説明

高感度実時間形状制御渦電流モニタシステム

研磨パッドを支持する表面を有するプラテンおよび渦電流信号を生成する渦電流モニタシステムを備える化学機械研磨用の装置。渦電流モニタシステムは、磁心および磁心の一部分の周囲に巻かれたコイルを有する。磁心は、後部部分と、後部部分からプラテンの表面に直角の第1の方向に延び、プラテンの表面と平行な第2の方向に幅を有する第1の突起部と、第1の突起部の両側に、第1の突起部から等距離に位置する、後部部分から第1の突出部と平行に延びる第2および第3の突起部とを有する。第2および第3の突起部のそれぞれと第1の突起部との間隔は、第1の突起部の幅のほぼ2倍に等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の化学機械研磨中の渦電流モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウェハ上に導電性、半導電性、または絶縁性の層を連続して堆積することによって、また引き続き各層を処理することによって、基板(例えば、半導体ウェハ)上に形成される。
【0003】
1つの製造ステップは、非平面表面上に充填層を堆積するステップ、および非平面表面が露出するまで充填層を平坦化するステップを含む。例えば、導電性の充填層は、パターンイングされた絶縁層上に堆積されて、絶縁層内のトレンチまたは孔を充填することができる。次に、充填層は、一段高くなった絶縁層のパターンが露出するまで研磨される。平坦化の後、この一段高くなった絶縁層のパターン間に残る導電層の各部分が、基板上の薄膜回路間の導電性経路となるビア、プラグ、および配線を形成する。さらに、平坦化は、リソグラフィ用に基板表面を平坦するために使用されうる。
【0004】
化学機械研磨(CMP)は、一般に認められた平坦化の1つの方法である。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッド上に取り付ける必要がある。基板の露出した表面が、回転する研磨パッドに対して配置される。キャリアヘッドは、基板に制御可能な荷重を与えて、基板を研磨パッドに押しつける。研磨剤粒子を有するスラリなどの研磨流体が、研磨パッドの表面に供給される。
【0005】
半導体処理中に、基板のまたは基板上の層の、1つまたは複数の特性を決定することが重要な場合がある。例えば、適正な時間に処理が終了されうるように、CMP処理中に導電層の厚さを知ることが重要な場合がある。数多くの方法が基板の特性を決定するために使用されうる。例えば、光学センサは、化学機械研磨中に基板をin−situモニタするために使用されうる。別法として(またはさらに)、渦電流感知システムは、基板上の導電性領域に渦電流を誘起して、導電性領域の局所的な厚さなどのパラメータを決定するために使用されうる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、化学機械研磨用の装置は、研磨パッドを支持する表面を有するプラテン、および渦電流信号を生成する渦電流モニタシステムを備える。渦電流モニタシステムは、プラテン内に少なくとも部分的に位置する磁心とこの磁心の一部分の周囲に巻かれたコイルとを有する。磁心は、後部部分と、後部部分からプラテンの表面に直角の第1の方向に延在し、プラテンの表面と平行な第2の方向に幅を有する第1の突起部と、第1の突起部の両側に、ならびに第1の突起部から等距離に位置する、後部部分から第1の突出部と平行に延びる第2および第3の突起部とを有する。第2および第3の突起部のそれぞれと第1の突起部との間の、第2の方向の間隔が、第1の突起部の幅のほぼ2倍に等しい。
【0007】
実現形態には、1つまたは複数の以下の特徴を含みうる。第2および第3の突起部は、第1の突起部の幅とほぼ等しい幅を有する。第1の突起部の幅は、約1mmでありえて、第2および第3の突起部のそれぞれと第1の突起部との間隔は、約2mmでありうる。第1、第2および第3の突起部のそれぞれは、第1の方向に、第1の突起部の幅よりも大きい、例えば第1の突起部の幅の約4倍の高さを有しうる。第1、第2および第3の突起部のそれぞれは、プラテンの表面に平行で、第2の方向と垂直な第3の方向に沿って、第1の突起部の幅よりも大きい長さを有しうる。この長さは、この幅の少なくとも10倍、例えばこの幅の約20倍でありうる。プラテンは、回転軸を中心として回転可能であり、第1、第2および第3の突起部の長さは、回転軸から磁心を通って延びるプラテンの半径と垂直でありうる。磁心は、第1の方向および第2の方向と平行な面内に、概ねE形状の断面を有しうる。コイルは、第1の突起部の周囲にのみ巻かれうる。研磨パッドは、バッキング層および研磨層を有し、バッキング層は、開孔を有し、磁心の突起部は、研磨層の底面を通り過ぎずに、バッキング層内の開孔内部に延在しうる。渦電流モニタシステムは、約1.5から2MHzの共振周波数を有しうる。
【0008】
別の態様では、化学機械研磨用の装置は、研磨パッドを支持する表面を有するプラテン、および渦電流信号を生成する渦電流モニタシステムを備える。渦電流モニタシステムは、プラテン内に少なくとも部分的に位置する磁心とコイルとを有する。磁心は、後部部分と、後部部分からプラテンの表面に直角の第1の方向に延在し、第1の方向に高さを有する第1の突起部分と、第1の突起部の両側に位置する、後部部分から第1の突出部と平行に延びる第2および第3の突起部とを有する。コイルは、第1の突起部の外側部分の周囲に巻かれ、外側部分より後部部分に近い、第1の突起部の内側部分の周囲には巻かれていない。内側部分は、突起部の高さの少なくとも約半分延在している。
【0009】
実現形態には、1つまたは複数の以下の特徴を含みうる。外側部分は、突起部の高さの約半分延在しうる。コイルを支持するために、第1の突起部と第2および第3の突起部との間の間隙に、少なくとも1つのスペーサが位置しうる。第1の突起部は、プラテンの表面に平行な第2の方向に幅を有し、第2および第3の突起部は、第1の突起部から等距離に位置しえて、第2および第3の突起部のそれぞれと第1の突起部との間の第2の方向の間隔は、第1の突起部の幅のほぼ2倍に等しくてよい。第1、第2および第3の突起部は、同じ高さを有しうる。第1の突起部は、プラテンの表面に平行な第2の方向に幅を有しえて、高さは、この幅よりも大きくてよい。第1の突起部は、プラテンの表面に平行な第2の方向に幅を有しえて、第1、第2および第3の突起部のそれぞれは、プラテンの表面に平行で、第2の方向と垂直な第3の方向に沿って、長さを有しえて、この長さは、第1の突起部の幅よりも大きい。コイルは、第1の突起部の周囲にのみ巻かれうる。研磨パッドは、バッキング層および研磨層を有しえて、バッキング層は開孔を有しえて、磁心の突起部は、研磨層の底面を通り過ぎずに、バッキング層内の開孔内部に延在しうる。渦電流モニタシステムは、約1.5から2MHzの共振周波数を有しうる。コイルは、第1の突起部の周囲を約12回巻かれうる。約1000pFの容量を有するコンデンサがコイルと並列にあってよい。
【0010】
