高齢ドライバサポートシステム、運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラム
【課題】本発明は、高齢ドライバと若年ドライバとの間で有意差が認められる操舵円滑度指標を予め設定したしきい値と比較し、円滑度の低いドライバに対して警告を発することで運転技術の低下を自覚させる高齢ドライバサポートシステムを提供する。
【解決手段】本発明の高齢ドライバサポートシステムは、操舵角センサ4の操舵角信号を時間微分して角速度データを得、曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出し、このエネルギ分布から操舵円滑度指標Rを求め、安全運転指標しきい値Ref2と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力することで、特に高齢ドライバに顕著な指標としての曲り角での操舵にぎこちなさが現われることを警告し、運転年齢の衰えを自覚させる。
【解決手段】本発明の高齢ドライバサポートシステムは、操舵角センサ4の操舵角信号を時間微分して角速度データを得、曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出し、このエネルギ分布から操舵円滑度指標Rを求め、安全運転指標しきい値Ref2と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力することで、特に高齢ドライバに顕著な指標としての曲り角での操舵にぎこちなさが現われることを警告し、運転年齢の衰えを自覚させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲り角の操舵の円滑度が低いドライバの注意を喚起し、特に高齢ドライバの運転技量の低下に自覚を促すための高齢ドライバサポートシステム、運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバの運転操作状況を監視する技術として操舵角に注目し、操舵角データをフーリエ変換したのちの周波数分析を行い、その分析結果に基づいて運転操作状況を判断する技術が特開平9−277848号公報(特許文献1)に記載されたもの、特開平5−58192号公報(特許文献2)に記載されたものが知られている。また、特開2001−253266号公報(特許文献3)、特開2003−246227号公報(特許文献4)にも、ドライバの運転能力を判断する技術が記載されている。
【0003】
しかしながら、これらの従来技術はいずれも、道路の曲り角での操舵の円滑さに着目したものでない。
【0004】
近年の高齢化社会の到来により、高齢ドライバも増加傾向にある。運動能力の低下に伴い、高齢ドライバの場合、反射神経の鈍りによるブレーキ操作の遅れや、道路交通標識の見落としを起こしがちであるが、それと共に、運転操作の円滑さが低下する傾向にある。この運転操作の円滑さの低下、つまり、「運転操作のぎこちなさ」は、特に曲り角の操舵のぎこちなさに顕著に現われる。
【0005】
本願発明者等は、30−45歳の壮年層のドライバ20名と、65歳以上の高齢層のドライバ80名に対して、各自の常用している自動車にて一般道を走行してもらい、そのときのドライバ各人の操舵角データを収集し、分析してみた。そして、曲り角での操舵角の微分値、つまり、角速度をフーリエ変換し、さらに2乗した角速度のエネルギ分布に年齢層によって有意差があることを発見した。
【0006】
図9は走行コースの地図を示している。この走行コースにおいて、曲り角C2,C3,C6,C7,C9での操舵角データをサンプリングし、その時間微分によって角速度データを算出し、これをフーリエ変換し、さらに2乗することで図10、図11に示すような周波数対エネルギ分布を求めた。図10は壮年層の一人ドライバの結果、図11は高齢層のドライバ一人の結果を示している。そして、しきい値を周波数0.5/secにして、しきい値0.5/sec以上の高域の積分値が全周波数域の積分値に示す割合(ここでは、操舵円滑度指標、またC indexと呼ぶことにする。)を求め、ドライバ毎に5つの曲り角でのその円滑度指標の平均を求めた。この結果は、図12に示す分布となった。そして、この分布に対して、ウェルチのT検定を実施したところ、高齢層ドライバと壮年層ドライバとの間に有意差(P<0.0001)が認められた。
【特許文献1】特開平9−277848号公報
【特許文献2】特開平5−58192号公報
【特許文献3】特開2001−253266号公報
【特許文献4】特開2003−246227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実験結果に基づいてなされたもので、高齢層ドライバと若壮年層ドライバとの間で有意差が認められる操舵円滑度指標を予め設定したしきい値と比較し、円滑度の低い(C indexが高い)ドライバに対して警告を発することで運転技術の低下を自覚させる高齢ドライバサポートシステム、運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、前記積分手段の求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステムである。
【0009】
本発明の別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、前記積分手段の求めた前記高域積分値と前記全域積分値との比率を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表手段と、前記対応表手段を参照し、前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステムである。
【0010】
本発明のまた別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとを有する運転年齢判定方法である。
【0011】
本発明のまた別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとを運転年齢判定方法である。
【0012】
本発明のまた別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させる運転年齢判定プログラムである。
【0013】
本発明のさらに別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させる運転年齢判定プログラムである。
【0014】
上記の各発明において、GPSの検出する地点が道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定するものとすることができる。
【0015】
また、上記の各発明において、加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の操舵角積分値が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定するものとすることができる。
【0016】
また、上記の各発明において、高域積分値と判定する所定のしきい値は、0.5/secに設定することができる。
【0017】
