鼻腔を冷却するための装置
脳冷却装置であって、その冷却装置は、冷却効果をもたらすべく鼻腔内において蒸発する流体を送給するために加圧源を使用し、且つ、その遠位側端部に加圧源からの幾分かの圧力により膨張するバルーンを有している。本装置は、その遠位側領域に位置付けられた送給ポートとその遠位側端部に設けられたバルーンとを有する鼻カテーテルを含む。カテーテルの近位側端部は、低沸点流体の加圧源と流体的に連通している。加圧源とカテーテルとの間に位置付けられているマニホールドは、加圧源からの流体と圧力とをカテーテルの第1の管腔に分配してバルーンを膨らませ、また、カテーテルの第2の管腔に分配し、送給ポートを通じて鼻腔を冷却する。マニホールドに設けられたチェックバルブにより、流体と圧力とが最初にバルーンへ送給されることが保証されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2009年6月19日に出願された「Device for Cooling the Nasal cavity」と題する米国仮特許出願第61/218,774号の恩典を主張するものであり、前述の仮出願は、あらゆる目的で、参照により、その内容全体が本明細書に明確に組み入れられる。
【0002】
本発明は、鼻腔と、口腔と、身体の他の部分とを介して行われる脳冷却と全身冷却とに関係し、より特定的には、液体または液体ミストを用いて脳と全身とを冷却するための方法と装置、ならびに液体ミストを鼻咽頭腔へ送給するための方法と装置とに関係する。
【背景技術】
【0003】
脳虚血を経験している患者は、一過性の神経学的欠損から不可逆的損傷(卒中)または死亡までに及ぶ様々な障害を患うことが多い。脳虚血、即ち中枢神経系への血流の低減または停止は、広範囲にわたるものまたは局所的なもののいずれかとして特徴付けられる。広範囲にわたる脳虚血とは、例えばショックや、心不全、または心拍停止などにより引き起こされる全身性循環不全からもたらされる脳血管系内における血流の低減を表す。数分間の循環不全で、組織、特に心臓と脳とにおける組織は虚血状態になる。
【0004】
最も一般的なショックの形態は、心機能の重度の低下によりもたらされる心原性ショックである。心原性ショックの最も頻発する原因は、実質的な筋肉量の喪失を伴う心筋梗塞である。また、急性心筋炎や、または心拍停止もしくは長期間にわたる心肺バイパス後にもたらされる心筋収縮能の低下が原因となって、ポンプ不全が生じることもある。機械的な異常、例えば重度の弁狭窄や、大量の大動脈弁逆流もしくは僧帽弁逆流や、または急性後天性心室中隔欠損なども、心拍出量の低減による心原性ショックを引き起こすことがあり得る。それ以外の心原性ショックの原因は、心不整脈、例えば心室細動などを含む。脳への血流が突然停止した場合、完全な意識消失が心拍停止における必須条件である。心拍停止は、もし積極的な医学的介入が迅速に行われなかった場合、例えば心肺蘇生術(CPR)や、除細動や、またはドーパミン、ドブタミンもしくはエピネフリンなどの強心薬と血管収縮剤との使用などが迅速に行われなかった場合には、数分以内で死に至ることが多い。蘇生された心拍停止後の入院中に生じる死亡の最も一般的な原因は、中枢神経系に及ぼされた虚血性障害の重症度、例えば無酸素性脳症の重症度などと関係している。心拍停止患者を蘇生させる可能性は、発症してから蘇生の取り組みを実施するまでにかかった経過時間と、そのメカニズムと、心拍が停止する以前の患者の臨床状態とに関係している。
【0005】
局所的脳虚血とは、結果的に、中枢神経系の局所的なかかわり合いを反映して、卒中(少なくとも24時間持続する神経学的欠損の急性発症を特徴とする症候群)をもたらす脳血管系内における血流の停止もしくは低減を表す。卒中患者母集団のうちの大凡80%は、血管が閉塞し、その結果として脳に酸素を運搬する血液が損なわれることによって引き起こされる半球性の虚血性卒中である。虚血性卒中は、他の身体部位もしくは脳の血管自体から遊離して、更に遠方の狭い脳動脈を閉塞する、血栓性組織の栓子または小片により引き起こされることが多い。出血性卒中が、年間卒中患者母集団のうちの残りの20%を占める。出血性卒中は、脳組織内へ出血し、結果として脳梗塞をもたらす、動脈瘤や動静脈奇形の破裂によって起こることが多い。局所的脳虚血の他の原因は、頭部外傷や医原性の医学的介入に由来するクモ膜下出血による血管痙攣を含む。
【0006】
急性卒中と頭部損傷とに対する現行の治療法は、主として支持的である。非出血性卒中患者に対しては、血栓溶解剤、例えば組織プラスミノゲン活性化因子(t−PA)などを投与することができる。全身性のt−PAを用いる治療法は、付随的に、脳内出血と他の出血性合併症とのリスクの増大を伴う。血栓溶解剤とヘパリンとの投与を除いては、閉塞性の局所的脳虚血を患う患者に対して、現在市場に出回っている治療上の選択肢はない。血管痙攣は、血管拡張剤に部分的に応答性であり得る。障害病変を物理的に取り除くために頸動脈内に最小侵襲装置を配置することを必要とする神経血管外科の発展途上分野が、これらの患者に対する治療上の選択肢を将来的に提供する可能性があるが、この種の手技は、それ自体が血管痙攣を引き起こしかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
卒中と心原性ショックとのどちらの場合にも、患者は、脳の血流が低減することによる神経学的欠損を発現する。従って、治療は、神経組織の生存能力を維持するための手段を含むべきであり、これにより、介入療法を行うことができる期間を延ばし、虚血の消散を待ちながら脳の損傷を最小限にとどめることができるものでなければならない。それ故、脳潅流の低減により引き起こされた卒中または心原性ショックを患う患者を治療する上で、神経学的欠損を最小化する新たな装置と方法とが必要とされている。
【0008】
研究により、脳を冷却することによって、脳潅流の低減により引き起こされる損傷を防止し得ることが示されている。当初、研究は、外的冷却方法による選択的な脳の冷却に焦点を当てて行われていた。また、上気道の冷却がヒトの脳の温度に直接的に影響を及ぼし得ることを示唆する詳細な調査も行われている(例えば、参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる「Direct cooling of the human brain by heat loss from the upper respiratory tract」(Zenon Mariakら、8750−7587、The American Physiological Society 1999)を参照のこと)。その上、鼻蓋と前頭蓋窩の床との間の距離は、通常、数分の1ミリメートルにすぎないため、鼻腔は、特に、吸入された空気の殆どの加温が気道の最上部で行われるという理由から、呼吸に関係して生じる蒸発性の放熱または熱の対流により隣接した脳の温度に有意に影響を及ぼし得る部位であると考えることができよう。従って、患者の鼻腔および/または口腔を介して脳の冷却を達成するための装置と方法とを開発することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、鼻腔を介して脳の冷却と全身の冷却とをもたらすための方法と装置とに関係する。この冷却は、鼻腔および/または鼻咽頭を通じて生じる直接的な熱の伝達によって起こり、更には、中咽頭のそばを通る頸動脈と、咽頭から数ミリメートル離れて存在するウィリス輪とを通じて生じる血行性の冷却とによって起こる。直接的な冷却は、鼻腔内において霧状化された液体の蒸発による放熱を通じて得られるであろう。加えて、冷却は、鼻腔内における対流を通じても起こり得る。そのような脳の冷却は、脳潅流の低減によって引き起こされた卒中もしくは心原性ショックを患う患者の治療や、または片疼痛の治療で生じる神経学的欠損を最小化するのに役立つものと考えられる。以下の説明では、患者の一方の鼻孔に挿入することを想定して冷却アセンブリや、冷却装置や、または冷却方法が開述されるが、場合によっては、冷却効果を最大化するために、もう一方の鼻孔に第2の冷却用アセンブリや第2の冷却装置を挿入することもできる。
【0010】
1つの実施形態においては、本発明は、冷却と送給との自己完結的なシステムを用いて、鼻腔を介して脳を冷却するための方法を提供する。細長いチューブ状のメンバーを含む冷却アセンブリが提供され、そのチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、近位側端部と遠位側端部との間を延びる第1の管腔と、第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、近位側と遠位側との端部間を延びる第2の管腔とを含んでおり、ここで、第2の管腔は、複数のポートの遠位側において第1の細長いチューブ状メンバーに取り付けられているバルーンと連通している。また、この冷却アセンブリは、細長いチューブ状メンバーの第1の管腔と第2の管腔とに流体的に連通するマニホールドも含んでおり、そのマニホールドは、更に、第2の細長いチューブ状メンバーとも連通している。また、マニホールドは、第2の細長いチューブ状メンバーを介して、加圧流体を収容しているレザバー(reservoir)とも流体的に連通している。この細長いチューブ状メンバーは、バルーンと複数のポートとが鼻腔内に位置付けられるように、患者の鼻孔を通じて患者の鼻腔内に挿入される。バルーンは、流体および/または圧力をレザバーからマニホールドを通じて第2の管腔内へ注入することにより膨らむ。この後、マニホールドを通じてレザバーから加圧流体を第1の管腔内へ注入し、更に、その加圧流体を複数のポートを通じて送給することにより、加圧流体が患者の鼻腔の表面へ送給される。好適には、その流体は、鼻腔表面との接触により蒸発するように、摂氏37度かそれ以下の沸点を有する冷媒を含む。鼻腔からの流体の蒸発は、好適には、1時間で少なくとも0.5℃患者の脳の温度の低下をもたらす。代替的に、脳の温度は1時間で少なくとも1.0℃下げられてよく、また、代替的には1時間で少なくとも1.5℃、代替的には1時間で少なくとも2℃、代替的には1時間で少なくとも2.5℃、代替的には1時間で少なくとも3℃、代替的には1時間で少なくとも4℃、代替的には1時間で少なくとも5℃、代替的には1時間で少なくとも6℃、代替的には1時間で少なくとも7℃下げられてよい。マニホールドに設けられた圧力解放バルブは、鼻腔への流体の送給が完了したときに作動させ、バルーンを萎ませるために使用できる。代替的に、付加的な冷却が求められている場合には、第2の加圧流体容器をマニホールドに接続して、治療を続けることもできる。
【0011】
別の実施形態においては、本発明は加圧流体源を含む自己完結的な冷却アセンブリを提供し、加圧流体源は、患者の鼻腔内において蒸発する冷却用の流体を患者の鼻腔へ送給することができ、また、その加圧流体源からの圧力を用いて、冷却アセンブリの遠位側端部に配置されている閉塞用のバルーンを自動的に膨らませることができる。冷却アセンブリは、患者の鼻腔内へ挿入できるように成された第1の細長いチューブ状メンバーと、マニホールドと、加圧流体を収容するレザバーとを含む。第1の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と遠位側端部と、近位側端部と遠位側端部との間を延びる第1および第2の管腔と、第1の管腔と流体的に連通する状態でその遠位側領域に設けられた複数のポートと、第2の管腔と流体的に連通する状態で複数のポートの遠位側において細長いチューブ状メンバーに取り付けられたバルーンとを有している。マニホールドは、細長いチューブ状メンバーの第1および第2の管腔と、第2のチューブ状メンバーとに流体的に連通し、ここで、第2のチューブ状メンバーは、加圧流体がレザバーから出て、マニホールドを通過し、第2の管腔内へ送られてバルーンを膨らませ、また、第1の管腔内へ送られて複数のポートを通過するように、レザバーと流体的に連通している。
【0012】
使用の際には、細長いメンバーが患者の鼻孔の一方を通じて患者の鼻腔内へ挿入され、鼻腔内に位置付けられる。この細長いメンバーは、細長いメンバーの遠位側端部に設けられたバルーンが後部鼻腔壁と接触して、バルーンを膨らませたときに、バルーンがその鼻腔と患者の鼻咽頭との間にシールを形成するように鼻腔内に位置付けられてよい。代替的に、この細長いチューブ状メンバーは、バルーンが鼻咽頭と接触して、バルーンを膨らませたときに、バルーンがその鼻腔と患者の鼻咽頭との間にシールを形成するように位置付けられてもよい。この後、細長いメンバーの遠位側領域の複数のポートが、霧状化された液体スプレーを鼻神経叢と頸動脈とを含めた鼻腔の表面上に送給できるように位置付けられるであろう。細長いメンバーの近位側端部は、マニホールドを介して加圧流体源と流体的に連通する状態で配置される。加圧流体源からの圧力は、加圧流体源からの液体および/または蒸気を細長いチューブ状メンバー内へ押しやるために使用される。マニホールドは、液体および/または蒸気が、最初に、バルーンを膨らませるために、細長いメンバーの遠位側端部に設けられたバルーンと流体的に連通する管腔を通じて送給されるように、細長いメンバーへの流体の送給をコントロールする。バルーンが膨らむと、マニホールドのチェックバルブが開き、液体と蒸気との両方を含めた流体が、細長いメンバーの遠位側領域に配置されている複数のポートと流体的に連通する第2の管腔を通じて送給できるようになる。液体スプレーは、複数のポートを通じて患者の鼻腔内へ送給される。1つの実施形態においては、その液体は、細長いメンバーに設けられた複数のポートの各々において霧状化される。流体は、流体の大部分が液体の形態で送給され、且つ、鼻腔の表面と接触すると蒸発するように、摂氏37度かそれ以下の沸点を有している。幾分かの流体は移動中に蒸発して蒸気になる。冷却は、蒸気と液体スプレーとの両方からもたらされ、蒸気の場合には、蒸気を作り出したその蒸発作用によって冷やされ、また、液体スプレーの場合には、鼻腔内で液体スプレーが蒸発するときに冷やされる。単一の加圧キャニスターから送給される液体の容量は約0.05リットルから約1リットルまでの範囲であってよい。例えば、単一の加圧キャニスターは約50mLの冷却用液体を送給し得ることが想定されており、代替的には約100mL、代替的には約200mL、代替的には約0.5リットル、代替的には約0.75リットル、代替的には約1リットルの冷却用液体を送給し得ることが想定されている。使用される冷却用流体に依存して、これらの容量の冷却用流体は大凡10分間の冷却効果をもたらすことができ、代替的には30分間まで、代替的には1時間までの冷却効果をもたらすことができる。それに加え、更に、必要な場合には、その冷却アセンブリに付加的なキャニスターを取り付けることにより、付加的な冷却時間をもたらすこともできる。膨らんだバルーンは、患者が未蒸発の流体を吸い込むのを防ぐ。幾つかの実施形態においては、未蒸発の流体は、細長いチューブ状メンバーに設けられた吸引用の管腔を介して、患者の鼻腔から吸引されてよく、または取り除かれてよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置の1つの実施形態を示す図である。
