説明

2−アリールアミノキノリン化合物及びこれを有効成分として含有するエリスロポエチン産生促進剤

【課題】低分子性のEPO産生促進作用を有する化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物:


[式中、R1は水素原子、アルキル基など、R3〜R6は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基など、R2は水素原子、置換されていてもよい酸素原子または窒素原子など、R7〜R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基など、R10は、水素原子又はC1-6アルキル基など、Xは炭素原子または窒素原子を示す]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエリスロポエチン産生促進剤に関する。さらに詳細にはエリスロポエチン産生低下に起因する疾患、例えば貧血の予防及び/又は治療剤に関する。また本発明は、エリスロポエチン産生促進作用を有する新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)は、赤芽球前駆細胞から成熟赤血球への成熟と分化に関与する糖タンパク質ホルモンであり、天然に存在する165アミノ酸からなる単量体ポリペプチドである(非特許文献1)。
【0003】
ヒトのEPOは、赤血球の増殖・分化において必須であり、赤血球産生の低下を特徴とする血液疾患の治療に有用である。臨床的には、EPOは、慢性腎不全(chronic renal failure:CRF)患者における貧血、自己貯血及び未熟児貧血の治療(非特許文献2〜4)、AIDS及び化学療法を受けている癌患者において使用されている(非特許文献5)。また、EPOは慢性貧血における有効性も認められている。
【0004】
EPOは、成人では主に腎臓で産生されるが、それ以外では、中枢神経系のアストロサイト及びニューロンにおいても産生され、EPO及びEPO受容体は脳−末梢境界の毛細血管において発現している。さらに、EPOを全身投与すると、EPOは血液脳関門を通過して、脳及び脊髄虚血、機械的外傷、てんかん、興奮毒及び神経炎症に応答したニューロン細胞の喪失を減少させることが報告されている(非特許文献6〜10)。
【0005】
EPOのようなタンパク質を用いた療法においては、プロテアーゼによる分解を受けやすいことによる血漿半減期の短さ(非特許文献11、12)や、循環における化合物の治療有効濃度を維持するために、静脈内注射を頻回行わねばならないなどの問題がある。また、静脈内注射に代わる投与経路として皮下注射があるが、投与部位からの吸収が遅いため、徐放効果は有るものの、血漿中濃度が静脈内注射に比べて有意に低くなる。そこで、同等の治療効果を挙げるためには静脈内注射の場合と同様の回数を注射しなければならず、患者への負担となる。また、ヒト血清EPOは糖タンパク質であって、EPO表面に結合した糖鎖の構造は複雑であり、そのグリコシル化は広範かつ多様であることから、サイズの不均一性を示し、組換えヒトEPOではヒト血清EPOを再現よく作製することができない、などの問題もある。
【0006】
従って、上記に示したような貧血を含むEPO産生低下に起因する疾患の治療において生体利用性の低いEPOでなく、内因性EPOを増加させる方法及び化合物が当技術分野において必要とされている。
【0007】
一方、EPOの産生量は、転写因子である低酸素誘導性因子(hypoxia inducible factor:HIF)を介して酸素濃度により制御されていることが知られている(非特許文献13)。すなわち、通常大気下では、2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素によりプロリン残基がヒドロキシル化されたHIFサブユニット(HIF−1α)がユビキチン−プロテアソーム系により分解され、EPOの産生は促進されないが、低酸素下では、2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素によるHIF−1αのプロリン残基のヒドロキシル化が抑制され、その結果、安定化されたHIF−1αは細胞質から核内に移行し、HIF−1βと二量体を形成してEPO遺伝子のhypoxia responsible element(HRE)配列に結合して転写を促進し、EPOの産生を促進する。
【0008】
このようなEPO産生機構を利用した2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素などのHIFプロリルヒドロキシラーゼに対する酵素阻害剤が、EPO産生促進剤として報告されている(特許文献1〜4)。
【0009】
しかしながら、HIFにより発現が制御されている遺伝子には、EPOをコードする遺伝子だけではなく、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をコードする遺伝子なども挙げられる。VEGFは血管新生促進作用を有しており、この機能を介して悪性腫瘍を悪化させる原因となり得ることも報告されている(非特許文献14、15)。また、貧血は癌による化学治療によっても引き起こされ、貧血治療薬はそのような化学療法を受けている癌患者に投与されることも考えられることから(非特許文献6)、癌を悪化させるVEGFなどの産生も促進する可能性のあるHIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害作用を有する化合物には、そのような危険性も内包される。
【0010】
EPOの産生は、EPOの5’側に位置するプロモーター及び3’側に位置するエンハンサーにより制御されており、HIFはエンハンサー中のHRE配列に結合し、EPOの産生を促進すると考えられている。加えて、GATA−2、NFκBなどもEPO産生を制御するとされており(非特許文献16、17)、HIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害以外の作用機構でもEPO産生促進は達成できると考えられる。このようなことからHIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害に依存しないEPO産生促進作用を有する化合物は、貧血治療において有用であると考えられる。
【0011】
また、前述のように、EPOは赤芽球前駆細胞の増殖及び成熟を促進するが、EPOの産生を介さずに赤芽球前駆細胞の成熟・分化を促進する作用を有する化合物も貧血治療薬として有用である。EPOの有する血球増殖促進作用を増強する活性を有する化合物やEPOのシグナル伝達の重要な制御機構のひとつである脱リン酸化を触媒する造血細胞ホスファターゼに対して阻害作用を有する化合物が報告されているが(特許文献5〜7)、その活性は必ずしも十分とは言えない。また、EPO受容体に作用する合成ペプチド、ヘマタイドが報告されているが(非特許文献18)、EPOと同等の活性発現には高用量の投与が必要であり、経口投与に適さないという問題点がある。
【0012】
従って、EPO産生促進作用を持つ経口投与可能な低分子性の貧血治療剤が、今後の貧血治療において有用であると考えられる。
【0013】
一方、ヒトYAK3キナーゼ阻害活性を持ち、貧血治療に有効な2−アニリノキノリン骨格を有する化合物が報告されている(特許文献8)。
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、R6は−NH−C1-6アルキル、−NH−アリール等から選択され、R7は−CO2H、−CONH2、−CHNOH、−CO2R’、−CH2OH、−CHO、−CONHR”、−CONHCOR”、及び−CONHSO2R”からなる群より選択され、R8は−H、−OH、−C1-6アルキル、−O−C1-6アルキル、−NH−C1-6アルキル、ハロゲン等からなる群より選択され、R9は−H、−C1-6アルキル、−O−C1-6アルキル、−NH−C1-6アルキル、ハロゲン等からなる群より選択され、R10は−H及びハロゲンの群より選択される。]
【0016】
同様にヒトYAK3キナーゼ阻害活性を有し、貧血治療に有効な2−アニリノキノリン骨格を有する化合物が報告されている(特許文献9,10)。しかしながら、これらの文献に記載された化合物群は、キノリン環上3位(上記一般式においてはR7)がカルボン酸又はカルボン酸等価体であることを特徴とし、この点で本発明化合物とは異なる。また、これらの文献の化合物群には、赤芽球分化亢進作用を示唆する記載があるものの、本発明化合物のようなエリスロポエチンの産生を促進する作用に関しての記載や示唆はない。
【0017】
また、EPO産生促進作用を有する2−フェニルキノリン骨格を有する低分子化合物が報告されている(特許文献11)。
【0018】
【化2】