さらに、上記の各発明において、安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内の値に設定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得、曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出し、このエネルギ分布から操舵円滑度指標を求め、安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力するので、特に高齢ドライバに顕著な指標としての曲り角での操舵にぎこちなさが現われることを警告し、運転年齢の衰えを自覚させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得、曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出し、このエネルギ分布から操舵円滑度指標を求め、対応表を参照して操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力するので、ドライバに自分の運転年齢を提示することができ、特に高齢ドライバに運転年齢の衰えを自覚させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0021】
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態の高齢ドライバサポートシステムについて説明する。図1に示すように、本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムは、ステアリングホイール1のホイール軸2に取り付けられ、ステアリングホイール1の操舵角瞬時値を検出する操舵角センサ3、自動車の適所に設置されたGPSセンサ4、これら操舵角センサ3の操舵角検出データとGPSセンサ4の地点検出データを定周期にサンプリングして時系列に保存するデータストレージ5、このデータストレージ5の保存されたデータを後述する手法にて解析し、操舵円滑度を判定し、警告を出力する運転年齢判定部6、警告を出力するディスプレイ、ブザー、プリンタのような出力装置7から構成されている。尚、データストレージ5と運転年齢判定部6と出力装置7は後述する演算処理を実行するプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータとそれに接続される周辺装置にて構成することができる。
【0022】
運転年齢判定部6の実行する演算処理方法、演算処理プログラムについて、図2のブロック図、図3のフローチャートを用いて説明する。ドライバがステアリングホイール1を操作すれば、操舵角センサ3はホイール軸2の回転角度を操舵角として検出し、データストレージ5に出力し、データストレージ5は所定のサンプリング周期で操舵角データを時系列に蓄積していく。この操舵角データの保存と平行して、GPSセンサ4がその地点検出信号をデータストレージ5に出力し、データストレージ5は所定のサンプリング周期で操舵角データを時系列に蓄積していく。
【0023】
ある程度の距離を走行した後、運転年齢判定部6は、データストレージ5に蓄積されている時系列の操舵角データと地点データを用いて曲り角での操舵円滑度指標を算定する。これは、次の手順による。
【0024】
ステップS1:ステアリングホイール1の軸2の部分に装着した操舵角センサ3にて、1/20sec周期でデジタル値を出力する。
【0025】
ステップS2,S3:移動平均演算部11にて3個程度のサンプル数で移動平均を求め、これをデータストレージ5に時系列に保存していく。これは、人間の意図しない成分を排除することを目的としている。システムの簡素化が必要であれば、このステップS2,S3の処理機能は省略することも可能である。次に、リサンプリング部11にて1/10secなどの周期でリサンプリングする。
【0026】
ステップS4:データストレージ5から取り込んだ操舵角データに対して、システムの始動時に、操舵角センサ3のゼロ点をキャリブレートする必要がないよう(ハンドルを正置させる必要がないよう)、減衰器13にて時間と共に出力値を適度にダンピングする。この機能をソフトウェアとして実装させている。これによりハンドルの取り付けのメカニカルな誤差や、角度センサの取り付け位置のずれを許容できるようになる。ただし減衰係数が大きすぎるとハンドルの戻しのタイミングの測定に誤差が出るなどの悪影響があるので、係数は「弱め」に設定する。
【0027】
ステップS5:差分器14にてサンプリングタイミング毎に、1つ前のサンプリングタイミングでの操舵角データとの差分を取ることで角速度データに変換し、データストレージ5に保存していく。
【0028】
ステップS6,S7:曲り角判定部10はGPSセンサ4の地点データを道路地図データ8と照合することで、曲り角の入点と出点とのタイミングを判別する。そして、データ切出し部15は、この曲り角期間内に属する角速度データ群を切り出す。
【0029】
ステップS8,S9:FFT演算部16にて、切り出された角速度データ群に対して、折り返し効果を低減するためにハミング窓関数を乗じる。そして、離散フーリエ変換FFTを行う。この結果は複素数のベクトルである。
【0030】
ステップS10:2乗器17にてFFTの結果を2乗して、時間軸上のエネルギ分布を表すベクトル(実数のベクトル)に変換する。
【0031】
ステップS11:比率(操舵円滑度指標)算出部18にて、実数のベクトルを全周波数域で積分して積分値S1を求め、また、しきい値Ref1(ここでは、最適値として0.5/secに設定している。尚、この値はシステムに応じて調整可能である。)以上の周波数域でも積分して積分値S2を求め、この高域積分値S2の全域積分値S1に対する比率R(=S2/S1)を操舵円滑度指標として算出する。尚、Ref1は、可変設定若しくは微調整可能にすることができる。
【0032】
ステップS12:操舵円滑度判定部19にて、ステップS11で求めた操舵円滑度指標Rを運転年齢判定指標Ref2(ここでは、0.10〜0.25の範囲で可変設定できる。)と比較し、このRef2を超える場合に運転能力が低下している高齢ドライバと判定し、警告出力部20にて、例えば、「運転能力が顕著に低下してきています。十分に注意して運転なさって下さい。」とか、「運転能力が極度に低下してきています。運転免許証を返上をされることをお勧めします。」といった警告を出力させる。この警告出力は、表示装置7に画面表示し、また、プリントアウトしてドライバ本人に手渡しできるようにする。
【0033】
これにより、本実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それにて実施される運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムによれば、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0034】
尚、ステップS5〜S7の角速度演算、曲り角判定及びデータの切り出しについては、次の手順であってもよい。まず、ステップS5で曲り角判定を先にし、ステップS6で操舵角データのうち曲り角走行期間内に属するデータ群を切り出し、ステップS7で切り出した操舵角データ群に対して差分を実施して曲り角走行期間内に属する角速度データ群を得、これをデータストレージ5に保存し、ステップS9の離散FFTをこの角速度データ群に対して実行することになる。結果は同じである。