【図2】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置の1つの実施形態を示す図である。
【図3】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置の1つの代替的な実施形態を示す図である。
【図4A】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置と共に使用することを目的としたマニホールドの1つの実施形態を示す図である。
【図4B】マニホールドが加圧されているときに、図3Bのマニホールドに設けられたチェックバルブが圧力の遠位側方向への移動を許容する状態を示す図である。
【図4C】マニホールドが加圧されていないときに、図3Bのマニホールドに設けられたチェックバルブが加圧流体の近位側方向への流動を防止する状態を示す図である。
【図4D】本装置内の圧力を逃がすために、図3Aのマニホールドが手操作で解放された状態を示す図である。
【図5】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するための冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの遠位側端部の1つの実施形態を示す図である。
【図6】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給する冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの1つの実施形態の横断面を示す図である。
【図7】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するための冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの1つの代替的な実施形態の横断面を示す図である。
【図8】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するための冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの1つの代替的な実施形態の横断面を示す図である。
【図9】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するために患者の鼻腔内へ挿入された加圧流体源を有する冷却アセンブリの1つの実施形態を示す図である。
【図10】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給することを目的として患者の鼻腔内へ挿入された加圧流体源を有する冷却アセンブリの1つの代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで開述されているのは、脳冷却および/または全身冷却をもたらすべく、鼻腔内において蒸発する流体を加圧源から送給するための装置と方法とである。このアプローチは、損傷を負った場所での緊急ケア用に設計された自己完結的な手法である。本質的に、このプロセスは、小さな内的冷却ユニットである鼻咽頭スペース内において吸熱反応を展開させることにより、例えば緊急もしくは救急隊員などによる、院外設定での治療を目的とした低体温法を迅速に施すための装置と方法とを提供する。このアプローチは、外的冷却ユニットと、携帯不能な大きな換気ユニットとの必要性を排除する。
【0015】
本装置は、体温と同じかそれ以下の沸点を有する流体の液体スプレーを送給するための加圧流体源と流体的に連通する少なくとも1つの鼻カテーテルを含む。幾つかの実施形態においては、本装置は、患者のそれぞれの鼻孔内に1つの鼻カテーテルが位置付けられて冷却効果を最大化するように、2つの鼻カテーテルを含む。また、本装置は、1つもしくは複数の鼻カテーテルの遠位側端部に設けられた1つもしくは複数のバルーンも有しており、それらのバルーンは、圧力源からの幾分かの圧力によって膨らむ。本装置では、ポンプやエレクトロニクスを使うことなく、加圧流体源からの圧力を利用して、1つもしくは複数のバルーンが膨らみ、且つ、流体が鼻腔へ送給される。バルーンを膨らませ、且つ、流体を鼻腔へ送給するために加圧流体源からの圧力を使用することにより、更に、このアプローチは、冷却アセンブリの使いやすさと可搬性とを改善する。
【0016】
本発明で使用される流体の目的は鼻腔を冷却することであり、延いては脳を冷却することである。1つもしくは複数のバルーンの目的は、全部ではないにしても、殆どの未蒸発の流体またはガスが患者に吸入されないように、または飲み込まれないようにすることである。冷却用流体は、摂氏37度かそれ以下の沸点を有するどのような冷却剤でもよい。体温、即ち摂氏37度かそれ以下の沸点を有する流体は、蒸発を増進させるために付加的なガスの送給を必要とすることなく、鼻腔壁と接触すると蒸発するであろう。例えば、冷却用流体は、これらに限定するものではないが、大凡摂氏37度かそれ以下の沸点を有するペルフルオロカーボンや、フルオロカーボンや、ハイドロフルオロカーボンや、またはそれらのあらゆる混合物であってよい。幾つかの実施形態においては、バルーンを膨らませることと鼻腔を冷却することとを目的として冷却用流体を送給するため、室温、即ち大凡摂氏22度かそれ以下の沸点を有する推進剤が流体レザバーを加圧するために使用されてよい。推進剤も、これらに限定するものではないが、大凡摂氏22度かそれ以下の沸点を有するペルフルオロカーボンや、フルオロカーボンや、またはハイドロフルオロカーボンであってよい。推進剤は流体レザバー内において流体と混ざり合っていても、または代替的に、加圧流体レザバー内において流体と推進剤とが分離した状態のままであってもよい。例えば、冷却用流体は、推進剤と冷却用流体とが混ざり合うのを防ぐため、当技術分野において公知の如く、周囲を推進剤によって囲まれた別個の嚢に入った形態で提供されてよい。代替的に、冷却用流体は、冷却用流体が推進剤としても機能できるように、大凡摂氏22度かそれ以下の沸点を有していてもよい。
【0017】
このプロセス中に、患者の脳と、全身および/または鼻との温度がモニタリングされてよい。液体スプレーは、脳の外面と脳の内核との間で摂氏0.5度を上回らない温度勾配を達成するのに充分な速度で送給されてよい。また、液体スプレーは、脳の温度と全身の温度との間で少なくとも約摂氏1.0度の温度勾配を達成するのに充分な流量で送給されてもよい。更に、液体スプレーは、1時間で約摂氏1.0度よりも速い速度での脳の冷却を達成するのに充分な流量で送給されてもよい。更に、液体スプレーは、約摂氏4.0度の鼻腔内温度を達成するのに充分な流量で送給されてもよい。幾つかの実施形態においては、液体スプレーは、鼻腔へ送給される直前に、複数のポートの各々において霧状化できる。
【0018】
図1−2は、脳冷却および/または全身冷却をもたらすために患者の鼻腔へ流体を送給するための自己完結的なシステムの1つの実施形態を描いている。冷却システムは、加圧流体源と、送給アセンブリと、冷却アセンブリとを含む。加圧流体源は、鼻腔へ送給されるべき流体13と、場合によっては、別個の推進剤とが充填された加圧容器10を含む。容器10は、当技術分野において公知の如く、エアロゾルタイプの容器または何らかの一般的な圧力容器であってよい。幾つかの実施形態においては、容器10は、容器を加圧することと流体13を送給することとを目的として室温より低い沸点を有する推進剤14を含む。代替的に、流体自体の幾分かの蒸発が容器を加圧することと流体を送給することとに利用できるように、流体13の沸点が室温かそれ以下であってもよい。別個の推進剤が与えられるときには、その推進剤と流体とは、すべての流体が容器から押し出されることを保証するのに充分な比率で与えられる。
【0019】
容器の本体は、中空の円筒状を成し、その内容物からの圧力に耐え得る材料で構成されている。容器は、好適には、約0.05リットルから約1リットルまでの範囲にわたる容量の冷却用流体を提供できるようなサイズに成されている。例えば、単一の加圧容器は約50mLの冷却用流体を送給できるように想定されており、代替的には約100mL、代替的には約200mL、代替的には約0.5リットル、代替的には約0.75リットル、代替的には約1リットルの冷却用流体を送給できるように想定されている。使用される冷却用流体に依存して、これらの容量の冷却用流体は約10分間の冷却効果をもたらすことができ、代替的には30分間まで、代替的には1時間までの冷却効果をもたらすことが可能である。その上、幾つかの実施形態においては、付加的な冷却時間を提供するために、1つより多くの容器を使用することもできる。
【0020】
容器10の頂面はキャップ11を有していて、そのキャップ11はプッシュダウン・バルブ・ステムなどのバルブを含んでおり、更に、バルブは、容器10の底まで延びている浸漬チューブ13と流体的に連通している。また、キャップ11は、バルブアセンブリと流体的に連通する出口チャンネルも有している。出口チャンネルは、加圧流体源10を冷却アセンブリに接続するチューブ状メンバー60と流体的に連通している。キャップ11は、浸漬チューブ12とチューブ状メンバー60とを接続するバルブを開くために押し下げることができ、もしくは回すことができ、または別な仕方で作動させることができる。バルブを開くことにより、推進剤(もしくは流体の蒸気)14からの圧力が、流体13を、冷却アセンブリへ送給するため、浸漬チューブ12を通じて、チューブ状メンバー60内へ押しやることが可能になる。幾つかの実施形態においては、キャップを押し下げることにより、またはキャップを回すことにより、バルブを開放位置にロックすることができる。キャップ11は、例えば、冷却を中断または終了することが必要な場合、チューブ状メンバー60への流体の送給を停止するため、再び押し下げることにより、または逆方向に回すことにより、バルブを閉じることができる。幾つかの実施形態においては、キャップ11は、流体の流れをコントロールする装置も含んでいてよく、例えば、チューブ状メンバー60内への流体の流量を調節するためのニードルタイプのバルブまたは直径可変式のアパーチャーなどを含んでいてよい。ここで、キャップ11は、オペレーターが流量に関する数個の選択肢、例えば低流量と、中等度の流量と、高流量との中から1つを選ぶことができるようにするセレクターを含んでいてよい。
【0021】
チューブ状メンバー60は送給アセンブリに接続されている。その送給アセンブリは、マニホールド20と、チェックバルブ22と、チューブ状メンバー41および51とを含み、チューブ状メンバー41および51は、加圧源10からの流体13の送給を患者の鼻腔内に位置付けられた1つもしくはそれ以上の鼻カテーテルに差し向けるように、マニホールド20から延びている。図4A−Dに示されるように、マニホールド20は、入口チャンネル62と2つの出口チャンネル43および53とを有している。使用の際には、入口チャンネル62が、加圧源からの流体を受け入れるべく、チューブ状メンバー60に接続される。出口チャンネル53は、1つもしくは複数のカテーテルの遠位側端部に設けられたバルーンを膨らませるため、1つもしくはそれ以上の鼻カテーテルの管腔を通じて圧力および/または流体13を送給するようにチューブ状メンバー51に接続される。出口チャンネル43は、1つもしくはそれ以上の鼻カテーテルの管腔を通じて流体13を送給し、鼻腔の表面へ送るようにチューブ状メンバー41に接続される。図4Bに示されるように、マニホールド20が加圧されているとき、即ち、加圧源10から入口62を通じて流れる液体によって加圧されているときには、液体13がバルブプラグ27を押し下げ、これにより、流体13がマニホールド20と出口チャンネル43および53とを通って流れ、チューブ状メンバー41および51に流入することを可能にする流路が提供される。図4Cに示されるように、マニホールド20が加圧されるのをやめているとき、例えば加圧源10が取り除かれているとき、またはマニホールドに設けられたバルブが閉じられているときには、バネ28が解放され、その結果、バルブプラグ27によって、出口チャンネル43および53から遠位側方向へ(または逆方向へ)流動する流体および/または圧力の通過が遮断される。これにより、オペレーターは、例えば更なる冷却が必要な場合に、1つもしくは複数の鼻カテーテルの1つもしくは複数の遠位側端部に設けられた1つもしくは複数のバルーンを萎ませることなく、加圧キャニスターを交換することが可能になる。図4Dに示されるように、マニホールド20は、圧力逃しバルブ23に接続された解放ボタン21も有する。解放ボタン21の押し下げはバルブ23とバルブプラグ27とを押し下げ、これにより、出口チャンネル43および53からの圧力のための通気口29a、bを通じる通路が提供される。解放ボタン21により、オペレーターは、過剰な圧力を解放し、出口チャンネル51と流体的に連通する1つもしくは複数のバルーン内における圧力の上昇を防止できる。加えて、圧力が出口チャンネル51から遠位側方向へ流れて逃し通気口29a、bから出ることを可能に成すことにより、解放ボタン21は、1つもしくは複数のバルーンの膨張量をコントロールするためおよび/または治療の完了後すぐに1つもしくは複数のバルーンを萎ませるために使用できる。幾つかの実施形態においては、圧力逃しバルブは、代替的に、加圧流体容器10に設けられたバルブと組み合わされてもよく、この場合には、冷却を開始するために1つのボタンが存在し、且つ、冷却の完了時にバルーンを萎ませるために1つのボタンが存在することとなる。
【0022】
