説明

(1S,4R)−または(1R,4S)−4−(2−アミノ−6−クロロ−9H−プリン−9−イル)−2−シクロペンテン−1−メタノールの製造方法

【課題】医薬中間体として有用な4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】第一段階において、4−アミノ−2−シクロペンテンカルボン酸のラセミ体または光学活性な異性体のいずれか1つを、カルボン酸ハロゲン化物でアシル化して、4−アシルアミノ−2−シクロペンテンカルボン酸誘導体とし、第二段階において該アシルアミノ−2−シクロペンテンカルボン酸誘導体を還元することによる、下式で表される4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体(XIII)の製造方法。


[式中、RはC1〜4アルキル等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【発明の説明】
【0001】
本発明は、下記の式IおよびIIの(1S,4R)−または(1R,4S)−4−(2−アミノ−6−クロロ−9H−プリン−9−イル)−2−シクロペンテン−1−メタノール
【化1】

【0002】
の製造方法に関し、また、下記の一般式XVIおよびXVIIの光学活性な化合物
【化2】

【0003】
の製造方法にも関する。
【0004】
(1S,4R)−4−(2−アミノ−6−クロロ−9H−プリン−9−イル)−2−シクロペンテン−1−メタノールは、2−アミノプリン・ヌクレオシドの製造、たとえば(1S,4R)−4−[2−アミノ−6−(シクロプロピルアミノ)−9H−プリン−9−イル]−2−シクロペンテン−1−メタノールの製造(WO 95/21 161)、または1592U89(J.Org.Chem.,1996,61,4192−4193; J.Org.Chem.,1996,61,7963−7966)の製造における、重要な中間体である。
【0005】
(1S,4R)−4−アミノ−2−シクロペンテン−1−メタノールから出発する(1S,4R)−4−(2−アミノ−6−クロロ−9H−プリン−9−イル)−2−シクロペンテン−1−メタノールの製造は、WO 95/21 161に記述されている。その方法の不利な点は、前駆体(1S,4R)−4−アミノ−2−シクロペンテン−1−メタノールが、(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの、費用のかかるBOC保護基(t−ブチロキシカルボニル保護基)で置換されたものを経て、初めて入手できるということである(J.Org.Chem.,1995,60,4602−4616)。
【0006】
本発明の目的は、(1S,4R)−または(1R,4S)−4−(2−アミノ−6−クロロ−9H−プリン−9−イル)−2−シクロペンテン−1−メタノールの、簡単でコストが安く、かつ経済的な製造方法を提供することにある。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の新規な方法によって達成される。
【0008】
その新規な方法の第一段階は、下式III の(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン
【化3】

【0009】
をアシル化して、下の一般式IVの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン誘導体
【化4】

【0010】
(式中、RはC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アリールまたはアリロキシを表す。)を得ることからなる。
【0011】
1〜4アルキルは、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。 ここで置換C1〜4アルキルとは、ハロゲン原子で置換されているものを意味する。F,Cl,BrまたはIが、ハロゲン原子として使用できる。 C1〜4アルキルを挙げれば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチルである。 C1〜4アルキルとして好ましく使用されるものは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチルまたはクロロメチルである。
【0012】
1〜4アルコキシとしては、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシまたはイソブトキシを使用することができる。C1〜4アルコキシとして好ましく使用されるものは、t−ブトキシである。
【0013】
アリールとしては、たとえばフェニルまたはベンジル、好ましくはフェニルを使用することができる。 アリロキシとしては、たとえばベンジロキシまたはフェノキシが使用できる。
【0014】
前駆体である(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンは、EP−A 0508352の開示に従って製造できる。
【0015】
アシル化は、一般式XIのカルボン酸ハロゲン化物
【化5】

【0016】
を使用するか、または一般式XIIのカルボン酸無水物
【化6】

【0017】
(これらの式中、Rは前記した意味を有し、Xはハロゲン原子を表す。 F,Cl,BrまたはIがハロゲン原子として使用できる。 ClまたはFが好ましく使用される。)
を使用することによって実施できる。
【0018】
カルボン酸ハロゲン化物の例は、アセチルクロライド、クロロアセチルクロライド、ブチリルクロライド、イソブチリルクロライド、フェニルアセチルクロライド、ベンジルクロロフォルメート(Cbz−Cl)、プロピオニルクロライド、ベンゾイルクロライド、アリルクロロフォルメートまたはt−ブチロキシカルボニルフルオライドである。 カルボン酸無水物の例は、ジ−t−ブチルジカーボネート、無水ブタン酸、無水酢酸または無水プロピオン酸である。
【0019】
アシル化は、溶剤を使用せずに実施することもできるし、アプロティックな溶剤を使用して実施することもできる。
【0020】
アシル化は、アプロティックな溶剤中で好都合に実施することができる。 適切なアプロティック溶剤の例は、ジイソプロピルエーテル、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルフォルムアミド、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、トルエン、メチレンクロライ
ド、N−メチルピロリジンまたはこれらの混合物である。
【0021】
アシル化は、温度−80〜50℃、好ましくは0〜25℃において、好都合に実施することができる。
【0022】
この新規な方法の第二段階では、式IVの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5エン−3−オン誘導体を還元して、一般式Vのシクロペンテン誘導体
【化7】

【0023】
(式中、Rは前記した意味を有する。)とする。
【0024】
この還元は、アルカリ金属ボロハイドライドもしくはアルカリ土類金属ボロハイドライドを使用して、またはアルカリ金属アルミニウムハイドライドもしくはアルカリ土類金属アルミニウムハイドライド、またはヴィトライド“Vitride”すなわちナトリウム・ビス(2−メトキシエチル)アルミニウム・ハイドライドを使用して、好都合に実施することができる。 ナトリウムまたはカリウムのアルミニウムハイドライドが、アルカリ金属アルミニウムハイドライドとして使用できる。 カルシウムボロハイドライドが、アルカリ土類金属ボロハイドライドとして使用できる。 アルミニウムナイトライドが、ナイトライドとして使用できる。
【0025】
還元は、プロティックな溶剤中で好都合に実施することができる。使用できるプロティックな溶剤は、低級アルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノールもしくは水、または上記のアルコールと水との混合物である。
【0026】
還元は、温度−40〜40℃、好ましくは0〜20℃において、好都合に実施することができる。
【0027】
この新規な方法の第三段階では、一般式Vのシクロペンテン誘導体を、式VIまたはVII の(1S,4R)−または(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体
【化8】

【0028】
とする変換を、微生物を利用するか、または、N−アセチルアミノアルコール・ヒドロラーゼ活性またはペニシリンGアシラーゼ活性を有する酵素を利用するかして、実施する。 このバイオ変換は、アシル化された(1S,4R)−または(1R,4S)−アミノ
アルコールを変換して(1R,4S)−または(1S,4R)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン(一般式VIまたはVII)とする。
【0029】
一般式Vのシクロペンテン誘導体を、唯一の窒素源として、唯一の炭素源として、または唯一の窒素源および唯一の炭素源として資化する能力をもった微生物は、すべてこの変換に適している。 そのような微生物は、土壌のサンプル、スラッジ、または排水から、それらを、一般式Vのシクロペンタン誘導体を、
【化9】