一部の実現形態の潜在的な利点は、以下のことを含みうる。渦電流のモニタは、基板から比較的遠くに位置するセンサ、例えば研磨層内の凹部に突出しないセンサを用いて遂行されうる。研磨層から凹部を除去することによって、研磨の均一性およびパッドの寿命が改善されうる。厚さ測定の正確さは、薄い層に対して改善されえて、これにより、より薄い層に対する実時間形状制御が改善され、したがってウェハ内、およびウェハ間の均一性が改善されうる。さらに、厚さ測定の正確さは、銅よりも低い導電度の金属の研磨、例えばアルミニウムおよびタングステンの研磨に対して改善されうる。これによって、実時間の形状制御が改善され、したがってそうした低い導電度の金属に対して、ウェハ内およびウェハ間の均一性が改善されうる。
【0011】
1つまたは複数の実現形態の詳細を添付図面および以下の記載において説明する。他の態様、特徴および利点は、本説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】化学機械研磨装置の概略分解斜視図である。
【図2】渦電流モニタシステムおよび光学モニタシステムを有する化学機械研磨ステーションの概略側部部分断面図である。
【図3】キャリアヘッドの概略断面図である。
【図4】AおよびBは、それぞれ渦電流モニタシステムの概略図である。
【図5】AおよびBは、3つの突起部を有する渦電流モニタシステムの、それぞれ側面図および斜視図である。
【図6】AおよびBは、細長の磁心を使用した化学機械研磨装置の、それぞれ上面図および側面図である。
【図7】プラテンの表面上に基板を有するプラテンの上面図である。
【図8】A〜Dは、それぞれ、渦電流センサを使用して研磨終点を検出する方法を概略的に示す図である。
【図9】化学機械研磨後の基板上の金属層の厚さを示すグラフである。
【図10】金属層を研磨する方法を示す流れ図である。
【図11】金属層を研磨する代替の方法を示す流れ図である。
【0013】
様々な図面で同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
CMPシステムは、渦電流モニタシステムを使用して、基板上の上部金属層の厚さを検出することができる。上部金属層の研磨中、渦電流モニタシステムは、基板上の金属層の様々な領域の厚さを決定することができる。厚さ測定は、実時間で研磨処理の処理パラメータを調整するために使用されうる。例えば、基板キャリアヘッドは、基板の裏側の圧力を調整して、金属層の領域の研磨速度を増減することができる。研磨速度は、金属層の領域が、研磨後、実質的に同じ厚さになるように調整されうる。CMPシステムは、金属層の領域の研磨が、ほぼ同時に完了するように研磨速度を調整しうる。そうした形状制御は、実時間形状制御(RTPC)と呼ばれることがある。
【0015】
渦電流モニタに伴う1つの問題点は、正確な厚さを決めるための信号が十分でなく、その結果終点の決定および形状の制御において正確さに欠けることである。いかなる特定の理論に限定されるわけではなく、信号が不十分となる要因には、(a)基板から比較的遠くにセンサが配置され、その結果基板に到達する磁場が比較的弱いこと、(b)比較的高い抵抗を有する比較的薄い層、例えば2000オングストローム未満の銅を研磨すること、および(c)比較的導電度の低い金属、例えばアルミニウムまたはタングステンを研磨することが含まれる。
【0016】
信号の強度は、センサの適切な構成によって、著しく改善されうる。具体的には、3つの突起部を有する磁心に対して、各突起部の間隔をわずかにさらに離すことによって、ならびに中心の突起部の外側部分の周囲にコイルの巻き線を集中することによって、信号強度は改善されうる。さらに、渦電流センサの共振周波数は、研磨される層に対してチューニングされうる。全体として、センサが基板から比較的離れ、比較的薄い層が研磨され、および/または比較的低い導電度の金属が研磨されている場合でさえ、信号強度を、信頼性のある形状制御のために十分に増大させることができる。例えば、形状制御は、1000オングストローム未満の厚さの銅層に対して、およびアルミニウム層に対してさえ、確実に遂行されうる。
【0017】
別の技法は、異なる研磨ステーションで異なる渦電流モニタシステムを使用することである。例えば、第1の研磨ステーションが、金属層の初期の、例えば約1000オングストロームまでの厚さ範囲に対して選択された共振周波数を有する渦電流モニタシステムを有し、第2の研磨ステーションが、初期の厚さ範囲よりも低いその次の、例えば約200オングストロームまでの厚さ範囲に対して選択された共振周波数を有する渦電流モニタシステムを備えることができる。
【0018】
図1は、1つまたは複数の基板10を研磨するためのCMP装置20を示す。同様の研磨装置の記載が、米国特許第5,738,574号に見出しうる。研磨装置20は、一連の研磨ステーション22a、22bおよび22c、ならびに転送ステーション23を有する。転送ステーション23は、キャリアヘッドとローディング装置間で基板を転送する。
【0019】
各研磨ステーションは、研磨パッド30が配置される頂面25を有する回転可能なプラテン24を備える。第1および第2のステーション、22aおよび22bは、硬化した耐久性のある外側表面を有する2層の研磨パッド、または研磨剤粒子が埋め込まれた固定砥粒研磨パッドを有しうる。最後の研磨ステーション22cは、比較的軟化したパッド、または2層のパッドを有しうる。また、各研磨ステーションは、パッドコンディショナー装置28を有し、研磨パッドが効果的に基板を研磨するように研磨パッドの状態を維持することができる。
【0020】
図2を参照すると、2層の研磨パッド30は、通常、プラテン24の表面、および基板10を研磨するために使用されるカバー層34に隣接するバッキング層32を有する。カバー層34は、通常、バッキング層32よりも硬い。しかし、一部のパッドは、カバー層のみを有し、バッキング層を有さない。カバー層34は、充填材、例えば中空微粒子、および/または溝付き表面を有することがある、発泡または鋳造ポリウレタンから構成されうる。バッキング層32は、ウレタンで濾過した圧縮フェルト製ファイバから構成されうる。IC−1000からなるカバー層、およびSUBA−4からなるバッキング層を有する2層の研磨パッドは、Rodel,Inc.,Newark、Delawareから入手可能である(IC−1000およびSUBA−4は、Rodel,Inc.の製品名である)。
【0021】
研磨ステップ中に、スラリ38が、スラリ供給ポートまたはスラリ/リンス混合アーム39によって研磨パッド30の表面に供給されうる。研磨パッド30が標準的なパッドの場合は、スラリ38は研磨剤粒子(例えば、酸化膜研磨用の2酸化ケイ素)も含みうる。
【0022】
図1に戻って、回転可能なマルチヘッドのカルーセル(carousel)60は、4つのキャリアヘッド70を支持する。カルーセルは、カルーセルモータアセンブリ(図示せず)によって、カルーセル軸64を中心として中心支柱62により回転し、キャリアヘッドシステムおよびこれに付着する基板を、研磨ステーション22と転送ステーション23との間で周回させる。キャリアヘッドシステムのうちの3つは、基板を受け取り保持し、基板を研磨パッドに押しつけることによって基板を研磨する。その間、キャリアヘッドシステムのうちの1つは、転送ステーション23から基板を受け取り、転送ステーション23に基板を送り出す。
【0023】
