説明

(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のアミン塩および医学におけるそれらの使用

(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、コリン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩、リシン塩またはアダマンチルアミン塩;それらの製造方法;インスリン抵抗性に関連しているか否かにかかわらない脂質障害(異常脂質血症)、および代謝症候群の他の症状発現を含めた臨床状態を処置する場合のそれの使用;およびそれらを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、コリン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩、リシン塩またはアダマンチルアミン塩;それらの製造方法;インスリン抵抗性に関連しているか否かにかかわらない脂質障害(異常脂質血症)、および代謝症候群の他の症状発現を含めた臨床状態を処置する場合のそれの使用;およびそれらを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病を含めた代謝症候群とは、高インスリン血症を伴うインスリン抵抗性、おそらくは2型糖尿病、動脈性高血圧症、中心性(内臓)肥満症、高いVLDL(超低密度リポタンパク質)、低分子稠密LDL粒子および低いHDL(高密度リポタンパク質)の濃度を典型的に特徴とする混乱したリポタンパク質レベルとして認められる異常脂質血症、および減少したフィブリン溶解を含めた一群の症状発現を意味する。
【0003】
最近の疫学的研究は、インスリン抵抗性の個体が、特に、心筋梗塞および卒中に罹患している心臓血管の罹病率および死亡率の大きく増加した危険を冒しているということを示した。2型糖尿病の場合、アテローム性動脈硬化症に関係した状態は、全死亡数の80%までの原因となっている。
【0004】
臨床医学においては、代謝症候群の患者のインスリン感受性を増加させる要求、そしてそれによって、アテローム性動脈硬化症を加速進行させると考えられる異常脂質血症を補正する要求が認識されている。しかしながら、現在のところ、これは、明確な薬物療法的指標での普遍的に認められた診断ではない。
【0005】
同時係属PCT出願PCT/GB02/05743号は、式A
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシである)
を有する化合物、更には、それらの光学異性体およびラセミ体、更には、選択的PPARαモジュレーターである(PPAR(ペルオキシソーム・プロリフェレーター・アクチベーティド・レセプター(peroxisome proliferator-activated receptors))の概説については、T. M.Willson et al , J Med Chem 2000, Vol 43, 527 を参照されたい)それらの薬学的に許容しうる塩、プロドラッグ、溶媒和化合物および結晶形を開示している。これら化合物は、インスリン抵抗性に関連した状態を処置する場合に有効である。式Aの化合物の具体的な薬学的に許容しうる塩は、PCT/GB02/05743号には開示されていない。更に、式Aの化合物、特に、それらの塩の結晶形をどのように製造することができるかに関する情報は提供されていない。Rがヒドロキシである化合物の(−)鏡像異性体は、この出願において遊離酸として製造される。しかしながら、この化合物は、シロップのような粘稠度の粘性油状物であるので、医薬製剤で用いるのに適していない。したがって、医薬製剤で用いるのに適した物理的性質および化学的性質を有するこの化合物の固体が要求される。多数の塩が試みられたが、これらの大部分は、固体状態で形成され得ないかまたは低いガラス転移温度で非晶質であった。医薬製剤に適した性質を有する塩は、現在のところ発見されていない。
【0008】
薬物組成物の製剤化においては、その薬物物質が、それを好都合に取扱い且つ処理することができる形であることが重要である。これは、商業的に実現可能な製造方法を得る観点からのみならず、活性化合物を含む医薬製剤の引き続きの製造の観点からも重要である。
【0009】
更に、薬物組成物(drug composition)の製造において、薬物について、患者への投与後に、信頼性のある、再現性のある、そして一定の血漿濃度プロフィールを与えるということが重要である。
【0010】
活性成分の化学的安定性、固体状態安定性および「貯蔵寿命(shelf life)」も、きわめて重要な因子である。薬物物質およびそれを含有する組成物は、好ましくは、活性成分の物理化学的特性(例えば、その化学組成、密度、吸湿性および溶解性)に有意の変化を示すことなく、かなりの期間にわたって有効に貯蔵可能であるべきである。
【0011】
更に、化学的にできるだけ純粋である形で薬物を提供可能であることも重要である。
当業者は、典型的に、ある薬物を、安定な結晶形のような安定な形で容易に得ることができる場合、取扱いの容易さ、適する医薬製剤の製造の容易さ、および一層信頼性のある溶解プロフィールの点で、利点を与えることができるということを理解するであろう。
【発明の開示】
【0012】
発明の説明
本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、コリン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩、リシン塩またはアダマンチルアミン塩を提供する。
【0013】
詳しくは、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、コリン塩またはトリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩を提供する。
【0014】
本発明が、上の塩の一つまたはいずれか二つ以上の組合せを包含するということは理解されるであろう。
本発明者は、本発明のある化合物が、結晶形でそれらを製造することができるという利点を有するということを発見した。
【0015】
本発明のもう一つの側面により、本発明の化合物を実質的に結晶性の形で提供する。
本発明者は、本発明の化合物を、80%を超えて結晶性である形で製造することが可能であるということを発見したが、「実質的に結晶性」により、本発明者は、20%を超えて、好ましくは、30%を超えて、より好ましくは、40%を超えて(例えば、50%、60%、70%、80%または90%のいずれかを超えて)結晶性を包含する。
【0016】
本発明のもう一つの側面により、更に、本発明の化合物を部分的に結晶性の形で提供する。「部分的に結晶性」により、本発明者は、5%または5%〜20%結晶性を包含する。
【0017】
結晶化度(%)は、当業者により、X線粉末回折(XRPD)を用いて決定することができる。固体状態NMR、FT−IR、ラマン分光法、示差走査熱量測定(DSC)および微量熱量測定などの他の技法を用いることもできる。
【0018】
本発明の化合物、具体的には、本発明の結晶性化合物は、PCT/GB02/05743号に開示された化合物と比較した場合、改善された安定性を有することができる。
本明細書中に定義の「安定性」という用語は、化学的安定性および固体状態安定性を包含する。
【0019】
「化学的安定性」により、本発明者は、本発明の化合物を単離された形で、または薬学的に許容しうる担体、希釈剤またはアジュバントとの混合物で提供される製剤の形で(例えば、錠剤、カプセル剤等のような経口用剤形で)、通常の貯蔵条件下において、有意でない程度の化学的分解または分解で貯蔵することが可能でありうるということを包含する。
【0020】
「固体状態安定性」により、本発明者は、本発明の化合物を単離された固体で、または薬学的に許容しうる担体、希釈剤またはアジュバントとの混合物で提供される固体製剤の形で(例えば、錠剤、カプセル剤等のような経口用剤形で)、通常の貯蔵条件下において、有意でない程度の固体状態転移(例えば、結晶化、再結晶、固体状態相転移、水和、脱水、溶媒和(solvatisation)または脱溶媒和(desolvatisation))で貯蔵することが可能でありうるということを包含する。
【0021】
「通常の貯蔵条件」の例には、−80℃〜+50℃(好ましくは、0〜40℃、より好ましくは、15〜30℃のような室温)の温度、0.1〜2バール(好ましくは、大気圧で)の圧力、5〜95%(好ましくは、10〜60%)の相対湿度、および/または460ルクスのUV/可視光への長時間の(すなわち、6ヶ月に等しいまたはそれを超える)暴露が含まれる。このような条件下において、本発明の化合物は、15%未満、より好ましくは、10%未満、そして特に、5%未満が、適宜、化学的に分解/分解されている、または固体状態転移していると判明することがありうる。当業者は、上述の温度、圧力および相対湿度の上限および下限が、通常の貯蔵条件の極限であるということ、およびこれら極限の一定の組合せ(例えば、50℃の温度および0.1バールの圧力)が、通常の貯蔵中に経験されることはないであろうということを理解するであろう。
【0022】
式Aの化合物の塩を、溶媒系の存在を伴ってまたは伴うことなく、結晶化することは可能でるかもしれない(例えば、結晶化は、超臨界条件下において溶融液からであってよいし、または昇華によって達せられてよい)。しかしながら、本発明者は、結晶化が適当な溶媒系から行われることを選択している。
【0023】
本発明のもう一つの側面により、本発明の結晶性化合物の製造方法であって、本発明の化合物を適当な溶媒系から結晶化することを含む方法を提供する。
結晶化温度および結晶化時間は、結晶化される塩、その塩の溶液中の濃度、および用いられる溶媒系に依存する。
【0024】
