説明

18F標識葉酸

本発明は、フッ素−18がトリアゾールリンカーまたはテトラゾールリンカーを介して葉酸またはその誘導体に共有結合で連結される新規18F−葉酸放射性医薬品、それらの製造方法、ならびにがん、炎症性疾患および自己免疫疾患の診断およびその治療のモニタリングにおけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素−18がトリアゾールリンカーまたはテトラゾールリンカーを介して葉酸またはその誘導体に共有結合で連結される新規18F葉酸放射性医薬品、それらの製造方法、そしてがん、炎症性疾患および自己免疫疾患の診断およびモニタリングならびにその治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
診断剤または治療剤などのエフェクター部分を送達するための細胞特異的ターゲティングは広く研究されている分野であり、非侵襲的診断および/または非侵襲的治療への医学的応用の開発につながっている。特に、γ線または光子または粒子線として電磁放射線を放射する放射性物質を利用する核医学的手順および処置では、特定組織を可視化し、疾患を検討評価しかつ/または治療的処置の効果をモニタリングするべく高いシグナル強度を達成するために、または他の例えば健常組織における放射線傷害のリスクを伴わずに特定患部に十分な線量の電離放射線を送達するべく高い放射線量を達成するために、標的とする細胞または組織におけるこれら放射性物質の選択的局在化が要求される。したがって、細胞特異的構造、特に腫瘍(すなわちがん)または炎症性疾患および自己免疫疾患の場合に存在する構造、例えばそれぞれの生物学的媒体によって特異的にターゲティングされうる受容体、抗原、ハプテンなどを決定し検討評価することは、極めて重要な関心事である。
【0003】
葉酸受容体(FR)はこれらの構造の一つであると同定されている。FRは高アフィニティー(K<10−9M)膜結合型タンパク質である。正常な組織および器官では、FR発現はほんのわずかな器官(例えば腎臓、肺、脈絡叢、および胎盤)に強く制限され、それらの器官では、発現が主に上皮細胞の管腔面で起こるので、循環中の葉酸が供されることはない。FR−アルファは、広範囲にわたるさまざまな特定細胞タイプ、例えば上皮腫瘍(例えば卵巣、子宮頚部、子宮内膜、乳房、結腸直腸、腎臓、肺、鼻咽頭)などで、しばしば過剰発現され、一方、FR−ベータは白血病細胞でしばしば過剰発現される(急性骨髄性白血病(AML)の約70%はFR−ベータ陽性である)。したがって、これらはどちらも、選択的腫瘍ターゲティングのための貴重な腫瘍マーカーとして使用することができる(非特許文献1:ElnakatおよびRatnam, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1067-84)。また、慢性関節リウマチと診断された患者における活性化滑膜マクロファージが機能的に活性なFR−ベータを持つ(しかし休止滑膜マクロファージは持たない)ことも、最近になって発見されている(非特許文献2:Nakashima-Matsushitaら, Arthritis & Rheumatism, 1999, 42(8): 1609-16)。したがって、関節炎関節では活性化マクロファージを葉酸コンジュゲートでターゲティングすることができ、これは、慢性関節リウマチの診断および処置への可能性を切り開く特性である(非特許文献3:Paulosら, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1205-17)。
【0004】
したがって、ベンゾイルアミノ部分を介してグルタミン酸にコンジュゲートされたプテリジン骨格に基づく葉酸とその誘導体は、葉酸受容体を保有する細胞集団に治療剤および/または診断剤を送達するためのターゲティング剤として、正常細胞との比較でそのような細胞における治療剤および/または診断剤の選択的濃縮を達成するために、過去15年間にわたって徹底的に研究されてきた。
【0005】
例えば葉酸放射性医薬品(非特許文献4:LeamonおよびLow, Drug Discov. Today 2001; 6:44-51;特許文献1:米国特許第4,276,280号明細書)、フッ素化葉酸化学療法剤(特許文献2:米国特許第 4,628,090号明細書)、化学療法剤との葉酸コンジュゲート(非特許文献5:LeamonおよびReddy, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1127-41;非特許文献6:Leamonら, Bioconjugate Chem. 2005; 16:803-11)、タンパク質およびタンパク質毒素との葉酸コンジュゲート(非特許文献7:Wardら, J. Drug Target. 2000; 8:119-23;非特許文献8:Leamonら, J. Biol. Chem. 1993; 268:24847-54;非特許文献9:LeamonおよびLow, J. Drug Target. 1994; 2:101-12)、アンチセンスオリゴヌクレオチドとの葉酸コンジュゲート(非特許文献10:Liら, Pharm. Res. 1998; 15:1540-45;非特許文献11:ZhaoおよびLee, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1193-204)、リポソームとの葉酸コンジュゲート(非特許文献12:LeeおよびLow, Biochim. Biophys. Acta-Biomembr. 1995; 1233:134-44;非特許文献13:Gabizonら, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1177-92)、ハプテン分子との葉酸コンジュゲート(非特許文献14:Paulosら, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1205-17)、MRI造影剤との葉酸コンジュゲート(非特許文献15:Kondaら, Magn. Reson. Mat. Phys. Biol. Med. 2001; 12:104-13)など、さまざまな葉酸誘導体および葉酸コンジュゲートが知られており、(前)臨床的に評価されている。通例、これらの誘導体およびコンジュゲートは全て、既知のカルボン酸カップリング方法に適している葉酸のグルタミン酸部分で修飾されている。
【0006】
葉酸放射性医薬品は、特に、改良されたがん、炎症性疾患および自己免疫疾患の診断、ならびにその治療の有効性の評価には、極めて有用である。これには、処置応答の検討評価および/または予測が含まれ、したがって照射線量測定の改良が含まれうる。当技術分野ではラジオイメージングに適した典型的可視化技法が知られており、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)、プラナーイメージングまたは単光子放射型コンピュータ断層(SPECT)イメージング、ガンマカメラ、シンチレーションなどがある。
【0007】
PETとSPECTはどちらも、選択したターゲット部位をイメージングし、マッピングし、その活性を測定するために、放射性トレーサーを使用する。しかし、PETが近接したサイクロトロンを必要とする陽電子放出核種を使用するのに対して、SPECTはジェネレータシステムで入手することができる単光子放出核種を使用し、これにより、その使用がより便利になりうる。しかしながら、SPECTはPETより感度が低く、数少ないアプローチを除くと、定量方法を欠いている。PETの場合は、陽電子消滅が2本の511keVガンマ線をもたらし、それが充実した定量方法の基礎になっている。したがってPETは、脳および他の器官におけるリガンドまたは代謝基質の取り込みおよびアフィニティーを検討評価するための最も洗練された機能イメージング技術の一つであり、それゆえに代謝活性に基づくイメージングの手段になる。これは、例えば陽電子放出同位体を対象に投与することによって達成され、それが放射性崩壊を起こす際に、陽電子/電子消滅によってもたらされるガンマ線がPETスキャナーによって検出される。
【0008】
PETに有用な適切な同位体を選択する際に考慮する必要がある因子には、患者への投与に先だって、場合によっては薬学的に許容できる担体に、診断用組成物を調製することを可能にするのに十分な、その陽電子放出同位体の半減期、およびPETスキャンによる体外測定を可能とするに足りる活性を与えるのに十分な残留半減期が含まれる。さらにまた、適切な同位体は、不必要な放射線への患者曝露を制限するために、十分に短い半減期を持つべきでもある。通例、PET用の適切な放射性医薬品はガリウムまたは銅などの金属同位体に基づきうる。しかし、これら二つはその金属の捕捉にキレーターを必要し、それが立体的および化学的性質に影響を及ぼしうる。もう一つの選択肢として、放射性医薬品は、最小限の構造変化をもたらす、共有結合で連結された同位体に基づくこともできる。共有結合による取付けに使用される、PETスキャニングに適した放射性核種は、典型的には、11C(約20分)、13N(約10分)、15O(約2分)、18F(約110分)など、短い半減期を持つ同位体である。
【0009】
現在までに、キレートベースの葉酸放射性医薬品がいくつか合成され、葉酸受容体陽性腫瘍をイメージングするための診断剤として、成功裏に評価されている。最も広く研究された誘導体は、SPECT用に111Inおよび99mTcで標識されるか(非特許文献16:Siegelら, J. Nucl. Med. 2003, 44:700;非特許文献17:Muellerら, J. Organomet. Chem. 2004, 689:4712)、PET用に68Gaで標識された(非特許文献18:Mathiasら, Nucl. Med. Biol. 2003, 30(7):725)。しかし、上記はいずれも適切なキレート剤を必要とし、それは通例、葉酸にそのグルタミン酸部分を介して連結される。
【0010】
したがって、共有結合で連結された同位体を持つ葉酸放射性医薬品は、大いに興味が持たれるだろう。特に18F標識葉酸放射性医薬品は、上記の考慮事項を全て満たすであろうそのイメージング特性ゆえに、PETイメージングに最も適しているだろう。他の適切な放射性核種(11C、13N、15O)と比較して、18Fは、その半減期が約110分と長く、しかも最も低い陽電子エネルギーを持つ陽電子を放出して崩壊し、それが高分解能PETにおける最も鮮明なイメージを可能にするので、極めて有用である。さらにまた、18Fの長い半減期が、より複雑な合成と、放射化学施設を持たないPETセンターへのサテライト供給も可能にする。
【0011】
しかし、葉酸の構造は18Fによる直接的な放射標識には適していない。したがって今までのところ、文献に報告された18F標識葉酸誘導体は極めてわずかしかない(非特許文献19:Bettioら, J. Nucl. Med., 2006, 47(7), 1153;特許文献3:国際特許公開第2006/071754号パンフレット)。その上、現在報告されている放射合成は時間がかかり、5%未満という低い放射化学収率しか与えない(非特許文献20:Bettioら, J. Nucl. Med., 2006, 47(7), 1153)。したがって、現在知られている18F標識葉酸またはその誘導体では、がん、炎症性疾患および自己免疫疾患の診断および処置を改良するための腫瘍の代謝イメージングに適した特異的放射性医薬品のニーズを満たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,276,280号明細書
【特許文献2】米国特許第4,628,090号明細書
【特許文献3】国際特許公開第2006/071754号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ElnakatおよびRatnam, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1067-84
【非特許文献2】Nakashima-Matsushitaら, Arthritis & Rheumatism, 1999, 42(8): 1609-16
【非特許文献3】非特許文献3:Paulosら, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1205-17
【非特許文献4】LeamonおよびLow, Drug Discov. Today 2001; 6:44-51
【非特許文献5】LeamonおよびReddy, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1127-41
【非特許文献6】Leamonら, Bioconjugate Chem. 2005; 16:803-11
【非特許文献7】Wardら, J. Drug Target. 2000; 8:119-23
【非特許文献8】Leamonら, J. Biol. Chem. 1993; 268:24847-54
【非特許文献9】LeamonおよびLow, J. Drug Target. 1994; 2:101-12
【非特許文献10】Liら, Pharm. Res. 1998; 15:1540-45
【非特許文献11】ZhaoおよびLee, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1193-204
【非特許文献12】LeeおよびLow, Biochim. Biophys. Acta-Biomembr. 1995; 1233:134-44
【非特許文献13】Gabizonら, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1177-92
【非特許文献14】Paulosら, Adv. Drug Deliv. Rev. 2004; 56:1205-17
【非特許文献15】Kondaら, Magn. Reson. Mat. Phys. Biol. Med. 2001; 12:104-13
【非特許文献16】Siegelら, J. Nucl. Med. 2003, 44:700
【非特許文献17】Muellerら, J. Organomet. Chem. 2004, 689:4712
【非特許文献18】Mathiasら, Nucl. Med. Biol. 2003, 30(7):725
【非特許文献19】Bettioら, J. Nucl. Med., 2006, 47(7), 1153;WO 2006/071754
【非特許文献20】Bettioら, J. Nucl. Med., 2006, 47(7), 1153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本出願人は、フッ素−18がトリアゾールリンカーまたはテトラゾールリンカーを介して葉酸またはその誘導体に、例えば葉酸のグルタミン酸官能基などに連結される、新規18F標識葉酸放射性医薬品を製造するための高効率な汎用的方法を、ここに見出した。予備的インビトロ研究では、FR陽性腫瘍の強力な診断剤としてのそれらの適性が示唆された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、第1の態様において、フッ素−18がトリアゾールリンカーまたはテトラゾールリンカーを介して葉酸またはその誘導体に、例えば葉酸またはその誘導体のグルタミン酸官能基に連結される、新規18F−葉酸放射性医薬品(以下、本発明の化合物ともいう)に関する。
【0016】
ある具体的実施形態において、新規葉酸放射性医薬品は式Iの化合物である:
【化1】