図1−2に示されるように、チューブ状メンバー41および51は、加圧源10からの流体をカテーテル30a、bの遠位側端部に設けられたバルーン50a、bへ送給することと、ポート40a、bを通じて患者の鼻腔へ送給することとを目的として、2つの多管腔鼻カテーテル30a、bに接続されている。チューブ状メンバー41に設けられたチェックバルブ22は、バルーン50a、bが完全に膨らんで実質的に鼻腔を塞ぐまで、鼻カテーテル30a、bの送給ポート40a、bに接続された鼻カテーテルの管腔へ流体が送給されるのを防止する。チェックバルブ22は、加圧源10からの圧力がバルーンの詰め込み圧力を超えるまで、閉じたままである。従って、流体は、最初に、チューブ状メンバー51を通じて流れ、バルーン50a、bに接続された鼻カテーテルの管腔に流入し、バルーン50a、bを膨らませる。幾つかの実施形態においては、加圧流体源10からの流体13は、チューブ状メンバー60と、マニホールド20と、チューブ状メンバー51とを通じて流れ、鼻カテーテルの管腔とバルーン50a、bとに流入することができる。流体13は大きな容量のバルーン50a、bに入るとすぐにその容積中に蒸発し、バルーンを膨らませるであろう。代替的に、図2に示されるように、幾つかの実施形態は、加圧流体源10からの第2の圧力ライン61を含んでいてよい。圧力ライン61は、推進剤または流体の蒸気とは流体的に連通するが、液体13とは流体的に連通しないように、加圧流体容器10の頂面に接続されている。従って、圧力ライン61はバルーン50a、bを膨らませるべくチューブ状メンバー51へ圧力を送給するために使用することができ、そして、チューブ状メンバー60は、送給ポート40a、bを通じて患者の鼻腔へ流体13を送給するために使用できる。送給された圧力がバルーンを膨らませるのに必要な圧力を超えると、チェックバルブ22が開き、流体がチューブ状メンバー41を通じて流れ、送給ポート40a、bに接続された鼻カテーテルの管腔内へ流入することが可能になる。
【0023】
幾つかの実施形態においては、図1および2に示されるように、冷却アセンブリは2つの多管腔鼻カテーテル30a、bを含んでいてよく、各鼻カテーテルは、遠位側端部に取り付けられた膨張可能なメンバー50a、bと、患者の各鼻孔へ冷却用流体を送給するために、バルーン50a、bの近位側の遠位側領域に配置された複数の送給ポート40a、bとを有していてよい。鼻カテーテル30a、bは、患者の鼻腔を通って鼻腔後部まで、または代替的に患者の鼻咽頭内まで延びるのに充分な長さを有している。複数の送給ポート40a、bは、カテーテル30a、bの外壁に沿って長手方向で且つ軸方向に関して間隔をあけて配置され、そして、患者の鼻腔の表面を実質的にカバーする液体スプレーを送給すべく、カテーテルの円周方向の周りに分配され、且つ、カテーテル30a、bの長さ方向に沿って約3cmから約12cmまでの距離をカバーするように間隔をあけて配置されている。柔軟なバルーンなどの膨張可能なメンバー50a、bは鼻カテーテル30a、bの遠位側端部付近で周辺を取り巻くようにして取り付けられ、それらの膨張可能なメンバー50a、bは、膨張したときに、隣接した生体構造を塞ぎ、シールを創出するようなサイズに成されている。
【0024】
冷却アセンブリが図1−2に示されるように2つの鼻カテーテルを含む実施形態においては、チューブ状メンバー51は、それぞれの鼻カテーテル30a、bにおける膨張用管腔に接続するための2つの分離したチャンネル52a、bに分岐していてよい。同様に、チューブ状メンバー41も、それぞれの鼻カテーテル30a、bにおける流体送給用管腔に接続するための2つの分離したチャンネル42a、bに分岐していてよい。チェックバルブ22は、チューブ状メンバー41がチューブ状メンバー42a、bに分岐する前の場所に配置されている。接続マニホールド25がチャンネル42a、bおよび52a、bをそれぞれの鼻カテーテル30a、bの膨張用管腔と送給用管腔とに接続している。代替的に、図1に示されるように、接続マニホールド25は、チャンネル42aおよび52aを送給用チューブ32aに接続し、そして、チャンネル42bおよび52bを送給用チューブ32aに接続していてもよい。この後、送給用チューブ32aおよび32bは、鼻用マニホールド26を介して鼻カテーテル30a、bに接続できる。鼻用マニホールド26は、患者に鼻腔への快適で且つ良好なアクセスを提供すべく鼻カテーテル30a、bを角度付けるように設計されている。別の実施形態においては、アセンブリを簡単化するためおよび/またはコストを低減するため、それらのマニホールドが組み合わされていてよい。例えば、スプリッターチャンネルと圧力解放バルブ21とを伴ったマニホールド22を加圧流体源10に組み入れることができ、これにより、冷却を開始するために1つのボタンが存在し、そして、除去するためにバルーンを萎ませるための別のボタンが存在するようにできる。付加的に、または代替的に、接続マニホールド25を鼻用マニホールド26に組み入れることもできる。
【0025】
使用の際には、図9(1つの鼻孔内での使用を描いている)に示されるように、冷却アセンブリの複式カテーテル30a、bのそれぞれは、バルーン50a、bが患者の鼻腔101の後面に位置付けられるように、患者の鼻孔102内へ進められる。この実施形態においては、バルーン50は中隔前の鼻腔のどちらの側に位置付けられてもよい。加圧源10からの流体および/または圧力がバルーン50a、bへ送給され、バルーン50a、bは、未蒸発の液体13が咽頭内へ漏れるのを防止するため、鼻腔101の後面になじみ、且つ、鼻腔100を鼻咽頭104と患者の気道の残りの部分とから隔離するシールを形成するように膨らむ。隔離されると、送給ポート40a、bを通じて液体13のスプレーが患者の鼻腔101内へ送給され、患者の頭部の急速な冷却を可能にすべく、鼻腔101全体を循環させることができる。送給ポート40a、bは、できるだけ多くの鼻腔101の表面をカバーするようなパターンでの液体スプレーの拡散を引き起こすことができるように設計されている。加えて、送給ポート40a、bは、送給ポート40a、bを出る直前に液体を霧状化できるようにも設計されている。流体13のうちの幾分かは送給システム中を移動している間に蒸発して蒸気になるであろう。従って、冷却は、蒸気(この場合には、蒸気を創出した蒸発により冷やされる)と鼻腔内において蒸発する際の液体スプレーとの両方によってもたらされるであろう。単一の加圧キャニスターから送給される液体の容量は、約0.05リットルから約1リットルまでの範囲であってよい。例えば、単一の加圧キャニスターは約50mLの冷却用液体を送給できることが想定されており、代替的には約100mL、代替的には約200mL、代替的には約0.5リットル、代替的には約0.75リットル、代替的には約1リットルの冷却用液体を送給できることが想定されている。使用される冷却用流体に依存して、これらの冷却用流体の容量は大凡10分間の冷却効果を提供でき、代替的には30分間まで、代替的には1時間までの冷却効果を提供できる。
【0026】
その際、あらゆる未蒸発の液体は、患者の鼻孔102から流れ出るようにすることができる。1つの代替的な実施形態においては、カテーテル30a、bのうちの一方または両方が、更に、バルーン50a、bの近位側に位置するポートと流体的に連通する第3の管腔を含んでいて、これにより、過剰な液体を患者の鼻腔から吸引できるように成されていてもよい。加えて、または代替的に、一方または両方の鼻カテーテル30a、bは、鼻腔がバルーン50a、bによって塞がれている間に鼻腔を通じて呼吸用の通路を提供する目的で、そのカテーテルの遠位側端部と近位側端部との間で延びていて、且つ、遠位側端部と近位側端部とに開口を有する第3の管腔を含んでいてよい。
【0027】
1つの代替的な実施形態においては、図10に示されるように、冷却アセンブリは、遠位側端部に取り付けられたバルーン250と遠位側領域において軸方向で且つ長手方向に展開する複数のポート40aとを有する単式の鼻カテーテル232を含み、その単式鼻カテーテル232は、バルーン250が鼻咽頭104の近位側に位置付けられるまで、患者の鼻孔102内へ進められる。この実施形態においては、バルーン250は、膨らんだときに、バルーン250が鼻咽頭104への開口になじんで、鼻腔100を患者の気道の残りの部分からシールし、未蒸発の液体が患者の喉内に漏れるのを防ぐとともに、流体の蒸気が吸入されるのを防止することもできるように、バルーン50a、bよりも若干大きくてよく、または一層柔軟性に富んでいてもよい。加圧源10からの流体および/または圧力がバルーン250へ送給されて、バルーン250は、鼻腔100を鼻咽頭104から隔離するシールを形成すべく、膨らむ。隔離されると、送給ポート40を通じて液体13のスプレーが患者の鼻腔100内へ送給されてよく、患者の頭部の急速な冷却を可能に成すべく、鼻腔100全体を循環させることができる。その際、未蒸発の液体は、患者のもう一方の鼻孔から流れ出るようにすることができる。1つの代替的な実施形態においては、カテーテル232は、更に、バルーン250の近位側に位置するポートを有する第3の管腔を含んでいて、これにより、過剰な液体を患者の鼻腔100から吸引できるように成されていてよい。加えて、カテーテル232は、更に、鼻腔がバルーン250によって塞がれている間に、鼻腔を通じて呼吸用の通路を提供する目的で、カテーテル232の遠位側端部と近位側端部との間で延びていて、且つ、遠位側端部と近位側端部とに開口を有する第3の管腔を含んでいてよい。
【0028】
図5は、遠位側端部に取り付けられたバルーン50と遠位側領域において長手方向で且つ軸方向に展開する複数の送給ポート40とを有する鼻カテーテル30であって、鼻腔から非侵襲的な脳冷却と全身冷却とを行うことを目的とした鼻カテーテル30の1つの実施形態を描いている。鼻カテーテル30は患者の鼻腔を延びるように、操作可能なサイズに成されている。鼻カテーテル30は、カテーテルの近位側端部と遠位側端部との間を延びている少なくとも2つの管腔142および154を有している。膨張用管腔154は、バルーン50を膨らませるために加圧流体源からの圧力および/または流体をバルーン50に供給することを目的として、バルーン50と流体的に連通している。送給用管腔142は、流体を鼻腔内へスプレーするためにカテーテル30の外壁に沿って配置された複数のポート40と流体的に連通している。使用の際には、送給用管腔142は、加圧流体源からの冷却用流体13をカテーテル30と送給ポート40とを通じて患者の鼻腔内へ移送するため、チューブ状メンバー41に接続される。これらのポート40は、カテーテル30の外壁に沿って長手方向と軸方向とに間隔をあけて配置されている。例えば、カテーテルの円周方向の周りに約10−40個の送給ポートが分配されていて、且つ、それらのポートが、カテーテル30の長さ方向に沿って約3cmから約12cmまでの距離をカバーするように間隔をあけて配置されていてよい。使用に際し、カテーテル30が患者の鼻腔内に配置されたときには、これらのポートの分布は鼻腔全体をカバーする状態をもたらすであろう。この特質は、広い領域にわたってスプレーを分散するほど、蒸発による放熱を通じて、大きな冷却効果が得られるという点において、極めて重要である。その上、複数の送給ポート40のうちの各ポートは、カテーテルの管腔142を通じて流れる流体が鼻腔に入る直前に霧状化されるように設計されるであろう。
【0029】
各送給ポート40で液体を霧状化する能力により、様々に異なるサイズの液体粒子の分布が鼻腔全体を通じて一様になることが保証される。具体的に言うと、液体が霧状化されるときには、様々なサイズの液体粒子を伴ったスプレーが創出される。もし液体が鼻カテーテルの近位側端部で、またはカテーテルの外側で霧状化された後、霧状化された液体スプレーとしてカテーテルの管腔を通じて多数の送給ポートへ移送された場合には、比較的小さな液体粒子は近位側の送給ポートを通じて流れ、その一方で、比較的大きな液体粒子は、鼻カテーテルの遠位側端部付近に位置する送給ポートの1つを介して鼻腔へ送給される前に、チューブの遠位側端部まで運ばれることになるであろう。これは、鼻腔内における液体粒子の不均等な分布をもたらすことになろう。これとは逆に、液体が鼻カテーテルを通じて移送され、送給の直前に各送給ポートで別々に霧状化されるときには、鼻腔内におけるあらゆる与えられたポイントにおいて分配される液体粒子のサイズ分布は一様である。これは、様々に異なるサイズの液体粒子の均等な分布がその液体スプレーの一層良好な蒸発を提供し、これにより、蒸発による放熱を通じて一層良好な冷却効果がもたらされ、患者にとって一層許容性の高いものになるという点において極めて重要である。
【0030】
バルーン50は、ブロー成形ポリウレタンなどの充分に柔軟性を有するエラストマー材料で製作される。幾つかの実施形態においては、バルーン50は、患者のサイズとバルーンの望まれる使用場所とに依存して、最大直径または充分に膨らんだ時点での直径が約10mmであるように構成されてよく、代替的には15mm、代替的には20mm、代替的には25mm、代替的には35mmであるように構成されてよい。例えば、幾つかの実施形態においては、バルーン50はそれぞれの鼻孔に挿入され、鼻の中隔の近位側における鼻腔後部においてシールを創出するために、そのバルーンが後鼻孔(鼻腔と鼻咽頭との間に存在する、対になった開口)になじむまで膨らむであろう。代替的に、単一のバルーンが鼻腔後部を越えて進められ、患者の鼻咽頭の近位側でシールを創出すべく、約25−35mmの直径にまで膨らんでもよい。それらのバルーンは、接着剤によりカテーテルのシャフトの外側に固着されてよく、または熱的に固着されてもよい。それらのバルーンを接合する他の適切な手段も想定されている。
【0031】
幾つかの実施形態においては、図5に示されるように、カテーテル30は、カテーテル30の近位側端部から遠位側端部まで延びる第3の管腔135を有しており、また、第3の管腔135は、鼻腔がバルーン50によって塞がれている間、管腔135が患者の鼻腔を通じて通路を提供するように、近位側の開口と遠位側の開口とを有している。この第3の「呼吸用」管腔は、患者の鼻咽頭や、咽頭や、喉頭や、および/または食道と流体的に連通し、器具が患者の鼻腔に挿入されている間、患者が呼吸できるように成している。また、鼻カテーテル30は、その遠位側端部に設けられた丸形の密封先端部136も有しており、この丸形密封先端部136は、管腔142および152の遠位側端部をシールし、且つ、敏感な組織を損傷するのを回避するため、滑らかな表面を備えている。
【0032】
図6−8は、鼻カテーテル30の送給用管腔と膨張用管腔とについての代替的な幾何学的形状を描いている。このカテーテルのシャフトは、遠位側端部に取り付けられた柔らかな先端部を除いて、本装置の全長にわたって延びる一体型の押し出し多管腔チューブであってよい。多管腔チューブは、好適には、押し出し可能なポリマー、例えばPebaxや、ポリエチレンや、ポリウレタンや、ポリプロピレンや、またはナイロンなどで形成される。管腔の形状は、例えば、使用される冷却用流体と流体の送給中に生じることが想定されている蒸発量とに依存して、様々に変えることができる。例えば、図6に示されるように、幾つかの実施形態においては、送給用管腔142と膨張用管腔154との横断面は、等しいサイズの円形の管腔であってよい。これらの円形管腔142および154は、複式管腔押し出し成形で最もねじれが生じにくい設計であるという利点を有している。代替的に、図7に示されるように、送給用管腔143と膨張用管腔153との横断面は、等しいサイズの半円形の管腔であってもよい。これらの半円形管腔142および153は比較的多くのガス/流体を通し、従って、ある与えられた管腔面積に対して、半円形管腔押し出し成形は、全体として直径を比較的小さくすることができる。代替的に、図8に示されるように、送給用管腔144と膨張用管腔154との横断面は、異なるサイズの三日月形の管腔と円形の管腔とであってもよい。好適には、膨張用管腔154は液体送給用管腔144よりも小さいであろう。三日月形の送給用管腔144を伴ったこの押し出し成形は、(必要な場合)冷却用流体を送給する際のスプレーパターンを比較的広い範囲にわたって作ることができるという利点も有している。
