説明

高耐熱性絶縁材製造用組成物及びこれを用いて製造された高耐熱絶縁電線

【課題】中心導体10の最大許容電流値が高くても耐電圧性または耐熱性に優れ、柔軟性を向上できる絶縁層11またはシース層13の製造に用いる高耐熱性絶縁材製造用組成物及びこれを用いて製造された高耐熱絶縁電線を提供する。
【解決手段】本発明による高耐熱性絶縁材製造用組成物の1つは、フッ素系ゴム100重量部に対して0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする。本発明によれば、従来の導体の断面積に基づく許容電流の2倍以上の電流を流せる耐熱電線を提供することができる。また、従来の電線に比べて外径を30%以上減少させることができ、電線重量も40%以上減量させることができるため、軽量性及び柔軟性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐熱性絶縁材製造用組成物及びこれを用いて製造された高耐熱絶縁電線に関し、より詳しくは、中心導体の最大許容電流値が高くても耐電圧性または耐熱性に優れ、柔軟性を向上できる絶縁層またはシース層の製造に用いられ得る高耐熱性絶縁材製造用組成物及びこれを用いて製造された高耐熱絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器用や自動車などに使われる電力用電線の場合、適用電圧及び電流に応じて適正規格以上の導体を使わなければならない。特に、一定容量以上の電流が流れるためには、導体の抵抗により導体から発生する熱を考慮して、導体の断面積が一定レベル以上に保持される必要がある。一方、電線が敷設された周辺の温度の影響で電線またはケーブルの温度が上昇する場合を考慮すると、一定電流を流すためには導体の断面積を大きくせざるを得ない。近年、電子装備または自動車に使われるケーブルは小型化及び軽量化が求められ、特に狭い空間にケーブルを敷設するためにはケーブルの外径縮小及び柔軟性向上が求められている。
【0003】
従来の技術では、敷設の容易性と柔軟性を確保するために、導体の大きさを減らし、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、架橋ポリエチレン(PE)、または架橋ポリオレフィンを絶縁材料として用いて導体を被覆している。しかし、電流容量が高くなれば、導体の発熱によって導体を被覆した絶縁体が融けるか、又は長期間の使用によって絶縁体が破壊され、漏電による火災や感電などの安全事故が憂慮されている。このような問題点を解決するために、溶融温度が高い耐熱樹脂を絶縁材料として用いる試みがあったが、エンジニアリングプラスチックのように溶融温度の高い耐熱樹脂は結晶性樹脂であって、常温における剛性とモジュラスが高く、ケーブルの柔軟性が低下して敷設が容易ではないという問題が指摘されている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−282926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、導体からの発熱に対する耐性と敷設容易性の問題を解決するために多くの努力が関連業界で行われ、このような技術的背景から本発明が案出された。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、中心導体の断面積に基づく最大許容電流を向上させると共に導体からの発熱に対する十分な耐性を保持し、また、電線の中心導体を包む絶縁層の柔軟性を確保して敷設容易性を確保しようとすることであり、このような課題が達成できる高耐熱性絶縁材製造用組成物及びこれを用いた絶縁電線を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が解決しようとする課題を達成するために提供される高耐熱性絶縁材製造用組成物の一態様(以下、「第1組成物」と称する。)は、フッ素系ゴム100重量部に対して0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする。絶縁電線の中心導体の外面を包む高耐熱性絶縁層の製造にはこの第1組成物を用いることが望ましい。
【0008】
本発明が解決しようとする課題を達成するために提供される高耐熱性絶縁材製造用組成物の他の態様(以下、「第2組成物」と称する。)は、エチレン系共重合樹脂、ポリエチレン系樹脂、スチレン系樹脂、ゴム、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、クロロポリエチレン樹脂、及びクロロスルホン化ポリエチレンの中から選択されたいずれか1つまたは2つ以上の物質からなる基本樹脂100重量部に対して0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする。中心導体、前記中心導体を包む絶縁層、前記絶縁層を包む編組層、前記編組層を包んで最外層を形成するシース層からなる高耐熱性絶縁電線において、前記シース層の製造にはこの第2組成物を用いることが望ましい。
【0009】
本発明が解決しようとする課題を達成するために提供される高耐熱性絶縁電線は、中心導体、前記中心導体を包む絶縁層、前記絶縁層を包む編組層、前記編組層を包んで最外層を形成するシース層からなり、前記絶縁層は前述した第1組成物を用いて形成され、前記シース層は前述した第2組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の導体の断面積に基づく許容電流の2倍以上の電流を流せる耐熱電線を提供することができる。また、従来の電線に比べて外径を30%以上減少させることができ、電線重量も40%以上減量させることができるため、軽量性及び柔軟性を持つ高耐熱電線を提供することができる。すなわち、本発明による高耐熱性絶縁材製造用組成物を絶縁電線の絶縁層またはシース層製造用に用いれば、高耐熱性の面でその商用性が向上し、許容電流を1.5倍以上向上させることができる。また、絶縁層またはシース層の柔軟性が向上する長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0012】
本発明による第1組成物は、フッ素系ゴム100重量部に対して0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする。前記架橋剤の含量が数値範囲の下限に達しないと、規格で求める引張強度と高温における耐熱性が得られないため、望ましくない。また、上限を超えると、伸長率が急激に低下し、圧出加工時、発熱によるスコーチ(scorch)現象が発生して望ましくない。
【0013】
