説明

高感度でエバネッセント場を検出する表面構造を有するサポート

本発明は、一つの表面のエバネッセント場(5)内で少なくとも一つの光学活性物質を検出する表面構造を有し、これによって、表面構造が、表面構造に隣接する媒体(2)にエバネッセント場(5)を発生することができるサポート(1)、特に、光ディスクに関する。表面構造は、サポート(1)の表面の一般的な向きに対して傾斜した(αエッジ)サポート(1)の表面の一つ以上の区分を具える。また、本発明は、表面構造を有するそのようなサポート(1)、特に光ディスクを用いる装置、表面構造を有するサポート(1)及び装置の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの表面のエバネッセント場内で少なくとも一つの光学活性物質を検出する表面構造を有し、これによって、表面構造が、表面構造に隣接する媒体にエバネッセント場を発生することができるサポート、特に、光ディスクに関する。表面構造は、サポートの表面の一般的な向きに対して傾斜した(αエッジ)サポートの表面の一つ以上の区分を具える。また、本発明は、表面構造を有するそのようなサポート、特に光ディスクを用いる装置、表面構造を有するサポート及び装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固定キャプチャープローブ(immobilized capture probe)に結合する試験標本、例えば、流体内に含まれるターゲットコンパウンド又はリガンド(ligand)の容量を評価する化学又は生物試験装置において、異質結合試験法(heterogeneous binding assay)が定常的に用いられている。そのような試験法は、二つ以上の化学物質間の相互作用を検査する化学、生化学又は生物学の全ての領域のおいて用いられる。特に、生物学及び生化学において、例えば、調節プロセス、信号変換、更に大きな機能複合体(functional complex)の形成又は免疫応答を含む多数のプロセスは、蛋白質間又は蛋白質と核酸との間の特定の相互作用に依存する。多様な異質試験法フォーマットが、結合の検出に対する互いに相違する多数のアプローチを用いて開発されている。例えば、そのような試験法は、表面上の病気に関連した抗原に結合する抗体を固定するとともにサンプル溶媒に含まれる抗原を検出することによって病気の診断に用いられる。抗原の存在又は不在は、特定の病気を表す。同様な試験法が、定方向進化のアプローチにおいても実行され、この場合、表面上の互いに相違する位置に保持された多様な僅かに相違するコンパウンドを同一ターゲットに接触し、ターゲットに対してもっと強い相互作用を示すコンパウンドが、更なる分析(例えば、質量分析)及び更なる調節に対して選択される。
【0003】
キャプチャープローブに対するリガンドの結合を検出するために、種々の方法が用いられており、これらは、電位差測定法のような電気化学的な方法と、例えば、蛍光、光散乱又は放射能の検出を含む放射に基づく方法とを含む。これらの検出方法の一部は、明確に検出できるラベルの導入を必要とする。例えば、そのようなラベルを、キャプチャープローブに取り付けることができ、ラベル付けされたキャプチャープローブに対するリガンドの結合に応じた信号の変化が検出される。リガンドにラベル付けするとともに、キャプチャープローブへの結合に応じた結合リガンドの信号を検出することもできる。他の試験法のフォーマットは、限定的にリガンドに結合、したがって、ラベル付けされていないリガンドを通じてキャプチャープローブに補充される第3の構成要素のラベル付けを伴う。後者の試験法のフォーマットは、サンドイッチ法と称され、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)のおいて最も一般的に用いられている。同様にして従来用いられている他の試験法のフォーマットは、非結合法(unbinding assay)、変位法(displacement assay)及び競合試験を含む。結合又は非結合の測定の途中に依存して、放射性ラベル、蛍光ラベル、散乱ラベル又は酵素ラベルを含む多様なラベルが従来用いられている。
【0004】
結合型試験法フォーマットの典型的な例において、ラベル付きリガンドを含む媒体は、リガンドが結合したキャプチャープローブでのみラベル付きリガンドを除去する固定キャプチャープローブを成長させた後に除去される。次のステップにおいて、例えば、蛍光ラベル付きリガンドを用いるとき、ラベルは、ラベルに対して固有の波長の光によって励起され、各キャプチャープローブに発生した蛍光が測定される。通常、この配置において、励起に用いられる光は、上から、キャプチャープローブを被覆した表面に向けられ、放出された蛍光が検出される。
【0005】
従来用いられている蛍光測定の他のアプローチは、蛍光ラベルの励起に対するエバネッセント場の使用である。二つの材料、すなわち、半透明サポート材料とプローブ材料、典型的には、液体と気体との界面の角度βで光ビームが向けられる場合、及び、二つの材料、すなわち、光ビームが向けられる半透明サポート材料(nentrance)に隣接する液体サンプル又は気体(nexit)の屈折率の商が、角度βの正弦より小さい場合、エバネッセント場が形成される。この状況によって、光ビームの全反射(TIR)が界面に生じるとともに、液体又は気体にエバネッセント場が形成され、この場合、界面に形成されるエバネッセント場の深さは、光の屈折率、角度及び波長に依存する。免疫検査における蛍光の検出の際のエバネッセント場の使用は、ドイツ国特許第19628002号に開示されており、この場合、光源は、生物サンプルを設けることができるキャプチャープローブが上部に配置されたベースプレートの面に対して所定の角度で向けられるが、サンプルを保持するキュベット状コンパートメントを形成する切取り部を有する第2の平面プレートによってカバーされる平面の表面に対して所定の角度でレーザ光源が向けられるドイツ国特許第19628002号に開示されたフォーマットは、表面上の互いに相違する多数の位置からの結合信号の読出しを必要とする高スループットのアプリケーションに適さない。ドイツ国特許第19628002号は、互いに相違する領域に固定された互いに相違するキャプチャープローブの励起を伴う高スループットのアプリケーションに対するエバネッセント場の検出に適合することを開示していない。ドイツ国特許第19628002号に開示された技術の問題の一部は、以下の通りである。平面のベースプレートの表面上の互いに相違するスポットを指定するために、固定位置を有するレーザの光ビームを、走査の形態でベースプレートの表面上から取り除く必要があるが、これは、平面に対する光ビームの角度を走査中に変更し、したがって、各走査点のエバネッセント場の深さを変更する。さらに、エバネッセント場の強度、すなわち、形成されるエバネッセント場の深さは、ドイツ国特許第19628002号に開示される構成で達成しうる光源の傾斜角度が比較的小さいために小さくなる。
【発明の開示】
【0006】
この問題は、傾斜した平面を具える表面構造を夕sるサポートを設けることによって解決され、これによって、表面構造上の互いに相違する多数の位置にエバネッセント場を発生することができ、同時に、エバネッセント場の発生に用いられる光ビームの角度を、サポートの平面に対して小さい傾斜又は傾斜なしでほぼ一定に保持するとともに、傾斜した一つ以上の平面を具える表面構造を有するサポートを光源に対して移動し、又は、傾斜した一つ以上の平面を具えるサポートに対して光源すなわち光ビームを移動する。
【0007】
したがって、一例において、本発明は、表面に形成されたエバネッセント場内の光学活性物質を検出する、特に、結合及び/又は非結合イベントを検出するほぼ平行な二つの表面を具えるサポートであって、少なくとも一つの領域において、前記表面の平面が、前記サポートの平面に対して10°から85°の角度αwedgeだけ傾斜していることを特徴とするサポートを提供する。既に説明した表面の特徴を有するサポートは、光が表面を照らすと光が表面に対して垂直に向かうとしても表面上に一つ以上のエバネッセント場を発生することができる。
【0008】
