説明

高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、これを有効成分とする天然茶およびその製造方法

【課題】本発明は、高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶、並びにその製造方法に関するものである。天然植物抽出物組成物は、決明子抽出物およびネムノキ抽出物を含む。本発明に係る天然植物抽出物組成物は、血中コレステロールを低下させて、動脈硬化症を予防することができ、また、血中コレステロール含有量の増加により誘発される脳卒中を予防することができる。また、これを含有する食品は、発病後にも持続的な飲用によって上記疾患などの回復を助ける天然茶であり、飲料に製造される場合、飲用が容易で常時飲用ができるため、高脂血症および脳卒中の回復および予防に効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶、並びにその製造方法に関するものであり、詳しくは、天然抽出物、すなわち決明子抽出物およびネムノキ抽出物を含む天然植物抽出物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
循環器系疾患は、米国、ヨーロッパだけでなく韓国でも主要な死亡原因として台頭しており、特に動脈硬化性疾患の虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞症)と脳血管疾患による死亡率が大幅に増加している。血中にコレステロールおよび脂質が増加すると動脈硬化症が誘発しやすい。動脈硬化症は、高コレステロール血症によって血流が妨げられ、心臓麻痺、脳卒中などが誘発される心血管疾患である。現代人の食生活環境の向上による過多な栄養摂取により過多摂取されたコレステロールは身体内の細胞要求を充足させてから残留することになる。このようなコレステロールは、低密度リポタンパク質(low‐density lipoprotein、LDL)によって輸送されているうちに血管内膜に吸着し、泡沫細胞(foam cell)、脂肪線条(fatty streak)、アテローム(atherom)に転換されることもある。これらは血管の収縮、膨張能力を低下させ、冠状動脈疾患、脳卒中、末梢血管狭窄、高血圧などを起こす原因となっている。泡沫細胞は、炎症反応と細胞成長を繰り返しながら血管壁を破壊したり肥厚したりして、血液中の血小板が粘着することで血栓を形成することになる。このような進行過程は、結局、動脈硬化による血管の狭窄と血栓による血管の完全閉塞により心臓への血液供給が瞬間的に遮断され、心筋梗塞による死亡を誘発する。
【0003】
したがって、心血管系の疾患は治療よりも予防が重要であり、そのため高脂血症およびこれによる動脈硬化症、脳卒中の治療のための多くの研究が行われている。その中で、食餌と関連したもので水溶性食物繊維がコレステロールを低下させることができるという研究が進められてきたが、副作用の少ない天然抽出物についての研究は充分な効果が出ていない実情にある。
【0004】
したがって、本発明者らは、上述したような高脂血症および脳卒中は発病後の治療よりも発病前の予防がより重要であるため、発病前に欠かさずまめに摂取することによりコレステロールを低下させることができることから高脂血症およびこれによる動脈硬化症、脳卒中などを予防することができ、また発病後にもその治療に役立つ食品を鋭意研究し、飲用が容易であり且つ効果が優れた本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために、本発明は、ネムノキ抽出物および決明子抽出物を含むことを特徴とする高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶を提供する。
【0007】
上記ネムノキ抽出物と決明子抽出物は、1:0.3〜5質量比で含まれることが好ましい。
上記ネムノキ抽出物には、クエルシトリン成分が多量含まれている。
上記決明子抽出物には、オブツシン(obtusin、C1816)成分が多量含まれている。
【0008】
上記天然植物抽出物組成物は、五味子抽出物、桑枝(クワの若い枝)抽出物、または甘草抽出物のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。上記五味子抽出物、桑枝抽出物および甘草抽出物からなる群より選択された1種以上の植物抽出物はネムノキ抽出物に対し1:0.1〜2の質量比で含まれる。
