説明

高脂血症の新規治療方法

有効量のスクアレン合成酵素阻害薬およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせてなる高脂血症の予防および/または治療剤の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクアレン合成酵素阻害剤(以下、「SSI」と略称することがある)であり、高脂血症の予防・治療剤として有用なN-[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸(以下、化合物Xと略称することがある)が、高脂血症の予防・治療剤として現在臨床上広く使用されているHMG−CoA還元酵素阻害剤、即ち、「スタチン」(例えば、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、等)の作用を増強できるとの知見に基づくものであり、スクアレン合成酵素阻害剤とHMG−CoA還元酵素阻害剤との併用による動物もしくはヒトを含む哺乳動物の高脂血症等の治療方法などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高脂血症とは血清脂質濃度が異常に増加した状態をいう。血清脂質にはコレステロール、リン脂質、トリグリセライド(中性脂肪)、等があるが、特に臨床上問題となるのは、コレステロールとトリグリセライドの増加である。高コレステロール血症が高血圧、喫煙と共に心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等の動脈硬化性疾患の三大危険因子の一つであることは、数多くの疫学調査によって明らかにされている。従って、血中コレステロール値の適切なコントロールは、虚血性心疾患を初めとする動脈硬化性疾患の予防または治療に極めて重要である。かかる血中コレステロール値を低下させる薬剤として、高脂血症の予防・治療のために現在まで臨床上最も広く使用されて来たのが、上記HMG−CoA還元酵素阻害剤である。
血中脂質管理に関する現在の治療ガイドライン(米国NCEP-ATP III、日本動脈硬化学会ガイドラインなど)では、虚血性心疾患発症のリスクが高い患者の低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の治療目標値として100mg/dl未満が提唱されている。また、トリグリセライドにおいても正常値を150mg/dl未満とする等、脂質管理の厳格化が提唱されている。しかしながら、近年の積極的LDL-C低下療法に関する大規模アウトカム試験の結果から、100mg/dl未満においても更にLDL-C値を低下させることは虚血性心疾患発症リスクの低減に有効であることが示されている(PROVE-IT試験、TNT試験など)。
【0003】
ところで、HMG−CoA還元酵素阻害剤では、コレステロール生合成経路中のHMG−CoA還元酵素の働きを阻害することにより生体内でのコレステロール合成を阻害し、その血中濃度を低下させる薬剤であることに基づく副作用が臨床上懸念されている。即ち、HMG−CoA還元酵素を阻害した場合コレステロールの生合成以外に、ユビキノン、ドリコールやヘムAのような、その他の生体に必要な成分の生合成も阻害されるため、それらに起因する副作用(例えば、横紋筋融解症、筋肉痛、など)が懸念される。また、胃腸障害や肝機能の低下といった副作用も報告されている。このため、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与可能な最高用量は(例えば、アトルバスタチン、シンバスタチンの場合、1日80mgまで;プラバスタチンの場合、1日40mgまで;ピタバスタチンの場合、1日2mgまで)、動物でもヒトでも、肝毒性または筋毒性の発現用量との安全域を基に規定されているが、ヒトへの投与に関して認可されている最高用量においてはこれら毒性の頻度が高くなる場合があることから、高用量HMG−CoA還元酵素阻害剤による治療を実施出来ない場合がある。従って、医療の現場では、高脂血症の治療にHMG−CoA還元酵素阻害剤を投与する場合には、低用量の投与から始めて、十分な効果が得られない場合に初めて、より高用量を患者に投与するのが通常であり、可能な限り高用量のHMG−CoA還元酵素阻害剤の投与を避けるのが一般的である。
血中脂質管理に関する現在の治療ガイドラインでの要請を満たす上で、より高用量のHMG−CoA還元酵素阻害剤を投与することによる強力なLDL-C低下作用が期待されるが、一方では、かかる高用量HMG−CoA還元酵素阻害剤療法には、肝毒性等の毒性発現のリスクをも増大させることが危惧されている。また、トリグリセライド低下を目的としたHMG−CoA還元酵素阻害剤およびフィブレート系薬剤の併用においては、黄紋筋融解等の筋肉毒性のリスクが高まることが報告されている。
【0004】
かかる状況にあって、HMG−CoA還元酵素阻害剤単剤でLDLコレステロールの治療目標値に達しない患者の治療や高用量療法の毒性リスクの軽減、さらにはトリグリセライドを含めた脂質の総合的な改善を可能とする新規薬剤とのHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用療法も高脂血症の予防・治療における一つの重要な選択肢となるものと考えられる。
【0005】
化合物Xは、例えば特許文献1(実施例36)に記載されている公知化合物である。この化合物は、スクアレン合成酵素阻害作用を持ち、HMG−CoA還元酵素阻害剤と同様にコレステロール生合成経路の一工程を阻害(但し、作用点は下流側にある)してコレステロール生合成を抑制し、血中コレステロール濃度を下げることが知られている。従って、この化合物は高脂血症の予防および/または治療に有用である。
特許文献1には、高脂血症の予防および/または治療に化合物Xを含むSSI化合物が他の種々の脂質低下薬またはコレステロール低下薬と併用して用い得ることが開示され、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用も記載されている。しかし、それぞれの単独投与に比べ、両者の併用による作用や効果の増強効果については述べられていない(薬理データも記載されていない)。
また、化合物Xを含むSSIは、HMG−CoA還元酵素阻害剤による横紋筋融解症などの筋毒性を減少させる作用を有している(特許文献2)。さらに、化合物Xを含むSSIはユビキノンを増加させる作用を有しており、したがって動脈硬化性疾患や脳血管性疾患などによる臓器機能障害や臓器不全の予防および/または治療に有効であることが知られている(特許文献3)。しかしながら、化合物Xを含むSSIが薬剤による臓器毒性、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤の副作用として発現する肝疾患に対して臓器保護作用を有していることは報告されていない。
【特許文献1】特開平9−136880号公報
【特許文献2】国際公開第04/064865号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/002147号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化合物XとHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用による効果について、発明者らは、後述する一連の薬理試験結果に示すように両者の併用により、個々の単独投与に比べ、動物モデルで作用や効果が著しく増強されることを見出した。化合物X、SSIおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤を組み合わせて併用することによる効果は予想外といえ、従来の認識からは想定できないものである。
さらに、発明者らは、SSIである化合物X、およびHMG−CoA還元酵素阻害剤を組み合わせて併用することにより、HMG−CoA還元酵素阻害剤により発現する肝毒性が後述の薬理試験結果に示したように抑制できることを初めて見出した。
上記動物モデルにおける知見から、発明者らは高脂血症の予防および/または治療に関し、SSIとHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用によりヒトにおいて次のような医療効果を達成できる発明に至った。
1)血清脂質の改善がより強く達成できるが、これはHMG−CoA還元酵素阻害剤またはSSIの単独投与では達成できない。
2)筋毒性、肝毒性などの、HMG−CoA還元酵素阻害剤の副作用が抑制できる。そのため従来の用量よりも高用量でHMG−CoA還元酵素阻害剤を安全に患者に投与できる。
【0007】
このような優れた相乗効果により、SSIとHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用による治療で、HMG−CoA還元酵素阻害剤単独での治療に比べて、より効果的に高脂血症を抑制することができる。即ち、HMG−CoA還元酵素阻害剤をSSIと組み合わせて投与することにより、その最高用量においてさえも、HMG−CoA還元酵素阻害剤に懸念される肝毒性および筋毒性を発現することなく脂質低下作用を増強することができ、これにより実際の医療において高脂血症の新規な治療法が提供できる。さらに、SSIとの併用は、現在承認されている最高用量を超える量でHMG−CoA還元酵素阻害剤を投与する道を開くことが期待される。
ヒトや動物における試験において、HMG−CoA還元酵素阻害剤のSSIとの併用で上記のメリットを達成できるという報告は、これまでにはなされていない。従って、本発明はスクアレン合成酵素阻害剤の新規な用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、化合物Xの種々の作用を検討する中で、意外にもこの化合物をHMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせると、HMG−CoA還元酵素阻害剤を単独で投与した場合に比べ、コレステロールおよびトリグリセリドを低下させる作用を増強し、HMG−CoA還元酵素阻害剤による肝毒性を減少させることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)高脂血症を罹患している哺乳動物に、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬ならびにHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせて投与することを特徴とする、高脂血症の予防および/または治療方法;
(2)HMG−CoA還元酵素阻害薬が、承認用量における高用量で投与される、上記(1)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(3)HMG−CoA還元酵素阻害薬が、承認用量における最高用量で投与される、上記(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(4)HMG−CoA還元酵素阻害薬が投与されている哺乳動物に、HMG−CoA還元酵素阻害薬投与に起因する毒性を抑制するための有効量のスクアレン合成酵素阻害薬を投与することからなる、HMG−CoA還元酵素阻害薬投与に起因する肝毒性の予防および/または治療方法;
(5)哺乳動物が、高脂血症を罹患しているものである、上記(4)に記載の肝毒性の予防および/または治療方法;
(6)スクアレン合成酵素阻害薬が、式
【化1】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環を示し、環J'はR,R,R及びX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表される化合物である上記(1)または(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(7)スクアレン合成酵素阻害薬が、N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル]ピペリジン−4−酢酸である上記(1)または(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(8)HMG−CoA還元酵素阻害薬が、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンおよびピタバスタチンからなる群から選択される1または2以上の薬剤である、上記(1)または(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(9)高脂血症に罹患した哺乳動物が、HMG−CoA還元酵素阻害薬不耐性患者である、上記(1)または(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(10)高脂血症に罹患した哺乳動物が、虚血性心疾患高リスク患者である、上記(1)または(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(11)高脂血症に罹患した哺乳動物が、家族性高コレステロール血症を罹患した患者である、上記(1)または(2)に記載の高脂血症の予防および/または治療方法;
(12)有効量のスクアレン合成酵素阻害薬ならびにHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせたことを特徴とする高脂血症の予防および/または治療薬;
(13)高脂血症に罹患した哺乳動物に、分割して、逐次的もしくは同時に、投与されるように配合され、または、包装された、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬ならびにHMG−CoA還元酵素阻害薬を含有することを特徴とする高脂血症の予防および/または治療薬;
(14)承認用量における高用量のHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせたことを特徴とする上記(12)または(13)に記載の高脂血症の予防および/または治療薬;
(15)承認用量における最高用量のHMG−CoA還元酵素阻害薬とを組み合わせたことを特徴とする上記(12)または(13)に記載の高脂血症の予防および/または治療薬;
(16)有効量のHMG−CoA還元酵素阻害薬を投与されている高脂血症を罹患している哺乳動物に、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬を投与することを特徴とする、HMG−CoA還元酵素阻害薬による高脂血症の予防および/または治療効果の増強方法;
(17)有効量のスクアレン合成酵素阻害薬およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせたことを特徴とする高脂血症の予防および/または治療薬を製造するためのスクアレン合成酵素阻害薬の使用;
(18)高脂血症に罹患した哺乳動物に、分割して、逐次的もしくは同時に、投与されるように配合され、または、包装された、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を含有する高脂血症の予防および/または治療薬を製造するためのスクアレン合成酵素阻害薬の使用;
(19)有効量のエゼチマイブが第3の薬剤としてさらに組み合わせて投与される、上記(1)または(2)に記載の予防および/または治療方法;
(20)有効量のエゼチマイブを第3の薬剤としてさらに組み合わせてなる、上記(12)または(13)に記載の予防および/または治療薬;および
(21)有効量のエゼチマイブを第3の薬剤としてさらに組み合わせてなる、上記(17)または(18)に記載の高脂血症の予防および/または治療薬を製造するためのスクアレン合成酵素阻害薬の使用等に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における各定義の好適な例は以下の通りである。
「高脂血症」とは、血清脂質濃度が異常に上昇する状態をいう。血清脂質としては、コレステロール、リン脂質、トリグリセライド(中性脂肪)などが挙げられる。特に、臨床上問題となるのは、コレステロールとトリグリセライドが増加したときである。「高脂血症」としては、高コレステロール血症、高トリグリセライド血症などが挙げられる。
本発明においては、前述のように高脂血症の優れた予防・治療効果が得られるため、高脂血症においても、とりわけ重篤な疾患への適用に適している。例えば、高脂血症を罹患している患者(哺乳動物)が、虚血性心疾患の罹患歴を有するか、高血圧症、糖尿病、肥満症、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターを複数保有する高リスク患者である場合や、家族性高脂血症を罹患している患者である場合にも、有利に適用することができる。
本発明における「HMG−CoA還元酵素阻害薬」とは、いわゆるアトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチンなどの「スタチン」を意味する。
本発明において、HMG−CoA還元酵素阻害薬に関して「承認用量における高用量」という記載は、承認用量が多数存在する場合、最高用量を含むより高用量側の用量をいい、複数の用量を指す場合がある。概ね、HMG−CoA還元酵素阻害薬単独投与による高脂血症の予防・治療を受けている個々の哺乳動物が、通常投与されているHMG−CoA還元酵素阻害薬の用量(いわゆる常用量)を超える用量に該当し、個々の哺乳動物によって異なるものである。
現在市販されている各HMG−CoA還元酵素阻害薬の承認用量は、以下の通りである。
アトルバスタチン:10, 20, 40, 80mg/man/day
シンバスタチン:5, 10, 20, 40, 80mg/man/day
プラバスタチン:10, 20, 40 80mg/man/day
フルバスタチン:20, 40, 80mg/man/day
ロバスタチン:10, 20, 40mg/man/day
ロスバスタチン:5, 10, 20, 40mg/man/day
ピタバスタチン:1, 2mg/man/day
アトルバスタチンにおいては、40, 80mg/man/day、シンバスタチンにおいては、 20, 40, 80mg/man/day(より好ましくは、40, 80mg/man/day)、プラバスタチンにおいては、40、 80mg/man/day、フルバスタチンにおいては、40, 80mg/man/day、ロバスタチンにおいては、20, 40mg/man/day、ロスバスタチンにおいては、20, 40mg/man/day、ピタバスタチンにおいては、2mg/man/dayの投与量が、それぞれ「承認用量における高用量」として好ましい用量として挙げられるが、これらに限定されるものではない。「HMG−CoA還元酵素阻害薬不耐性患者」とは、HMG−CoA還元酵素阻害薬投与でコレステロール低下作用が認められないか効果不十分な「HMG−CoA還元酵素阻害薬低反応性患者」、ならびに副作用発現率が高いために投与が制限される患者の両者が含まれ、これらの者の中で、通常の治療により、十分な高脂血症の予防および/または治療が達成できない患者(例えば、Current treatment guideline regarding the blood lipid control (NCEP-ATP III, USA, The guideline of Japan Atherosclerosis Society, etc.)での目標値を達成できない患者)をいう。
本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害薬」としては、スクアレン合成酵素阻害作用を有するものであれば何れでもよく、例えば、スクアレスタチン類(例えば、米国特許第5506262号、米国特許第5430055号、米国特許第5409950号、米国特許第5369125号、特開平7-173166号、特開平9-124655号、特開平9-227566号 Annual Review of Microbiology, Vol.49, 607-639頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 3502-3513頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 207-216頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 1413-1422頁, 1996年など)、基質アナローグのリン酸化合物およびカルボン酸化合物(例えば、米国特許第5374628号、米国特許第5441946号、米国特許第5428028号、特開平7-041554号、WO9504025号、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 2596-2605頁, 1995年、Arzniemittel-Forschung Drug Research, Vol.46, 759-762頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.31, 1869-1871頁, 1988年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 657-660頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 661-664頁, 1996年など)、カルボン酸誘導体(例えば、WO9740006号、WO9633159号、WO9521834号、WO9748701号、欧州特許第645377号、欧州特許第645378号、欧州特許第814080号、欧州特許第790235号、特開平7-173120号、特開平10-316634号、特開平10-298134号、特開平10-298177号、特開平10-316617号、特開平9-136880号、WO2000-00458号、WO2001-98282号、WO98-29380号、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.5, 1989-1994頁, 1995年、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.6, 463-466頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, 2123-2125頁, 1997年など)、キヌクリジン誘導体などのアミン系化合物(例えば、米国特許第5385912号, 米国特許第5494918号, 米国特許第5395846号, 米国特許第5451596号、特開平8-134067号、特開2000-169474号、特開平10-152453号、特開2000-502716号、WO9403541号、WO9405660号、WO9535295号、WO9626938号、WO9531458号、WO9500146号、WO9725043号、WO9812170号など)、Zaragozic acid 類などと同様のものなどが挙げられるが、なかでも、式
【化2】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7ないし8員の複素環を示し、環J'はR,R,RおよびX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表される化合物;または、式
【化3】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、Xは結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を示す〕で表される化合物;あるいは、式
【化4】