[式中、
Pは葉酸またはその誘導体であり、
、Sは、互いに独立して、単結合またはスペーサーであり、かつ
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]。
【0017】
好ましくは、SおよびSは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つの−CN、−Hal、−OH、−NH、−SH、−SOHもしくは−NOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、または−CN、−Hal、−NO、−COR’もしくは−COOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す。
【0018】
より具体的には、本発明は、式IIを持つ化合物に関する:
【化2】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(式中、R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、および(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)、または式IIIの基:
【化3】

[式中、SおよびSは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、かつ
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]
であり(ただし、RおよびRの一方は式IIIの基であるものとする)、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を持つ]。
【0019】
さらにもう一つの具体的実施形態において、本発明は式IVの化合物を包含する:
【化4】

[式中、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であるか、または式Vの基:
【化5】

[式中、S、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHまたはC−Cアルキルを表し(ただし、二つのヘテロ原子が互いに隣接することはないものとする)、
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]
であり、かつ
〜X、R〜R、m、pおよびqは、上に定義した通りである。
ただし、Rが式IIIの基であるか、またはRおよびRの一方が式Vの基であるものとする]。
【0020】
さらにもう一つの態様において、本発明はそれらの製造方法に関する。より具体的には、本発明の化合物は、アジドとアルキンまたはアルキン代替物、例えばニトリルとの1,3−双極子付加環化反応を使って、高い収率で得ることができる。
【0021】
もう一つの態様において、本発明は本発明化合物の医薬組成物に関する。
【0022】
さらにもう一つの態様において、本発明は、インビトロまたはインビボでの、がん、炎症性疾患および自己免疫疾患の診断ならびにその治療のモニタリングにおける使用に関する。
【0023】
ある実施形態において、本発明は、葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団を画像診断するための本発明化合物の使用に関する。
【0024】
より具体的には、本発明は、葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団を画像診断するための方法を包含し、これには例えば、組織試料中の、葉酸受容体を発現させる細胞、例えば腫瘍細胞または活性化マクロファージを、インビトロ検出するための方法が含まれる。そのような方法はインビボでも行うことができる。
【0025】
したがって、さらにもう一つの実施形態において、本発明は、がん、炎症性疾患および自己免疫疾患の画像診断および/またはその治療のモニタリングを必要とする対象への便利で効果的な投与のための、本発明化合物の使用に関する。本発明の方法の対象は、好ましくは哺乳動物、例えば動物またはヒト、好ましくはヒトである。
【0026】
そのような本発明の方法は、がん、炎症性疾患および自己免疫疾患を診断または治療するための他の任意の方法、例えば既に開発されている他の診断および/または治療剤を使用する方法、ならびにX線コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、光学イメージング、および超音波を利用する方法などと組み合わせて、実施することができる。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下に記載する本発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、18F−クリック(Click)葉酸(γ−(4−(4−(4−[18F]フルオロブチル)−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル)葉酸アミドの合成をを示す。
【図2】図2は、γ−(4−アジド−ブチオニル)−葉酸アミドの合成を示す。
【図3】図3は、18F−クリック葉酸を使ったエクスビボ生体内分布研究によって示される葉酸受容体陽性組織における特異的取り込みを示す。
【図4】図4は、18F]FDGを使ったPETイメージと比較した、18F−クリック葉酸を使ったPETイメージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、第1の態様において、フッ素−18がトリアゾールリンカーまたはテトラゾールリンカーを介して葉酸またはその誘導体に、例えば葉酸のグルタミン酸官能基に連結される、新規18F−葉酸放射性医薬品(以下、本発明の化合物ともいう)に関する。
【0030】
本明細書で使用する用語「葉酸」は、以下に定義する基Sをパラ位に保持するアミノベンゾイル部分に連結された縮合ピリミジン複素環に基づく化合物を含む。本明細書にいう「縮合ピリミジン複素環」には、さらなる5員または6員複素環と縮合したピリミジン、例えばプテリジンまたはピロロピリミジン二環が包含される。本明細書にいう葉酸の好ましい代表例は、葉酸骨格、すなわちプテロイル-グルタミン酸またはN−[4(プテリジン−6−イルメチルアミノ)ベンゾイル]−グルタミン酸)、およびその誘導体に基づき、これには、適宜置換された葉酸、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸、および葉酸受容体結合性プテリジン類、例えばテトラヒドロプテリン類、ジヒドロ葉酸類、テトラヒドロ葉酸類、ならびにそれらのデアザおよびジデアザ類似体が含まれる。葉酸は本発明の化合物に使用される好ましい基本構造である。用語「デアザ」および「ジデアザ」類似体とは、天然葉酸構造中の1個または2個の窒素原子の代わりに炭素原子を持つ、当技術分野で認識されている類似体を指す。例えばデアザ類似体には、1−デアザ、3−デアザ、5−デアザ、8−デアザ、および10−デアザ類似体が含まれる。ジデアザ類似体には、例えば1,5−ジデアザ、5,10−ジデアザ、8,10−ジデアザ、および5,8−ジデアザ類似体が含まれる。好ましいデアザ類似体化合物には、N−[4−[2−[(6R)−2−アミノ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(ロメトレキソール)およびN−[4−[1−[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]プロピル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(エダトレキセート)が含まれる。
【0031】
より具体的には、新規葉酸放射性医薬品は式Iの化合物である:
【化6】