結晶化は、標準的な技法によって、例えば、本発明の適当な結晶性化合物の結晶を播種することを伴ってまたは伴うことなく、開始するおよび/または行うこともできる。
本発明の化合物のいろいろな結晶形は、X線粉末回折(XRPD)法を用いて、例えば、以下に記載のように、容易に特性決定することができる。
【0025】
特定の結晶形が、他の結晶形の不存在下で製造されていることを確かめるために、結晶化は、好ましくは、所望の結晶形の核および/または種結晶を、他の結晶形の核および/または種結晶の実質的に完全な不存在下で播種することによって行われる。適当な化合物の種結晶は、例えば、適当な塩の溶液の一部分から溶媒を徐々に蒸発させることによって製造することができる。
【0026】
本発明の化合物は、当業者に周知である技法、例えば、傾瀉(decanting)、濾過または遠心分離を用いて単離することができる。
化合物は、標準的な技法を用いて乾燥させることができる。
【0027】
本発明の化合物の更なる精製は、当業者に周知である技法を用いて行うことができる。例えば、不純物は、適当な溶媒系からの再結晶によって除去することができる。再結晶に適する温度および時間は、溶液中の塩の濃度、および用いられる溶媒系に依存する。
【0028】
本発明の化合物を、本明細書中に記載のように結晶化するまたは再結晶させる場合、得られた塩は、本明細書中の前に述べられたように、改善された化学的安定性および/または固体状態安定性を有する形でありうる。
【0029】
本発明の化合物は、先行技術において知られている化合物よりも効力があり、毒性が少なく、長時間作用し、広範囲の活性を有し、強力であり、副作用を生じることが少なく、容易に吸収され、および/または優れた薬物動態学的プロフィール(例えば、高い経口バイオアベイラビリティーおよび/または低いクリアランス)を有する、および/またはそれらにまさる他の有用な薬理学的、物理的または化学的性質を有することがありうるという利点を有する。本発明の化合物は、先行技術において知られている化合物よりも少ない頻度で投与することができるという追加の利点を有することがありうる。
【0030】
本発明の化合物は、改善された取扱いの容易さを与える形であるという利点を有することもありうる。更に、本発明の化合物は、改善された化学的安定性および/または固体状態安定性を有することがありうる(例えば、より低い吸湿性によることを含めた)形で製造することができるという利点を有する。したがって、このような本発明の化合物は、長期間にわたって貯蔵する場合に安定でありうる。
【0031】
本発明の化合物は、十分な収率で、高純度で、迅速に、好都合に、そして低費用で結晶化させることができるという利点を有することもありうる。
これら塩は、薬剤としての活性を有し、具体的には、それら塩は、PPARαの選択的アゴニストである、すなわち、PPARαへのそれらのEC50は、PPARγへのそれらのEC50よりも少なくとも10倍低く、ここにおいて、EC50は、本論文の後方の検定(assay)に記載されているように測定され且つ計算される。それら化合物は、強力で且つ選択的である。
【0032】
本明細書中に(−)が示されている場合、その酸は、実験の項に記載の条件および濃度を用いて測定された場合に負の回転を有するということが、当業者に理解されるであろう。本発明のそれら塩は、その塩の絶対配置が、(−)−親酸の立体配置と同じであるという条件ならば、(+)回転を有することがありうるということが理解されるはずである。
【0033】
本発明の化合物が、溶媒和の形、例えば、水和した形、更には、非溶媒和の形で存在しうるということも理解されるであろう。本発明の化合物が、このような溶媒和の形および非溶媒和の形を全て包含するということは理解されるはずである。
【0034】
製造方法
本発明の化合物は、下に概説されるように製造することができる。しかしながら、本発明は、これら方法に制限されない。
【0035】
それら塩は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸と、適当なアミン、例えば、tert−ブチルアミン、ピペラジン、コリン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リシンまたはアダマンタニルアミンとを、不活性溶媒、例えば、エタノール、メタノール、プロパン−2−オール、酢酸エチル、トルエンまたはそれらの混合物、またはエタノールまたはメタノールまたはプロパン−2−オールと水との混合物中において、0〜100℃の範囲の温度で反応させ、固体塩を単離することによって製造することができる。その塩は、反応溶液を冷却し、場合により、その溶液に所望の生成物を播種することおよび/または溶液を濃縮することによって単離することができる。場合により、その生成物は、不活性溶媒中の生成物溶液にアンチソルベントを加えることによって単離することができる。固体は、当業者に知られている方法、例えば、濾過または遠心分離によって集めることができる。(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸は、実施例に記載のように製造することができる。
【0036】
「不活性溶媒」という表現は、出発物質、試薬、中間体または生成物と、所望の生成物の収率に悪影響を与えるように反応することがない溶媒を意味する。
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸および tert−ブチルアミンをエタノール中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量の tert−ブチルアミンを用いる。
【0037】
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸およびピペラジンを酢酸エチル中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量のピペラジンを用いる。
【0038】
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸およびピペラジンをトルエン中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量のピペラジンを用いる。
【0039】
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸およびコリンを不活性溶媒中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量のコリンを用いる。
【0040】
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸およびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンを不活性溶媒、例えば、エタノールおよび/またはアセトン中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量のトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンを用いる。
【0041】
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸およびリシンを不活性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパン−2−オールまたは水またはそれらの混合物中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量のリシンを用いる。
【0042】
もう一つの側面において、本発明は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸およびアダマンチルアミンを不活性溶媒中で反応させ、生成物を単離することによって入手可能な化合物を提供する。具体的には、1当量のアダマンチルアミンを用いる。
【0043】
本発明は、更に、次の態様を提供する。
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸 tert−ブチルアミン塩であって、10.1Å、5.9Å、5.3Å、4.66Åおよび4.09Åにd値を有するピークを特徴とするX線粉末回折図を特徴とするもの。
【0044】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸 tert−ブチルアミン塩であって、実質的には図Bに開示のようなXRPD図を有するもの。
【0045】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸ピペラジン塩であって、12.2Å、5.2Å、4.67Å、4.23Åおよび3.99Åにd値を有するピークを特徴とするX線粉末回折図を特徴とするもの。
【0046】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸ピペラジン塩であって、実質的には図Aに開示のようなXRPD図を有するもの。
【0047】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩であって、14.7Å、7.4Å、4.8Å、4.3Åおよび3.7Åにd値を有するピークを特徴とするX線粉末回折図を特徴とするもの。
【0048】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩であって、実質的には図Cに開示のようなXRPD図を有するもの。
【0049】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸リシン塩であって、5.4Å、5.0Å、4.5Å、4.3Åおよび4.0Åにd値を有するピークを特徴とするX線粉末回折図を特徴とするもの。