〔式中、環Aおよび環Bはそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環を示し、環Cはさらに置換されていてもよい芳香環を示し、Rは置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基を示し、X1aは結合手または置換されていてもよい低級アルキレンを示し、X1bは結合手または置換されていてもよい低級アルキレンを示し、Xは結合手、−O−または−S−を示し、Xは結合手または置換されていてもよい二価の炭化水素基を示し、Yはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボキシル基を示す。〕で表される化合物;
などが好ましく用いられる。
【0010】
他のスクアレン合成酵素阻害薬としては、A-104109(アボットラボラトリーズ)
【化5】

F-10863-A(Zaragozic acid D3, 三共),
ER-28448、ER-27856(ER-28448 prodrug)などのビスホスホン酸誘導体、およびER-119884、ER-132781などのキヌクリジン誘導体〔quinuclidine derivatives〕(エーザイ)
【化6】

RPR-107393およびRPR-101821(アベンティス)
【化7】

チアジアゾール誘導体〔thiadiazole derivatives〕(ノボノルディスク)
【化8】

イソプロピルアミン誘導体〔isopropylamine derivatives〕およびキヌクリジン誘導体(山之内製薬)
【化9】

イソキヌクリジン誘導体〔isoquinuclidine derivatives〕(寿製薬)
【化10】

マロン酸誘導体〔malonic acid derivatives〕(日本化薬)
【化11】

プロピオニル誘導体〔propionyl derivatives〕(第一製薬)
【化12】

(Rは水素原子またはメチル基),
SQ-34919、SQ-32709、BMS-187745、BMS-188494(ブリストール・マイヤーズ・スクイブ)
【化13】

(Rはカリウム原子または-CH2OCOC(CH3)3),
J-104118(メルク)
【化14】

キヌクリジン誘導体(アストラゼネカ)
【化15】

SDZ-266-806(ノバルティス)
【化16】

などが挙げられ、これらのスクアレン合成酵素阻害薬も本発明の剤に用いることができる。
【0011】
本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」は、塩、プロドラッグなどの形態で用いることもできる。
【0012】
本発明で用いられるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物の「塩」としては、医薬品として許容される塩ないし生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)などが用いられる。さらに、本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」がカルボン酸などの酸性基を有している場合、該「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」は、例えば無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、またはアンモニアなど)あるいは有機塩基(例えば、トリエチルアミンなどのトリ−C1−3アルキルアミンなど)と塩を形成していてもよい。
【0013】
本発明で用いられるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩〔以下、SSI化合物と称することがある〕の「プロドラッグ」は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応によりSSI化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こしてSSI化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こしてSSI化合物に変化する化合物などをいう。SSI化合物のプロドラッグとしては、SSI化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、SSI化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など)、SSI化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、SSI化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など)、あるいは、SSI化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、SSI化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によってSSI化合物から製造することができる。
【0014】
またSSI化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件でSSI化合物に変化するものであってもよい。
また、SSI化合物は水和物であってもよい。
【0015】
SSI化合物の光学的に活性な形態が必要とされる場合、例えば、光学的に活性な出発物質を使用して、あるいは従来の方法を使用する該化合物のラセミ形態の分割によって得ることができる。また、SSI化合物は分子内に不斉炭素を有することもあるが、R配位またはS配位の2種類の立体異性体が存在する場合、それら各々またはそれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
【0016】
式(I)および(Ia)において、Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、脂肪族鎖式(非環式)炭化水素基、脂環式炭化水素基およびアリール基などが挙げられるが、なかでも脂肪族鎖式炭化水素基が好ましい。
【0017】
該炭化水素基の脂肪族鎖式炭化水素基としては、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。なかでも分枝状アルキル基が好ましい。該アルキルとしては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,1−メチルプロピル,n−ヘキシル,イソヘキシル,1,1−ジメチルブチル,2,2−ジメチルブチル,3,3−ジメチルブチル,3,3−ジメチルプロピル,2−エチルブチル,n−ヘプチルなどのC1−7アルキルが挙げられ、なかでも、n−プロピル,イソプロピル,イソブチル,ネオペンチルなどのC3−5アルキルが好ましく、特にイソブチル,ネオペンチルなどが好ましい。該アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2−6アルケニルが挙げられ、なかでも、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル等が特に好ましい。該アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2−6アルキニルが挙げられ、中でもエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等が特に好ましい。
【0018】
該炭化水素基の脂環式炭化水素基としては、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基等が挙げられる。該シクロアルキル基としては炭素数3〜9個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル等が挙げられ、中でも、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基が好ましい。該シクロアルケニル基としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等のC5−6シクロアルケニル基が挙げられる。該シクロアルカジエニル基としては、例えば、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルのC5−6シクロアルカジエニル基などが挙げられる。
【0019】
該炭化水素基のアリール基としては、炭素数6〜16の単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が特に好ましい。
【0020】
で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としては、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいチオール基、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、オキソ等が挙げられ、該炭化水素基はこれらの任意の置換基で置換可能な位置に1〜5個(好ましくは1〜3個)置換されていてもよい。該置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等のC6−16のアリール基が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が好ましい。該置換されていてもよいアリールの置換基としては、炭素数1〜3個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられ、該アリール基はこれらの任意の置換基で1〜2個置換されていてもよい。該置換されていてもよいシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−7シクロアルキル基等が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルキル基の置換基とその置換数としては、前記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基のシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等のC3−6シクロアルケニル基等が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基の置換基とその置換数としては、前記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよい複素環基の複素環基としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素、硫黄、窒素のうち少なくとも1個好ましくは1〜4個のヘテロ原子をもつ芳香族複素環基および飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)が挙げられるが、好ましくは芳香族複素環基である。該芳香族複素環基としては、5〜6員の芳香族単環式複素環基(例、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等)および5〜6員環が2〜3個縮合した芳香族縮合複素環基(例:ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等)が挙げられるが、なかでもフリル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニルなどの5〜6員芳香族単環式複素環基が好ましい。該非芳香族複素環基としては、例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等4〜8員非芳香族複素環基が挙げられる。該置換されていてもよい複素環基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜3個のアルキル基(例:メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(アミノ基、モノ−またはジ−置換アミノ基が含まれる),置換されていてもよい水酸基、および置換されていてもよいチオール基における置換基としては、例えば低級(C1−3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられる。また、Rで表わされる置換されていてもよい炭化水素基における炭化水素基が脂環式炭化水素基またはアリール基である場合、置換基としては、さらに炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピルなど)でもよい。
さらに、上述のように、Rはオキソ基と置換基として有していてもよく、Rとしては、このようなオキソ置換されて炭化水素基であるカルボン酸アシル基も含まれる。このような例としては例えば置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,イソブチリル,バレリル,イソバレリル,ピバロイル,ヘキサノイル,ジメチルアセチル,トリメチルアセチルなど)が挙げられる。また該アシル基は、置換可能な位置に1〜5個の置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素)が挙げられる。
【0021】
式(I)および(Ia)において、RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」として述べた基が挙げられる。但し、アルキル基とアリール基とそれらの置換基としては下記のものであってもよい。すなわち「置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜6個の低級アルキル基(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等)が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等のC1−4アルキル基が挙げられ、例えばこの様な置換されていてもよいアルキル基は1〜4個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)等が挙げられる。
【0022】
「置換されていてもよいアリール基」としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等があげられ、なかでもフェニルが特に好ましい。「置換されていてもよいアリール基」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など),置換されていてよい低級アルキル,置換されていてよい低級アルコキシ,置換されていてもよい水酸基,ニトロ,シアノなどが挙げられ、これらの置換基の同一または異なる1〜3個(好ましくは1〜2個)で置換されていてもよい。該低級アルキルとしては、例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、特にメチル,エチルが好ましい。該低級アルコキシとしては、メトキシ,エトキシ,n−プロポキシ,イソプロポキシ,n−ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブトキシ,tert−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられるが、特にメトキシ,エトキシが好ましい。該置換されていてもよい低級アルキル基または置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等が挙げられ、任意の位置に1〜5個置換されていてもよい。該置換されていてもよい水酸基における置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等)、C3−6シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C6−10アリール基(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、C7−12アラルキル基(例、ベンジル、フェネチルなど)などが挙げられる。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成していてもよく、RまたはRで示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基がフェニル基である場合、例えば、
【化17】