[式中、
Pは葉酸またはその誘導体であり、
、Sは、互いに独立して、単結合またはスペーサーであり、かつ
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]。
【0032】
好ましくは、SおよびSは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC1−C6アルキル、またはその組合せを表す。
【0033】
もう一つの具体的実施形態では、新規葉酸放射性医薬品が式IIの化合物である:
【化7】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(式中、R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、および(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)、または式IIIの基:
【化8】

[式中、SおよびSは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、かつ
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]
であり(ただし、RおよびRの一方は式IIIの基であるものとする)、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を持つ]。
【0034】
好ましい実施形態では、RがCN、Hal、NO、または基Rであり、Rが式IIIの基である。
【0035】
もう一つの好ましい実施形態では、RがCN、Hal、NO、または基Rであり、Rが式IIIの基である。
【0036】
略号「N」および「C」は、考えうる全ての飽和度を表すと理解される。すなわち、Nは−NH−および−N=結合を包含し、Cは−CH−および−CH=結合を包含する。
【0037】
さらに、(H)は表示した環上(すなわちX、C6、C7およびX上)の全てのH置換基を表すと理解される。例えば、q=5は完全飽和無置換類似体(X=X=N、p=0)を表し、q=7は完全飽和無置換5,8−ジデアザ類似体(X=X=C、p=0)を表し、q=1はX=X=N、p=0の完全不飽和類似体を表す。
【0038】
は、好ましくは、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C18アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−NR’−、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、より好ましくは、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C18アルキル(これは無置換であるか、少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−NR’−、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、または無置換5員もしくは6員芳香環で置き換えられてもよい。
【0039】
好ましい実施形態では、Sが単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキルであり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−NR’−、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい。
【0040】
もう一つの好ましい実施形態において、Sはアミノ酸、すなわちアミノ基(例えばNHまたはNH)とカルボン酸基(例えばCOOHまたはCOO-)の両方を持つ化合物を表しうる。ある具体的実施形態において、アミノ酸は、α−アミノ酸、β−アミノ酸、D−アミノ酸またはL−アミノ酸であることができる。アミノ酸は天然アミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、またはヒスチジンなど)であってもよいし、またはその誘導体であってもよい。誘導体の例には、適宜置換されたアミノ酸、例えばCN、Hal、および/またはNOから選択される一つ以上の置換基を持つものなどがある。アミノ酸には、他の任意の非天然アミノ酸、例えばノルロイシン、ノルバリン、L−またはD−ナフトアラニン(naphthalanine)、オルニチン、ホモアルギニン、その他、ペプチド技術分野で周知であるものなどを含めることもできる(例えばM. Bodanzsky「Principles of Peptide Synthesis」改訂第1版および改訂第2版、Springer-Verlag、ニューヨーク州ニューヨーク、1984および1993、ならびにStewartおよびYoung「Solid Phase Peptide Synthesis」第2版、Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロックフォード、1984を参照されたい;どちらの文献も参照により本明細書に組み込まれる)。アミノ酸およびアミノ酸類似体/誘導体は商業的に購入するか(Sigma Chemical Co.;Advanced Chemtech)、当技術分野で知られる方法を使って合成することができる。もう一つの具体的実施形態では、アミノ酸は、複数の同じアミノ酸または異なるアミノ酸(上に定義したもの)が共有結合で連結されている(すなわち従来のペプチド結合または他の結合を介して連結されている)ポリアミノ酸(ポリペプチドともいう)の一部であることもできる。好ましいアミノ酸には、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパルチン(aspartine)、リジン、アルギニン、システイン、およびその誘導体、などが含まれ、好ましいポリアミノ酸には、ホモポリマー、その各ホモポリマー(すなわち、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸など)が含まれる。最も好ましいのは、適宜置換されたアスパラギン酸およびグルタミン酸である。
【0041】
は、好ましくは、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)であり、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、より好ましくは、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)である。
【0042】
最も好ましくは、Sは単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキルである。
【0043】
上に示した通り、本明細書にいう葉酸の好ましい代表例は、Sがグルタミン酸残基である葉酸骨格およびその誘導体に基づく。したがって、もう一つの具体的実施形態では、新規葉酸放射性医薬品が式IVの化合物である:
【化9】

[式中、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、-O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であるか、または式Vの基:
【化10】

[式中、S、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]
であり、かつ
〜X、R〜R、m、pおよびqは、式IIの化合物および後述の好ましい実施形態に従って定義する通りである。
ただし、Rが式IIIの基であるか、またはRおよびRの一方が式Vの基であるものとする]。
【0044】
およびSは、好ましくは、互いに独立して、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、CN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す)であり、より好ましくは、直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)である。
【0045】
最も好ましくは、SおよびSが、互いに独立して、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキルである。
【0046】
Arは、式V−aおよびV−bのトリアゾールまたはテトラゾール:
【化11】

[式中、点線はスペーサー基への連結部位を表し、かつ
〜Zは、互いに独立して、CまたはNであって、全てのNの和が3または4であるようになっている]
であり、好ましくは式V−c、V−d、およびV−eから選択される:
【化12】

[式中、点線はスペーサー基への連結部位を表し、R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)であり、R’はHまたはC−Cアルキルを表す]。
【0047】
ある具体的実施形態では、RがCN、Hal、NO、または基Rであり、RおよびRの一方が式Vの基である。
【0048】
もう一つの具体的実施形態では、RがCN、Hal、NO、もしくは基R、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、かつRが式Vの基である。
【0049】
さらにもう一つの具体的実施形態では、RがCN、Hal、NO、または基Rであり、RがHであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であり、かつRが式Vの基である。
【0050】
さらにもう一つの具体的実施形態では、RおよびRが、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、かつRは式Vの基である。
【0051】
したがって、もう一つの具体的実施形態では、新規葉酸放射性医薬品が、式VI、VIaまたはVIbの化合物である:
【化13】