上記天然植物抽出物組成物はこれ以外に他の天然植物抽出物をさらに含むことができる。
【0009】
上記天然植物抽出物組成物は、決明子抽出物20〜50質量%、ネムノキ抽出物10〜70質量%、ならびに五味子抽出物、桑枝抽出物および甘草抽出物からなる群より選択された1種以上の天然植物抽出物10〜20質量%を含むことができる。
上記天然植物抽出物組成物は、決明子抽出物20〜50質量%、ネムノキ抽出物10〜65質量%、五味子抽出物5〜20質量%、桑枝抽出物5〜20質量%、および甘草抽出物5〜20質量%を含むことができる。
【0010】
本発明で、抽出溶媒としては通常の抽出溶媒であればいずれも使用可能であり、特に50%のアルコールと水が1:1〜3の混合比で混合された混合溶媒の使用が好ましい。天然植物抽出物は、80〜100℃で1〜8時間抽出して製造されるが、抽出条件はこれに制限されない。各抽出物は各植物を1〜3回抽出して製造され、それらを混合して濃縮した後使用できる。
【0011】
上記ネムノキ抽出物は、ネムノキの樹皮、葉、花、根および種から抽出できる。
上記ネムノキ抽出物は、ネムノキを洗浄して完全に乾燥した後、物理的に粉砕し、この粉砕物に抽出溶媒を加えて抽出する。上記抽出溶媒は、通常の抽出溶媒を使用して抽出でき、その中でも50%のアルコールと水の混合溶媒を使用することが好ましく、80〜100℃で1〜8時間抽出した後エタノールを揮発させて得ることができる。この時、ネムノキ抽出に使用する抽出溶媒はネムノキ粉砕物に対し1:2〜6の質量比が好ましい。
【0012】
上記決明子抽出物は、ネムノキ抽出物と同様の方法で抽出し、ただし、決明子抽出に使用する抽出溶媒は決明子粉砕物に対し1:2〜6の質量比が好ましい。上記決明子抽出物は、決明子の葉、根、幹および花から抽出できる。
上記五味子抽出物、上記桑枝抽出物、および上記甘草抽出物はネムノキ抽出物と同様の方法で抽出できる。
【0013】
上記天然植物抽出物組成物は、様々な食品に含ませて、高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然茶を製造することができ、特に、飲料水に含ませることが容易に飲用でき効果的である。
【0014】
上記天然茶は、甘味料、香料、防腐剤、抗酸化剤など一般的な食品添加物を含んでもよい。
上記高脂血症および脳卒中のための天然茶は、その総質量に対して本発明の天然植物抽出物組成物を14〜40質量%含むことが好ましい。
上記天然茶は、抗酸化剤ビタミン、特にビタミンEを含むことがさらに好ましい。
【0015】
本発明のまた他の目的のために、本発明は、決明子抽出物製造ステップと、ネムノキ抽出物製造ステップと、上記抽出物を濃縮および混合するステップとを含み、上記抽出物は、50%のアルコールおよび水の混合溶媒で80〜100℃で1〜8時間抽出することを特徴とする高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶の製造方法を提供する。
上記天然植物抽出物組成物は、五味子抽出物製造ステップ、桑枝抽出物製造ステップまたは甘草抽出物製造ステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
実験結果から分かるように、本発明に係る天然茶組成物は、血中コレステロールを低下させて動脈硬化症を予防することができ、また、血中コレステロール含有量の増加により誘発される脳卒中を予防することができる。また、発病後にも持続的な飲用によって上記疾患から回復できる天然茶組成物であり、飲料に製造される場合、飲用が容易で常時飲用ができるため、高脂血症および脳卒中の予防および治療に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明についてより詳しく説明する。下記実施例は、本発明の例示のためのものであって、本発明を制限するものではない。
本発明は、ネムノキ抽出物および決明子抽出物を含むことを特徴とする高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物、およびこれを有効成分として含有する天然茶に関するものであって、上記ネムノキ抽出物と決明子抽出物は1:0.3〜5質量比で含まれることが好ましい。