【0035】
(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それが実施する運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムについて説明する。
【0036】
本実施の形態の特徴は、道路上の曲り角の判別を車載の加速度センサ(Gセンサ)の加速度検出データと操舵角センサの検出する操舵量から行うことにあり、ハードウェア構成は図4に示すものであり、また運転年齢判定部6の機能構成は図5に示すものである。
【0037】
本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムでは、第1の実施の形態のGPSセンサ4に代えて、加速度センサ4Aを備え、また加速度センサ4Aが所定値以上の加速度を検出している期間について、減衰器13の出力する操舵角データを時間積分する操舵量演算部21を備え、曲り角度判定部10は、この操舵量演算部21の出力する操舵量が所定角度(例えば、90度以上)であれば曲り角を走行していると判定する。尚、図4、図5において、図1、図2に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を付して示してある。
【0038】
本実施の形態の場合、高齢ドライバサポートシステムが実施する運転年齢判定方法及び運転方法判定プログラムの処理フローは第1の実施の形態と同様に図3に示すものである。ただし、ステップS6における曲り角判定法だけは第1の実施の形態と異なり、上述の加速度センサ4Aの出力する加速度検出期間とその間の操舵量とに基づいて判定する。
【0039】
本実施の形態にあっても、第1の実施の形態と同様に、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0040】
(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それが実施する運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムについて説明する。
【0041】
本実施の形態の特徴は、ドライバの操舵円滑度指標Rをランク分けし、ランク毎の運転年齢を推定してドライバに提示する点にある。本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムのハードウェア構成は、第1の実施の形態と同様に図1に示すものである。そして、運転年齢判定部6の機能構成は図6に示してあり、図2に示した第1の実施の形態における警告出力部20に代えて、運転年齢ランキング部22を備えている。尚、図6において、その他の実施の形態と共通する要素には同一の符号を用いて示してある。
【0042】
本実施の形態によれば、図7のフローチャートにおけるステップS12’で、次のような処理を行う。すなわち、操舵円滑度判定部19のRef2を複数段に設定し、操舵円滑度指標算出部18が求めた操舵円滑度指標Rがいずれのランクに属するかを判定する。そして運転年齢ランキング部22は、そのランクに対応して、R=0.1を超えていれば「運転年齢60歳を超えています。運転能力低下傾向にありますので、十分慎重に運転なさって下さい。」、さらにR=0.15を超えていれば「運転年齢70歳を超えています。運転能力が低下しています。運転は中止された方が良いです。」、そしてさらにR=0.20を超えていれば「運転年齢80歳を超えています。運転は無理です。免許証の返上をお勧めします。」といった運転年齢のランクに応じた警告を発する。
【0043】
尚、この図7のフローチャートにおいて、図3に示したフローチャートと共通するステップ番号は同様の演算処理を行う。また第1の実施の形態と同様に、ステップS5〜S7の処理は入れ替えることができる。
【0044】
これにより、本実施の形態によれば、曲り角での操舵円滑度指標のランクに応じて運転年齢を提示すると共に警告も出力するようにしたので、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0045】
(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それが実施する運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムについて説明する。
【0046】
本実施の形態の特徴は、第2の実施の形態と同様に、道路上の曲り角の判別を車載の加速度センサ(Gセンサ)の加速度検出データと操舵角センサの検出する操舵量から行う点にあり、また、第3の実施の形態と同様に、ドライバの操舵円滑度指標Rをランク分けし、ランク毎の運転年齢を推定してドライバに提示することも特徴としている。ハードウェア構成は第2の実施の形態と共通であって図5に示すものであり、運転年齢判定部6の機能構成は図8に示すものである。
【0047】
本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムでは、第1、第3の実施の形態のGPSセンサ4に代えて、加速度センサ4Aを備え、また加速度センサ4Aが所定値以上の加速度を検出している期間について、減衰器13の出力する操舵角データを時間積分する操舵量演算部21を備え、曲り角度判定部10は、この操舵量演算部21の出力する操舵量が所定角度(例えば、90度以上)であれば曲り角を走行していると判定する。
【0048】
また、本実施の形態の場合、第3の実施の形態と同様に、運転年齢ランキング部22が、ステップS12’においてRef2に複数段に設定し、R=0.1を超えれば「運転年齢60歳を超えています。運転能力低下傾向にありますので、十分慎重に運転なさって下さい。」、さらにR=0.15を超えれば「運転年齢70歳を超えています。運転能力が低下しています。運転は中止された方が良いです。」、そしてさらにR=0.20を超えれば「運転年齢80歳を超えています。運転は無理です。免許証の返上をお勧めします。」といった運転年齢の段階的なランク分けと共に各ランクに応じた警告を発する。
【0049】
本実施の形態にあっても、第3の実施の形態と同様に、曲り角での操舵円滑度指標のランクに応じて運転年齢を提示すると共に警告も出力するようにしたので、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0050】
尚、本発明にあって曲り角の判定は任意であり、ドライバと同乗しているテスト員が曲り角入点、出点のボタンを押して時点の時間情報と共に入力し、角速度データ切出し部15では、この時間情報に基づき曲り角の入点、出点の期間内に属する角速度データ群を切り出してFFT処理させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態の高齢ドライバサポートシステムのブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による運転年齢判定処理のフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態の高齢ドライバサポートシステムのブロック図。