【0030】
(式中、Rは前記した意味を有する。)
・唯一の窒素源および唯一の炭素源として含有するか、
・唯一の窒素源として含有し、かつ適宜の炭素源をも含有するか、または
・唯一の炭素源として含有し、かつ適宜の窒素源をも含有する
栄養培地中で、常法に従って培養することにより、単離することができる。
【0031】
一般式Vのシクロペンタン誘導体の適切なものの例は、N−アセチル−、N−プロピオニル−、N−イソブチリル−、N−t−ブトキシカルボニル(NBOC)、N−ブチリルまたはN−フェニルアセチル−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンタンである。
【0032】
微生物は、適当な窒素源として、たとえばアンモニア、硝酸塩、アミノ酸または尿素を、成長の基質として利用することができる。 微生物は、適当な炭素源として、たとえば糖類、糖アルコール、C−C カルボン酸またはアミノ酸を、成長の基質として利用することができる。 グルコースのようなヘキソースや、ペントースが糖類として使用できる。 たとえばグリセロールは、糖アルコールとして使用できる。 C−Cカルボン酸としては、たとえば酢酸またはプロピオン酸が使用できる。 アミノ酸としては、たとえばロイシン、
アラニン、アスパラギンが使用できる。
【0033】
選択のための培地および培養のための培地として使用できるものは、当業者が常用しているもの、たとえば下記の表1に記載したもの、または完全培地(イーストエキスを含有する培地)たとえば栄養イーストブロス(NYB)であるが、表1に記載のものを使用
することが好ましい。
【0034】
培養および選択の間、微生物の活性酵素が好都合に誘発される。 一般式Vのシクロペンテン誘導体は、酵素誘発剤として役立つ。
【0035】
培養および選択は、通常、温度20℃から40℃、好ましくは30℃から38℃で、pH5.5からpH8の間で、好ましくはpH6.8からpH7.8の間で行なわれる。
【0036】
バイオ変換は、シクロペンタン誘導体のうち(1S,4R)異性体を唯一の炭素源として、唯一の炭素源および窒素源として、または唯一の窒素源として資化するものを用いて実施するのが好適である。
【0037】
バイオ変換は、好ましくは、アルカリゲネス/ボルデテラ(Alcaligenes/Bordetella)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アースロバクター(Arthroebacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、アグロバクテリウム/リゾビウム(Agrobacterium/rhizobium)、バチルス(Bacillus)、シュードモナス(Pseudomonas) またはゴルドナ(Gordona)属の微生物を利用して実施する。 とりわけ好ましいのは、アルカリゲネス/ボルデテラFB188(DSM11172)種、ロドコッカス・エリスロポリス(R. erythropolis)CB101(DSM10686)種、アースロバクターsp.HSZ5(DSM10328)、ロドコッカスsp.FB387(DSM11291)、アルカリゲネス・キシロソキシダンス(A. xylosoxydans)ssp.デニトリフィカンス(denitrificans)HSZ17(DSM10329)、アグロバクテリウム/リゾビウムHSZ30、バチルス・シンプレックス(B.simplex)K2、シュードモナス・プチダ(S. putuda)K32、またはゴルドナsp.CB100(DSM10687)、およびこれらの機能的に同等な変異種および突然変異種である。 ブダペスト条約に従う、ドイッチェザンムルング・フォン・ミクロオーガニスメン・ウント・ツエルクルトゥーレンGmbH,マシェローダヴェク1b,D38124,ブラウンシュヴァイクへの寄託は、微生物DSM10686およびDSM10687に関しては1995年5月20日、微生物DSM10328およびDSM10329に関しては1995年11月6日、微生物DSM11291に関しては1996年10月8日、そして微生物DSM11172に関しては1995年9月20日に、それぞれ行なわれた。
【0038】
「機能的に同等な変異種および突然変異種」とは、オリジナルな微生物として本質的に同じ特性と機能を有する微生物を意味する。 この種の変異種および突然変異種は、偶然に、たとえばUV照射によって作り出すことができる。
【0039】
アルカリゲネス/ボルデテラFB188(DSM11172)の分類学的記述
細胞の形 捍状
幅 μm 0.5−0.6
長さ μm 1.0−2.5
運動性 +
鞭毛化 ペリトリカス
グラム反応性 −
3%KOHによる分解 +
アミノペプチダーゼ(ツエルニー) +
胞子 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ) −
NOからのNO
脱硝化 −
ウレアーゼ −
ゼラチンの加水分解 −
酸の生成(OF試験)下記物質から:
グルコース −
フラクトース −
アラビノース −
アジペート +
カプレート +
シトレート +
マレート +
マンニトール −。
【0040】
ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)の分類学的記述
1.コロニーの形態および色: 短い分岐した菌糸で、古くなると棒状体と球状体とに分解する。コロニーは光輝があり、部分的に融合的であって、ピンク色を帯びたベージュ色。RAL 1001;
2.ペプチドグリカンの判別されたアミノ酸: メソジアミノピメリン酸;
3.ミコリン酸: ロドコッカスミコリン酸; ミコリン酸鎖長(C32−C44)の測定、および寄託時のデータをDSMのミコリン酸データバンクと比較することにより、ロドコッカス・エリスロポリス株のパターンとの間に、大きな類似性のあることがわかった(類似度0.588)。
【0041】
4.脂肪酸パターン:非分岐の飽和および不飽和の脂肪酸にプラスしてチューバーキュロステアリン酸。
【0042】
5.菌株の16S rDNA の部分的な配列に基づいて、ロドコッカス・エリスロポリスの特定の領域における配列との間に、高いレベルでの一致(100%) が見出された。
【0043】
上記の同定の結果は、非多義的である。その理由は、3種(ミコリン酸、脂肪酸、16S rDNA)の相互に独立した方法で、この菌株にロドコッカス・エリスロポリス種の判定が与えられたからである。
【0044】
ゴルドナsp.CB100(DSM10687)の分類学的記述
1.コロニーの形態および色: 短い分岐した菌糸で、古くなると棒状体と球状体とに分解する。 コロニーは淡いオレンジ色。(RAL 2008);
2.ペプチドグリカンの判別されたアミノ酸: メソジアミノピメリン酸;
3.メナキノン・パターン: MK−9(H2)100%;
4.ミコリン酸: ゴルドナミコリン酸; ミコリン酸の鎖長(C50−C60)は高温ガスクロマトグラフィーによって測定した。 そのパターンは、代表的なゴルドナ属に見いだされるパターンに対応している。
【0045】
5.脂肪酸パターン:非分岐の飽和および不飽和の脂肪酸にプラスしてチューバーキュロステアリン酸。
【0046】
6.菌株の16S rDNA の部分的な配列に基づいて、ゴルドナ・リュブロパーチンクタ(G. rubropertincta) の特定の領域における配列との間に、比較的低い一致(98.8%)が見出されただけである。
【0047】
判明した結果(メナキノン、ミコリン酸、脂肪酸、16S rDNA)に基づけば、単離した菌はゴルドナ属に非多義的に分類できないわけではないが、これらの結果だけで既知のゴルドナのいずれかの種に分類することは不可能である。
【0048】
アルカリゲネス・キシロソキシダンスssp.デニトリフィカンスHSZ17(DSM10329)の分類学的記述
株の特性
細胞の形 捍状
幅 μm 0.5−0.6
長さ μm 1.5−3.0
運動性 +
鞭毛化 ペリトリカス
グラム反応性 −
3%KOHによる分解 +
アミノペプチダーゼ(ツエルニー) +
胞子 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
嫌気的成長 −
ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ) +
NOからのNO
脱硝 +
ウレアーゼ −
加水分解
ゼラチンの −
ツイーン(Tween)80の −
酸の生成(OF試験):
グルコース 好気的 −
キシロース80 −
基質の資化
グルコース −
フラクトース −
アラビノース −
シトレート +
マレート +
マンニトール −
アースロバクターsp.HSZ5(DSM10328)の分類学的記述
特徴 グラム陽性 不規則な捍状であって、顕著な捍−球の成長サイクル; 厳密に好気的; グルコースからの酸またはガスの生成なし
運動性 −
胞子 −
カタラーゼ +
細胞壁中のメソ−ジアミノピメリン酸:なし
ペプチドグリキカン型: A3α, L-Lys-L-Ser-L-Thr-L-Ala
16S rDNA 配列の類似性: 最大の変動率をもつ領域の配列に関して見いだされた最も高い値は、アースロバクター・パセンス(A. pascens)、エー・ラモスス(A. ramosusu) およびエー・オキシダンス(A. oxydans)に対する98.2%である。
【0049】
アグロバクテリウム/リゾビウムHSZ30の分類学的記述
細胞の形 プレオモルフィックな捍状
幅 μm 0.6−1.0
長さ μm 1.5−3.0
グラム反応性 −
3%KOHによる分解 +
アミノペプチダーゼ +
胞子 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
運動性 +
嫌気的成長 −
硝酸塩から亜硝酸塩 −
脱硝 −
ウレアーゼ +
ゼラチンの加水分解 −
酸の生成:
L−アラビノース +
ガラクトース −
メレジトース −
フコース +
ラビトール −
マンニトール −
エリスリトール −
リトマスミルクのアルカリ化 +
ケトラクトース −
16S rDNA の部分的な配列から、約96%の、比較可能な程度に大きい類似性が、アグロバクテリウム属およびリゾビウム属の代表的なものとの間に見いだされた。これらの属の中での、特定の種に非多義的な分類をすることは可能ではない。
【0050】
バチルス・シンプレックスK2の分類学的記述
細胞の形 捍状
幅[μm] 0.8−1.0
長さ[μm] 3.0−5.0
胞子 −
楕円体 −
環状体 −
スポランギウム −
カタラーゼ +
嫌気的成長 −
VP反応 n.g.
最高温度
積極的な成長 ℃ 40
消極的な成長 ℃ 45
培地のpH5.7における成長 −
NaCl 2% +
5% −
7% −
10% −
リゾチーム培地 +
酸の生成:
D−グルコース +
L−アラビノース +
D−キシロース −
D−マンニトール +
D−フラクトース +
フラクトースからのガス −
レシチナーゼ −
加水分解
デンプンの +
ゼラチンの +
カゼインの −
ツイーン80の +
アエスクリンの −
資化
シトレートの +
プロピオネートの −
硝酸塩から亜硝酸塩 +
インドール −
フェニルアラニン・デアミナーゼ −
アルギニン・ジヒドロラーゼ −
細胞の脂肪酸を分析した結果、バチルス属への帰属が確認された。16S rDNA の部分的配列決定により、バチルス・シンプレックスへの類似性が100%認められた。
【0051】
シュードモナス・プチダK32の分類学的記述
細胞の形 捍状
幅[μm] 0.8−0.9
長さ[μm] 1.5−4.0
運動性 +
鞭毛化 極>1
グラム反応 −
3%KOHによる分解 +
アミノペプチダーゼ +
胞子 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
嫌気的成長 −
色素
蛍光色 +
ピオシアニン −
ADH +
硝酸塩から亜硝酸塩 −
脱硝 −
ウレアーゼ −
ゼラチンの加水分解 −
基質の資化
アジペート −
シトレート +
マレート +
D−マンデレート +
フェニルアセテート +
D−酒石酸塩 −
D−グルコース +
トレハロース −
マンニトール −
ベンゾイルフォルメート −
プロピレングリコール +
ブチルアミン +
トリプタミン −
アセタミド +
馬尿酸塩 +
細胞の脂肪酸のプロフィールは、シュードモナス・プチダに典型的なものである。
【0052】
16S rDNA の部分的な配列により、シュードモナス・メンドシーナ(P.mendocina)およびシュードモナス・アルカリゲネス(P. alcaligenes)への類似性が、約98%認められた。 シュードモナス・プチダへの類似性は、97.4%であった。
【0053】
ロドコッカスsp.FB387(DSM11291)の分類学的記述
1.コロニーの形態および色: 短い分岐した菌糸で、古くなると棒状体と球状体とに分解する。 コロニーはツヤがなく、淡い赤オレンジ色。 RAL 2008;
2.ペプチドグリカンの判別されたアミノ酸: メソジアミノピメリン酸;
3.ミコリン酸: ロドコッカスミコリン酸; ミコリン酸鎖長(C32−C44)の測定、および寄託時のデータをDSMのミコリン酸データバンクと比較することにより、ロドコッカス・ルーバー(R. ruber)株のパターンとの間に、ごく小さな類似性のあることがわかった(類似度0.019)。 この相関係数はあまりに低く、種の同定には使えない。
【0054】
4.脂肪酸パターン:非分岐の飽和および不飽和の脂肪酸にプラスしてチューバーキュロステアリン酸。 この脂肪酸パターンは、ロドコッカス属の代表的な菌のすべてとそれに近い関係を有するもの、たとえばミコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルディア(Nocardia) およびゴルドナに関して、判別を可能にするものである。 脂肪酸パターンの定性的および定量的な相違を含めることによって、種のレベルへの異同の決定を行なうことを企てた。 多数の方法を利用して、ロドコッカスsp.FB387の脂肪酸パターンのデータをデータバンクのそれらと比較した。 しかし、この方法では、ロドコッカスsp.FB387を、すでに記述されたいずれかの種に分類することは、類似度が小さい(0.063)ため、可能ではなかった。
【0055】
5.菌株の16S rDNA の部分的な配列に基づいて、96−818は、ロドコッカス・オパクス(R. opacus)に、相関度97.9%をもって分類された。この配列の一致は、この分類の非多義的な種の決定に必要な99.5%に対して、はるかに低い。
【0056】
得られる結果に基づき、ロドコッカスsp.FB387株は、新規であって、いまだロドコッカス種において記述されたことがないと推測される。
【0057】
バイオ変換は、常法に従ったこれら微生物の初期の培養の後、静止細胞(成長していない細胞で、もはや炭素源もエネルギー源も必要としない)を用いて、または成長している細胞を用いて、実施することができる。 バイオ変換は、静止細胞を用いて実施することが好ましい。
【0058】
N−アセチルアミノアルコール・ヒドロラーゼ活性を有し、バイオ変換に適切な酵素は、上述した微生物の細胞から、当業技術で常用の方法たとえば細胞壁の破壊によって、単離することができる。 この目的には、たとえば超音波またはフレンチプレス法が利用できる。 これらの酵素は、微生物ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)から単離することが好ましい。
【0059】
適切なペニシリンGアシラーゼは、多くの微生物から得ることができる。 たとえば、バクテリアまたはアクチノミセテスであり、とりわけ下に記す微生物である: エシェリチア・コリ ATCC 9637、バチルス・メガテリウム、ストレプトミセス・ラベンデ
ュラエ(Streptmyces lavendulae) ATCC 13664、ノカルディアsp.ATCC 13635、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri) ATCC 9918、アースロバクター・ヴィスコスス(A.viscosus) ATCC 15294、ロドコッカス・ファシアンス(R. fascians)ATCC 12975、ストレプトミセス・フェオクロモゲネス(Streptmyces phaeochromogenes) ATCC 21289、アクロモバクター ATCC 23584およびミクロコッカス・ロゼウス(Micrococcus roseus) ATCC 416。購入可能なペニシリンGアシラーゼが使用でき、たとえば、E.コリからのペニシリンGアシラーゼEC3.5.1.11(ベーリンガー・マンハイム)またはバチルス・メガテリウムからのものが使用できる。
【0060】
固定化したペニシリンGアシラーゼが、好ましい態様で使用される。
【0061】
バイオ変換は、当業技術で常用の培地、たとえば水に低いモル濃度で溶解したフォスフェート、シトレートまたはヘペス(Hepes)の緩衝液、完全培地たとえば栄養イーストブロス(NYB)または前掲の表の培地を使用して実施できる。バイオ変換は、好ましくは表1に記載した培地、または低モル濃度フォスフェート緩衝液中で実施する。
【0062】
本発明のバイオ変換は、シクロペンテン誘導体(式V)の一回の、または連続的な添加のもとに、その濃度が10重量%、好ましくは2重量%を超えないようにして行なうのが好都合である。
【0063】
バイオ変換の間のpHは、5から9、好ましくは6から8の範囲内とすることができる。 バイオ変換は、温度20から40℃、好ましくは25から30℃において、好都合に実施できる。
【0064】
第4段階においては、シクロペンタン誘導体(式VIまたはVII)は、式VIIIのN−(2−アミノ−4,6−ジクロロ−5−ピリミジニル)フォルムアルデヒド
【化10】

