説明

1,3,4−オキサジアゾール誘導体および糖尿病を処置するそれらの使用

式(I)[式中、nは、0、1、2または3であり、Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシより選択され、そしてZは、カルボキシまたはその模擬体または生物同配体(bioisostere)、ヒドロキシル、ヒドロキシメチルまたは−CONRbRcであり、ここにおいて、RbおよびRcは、独立して、水素および(1−4C)アルキルより選択され、この(1−4C)アルキル基は、カルボキシまたはその模擬体または生物同配体で置換されていてもよい]を有するDGAT−1阻害剤化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩を、医薬組成物、それらを製造する方法および例えば、肥満症を処置する場合のそれらの使用と一緒に記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する化合物、それらの製造方法、それらを活性成分として含有する医薬組成物、DGAT1活性に関連した疾患状態の処置方法、薬剤としてのそれらの使用、およびヒトなどの温血動物でのDGAT1の阻害に用いるための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。具体的には、本発明は、ヒトなどの温血動物のII型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損および肥満症の処置に有用な化合物、より具体的には、ヒトなどの温血動物のII型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損および肥満症の処置に用いるための薬剤の製造におけるこれら化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、細胞のミクロソーム画分中に見出される。それは、細胞中のトリグリセリド合成の主要経路であると考えられるグリセロールリン酸経路における最終反応を、ジアシルグリセロールと脂肪アシルCoAとの結合を促進することによって触媒して、トリグリセリドの形成をもたらす。DGATが、トリグリセリド合成について律速しているかどうかは不明であるが、それは、その経路においてこのタイプの分子を生じることを委ねられている唯一の工程を触媒している[Lehner & Kuksis (1996) Biosynthesis of triacylglycerols. Prog. Lipid Res. 35: 169-201]。
【0003】
二つのDGAT遺伝子が、クローン化され且つ特性決定された。双方のコードされたタンパク質は、同じ反応を触媒するが、それらは、配列相同性を共有していない。DGAT1遺伝子は、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)遺伝子へのその類似性ゆえに、配列データベース検索により識別された。[Cases et al (1998) Identification of a gene encoding an acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase, a key enzyme in triacylglycerol synthesis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13018-13023]。DGAT1活性は、脂肪細胞を含めた多くの哺乳動物組織中で見出された。
【0004】
従来の分子プローブの不足ゆえに、DGAT1の調節についてはほとんど知られていない。DGAT1は、脂肪細胞分化の際に有意にアップレギュレーションされることが知られている。
【0005】
遺伝子ノックアウトマウスでの研究は、DGAT1の活性のモジュレーターが、II型糖尿病および肥満症の処置に価値があると考えられるということを示した。DGAT1ノックアウト(Dgat1−/−)マウスは、正常空腹時血清トリグリセリドレベルおよび正常脂肪組織組成によって示されるように、生存可能であり且つトリグリセリドを合成可能である。Dgat1−/−マウスは、ベースラインにおいて野生型マウスよりも少ない脂肪組織を有し、しかも食事性肥満症に抵抗性である。代謝率は、Dgat1−/−マウスの場合、普通食および高脂肪食双方で、野生型マウスの場合より約20%高い[Smith et al (2000) Obesity resistance and multiple mechanisms of triglyceride synthesis in mice lacking DGAT. Nature Genetics 25: 87-90]。Dgat1−/−マウスにおける増加した身体活動は、それらの増加したエネルギー消費を部分的に説明する。Dgat1−/−マウスは、更に、増加したインスリン感受性と、グルコース廃棄率の20%増加を示す。レプチンレベルは、Dgat1−/−マウスの場合、脂肪質量の50%減少と一致して、50%減少する。
【0006】
Dgat1−/−マウスを、ob/obマウスと交雑させた場合、これらマウスは、ob/ob表現型を示して[Chen et al (2002) Increased insulin and leptin sensitivity in mice lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J. Clin. Invest. 109:1049-1055]、Dgat1−/−表現型は、無傷のレプチン経路を必要とするということを示している。Dgat1−/−マウスを、アグーチ(Agouti)マウスと交雑させた場合、体重の減少が、正常グルコースレベルで認められ、そして野生型、アグーチまたはob/ob/Dgat1−/−のマウスと比較して、インスリンレベルが70%減少する。
【0007】
Dgat1−/−マウスから野生型マウスへの脂肪組織の移植は、これらマウスに食事性肥満症への抵抗性および改善されたグルコース代謝を与える[Chen et al (2003) Obesity resistance and enhanced glucose metabolism in mice transplanted with white adipose tissue lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J. Clin. Invest. 111: 1715-1722]。
【0008】
国際出願WO2006/064189号は、DGAT−1を阻害する特定のオキサジアゾール化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際出願WO2006/064189号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Lehner & Kuksis (1996) Biosynthesis of triacylglycerols. Prog. Lipid Res. 35: 169-201
【非特許文献2】Cases et al (1998) Identification of a gene encoding an acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase, a key enzyme in triacylglycerol synthesis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13018-13023
【非特許文献3】Smith et al (2000) Obesity resistance and multiple mechanisms of triglyceride synthesis in mice lacking DGAT. Nature Genetics 25: 87-90
【非特許文献4】Chen et al (2002) Increased insulin and leptin sensitivity in mice lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J. Clin. Invest. 109:1049-1055
【非特許文献5】Chen et al (2003) Obesity resistance and enhanced glucose metabolism in mice transplanted with white adipose tissue lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J. Clin. Invest. 111: 1715-1722
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、望ましい性質、例えば、薬物動態学的/薬力学的および/または物理化学的および/または毒物学的なプロフィールおよび/またはDGAT1に選択的な活性などを有する更なるDGAT1阻害剤への要求は、依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、nは、0、1、2または3であり、
Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシより選択され、そして
Zは、カルボキシまたはその模擬体または生物同配体(bioisostere)、ヒドロキシル、ヒドロキシメチルまたは−CONRbRcであり、ここにおいて、RbおよびRcは、独立して、水素および(1−4C)アルキルより選択され、この(1−4C)アルキル基は、カルボキシまたはその模擬体または生物同配体で置換されていてもよい]
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0015】
更に提供されるのは、式(I)を有する化合物のカルボン酸模擬体または生物同配体、またはそれらの薬学的に許容しうる塩である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:Form A のX線粉末回折図形を示す。
【図2】図2は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:Form B のX線粉末回折図形を示す。
【図3】図3は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:Form C のX線粉末回折図形を示す。
【図4】図4は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:Form D のX線粉末回折図形を示す。
【図5】図5は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:Form E のX線粉末回折図形を示す。
【図6】図6は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:Form F のX線粉末回折図形を示す。
【図7】図7は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:ナノサスペンジョン Form B のX線粉末回折図形を示す。
【図8】図8は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:ナノサスペンジョン Form D のX線粉末回折図形を示す。
【図9】図9は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:ナノサスペンジョン Form F のX線粉末回折図形を示す。
【図10】図10は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:ナトリウム塩 のX線粉末回折図形を示す。
【図11】図11は、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸:マグネシウム塩 のX線粉末回折図形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中で用いられる、カルボン酸模擬体または生物同配体の意味には、The Practice of Medicinal Chemistry, Wermuth C.G. Ed.: Academic Press: New York, 1996, p203 に定義の基が含まれる。このような基の具体的な例には、−SO-H、−S(O)NHR13、S(O)NHC(O)R13、−CHS(O)13、−C(O)NHS(O)13、−C(O)NHOH、−C(O)NHCN、−CH(CF)OH、C(CFOH、−P(O)(OH)、および下の部分式(a)〜(i’)
【0018】
【化2】

【0019】
【化3】

【0020】
を有する基が含まれ、式中、pは、1または2であり、R27およびR28は、独立して、水素、ヒドロキシ、(1−6C)アルコキシ、チオール、(1−6C)アルキルチオ、−C(O)R29、−S(O)R30、−SO31、−NR3233、−NHCN、ハロゲンおよびトリハロメチルより選択され、ここにおいて、R29、R30およびR31は、−OR34、(1−6C)アルキル、−NR3233またはトリハロメチルであり、R32およびR33は、独立して、水素、(1−6C)アルキル、−SO34および−COR35より選択され、ここにおいて、R35は、(1−6C)アルキルまたはトリハロメチルであり、そしてR34は、水素、(1−6C)アルキルまたはトリハロメチルであり、そしてR13は、水素、(1−6C)アルキル、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、シアノ、((1−3C)アルキル)CONH−、カルボキシ、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−((1−6C)アルキル)カルバモイル、ハロ((1−6C)アルキル)(トリフルオロメチルなど)、(1−6C)アルキルスルホニルまたは(1−6C)アルキルスルフィニルより選択される。R27またはR28の具体的な例は、ヒドロキシである。
【0021】
カルボン酸模擬体または生物同配体の基の更に具体的な例には、次が含まれる。
【0022】
【化4】

【0023】
具体的なカルボン酸模擬体または生物同配体は、部分式(b)を有するテトラゾール基および−C(O)NHS(O)Meである。
【0024】
本明細書中において、「アルキル」という用語は、特に断らない限り、直鎖および分枝状鎖双方のアルキル基を包含し、そして「プロピル」などの個々のアルキル基の意味は、直鎖型のみを特定する。類似の慣例が、他の包括的用語に当てはまる。特に断らない限り、「アルキル」という用語は、好都合には、1〜10個の炭素原子、好適には、1〜6個の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する鎖を意味する。
【0025】
本明細書中において、「アルコキシ」という用語は、酸素原子に連結した本明細書中の前に定義のアルキル基を意味する。
【0026】
具体的な意味には、線状(1−3C)アルキルについて、メチル、エチルおよびプロピル;(1−4C)アルキルについて、メチル、エチル、プロピルおよびブチル;(2−3C)アルケニルについて、エテニル;(2−3C)アルキニルについて、エチニル;(1−2C)アルコキシについて、メトキシおよびエトキシ;(1−6C)アルコキシおよび(1−4C)アルコキシについて、メトキシ、エトキシおよびプロポキシが含まれる。
【0027】
具体的な意味には、3個までのフルオロ原子で置換されていてもよい線状の(1−3C)アルキル基、(1−2C)アルコキシ基、(1−4C)アルキル基または(1−4C)アルコキシ基中のいずれかの炭素原子について、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシなどの基が含まれる。
【0028】
疑わしさを免れるために、本明細書中において、ある基が、「本明細書中の前に定義の(hereinbefore defined または defined hereinbefore)」によって限定されている場合、この基は、最初に存在する且つ最も広範な定義、更には、その基についての各々のおよび全ての具体的な定義を包含するということは理解されるはずである。
【0029】
他のところに述べられていないとしても、具体的な基に適する任意の置換基は、本明細書中の類似の基について述べられているものである。
【0030】
式(I)の化合物は、安定な酸性または塩基性の塩を形成することができ、このような場合、塩としての化合物の投与が適当でありうるし、そして薬学的に許容しうる塩は、次に記載のものなどの慣用的な方法によって製造することができる。
【0031】
適する薬学的に許容しうる塩には、メタンスルホン酸塩、トシラート、α−グリセロリン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩および(あまり好ましくはないが)臭化水素酸塩などの酸付加塩が含まれる。更に適するのは、リン酸および硫酸で形成される塩である。別の側面において、適する塩は、(I)群(アルカリ金属)塩;(II)群(アルカリ土類)金属塩;有機アミン塩、例えば、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−メチルd−グルカミン;およびリシンなどのアミノ酸のような塩基塩である。荷電官能基の数および陽イオンまたは陰イオンの原子価に依存して、二つ以上の陽イオンまたは陰イオンが存在してよい。
【0032】
適する薬学的に許容しうる塩には、更に、例えば、Berge et al. (J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19) および/または Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, 2002) に挙げられているものが含まれる。
【0033】
しかしながら、製造中の塩の単離を容易にするために、選択された溶媒中にあまり可溶性でない塩は、薬学的に許容しうるにせよ、し得ないにせよ、好適でありうる。
【0034】
本発明中において、式(I)の化合物またはその塩は、互変異性の現象を示すことがありうるということ、および本明細書中の図式は、可能性のある互変異性体の一つの形だけを示すことがありうるということは、理解されるはずである。本発明が、DGAT1活性を阻害する互変異性体のいずれの形も包含し、図式中に利用されたいずれか一つの互変異性体形にのみ制限されるわけではないということは、理解されるはずである。更に包含されるのは、特定の原子の同位体、例えば、水素原子の代わりのジュウテリウム原子である。
【0035】
更に提供されるのは、式(I)の化合物のプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容しうる塩である。
【0036】
式(I)の化合物のプロドラッグおよびそれらの塩も、本発明の範囲内である。
【0037】
いろいろな形のプロドラッグが、当該技術分野において知られている。このようなプロドラッグ誘導体の例については、次を参照されたい。
【0038】
(a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Academic Press, 1985);
(b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 “Design and Application of Prodrugs”, by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);
(c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992);
(d)H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285 (1988);および
(e)N. Kakeya, et al., Chem Pharm Bull, 32, 692 (1984)。
【0039】
このようなプロドラッグの例は、本発明の化合物の in vivo 開裂可能エステルである。カルボキシ基を含有する本発明の化合物の in vivo 開裂可能エステルは、例えば、ヒトまたは動物体内で開裂して親酸を生じる薬学的に許容しうるエステルである。カルボキシに適する薬学的に許容しうるエステルには、(1−6C)アルキルエステル、例えば、メチルまたはエチル;(1−6C)アルコキシメチルエステル、例えば、メトキシメチル;(1−6C)アルカノイルオキシメチルエステル、例えば、ピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;(3−8C)シクロアルコキシカルボニルオキシ(1−6C)アルキルエステル、例えば、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソラン−2−イルメチルエステル、例えば、5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル;(1−6C)アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば、1−メトキシカルボニルオキシエチル;アミノカルボニルメチルエステルおよびそれらのモノ−またはジ−N−((1−6C)アルキル)変型、例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニルメチルエステルおよびN−エチルアミノカルボニルメチルエステルが含まれ;そしてそれは、本発明の化合物中のいずれのカルボキシ基で形成されてもよい。ヒドロキシ基を含有する本発明の化合物の in vivo 開裂可能エステルは、例えば、ヒトまたは動物体内で開裂して親ヒドロキシ基を生じる薬学的に許容しうるエステルである。ヒドロキシに適する薬学的に許容しうるエステルには、(1−6C)アルカノイルエステル、例えば、アセチルエステル;およびベンゾイルエステルであって、フェニル基が、アミノメチルまたはN−置換されたモノ−またはジ−(1−6C)アルキルアミノメチルで置換されていてよいもの、例えば、4−アミノメチルベンゾイルエステルおよび4−N,N−ジメチルアミノメチルベンゾイルエステルが含まれる。
【0040】
具体的なプロドラッグは、式(I)の化合物中のカルボン酸(carboxyclic acid)の(1−4C)アルキルエステルである。
【0041】
式(I)を有する特定の化合物が、不斉置換された炭素および/または硫黄原子を含有し、したがって、光学活性な形およびラセミ体の形で存在することがありうるし且つ単離されることがありうるということは、当業者に理解されるであろう。式(I)を有するいくつかの化合物は、多形を示すことがありうる。本発明が、ラセミ体、光学活性体、多形体または立体異性体の形、またはそれらの混合物であって、DGAT1活性の阻害に有用な性質を有する形をいずれも包含するということは理解されるはずであり、光学活性な形を製造する方法(例えば、再結晶法によるラセミ体の分割による、光学活性出発物質からの合成による、キラル合成による、酵素的分割による、バイオトランスフォーメーションによる、またはキラル固定相を用いたクロマトグラフィー分離による)、および以下に記載の標準試験によってDGAT1活性の阻害について効力を決定する方法は、当該技術分野において周知である。
【0042】
式(I)を有する特定の化合物およびそれらの塩が、溶媒和の形、更には、非溶媒和の形、例えば、水和した形などで存在しうるということも理解されるはずである。本発明が、DGAT1活性を阻害するこのような溶媒和の形を全て包含するということは理解されるはずである。
【0043】
前述のように、本発明者は、十分なDGAT1阻害活性を有する一定範囲の化合物を発見した。それらは、概して、十分な物理的および/または薬物動態学的性質を有する。次の化合物は、特に、望ましい性質、例えば、薬物動態学的/薬力学的および/または毒物学的なプロフィールおよび/またはDGAT1に選択的な活性などを有する。
【0044】
一つの側面において、式(I)の化合物中の、定義のフルオロ基および定義のZ(例えば、カルボキシ)基(またはその適する代替基)を有するフェニル環は、シクロヘキシル環をはさんで互いに cis−配置かまたは trans−配置であるということは理解されるであろう。適所において、本発明は、cis−および trans−双方の異性体を包含する。このような異性体の分離技法は、当該技術分野において周知である。
【0045】
したがって、一つの側面に置いて、定義のフルオロ基および定義のカルボキシ基を有するフェニル環は、シクロヘキシル環をはさんで cis−立体配置であり、式(IA)
【0046】
【化5】