【図5】本発明の第2の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図6】本発明の第3の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図7】本発明の第3の実施の形態による運転年齢判定処理のフローチャート。
【図8】本発明の第4の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図9】本発明の実用性の立証のための設定したテストコースの地図。
【図10】壮年層ドライバの操舵角速度のエネルギ分布のグラフ。
【図11】高齢ドライバの操舵角速度のエネルギ分布のグラフ。
【図12】壮年層ドライバと高齢ドライバとの操舵円滑度指標の分布を示すグラフ。
【符号の説明】
【0052】
1…ステアリングホイール
2…ステアリング軸
3…操舵角センサ
4…GPSセンサ
4A…加速度センサ
5…データストレージ
6…運転年齢判定部
7…出力部
8…道路地図データ
10…曲り角判定部
14…差分器
16…FFT演算器
17…2乗器
18…操舵円滑度指標算出部
19…操舵円滑度判定部
20…警告出力部
21…操舵量演算部
22…運転年齢ランキング部
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲り角の操舵の円滑度が低いドライバの注意を喚起し、特に高齢ドライバの運転技量の低下に自覚を促すための高齢ドライバサポートシステム、運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバの運転操作状況を監視する技術として操舵角に注目し、操舵角データをフーリエ変換したのちの周波数分析を行い、その分析結果に基づいて運転操作状況を判断する技術が特開平9−277848号公報(特許文献1)に記載されたもの、特開平5−58192号公報(特許文献2)に記載されたものが知られている。また、特開2001−253266号公報(特許文献3)、特開2003−246227号公報(特許文献4)にも、ドライバの運転能力を判断する技術が記載されている。
【0003】
しかしながら、これらの従来技術はいずれも、道路の曲り角での操舵の円滑さに着目したものでない。
【0004】
近年の高齢化社会の到来により、高齢ドライバも増加傾向にある。運動能力の低下に伴い、高齢ドライバの場合、反射神経の鈍りによるブレーキ操作の遅れや、道路交通標識の見落としを起こしがちであるが、それと共に、運転操作の円滑さが低下する傾向にある。この運転操作の円滑さの低下、つまり、「運転操作のぎこちなさ」は、特に曲り角の操舵のぎこちなさに顕著に現われる。
【0005】
本願発明者等は、30−45歳の壮年層のドライバ20名と、65歳以上の高齢層のドライバ80名に対して、各自の常用している自動車にて一般道を走行してもらい、そのときのドライバ各人の操舵角データを収集し、分析してみた。そして、曲り角での操舵角の微分値、つまり、角速度をフーリエ変換し、さらに2乗した角速度のエネルギ分布に年齢層によって有意差があることを発見した。
【0006】
図9は走行コースの地図を示している。この走行コースにおいて、曲り角C2,C3,C6,C7,C9での操舵角データをサンプリングし、その時間微分によって角速度データを算出し、これをフーリエ変換し、さらに2乗することで図10、図11に示すような周波数対エネルギ分布を求めた。図10は壮年層の一人ドライバの結果、図11は高齢層のドライバ一人の結果を示している。そして、しきい値を周波数0.5/secにして、しきい値0.5/sec以上の高域の積分値が全周波数域の積分値に示す割合(ここでは、操舵円滑度指標、またC indexと呼ぶことにする。)を求め、ドライバ毎に5つの曲り角でのその円滑度指標の平均を求めた。この結果は、図12に示す分布となった。そして、この分布に対して、ウェルチのT検定を実施したところ、高齢層ドライバと壮年層ドライバとの間に有意差(P<0.0001)が認められた。
【特許文献1】特開平9−277848号公報
【特許文献2】特開平5−58192号公報
【特許文献3】特開2001−253266号公報
【特許文献4】特開2003−246227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実験結果に基づいてなされたもので、高齢層ドライバと若壮年層ドライバとの間で有意差が認められる操舵円滑度指標を予め設定したしきい値と比較し、円滑度の低い(C indexが高い)ドライバに対して警告を発することで運転技術の低下を自覚させる高齢ドライバサポートシステム、運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、前記積分手段の求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステムである。
【0009】
本発明の別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、前記積分手段の求めた前記高域積分値と前記全域積分値との比率を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表手段と、前記対応表手段を参照し、前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステムである。
【0010】
本発明のまた別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとを有する運転年齢判定方法である。
【0011】
本発明のまた別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとを運転年齢判定方法である。
【0012】
本発明のまた別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させる運転年齢判定プログラムである。
【0013】
本発明のさらに別の特徴は、道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させる運転年齢判定プログラムである。
【0014】
上記の各発明において、GPSの検出する地点が道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定するものとすることができる。
【0015】
また、上記の各発明において、加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の操舵角積分値が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定するものとすることができる。
【0016】
また、上記の各発明において、高域積分値と判定する所定のしきい値は、0.5/secに設定することができる。
【0017】