【0019】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基等を示し、R11は、水素原子、C1-6アルキル基等を示す。]
【0020】
しかしながら、この文献に記載された化合物は、2位にフェニル基が直接結合したキノリン−4−カルボン酸構造を特徴としており、本発明の化合物と異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−137763号公報
【特許文献2】WO2003/53997号パンフレット
【特許文献3】WO2005/11696号パンフレット
【特許文献4】WO2007/38571号パンフレット
【特許文献5】特表2000−536365号公報
【特許文献6】特開平11−171774号公報
【特許文献7】特開2002−275159号公報
【特許文献8】特表平2004−526756号公報
【特許文献9】特表平2006−503094号公報
【特許文献10】特表平2008−540442号公報
【特許文献11】WO2009/016812号パンフレット
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Lin F-K, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 7580-7584 (1985)
【非特許文献2】Eschbach JW, et al., N. Engl. J. Med, 316: 73-78(1987)
【非特許文献3】Eschbach JW, et al., Ann. Intern. Med., 111: 992 (1989)
【非特許文献4】Lim VS, et al., Ann. Intern. Med., 110: 108-114 (1989)
【非特許文献5】Danna RP, et al., Erythropoietin in Clinical Applications-An International Perspective, New York: Marcel Dekker; p301-324 (1990)
【非特許文献6】Sakanaka M, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 4635-4640 (1998)
【非特許文献7】Celik M, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 99, 2258-2263 (2002)
【非特許文献8】Brines ML, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 97, 10526-10531 (2000)
【非特許文献9】Calapai G, et al., Eur. J. Pharmacol., 401, 349-356 (2000)
【非特許文献10】Siren A-L, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 98, 4044-4049 (2001)
【非特許文献11】Spivack JL and Hogans BB, Blood, 73: 90 (1989)
【非特許文献12】McMahon FG, et al., Blood, 76: 1718 (1990)
【非特許文献13】Jelkman W, Internal Medicine 43, 649-659 (2004)
【非特許文献14】Maxwell PH, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 94, 15, 8104-8109 (1997)
【非特許文献15】Fang J, et al., Cancer Res., 61, 15, 5731-5735 (2001)
【非特許文献16】Imagawa S, et al., Blood 89, 1430-1439 (1997)
【非特許文献17】La Ferla K, et al., FASEB J, 16, 1811-1813 (2002)
【非特許文献18】Stead RB, et al., Blood 108, 1830-1834 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、低分子性のEPO産生促進作用を有する化合物を提供することにある。さらに詳細には、貧血の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記実情に鑑み、本発明者らは、EPO産生促進作用を持つ化合物を鋭意探索した結果、下記一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物が、ヒト肝臓癌由来のHepG2細胞を用いた試験においてEPO産生を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0025】
すなわち本発明は、次の一般式(1):
【0026】
【化3】