【化14】

【化15】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、CN、Hal、NO、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、または(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、
Arはトリアゾールまたはテトラゾールであり、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を持つ]。
【0052】
およびSは、好ましくは、互いに独立して、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す)であり、より好ましくは、直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)である。
【0053】
最も好ましくは、SおよびSは、互いに独立して、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキルである。
【0054】
さらにもう一つの具体的実施形態では、新規葉酸放射性医薬品が式VIIa〜VIIfまたはVIIIa〜VIIIfの化合物である:
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、CN、Hal、NO、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、または(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、
R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)であり、R’はHまたはC−Cアルキルを表し、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を持つ]。
【0055】
上に定義したさらなる好ましい実施形態は、式VI〜VIIIの化合物にも適用される。
【0056】
好ましくは、RおよびRは、互いに独立して、H、アルキル、−OR、−NHR’であることができ、より好ましくは、−OR’、−NHR’であることができる(R’はHまたはC−Cアルキルを表す)。
【0057】
好ましくは、RはH、ホルミル、C−C12アルキルまたはC−C12アルカノイルである。
【0058】
好ましくは、RはH、ニトロソ、C−C12アルコキシ、またはC−C12アルカノイルである。
【0059】
好ましくは、RはH、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、または(C−C12アルキルアミノ)カルボニル、より好ましくは、HまたはC−Cアルキルである。
【0060】
好ましくは、RはH、CN、Hal、NO、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、または(C−C12アルコキシ)カルボニル、より好ましくはH、CN、Hal、NO、またはC−Cアルキルである。
【0061】
本発明化合物の具体的実施形態には、例えば、
(a)X〜XがNであり、RがNYであり、RがOであり、RがYであり、mが1であり、pが0または1であり、かつqが1または3である化合物、または
(b)X〜XがNであり、RがNYであり、RがNHであり、RがYであり、mが1であり、pが0であり、qが1である化合物、
が含まれる。
【0062】
したがって、さらにもう一つの具体的実施形態において、本発明は、例えば式IX、IXa、XまたはXaの化合物に関する:
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