【0047】
(式中、可変部分は、本明細書中の前にまたは以下に定義の通りである)
を有する化合物を生じる。
【0048】
したがって、別の側面に置いて、定義のフルオロ基および定義のカルボキシ基を有するフェニル環は、シクロヘキシル環をはさんで trans−立体配置であり、式(IB)
【0049】
【化6】

【0050】
(式中、可変部分は、本明細書中の前にまたは以下に定義の通りである)
を有する化合物を生じる。
【0051】
式(I)の化合物の本明細書中の前のまたは以下の意味は、式(IA)および式(IB)の化合物にも当てはまると解釈される。
【0052】
本発明の一つの態様において、式(I)、式(IA)および式(IB)の化合物を提供し、別の態様において、式(I)、式(IA)および式(IB)の化合物の塩、具体的には、薬学的に許容しうる塩を提供する。もう一つの態様において、式(I)、式(IA)および式(IB)の化合物のプロドラッグ、具体的には、in-vivo 開裂可能エステルを提供する。もう一つの態様において、式(I)、式(IA)および式(IB)の化合物のプロドラッグの塩、具体的には、薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0053】
式(I)、式(IA)および式(IB)の化合物中の置換基の具体的な意味は、次の通りである(このような意味は、本明細書中の前にまたは以下に定義の他の意味、定義、請求の範囲または態様のいずれかについて適所で用いることができる)。
【0054】
(a)nは、1、2または3である;
(b)nは、2または3である;
(c)nは、2である;
(d)nは、3である;
(e)Rは、フルオロまたはクロロである;
(f)Rは、フルオロである;
(g)nは、2または3であり、そしてRは、フルオロである;
(h)nは、1であり、そしてRは、トリフルオロメチル(trifloromethyl)である;
(i)nは、1であり、そしてRは、ジフルオロメトキシ(difloromethoxy)である;
(j)nは、1であり、そしてRは、トリフルオロメトキシ(trifloromethoxy)である;
(k)Zは、カルボキシである。
【0055】
一つの態様において、本発明は、下の式(IC)
【0056】
【化7】

【0057】
(式中、nは、2または3であり、そしてRは、独立して、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシより選択される)
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0058】
別の態様において、本発明は、nが、2または3であり、そしてRが、独立して、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシより選択される式(I)または式(IC)の化合物を提供する。
【0059】
別の態様において、本発明は、nが、2または3であり、そしてRが、フルオロである式(I)または式(IC)の化合物を提供する。
【0060】
別の態様において、本発明は、nが、2または3であり、そしてRが、フルオロである式(I)の化合物を提供する。
【0061】
別の態様において、本発明は、式(IB)
【0062】
【化8】

【0063】
(式中、nは、2または3であり、そしてRは、フルオロである)
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0064】
別の態様において、本発明は、式(IB)
【0065】
【化9】

【0066】
(式中、nは、2または3であり、そしてRは、フルオロである)
を有する化合物を提供する。
【0067】
本発明の追加の具体的な化合物は、各々の実施例であり、それらは各々、本発明のもう一つの独立した側面を提供する。もう一つの側面において、本発明は、更に、いずれか具体的な実施例の化合物またはそれらの薬学的に許容しうる塩(例えば、ナトリウム塩、マグネシウム塩、tert−ブチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、エタノールアンモニウム塩、メチルエタノールアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩またはニコチンアミド塩など)を含む。
【0068】
式(I)の化合物およびその塩は、化学的に関連した化合物の製造に適用可能であることが知られているいずれかの方法によって製造することができる。このような方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を製造するのに用いられる場合、本発明のもう一つの特徴として提供される。
【0069】
もう一つの側面において、本発明は、更に、式(I)の化合物およびそれらの塩を、次の方法、実施例の方法および類似の方法(ここにおいて、可変部分は全て、特に断らない限り、式(I)の化合物について本明細書中の前に定義の通りである)によって製造することができ、そしてその後、必要ならば、保護基をいずれも除去することができるおよび/または適当な塩を形成することができるということを提供する。定義のカルボン酸基はいずれも、適宜、それらの模擬体または生物同配体によって置き換えられてよい。
【0070】
本発明の側面として更に包含されるのは、本明細書中に記載のいずれかの方法によって入手可能な化合物である。
【0071】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容しうる塩は、化学的に関連した化合物の製造に適用可能であることが知られているいずれかの方法によって製造することができる。このような方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を製造するのに用いられる場合、本発明のもう一つの特徴として提供される。
【0072】
もう一つの側面において、本発明は、更に、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを、次の(a)〜(c)の方法(ここにおいて、可変部分は全て、特に断らない限り、式(I)の化合物について本明細書中の前に定義の通りであり、そしてここにおいて、cis−または trans−化合物は、適当な中間体化合物の使用によって製造することができるし、そして異なったZ基を有する化合物は、適当な化合物の使用によって製造することができる)によって製造することができるということを提供する。
【0073】
(a)式(I)の別の化合物を形成するための式(I)の化合物の反応;
(b)式(2)
【0074】
【化10】

【0075】
(式中、Rxは、例えば、メチル、エチルまたはt−ブチルである)
を有するアミンエステルと、式(3)
【0076】
【化11】

【0077】
を有するカルボン酸塩との反応の後、脱保護(Rx=メチルまたはエチルの場合は塩基加水分解、そしてRx=t−ブチルの場合は酸性脱保護を用いる);
(c)式(4)
【0078】
【化12】

【0079】
(式中、X=SまたはO;Rxは、例えば、メチル、エチルまたはt−ブチルである)
を有する化合物の環化、
そしてその後、必要ならば、保護基をいずれも除去すること、および/またはそれらの薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを形成すること。
【0080】
本明細書中の構造およびスキーム中において、Rおよびnは、上に定義の通りである。
【0081】
方法(a)
当業者に周知の、式(I)の化合物の式(I)の別の化合物への変換の例には、加水分解(具体的には、エステル加水分解)、酸化または還元(酸のアルコールへの還元など)などの官能基相互変換または酸のアミドへの変換、および/または標準的な反応による追加の官能基付加が含まれる。
【0082】
方法(b)
式(2)の化合物は、下のスキーム1および実施例に示されるような、当該技術分野において周知の標準的な合成法の適用によって製造することができる。
【0083】
【化13】

【0084】
キラル中心を有することがありうるまたは cis/trans 異性体などの異なった異性体形で存在することがありうる式(2)の化合物は、適宜、個々の異性体として製造することができる。
【0085】
スキーム1において、適当な立体化学は、クロマトグラフィーまたは再結晶などの標準的な手順による所望の異性体の分離によって得ることもできる。クロマトグラフィーまたは再結晶は、スキーム1に示された最後の二つの化合物のどちらかで行うことができる。式(2)の化合物は、再結晶を助ける塩(塩酸塩など)として製造することができる。
【0086】
スキーム1において、基Rxは、加水分解により、例えば、KOHを用いて除去することができる。
【0087】
式(3)の化合物は、公表された手順(J. Het. Chem. 1977, 14, 1385-1388)を用いて製造されるエステル(3a)のアルカリ性加水分解によって製造することができる。エステル(3a)は、式(4)の化合物について方法(c)に記載されたのと同様に、式(3b)の化合物の環化によって製造することができる。
【0088】
【化14】

【0089】
式(3a)の化合物を製造する別の方法を、下に示す。
【0090】
【化15】

【0091】
式(2)の化合物は、アミド結合の形成について標準的な条件下において、式(3)の化合物とカップリングさせることができる。例えば、EDACで行われるカルボジイミドカップリング反応などの適当なカップリング反応を、場合により、DMAPの存在下、DCM、クロロホルムまたはDMFなどの適する溶媒中において室温で用いること。
【0092】
方法(c)
XがSである式(4)および式(3b)の化合物は、アミノカルボニルアシルヒドラジンまたはエトキシカルボニルアシルヒドラジンと、チオイソシアネートまたはアミノチオカルボニルイミダゾールなどのチオイソシアネート均等物との反応により、DMFまたはMeCNなどの適する溶媒中において0〜100℃の温度で製造することができる。アミノカルボニルアシルヒドラジンのアニリンからのおよびエトキシカルボニルアシルヒドラジンの製造は、当該技術分野において周知である。例えば、アニリンとクロロオキソ酢酸メチルとの、ピリジンの存在下におけるDCMなどの適する溶媒中での反応後、エタノールなどの適する溶媒中において0〜100℃の温度でのヒドラジンとの反応。
【0093】
次に、式(4)の化合物を、例えば、カルボニルジイミダゾールまたは塩化トシルなどの試剤および適する塩基(トリエチルアミンなど)を用いて、当該技術分野において知られている条件下で環化することができる。
【0094】
XがOである式(4)および式(3b)の化合物は、適当なイソシアネートの同様の使用によって製造することができる。
【0095】
方法(c)の一例を、スキーム2に示す。
【0096】
【化16】