各キャリアヘッド70は、キャリア駆動シャフト74によって、キャリアヘッド回転モータ76(カバー68の4分の1を取り除くことによって示す)に連結され、その結果各キャリアヘッドは、自らの軸を中心として独立に回転することができる。さらに、各キャリアヘッド70は、カルーセル支持板66内に形成された放射状スロット72内で、長手方向に独立に振動しうる。適切なキャリアヘッド70の記載は、米国特許第7,654,888号に見出すことができ、その開示全体が、参照により組み込まれる。動作にあたって、プラテンはその中心軸25を中心として回転し、キャリアヘッドはその中心軸71を中心として回転し研磨パッドの表面全体にわたって長手方向に平行移動する。
【0024】
図3は、キャリアヘッド70の1つを示す。キャリアヘッド70のそれぞれは、ハウジング102と、基部アセンブリ104と、ジンバル機構106(これは基部アセンブリ104の一部と見なしうる)と、ローディングチャンバ108と、保持リング200と、基板バッキングアセンブリ110とを有し、基板バッキングアセンブリ110は、内側チャンバ230,中間チャンバ232、234、236および外側チャンバ238など、複数の独立に加圧可能なチャンバを画定する可撓性膜116を有する。これらのチャンバは、可撓性膜の同心円領域上の圧力を制御し、したがって基板の同心円領域上の圧力を独立に制御する。一部の実現形態では、キャリアヘッド70のそれぞれは、5つのチャンバ、およびチャンバそれぞれに対する圧力調整器を有する。
【0025】
図2に戻って、渦電流モニタシステム40は、基板上の金属層内に渦電流を誘起する駆動システム、および駆動システムによって金属層内に誘起された渦電流を検出する感知システムを有する。モニタシステム40は、プラテンとともに回転する凹部26内に位置する磁心42と、磁心42の第1の部分の周囲に巻かれた駆動コイル49と、磁心42の第2の部分の周囲に巻かれた感知コイル46とを有する。駆動システム用に、モニタシステム40は、駆動コイル49に接続された発信器50を有する。感知システム用に、モニタシステム40は、感知コイル46と並列に接続されたコンデンサ52と、感知コイル46に接続されたRFアンプ54と、ダイオード56とを有する。発信器50,コンデンサ52、アンプ54、およびダイオード56は、プラテン24から離して置くことができ、回転式の電気合体部(electrical union)29を介してプラテン内の構成要素と結合させることができる。
【0026】
一部の実現形態では、バッキング層32は、凹部26上方に開孔を有する。開孔は、凹部26と同一の幅および深さを有しうる。あるいは、開孔は、凹部26よりも小さくてよい。カバー層34の一部分36は、バッキング層内の開孔の上方にありうる。カバー層34の一部分36は、スラリ38が凹部26に入るのを防止しうる。磁心42の一部は、開孔内に置かれうる。例えば、磁心42は、開孔内部に延びる突起部を有しうる。一部の実現形態では、磁心42の上部は、カバー層34の底面を通り過ぎて延在しない。
【0027】
動作にあたって、発信器50は、コイル49を駆動して、磁心42の本体を通り、磁心の突起部間のギャップ内部に延びる振動磁場を生成する。少なくとも磁場の一部分は、研磨パッド30の薄い部分36を通って、基板10内部に延びる。金属層が基板10上に存在する場合、振動磁場は、金属層内に渦電流を生成する。渦電流によって、金属層は、感知コイル46およびコンデンサ52と並列のインピーダンス源として働くようになる。金属層の厚さが変化すると、インピーダンスが変化し、結果として感知機構のQファクターが変化する。感知機構のQファクターの変化を検出することによって、渦電流センサは、渦電流の強度の変化、したがって、金属層の厚さの変化を感知することができる。
【0028】
反射率計または干渉計として機能しうる光学モニタシステム140は、凹部26内のプラテン24に、例えば渦電流モニタシステム40に隣接して固定されうる。したがって、光学モニタシステム140は、渦電流モニタシステム40によってモニタされているのと実質的に同じ基板上の場所の反射率を測定することができる。具体的には、光学モニタシステム140を、基板の一部分を測定するために、プラテン24の回転軸から、渦電流モニタシステム40と同じ半径方向距離に位置させることができる。したがって、光学モニタシステム140は、渦電流モニタシステム40と同じ経路で基板の端から端までスウィープすることができる。
【0029】
光学モニタシステム140は、光源144および検出器146を有する。光源は、透明な窓部分36および露出した基板10の表面に吹き付けられるスラリを通って伝搬する光線142を生成する。例えば、光源144は、レーザであってよく、光線142は、コリメートされたレーザビームであってよい。光レーザビーム142は、基板10の表面に直角の軸から角度αで、レーザ144から投射されうる。さらに、凹部26および窓36が細長い場合、窓の細長い軸に沿って光線を拡大するために、光線の経路内にビーム拡大噐(図示せず)を位置させることができる。全体的に、光学モニタシステムは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,159,073号および同6,280,289号に記載されているように機能する。
【0030】
また、CMP装置20は、磁心42および光源44が基板10直下にあるとき感知する、光学遮断器などの位置センサ80を有しうる。例えば、光学遮断器は、キャリアヘッド70に対向する固定された位置に取り付けられうる。フラグ82が、プラテンの周辺部に付けられる。フラグ82を付ける位置およびその長さは、透明部分36が基板直下10をスウィープする間に、フラグ82がセンサ80の光学信号を遮断するように選択される。あるいは、CMP装置は、プラテンの角度位置を決定するエンコーダを有することができる。
【0031】
汎用のプログラム可能なディジタルコンピュータ90は、渦電流感知システムからの強度信号および光学モニタシステムからの強度信号を受け取る。モニタシステムが、プラテンの各回転とともに基板直下をスウィープするため、金属層の厚さおよび下層の露出部に関する情報は、in−situで、かつ連続的な実時間ベースで蓄積される(プラテンの回転毎に1回)。コンピュータ90は、基板が概ね透明部分36の上に覆い被さるとき(位置センサによって決定されるが)、モニタシステムからの測定値をサンプリングするようにプログラムされうる。研磨が進行すると、金属層の反射率または厚さが変化し、サンプリングされる信号が時間とともに変わる。時間的に変化するサンプリングされる信号は、トレースと呼ばれる場合がある。モニタシステムからの測定値は、研磨中に出力装置92上に表示されえて、装置のオペレータが研磨動作の進行を視覚的にモニタすることが可能となる。
【0032】
動作にあたって、CMP装置20は、渦電流モニタシステム40および光学モニタシステム140を使用して、どの時点で大部分の充填層が除去されたかを決定し、どの時点で下にある停止層が実質的に露出されたかを決定する。コンピュータ90は、処理制御および終点検出ロジックをサンプリングされた信号に適用して、いつ処理パラメータを変更すべきか、およびいつ研磨終点を検出すべきかを決定する。検出器ロジックにとって可能性のある処理制御および終点の判断基準には、極小値または極大値、傾きの変化、大きさまたは傾きの閾値、もしくはそれらの組合せが含まれる。