[式中、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
、Yは、互いに独立して、H、ホルミル、直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)から選択され、埋込まれた非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
は、H、ホルミル、ニトロソ、直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)から選択され、埋込まれた非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)であり、R’はHまたはC−Cアルキルを表し、かつ
、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す]。
【0063】
好ましくは、R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)である。
【0064】
用語「アルキル」が単独でまたは組み合わされて使用される場合、この用語は、好ましくは、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどを指す。より好ましいアルキル基は1〜8個、さらに好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。
【0065】
本明細書で使用する用語「アルケニル」は、単独で、または他の基と組み合わされて、2〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキル基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、t-ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、アミレン、イソアミレン、ペンチレン、イソペンチレン、ヘキシレンなどを指す。好ましいアルケニル基は2〜6個の炭素原子を含有する。
【0066】
本明細書で使用する用語「アルキニル」は、一つ以上の炭素-炭素三重結合を持つ炭素原子の線状鎖または分岐鎖を指す。好ましいアルキニル基は、2〜12個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を含有する。
【0067】
本明細書で使用する用語「アルコキシ」は、酸素で置換された、上に定義したアルキル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシなどを指す。
【0068】
本明細書で使用する用語「アルカノイル」は、ホルミルを指すか、または末端がカルボニルで置換された、上に定義したアルキル、例えばアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイルなどを指す。
【0069】
本明細書で使用する用語「アルキルアミノ」は、窒素で置換された、上に定義したアルキルを指し、モノアルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、tert−ブチルアミノなどと、ジアルキルアミノ、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロピルアミノなどの両方を包含する。
【0070】
本明細書で使用する用語「ハロ」は、任意の第17族元素を指し、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、およびアスタチン(アスタチノ)を包含する。
【0071】
さらにもう一つの態様において、本発明は、本発明の化合物を合成する方法を提供する。本出願人は、熱条件下または触媒の存在下で行われるアジドとアルキンまたはアルキン代替物との付加環化反応を含むプロセスによって、本発明の化合物が効果的に得られることを見出した。これらの反応は、ヒュスゲン(Huisgen)1,3−双極子付加環化反応(熱条件)およびクリック(Click)反応(触媒条件)として知られており、当技術分野において記載されている(KolbおよびSharpless, Drug Discovery Today 2003, 8, 1128;Kolbら, Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 2004;Rostovtsev, V. V.ら, Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 2596;US 2005/02222427;WO 06/116629)。より具体的には、Arがトリアゾールである式Iの化合物は、アジドR−NとアルキンR−C≡C−Rとの付加環化反応によって得られ、Arがテトラゾールである式Iの化合物は、アジドR−Nとシアン化物R−C≡Nとの付加環化反応によって得られる。ここでは、可能性のある全ての組合せ、すなわちRが葉酸誘導体であり、かつR18F標識基である組合せ、ならびにRが葉酸誘導体であり、かつR18F標識基である組合せが考えられる。したがって、この反応のモジュール性および汎用性は、多種多様なリンカーを使って葉酸に放射性同位体をカップリングすることを可能にする。
【0072】
ある具体的実施形態では、熱条件下で、すなわち10〜200℃の範囲、好ましくは10〜100℃の範囲の温度で、付加環化反応が行われる。
【0073】
もう一つの実施形態では、遷移金属錯体などの触媒、例えばRuおよびCu(I)の存在下で、付加環化反応が行われる。好ましい触媒は、Cu(I)塩、例えばCu(I)塩化物、臭化物、ヨウ化物である。あるいは、Cu(II)塩の系中(in situ)還元によって、Cu(I)を得ることもできる。この反応は、さまざまなプロトン性または非プロトン性溶媒中、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、第3級ブタノール、n−ブタノールおよび/もしくは水またはその緩衝溶液中、広範囲にわたる温度(例えば10〜100℃の温度、好ましくは室温)で、さまざまなpH(例えば4〜12)において、酸化的または還元的条件下で、他の官能基の存在下に、保護基を必要とすることなく行うことができる。
【0074】
適当な条件を選択することは当業者には自明だろう(参照により本明細書に組み込まれるUS 2005/0222427およびそこで引用されている文献も参照されたい)。
【0075】
付加環化反応用の18F標識出発物質、すなわち18F標識アルキン、アルキン代替物またはアジドは、適切な脱離基を持つ各アルキン、アルキン代替物またはアジドとの置換反応で得られる。アルキン上の脱離基は当技術分野で知られる任意の一般的脱離基であることができ、例えばハロゲン、ニトロ、ジアゾニウム塩、スルホン酸エステル(メシラート、トシラートを含む)、ペンタフルオロベンゾアートなどが挙げられる。通例、置換反応は、アセトニトリル、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)ならびにその混合物から選択される極性非プロトン性溶媒中で行われる。
【0076】
したがって、ある模範的反応では、選択したアルキンまたはアルキン代替物であって適切な脱離基を備えたものを、例えば炭酸テトラブチルアンモニウムや、炭酸カリウムまたはシュウ酸カリウムと組み合わされたアミノポリエーテル類(例えばKryptofix(c) 2.2.2)などといった相間移動触媒で活性化された[18F]フルオリドを使って、標準的条件(例えばアセトニトリル、100℃、10〜15分)での置換反応で標識した。その結果生じた[18F]標識アルキンを、適切な溶媒と共に、選択した触媒(例えばCu(I)I)へと共蒸留した。この混合物に、選択したアジド−葉酸または誘導体を標準的条件(例えばDMF、HOおよびDIPEA中のアスコルビン酸Na、80℃)で加えることにより、最終標識生成物を25〜35%のRCYで得た。
【0077】
あるいは、選択したアジドであって適切な脱離基を備えたものを、例えば炭酸テトラブチルアンモニウムや、炭酸カリウムまたはシュウ酸カリウムと組み合わされたアミノポリエーテル類(例えばKryptofix(c) 2.2.2)などといった相間移動触媒で活性化された[18F]フルオリドを使って標識することにより、[18F]標識アジドを得て、次にそれを、標準的条件での1,3−双極子付加環化反応で、選択したアルキン置換葉酸または誘導体にカップリングした。
【0078】
さらにもう一つの態様において、本発明は、画像診断を必要とする対象への便利で効果的な投与のための、本発明の葉酸放射性医薬品の使用を提供する。
【0079】
したがって本発明は、葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団を画像診断するための方法であって、少なくとも一つの本発明の葉酸放射性医薬品を画像診断量で投与するステップ、および前記細胞または細胞集団の診断画像を取得するステップを含む方法を提供する。
【0080】
そのようなイメージングは、インビトロまたはインビボで葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団に対して行うことができる。
【0081】
したがって本発明は、組織試料中の葉酸受容体を発現させる細胞をインビトロ検出するための方法であって、前記組織試料を、少なくとも一つの本発明の葉酸放射性医薬品と、結合を起こさせてそのような結合をPETイメージングによって検出することができるように、有効な量ならびに十分な時間および条件で、接触させることを含む方法を提供する。
【0082】
さらにもう一つの態様において、本発明は、がん、炎症性疾患および自己免疫疾患の画像診断および/またはその治療のモニタリングを必要とする対象への便利で効果的な投与のための、本発明の葉酸放射性医薬品の使用を提供する。
【0083】
もう一つの態様において、本発明は、同時に診断および治療するための方法であって、その必要がある対象に、少なくとも一つの本発明の葉酸放射性医薬品を、診断有効量で、治療活性剤と組み合わせて投与するステップ、および処置の経過を追跡するために前記組織の診断画像を取得するステップを含む方法を提供する。
【0084】
本発明の方法の対象は、好ましくは哺乳動物、例えば動物またはヒト、好ましくはヒトである。
【0085】
投薬量は所望する効果の性質、例えば診断または治療の形態、処置の種類および頻度、診断装置、調製物の適用の形態、ならびに受容者の年齢、体重、栄養および状態、もしあれば同時処置の種類に左右される。
【0086】
しかし、最も好ましい投薬量は、当業者には理解される通り、また当業者であれば甚だしい実験を行わずに決定することができるように、個々の対象に合わせて調整することができる。これには通例、標準用量の調節(例えば患者の体重が軽ければ用量の削減)を伴う。
【0087】
処置は、最適量を下回る少量で開始し、最適な効果が達成されるように、それを増加させることができる。
【0088】
PETスキャナーでのイメージング操作は、放射性トレーサーの投与後、数分以内から2〜4時間後までに行われる。スケジュールは、イメージングターゲット、および放射性トレーサーの動態、ならびに所望する情報に左右される。
【0089】
本発明の葉酸放射性医薬品の好ましい投与経路は、静脈内注射によるものである。
【0090】
注射に適した形態として、本発明の上記葉酸放射性医薬品の滅菌水性溶液または分散系が挙げられる。通例、放射性医薬品は、生理緩衝溶液中に製剤化されるだろう。
【0091】
葉酸放射性医薬品は、例えば限定するわけではないが、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの抗細菌剤または抗真菌剤の添加など、当技術分野で認識されている任意の技法で滅菌することができる。
【0092】
好ましくは、それらを投与前に滅菌濾過することにより、余分な滅菌剤の必要が排除される。
【0093】
注射用溶液剤の場合、好ましい単位投薬量は約0.01mL〜約10mLである。静脈内投与後は、所望であれば、投与された用量のうちの十分な量を選択した標的領域に蓄積させるために、放射標識試薬が対象に投与された後、数分以内から2〜4時間後までに、インビボの器官または腫瘍のイメージングを行うことができる。
【0094】
本発明の葉酸放射性医薬品は、対象から採取した組織生検中の葉酸受容体を発現させる細胞のインビトロ検出にも使用することができる。したがって、さらにもう一つの実施形態において、本発明は、組織試料中の葉酸受容体を発現させる細胞(例えば腫瘍細胞)をインビトロ検出するための方法であって、前記組織試料を、本発明の葉酸放射性医薬品と、結合を起こさせてそのような結合をイメージング技法によって検出することができるように、有効な量ならびに十分な時間および条件で接触させることを含む方法を提供する。
【0095】
試料は、当業者に知られている手法によって、例えば組織生検材料もしくは体液を収集することによって、または気管もしくは肺試料などを吸引することによって収集することができる。
【0096】
試験される組織試料には、例えば腫瘍細胞、上皮細胞、腎臓、胃腸系または肝胆道系など、葉酸受容体を発現させる細胞を含有すると疑われる任意の組織が含まれる。試料は、顕微鏡による検査および観察を容易にするために、例えばミクロトームなどで薄切することができる。試料は、試料組織の組織学的品質を改良するために、本発明の葉酸放射性医薬品の一つとのインキュベーションの前または後に、適当な固定剤で固定することもできる。
【0097】
本発明の葉酸放射性医薬品が細胞上の葉酸受容体に結合するのに十分な時間および条件には、標準的な組織培養条件が含まれる。すなわち、試料をインビトロで培養し、生理的媒質中で本発明の複合体または組成物の一つと共にインキュベートすることができる。そのような条件は当業者にはよく知られている。あるいは、試料を固定した後、等張緩衝液または生理的緩衝液中で本発明の葉酸放射性医薬品と共にインキュベートすることもできる。
【0098】
どの応用でも、本発明の化合物を使用する場か、またはその近くで、本発明の化合物を製造することが便利である。
【0099】
ここに開示し、特許請求する化合物および/または方法は全て、本開示を考慮すれば甚だしい実験を行わずに、製造および実行することができる。本発明の範囲から逸脱することなく本発明に変形を加えうることは、当業者には明白だろう。本明細書に記載する実施例は、例示を意図するものであって網羅的ではないので、決して、例示される実施例を本発明の限定であるとみなしてはならない。
【0100】
実施例
材料と方法
赤外スペクトルは、Jasco FT/IR−6200 ATR−IRで記録した。核磁気共鳴スペクトルは、対応する溶媒シグナルを内部標準として、Bruker 400MHzまたは500MHz分光計で記録した。化学シフトはテトラメチルシラン(0.00ppm)を基準として百万分率(ppm)で報告する。結合定数の値はヘルツ(Hz)で記載し、実験項ではH−NMRスペクトルの説明に以下の略号を使用する。一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、多重線(m)、二重線の二重線(dd)。複雑な多重線の化学シフトはその出現範囲として記載する。低分解能質量分析(LR−MS)はMicromass Quattro micro(商標)API LC−ESIで記録した。
【0101】
水感受性反応は火炎乾燥したガラス器具中、アルゴン下で行った。反応は薄層クロマトグラフィー(TLC、EM Science 0.25mm厚、プリコートシリカゲル60F−254ガラス支持プレート上で実行)またはHPLCでモニターした。HPLCは、L−7400波長可変吸収検出器を装備したMerck−Hitachi L−7000システムで行った。分析用HPLCは、XBridge(登録商標)カラム(C18、5μm、4.6×150mm、Waters)で、以下の溶媒系を使って行った(1mL/分):0.1%TFA水溶液(溶媒A)、アセトニトリル(溶媒B)、1mL/分;0−1分、95%A;1−15分、95→5%A;15−20分、5%A;20→22分、5→95%A;22→25分、95%A。セミ分取用HPLCはXBridge(登録商標)セミプレップカラム(C18、5μm、10×150mm、Waters)、3mL/分、均一濃度のNHHCO(10mM、88%)/CHCN(12%)で行った。化学薬品は全て、別段の明示がない限り、供給されたものをそのまま使用した。
【0102】
n.c.a.[18F]フルオリドの製造
n.c.a.[18F]フルオリドはCyclone18/9サイクロトロン(IBA、ベルギー)での18O(p,n)18F核反応によって製造した。97%同位体濃縮された[18O]水を、2.1mlの液体ターゲットをつかって、16MeV陽子線で照射した。[18F]フルオリド/[18O]水溶液を、ターゲットから、マニピュレータを装備した合成ホットセルに、ヘリウム流を使って移した。
【0103】
5mlの0.5M炭酸カリウム溶液と5mlの水でプレコンディショニングしておいたアニオン交換カートリッジ(Sep−Pak(登録商標)Light Accell Plus QMA、Waters AG)上に[18F]フルオリド(約20〜30GBq)を捕捉すると共に、[18O]水を再利用するために回収した。アセトニトリル/水(4:1)1.5ml中の炭酸カリウム(2mg)とKryptofix(c)2.2.2(10mg)の溶液を使って、[18F]フルオリドを、10ml密封反応容器中に直接溶出させた。85〜90℃で減圧と窒素気流とによって溶媒を除去した。次に、1mlの乾燥アセトニトリルを3回加え、蒸発乾固した。
【実施例1】
【0104】
19F−クリック葉酸標準の合成
【化32】