【0050】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸リシン塩であって、実質的には図Dに開示のようなXRPD図を有するもの。
【0051】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸リシン塩であって、21.3Å、12.9Å、7.7Å、7.1Åおよび4.7Åにd値を有するピークを特徴とするX線粉末回折図を特徴とするもの。
【0052】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸リシン塩であって、実質的には図Eに開示のようなXRPD図を有するもの。
【0053】
医薬製剤
本発明の化合物は、通常は、経口、非経口、静脈内、筋肉内、皮下または他の注射可能な方法で、口腔内、直腸内、膣内、経皮および/または鼻腔経路および/または吸入によって、薬学的に許容しうる剤形の医薬製剤の形で投与されるであろう。処置される障害および患者、および投与経路に依存して、それら組成物は、いろいろな用量で投与することができる。
【0054】
ヒトの治療的処置に適する本発明の化合物の1日用量は、約0.0001〜100mg/kg体重、好ましくは、0.001〜10mg/kg体重である。
経口用製剤、具体的には、0.5mg〜500mgの範囲内、例えば、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mgおよび250mgの用量の活性化合物を与えるように、当業者に知られている方法によって製剤化することができる錠剤またはカプセル剤が好適である。
【0055】
したがって、本発明のもう一つの側面により、本発明の化合物を、薬学的に許容しうるアジュバント、希釈剤および/または担体との混合物で含む医薬製剤を提供する。
薬理学的性質
本発明の化合物は、インスリンへの遺伝性または誘発性の低感受性(インスリン抵抗性)に関連したおよび代謝障害(代謝症候群としても知られる)に関連した臨床状態の予防および/または処置に有用である。これら臨床状態には、全身性肥満症、腹部肥満症、動脈性高血圧症、高インスリン血症、高血糖症、2型糖尿病、およびインスリン抵抗性で特徴的に現れる異常脂質血症が含まれるであろうが、これに制限されるわけではない。この異常脂質血症は、アテローム発生性リポタンパク質プロフィールとしても知られ、中程度に高い非エステル化脂肪酸、高い超低密度リポタンパク質(VLDL)トリグリセリドの多い粒子、高アポBレベル、低アポAI粒子レベルに関連した低い高密度リポタンパク質(HDL)レベル、および表現型Bである低分子稠密低密度リポタンパク質(LDL)粒子の存在下における高アポBレベルを特徴とする。
【0056】
本発明の化合物は、代謝症候群の他の症状発現を伴うまたは伴わない、複合または混合高脂質血症またはいろいろな程度の高トリグリセリド血症および食事性異常脂質血症の患者を処置する場合に有用であると考えられる。
【0057】
本化合物での処置は、それらの抗異常脂質血症性並びに抗炎症性のために、アテローム性動脈硬化症に関連した心臓血管の罹病率および死亡率を低下させると考えられる。その心臓血管疾患状態には、心筋梗塞、うっ血性心不全、脳血管疾患および下肢の末梢動脈不全を引き起こす種々の内部臓器の大血管障害が含まれる。そのインスリン感作作用ゆえに、本化合物は、更に、代謝症候群による2型糖尿病および妊娠糖尿病の発症を予防するまたは遅らせると考えられる。したがって、腎疾患、網膜損傷および下肢の末梢血管疾患を引き起こす微小血管障害のような、糖尿病における慢性高血糖症に関連した長期合併症の発症は、遅延すると考えられる。更に、本化合物は、多嚢胞性卵巣症候群、肥満症、癌、および軽度認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病および多発性硬化症などの神経変性障害を含めた炎症性疾患状態のような、インスリン抵抗性に関連しているか否かにかかわらない心臓血管系以外の種々の状態の処置に有用であるといえる。
【0058】
本発明の化合物は、2型糖尿病に罹患している患者のグルコースレベルを調節する場合に有用であると考えられる。
本発明は、(上の定義のような)異常脂質血症、インスリン抵抗性症候群および/または代謝障害を処置するまたは予防する方法であって、それを必要としている哺乳動物(具体的には、ヒト)への本発明の化合物の投与を含む方法を提供する。
【0059】
本発明は、2型糖尿病を処置するまたは予防する方法であって、それを必要としている哺乳動物(具体的には、ヒト)への有効量の本発明の化合物の投与を含む方法を提供する。
【0060】
もう一つの側面において、本発明は、本発明の化合物の薬剤としての使用を提供する。
もう一つの側面において、本発明は、インスリン抵抗性および/または代謝障害の処置用の薬剤の製造における、本発明の化合物の使用を提供する。
【0061】
組合せ療法
本発明の化合物は、高血圧症、高脂質血症、異常脂質血症、糖尿病および肥満症のような、アテローム性動脈硬化症の発症および進行に関連した障害の処置に有用である別の治療薬と組み合わせることができる。本発明の化合物は、LDL:HDLの比率を減少させる別の治療薬、またはLDL−コレステロールの循環レベルの減少を引き起こす薬剤と組み合わせることができる。糖尿病の患者の場合、本発明の化合物は、微小血管障害に関係した合併症を処置するのに用いられる治療薬と組み合わせることもできる。
【0062】
本発明の化合物は、代謝症候群または2型糖尿病およびその関連合併症の処置のための他の療法と一緒に用いることができるが、これらには、ビグアニド薬、例えば、メトホルミン、フェンホルミンおよびブホルミン、インスリン(合成インスリン類似体、アミリン)および経口抗高脂質血症薬(これらは、食事性グルコース調節剤およびα−グルコシダーゼ阻害剤に分けられる)が含まれる。α−グルコシダーゼ阻害剤の例は、アカルボース(acarbose)またはヴォグリボース(voglibose)またはミグリトール(miglitol)である。食事性グルコース調節剤の例は、レパグリニド(repaglinide)またはナテグリニド(nateglinide)である。
【0063】
本発明のもう一つの側面において、式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩は、PPARモジュレーター薬(PPAR modulating agent)と一緒にして投与することができる。PPARモジュレーター薬には、PPARαおよび/またはγおよび/またはδアゴニスト、またはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグが含まれるが、これに制限されるわけではない。適するPPARαおよび/またはγアゴニスト、それらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグは、当該技術分野において周知である。これらには、WO01/12187号、WO01/12612号、WO99/62870号、WO99/62872号、WO99/62871号、WO98/57941号、WO01/40170号、WO04/000790号、WO04/000295号、WO04/000294号、WO03/051822号、WO03/051821号、WO02/096863号、WO03/051826号、WO02/085844号、WO01/040172号、J Med Chem, 1996, 39, 665、Expert Opinion on Therapeutic Patents, 10 (5), 623-634(具体的には、634頁に挙げられたそれら特許出願に記載の化合物)および J Med Chem, 2000, 43, 527 に記載の化合物が含まれ、これらは全て、本明細書中に援用される。具体的には、PPARαおよび/またはγおよび/またはδアゴニストとは、ムラグリタザル(muraglitazar)(BMS298585)、リボグリタゾン(rivoglitazone)(CS−011)、ネトグリタゾン(netoglitazone)(MCC−555)、バラグリタゾン(balaglitazone)(DRF−2593、NN−2344)、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート(bezafibrate)、ジェムフィブロジル、シプロフィブラート(ciprofibrate)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、AVE−0847、AVE−8134、CLX−0921、DRF−10945、DRF−4832、LY−518674、LY−818、LY−929、641597、GW−590735、GW−677954、GW−501516、MBX−102、ONO−5129、KRP−101、R−483(BM131258)、TAK−559またはTAK−654を意味する。具体的には、PPARαおよび/またはγおよび/またはδアゴニストとは、テサグリタザル(tesaglitazar)((S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]-プロパン酸)およびその薬学的に許容しうる塩を意味する。
【0064】