【0097】
キラル中心を有することがありうるまたは cis/trans 異性体などの異なった異性体形で存在することがありうるスキーム2中の化合物は、適宜、個々の異性体として製造することができる。
【0098】
スキーム2において、基Ryは、適当な脱保護技法によって除去することができる。
【0099】
イソ(チオ)シアネートR−NCX(式中、Xは、OまたはSである)は、商業的に入手可能であるし、または酸塩化物R−NHと、例えば、(チオ)ホスゲンまたは(チオ)ホスゲン均等物との反応後、適する塩基(トリエチルアミンなど)との反応によって製造することができる。
【0100】
式(4)の化合物は、式(2)の化合物から製造することができる。
【0101】
本発明の化合物中の特定のいろいろな環置換基Rは、上述の方法の前かまたは直後に、標準的な芳香族置換反応によって導入することができるし、または慣用的な官能基修飾によって生じることができ、そしてそれ自体、本発明の方法側面に包含されるということは理解されるであろう。このような反応は、式(I)の一つの化合物を式(I)の別の化合物へと変換することができる。例えば、一つのZ基の別のZ基への相互変換。このような手順のための試薬および反応条件は、当化学技術分野において周知である。
【0102】
商業的に入手不能である場合、上記のものなどの手順に必要な出発物質は、標準的な有機化学技法、既知の構造的に似ている化合物の合成に類似の技法、上に与えられた参考文献に記載されているまたは詳しく説明されている技法、または上記の手順または実施例に記載の手順に類似の技法より選択される手順によって製造することができる。読者は、更に、反応条件および試薬の一般的な指針について、Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, by Jerry March and Michael Smith, published by John Wiley & Sons 2001 を参照する。
【0103】
式(I)の化合物へのいくつかの中間体も、新規であり、そしてこれらは、本発明の別個の独立した側面として提供されるということは理解されるであろう。
【0104】
更に、本明細書中に述べられているいくつかの反応において、化合物中のいずれかの感受性基を保護することが必要でありうる/望まれることがありうるということは理解されるであろう。保護が必要であるまたは望まれる状況は、このような保護に適する方法と同様、当業者に知られている。慣用的な保護基は、標準的な慣例にしたがって用いることができる(詳しい例については、T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, 1991 を参照されたい)。
【0105】
保護基は、問題の保護基の除去について適宜、参考文献に記載されているまたは当化学者に知られているいずれか好都合な方法によって除去することができ、このような方法は、分子中のどこか他の基の妨害を最小限にして保護基の除去を行うように選択される。
【0106】
したがって、反応物が、例えば、アミノ、カルボキシまたはヒドロキシなどの基を包含する場合、本明細書中に述べられているいくつかの反応においてその基を保護することは望まれることがありうる。
【0107】
ヒドロキシ基に適する保護基の例は、例えば、アシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基;アロイル基、例えば、ベンゾイル;トリメチルシリルなどのシリル基;またはアリールメチル基、例えば、ベンジルである。上の保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択肢で異なるであろう。したがって、例えば、アルカノイル基またはアロイル基などのアシル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどの適する塩基での加水分解によって除去することができる。或いは、トリメチルシリルまたはSEMなどのシリル基は、例えば、フッ化物によってまたは水性酸によって除去することができる;またはベンジル基などのアリールメチル基は、例えば、炭素上パラジウムなどの触媒の存在下における水素化によって除去することができる。
【0108】
アミノ基に適する保護基は、例えば、アシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基;アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基または tert−ブトキシカルボニル基;アリールメトキシカルボニル基、例えば、ベンジルオキシカルボニル;またはアロイル基、例えば、ベンゾイルである。上の保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択肢で異なる。したがって、例えば、アルカノイル基またはアルコキシカルボニル基またはアロイル基などのアシル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどの適する塩基での加水分解によって除去することができる。或いは、t−ブトキシカルボニル基などのアシル基は、例えば、塩酸、硫酸またはリン酸、またはトリフルオロ酢酸のような適する酸での処理によって除去することができるし、そしてベンジルオキシカルボニル基などのアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素上パラジウムなどの触媒上の水素化によって、またはルイス酸、例えば、トリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素での処理によって除去することができる。第一級アミノ基に適する別の保護基は、例えば、アルキルアミン、例えば、ジメチルアミノプロピルアミンまたは2−ヒドロキシエチルアミンでの、またはヒドラジンでの処理によって除去することができるフタロイル基である。
【0109】
カルボキシ基に適する保護基は、例えば、エステル形成性基、例えば、水酸化ナトリウムなどの塩基での加水分解によって除去することができる、例えば、メチル基またはエチル基;または例えば、酸、例えば、トリフルオロ酢酸などの有機酸での処理によって除去することができる、例えば、t−ブチル基;または例えば、炭素上パラジウムなどの触媒上の水素化によって除去することができる、例えば、ベンジル基である。
【0110】
樹脂も、保護基として用いることができる。
【0111】
それら保護基は、当化学技術分野において周知の慣用的な技法を用いた合成におけるいずれか好都合な段階で除去することができる、またはそれらは、後方の反応工程または処理中に除去することができる。
【0112】
当有機化学者は、上の参考文献およびそれらの実施例、そして更に、本明細書中の実施例中に含まれる且つ論じられている情報を用い且つ適応して、必要な出発物質および生成物を得ることができるであろう。
【0113】
いずれかの保護基の除去および薬学的に許容しうる塩の形成は、標準的な技法を用いて当有機化学者の技術の範囲内である。更に、これら工程の詳細は、本明細書中の前に与えられた。
【0114】
本発明の化合物の光学活性な形が必要とされる場合、それは、(例えば、適する反応工程の不斉誘導によって形成される)光学活性出発物質を用いて上の手順の一つを行うことによって;または標準法を用いたラセミ体形の化合物または中間体の分割によって;または(生成された場合の)ジアステレオ異性体のクロマトグラフィー分離によって得ることができる。酵素的技法も、光学活性な化合物および/または中間体の製造に有用でありうる。
【0115】
同様に、本発明の化合物の純粋なレギオ異性体が必要とされる場合、それは、出発物質として純粋なレギオ異性体を用いて上の手順の一つを行うことによって、または標準法を用いたレギオ異性体または中間体の混合物の分割によって得ることができる。
【0116】
本発明のもう一つの側面により、医薬組成物であって、本明細書中の前に定義の式(I)、式(IA)または式(IB)または式(IC)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0117】
本発明の組成物は、経口使用に(例えば、錠剤、ロゼンジ、硬または軟カプセル剤、水性または油状の懸濁剤、乳剤、分散性の散剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所使用に(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性または油状の液剤または懸濁剤として)、吸入による投与に(例えば、微粉または液状エアゾル剤として)、吹入による投与に(例えば、微粉として)、または非経口投与に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、または筋肉内投与用の滅菌水性または油状の液剤として、または直腸投与用の坐剤として)適する形であってよい。
【0118】
本発明のそれら組成物は、当該技術分野において周知の慣用的な医薬賦形剤を用いて慣用法によって得ることができる。したがって、経口使用を予定した組成物は、例えば、一つまたはそれを超える着色剤、甘味剤、着香剤および/または保存剤を含有してよい。
【0119】
錠剤製剤に適する薬学的に許容しうる賦形剤には、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムなどの不活性希釈剤;トウモロコシデンプンまたはアルゲン酸(algenic acid)などの造粒剤および崩壊剤;デンプンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤;p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピルなどの保存剤;およびアスコルビン酸などの酸化防止剤が含まれる。錠剤製剤は、未コーティングであってよいし、またはそれらの崩壊およびその後の胃腸管内での活性成分の吸収を変更するようにかまたは、それらの安定性および/または外観を改善するように、どちらの場合も、当該技術分野において周知の慣用的なコーティング剤および手順を用いてコーティングされていてよい。
【0120】
経口使用のための組成物は、その活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されているゼラチン硬カプセル剤の形であってよいし、または活性成分が、水、またはラッカセイ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などの油と混合されているゼラチン軟カプセル剤としてあってよい。
【0121】
水性懸濁剤は、概して、微粉の形の活性成分を、一つまたはそれを超える懸濁化剤であって、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどのもの;分散助剤または湿潤剤であって、レシチン;または脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート);または長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール;またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートのような、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物;または脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートなどのものと一緒に含有する。それら水性懸濁剤は、更に、一つまたはそれを超える保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピルなど、酸化防止剤(アスコルビン酸など)、着色剤、着香剤および/または甘味剤(スクロース、サッカリンまたはアスパルテームなど)を含有してよい。
【0122】
油状懸濁剤は、活性成分を、植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油など)中にまたは鉱油(流動パラフィンなど)中に懸濁させることによって製剤化することができる。それら油状懸濁剤は、更に、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有してよい。上記のものなどの甘味剤および着香剤を加えて、口当たりのよい経口製剤を提供することができる。これら組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって保存することができる。
【0123】
水の添加による水性懸濁液の製造に適する分散性の散剤および顆粒剤は、概して、活性成分を、分散助剤または湿潤剤、懸濁化剤および一つまたはそれを超える保存剤と一緒に含有する。適する分散助剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上に既述されたものによって代表される。甘味剤、着香剤および着色剤などの追加の賦形剤も存在してよい。
【0124】
本発明の医薬組成物は、水中油エマルジョンの形であってもよい。その油状相は、オリーブ油またはラッカセイ油などの植物油、または例えば、流動パラフィンなどの鉱油、またはいずれかこれらの混合物であってよい。適する乳化剤は、例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴムなどの天然に存在するガム;ダイズ、レシチンなどの天然に存在するホスファチド;脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレアート);およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートのような、エチレンオキシドとこれら部分エステルの縮合生成物であってよい。それらエマルジョンは、甘味剤、着香剤および保存剤を含有してもよい。
【0125】
シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはスクロースなどの甘味剤と一緒に製剤化することができるし、そして更に、粘滑剤、保存剤、着香剤および/または着色剤を含有してよい。
【0126】
それら医薬組成物は、滅菌注射可能な水性または油状懸濁剤の形であってもよく、それは、既知の手順にしたがって、上に述べられてきた一つまたはそれを超える適当な分散助剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化することができる。滅菌注射可能製剤は、無毒性の非経口的に許容しうる希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。
【0127】
吸入による投与用の組成物は、微粉固体を含有するエアゾルかまたは液体粒子として活性成分を計量分配するように配置された慣用的な加圧エアゾルの形であってよい。揮発性フッ素化炭化水素または炭化水素などの慣用的なエアゾル噴射剤を用いることができるが、そのエアゾル装置は、好都合には、一定計量の活性成分を計量分配するように配置される。
【0128】
本発明の化合物、例えば、本明細書中に記載の実施例は、例えば、次のような、ポリビニルピロリドン/Aerosol OTのビヒクル中の、例えば、ナノサスペンジョン(nanosuspension)(典型的に、<1μmの平均粒度を有する)として製剤化することができる。
【0129】
典型的なビヒクル製造(例えば、100ml):
0.67グラムのポリビニルピロリドン(Kollidon 25グレード、例えば、BASF)および0.033グラムのAerosol OT−100(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、例えば、Cydex Industries)を、100ml容量フラスコ中に秤量する。約70mlの脱イオン水を加え、そして溶液が形成されるまで、フラスコを音波処理する。脱イオン水で容量として、脱イオン水中にポリビニルピロリドン(0.67%w/v)/Aerosol OT(0.033%w/v)を含有する溶液を生じる。
【0130】
ナノサスペンジョン製造:
懸濁液中の薬物の最終濃度を生じるのに必要な量の化合物を、適する予備容量を印した容器中に秤量する。
【0131】
少量のビヒクルを化合物に加え且つ混合して化合物を湿潤させ、スラリーを形成する。次に、そのスラリーを、ビヒクルで容量とする。
【0132】
次に、そのように形成されたスラリーを、800rpmで回転する Fritsch P7遊星形マイクロミル上において、0.6〜0.8mm直径ジルコニア微粉砕用ビーズが入っているジルコニア微粉砕用ポット中でビーズ微粉砕する。微粉砕時間は、通常は、4x30分の微粉砕運転で、各々の運転の間に15分の冷却時間を含む。微粉砕後、微粉砕用ポットを室温に冷却させ、そして、ナノサスペンジョンをビーズから分離する。
【0133】
製剤に関する追加の情報について、読者は、Chapter 25.2 in Volume 5 of Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press 1990 を参照する。
【0134】
一つまたはそれを超える賦形剤と組み合わされて単一剤形を生じる活性成分の量は、必然的に、処置される宿主および具体的な投与経路に依存して異なるであろう。例えば、ヒトへの経口投与を予定した製剤は、概して、全組成物の約5〜約98重量%であってよい適当且つ好都合な量の賦形剤と配合された、例えば、0.5mg〜2gの活性剤を含有するであろう。単位剤形は、概して、約1mg〜約500mgの活性成分を含有するであろう。投与経路および投薬計画に関する追加の情報について、読者は、Chapter 25.3 in Volume 5 of Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press 1990 を参照する。
【0135】
本発明のもう一つの側面により、療法によるヒトまたは動物体の処置方法で用いるための、本明細書中の前に定義の式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを提供する。
【0136】
本発明者は、本発明の化合物が、DGAT1活性を阻害し、したがって、それらの血中グルコース低下作用について興味深いということを発見した。
【0137】
本発明のもう一つの特徴は、薬剤として用いるための、式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグである。
【0138】
好都合には、これは、ヒトなどの温血動物にDGAT1活性の阻害を生じる(薬剤として用いる)ための、式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグである。
【0139】
具体的には、これは、ヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症を処置する(薬剤として用いる)ための、式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグである。
【0140】
したがって、本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物でのDGAT1活性の阻害の生成に用いるための薬剤の製造における、式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグの使用を提供する。
【0141】
したがって、本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症の処置に用いるための薬剤の製造における、式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグの使用を提供する。
【0142】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物にDGAT1活性の阻害を生じる場合に用いるための医薬組成物であって、本明細書中の前に定義の式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0143】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症の処置に用いるための医薬組成物であって、本明細書中の前に定義の式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0144】
本発明のもう一つの特徴により、DGAT1活性の阻害を生じる処置を必要としているヒトなどの温血動物にDGAT1活性の阻害を生じる方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0145】
本発明のもう一つの特徴により、真性糖尿病および/または肥満症の処置を必要としているヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症を処置する方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式(I)、式(IA)および/または式(IB)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0146】
上述のように、具体的な疾患状態の治療的または予防的処置に必要な用量サイズは、必然的に、処置される宿主、投与経路および処置されている疾患の重症度に依存して異なるであろう。好ましくは、1〜50mg/kgの範囲内の1日用量を用いる。別の態様において、1日用量は、0.01〜50mg/kg、具体的には、0.01〜10mg/kg、0.01〜1mg/kgまたは0.01〜0.1mg/kgの範囲内である。しかしながら、その1日用量は、必然的に、処置される宿主、具体的な投与経路および処置されている疾患の重症度に依存して異なるであろう。したがって、最適投薬量は、いずれか特定の患者を処置している医療の実務者が決定することができる。
【0147】
上述のように、本発明中に定義の化合物は、DGAT1の活性を阻害するそれらの能力について興味深い。したがって、本発明の化合物は、真性糖尿病、より具体的には、2型真性糖尿病(T2DM)およびそれに由来する合併症(例えば、網膜症、ニューロパシーおよび腎症)、グルコース寛容減損(IGT)、空腹時グルコース減損の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、代謝障害性症候群、関節炎、骨粗鬆症、肥満症および肥満関連障害(末梢血管疾患(間欠性跛行を含めた)、心不全および特定の心筋障害、心筋虚血、脳虚血および再灌流、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、不妊症および多嚢胞性卵巣症候群を含めたもの)を含めた一定範囲の疾患状態の予防、遅延または処置に有用でありうる;本発明の化合物は、更に、筋脱力感、ざ瘡などの皮膚疾患、種々の免疫調節性疾患(乾癬など)、HIV感染、炎症性腸症候群、およびクローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患にも有用でありうる。
【0148】
具体的には、本発明の化合物は、真性糖尿病および/または肥満症および/または肥満関連障害の予防、遅延または処置について興味深い。一つの側面において、本発明の化合物は、真性糖尿病の予防、遅延または処置に用いられる。別の側面において、本発明の化合物は、肥満症の予防、遅延または処置に用いられる。もう一つの側面において、本発明の化合物は、肥満関連障害の予防、遅延または処置に用いられる。
【0149】
本明細書中に記載のDGAT1活性の阻害は、単独療法として適用されてよいし、または処置されている適応症のための一つまたはそれを超える他の物質および/または処置との組合せで適用されてよい。このような共同処置は、その処置の個々の成分の同時の、逐次的なまたは別個の投与によって達成することができる。同時処置は、単一錠剤中であってよいしまたは別個の錠剤中であってよい。例えば、このような共同処置は、代謝症候群[腹部肥満(人種および性別特異的カットポイントに対する腰囲で測定される)に、次のいずれか二つを加えたものとして定義される。高トリグリセリド血症(>150mg/dl;1.7mmol/l);低HDLc(男性については<40mg/dlまたは<1.03mmol/l、そして女性については<50mg/dlまたは1.29mmol/l)または低HDL(高密度リポタンパク質)の処置中;高血圧症(SBP≧130mmHg DBP≧85mmHg)または高血圧症の処置中;および高血糖症(空腹時血漿グルコース≧100mg/dlまたは5.6mmol/lまたはグルコース寛容減損または既存の真性糖尿病)−International Diabetes Federation およびIAS/NCEPより入力]の処置に有益でありうる。
【0150】
このような共同処置には、次の主な部類が含まれてよい。
【0151】
(1)抗肥満療法であって、オルリスタト(orlistat)、シブトラミン(sibutramine)等のような、摂食、栄養吸収またはエネルギー消費への作用によって体重減少を引き起こすものなど。
【0152】
(2)インスリン分泌促進薬であって、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド、グリピジド)、食事性グルコース調節薬(例えば、レパグリニド(repaglinide)、ナテグリニド(nateglinide))を含めたもの;
(3)インクレチン作用を改善する物質(例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤およびGLP−1アゴニスト);
(4)インスリン増感性薬であって、PPARγアゴニスト(例えば、ピオグリタゾン(pioglitazone)およびロシグリタゾン(rosiglitazone))を含めたもの、および組合せのPPARαおよびγ活性を有する物質;
(5)肝グルコース平衡をモジュレーションする物質(例えば、メトホルミン、フルクトース1,6ビスホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤、グルコキナーゼアクチベーター);
(6)腸からのグルコース吸収を減少させるように設計された物質(例えば、アカルボース(acarbose));
(7)腎によるグルコースの再吸収を妨げる物質(SGLT阻害剤);
(8)持続性高血糖症の合併症を処置するように設計された物質(例えば、アルドースレダクターゼ阻害剤);
(9)抗異常脂肪血症薬であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチン);PPARαアゴニスト(フィブラート(fibrates)、例えば、ゲムフィブロジル);胆汁酸金属イオン封鎖剤(コレスチラミン);コレステロール吸収阻害剤(植物スタノール(stanols)、合成阻害剤);胆汁酸吸収阻害剤(IBATi)およびニコチン酸および類似体(ナイアシンおよび徐放性製剤)などのもの;
(10)抗高血圧症薬であって、β遮断薬(例えば、アテノロール、インデラル);ACE阻害剤(例えば、リシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えば、ニフェジピン);アンギオテンシン受容体アンタゴニスト(例えば、カンデサルタン(candesartan));αアンタゴニストおよび利尿薬(例えば、フロセミド、ベンズサイアザイド)などのもの;
(11)止血調節薬であって、抗血栓薬、フィブリン溶解の活性化剤および抗血小板薬;トロンビンアンタゴニスト;第Xa因子阻害剤;第VIIa因子阻害剤);抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル(clopidogrel));抗凝固薬(ヘパリンおよび低分子量類似体、ヒルジン)およびワルファリンなどのもの;
(12)グルカゴンの作用に拮抗する物質;および
(13)抗炎症薬であって、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリン)およびステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチゾン)などのもの。
【0153】
治療薬中でのそれらの使用に加えて、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩は、新しい治療薬の探求の一部分として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスなどの実験動物でのDGAT1活性の阻害剤の作用の評価のための in vitro および in vivo 試験システムの開発および規格化における薬理学的手段としても有用である。
【0154】
上の他の医薬組成物、プロセス、方法、使用および薬剤製造の特徴において、本明細書中に記載の本発明の化合物の別の具体的な且つ好ましい態様も当てはまる。本明細書中に記載の本発明の別の具体的な且つ好ましい態様は、更に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグに当てはまる。
【0155】
上に示されたように、全てのそれら化合物およびそれらの該当する薬学的に許容しうる塩は、DGAT1を阻害する場合に有用である。DGAT1を阻害する式(I)の化合物およびそれらの該当する薬学的に許容しうる(酸付加)塩の能力は、次の酵素検定を用いて示すことができる。
【0156】
ヒト酵素検定
例えば、国際出願WO2005/044250号を参照されたい。
【0157】
DGAT1阻害剤を同定する in vitro 検定は、昆虫細胞膜中で発現されるヒトDGAT1を酵素源として用いる(Proc. Natl. Acad. Sci. 1998, 95, 13018-13023)。簡単にいうと、sf9細胞に、ヒトDGAT1コーディング配列を含有するリコンビナントバキュロウイルスを感染させ、48時間後に採取した。細胞を、音波処理によって溶解させ、そして膜を、41%スクロース勾配上、4℃において28000rpmで1時間遠心分離することによって単離した。界面にある膜画分を集め、洗浄し、液体窒素中で貯蔵した。
【0158】
DGAT1活性を、Coleman(Methods in Enzymology 1992, 209, 98-102)によって記載された方法の変法によって検定した。化合物を0.0000256μM〜33μM(最終濃度)(典型的に、10μM)で、96ウェルプレート中の200μlの全検定容量中において、(10%の最終検定濃度のアセトンで、アセトン中に溶解させた)4μg/ml(最終濃度)の膜タンパク質、5mM MgClおよび100μM 1,2ジオレオイル−sn−グリセロールと一緒にインキュベートした。その反応を、14Cオレオイル補酵素A(30μMの最終濃度)を加えることによって開始させ、室温で30分間インキュベートした。その反応を、200μlの7:1の2−プロパノール:ヘプタンを加えることによって止めた。放射性トリオレイン生成物を、300μlのヘプタンおよび100μlの0.1M炭酸緩衝液pH9.5を加えることによって、有機相中に分離した。DGAT1活性を、上部ヘプタン層のアリコートを液体シンチログラフィーで計数することによって定量した。
【0159】
この検定を用いると、化合物は、概して、10μM未満のIC50、好ましくは、10μM未満(すなわち、IC50<10μM)、好ましくは、<1μM、より好ましくは、<0.1μM、具体的には、<0.05μM、そしてより具体的には、<0.01μMで活性を示す。示された数字は、通常は、標準的な慣例にしたがった多数の測定値(通常は、2測定値)の平均である。
【0160】
実施例1〜8は、それぞれ、IC50=0.016μM;0.028μM;0.011μM;0.012μM;0.0055μM;0.0037μM;0.0092μMおよび0.0047μMを示した。
【0161】
DGAT1を阻害するそれら式(I)の化合物およびそれらの該当する薬学的に許容しうる(酸)塩の能力は、次の全細胞検定を用いて、更に示すことができる。
【0162】
HuTu80細胞中のトリグリセリド合成の測定
HuTu80細胞を、6ウェルプレート中においてウシ胎仔血清を含有する最少必須培地中で密集するまで培養した。実験用に、その培地を、血清不含培地へと変更し、そして細胞を、DMSO中に溶解させた化合物(0.1%の最終濃度)と一緒に30分間プレインキュベートした。de novo 脂質生合成を、各々のウェルへの0.12mMオレイン酸ナトリウム+0.03mM BSAに錯体形成した1μCi/mLの14C−オレイン酸ナトリウムの添加によって更に2時間測定した。それら細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水中で洗浄し、そして1%ドデシル硫酸ナトリウム中に溶解させた。Lowry(J. Biol. Chem., 1951, 193, 265-275)の方法に基づくタンパク質推定キット(Perbio)を用いたタンパク質決定用に、アリコートを取り出した。脂質は、Coleman(Methods in Enzymology, 1992, 209, 98-104)の方法にしたがって、ヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)混合物、次に水およびヘプタンのアリコートを用いて有機相中に抽出した。その有機相を集め、溶媒を窒素流下で蒸発させた。抽出物を、イソヘキサン:酢酸(99:1)中に溶解させ、そして脂質を、Silversand and Haux(1997)の方法にしたがって、順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、Lichrospher ジオール−5、4x250mmカラム、およびイソヘキサン:酢酸(99:1)およびイソヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)の勾配溶媒系、1mL/分の流速を用いて分離した。トリグリセリド画分中への放射性標識の取込みを、HPLC試験機に連通した Radiomatic Flo-one Detector(Packard)を用いて分析した。
【実施例】
【0163】
次の実施例は、説明目的のためであり、本出願の範囲を制限するものではない。各々示されている化合物は、本発明の具体的な且つ独立した側面である。次の非制限実施例において、特に断らない限り、
(i)蒸発は、減圧下においてロータリーエバポレーションによって行ったし、処理手順は、乾燥剤などの残留固体の濾過による除去後に行った;
(ii)操作は、室温で、すなわち、18〜25℃の範囲内の温度で、そして概して、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスの雰囲気下で行った;
(iii)収率は、単に例示のために与えられ、必ずしも、達成可能な最大値ではない;
(iv)式(I)の最終生成物の構造は、核(概して、プロトン)磁気共鳴(NMR)および質量スペクトル技術によって確認した;プロトン磁気共鳴化学シフト値は、δスケールで測定したが、ピーク多重度は、次のように、s,一重線;d,二重線;t,三重線;m,多重線;br,幅広;q,四重線,quin,五重線と示されている;
(v)中間体は、概して、十分に特性決定しなかったが、純度は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)またはNMR分析によって評価した;
(vi)フラッシュクロマトグラフィーは、シリカ上において、特に断らない限り、Biotage Silica カラムを用いた Biotage SP1またはSP4計測器で行われるフラッシュクロマトグラフィー精製で行った;
(vii)質量スペクトルは、エレクトロスプレーインターフェースを装備した Finnigan LCQ Duo イオントラップ質量分析計(LC−MS)で、またはLC−Agilent 1100LCシステムを用いた Waters ZQから成るLC−MSシステムで記録した;
(viii)H NMR測定は、300および400の1H周波数で操作する Varian Mercury VXR300および400スペクトロメーターで、および400、500および600の1H周波数でそれぞれ操作する Varian UNITYプラス400、500および600スペクトロメーターで行った。化学シフトは、内部標準としての溶媒についてppmで与えられている。NHおよびO-Hプロトンなどのヘテロ原子上のプロトンは、NMRで検出された場合にのみ報告されているので、欠いていることがありうる。
【0164】
(ix)HPLC分離は、Waters YMC−ODS AQS−3、120オングストローム、3x500mmで、または Kromasil C8、10μmカラムを用いた Waters Delta Prep Systems で行った。酸性HPLCは、移動相A:100%ACNおよび移動相B:5%ACN+95%HO+0.2%FAの勾配を用いて行った。中性HPLCは、移動相A:100%ACNおよび移動相B:5%ACN+95%0.1M NHOAcの勾配を用いて行った。
【0165】
(x)マイクロ波オーブン中で行われた反応は、Biotage Initiator Instrument 中で行った。
【0166】
(xi)Struc=Name/CambridgeSoft ELNを、化合物の命名に用いた。ACDName;ACDLabs Name: Release 9:00、製品バージョン9.04などの他の化学命名法ソフトウェアパッケージを用いることができる。
【0167】
本明細書中の実施例などの本発明の化合物の物理的性質は、下記のものなどのいろいろな技法によって測定することができる。
【0168】
X線粉末回折
X線粉末回折スペクトルは、結晶質の試料を、Siemens 単ケイ素結晶(SSC)ウェファーマウント上に固定し、そしてその試料を顕微鏡スライドによって薄層中に広げることによって決定した。試料を、(計数統計値を改善するために)30回転/分で回転させ、そして40kVおよび40mAにおいて1.5406オングストロームの波長で操作する銅ロングファインフォーカス管によって発生するX線を照射した。平行X線源を、V20で設定された自動可変発散スリットを介して通過させ、そして反射した放射線を、2mm散乱防止スリットおよび0.2mm検出器スリットによって方向付けた。試料を、θ−θモードにおいて2°〜40°または50°2θの範囲にわたって、0.02°2θ増分につき1秒間暴露した(連続走査モード)。計測器には、検出器としてシンチレーション計数計を装備した。対照およびデータ捕捉は、Diffract+ソフトウェアで操作する Dell Optiplex 686NT4.0 Workstation によった。当X線粉末回折業者は、ピークの相対強度が、例えば、試料の分析に影響するかもしれない30ミクロンを超えるサイズの粒子および非ユニタリ(non-unitary)アスペクト比によって影響されることがありうるということを理解するであろう。当業者は、更に、反射の位置が、回折計中において試料が位置する正確な高さおよび回折計のゼロ検定によって影響されることがありうるということを理解するであろう。試料表面の平坦さも、僅かに作用するかもしれない。したがって、示された回折図形データを絶対値とみなすべきではない。
【0169】
測定条件(用いられる装置または機械など)に依存して、一つまたはそれを超える測定誤差を有するX線粉末回折図形を得るかもしれないということは知られている。具体的には、概して、X線粉末回折図形の強度が、測定条件に依存して変動するかもしれないということが知られている。
【0170】
当X線粉末回折業者は、ピークの相対強度が、例えば、試料の分析に影響するかもしれない30ミクロンを超えるサイズの粒子および非ユニタリアスペクト比によって影響されることがありうるということを理解するであろう。当業者は、更に、反射の位置が、回折計中において試料が位置する正確な高さおよび回折計のゼロ検定によって影響されることがありうるということを理解するであろう。試料表面の平坦さも、僅かに作用するかもしれない。したがって、示された回折図形データを絶対値とみなすべきではない。(Jenkins, R & Snyder, R.L. ‘Introduction to X-Ray Powder Diffractometry’ John Wiley & Sons 1996; Bunn, C.W. (1948), Chemical Crystallography, Clarendon Press, London; Klug, H. P. & Alexander, L. E. (1974), X-Ray Diffraction Procedures)。
【0171】
概して、X線粉末ディフラクトグラム中の回折角の測定誤差は、約±0.5°2θであり、このような程度の測定誤差は、X線粉末回折データを考える場合に考慮されるはずである。更に、強度が、実験条件および試料製造(選択配向)に依存して変動するかもしれないということは理解されるはずである。
【0172】
次の定義を用いた。
【0173】
【表1】