で示されるものが用いられていてもよく、さらにこの様な基は低級(C1−3)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)などで1〜4個置換されていてもよい。
【0023】
およびRで示される「置換されていてもよい複素環基」の複素環基としては、Rで表される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基として挙げた「置換されていてもよい複素環基」に関連して詳述されている複素環基が挙げられるが、なかでもフリル,チエニル,インドリル,イソインドリル,ピラジニル,ピリジル,ピリミジル,イミダゾリルなどの5〜6員芳香族単環式複素環が特に好ましい。該複素環基の置換基としては、炭素数1〜3個のアルキル(例、メチル,エチル,プロピルなど)などが挙げられ、これらの置換基を1〜4個有していてもよい。
上記した中でも、RおよびRとしては、置換されていてもよいフェニル基が好ましく、さらに好ましくは、置換されたフェニル基、特に、塩素、臭素等のハロゲン,低級(C1−3)アルコキシなどで1〜3個、好ましくは1〜2個置換されたフェニル基が好ましい。またR,Rのいずれか一方は水素が好ましい。
【0024】
式(I)において、X'で示される「エステル化されていてもよいカルボキシル基から構成される基」としては、エステル化されていてもよいカルボキシル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基を有している基が挙げられる。該エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、下記Yで定義されるエステル化されていてもよいカルボキシル基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよいカルバモイル基から構成される基」としては、置換されていてもよいカルバモイル基および置換されていてもよいカルバモイル基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよいカルバモイル基としては、下記Yで定義される置換されていてもよいカルバモイル基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよい水酸基から構成される基」としては、置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよい水酸基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよい水酸基としては、下記Yで定義される置換されていてもよい水酸基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよいアミノ基から構成される基」としては、置換されていてもよいアミノ基および置換されていてもよいアミノ基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基としては、下記Yで定義される置換されていてもよいアミノ基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基から構成される基」としては、脱プロトン化しうる水素原子を有する(すなわち活性プロトンを有する)、置換されていてもよい複素環残基および脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよい複素環残基としては、下記Yで定義される脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'としては、例えば、式(a)
【化18】

〔式中、Xは結合手または2価もしくは3価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を、破線部分は単結合または二重結合を示す〕で表される基が挙げられる。
【0025】
式(a)中、Xで示される「2価の原子鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する原子数が1〜7個、さらに好ましくは1〜4個である2価の鎖であればいずれでもよく、側鎖を有していてもよい。例えば、
【化19】

で表わされるものが挙げられ、式中、m、nは独立して0、1、2または3を表わし、Eは結合手または酸素原子、イオウ原子、スルホキシド、スルホン、−N(R)−、−NHCO−、−CON(R)−あるいは−NHCONH−を表わす。ここで、RおよびRは水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいフェニル基を示す。また、Rは水素原子、低級アルキル基、アラルキル基またはアシル基を示す。
およびRで示される「置換されていてもよい低級アルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル等)が挙げられる。該置換されていてもよい低級アルキル基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基をもっていてもよく、これらの置換基としては、芳香族複素環基(例、フリル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリルなどN、O、Sのヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員芳香族複素環)、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいチオール基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などが挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(アミノ基またはモノ−またはジ置換アミノ基)、置換されていてもよい水酸基、および置換されていてもよいチオール基における置換基としては、低級(C1−3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピルなど)などが挙げられる。該エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニルなどC2−5アルコキシカルボニルおよびC7−11アリールオキシカルボニルが挙げられるが、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルである。
【0026】
およびRで示される「置換されていてもよいアラルキル基」のアラルキル基としては、ベンジル、ナフチルメチル、フェニルプロピル、フェニルブチル等C−C15アラルキル基が挙げられる。該置換されていてもよいアラルキル基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜3個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基等が挙げられる。
およびRで示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−3アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)、C1−3アルキル(例、メチル、エチル、プロピル)などが挙げられる。
ただし、Rはメチレン鎖ごとに異なっていてもよい。
また、Rで示される「低級アルキル基」および「アラルキル基」としては、炭素数1〜4個の低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数7〜15個のアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ナフチルメチル等)がそれぞれ挙げられる。
【0027】
で示される「アシル基」としては、低級(C1−6)アルカノイル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイルなど)、低級(C3−7)アルケノイル基(例、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソクロトノイルなど)、C4−7シクロアルカンカルボニル基(例、シクロプロパンカルボニル基、シクロブタンカルボニル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基など)、低級(C1−4)アルカンスルホニル基(例、メシル、エタンスルホニル、プロパンスルホニルなど)、C7−14アロイル基(例、ベンゾイル、p−トルオイル、1−ナフトイル、2−ナフトイルなど)、C6−10アリール低級(C2−4)アルカノイル基(例、フェニルアセチル、フェニルプロピオニル、ヒドロアトロポイル、フェニルブチリルなど)、C6−10アリール低級(C3−5)アルケノイル基(例、シンナモイル、アトロポイルなど)、C6−10アレーンスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル基など)などが挙げられる。
さらに、Xとしては、二重結合を含んでいる炭素鎖または−L−CH(OH)−(Lは結合手または直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖を示す)でもよい。該「二重結合を含んでいる炭素鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個、さらに好ましくは1〜4個であるものが挙げられ、側鎖を有していてもよい。該炭素鎖における二重結合は、直鎖部分あるいは分枝鎖部分のいずれか一方または両方に含まれるものであるが、好ましくは直鎖部分に含まれるものが挙げられる。また、該炭素鎖に含まれる二重結合の数は可能な限り特に限定されないが、1〜2個が好ましい。
【0028】
該二重結合を含んでいる炭素鎖としては、例えば、メチン,ビニレン,プロペニレン,ブテニレン,ブタジエニレン,メチルプロペニレン,エチルプロペニレン,プロピルプロペニレン,メチルブテニレン,エチルブテニレン,プロピルブテニレン,メチルブタジエニレン,エチルブタジエニレン,プロピルブタジエニレン,ペンテニレン,ヘキセニレン,ヘプテニレン,ペンタジエニレン,ヘキサジエニレン,ヘプタジエニレンなどが挙げられるが、好ましくは、メチン,ビニレン,プロペニレン,ブテニレン,ブタジエニレンが挙げられる。ここで、該炭素鎖が3価である場合、該炭素鎖は、環J’の環上の置換可能な炭素原子と二重結合で結ばれている。
Lで示される「直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖」としては、例えば、直鎖状もしくは分枝状の炭素数1〜6個のアルキレン鎖が挙げられ、例えば、メチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,プロピレン,エチルメチレン,エチルエチレン,プロピルエチレン,ブチルエチレン,メチルテトラメチレン,メチルトリメチレンなどの2価基が挙げられるが、好ましくは、メチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレンなどの炭素数1〜3個のものが挙げられる。
【0029】
上記した中でも、X'としては、式(b)
【化20】

〔式中、Xは結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を示す〕で表される基が好ましい。
式(b)中、Xで示される2価の原子鎖としては、前記Xで定義された2価の原子鎖と同様なものが挙げられる。
式(a)および(b)中、XまたはXで示される「2価の原子鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個(より好ましくは1〜4個)である直鎖状あるいは分枝鎖状のアルキレン鎖が挙げられる。該アルキレン鎖としては、例えば、メチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,プロピレン,エチルメチレン,エチルエチレン,プロピルエチレン,ブチルエチレン,メチルテトラメチレン,メチルトリメチレンなどの2価基が挙げられるが、好ましくは、メチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレンなどの炭素数1〜4個のものが挙げられる。
式(a)および(b)において、Yで示される「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、炭素数2−7の低級アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニルなど)、C7−14アリールオキシカルボニル(例、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル)、C8−12アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニルなど)などが挙げられる。なかでもカルボキシル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましい。
【0030】
Yで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」の置換基としては、置換されていてもよい低級(C1−6)アルキル(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,イソヘキシル等)、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられ、これらの置換基は同一または異なって1個または2個置換されていてもよい。該置換されていてもよい低級(C1−6)アルキルおよび置換されていてもよいC3−6シクロアルキルにおける置換基としては、低級(C1−5)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、ヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員芳香族複素環基(例、フリル,チエニル,インドリル,イソインドリル,ピラジニル,ピリジル,ピリミジル,イミダゾリルなど),アミノ基,水酸基,フェニル基などが挙げられ、これらの置換基は、同一または異なって1〜3個置換していてもよい。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert-ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。また、該置換されていてもよいカルバモイル基において、2個の窒素原子上の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成していてもよく、このような環状アミノ基の例としては、1−アゼチジニル,1−ピロリジニル,ピペリジノ,モルホリノ,1−ピペラジニルなどが挙げられる。また、該環状アミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0031】
Yで示される「置換されていてもよい水酸基」の置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられる。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert-ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。
Yで示される「置換されていてもよいアミノ基」としては、モノ置換およびジ置換アミノ基を含み、これらの置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられる。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられ、これらの置換基を1〜4個好ましくは1〜2個有していてもよい。また、2個の窒素原子上の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成していてもよく、このような環状アミノ基の例としては、1−アゼチジニル,1−ピロリジニル,ピペリジノ,モルホリノ,1−ピペラジニルなどが挙げられる。また、該環状アミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0032】
Yで示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基」の複素環残基としては、N,S,Oのうちの少なくとも1個を含む5〜7員(好ましくは5員)の単環状の複素環残基(好ましくは、含窒素複素環残基)が挙げられ、これらが脱離してプロトンを形成しうる水素原子を有しているのがよい。例えば、テトラゾール−5−イルまたは式
【化21】

〔式中、iは−O−または−S−を、jは>C=O,>C=Sまたは>S(O)を示す〕で表される基(なかでも、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル,2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−3−イルが好ましい)などが挙げられる。
上記複素環残基は、置換されていてもよい低級アルキル基(好ましくはC1−4アルキル)またはアシル基などで保護されていてもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基としては、C1−3アルキル,ニトロ,C1−3アルコキシで置換されていてもよいフェニルまたはC1−3アルコキシで置換されていてもよいC1−4アルキル(例、メチル,トリフェニルメチル,メトキシメチル,エトキシメチル,p−メトキシベンジル,p−ニトロベンジルなど)などが挙げられる。該アシル基としては、低級(C2−5)アルカノイル,ベンゾイルなどが挙げられる。
上記した中でも、X'としては、エステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されているアルキル基、脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基で置換されているアルキル基または置換されていてもよいカルバモイル基で置換されているアルキル基が好ましい。
【0033】
式(I)において、環Aで示される複素環としては、Rで表わされる炭化水素基の置換基に関連して詳述されている複素環基が挙げられるが、なかでも
【化22】