更に、本発明の化合物は、スルホニル尿素、例えば、グリメピリド(glimepiride)、グリベンクラミド(グリブリド(glyburide))、グリクラジド、グリピジド、グリキドン、クロロプロパミド、トルブタミド、アセトへキサミド、グリコピラミド、カルブタミド、グリボヌリド(glibonuride)、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブチアゾール(glybuthiazole)、グリブゾール(glibuzole)、グリヘキサミド(glyhexamide)、グリミジン、グリピナミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、トルシラミド(tolcylamide)およびトラザミドと一緒にして用いることができる。好ましくは、スルホニル尿素は、グリメピリドまたはグリベンクラミド(グリブリド)である。より好ましくは、スルホニル尿素はグリメピリドである。本発明は、この組合せの項に記載の一つ、二つまたはそれを超える既存の療法と一緒にした本発明の化合物の投与を包含する。2型糖尿病およびその関連合併症の処置のための他の既存の療法の用量は、当該技術分野において知られ且つ規制団体、例えば、FDAによって使用が承認されているものであろうが、FDA発行の Orange Book に見出されうる。或いは、より少ない用量を、その組合せに由来する利点の結果として用いることができる。本発明は、更に、コレステロール低下薬との組合せでの本発明の化合物を包含する。本出願において論じられるコレステロール低下薬には、HMG−CoAレダクターゼ(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ)の阻害剤が含まれるが、これに制限されるわけではない。好適には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、アトルバスタチン(atorvastatin)、ベルバスタチン(bervastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、ダルバスタチン(dalvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、イタバスタチン(itavastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、メバスタチン(mevastatin)、ニコスタチン(nicostatin)、ニバスタチン(nivastatin)、プラバスタチン(pravastatin)およびシンバスタチン(simvastatin)から成る群より選択されるスタチン、または薬学的に許容しうる塩、特に、ナトリウムまたはカルシウム塩、またはその溶媒和化合物、またはこのような塩の溶媒和化合物である。具体的なスタチンは、アトルバスタチン、または薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはそのプロドラッグである。より具体的なスタチンは、アトルバスタチンカルシウム塩である。しかしながら、特に好ましいスタチンは、(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)−アミノ]−ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸という化学名の[(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[N−メチル−N−(メチルスルホニル)−アミノ]ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸としても知られる]化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和化合物、またはこのような塩の溶媒和化合物である。その化合物(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル−(メチルスルホニル)−アミノ]−ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸およびそのカルシウム塩およびナトリウム塩は、欧州特許出願公開EP−A−0521471号に、および Bioorganic and Medicinal Chemistry, (1997), 5(2), 437-444 に開示されている。この後者のスタチンは、現在、その総称ロスバスタチン(rosuvastatin)として知られている。
【0065】
本出願において、「コレステロール低下薬」という用語には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の、活性であれ不活性であれ、エステル、プロドラッグおよび代謝産物のような化学修飾も含まれる。
【0066】
本発明は、更に、胆汁酸金属イオン封鎖剤、例えば、コレスチポールまたはコレスチラミンまたはコレスタゲル(cholestagel)との組合せでの本発明の化合物を包含する。
本発明は、更に、回腸胆汁酸輸送系の阻害剤(IBAT阻害剤)との組合せでの本発明の化合物を包含する。
【0067】
IBAT阻害活性を有する適する化合物は記載されており、例えば、WO93/16055号、WO94/18183号、WO94/18184号、WO96/05188号、WO96/08484号、WO96/16051号、WO97/33882号、WO98/07449号、WO98/03818号、WO98/38182号、WO99/32478号、WO99/35135号、WO98/40375号、WO99/35153号、WO99/64409号、WO99/64410号、WO00/01687号、WO00/47568号、WO00/61568号、WO00/62810号、WO01/68906号、DE19825804号、WO00/38725号、WO00/38726号、WO00/38727号、WO00/38728号、WO00/38729号、WO01/68906号、WO01/66533号、WO02/32428号、WO02/50051号、EP864582号、EP489423号、EP549967号、EP573848号、EP624593号、EP624594号、EP624595号およびEP624596号に記載の化合物を参照されたいが、これら特許出願の内容は、本明細書中に援用される。
【0068】
IBAT阻害活性を有する更に適する化合物は、WO94/24087号、WO98/56757号、WO00/20392号、WO00/20393号、WO00/20410号、WO00/20437号、WO01/34570号、WO00/35889号、WO01/68637号、WO02/08211号、WO03/020710号、WO03/022825号、WO03/022830号、WO03/022286号、WO03/091232号、WO03/106482号、JP10072371号、US5070103号、EP251315号、EP417725号、EP869121号、EP1070703号およびEP597107号に記載されており、これら特許出願の内容は、本明細書中に援用される。
【0069】
本発明で用いるのに適した具体的なクラスのIBAT阻害剤は、ベンゾチエピン類、および本明細書中に援用されるWO00/01687号、WO96/08484号およびWO97/33882号の請求の範囲、具体的には、請求項1に記載の化合物である。他の適するクラスのIBAT阻害剤は、1,2−ベンゾチアゼピン類、1,4−ベンゾチアゼピン類および1,5−ベンゾチアゼピン類である。更に適するクラスのIBAT阻害剤は、1,2,5−ベンゾチアジアゼピン類である。
【0070】
IBAT阻害活性を有する一つの具体的な適する化合物は、(3R,5R)−3−ブチル−3−エチル−1,1−ジオキシド−5−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−8−イルβ−D−グルコピラノシドウロン酸(EP864582号)である。他の適するIBAT阻害剤には、次のものが含まれる。
【0071】
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−1’−フェニル−1’−[N’−(カルボキシメチル)カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(カルボキシメチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−1’−フェニル−1’−[N’−(2−スルホエチル)カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−1’−フェニル−1’−[N’−(2−スルホエチル)カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(2−スルホエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(2−スルホエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(2−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(2−カルボキシエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(2−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{α−[N’−(2−スルホエチル)カルバモイル]−2−フルオロベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(R)−(2−ヒドロキシ−1−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(R)−(2−ヒドロキシ−1−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−{N−[(R)−α−(N’−{(R)−1−[N”−(R)−(2−ヒドロキシ−1−カルボキシエチル)カルバモイル]−2−ヒドロキシエチル}カルバモイル)ベンジル]カルバモイルメトキシ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{α−[N’−(カルボキシメチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{α−[N’−((エトキシ)(メチル)ホスホリルメチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3−ブチル−3−エチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−{N−[(R)−α−(N’−{2−[(ヒドロキシ)(メチル)ホスホリル]エチル}カルバモイル)ベンジル]カルバモイルメトキシ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N’−(2−メチルチオ−1−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−{N−[(R)−α−(N’−{2−[(メチル)(エチル)ホスホリル]エチル}カルバモイル)−4−ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−{N−[(R)−α−(N’−{2−[(メチル)(ヒドロキシ)ホスホリル]エチル}カルバモイル)−4−ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[(R)−N’−(2−メチルスルフィニル−1−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メトキシ−8−[N−{(R)−α−[N’−(2−スルホエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((R)−1−カルボキシ−2−メチルチオエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシ−2−(R)−ヒドロキシプロピル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシ−2−メチルプロピル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシブチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシ−2−(R)−ヒドロキシプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−(2−スルホエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシエチル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((R)−1−カルボキシ−2−メチルチオエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−{(S)−1−[N−((S)−2−ヒドロキシ−1−カルボキシエチル)カルバモイル]プロピル}カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシ−2−メチルプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−((S)−1−カルボキシプロピル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−[N−((R/S)−α−{N−[1−(R)−2−(S)−1−ヒドロキシ−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパ−2−イル]カルバモイル}−4−ヒドロキシベンジル)カルバモイルメトキシ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−(2−(S)−3−(R)−4−(R)−5−(R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)カルバモイル]−4−ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;および
1,1−ジオキソ−3,3−ジブチル−5−フェニル−7−メチルチオ−8−(N−{(R)−α−[N−(2−(S)−3−(R)−4−(R)−5−(R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,2,5−ベンゾチアジアゼピン;
またはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグ。
【0072】
本発明の更にもう一つの側面により、組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒であってよい有効量の本発明の化合物の投与と、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒であってよい、次の、
CETP(コレステロールエステル輸送タンパク質)阻害剤、例えば、本明細書中に援用されるWO00/38725号の7頁22行〜10頁17行に論じられ且つ記載されたもの;
コレステロール吸収アンタゴニスト、例えば、SCH58235のようなアゼチジノン類、および本明細書中に援用されるUS5,767,115号に記載されたもの;
MTP(ミクロソーム輸送タンパク質)阻害剤、例えば、本明細書中に援用される、Science, 282, 751-54, 1998 に記載されたもの;
ニコチン酸誘導体であって、徐放性製品および組み合わせ製品、例えば、ニコチン酸(ナイアシン)、アシピモクス(acipimox)およびニセリトロールを含めたもの;
フィトステロール化合物、例えば、スタノール類(stanols);
プロブコール;
ω−3脂肪酸、例えば、OmacorTM
抗肥満症化合物、例えば、オルリスタト(orlistat)(EP129,748号)およびシブトラミン(sibutramine)(GB2,184,122号およびUS4,929,629号);
抗高血圧症化合物、例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アドレナリン作動性遮断薬、αアドレナリン作動性遮断薬、βアドレナリン作動性遮断薬、例えば、メトプロロール、混合α/βアドレナリン作動性遮断薬、アドレナリン作動性刺激薬、カルシウムチャンネル遮断薬、AT−1遮断薬、塩分排泄薬、利尿薬または血管拡張薬;
CB1アンタゴニストまたは逆アゴニスト、例えば、WO01/70700号およびEP65635に記載のようなもの;
アスピリン;
メラニンコンセントレイティングホルモン(MCH)アンタゴニスト;
PDK阻害剤;または
核内受容体のモジュレーター、例えば、LXR、FXR、RXRおよびRORα;
またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物、またはそのプロドラッグ
より選択される一つまたはそれを超える薬剤の同時の、逐次的または別個の投与と一緒に含む組合せ処置を提供する。
【0073】
本発明の化合物との組合せで用いることができる具体的なACE阻害剤、またはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグには、次の化合物、すなわち、アラセプリル(alacepril)、アラトリオプリル(alatriopril)、アルチオプリルカルシウム(altiopril calcium)、アンコベニン(ancovenin)、ベナゼプリル(benazepril)、ベナゼプリル塩酸塩、ベナゼプリラート(benazeprilat)、ベンゾイルカプトプリル、カプトプリル、カプトプリルシステイン、カプトプリルグルタチオン、セラナプリル(ceranapril)、セラノプリル(ceranopril)、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル(cilazapril)、シラザプリラート(cilazaprilat)、デラプリル(delapril)、デラプリル二酸、エナラプリル、エナラプリラート、エナプリル(enapril)、エピカプトプリル(epicaptopril)、フォロキシミチン(foroxymithine)、ホスフェノプリル(fosfenopril)、フォセノプリル(fosenopril)、フォセノプリルナトリウム、フォシノプリル(fosinopril)、フォシノプリルナトリウム、フォシノプリラート(fosinoprilat)、フォシノプリル酸(fosinoprilic acid)、グリコプリル(glycopril)、ヘモルフィン−4(hemorphin-4)、イドラプリル(idrapril)、イミダプリル(imidapril)、インドラプリル(indolapril)、インドラプリラート(indolaprilat)、リベンザプリル(libenzapril)、リシノプリル、リシウミンA(lyciumin A)、リシウミンB、ミクサンプリル(mixanpril)、メキシプリル(moexipril)、メキシプリラート(moexiprilat)、モヴェルチプリル(moveltipril)、ムラセインA(muracein A)、ムラセインB、ムラセインC、ペントプリル(pentopril)、ペリンドプリル(perindopril)、ペリンドプリラート(perindoprilat)、ピバロプリル(pivalopril)、ピボプリル(pivopril)、キナプリル(quinapril)、キナプリル塩酸塩、キナプリラート(quinaprilat)、ラミプリル(ramipril)、ラミプリラート(ramiprilat)、スピラプリル(spirapril)、スピラプリル塩酸塩、スピラプリラート(spiraprilat)、スピロプリル(spiropril)、スピロプリル塩酸塩、テモカプリル(temocapril)、テモカプリル塩酸塩、テプロチド、トランドラプリル(trandolapril)、トランドラプリラート(trandolaprilat)、ウチバプリル(utibapril)、ザビシプリル(zabicipril)、ザビシプリラート(zabiciprilat)、ゾフェノプリル(zofenopril)およびゾフェノプリラート(zofenoprilat)が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明で用いるのに好ましいACE阻害剤は、ラミプリル、ラミプリラート、リシノプリル、エナラプリルおよびエナラプリラートである。本発明で用いるのにより好ましいACE阻害剤は、ラミプリルおよびラミプリラートである。