【0065】
を用いて、式IXまたはXの(1S,4R)−または(1R,4S)−4−[(2−アミノ−6−クロロ−5−フォルムアミド−4−ピリミジニル)アミノ]−2−シクロペンテン−1−メタノール
【化11】

【0066】
に変換する。
【0067】
N−(2−アミノ−4,6−ジクロロ−5−ピリミジニル)フォルムアミドは、WO 95/21161の開示に従って製造することができる。
【0068】
第四段階は、塩基の存在下に好都合に実施することができる。 塩基としては、有機塩基も無機塩基も使用できる。 トリアルキルアミンが、有機塩基として使用できる。 使用できるトリアルキルアミンの例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、ピリジンまたはN−メチルピロリドンでる。 使用できる無機塩基の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、たとえば炭酸カリウムまたは炭酸水素ナトリウムである。
【0069】
第四段階の反応は、プロティックな溶媒の中で好都合に実施できる。 低級脂肪族アルコール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールまたはイソブタノールが、プロティックな溶媒として使用できる。
【0070】
第四段階の反応は、温度0から150℃、好ましくは20から100℃において好都合に実施できる。
【0071】
第五段階においては、(1S,4R)−または(1R,4S)−4−[(2−アミノ−6−クロロ−5−フォルムアミド−4−ピリミジニル)アミノ]−2−シクロペンテン−1−メタノール(式IX,X)を、WO 95/21 161に開示された既知の方法によって環化し、式IまたはIIの最終生成物とする。
【0072】
環化は、通常、オルト蟻酸トリアルキルに溶解して、濃厚な水性の酸の存在下に実施する。使用できるオルト蟻酸トリアルキルは、トリメチルまたはトリエチル・オルトフォルメートである。 水性の酸としては、たとえば、塩酸、硫酸またはメタンスルフォン酸を使用することができる。
【0073】
本発明はさらに、一般式XVI またはXVIIの光学活性な化合物
【化12】

【0074】
(式中、Rは前記した意味を有する。)の製造方法にも関する。 これらの化合物は、式Vのシクロペンテン誘導体を、
【化13】

【0075】
(式中、Rは前記した意味を有する。)微生物、N−アセチルアミノ−アルコール・ヒドロラーゼまたはペニシリンGアシラーゼを利用して、式VIおよびVII(1R,4S)−または(1S,4R)−1−アミノ−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン
【化14】

【0076】
に変換し、それを環化して式XVIまたはXVIIの化合物にすることによって、製造することができる。 これらの手段については、すでに記述した。
【0077】
微生物による変換も、環化も、ともにすでに述べたところとそれ自体同じ条件で実施することができる。
【0078】
環化は、温度0℃から100℃、好ましくは20℃から80℃において好都合に実施することができる。
【0079】
この方法によって製造される光学活性な化合物の例は、(1R,4S)−N−t−ブトキシカルボニル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンのee98%のもの、(1R,4S)−N−アセチル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンのee98%のもの、(1R,4S)−N−ブチリル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンのee98%のもの、光学活性な(1S,4R)−N−アセチル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンおよび光学活性な(1S,4R)−N−ブチリル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンである。
【0080】
これらの化合物のうち、光学活性な(1R,4S)−N−ブチリル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンは、文献未記載の化合物である。 従って、本発明は光学活性な(1R,4S)−N−ブチリル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンのエナンチオマーエクセスが0%を超えるもの、好ましくは80%以上、90%ないし95%のエナンチオマーエクセス、とりわけ98%以上のエナンチオマーエクセスを有するものにも関する。 これらの光学活性な化合物は、当業者に既知の手法によってラセミ化し、ラセミ体のN−ブチリル−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンとすることができる。 これもまた、文献に記載されたことがない物質である。
【0081】
一般式XIIIの光学的に活性な4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体
【化15】

