を実施することができる。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定められ、当業者であれば思い付く他の例を含むものとしてよい。このような他の例は、これらの例が請求項の文言と異ならない構造要素を有している場合、またはこれらの例が請求項の文言との違いがわずかである同等の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
100 システム
102 場所
104 ネットワークデバイス
106 エネルギー消費機器
108 AMIメータ
110 AMIネットワーク
200 通信システム
204 メータネットワーク
206、208、210、212 メータ
214、216、218、220 通信リンク
222、224 新しい通信リンク
300 コンピューティングデバイス
310 メモリデバイス
315 プロセッサ
320 プレゼンテーションインターフェース
325 ユーザー
330 入力インターフェース
335 ユーザー入力インターフェース
340 通信インターフェース
350 第1の通信インターフェース
360 第2の通信インターフェース
400 通信システム
402、404、406、408 通信リンク
410、412 新しい通信リンク
500 通信システム
502 第1のメータネットワーク
504 第2のメータネットワーク
506 メータ
508 通信リンク
510 ブリッジメータ
512 ブリッジ通信リンク
600 方法
602 メータを実現する
604 物理的通信媒体を選択する
606 データを送信する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度検針インフラストラクチャ(AMI)でデータを送信するためのシステム(200)であって、
少なくとも第1の物理的通信媒体および第2の物理的通信媒体を含む複数の物理的通信媒体を介してデータを送信することによって通信するように構成されたAMIネットワーク(110)と、
複数のメータ(206、208、210、212)であって、それぞれ、
前記第1の物理的通信媒体の動作状態および前記第2の物理的通信媒体の動作状態とに少なくとも一部は基づき前記第1の物理的通信媒体および前記第2の物理的通信媒体のうちから物理的通信媒体を選択し、
前記選択された物理的通信媒体を介して前記AMIネットワークと通信するように構成された複数のメータ(206、208、210、212)とを備えるシステム(200)。
【請求項2】
前記第1の物理的通信媒体および前記第2の物理的通信媒体のうちの少なくとも一方は、メッシュネットワーク、電力線通信(PLC)ネットワーク、セルラーネットワーク、汎用パケット無線通信システム(GPRS)ネットワーク、Enhanced Data Rates for Global Evolution(EDGE)ネットワーク、WiMAXネットワーク、WiFiネットワーク、Zigbeeネットワーク、P1901ネットワーク、およびHomePlugネットワークのうちの少なくとも1つを備える請求項1記載のシステム(200)。
【請求項3】
前記複数のメータ(206、208、210、212)のそれぞれは、物理的通信媒体の所定の階層に基づき前記物理的通信媒体を選択するように構成される請求項1記載のシステム(200)。
【請求項4】
前記所定の階層は、前記物理的通信媒体の使用度、コスト、データ容量、信頼性、通信品質の予測性、送信時間の予測性、および電力消費量のうちの少なくとも1つに基づく請求項3記載のシステム(200)。
【請求項5】
前記複数のメータ(206、208、210、212)のそれぞれは、各メータがどの物理的通信媒体を使用することができるかを示す信号をブロードキャストするように構成される請求項1記載のシステム(200)。
【請求項6】
前記複数のメータ(206、208、210、212)のそれぞれは、前記残りの複数のメータがどの物理的通信媒体を使用することができるかを決定するために前記複数のメータのうちの残りのメータをポーリングするように構成される請求項1記載のシステム(200)。
【請求項7】
高度検針インフラストラクチャ(AMI)内で使用するためのメータ(206)であって、
第1の物理的通信媒体を使用してAMIネットワーク(110)と通信するように構成された第1の通信インターフェース(350)と、
第2の物理的通信媒体を使用して前記AMIネットワークと通信するように構成された第2の通信インターフェース(360)と、
前記第1の通信インターフェースと前記第2の通信インターフェースとに結合されたプロセッサ(315)であって、前記プロセッサは
前記第1の物理的通信媒体の動作状態と前記第2の物理的通信媒体の動作状態とに少なくとも一部は基づき前記第1の通信インターフェースおよび前記第2の通信インターフェースのうちの一方を選択し、
前記選択された通信インターフェースを使用して前記AMIネットワークと通信するようにプログラムされたプロセッサ(315)とを備えるメータ(206)。
【請求項8】
物理的通信媒体の順位付けされた階層を格納するためのメモリデバイス(310)をさらに備える請求項7記載のメータ(206)。
【請求項9】
前記プロセッサ(315)は、物理的通信媒体の前記順位付けされた階層にさらに基づき前記第1の通信インターフェースおよび前記第2の通信インターフェースのうちの一方を選択するようにプログラムされる請求項8記載のメータ(206)。
【請求項10】
前記プロセッサ(315)は、前記メータと前記AMIネットワーク(110)との間の実効距離に基づき通信のための経路を選択するようにさらにプログラムされる請求項7記載のメータ(206)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227928(P2012−227928A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93496(P2012−93496)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】