で表されるものが好ましい。
環Aで示される「置換されていてもよいベンゼン環」および「置換されていてもよい複素環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Aはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成してもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基または置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。環Aとしては、メトキシもしくは塩素原子で置換されたものが好ましく、特に塩素原子で置換されたものが好ましい。
【0034】
式(Ia)において、環Bで示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、炭素数1〜4の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数1〜4の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Bはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成してもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基または置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。環Bとしてはメトキシもしくは塩素原子で置換されたものが好ましく、特に塩素原子で置換されたものが好ましい。
【0035】
式(I)において、環J'で示される「環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環」における複素環としては、例えば、O,S(O)q(qは0,1または2を示す)およびNのうちの少なくとも1個を含む7または8員の飽和もしくは不飽和の複素環が挙げられる。ただし、該複素環の環を構成する原子(環構成原子)におけるヘテロ原子は3個以下である。
また、環J'は、R,R,R,X'で示される基以外に、さらに置換基を置換可能な位置に、1〜2個有していてもよい。該置換基としては、該置換基が環J'上の窒素原子に結合する場合、アルキル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル等のC1−6アルキルなど),アシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチロイル等のC1−4アシル基)などが挙げられる。該アルキル基またはアシル基は、さらにハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)で1〜5個置換されていてもよい。また、該置換基が環J'上の炭素原子に結合する場合、該置換基としては、オキソ,チオキソ,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基などが挙げられる。該置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよいアミノ基としては、前記Yで定義された「置換されていてもよい水酸基」および「置換されていてもよいアミノ基」と同様なものが挙げられる。
環J'としては、R,R,R,X'で示される基以外に、置換可能な位置に、オキソまたはチオキソが置換しているものが好ましい。
【0036】
環Aと環J'とからなる縮合環としては、例えば
【化23】

などが挙げられる。
【0037】
式(I)としては、式(I')
【化24】

〔式中、R,R,R,X',環Aは前記と同意義を示す。環Jは7員の複素環を、Zは−N(R)−(Rは水素原子,アルキル基またはアシル基を示す),−S(O)q−(qは0,1または2を示す),−CH−または−O−を、KはCまたはNを、GはOまたはSを示す。〕で表わされるものが好ましい。
【0038】
上記式(I')中、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチルなど)が挙げられ、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などで1〜5個置換されていてもよい。
で示されるアシル基としては、C1−4アシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチロイルなど)が挙げられ、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などで1〜5個置換されていてもよい。
式(I')中、Zとしては、S(O)q(qは0,1または2を示す),Oが好ましい。またKとしてはCが、GとしてはOが好ましい。
式(I')としては、さらに好ましくは、式(I'')
【化25】

〔式中、R,R,R,X,Y,環Aは前記と同意義を示す。ZはS(O)q(qは0,1または2を示す)またはOを示す〕で表わされるものが好ましい。
【0039】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ia)
【化26】

で表される化合物が好ましい。
式(Ia)としては、式(Ia')
【化27】

〔式中、R,環Bは前記と同意義を示す。Qは水素または金属イオンを、環Cは置換されていてもよいフェニル基を示す〕で表されるものであってもよい。式中、7員環の面に対して、3位と5位の置換基が逆方向を向いているトランスを示し、(R)はR−配置を示す。
上記式(Ia')において、Qで示される金属イオンとしては、ナトリウムイオン,カリウムイオン,カルシウムイオン,アルミニウムイオンなどが挙げられるが、なかでもナトリウムイオン,カリウムイオンが好ましい。
環Cで示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基としては、前記RおよびRで定義された「置換されていてもよい炭化水素基」の例として述べた「置換されていてもよいアリール基」の置換基として挙げたものと同様なものが挙げられる。
【0040】
式(I)で表わされる化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0041】
式(I)で表わされる化合物を以下に具体的に例示すると、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0042】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0043】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0044】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0045】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0046】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0047】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−イソブチル−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−酢酸、
【0048】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−イソブチル−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−イル〕−アセチル〕グリシン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ジメチルアミノカルボニルメチル−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン、
7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−〔1〕−ベンズアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−2−チオキソ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
【0049】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−1−イソブチル−5−(2−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0050】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0051】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、およびこれら塩などが挙げられる。
【0052】
上記一般式(I)で表される化合物およびその塩〔以下、塩も含めて単に化合物(I)と称することがある。〕は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号)、EPA645377(特願平6−229159号)、EPA645378(特願平6−229160号)などで開示され、これらの公報の開示にしたがって製造することができる。
【0053】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ib)
【化28】

で表される化合物が好ましい。
式(Ib)で表わされる化合物としては、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルである化合物;
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよい分枝状のC3−6アルキルである化合物;
が2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル、3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル、3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピルまたは3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピルである化合物;
1bがメチルである化合物;
Wが塩素原子である化合物;
が式
【化29】

〔式中、R2bおよびR3bはそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基またはアシル基であるか、あるいはR2bおよびR3bは隣接する窒素原子と一緒になって窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個環構成原子として含んでいてもよい置換されていてもよい5または6員含窒素複素環を形成する〕で表される基である化合物;
【0054】
で表される基において、
2bが水素原子またはC1−7アルキル基を示し、
3b
(1)(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニル、(d)C6−10アリールおよび(e)C6−10アリール−C1−4アルキルから選ばれる炭化水素基〔ここで(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキルおよび(c)C2−6アルケニルは、それぞれ
(i)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、塩素原子、フッ素原子、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基より選ばれる1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
(x)ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはフタルイミドから導かれるC1−3アルキル、ベンジルまたはフェニルで置換されていてもよい環状アミノ基および
(xi)ピリジン,イミダゾール,インドールまたはテトラゾ−ルから導かれる芳香族5〜6員複素環基
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよく、
(d)C6−10アリールおよび(e)C6−10アリール−C1−4アルキルは、それぞれ
(i)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基、
(v)C1−6アルキルまたはC6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(vi)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基、C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3アルキル基および
(vii)ハロゲン
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕、
(2)テトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルまたは2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル基、または
(3)(i)1または2個のハロゲンで置換されていてもよいC2−7アルカノイル基、および(ii)C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびハロゲンから選ばれる1ないし4個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基、C1−4アルキルスルホニル基またはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基
から選ばれるアシル基を示すか、
【0055】
またはR2bおよびR3bは、隣接の窒素原子と一緒になってピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン、2,6−ジオキソピペラジン、モルホリンまたはチオモルホリンより導かれる5員または6員環〔ここで、5員または6員環は
(A)C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、
(B)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(C)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(D)スルホン酸基、
(E)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(F)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、カルバモイル基、および水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基より選ばれた1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル、C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基またはテトラゾリルで置換されていてもよいC1−6アルキルおよびC2−5アルケニル、
(G)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
(H)ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジン、または4−フェニルピペラジンから導かれる環状アミノ基、
(I)シアノ基、
(J)カルバモイル基、
(K)オキソ基、
(L)テトラゾリルまたは2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル基、
(M)C6−10アリールスルホニル、C1−4アルキルスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル基、
(N)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、および
(O)水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基から選ばれる1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕を形成する化合物;
【0056】
で表される基において、
2bおよびR3bは、隣接するカルバモイル基の窒素原子と一緒になってピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジンまたは2,6−ジオキソピペラジンより導かれる5員または6員環を形成し、その5員または6員環は、それぞれ
(i)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイル−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3でアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基より選ばれた1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、および
(x)テトラゾリル基
から選ばれる1〜2個の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基で置換されていてもよい環である化合物;
で表される基において、
2bが水素原子またはC1−7アルキル、R3bがC1−4アルキルスルホニルである化合物;
【0057】
で表される複素環基が、テトラゾリル、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル、4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルまたは2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリルである化合物;
【0058】
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
が式
【化30】

〔式中、R2b'は水素原子またはC1−7アルキルを示し、R3b'はC1−4アルキルを示す。〕で表される基である化合物;
【0059】
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
が式
【化31】

〔式中、R'は水素原子またはC1−7アルキルを示し、nは1ないし5の整数を示す。〕で表される基である化合物;
【0060】
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
が式
【化32】

〔式中、R"は水素原子またはC1−4アルキルを示す〕で表される基である化合物;
【0061】
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
がテトラゾリルである化合物;
【0062】
が1個または2個の水酸基で置換されていてもよい低級アルキル、

(1)(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニル、(d)C6−10アリールおよび(e)C7−14アリールアルキルから選ばれる炭化水素基〔ここで(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニルは、それぞれ
(i)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)リン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、塩素原子、フッ素原子、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基より選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
および
(x)ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジンまたは4−フェニルピペラジンから導かれるC1−3アルキル、ベンジルまたはフェニルで置換されていてもよい環状アミノ基、および
(xi)ピリジン,イミダゾール,インドールまたはテトラゾ−ルから導かれる芳香族5〜6員複素環基
より選ばれる1ないし4個の置換を有していてもよく、
(d)C6−10アリールおよび(e)C7−14アリールアルキルは、それぞれ
(i)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)リン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3アルキル基、または
(vi)ハロゲン原子
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕で置換されていてもよいカルバモイル基、
(2)テトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルまたは2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル基、
(3)(i)1または2個のハロゲンで置換されていてもよいC2−7アルカノイル基、および(ii)C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびハロゲンから選ばれる1ないし4個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基、C1−4アルキルスルホニル基またはC7−14アリールアルキルスルホニル基から選ばれるアシル基で置換されていてもよいカルバモイル、または
(4)ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン、2,6−ジオキソピペラジン、モルホリンおよびチオモルホリンより導かれる環状アミノカルボニル基
〔ここで、環状アミノカルボニル基は
(A)水酸基、
(B)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(C)リン酸基、
(D)スルホン酸基、
(E)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(F)上記(A)、(B)、(C)、(D)または(E)で置換されていてもよいC1−3アルキルまたはC2−5アルケニル、
(G)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
(H)ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジンまたは4−フェニルピペラジンから導かれる環状アミノ基、
(I)シアノ基、
(J)カルバモイル基、
(K)オキソ、
(L)C1−3アルコキシ、
(M)テトラゾリルまたは2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリルから導かれる複素環基、および
(N)C6−10アリールスルホニル、C1−4アルキルスルホニルまたはC7−14アリールアルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル基より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕である化合物;
が2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル基である化合物;などが好ましい。
【0063】
前記式中、Rで示される低級アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等C1−6アルキルが挙げられる。なかでも、C3−6アルキル基が好ましく、C4−5アルキル基がより好ましい。とりわけイソブチル,ネオペンチル等の分枝状C4−5アルキル基が好ましい。
で示される低級アルキルの置換基としては、例えば炭素数C2−20アルカノイルまたはC1−7アルキルで置換されていてもよい水酸基などが挙げられる。このような置換基としては、例えば水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシ等が挙げられる。
このような置換基は、置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
さらに、Rで示される置換されていてもよい低級アルキルとしては、例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル,3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピルおよび3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。
で示される置換されていてもよいカルバモイル基は、式
【化33】