【0082】
(式中、Rは前記した意味を有する。)
の製造は、第一段階において、式XIVのシクロペンテン−4−カルボン酸
【化16】

【0083】
のラセミ体または光学活性な異性体のいずれかを、一般式XIのカルボン酸ハロゲン化物
【化17】

【0084】
(式中、RおよびXは前記した意味を有する。)
を使用してアシル化し、一般式XVのシクロペンテン−4−カルボン酸誘導体としたのち、
【化18】

【0085】
第二段階において、後者を還元して式XIIIの所望の化合物を得ることからなる。
【0086】
ここで、光学活性4−(ヒドロキシメチル)−シクロペンテン誘導体(式XIII)および光学活性4−(ヒドロキシメチル)−シクロペンテン誘導体(式XV)の語は、対応する(1R,4S)または(1S,4R)異性体を意味する。
【0087】
この製造方法の第一段階すなわちアシル化は、一般式XIのハロゲン化カルボニルを使用して実施する。 使用できるハロゲン化カルボニルは、すでに記載したところで挙げたものと同じであって、t−ブチロキシカルボニルが好ましく使用される。
【0088】
第一段階の反応は、pH8〜14、好ましくは12〜14、温度0〜50℃、好ましくは15〜25℃で、好都合に実施できる。
【0089】
適当な溶媒は、水とエーテル類との混合物である。 使用できるエーテル類はジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、グリコールのジメチルまたはジエチルエーテルである。
【0090】
製造方法の第二段階である還元は、アルカリ金属アルミニウムハイドライドを用いて、ボラン/ジ−C1-4 アルキルサルファイド錯体を用いて、またはボラン/テトラヒドロフラン錯体を用いて実施することができる。 リチウム、ナトリウムまたはカリウムのアルミニウムハイドライドが、アルカリ金属アルミニウムハイドライドとして使用でき、中でもリチウムアルミニウムハイドライドが好ましく使用される。 ボラン/ジメチルサルファイド、ボラン/ジエチルサルファイド、ボラン/ジプロピルサルファイドまたはボラン/ジブチルサルファイドの錯体が、ボラン/ジ−C1-4 アルキルサルファイド錯体として使用できる。 ボラン/ジメチルサルファイド錯体が好ましく使用される。
【0091】
第二段階においては、溶媒として、上記したエーテル類のいずれかを、水を混合せずに使用することが好都合である。
【0092】
第二段階の反応は、温度−50〜5℃、好ましくは−25〜−10℃において実施することができる。
【実施例】
【0093】
[実施例1]
(±)−2−アセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
100gの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンをアセトニトリル(800ml)およびピリジン(161.26ml)中に、窒素雰囲気下に溶解した。 12℃において、104.5gのアセチルクロライドを、2時間にわたって、滴下して加えた。 混合物を、室温で4.5時間撹拌した。 800mlの水を混合物に加え、アセトニトリルを減圧下に蒸発させて除いた。 水相を3回、400mlの酢酸エチルで抽出した。 一体にした有機相を1NのHCl(400ml)、水(400ml)、飽和NaCl溶液(400ml)で洗浄したのち、硫酸マグネシウムで乾燥し、完全に蒸発させた。 その残渣をメチレン・クロライドにとり、シリカゲルを通して濾過した。 濾液を濃縮し、生成物
を蒸留により精製した。 107.76gの生成物が、透明な液体として得られた。 収率は71%。 沸点(0.07torr):51℃。
【0094】
H−NMR(CDCl3 ):δ[ppm] 2.25(AB syst.,2H)
400MHz 2.8 (s,3H);
3.42(m,1H);
5.30(m,1H);
6.89(m,1H);
6.92(m,1H)。
【0095】
[実施例2]
(±)−2−ブチリル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
100.3gの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、アセトニトリル(720ml)およびピリジン(142ml)中に、窒素雰囲気下に溶解した。 12℃において、141.8gのブチリルクロライドを、1時間にわたって滴下して加えた。 混合物を、室温で3時間撹拌した。720mlの水を混合物に加え、各相を分離した。 アセトニトリルは減圧下に蒸発させて除き、水相を3回、300mlの酢酸エチルで抽出した。 一体にした有機相を1NのHCl(350ml)、飽和NaCl溶液(400ml)および水(500ml)で洗浄したのち、硫酸マグネシウムで乾燥し、完全に蒸発させた。 生成物を蒸留により精製した。 107.76gの生成物が、透明な液体として得
られた。 収率は85%。 沸点(0.05torr):70℃。
【0096】
H−NMR(CDCl3 ):δ[ppm] 0.98(t,J=8.5Hz,3H)
400MHz 1.58−1.65(2H);
2.23(AB syst.,2H);
2.82−2.90(2H);
3.42(m,1H);
5.30(m,1H);
6.62(m,1H);
6.90(m,1H)。
【0097】
[実施例3]
(±)−2−フェニルアセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
33.4gの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、アセトニトリル(240ml)およびピリジン(48.3ml)中に、窒素雰囲気下に溶解した。 12℃において、68.6gのフェニルアセチルクロライドを、30分間にわたって滴下して加えた。 混合物を、室温で3.5時間撹拌した。 240mlの水を混合物に加えた。 アセトニトリルを減圧下に蒸発させて除き、水相を3回、酢酸エチル(150ml)で抽出した。 一体にした有機相を1NのHCl(150ml)、飽和NaCl溶液(150ml)および水(150ml)で洗浄したのち、硫酸マグネシウムで乾燥し、完全に蒸発させた。 粗生成物を、シリカゲルを通して(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)精製した。78.34gの粗生成物が、黄色の油として得られた。
【0098】
[実施例4]
(±)−2−プロピオニル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
47gの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、アセトニトリル(325ml)およびピリジン(41ml)中に、窒素雰囲気下に溶解した。 12℃において、43.9gのプロピオニルクロライドを、1時間にわたって滴下して加えた。 混合物を、室温で5時間撹拌した。 145mlの水を混合物に加え、アセトニトリルを減圧下に蒸発させて除いた。 水相を3回、115mlの酢酸エチルで抽出した。一体にした有機相を、1NのHCl(140ml)、飽和したNaHCO3 溶液(40ml)およびNaCl溶液(40ml)で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥し、完全に蒸発させた。 残渣を蒸留により精製した。55.8gの標題化合物が得られ、放置したところ固化し
た。 収率は81.6%であった。
【0099】
沸点:2.8mbarにおいて75−80℃
融点:54−56℃。
【0100】
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 0.95(t,3H)
400MHz 2.10(quart.,1H);
2.28(quart.,2H);
2.64(m,2H);
3.42(s,1H);
5.16(s,1H);
6.78(m,1H);
6.96(m,1H)。
【0101】
[実施例5]
(±)−2−イソブチリル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
45.1gの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、アセトニトリル(310ml)およびピリジン(39ml)中に、窒素雰囲気のもとに溶解した。 10℃において、54.1gのイソブチリルクロライドを、1時間にわたって滴下して加えた。 混合物を、室温で5時間撹拌した。140mlの水を混合物に加え、アセトニトリルを減圧下に蒸発させて除いた。水相を4×120mlの酢酸エチルで抽出した。一体にした有機相を、1NのHCl(50ml)、飽和したNaHCO溶液(50ml)およびNaCl溶液(50ml)で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥し、完全に蒸発させた。 残渣をn−ヘキサン(240ml)中、活性炭とともに、環流下に沸騰させた。 活性炭を
濾過して分け、濾液を0℃に冷却して、標題化合物を濾過により分け取った。54.5gの生成物が得られた。収率は76%であった。
【0102】
融点:41−42℃。
【0103】
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 0.92(d,3H)
400MHz 1.06(d,3H);
2.10(m,1H);
2.28(m,1H);
3.40(m,2H);
5.16(s,1H);
6.78(m,1H);
7.92(m,1H)。
【0104】
[実施例6]
(±)−2−クロロアセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
10.1gの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、ジクロロメタン(10ml)、ピリジン(8.4ml)および0.22gの4−N,N−ジメチルアミノピリジンの混合物中に、10℃で、窒素雰囲気下に溶解した。 13.5gのクロロアセチルクロライドを、1時間にわたって滴下して加えた。 温度は44℃に上昇した。 混合物をさらに2時間、室温で撹拌した。 100mlの水を混合物に加えた。相分離の後、水相を100mlのジクロロメタンで抽出した。 一体にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、完全に蒸発させた。 残渣を、100mlジイソプロピルエーテル中、1gの活性炭の存在下に、10分間、環流下に沸騰させた。 熱濾過したのち、濾液を室温に冷却して、固体を濾過により分け、乾燥した。 10.35gの標題化合物が得られた。 収率は60%であった。
融点:86−88℃。
【0105】
H−NMR (CDCl3 ) :δ[ppm] 2.28(d,1H)
400MHz 2.40(d,1H);
3.48(s,1H);
4.56(d,2H);
5.30(s,1H);
6.70(d,1H);
6.94(m,1H)。
【0106】
[実施例7]
(±)−1−アセチルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
79.56gの(±)−2−アセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、エタノール(450ml)中に、窒素雰囲気下に溶解して、−10℃に冷却した。 19.8gのナトリウム・ボロハイドライドを、小部分に分けて45分間にわたって添加した。
【0107】
混合物を3時間、0℃で撹拌し、ついで濃硫酸でpHを1.8に調節した。酢酸エチル(200ml)をこの混合物に加え、固体を濾過分離した。 ついで完全に蒸発させた。 残渣を水にとり、メチレンクロライドで洗浄して、蒸発させた。 粗生成物を、シリカゲルで濾過することにより精製した。 51.83gの生成物が、白色の固体として得られた。 収率は、使用した2−アセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを基準にして、64%であった。
【0108】
H−NMR (DMSO-d6 ) :δ[ppm] 1.18(m,1H)
400MHz 1.78(s,3H);
2.29(m,1H);
2.66(m,1H);
3.35(s,2H);
4.58(s,1H);
4.72(m,1H);
5.61(d,1H);
5.85(d,1H);
7.83(d,1H)。
【0109】
[実施例8]
(±)−1−ブチリルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
73.87gの(±)−2−ブチリル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、エタノール(400ml)に、窒素雰囲気下に溶解して、−10℃に冷却した。 15.68gのナトリウム・ボロハイドライドを、小部分に分けて、45分間にわたって添加した。 混合物を3時間、0℃で撹拌し、ついで濃硫酸でpHを1.5に調節した。 酢酸エチル(200ml)をこの混合物に加え、固体を濾過分離した。 ついで完全に蒸発させた。 残渣を水にとり、メチレンクロライドで洗浄して、蒸発させたのち、高度の減圧下に乾燥した。 60.55gの生成物が得られた。 収率は、使用した2−ブチリル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを基準にして、80%であった。
【0110】
融点:71−72℃。
【0111】
H−NMR (CDCl3 ) :δ[ppm] 0.98(t,J=8.5Hz,3H);
400MHz 1.40−1.50(1H);
1.58−1.68(2H);
2.10−2.18(2H);
2.42−2.55(1H);
2.85(m,1H);
3.62(AB syst.,2H);
4.98(m,1H);
5.78−5.82(2H);
6.38(m,1H)。
【0112】
[実施例9]
(±)−1−フェニルアセチルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
77gの粗製の(±)−2−フェニルアセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、エタノール(450ml)に、窒素雰囲気下に溶解して、−10℃に冷却した。 13.2gのナトリウム・ボロハイドライドを、小部分に分けて、1時間にわたって添加した。 混合物を3.5時間、室温で撹拌し、ついで濃硫酸でpHを1.8に調節した。 この混合物を、シリカゲル濾過(ヘキセン:酢酸エチル=2:8)により精製した。 酢酸エチルからの再結晶をへて、15.89gの白色の固体が得られた。 収率は、使用した2−フェニルアセチル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを基準にして、80%であった。
【0113】
H−NMR (CDCl3 ) :δ[ppm] 1.28−1.35(1H);
400MHz 1.40(m,1H);
2.38−2.45(1H);
2.79(m,1H);
3.50(AB,syst.,2H);
3.52(s,3H);
4.98(m,1H);
5.75(m,2H);
5.98(m,1H);
7.20−7.38(5H)。
【0114】
[実施例10]
(±)−1−BOC−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン(BOC=t−ブトキシカルボニル)の製造
15gの粗製の(±)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン塩酸塩(J.Org.Chem.,1981,46,3268の記載に従って製造)を、150mlの水と150mlのジオキサンとの混合物に、窒素雰囲気下に室温で溶解した。 溶液のpHを1N−NaOHで14に調整し、t−ブチロキシカルボニル・フルオライド(BOC−F,20%過剰)のジエチルエーテル溶液を加えて、混合物をさらに3時間、室温で撹拌した(BOC−Fは、Syntheis,1975,599の開示に従って製造した)。濃塩酸を加えて、pHを2に調節した。 有機溶剤の蒸留除去後、50mlの水を残渣に加え、その混合物を3×100mlの酢酸エチルで抽出した。 一体にした有機相を、完全に蒸発させた。 残渣を、110mlのジイソプロピルエーテルと80mlのn−ヘキサンとの混合溶媒から再結晶した。 11.95gの標題化合物が得られた。
【0115】
収率は56%であった。
【0116】
融点:68−70℃。
【0117】
H−NMR (DMSO-d6 ) :δ[ppm] 1.18(m,1H);
400MHz 1.38(s,9H);
2.26(m,1H);
2.65(m,1H);
3.33(t,2H);
4.45(m,1H);
4.55(t,1H);
5.62(m,1H);
5.79(m,1H);
6.73(d,1H)。
【0118】
[実施例11]
(±)−1−プロピオニルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
16.6gの粗製の(±)−2−プロピオニル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、水(140ml)および2−ブタノール(66ml)の混合溶媒に、窒素雰囲気下に溶解して、−5℃に冷却した。 3gのナトリウム・ボロハイドライドを、小部分に分けて、2時間にわたって添加した。混合物を10℃で2.5時間撹拌し、ついで濃塩酸と水の混合物(1/1)で、pHを2.2に調節した。 この溶液を蒸発濃
縮して40gとし、2N−NaOHでpHを6.2に調節した。 混合物を、5×50mlのジクロロメタンで抽出した。 一体にした有機相を完全に蒸発させ、残渣をトルエン(150ml)中で再結晶させた。 11.1gの標題化合物が得られ、収率は65%であった。
【0119】
融点:67−68℃。
【0120】
H−NMR (DMSO-d6 ) :δ[ppm] 0.96(t,3H);
400MHz 1.16(quint.,1H);
2.04(quart.,2H);
2.26(m,1H);
2.66(m,1H);
3.34(m,2H);
4.58(t,1H);
4.72(m,1H);
5.61(m,1H);
5.84(m,1H);
7.72(d,1H)。
【0121】
[実施例12]
(±)−1−イソブチリルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
9gの(±)−2−イソブチリル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを、水(32ml)および2−ブタノール(84ml)の混合溶媒に、窒素雰囲気下に溶解して、0℃に冷却した。 1.37gのナトリウム・ボロハイドライドを、小部分に分けて、3.5時間にわたって添加した。 混合物を3時間、20℃で撹拌し、ついで濃塩酸と水との混合物(1/1)でpHを2.5に調節したのち、2N−NaOHで中和した。 この溶液を蒸発濃縮し40gとした。 残渣を、3×80mlのジクロロメタンで抽出した。 一体にした有機相を完全に蒸発させた。 その結果残った固体を、トルエン25ml中で再結晶させた。 6.8gの標題化合物が得られ、収率は73.6%であった。
【0122】
融点:80−81℃。
【0123】
H−NMR (DMSO-d6 ) :δ[ppm] 0.98(d,6H);
400MHz 1.16(quint.,1H);
2.30(m,2H);
2.68(m,1H);
3.32(t,2H);
4.58(t,1H);
4.70(m,1H);
5.61(m,1H);
5.82(m,1H);
7.68(d,1H)。
【0124】
[実施例13]
ペニシリンGアシラーゼを使用した(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
E.コリからのペニシリンGアシラーゼEC3.5.1.11(ベーリンガー・マンハイム社)165U(単位)/gまたはバチルス・メガテリウムからのペニシリンGアシラーゼEC3.5.1.11を、バイオ変換に使用した。
【0125】
この目的で、50mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH5−9;4ml)を、1重量%の1−フェニルアセチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンの非ラセミ体および400mgの適当なペニシリンGアシラーゼとともに、培養器に入れて37℃に保った。
【0126】
所定の時間間隔をおいてサンプルをとり、薄層クロマトグラフィー(シリカゲル60,ブタノール:水:氷酢酸=3:1:1,ニンヒドリンを用いて検出)、ガスクロマトグラフィーまたはHPLCにより分析した。 上記の酵素は、フェニルアセチル基を高い活性をもって離脱させ、それによって最高40%の対応するアミノアルコールを放出させた。 遊離したアミノアルコールは、80%のeeをもって得られた。
【0127】
[実施例14]
微生物を使用した(1R,4S)−1−アミノ−4(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
14.1 ヴィスプにあるARA水処理プラントからの下水スラッジ(20%)を、0.5重量%の1−アセチル−、1−プロピオニル−、1−イソブチリルまたは1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを含有するA+N培地(表1参照)中、37℃で、撹拌下に培養した。 (1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキメチル)−2−シクロペンテンの生成を薄層クロマトグラフィーで追跡した。
【0128】
それらの1%濃縮体を用いて1−3転移を行ない、固体培地(表1の培地中の板状寒天;20g/l)上で単離した。 微生物アルカリゲネス/ボルデテラFB188(DSM1172)、ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)、ゴルドナsp.CB100(DSM10687)およびロドコッカスsp.FB387(DSM11291)が、このようにして単離された。
【0129】
14.2 単離された微生物を、0.5%の1−アセチル−、1−プロピオニル−、1−イソブチリルまたは1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを含有する培地(表1)中で培養した。 それらは、24ないし36時間で、光学密度(OD)2ないし3に成長した。 このようにして得た細胞を、成長の後期エクスポネンシャル相において収穫し、10mMのフォスフェート緩衝液で洗浄した。
【0130】
続いてバイオ変換を、1重量%の1−アセチル−、1−プロピオニル−、1−イソブチリルまたは1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを含有する50mMフォスフェート緩衝液(pH4.5−9)中で実施した。 薄層クロマトグラ
フィーによって、基質の50%が加水分解され(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンに変化したことが判明した。 HPLC分析によるee値は、80から93%の間にあった。
【0131】
基質として1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを使用した場合、バイオ変換の速度は、DSM10686株に関してA+N培地上で培養したときに0.14(g/l/h/OD)であり、1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル
2−シクロペンテンを含有するNYB(栄養イーストブロス)培地上で培養したときに0.03(g/l/h/OD)であった。
【0132】
同様な変換を、DSM10687株で、基質(1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン)濃度200mMにおいて実施したところ、バイオ変換速度は0.161(g/l/h/OD)であった。
【表1】