前記フッ素系ゴムは、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレンテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンプロピレン、テトラフルオロエチレンプロピレンフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンペルフルオロメチルビニルエーテルフッ化ビニリデン、及びテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンエチレンペルフルオロメチルビニルエーテルフッ化ビニリデンの中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であれば望ましいが、必ずこれに限定されることはない。
【0014】
前記架橋剤は、ジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)−ペルオキシド[Di−(2,4−dichlorobenzoyl)−peroxide]、ジベンゾイルペルオキシド[Dibenzoyl peroxide]、第三ブチルペルオキシベンゾエート[tert−Butyl peroxybenzoate]、1,1−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン[1,1−di−(tert−butylperoxy)−3,3,5−Trimethylcyclohexane]、ジクミルペルオキシド[Dicumyl peroxide]、第三ブチルクミルペルオキシド[tert−Butylcumylperoxide]、ジ−(2−第三ブチル−ペルオキシイソプロピル)−ベンゼン[di−(2−tert−butyl−peroxyisopropyl)−benzene]、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−ヘキサン[2,5−Dimethyl−2,5−di−(tert−butylperoxy)−hexane]、ジ−第三ブチルペルオキシド[Di−tert−butylperoxide]、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3[2,5−dimethyl−2,5−di(tert−butylperoxy)hexyne−3]の中から選択された1つの単一物または2つ以上の混合物であることが望ましいが、必ずこれに限定されることはない。望ましくは、絶縁電線の中心導体の外面を包む高耐熱性絶縁層の製造に前述した第1組成物が用いられる。
【0015】
本発明による第2組成物は、エチレン系共重合樹脂、ポリエチレン系樹脂、スチレン系樹脂、ゴム、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、クロロポリエチレン樹脂、及びクロロスルホン化ポリエチレンの中から選択されたいずれか1つまたは2つ以上の物質からなる基本樹脂100重量部に対して0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする。前記架橋剤の含量が数値範囲の下限に達しないと、規格で求める引張強度と高温における耐熱性及び耐摩耗性を確保することができず望ましくない。また、上限を超えると、伸長率が急激に低下して望ましくない。
【0016】
前記基本樹脂として選択されるエチレン系共重合樹脂は、エチレンビニルアセテート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンブチルアクリレート共重合体、エチレンアルコールアクリレート共重合体、エチレンブテン共重合体、及びエチレンオクテン共重合体の中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることが望ましいが、必ずこれに限定されることはない。
【0017】
前記基本樹脂として選択されるポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンの中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることが望ましいが、必ずこれに限定されることはない。
【0018】
前記基本樹脂として選択されるスチレン系樹脂は、スチレンブテンスチレン樹脂、スチレンエチレンブテンスチレン樹脂、及びスチレンエチレンプロピレンスチレン樹脂の中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることが望ましいが、必ずこれに限定されることはない。
【0019】
前記基本樹脂として選択されるゴムは、エチレンプロピレンゴム、及びクロロプロピレンゴムの中から選択されたいずれか1つの単一物または2つの混合物であることが望ましいが、必ずこれに限定されることはない。
【0020】
前記架橋剤は、ジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)−ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルペルオキシド、第三ブチルクミルペルオキシド、ジ−(2−第三ブチル−ペルオキシイソプロピル)−ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジ−第三ブチルペルオキシド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシド)ヘキシン−3の中から選択された1つの単一物または2つ以上の混合物であることが望ましいが、必ずこれに限定されることはない。
【0021】
中心導体、前記中心導体を包む絶縁層、前記絶縁層を包む編組層、前記編組層を包んで最外層を形成するシース層からなる高耐熱性絶縁電線において、前記シース層の製造に前述した第2組成物を用いることが望ましい。
【0022】
本発明による高耐熱性絶縁電線は、中心導体、前記中心導体を包む絶縁層、前記絶縁層を包む編組層、前記編組層を包んで最外層を形成するシース層からなり、前記絶縁層は前述した第1組成物を用いて形成し、前記シース層は前述した第2組成物を用いて形成することができる。
【0023】
以下、本発明による実施例と比較例を区分・設定してケーブルを製造した後、ケーブル試片に対して物理的特性を比較評価しながら、本発明の優れた効果を具体的に説明する。
【0024】
下記表1に示されたように、前述した第1組成物の範疇に含まれる具体的な第1実施例ないし第4実施例を設定した。また、これに対比する第1比較例ないし第3比較例を設定し、下記表1に記載された成分と含量に従って用意した組成物を用いてそれぞれの絶縁層を形成し、この絶縁層で中心導体を包んだ絶縁電線を製造した。
【0025】
【表1】