さらに、上記の各発明において、安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内の値に設定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得、曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出し、このエネルギ分布から操舵円滑度指標を求め、安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力するので、特に高齢ドライバに顕著な指標としての曲り角での操舵にぎこちなさが現われることを警告し、運転年齢の衰えを自覚させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得、曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出し、このエネルギ分布から操舵円滑度指標を求め、対応表を参照して操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力するので、ドライバに自分の運転年齢を提示することができ、特に高齢ドライバに運転年齢の衰えを自覚させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0021】
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態の高齢ドライバサポートシステムについて説明する。図1に示すように、本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムは、ステアリングホイール1のホイール軸2に取り付けられ、ステアリングホイール1の操舵角瞬時値を検出する操舵角センサ3、自動車の適所に設置されたGPSセンサ4、これら操舵角センサ3の操舵角検出データとGPSセンサ4の地点検出データを定周期にサンプリングして時系列に保存するデータストレージ5、このデータストレージ5の保存されたデータを後述する手法にて解析し、操舵円滑度を判定し、警告を出力する運転年齢判定部6、警告を出力するディスプレイ、ブザー、プリンタのような出力装置7から構成されている。尚、データストレージ5と運転年齢判定部6と出力装置7は後述する演算処理を実行するプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータとそれに接続される周辺装置にて構成することができる。
【0022】
運転年齢判定部6の実行する演算処理方法、演算処理プログラムについて、図2のブロック図、図3のフローチャートを用いて説明する。ドライバがステアリングホイール1を操作すれば、操舵角センサ3はホイール軸2の回転角度を操舵角として検出し、データストレージ5に出力し、データストレージ5は所定のサンプリング周期で操舵角データを時系列に蓄積していく。この操舵角データの保存と平行して、GPSセンサ4がその地点検出信号をデータストレージ5に出力し、データストレージ5は所定のサンプリング周期で操舵角データを時系列に蓄積していく。
【0023】
ある程度の距離を走行した後、運転年齢判定部6は、データストレージ5に蓄積されている時系列の操舵角データと地点データを用いて曲り角での操舵円滑度指標を算定する。これは、次の手順による。
【0024】
ステップS1:ステアリングホイール1の軸2の部分に装着した操舵角センサ3にて、1/20sec周期でデジタル値を出力する。
【0025】
ステップS2,S3:移動平均演算部11にて3個程度のサンプル数で移動平均を求め、これをデータストレージ5に時系列に保存していく。これは、人間の意図しない成分を排除することを目的としている。システムの簡素化が必要であれば、このステップS2,S3の処理機能は省略することも可能である。次に、リサンプリング部11にて1/10secなどの周期でリサンプリングする。
【0026】
ステップS4:データストレージ5から取り込んだ操舵角データに対して、システムの始動時に、操舵角センサ3のゼロ点をキャリブレートする必要がないよう(ハンドルを正置させる必要がないよう)、減衰器13にて時間と共に出力値を適度にダンピングする。この機能をソフトウェアとして実装させている。これによりハンドルの取り付けのメカニカルな誤差や、角度センサの取り付け位置のずれを許容できるようになる。ただし減衰係数が大きすぎるとハンドルの戻しのタイミングの測定に誤差が出るなどの悪影響があるので、係数は「弱め」に設定する。
【0027】
ステップS5:差分器14にてサンプリングタイミング毎に、1つ前のサンプリングタイミングでの操舵角データとの差分を取ることで角速度データに変換し、データストレージ5に保存していく。
【0028】
ステップS6,S7:曲り角判定部10はGPSセンサ4の地点データを道路地図データ8と照合することで、曲り角の入点と出点とのタイミングを判別する。そして、データ切出し部15は、この曲り角期間内に属する角速度データ群を切り出す。
【0029】
ステップS8,S9:FFT演算部16にて、切り出された角速度データ群に対して、折り返し効果を低減するためにハミング窓関数を乗じる。そして、離散フーリエ変換FFTを行う。この結果は複素数のベクトルである。
【0030】
ステップS10:2乗器17にてFFTの結果を2乗して、時間軸上のエネルギ分布を表すベクトル(実数のベクトル)に変換する。
【0031】
ステップS11:比率(操舵円滑度指標)算出部18にて、実数のベクトルを全周波数域で積分して積分値S1を求め、また、しきい値Ref1(ここでは、最適値として0.5/secに設定している。尚、この値はシステムに応じて調整可能である。)以上の周波数域でも積分して積分値S2を求め、この高域積分値S2の全域積分値S1に対する比率R(=S2/S1)を操舵円滑度指標として算出する。尚、Ref1は、可変設定若しくは微調整可能にすることができる。
【0032】
ステップS12:操舵円滑度判定部19にて、ステップS11で求めた操舵円滑度指標Rを運転年齢判定指標Ref2(ここでは、0.10〜0.25の範囲で可変設定できる。)と比較し、このRef2を超える場合に運転能力が低下している高齢ドライバと判定し、警告出力部20にて、例えば、「運転能力が顕著に低下してきています。十分に注意して運転なさって下さい。」とか、「運転能力が極度に低下してきています。運転免許証を返上をされることをお勧めします。」といった警告を出力させる。この警告出力は、表示装置7に画面表示し、また、プリントアウトしてドライバ本人に手渡しできるようにする。
【0033】
これにより、本実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それにて実施される運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムによれば、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0034】
尚、ステップS5〜S7の角速度演算、曲り角判定及びデータの切り出しについては、次の手順であってもよい。まず、ステップS5で曲り角判定を先にし、ステップS6で操舵角データのうち曲り角走行期間内に属するデータ群を切り出し、ステップS7で切り出した操舵角データ群に対して差分を実施して曲り角走行期間内に属する角速度データ群を得、これをデータストレージ5に保存し、ステップS9の離散FFTをこの角速度データ群に対して実行することになる。結果は同じである。
【0035】
(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それが実施する運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムについて説明する。