本明細書で用いる用語「サポート」は、互いにほぼ平行な少なくとも二つの表面を有する材料をいう。二つの表面間の距離を、好適には0.1mmと約1cmとの間とし、最適には、約0.5mmと3mmとの間とする。サポートの材料は、少なくとも、傾斜した半透明の一つ以上の平面を具える表面構造にある。好適には、サポートを、ほぼ半透明材料で構成する。適切な材料は、ポリカーボネート、や、ポリエチレンテレフタレートや、環系炭化ポリマー(cyclic olefinic polymer)のような高分子及びガラスや水晶のような他の材料を含むが、これらに限定されるものではない。したがって、本発明のサポートの意味は、例えば、ガラススライド又はプレートと、光ディスクとを含む。サポートを、完全に一つの材料から構成することができ、互いに相違する材料を結合する層構造を有することができ、又は、互いに相違する材料から構成したサポート内に領域を有することができる。
【0009】
サポートのサイズ及び形状は特に限定されない。それは、好適には0.1mmと400cmとの間にあり、更に好適には0.2mmと200cmとの間にあり、最適には1mmと150cmとの間にある。好適例において、サポートは、円形、矩形、方形又は三角形を有する。最適には、サポートは円形を有する。
【0010】
用語「傾斜した平面」は、サポートの表面の一般的な向きに対して傾斜したサポートの表面の部分をいい、それは、ほぼ平坦、平坦又は湾曲している。好適例において、平面の表面は、ほぼ平坦又は平坦であり、最適例において、平面の表面は平坦である。
【0011】
好適例において、表面の平面がサポートの表面に対して傾斜している角度は、約15°から75°までであり、更に好適には、約25°から約65°までであり、最適には約35°から約55°である。エバネッセント場を形成するのに適切な角度は、サポートの表面に対する光ビームの傾斜によって部分的に決定され、好適例において、光ビームを読出し装置の傾斜した平面に向ける収束対物レンズの開口数によって決定される。
【0012】
傾斜した平面の湾曲した例において、平面は、サポートの表面に対する互いに相違する角度を湾曲に沿った各点で有するが、湾曲上の各点の角度は、好適には、既に説明した範囲内及び好適なサブレンジ内に存在し、これによって、傾斜した平面の湾曲に沿ってエバネッセント場を形成することができる。
【0013】
表面に向けられた光の全反射が生じて、ディスクに隣接する媒体すなわちサポートの表面にエバネッセント場が生じるのに必要な適切な角度αwedgeは、光ディスクの半透明材料の屈折率(nsupport)、好適にはリガンドを含む、ディスクに隣接した媒体の屈折率(nmedium)及び光ビームとサポートの表面の法線との間の角度αNAに依存する。傾斜した平面の法線に対する光ビームの傾斜(βTIR)は、αwedgeとαNAの和となる(yTIR=ywedge+yNA)。yTIR≧arcsin(nmedium/nsupport)のときに全反射が生じてエバネッセント場が形成される。
【0014】
大抵の場合、測定すべきサンプルを含む媒体は、水溶媒又は分散(water-based solution or dispersion)であり、水が約1.33の屈折率を有するので、屈折率nmediumすなわちサンプルを含む液体は、1.3と1.7の間にあり、好適には約1.33である。1.33の屈折率を有するサンプルが用いられる場合、サポートの材料の屈折率nsupportが1.33を超えるとともに角度βTIRがTIRの上記基準を満足するときに全反射が生じてエバネッセント場が形成される。しかしながら、ある場合において、測定時に液体が気体に置き換えられることがあり、この場合、nmediumの屈折率は約1.0となる。したがって、サポート−気体界面に生じる全反射及びエバネッセント場の形成を許容するために、サポート材料の屈折率を1より大きくする必要がある。したがって、好適例において、サポートの材料の屈折率nsupportを1.0より大きくするとともに2.0より小さくし、好適には、1.33より大きくするとともに1.9より小さくし、最適には、約1.4と約1.8との間とする。特に、本発明のサポートが好適例である場合、すなわち、光ディスクである場合、屈折率nsupportを、好適には約1.33より大きくするとともに約1.9より小さくし、更に好適には約1.4と約1.8との間とする。
【0015】
さらに、サポートに隣接するとともにサンプルを含む媒体の屈折率は、典型的には1.0と1.7の範囲内で変化し、したがって、選択したβTIRに依存して媒体−サポート界面の媒体側にエバネッセント場を発生するために多様なサポート材料を選択することができる。本発明のサポートの好適例すなわち光ディスクにおいて、上記の光学的な特性を有するサポートを、例えば、ポリカーボネート(PC)又は環系炭化ポリマーを含む種々の材料から構成することができる。しかしながら、上記の屈折率及び光学的な特性を有する材料からサポート全体、好適にはディスク全体を構成する必要がない。この材料を、サポートの一部、好適には、一つ以上の傾斜した平面を有する表面構造を具えるディスクの一部にのみ用いることができる。
【0016】
特に光ディスクの材料の表面を微細加工する(microstructuring)現在の方法によって、データを格納する数十億のくぼみ(ピット)を形成することができ、光が向けられると媒体にエバネッセント場を発生することができる別の傾斜した平面を光ディスクの表面内に形成するために同様な技術を用いることができる。したがって、本発明のサポートは、そのような傾斜した一つ以上の平面を有する少なくとも一つの領域を具え、好適には10と1000000との間の個数の領域を具える。医療診断用途において、サポート、好適にはディスクは、典型的には1と100との間の個数の互いに相違する領域を有するが、例えば、病原体ファインタイピング(pathogen fine-typing)やDNA多形性決定(DNA polymorphism determination)のような一部の用途において、領域の数を、好適には1000と100000との間とする。好適には、傾斜した平面を具える領域は、表面領域によって互いに分離され、表面領域を、平面とし、又は、チャネル、隆起領域、トレンチ若しくは好適にはディスクとするサポートの一つ以上の領域をサポートの他の領域から流体的に分離する構造によって構成する。一つ以上の傾斜した平面を具える領域を、好適例において、好適にはディスクとするサポートの中央から径方向に延在する一つ以上のチャネルを形成するようにそれ自体構成することができ、又は、好適にはディスクとするサポートの中央の周りで方位角方向に配置した一つ以上のチャネルを形成するように構成することができる。
【0017】
傾斜した平面の表面サイズは、傾斜した平面の深さ、それ自体の傾斜及びサポートの表面に沿ったそれ自体の延在に依存する。この文脈の用語「深さ」は、サポートの表面に平行に延在する仮想的な平面間の距離を意味し、この場合、一方の平面は、傾斜した平面の下端に接触し、他方の平面は、傾斜した平面の上端に接触する(図2の“δ”も参照のこと)。傾斜した平面の深さは、好適には約0.1μmと約2mmとの間にあり、更に好適には約2μmと約100μmとの間にあり、更に好適には約4μmと約10μmとの間にある。表面に沿いの傾斜した平面の延在は、一つ以上の傾斜した平面を具える領域のサイズによってのみ制約される。この領域は、径方向、らせん又は方位角チャネルのように構成され、傾斜した二つ以上の平面を互いに分離する構造を表面に沿って具えることができ、傾斜した一つの平面は、領域全体に沿って延在することができる。傾斜した平面のサイズは、好適例において、約100nmからサポートの投影表面領域より大きいサイズまでの範囲となる。これは、それ自体の傾斜に起因し、例えば、サポートの表面全体をカバーするように傾斜した平面がらせん状に配置された場合に生じる。更に好適には、傾斜した平面は、約1μmと約2mmとの間の表面領域を有し、更に好適には、約10μmと約1mmとの間の表面領域を有する。
【0018】