【0033】
1つの代替的な実施形態においては、図3に示されるように、閉塞用のバルーン150への送給と冷却用流体の送給とが、患者の両方の鼻孔に挿入された別々の鼻カテーテル131、132で行われてよい。ここで、第1の鼻カテーテル132は、その遠位側端部に取り付けられたバルーン150を有しており、そして、第2の鼻カテーテル131は、その遠位側領域において軸方向と長手方向とに展開する複数の送給ポート40を有している。鼻カテーテル132は、チューブ状メンバー51に接続される少なくとも1つの管腔を有している。幾つかの実施形態においては、鼻カテーテル132の遠位側端部はバルーン150の更に遠位側へ延びていてよく、そして、鼻カテーテル132は、バルーン150が鼻腔を塞いでいる間、患者の呼吸用アクセスルートを提供するために、遠位側先端部に設けられた開口を伴う第2の管腔を有していてよい。鼻カテーテル132は、使用の際、バルーン150が鼻咽頭の近位側に位置付けられ、膨らんで、患者の鼻腔を患者の咽頭と気道とから封鎖できるように、患者の鼻咽頭の近位側まで延びるのに充分な長さを有している。鼻カテーテル131は、送給ポート40を通じて冷却用流体を送給できるように鼻カテーテル131が患者の鼻腔内まで延びることだけが求められているため、鼻カテーテル132よりも若干短くてよい。鼻カテーテル131、132は、共に、小児用のサイズと大人用のサイズとを含め、患者の様々な生体構造に適合するように、様々な長さで提供できる。使用に当たり、鼻カテーテル131は、チューブ状メンバー41に接続される少なくとも1つの管腔を有している。これまでの箇所で検討されているように、加圧源10からの流体13は、最初に、バルーン150を膨らませるため、マニホールド20とチューブ状メンバー51とを通じて鼻カテーテル132へ送給される。加圧源10からの圧力がバルーンの詰め込み圧力を超えると、チェックバルブ22が開き、加圧源10からの流体13がマニホールド20とチューブ状メンバー41とを通じて鼻カテーテル131へ流れ、ポート40を通じて患者の鼻腔の表面へ送給される。
【0034】
これまで、分かり易さと理解を得ることとを目的として、本発明が、例証と用例とにより、ある程度詳しく開述されてきたが、添付の特許請求項の範囲内に尚も収まる特定の変更と改変とを成し得ることは明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
この出願は2009年6月19日に出願された「Device for Cooling the Nasal cavity」と題する米国仮特許出願第61/218,774号の恩典を主張するものであり、前述の仮出願は、あらゆる目的で、参照により、その内容全体が本明細書に明確に組み入れられる。
【0002】
本発明は、鼻腔と、口腔と、身体の他の部分とを介して行われる脳冷却と全身冷却とに関係し、より特定的には、液体または液体ミストを用いて脳と全身とを冷却するための方法と装置、ならびに液体ミストを鼻咽頭腔へ送給するための方法と装置とに関係する。
【背景技術】
【0003】
脳虚血を経験している患者は、一過性の神経学的欠損から不可逆的損傷(卒中)または死亡までに及ぶ様々な障害を患うことが多い。脳虚血、即ち中枢神経系への血流の低減または停止は、広範囲にわたるものまたは局所的なもののいずれかとして特徴付けられる。広範囲にわたる脳虚血とは、例えばショックや、心不全、または心拍停止などにより引き起こされる全身性循環不全からもたらされる脳血管系内における血流の低減を表す。数分間の循環不全で、組織、特に心臓と脳とにおける組織は虚血状態になる。
【0004】
最も一般的なショックの形態は、心機能の重度の低下によりもたらされる心原性ショックである。心原性ショックの最も頻発する原因は、実質的な筋肉量の喪失を伴う心筋梗塞である。また、急性心筋炎や、または心拍停止もしくは長期間にわたる心肺バイパス後にもたらされる心筋収縮能の低下が原因となって、ポンプ不全が生じることもある。機械的な異常、例えば重度の弁狭窄や、大量の大動脈弁逆流もしくは僧帽弁逆流や、または急性後天性心室中隔欠損なども、心拍出量の低減による心原性ショックを引き起こすことがあり得る。それ以外の心原性ショックの原因は、心不整脈、例えば心室細動などを含む。脳への血流が突然停止した場合、完全な意識消失が心拍停止における必須条件である。心拍停止は、もし積極的な医学的介入が迅速に行われなかった場合、例えば心肺蘇生術(CPR)や、除細動や、またはドーパミン、ドブタミンもしくはエピネフリンなどの強心薬と血管収縮剤との使用などが迅速に行われなかった場合には、数分以内で死に至ることが多い。蘇生された心拍停止後の入院中に生じる死亡の最も一般的な原因は、中枢神経系に及ぼされた虚血性障害の重症度、例えば無酸素性脳症の重症度などと関係している。心拍停止患者を蘇生させる可能性は、発症してから蘇生の取り組みを実施するまでにかかった経過時間と、そのメカニズムと、心拍が停止する以前の患者の臨床状態とに関係している。
【0005】
局所的脳虚血とは、結果的に、中枢神経系の局所的なかかわり合いを反映して、卒中(少なくとも24時間持続する神経学的欠損の急性発症を特徴とする症候群)をもたらす脳血管系内における血流の停止もしくは低減を表す。卒中患者母集団のうちの大凡80%は、血管が閉塞し、その結果として脳に酸素を運搬する血液が損なわれることによって引き起こされる半球性の虚血性卒中である。虚血性卒中は、他の身体部位もしくは脳の血管自体から遊離して、更に遠方の狭い脳動脈を閉塞する、血栓性組織の栓子または小片により引き起こされることが多い。出血性卒中が、年間卒中患者母集団のうちの残りの20%を占める。出血性卒中は、脳組織内へ出血し、結果として脳梗塞をもたらす、動脈瘤や動静脈奇形の破裂によって起こることが多い。局所的脳虚血の他の原因は、頭部外傷や医原性の医学的介入に由来するクモ膜下出血による血管痙攣を含む。
【0006】
急性卒中と頭部損傷とに対する現行の治療法は、主として支持的である。非出血性卒中患者に対しては、血栓溶解剤、例えば組織プラスミノゲン活性化因子(t−PA)などを投与することができる。全身性のt−PAを用いる治療法は、付随的に、脳内出血と他の出血性合併症とのリスクの増大を伴う。血栓溶解剤とヘパリンとの投与を除いては、閉塞性の局所的脳虚血を患う患者に対して、現在市場に出回っている治療上の選択肢はない。血管痙攣は、血管拡張剤に部分的に応答性であり得る。障害病変を物理的に取り除くために頸動脈内に最小侵襲装置を配置することを必要とする神経血管外科の発展途上分野が、これらの患者に対する治療上の選択肢を将来的に提供する可能性があるが、この種の手技は、それ自体が血管痙攣を引き起こしかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
卒中と心原性ショックとのどちらの場合にも、患者は、脳の血流が低減することによる神経学的欠損を発現する。従って、治療は、神経組織の生存能力を維持するための手段を含むべきであり、これにより、介入療法を行うことができる期間を延ばし、虚血の消散を待ちながら脳の損傷を最小限にとどめることができるものでなければならない。それ故、脳潅流の低減により引き起こされた卒中または心原性ショックを患う患者を治療する上で、神経学的欠損を最小化する新たな装置と方法とが必要とされている。
【0008】
研究により、脳を冷却することによって、脳潅流の低減により引き起こされる損傷を防止し得ることが示されている。当初、研究は、外的冷却方法による選択的な脳の冷却に焦点を当てて行われていた。また、上気道の冷却がヒトの脳の温度に直接的に影響を及ぼし得ることを示唆する詳細な調査も行われている(例えば、参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる「Direct cooling of the human brain by heat loss from the upper respiratory tract」(Zenon Mariakら、8750−7587、The American Physiological Society 1999)を参照のこと)。その上、鼻蓋と前頭蓋窩の床との間の距離は、通常、数分の1ミリメートルにすぎないため、鼻腔は、特に、吸入された空気の殆どの加温が気道の最上部で行われるという理由から、呼吸に関係して生じる蒸発性の放熱または熱の対流により隣接した脳の温度に有意に影響を及ぼし得る部位であると考えることができよう。従って、患者の鼻腔および/または口腔を介して脳の冷却を達成するための装置と方法とを開発することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、鼻腔を介して脳の冷却と全身の冷却とをもたらすための方法と装置とに関係する。この冷却は、鼻腔および/または鼻咽頭を通じて生じる直接的な熱の伝達によって起こり、更には、中咽頭のそばを通る頸動脈と、咽頭から数ミリメートル離れて存在するウィリス輪とを通じて生じる血行性の冷却とによって起こる。直接的な冷却は、鼻腔内において霧状化された液体の蒸発による放熱を通じて得られるであろう。加えて、冷却は、鼻腔内における対流を通じても起こり得る。そのような脳の冷却は、脳潅流の低減によって引き起こされた卒中もしくは心原性ショックを患う患者の治療や、または片疼痛の治療で生じる神経学的欠損を最小化するのに役立つものと考えられる。以下の説明では、患者の一方の鼻孔に挿入することを想定して冷却アセンブリや、冷却装置や、または冷却方法が開述されるが、場合によっては、冷却効果を最大化するために、もう一方の鼻孔に第2の冷却用アセンブリや第2の冷却装置を挿入することもできる。
【0010】
1つの実施形態においては、本発明は、冷却と送給との自己完結的なシステムを用いて、鼻腔を介して脳を冷却するための方法を提供する。細長いチューブ状のメンバーを含む冷却アセンブリが提供され、そのチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、近位側端部と遠位側端部との間を延びる第1の管腔と、第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、近位側と遠位側との端部間を延びる第2の管腔とを含んでおり、ここで、第2の管腔は、複数のポートの遠位側において第1の細長いチューブ状メンバーに取り付けられているバルーンと連通している。また、この冷却アセンブリは、細長いチューブ状メンバーの第1の管腔と第2の管腔とに流体的に連通するマニホールドも含んでおり、そのマニホールドは、更に、第2の細長いチューブ状メンバーとも連通している。また、マニホールドは、第2の細長いチューブ状メンバーを介して、加圧流体を収容しているレザバー(reservoir)とも流体的に連通している。この細長いチューブ状メンバーは、バルーンと複数のポートとが鼻腔内に位置付けられるように、患者の鼻孔を通じて患者の鼻腔内に挿入される。バルーンは、流体および/または圧力をレザバーからマニホールドを通じて第2の管腔内へ注入することにより膨らむ。この後、マニホールドを通じてレザバーから加圧流体を第1の管腔内へ注入し、更に、その加圧流体を複数のポートを通じて送給することにより、加圧流体が患者の鼻腔の表面へ送給される。好適には、その流体は、鼻腔表面との接触により蒸発するように、摂氏37度かそれ以下の沸点を有する冷媒を含む。鼻腔からの流体の蒸発は、好適には、1時間で少なくとも0.5℃患者の脳の温度の低下をもたらす。代替的に、脳の温度は1時間で少なくとも1.0℃下げられてよく、また、代替的には1時間で少なくとも1.5℃、代替的には1時間で少なくとも2℃、代替的には1時間で少なくとも2.5℃、代替的には1時間で少なくとも3℃、代替的には1時間で少なくとも4℃、代替的には1時間で少なくとも5℃、代替的には1時間で少なくとも6℃、代替的には1時間で少なくとも7℃下げられてよい。マニホールドに設けられた圧力解放バルブは、鼻腔への流体の送給が完了したときに作動させ、バルーンを萎ませるために使用できる。代替的に、付加的な冷却が求められている場合には、第2の加圧流体容器をマニホールドに接続して、治療を続けることもできる。
【0011】
別の実施形態においては、本発明は加圧流体源を含む自己完結的な冷却アセンブリを提供し、加圧流体源は、患者の鼻腔内において蒸発する冷却用の流体を患者の鼻腔へ送給することができ、また、その加圧流体源からの圧力を用いて、冷却アセンブリの遠位側端部に配置されている閉塞用のバルーンを自動的に膨らませることができる。冷却アセンブリは、患者の鼻腔内へ挿入できるように成された第1の細長いチューブ状メンバーと、マニホールドと、加圧流体を収容するレザバーとを含む。第1の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と遠位側端部と、近位側端部と遠位側端部との間を延びる第1および第2の管腔と、第1の管腔と流体的に連通する状態でその遠位側領域に設けられた複数のポートと、第2の管腔と流体的に連通する状態で複数のポートの遠位側において細長いチューブ状メンバーに取り付けられたバルーンとを有している。マニホールドは、細長いチューブ状メンバーの第1および第2の管腔と、第2のチューブ状メンバーとに流体的に連通し、ここで、第2のチューブ状メンバーは、加圧流体がレザバーから出て、マニホールドを通過し、第2の管腔内へ送られてバルーンを膨らませ、また、第1の管腔内へ送られて複数のポートを通過するように、レザバーと流体的に連通している。
【0012】