【0133】
14.3 ロドコッカス・エリスロポリスDSM10686を、酢酸アンモニウムを炭素および窒素源として加えた最小限培地(表2参照)上、6リットルの発酵器中、30℃で、細胞密度がOD650>25に至るまで培養した。 細胞成長の間、50%の酢酸を、追加のC源として連続的に添加した。 酵素の活性を誘発するため、60gの(+/−)−1−アセチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを加え、培養を数
時間継続した。 最後に、さらに40gの(+/−)1−アセチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを追加し、培養をさらに10時間行なった。 バイオ変換の進行を、HPLCによりオンラインで追跡した。 分析収率が、使用した基質ラセミ体基準で40%、eeが85%に達したとき、酸を加えて培養を停止した。
【表2】

【0134】
14.4.
14.3と同様にして、微生物アースロバクターsp.HZS5(DSM10328)、ロドコッカスsp.FB387(DSM11291)、アルカリゲネス・キシロソキシダンスssp.デニトリフィカンスHSZ17(DSM10329)、アグロバクテリウム/リゾビウウムHSZ30、バチルス・シンプレックスK2およびシュードモナス・プチダK32を、培地(表1)中、酢酸ナトリウム上で、以下の記述では「アミノアルコール」と略称する1−アセチル−、1−プロピオニル−、1−イソブチリル−または1−ブチリル−アミノ−4ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンが存在する場合と、しない場合とについて培養を行なった。
【0135】
次の結果が、アミノアルコールを含有しない場合の培養によって、対数増殖細胞において得られた(HPLC分析):
【表3】