【0018】
上記ネムノキ(Albizzia julibrissin Dura)は、韓国で別名「Boochenamu」、「Sanyazanamu」、「Sossalbabnamu」、「Jagunamu」、「Jagulnang(Jeju、韓国)」、「Zagusari」、「Shoisalbab(Youngnam、韓国)」、「Yahapsoo」、および「Haphonsoo」とも呼ばれている。葉は2回羽状複葉であり、夜に葉が互いに付いて昼間に開く。淡紅色の花の房が枝の先端に咲く。果実は細長く扁平な豆殻状である。東南アジア、日本の東北地方、および韓国の中部と南部地方の海抜500〜700mの山と野原で自生し、各地で公園や家の周りに植えたりもする。夕方になると葉が合わさって閉じることから、韓国語では「Yahap」または「Haphon」と呼んでいる。春または秋に木の樹皮をはがして日干しする。樹皮にはアルカロイド、タンニン質、サポニンが、葉にはクエルシトリン(Quercitrin)が、若い葉にはビタミンCが200mg%、種にはアルカロイドが含有されている。また配糖体のアルビトシン(glycoside albitosin)が含有されている。上記クエルシトリンという特殊成分は、毛細血管を拡張させて肌をきれいにし、肌の中の毒を中和する作用をする。この他にネムノキは、「唐本草」の記録によれば5種の痔を治療し五臓を調和させ、嘔吐を止め酒毒と鉄釘の毒を解毒するという。
【0019】
上記ネムノキ抽出物は、ネムノキの樹皮、葉、花、根および種から得ることができる。
上記ネムノキ抽出物は、ネムノキを洗浄して完全に乾燥した後、物理的に粉砕し、この粉砕物に抽出溶媒を加えて抽出する。上記抽出溶媒は、通常の抽出溶媒を使用して抽出でき、その中でも50%のアルコールと水の混合溶媒を使用することが好ましく、50%のアルコールおよび水の混合溶媒中で80〜100℃で1〜8時間抽出した後エタノールを揮発させて得ることができる。この時、ネムノキ抽出に使用する抽出溶媒はネムノキ粉砕物に対し1:2〜6の質量比が好ましい。
【0020】
上記決明子抽出物は、ネムノキ抽出物と同様の方法で抽出し、ただし、決明子抽出に使用する抽出溶媒は決明子粉砕物に対し1:1〜4の質量比が好ましい。上記決明子抽出物は、決明子の葉、根、幹および花のいずれからも得ることができる。
【0021】
上記決明子(Cassiae semen)は、Cassia obtusifolia L.(決明子)またはCassia tora L.(エビスグサ)の種子であって、漢方医学で健胃、整腸、利尿および緩和剤として用いられ、「東医宝鑑(韓国の朝鮮時代の医書)」では‘清肝明目’といって決明子を沸かして飲むと、肝臓を良くし視力を改善させることで知られている。決明子には、クリソファノール(chrysophanol)、エモジン(emodin)、フィスシオン(physcion)などのアントラキノン類、オブツシフォリン(obtusifolin)、オブツシン(obtusin)、クリソオブツシン(chryso‐obtusin)、ノル‐ルブロフサリン(nor‐rubrofusarin)およびルブロフサリン(rubrofusarin)などのアントラキノン配糖体が分離同定されたことがある。そして、種からエモジン、オブツシフォリン、アウランチオオブツシン(auranthioobtusin、C1714)とその配糖体が分離され、クロマトグラフィーによってクリソファノール、クリソファノールアントロン、アロエエモジン、レインが確認された。ナフトピロン(naphtopyron)誘導体、およびその配糖体のルブロフサリン、ノル‐ルブロフサリン、ルブロフサリンゲンチオビオシド(rubrofusarin gentiobiocide)、イソクマリントララクトン(isocoumarin toralactone)、黄色色素のトラクリソン(torachryson)が分離された。葉にはケンペロール‐3‐ジグルコシド(Kaempferol‐3‐diglucoside:C273016・2HO)が含有されている。
【0022】