使用の際には、細長いメンバーが患者の鼻孔の一方を通じて患者の鼻腔内へ挿入され、鼻腔内に位置付けられる。この細長いメンバーは、細長いメンバーの遠位側端部に設けられたバルーンが後部鼻腔壁と接触して、バルーンを膨らませたときに、バルーンがその鼻腔と患者の鼻咽頭との間にシールを形成するように鼻腔内に位置付けられてよい。代替的に、この細長いチューブ状メンバーは、バルーンが鼻咽頭と接触して、バルーンを膨らませたときに、バルーンがその鼻腔と患者の鼻咽頭との間にシールを形成するように位置付けられてもよい。この後、細長いメンバーの遠位側領域の複数のポートが、霧状化された液体スプレーを鼻神経叢と頸動脈とを含めた鼻腔の表面上に送給できるように位置付けられるであろう。細長いメンバーの近位側端部は、マニホールドを介して加圧流体源と流体的に連通する状態で配置される。加圧流体源からの圧力は、加圧流体源からの液体および/または蒸気を細長いチューブ状メンバー内へ押しやるために使用される。マニホールドは、液体および/または蒸気が、最初に、バルーンを膨らませるために、細長いメンバーの遠位側端部に設けられたバルーンと流体的に連通する管腔を通じて送給されるように、細長いメンバーへの流体の送給をコントロールする。バルーンが膨らむと、マニホールドのチェックバルブが開き、液体と蒸気との両方を含めた流体が、細長いメンバーの遠位側領域に配置されている複数のポートと流体的に連通する第2の管腔を通じて送給できるようになる。液体スプレーは、複数のポートを通じて患者の鼻腔内へ送給される。1つの実施形態においては、その液体は、細長いメンバーに設けられた複数のポートの各々において霧状化される。流体は、流体の大部分が液体の形態で送給され、且つ、鼻腔の表面と接触すると蒸発するように、摂氏37度かそれ以下の沸点を有している。幾分かの流体は移動中に蒸発して蒸気になる。冷却は、蒸気と液体スプレーとの両方からもたらされ、蒸気の場合には、蒸気を作り出したその蒸発作用によって冷やされ、また、液体スプレーの場合には、鼻腔内で液体スプレーが蒸発するときに冷やされる。単一の加圧キャニスターから送給される液体の容量は約0.05リットルから約1リットルまでの範囲であってよい。例えば、単一の加圧キャニスターは約50mLの冷却用液体を送給し得ることが想定されており、代替的には約100mL、代替的には約200mL、代替的には約0.5リットル、代替的には約0.75リットル、代替的には約1リットルの冷却用液体を送給し得ることが想定されている。使用される冷却用流体に依存して、これらの容量の冷却用流体は大凡10分間の冷却効果をもたらすことができ、代替的には30分間まで、代替的には1時間までの冷却効果をもたらすことができる。それに加え、更に、必要な場合には、その冷却アセンブリに付加的なキャニスターを取り付けることにより、付加的な冷却時間をもたらすこともできる。膨らんだバルーンは、患者が未蒸発の流体を吸い込むのを防ぐ。幾つかの実施形態においては、未蒸発の流体は、細長いチューブ状メンバーに設けられた吸引用の管腔を介して、患者の鼻腔から吸引されてよく、または取り除かれてよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置の1つの実施形態を示す図である。
【図2】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置の1つの実施形態を示す図である。
【図3】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置の1つの代替的な実施形態を示す図である。
【図4A】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために本発明に従って流体を鼻腔へ送給するための加圧源を有する装置と共に使用することを目的としたマニホールドの1つの実施形態を示す図である。
【図4B】マニホールドが加圧されているときに、図3Bのマニホールドに設けられたチェックバルブが圧力の遠位側方向への移動を許容する状態を示す図である。
【図4C】マニホールドが加圧されていないときに、図3Bのマニホールドに設けられたチェックバルブが加圧流体の近位側方向への流動を防止する状態を示す図である。
【図4D】本装置内の圧力を逃がすために、図3Aのマニホールドが手操作で解放された状態を示す図である。
【図5】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するための冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの遠位側端部の1つの実施形態を示す図である。
【図6】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給する冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの1つの実施形態の横断面を示す図である。
【図7】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するための冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの1つの代替的な実施形態の横断面を示す図である。
【図8】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するための冷却アセンブリと共に使用することを目的とした鼻カテーテルチューブの1つの代替的な実施形態の横断面を示す図である。
【図9】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給するために患者の鼻腔内へ挿入された加圧流体源を有する冷却アセンブリの1つの実施形態を示す図である。
【図10】非侵襲的に脳と全身とを冷却するために流体を鼻腔へ送給することを目的として患者の鼻腔内へ挿入された加圧流体源を有する冷却アセンブリの1つの代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで開述されているのは、脳冷却および/または全身冷却をもたらすべく、鼻腔内において蒸発する流体を加圧源から送給するための装置と方法とである。このアプローチは、損傷を負った場所での緊急ケア用に設計された自己完結的な手法である。本質的に、このプロセスは、小さな内的冷却ユニットである鼻咽頭スペース内において吸熱反応を展開させることにより、例えば緊急もしくは救急隊員などによる、院外設定での治療を目的とした低体温法を迅速に施すための装置と方法とを提供する。このアプローチは、外的冷却ユニットと、携帯不能な大きな換気ユニットとの必要性を排除する。
【0015】
本装置は、体温と同じかそれ以下の沸点を有する流体の液体スプレーを送給するための加圧流体源と流体的に連通する少なくとも1つの鼻カテーテルを含む。幾つかの実施形態においては、本装置は、患者のそれぞれの鼻孔内に1つの鼻カテーテルが位置付けられて冷却効果を最大化するように、2つの鼻カテーテルを含む。また、本装置は、1つもしくは複数の鼻カテーテルの遠位側端部に設けられた1つもしくは複数のバルーンも有しており、それらのバルーンは、圧力源からの幾分かの圧力によって膨らむ。本装置では、ポンプやエレクトロニクスを使うことなく、加圧流体源からの圧力を利用して、1つもしくは複数のバルーンが膨らみ、且つ、流体が鼻腔へ送給される。バルーンを膨らませ、且つ、流体を鼻腔へ送給するために加圧流体源からの圧力を使用することにより、更に、このアプローチは、冷却アセンブリの使いやすさと可搬性とを改善する。
【0016】
本発明で使用される流体の目的は鼻腔を冷却することであり、延いては脳を冷却することである。1つもしくは複数のバルーンの目的は、全部ではないにしても、殆どの未蒸発の流体またはガスが患者に吸入されないように、または飲み込まれないようにすることである。冷却用流体は、摂氏37度かそれ以下の沸点を有するどのような冷却剤でもよい。体温、即ち摂氏37度かそれ以下の沸点を有する流体は、蒸発を増進させるために付加的なガスの送給を必要とすることなく、鼻腔壁と接触すると蒸発するであろう。例えば、冷却用流体は、これらに限定するものではないが、大凡摂氏37度かそれ以下の沸点を有するペルフルオロカーボンや、フルオロカーボンや、ハイドロフルオロカーボンや、またはそれらのあらゆる混合物であってよい。幾つかの実施形態においては、バルーンを膨らませることと鼻腔を冷却することとを目的として冷却用流体を送給するため、室温、即ち大凡摂氏22度かそれ以下の沸点を有する推進剤が流体レザバーを加圧するために使用されてよい。推進剤も、これらに限定するものではないが、大凡摂氏22度かそれ以下の沸点を有するペルフルオロカーボンや、フルオロカーボンや、またはハイドロフルオロカーボンであってよい。推進剤は流体レザバー内において流体と混ざり合っていても、または代替的に、加圧流体レザバー内において流体と推進剤とが分離した状態のままであってもよい。例えば、冷却用流体は、推進剤と冷却用流体とが混ざり合うのを防ぐため、当技術分野において公知の如く、周囲を推進剤によって囲まれた別個の嚢に入った形態で提供されてよい。代替的に、冷却用流体は、冷却用流体が推進剤としても機能できるように、大凡摂氏22度かそれ以下の沸点を有していてもよい。
【0017】
このプロセス中に、患者の脳と、全身および/または鼻との温度がモニタリングされてよい。液体スプレーは、脳の外面と脳の内核との間で摂氏0.5度を上回らない温度勾配を達成するのに充分な速度で送給されてよい。また、液体スプレーは、脳の温度と全身の温度との間で少なくとも約摂氏1.0度の温度勾配を達成するのに充分な流量で送給されてもよい。更に、液体スプレーは、1時間で約摂氏1.0度よりも速い速度での脳の冷却を達成するのに充分な流量で送給されてもよい。更に、液体スプレーは、約摂氏4.0度の鼻腔内温度を達成するのに充分な流量で送給されてもよい。幾つかの実施形態においては、液体スプレーは、鼻腔へ送給される直前に、複数のポートの各々において霧状化できる。
【0018】
図1−2は、脳冷却および/または全身冷却をもたらすために患者の鼻腔へ流体を送給するための自己完結的なシステムの1つの実施形態を描いている。冷却システムは、加圧流体源と、送給アセンブリと、冷却アセンブリとを含む。加圧流体源は、鼻腔へ送給されるべき流体13と、場合によっては、別個の推進剤とが充填された加圧容器10を含む。容器10は、当技術分野において公知の如く、エアロゾルタイプの容器または何らかの一般的な圧力容器であってよい。幾つかの実施形態においては、容器10は、容器を加圧することと流体13を送給することとを目的として室温より低い沸点を有する推進剤14を含む。代替的に、流体自体の幾分かの蒸発が容器を加圧することと流体を送給することとに利用できるように、流体13の沸点が室温かそれ以下であってもよい。別個の推進剤が与えられるときには、その推進剤と流体とは、すべての流体が容器から押し出されることを保証するのに充分な比率で与えられる。
【0019】
容器の本体は、中空の円筒状を成し、その内容物からの圧力に耐え得る材料で構成されている。容器は、好適には、約0.05リットルから約1リットルまでの範囲にわたる容量の冷却用流体を提供できるようなサイズに成されている。例えば、単一の加圧容器は約50mLの冷却用流体を送給できるように想定されており、代替的には約100mL、代替的には約200mL、代替的には約0.5リットル、代替的には約0.75リットル、代替的には約1リットルの冷却用流体を送給できるように想定されている。使用される冷却用流体に依存して、これらの容量の冷却用流体は約10分間の冷却効果をもたらすことができ、代替的には30分間まで、代替的には1時間までの冷却効果をもたらすことが可能である。その上、幾つかの実施形態においては、付加的な冷却時間を提供するために、1つより多くの容器を使用することもできる。
【0020】
容器10の頂面はキャップ11を有していて、そのキャップ11はプッシュダウン・バルブ・ステムなどのバルブを含んでおり、更に、バルブは、容器10の底まで延びている浸漬チューブ13と流体的に連通している。また、キャップ11は、バルブアセンブリと流体的に連通する出口チャンネルも有している。出口チャンネルは、加圧流体源10を冷却アセンブリに接続するチューブ状メンバー60と流体的に連通している。キャップ11は、浸漬チューブ12とチューブ状メンバー60とを接続するバルブを開くために押し下げることができ、もしくは回すことができ、または別な仕方で作動させることができる。バルブを開くことにより、推進剤(もしくは流体の蒸気)14からの圧力が、流体13を、冷却アセンブリへ送給するため、浸漬チューブ12を通じて、チューブ状メンバー60内へ押しやることが可能になる。幾つかの実施形態においては、キャップを押し下げることにより、またはキャップを回すことにより、バルブを開放位置にロックすることができる。キャップ11は、例えば、冷却を中断または終了することが必要な場合、チューブ状メンバー60への流体の送給を停止するため、再び押し下げることにより、または逆方向に回すことにより、バルブを閉じることができる。幾つかの実施形態においては、キャップ11は、流体の流れをコントロールする装置も含んでいてよく、例えば、チューブ状メンバー60内への流体の流量を調節するためのニードルタイプのバルブまたは直径可変式のアパーチャーなどを含んでいてよい。ここで、キャップ11は、オペレーターが流量に関する数個の選択肢、例えば低流量と、中等度の流量と、高流量との中から1つを選ぶことができるようにするセレクターを含んでいてよい。
【0021】
チューブ状メンバー60は送給アセンブリに接続されている。その送給アセンブリは、マニホールド20と、チェックバルブ22と、チューブ状メンバー41および51とを含み、チューブ状メンバー41および51は、加圧源10からの流体13の送給を患者の鼻腔内に位置付けられた1つもしくはそれ以上の鼻カテーテルに差し向けるように、マニホールド20から延びている。図4A−Dに示されるように、マニホールド20は、入口チャンネル62と2つの出口チャンネル43および53とを有している。使用の際には、入口チャンネル62が、加圧源からの流体を受け入れるべく、チューブ状メンバー60に接続される。出口チャンネル53は、1つもしくは複数のカテーテルの遠位側端部に設けられたバルーンを膨らませるため、1つもしくはそれ以上の鼻カテーテルの管腔を通じて圧力および/または流体13を送給するようにチューブ状メンバー51に接続される。出口チャンネル43は、1つもしくはそれ以上の鼻カテーテルの管腔を通じて流体13を送給し、鼻腔の表面へ送るようにチューブ状メンバー41に接続される。図4Bに示されるように、マニホールド20が加圧されているとき、即ち、加圧源10から入口62を通じて流れる液体によって加圧されているときには、液体13がバルブプラグ27を押し下げ、これにより、流体13がマニホールド20と出口チャンネル43および53とを通って流れ、チューブ状メンバー41および51に流入することを可能にする流路が提供される。図4Cに示されるように、マニホールド20が加圧されるのをやめているとき、例えば加圧源10が取り除かれているとき、またはマニホールドに設けられたバルブが閉じられているときには、バネ28が解放され、その結果、バルブプラグ27によって、出口チャンネル43および53から遠位側方向へ(または逆方向へ)流動する流体および/または圧力の通過が遮断される。これにより、オペレーターは、例えば更なる冷却が必要な場合に、1つもしくは複数の鼻カテーテルの1つもしくは複数の遠位側端部に設けられた1つもしくは複数のバルーンを萎ませることなく、加圧キャニスターを交換することが可能になる。図4Dに示されるように、マニホールド20は、圧力逃しバルブ23に接続された解放ボタン21も有する。解放ボタン21の押し下げはバルブ23とバルブプラグ27とを押し下げ、これにより、出口チャンネル43および53からの圧力のための通気口29a、bを通じる通路が提供される。解放ボタン21により、オペレーターは、過剰な圧力を解放し、出口チャンネル51と流体的に連通する1つもしくは複数のバルーン内における圧力の上昇を防止できる。加えて、圧力が出口チャンネル51から遠位側方向へ流れて逃し通気口29a、bから出ることを可能に成すことにより、解放ボタン21は、1つもしくは複数のバルーンの膨張量をコントロールするためおよび/または治療の完了後すぐに1つもしくは複数のバルーンを萎ませるために使用できる。幾つかの実施形態においては、圧力逃しバルブは、代替的に、加圧流体容器10に設けられたバルブと組み合わされてもよく、この場合には、冷却を開始するために1つのボタンが存在し、且つ、冷却の完了時にバルーンを萎ませるために1つのボタンが存在することとなる。