【0027】
[式中、
1は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、
2、R3、R4、R5、及びR6は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基又は水酸基を示し、
7、R8、及びR9は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、C2-7アルコキシカルボニル基、C2-7アルカノイルアミノ基、ニトロ基又はモルホリノ基を示すか、又は
7、R8が一緒になって、C3-4アルキレン基、C1-3アルキレンジオキシ基又はベンゼン環を形成してもよく、
10は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、
Xは、メチン基又は窒素原子を示す]
で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤に関する。
【0028】
より詳細には、前記一般式(1)で表される化合物が、次の化合物群:
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−エチル−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−エチル−3−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ナフタレン−1−イル)アミノキノリン、
【0029】
3,7−ジメチル−2−(ピリジン−4−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−モルホリノフェニル)アミノキノリン)、
2−(3,4−ジメトキシフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3,4,5−トリクロロフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(3,5−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−アミノ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン、
【0030】
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−ヒドロキシキノリン、
2−(4−ブロモフェニル)アミノキノリン、
4−メチル−2−(4−メチルフェニル)アミノキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
4,6−ジメチル−2−フェニルアミノキノリン、
4−メチル−2−(3−ニトロフェニル)アミノキノリン、
2−(2,5−ジメトキシフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−フェニルアミノキノリン、
【0031】
4,8−ジメチル−2−フェニルアミノキノリン、
4−メチル−2−(ナフタレン−2−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3−メトキシフェニル)アミノキノリン、
2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−4,6−ジメチルキノリン、
4−メチル−2−(4−ニトロフェニル)アミノキノリン、
4,8−ジメチル−2−(2−エトキシフェニル)アミノキノリン、
2−[4−(アセチルアミノ)フェニル]アミノ−4−メチルキノリン、
2−(2−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)アミノキノリン、
2−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−4−メチルキノリン、
【0032】
2−(3−メトキシフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(2,3−ジメチルフェニル)アミノキノリン、
2−(3−クロロ−4−メチルフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(3−クロロ−2−メチルフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
7−メトキシ−2−(3−メトキシカルボニルフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
2−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ−7−メトキシ−4−メチルキノリン、
2−(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)アミノ−7−メトキシ−4−メチルキノリン、
2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)アミノキノリン、
2−(インダン−5−イル)アミノキノリン、
2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノキノリン、及び
2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン
からなる群から選択される前記EPO産生促進剤を提供するものである。
【0033】
また、本発明は、前記一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる2−アリールアミノキノリン、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
【0034】
また、本発明は、EPO産生促進用の製剤を製造するための、前記一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)に関する。より詳細には、本発明は、EPO産生促進用の製剤を製造するための、前記した化合物群から選ばれる2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)を提供するものである。
【0035】
さらに、本発明は、前記一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、EPOの産生促進が必要とされる患者に投与することを特徴とする、EPO産生の促進方法(method)に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、EPOの産生促進が必要とされる患者に投与することを特徴とする、EPO産生の促進方法(method)を提供するものである。
【0036】
また、本発明は、前記一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を細胞に接触させて、該細胞におけるEPOの産生を促進させる方法に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を細胞に接触させて、該細胞におけるEPOの産生を促進させる方法を提供するものである。ここで、「接触」とは、本明細書中で使用するとき、インビトロ又はインビボにおいて、本発明の2−アリールアミノキノリン化合物等が、細胞による前記化合物等の取り込み作用又は細胞表面での相互作用などにより、増殖、分化、生理活性物質の分泌などの細胞の機能を調節するように前記化合物等を細胞に添加することを意味する。
【0037】
別の観点からは、本発明は、次の化合物群:
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−エチル−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ナフタレン−1−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ピリジン−4−イル)アミノキノリン、
【0038】
3,7−ジメチル−2−(4−モルホリノフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジメトキシフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3,4,5−トリクロロフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(3,5−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−アミノ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン、及び
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−ヒドロキシキノリン
からなる群から選択される、2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を提供するものである。
【0039】
さらに、本発明は、前記した化合物群から選ばれる2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の1種又は2種以上の化合物、及び医薬として許容される担体とを含有してなるEPOの産生を促進させるための医薬組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、優れたEPO産生促進作用を有している、2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を見出したものであり、EPO産生を促進することにより症状が改善される疾患(例えば、慢性腎不全患者における貧血、自己貯血及び未熟児貧血、AIDS及び化学療法を受けている癌患者の貧血、慢性貧血、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などの貧血)の予防及び/又は治療のための医薬組成物として有用である。また、本発明は、EPO産生促進作用を有する経口投与可能な低分子性の化合物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0042】
本発明における用語の定義は以下のとおりである。
【0043】
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、ハロゲノ基を意味し、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等である。
【0044】
本明細書中で使用するとき、「アルキル基」は、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1-6アルキル基」には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、4−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の炭素数1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基が挙げられる。
【0045】
本明細書中で使用するとき、「アルコキシ基」は、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1―6アルコキシ基」には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、4−メチルブチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。
【0046】
本明細書中で使用するとき、「ハロC1―6アルキル基」は、例えば、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。
【0047】
本明細書中で使用するとき、「ハロC1―6アルコキシ基」は、例えば、トリフルオロメチルオキシ基、2−フルオロエチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、2−ブロモエチルオキシ基、3−フルオロプロピルオキシ基、3−クロロプロピルオキシ基、4−フルオロブチルオキシ基、4−クロロブチルオキシ基、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ基、ペンタフルオロエチルオキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
本明細書中で使用するとき、「アルキルアミノ基」とは、前述した「アルキル基」の1つがアミノ基の窒素原子に結合した基を意味する。従って、「C1―6アルキルアミノ基」には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、4−メチルブチルアミノ基、1−エチルプロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基、2−メチルペンチルアミノ基、1−メチルペンチルアミノ基、3,3−ジメチルブチルアミノ基、2,2−ジメチルブチルアミノ基、1,1−ジメチルブチルアミノ基、1,2−ジメチルブチルアミノ基、1,3−ジメチルブチルアミノ基、2,3−ジメチルブチルアミノ基、1−エチルブチルアミノ基、2−エチルブチルアミノ基等が挙げられる。
【0049】
本明細書中で使用するとき、「ジアルキルアミノ基」とは、同一であるか又は異なっていてもよい、前述した「アルキル基」の2つが窒素原子に結合した基を意味する。従って、「ジC1―6アルキルアミノ基」としては、具体的には、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチル−n−プロピルアミノ基、エチル−n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチル−n−ブチルアミノ基、エチル−n−ブチルアミノ基、n−プロピル−n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等である。
【0050】
本明細書中で使用するとき、「アルコキシカルボニル基」とは、前記「アルコキシ基」がカルボニル基に結合した基を意味する。従って、「C2―7アルコキシカルボニル基」には、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、4−メチルブチルオキシカルボニル基、1−エチルプロピルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、3−メチルペンチルオキシカルボニル基、2−メチルペンチルオキシカルボニル基、1−メチルペンチルオキシカルボニル基、3,3−ジメチルブチルオキシカルボニル基、2,2−ジメチルブチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチルブチルオキシカルボニル基、1,2−ジメチルブチルオキシカルボニル基、1,3−ジメチルブチルオキシカルボニル基、2,3−ジメチルブチルオキシカルボニル基、1−エチルブチルオキシカルボニル基、2−エチルブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0051】
本明細書中で使用するとき、「アルカノイルアミノ基」とは、前述した「アルキル基」の1位にオキソ基が結合した「アルカノイル基」によって置換されたアミノ基を意味する。従って、「C2―7アルカノイルアミノ基」とは、例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、イソバレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基等が挙げられる。
【0052】
本明細書中で使用するとき、「C3-4アルキレン基」とは、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−ジメチルエチレン基等が挙げられる。
【0053】
本明細書中で使用するとき、「C1-3アルキレンジオキシ基」とは、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基等が挙げられる。
【0054】
その他、ここに定義のない基については、通常の定義に従う。
【0055】
一般式(1)中、R1における「C1-6アルキル基」としては、「C1-4アルキル基」が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0056】
一般式(1)中、R2、R3、R4、R5、及びR6における「ハロゲン原子」としては、塩素原子がより好ましい。
【0057】
一般式(1)中、R2、R3、R4、R5、及びR6における「C1-6アルキル基」としては、「C1-4アルキル基」が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
【0058】
一般式(1)中、R2、R3、R4、R5、及びR6における「C1-6アルコキシ基」としては、「C1-4アルコキシ基」が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0059】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0060】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「C1-6アルキル基」としては、C1-4アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0061】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「ハロC1-6アルキル基」としては、ハロC1-4アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
【0062】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「C1-6アルコキシ基」としては、「C1-4アルコキシ基」が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
【0063】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「ハロC1-6アルコキシ基」としては、「ハロC1-4アルコキシ基」が好ましく、トリフルオロメトキシ基がより好ましい。
【0064】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「C1-6アルキルアミノ基」としては、「C1-4アルキルアミノ基」が好ましく、メチルアミノ基がより好ましい。
【0065】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「ジC1-6アルキルアミノ基」としては、「ジC1-4アルキルアミノ基」が好ましく、ジメチルアミノ基がより好ましい。
【0066】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「C2-7アルコキシカルボニル基」としては、「C2-5アルコキシカルボニル基」が好ましく、メトキシカルボニル基がより好ましい。なお、ここでの炭素数は、カルボニル基の炭素を含んだ炭素数を意味する。
【0067】
一般式(1)中、R7、R8、及びR9における「C2-7アルカノイルアミノ基」としては、「C2-5アルカノイルアミノ基」が好ましく、アセトアミド基がより好ましい。なお、ここでの炭素数は、カルボニル基の炭素を含んだ炭素数を意味する。
【0068】
一般式(1)中、R7、及びR8における「C3-4アルキレン基」としては、トリメチレン基が好ましい。
【0069】
一般式(1)中、R7、及びR8における「C1-3アルキレンジオキシ基」としては、メチレンジオキシ基が好ましい。
【0070】
一般式(1)中、R10における「C1-6アルキル基」としては、「C1-4アルキル基」が好ましく、エチル基がより好ましい。
【0071】
本発明の一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物の具体例として、下記化合物を挙げることができる。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
本発明の一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明の2−アリールアミノキノリン化合物のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質、及びこれらの物質のプロドラッグとなる物質を包含している。
【0078】
本発明の一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物の医薬として許容される塩としては、具体的には、化合物を塩基性化合物として扱う場合は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との酸付加塩等が挙げられ、化合物を酸性化合物として扱う場合には、無機塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)や有機塩(例えば、ピリジニウム塩、ピコリニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
【0079】
本発明の一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物やその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
【0080】
本発明の一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、以下に示す方法、あるいはこれに準じた方法により製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0081】
[1]2−アリールアミノキノリン化合物(1)の製造
【0082】
【化4】