【0074】
本発明の化合物との組合せで用いるのに好ましいアンギオテンシンIIアンタゴニスト、薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはそれらのプロドラッグには、カンデサルタン(candesartan)、カンデサルタンシレキセチル(candesartan cilexetil)、ロサルタン(losartan)、バルサルタン(valsartan)、イルベサルタン(irbesartan)、タソサルタン(tasosartan)、テルミサルタン(telmisartan)およびエプロサルタン(eprosartan)という化合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明で用いるのに特に好ましいアンギオテンシンIIアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容しうる誘導体は、カンデサルタンおよびカンデサルタンシレキセチルである。
【0075】
したがって、本発明のもう一つの特徴において、2型糖尿病およびその関連合併症の処置を必要としているヒトなどの温血動物の2型糖尿病およびその関連合併症の処置方法であって、この動物に、有効量の本発明の化合物を、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグの有効量と一緒に、同時の、逐次的なまたは別個の投与で投与することを含む方法を提供する。
【0076】
したがって、本発明のもう一つの特徴において、高脂質血症状態の処置を必要としているヒトなどの温血動物の高脂質血症状態を処置する方法であって、この動物に、有効量の本発明の化合物を、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグの有効量と一緒に、同時の、逐次的なまたは別個の投与で投与することを含む方法を提供する。
【0077】
本発明のもう一つの側面により、医薬組成物であって、本発明の化合物と、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグとを、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0078】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、本発明の化合物と、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグとを含むキットを提供する。
【0079】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)第一単位剤形の本発明の化合物;
(b)この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグであって、第二単位剤形のもの;および
(c)これら第一および第二単位剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0080】
本発明のもう一つの側面により、キットであって、
(a)薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒の本発明の化合物であって、第一単位剤形のもの;
(b)この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグであって、第二単位剤形のもの;および
(c)これら第一および第二単位剤形を含有するための容器手段
を含むキットを提供する。
【0081】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の代謝症候群または2型糖尿病およびその関連合併症の処置に用いるための薬剤の製造における、本発明の化合物と、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグの使用を提供する。
【0082】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の高脂質血症状態の処置に用いるための薬剤の製造における、本発明の化合物と、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグの使用を提供する。
【0083】
本発明の更にもう一つの側面により、組合せ処置であって、このような治療的処置を必要としているヒトなどの温血動物への、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒であってよい有効量の本発明の化合物の投与と、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒であってよい、この組合せの項に記載の他の化合物の一つまたはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、このような塩の溶媒和化合物またはプロドラッグの有効量の同時の、逐次的または別個の投与とを一緒に含む組合せ処置を提供する。
【0084】
実験
H NMRおよび13C NMRの測定は、Varian Mercury 300または Varian UNITY+400、500または600スペクトロメーターにおいて、それぞれ、300、400、500および600MHzのH周波数と、それぞれ、75、100、125および150MHzの13C周波数で操作して行った。測定は、デルタスケール(δ)で行った。
【0085】
特に断らない限り、化学シフトは、内部標準として溶媒を用いて、ppmで与えられている。
X線粉末回折分析(XRPD)は、可変スリットを用いて、標準法によって製造された試料について、内部標準を全く用いることなく行った。用いられる標準法の例は、Giacovazzo, C. et al (1995), Fundamentals of Crystallography, Oxford University Press; Jenkins, R. and Snyder, R. L. (1996), Introduction to X-Ray Powder Diffractometry, John Wiley & Sons, New York; Bunn, C. W. (1948), Chemical Crystallography, Clarendon Press, London; または Klug, H. P. & Alexander, L. E. (1974), X-ray Diffraction Procedures, John Wiley and Sons, New York に記載のものである。X線分析は、Cu放射線を用いて、Siemens D5000ディフラクトメーターまたは Philips X’Pert MPDで行った。下の図面のX軸は2θであり、Y軸は強度である。
【0086】
示差走査熱量測定(DSC)は、Mettler DSC820、Mettler DSC820Eまたは Perkin Elmer DSC7装置を用いて、標準法、例えば、Hohne, G. W. H. et al (1996), Differential Scanning Calorimetry, Springer, Berlin に記載の方法にしたがって行った。
【0087】
熱重量測定分析(TGA)は、Mettler Toledo TGA850、Mettler Toledo TG851または Perkin Elmer TGA7装置を用いて行った。10℃/分の勾配速度を用いた。
【0088】
本発明の化合物の結晶形は、本明細書中に記載の方法から類推しておよび/または下の実施例にしたがって製造することができるし、そして本明細書中に開示されたのと本質的に同じXRPD回折図形および/またはDSCおよび/またはTGAサーモグラムを示すことができるということは、当業者に理解されるであろう。「本質的に同じ」XRPD回折図形および/またはDSCおよび/またはTGAサーモグラムにより、本発明者は、本質的に同じ結晶形が形成されたということが、関係のある図形および/またはサーモグラムから(実験誤差を考慮して)明らかである場合の状況を包含する。与えられた場合のDSC開始温度は、±5℃(例えば、±2℃)の範囲内であってよく、XRPD距離値は、最後の少数位で±2の範囲内であってよい。XRPD強度は、本質的に同じ結晶形について測定した場合に、例えば、好適な配向を含めた種々の理由で異なることがありうるということは、当業者に理解されるであろう。
【0089】
略語
IPA プロパン−2−オール
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
THF テトラヒドロフラン
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
NHOAc 酢酸アンモニウム
NMR略語
t 三重線
s 一重線
d 二重線
q 四重線
m 多重線
bs 幅広一重線