【0136】
さらに、菌株K2およびK17を培養し、収穫して60時間のバイオ変換を行なった。
【表4】

【0137】
対数増殖細胞および定常増殖細胞をすべてのバッチから収穫し、静止細胞としてバイオ変換に使用した。アミノアルコールで誘発された細胞もされなかった細胞も、初期速度に関して、差異はTLC分析から認められなかった。
【0138】
[実施例15]
ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)からのN−アセチルアミノアルコール・ハイドラーゼの精製
酵素を、以下に述べるように精製して、SDA−PAGE(ファルマシア・ファストPharmacia Phast ゲル、10−15%勾配)中、分子量50kDにおいてただ一本のタンパク質バンドが残るまでにした。
【0139】
ロドコッカッス・エリスロポリスCB101(DSM10686)の細胞を50mMのトリス緩衝液(pH6.2)中で洗浄し、光学密度OD650nm 190まで濃縮した。 フェニルメタンスルフォニル・フルオライド(PMSF)を最終濃度1mMとなるよう添加し、SNAseを添加した後、粗抽出物を得るため、細胞をフレンチプレスで処理した。 遠心分離の結果、200mlの、細胞を含まず、タンパク質濃度4.8mg/mlの抽出物を得た。
【0140】
960mgの細胞を含まない抽出物を、あらかじめ1mMのジチオスレイトール(DTT)を含有する50mMのトリス緩衝液(pH8.0)で平衡にした、ハイロードHiLoar 26/10 Q−セファロースイオン交換クロマトグラフィー(ファルマシア)に載せた。
【0141】
カラムを同じ緩衝液で洗浄した後、タンパク質を、線状勾配緩衝液(1500ml;勾配は、1mMのDTTを含有する50mMトリス緩衝液pH8.0から、1mMのDTTおよび1MのNaClを含有する50mMトリス緩衝液pH7.0に変化)で溶出した。酵素は、370および430mMのNaClカラム、pH7.6から溶出した。 活性な分画を集め、9mlに濃縮した。 タンパク質含有量は41mgであった。
【0142】
さらなる精製のため、このタンパク質溶液を、あらかじめ50mMのNaClと1mMのDTTを含有する50mMのトリス緩衝液(pH8.0)で平衡にした、ハイロード26/60スーパーデックスSuperd ex75ゲル濾過クロマトグラフィーカラム(ファルマシア)に載せた。 活性な分画を一体にしたところ、全タンパク質含有量は10.9mgであった。
【0143】
このタンパク質溶液を、あらかじめ1mMのDTTを含有する50mMのトリス緩衝液(pH8.5)で平衡にした、モノ(Mono)QHRS5/5カラム(ファルマシア)に載せた。 タンパク質は、1mMのDTTを含有する50mMトリス緩衝液(pH8.5)−1mMのDTTおよび1MのNaClを含有する50mMトリス緩衝液pH8.5)の線状勾配(40ml)の下で溶出した。 酵素は、390mM−NaClおよび440mM−NaClの間で溶出した。 活性な分画は、1.4mgのタンパク質を含有していた。
【0144】
最終的な精製工程においては、上記と同じ緩衝液で平衡にした同じカラムを使用した。 使用した溶出液勾配は、同じ緩衝液で、NaClが0−500mMと変化し、pHが7.0−8.5と変化するものであった。 このようにして、純粋な酵素430μgを単離することができた。
【0145】
酵素のN−末端配列は、タンパク質ブロットから直接決定された。 下記の20個のアミノ酸の配列が得られた: Thr−Glu−Gln−Asn−Leu−His−Trp−Leu−Ser−Ala−The−G;lu−Met−Ala−Ala−Ser−Val−Ala−Ser−Asn。
【0146】
この配列は、既知のタンパク質のアミノ酸配列と類似性を示さなかった。
【0147】
[実施例16]
酵素の特徴付け
精製した酵素と、セルフリーエキストラクトであってセファデックスSEphadexG−25カラム(PD−10,ファルマシア)を用いて脱塩してあるものと、両方について、酵素の特徴付けを行なった。
【0148】
セルフリーエキストラクト中のタンパク質濃度は7.3mg/mlであり、精製した酵素のタンパク質濃度は135μg/mlであった。 セルフリーエキストラクトに、PMSFを添加しなかった。
【0149】
16.1 Kmの測定
Kmの測定をセルフリーエキストラクトについて行なった。 pH7.0、温度30℃における反応のKmは、基質1−アセチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンに関して、22.5mMであった。
【0150】
16.2 最適pH
1−アセチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン(25mM)の加水分解に最適なpHの決定を、精製酵素についても、セルフリーエキストラクトについても、pH6.2−9.0の範囲において、下記の緩衝液の中で行なった。
【0151】
トリス緩衝液100mM pH 9.0; 8.5; 8.0; 7.5; 7.0
クエン酸/リン酸緩衝液100mM pH 7.0; 6.55; 6.2
活性は、24時間測定した。
【0152】
反応に対する最適pHは、1R,4Sおよび1S,4Rエナンチオマーに関し、pH7.0から7.5の間にあった。
セルフリーエキストラクトの活性に対する最適のpHは、pH7.0であった。 しかし、選択性は、pH6.0から7.0の間でより良かった。
【0153】
図1は、ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)からのN−アセチルアミノアルコール・ハイドロラーゼ(セルフリーエキストラクト)の、pHを関数とする活性を示す。 実施例16.2において示された最適反応温度は、25から30℃の間にあった。
【0154】
図2は、ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)からのN−アセチルアミノアルコール・ハイドロラーゼ(セルフリーエキストラクト)の、温度を関数とする活性を示す。
【0155】
16.4
分子量は、SDS−PAGEを用いて、50kDと測定された。
【0156】
16.5
下記の基質を加水分解した:
1−アセチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン、
1−ブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン、
1−プロピオニルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン、
1−イソブチリルアミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン。
【0157】
[実施例17]
(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン塩酸塩の製造
(1R,4S)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン(製造は実施例14と類似の方法によった)の溶液374.1gを蒸発させ、123.7gに濃縮した。 この溶液は、60.2mmolの上記化合物を含んでいた(HPLC)。 濃度30%のNaOHを加えて、pHを2から11.7に調整し、3×70mlのイソブタノールで抽出した。 一体にしたイソブタノール抽出液のpHを、ガス状のHClを用いて1に調節
し、65gに濃縮して濾過した(固体不純物の除去)。60mlのアセトンを、激しく撹拌している濾液に、20℃において滴下して加えた。 不透明な混合物に、標題化合物の結晶を接種して、5℃において1時間撹拌した。 濾過および乾燥をへて、5.2gの生成物を得た。収率は58%であった。
【0158】
融点:125−127℃。
【0159】
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 1.44(m,1H);
400MHz 2.35(m,1H);
2.83(m,1H);
3.42(m,2H);
4.10(s,1H);
4.80(s,1H);
5.80(d,1H);
6.06(d,1H);
8.13(s,3H)。
【0160】
[実施例18]
(1R,4S)−1−BOC−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
(1R,4S)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン(製造は実施例14と類似の方法によった。;44.6mmol)の溶液75gのpHを、濃度30%のNaOHを加えて8に調整し、6gのNaHCOを添加した。 混合物を52℃に加熱した。 激しく撹拌しながら、60mlのジイソプロピルエーテルを添加し、11.12gのBOC無水物の18.2mlのジイソプロピルエーテル溶液を、2時間かけて量り入れた。 混合物をセライトCeriteで濾過し、二相を分離した。 水相を65mlのジイソプロピルエーテルで抽出した。 一体にした有機相を45mlの水で洗浄し、蒸発させて37.5gに濃縮し、50℃に加熱した。 31mlのn−ヘキサンを、この溶液に滴下して加えた。
【0161】
ゆっくりと(2時間)0℃に冷却し、標題化合物を濾過により得て、これをn−ヘキサン/ジイソプロピルエーテル=1/1混合液12mlで洗浄し、乾燥した。6.75gの生成物を得た。 収率は71%であった。
【0162】
融点:70−71℃。
【0163】
ee98%(キラルHPLCカラムで較正)。
【0164】
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 1.18(m,1H);
400MHz 1.27(s,9H);
2.28(m,1H);
2.63(m,1H);
3.33(q,2H);
4.43(m,1H);
4.56(t,1H);
5.62(m,1H);
5.78(m,1H);
6.72(d,1H)。
【0165】
[実施例19]
(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン塩酸塩の製造
87.8gの(1R,4S)−1−BOC−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテンを、270mlの2N−HClと1340mlのメタノールとの混合液に溶解した。 混合物を、環流下に、4.5時間沸騰させた。 メタノールを蒸留除去し、残渣を800mlの水に溶解した。 水性の溶液を2回、340mlの酢酸エチルで抽出した。 水性層を完全に蒸発させた(50℃,60mbar)。 固体を、50℃において真空下に乾燥し、150mlのジエチルエーテル中に懸濁させ、濾過した後、50mlのジエチルエーテルで2回、洗浄した。 乾燥して、標題化合物を95%の収率(58.4g)で得た。
【0166】
生成物の物理的および分光工学的なデータは、実施例17の生成物のそれらと同じであった。
【0167】
[実施例20]
(1R,4S)−1−アセチルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
25gの(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン塩酸塩を182mlの無水酢酸に溶解し、0℃において、これに、18.25gのトリエチルアミンの無水酢酸60ml中の溶液を添加した。 混合物を80℃において3時間撹拌し、ついで室温に冷却した。 トリエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、120mlのn−ヘキサンで洗浄した。 濾液を蒸発させた。 残渣を300mlのトルエンに混合し、5.2gの活性炭および13gのセライトの存在下に、室温で20分間撹拌した。 濾過およびフィルターケークの洗浄(3×40mlのトルエン)後、溶媒を完全に蒸発除去した。 残渣を180mlのメタノールおよび15.5gのKCOと混合し、室温で10時間撹拌した。 懸濁液を濾過し、濾液を蒸発させた。 残渣を750mlの酢酸イソプロピルに懸濁させ、0.5gの活性炭の存在下に、還流下に1.5時間沸騰させた。 活性炭の濾過分離後(70〜80℃)、濾液を0℃に一夜冷却した。標題化合物を濾別し、80mlの冷酢酸イソプロピルで洗浄し、真空下に乾燥した。 17.2gの生成物が得られた。収率は66%であった。