【0036】
本実施の形態の特徴は、道路上の曲り角の判別を車載の加速度センサ(Gセンサ)の加速度検出データと操舵角センサの検出する操舵量から行うことにあり、ハードウェア構成は図4に示すものであり、また運転年齢判定部6の機能構成は図5に示すものである。
【0037】
本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムでは、第1の実施の形態のGPSセンサ4に代えて、加速度センサ4Aを備え、また加速度センサ4Aが所定値以上の加速度を検出している期間について、減衰器13の出力する操舵角データを時間積分する操舵量演算部21を備え、曲り角度判定部10は、この操舵量演算部21の出力する操舵量が所定角度(例えば、90度以上)であれば曲り角を走行していると判定する。尚、図4、図5において、図1、図2に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を付して示してある。
【0038】
本実施の形態の場合、高齢ドライバサポートシステムが実施する運転年齢判定方法及び運転方法判定プログラムの処理フローは第1の実施の形態と同様に図3に示すものである。ただし、ステップS6における曲り角判定法だけは第1の実施の形態と異なり、上述の加速度センサ4Aの出力する加速度検出期間とその間の操舵量とに基づいて判定する。
【0039】
本実施の形態にあっても、第1の実施の形態と同様に、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0040】
(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それが実施する運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムについて説明する。
【0041】
本実施の形態の特徴は、ドライバの操舵円滑度指標Rをランク分けし、ランク毎の運転年齢を推定してドライバに提示する点にある。本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムのハードウェア構成は、第1の実施の形態と同様に図1に示すものである。そして、運転年齢判定部6の機能構成は図6に示してあり、図2に示した第1の実施の形態における警告出力部20に代えて、運転年齢ランキング部22を備えている。尚、図6において、その他の実施の形態と共通する要素には同一の符号を用いて示してある。
【0042】
本実施の形態によれば、図7のフローチャートにおけるステップS12’で、次のような処理を行う。すなわち、操舵円滑度判定部19のRef2を複数段に設定し、操舵円滑度指標算出部18が求めた操舵円滑度指標Rがいずれのランクに属するかを判定する。そして運転年齢ランキング部22は、そのランクに対応して、R=0.1を超えていれば「運転年齢60歳を超えています。運転能力低下傾向にありますので、十分慎重に運転なさって下さい。」、さらにR=0.15を超えていれば「運転年齢70歳を超えています。運転能力が低下しています。運転は中止された方が良いです。」、そしてさらにR=0.20を超えていれば「運転年齢80歳を超えています。運転は無理です。免許証の返上をお勧めします。」といった運転年齢のランクに応じた警告を発する。
【0043】
尚、この図7のフローチャートにおいて、図3に示したフローチャートと共通するステップ番号は同様の演算処理を行う。また第1の実施の形態と同様に、ステップS5〜S7の処理は入れ替えることができる。
【0044】
これにより、本実施の形態によれば、曲り角での操舵円滑度指標のランクに応じて運転年齢を提示すると共に警告も出力するようにしたので、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0045】
(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の形態の高齢ドライバサポートシステム、それが実施する運転年齢判定方法及び運転年齢判定プログラムについて説明する。
【0046】
本実施の形態の特徴は、第2の実施の形態と同様に、道路上の曲り角の判別を車載の加速度センサ(Gセンサ)の加速度検出データと操舵角センサの検出する操舵量から行う点にあり、また、第3の実施の形態と同様に、ドライバの操舵円滑度指標Rをランク分けし、ランク毎の運転年齢を推定してドライバに提示することも特徴としている。ハードウェア構成は第2の実施の形態と共通であって図5に示すものであり、運転年齢判定部6の機能構成は図8に示すものである。
【0047】
本実施の形態の高齢ドライバサポートシステムでは、第1、第3の実施の形態のGPSセンサ4に代えて、加速度センサ4Aを備え、また加速度センサ4Aが所定値以上の加速度を検出している期間について、減衰器13の出力する操舵角データを時間積分する操舵量演算部21を備え、曲り角度判定部10は、この操舵量演算部21の出力する操舵量が所定角度(例えば、90度以上)であれば曲り角を走行していると判定する。
【0048】
また、本実施の形態の場合、第3の実施の形態と同様に、運転年齢ランキング部22が、ステップS12’においてRef2に複数段に設定し、R=0.1を超えれば「運転年齢60歳を超えています。運転能力低下傾向にありますので、十分慎重に運転なさって下さい。」、さらにR=0.15を超えれば「運転年齢70歳を超えています。運転能力が低下しています。運転は中止された方が良いです。」、そしてさらにR=0.20を超えれば「運転年齢80歳を超えています。運転は無理です。免許証の返上をお勧めします。」といった運転年齢の段階的なランク分けと共に各ランクに応じた警告を発する。
【0049】
本実施の形態にあっても、第3の実施の形態と同様に、曲り角での操舵円滑度指標のランクに応じて運転年齢を提示すると共に警告も出力するようにしたので、運転能力が低下している高齢ドライバに運転能力の低下を自覚させることができる。
【0050】
尚、本発明にあって曲り角の判定は任意であり、ドライバと同乗しているテスト員が曲り角入点、出点のボタンを押して時点の時間情報と共に入力し、角速度データ切出し部15では、この時間情報に基づき曲り角の入点、出点の期間内に属する角速度データ群を切り出してFFT処理させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態の高齢ドライバサポートシステムのブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による運転年齢判定処理のフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態の高齢ドライバサポートシステムのブロック図。
【図5】本発明の第2の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図6】本発明の第3の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図7】本発明の第3の実施の形態による運転年齢判定処理のフローチャート。
【図8】本発明の第4の実施の形態における運転年齢判定部の機能ブロック図。
【図9】本発明の実用性の立証のための設定したテストコースの地図。