XRPD略語
XRPD X線粉末回折
d値 結晶格子の逐次平行hkl面間隔
【0090】
【表1】

【0091】
TGA 熱重量測定分析
DSC 示差走査熱量測定
【実施例】
【0092】
出発物質の製造
2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸
(i)2−クロロ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]プロパン酸メチル
2−(4−アミノフェニル)エタノール(11g,81mmol)および32mlの濃HClを、アセトン中に溶解させ、0℃に冷却した。20mlの水中の亜硝酸ナトリウム(5.6g,81mmol)を滴加した。その温度を0℃下で保持した。1時間後、アクリル酸メチル(70g,808mmol)およびCuI(1.6g,8mmol)を加えた(<0℃)。反応混合物を室温で一晩撹拌した。
【0093】
溶媒を蒸発させ、水を加えた。その水相をEtOAcで3回抽出し、有機層をプールし、水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で蒸発させた。その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、65:35のEtOAcおよびヘプタンの混合物を溶離剤として用いて精製した。分取HPLC(CHCN/5%CHCN−0.1M NHOAc含有水相の勾配を溶離剤として用いる)による更なる精製は、9.7gの生成物(49%収率)を油状物として生じた。
【0094】
【化2】

【0095】
(ii)3−(4−{2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]エチル}フェニル)−2−クロロプロパン酸メチル
トリフェニルホスフィン(2.4g,9mmol)を、窒素雰囲気下の20mlのトルエン中の2−クロロ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]プロパン酸メチル(2.1g,8.5mmol)および4−(ベンジルオキシ)フェノール(1.7g,8mmol)の溶液に加えた。その溶液を55℃に加温し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.8g,9mmol)を加えた。反応混合物を55℃で一晩撹拌した。
【0096】
その混合物を冷却させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、ヘプタンおよびEtOAcの80:20混合物を溶離剤として用いて精製して、2.28gの所望の生成物(61%収率)を無色結晶として生じた。
【0097】
【化3】

【0098】
(iii)2−クロロ−3−{4−[2−(4−ヒドロキシフェノキシ)エチル]フェニル}プロパン酸メチル
3−(4−{2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]エチル}フェニル)−2−クロロプロパン酸メチル(1.0g,2.4mmol)およびジメチルスルフィド(0.9g,14mmol)を、60mlのCHCl中に溶解させた。三フッ化ホウ素エーテラート(2.0g,14mmol)を、その撹拌溶液に滴加した。反応混合物を室温で2日間撹拌した。追加当量(0.4g,2.87mmol)の三フッ化ホウ素エーテラートを加え、撹拌を一晩続けた。水を加えた。相を分離し、そして水性相をCHClで2回抽出した。有機相をプールし、洗浄し(水、ブライン)、乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させた。CHCN/5%CHCN−0.1M NHOAc含有水相の勾配を用いた分取HPLCによる更なる精製は、0.55gの所望の生成物(52%収率)を油状物として生じた。
【0099】
【化4】

【0100】
(iv)2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸メチル
2−クロロ−3−{4−[2−(4−ヒドロキシフェノキシ)エチル]フェニル}プロパン酸メチル(334mg,1.0mmol)およびトリエチルアミン(303mg,3.0mmol)を、20mlのジクロロメタン中に溶解させ、窒素雰囲気下において−20℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(114mg,1.0mmol)を滴加した。その混合物を室温に達しさせた。2時間後、ジクロロメタンを加え、混合物を洗浄し(水、ブライン)、乾燥させ(NaSO)減圧下で蒸発させて、394mgの純粋な生成物(96%収率)を生じた。
【0101】
【化5】

【0102】
(v)2−({2−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]エチル}チオ)−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸メチル
2−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]エタンチオール(334mg,1.4mmol)、2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸メチル(394mg,0.95mmol)および炭酸カリウム(189mg,1.4mmol)を、14mlの乾燥DMF中に溶解させ、窒素雰囲気下において室温で一晩撹拌した。
【0103】
溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をトルエン中に溶解させた。有機相を洗浄し(水、ブライン)、乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。CHCN/5%CHCN−0.1M NHOAc含有水相の勾配を用いた分取HPLCによる更なる精製は、477mgの所望の生成物(75%収率)を生じた。
【0104】
【化6】

【0105】
(vi)2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸メチル
2−({2−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]エチル}チオ)−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸メチル(477mg,0.8mmol)および15mlのジクロロメタンの溶液に、ジメチルスルフィド(239mg,3.8mol)および三フッ化ホウ素エーテラート(545mg,3.8mmol)を加えた。18時間撹拌後、水をその反応に加えた。相を分離し、そして水性相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(MgSO)、減圧下で蒸発させた。274mgの所望の生成物(67%収率)を油状物として得た。
【0106】
【化7】

【0107】
(vii)2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸
2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸メチル(105mg,0.2mmol)を、6.5mlのTHFおよび水の7:1混合物中に溶解させ、氷浴上で冷却した。水酸化リチウム(9.4mg,0.4mmol)を加えた。室温で24時間撹拌後、その反応混合物に水を加えた。THFを減圧下で蒸発させ、残留物を1M塩酸で酸性にした。水相をEtOAc(x3)で抽出し、有機相をプールし、洗浄し(水、ブライン)、乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。粗生成物を、分取HPLC(溶離剤:CHCN/5%CHCN−0.1M NHOAc含有水相)を用いて精製して、74mgの所望の生成物(97%収率)を油状物として生じた。
【0108】
【化8】

【0109】
(viii)(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸
2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のラセミ体を、キラルクロマトグラフィーを用いてその鏡像異性体へと分離した。Chiralpak AD JDB01+AS003(336x100mm内径)および100/0.01%のエタノール/ギ酸を、移動相として用いた。ラセミ体(9g)をエタノール中に溶解させ、カラム上に注入した。最初に溶離したピークを集め、UV検出した。生成物(4.1g)を、>99%の鏡像異性体純度で得た。旋光は、鏡像異性体をメタノール中に溶解させて0.64g/100mlの濃度を生じることにより、[α]20=−33°であることが判明した。旋光は、20℃において589nmでのナトリウムラインを用いて測定した。
【0110】
【化9】