(a)6−[19F]フルオロ−1-ヘキシンの合成
乾燥THF(12mL)中の5−ヘキシン−1−イル=p−トシラート(330mg、1.3mmol)(van Hestら, J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 1282に記載された手法に従って5−ヘキシン−1−オールをトシル化することによって製造)、Kryptofix(登録商標)2.2.2(620mg、1.6mmol)およびKF(97mg、1.6mmol)を還流下で20時間撹拌した。周囲圧で揮発性成分を分留することにより、6−[19F]フルオロ−1−ヘキシンをTHF中の42%溶液(200mg、62%)として得た:Bp:65−70℃/1気圧;H−NMR (CDCl) δ 4.51 (t, 1H, =6.0Hz), 4.40 (t, 1H, =6.0Hz), 2.23 (dt, 2H, =7.6および2.8Hz), 1.95 (t, 1H, =2.8Hz), 1.80−1.73 (m, 2H), 1.65−1.61 (m, 2H) ppm。
【0105】
(b)γ−(4−アジド−ブチオニル)−葉酸アミドの合成
符号については図2を参照されたい。
N−BOC−アミノ−ブタン−アジド()を、モノ−BOC−ジアミノブタン()から、Linkらが記載した手法(J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 10598)に従って製造した。CHCl/TFA(20%)中、室温で、終夜、中間体を脱保護することにより、減圧乾燥後に、4−アジド−ブタン−アミンのTFA塩()を無色の油状物(0.44g、94%)として得た:H−NMR (CDCl) δ 4.54 (bs, 1H), 3.27 (t, 2H, =6.5Hz), 3.25−3.10 (m, 2H), 1.63−1.50 (m, 4H), 1.14 (s, 9H) ppm;LR−MS:[M+H]=215.21(C18の計算値:214.26)。
【0106】
火炎乾燥したフラスコ中、アルゴン下で、BocGluOMe(、261mg、1.0mmol)を乾燥DMF(5mL、モレキュラーシーブ4Å上)に溶解し、EtN(210μL、1.5当量)を加えた。HBTU(380mg、1.0mmol)を0℃で加え、その混合物を半時間撹拌した。その活性化された酸の溶液を、導管を通して、EtN(210μL、1.5当量)を含有するアミンTFA塩(228mg、1.0mmol)の乾燥DMF(5mL)溶液に、0℃で移した。2時間後に、その混合物を室温まで温め、終夜撹拌した。揮発性成分を減圧下で除去し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで、CHCl/MeOH(60:1→30:1)を使って、残渣を精製することにより、生成物5を無色の油状物(330mg、92%)として得た。中間体をCHCl/TFA(20%)中、室温で終夜、脱保護することにより、減圧乾燥後に、Glu(4−アジド−ブチルアミド)OMeのTFA塩()を淡黄色油状物(740mg、定量的)として得た:H−NMR (CDCl) δ 10.15−8.60 (bs, 3H), 6.74 (t, 1H, =5.6Hz), 4.14 (dd, 1H, =7.7および3.7Hz), 3.80 (s, 3H), 3.31−3.26 (m, 2H), 3.25−3.18 (m, 2H), 2.59−2.45 (m, 2H), 2.38−2.27 (m, 1H), 2.24−2.13 (m, 1H), 1.63−1.50 (m, 4H) ppm;LR−MS:[M+H]=258.23(C1019の計算値:257.29)。
【0107】
火炎乾燥したフラスコ中、アルゴン下で、N2−N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミル−プテロイン酸(198mg、0.5mmol)を乾燥DMF(10mL、モレキュラーシーブ4Å上)に懸濁し、EtN(104μL、0.75mmol)を加えた。HBTU(380mg、0.5mmol)を0℃で加え、その混合物を1時間撹拌した。その結果生じた橙色溶液に、0℃で、EtN(210μL、1.5mmol)を含有するアミンTFA塩(186mg、0.5mmol)の乾燥DMF(9mL)溶液を加えた。その結果生じた透明黄色溶液を0℃で1時間撹拌した後、室温まで温まらせた。減圧下で揮発性成分を除去し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで、CHCl/MeOH(17:1→10:1)を使って、残渣を精製することにより、生成物を黄色固形物(290mg、92%)として得た。アジド葉酸(63mg、0.1mmol)を1M NaOH(3mL)に溶解し、室温で終夜撹拌した。その結果生じた濁った溶液をCelite(商標)を通した濾過によって清澄化した。その黄色溶液のpHをHCl(最初は37%HCl、次に1M HCl)の添加によってpH約2に調節したところ、生成物の析出が起こった。その懸濁液を遠心分離(3500rpmで10分)し、淡黄色上清をデカントし、固形生成物を減圧下で乾燥して、γ−(4−アジド−ブチオニル)−葉酸アミドのペンタ塩酸塩を黄色粉末(75mg、定量的)として得た:mp>200℃;H−NMR (DMSO−d6) δ 12.21−11.95 (bs, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.18 (d, 1H, =7.2Hz), 7.85 (t, 1H, =5.7Hz), 7.65 (d, 2H, =9.0Hz), 7.00−6.82 (bs, 2H), 6.93 (t, 1H, =6.2Hz), 6.64 (d, 2H, =9.0Hz), 4.49 (d, 2H, =5.9Hz), 4.32−4.22 (m, 1H), 3.29 (t, 2H, =6.8Hz), 3.03 (q, 2H, =6.5Hz), 3.09−2.96 (m, 2H), 2.12−1.83 (m, 2H), 1.55−1.45 (m, 2H), 1.45−1.35 (m, 2H)(1個のNHは観測されなかった)ppm; 13C−NMR (DMSO−d6) δ 173.8, 171.5, 166.3, 160.8, 156.6, 153.8, 150.8, 148.7, 148.5, 128.9, 127.9, 121.3, 111.2, 52.2, 50.3, 45.9, 37.9, 32.0, 26.6, 26.3, 25.7 ppm;HR−MS:[M]=537.2127(C232711の計算値:537.2197);元素分析(括弧内はC232711(HCl)として算出した%値)C 39.16 (38.38), H 4.09 (4.48), N 21.43 (21.40), O (11.11)、Cl (24.63)。
【0108】
(c)19F−クリック葉酸標準の合成
γ−(4−アジドブチル)−葉酸アミド(ペンタ塩酸塩、14mg、0.02mmol)をBuOH/HO(1:1、2mL)に懸濁し、6−[19F]フルオロ−1−ヘキシン(48mg、0.2mmol)、Cu(OAc)(0.8mg、20モル%)およびアスコルビン酸ナトリウム(1.5mg、40モル%)を加えた。その混合物を75℃で30分間撹拌したところ、HPLCがアジド出発物質の完全な変換を示した。その混合物を室温まで冷却し、その結果生じた懸濁液を1M NaOH数滴の添加によって溶解させた。HCl(1M)を最終pHが2になるように添加したところ、生成物の析出が起こった。その混合物を遠心分離(3500rpmで10分間)し、淡黄色上清をデカントした。固形物を乾燥することにより、褐色粉末(20mg)を得た。その粗生成物を0.1M NaOH(0.4mL)に溶解し、セミ分取用HPLCで精製した。集めた生成物含有画分を減圧下で濃縮し、残渣をNaOH(1M、1mL)に溶解した。HCl(1M)を最終pHが2になるように添加したところ、生成物の析出が起こった。遠心分離(3500rpmで10分間)、淡黄色上清のデカンテーション、および固形物の乾燥により、最終生成物のペンタ塩酸塩を黄色粉末(9mg、53%)として得た:H−NMR (DMSO−d6) δ 12.02−11.85 (bs, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.19 (d, 1H, =7.8Hz), 7.86−7.80 (m, 2H), 7.65 (d, 2H, =8.7Hz), 7.35−6.95 (ブロードm, 2H), 6.65 (d, 2H, =8.7Hz), 4.53−4.47 (m, 3H), 4.40 (t, 1H, =5.8Hz), 4.32−4.23 (m, 3H), 3.54−3.32 (bs, 1H), 3.08−2.97 (m, 2H), 2.62 (t, 2H, =6.6Hz), 2.22−2.13 (m, 2H), 2.09−2.00 (m, 1H), 1.98−1.88 (m, 1H), 1.79−1.60 (m, 6H), 1.36−1.26 (m, 2H) ppm;13C−NMR (DMSO−d6) δ 173.8, 171.5, 166.3, 160.7, 155.0, 153.5, 150.7, 149.1, 148.5, 146.5, 129.0, 128.0, 121.7, 121.4, 111.2, 84.2, 83.0, 52.2, 48.8, 45.9, 37.7, 32.0, 29.3, 27.2, 26.5, 26.1, 24.8, 24.5 ppm;LR−MS:[M+H]=638.24(C2936FN11の計算値:637.67);元素分析(括弧内はC293611(HCl)として算出した%値)C 42.72 (42.48), H 5.18 (5.04), N 18.17 (18,79), O (9.76), F (2.32)、Cl (21.62)。
【実施例2】
【0109】
18F−クリック葉酸の合成
【化33】