【0174】
本発明が、結晶形に関するということが述べられている場合、結晶化度は、好都合には、約60%より大、より好都合には、約80%より大、具体的には、約90%より大、そしてより具体的には、約95%より大である。最も具体的には、結晶化度は、約98%より大である。
【0175】
示差走査熱量測定(DSC)
熱的イベントは、示差走査熱量測定により、TA DSC Q1000またはQ2000計測器で分析した。典型的に、5mg未満の材料を、ピンホール付きの標準的なアルミニウム製密閉カップ中に、(例えば、TA DSC Q1000を用いて)5℃または10℃/分の一定加熱速度で25℃〜340℃の温度範囲にわたって入れた。窒素を用いたパージガスを用いた(100ml/分の流速)。
【0176】
本明細書中で用いられていることがありうる略語のリスト:
ACN アセトニトリル
aq 水性
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
Brine 水中の飽和塩化ナトリウム溶液
BSA ウシ血清アルブミン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DEE ジエチルエーテル
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDCI 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FA ギ酸
HOAc 酢酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HWE Horner-Wadsworth-Emmons
Hz ヘルツ
IPA イソプロピルアルコール
iPr イソプロピル
LC 液体クロマトグラフィー
m−CPBA メタクロロペルオキシ安息香酸
MeOH メタノール
MHz メガヘルツ
mL ミリリットル
MS 質量スペクトル
NMM N−メチルモルホリン
NMP N−メチルピペラジン
NMR 核磁気共鳴
OAc アセテート
Ph フェニル
PyBOP ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
PyBROP ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
RT 室温
sat 飽和
TEA トリエチルアミン
Tf トリフルオロメチルスルホニル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
Ts p−トルエンスルホニル。
【0177】
実施例1:(1r,4r)−4−(3−フルオロ−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0178】
【化17】