【0026】
表1の記載に従って用意したそれぞれの絶縁電線に対し、加熱後の耐電圧測定及び最大許容電流値を測定して、その結果を下記表2に示した。下記表2における加熱後の耐電圧の評価は、180℃以上の温度条件で最大連続使用温度が200℃である材料において、225℃で240時間加熱した後、その特性が維持されるか否か、及び200℃の温度条件で3,000時間加熱した後、2.5kV印加時の耐電圧特性を満たしているか否かを基準に、合格または不合格を判定した。
【0027】
【表2】

【0028】
表2から確認できるように、加熱後の耐電圧評価では第1実施例ないし第4実施例全てが合格と判定されたが、第1比較例ないし第3比較例は、耐圧実験時、絶縁体の破壊現象が現れ不合格と判定された。また、許容電流の場合には、第1実施例ないし第4実施例では第1ないし第3比較例に比べて最小1.5倍以上の許容電流が測定された。このことから、本発明による第1組成物の場合には、高耐熱特性を見せていることが分かる。
【0029】
下記表3に示されたように、前述した第2組成物の範疇に含まれる具体的な第5実施例ないし第8実施例、及びこれに対比する第4比較例ないし第6比較例を設定し、下記表3に記載された成分と含量に従って用意した組成物を用いて絶縁電線のシース層として用いるための試片を製造した。
【0030】
【表3】

【0031】
表3に示された組成と含量を持つ組成物を用いて130℃程度のオープンロールで混練してから、170℃温度のプレスで20分間成形した後、絶縁電線用シース層の製造に利用できる高分子材料の試片をそれぞれ製造した。製造したそれぞれの試片に対して加熱特性、モジュラス(modulus)、ヤングモジュラス(Young’s modulus)をそれぞれ測定し、下記表4に示した。
【0032】
このとき、加熱特性は180℃で168時間加熱した後、引張強さ残率(%)と伸び残率(%)とに区分して測定した。モジュラス(modulus)は試片を250mm/分で引張試験を行って測定した。ヤングモジュラス(Young’s modulus)は試片を250mm/分で引張試験を行って測定した。
【0033】
【表4】