傾斜した平面を具え、場合によっては第1の傾斜した平面に隣接する他の隣接した平面を具えるサポートの領域は、好適例において、約100nmからサポートの表面領域全体に亘る表面領域を有する。更に好適には、傾斜した一つ以上の平面を具えるサポート上の領域は、約100μmと約400nmとの間の表面サイズを有し、更に好適には、約1mmと約20mmとの間の表面サイズを有する。全体の表面サイズは、サポートの大きさに依存し、好適例において、ディスクの径に依存する。サポートのサイズは、特に制限されず、広範囲で変化することができる。好適例において、サポートは、ディスクとして構成され、約2cmと約30cmとの間の径を有し、更に好適には、径を、CD/DVDの径に等しくする。
【0019】
本発明の好適例において、一つ以上の傾斜した平面を具えるサポートの表面は、トッププレートによってカバーされる。これは、サポートの表面からの媒体の流出、液体の不所望な混合及び/又は蒸発を防止する役割を果たす。トッププレートと表面との間の距離を、好適には約1μmと約2mmとの間とし、更に好適には約30μmと約500μmとの間とする。トッププレートは、例えば、分離された反応領域、チャネル等を形成するためにサポートの表面の一部又は全ての領域の傾斜した平坦な隆起領域又は他の表面構造の上端に接触することができる。
【0020】
本発明の好適例に含まれる他の構造は、供給又は排出ライン、流体インレット又はアウトレットポート、バルブ、混合チャンバ、受動及び能動スイッチ、陽イオン若しくは陰イオン交換樹脂や免疫親和性樹脂(immuno-affinity resin)のような適切なマトリックスを具えるフィルタ、ビーズ、カラム等のサンプル予処理エレメント、又は、試薬蓄積コンパートメントや、洗浄流体蓄積コンパートメントや、老廃物蓄積コンパートメントのような液体蓄積コンパートメントを具える。
【0021】
サポート内の流体の作用を、過圧又は不測圧、遠心力、毛管引力、ぜん動力、磁力、電力(例えば、電気泳動又は誘電泳動)を含む従来既知の種々の手段によって管理することができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
上記構造の他に、CD及びDVD(再)書込み可能及び/又はROM技術、又は、マスク及び/又は反射コーティングにおけるピットパターンのように、他の構造を、サポートの表面上に又はサポートに組み込むことができ、それによってディスクの一部を不透明にし、それを、アルミニウム、銀又は金のような金属から構成することができる。これらの構造は、例えば、サポートを読み出すとき、特に、サポートを好適例で構成する場合、すなわち、光ディスクで構成する場合の光学系の情報記憶(読出し/書込み)及び/又はトラッキング装置としての役割を果たすことができる。情報は、サポートを読み出すのに必要な応答及びセッティング、例えば、波長をどのようにするかの読出し装置に対する命令を含むことができる。結果及び他のプロセス又はサンプルデータを測定プロセス中又は測定プロセス後にサポートに格納することも想定される。ピットのようなトラッキング装置は、好適には、傾斜した平面の周辺に配置され、更に好適には、傾斜した平面の下のサポート材料に組み込んで、読出し装置の光ビーム及び個々の傾斜した(複数の)平面の位置の容易な位置決めを行えるようにする。これは、サポートの表面上、好適には、サポート内の傾斜した(一つ以上の)平面の下に焦点を有するサポートを読み出すのに光ビームを用いるのが特に有用である(例えば、図3参照)。そのようなトラッキング装置を、例えば、単一又は多層CD又はDVDのピットから知られているようなサポートの2層の内側の界面に配置することができる。
【0023】
好適例において、(一つ以上の)傾斜した平面を具えるサポートの表面上の領域が、第1の傾斜した(一つ以上の)平面に隣接する一つ以上の他の平面を有するように、サポートを構成することもできる(例えば、図1参照)。好適には、第2の平面は、好適には60°と90°との間の範囲にある第1の傾斜した平面より大きい逆の符号の傾斜を有し、「くさび」構造が形成されるように配置される。特に好適な例において、第2の平面は、領域内にピラミッド構造が形成されるように第1の傾斜した平面と対称に隣接して配置される(例えば、図5参照)。二つの対称な平面の傾斜の角度及び好適な傾斜の角度を、第1の傾斜した平面に対して上記のようにする。この配置において、エバネッセント場を、ピラミッド構造の両平面の表面上に誘導し、これによって、ある測定領域内のエバネッセント場のエネルギーを増大することができる。好適には、この例において、サポートの法線に対して同一であるが互いに逆の符号の角度(すなわち、光ビームが平行でなく、例えば収束される角度)を有する二つの光ビームは、ピラミッド構造に向けられる。各ビームは、二つの対称な平面の一方で全反射となり、他方の平面の媒体を屈折して通過する。この配置において、全反射しない光の通過が生じ、一部の例において、測定精度を向上するために、サポートに隣接する媒体に光の通過を示す必要がある。これを、例えば、サポート、好適には適切な領域におけるサポートの表面に反射又は吸収材料を設けることによって達成することができる。そのような反射材料は、例えば、アルミニウム、金又は銀を含む。上記の二つの傾斜した平面を、好適には表面の平面に平行に配置した一つ以上の中間平面によって互いに分離することもできる。そのような中間平面は、例えば、媒体を通過することなく光を反射することができる。図3は、例えば、三つの平面を有する配置を示し、この場合、第1及び第2の平面は、第3の反射平面が介在するピラミッド構造を有する。
【0024】
第1の傾斜した平面で既に全反射した光を全反射するように第2の平面の傾斜を選択することもできる。この第2の全反射によって、ある測定領域に第2のエバネッセント場が形成され、第1及び第2の平面の傾斜角に応じて、変動する又は同一の深さの二つのエバネッセント場を、一つの測定領域内に形成することができる。好適には、この例において、好適にはサポートの平面に対して所定の角度を有する一つの光ビームのみが、サポートの表面に向けられる。光ビームは、第1の平面で全反射し、第2の平面で媒体を屈折して通過するが、第1の平面で全反射したビームは、第2の平面で第2の全反射を行う。この配置は、媒体を通過する光の量を減少する。
【0025】
他の例において、本発明のサポートは、第2の表面、すなわち、傾斜した平面内に一つ以上の領域を具える表面に対向する表面上にも構成される。傾斜した平面に直接対抗するサポート上の表面を、サポートの平面に対する平面又は傾斜したものとすることができる。傾斜を、光学活性物質が検出される平面の傾斜以下とすることができる。さらに、サポートの逆の表面は、既に説明したような流体分配、サンプル調合、サンプル天下、流体蓄積又はサンプル除去に必要な構造を具えることもできる。好適には、これら他の構造は、エバネッセント場を発生するのに用いられる傾斜した平面に向けられた光を妨害しない。
【0026】
好適例において、本発明のサポートに、傾斜した平面に取り付けられる少なくとも一つのキャプチャープローブを設ける。用語「キャプチャープローブ」は、表面に直接的又は間接的に取付け可能な任意の化学的なコンパウンドを含む。好適例において、キャプチャープローブは、たんぱく質、特に抗体、受容体、酵素、信号伝達たんぱく質(signaling protein)又はその断片、ペプチド、核酸、特にシングルスタンダードDNA、ダブルスタンダードDNA及びRNA、単糖又は多糖類、核酸アナログ、特にPNA及び小分子からなる群から選択される。
【0027】
用語「ペプチド」は、2〜50個のアミノ酸の長さのポリペプチドを含み、用語「たんぱく質」は、50以上の個数のアミノ酸の長さのポリペプチドを含む。ペプチド又はたんぱく質が構成されるアミノ酸を、自然に又は人工的に生じるアミノ酸とすることができ、D形又はL形とすることができる。
【0028】
用語「小分子」は、2000g/mol未満の任意の構造の有機化合物を含む。そのような分子は、好適には薬の開発に用いられる。その理由は、小分子が被験者の腸から血液を通過するのに十分小さく、したがって、口から施されることができるからである。
【0029】