【0179】
水酸化ナトリウム(2M;3.56mL,7.12mmol)を、MeOH(25mL)中の中間体1−1(741mg,1.42mmol)に加えた。得られた溶液を、16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、そして水性残留物(20mL)を、2M HCl(5mL)でpH2へ調整した。その懸濁液を濾過し、乾燥させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、EtOHからの結晶化によって精製して、標題化合物(37.0mg,5.28%)を白色結晶性固体として与えた。
【0180】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.38 - 1.55 (4H, m), 1.78 - 1.90 (2H, m), 1.90 - 2.05 (2H, m), 2.20 - 2.30 (1H, m), 2.40 - 2.60 (1H, m), 7.10 (1H, dd), 7.19 (1H, dd), 7.45 (1H, t), 7.78 (4H, dd), 10.70 (1H, s), 11.43 (1H, s), 12.02 (1H, s)
m/z(ES+)(M+H)+=493.39。
【0181】
中間体1−1:(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)−フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0182】
【化18】

【0183】
DMF(10mL)中の中間体1−2(500mg,1.42mmol)の溶液に、4−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアネート(347mg,1.71mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(396mg,2.06mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(15mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、乾燥させて、標題化合物を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0184】
m/z(ESI+)(M+H)+=521.46。
【0185】
中間体1−2:(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(2−ヒドラジニル−2−オキソアセトアミド)−フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0186】
【化19】

【0187】
EtOH(300mL)中の中間体1−3(3.55g,10.10mmol)の懸濁液に、ヒドラジン一水和物(0.539mL,11.11mmol)を加えた。得られた懸濁液を、周囲温度で70分間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体として生じた。濾液を蒸発乾固させて、追加の生成物を与え、それを、濾過した固体と一緒にして、標題化合物(3.01g,85%)を白色固体として与えた。
【0188】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.18 (3H, t), 1.40 - 1.53 (4H, m), 1.79 - 1.84 (2H, m), 1.97 - 2.02 (2H, m), 2.31 - 2.37 (1H, m), 2.51 - 2.55 (1H, m), 4.06 (2H, q), 4.61 (2H, s), 7.06 - 7.08 (1H, m), 7.14 - 7.18 (1H, m), 7.57 (1H, t), 10.07 (1H, s), 10.29 (1H, s);
m/z(M+H)352。
【0189】
中間体1−2の別の製造
ヒドラジン一水和物(9.42mL)を、エタノール(930mL)中の中間体1−3(62g)に窒素下において20℃で加えた。得られた濃厚スラリーを、20℃で2時間撹拌し、そしてスラリーを濾過し、エタノールで洗浄し、真空オーブン中において45℃で一晩乾燥させて、(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(2−ヒドラジニル−2−オキソアセトアミド)フェニル)−シクロヘキサンカルボキシレート(55.0g,89%)を白色固体として得た。
【0190】
1H NMR (400 MHz, DMSO) d 1.19 (3H, t), 1.39-1.58 (4H, m), 1.84 (2H, d), 1.99 (2H, d), 2.30-2.40 (1H, m), 2.51-2.60 (1H, m), 4.07 (2H, q), 4.65 (2H, s), 7.08 (1H, dd), 7.18 (1H, dd), 7.56 (1H, t), 10.15 (1H, s), 10.35 (1H, s)。
【0191】
中間体1−3:(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソアセトアミド)−フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0192】
【化20】

【0193】
クロロオキソ酢酸メチル(1.208mL,13.14mmol)を、DCM(80mL)中の中間体1−4(3.05g,10.11mmol)およびピリジン(1.796mL,22.23mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、周囲温度で90分間撹拌した。反応混合物を、DCM(50mL)で希釈し、飽和ブライン(50mL)で洗浄した。有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を与え、それを、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜20〜60%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、標題化合物(3.55g,100%)を白色固体として与えた。
【0194】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.27 (3H, t), 1.38 - 1.48 (2H, m), 1.54 - 1.64 (2H, m), 1.95 - 1.99 (2H, m), 2.09 - 2.14 (2H, m), 2.29 - 2.37 (1H, m), 2.47 - 2.55 (1H, m), 3.98 (3H, s), 4.14 (2H, q), 6.97 - 7.03 (2H, m), 8.24 (1H, t), 9.00 (1H, s);
m/z(M+H)352。
【0195】
中間体1−3の別の製造
クロロオキソ酢酸メチル(22.08mL)を、DCM(802mL)中の中間体1−4(53.5g)およびピリジン(31.5mL)に窒素下において20℃で10分間にわたって滴加した。得られた溶液を、20℃で2時間撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(535mL)で希釈後、逐次的に、水(535mL)および飽和ブライン(535mL)で洗浄した。有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗製(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソアセトアミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレートを与え、それを、次の段階に直接的に用いた。
【0196】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.25 (3H, t), 1.33-1.48 (2H, m), 1.48-1.64 (2H, m), 1.88-1.99 (2H, m), 2.03-2.14 (2H, m), 2.24-2.38 (1H, m), 2.43-2.56 (1H, m), 3.97 (3H, s), 4.13 (2H, q), 6.97 (2H, dd), 8.22 (1H, t), 9.00 (1H, s)。
【0197】
中間体1−4:(1r,4r)−エチル4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート塩酸塩
【0198】
【化21】

【0199】
ジオキサン中の4M塩化水素(17.81mL,71.23mmol)を、1,4−ジオキサン(10mL)中の中間体1−5(5.2g,14.23mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、周囲温度で2時間撹拌し、その溶液が、この時間で固体になった後、周囲温度で一晩放置した。反応混合物を蒸発させ、粗製固体を、沸騰EtOAc(約25mL)で研和して固体を生じ、それを、濾過によって集め、真空下で乾燥させて、標題化合物(3.10g)をベージュ色固体として生じた。追加収量の固体(255mg)を、濾液から得、濾過し、乾燥後、最初の収量と一緒にして、標題化合物(3.36g,78%)を与えた。
【0200】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.18 (3H, t), 1.38 - 1.49 (4H, m), 1.79 - 1.81 (2H, m), 1.93 - 1.98 (2H, m), 2.28 - 2.36 (2H, m), 4.05 (2H, q), 6.97 - 6.99 (1H, m), 7.08 - 7.14 (2H, m);NHは認められない;
m/z(M+H)266。
【0201】
中間体1−4の別の製造
ジオキサン中の4M塩化水素(280mL)を、ジオキサン(820mL)中の(1s,4s)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(82g)に窒素下において20℃で加えた。得られた溶液を、20℃で5日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗製残留物を、EtOAc(820mL)で研和し、そして固体を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、(1r,4r)−エチル4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート塩酸塩(53.5g,79%)をクリーム色固体として生じた。
【0202】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.18 (3H, t), 1.38 - 1.54 (4H, m), 1.75 -1.86 (2H, m), 1.91 - 2.02 (2H, m), 2.26 - 2.40 (1H, m), 2.51 - 2.56 (1H, m), 4.06 (2H, q), 7.07 (1H, dd), 7.20 (1H, dd), 7.31 (1H, t)。
【0203】
中間体1−5:(1r,4r)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(trans)および中間体1−6:(1s,4s)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(cis)
【0204】
【化22】

【0205】
EtOH(100mL)中の中間体1−7(8.3g,22.84mmol)および炭素上10%パラジウム(1.215g,1.14mmol)の混合物を、水素雰囲気下において周囲温度で5時間撹拌した。反応混合物を濾過して、固体Aを生じた。その濾液を濃縮し、そして残留物を、EtOH(50mL)から再結晶させて、cis 異性体(1.39g)を得た。その母液を、約50%まで濃縮後、純粋な cis 異性体の僅かな結晶と一緒に周囲温度で90分間撹拌した。沈殿を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、追加の cis 化合物を白色固体(131mg)として与えた。濾液を濃縮して、僅かに濁った淡黄色ガム(2.18g)を残し、それを、無水EtOH(5mL)中に再溶解させ、そして少量の純粋な cis 化合物と一緒に周囲温度で3時間撹拌し、一晩放置した。沈殿を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、純粋な cis 化合物を与えた。濾液を濃縮して、trans 異性体を与えた。濾過した固体Aを、DCM(2x25mL)で洗浄し、溶媒を蒸発させて、3.02gの純粋な cis 異性体を与えた。cis 異性体の全回収率=4.61g、12.62mmol、55.2%。trans 異性体の全回収率=2.04g、5.58mmol、24.4%。
【0206】
(1s,4s)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 (3H, t), 1.52 (9H, s), 1.57 - 1.67 (4H, m), 1.70 - 1.78 (2H, m), 2.21 - 2.28 (2H, m), 2.46 - 2.52 (1H, m), 2.66 - 2.69 (1H, m), 4.18 (2H, q), 6.58 (1H, s), 6.87 - 6.93 (2H, m), 7.91 (1H, t);
m/z(M+Na)388。
【0207】
(1r,4r)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.18 - 1.32 (3H, m), 1.35 - 1.47 (2H, m), 1.52 (9H, s), 1.55 - 1.63 (2H, m), 1.92 - 1.97 (2H, m), 2.07 - 2.12 (2H, m), 2.27 - 2.35 (1H, m), 2.42 - 2.50 (1H, m), 4.10 - 4.17 (2H, m), 6.59 (1H, s), 6.87 - 6.91 (1H, m), 6.92 - 6.94 (1H, m), 7.93 (1H, t);
m/z(M+Na)388。
【0208】
中間体1−5および1−6の別の製造
エタノール(2000mL)中の中間体1−7(200g)、炭素上5%wt白金(50%湿潤)JM型128M(40g)を、水素雰囲気下において5バールおよび40℃で4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、蒸発させた。粗生成物を、EtOH(1800mL)からの結晶化によって精製して、(1s,4s)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(117g,54%)を白色固体として与えた。その母液を蒸発させ、そしてその物質をエタノール(150mL)から再結晶させて、(1s,4s)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(9.5g,5%)を与えた。母液を蒸発乾固させて、黄色油状物(1r,4r)−エチル4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(72.0g,35.8%)を与えた。
【0209】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.19 (3H, t), 1.27 - 1.58 (13H, m), 1.82 - 1.92 (2H, m), 1.95 - 2.08 (2H, m), 2.19 - 2.30 (1H, m), 2.33 - 2.50 (1H, m), 3.98 - 4.18 (2H, m), 6.55 (1H, s), 6.84 (2H, dd), 7.87 (1H, s)。
【0210】
中間体1−4を生じる cis/trans 異性体化および脱保護方法
カリウム2−メチルプロパン−2−オレート(87g)を、tert−ブタノール(1310mL)中の中間体1−6(130.6g)に窒素下で一度に加えた。4時間後、飽和水性塩化アンモニウム(1300mL)を加え、水性層のpHを、濃HClを用いて1に調整し、そして水性層を、酢酸エチル(2x650mL)で抽出した。有機層を蒸発させ、酢酸エチル(1300mL)中に入れ、合わせた有機層を、2M HCl(1300mL)、飽和水性ブライン(1300mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗製 trans 異性体(136g)を得、それを、エタノール(1310mL)中に溶解させ、そしてジオキサン中の4M塩化水素(448mL)を加えた。得られた黄色溶液を、20℃で3日間撹拌し、溶媒を蒸発させ、そして粗製残留物を、EtOAc(1310mL)で研和して固体を生じ、それを、濾過によって集め、酢酸エチルで洗浄し、真空オーブン中において40℃で一晩乾燥させて、(1r,4r)−エチル4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート塩酸塩(99g,92%)を白色固体として生じた。
【0211】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.18 (3H, t), 1.38 - 1.54 (4H, m), 1.75 - 1.86 (2H, m), 1.91 - 2.02 (2H, m), 2.26 - 2.40 (1H, m), 2.51 - 2.56 (1H, m), 4.06 (2H, q), 7.07 (1H, dd), 7.20 (1H, dd), 7.31 (1H, t)。
【0212】
中間体1−7:4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル
【0213】
【化23】

【0214】
1,2−ジメトキシエタン(178mL)および水(100mL)中の中間体1−8(6.85g,23.60mmol)および中間体1−9(6.99g,23.60mmol)の溶液を、窒素を10分間通気することによって脱気した。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロリド(0.971g,1.18mmol)および炭酸カリウム(8.15g,59.00mmol)を加え、反応混合物を加熱し、85℃で17時間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させた後、蒸発させて、有機溶媒を除去した。残留物を、EtOAc(200mL)中に再溶解させ、飽和ブライン(500mL)で洗浄し、水性層を、EtOAc(100mL)で再抽出し、有機抽出物を一緒にし、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(86%)を淡黄色ガムとして与えた。
【0215】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.27 (3H, t), 1.52 (9H, s), 1.77 - 1.88 (1H, m), 2.14 - 2.20 (1H, m), 2.36 - 2.51 (4H, m), 2.55 - 2.63 (1H, m), 4.17 (2H, q), 6.05 - 6.08 (1H, m), 6.65 (1H, s), 7.06 - 7.13 (2H, m), 7.99 (1H, t);
m/z(M−tBu)308。
【0216】
中間体1−7の別の製造
Pd−118[PdCl(dbpf)](17.94g)に、アセトニトリル(769mL)を加え、そのスラリーを5分間撹拌後、炭酸カリウム(152g)、水(769mL)を加えた後、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(162g)を加え、更に5分後、4−ブロモ−2−フルオロフェニルカルバミン酸 tert−ブチル(159g)を加え、その反応を80℃に加熱した。2時間後、反応を周囲温度に冷却し、反応混合物を、減圧下で濃縮し、そしてフラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜10%EtOAcの溶離勾配によって精製して、4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(167g,84%)を黄色油状物として与え、それは、放置すると凝固した。
【0217】
1H NMR (400.13 MHz, CDCl3) δ 1.20 (3H, t), 1.45 (9H, s), 1.76 (1H, d), 2.08 - 2.12 (1H, m), 2.34 - 2.39 (4H, m), 2.50 - 2.53 (1H, m), 4.09 (2H, q), 6.00 (1H, s), 6.60 (1H, s), 6.98 - 7.02 (1H, m), 7.03 - 7.06 (1H, m), 7.92 (1H, s)。
【0218】
中間体1−8:4−ブロモ−2−フルオロフェニルカルバミン酸 tert−ブチル
【0219】
【化24】

【0220】
THF(50mL)中の4−ブロモ−2−フルオロアニリン(9.5g,50.00mmol)の氷水冷却された溶液に、THF中の1Mナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(100mL,99.99mmol)を窒素下において30分間にわたって加えた(内部温度5℃)。得られた深青色溶液を、周囲温度に10分間にわたって暖めた。THF(50mL)中のジ炭酸ジ−tert−ブチル(10.91g,50.00mmol)の溶液を滴加し、得られた混合物を、周囲温度で90分間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO(600mL)上に注ぎ、エーテル(3x500mL)中に抽出した。有機抽出物を一緒にし、飽和ブライン(500mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜15%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、4−ブロモ−2−フルオロフェニルカルバミン酸 tert−ブチル(12.43g,86%)を赤色固体として与えた。
【0221】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.52 (9H, s), 6.66 (1H, s), 7.21 - 7.25 (2H, m), 8.01 (1H, t);
m/z(ESI+)M+Na 313。
【0222】
中間体1−9:4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル
【0223】
【化25】