得られた乾燥[18F]フルオリド−クリプテート錯体に、アセトニトリル1.2ml中の5−ヘキシン−1−イル=p−トシラート(25μl)を加えた。反応容器を、PTFE管を介して、ヨウ化銅(I)(2.5mg)を含有する第2の反応容器に接続し、それをドライアイス/イソプロパノール冷却浴に入れた。反応容器1中の反応混合物を95〜100℃に加熱し、それと同時に18F標識生成物6−[18F]フルオロ−1−ヘキシンをアセトニトリルと共に第2反応容器へと共蒸留した(bp(6−[18F]フルオロ−1−ヘキシン)=106℃)。6−[18F]フルオロ−1−ヘキシンは70〜85%の放射化学収率および90〜98%の放射化学純度で得られた。12分後に、アセトニトリル約0.8〜1.0ml中の6−[18F]フルオロ−1−ヘキシンを含有する第2反応容器を取り外し、室温まで温まらせた。この混合物に、水0.3ml、DIEA 25μl、水0.15ml中のアスコルビン酸ナトリウム25mgおよびDMF 0.2ml中のγ−(4−アジド−ブチオニル)−葉酸アミド(実施例1(b)参照)を逐次、加えた。その混合物を80℃に加熱し、20分以内に60℃まで冷ました。粗混合物の18F−クリック−葉酸含有量は55〜65%だった。
【0110】
セミ分取用HPLC精製のために、その混合物をHPLC溶媒2mlで希釈した。分離は、RP18カラム(Phenomenex(c) Gemini 5μ C18, 250×10mm)で、以下の勾配を使って行った。溶媒A=10mM炭酸水素アンモニウム溶液、B=メタノール、0〜30分;A:90%→40%、30〜40分:A:40%、40〜45分:A:40%→90%。
【0111】
単離された18F−クリック葉酸のHPLC溶媒を減圧下および窒素気流下に100℃で除去した。生成物を生理的リン酸緩衝溶液中に製剤化した。
【実施例3】
【0112】
18F−クリック葉酸を使ったインビトロ、インビボおよびエクスビボ研究
18F−クリック葉酸をインビトロ血漿安定性研究および肝ミクロソームを使った代謝産物研究に使用した。
【0113】
18F−クリック葉酸を、振とう水槽中、37℃で、ヒト血漿およびマウス血漿の両方と共にインキュベートした。異なる時点で一部を採取し、HPLCで分析した。トレーサーは高い安定性を示した。0〜120分の期間中、脱フッ素または他の放射性分解産物は検出されなかった。
【0114】
ヒトおよびマウス肝ミクロソームを使った代謝産物研究を、0〜30分の時間枠にわたって37℃で行った。0、5、15および30分時点で一部を採取した。この研究は、18F−クリック葉酸の放射性代謝産物または分解を、30分にわたって示さなかった。
【0115】
18F−クリック葉酸を、KB異種移植片腫瘍を保有する8匹のヌードマウスを用いるエクスビボ生体内分布研究に応用した。約2MBqの放射性トレーサーを各動物に注射した。遮断群(4匹)では、200μgの天然葉酸を放射性トレーサーの10分前に注射した。注射の45分後に動物を屠殺した。葉酸受容体陽性KB腫瘍は、94%という特異的遮断率で、放射性トレーサーの高い特異的取り込みを示す。さらにまた、葉酸受容体を発現させることが知られている腎臓にも、78%の特異的遮断で特異的取り込みが見出された。高い非特異的取込みが胆嚢、腸および糞便に見出されたことにより、放射性トレーサーの強い肝胆汁排泄が示される。
【0116】
図3は葉酸受容体陽性組織における18F−クリック葉酸の高い特異的取込みを示す。
【0117】
18F−クリック葉酸を使ったインビボPETイメージングをKB異種移植片腫瘍を保有するヌードマウスで行った。約11MBqの放射性トレーサーを各動物に注射した。遮断群では200μgの天然葉酸を放射性トレーサーの10分前に注射した。PETスキャンを注射後15分から45分まで取得した。
【0118】
18F−クリック葉酸を使って、KB腫瘍をPETでイメージングすることができた。腫瘍対バックグラウンド比が低いため、KB腫瘍はほどほどにしか可視化されなかった。腹部領域(胆嚢、腸)における高い放射能蓄積が、放射性トレーサーの強い肝胆汁排泄を示す。
【0119】
18F]FDGを使ったPETイメージングを18F−クリック葉酸研究の4日後に同じ動物で行った。約9MBqの[18F]FDGを各動物に注射した。PETスキャンを注射後30分から60分まで取得した。[18F]FDGスキャンは葉酸受容体陽性KB腫瘍をイメージングすることができなかった。[18F]FDGはPET腫瘍イメージングでは最もよく使用される放射性トレーサーであるが、[18F]FDGはKB異種移植片腫瘍のイメージングには適さないことが知られている(Bettioら, J. Nucl. Med. 1998;47:1153-60)。
【0120】
図4に、18F−クリック葉酸を使ったPET画像(左側)を、[18F]FDGを使ったPET画像(右側)と対比して示す。矢印はKB異種移植片腫瘍の位置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

[式中、
Pは葉酸またはその誘導体であり、
、Sは、互いに独立して、単結合またはスペーサーであり、かつ
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]。
【請求項2】
およびSが、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つの−CN、−Hal、もしくは−NOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式IIで表わされる、請求項1に記載の化合物:
【化2】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(式中、R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、および(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)、または式IIIで表わされる基:
【化3】

[式中、SおよびSは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、かつ
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]
であり(ただし、RおよびRの一方は式IIIの基であるものとする)、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を有する]。
【請求項4】
が直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、かつRが式IIIで表わされる基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、かつRが式IIIで表わされる基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
が単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C18アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−NR’−、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)であり、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、より好ましくは、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)である、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式IVで表わされる化合物:
【化4】