【0022】
図1−2に示されるように、チューブ状メンバー41および51は、加圧源10からの流体をカテーテル30a、bの遠位側端部に設けられたバルーン50a、bへ送給することと、ポート40a、bを通じて患者の鼻腔へ送給することとを目的として、2つの多管腔鼻カテーテル30a、bに接続されている。チューブ状メンバー41に設けられたチェックバルブ22は、バルーン50a、bが完全に膨らんで実質的に鼻腔を塞ぐまで、鼻カテーテル30a、bの送給ポート40a、bに接続された鼻カテーテルの管腔へ流体が送給されるのを防止する。チェックバルブ22は、加圧源10からの圧力がバルーンの詰め込み圧力を超えるまで、閉じたままである。従って、流体は、最初に、チューブ状メンバー51を通じて流れ、バルーン50a、bに接続された鼻カテーテルの管腔に流入し、バルーン50a、bを膨らませる。幾つかの実施形態においては、加圧流体源10からの流体13は、チューブ状メンバー60と、マニホールド20と、チューブ状メンバー51とを通じて流れ、鼻カテーテルの管腔とバルーン50a、bとに流入することができる。流体13は大きな容量のバルーン50a、bに入るとすぐにその容積中に蒸発し、バルーンを膨らませるであろう。代替的に、図2に示されるように、幾つかの実施形態は、加圧流体源10からの第2の圧力ライン61を含んでいてよい。圧力ライン61は、推進剤または流体の蒸気とは流体的に連通するが、液体13とは流体的に連通しないように、加圧流体容器10の頂面に接続されている。従って、圧力ライン61はバルーン50a、bを膨らませるべくチューブ状メンバー51へ圧力を送給するために使用することができ、そして、チューブ状メンバー60は、送給ポート40a、bを通じて患者の鼻腔へ流体13を送給するために使用できる。送給された圧力がバルーンを膨らませるのに必要な圧力を超えると、チェックバルブ22が開き、流体がチューブ状メンバー41を通じて流れ、送給ポート40a、bに接続された鼻カテーテルの管腔内へ流入することが可能になる。
【0023】
幾つかの実施形態においては、図1および2に示されるように、冷却アセンブリは2つの多管腔鼻カテーテル30a、bを含んでいてよく、各鼻カテーテルは、遠位側端部に取り付けられた膨張可能なメンバー50a、bと、患者の各鼻孔へ冷却用流体を送給するために、バルーン50a、bの近位側の遠位側領域に配置された複数の送給ポート40a、bとを有していてよい。鼻カテーテル30a、bは、患者の鼻腔を通って鼻腔後部まで、または代替的に患者の鼻咽頭内まで延びるのに充分な長さを有している。複数の送給ポート40a、bは、カテーテル30a、bの外壁に沿って長手方向で且つ軸方向に関して間隔をあけて配置され、そして、患者の鼻腔の表面を実質的にカバーする液体スプレーを送給すべく、カテーテルの円周方向の周りに分配され、且つ、カテーテル30a、bの長さ方向に沿って約3cmから約12cmまでの距離をカバーするように間隔をあけて配置されている。柔軟なバルーンなどの膨張可能なメンバー50a、bは鼻カテーテル30a、bの遠位側端部付近で周辺を取り巻くようにして取り付けられ、それらの膨張可能なメンバー50a、bは、膨張したときに、隣接した生体構造を塞ぎ、シールを創出するようなサイズに成されている。
【0024】
冷却アセンブリが図1−2に示されるように2つの鼻カテーテルを含む実施形態においては、チューブ状メンバー51は、それぞれの鼻カテーテル30a、bにおける膨張用管腔に接続するための2つの分離したチャンネル52a、bに分岐していてよい。同様に、チューブ状メンバー41も、それぞれの鼻カテーテル30a、bにおける流体送給用管腔に接続するための2つの分離したチャンネル42a、bに分岐していてよい。チェックバルブ22は、チューブ状メンバー41がチューブ状メンバー42a、bに分岐する前の場所に配置されている。接続マニホールド25がチャンネル42a、bおよび52a、bをそれぞれの鼻カテーテル30a、bの膨張用管腔と送給用管腔とに接続している。代替的に、図1に示されるように、接続マニホールド25は、チャンネル42aおよび52aを送給用チューブ32aに接続し、そして、チャンネル42bおよび52bを送給用チューブ32aに接続していてもよい。この後、送給用チューブ32aおよび32bは、鼻用マニホールド26を介して鼻カテーテル30a、bに接続できる。鼻用マニホールド26は、患者に鼻腔への快適で且つ良好なアクセスを提供すべく鼻カテーテル30a、bを角度付けるように設計されている。別の実施形態においては、アセンブリを簡単化するためおよび/またはコストを低減するため、それらのマニホールドが組み合わされていてよい。例えば、スプリッターチャンネルと圧力解放バルブ21とを伴ったマニホールド22を加圧流体源10に組み入れることができ、これにより、冷却を開始するために1つのボタンが存在し、そして、除去するためにバルーンを萎ませるための別のボタンが存在するようにできる。付加的に、または代替的に、接続マニホールド25を鼻用マニホールド26に組み入れることもできる。
【0025】
使用の際には、図9(1つの鼻孔内での使用を描いている)に示されるように、冷却アセンブリの複式カテーテル30a、bのそれぞれは、バルーン50a、bが患者の鼻腔101の後面に位置付けられるように、患者の鼻孔102内へ進められる。この実施形態においては、バルーン50は中隔前の鼻腔のどちらの側に位置付けられてもよい。加圧源10からの流体および/または圧力がバルーン50a、bへ送給され、バルーン50a、bは、未蒸発の液体13が咽頭内へ漏れるのを防止するため、鼻腔101の後面になじみ、且つ、鼻腔100を鼻咽頭104と患者の気道の残りの部分とから隔離するシールを形成するように膨らむ。隔離されると、送給ポート40a、bを通じて液体13のスプレーが患者の鼻腔101内へ送給され、患者の頭部の急速な冷却を可能にすべく、鼻腔101全体を循環させることができる。送給ポート40a、bは、できるだけ多くの鼻腔101の表面をカバーするようなパターンでの液体スプレーの拡散を引き起こすことができるように設計されている。加えて、送給ポート40a、bは、送給ポート40a、bを出る直前に液体を霧状化できるようにも設計されている。流体13のうちの幾分かは送給システム中を移動している間に蒸発して蒸気になるであろう。従って、冷却は、蒸気(この場合には、蒸気を創出した蒸発により冷やされる)と鼻腔内において蒸発する際の液体スプレーとの両方によってもたらされるであろう。単一の加圧キャニスターから送給される液体の容量は、約0.05リットルから約1リットルまでの範囲であってよい。例えば、単一の加圧キャニスターは約50mLの冷却用液体を送給できることが想定されており、代替的には約100mL、代替的には約200mL、代替的には約0.5リットル、代替的には約0.75リットル、代替的には約1リットルの冷却用液体を送給できることが想定されている。使用される冷却用流体に依存して、これらの冷却用流体の容量は大凡10分間の冷却効果を提供でき、代替的には30分間まで、代替的には1時間までの冷却効果を提供できる。
【0026】
その際、あらゆる未蒸発の液体は、患者の鼻孔102から流れ出るようにすることができる。1つの代替的な実施形態においては、カテーテル30a、bのうちの一方または両方が、更に、バルーン50a、bの近位側に位置するポートと流体的に連通する第3の管腔を含んでいて、これにより、過剰な液体を患者の鼻腔から吸引できるように成されていてもよい。加えて、または代替的に、一方または両方の鼻カテーテル30a、bは、鼻腔がバルーン50a、bによって塞がれている間に鼻腔を通じて呼吸用の通路を提供する目的で、そのカテーテルの遠位側端部と近位側端部との間で延びていて、且つ、遠位側端部と近位側端部とに開口を有する第3の管腔を含んでいてよい。
【0027】
1つの代替的な実施形態においては、図10に示されるように、冷却アセンブリは、遠位側端部に取り付けられたバルーン250と遠位側領域において軸方向で且つ長手方向に展開する複数のポート40aとを有する単式の鼻カテーテル232を含み、その単式鼻カテーテル232は、バルーン250が鼻咽頭104の近位側に位置付けられるまで、患者の鼻孔102内へ進められる。この実施形態においては、バルーン250は、膨らんだときに、バルーン250が鼻咽頭104への開口になじんで、鼻腔100を患者の気道の残りの部分からシールし、未蒸発の液体が患者の喉内に漏れるのを防ぐとともに、流体の蒸気が吸入されるのを防止することもできるように、バルーン50a、bよりも若干大きくてよく、または一層柔軟性に富んでいてもよい。加圧源10からの流体および/または圧力がバルーン250へ送給されて、バルーン250は、鼻腔100を鼻咽頭104から隔離するシールを形成すべく、膨らむ。隔離されると、送給ポート40を通じて液体13のスプレーが患者の鼻腔100内へ送給されてよく、患者の頭部の急速な冷却を可能に成すべく、鼻腔100全体を循環させることができる。その際、未蒸発の液体は、患者のもう一方の鼻孔から流れ出るようにすることができる。1つの代替的な実施形態においては、カテーテル232は、更に、バルーン250の近位側に位置するポートを有する第3の管腔を含んでいて、これにより、過剰な液体を患者の鼻腔100から吸引できるように成されていてよい。加えて、カテーテル232は、更に、鼻腔がバルーン250によって塞がれている間に、鼻腔を通じて呼吸用の通路を提供する目的で、カテーテル232の遠位側端部と近位側端部との間で延びていて、且つ、遠位側端部と近位側端部とに開口を有する第3の管腔を含んでいてよい。
【0028】
図5は、遠位側端部に取り付けられたバルーン50と遠位側領域において長手方向で且つ軸方向に展開する複数の送給ポート40とを有する鼻カテーテル30であって、鼻腔から非侵襲的な脳冷却と全身冷却とを行うことを目的とした鼻カテーテル30の1つの実施形態を描いている。鼻カテーテル30は患者の鼻腔を延びるように、操作可能なサイズに成されている。鼻カテーテル30は、カテーテルの近位側端部と遠位側端部との間を延びている少なくとも2つの管腔142および154を有している。膨張用管腔154は、バルーン50を膨らませるために加圧流体源からの圧力および/または流体をバルーン50に供給することを目的として、バルーン50と流体的に連通している。送給用管腔142は、流体を鼻腔内へスプレーするためにカテーテル30の外壁に沿って配置された複数のポート40と流体的に連通している。使用の際には、送給用管腔142は、加圧流体源からの冷却用流体13をカテーテル30と送給ポート40とを通じて患者の鼻腔内へ移送するため、チューブ状メンバー41に接続される。これらのポート40は、カテーテル30の外壁に沿って長手方向と軸方向とに間隔をあけて配置されている。例えば、カテーテルの円周方向の周りに約10−40個の送給ポートが分配されていて、且つ、それらのポートが、カテーテル30の長さ方向に沿って約3cmから約12cmまでの距離をカバーするように間隔をあけて配置されていてよい。使用に際し、カテーテル30が患者の鼻腔内に配置されたときには、これらのポートの分布は鼻腔全体をカバーする状態をもたらすであろう。この特質は、広い領域にわたってスプレーを分散するほど、蒸発による放熱を通じて、大きな冷却効果が得られるという点において、極めて重要である。その上、複数の送給ポート40のうちの各ポートは、カテーテルの管腔142を通じて流れる流体が鼻腔に入る直前に霧状化されるように設計されるであろう。
【0029】
各送給ポート40で液体を霧状化する能力により、様々に異なるサイズの液体粒子の分布が鼻腔全体を通じて一様になることが保証される。具体的に言うと、液体が霧状化されるときには、様々なサイズの液体粒子を伴ったスプレーが創出される。もし液体が鼻カテーテルの近位側端部で、またはカテーテルの外側で霧状化された後、霧状化された液体スプレーとしてカテーテルの管腔を通じて多数の送給ポートへ移送された場合には、比較的小さな液体粒子は近位側の送給ポートを通じて流れ、その一方で、比較的大きな液体粒子は、鼻カテーテルの遠位側端部付近に位置する送給ポートの1つを介して鼻腔へ送給される前に、チューブの遠位側端部まで運ばれることになるであろう。これは、鼻腔内における液体粒子の不均等な分布をもたらすことになろう。これとは逆に、液体が鼻カテーテルを通じて移送され、送給の直前に各送給ポートで別々に霧状化されるときには、鼻腔内におけるあらゆる与えられたポイントにおいて分配される液体粒子のサイズ分布は一様である。これは、様々に異なるサイズの液体粒子の均等な分布がその液体スプレーの一層良好な蒸発を提供し、これにより、蒸発による放熱を通じて一層良好な冷却効果がもたらされ、患者にとって一層許容性の高いものになるという点において極めて重要である。
【0030】
バルーン50は、ブロー成形ポリウレタンなどの充分に柔軟性を有するエラストマー材料で製作される。幾つかの実施形態においては、バルーン50は、患者のサイズとバルーンの望まれる使用場所とに依存して、最大直径または充分に膨らんだ時点での直径が約10mmであるように構成されてよく、代替的には15mm、代替的には20mm、代替的には25mm、代替的には35mmであるように構成されてよい。例えば、幾つかの実施形態においては、バルーン50はそれぞれの鼻孔に挿入され、鼻の中隔の近位側における鼻腔後部においてシールを創出するために、そのバルーンが後鼻孔(鼻腔と鼻咽頭との間に存在する、対になった開口)になじむまで膨らむであろう。代替的に、単一のバルーンが鼻腔後部を越えて進められ、患者の鼻咽頭の近位側でシールを創出すべく、約25−35mmの直径にまで膨らんでもよい。それらのバルーンは、接着剤によりカテーテルのシャフトの外側に固着されてよく、または熱的に固着されてもよい。それらのバルーンを接合する他の適切な手段も想定されている。