決明子は、以下のような作用を有する。i)肝臓をきれいにし視力を改善させる効能以外に、ii)血圧降下作用がある。すなわち、血圧が上昇して一定せず、降圧剤を使用しても長期間効果が持続しない場合に、時々心臓血管や脳血管に病変が生じることがある。この時、冠状動脈を拡張して降圧効果を得ることができ、本能性高血圧で長期間血圧薬を服用しても効果がない場合、脳溢血による中風で半身不随になって、高血圧が続き便秘がある場合は、好適な処方薬を服用しながら、決明子を沸かして飲めば血圧も下げ便秘も防止する効果がある。iii)コレステロールの低下、すなわち、冠状動脈硬化による狭心症の予防に効果がある。
【0023】
上記高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物は、五味子、桑枝、甘草などの他の天然抽出物をさらに含むことができる。
上記五味子は、チョウセンゴミシの果実であり、視力を改善させると言われており、有機酸、サポニンなどが含まれていて、疲労回復にも効果があると予想される。
【0024】
上記桑枝(Morus alba L.)は、クワ(Morus alba Linne)、またはその他同属近縁植物(桑の木科のMoraceae)の若い枝である。長い円柱形で、長さが不均一であり、時には小枝がついたのもあり、直径が5〜15mmである。外側面は灰色ないし灰黄色であり、黄褐色点状の皮目、葉柄の跡と縦のジワがある。木質は堅くて折れにくく、折り面の外皮は非常に薄くて大部分が木質部である。木質部は黄白色で、放射状パターンがあり、髄(pith)は白色ないし黄白色である。根の樹皮には、ムルベリン(mulberrin:C2526)0.15%、ムルベロクロメン(mulberrochromene:C2524)0.2%、シクロムルベリン(cyclomulberrin:C2524)0.2%、シクロムルベロクロメン(cyclomulberrochromene:C2522)0.016%、その他スコポレチン(scopoletin)、ウンベリフェロン(umbelliferon)、トリゴネリン(trigonelline)、タンニン、フラボノイドのモルシン、トリテルペノイド(triterpenoid)のα‐アミリン、シトステロール‐d‐グルコシド、ベツリン酸(betulic acid)、アデニン、ベタイン、パルミチン酸、ステアリン酸が含有されている。
【0025】
桑枝の果実には、ビタミンB1、B2、C、油(種に25%、主にリノレン酸)、アントシアニジン配糖体と非糖質のシアニジン、クリサンテミン、そして100%の糖分(葡萄糖、マルトース、砂糖、果糖)、有機酸(リンゴ酸、クエン酸)、精油、イソクエルシトリン(isoquercitrin)が含有されている。
【0026】
その木質部(xylem)には、フラボノイドのモリン(C1510)0.03%、ジヒドロモリン(C1512)、マクルリン(maclurin:ペンタヒドロキシベンゾキノン:C1310)等が含有されている。根の樹皮は、血液中のイソニアジドの濃度を高め、高い濃度を長期間維持する作用があって、結核治療に効果的である。根の樹皮と葉抽出物は血糖低下作用がある。
【0027】
上記甘草はマイルドな味の成分を含んでいて甘味があり、甘味成分のグリチルリチン(glycyrrhizin)を含み、抗アレルギー作用、NK細胞活性化作用を有し、インターフェロンの放出を促進して抗炎作用の働きをする。胃酸分泌を抑制し、胃の粘膜を保護する抗潰瘍作用がある。また、全ての薬の毒性をなくし、せきと痰を抑制し、全ての薬を中和させる。甘草は様々な劇薬や毒性薬に対する拮抗作用があって、劇薬や毒薬による薬物中毒を治療し、細菌による毒にも中和作用および解毒作用がある。
【0028】
上記天然植物抽出物組成物は五味子抽出物、桑枝抽出物または甘草抽出物のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。上記五味子抽出物、桑枝抽出物および甘草抽出物からなる群より選択された1種以上の植物抽出物は、ネムノキ抽出物に対し1:0.1〜2の質量比で含まれる。
上記天然植物抽出物組成物は、これ以外に他の天然植物抽出物をさらに含むことができる。
【0029】
上記天然植物抽出物組成物は、決明子抽出物20〜50質量%、ネムノキ抽出物10〜70質量%、および五味子抽出物、桑枝抽出物および甘草抽出物からなる群より選択された1種以上の天然植物抽出物10〜20質量%を含むことができる。
上記天然植物抽出物組成物は、機能性食品に添加される時、その食品の総質量に対して14〜40質量%で含まれることが好ましい。
【0030】