【0034】
表4で測定された物性値は、次の基準に基づいて適合性可否が評価される。すなわち、引張強さ残率は60%以上である場合に製品適合性があり、伸び残率は50%以上確保されなければならない。また、モジュラスは伸び率10%で1.5kgf/mm以下でなければならなく、ヤングモジュラスは伸び率10%で2,500kgf/mm以下である場合に製品適合性がある。
【0035】
このような基準に照らしてみると、低結晶性樹脂を用いた第5実施例ないし第8実施例の場合にはそれぞれの測定値が全て基準値を満たしており製品適合性が認められる。しかし、結晶性樹脂を用いている第4比較例ないし第6比較例の場合、耐熱性においては一部の適合性が認められるが、結晶性樹脂の使用によりモジュラスとヤングモジュラスが基準値を満たしていないことが分かる。このことから本発明による第2組成物を用いて製造した絶縁電線のシース層が著しい効果を示すことが分かる。
【0036】
図1は、本発明による耐熱電線の構造を説明するための断面図である。図1に示されたように、中心部の導体10をフッ素ゴム素材の絶縁層11が包んでいる。前記絶縁層11と導体10との円滑な分離のためには、所定のフィルム(図示せず)を介在することができる。前記絶縁層11は、前述した第1組成物を用いて製造することが望ましい。また、前記絶縁層11の外部を銅、錫、亜鉛などでメッキされた銅素材からなる編組層12が包み、前記編組層12を包んで耐熱電線の最外郭層を構成するシース層13が備えられている。前記シース層13は、耐熱特性、常温におけるモジュラス及びヤングモジュラス特性を持つ材料からなることが望ましいため、前述した第2組成物を用いて製造すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上、絶縁層11を前述した第1組成物を用いて製造し、シース層13を前述した第2組成物を用いて製造した絶縁電線は、多様な機器用及び自動車用電線として用いることができ、従来の絶縁電線に比べて導体の許容電流を1.5倍以上向上させることができる。また、高耐熱性及び柔軟性を確保することができる。
【0038】
以上、本発明の最適実施例が開示された。ここで特定の用語が使われたが、これは単に当業者に本発明を詳しく説明するための目的で使われたものに過ぎず、意味限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使われたものではない。
【0039】
本明細書に添付される図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による耐熱電線の構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 導体
11 絶縁層
12 編組層
13 シース層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高耐熱性絶縁材製造用組成物において、
フッ素系ゴム100重量部に対して、0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項2】
前記フッ素系ゴムは、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレンテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンプロピレン、テトラフルオロエチレンプロピレンフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンペルフルオロメチルビニルエーテルフッ化ビニリデン、及びテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンエチレンペルフルオロメチルビニルエーテルフッ化ビニリデンの中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項3】
前記架橋剤は、ジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)−ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルペルオキシド、第三ブチルクミルペルオキシド、ジ−(2−第三ブチル−ペルオキシイソプロピル)−ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジ−第三ブチルペルオキシド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3の中から選択された1つの単一物または2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項4】
高耐熱性絶縁材製造用組成物において、
エチレン系共重合樹脂、ポリエチレン系樹脂、スチレン系樹脂、ゴム、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、クロロポリエチレン樹脂、及びクロロスルホン化ポリエチレンの中から選択されたいずれか1つまたは2つ以上の物質からなる基本樹脂100重量部に対して、0.5重量部ないし10重量部の架橋剤を含んでなることを特徴とする高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項5】
前記基本樹脂として選択されるエチレン系共重合樹脂は、エチレンビニルアセテート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンブチルアクリレート共重合体、エチレンアルコールアクリレート共重合体、エチレンブテン共重合体、及びエチレンオクテン共重合体の中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項6】
前記基本樹脂として選択されるポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンの中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項7】
前記基本樹脂として選択されるスチレン系樹脂は、スチレンブテンスチレン樹脂、スチレンエチレンブテンスチレン樹脂、及びスチレンエチレンプロピレンスチレン樹脂の中から選択されたいずれか1つの単一物または2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項8】
前記基本樹脂として選択されるゴムは、エチレンプロピレンゴム、及びクロロプロピレンゴムの中から選択されたいずれか1つの単一物または2つの混合物であることを特徴とする請求項4に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項9】
前記架橋剤は、ジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)−ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルペルオキシド、第三ブチルクミルペルオキシド、ジ−(2−第三ブチル−ペルオキシイソプロピル)−ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジ−第三ブチルペルオキシド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシド)ヘキシン−3の中から選択された1つの単一物または2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物。
【請求項10】
中心導体と、該中心導体の外面を包む絶縁層とを含む絶縁電線において、
前記絶縁層の製造に請求項1ないし請求項3の中から選択された1項に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物が用いられたことを特徴とする高耐熱性絶縁電線。
【請求項11】
中心導体、前記中心導体を包む絶縁層、前記絶縁層を包む編組層及び前記編組層を包んで最外層を形成するシース層からなる絶縁電線において、
請求項4ないし請求項9の中から選択されたいずれか1項に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物が前記絶縁電線のシース層製造に用いられたことを特徴とする高耐熱性絶縁電線。
【請求項12】
高耐熱性絶縁電線において、
中心導体と、
前記中心導体を包む絶縁層と、
前記絶縁層を包む編組層と、
前記編組層を包んで最外層を形成するシース層と、を含んでなり、
前記絶縁層は、請求項1ないし請求項3の中から選択されたいずれか1項に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物を用いて形成され、
前記シース層は、請求項4ないし請求項9の中から選択されたいずれか1項に記載の高耐熱性絶縁材製造用組成物を用いて形成されたことを特徴とする高耐熱性絶縁電線。

【図1】
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【公開番号】特開2009−245927(P2009−245927A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320575(P2008−320575)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(505297002)エルエス ケーブル リミテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】LS Cable Ltd.
【住所又は居所原語表記】19−20F ASEM Tower 159 Samsung−dong, Gangnam−gu, Seoul 135−090 Republic of Korea
【Fターム(参考)】