キャプチャープローブを、サポートの表面上の一つ以上の傾斜した平面に直接的又は間接的に取り付けることができ、この場合、共有結合又は非共有結合によって取付けを行うことができる。このために、サポート表面それ自体は、例えば、ヒドロゲル、単分子膜、化学吸着又は物理吸着によって機能させることができる。キャプチャープローブをサポートの表面に共有結合するに際し、傾斜した平面の表面に、ペプチド又はたんぱく質のアミノ群と反応するエポキシ群のようにキャプチャープローブと架橋結合することができる群を設ける。当業者は、(機能的な)サポート表面とキャプチャープローブとの間の共有結合を形成することができる広範囲の化学的な残基を知っている。同様に、(一つ以上の)キャプチャープローブそれ自体に、特に傾斜した(一つ以上の)平面に領域のサポートの表面との共有又は非共有結合を形成することができる反応群を設けることができる。例えば、キャプチャープローブにビオチンを結合するとともに、特に、傾斜した(一つ以上の)平面のサポートの表面に、高い親和力でビオチンと結合することができるたんぱく質Aを被覆することによって、取付けを直接行うことができる。この取付けモードによって、キャプチャープローブの間接的な非共有結合が行われる。多様な他の適切な取付け手段は従来周知である。好適には、結合プロセス後、キャプチャープローブは、傾斜した平面の媒体側に高密度層を形成し、以後、「キャプチャー層」と称する。キャプチャー層は、好適には、傾斜した平面の全体をカバーするが、キャプチャー層を、以後「キャプチャースポット」と称するスポットを含む傾斜した平面上に任意の形状でパターン化することもできる。
【0030】
(一つ以上の)キャプチャープローブそれ自体及び傾斜した平面の表面にキャプチャープローブを取り付ける必要がある化学薬品を、印刷やスポッティング(spotting)を含む種々の手段によってサポート表面に設けることができる。そのような直接的なアプリケーションは、サポートの表面上に予め設定されたパターンで試薬及びキャプチャープローブを設けることができる。
【0031】
一般に、あるタイプのキャプチャープローブは、一つの傾斜した平面に取り付けられるが、本発明のサポートの他の例において、互いに相違する二つ以上のキャプチャープローブは、同一の傾斜した平面上で互いに隣接して取り付けられる。この例は、大きな表面領域を有する傾斜した平面がサポート上に配置される場合に特に好適であり、それは、一つの傾斜して延在する平面内に互いに相違する複数のスポット又はキャプチャー層を有する。一部の例においては、実行される試験のタイプに応じて、二つ以上のキャプチャープローブの組合せが、一つの傾斜した平面に取り付けられる。
【0032】
他の好適例において、本発明のサポートは、バッファや、正及び負のコントロールや、酵素や、酵素基のようなサンプル調合及び/又は測定に必要な試薬を含む。これらを、湿った及び/又は乾燥した材料として装置に含めることができる。特に、乾燥した材料を設ける場合、好適には、これは、水やバッファを含む適切な液体を負荷することによって使用前に再水化(rehydrate)される。
【0033】
本発明のサポートの特に好適な例において、サポートを光ディスクとする。光ディスクは、好適にはポリカーボネートで構成されるほぼ円形構造である。それは、孔のように読出し手段にコンタクトすることができる中央コンタクト手段を有する。
【0034】
他の態様において、本発明は、サポート、好適には光ディスク及び少なくとも一つの試薬を具えるキットにも関する。本発明の意味する試薬は、ディスク上の反応を実行し又は容易にする任意の化学的化合物を含む。好適には、試薬を、負のコントロール、正のコントロール、バッファ、酵素、ラベル付きエージェント及び/又は酵素基から選択する。
【0035】
本発明の他の態様は、サポートの表面に形成されたエバネッセント場内の光学活性物質を検出する装置であって、a)少なくとも一つの波長の実質的な単色光を出射する少なくとも一つの光源と、b)少なくとも一つの検出器手段とを具え、前記少なくとも一つの光源を、前記サポートの表面に向かいあうように配置し、前記サポートが前記装置内に配置される度に前記光学活性物質の検出が行われることを特徴とする装置である。
【0036】
検出手段を、光源と同一の側又は反対の側に配置することができる。好適な配置において、少なくとも一つの検出手段を同一の側に配置し、好適には、検出手段を、装置に配置されたサポートから光源に戻される任意の放射を検出するように配置する。これは、シリコンPIN又はCMOS検出器及びCD/DVDプレーヤの通常の配置であり、この場合、光を検出器に戻すスプリッタを、レーザダイオードの光路に配置する。同一配置を本発明に用いることができ、これによって、サポート、好適には光ディスクの表面に対してx又はy方向に容易に移動することができる小型のユニット内で光源及び検出器を統合することができる。しかしながら、検出器を、光源の反対側すなわち媒体の側に配置することもでき、これによって、二つの光学系を分離する。この場合、光源及び検出手段の正確な整列を確実に行う適切な手段を設ける必要がある。これは、エバネッセント場によって誘導された放射の測定を特定の傾斜した平面に割り当てることができるようにする必要がある。
【0037】
好適には、光源は、実質的な単色光を発生する。したがって、光源を、好適にはレーザとし、更に好適にはレーザダイオードとする。例えば不所望な周波数の光を除去し又は偏光する適切なフィルタを光源に設けることもできる。好適には、互いに相違する深さのエバネッセント場を必要とする場合、及び/又は、光学活性物質の検出、特に、結合及び/又は非結合イベントの検出に互いに相違する周波数の励起を必要とする場合、レーザを、互いに相違する周波数に調整可能である。互いに相違する波長の光を発生する他の光源を、本発明の装置内に含めることができる。これら光源は、好適例において、全ての光源の光が光ディスクの表面上の同一ポイントに向けられるように配置される。これによって、例えば、(一つ以上の)キャプチャープローブへの結合に対する互いに相違する二つのラベル付きリガンドの競合の同時の測定を許容する。
【0038】
好適例において、光の角度|αNA|(αNAを、装置に挿入されたサポートの法線と光との間の角度とする。)を、0°より大きくする。これを、光源をサポートに対して傾斜し、又は、対物レンズやミラーのような光学的な手段によって光を「傾斜する」ことによって達成することができる。好適例において、光ビームを収束する対物レンズは、光路に配置される。これによって、レンズの周辺に向かって増大する光がサポートの表面に対して傾斜する(図4及び図7参照)。αwedge及びβTIRに応じて、全ての光に対して全反射が生じ、この場合、傾斜αNA≧βTIR−αwedgeとなる。全反射が生じ始める、すなわち、αNA=βTIR−αwedgeとなる臨界角を、αTIRとも称する。したがって、少なくともαTIRの角度でサポートに向かうように対物レンズで屈折される全ての光は、全反射され、エバネッセント場が形成される。しかしながら、αTIRより小さい角度でサポートに向けられる全ての光は、サポート−媒体界面を通過する際に屈折される。
【0039】
好適例において、αTIRより小さい角度を有する全ての光が、サポートに向かないように、光路に配置されたマスクによって遮断される(図4〜6参照)。一部の例において、このマスクは、対物レンズの一方の側からの光をほとんど遮断し(例えば、図4参照)、又は、αTIRより小さい角度の全ての光をほとんど遮断するように配置される(例えば、図5参照)。マスクを、完全な不透明材料、又は、ダイクロイック若しくは偏光敏感材料によって構成することができる(例えば、図10参照)。後者の利点によれば、サポートに向けられた全ての光が全反射する、すなわち、αTIRより小さい角度の光がサポートに向けられない間、エバネッセント場によって誘導された放射、例えば、蛍光が、固体マスクによって遮断されず、更に多くの光が検出器に到達して、測定配置の感度が更に高くなる。
【0040】
他の好適例において、一つ以上の他のレンズが、中央レンズの同心円上に配置される。この合成レンズは、光源とサポートとの間に配置される。他の(一つ以上の)レンズは、中央レンズより高い屈折率を有する材料から構成される(図6参照)。中央レンズが、角度≧αTIRで光をサポートに向けるのに用いる間、中央レンズより高い屈折率を有する第2の他のレンズは、リガンドから放出された放射を収集する受光角を更に広くし、したがって、この配置は、単一のレンズ配置より高い感度を有する。本例は、好適には、αTIR未満の角度を有するほとんど全ての光を遮断するマスクを有する。