【0033】
さらに、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,399,501号において論じられているように、コンピュータ90は、プログラムされえて、渦電流モニタシステム40および光学モニタシステム140の両方からの、基板直下の各スウィープによる測定値を複数のサンプリングゾーンに分割し、各サンプリングゾーンの半径方向の位置を計算し、大きさの測定値を半径範囲に分類し、各サンプリングゾーンに対して最小、最大、および平均の測定値を決定し、複数の半径方向範囲を用いて研磨終点を決定する。
【0034】
また、コンピュータ90は、キャリアヘッド70によって印加される圧力を制御する圧力機構、キャリアヘッド回転速度を制御するキャリアヘッド回転モータ76、プラテン回転速度を制御するプラテン回転モータ(図示せず)、または研磨パッドに供給されるスラリ組成物を制御するスラリ分配システム39に接続されうる。具体的には、測定値を半径範囲に分類した後、金属フィルムの厚さに関する情報が、実時間で閉ループコントローラに与えられて、周期的または連続的に、キャリアヘッドによって印加される研磨圧力プロファイルを修正し、これらことはさらに以下で議論される。
【0035】
図4Aは、形状情報を測定するための渦電流モニタシステム400の一例を示す。渦電流モニタシステム400は、渦電流モニタシステム40として使用されうる。渦電流感知とともに、振動磁場が基板上の導電性領域に渦電流を誘起する。渦電流は、渦電流感知システムによって生成される磁束線と結合する領域に誘起される。渦電流モニタシステム400は、E形状の本体を有する磁心408を有する。磁心408は、後部部分410、および後部部分410から延びる3つの突起部412a〜cを有しうる。
【0036】
磁心408の後部部分410は、概ね板形状のまたは長方形の箱形状の本体でありえて、プラテンの頂面と平行な、例えば研磨動作中の基板および研磨パッドと平行な上面を有しうる。一部の実現形態では、後部部分410の長軸は、プラテンの回転軸から延びるプラテンの半径と垂直である。後部部分410の長軸は、後部部分410の前面に直角でありうる。後部部分410は、プラテンの頂面に直角に測定される高さを有しうる。
【0037】
突起部412a〜cは、後部部分410から、後部部分410の頂面に直角の方向に延在し、実質的に直線的で、互いに平行である。突起部412a〜cのそれぞれは、プラテンの頂面と平行な、例えば研磨動作中の基板および研磨パッドの面に平行な方向に沿った長軸を有しえて、実質的に直線的で、互いに平行に延びる。突起部412a〜cの長軸は、突起部412a〜cの前面に直角でありうる。後部部分410の長軸は、突起部412a〜cの長軸と同じ方向に延在しうる。一部の実現形態では、突起部412a〜cの長軸は、研磨パッドの回転軸から延びる研磨パッドの半径と垂直である。2つの外側の突起部412a、412cは、中央の突起部412bの両側にある。外側の突起部のそれぞれ(例えば、412aおよび412c)と中心の突起部(例えば、412b)との間隔は、同じでありえて、すなわち外側の突起部412a、412cは、中央の412bから等距離にありうる。
【0038】
渦電流感知システム400は、並列のコイル422およびコンデンサ424を有する。コイル422は、磁心408と結合されうる(例えば、コイル422は、中心の磁心412bの周囲に巻かれうる)。コイル422およびコンデンサ424は、共同してLC共振タンクを形成することができる。動作にあたっては、電流ジェネレータ426(例えば、マージナル発信器回路を基にした電流ジェネレータ)は、(インダクタンスLを有する)コイル422および(容量Cを有する)コンデンサ424によって形成されるLCタンク回路の共振周波数でシステムを駆動する。電流ジェネレータ426は、正弦波発振のピークツーピークの振幅を一定値に維持するように設計されうる。振幅Voを有する時間依存性の電圧は、整流器428を使用して整流され、フィードバック回路430に供給される。フィードバック回路430は、電流ジェネレータ426が電圧振幅Voを一定に保つように駆動電流を決定する。そうしたシステムにとって、駆動電流の大きさは、導電性フィルムの厚さに比例しうる。マージナル発信器回路およびフィードバック回路は、参照によって組み込まれる、米国特許第4,000,458号および同7,112,960号にさらに記載されている。
【0039】
電流ジェネレータ426は、周波数が同じ状態のままとなるようにLC共振タンク回路に電流を与えることができる。コイル422は、振動磁場432を生成することができ、振動磁場432は、基板(例えば、基板10)の導電性領域406と結合しうる。導電性領域406が存在する場合、基板内で渦電流として消費されるエネルギーによって、発振振幅が低下しうる。電流ジェネレータ426は、振幅を一定に保つためにLC共振タンクにより多くの電流を与えることができる。電流ジェネレータ426によって与えられる追加の電流量が感知され、導電性領域406の厚さ測定に変換されうる。
【0040】
図4Bは、渦電流モニタシステム400の別の実現形態を示す。渦電流モニタシステム400は、振動磁場404を生成するための駆動コイル402を有することができ、振動磁場404は対象とする導電性領域406(例えば半導体ウェハ上の金属層の一部分)と結合しうる。駆動コイル402は、後部部分410の周囲に巻かれうる。振動磁場404は、導電性領域406内で局所的に渦電流を生成する。渦電流によって、導電性領域406が、感知コイル414およびコンデンサ416と並列のインピーダンス源として働くようになる。感知コイル414は、中心の突起部412bの周囲に巻き付けられうる。感知コイル414は、中心の突起部412bの外側部分に巻き付けられて、渦電流モニタシステム400の感度を増大させることができる。導電性領域406の厚さが変化すると、インピーダンスが変化し、その結果システムのQファクターが変化することになる。Qファクターの変化を検出することによって、渦電流モニタシステム400は、渦電流の強度の変化、したがって導電性領域の厚さの変化を感知することができる。したがって、渦電流モニタシステム400は、導電性領域の厚さなどの導電性領域のパラメータを決定するために使用されえて、または研磨終点などの関連するパラメータを決定するために使用されうる。具体的な導電性領域の厚さについて上記で論じたが、磁心408および導電層の相対的な位置は、数多くの様々な導電性領域に対する厚さの情報が得られるように変化しうることに留意されたい。
【0041】
一部の実現形態では、Qファクターの変化は、決められた駆動周波数および駆動振幅に対して、感知コイルの電流振幅を時間の関数として測定することによって決定されうる。渦電流信号は、整流器418を使用して整流され、振幅が出力部420を介してモニタされうる。あるいは、Qファクターの変化は、駆動信号と感知信号との位相差を時間の関数として測定することによって決定されうる。
【0042】
渦電流モニタシステム400は、基板上の導電層の厚さを測定するために使用されうる。一部の実現形態では、より高い信号強度、より高い信号対雑音比、および/または改善された空間解像度ならびに線形性を有する渦電流モニタシステムが望まれることがある。例えば、RTPC用途では、所望のウェハ間均一性を得るには、渦電流感知システムの改善が必要とされうる。