【0111】
実施例1
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸 tert−ブチルアミン塩
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸(125mg)を、エタノール(0.5 ml)中に室温で溶解させた。tert−ブチルアミンを加えた(1eq.,26μl)。結晶化は、約40〜50分後に開始した。そのスラリーを一晩放置した。次に、追加のエタノールを加え(0.5ml)、それを30分間放置した。最後に、結晶を濾去し、エタノール(0.2ml)で洗浄し、4時間自然乾燥させた。生成物は、約68%の収率に相当する白色乾燥結晶性粉末(98mg)であった。
【0112】
実施例2
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸ピペラジン塩
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸(125mg)を、酢酸エチル(0.5ml)中に室温で溶解させた。酢酸エチル中のピペラジンの溶液(1モル当量)を徐々に加えた。生成物を濾過によって集めて、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のピペラジン塩を生じた。
【0113】
実施例3
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸ピペラジン塩
トルエンを溶媒として用いることを除いた実施例2の反復は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のピペラジン塩を生じた。
【0114】
実施例4
エタノール(40ml)中のトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(459.6mg)の溶液を、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル-]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]-プロパン酸(1.96g,1.0当量)のエタノール溶液(20ml)に25℃で撹拌しながら滴加した。その溶液を一晩撹拌後、24時間にわたって蒸発させた。白色固体が晶出した。その白色固体をアセトン中で24時間スラリーにした後、溶媒を蒸発乾固させた。得られた結晶性白色固体は、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン1.0:1.0塩の一つの多形であった。
【0115】
実施例5
エタノール/メタノール(60ml,40:20)中の無水(L)−リシン(515.0mg)の溶液を、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]-チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸(1.82g,1.0当量)のエタノール溶液(20ml)に25℃で撹拌しながら滴加した。その溶液を一晩撹拌後、24時間にわたって蒸発させた。白色固体が晶出した。これを、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸リシン1.0:1.0塩1型と称した。
【0116】
1型(40mg)を、IPA/水(1.17mlのIPA,0.18mlの水)中で25℃において3日間スラリーにした後、白色固体を濾去し、自然乾燥させた。この白色固体を、(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸リシン1.0:1.0塩2型と称した。
【0117】
実施例6
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]-チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸(0.42g,0.81mmol)を、丸底フラスコ中の酢酸エチル(10ml)中に溶解させた。アダマンチルアミン(0.123g,0.81mmol)を、少量ずつの塩化メチレン(2ml)中に溶解させ、その溶液を丸底フラスコに加えた。溶媒を、室温で徐々に、4分の1の溶媒が残るまで蒸発させた。結晶を濾過によって単離し、真空下で乾燥させて、0.25g、46%収率の(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]-チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸アダマンチルアミン塩を生じた。
【0118】
性状
(1)(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のピペラジン塩の性状の実施例。
【0119】
DSCは、約105℃の外挿開始温度での吸熱を示した。TGAは、24〜95℃で約0.4%w/wの損失重量を示した。より純粋な試料について反復されたDSC分析は、より高い融点を生じることができる。(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の(上の実施例でおよび/または他の方法で得られた)ピペラジン塩の結晶を、XRPDによって分析したが、それら結果を、下の表および図Aに示す。
【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
(2)(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩の性状の実施例。
【0123】
DSCは、約123℃の外挿開始温度での吸熱を示した。TGAは、25〜80℃で約0.5%w/wおよび80〜125℃で約2.5%w/wの損失重量を示した。より純粋な試料について反復されたDSC分析は、より高い融点を生じることができる。(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の(上の実施例でおよび/または他の方法で得られた)tert−ブチルアミン塩の結晶を、XRPDによって分析したが、それら結果を、下の表および図Bに示す。
【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
【表6】

【0127】
図C、図Dおよび図Eの標準的なXRD測定条件
試料を、30rpmで回転させて、統計量計数を向上させる。X線は、a:40kVおよび40mAで操作される「銅ロング・ファインフォーカス管(copper long-fine focus tube)」、1.5418ÅのX線波長で生じる。各々の試料についてのデータは、標準的なシンチレーション検出器を用いて得る。平行X線源を、V20(20mm経路長さ)で設定した Automatic Variable Divergence Slit 介して通過させ、反射した放射線を、2mm散乱防止スリットおよび0.2mm検出器スリットを介して方向づけた。各々の試料に、θ−θモードで2°〜40°2θの範囲にわたって0.02°2θ増分につき4秒間照射した(連続走査モード)。注意せよ。各々の試料の実行時間は、したがって、2時間6分40秒である。第二ソーラースリットが正しい位置に置かれていることに留意されたい。
【0128】
(3)(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩の性状の実施例。
【0129】
DSC:
DSC吸熱開始=115℃
TGA:
25〜100℃の損失重量=0.1%w/w
100〜165℃の損失重量=0.2−%w/w
【0130】
【表7】

【0131】
【表8】

【0132】
(4)(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸のリシン塩の性状の実施例。
【0133】
1型
DSC:
DSC吸熱開始=155℃
TGA:
25〜100℃の損失重量=0.6%w/w
100〜165℃の損失重量=<0.1%w/w
【0134】
【表9】

【0135】
【表10】

【0136】
2型
DSC:
DSC吸熱開始=159℃
TGA:
25〜100℃の損失重量=0.5%w/w
100〜165℃の損失重量=0.2%w/w
【0137】
【表11】

【0138】
【表12】

【0139】
生物学的活性
本発明の化合物の活性を、WO03/051821号に記載の検定で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、コリン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩、リシン塩またはアダマンチルアミン塩。
【請求項2】
(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸の tert−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、コリン塩またはトリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩より選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
tert−ブチルアミン塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
ピペラジン塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項5】
コリン塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項6】
トリス(ヒドロキシメチル)メチル-アミン塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項7】
リシン塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項8】
アダマンチルアミン塩、請求項1に記載の塩。
【請求項9】
溶媒和化合物、水和物、混合溶媒和化合物/水和物、非溶媒和化合物または非水和物であってよい、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物を、薬学的に許容しうるアジュバント、希釈剤および/または担体との混合物で含む医薬製剤。
【請求項11】
インスリン抵抗性に関連しているか否かにかかわらない脂質障害(異常脂質血症)を処置するまたは予防する方法であって、それを必要としている哺乳動物への請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の投与を含む方法。
【請求項12】
インスリン抵抗性に関連しているか否かにかかわらない脂質障害(異常脂質血症)の処置用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
2型糖尿病を処置するまたは予防する方法であって、それを必要としている哺乳動物への有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の投与を含む方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物を、高血圧症、高脂質血症、異常脂質血症、糖尿病および肥満症のような、アテローム性動脈硬化症の発症および進行に関連した障害の処置において有用である別の治療薬と組み合わせて含む医薬組成物。

【公表番号】特表2006−527749(P2006−527749A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516428(P2006−516428)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002576
【国際公開番号】WO2004/113283
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】