【0224】
ジオキサン(300mL)中の中間体1−10(16.7g,55.25mmol)の溶液を、窒素を15分間通気することによって脱酸素処理した。酢酸カリウム(16.27g,165.75mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(15.43g,60.77mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(1.548g,2.76mmol)および(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)−ジクロロパラジウム(II)(2.273g,2.76mmol)を加え、得られた懸濁液を、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却させ、蒸発乾固させ、EtOAc(300mL)中に再溶解させ、そして飽和ブライン(2x200mL)で洗浄した。有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(6.99g,45.2%)を無色ガムとして与えた。
【0225】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.25 (3H, t), 1.26 (12H, s), 1.58 - 1.65 (1H, m), 1.98 - 2.04 (1H, m), 2.07 - 2.18 (1H, m), 2.24 - 2.36 (3H, m), 2.47 - 2.56 (1H, m), 4.14 (2H, q), 6.53 - 6.55 (1H, m)。
【0226】
中間体1−9の別の製造
4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(325g)を、脱気したジオキサン(3250mL)中の溶液として、ジオキサン(2178mL)中のビス(ピナコラト)ジボロン(300g)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)−ジクロロパラジウム(II)アセトン付加物(44.2g)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(30.1g)、酢酸カリウム(317g)に窒素下において20℃で加えた。その赤色懸濁液を、80℃で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。粗生成物を、酢酸エチル(4550mL)および水(650mL)中に入れ、飽和水性ブライン(2x3250mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。粗製褐色油状物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜10%EtOAcの溶離勾配によって精製して、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(190g,63.1%)を黄色油状物として与えた。
【0227】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.16 - 1.22 (15H, m), 1.46 - 1.61 (1H, m), 1.88 - 1.99 (1H, m), 2.13 - 1.99 (1H, m), 2.15 - 2.31 (3H, m), 2.39 - 2.50 (1H, m), 4.02 - 4.11 (2H, m), 6.48 (1H, s)。
【0228】
中間体1−10:4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル
【0229】
【化26】

【0230】
無水トリフルオロメタンスルホン酸(516mL)を、ジクロロメタン(3500mL)中の4−オキソシクロヘキサンカルボン酸エチル(350g)、2,6−ルチジン(359mL)に、窒素下において20℃で1時間にわたって滴加した。得られた溶液を、周囲温度で15分間撹拌した;追加の無水トリフルオロメタンスルホン酸(172mL)を滴加し、1時間後、追加の無水トリフルオロメタンスルホン酸(34mL)を加え、赤色反応混合物を蒸発乾固させ、そして粗生成物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜10%EtOAcの溶離勾配によって精製して、4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチル(425g,68.4%)を黄色油状物として与えた。
【0231】
1H NMR (400.132 MHz, CDCl3) δ 1.26 (3H, t), 1.87 - 1.98 (1H, m), 2.09 - 2.18 (1H, m), 2.38 - 2.49 (4H, m), 2.55 - 2.64 (1H, m), 4.16 (2H, q), 5.75 - 5.79 (1H, m)
実施例2:(1r,4r)−4−(4−(5−(4−(ジフルオロメトキシ)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0232】
【化27】

【0233】
水酸化ナトリウム(2M;3.56mL,7.12mmol)を、MeOH(25mL)中の中間体2−1(738mg,1.42mmol)に加えた。得られた溶液を、16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、そして水性残留物(20mL)を、2M HCl(5mL)でpH2へ調整した。その懸濁液を濾過し、乾燥させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、AcOHからの結晶化によって精製して、(1r,4r)−4−(4−(5−(4−(ジフルオロメトキシ)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(320mg,45.8%)を白色結晶性固体として与えた。
【0234】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.38 - 1.55 (4H, m), 1.78 - 1.90 (2H, m), 1.90 - 2.05 (2H, m), 2.20 - 2.30 (1H, m), 2.40 - 2.60 (1H, m), 7.06 - 7.25 (5H, m), 7.45 (1H, t), 7.62 (2H, dd), 10.63 (1H, s), 11.04 (1H, s), 12.02 (1H, s)
m/z(ES+)(M+H)+=491.41。
【0235】
中間体2−1:(1r,4r)−エチル4−(4−(5−(4−(ジフルオロメトキシ)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0236】
【化28】

【0237】
DMF(20mL)中の中間体1−2(500mg,1.42mmol)の溶液に、1−(ジフルオロメトキシ)−4−イソチオシアナトベンゼン(0.258mL,1.71mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(396mg,2.06mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(15mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、自然乾燥させて、所望の生成物を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0238】
m/z(ESI+)(M−H)=517.46。
【0239】
実施例3:(1r,4r)−4−(3−フルオロ−4−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0240】
【化29】

【0241】
水酸化ナトリウム(2M;3.56mL,7.12mmol)を、MeOH(25mL)中の中間体3−1(763mg,1.42mmol)に加えた。得られた溶液を、16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、水性残留物(20mL)を、2M HCl(5mL)でpH2へ調整した。その懸濁液を濾過し、乾燥させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、AcOHからの結晶化によって精製して、標題化合物(titile compound)(393mg,54.3%)を白色結晶性固体として与えた。
【0242】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.38 - 1.55 (4H, m), 1.78 - 1.90 (2H, m), 1.90 - 2.05 (2H, m), 2.20 - 2.30 (1H, m), 2.40 - 2.60 (1H, m), 7.10 (1H, dd), 7.18 (1H, dd), 7.40 (1H, s), 7.42 (1H, s), 7.45 (1H, t), 7.69 (2H, dd), 10.66 (1H, s), 11.19 (1H, s), 12.02 (1H, s)
m/z(ES+)(M+H)+=509.43。
【0243】
中間体3−1:(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)−フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0244】
【化30】

【0245】
DMF(10mL)中の中間体1−2(500mg,1.42mmol)の溶液に、1−イソチオシアナト−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(0.277mL,1.71mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(396mg,2.06mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(15mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、自然乾燥させて、所望の生成物を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0246】
m/z(ESI+)(M+H)+=537.47。
【0247】
実施例4:(1r,4r)−4−(4−(5−(3−クロロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0248】
【化31】

【0249】
水酸化ナトリウム(2M;3.56mL,7.12mmol)を、MeOH(25mL)中の中間体4−1(693mg,1.42mmol)に加えた。得られた溶液を、16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、そして水性残留物(20mL)を、2M HCl(5mL)でpH2へ調整した。その懸濁液を濾過し、乾燥させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、AcOHからの結晶化によって精製して、標題化合物(303mg,46.4%)を白色結晶性固体として与えた。
【0250】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.38 - 1.55 (4H, m), 1.78 - 1.90 (2H, m), 1.90 - 2.05 (2H, m), 2.20 - 2.30 (1H, m), 2.40 - 2.60 (1H, m), 7.11 (2H, ddd), 7.18 (1H, dd), 7.41 (1H, t), 7.46 (1H, d), 7.50 (1H, dq), 7.73 (1H, t), 10.67 (1H, s), 11.22 (1H, s), 12.02 (1H, s)。
【0251】
m/z(ES+)(M+H)+=459.46。
【0252】
中間体4−1:(1r,4r)−エチル4−(4−(5−(3−クロロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0253】
【化32】

【0254】
DMF(10mL)中の中間体1−2(500mg,1.42mmol)の溶液に、1−クロロ−3−イソチオシアナトベンゼン(0.224mL,1.71mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(396mg,2.06mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(15mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、自然乾燥させて、所望の生成物を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0255】
m/z(ESI+)(M−H)−=485.43。
【0256】
実施例5:(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0257】
【化33】

【0258】
MeOH(100mL)およびTHF(50.0mL)中の中間体5−1(3.63g,7.43mmol)の懸濁液に、2N水酸化ナトリウム(18.58mL,37.16mmol)を加えた。得られた溶液を、周囲温度で3日間撹拌した。反応混合物を、1Nクエン酸でpH4へ調整し、そして懸濁液を蒸発させて、有機溶媒を除去した。沈殿を、濾過によって集め、水(50mL)で洗浄し、自然乾燥させて、所望の生成物を白色固体として与え、これを、水(90mL)中において周囲温度で3時間スラリーにした。その懸濁液を、濾過によって集め、水(20mL)で洗浄し、そして自然乾燥後、真空オーブン中において50℃で2日間にわたって乾燥させて、標題化合物(3.30g,96%)を白色固体として与えた。
【0259】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.40 - 1.54 (4H, m), 1.77 - 1.90 (2H, m), 1.92 - 2.08 (2H, m), 2.23 - 2.30 (1H, m), 2.51 - 2.59 (1H, m), 7.09 - 7.11 (1H, m), 7.17 - 7.20 (1H, m), 7.33 - 7.36 (1H, m), 7.43 - 7.51 (2H, m), 7.66 - 7.71 (1H, m), 10.67 (1H, s), 11.23 (1H, s), 12.02 (1H, s);
m/z(ES−)(M−H)459。
【0260】
実施例5のX線粉末回折スペクトルは、その物質が、286.2℃(開始)の融点を有し、結晶性であることを示した。この物質を、Form Aと称する。追加の測定値は、その物質が、270〜300℃(開始)の融点を有し、結晶性であることを示した。Form AのDSC分析は、損失重量による融解前の初期イベントを示した。
【0261】
Form Aと称される物質は、本研究によれば、表Aに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図1を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0262】
【表2】

【0263】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、Form Aのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0264】
実施例5B
実施例5物質をメタノール中でスラリーにすることによって、もう一つの形(Form B)を製造した。約20mgの物質を、マグネチックフリー(magnetic flea)を含むバイアル中に入れ、約2mlのメタノールを加えた後、バイアルをキャップで堅く密封し、そしてマグネチックスターラープレート上で撹拌させた。3日後、試料をプレートから除去し、キャップを外し、そしてスラリーを周囲条件下で乾燥させた後、それをXRPDおよびDSCで分析した。この形(Form B)は、288.6℃(開始)の融点を有し、XRPDにより結晶性であることを確認した。
【0265】
CuKa放射線:6.2および27.6を用いて、Form BのX線粉末回折図形を、表B−1に示される10の最も顕著なピークについて得た。
【0266】
【表3】

【0267】
本発明により、約2θ=16.2°および27.6°に少なくとも二つの特異的ピークを有し、ここにおいて、これら値は、±0.5°2θであってよいX線粉末回折図形を有する結晶形 Form Bを提供する。
【0268】
本発明により、2θ16.2°、27.6°、25.5°、20.2°、6.6°、26.7°、9.8°、27.0°、31.5°、23.9°に特異的ピークを有し、ここにおいて、これら値は、±0.5°2θであってよいX線粉末回折図形を有する結晶形 Form Bを提供する。
【0269】
Form BのDSC分析は、209.9℃で開始および219.0℃でピークの初期イベント後、288.6℃で開始および293.4℃でピークの引き続きのメルトを示した。Form Bの追加のDSC分析は、損失重量による融解前の初期イベント後、280〜310℃(開始)の開始での引き続きのメルトを示した。
【0270】
この物質(Form B)は、本研究によれば、表B−2に示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図2を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0271】
【表4】

【0272】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、Form Bのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0273】
実施例5の別の製造
水酸化ナトリウム(587mL)を、エタノール(2300mL)中の中間体5−1(114.7g)に20℃で30分間にわたって滴加した。得られた溶液を、20℃で24時間撹拌した。1Mクエン酸を、pH4まで加え、そのスラリーを濾過し、水(3000mL)で洗浄し、真空オーブン中においてP上、50℃で恒量まで乾燥させた。粗生成物を、EtOHからの結晶化によって精製し、固体を濾過し、真空オーブン中において45℃で48時間乾燥させて、55.5gの所望の生成物を、XRPDによって示される多形結晶形の混合物として与えた。この物質を、メタノール(550mL)中において、Form B(上を参照されたい)の種結晶の存在下で週末にわたってスラリーにして、それを全てこの形へと変換した。そのクリーム色スラリーを濾過し、そして固体を真空オーブン中において40℃で48時間乾燥させて、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(54.5g)をクリーム色固体として与えた。
【0274】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.37 -1.58 (4H, m), 1.75 - 1.91 (2H, m), 1.93 - 2.09 (2H, m), 2.20 - 2.36 (1H, m), 2.51 - 2.63 (1H, m), 7.06 - 7.15 (1H, m), 7.16 - 7.25 (1H, m), 7.30 - 7.39 (1H, m), 7.39 - 7.55 (2H, m), 7.65 -7.76 (1H, m), 10.75 (1H, s), 11.29 (1H, s), 12.10 (1H, s)。
【0275】
注意されたい。化合物(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(実施例5を参照されたい)は、或いは、
trans−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸、または
trans−4−{4−[({5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}シクロヘキサンカルボン酸と命名することができる。
【0276】
中間体5−1:(1r,4r)−エチル4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0277】
【化34】