[式中、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であるか、または式Vで表わされる基:
【化5】

[式中、S、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、
Arはトリアゾールまたはテトラゾールである]
であり、かつ
〜X、R〜R、m、pおよびqは、請求項3で定義した通りである。
ただし、Rが式IIIの基であるか、またはRおよびRの少なくとも一方が式Vの基であるものとする]。
【請求項9】
およびSが、互いに独立して、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す)であり、より好ましくは、直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Arが式V−c、V−dおよびV−e:
【化6】

[式中、点線はスペーサー基への連結部位を表し、R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’(R’はHまたはC1−C6アルキルを表す)、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す)である]
から選択される、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
がCN、Hal、NO、または基Rであり、かつRおよびRの少なくとも一方が式Vで表わされる基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
がCN、Hal、NO、または基Rであり、RがHであるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、HalもしくはNOで置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であり、かつRが式Vで表わされる基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
がCN、Hal、NO、または基Rであり、RがHであるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、HalもしくはNOで置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であり、かつRが式Vで表わされる基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
およびRが、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、HalもしくはNOで置換され、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよい)であり、かつRが式Vで表わされる基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項15】
式VI、VIaまたはVIb:
【化7】

【化8】

【化9】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、CN、Hal、NO、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、または(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、
Arはトリアゾールまたはテトラゾールであり、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を有する]
で表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
およびSが、互いに独立して、単結合であるか、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHまたはC−Cアルキルを表す)である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Arが式V−c、V−dおよびV−e:
【化10】

[式中、点線はスペーサー基への連結部位を表し、R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’(R’はHまたはC1−C6アルキルを表す)、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す)である]
から選択される、請求項15または16に記載の化合物。
【請求項18】
式VIIa〜VIIfまたはVIIIa〜VIIIfで表わされる、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物:
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

[式中、
〜Xは、互いに独立して、CまたはNであり、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
およびRは、互いに独立して、H、Hal、−OR’、−NHR’、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、(C1−C12アルコキシ)カルボニル、および(C1−C12アルキルアミノ)カルボニル(R’はHまたはC1−C6アルキルである)であり、
、Rは、互いに独立して、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、ハロ置換C1−C12アルカノイルであり、
はH、CN、Hal、NO、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、または(C−C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−N=、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−SOR’−、−PR’−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表し、
R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)であり、R’はHまたはC−Cアルキルを表し、
mは0または1であり、
pは0、1または2であり、かつ
qは1〜7の値を持つ]。
【請求項19】
およびRが、互いに独立して、H、アルキル、−OR’、−NHR’(R’はHまたはC−Cアルキルを表す)である、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
がH、ホルミル、C1−C12アルキルまたはC1−C12アルカノイルである、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
がH、ニトロソ、C1−C12アルコキシ、またはC1−C12アルカノイルである、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
がH、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルカノイル、(C−C12アルコキシ)カルボニル、または(C−C12アルキルアミノ)カルボニルである、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
がH、CN、Hal、NO、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルカノイル、または(C−C12アルコキシ)カルボニルである、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
式IX、IXa、XまたはXa:
【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

[式中、
、Xは、互いに独立して、C、NまたはOであり、
、Yは、互いに独立して、H、ホルミル、直鎖または分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)から選択され、埋込まれた非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
は、H、ホルミル、ニトロソ、直鎖または分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)から選択され、埋込まれた非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
、Rは、互いに独立して、Hであるか、または直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNO2で置換される)であり、埋込まれた非隣接CH2基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてもよく、
R”はH、Hal、NH−COR’、NH−SOR’、COR’、COR’(R’はHまたはC1−C6アルキルを表す)、または直鎖もしくは分岐C−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、OH、NH、SOH、SH、COH、もしくはNOで置換される)であるか、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHもしくはC−Cアルキル、またはその組合せを表す)であり、かつ
、Sは、互いに独立して、単結合であるか、またはスペーサーユニット、例えば直鎖もしくは分岐C1−C12アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)であり、非隣接CH基の一つ以上は、独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR’−、−NR’−CO−、−CO−NR’−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−NR’−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換される)で置き換えられてもよく、R’はHもしくはC1−C6アルキル、またはその組合せを表す]
で表わされる、上記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
およびSが、互いに独立して、直鎖もしくは分岐C1−C8アルキル(これは無置換であるか、または少なくとも一つのCN、Hal、もしくはNOで置換される)、または5員もしくは6員芳香環(これは無置換であるか、またはCN、Hal、NO、COR’、もしくはCOOR’で置換され、R’はHまたはC1−C6アルキルを表す)である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
(a)アジド誘導化葉酸を18F標識アルキンまたはアルキン代替物と1,3−付加環化反応で反応させるステップ、および(b)化合物を単離するステップを含む、請求項1に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項27】
18F標識アルキンまたはアルキン代替物が、18F標識アルキンまたはアルキン代替物を得るために脱離基を備えたアルキンまたはアルキン代替物を[18F]フルオリドと反応させることによる置換反応で製造される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)アルキンまたはアルキン代替物で誘導体化された葉酸を18F標識アジドと1,3−付加環化反応で反応させるステップ、および(b)化合物を単離するステップを含む、請求項1に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項29】
18F標識アジドが、18F標識アジドを得るために脱離基を備えたアジドを[18F]フルオリドと反応させることによる置換反応で製造される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
付加環化反応が熱条件下または触媒の存在下で行われる、請求項26〜29に記載の方法。
【請求項31】
(a)適切な脱離基を備えた(C2−C12)アルカ−1−インまたはその代替物を[18F]フルオリドと反応させるステップ、および(b)得られた生成物をアジド葉酸または誘導体とCu(I)触媒1,3−双極子付加環化反応でカップリングするステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
(a)適切な脱離基を備えた(C1−C12)アジドを[18F]フルオリドと反応させるステップ、および(b)得られた生成物を、アルキニルまたはその代替物で誘導体化された葉酸と、Cu(I)触媒1,3−双極子付加環化反応でカップリングするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
インビトロまたはインビボで葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団を画像診断するための請求項1〜25に記載の化合物の使用。
【請求項34】
画像診断を必要とする対象への便利で効果的な投与のための請求項1〜25に記載の化合物の使用。
【請求項35】
葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団を画像診断するための方法であって、少なくとも一つの請求項1〜25に記載の化合物を画像診断量で投与するステップ、および前記細胞または細胞集団の診断画像を得るステップを含む方法。
【請求項36】
画像診断がインビトロまたはインビボで葉酸受容体を発現させる細胞または細胞集団に対して行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
組織試料中の葉酸受容体を発現させる細胞をインビトロ検出するための方法であって、前記組織試料を、請求項1〜25に記載の化合物と、結合を起こさせてそのような結合をPETイメージングによって検出することができるように、有効な量ならびに十分な時間および条件で接触させることを含む方法。
【請求項38】
対象を画像診断またはモニタリングする方法であって、(i)少なくとも一つの請求項1〜25に記載の化合物を画像診断量で投与するステップ、および(ii)前記少なくとも一つの化合物からのシグナルを検出することにより、PETを使って画像診断を行うステップを含む方法。
【請求項39】
対象におけるがん、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療をモニタリングする方法であって、(i)その必要がある対象に少なくとも一つの請求項1〜25に記載の化合物を画像診断量で治療活性剤と組み合わせて投与するステップ、および(ii)がん、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療の経過を追跡するために前記少なくとも一つの化合物からのシグナルを検出することによりPETを使って画像診断を行うステップを含む方法。
【請求項40】
がん、炎症性疾患および自己免疫疾患の他の任意の診断方法または治療方法と組み合わせて使用される請求項38または39の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523625(P2010−523625A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502519(P2010−502519)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054406
【国際公開番号】WO2008/125615
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(592010450)メルック・エプロバ・アクチエンゲゼルシヤフト (10)
【Fターム(参考)】