【0168】
融点:77−80℃。
【0169】
ee98%(キラルHPLCカラムで較正)
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 1.15(m,1H);
400MHz 1.78(s,3H);
2.25(m,1H);
2.66(m,1H);
3.35(m,2H);
4.58(t,1H);
4.70(m,1H);
5.62(m,1H);
5.85(m,1H);
7.80(d,1H)。
【0170】
[実施例21]
(1S,4R)−1−アセチルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
標題に掲げたエナンチオマーは、25gの(1S,4R)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン・塩酸塩から出発して、実施例18の方法により、製造することができた(収率68%)。 生成物の分光光学的および物理的データは、実施例20と同じであった。
【0171】
[実施例22]
(1S,4R)−1−ブチリルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
34.7gの(1R,4S)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン・塩酸塩および2gの4−N,N−ジメチル−アミノピリジンを、600mlのメチレンクロライドに溶解した。 溶液を0℃に冷却した。 ついで、52gのトリエチルアミンを滴下して加えた(5分間)。 混合物を、30分間撹拌した。35.2gのブチリルクロライドを60mlのメチレンクロライドに溶解した溶液を、この混合物に、0℃におい
て、1時間をかけて加えた。 混合物をさらに1.5時間、0℃と20℃の間の温度で撹拌し、ついで600mlの水を加えた。 相分離の後、水相を600mlのメチレンクロライドで抽出した。一体にした有機相を、濃度10%のNaOHを毎回500ml用いて3回洗浄し、完全に蒸発させた。 乾燥した固体を、120mlのメタノールに溶解した。 その溶液を5gのKCOと混合し、さらに2時間、室温で撹拌した。 無機塩類を濾過して分け、20mlのメタノールで洗浄した。 濾液を、2N−HClで中和した。 懸濁体を濾過し、フィルターケークを20mlのメタノールで洗浄した。 濾液を完全に蒸発させた。固体残渣を乾燥し、150mlのトルエンから再結晶した。 28.5gの標題化合物が得られた。
収率は67%であった。
【0172】
融点:71−72℃
ee98%(キラルHPLCで較正)
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 0.85(t,3H);
400MHz 1.15(m,1H);
1.50(q,2H);
2.03(d,2H);
2.28(m,1H);
2.67(m,1H);
3.35(d,2H);
4.62(s,1H);
4.76(m,1H);
5.63(m,1H);
5.85(m,1H);
7.77(d,1H)。
【0173】
[実施例23]
(1S,4R)−1−ブチリルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
標題のエナンチオマーは、34.7gの(1S,4R)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン・ハイドロクロライドから出発して、実施例20の方法により、製造することができた(収率63%)。生成物の分光光学的および物理的データは、実施例22と同じであった。
【0174】
[実施例24]
(1S,4R)−1−[(2−アミノ−6−クロロ−5−フォルムアミド−4−ピリミジニル)アミノ]−4(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
2.07gのN−(2−アミノ−4,6−ジクロロ−5−ピリミジニル)フォルムアミドを、40mlのイソブタノール中(白色の懸濁体として)、80℃に加熱した。1.97gの(1R,4S)−1−アミノ−4−ヒドロキシメチル−2−シクロペンテン・塩酸塩、3.8gのトリエチルアミンおよび15mlのイソブタノールを、この混合物に加えた。 混合物を80℃においてさらに13時間撹拌した。 10mlの1N−NaOHを、この透明な溶液に20℃で加え、続いて蒸発させ、乾固に至らせた。 残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにかけた(シリカゲル60カラム、長さ8cm、直径6.5cm、溶離剤は酢酸エチル/メタノール=95/5)。溶離剤を蒸発除去して残渣を乾燥した後、2.1gの標
題化合物が得られた。 収率は74%であった。
【0175】
融点:174−176℃
ee98%(キラルHPLCで較正)
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 1.37(m,1H);
400MHz 2.35(m,1H);
2.73(m,2H);
3.38(t,2H);
4.68(m,1H);
5.08(m,1H);
5.70(d,1H);
5.85(d,1H);
6.40;6.55および
6.65(s,dd,3Hとともに)
7.78および8.10(dとs,
1Hとともに)
8.55および8.95(dとs,
1Hとともに)
[実施例25]
(1R,4S)−1−[(2−アミノ−6−クロロ−5−フォルムアミド−4−ピリミジニル)アミノ]−4(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
145.2mlの(1R,4S)−1−アミノ−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン溶液(実施例14に類似の方法により製造した)を、25.5mlに濃縮し、セライト上で濾過した。 フィルターケークを、7.5mlの水で洗浄した。 濾液は17.7mmolの上記化合物を含有していた(HPLC)。 これに濃HClを加えてpHを6.6から1に調整し、3回、20mlずつのイソブタノールで抽出した。 有機相は捨てた。 水性相
は濃度30%のNaOHでpHを12に調整し、3回、10mlずつのイソブタノールで抽出した。 一体にした有機相を蒸発濃縮して15mlとし、2.53gのトリエチルアミンを加えた。 この混合物に、2.07gのN−(2−アミノ−4,6−ジクロロ−5−ピリミジニル)フォルムアミドの40mlのエタノール中の溶液を、実施例24と同様に加えた。混合物を、80℃において16時間撹拌した。 実施例22と同様に処理して、2.4gの標題化合物を得た。 収率は85%であった。
生成物の分光光学的および物理的データは、実施例24と同じであった。
【0176】
[実施例26]
(±)−1−BOC−アミノ−2−シクロペンテン−4−カルボン酸の製造
16.4gの粗製(±)−1−BOC−アミノ−2−シクロペンテン−4−カルボン酸・塩酸塩(J.Org.Chem.,1981,46,3268に記載のようにして製造)を、80mlの水と80mlのジオキサンの混合物に、室温で、窒素雰囲気下に溶解した。 溶液を、1N−HClでpH14に調整し、t−ブチロキシカルボニル・フルオライド(BOC−F,20%過剰)の、ジエチルエーテル溶液を添加した(BOC−Fは、synthesis,1975,599に記載のようにして製造したもの)。 混合物を、さらに5時間、室温で撹拌した。 濃HClでpHを2に調整した。 有機溶媒を蒸留除去した後、50mlの水を残渣に加え、混合物を3回、各回100mlの酢酸エチルで抽出した。 有機相を蒸発させて50mlにし、25mlのトルエンで希釈した。冷却した(0〜10℃)後、標題化合物を濾過し、乾燥した。 14.3gの製品が得られた。収率は63%であった。
【0177】
融点:126−127℃
H−NMR (DMSO-d6 ):δ[ppm] 1.14(s,9H)
400MHz 1.70(m,1H);
2.40(m,1H);
3.40(m,1H);
4.47(m,1H);
5.70(t,1H);
4.87(t,1H);
6.88(d,1H);
12.30(d,1H)。
【0178】
[実施例27]
(±)−1−BOC−アミノ−2−シクロペンテン−4−カルボン酸からの(±)−1−BOC−アミノ−4(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
250mlのテトラヒドロフランと10.02g(0.164mmol)のLiAlHとを、500mlの撹拌機つき容器に入れ、30.0g(0.132mol)の(±)−1−BOC−アミノ−2−シクロペンテン−4−カルボン酸のテトラヒドロフラン75ml中の溶液を、−10℃で、1時間かけて計量して入れた。 つぎに、10gの水、10gの濃度15%NaOH溶液、および水20gをこれに添加し、濾過した。 残渣を2回、各回100mlのt−ブチルメチルエーテルで洗浄し、一体にした有機相を、蒸発乾固させた。 ヘキサン80mlを添加したのち、実施例10で製造した化合物を接種したところ、標題化合物が、結晶性の固体として分離された。 収量は15.84g(56%)であった。 生成物の分光光学的および物理的データは、実施例10と同じであった。
【0179】
[実施例28]
(1R,4S)−1−BOC−アミノ−2−シクロペンテン−4−カルボン酸からの(1R,4S)−1−BOC−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンの製造
80mlのテトラヒドロフランと、11.38g(50.07mmol)の(1R,4S)−1−BOC−アミノ−2−シクロペンテン−4−カルボン酸(Tetrahedron:Asymmetry、1993,4,1117に記載のようにして製造)とを、500mlの撹拌機つき容器に入れ、5mlのボラン/ジメチルサルファイド錯体を、−15℃で、1時間かけて計量して入れ、混合物をこの温度で3時間撹拌した。 4gのNaOHを水60mlに溶解した溶液を加え、室温まで温めた。 トルエンを用いた抽出、シリカゲルを通す濾過、およびそれに続く酢酸エチル/n−ヘキサン1:1中の再結晶によって、収率57%に相当する5.4gの標題化合物が、白色の結晶状固体として得られた。 生成物の分光光学的および物理的データは、実施例10と同じであった。eeは99%(同じキラルHPLCカラム)。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】実施例16のデータであって、ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)からのN−アセチルアミノアルコール・ハイドロラーゼ(細胞を含有しないエキス)の、pHを関数とする活性を示すグラフ。
【図2】やはり実施例16のデータであって、ロドコッカス・エリスロポリスCB101(DSM10686)からのN−アセチルアミノアルコール・ハイドロラーゼ(細胞を含有しないエキス)の、温度を関数とする活性を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式IまたはIIの(1S,4R)−または(1R,4S)−4−(2−アミノ−6−クロロ−9H−プリン−9−イル)−2−シクロペンテン−1−メタノールまたはその塩を製造する方法であって、
【化1】