【0031】
幾つかの実施形態においては、図5に示されるように、カテーテル30は、カテーテル30の近位側端部から遠位側端部まで延びる第3の管腔135を有しており、また、第3の管腔135は、鼻腔がバルーン50によって塞がれている間、管腔135が患者の鼻腔を通じて通路を提供するように、近位側の開口と遠位側の開口とを有している。この第3の「呼吸用」管腔は、患者の鼻咽頭や、咽頭や、喉頭や、および/または食道と流体的に連通し、器具が患者の鼻腔に挿入されている間、患者が呼吸できるように成している。また、鼻カテーテル30は、その遠位側端部に設けられた丸形の密封先端部136も有しており、この丸形密封先端部136は、管腔142および152の遠位側端部をシールし、且つ、敏感な組織を損傷するのを回避するため、滑らかな表面を備えている。
【0032】
図6−8は、鼻カテーテル30の送給用管腔と膨張用管腔とについての代替的な幾何学的形状を描いている。このカテーテルのシャフトは、遠位側端部に取り付けられた柔らかな先端部を除いて、本装置の全長にわたって延びる一体型の押し出し多管腔チューブであってよい。多管腔チューブは、好適には、押し出し可能なポリマー、例えばPebaxや、ポリエチレンや、ポリウレタンや、ポリプロピレンや、またはナイロンなどで形成される。管腔の形状は、例えば、使用される冷却用流体と流体の送給中に生じることが想定されている蒸発量とに依存して、様々に変えることができる。例えば、図6に示されるように、幾つかの実施形態においては、送給用管腔142と膨張用管腔154との横断面は、等しいサイズの円形の管腔であってよい。これらの円形管腔142および154は、複式管腔押し出し成形で最もねじれが生じにくい設計であるという利点を有している。代替的に、図7に示されるように、送給用管腔143と膨張用管腔153との横断面は、等しいサイズの半円形の管腔であってもよい。これらの半円形管腔142および153は比較的多くのガス/流体を通し、従って、ある与えられた管腔面積に対して、半円形管腔押し出し成形は、全体として直径を比較的小さくすることができる。代替的に、図8に示されるように、送給用管腔144と膨張用管腔154との横断面は、異なるサイズの三日月形の管腔と円形の管腔とであってもよい。好適には、膨張用管腔154は液体送給用管腔144よりも小さいであろう。三日月形の送給用管腔144を伴ったこの押し出し成形は、(必要な場合)冷却用流体を送給する際のスプレーパターンを比較的広い範囲にわたって作ることができるという利点も有している。
【0033】
1つの代替的な実施形態においては、図3に示されるように、閉塞用のバルーン150への送給と冷却用流体の送給とが、患者の両方の鼻孔に挿入された別々の鼻カテーテル131、132で行われてよい。ここで、第1の鼻カテーテル132は、その遠位側端部に取り付けられたバルーン150を有しており、そして、第2の鼻カテーテル131は、その遠位側領域において軸方向と長手方向とに展開する複数の送給ポート40を有している。鼻カテーテル132は、チューブ状メンバー51に接続される少なくとも1つの管腔を有している。幾つかの実施形態においては、鼻カテーテル132の遠位側端部はバルーン150の更に遠位側へ延びていてよく、そして、鼻カテーテル132は、バルーン150が鼻腔を塞いでいる間、患者の呼吸用アクセスルートを提供するために、遠位側先端部に設けられた開口を伴う第2の管腔を有していてよい。鼻カテーテル132は、使用の際、バルーン150が鼻咽頭の近位側に位置付けられ、膨らんで、患者の鼻腔を患者の咽頭と気道とから封鎖できるように、患者の鼻咽頭の近位側まで延びるのに充分な長さを有している。鼻カテーテル131は、送給ポート40を通じて冷却用流体を送給できるように鼻カテーテル131が患者の鼻腔内まで延びることだけが求められているため、鼻カテーテル132よりも若干短くてよい。鼻カテーテル131、132は、共に、小児用のサイズと大人用のサイズとを含め、患者の様々な生体構造に適合するように、様々な長さで提供できる。使用に当たり、鼻カテーテル131は、チューブ状メンバー41に接続される少なくとも1つの管腔を有している。これまでの箇所で検討されているように、加圧源10からの流体13は、最初に、バルーン150を膨らませるため、マニホールド20とチューブ状メンバー51とを通じて鼻カテーテル132へ送給される。加圧源10からの圧力がバルーンの詰め込み圧力を超えると、チェックバルブ22が開き、加圧源10からの流体13がマニホールド20とチューブ状メンバー41とを通じて鼻カテーテル131へ流れ、ポート40を通じて患者の鼻腔の表面へ送給される。
【0034】
これまで、分かり易さと理解を得ることとを目的として、本発明が、例証と用例とにより、ある程度詳しく開述されてきたが、添付の特許請求項の範囲内に尚も収まる特定の変更と改変とを成し得ることは明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳冷却装置であって、
患者の鼻孔を通じて患者の鼻腔内へ挿入するように成された第1の細長いチューブ状メンバーであって、前記第1の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1の管腔と、前記第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、前記近位側と遠位側との端部間で延びる第2の管腔とを備え、前記第2の管腔が前記複数のポートの遠位側において前記第1の細長いチューブ状メンバーに取り付けられている膨張可能なメンバーと連通する、第1の細長いチューブ状メンバーと、
前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔と流体的に連通するマニホールドであって、前記マニホールドが、更に、第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、マニホールドと、
前記第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、加圧流体を収容したレザバーとを備え、
前記加圧流体が、前記レザバーから、前記マニホールドを通じて、前記第2の管腔に流入して前記膨張可能なメンバーを膨らませ、前記第1の管腔に流入し、前記複数のポートを通過する、
脳冷却装置。
【請求項2】
第3および第4のチューブ状メンバーを更に備え、前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1の管腔が前記第3の細長いチューブ状メンバーの管腔と連通し、前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第2の管腔は前記第4の細長いチューブ状メンバーの管腔と連通し、前記マニホールドが前記第3の細長いチューブ状メンバーの前記管腔と前記第4の細長いチューブ状メンバーの前記管腔とに流体的に連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
患者の第2の鼻孔を通じて前記患者の鼻腔に挿入するように成された第5の細長いチューブ状メンバーであって、前記第5の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1の管腔と、前記第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、前記近位側と遠位側との端部間で延びる第2の管腔とを備え、前記第2の管腔が前記複数のポートの遠位側において前記第5の細長いチューブ状メンバーに取り付けられている膨張可能なメンバーと連通する、第5の細長いチューブ状メンバーを備え、
前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第1の管腔は前記第3の細長いチューブ状メンバーの第2の管腔と連通し、前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第2の管腔は前記第4の細長いチューブ状メンバーの第2の管腔と連通し、
前記マニホールドは前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔と流体的に連通し、
前記加圧流体が、前記レザバーから、前記マニホールドを通じて、前記第4のチューブ状メンバーに流入して前記第1および第5のチューブ状メンバーの前記遠位側端部に取り付けられた前記膨張可能なメンバーを膨らませ、また、前記第3のチューブ状メンバーに流入し、前記第1および第5のチューブ状メンバーに設けられた前記複数のポートを通過する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する流体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する推進剤と37℃未満の沸点を有する冷却用流体とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
37℃未満の沸点を有する前記流体がペルフルオロカーボンと、ハイドロフルオロカーボンと、フルオロカーボンとからなるグループから選択される冷媒を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の細長いチューブ状メンバーが、更に、前記バルーンの近位側に位置する吸引用のポートと、前記近位側と遠位側との端部間で延びる第3の管腔とを備え、前記第3の管腔が前記鼻腔から過剰な液体を吸引するための前記吸引用のポートと流体的に連通する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記マニホールドが、更に、チェックバルブを備え、前記チェックバルブは、前記マニホールドと第2の管腔とを通じて導かれる圧力が前記膨張可能なメンバーの詰め込み圧力を超えるまで、前記加圧流体が前記第1の管腔を通じて流れるのを防止するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
更に、前記第2の管腔と流体的に連通する圧力解放バルブを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
更に、前記第1の細長いチューブ状メンバーに設けられた前記送給ポートの近位側に取り付けられた第2の閉塞用メンバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
脳を冷却するための方法であって、
患者の鼻孔を通じて患者の鼻腔内へ挿入するように成された第1の細長いチューブ状メンバーであって、前記第1の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1の管腔と、前記第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第2の管腔とを備え、前記第2の管腔が前記複数のポートの遠位側において前記第1の細長いチューブ状メンバーに取り付けられているバルーンと連通する、第1の細長いチューブ状メンバーと
前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔と流体的に連通するマニホールドであって、前記マニホールドが、更に、第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、マニホールドと、
前記第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、加圧流体を収容したレザバーとを備える、冷却アセンブリを提供するステップと、
前記バルーンと複数のポートとが前記鼻腔内に位置付けられるように、前記第1の細長いチューブ状メンバーを、患者の鼻孔を通じて、前記患者の鼻腔内へ挿入するステップと
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第2の管腔内に注入することにより、前記バルーンを膨らませるステップと、
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第1の管腔内に注入し、前記複数のポートを通過させることにより、前記加圧流体を前記患者の鼻腔の表面へ送給するステップとを含む、脳の冷却方法。
【請求項12】
前記冷却アセンブリが、更に、患者の第2の鼻孔を通じて前記患者の鼻腔に挿入するように成された第5の細長いチューブ状メンバーを備え、前記第5の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1および第2の管腔とを備え、前記第1の管腔は前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記遠位側端部に設けられた複数のポートと流体的に連通し、また、前記第2の管腔は前記複数のポートの遠位側において前記第5の細長いチューブ状メンバーに取り付けられているバルーンと流体的に連通し、そして、前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔が前記マニホールドと流体的に連通し、
前記方法が、更に、
前記第5の細長いチューブ状メンバーに設けられた前記バルーンと複数のポートとが前記鼻腔内に位置付けられるように、前記第5の細長いチューブ状メンバーを前記患者の第2の鼻孔に挿入するステップと、
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第5のチューブ状メンバーの前記第2の管腔内に注入することにより、前記第5の細長いチューブ状メンバーに設けられた前記バルーンを膨らませるステップと、