【0043】
渦電流モニタシステム400は、信号強度の向上、信号対雑音比の向上、線形性の向上、および安定性の向上をもたらしうる。改善された信号強度を有する渦電流システムを提供することによって、さらなる恩恵が得られる。改善された信号強度は、RTPCにとって特に有益である。高い解像度のウェハ形状情報を得ることによって、処理パラメータのより正確な調整が可能となり、したがってより小さな限界寸法(CD)を有するデバイスの製造が可能となる。
【0044】
一般に、in−situ渦電流モニタシステム400は、約50kHz〜10MHzの、例えば約1.5〜2.0MHz、例えば約1.6〜1.7MHzの共振周波数を有して構成される。例えば、感知コイル414は、約0.3から30マイクロHのインダクタンスを有し、コンデンサ416は、約470pFから約0.022μF、例えば1000pFの容量を有しうる。駆動コイルは、発信器からの駆動信号に適合するように設計されうる。例えば、発信器が低電圧で低インピーダンスを有する場合は、駆動コイルは、小さいインダクタンスを実現するようにより少ない巻き数を有しうる。一方、発信器が高電圧で高インピーダンスを有する場合は、駆動コイルは、大きなインダクタンスを実現するようにより多い巻き数を有しうる。一実現形態では、感知コイル414は、中心の突起部412bの周囲に12の巻き数を有し、駆動コイル402は、基部部分410の周囲に4つの巻き数を有し、発信器は、駆動コイル402を約0.1Vから5.0Vの振幅で駆動する。
【0045】
図5Aは、磁心500の別の例を示す。磁心500は、比較的高い透磁率(例えば、約2500以上のμ)を有する非導電性の材料から形成されるE形状の本体を有することができる。具体的には、磁心500はフェライトであってよい。磁心500は被覆されうる。例えば、水が磁心500内の細孔に入るのを防ぎ、コイルの短絡を防ぐために、パリレンなどの材料で被覆されうる。磁心500は、渦電流モニタシステム400内に備えられる磁心408と同一でありうる。磁心500は、後部部分502、および後部部分502から延びる3つの突起部504a〜cを有することができる。
【0046】
第1の突起部504bは、幅W1を有し、第2の突起部504aは、幅W2を有し、第3の突起部504cは、幅W3を有する。幅W1、W2およびW3のそれぞれは、同じであってよい。例えば、突起部504a〜cのそれぞれは、1mmの幅を有しうる。第1の突起部504bと第2の突起部504aは、距離S1だけ離れ、第1の突起部504bと第3の突起部504cは、距離S2だけ離れている。一部の実現形態では、距離S1およびS2は同一であり、第2の突起部504aおよび第3の突起部504cは、中心の突起部504bから同一の距離である。例えば、距離S1およびS2は両方とも約2mmでありうる。
【0047】
突起部504a〜cのそれぞれは、高さHpを有し、この高さHpは、突起部504a〜cが磁心500の後部部分502から延びる距離である。高さHpは、幅W1、W2およびW3よりも大きくてよい。一部の実現形態では、さらに高いHpは、突起部504a〜cを分離する距離S1およびS2よりも長い。具体的には、高さHpは、4mmでありうる。後部部分502は、高さHbを有する。高さHbは、距離S1または距離S2と同一であってよく、例えば2mmである。
【0048】
コイル506は、中心の突起部504bの周囲に巻かれうる。コイルは、コンデンサ416などのコンデンサと結合されうる。システム400などの渦電流モニタシステムの実現形態では、別個の感知および駆動コイルが使用されうる。一部の実現形態では、コイル506などのコイルは、リッツ線(均一なねじれパターンでかつ撚りの長さで一緒に束ねられ、または編まれた個別にフィルムで絶縁された線から構成される編み線)であってよく、このリッツ線は、渦電流感知で通常使用される周波数に対して、単線よりも損失が少なくなりうる。
【0049】
一部の実現形態では、コイル506は、中心の突起部504bの一部分の周囲に巻かれ、中心の突起部504b全体には巻かれなくてよい。例えば、コイル506は、中心の突起部504bの外側部分の周囲に巻き付けられうる。外側部分は、高さHoを有しうる。コイル506は、高はHiを有する、中心の突起部504bの内側部分に接しなくてよい。内側部分は、外側部分よりも後部部分502に近くでありうる。一部の実現形態では、高さHoおよびHiは、中心の突起部504bの高さHpの約半分である。あるいは、内側部分の高さHiは、外側部分の高さHoよりも大きくてよい。外側部分の高さHoは、内側部分の高さHiよりも大きくてよい。
【0050】
一部の実現形態では、スペーサ508はコイル506を支持し、コイル506が中心の突起部504bの内側部分に接触するのを防ぐことができる。スペーサ508は、絶縁体で作製されうる。スペーサ508は、磁心500に対する損傷を防ぐために、柔らかくてよい。例えば、スペーサ508は、プラスチック、ゴム、または木であってよい。スペーサ508は、磁心500に付着されえて、スペーサ508がCMP処理中に移動するのを防ぐことができる。
【0051】
図5Bは、磁心500の斜視図を示す。磁心500は、突起部504a〜cの幅W1、W2およびW3と、突起部504a〜cを分離する距離S1およびS2との合計である幅Wtを有しうる。磁心500は、突起部504a〜cの高さHpと、基部部分502の高さHbとの合計の高さHtを有する。一部の実現形態では、幅Wtは、高さHtよりも大きい。磁心500は、中心の突起部504bの幅W1よりも大きく、好ましくは磁心の幅Wtよりも大きな長さLtを有する。長さLtは、約10〜20mmであってよい。長さLtは、磁心500の幅Wtよりも大きくてよい。
【0052】
図6Aおよび6Bは、磁心602に対する基板600の相対的な位置に関する上面図および側面図を示す(磁心602は、図4の磁心408または図5の磁心500と同様であってよい)。半径Rを有するウェハ600の中心を通るスライスA−A’を通ってスキャンするために、磁心602は、その長軸がウェハ600の半径と垂直となるように配向される。磁心602は、図示するようにウェハの直径に対して平行移動する。磁心602の周囲に巻かれたコイルによって生成された磁場が、幅よりも大きな長さを有し、その上形が細長い導電性領域において渦電流を誘起することに留意されたい。しかし、この長さおよび幅は、一般に、磁心602の長さおよび幅と同一ではなく、導電性領域のアスペクト比および断面は、一般に磁心602のアスペクト比および断面とも異なる。
【0053】
図6Aおよび6Bの構成は、ウェハ600のスライスA−A’の大部分に対して解像度の改善を実現しうるが、磁心602が半径の最初および最後の区間604に沿って平行移動するとき、磁心602の一部分は基板に近接しない。したがって、区間604に対する測定は、精度がより低く、磁心602の、長さLtなどの最大の望ましい長さLを制限する可能性がある。加えて、磁心602が、ウェハ600の中心に近づくと、磁心602は、より大きな半径範囲をサンプリングしている。したがって、特定の半径方向距離r≒Rに対する空間的な解像度はr≒0に対する空間的な解像度よりも著しくよくなる。