本発明のまた他の目的のために、本発明は、決明子抽出物製造ステップと、ネムノキ抽出物製造ステップと、上記抽出物を濃縮および混合するステップとを含み、上記抽出物は50%のアルコールおよび水の混合溶媒中で80〜100℃で1〜8時間抽出することを特徴とする高脂血症および脳卒中の治療および予防のための天然植物抽出物組成物の製造方法を提供する。
【0031】
上記高脂血症および脳卒中の予防および回復のための天然植物抽出物組成物の製造方法は、五味子抽出物製造ステップ、桑枝抽出物製造ステップ、または甘草抽出物製造ステップをさらに含むことができる。上記ネムノキ抽出物および決明子抽出物は濃縮して使用することが好ましい。
【0032】
上述した通り、循環器系疾患は高コレステロール症と血中低密度リポタンパク質の濃度増加が重要な動脈硬化症の発病要因であり、これにより脳卒中を誘発する。また、高脂血症と脳卒中は、発病後の治療よりも予防がより一層重要なため、通常の食品を摂取することで、コレステロールの数値を低くできれば、高脂血症と脳卒中を予防することができ、また発病後でも継続的な飲用により疾患の治療も可能にする。
【0033】
通常、コレステロールの含有量減少の確認方法としては、高脂血症の誘発と関連した血清総コレステロール、LDL‐コレステロールおよびトリグリセリド含有量の減少と、高コレステロール抑制因子であるHDL‐コレステロールの増加とを確認する。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定するものではない。
【0035】
(実施例1:ネムノキ抽出物の製造)
ネムノキの樹皮を洗浄して完全に乾燥させた後、粉砕したネムノキ粉砕物5gを50%のエタノール130ccと水330ccの混合液中で95℃で6時間抽出機内で抽出した後、エタノールを揮発させてネムノキ抽出液300ccを得た。上記の方法でもう2回抽出してネムノキ抽出液を得た。このように得られた3つのネムノキ抽出液を集めて濃縮機で体積が1/3になるまで濃縮して、ネムノキの濃縮抽出液300ccを得た。
【0036】
(実施例2:決明子抽出物の製造)
決明子の種を洗浄して完全に乾燥させた後、粉砕した決明子粉砕物5gを実施例1と同様の方法で抽出して濃縮抽出液300ccを得た。
【0037】
(実施例3:五味子抽出物の製造)
五味子の葉を洗浄して完全に乾燥させた後、粉砕した五味子粉砕物5gを実施例1と同様の方法で抽出して濃縮抽出液300ccを得た。
(実施例4:桑枝抽出物の製造)
桑枝を洗浄して完全に乾燥させた後、粉砕した桑枝粉砕物5gを実施例1と同様の方法で抽出して濃縮抽出液300ccを得た。
【0038】
(実施例5:甘草抽出物の製造)
甘草を洗浄して完全に乾燥させた後、粉砕した甘草粉砕物5gを実施例1と同様の方法で抽出して濃縮抽出液300ccを得た。
(実施例6〜10)
実施例1〜5の方法で製造された抽出物を混合して表1の構成にして天然植物抽出物組成物を製造した。
【0039】
天然植物抽出物組成物の製造(単位:質量%)
【0040】
【表1】

【0041】
(実施例11〜15:天然茶の製造(単位:質量%))
【0042】
【表2】

【0043】
(実験例)
実験対象
研究対象者は、研究参加同意書を提出した高脂血症患者50人(男性20人、女性30人)中の無作為選出過程を経て25人ずつを各々本発明の組成物の投与群および偽薬の投与群に分けた。
【0044】
1)2群の平均年齢は本発明の組成物投与群が56.1±2.8歳であり、偽薬投与群が57.1±2.3歳と大差がなく、2群の男性比率も本発明の組成物投与群は40.9%(n=9)、比較例投与群は42.1%(n=8)と大差がない。
2)2群間において身長、体重、BNI、WHRは全て大差がなく、血圧も2群間に有意差がなかった。
3)2群の現在飲酒比率、現在喫煙比率、栄養剤摂取、ストレスには有意差がなかったが、健康食品の摂取比率は偽薬投与群が有意に高かった(p<0.05)。本発明品と比較例の投与前後にも現在飲酒比率、現在喫煙比率、栄養剤摂取比率、健康食品摂取比率、ストレスには差がなく、健康食品摂取を除いた他の事項で2群間には有意差がなかった。
4)食習慣に対する点数および食品摂取頻度に対する点数は、調査開始時点で2群間に有意差がなく、本発明品や偽薬投与後の調査において食習慣点数は以前と大差がなかったが、食品摂取頻度点数は偽薬投与群の方が若干高かった。しかし2群間の有意差はなかった。
【0045】
偽薬(Placebo)