【0041】
上記光学系の形態に加えて、コリメータや、スプリッタや、ダイクロイックスプリッタのような種々の光学素子を、本発明の装置の光学系に含めることができる。本発明の装置は、CD/DVDプレーヤ又は書込み装置から従来周知である形態を具え、特に、そのようなプレーヤ又は書込み装置で用いられる対物レンズ、光源、検出器、フィルタ、スプリッタ、又はドライブ及び起動装置を含む光学的な配置の一部又は全てを具える。
【0042】
検出手段を、放射を検出することができる任意の手段、好適には、PINダイオード又はCMOS装置とすることができる。適切な検出手段の選択は、検出に必要な放射に依存し、それは、光学活性物質、特に、光学活性物質に含まれるラベルに依存する。その結果、光学活性物質の検出、特に、結合又は非結合イベントの検出が、蛍光の検出に依存し、それが、エバネッセント場によってシミュレートされた場合、検出器は、関連の波長の蛍光を検出することができる。信号が、ラベルによって散乱され又は(表面プラズモンに基づく検出のように)反射された光である場合、検出手段は、光源から放出されたのと同一波長の光を検出できるようにする必要がある。本発明の装置の好適例において、一つ以上のフィルタを検出器の前に配置し、そのフィルタを、例えば、蛍光の検出の場合、広い吸収スペクトルを有するフィルタ及び/又は偏光フィルタとすることができる。これらフィルタは、試験の感度を減少することがある光源の光の散乱を除外する役割を果たす。
【0043】
本発明の装置の他の好適例において、サンプルを含む媒体に形成されるエバネッセント場の深さ(d)が10nmと1μmとの間、好適には、約20nmと200nmとの間となるように、光源の波長、ディスクの法線に対する光の傾斜αNA及びサポートの表面の一つ以上の傾斜した平面の角度αwedgeが選択される。所定の波長の光によって生じるエバネッセント場の深さを、以下の式によって計算することができる。
【0044】
【数1】


この場合、λを、光の波長とし、nsupportを、光路中のサポートの材料の屈折率とし、nmediumを、例えばサポートの表面に対する結合又は非結合を測定する光学活性物質、特に、リガンドを含む媒体の屈折率とし、αを、二つの材料間の界面の法線に対する光の角度、すなわち、平面の傾斜とし、dを、媒体におけるエバネッセント場の深さとする。上記式を用いると、当業者は、光源から放出される光の波長、サポートの法線に対する光の傾斜角及び/又は傾斜した平面の傾斜角に基づいてエバネッセント場の深さを容易に選択することができる。エバネッセント場の深さが浅くなるに従って、傾斜した平面に結合されずに媒体内に含まれる光学活性物質の検出量が少なくなる。エバネッセント場を形成する非常に小さい深さdを選択すると、光学活性物質が界面に非常に近接する場合にのみ光学活性物質が励起される。キャプチャープローブ及びキャプチャープローブに結合した分子上にのみ延長するようにエバネッセント場の深さを選択する場合、そのような選択によって、非結合光学活性物質を媒体から除去することなくサポートの表面上の結合イベントを検出することができる。その理由は、サポートの表面、例えば、取り付けられたキャプチャープローブに結合された主な光学活性物質が、例えば、蛍光のために励起されたエバネッセント場によって影響が及ぼされるからである。
【0045】
しかしながら、本発明のサポート及びその使用の一部の例において、表面付近であるが表面に直接付いていない分子にも延在する深さを有するエバネッセント場を発生するのが望ましい。これによって、媒体中の(一つ以上の)非結合光学活性物質及び/又は非結合ラベルの濃度を測定することができる。結合又は非結合が測定される媒体中の(一つ以上の)光学活性物質及び/又はラベルの濃度は、光学活性物質の結合の量及びダイナミックスに影響を及ぼし、したがって、知るのに重要である。これは、質的な測定だけでなく量的な測定も行う場合に特に当てはまる。
【0046】
光がサポート上の装置に収束され(例えば、図2参照)、したがって、光ビームが種々の角度の下で傾斜した平面に到達する本発明の例において、全反射が生じる傾斜した平面の区分の長さ、すなわち、全反射の有効領域長(lTIR)を、以下の式によって決定することができる。
【0047】
【数2】


この場合、αTIRMAXを、基板の表面に形成される(一つ以上の)傾斜した平面と媒体との界面で全反射が生じる臨界角とする。傾斜した平面の急峻さは、αwedgeによって規定され、xを、傾斜した平面の上端からの焦点距離とし、光学系で導入される「デフォーカス」とも称される。本例では、傾斜した平面の表面で反射(光の角度≧αTIRに対する全反射)及び(光の角度<αTIRに対する)屈折が生じるために、「デフォーカス」の必要がある。デフォーカスが導入されない(x=0)場合、サポートは、入射波面がサポートの表面に垂直な焦点付近の領域でサンプルされる。この場合、αTIRMAX及びαTIRは、仮想的には零になり、全反射が生じる。
【0048】
好適には、xを、収束系の数焦点深さ:
【0049】
【数3】


とし、好適には1〜100μmとし、更に好適には2〜50μmとし、最適には4〜20μmとする。xは、正又は負の符号を有することができ、すなわち、焦点を、サポートの表面の下又は上に配置することができる。
【0050】
所定のデフォーカスxに対してあり得る全反射有効領域の長さを収容するのに必要な傾斜した平面の深さ“δ”は、以下のように決定される。
【0051】
【数4】

【0052】
本発明の他の態様において、本発明の装置は、本発明のサポートも具える。装置は、サポートをx若しくはy方向又は円方向で移動するようサーボモータや圧電素子のような軌道装置によって適合される。しかしながら、光源及び/又は検出器をサポートに対して例えばx又はy方向に移動することもできる。特に好適な例において、サポートを光ディスクとする。ディスクを、ディスクを装置の中央に配置するのに用いられるほぼ中央のコンタクト手段、好適にはディスクの孔の周りで装置において回転することができる。この例において、光源及び/又は検出器を、静止し、又は、ディスクに対して好適には横方向に移動する。
【0053】
本発明の他の例は、本発明のサポートの使用、又は、サポートの一表面、特に、光ディスクの表面のエバネッセント場ないの少なくとも一つの光学活性媒体を検出する本発明の装置の使用である。好適な使用は、サポートの表面の一つ以上の傾斜した平面に対する媒体内に含まれる光学活性物質のエバネッセント場による結合又は非結合の検出である。本発明の使用の好適例において、光学活性物質は、蛍光、光学的な散乱及び/又は反射変調によって検出される。
【0054】
用語「光学活性物質」は、エバネッセント場を反射、屈折、吸収若しくは散乱することができ、又は、エバネッセント場によって発光若しくは蛍光を励起することができる任意の化学的なエンティティを含む。光学活性物質は、GFPたんぱく質のようなこの活性(activity)のみを処理し、又は、直接的若しくは間接的に取り付けることができるラベルによってそれを処理する。例えば、FITC,Cy3,Cy5、ロダミン、フルオレセイン等の蛍光色素や、量子ドットや、緑色蛍光色素たんぱく質(GFP)又はその変形のような自動蛍光色素たんぱく質(auto-fluorescent protein)や、金属粒子、特に、金又は銀の粒子(ナノ粒子)や、アップコンバーティング蛍光体(up-converting phosphor)のような多様なラベルが従来知られている。
【0055】
(一つ以上の)ラベルを、キャプチャープローブ、又は、光学活性物質及び/又はキャプチャープローブに結合することができる他の構成要素に取り付けることもできる。
【0056】
好適例において、光学活性物質は、ラベルを付したリガンドを含む。
【0057】