【0054】
上記で説明したように、磁心602の長さLは、磁心602の幅Wよりも大きい。すなわち、アスペクト比L/Wは、1より大きい。L、W、およびL/Wに対する様々な値は、様々な実現形態に対して使用されうる。例えば、Wは、数分の1ミリメータから1センチメータを超える範囲であってよく、Lは、約1ミリメータ(Wのより小さな値に対する)〜10センチメータ以上であってよい。
【0055】
特定の一実現形態では、Wは、約1ミリメータ〜約10ミリメータであり、Lは、約1センチメータ〜約5センチメータである。より具体的には、磁心602は、約7ミリメータの幅であり、各突出部は幅が約1ミリメータ、また隣接する突出部間の各間隔は約2ミリメータでありうる。長さは、約20ミリメータでありうる。高さは、約6ミリメータであり、必要に応じてより多くのコイル巻き数を可能とするために増大されうる。もちろん、本明細書で示す各値は例示的なものであって、多くの他の構成が可能である。
【0056】
一部の実現形態では、磁心の長軸は、基板の半径と正確には垂直ではない場合がある。しかし、磁心は、入手可能な磁心の幾何学的形状に対して、特にウェハのエッジ近くで依然として解像度の改善を実現しうる。図7は、細長い磁心702が、プラテン704の真下に位置するCMPシステム700を示す。基板706の真下をスウィープする前に、磁心702は、位置708にある、位置708において、磁心702は、基板706の半径Rとほぼ垂直に位置する。したがって、r≒Rに対して、磁心702の周囲に巻かれたコイルによって生成された磁場と結合する導電層の部分は、概ね、ウェハの中心から同じ半径方向距離にある。プラテン704および基板706は両方とも、磁心702が基板706の直下をスウィープするとき回転していることに留意されたい。基板706も、図示するようにプラテン704に対してスウィープすることができる。加えて、フラグ710およびフラグセンサ712は、プラテン704の回転位置を感知するために使用されうる。
【0057】
はじめに、図4および8Aを参照して、研磨を行う前に、発信器50は、基板が全くない状態でLC回路の共振周波数にチューニングされる。この共振周波数は、結果としてRFアンプ54からの出力信号の最大振幅をもたらす。
【0058】
図8Bに示すように、研磨動作に対して、基板10は、研磨パッド30に接触して配置されている。基板10には、シリコンウェハ12、および1つまたは複数のパターニングされた下層14上に配列された導電層16、例えば銅やアルミニウムなどの金属が含まれ、1つまたは複数のパターニングされた下層14は、半導体、導体または絶縁体の層でありうる。タンタルや窒化タンタルなどのバリア層18は、金属層を下にある誘電体から分離することができる。パターニングされた下層14は、金属的な特徴を有するもの、例えばビア、パッドおよび相互接続部を含みうる。研磨する前、大部分の導電層16は、はじめは比較的厚く連続しているので、導電層は低い抵抗を有し、比較的強い渦電流が導電層内で生成されうる。渦電流は、金属層を感知コイル46およびコンデンサ52と並列のインピーダンス源として機能させる。その結果、導電性フィルム16の存在により、センサ回路のQファクターが減少し、これによってRFアンプ54からの信号振幅が著しく減少する。
【0059】
図8Cを参照すると、基板10が研磨されると、大部分の導電層16が薄くなる。導電層16が薄くなると、そのシート抵抗が増大し、金属層内の渦電流が弱くなる。その結果、導電層16とセンサ回路間の結合が低下する(すなわち、仮想的なインピーダンス源の抵抗が増大する)。結合が減少すると、センサ回路のQファクターは、その元の値に向かって増大し、RFアンプ54からの信号振幅を上昇させる。
【0060】
図8Dを参照すると、最終的に、大部分の導電層16が除去され、パターニングされた絶縁層14間のトレンチ内に導電性相互接続部16が残る。この時点で、全体的に小さく、全体的に不連続な、基板内の導電性部分とセンサ回路間の結合が最小値に達する。その結果、センサ回路のQファクターが最大の値に達する(基板が全く存在しない場合のQファクターほど大きくはないが)。これによってセンサ回路からの出力信号の振幅が頭打ちになる。
【0061】
図9は、導電層を研磨した後の導電層の厚さのグラフ900を示す。グラフ900上の線902は、ウェハの中心からの距離を変化させて測定した導電層の厚さ(オングストローム単位の)を示す。例えば、CMPシステムは、磁心500を使用してアルミニウム層を研磨して、基板の様々な領域におけるアルミニウムの厚さのばらつきをモニタすることができる。CMPシステムは、光学モニタシステムを使用して、アルミニウム層が約200オングストロームの厚さになる時点を決定し、研磨を終了することができる。一部の実現形態では、磁心500を使用し、研磨中に基板の裏側の圧力を調整することによって、基板の厚さばらつきが最大でも50オングストロームの範囲内にあるアルミニウム層が得られる。一部の実現形態では、磁心500または磁心408を使用することによって、ウェハ内のばらつきに加えてウェハ間のばらつきが低減される。
【0062】
図10は、銅やアルミニウムなどの、基板上の金属層を研磨する処理1000の例示的な流れ図を示す。基板は、第1の研磨ステーション22aにおいて研磨され、第1の渦電流モニタシステムが、所定の厚さの金属層が残ったことを示すまで、大部分の金属層を除去する(1002)。例えば、8000オングストロームの銅層は、渦電流モニタシステムが、銅層が約2000オングストロームの厚さになったことを示すまで研磨されうる。別の例として、4000オングストロームのアルミニウム層は、渦電流モニタシステムが、アルミニウム層が約1000オングストロームの厚さになったことを示すまで研磨されうる。研磨処理は、渦電流モニタシステム40によってモニタされうる。所定の厚さ、例えば2000オングストロームの銅層14が、下にあるバリア層16上に残ったとき、研磨処理は中断され、基板は第2の研磨ステーション22bに転送される。振幅信号が実験的に求められた閾値を超えたとき、この第1の研磨終点がトリガされうる。
【0063】
第1の研磨ステーション22aにおいて研磨が進行すると、基板上のキャリアヘッド70の様々なチャンバの圧力を制御するために、渦電流モニタシステム40からの半径方向の厚さ情報が、閉ループフィードバックシステムに与えられうる。研磨パッド上のリングを保持する圧力も研磨速度を調整するために調整されうる。これによって、キャリアヘッドは、研磨速度の不均一性、または入ってくる基板の金属層の厚さの不均一性を補償することが可能となる。結果として、第1の研磨ステーションでの研磨後、かなりの量の金属層が除去され、基板上に残る金属層の表面は実質的に平坦化される。
【0064】
キャリアヘッド70は、基板を、第2の研磨ステーション22bにある第2のプラテンに転送する(1004)。基板は、研磨が第2のプラテンで開始されるとき、高圧で短時間研磨されうる(1006)。「開始」ステップと呼ばれることのあるこの初期の研磨は、金属層上に形成される自然酸化物を除去し、またはプラテンの回転速度およびキャリアヘッドの圧力の上昇を補償して、期待されたスループットを維持するために必要とされうる。
【0065】