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第5のチューブ状メンバーの前記第1の管腔内に注入し、更に前記第5のチューブ状メンバーに設けられた前記複数のポートを通過させることにより、前記加圧流体のスプレーを前記患者の鼻腔の前記表面へ送給するステップとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更に、圧力解放バルブを作動させて前記バルーンを萎ませるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の細長いチューブ状メンバーを挿入するステップが、更に、膨張時に前記バルーンが前記鼻腔後部と接触した状態となるように、前記バルーンを前記鼻腔後部に位置付けするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の細長いチューブ状メンバーを挿入するステップが、更に、膨張時に前記バルーンが前記鼻腔を実質的に塞いだ状態となるように、前記バルーンを前記鼻咽頭の近位側に位置付けするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の細長いチューブ状メンバーが、更に、前記近位側と遠位側との端部に開口を有する第3の管腔を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バルーンを膨らませるステップが、前記鼻腔後部にシールを形成すべく前記バルーンを膨らませるために、前記レザバーからの前記加圧流体を前記バルーンに注入するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記マニホールドが前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1の管腔と流体的に連通するチェックバルブを備え、前記患者の鼻腔の前記表面へ流体のスプレーを送給する前に、前記バルーンが充分に膨らむ、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する流体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する推進剤と37℃未満の沸点を有する冷却用流体とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
37℃未満の沸点を有する前記流体がペルフルオロカーボンと、ハイドロフルオロカーボンと、フルオロカーボンとからなる前記グループから選択される冷媒を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項1】
脳冷却装置であって、
患者の鼻孔を通じて患者の鼻腔内へ挿入するように成された第1の細長いチューブ状メンバーであって、前記第1の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1の管腔と、前記第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、前記近位側と遠位側との端部間で延びる第2の管腔とを備え、前記第2の管腔が前記複数のポートの遠位側において前記第1の細長いチューブ状メンバーに取り付けられている膨張可能なメンバーと連通する、第1の細長いチューブ状メンバーと、
前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔と流体的に連通するマニホールドであって、前記マニホールドが、更に、第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、マニホールドと、
前記第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、加圧流体を収容したレザバーとを備え、
前記加圧流体が、前記レザバーから、前記マニホールドを通じて、前記第2の管腔に流入して前記膨張可能なメンバーを膨らませ、前記第1の管腔に流入し、前記複数のポートを通過する、
脳冷却装置。
【請求項2】
第3および第4のチューブ状メンバーを更に備え、前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1の管腔が前記第3の細長いチューブ状メンバーの管腔と連通し、前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第2の管腔は前記第4の細長いチューブ状メンバーの管腔と連通し、前記マニホールドが前記第3の細長いチューブ状メンバーの前記管腔と前記第4の細長いチューブ状メンバーの前記管腔とに流体的に連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
患者の第2の鼻孔を通じて前記患者の鼻腔に挿入するように成された第5の細長いチューブ状メンバーであって、前記第5の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1の管腔と、前記第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、前記近位側と遠位側との端部間で延びる第2の管腔とを備え、前記第2の管腔が前記複数のポートの遠位側において前記第5の細長いチューブ状メンバーに取り付けられている膨張可能なメンバーと連通する、第5の細長いチューブ状メンバーを備え、
前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第1の管腔は前記第3の細長いチューブ状メンバーの第2の管腔と連通し、前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第2の管腔は前記第4の細長いチューブ状メンバーの第2の管腔と連通し、
前記マニホールドは前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔と流体的に連通し、
前記加圧流体が、前記レザバーから、前記マニホールドを通じて、前記第4のチューブ状メンバーに流入して前記第1および第5のチューブ状メンバーの前記遠位側端部に取り付けられた前記膨張可能なメンバーを膨らませ、また、前記第3のチューブ状メンバーに流入し、前記第1および第5のチューブ状メンバーに設けられた前記複数のポートを通過する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する流体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する推進剤と37℃未満の沸点を有する冷却用流体とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
37℃未満の沸点を有する前記流体がペルフルオロカーボンと、ハイドロフルオロカーボンと、フルオロカーボンとからなるグループから選択される冷媒を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の細長いチューブ状メンバーが、更に、前記バルーンの近位側に位置する吸引用のポートと、前記近位側と遠位側との端部間で延びる第3の管腔とを備え、前記第3の管腔が前記鼻腔から過剰な液体を吸引するための前記吸引用のポートと流体的に連通する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記マニホールドが、更に、チェックバルブを備え、前記チェックバルブは、前記マニホールドと第2の管腔とを通じて導かれる圧力が前記膨張可能なメンバーの詰め込み圧力を超えるまで、前記加圧流体が前記第1の管腔を通じて流れるのを防止するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
更に、前記第2の管腔と流体的に連通する圧力解放バルブを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
更に、前記第1の細長いチューブ状メンバーに設けられた前記送給ポートの近位側に取り付けられた第2の閉塞用メンバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
脳を冷却するための方法であって、
患者の鼻孔を通じて患者の鼻腔内へ挿入するように成された第1の細長いチューブ状メンバーであって、前記第1の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1の管腔と、前記第1の管腔と流体的に連通する複数のポートと、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第2の管腔とを備え、前記第2の管腔が前記複数のポートの遠位側において前記第1の細長いチューブ状メンバーに取り付けられているバルーンと連通する、第1の細長いチューブ状メンバーと
前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔と流体的に連通するマニホールドであって、前記マニホールドが、更に、第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、マニホールドと、
前記第2の細長いチューブ状メンバーと連通する、加圧流体を収容したレザバーとを備える、冷却アセンブリを提供するステップと、
前記バルーンと複数のポートとが前記鼻腔内に位置付けられるように、前記第1の細長いチューブ状メンバーを、患者の鼻孔を通じて、前記患者の鼻腔内へ挿入するステップと
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第2の管腔内に注入することにより、前記バルーンを膨らませるステップと、
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第1の管腔内に注入し、前記複数のポートを通過させることにより、前記加圧流体を前記患者の鼻腔の表面へ送給するステップとを含む、脳の冷却方法。
【請求項12】
前記冷却アセンブリが、更に、患者の第2の鼻孔を通じて前記患者の鼻腔に挿入するように成された第5の細長いチューブ状メンバーを備え、前記第5の細長いチューブ状メンバーは、近位側端部と、遠位側端部と、前記近位側端部と前記遠位側端部との間で延びる第1および第2の管腔とを備え、前記第1の管腔は前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記遠位側端部に設けられた複数のポートと流体的に連通し、また、前記第2の管腔は前記複数のポートの遠位側において前記第5の細長いチューブ状メンバーに取り付けられているバルーンと流体的に連通し、そして、前記第5の細長いチューブ状メンバーの前記第1および第2の管腔が前記マニホールドと流体的に連通し、
前記方法が、更に、
前記第5の細長いチューブ状メンバーに設けられた前記バルーンと複数のポートとが前記鼻腔内に位置付けられるように、前記第5の細長いチューブ状メンバーを前記患者の第2の鼻孔に挿入するステップと、
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第5のチューブ状メンバーの前記第2の管腔内に注入することにより、前記第5の細長いチューブ状メンバーに設けられた前記バルーンを膨らませるステップと、
前記レザバーからの前記加圧流体を、前記マニホールドを通じて前記第5のチューブ状メンバーの前記第1の管腔内に注入し、更に前記第5のチューブ状メンバーに設けられた前記複数のポートを通過させることにより、前記加圧流体のスプレーを前記患者の鼻腔の前記表面へ送給するステップとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更に、圧力解放バルブを作動させて前記バルーンを萎ませるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の細長いチューブ状メンバーを挿入するステップが、更に、膨張時に前記バルーンが前記鼻腔後部と接触した状態となるように、前記バルーンを前記鼻腔後部に位置付けするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の細長いチューブ状メンバーを挿入するステップが、更に、膨張時に前記バルーンが前記鼻腔を実質的に塞いだ状態となるように、前記バルーンを前記鼻咽頭の近位側に位置付けするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の細長いチューブ状メンバーが、更に、前記近位側と遠位側との端部に開口を有する第3の管腔を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バルーンを膨らませるステップが、前記鼻腔後部にシールを形成すべく前記バルーンを膨らませるために、前記レザバーからの前記加圧流体を前記バルーンに注入するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記マニホールドが前記第1の細長いチューブ状メンバーの前記第1の管腔と流体的に連通するチェックバルブを備え、前記患者の鼻腔の前記表面へ流体のスプレーを送給する前に、前記バルーンが充分に膨らむ、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する流体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記加圧流体が22℃未満の沸点を有する推進剤と37℃未満の沸点を有する冷却用流体とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
37℃未満の沸点を有する前記流体がペルフルオロカーボンと、ハイドロフルオロカーボンと、フルオロカーボンとからなる前記グループから選択される冷媒を含む、請求項20に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−530554(P2012−530554A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516362(P2012−516362)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/039279
【国際公開番号】WO2010/148372
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(510124663)ベネチル・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BeneChill, Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/039279
【国際公開番号】WO2010/148372
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(510124663)ベネチル・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BeneChill, Inc.
【Fターム(参考)】
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