【図10】壮年層ドライバの操舵角速度のエネルギ分布のグラフ。
【図11】高齢ドライバの操舵角速度のエネルギ分布のグラフ。
【図12】壮年層ドライバと高齢ドライバとの操舵円滑度指標の分布を示すグラフ。
【符号の説明】
【0052】
1…ステアリングホイール
2…ステアリング軸
3…操舵角センサ
4…GPSセンサ
4A…加速度センサ
5…データストレージ
6…運転年齢判定部
7…出力部
8…道路地図データ
10…曲り角判定部
14…差分器
16…FFT演算器
17…2乗器
18…操舵円滑度指標算出部
19…操舵円滑度判定部
20…警告出力部
21…操舵量演算部
22…運転年齢ランキング部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、
前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、
前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、
前記積分手段の求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、
前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステム。
【請求項2】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、
前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、
前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、
前記積分手段の求めた前記高域積分値と前記全域積分値との比率を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、
操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表手段と、
前記対応表手段を参照し、前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステム。
【請求項3】
前記曲り角判定手段は、道路地図データとGPSとを備え、当該GPSの検出する地点が道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項4】
前記曲り角判定手段は、加速度センサと前記操舵角センサの出力する操舵角を積分して曲り角度を求める操舵角積分器とを備え、当該加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の前記操舵角積分器の積分値が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項5】
前記積分手段が前記高域積分値と判定する所定のしきい値は、0.5/secにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項6】
前記安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内のいずれかの値に設定したことを特徴とする請求項1に記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項7】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとを有する運転年齢判定方法。
【請求項8】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとを有する運転年齢判定方法。
【請求項9】
前記曲り角判定ステップでは、GPSの検出する地点を道路地図データと対応させ、道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の運転年齢判定方法。
【請求項10】
前記曲り角判定ステップでは、操舵角センサの出力する操舵角を積分して曲り角度を求め、加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の前記曲り角度が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の運転年齢判定方法。
【請求項11】
前記積分ステップでは、前記高域積分値と判定する所定のしきい値を0.5/secにしたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の運転年齢判定方法。
【請求項12】
前記安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内のいずれかの値に設定したことを特徴とする請求項7に記載の運転年齢判定方法。
【請求項13】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする運転年齢判定プログラム。
【請求項14】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする運転年齢判定プログラム。
【請求項15】
前記曲り角判定ステップでは、GPSの検出する地点を道路地図データと対応させ、道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定することを特徴とする請求項13又は14に記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項16】
前記曲り角判定ステップでは、操舵角センサの出力する操舵角を積分して曲り角度を求め、加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の前記曲り角度が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定することを特徴とする請求項13又は14に記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項17】
前記積分ステップでは、前記高域積分値と判定する所定のしきい値を0.5/secにしたことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項18】
前記安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内のいずれかの値に設定したことを特徴とする請求項13に記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項1】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、
前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、
前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、
前記積分手段の求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、
前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステム。