【0083】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びXは、前記と同じものを示し、W1はハロゲン原子あるいはボロノ基等のホウ素含有官能基など、脱離基として機能する原子あるいは官能基を示す]
【0084】
[反応工程1]本発明の2−アリールアミノキノリン化合物は、キノリン誘導体(I)とアリールアミン類(II)を溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、金属触媒存在下にて行われるアリールハライドとアミン類の反応手法を適用することにより製造することができる。その際、マイクロウェーブ照射を行ってもよい。溶媒としては特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。塩基は特に制限はないが、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を使用することができる。金属触媒としては、例えば、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を単独で用いてもよいが、これらの触媒に必要に応じて、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の配位子を組み合わせてもよい。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に0〜180℃、好ましくは80〜160℃にて5分〜72時間、好ましくは10分〜24時間反応させることによって目的物が得られる。また、マイクロウェーブを照射する場合においては0〜180℃、好ましくはマイクロウェーブ照射下室温より反応を開始し、80〜150℃まで昇温し、昇温時間を含めて1分〜20時間反応させることによって目的物が得られる。
【0085】
また、本反応は、遷移金属触媒が存在しない条件下でも行うことができる。この場合は、キノリン誘導体(I)とアリールアミン類(II)に酸又は塩基を共存させ、溶媒中あるいは非溶媒下で反応すればよい。使用する酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。また、塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類が挙げられる。使用する溶媒には特に制限はないが、本反応は高温条件が必要であるため、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジフェニルエーテル等の高沸点溶媒を用いればよい。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に150〜250℃、好ましくは180〜220℃にて5分〜72時間、好ましくは10分〜24時間反応させることによって目的物が得られる。
【0086】
[2]R2が水素原子である中間体(Ia)の製造
【0087】
【化5】