用語「リガンド」は、既に規定したようにキャプチャープローブによって結合することができる任意の化学的なエンティティを含む。特に、用語「リガンド」は、DNA,RNA,PNA等を含む核酸及び核酸アナログと、酵素、転写因子、信号伝達分子、信号伝達分子受容体(signaling molecule receptor)、構造たんぱく質及び受容体を含むたんぱく質及びペプチドと、単糖又は多糖類と、単細胞と、細胞集合と、全ての人類、動物又は植物細胞タイプ、好適には、T細胞、B細胞、マクロファージ、樹上細胞、血小板、赤血球細胞等を含む組織断片と、


を含むがこれらに限定されないバクテリアと、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、オルビウイルス、コロナウイルス、脳心筋炎ウイルス、エンテロビールス、エコー(enteric cytopathogenic human orphan)ウイルス、コクサッキーA群ウイルス、コクサッキーB群ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、パピローマウイルス、バクロウイルス、ピコマウイルス、ルベラウイルス、おたふくかぜウイルス、脳炎ウイルス、SSPEウイルス、ポリオウイルス、はしかウイルス、ストマシスウイルス、ヘパティティスウイルス、リノウイルス、REOウイルス、ロタウイルス、バクテリアウイルス、豚のオアスキー病ウイルス、及びHIVやヘルペスのようなレトロビールスを含むビールスと、原生動物と、既に規定したような小分子を含む。
【0058】
本発明の他の例において、エバネッセント場は、リガンドに付されたラベルを励起するのに用いられるだけでなく、表面構造付近に発生した光を選択的に結合するのにも用いられる。
【0059】
他の例において、本発明のサポート又は本発明の装置は、診療用途に用いられる。診療用途は、典型的には、被験者又は動物からの標本の除去を伴う。そのような標本の例は、血液、尿、精液、膣分泌、便、唾液、組織、単細胞、リンパ、又は、消化管の内容物を伴う。標本を、サポートに直接設けることができ、例えば、単細胞、DNAのみ、RNAのみ及び/又はたんぱく質のみを分離するために濾過、酵素処理、機械的及び/又は化学的な破壊によって外部で更に処理することができる。一部の例において、標本は、標本内の特定のリガンドの量及び/又は検知可能性を増大するために処理工程前に二次培養される。標本又は更に処理された標本を、バッファや、予防剤や、安定剤のような種々のリガンドに混合することができる。通常、標本又は更に処理された標本は、溶媒又はサスペンションとしてサポートに加えられる。しかしながら、外部で実行される上記処理工程の一つ以上を、サポートに統合することもでき、すなわち、サポート内で行うこともできる。好適例において、標本、特に血液サンプルは、サポート、好適にはディスクに直接加えられ、サンプル内のリガンドの結合又は非結合を測定する前にサポート内で処理される。そのような一連の処理工程は、例えば、細胞の溶解DNA又はRNAの清浄化(purification)及び濃縮、RNAの場合における追加の逆転写、ターゲットDNA又はcRNAの増幅、DNAキャプチャープローブとのハイブリッド(hybridization)、選択的な洗浄を含む。多数の工程のサンプル調合及び分析がサポート好適にはディスク内で実行される例は、lab-on-a-chip又はlab-on-a-discと称される。当業者は、後の検出のために(一つ以上の)リガンドを調合するのに用いることができる多様なプロセスを知っている。当業者は、サンプル内の(一つ以上の)所定のリガンドを検出することができる一連の破壊、調合、清浄化、濃縮、洗浄及び/又は増幅ステップの適切な手順を選択する方法も知っている。既に説明したように、本発明のサポートは、所望の処理工程を実行することができる種々の他の構造を含むことができる。
【0060】
診療用途において、病気又は病気の傾向を表すリガンドが検出される。そのようなリガンドは、微生物のDNA,RNA又はたんぱく質、特に、バクテリア、ウイルス及び原始生物を含む病原体と、未改変(intact)微生物又はその断片と、組織及びその断片と、細胞、アンチゲン、DNA,RNA、ペプチド又はたんぱく質、特に、患者又は動物の自然又は突然変異形態の抗体とを含むが、それに限定されるものではない。検出する必要があるリガンドに基づいて、適切なキャプチャープローブを当業者によって選択することができる。細胞、ウイルス、たんぱく質、ペプチド又はアンチゲンの検出に適切なキャプチャープローブを、例えば、抗体、結合断片又はその誘導体とする。DNA又はRNAに対して、適切なキャプチャープローブを、例えば、DNA又はRNAとする。ハイブリッドによる核酸検出に対して、通常、核酸リガンド及び対応するキャプチャープローブを具えるサポートを加熱する必要がある。加熱ステップを、本発明の装置内又は装置外で実行することができる。したがって、本発明の装置は、好適例において、サポートの温度を制御する手段、好適には加熱手段を具え、これによって、核酸のハイブリッドを装置内で生じることができる。そのような温度を制御する手段は、従来既知であり、例えば、ペルチェ素子及びヒートシンクを具える。所望の場合には、この温度制御手段を、PCR(polymerase chain reaction)や、酵素分解や、逆転写のような温度の変更を必要とする他の反応をハイブリッド化の(hybridization)の前後に実行するのに用いることができる。典型的には、ターゲットDNA又はRNAを、DNAキャプチャープローブとのハイブリッド化の前にPCRを通じて増幅する。装置の光源それ自体を加熱手段単独として又は上記温度制御手段に加えて利用できることも想定される。光を、装置内、特に、一方がサポートの表面に取り付けられた二つのDNA基を架橋結合のようにサポートの表面上に存在する分子種を光化学的に活性し又は架橋結合するのに用いることもできる。
【0061】
(一つ以上の)キャプチャープローブを有する媒体を含む(一つ以上の)リガンドの培養に、1回以上の洗浄、又は、バッファ、酵素基、及び/又は、ラベル付き抗体のような2次試薬との反応ステップを続けることができる。当業者は、種々の適切なバッファ及び試薬を知っており、例えば、所定のキャプチャープローブ−リガンド結合対の選択方法、すなわち、DNA/RNA相互作用又はたんぱく質間の相互作用、及び、指定されていない結合リガンドを除去するのに適切なバッファの選択方法を知っている。洗浄及び/又は反応ステップを、一部の例において、サポート、好適には測定領域の液体媒体をガスによって除去することによって続けることができる。ガスを、任意のガス又はガスの混合とすることができ、好適には、空気、アルゴンのような希ガス、又は窒素とする。したがって、サポートに隣接する媒体の屈折率を低減することによって、更に低いβTIRしたがって更に低いαNA及び/又はαwedgeで全反射を行うことができる。これによって、対物レンズの前方にマスクを用いる本発明の特定例において、更に小さいマスクを使用することができるようになり、したがって、更に高いエネルギーのエバネッセント場をサポートの表面に発生することができ、その結果、更に高い感度になる。
【0062】
サポートの表面上に形成されたエバネッセント場の光学活性物質を検出するために、特に、サポートの表面、特に、キャプチャープローブに対するリガンドの結合又は非結合を決定するために、従来周知である広範囲の試験フォーマットを、例えば、結合試験、非結合試験、サンドイッチ法、転位法(displacement assay)及び競合法のように用いることができる。適切な試験フォーマットは、実行すべき分析のタイプ、リガンド及びキャプチャープローブに依存し、当業者によって容易に選択されることができる。上記試験フォーマットの一つの結合及び/又は非結合イベントを、単一の測定、別個の時間間隔によって分離された繰返し測定、又は連続的な測定によって検出することができる。繰返し測定及び連続的な測定は、所定の時間に亘って結合及び非結合を動的に検出することを所望する場合に実行される。所定の時間に亘る信号の変化は、各結合対(キャプチャープローブ及びリガンド)の関連の運動及び非関連の運動を表し、例えば媒体中のリガンドの濃度の迅速かつ容易な決定を可能にする。
【0063】