水200mlにマルトデキストリン2.5gと賦形剤0.5gを添加し、茶色食用色素を添加して、本発明の天然茶と類似する色になるようにした。
実験方法
本発明の実施例13における天然茶と偽薬を2ヶ月間投与し、1ヶ月後と2ヶ月後に血液検査、生化学検査を繰り返し実施した。実験は、被験者が本発明の天然茶または偽薬を各々140ccを毎日飲用するようにした。
【0046】
実施例13における抽出物組成物および偽薬を投与する前と後に、注射器で血液を採取して凝固させた後、1000rpmで遠心分離させ、血清を採集してコレステロール量を測定した。血清コレステロール測定は、コレステロール酸化酵素(cholesterol oxidase:CO)、コレステロール・エステラーゼ(Cholesterol Esterase:CE)およびペルオキシダーゼ(Peroxidase:POD)の酵素反応を用いた総コレステロール測定キット(Boehringer mannhein Germany)とHDL‐コレステロール測定キット(Boehringer mannhein、Germany)とを使用して生化学自動分析機(Hitachi 747、Japan)で測定した。
その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
上記表3から分かるように、本発明に係る実施例11の天然茶を投与した投与群は、血清トリグリセリドが50mg減少し、偽薬投与群も血清トリグリセリドが減少したが、その減少量は17mgで本発明に比べて非常に少なかった。
上記表3から分かるように、血清コレステロールレベルは、本発明の投与群も偽薬投与群も1ヶ月後、2ヶ月後に連続的に減少したが、本発明の天然茶の投与群の方が偽薬の投与群に比べて18倍も大きく減少することが分かった。
【0049】
上記表3から分かるように、高コレステロール抑制因子のHDL‐コレステロールは、投与2ヶ月後に、偽薬投与群の方が多少減少する傾向があるのに対し、本発明の実施例11の天然茶投与群は、HDLに含まれた代表的なアポリポタンパク質(apolipoprotein)のApo A1が5.1mg増加することが分かった。これはHDL‐コレステロールのレベルとApo A1のレベル間の高い相関性(相関関係計数r=0.90146)から、Apo A1の増加はHDL‐コレステロールレベルの増加と判断できる。
【0050】
LDL‐コレステロールレベルは、2群とも減少したが、偽薬投与群は初めの1ヶ月は減少したが再上昇したのに対し、本発明の天然茶の投与群は減少し続けた。LDL‐コレステロールのアポリポタンパク質のApo Bも2群ともに投与前より有意に減少したが、本発明の天然茶の投与群の方がより大幅に低くなった。これは、本発明の天然茶の投与がLDLレベルを減少させることを示している。
【0051】
(実験例2:血糖およびその他血清指標の変化)
実験例1と同様の方法で、本発明に係る天然茶投与群(C群)と比較例1の投与群(D群)とに分け、実験例1と同様の方法で本発明に係る天然茶と偽薬を各々投与した。
本発明に係る実施例11の天然茶投与と偽薬投与の前後で、空腹時の血糖(FBS)、HbAlc、BUN、クレアチニン、AST、ALTのレベルの変化を各々通常の方法で測定した。その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】

【0053】
上記表4から分かるように、空腹時の血糖レベルは2群とも投与前より減少したが、本発明の天然茶の投与群の方がより大幅に減少したことが分かる。HbAlcレベルも2群ともに投与前より減少したが、有意差はないことが分かった。
血中尿素窒素(blood urea nitrogen:BUN)レベルは2群とも減少し、クレアチニンレベルは2群とも若干減少したが、有意差はないことが分かる。ASTとALTレベルも有意な変化はなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネムノキ抽出物と決明子抽出物を含むことを特徴とする高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項2】
上記ネムノキ抽出物と決明子抽出物が、1:0.3〜5質量比で含まれることを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項3】