で表される基のようなものが挙げられる。
【0064】
2bおよびR3bで示される「置換されていてもよい炭化水素」としては、置換されていてもよいC1−7の直鎖または分枝状のアルキル基(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,1,1−ジメチルエチル,n−ペンチル,3−メチルブチル,2−メチルブチル,1−メチルブチル,1−エチルプロピル,n−ヘキシル,4−メチルペンチル,3−メチルペンチル,2−メチルペンチル,2−エチルブチル,1−エチルブチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル)、置換されていてもよいC3−7のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘキシルメチル等)、置換されていてもよいC2−6の直鎖または分枝状のアルケニル基(例えば、ビニル,アリル,イソプロペニル,2−メチルアリル,1−プロペニル,2−メチル−1−プロペニル,2−メチル−2−プロペニル,1−ブテニル,2−ブテニル,3−ブテニル,2−エチル−1−ブテニル,2−メチル−2−ブテニル,3−メチル−2−ブテニル,1−ペンテニル,2−ペンテニル,3−ペンテニル,4−ペンテニル,4−メチル−3−ペンテニル,1−ヘキセニル,2−ヘキセニル,3−ヘキセニル,4−ヘキセニル,5−ヘキセニル等)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例えば、フェニル,ナフチル基)および置換されていてもよいC7−14アリールアルキル基(例、ベンジル,フェネチル,ナフチルメチル)等が挙げられる。
【0065】
該「置換されていてもよいC1−7の直鎖または分枝状のアルキル基、置換されていてもよいC3−7シクロアルキル基,C2−6の直鎖または分枝状のアルケニル基」の置換基としては、C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,フェニル,ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基,C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等)またはアセチルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基,C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基,C1−3のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル等)でアルキル化されていてもよい水酸基およびスルフヒドリル基,カルバモイル基,1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基,塩素,フッ素,アミノスルホニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよいフェニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基,環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,フタルイミド等の環状アミンから導かれるC1−3アルキル、ベンジル、フェニル等で置換されていてもよく、さらに酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基)および、N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む芳香族5〜6員複素環(例えば、ピリジン,イミダゾール,インドール,テトラゾール等)が挙げられる。
【0066】
さらにXで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」のカルバモイル基を形成する置換されていてもよいアミノ基の置換基としてのC6−10アリール基およびC6−10アリール−C1−4アルキル基の置換基としては、C1−4のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,tert−ブチル基等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル)またはピバロイルオキシメチル基、アセチルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基でモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル、C1−6のアルキル基またはC6−10アリ−ル−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基およびC1−4のアルキル基でエステル化されていてもよいカルボキシル基,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等のC1−6のアルキル基またはピバロイルオキシメチル基などのC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基およびC1−6アルキル,C6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル),ハロゲン(例えば、フッ素,塩素)等が挙げられる。
該「炭化水素基」は、置換可能な位置に置換基を1ないし5個有していてもよい。
【0067】
2bおよびR3bで示される「置換されていてもよい複素環基」としては、オキソ基,チオキソ基等の置換基を1〜2個(好ましくは1個)有していてもよく、かつ脱プロトン化しうる水素原子を有する複素環基が好ましい。かかる複素環基は、S、O、Nから選ばれるヘテロ原子を1〜4個、好ましくは2〜3個含む5〜6員複素環基が好ましい。具体的にはテトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルおよび2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル等が挙げられる。とりわけテトラゾリル基が好ましい。
【0068】
2bおよびR3bで示される「アシル基」としては、カルボン酸から誘導されるカルボン酸アシル基(例えば、アセチル,プロピオニル,ブチリル,ベンゾイル等C2−7カルボン酸アシル基)および置換基を有していてもよいC6−10アリールスルホニル基,C1−4アルキルスルホニル基およびC6−10アリ−ル−C1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル,エチルスルホニル,フェニルスルホニル,ナフチルスルホニル,フェニルメチルスルホニル,フェニルエチルスルホニル,ナフチルメチルスルホニル,ナフチルエチルスルホニル等)が挙げられる。アリール,アルキル−およびアリールアルキルスルホニル基の置換基としては、C1−3のアルキル(例メチル,エチル,プロピル等),C1−3のアルコキシ(例メトキシ,エトキシ,プロポキシ等),ハロゲン(例、塩素,フッ素,臭素)等が挙げられ、これらが1〜4個好ましくは1〜2個置換可能な位置に置換していてよい。
上記、カルボン酸アシル基は、ハロゲン(例、塩素、フッ素、臭素)を1〜2個置換基として有していてもよい。
【0069】
2bおよびR3bが隣接のカルバモイルの窒素原子と一緒になって形成する、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルなどで置換されていてもよい環状アミノ基としては、例えば、ピペラジン,ピペリジン,ピロリジン,ピペラジン−2−オン,ピペラジン−2,6−ジオン,モルホリン,チオモルホリンのような環状アミンであって、さらに、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個環構成原子として含んでいてもよい5または6員環状アミンから導かれる基が挙げられる。これらの環状アミノ基は、1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよい。該置換基としては、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基,C1−4のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,tert−ブチル基等)またはC7−10アリールアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基(例えば、アセチルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基)でモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基およびC1−6のアルキル基またはC6−10アリ−ル−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基、「C1−6アルキルまたはC6−10アリ−ル−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基(例えば、アセチルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基など)でモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキルまたはC6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、カルバモイル基、1ないし5個の置換基(例えば、水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル、C1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基など)で置換されていてもよいフェニル、C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基またはテトラゾリル」で置換されていてもよいC1−6アルキルおよびC2−5アルケニル、C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基,環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン等の、C1−3アルキル,ベンジル,フェニルで置換されていてもよく、さらに窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を含んでいてもよい5−または6−員環状アミンから導かれる基),シアノ基,カルバモイル基,オキソ基,C1−3アルコキシ(例えば、メトキシ,エトキシ,エチレンジオキシ等),上記したのと同様な脱プロトン化しうる水素原子を有するオキソ基またはチオキソ基で置換されていてもよい複素環基(例えば、テトラゾリル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル等),Xで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」のカルバモイルを形成する置換されていてもよいアミノ基の置換基として挙げたC6−10アリールスルホニル,C6−10アリ−ル−C1−4アルキルスルホニルおよびC1−4アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル,エチルスルホニル,プロピルスルホニル,ブチルスルホニル,イソプロピルスルホニル,tert−ブチルスルホニル,フェニル,スルホニル,ベンジルスルホニル等)、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基または1ないし5個の置換基(例えば、水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基など)で置換されていてもよいフェニルで置換されたカルバモイル基等が挙げられる。
【0070】
で表される置換されていてもよいカルバモイル基の例としては、例えば
【化34】

【化35】

【化36】

等が挙げられる。
2b’およびR'としては、水素原子およびC1−7アルキル等が挙げられる。とりわけ水素原子が好ましい。
2b,R2b'およびR'で表されるC1−7アルキルとしては、前記の「炭化水素基」のC1−7アルキルと同様のものが挙げられる。
R”としては、水素原子およびC1−4アルキル等が挙げられる。とりわけ水素原子が好ましい。
3b'およびR"で表されるC1−4アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0071】
で示される脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基としては、ブレンステッド酸的活性プロトンを有する含窒素(好ましくは1〜4個の窒素原子を含む)5〜6員複素環が好ましく、窒素原子、硫黄原子、酸素原子を1〜4個、好ましくは2〜3個含んでいるのがよい。これらの置換基としては、オキソ基,チオキソ基等があげられ、これらの置換基を1〜2個、特に1個有していてもよい。Xで示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、テトラゾリル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル等のXで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」の置換基としての「置換されていてもよい複素環基」として例示したものなどが挙げられる。
1bで示される「低級アルキル基」としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル等のC1−6アルキル基が挙げられる。とりわけC1−3のアルキル基が好ましい。R1bとしては、特にメチル基が薬理活性面から好ましい。
Wで示される「ハロゲン原子」としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。とりわけ塩素原子が好ましい。
【0072】
式(Ib)で表される化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。
また、式(Ib)で表される化合物の水和物および非水和物も本発明に包含されるものである。
式(Ib)で表わされる化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、7員環の面に対して、3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に3位の絶対配置がR配置で、5位の絶対配置がS配置のものが好ましい。
【0073】
式(Ib)で表される化合物またはその塩としては、具体的には以下のものが好ましい。
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
【0074】
N−メタンスルホニル−〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル]ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
【0075】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド;など
【0076】
式(Ib)で表される化合物またはその塩は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号に基づくPCT出願)、EPA645377(特願平6−229159号に基づく出願)、EPA645378(特願平6−229160号に基づく出願)、WO9710224号などの公報の開示の方法、またはそれに準ずる方法に従って製造することができる。
【0077】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ic)
【化37】