第一段階において、式IIIの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン
【化2】

をアシル化して、一般式IVの(±)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン誘導体とし、
【化3】

(式中、RはC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アリールまたはアリロキシを表す。)
第二段階において、後者を還元して、一般式Vのシクロペンテン誘導体とし、
【化4】

(式中、Rは前記した意味を有する。)
第三段階において、後者を、一般式Vのシクロペンテン誘導体を唯一の窒素源として、唯一の炭素源として、または唯一の窒素源および唯一の炭素源として資化する能力をもった微生物を利用するか、N−アセチルアミノアルコール・ヒドロラーゼ活性またはペニシリンGアシラーゼ活性を有する酵素を利用するかして、一般式VIまたはVII の(1S,4R)−または(1R,4S)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体とし、
【化5】

第四段階において、後者を、式VIIIのN−(2−アミノ−4、6−ジクロロ−5−ピリミジニル)フォルムアミドを用いて、
【化6】

式IXまたはXの(1S,4R)−または(1R,4S)−4−[(2−アミノ−6−クロロ−5−フォルムアミド−4−ピリミジニル)アミノ]−2−シクロペンテン−1−メタノールとし、
【化7】

第五段階において、後者を既知の手法により環化して、最終生成物である式IまたはIIの化合物を得ることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
第一段階のアシル化を、一般式XIのハロゲン化カルボニル
【化8】

(式中、Rは前記した意味を有し、Xはハロゲン原子を表す。)
または一般式XIIのカルボン酸無水物
【化9】

を使用して実施することを特徴とする請求項1の製造方法。
【請求項3】
第一段階のアシル化を、アプロティックな溶媒を使用して実施することを特徴とする請求項1または2の製造方法。
【請求項4】
第二段階の還元を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のボロハイドライド、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルミニウムハイドライド、またはビトライド(Vitride)を使用して実施することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの製造方法。
【請求項5】
第二段階の還元を、プロティックな溶媒を使用して実施することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの製造方法。
【請求項6】
第三段階の反応を、ロドコッカス(Rhodococcus) 、ゴルドナ(Gordona)、アースロバクター(Arthrobacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、アグロバクテリウム/リゾビウム(Agrobacterium/Rhizobium)、バチルス(BAcillus)、シュードモナス(Pseudomonas)またはアルカリゲネス/ボルデテラ(Alcaligenes/Brodetella)属の微生物を利用して実施することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの製造方法。
【請求項7】
第三段階の反応を、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium) またはエシェリチア・コリ(Escherichia coli)からのペニシリンGアシラーゼを使用して実施することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの製造方法。
【請求項8】
第三段階の生物学的変換を、温度20ないし40℃、およびpH5ないし9において実施することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの製造方法。
【請求項9】
第四段階の反応を、塩基の存在下に実施することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの製造方法。
【請求項10】
第四段階の反応を、プロティックな溶媒中で実施することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかの製造方法。
【請求項11】
一般式XVI またはXVIIの(1R,4S)−または(1S,4R)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体のエナンチオマーを製造する方法であって、
【化10】

(式中、Rは前記した意味を有する。)
第一段階において、一般式Vのシクロペンテン誘導体を、
【化11】

(式中、Rは前記した意味を有する。)
一般式Vのシクロペンテン誘導体を唯一の窒素源として、唯一の炭素源として、または唯一の窒素源および唯一の炭素源として資化する能力をもった微生物を利用するか、N−アセチルアミノアルコール・ヒドロラーゼ活性またはペニシリンGアシラーゼ活性を有する酵素を利用するかして、式VIまたはVII の(1R,4S)−または(1S,4R)−1−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン
【化12】

に変換し、後者を第二段階においてアシル化して、式XVI またはXVIIの化合物を得ることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
請求項11の方法によって得られ、0%を超えるエナンチオマー・アクセスの状態にある、式XVIII の(1R,4S)−1−ブチリルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテンのエナンチオマー。
【化13】

【請求項13】
請求項11の方法によって得られ、少なくとも80%のエナンチオマー・アクセスの状態にある請求項12のエナンチオマー。
【請求項14】
請求項11の方法によって得られ、少なくとも90%のエナンチオマー・アクセスの状態にある請求項12のエナンチオマー。
【請求項15】
請求項11の方法によって得られ、少なくとも95%のエナンチオマー・アクセスの状態にある請求項12のエナンチオマー。
【請求項16】
請求項11の方法によって得られ、少なくとも98%のエナンチオマー・アクセスの状態にある請求項12のエナンチオマー。
【請求項17】
1−ブチルアミノ−4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体のラセミ体。
【請求項18】
式XIIIの4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン誘導体
【化14】

(式中、Rは、前記した意味を有する。)
のラセミ体または光学活性体の製造方法であって、第一段階において、式XIV のシクロペンテン−4−カルボン酸
【化15】

のラセミ体または光学活性な異性体のいずれか1つを、一般式XIのカルボン酸ハロゲン化物
【化16】

(式中、RおよびXは、前記した意味を有する。)
でアシル化して、一般式XVのシクロペンテン−4−カルボン酸誘導体とし、
【化17】

第二段階において後者を還元して、目的とする式XIIIの化合物を得ることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−106025(P2010−106025A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−256399(P2009−256399)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願平10−129338の分割
【原出願日】平成10年5月12日(1998.5.12)
【出願人】(391003864)ロンザ リミテッド (36)
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
【Fターム(参考)】