上記ネムノキ抽出物が、クエルシトリン成分を多量含んでいることを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項4】
上記決明子抽出物が、オブツシン(C1816)成分を多量含んでいることを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項5】
上記天然植物抽出物組成物が、五味子抽出物、桑枝抽出物、または甘草抽出物のうち少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項6】
上記五味子抽出物、桑枝抽出物および甘草抽出物からなる群より選択された1種以上の植物抽出物が、ネムノキ抽出物に対し1:0.1〜2の質量比で含まれることを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項7】
上記天然植物抽出物組成物が、決明子抽出物20〜50質量%、ネムノキ抽出物10〜70質量%、ならびに五味子抽出物、桑枝抽出物および甘草抽出物からなる群より選択された1種以上の天然植物抽出物10〜20質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項8】
上記天然植物抽出物組成物が、決明子抽出物20〜50質量%、ネムノキ抽出物10〜65質量%、五味子抽出物5〜20質量%、桑枝抽出物5〜20質量%、および甘草抽出物5〜20質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項9】
上記天然植物抽出物組成物が、50%のアルコールと水が1:1〜3の混合比で混合された混合溶媒を使用して製造されたことを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項10】
上記天然植物抽出物組成物が、80〜100℃で1〜8時間抽出して製造されたことを特徴とする請求項9に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項11】
上記天然植物抽出物組成物が、各植物を1〜3回抽出し、その抽出物を混合した混合物を濃縮した後に使用されることを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項12】
上記ネムノキ抽出物は、ネムノキの樹皮、葉、花、根および種のうち少なくとも1つを使用することを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項13】
ネムノキ抽出物が、50%のアルコールと水が1:1.5の比で混合された混合溶媒を、ネムノキ粉砕物に対し1:2〜6質量比で使用して製造されることを特徴とする請求項1に記載の高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然植物抽出物組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の天然植物抽出物組成物を有効成分として含有することを特徴とする天然茶。
【請求項15】
抗酸化剤ビタミンをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の天然茶。
【請求項16】
上記天然植物抽出物組成物が、天然茶総質量に対し4〜40質量%で含まれることを特徴とする請求項14に記載の天然茶。
【請求項17】
決明子抽出物製造ステップと、
ネムノキ抽出物製造ステップと、
上記決明子抽出物および上記ネムノキ抽出物を濃縮および混合するステップとを含み、
上記抽出物が、50%のアルコールおよび水の混合溶媒中で80〜100℃で1〜8時間抽出して製造されることを特徴とする高脂血症および脳卒中の回復および予防のための天然茶の製造方法。

【公表番号】特表2009−533332(P2009−533332A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502651(P2009−502651)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002515
【国際公開番号】WO2007/111401
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508169410)
【Fターム(参考)】