以下の図面は、本発明を図示するためのみのものであり、ここに開示し及び添付した請求の範囲で請求した本発明の範囲を限定するものではない。さらに、引用した全ての参照文献を、参照によってここに組み込む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
図1は、「くさび」(wedged)配置で互いに隣接する同様に傾斜した三つの平面を有する本発明のサポートの二つのセクションを示す。図1Aは、角度αNAでサポートの表面に向けられた光の配置を示し、これは、全反射を許容するのに十分でない。したがって、全ての光は、界面でのみ屈折し、サポート(1)を通じて媒体(2)に入射する。図1Bは、到来するビームの角度αNAが値βTIR−αwedgeを超えるときにサポート(1)と媒体(2)との間で全反射(TIR)を達成することができる配置を示し、この場合、βTIRは、式βTIR=arcsin(nmedium/nsupport)によって与えられる臨界角である。臨界角は、サポートがポリカーボネート(ndisk=1.6)で構成されるとともに媒体が水(nmedium=1.33)である典型的な配置に対して約56°である。上記状態に適合する光ビームの一部は、TIR(5)を示し、それに対して、その残りは、屈折するとともに媒体を通過する。全てのビームが状態αwedge−|αNA|>βTIRを満足する場合のみ、ビームの全てが、ポリカーボネート/水界面でTIRを示す。
【0065】
図2は、サポートの表面の後方に焦点を有する、サポートに向けられた光の光路を示す。サポートの表面からの焦点の距離を、「ぼかし」の量とも称される“x”とし、傾斜した平面の深さを、“δ”とし、平面の傾斜角を“αwedge”とし、“αTIRMAX”及び“αTIR”を、傾斜した平面の表面で全反射が生じる境界角(boundary angle)とし、“ITIR”を、傾斜した平面におけるTIRの長さ、すなわち、TIR有効領域長とする。光は、サポート(1)を通じてサポート媒体界面に向かい、TIRを経て、媒体(2)にエバネッセント場(5)を発生する。
【0066】
図3は、他のトラッキング層をサポートに設けた例を示し、これによって、ビームがデフォーカスされ、すなわち、ビームがサポート内のトラッキング層に焦点を有する場合でも、サポートの表面の傾斜した平面に光を正確に配置することができる。屈折して媒体(2)を通過する光の量を減少するために、他の中間平面を、下側表面に平行な傾斜した第1の平面に隣接して配置するとともに、他の中間層に反射コーティング(50)を設ける。光は、トラッキング信号(12)を具える第1のサポート構造(11)と、サポート(1)の表面に傾斜した平面を形成する第2のサポート構造(13)とに向けられる。条件αwedge−|αNA|は、傾斜した平面に向けられたビームの全ての部分に適合され、この条件に適合しないビームの部分は、中間平面で反射して光源に戻される。
【0067】
図4は、対物レンズ(3)によって発生した収束ビームによってディスク/媒体界面が照射される例を示す。条件αNA>βTIR−αwedgeを満足する光線のみが通過するように、対物レンズの前方に遮断マスク(4)が配置される。その結果、直接屈折光(directed refracted light)が媒体を通過しない。表面(5)に非常に近接して(<λ)配置された媒体にのみエバネッセント波が結合される。TIRに起因する内部反射ビームを図示しなかった。
【0068】
図5は、くさび状構造を対称な錐状構造に置換した例を示す。サポート/媒体界面は、対物レンズ(3)によって発生した二つの収束ビームによって照射される。条件αNA>βTIR−αwedgeを満足する光線のみが通過するように、対物レンズの前方に遮断マスク(4)が配置される。この場合、TIRが、一つの測定領域内の傾斜した両方の平面に生じ、これによって、形成されたエバネッセント場(5)に含まれる全パワーが2倍になる。さらに、錐構造の回折によって、光ディスクの径方向のトラッキングに対する対称な(プッシュ−プル)トラッキング信号が生じる。対物レンズNA及びマスクのサイズは、錐状の楔角(pyramidal wedge angle)αwedge及び臨界角βTIRによって決定される。この配置において、励起ビームが流体を通過するのを回避するために、例えば右位置に吸収又は反射コーティングを設けることによって測定を行う必要がある。
【0069】
図6は、図5と同じの構成を示すが、遮断マスク(4)によって部分的にカバーされたレンズ中央部(31)が、エバネッセント場を誘発する光ビームを発生してトラッキング信号を発生するのに用いられるように、対物レンズが変形され、それに対して、更に高い開口数(NA)の他のレンズ(32)が、エバネッセント場(5)によって励起された分子の蛍光によって放出した光子を収集する。その結果、系は、更に大きな受光角を有し、これによって検出効率が増大する。サンプリング及びトラッキングに対して低いNA(i)が用いられ、それに対して、検出に対して高いNA(i)が用いられる。蛍光検出の場合、ディスクの反対側の光学系によって蛍光の収集を行うこともできる。
【0070】
図7は、通常の近視野カップリング(near field coupling)を用いたサポートの読出しを示し、この場合、NA>1.33の対物レンズ(6)、好適には、近視野対物レンズ(near field objective lens)は、光ディスクに近接する(<λ)。媒体(74)を、好適には、ん=1.33の水とする。反射のために金薄膜(73)を設ける。サポートは、好適には、ポリカーボネート(PC)繰り返し構造(replicated structure)を具え、この構造は、傾斜した平面(72)と、ガラス又はPC基板(71)とを具える(それぞれnsupport=1.5及び1.6とする。)。その結果、サポート/媒体界面で高い読出しNAを実現することができる。NAが屈折率nmediumを超えない限り、光はプラスチック/水界面を通過し、TIRが生じない。この臨界NAcrit(=nmedium)より大きい開口数に対して、全反射がポリカーボネート繰り返し構造で生じ、エバネッセント波が水媒体に結合する(図8参照)。
【0071】
図8は、対物レンズの開口数が臨界的なNA(critical NA)を超える本発明の実施の形態を示す。NAminより大きい入射角に対して、サポート/媒体界面への入射光が全反射され(サポートはくさび構造を有する。)、これによって、エバネッセント波は媒体に結合する。サポートはポリカーボネート(PC)重ね合わせ構造を具え、この構造は、傾斜平面(72)とガラス又はPC基板(71)とを具える(それぞれndisk=1.5及び1.6)。金の層の代わりに、くさび構造の表面は、キャプチャープローブ層(73)が被覆される。好適には、媒体(74)を、n=1.33の水とする。
【0072】
図9は、サポートの読出しに対する光学的な読出し配置を示す。図9Aは、レーザ(10)からディスク(70)までの光路(70)を示し、これらの間には、コリメータ(30)、スプリッタ(40)、マスク(4)及び対物レンズ(6)が配置されている。キャプチャープローブ(73)が取り付けられたサポートマテリアル(71)及び(72)は、レーザ側に配置され、それに対して、リガンド(74)を含む媒体は、反対側に配置される。この配置は、ディスク/媒体界面でTIRが生じる光線のみ通過するように入射角を選択する遮断マスク(4)を有する。図9Bは、サポートから検出器までの戻り光路を示す。サーボ(82)に向かう直接反射/屈折光(222)と、検出器(81)に向けられる励起された表面分子からの(red-shifted)蛍光(221)との間の区別を行うために、ダイクロイックミラー(42)を配置することができる。
【0073】
図10は、遮断マスクの代わりにダイクロイック構造又は偏光検知マスク(4)を用いた図9の配置の変形は位置を示す。その結果、対物レンズ開口数NAに等しい開口角を有するコーンに放出される反射蛍光の全てが、収集され及び検出される。
【0074】
図11は、ディスクの表面構造の配置を示す。傾斜した平面を具える領域は、ディスクの中心から半径方向に広がるチャネルとして構成され(A)、又はディスクの中心の周りで方位角で配置された円で構成される(B)。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】「くさび」(wedged)配置で互いに隣接する同様に傾斜した三つの平面を有する本発明のサポートの二つのセクションを示す。