で表される化合物が好ましい。
式(Ic)で表わされる化合物としては、
1cが3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシエチル基、それぞれ置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、(カルボキシフリル)−アルキル基、カルボキシ−C6−10アリール基、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基または(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−フェニル基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシフリル)−アルキル基である化合物;
2cがアルカノイルオキシ基および/または水酸基を有するC3−6アルキル基である化合物;
2cが水酸基、アセトキシ、プロピオニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシおよびパルミトイルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC3−6アルキル基である化合物;
2cが2,2−ジメチルプロピル、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルまたは3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピルである化合物;
3cがメチル基である化合物;
Wが塩素原子である化合物;
3位がR−配位で5位がS−配位である化合物;などが好ましい。
【0078】
前記式中、R1cは、置換基を有していてもよい1−カルボキシエチル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、または 式 −X1c−X2c−Ar−X3c−X4c−COOH(式中、X1cおよびX4cはそれぞれ結合手または置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基を示し、X2cおよびX3cはそれぞれ結合手、−O−または−S−を示し、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香環基を示す。但し、X1cが結合手のとき、X2cは結合手を示し、X4cが結合手のとき、X3cは結合手を示す)で表される基を示す。
1cで示される置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基におけるC3−6直鎖アルキル基としては、n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシルが挙げられる。これらのうち、n−プロピル,n−ブチルが好ましく、n−プロピルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基におけるC3−6直鎖アルキル基としては、n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシルが挙げられる。これらのうち、n−プロピル,n−ブチルが好ましく、n−プロピルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基におけるC5−7シクロアルキル基としては、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチルが挙げられる。これらのうち、シクロペンチル,シクロヘキシルが好ましく、シクロヘキシルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基におけるC1−3アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられる。これらのうち、メチル,エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
1cとしての式 −X1c−X2c−Ar−X3c−X4c−COOHで表される基において、X1cおよびX4cで示される「置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基」における「C1−4アルキレン基」としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられ、C1−3アルキレン基が好ましく、なかでも、直鎖状のものが好ましく用いられる。
【0079】
Arで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基などが挙げられる。
ここで、2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、C6−10アリール基(例、フェニル,ナフチルなど)から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられ、2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレンが好ましく用いられる。
2価の芳香族複素環基としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環基から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられる。
ここで、芳香族複素環基としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基(好ましくは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジルなど)、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等の8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環、より好ましくは前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
【0080】
1cおよびX4cで示される「置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基」における「C1−4アルキレン基」;ならびにArで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」がそれぞれ有していてもよい置換基としては、(i)C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,フェニル,ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基,(ii)C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等)またはアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基,(iii)スルホン酸基,(iv)C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基,(v)C1−3のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル等)でアルキル化されていてもよい水酸基およびスルフヒドリル基,(vi)カルバモイル基,(vii)1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基,塩素,フッ素,アミノスルホニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよく、OまたはSを介して結合していてもよいフェニル基,(viii)C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基,(ix)C1−3アルキル(例、メチル,エチル等)、ベンジル、フェニル等で1ないし3個置換されていてもよい環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,フタルイミド等の環状アミンから(水素原子を一個除いて)導かれる環状アミノ基などの窒素原子の外に酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基),(x)N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含み、OまたはSを介して結合していても5−6員芳香族複素環基(例えば、ピリジル,イミダゾリル,インドリル,テトラゾリル等),(xi)ハロゲン原子(例、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素など),(xii)C1−4アルコキシ基、C1−4アルキルチオ基、カルボキシルおよびフェニルから選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル等)、C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,t−ブトキシ等)またはC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,ブチルチオ,tert−ブチルチオ等)、(xiii)C5−7シクロアルキル基(例、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチル等)、(xiv)C1−7アルカノイルオキシ(例、ホルミルオキシ,アセトキシ,プロピオニルオキシ,ブチリルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,イソブチリルオキシ,バレリルオキシ,ピバロイルオキシ等)が挙げられる。このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、2個の置換基が結合して、C3−6アルキレン、C3−6アルキレンオキシ、C3−6アルキレンジオキシなどを形成していてもよく、例えば、フェニル基上の隣接した2個の置換基が結合してCアルキレンを形成する場合は、テトラヒドロナフタレン基を形成することとなる。
【0081】
1cとしての式 −X1c−X2c−Ar−X3c−X4c−COOHで表される基の具体例としては、置換基を有していてもよい(カルボキシ−ヘテロアリール)−C1−4アルキル基〔好ましくは、置換基を有していてもよい(カルボキシ−フリル)−C1−4アルキル基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C6−10アリール)−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−ヘテロアリール基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C6−10アリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基〔好ましくは、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−ヘテロアリール−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C7−14アラルキル基〔好ましくは、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルコキシ)−C6−10アリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルコキシ)−C6−10アリール−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリールオキシ−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C6−10アリールオキシ)−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキルチオ)−ヘテロアリール基などが挙げられる。
ここで、ヘテロアリールとしては、前記した「芳香族複素環基」と同様なものが挙げられ、該ヘテロアリールは、前記した「芳香族複素環基」が有していてもよい置換基と同様な置換基を有していてもよい。また、C6−10アリールとしては、フェニル,ナフチル,アズレニルが挙げられ、フェニルが好ましく用いられ、該C6−10アリールは、前記した「芳香族複素環基」が有していてもよい置換基と同様な置換基を有していてもよい。
【0082】
で示される置換基を有していてもよい(カルボキシフリル)−C1−4アルキル基におけるアルキル基としては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル、n−ブチル,イソブチル,1,1−ジメチルエチル等のC1−4の直鎖または分枝状のアルキル基等が挙げられる。これらのうち、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル等のC1−4アルキル基が好ましく、メチル,エチル,n−プロピルがより好ましい。該カルボキシフリル基としては、例えば3−カルボキシ−2−フリル、4−カルボキシ−2−フリル、2−カルボキシ−3−フリル、2−カルボキシ−5−フリル等が挙げられる。こらのうち、3−カルボキシ−2−フリル、4−カルボキシ−2−フリルが好ましく、3−カルボキシ−2−フリルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基におけるC2−3アルキルとしては、エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられ、エチル,n-プロピルが好ましい。C6−10アリール基としては、フェニル,ナフチル,アズレニルが挙げられ、フェニルが好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基における、C1−3アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられ、メチル,エチルが好ましく、エチルが特に好ましい。C7−14アラルキル基(C6−10アリール−C1−4アルキル基)としては、フェニルメチル,1−フェニルエチル,2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル,2−フェニルプロピル,4−フェニルブチル,(1−ナフチル)メチル,(2−ナフチル)メチル、1−(1−ナフチル)エチル,1−(2−ナフチル)エチル、3−(1−ナフチル)プロピル,3−(1−ナフチル)プロピル、4−(1−ナフチル)ブチル、4−(2−ナフチル)ブチルが挙げられ、フェニルメチル,1−フェニルエチル,3−フェニルプロピル,(1−ナフチル)メチル、(2−ナフチル)メチル、(1−ナフチル)エチル、(2−ナフチル)エチルが好ましく、フェニルメチル,2−フェニルエチルが特に好ましい。
【0083】
1cで示される各基で置換基を有する場合の置換基としては、Arで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」が有していてもよい置換基と同様なものが挙げられ、このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、R1cで示される各基において、カルボキシル部分は無置換であることが好ましいが、カルボキシル以外の任意の部分は、置換可能位置に置換可能な置換基を有していてもよい。
1cとしては、3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシエチル基、それぞれ置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、(カルボキシフリル)−アルキル基、カルボキシ−C6−10アリール基、(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基〔好ましくは、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基〕、(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基などが好ましく、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基が好ましく、置換基を有していても良い(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基がさらに好ましく、とりわけ、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−フェニル基が好ましい。
【0084】
2cで示される、アルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基におけるC3−6アルキル基としては、例えば、n−プロピル,イソプロピル,1,1−ジメチルエチル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,2,2−ジメチルプロピル,イソペンチル,n−ヘキシル,イソヘキシル等が挙げられる。これらのうち、イソプロピル,1,1−ジメチルエチル,n−ブチル、イソブチル,2,2−ジメチルプロピル,イソヘキシルが好ましく、2,2−ジメチルプロピルが特に好ましい。
2cで示される、アルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基におけるアルカノイルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ,アセトキシ,プロピオニルオキシ,ブチリルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,イソブチリルオキシ,バレリルオキシ,ピバロイルオキシ,ラウリルオキシ,パルミトイルオキシ,ステアロイルオキシ等のC1−20アルカノイルオキシ基(好ましくは、C1−7アルカノイルオキシ基など)などが挙げられる。これらのうち、アセトキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシが好ましく、アセトキシが特に好ましい。アルカノイルオキシ基または水酸基は、置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
2cで示されるアルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基の好ましい例としては、2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピルおよび3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。これらのうち、2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピルが特に好ましい。
また、R2cとしては、アルカノイルオキシ基および/または水酸基を有するC3−6アルキル基が好ましい。
【0085】
3cで示される低級アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル等のC1−6アルキル基が挙げられる。とりわけC1−3のアルキル基が好ましい。R3cとしては、特にメチル基が薬理活性面から好ましい。
Wで示されるハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。とりわけ塩素原子が好ましい。
【0086】
式(Ic)で表わされる化合物は遊離体であっても、薬理学的に許容される塩であっても本発明に含まれる。このような塩としては、式(Ic)で表わされる化合物がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、鉄、銅等の遷移金属等)や有機塩基(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類等)などとの塩を形成していてもよい。
本発明の式(Ic)で表わされる化合物がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸や有機酸(例、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、炭酸、重炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸等との塩を形成してもよい。
【0087】
式(Ic)で表わされる化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、立体異性体の混合物であってもよく、また公知手段で異性体を分離することもできる。7員環の面に対して3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に3位の絶対配置がR配置で、5位の絶対配置がS配置のものが好ましい。またラセミ体または光学活性体であってもよい。光学活性体は公知の光学分割手段によりラセミ体より分離することができる。
【0088】
本発明の式(Ic)で表わされる化合物またはその塩としては、具体的には以下のものなどが好ましい。
N−プロパンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、もしくはその塩
(2R)−2−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノプロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)−2−オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
4-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2−ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノブタン酸、もしくはその塩
トランス−4−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、もしくはその塩
トランス−4−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
2−〔2−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕エチル〕フラン−3−カルボン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
4-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ブタン酸、もしくはその塩
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ペンタン酸、もしくはその塩
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-フルオロフェニル〕ペンタン酸、もしくはその塩などが挙げられる。
【0089】
上記式(Ic)で表わされる化合物またはその塩は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号に基づく国際出願)、EPA645377(特願平6−229159号に基づく出願)、EPA645378(特願平6−229160号に基づく出願)などの公報、WO01/98282(特願2000−190253号に基づく国際出願)などに開示の方法、またはそれに準ずる方法にしたがって製造することができる。
本発明の式(I)で表される化合物の原料化合物も、上記と同様の塩が用いられるが、反応に支障のない限り特に限定されない。
【0090】
式(II)で表される化合物における各定義の好適な例は、以下の通りである。
環Aで示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert-ブチル等)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Aはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基どうしで環を形成してもよい。炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基および炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基における置換基としてはハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。環Aとしては、ハロゲン原子で置換されたベンゼン環が好ましく、塩素原子で置換されたベンゼン環が特に好ましい。環Aとしては、式
【化38】

〔式中、Wはハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を示す。〕で示されるベンゼン環が好ましく、なかでもWが塩素原子であることが好ましい。
環Bで示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、前記した環Aで示される「置換されていてもよいベンゼン環」におけるベンゼン環が有していてもよい置換基と同様の数の同様の基などが用いられる。環Bとしては炭素数1〜4個の低級アルコキシ基で置換されたベンゼン環が好ましく、なかでも式
【化39】