【0088】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6、及びW1は前記と同じものを示し、X1は脱離基として機能する原子あるいは官能基、たとえば塩素、臭素などのハロゲン原子を示す]
【0089】
[反応工程2]アニリド誘導体(III)を、ジメチルスルホキシド溶媒中で、オキシ塩化リンやオキシ臭化リンと反応するVilsmeier−Haack反応を用いると中間体のアルデヒド体が生成し、これを経由して閉環反応が一挙に進行してR2が水素原子であるキノリン(Ia)を製造することができる。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に20〜150℃、好ましくは50〜120℃にて5分〜24時間、好ましくは10分〜12時間反応させることによって目的物が得られる。
【0090】
[3]R2がアルキル基である中間体(Ib)の製造
【0091】
【化6】

【0092】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6、及びW1は前記と同じものを示す]
【0093】
[反応工程3]β−ケト酸アニリド誘導体(IV)を、溶媒中又は非溶媒で酸触媒下反応させるKnorrキノリン合成反応を適用すると、2−ヒドロキシキノリン誘導体(V)が得られる。本工程は、Journal of Organic Chemistry, 34, 1709 (1969)等に記載の公知の方法等を参考にすることができる。ここで用いる酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸のような鉱酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。また、硫酸等を溶媒兼酸触媒として用いることができる。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に20℃〜150℃、好ましくは70℃〜100℃で、1分〜24時間、好ましくは5分〜6時間反応すればよい。
【0094】
[反応工程4]2−ヒドロキシキノリン誘導体(V)を酸触媒存在下、溶媒中で反応することにより、R2がアルキル基である中間体(Ib)が製造できる。ここで用いる酸触媒としては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン等、三臭化リン等が挙げられる。また、溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられるが、オキシ塩化リン等を溶媒兼酸触媒として用いてもよい。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に20℃〜150℃、好ましくは70℃〜100℃で、1分〜48時間、好ましくは5分〜12時間反応すればよい。
【0095】
[4]R2が水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基である中間体(Ic)の製造
【0096】
【化7】

【0097】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6、X1は前記と同じものを示し、R2は水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基を示し、R11はC1-6アルキル基、たとえばメチル基を示す]
【0098】
[反応工程5]安息香酸誘導体(VI)を塩基の存在下、溶媒中で反応すると、化合物(VII)が得られる。ここで用いる塩基としては、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を使用することができる。また、溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等を単独又は組み合わせて使用することができる。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に−78℃〜100℃、好ましくは−40℃〜50℃で、1分〜24時間、好ましく30分〜12時間反応すればよい。
【0099】
[反応工程6]化合物(VII)のキノリン上の4位水酸基は公知の方法を参考に種々の官能基に変換し、化合物(VIII)を得ることができる。例えば、アルコキシ基への変換は公知のアルキル化反応を用いればよい。水酸基の場合は、ここで水酸基を適当な保護基で保護し、続くカップリング工程を経た後、脱保護を行えばよい。また、ハロゲン原子への変換はオキシ塩化リン等のハロゲン化剤を用いればよい。さらに生成したハロゲン原子から、アミノ基等のその他の官能基への変換が可能である。
【0100】
[反応工程7]化合物(VIII)を酸触媒存在下、溶媒中で反応することにより、R2が水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基である中間体(Ic)が得られる。本工程の反応条件は、前記反応工程4と同じである。
【0101】
前記した各反応工程において、副反応を回避する目的で、適宜官能基の保護脱保護を組み合わせて反応を行ってもよい。保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。
【0102】
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
【0103】
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。たとえばラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0104】
本発明のEPO産生促進剤、又は貧血治療・予防剤は、一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
【0105】
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
【0106】
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該技術分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0107】
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0108】
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
【0109】
坐薬を調製する場合は、一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物に公知の坐薬用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
【0110】
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
【0111】
本発明の一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり1mgから1000mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
【実施例】
【0112】
次に、実施例、試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0113】
実施例1:2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−メチルキノリン(化合物1)の製造
【0114】
【化8】