任意選択で、第2の研磨ステーション22bにおいて、基板は、第1の研磨ステーションよりも低い研磨速度で研磨され、第2の渦電流モニタシステムが金属層の厚さを測定する(1008)。例えば、研磨速度は、第1の研磨ステーション22aの研磨速度から、約2分の1から4分の1に、例えば、約50%から75%だけ低減される。研磨速度を低減するために、キャリアヘッドの圧力が低減され、キャリアヘッドの回転速度が低減され、研磨スラリの組成物が変更されて研磨スラリがよりゆっくりと導入され、および/またはプラテンの回転速度が低減されうる。例えば、キャリアヘッドからの基板上への圧力は、約33%から50%だけ低減されえて、プラテンの回転速度およびキャリアヘッドの回転速度は、両方とも約50%だけ低減されうる。
【0066】
第2の渦電流モニタシステムは、研磨中金属層の厚さを測定する。測定値は、閉ループフィードバックシステムに与えられ、基板上のキャリアヘッド70の様々なチャンバの圧力を制御して、金属層を均一に研磨することができる。一部の実現形態では、例えば銅層の研磨に対して、第2の渦電流モニタシステムは、第1の渦電流モニタシステムと異なり、例えば異なる共振周波数を有しうる。例えば、第1の渦電流モニタシステムは、第2の渦電流モニタシステムよりも厚い金属層の厚さを検出するようにチューニングされた共振周波数を有しうる。例えば、第1の渦電流モニタシステムは、約320kHzから400kHz、例えば400kHzの共振周波数を有しえて、第2の渦電流モニタシステムは、約1.5〜2.0MHz、例えば約1.6MHz〜1.7MHzの共振周波数を有する。これにより、一部の金属層、例えば銅の研磨に対して、第1の研磨ステーションにおいて2000オングストロームを上回る層の厚さを正確に測定することが可能となり、第2の研磨ステーションにおいて2000オングストロームを下回る、例えば約200オングストロームまでの層の厚さを正確に測定することが可能となる。したがって、圧力のフィードバック制御は、金属層が200から300オングストロームの厚さを有するようになるまで実行されえて、この時点においてフィードバック制御の動作が停止させられうる。
【0067】
一部の実現形態において、例えばアルミニウム層の研磨に対して、第1の渦電流モニタシステムおよび第2の渦電流モニタシステムは、同一のタイプであり、例えば、両方の渦電流システムは、同一の共振周波数、例えば約1.5〜2.0MHz、例えば約1.6〜1.7MHzの共振周波数を使用する。
【0068】
渦電流センサの感度が改善されることで、より薄い金属層(例えば、銅)の厚さにおいて、例えば1000オングストロームを下回り、例えば500オングストロームを下回り、例えば約200または300オングストロームまでの厚さにおいて、キャリアヘッドの様々なチャンバによって印加される圧力の閉ループ制御を、より高い信頼性で、実行することが可能となりうる。さらに、渦電流センサの感度が改善されることで、より低い導電度(銅と比べて)の金属層、例えばアルミニウム層に対して、キャリアヘッドの様々なチャンバによって印加される圧力の閉ループ制御を、より高い信頼性で、実行することが可能となりうる。渦電流センサの感度が改善されることで、基板からさらに遠くに離間するセンサ、例えば、磁心がバッキング層の上部より上に突出しないシステムに関し、キャリアヘッドの様々なチャンバによって印加される圧力の閉ループ制御を、より高い信頼性で、実行することが可能となりうる。
【0069】
研磨処理は、第2の研磨ステーション22bにおいて光学モニタシステムによってモニタされうる。研磨は、金属層が除去され、下にあるバリア層が露出されるまで、第2の研磨ステーション22bにおいて進行する(1010)。もちろん、ごく一部の金属層は基板上に残りうるが、金属層は実質的に完全に除去される。光学モニタシステムは、バリア層が露出されると反射率の変化を検出することができるので、終点を決定するために有用である。具体的には、光学モニタ信号の振幅または傾きが、コンピュータによってモニタされる全半径方向範囲にわたって、実験的に求められた閾値を下回ったときに、第2の研磨ステーション22bに対する終点がトリガされうる。このことは、バリア金属層が実質的に基板全体にわたって除去されたことを示す。もちろん、研磨が第2の研磨ステーション22bにおいて進行すると、光学モニタシステム40からの反射率情報は、閉ループフィードバックシステムに与えられて、基板上のキャリアヘッド70の様々なチャンバによって印加される圧力を制御して、最も早く露出したバリア層の領域が研磨過剰となるのを防止することができる。
【0070】
バリア層が露出される前に研磨速度を低減することによって、ディッシング効果および浸食効果を低減することができる。さらに、研磨機械の相対的な反応時間が改善され、これにより研磨機械が研磨を中断して、第3の研磨ステーションに転送し、最終的な終点判断基準が検出された後に材料があまり除去されることのないようにすることが可能となる。その上、予想される研磨終点時点の近くでより多くの強度測定値を収集することができ、それによって潜在的に研磨終点の計算の精度を改善することができる。しかし、第1の研磨ステーションにおいて、大部分の研磨動作を通して高い研磨速度を維持することによって、高いスループットが実現される。
【0071】
金属層が第2の研磨ステーション22bにおいて除去されると、基板は、第3の研磨ステーション22cに転送される(1012)。任意選択で、基板は、開始ステップで短時間、例えば約5秒、やや高い圧力で研磨されうる。研磨処理は、研磨ステーション22cにおいて光学モニタシステムによってモニタされ、基板上の露出された層がバフ研磨(buff)されるまで続行する(1014)。一部の実現形態では、バリア層は、実質的に除去され、下にある誘電体層が、実質的に第3の研磨ステーション22cにおいて露出される。同じスラリ溶液を第1および第2の研磨ステーションにおいて使用することができ、別のスラリ溶液を第3の研磨ステーションにおいて使用することができる。
【0072】
銅層やアルミニウム層などの金属層を研磨する代替の方法1100を、図11に流れ図の形態で示す。高速の研磨ステップおよび低速の研磨ステップは、両方とも第1の研磨ステーション22aにおいて実行される(1102、1104)。基板のバフ研磨、および/またはバリア層の除去は、第2の研磨ステーション22bにおいて実行されうる。あるいは、バリア層は、第2の研磨ステーション22bにおいて除去され、バフ研磨ステップは、最後の研磨ステーション22cにおいて研磨されうる。
【0073】
基板が第1の研磨ステーション22aにおいて除去されている間、第1の渦電流モニタシステムは、金属層の厚さを測定し、測定値が閉ループのフィードバックシステムに与えられて、基板上のキャリアヘッド70の様々なチャンバの圧力、および/または荷重領域を制御して、金属層を均一に研磨することができる(1102、1105)。圧力のフィードバック制御は、金属層が200から300オングストロームの厚さを有するようになるまで実行され、この時点においてフィードバック制御が停止されうる。
【0074】