【0278】
DMF(134mL)中の中間体1−2(3.01g,8.57mmol)の溶液に、3,4−ジフルオロフェニルイソチオシアネート(1.760g,10.28mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.381g,12.42mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(140mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、自然乾燥させて、標題化合物(3.63g,87%)をクリーム色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0279】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.19 (3H, t), 1.42 - 1.55 (4H, m), 1.81 - 1.86 (2H, m), 1.98 - 2.00 (2H, m), 2.31 - 2.39 (1H, m), 2.51 - 2.55 (1H, m), 4.07 (2H, q), 7.08 - 7.11 (1H, m), 7.16 - 7.20 (1H, m), 7.33 - 7.36 (1H, m), 7.43 - 7.51 (2H, m), 7.66 - 7.72 (1H, m), 10.67 (1H, s), 11.23 (1H, s);
m/z(M+H)489。
【0280】
中間体5−1の別の製造
1,2−ジフルオロ−4−イソチオシアナトベンゼン(50.1g)を、DMF(1275mL)中の中間体1−2(85.7g)に20℃で滴加した。得られた溶液を、45℃で30分間撹拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(67.8g)を加え、その反応を、85℃に加熱した。30分後、反応を周囲温度に冷却した。水(1720mL)を滴加し、沈殿を濾過によって集め、水(3000mL)で洗浄し、そして真空オーブン中において、P上、50℃で恒量まで乾燥させて、(1r,4r)−エチル4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(111g,93%)を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0281】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.20 (3H, t), 1.40 - 1.59 (4H, m), 1.78 - 1.91 (2H, m), 1.93 - 2.06 (2H, m), 2.30 - 2.41 (1H, m), 2.51 - 2.62 (1H, m), 4.07 (2H, q), 7.08 - 7.13 (1H, m), 7.20 (1H, dd), 7.32 - 7.38 (1H, m), 7.41 - 7.56 (2H, m), 7.70 (1H, ddd), 10.76 (1H, s), 11.29 (1H, s)。
【0282】
実施例5の別の製造:実施例5C
MeOH(700ml)中の中間体5−1(6.98g,14.29mmol)の懸濁液に、2N水酸化ナトリウム(35.7ml,71.45mmol)を加え、得られた溶液を、周囲温度で24時間撹拌した。その反応は不完全であったので、追加の2N水酸化ナトリウム(20ml)およびTHF(100ml)を加え、その混合物を、周囲温度で更に2日間撹拌した。反応混合物を、1Nクエン酸でpH5へ調整し、そして懸濁液を蒸発させて、有機溶媒を除去した。その懸濁液を、1Nクエン酸でpH4へ調整し、そして沈殿を濾過によって集め、水(150ml)で洗浄し、自然乾燥させて、粗生成物を与えた。その粗製固体を、ACN(60ml)中に懸濁させ、100℃に10分間加熱し、そして懸濁液を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、不純生成物(5.38g)を白色固体として生じた。このプロセスを、ACN(70ml)で繰り返し、その懸濁液を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(5.08g,77%)を白色固体として生じた。
【0283】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.40 - 1.53 (4H, m), 1.77 - 1.90 (2H, m), 1.92 - 2.08 (2H, m), 2.23 - 2.30 (1H, m), 2.51 - 2.59 (1H, m), 7.10 (1H, d), 7.18 (1H, d), 7.33 (1H, d), 7.43 - 7.50 (2H, m), 7.66 - 7.71 (1H, m), 10.67 (1H, s), 11.23 (1H, s)
m/z(ES−)(M−H)=459。
【0284】
この形(Form C)は、XRPDによって結晶性であることを確認した。Form CのDSC分析は、損失重量による融解前の初期イベント後、260〜390℃(開始)の開始での引き続きのメルトを示した。この物質(Form C)は、本研究によれば、表Cに示される12の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図3を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0285】
【表5】

【0286】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、Form Cのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0287】
実施例5の別の製造:実施例5D
下のスキームDを参照されたい。
【0288】
【化35】

【0289】
EtOH(150ml)中の中間体5−1(10g,20.47mmol)の懸濁液に、水(150ml)中の水酸化ナトリウム(4.34g)の溶液を25℃で15分間にわたって加えた。得られた混合物を、同温度で2時間撹拌した。反応完了後、その混合物を、水(100ml)中のクエン酸(10.43g)の溶液で酸性にし、1時間撹拌した。クリーム状白色固体を濾過し、水(100ml)中において25℃で1時間スラリーにした。その固体を濾過し、真空オーブン中において50℃で12時間乾燥させて、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(8.6g,91%)を白色固体として生じた。その固体のXRPDは、Form Dを示した。その物質を、イソプロパノール(100ml)で75℃において5時間スラリーにすることによって更に精製した。得られた懸濁液を、25℃に冷却し、濾過した。その物質を、真空オーブン中において50℃で12時間乾燥させて、7.7gのクリーム状白色固体を与えたが、そのXRPDは、Form Dと一致した。Form DのDSC分析は、損失重量による融解前の初期イベントを示さなかったが、260〜310℃(開始)の開始でメルトを示した。この物質(Form D)は、本研究によれば、表Dに示される12の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図4を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0290】
【表6】

【0291】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、Form Dのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0292】
実施例5の別の製造:実施例5E
既知の Form Bの近似量の(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(約10mg)を、粉末x線回折計に装着された温度室中において242℃に1時間加熱した。得られた固体のPXRDは、Form Eを示し、それは、260〜300℃の融解開始を有した。反復実験は、同形が、その固体を240℃を超える温度に加熱した場合に得られることを示した。この物質(Form E)は、本研究によれば、表Eに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図5を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0293】
【表7】

【0294】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、Form Eのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0295】
実施例5の別の製造:実施例5F
水酸化ナトリウム(5850ml,11700.06mmol)を、エタノール(20容量%)(22860ml)中の中間体5−1(1143g,2340.01mmol)に20℃で30分間にわたって滴加した。得られた黄/緑色溶液を、20℃で24時間撹拌した。LC−MSは、出発物質を示さなかったので、その黄色溶液に、1Mクエン酸をpH4.7まで加えて(10000ml)、反応温度を20℃で保持し、そしてスラリーを濾過し、エタノール(4500ml,4容量)、水(28000ml,25容量)で洗浄した。白色固体を、真空オーブン中において、P上、50℃で恒量まで乾燥させた。(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)−シクロヘキサンカルボン酸(969g,90%)を白色固体として得た。HPLC分析は、99.3%で純度を示した。得られた固体のPXRDは、Form Fを示し、それは、280〜310℃の融解開始を有した。XRPD分析は、この物質が、本研究によれば、表Fに示される14の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図6を参照されたい)を与えることで特性決定されていることを示した。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0296】
【表8】

【0297】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、Form Fのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0298】
実施例5G:(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸ナノサスペンジョン
Form Bのナノサスペンジョンの製造に用いられたビヒクルは、脱イオン水中のポリビニルピロリドン(0.67%w/v)/Aerosol OT(0.033%w/v)/マンニトール(5%w/v)であった。用いられるビヒクルは、典型的に、次のように製造する(例えば、100ml)。ポリビニルピロリドン(0.67g,Kollidone 25グレード、例えば、BASF)、Aerosol OT−100(0.033g,スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、例えば、Cydex Industries)およびマンニトール(5g)を、容量フラスコ中に秤量した。脱イオン水(約70ml)を加え、そして溶液が形成されるまで音波処理した。その容量を、脱イオン水で調製して、脱イオン水中にポリビニルピロリドン(0.67%w/v)、Aerosol OT(0.033%w/v)およびマンニトール(5%w/v)を含有する溶液を生じた。
【0299】
懸濁液中の薬物の最終濃度を生じるのに必要な量の化合物を、適する容器中に秤量し、そして少量のビヒクルを加えて、化合物を湿潤させた。得られたスラリーを、音波処理を用いて混合した。Form Bのナノサスペンジョンを、本明細書中に記載の方法(ナノサスペンジョン製造)にしたがって微粉砕した。得られたナノサスペンジョンのXRPD分析は、本研究によれば、表Gに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図7を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0300】
【表9】

【0301】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、このナノサスペンジョンのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0302】
別の製造:実施例5H
Form Dのナノサスペンジョンの製造に用いられたビヒクルは、脱イオン水中のポリビニルピロリドン(0.67%w/v)/Aerosol OT(0.033%w/v)/マンニトール(5%w/v)であった。ビヒクル製造指示については、実施例5Gを参照されたい。懸濁液中の薬物の最終濃度を生じるのに必要な量の化合物を、適する容器中に秤量し、そして少量のビヒクルを加えて、化合物を湿潤させた。得られたスラリーを、音波処理を用いて混合した。Form Dのナノサスペンジョンを、本明細書中に記載の方法(ナノサスペンジョン製造)にしたがって微粉砕した。得られたナノサスペンジョンのXRPD分析は、本研究によれば、表Hに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図8を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0303】
【表10】

【0304】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、このナノサスペンジョンのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0305】
別の製造:実施例5I
Form Fのナノサスペンジョンの製造に用いられたビヒクルは、脱イオン水中のポリビニルピロリドン(0.67%w/v)/Aerosol OT(0.033%w/v)/マンニトール(5%w/v)であった。ビヒクル製造指示については、実施例5Gを参照されたい。懸濁液中の薬物の最終濃度を生じるのに必要な量の化合物を、適する容器中に秤量し、そして少量のビヒクルを加えて、化合物を湿潤させた。得られたスラリーを、音波処理を用いて混合した。Form Fのナノサスペンジョンを、本明細書中に記載の方法(ナノサスペンジョン製造)にしたがって微粉砕した。得られたナノサスペンジョンのXRPD分析は、本研究によれば、表Iに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図9を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0306】
【表11】

【0307】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、このナノサスペンジョンのディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0308】
実施例5J:水中における(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸 Form Bの微粉砕
Form Bのナノサスペンジョンの製造に用いられたビヒクルは、純粋な脱イオン水であった。懸濁液中の薬物の最終濃度を生じるのに必要な量の化合物を、適する容器中に秤量し、そして少量のビヒクルを加えて、化合物を湿潤させた。得られたスラリーを、音波処理を用いて混合した。Form Bのナノサスペンジョンを、本明細書中に記載の方法(ナノサスペンジョン製造)にしたがって微粉砕した。得られた懸濁液のXRPD分析は、本研究によれば、表Jに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0309】
【表12】

【0310】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、この懸濁液のディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0311】
実施例5K:水中における(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸 Form Dの微粉砕
Form Dの懸濁液の製造に用いられたビヒクルは、純粋な脱イオン水であった。懸濁液中の薬物の最終濃度を生じるのに必要な量の化合物を、適する容器中に秤量し、そして少量のビヒクルを加えて、化合物を湿潤させた。得られたスラリーを、音波処理を用いて混合した。Form Dの懸濁液を、本明細書中に記載の方法(ナノサスペンジョン製造)にしたがって微粉砕した。得られた懸濁液のXRPD分析は、本研究によれば、表Kに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0312】
【表13】

【0313】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、この懸濁液のディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0314】
実施例5L:(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸のナトリウム塩の製造
バイアルに、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(5.7mg)を加え、THF(4ml)を加えた。水酸化ナトリウムを、1:1の塩:物質比で加えた。得られた溶液を、乾燥物質が得られるまで、撹拌したまま放置した。ラマン顕微鏡検査での分析、熱分析および粉末X線回折は、塩形成中を示した。得られた物質のXRPD分析は、本研究によれば、表Lに示される15の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図10を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0315】
【表14】

【0316】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、この塩のディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0317】
実施例5M:(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸のマグネシウム塩の製造
バイアルに、(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸(5.7mg)を加え、THF(4ml)を加えた。水酸化マグネシウムを、1:1の塩:物質比で加えた。得られた溶液を、乾燥物質が得られるまで、撹拌したまま放置した。ラマン顕微鏡検査での分析、熱分析および粉末X線回折は、塩形成中を示した。得られた物質のXRPD分析は、本研究によれば、表Mに示される10の最も顕著なピークについて次のd値および強度を実質的に示すX線粉末回折図形(図11を参照されたい)を与えることで特性決定されている。ピークの相対強度は、試験中の試料の配向によっておよび用いられる計測器のタイプおよび設定で異なることがありうるので、本明細書中に包含されるX線粉末回折トレース中の強度は、代表するものであり、絶対比較に用いるためのものではないということは理解されるであろう。
【0318】
【表15】

【0319】
Bragg 式および強度から計算されるd値で識別されるピークは、この塩のディフラクトグラムから抽出した。相対強度は、発散スリット変換を全く伴うことなく算定しており、可変スリットで測定されたディフラクトグラムに由来する。
【0320】
実施例6:(1r,4r)−4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0321】
【化36】

【0322】
MeOH(10mL)およびTHF(5mL)中の中間体6−1(0.400g,0.79mmol)の懸濁液に、2N水酸化ナトリウム(1.975mL,3.95mmol)を加えた。得られた溶液を、周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させ、そして水性残留物を、2M HClでpH調整した。沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄して、所望の生成物を与えた。その粗生成物を、沸騰氷AcOH(10mL)から再結晶させて精製して、標題化合物(0.157g,41.5%)を白色固体として与えた。
【0323】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.39 - 1.53 (4H, m), 1.79 - 1.88 (2H, m), 1.97 - 2.02 (2H, m), 2.23 - 2.31 (1H, m), 2.51 - 2.57 (1H, m), 7.10 (1H, d), 7.18 (1H, d), 7.44 (1H, t), 7.66 - 7.73 (1H, m), 8.11 - 8.20 (1H, m), 10.68 (1H, s), 11.06 (1H, s), 12.01 (1H, s);
m/z(M+H)479。
【0324】
中間体6−1:(1r,4r)−エチル4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0325】
【化37】

【0326】
DMF(10mL)中の中間体1−2(278mg,0.79mmol)の溶液に、2,4,5−トリフルオロフェニルイソチオシアネート(150mg,0.79mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(220mg,1.15mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(10mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、自然乾燥させて、所望の生成物(401mg,100%)を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0327】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.18 (3H, t), 1.44 - 1.52 (4H, m), 1.82 - 1.87 (2H, m), 1.96 - 2.02 (2H, m), 2.31 - 2.40 (1H, m), 2.54 - 2.60 (1H, m), 4.06 (2H, q), 7.10 (1H, d), 7.17 (1H, d), 7.43 (1H, t), 7.65 - 7.73 (1H, m), 8.11 - 8.19 (1H, m), 10.68 (1H, s), 11.04 (1H, s);
m/z(M+H)507。
【0328】
実施例7:(1s,4s)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0329】
【化38】

【0330】
MeOH(10mL)およびTHF(5mL)中の中間体7−1(0.361g,0.74mmol)の懸濁液に、2N水酸化ナトリウム(1.850mL,3.70mmol)を加えた。得られた溶液を、周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させ、そして水性残留物を、2M HClでpH2へ調整した。その懸濁液を濾過し、乾燥させて、所望の生成物を与えた。これを、沸騰氷AcOH(10mL)から再結晶させ、その溶液を徐々に冷却させ、そして懸濁液を濾過し、乾燥させて、標題化合物(0.150g,44.0%)を白色固体として与えた。
【0331】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.51 - 1.64 (4H, m), 1.67 - 1.73 (2H, m), 2.06 - 2.12 (2H, m), 2.58 - 2.64 (2H, m), 7.05 (1H, d), 7.10 (1H, d), 7.31 - 7.36 (1H, m), 7.43 - 7.48 (2H, m), 7.65 - 7.71 (1H, m), 10.66 (1H, s), 11.23 (1H, s), 12.07 (1H, s);
m/z(M+H)461。
【0332】
中間体7−1:(1s,4s)−エチル4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0333】
【化39】

【0334】
DMF(10mL)中の中間体7−2(260mg,0.74mmol)の溶液に、3,4−ジフルオロフェニルイソチオシアネート(152mg,0.89mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で45分間撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(206mg,1.07mmol)を加え、その混合物を、85℃で45分間撹拌した。反応混合物を、室温に冷却させ、水(10mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(10mL)で洗浄し、自然乾燥させて、所望の生成物(361mg,100%)を黄色固体として与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0335】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.21 (3H, t), 1.45 - 1.75 (6H, m), 2.07 - 2.12 (2H, m), 2.57 - 2.64 (1H, m), 2.69 - 2.72 (1H, m), 4.12 (2H, q), 7.04 - 7.13 (2H, m), 7.31 - 7.36 (1H, m), 7.43 - 7.51 (2H, m), 7.65 - 7.71 (1H, m), 10.67 (1H, s), 11.22 (1H, s);
m/z(M+H)489。
【0336】
中間体7−2:(1s,4s)−エチル4−(3−フルオロ−4−(2−ヒドラジニル−2−オキソアセトアミド)フェニル)−シクロヘキサンカルボキシレート
【0337】
【化40】