【請求項2】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出し、第1の所定周期で出力する操舵角センサと、
前記操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算手段と、
前記曲り角判定手段が判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段の算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分手段と、
前記積分手段の求めた前記高域積分値と前記全域積分値との比率を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算手段と、
操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表手段と、
前記対応表手段を参照し、前記操舵円滑度指標演算手段の求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定手段とを備えた高齢ドライバサポートシステム。
【請求項3】
前記曲り角判定手段は、道路地図データとGPSとを備え、当該GPSの検出する地点が道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項4】
前記曲り角判定手段は、加速度センサと前記操舵角センサの出力する操舵角を積分して曲り角度を求める操舵角積分器とを備え、当該加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の前記操舵角積分器の積分値が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項5】
前記積分手段が前記高域積分値と判定する所定のしきい値は、0.5/secにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項6】
前記安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内のいずれかの値に設定したことを特徴とする請求項1に記載の高齢ドライバサポートシステム。
【請求項7】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとを有する運転年齢判定方法。
【請求項8】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとを有する運転年齢判定方法。
【請求項9】
前記曲り角判定ステップでは、GPSの検出する地点を道路地図データと対応させ、道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の運転年齢判定方法。
【請求項10】
前記曲り角判定ステップでは、操舵角センサの出力する操舵角を積分して曲り角度を求め、加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の前記曲り角度が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の運転年齢判定方法。
【請求項11】
前記積分ステップでは、前記高域積分値と判定する所定のしきい値を0.5/secにしたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の運転年齢判定方法。
【請求項12】
前記安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内のいずれかの値に設定したことを特徴とする請求項7に記載の運転年齢判定方法。
【請求項13】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を安全運転指標しきい値と比較し、当該操舵円滑度指標が安全運転指標しきい値を超えるときに警告出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする運転年齢判定プログラム。
【請求項14】
道路上の曲り角を判定する曲り角判定ステップと、
操舵角センサの操舵角信号を時間微分して角速度データを得る角速度演算ステップと、
前記曲り角判定ステップで判定した曲り角の入点から出点までの期間内に属する角速度データ群をフーリエ変換し、かつ、変換値を2乗して周波数軸上のエネルギ分布を算出するフーリエ変換ステップと、
前記フーリエ変換ステップで算出した前記エネルギ分布のうち、所定の周波数しきい値よりも高い周波数領域の値の積分値(高域積分値)と、該角速度フーリエ変換値の全周波数領域の値の積分値(全域積分値)とを求める積分ステップと、
前記積分ステップで求めた前記高域積分値が前記全域積分値に占める割合を操舵円滑度指標として求める操舵円滑度指標演算ステップと、
操舵円滑度指標と運転年齢指標との対応表を参照し、前記操舵円滑度指標演算ステップで求めた操舵円滑度指標を運転年齢指標に変換して出力する運転年齢判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする運転年齢判定プログラム。
【請求項15】
前記曲り角判定ステップでは、GPSの検出する地点を道路地図データと対応させ、道路地図上の曲り角に相当するときに曲り角と判定することを特徴とする請求項13又は14に記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項16】
前記曲り角判定ステップでは、操舵角センサの出力する操舵角を積分して曲り角度を求め、加速度センサが所定のしきい値以上の加速度を検出している期間の前記曲り角度が所定のしきい値以上の角度になった時に曲り角と判定することを特徴とする請求項13又は14に記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項17】
前記積分ステップでは、前記高域積分値と判定する所定のしきい値を0.5/secにしたことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の運転年齢判定プログラム。
【請求項18】
前記安全運転指標しきい値は、0.10〜0.25の範囲内のいずれかの値に設定したことを特徴とする請求項13に記載の運転年齢判定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−250406(P2008−250406A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87675(P2007−87675)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(397055894)株式会社ソフトフロント (5)
【出願人】(301023364)株式会社ジェネティックラボ (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(397055894)株式会社ソフトフロント (5)
【出願人】(301023364)株式会社ジェネティックラボ (10)
【Fターム(参考)】
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