任意選択で、渦電流モニタシステムが、所定の厚さの、例えばアルミニウムに対しては1000オングストローム未満の金属層が基板上に残ったことを示したとき、基板は、低減された速度で、例えば基板の裏側の圧力を低減することによって研磨される(1104)。研磨速度が低減された後、研磨システムは、引き続き渦電流システムを使用して、金属層の厚さを測定し、基板の裏側上のキャリアヘッド70内の圧力を調整して金属層の様々領域を均一に研磨することができる(1105)。
【0075】
光学モニタシステムは、下層が少なくとも部分的に露出されたことを決定し、研磨が停止する(1106)。例えば、光学モニタシステムは、下にあるバリア層16が部分的に露出されたことを決定することができる。キャリアヘッド70は、基板を第2のプラテンに転送する(1108)。基板は、第2のプラテンにおいてバフ研磨される(1110)。
【0076】
渦電流および光学モニタシステムは、様々な研磨システムにおいて使用されうる。研磨パッドまたはキャリアヘッドのいずれかが、もしくは両方ともが研磨表面と基板との間の相対的な動きをもたらすように移動することができる。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(または他の何らかの形状の)パッド、送りローラと巻き取りローラとの間に延びるテープ、または連続的なベルトであってよい。研磨パッドは、プラテン上に貼り付けられ、研磨動作間にプラテン上を逐次進み、または研磨中にプラテン上で連続して駆動されうる。パッドは、研磨中プラテンに固定されえて、または研磨中プラテンと研磨パッドの間には流体ベアリングがありうる。研磨パッドは、標準的な(例えば、充填剤を有する、または有さないポリウレタンの)粗いパッド、軟化パッド、または固定砥粒研磨パッドとすることができる。発信器の駆動周波数は、基板が存在しないときにチューニングするよりもむしろ、研磨済みまたは未研磨の基板が存在する状態で(キャリアヘッドを有するか有しない状態で)、共振周波数に対して、もしくは他の何らかの基準に対してチューニングされうる。
【0077】
光学モニタシステム140は、同じ孔に位置するように示されているが、渦電流システム40とは異なる、プラテン上の場所に位置してよい。例えば、光学モニタシステム140および渦電流モニタシステム40は、交互に基板表面をスキャンするように、プラテンの両側に位置してよい。
【0078】
数多くの本発明の実施形態について説明した。それにもかかわらす、様々な変更形態が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく作製されうることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨用の装置であって、
研磨パッドを支持する表面を有するプラテン、および
前記プラテン内に少なくとも部分的に位置する磁心と前記磁心の一部分の周囲に巻かれたコイルとを有する、渦電流信号を生成するための渦電流モニタシステム
を備え、前記磁心が、
後部部分と、
前記後部部分から前記プラテンの前記表面に直角の第1の方向に延び、前記プラテンの前記表面と平行な第2の方向に幅を有する第1の突起部と、
前記第1の突起部の両側に、前記第1の突起部から等距離に、前記後部部分から第1の突出部と平行に延びる第2および第3の突起部であって、前記第2および第3の突起部のそれぞれと前記第1の突起部との間の前記第2の方向の間隔が、前記第1の突起部の前記幅のほぼ2倍に等しい前記第2および第3の突起部と
を含む、装置。
【請求項2】
前記第2および第3の突起部が、前記第1の突起部の前記幅とほぼ等しい幅を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1、第2、および第3の突起部のそれぞれが、前記第1の方向に、前記第1の突起部の前記幅よりも大きい高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1、第2、および第3の突起部のそれぞれが、前記プラテンの前記表面に平行で、前記第2の方向と垂直な第3の方向に沿って、前記第1の突起部の前記幅よりも大きい長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プラテンが、回転軸を中心として回転可能であり、前記第1、第2、および第3の突起部の前記長さが、前記回転軸から前記磁心を通って延びる前記プラテンの半径と垂直である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記磁心が、前記第1の方向および前記第2の方向と平行な面内で、概ねE形状の断面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コイルが前記第1の突起部の周囲にのみ巻かれている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記渦電流モニタシステムが約1.5から2MHzの共振周波数を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
化学機械研磨用の装置であって、
研磨パッドを支持する表面を有するプラテン、および
前記プラテン内に少なくとも部分的に位置する磁心と、コイルとを有する、渦電流信号を生成するための渦電流モニタシステム
を備え、前記磁心が、
後部部分と、
前記後部部分から前記プラテンの前記表面に直角の第1の方向に延び、前記第1の方向に高さを有する第1の突起部と、
前記第1の突起部の両側に、前記後部部分から第1の突出部と平行に延びる第2および第3の突起部と
を有しており、前記コイルが、前記第1の突起部の外側部分の周囲に巻かれており、前記第1の突起部の前記高さの少なくとも約半分に亘って延びる前記第1の突起部の内側部分であって、前記外側部分よりも前記後部部分に近い内側部分の周囲には巻かれていない、装置。
【請求項10】
前記外側部分が前記突起部の前記高さの約半分に亘って延びる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コイルを支持するために、前記第1の突起部と前記第2および第3の突起部との間の間隙に位置する少なくとも1つのスペーサをさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第1、第2、および第3の突起部が同じ高さを有する、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記コイルが前記第1の突起部の周囲にのみ巻かれている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記渦電流モニタシステムが約1.5から2.0MHzの共振周波数を有する、請求項9に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2013−518440(P2013−518440A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551207(P2012−551207)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022132
【国際公開番号】WO2011/094135
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】