【0115】
[工程1]アルゴン雰囲気下、オキシ塩化リン1.3mL(14mmol)の無水DMF219mg(3mmol)溶液に、0℃でプロピオニルアミノベンゼン298mg(2mmol)を滴下し、75℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応液に氷水を加え、4N水酸化ナトリウムで中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:40)で精製し、2−クロロ−3−メチルキノリン153mg(43%)を白色固体として得た。
【0116】
[工程2]アルゴン雰囲気下、2−クロロ−3−メチルキノリン134mg(0.75mmol)、4−クロロアニリン102mg(0.80mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム43mg(0.075mmol)、トリtert−ブチルホスフィン0.075mL(0.30mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド144mg(1.5mmol)を、キシレン3mL溶媒中、120℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、表題化合物161mg(80%)を淡黄色油状物として得た。
【0117】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 6.48 (1 H, br. s), 7.29 (1 H, ddd, J = 7.8, 7.1, 1.0 Hz), 7.32 (2 H, d, J = 9.0 Hz), 7.54 (1 H, ddd, J = 8.3, 7.1, 1.5 Hz), 7.59 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 7.76 (1 H, s), 7.81 (1 H, br. d, J = 8.3 Hz), 7.83 (2 H, d, J = 9.0 Hz)
【0118】
実施例2:2−(4−クロロフェニル)アミノ−2−エチル−7−メチルキノリン(化合物2)の製造
【0119】
【化9】

【0120】
[工程1]プロピオニルアミノベンゼンの代わりに1−ブチリルアミノ−3−メチルベンゼン354mg(2mmol)を用いて実施例1の工程1と同様に反応処理し、2−クロロ−3−エチル−7−メチルキノリン281mg(68%)を白色固体として得た。
【0121】
[工程2]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに2−クロロ−3−エチル−7−メチルキノリン103mg(0.50mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20)で精製し、エーテル−ヘキサンで再結晶して、表題化合物124mg(83%)を淡黄色針状晶として得た。
【0122】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.42 (3 H, t, J = 7.4 Hz), 2.50 (3 H, s), 2.75 (2 H, q, J = 7.4 Hz), 6.54 (1 H, br. s), 7.14 (1 H, dd, J = 8.1, 1.5 Hz), 7.32 (2 H, d, J = 9.0 Hz), 7.53 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.62 (1 H, br. s), 7.72 (1 H, s), 7.82 (2 H, d, J = 9.0 Hz)
【0123】
製造例1:2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−エチル−3−メチルキノリン(化合物3)の製造
【0124】
【化10】

【0125】
[工程1]プロピオニルアミノベンゼンの代わりに3−エチル−1−プロピオニルアミノベンゼン354mg(2mmol)を用いて実施例1の工程1と同様に反応処理し、2−クロロ−7−エチル−3−メチルキノリン331mg(76%)を白色固体として得た。
【0126】
[工程2]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに2−クロロ−7−エチル−3−メチルキノリン205mg(1.0mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20)で精製して、表題化合物191mg(64%)を淡黄色油状物として得た。
【0127】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.33 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 2.39 (3 H, s), 2.80 (2 H, q, J = 7.6 Hz), 6.46 (1 H, br. s), 7.16 (1 H, dd, J = 8.3, 1.6 Hz), 7.32 (2 H, d, J = 8.9 Hz), 7.52 (1 H, d, J = 8.3 Hz), 7.63 (1 H, br. s), 7.72 (1 H, s), 7.83 (2 H, d, J = 8.9 Hz)
【0128】
実施例3:2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−メチルキノリン(化合物4)の製造
【0129】
【化11】

【0130】
[工程1]7−メチルキノリン430mg(3mmol)、3−クロロ過安息香酸1.81g(10.5mmol)を、クロロホルム20mL溶媒中、室温で16時間攪拌した。反応終了後、反応液に水及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、7−メチルキノリンN−オキシド460mg(96%)を無色油状物として得た。
【0131】
[工程2]7−メチルキノリンN−オキシド460mg(2.4mmol)のクロロホルム6mL溶液に、オキシ塩化リン2mL(21.4mmol)を滴下し、70℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応液に氷水を加え、4N水酸化ナトリウムで中和した後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)で精製し、2−クロロ−7−メチルキノリン185mg(43%)を白色固体として得た。
【0132】
[工程3]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに2−クロロ−7−メチルキノリン142mg(0.80mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製し、エーテル:ヘキサンで再結晶して、表題化合物55mg(26%)を白色針状晶として得た。
【0133】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.51 (3 H, s), 7.10-7.35 (1 H, br.), 6.84 (1 H, d, J = 8.8 Hz), 7.15 (1 H, dd, J = 8.1, 1.7 Hz), 7.31 (2 H, d, J = 8.8 Hz), 7.54 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.59 (2 H, d, J = 8.8 Hz), 7.59 (1 H, br. s), 7.89 (1H, d, J = 8.8 Hz)
【0134】
実施例4:2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン(化合物5)の製造
【0135】
【化12】