【0338】
エタノール(30mL)中の中間体7−3(755mg,2.15mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(0.115mL,2.36mmol)を加えた。得られた懸濁液を、周囲温度で60分間撹拌した。反応混合物を、蒸発乾固させて、標題化合物(755mg,100%)を黄色固体として与えた。
【0339】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.20 (3H, t), 1.46 - 1.72 (6H, m), 2.05 - 2.11 (2H, m), 2.54 - 2.62 (1H, m), 2.66 - 2.73 (1H, m), 4.12 (2H, q), 7.03 (1H, d), 7.09 (1H, d), 7.56 (1H, t);NHプロトンは認められない。
【0340】
m/z(M+H)352。
【0341】
中間体7−3:(1s,4s)−エチル4−(3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソアセトアミド)フェニル)−シクロヘキサンカルボキシレート
【0342】
【化41】

【0343】
DCM(20mL)中の中間体7−4(674mg,2.54mmol)の溶液に、ピリジン(0.246mL,3.05mmol)およびメチルオキサリルクロリド(0.304mL,3.30mmol)を加えた。得られた溶液を、周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を、DCM(50mL)で希釈し、そして飽和ブライン(50mL)で洗浄し、有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、標題化合物(755mg,85%)を黄色ガムとして与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0344】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 (3H, t), 1.60 - 1.80 (6H, m), 2.22 - 2.27 (2H, m), 2.50 - 2.58 (1H, m), 2.67 - 2.70 (1H, m), 3.97 (3H, s), 4.19 (2H, q), 6.97 - 7.02 (2H, m), 8.22 (1H, t), 8.99 (1H, s);
m/z(M+Na)374。
【0345】
中間体7−4:(1s,4s)−エチル4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0346】
【化42】

【0347】
ジオキサン中の4M塩化水素(15.02mL,60.06mmol)を、1,4−ジオキサン(5mL)中の中間体1−6(4.39g,12.01mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた混合物を、周囲温度で90分間撹拌した。その反応は不完全であったので、追加のジオキサン中の4M塩化水素(6mL,24mmol)を加え、その溶液を周囲温度で更に5時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、その混合物を、2M NaOHでpH10へ調整し、EtOAc(250mL)中に抽出した。有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、(1s,4s)−エチル4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.19g,100%)を褐色ガムとして与えた。
【0348】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 (3H, t), 1.52 - 1.66 (4H, m), 1.69 - 1.74 (2H, m), 2.17 - 2.24 (2H, m), 2.41 - 2.47 (1H, m), 2.64 - 2.66 (1H, m), 3.57 (2H, s), 4.18 (2H, q), 6.67 - 6.71 (1H, m), 6.75 - 6.84 (2H, m);
m/z(M+H)266。
【0349】
実施例8:(1s,4s)−4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸
【0350】
【化43】

【0351】
TFA(100mL)を、中間体8−1(7.15g,13.38mmol)に加え、得られた溶液を、0℃で5分間撹拌後、周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、残留物をエーテル(100mL)でスラリーにし、その混合物を濃縮して、粗生成物を与えた。その粗製固体を、沸騰MeCN(90mL)中に懸濁させ、その懸濁液を濾過し、真空下で乾燥させて、4.83gの所望の化合物を白色固体として生じた。液状物を濃縮し、そしてフラッシュシリカクロマトグラフィー、DCM中の0〜3%MeOHの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を、蒸発乾固させた後、沸騰MeCN(約7mL)中に懸濁させ、濾過し、乾燥させて、更に487mgの所望の化合物を白色固体として与えた。それら試料を一緒にして、(1s,4s)−4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸(83%)を与えた。
【0352】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.50 - 1.64 (4H, m), 1.70 - 1.76 (2H, m), 2.06 - 2.10 (2H, m), 2.59 - 2.65 (2H, m), 7.04 - 7.12 (2H, m), 7.45 (1H, t), 7.66 - 7.73 (1H, m), 8.12 - 8.19 (1H, m), 10.69 (1H, s), 11.05 (1H, s), 12.12 (1H, s);
m/z(M+H)478。
【0353】
中間体8−1:(1s,4s)−tert−ブチル4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0354】
【化44】

【0355】
2,4,5−トリフルオロフェニルイソチオシアネート(2.84g,14.99mmol)を、DMF(60mL)中の(1s,4s)−tert−ブチル4−(3−フルオロ−4−(2−ヒドラジニル−2−オキソアセトアミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(4.74g,12.49mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、45℃で45分間撹拌し、そして1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.47g,18.11mmol)を加え、その混合物を、85℃で60分間撹拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却させ、水(70mL)を加え、そして沈殿を濾過によって集め、水(50mL)で洗浄し、乾燥させて、(1s,4s)−tert−ブチル4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(6.09g,91%)を黄色固体として与えた。
【0356】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.44 (9H, s), 1.46 - 1.63 (4H, m), 1.68 - 1.73 (2H, m), 2.04 - 2.07 (2H, m), 2.59 - 2.63 (2H, m), 7.03 - 7.10 (2H, m), 7.43 - 7.49 (1H, m), 7.65 - 7.73 (1H, m), 8.12 - 8.19 (1H, m), 10.69 (1H, s), 11.03 (1H, s);
m/z(M+H)535。
【0357】
中間体8−2:(1s,4s)−tert−ブチル4−(3−フルオロ−4−(2−ヒドラジニル−2−オキソアセトアミド)−フェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0358】
【化45】

【0359】
ヒドラジン一水和物(1.044mL,13.77mmol)を、エタノール(250mL)中の中間体8−3(4.75g,12.52mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、周囲温度で60分間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物(1.98g)を白色固体として与え、その濾液を、3分の2まで蒸発させ、そして懸濁液を、再度濾過し、最初の収量と一緒にし、乾燥させて、標題化合物(4.74g,100%)を白色固体として与えた。
【0360】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.40 - 1.43 (9H, m), 1.46 - 1.61 (4H, m), 1.67 - 1.70 (2H, m), 2.03 - 2.06 (2H, m), 2.55 - 2.59 (2H, m), 4.61 (2H, s), 7.00 - 7.08 (2H, m), 7.57 (1H, t), 10.08 (1H, s), 10.29 (1H, s);
m/z(M−H)378。
【0361】
中間体8−3:(1s,4s)−tert−ブチル4−(3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソアセトアミド)フェニル)−シクロヘキサンカルボキシレート
【0362】
【化46】

【0363】
メチルオキサリルクロリド(1.190mL,12.94mmol)を、DCM(100mL)中の中間体8−4(2.92g,9.95mmol)およびピリジン(0.965mL,11.94mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物を、逐次的に、1Nクエン酸(100mL)、飽和ブライン(100mL)で洗浄し、合わせた水性相を、DCM(50mL)で再抽出した。有機抽出物を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、標題化合物(3.78g,100%)を淡褐色油状物として与え、それは、放置すると凝固した。
【0364】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.48 (9H, s), 1.58 - 1.68 (4H, m), 1.70 - 1.78 (2H, m), 2.18 - 2.21 (2H, m), 2.50 - 2.55 (1H, m), 2.60 - 2.62 (1H, m), 3.98 (3H, s), 6.96 - 7.02 (2H, m), 8.23 (1H, t), 9.00 (1H, s);
m/z(M+Na)402。
【0365】
中間体8−4:(1s,4s)−tert−ブチル4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0366】
【化47】

【0367】
EtOAc(100mL)中の中間体8−5(4.85g,11.34mmol)および10%炭素上パラジウム(palldium)(400mg,3.76mmol)を、水素で(3サイクル)真空排気後、水素バルーン下において周囲温度で90分間撹拌した。反応混合物を濾過し、蒸発させて、標題化合物(2.92g,88%)を無色油状物として与え、それは、放置すると凝固した。
【0368】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.48 (9H, s), 1.55 - 1.67 (4H, m), 1.71 - 1.73 (2H, m), 2.15 - 2.19 (2H, m), 2.35 - 2.45 (1H, m), 2.56 - 2.58 (1H, m), 6.67 - 6.71 (1H, m), 6.75 - 6.78 (1H, m), 6.80 - 6.84 (1H, m);NHは認められない;
m/z(M+H)294。
【0369】
中間体8−5:(1s,4s)−tert−ブチル4−(4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0370】
【化48】

【0371】
N,N−ジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタール(15.58mL,65.15mmol)を、トルエン(200mL)中の中間体8−6(6.05g,16.29mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、85℃で3時間撹拌した。その反応は不完全であったので、追加のN,N−ジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタール(6mL,32mmol)を加え、その溶液を85℃で更に16時間(一晩)撹拌し、追加のN,N−ジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタール(3mL)を加えた後、周囲温度で一晩撹拌させた。反応混合物を蒸発させて、粗生成物を与え、それを、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、標題化合物(4.15g,59.6%)を淡黄色ガムとして与えた。
【0372】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.48 (9H, s), 1.50 - 1.66 (4H, m), 1.68 - 1.76 (2H, m), 2.17 - 2.23 (2H, m), 2.46 - 2.51 (1H, m), 2.58 - 2.60 (1H, m), 5.21 (2H, s), 6.79 (1H, s), 6.88 - 6.91 (1H, m), 6.94 - 6.96 (1H, m), 7.31 - 7.42 (5H, m), 7.90 - 7.98 (1H, m);
m/z(M+18)445。
【0373】
中間体8−6:(1s,4s)−4−(4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)−シクロヘキサンカルボン酸
【0374】
【化49】

【0375】
6M塩酸(20.65mL,123.92mmol)を、ジオキサン(85mL)中の中間体8−7(9.90g,24.78mmol)の撹拌溶液に加えた。得られた溶液を、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を、冷却させ、EtOAc(300mL)で希釈し、飽和ブライン(200mL)で洗浄し、水性層を、EtOAc(200mL)で再抽出した。有機抽出物を一緒にし、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の10〜50%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、標題化合物(6.22g,67.6%)を白色固体として与え、それを、更に、真空下において一晩乾燥させた。
【0376】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.46 - 1.61 (4H, m), 1.65 - 1.70 (2H, m), 2.05 - 2.08 (2H, m), 2.54 - 2.61 (2H, m), 5.13 (2H, s), 6.95 - 7.01 (2H, m), 7.30 - 7.42 (5H, m), 7.48 (1H, t), 9.28 (1H, s), 12.10 (1H, s);
m/z(M−H)370。
【0377】
中間体8−7:(1s,4s)−エチル4−(4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−フルオロフェニル)−シクロヘキサンカルボキシレート
【0378】
【化50】

【0379】
クロロギ酸ベンジル(4.63mL,32.40mmol)を、DCM(52mL)中の中間体7−4(8.89g,29.46mmol)およびDIPEA(10.26mL,58.92mmol)に窒素下において周囲温度で加えた。得られた溶液を、周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物を、DCM(50mL)で希釈し、そして逐次的に、飽和ブライン(75mL)、1Nクエン酸(75mL)および飽和ブライン(75mL)で洗浄した。有機層を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を与えた。その粗生成物を、フラッシュシリカクロマトグラフィー、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcの溶離勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、標題化合物(9.90g,84%)を淡黄色油状物として与え、それは、放置すると凝固した。
【0380】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 (3H, t), 1.57 - 1.67 (4H, m), 1.71 - 1.77 (2H, m), 2.19 - 2.25 (2H, m), 2.47 - 2.53 (1H, m), 2.66 - 2.67 (1H, m), 4.18 (2H, q), 5.21 (2H, s), 6.80 (1H, s), 6.88 - 6.92 (1H, m), 6.95 (1H, s), 7.31 - 7.42 (5H, m), 7.95 (1H, t);
m/z(M+Na)422。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、nは、0、1、2または3であり、
Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシより選択され、そして
Zは、カルボキシまたはその模擬体または生物同配体(bioisostere)、ヒドロキシル、ヒドロキシメチルまたは−CONRbRcであり、ここにおいて、RbおよびRcは、独立して、水素および(1−4C)アルキルより選択され、この(1−4C)アルキル基は、カルボキシまたはその模擬体または生物同配体で置換されていてもよい]
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
式(IA)
【化2】

(式中、nおよびRは、請求項1に記載の通りである)
を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項3】
式(IB)
【化3】

(式中、nおよびRは、請求項1に記載の通りである)
を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項4】
nが、2または3であり、そしてRが、フルオロである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項5】
化合物であって、
(1r,4r)−4−(3−フルオロ−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸;
(1r,4r)−4−(4−(5−(4−(ジフルオロメトキシ)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸;
(1r,4r)−4−(3−フルオロ−4−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸;
(1r,4r)−4−(4−(5−(3−クロロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸;
(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸;
(1r,4r)−4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸;
(1s,4s)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸および
(1s,4s)−4−(3−フルオロ−4−(5−(2,4,5−トリフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)フェニル)シクロヘキサンカルボン酸;または
いずれかこれらの薬学的に許容しうる塩
より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(ID)
【化4】

を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項7】
式(ID)
【化5】

を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸。
【請求項8】
約2θ=16.2°および27.6°に特異的ピークを有するX線粉末回折図形を特徴とする、請求項1に記載の化合物(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸。
【請求項9】
次のd値:
(a)17.3、5.2および3.66オングストローム;
(b)5.5、13.3、3.50、3.33および6.6オングストローム;
(c)4.72、5.1、3.45、3.43および15.6オングストローム;
(d)4.78、3.38、4.12、5.29、6.2、3.7および21.6オングストローム;
(e)3.75、4.43および14.2オングストロームまたは
(f)13.8、5.5、3.48および3.22オングストローム
に特異的ピークを有するX線粉末回折図形を特徴とする形より選択される形の、請求項1に記載の化合物(1r,4r)−4−(4−(5−(3,4−ジフルオロフェニルアミノ)−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボキサミド)−3−フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸。
【請求項10】
薬剤として用いるための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項11】
ヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症を処置する薬剤として用いるための、請求項10に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項12】
ヒトなどの温血動物でのDGAT−1活性の阻害の生成に用いるための薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項13】
ヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症の処置に用いるための薬剤の製造における、請求項12に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項14】
真性糖尿病および/または肥満症の処置を必要としているヒトなどの温血動物の真性糖尿病および/または肥満症を処置する方法であって、該動物に、有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項15】
医薬組成物であって、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を、薬学的に許容しうる賦形剤または担体と一緒に含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−512860(P2012−512860A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541600(P2011−541600)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051725
【国際公開番号】WO2010/070343
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】