〔式中、R2aおよびR2bはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4個の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)を示す。〕で表されるベンゼン環が好ましく、R2aおよびR2bの両方がメチル基であることが特に好ましい。
【0091】
環Cで示される「さらに置換されていてもよい芳香環」における芳香環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が挙げられる。該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環が挙げられる。該芳香族複素環(環C’で示される「さらに置換されていてもよい芳香族複素環」における芳香族複素環)としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環などが挙げられる。
【0092】
該芳香族複素環としては、例えばフラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の単環式芳香族複素環、および、例えばベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾ〔b〕チオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピラン、1,2−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、α−カルボリン、β−カルボリン、γ−カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチン、チアントレン、フェナトリジン、フェナトロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジン等の8〜12員の縮合芳香族複素環(好ましくは、前記した5ないし6員の単環式芳香族複素環がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の単環式芳香族複素環の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環、より好ましくは前記した5ないし6員の単環式芳香族複素環がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
環Cとしては単環式芳香族複素環、ベンゼン環などが好ましく、中でも、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾールなどの5員の単環式芳香族複素環が好ましい。
【0093】
また、環Cは脱プロトン化しうる水素原子を有する芳香環または脱プロトン化しうる水素原子を有さない芳香環の何れであってもよいが、脱プロトン化しうる水素原子を有さない芳香環が好ましい。脱プロトン化しうる水素原子を有さない芳香環としては、本来的に脱プロトン化しうる水素原子を有さない芳香環(例えば、ベンゼン環、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾールなど)のほか、脱プロトン化しうる水素原子が置換された芳香環(例えば、環構成窒素原子上の水素原子が置換されるか、または環構成窒素原子を介してX1aまたは/およびX1bと結合するピロール、ピラゾール、イミダゾールなど)が挙げられる。
【0094】
環Cで示される「さらに置換されていてもよい芳香環」における芳香環が有していてもよい置換基としては、(i)ハロゲン化されていてもよいC1−6のアルキル基またはハロゲン化されていてもよいC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、フェニル、ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、(ii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等)またはアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、(iii)スルホン酸基、(iv)ハロゲン化されていてもよいC1−6のアルキル基またはハロゲン化されていてもよいC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基、(v)ハロゲン化されていてもよいC1−3のアルキル基(例、メチル,エチル、プロピル等)で置換されていてもよい水酸基およびスルフヒドリル基、(vi)カルバモイル基、(vii)1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基、塩素、フッ素、アミノスルホニル基、C1−3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよく、OまたはSを介して結合していてもよいフェニル基、(viii)ハロゲン化されていてもよいC1−3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基、(ix)C1−3アルキル(例、メチル、エチル等)、ベンジル、フェニル等で1ないし3個置換されていてもよい環状アミノ基(例えば、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジン、4−フェニルピペラジン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、フタルイミド等の環状アミンから(水素原子を一個除いて)導かれる環状アミノ基などの窒素原子の外に酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基)、(x)N、O、Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含み、OまたはSを介して結合していても5−6員芳香族複素環基(例えば、ピリジル、イミダゾリル、インドリル、テトラゾリル等)、(xi)ハロゲン原子(例、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素など)、(xii)ハロゲン原子、C1−4アルコキシ基、C1−4アルキルチオ基、カルボキシルおよびフェニルから選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等)、C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)またはC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、tert−ブチルチオ等)、(xiii)C5−7シクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、(xiv)ハロゲン化されていてもよいC1−7アルカノイルオキシ(例、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ等)が挙げられる。このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、2個の置換基が結合して、C3−6アルキレン、C3−6アルキレンオキシ、C3−6アルキレンジオキシなどを形成していてもよく、例えば、フェニル基上の隣接した2個の置換基が結合して、Cアルキレンを形成する場合は、テトラヒドロナフチル基を形成する。
【0095】
で示される「置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基」における低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキルが挙げられる。なかでも、C3−6アルキル基が好ましく、C4−5アルキル基がより好ましい。とりわけイソブチル、ネオペンチル等の分枝状C4−5アルキル基が好ましい。
で示される「置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基」における低級アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数C2−20アルカノイルまたはC1−7アルキルで置換されていてもよい水酸基などが挙げられる。このような置換基としては、例えば水酸基、アセチルオキシ(アセトキシ)、プロピオニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、パルミトイルオキシ、ジメチルアミノアセチルオキシ、2−アミノプロピオニルオキシ等が挙げられる。このような置換基は置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
【0096】
としては、例えば、1−プロピル、1−イソプロピル、1−イソブチル、1−ネオペンチル、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル、3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル、3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル、3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル、[1−(ヒドロキシメチル)シクロブチル]メチル等が挙げられ、なかでも、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル、3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル、3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル、3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピルなどが好ましい。
【0097】
1aで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンとしては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどのC1−6アルキレンが挙げられ、なかでもメチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどの直鎖状C1−4アルキレンが好ましく、直鎖状C1−3アルキレンがより好ましい。
1aで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンが有していてもよい置換基としては、前記した環Cで示される「さらに置換されていてもよい芳香環」における芳香環が有していてもよい置換基と同様の基およびオキソ基などが用いられ、このような置換基は、置換可能な位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。
1aとしては、結合手、直鎖状C1−3アルキレンが好ましく、メチレンが特に好ましい。
【0098】
1bで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンとしては、X1aで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンと同様の基などが挙げられ、X1bで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンが有していてもよい置換基としては、X1aで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンが有していてもよい置換基と同様の数の同様の基などが用いられる。
1bとしては、結合手、直鎖状C1−3アルキレンが好ましく、結合手が特に好ましい。
【0099】
としては、結合手が好ましい。
で示される「置換されていてもよい二価の炭化水素基」における「二価の炭化水素基」としては、炭化水素基から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられる。該炭化水素基としては、C1−7の直鎖または分枝状のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル,2−エチルブチル,1−エチルブチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル)、C3−7のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル等)、C2−6の直鎖または分枝状のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等)、C6−10アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基)およびC7−14アリールアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル)等が挙げられる。
【0100】
で示される「置換されていてもよい二価の炭化水素基」における「二価の炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、前記したX1aで示される「置換されていてもよい低級アルキレン」における低級アルキレンが有していてもよい置換基と同様の基およびハロゲン化されていてもよいC1−6アルキリデン(例えば、メチリデン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブテニリデンなど)、ビニリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデンなどが用いられ、これらの置換基は、置換可能な位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。
【0101】
で示される「置換されていてもよい二価の炭化水素基」における「二価の炭化水素基」としては、(1)直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個(好ましくは1〜4個)である直鎖状もしくは分枝状のアルキレン(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、プロピレン、エチルメチレン、エチルエチレン、プロピルエチレン、ブチルエチレン、メチルテトラメチレン、メチルトリメチレンなど)、(2)直鎖部分を構成する炭素数が2〜7個(好ましくは2〜4個)である二重結合を含んでいる炭素鎖(例えば、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、メチルプロペニレン、エチルプロペニレン、プロピルプロペニレン、メチルブテニレン、エチルブテニレン、プロピルブテニレン、メチルブタジエニレン、エチルブタジエニレン、プロピルブタジエニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、ペンタジエニレン、ヘキサジエニレン、ヘプタジエニレンなど)、(3)フェニレン(例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンなど)、(4)フェニレンとアルキレンおよび/またはアルケニレンを組み合わせた二価の基(例えば、−CH−C−、−CHCH−C−、−CH−C−CH−など)などが好ましい。
としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等のC1−4アルキレン、ビニレン、プロペニレン、フェニレンなどが好ましい。
【0102】
Yで示される「エステル化またはアミド化されていてもよいカルボキシル基」としては、カルボキシル、炭素数2ないし7の低級アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニルなど)、C7−14アリールオキシカルボニル(例、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル)、C8−12アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニルなど)、カルバモイル、N−C1−6アルキルカルバモイル、N,N−ジC1−6アルキルカルバモイル、N−C8−12アラルキルカルバモイル、N,N−ジC8−12アラルキルカルバモイル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニルなどが挙げられる。なかでも、Yとしては、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが好ましく、カルボキシルが特に好ましい。
【0103】
式(II)で表わされる化合物は遊離体であっても、薬理学的に許容される塩であっても本発明に含まれる。このような塩としては、式(II)で表わされる化合物がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、鉄、銅等の遷移金属等)や有機塩基(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、t-ブチルアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類等)などとの塩を形成していてもよい。
本発明の式(II)で表わされる化合物がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸や有機酸(例、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、炭酸、重炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸等との塩を形成してもよい。
【0104】
式(II)で表される化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、立体異性体の混合物であってもよく、また公知手段で異性体を分離することもできる。7員環の面に対して3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に式〔IIa〕で表される絶対配置のものが好ましい。また、式(II)で表される化合物またはその塩はラセミ体または光学活性体の何れであってもよく、光学活性体は公知の光学分割手段によりラセミ体から分離することができる。
本発明の式(II)で表わされる化合物またはその塩としては、具体的には以下のものなどが特に好ましい。
(1)X1bが結合手であって、Yがエステル化されていてもよいカルボキシル基である化合物;
(2)環Aがハロゲン原子で置換されたベンゼン環である化合物;
(3)環Bが低級アルコキシ基で置換されたベンゼン環である化合物;
(4)環Cがさらに置換されていてもよい単環式芳香族複素環である化合物;
(5)環Cがさらに置換されていてもよいベンゼン環である化合物;
(6)環Cがさらに置換されていてもよい脱プロトン化しうる水素原子を有さない芳香環である化合物;
(7)X1aがC1−3アルキレンである化合物;
(8)Xが結合手である化合物;
(9)XがC1−4アルキレンである化合物;
(10)式(II)が、式(IIa)
【化40】

〔式中、各記号は式(II)におけるものと同意義を示す。〕である化合物;
(11)3-(2-{3-[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]プロピル}-1,3-チアゾール-5-イル)プロピオン酸、3-(2-{2-[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]エチル}-1,3-チアゾール-4-イル)プロピオン酸、またはそれらの塩;
(12)(2-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,3-オキサゾール-5-イル)プロピオン酸、(2-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-イソブチル-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,3-オキサゾール-5-イル)酢酸、またはそれらの塩;
(13)5-(3-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ペンタン酸、5-(3-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ペンタン酸、5-(3-{[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)- 7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ペンタン酸、(4-{[(3R, 5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]アセチル}フェニル)酢酸、またはそれらの塩
式(II)で表される化合物は、例えば、WO2005/012272号公報に開示された方法により製造することができる。
【0105】
上記に説明されたスクアレン合成酵素阻害薬中、特に好ましいものとしては、以下のものが挙げられる。
(1)N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル]ピペリジン−4−酢酸、
(2)3-(2-{3-[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]プロピル}-1,3-チアゾール-5-イル)プロピオン酸、
(3)3-(2-{2-[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]エチル}-1,3-チアゾール-4-イル)プロピオン酸、
(4)(2-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,3-オキサゾール-5-イル)プロピオン酸、
(5)(2-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-イソブチル-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,3-オキサゾール-5-イル)酢酸、
(6)5-(3-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ペンタン酸、
(7)5-(3-{[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)- 7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ペンタン酸、
(8)5-(3-{[(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ペンタン酸、
(9)(4-{[(3R, 5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンズオキサゼピン-3-イル]アセチル}フェニル)酢酸
【0106】
本発明は、以下のような投与形態で実施することができる。
スクアレン合成酵素阻害薬(SSI)とHMG−CoA還元酵素阻害薬の組み合わせの投与形態(併用投与)は、SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬が投与時に組み合わさっていれば、特に限定されない。そのような投与形態としては:
(1)SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬を同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与;
(2)SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与;
(3)SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての別々の投与;
(4)SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与;
(5)SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての別々の投与(例えば、SSI、次いでHMG−CoA還元酵素阻害薬の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
【0107】
HMG−CoA還元酵素阻害薬の投与量は、臨床で用いられている用量に基づいて適宜選択することができる。SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、それらの組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトの場合、使用するHMG−CoA還元酵素阻害薬の種類にもよるが、HMG−CoA還元酵素阻害薬1重量部に対し、SSIは0.1〜100重量部(好ましくは、0.5〜100重量部)(HMG−CoA還元酵素阻害薬としてアトルバスタチンを用いる場合は、SSIは0.1〜10重量部、より好ましくは、0.5〜10重量部の量)の量で用いることができる。
【0108】
上記発明を実施する場合、医薬組成物が、通常の製剤用担体、例えば賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸水素ナトリウム、乳糖、澱粉類、結晶セルロース、タルク、グラニュー糖、多孔性物質等)、結合剤(例えば、デキストリン、ゴム類、アルコール化澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化澱粉等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉、安息香酸ナトリウム等)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類等)、矯味剤(例えば、甘味類、香料等)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウム等)および保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸等)等の中から適宜、適量用いて、常法に従って調製された製剤の形で投与される。前記製剤を含む本発明の医薬製剤は、疾患の治療および予防に有効な量のSSIおよび/またはHMG−CoA還元酵素阻害薬を含んでいる。
また、本発明で使用する製剤は、SSIおよび/またはHMG−CoA還元酵素阻害薬以外の活性成分として他の医薬成分を含んでいてもよい。そのような活性成分としては、本発明の目的が達成される限り特に限定されず、適当な比率で混合して用いることができる。製剤の具体例としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、積層錠を含む)、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、懸濁注射剤、吸入剤、軟膏剤等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセル)であってもよい。これら製剤の中でも、利便性あるいはコンプライアンスに優れる経口剤が好ましい場合がある。これらの製剤が固形製剤である場合には、識別性のためのマークあるいは文字を印刷してあってもよく、分割用の割線を付してあってもよい。
これらの製剤は常法(例えば日本薬局方記載の方法)に従って調製される。
【0109】
本発明を実施するに当たって、SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬の両成分を共に含有する固形製剤(いわゆる合剤)を用いる場合には、例えば、以下の製造法にしたがって製造される。
1)SSIをHMG−CoA還元酵素阻害薬を賦形剤などの添加剤と共に混合後、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合後、必要により、圧縮成形することによって、固形製剤を製造する。
2)SSIを賦形剤などの添加剤と共に混合後、HMG−CoA還元酵素阻害薬および結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合後、必要により、圧縮成形することによって、固形製剤を製造する。
3)SSIを賦形剤などの添加剤と共に混合後、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。
一方、HMG−CoA還元酵素阻害薬を賦形剤などの添加剤と共に混合後、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。
このようにして得られるSSIを含む造粒物およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を含む造粒物に、崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合後、必要により、圧縮成形することによって、固形製剤を製造する。
4)SSIを賦形剤などの添加剤と共に混合後、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。
一方、賦形剤などの添加剤に、HMG−CoA還元酵素阻害薬および結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。
このようにして得られるSSIを含む造粒物およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を含む造粒物に、崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合後、必要により、圧縮成形することによって、固形製剤を製造する。
5)SSIを賦形剤などの添加剤と共に混合後、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合末とする。
一方、賦形剤などの添加剤に、HMG−CoA還元酵素阻害薬および結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合末とする。
このようにして得られるSSIを含む混合末とHMG−CoA還元酵素阻害薬を含む混合末とを層状に積み重ねて圧縮成形することによって、固形製剤(2層錠)を製造する。
6)SSIを賦形剤などの添加剤と共に混合後、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合後、圧縮成形することによって、内核錠を得る。
一方、賦形剤などの添加剤に、HMG−CoA還元酵素阻害薬および結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合末とする。
この混合末を上記内核錠上に外層として、圧縮成形することによって、固形製剤(有核錠)を製造する。
7)SSIを賦形剤などの添加剤と共に混合し、結合剤などの添加剤を溶媒(例、水)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒する。得られる造粒物に崩壊剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、混合後、圧縮成形することによって、錠剤を得る。この錠剤を、HMG−CoA還元酵素阻害薬、コーティング基剤および遮光剤などの添加剤を加えたフィルム液でコーティングし、固形製剤(フィルムコーティング錠)を製造する。
【0110】
本発明の製剤の投与量は、投与経路、症状、患者の年令あるいは体重などによっても異なる。成人患者に経口的に投与する場合、SSIまたはHMG−CoA還元酵素阻害薬として1〜100mg/日を1〜数回に分けて投与するのが好ましい。投与経路は経口でも、非経口でもよい。
【実施例】
【0111】
以下に具体的な薬理試験結果を述べて、SSIの代表化合物としての化合物XといくつかのHMG−CoA還元酵素阻害薬との優れた併用効果を説明する。但し、これらは両者による併用効果の一例であって、併用効果が以下の具体的な薬理効果に限定されるものではない。
【0112】
実施例1:化合物Xおよびアトルバスタチン併用による血漿トリグリセライド低下作用
試験方法:
Wister Fattyラット(19週齢雌性、N=6)に10 mL/kgの容量で8日間一日一回、ビヒクル、化合物X(30 mg/kg)単独、アトルバスタチン (30 mg/kg) 単独あるいは両薬物を経口投与した。8回投与の翌朝一晩絶食下採血し、血漿トリグリセライド濃度を測定した。
【0113】
試験結果:

平均±標準誤差(N=6)
結論:
化合物Xおよびアトルバスタチンの併用により相加的な血漿トリグリセライ低下作用が観察された(P<0.01、two-way ANOVA法)。
【0114】
実施例2:化合物Xおよびアトルバスタチン併用による血漿コレステロール低下作用
試験方法:
Hartleyモルモット (5週齢雄性、N=12)に0.05%コレステロールおよび10%のコーン油を含むRC-4食を3週間負荷後、10 mL/kgの容量で14日間一日一回、ビヒクル、化合物X(30 mg/kg)単独、アトルバスタチン(3、10、30 mg/kg)単独、あるいはアトルバスタチン (3、10、30 mg/kg)および化合物X(30mg/kg)を併用で経口投与した。14回投与の翌朝採血し、血漿中の総コレステロールを測定した。
【0115】
試験結果:

平均±標準誤差(N=12)
結論:
化合物Xおよびアトルバスタチンの併用により相加的な血漿総コレステロール低下作用が観察された(P<0.01、two-way ANOVA法)。
【0116】
実施例3:化合物Xおよびシンバスタチン併用による血漿コレステロール低下作用
試験方法:
Hartleyモルモット(5週齢雄性、N=12)に0.05%コレステロールおよび10%のコーン油を含むRC-4食を3週間負荷後、10 mL/kgの容量で14日間一日一回、ビヒクル、化合物X(30 mg/kg)単独、シンバスタチン (10、30、100 mg/kg)単独、あるいはシンバスタチン (10、30、100 mg/kg)および化合物X(30mg/kg)を併用で経口投与した。14回投与の翌朝採血し、血漿中の総コレステロールを測定した。
試験結果:

平均±標準誤差(N=12)
結論:
化合物Xおよびシンバスタチンの併用により相加的な血漿総コレステロール低下作用が観察された(P<0.01、two-way ANOVA法)。
【0117】
実施例4:肝臓病理変化に及ぼす化合物Xおよびアトルバスタチンの影響
試験方法:
5週齢雄Hartleyモルモット(N=12)に0.05%コレステロールおよび10%のコーン油を含むRC-4食を3週間負荷後、10 mL/kgの容量で14日間一日一回Vehicle、化合物X(30mg/kg)単独、アトルバスタチン(30 mg/kg)単独、あるいはアトルバスタチン (30 mg/kg)および化合物X(30mg/kg)を併用で経口投与した。14回投与の翌朝採血し、血漿中の総コレステロールを測定した。さらに肝臓を摘出し病理評価を行った。
試験結果:

平均±標準誤差(N=12)
結論:
アトルバスタチン処置群で肝細胞壊死像が観察されたが、化合物X単独あるいは化合物Xおよびアトルバスタチン併用群において肝細胞壊死像は認められなかった。
【0118】
実施例5:肝逸脱酵素変化に及ぼす化合物Xおよびアトルバスタチンの影響
試験方法:
Hartleyモルモット(5週齢雄性、N=12)に0.05%コレステロールおよび10%のコーン油を含むRC-4食を2週間負荷後、5 mL/kgの容量で7日間一日一回、ビヒクル、アトルバスタチン (50 mg/kg)単独、あるいはアトルバスタチン (50 mg/kg)および化合物X(30mg/kg)を併用で経口投与した。7回投与の翌朝採血し、肝毒性のマーカーとして血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度を測定した。
試験結果:

平均±標準誤差(N=12)
*P<0.05 対ビヒクル群(Student t-test). #P<0.05 vs. アトルバスタチン処置群(Student t-test).
結論:
アトルバスタチン処置群で有意な血漿中アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加が観察されたが、化合物Xおよびアトルバスタチン併用群においてアミノトランスフェラーゼ増加は認められなかった。
【0119】
実施例6:筋逸脱酵素変化に及ぼす化合物Xおよびセリバスタチンの影響
試験方法:
Hartleyモルモット(5週齢雄性、N=16)に、5 mL/kgの容量で14日間一日一回、ビヒクル、セリバスタチン(1 mg/kg)単独、あるいはセリバスタチン(1 mg/kg)および化合物X(30mg/kg)を併用で経口投与した。14回投与後の翌朝採血し、筋毒性のマーカーとして血漿中のクレアチニンホスホキナーゼ(CK)およびミオグロビン(Mb)を測定した。
試験結果:

平均±標準誤差(N=16). **P<0.01 対ビヒクル群, および ##P<0.01 対セリバスタチン 単独処置群(Student t-test).
結論:
血漿中のクレアチニンホスホキナーゼおよびミオグロビンの有意な増加がセリバスタチン処置群において認められた。しかしながら、化合物Xは有意にセリバスタチン単独で誘発されたクレアチニンホスホキナーゼおよびミオグロビンの増加を回復し、コレステロール低下効果を僅かに増加させた。
上記から明らかなように、SSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬の併用により、HMG−CoA還元酵素阻害薬の欠点を補って高脂血症の優れた予防および/または治療効果が得られるが、この効果は単独投与では得られない。
【0120】
本発明者らは、さらに第3の成分としてエゼチマイブを一緒に用いることにより、さらに優れた高脂血症の予防および/または治療効果が得られることを見出した。
以下に、この3剤の併用効果を試験結果によって示す。
【0121】
実施例7:化合物X、シンバスタチンおよびエゼチマイブの3剤の併用による血漿コレステロール低下効果
試験方法:
Hartleyモルモット(5週齢雄性、N=6)に、0.05%コレステロールおよび10%コーン油を含むRC-4食を3週間負荷後、6 mL/kgの容量で14日間一日一回、ビヒクル、化合物X(30mg/kg)単独、シンバスタチン(30mg/kg)およびエゼチマイブ(0.15mg/kg)の組合せ、あるいはシンバスタチン(30mg/kg)、エゼチマイブ(0.15mg/kg)および化合物X(30mg/kg)の3剤の組合せを経口投与した。14回投与の翌朝採血し、血漿中の全コレステロールを測定した。
試験結果:

平均±標準誤差(N=6).
結論:
化合物X、シンバスタチンおよびエゼチマイブの3剤の併用により、化合物Xは更に血漿中の全コレステロールを低下させる効果を示すことが観察された(P<0.05、two-way ANOVA法)。
以上の結果から、SSI,HMG−CoA還元酵素阻害薬ならびにエゼチマイブの3剤併用により、より効果的な高脂血症の予防および/または治療を行うことができることが明らかである。
なお、3剤の併用を実施するに当たっての、具体的な投与方法、投与剤形、等の投与形態は、既に述べたSSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬との2剤併用の実施形態を参照することができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のSSIとHMG−CoA還元酵素阻害薬との併用により、哺乳動物の高脂血症を効果的に予防および/または治療することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高脂血症を罹患している哺乳動物に、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬ならびにHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせて投与することを特徴とする、高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項2】
HMG−CoA還元酵素阻害薬が、承認用量における高用量で投与される、請求項1に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項3】
HMG−CoA還元酵素阻害薬が、承認用量における最高用量で投与される、請求項2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項4】
HMG−CoA還元酵素阻害薬が投与されている哺乳動物に、HMG−CoA還元酵素阻害薬投与に起因する毒性を抑制するための有効量のスクアレン合成酵素阻害薬を投与することからなる、HMG−CoA還元酵素阻害薬投与に起因する肝毒性の予防および/または治療方法。
【請求項5】
哺乳動物が、高脂血症を罹患しているものである、請求項4に記載の肝毒性の予防および/または治療方法。
【請求項6】
スクアレン合成酵素阻害薬が、式
【化1】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環を示し、環J'はR,R,R及びX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表される化合物である請求項1または2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項7】
スクアレン合成酵素阻害薬が、N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル]ピペリジン−4−酢酸である請求項1または2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項8】
HMG−CoA還元酵素阻害薬が、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンおよびピタバスタチンからなる群から選択される1または2以上の薬剤である、請求項1または2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項9】
高脂血症に罹患した哺乳動物が、HMG−CoA還元酵素阻害薬不耐性患者である、請求項1または2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項10】
高脂血症に罹患した哺乳動物が、虚血性心疾患高リスク患者である、請求項1または2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項11】
高脂血症に罹患した哺乳動物が、家族性高コレステロール血症を罹患した患者である、請求項1または2に記載の高脂血症の予防および/または治療方法。
【請求項12】
有効量のスクアレン合成酵素阻害薬ならびにHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせたことを特徴とする高脂血症の予防および/または治療薬。
【請求項13】
高脂血症に罹患した哺乳動物に、分割して、逐次的もしくは同時に、投与されるように配合され、または、包装された、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬ならびにHMG−CoA還元酵素阻害薬を含有することを特徴とする高脂血症の予防および/または治療薬。
【請求項14】
承認用量における高用量のHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせたことを特徴とする請求項12または13に記載の高脂血症の予防および/または治療薬。
【請求項15】
承認用量における最高用量のHMG−CoA還元酵素阻害薬とを組み合わせたことを特徴とする請求項12または13に記載の高脂血症の予防および/または治療薬。
【請求項16】
有効量のHMG−CoA還元酵素阻害薬を投与されている高脂血症を罹患している哺乳動物に、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬を投与することを特徴とする、HMG−CoA還元酵素阻害薬による高脂血症の予防および/または治療効果の増強方法。
【請求項17】
有効量のスクアレン合成酵素阻害薬およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を組み合わせたことを特徴とする高脂血症の予防および/または治療薬を製造するためのスクアレン合成酵素阻害薬の使用。
【請求項18】
高脂血症に罹患した哺乳動物に、分割して、逐次的もしくは同時に、投与されるように配合され、または、包装された、有効量のスクアレン合成酵素阻害薬およびHMG−CoA還元酵素阻害薬を含有する高脂血症の予防および/または治療薬を製造するためのスクアレン合成酵素阻害薬の使用。
【請求項19】
有効量のエゼチマイブが第3の薬剤としてさらに組み合わせて投与される、請求項1または2に記載の予防および/または治療方法。
【請求項20】
有効量のエゼチマイブを第3の薬剤としてさらに組み合わせてなる、請求項12または13に記載の予防および/または治療薬。
【請求項21】
有効量のエゼチマイブを第3の薬剤としてさらに組み合わせてなる、請求項17または18に記載の高脂血症の予防および/または治療薬を製造するためのスクアレン合成酵素阻害薬の使用。

【公表番号】特表2008−542191(P2008−542191A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555360(P2007−555360)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/JP2006/311362
【国際公開番号】WO2006/129859
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】