【図2】サポートの表面の後方に焦点を有する、サポートに向けられた光の光路を示す。
【図3】他のトラッキング層をサポートに設けた例を示す。
【図4】対物レンズ(3)によって発生した収束ビームによってディスク/媒体界面が照射される例を示す。
【図5】くさび状構造を対称な錐状構造に置換した例を示す。
【図6】図5と同じの構成を示す。
【図7】通常の近視野カップリング(near field coupling)を用いたサポートの読出しを示す。
【図8】対物レンズの開口数が臨界的なNA(critical NA)を超える本発明の実施の形態を示す。
【図9】サポートの読出しに対する光学的な読出し配置を示す。
【図10】遮断マスクの代わりにダイクロイック構造又は偏光検知マスク(4)を用いた図9の配置の変形は位置を示す。
【図11】ディスクの表面構造の配置を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形成されたエバネッセント場内の光学活性物質を検出するほぼ平行な二つの表面を具えるサポートであって、少なくとも一つの領域において、前記表面の平面が、前記サポートの平面に対して10°から85°の角度αwedgeだけ傾斜していることを特徴とするサポート。
【請求項2】
少なくとも10、好適には少なくとも100の前記領域を具えることを特徴とする請求項1記載のサポート。
【請求項3】
光学活性物質の検出が行われる前記表面が、上側平面によって被覆されることを特徴とする請求項1又は2記載のサポート。
【請求項4】
αwedgeを、15°と75°との間、好適には25°と65°との間とすることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項5】
前記サポートの屈折率を1.0より大きくするとともに2.0より小さくし、好適には、約1.4と1.8との間とすることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項6】
前記表面上の領域内で、傾斜した第1の平面に隣接する前記表面の第2の平面が、対称な錐構造が形成されるように傾斜したことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項7】
少なくとも一つのキャプチャープローブが、傾斜した平面の表面に取り付けられたことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項8】
キャプチャープローブを、蛋白質、特に、抗体、受容体、酵素、シグナリング蛋白質又はその断片;ペプチド、多糖類、核酸、特に、ssDNA,dsDNA及びRNA;核酸アナログ、特にPNA;及び小分子からなる群から選択したことを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項9】
前記サポートが、試薬及び/又はバッファを更に具えることを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項10】
前記サポートを光ディスクとしたことを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか1項に記載のサポート。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか1項に記載のサポートと、試薬及び/又はバッファとを具えることを特徴とするキット。
【請求項12】
サポートの表面に形成されたエバネッセント場内の光学活性物質を検出する装置であって、a)少なくとも一つの波長の実質的な単色光を出射する少なくとも一つの光源と、b)少なくとも一つの検出器手段とを具え、前記少なくとも一つの光源を、前記サポートの表面に向かいあうように配置し、前記サポートが前記装置内に配置される度に前記光学活性物質の検出が行われることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記検出器手段を、前記光源と同一の側に配置したことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記光源が、実質的な単色光を発生することを特徴とする請求項12から13のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
互いに相違する少なくとも二つの波長の実質的な単一光を発生する光源を具えることを特徴とする請求項12から14のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記光源の光路内にフィルタを配置したことを特徴とする請求項12から15のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記光源の光を前記サポート上に収束するために対物レンズを用いることを特徴とする請求項12から15のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
arcsin(nmedium/nsupport)−αwedgeより小さい角度で前記サポートに向かう全ての光をほとんどブロックするマスクを、前記光源の光路に配置することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、請求項1から10のうちのいずれか1項に記載されたサポートを具えることを特徴とする請求項12から18のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記サポートを光ディスクとしたことを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記サポートに添加される光学活性物質を含む媒体に形成されたエバネッセント場の深さdが10nmと1μmとの間、好適には、約20nmと200nmとの間になるように、前記光源から出射した光の波長、ディスクに向けられた光のサポートαNAの表面の傾斜した一つ以上の平面に対する角度αwedge、nsupport及びnmediumを選択したことを特徴とする請求項19又は20記載の装置。
【請求項22】
前記サポートの表面に形成されるエバネッセント場内の少なくとも一つの光学活性物質を検出するための請求項1から10のうちのいずれか1項に記載のサポート、請求項11に記載のキット、及び/又は請求項12から21のうちのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項23】
前記光学活性物質を、蛍光、光散乱及び/又は反射率変調によって検出することを特徴とする請求項22記載の使用。
【請求項24】
前記光学活性物質が、蛍光ラベル、散乱ラベル及び/又は反射率変調器でラベル付けしたリガンドを含むことを特徴とする請求項22又は23記載の使用。
【請求項25】
前記光学活性物質又はリガンドが、血液、尿、精液、膣分泌、便、唾液、組織、単細胞、リンパ、及び/又は、消化管又はそれから得られる内容物に含まれることを特徴とする請求項22から24のうちのいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
前記サポートの前記表面に対する前記光学活性物質の結合又は非結合を検出することを特徴とする請求項22から25のうちのいずれか1項に記載の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−516413(P2007−516413A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516683(P2006−516683)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050895
【国際公開番号】WO2004/113886
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】