【0136】
[工程1]プロピオニルアミノベンゼンの代わりに3−イソプロピル−1−プロピオニルアミノベンゼン382mg(2mmol)を用いて実施例1の工程1と同様に反応処理し、2−クロロ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン337mg(77%)を無色油状物として得た。
【0137】
[工程2]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに2−クロロ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン176mg(0.8mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:50)で精製して、表題化合物206mg(83%)を淡黄色油状物として得た。
【0138】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.34 (3 H, d, J = 6.9 Hz), 2.40 (3 H, s), 3.06 (1 H, qq, J = 6.9, 6.9 Hz), 6.46 (1 H, br. s), 7.21 (1 H, dd, J = 8.2, 1.7 Hz), 7.33 (2 H, d, J = 8.9 Hz), 7.54 (1 H, d, J = 8.2 Hz), 7.65 (1 H, br. s), 7.28 (1 H, s), 7.83 (2 H, d, J = 8.9 Hz)
【0139】
実施例5:3,7−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン(化合物6)の製造
【0140】
【化13】

【0141】
[工程1]プロピオニルアミノベンゼンの代わりに1−プロピオニルアミノ−3−メチルベンゼン5.22g(32mmol)を用いて実施例1の工程1と同様に反応処理し、2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン3.59g(61%)を白色結晶性粉末として得た。
【0142】
[工程2]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに4−フルオロアニリン67mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20)で精製し、エーテル−ヘキサンで再結晶して、表題化合物54mg(40%)を淡褐色針状晶として得た。
【0143】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.39 (3 H, s), 2.49 (3 H, s), 6.42 (1 H, br. s), 7.06 (2 H, dd, J = 8.8 Hz, 3JHF = 8.8 Hz), 7.12 (1 H, dd, J = 8.1, 1.5 Hz), 7.49 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.60 (1 H, br. s), 7.71 (1 H, s), 7.81 (2 H, dd, J = 8.8 Hz, 4JHF = 4.9 Hz)
【0144】
実施例6:3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン(化合物7)の製造
【0145】
【化14】

【0146】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに4−トリフルオロメチルアニリン97mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20)で精製し、エーテル−ヘキサンで再結晶して、表題化合物73mg(46%)を淡黄色鱗片状晶として得た。
【0147】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.43 (3 H, s), 2.52 (3 H, s), 6.64 (1 H, br. s), 7.17 (1 H, dd, J = 8.2, 1.5 Hz), 7.52 (1 H, d, J = 8.2 Hz), 7.61 (2 H, d, J = 8.6 Hz), 7.66 (1 H, br. s), 7.76 (1 H, s), 8.00 (2 H, d, J = 8.6 Hz)
【0148】
実施例7:3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)アミノキノリン(化合物8)の製造
【0149】
【化15】

【0150】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに4−トリフルオロメトキシアニリン106mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、エーテル−ヘキサンで再結晶して、表題化合物124mg(75%)を淡黄色針状晶として得た。
【0151】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 2.50 (3 H, s), 6.50 (1 H, br. s), 7.13 (1 H, dd, J = 8.1, 1.5 Hz), 7.21 (2 H, d, J = 8.8 Hz), 7.50 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.62 (1 H, br. s), 7.73 (1 H, s), 7.90 (2 H, d, J = 8.8 Hz)
【0152】
実施例8:3,7−ジメチル−2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アミノキノリン(化合物9)の製造
【0153】
【化16】

【0154】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに1,1−ジメチルフェニレンジアミン82mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理し、ヘキサンで再結晶して、表題化合物73mg(50%)を淡黄色粉末として得た。
【0155】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.36 (3 H, s), 2.47 (3 H, s), 2.93 (6 H, s), 6.28 (1 H, br. s), 6.81 (2 H, d, J = 8.9 Hz), 7.07 (1 H, br. d, J = 8.0 Hz), 7.45 (1 H, d, J = 8.0 Hz), 7.57 (1 H, br. s), 7.65 (1 H, br. s), 7.67 (2 H, d, J = 8.9 Hz)
【0156】
実施例9:3,7−ジメチル−2−(ナフタレン−1−イル)アミノキノリン(化合物10)の製造
【0157】
【化17】

【0158】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに1−ナフチルアミン86mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して、表題化合物80mg(54%)を淡黄色粉末として得た。
【0159】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.48 (3 H, s), 2.50 (3 H, s), 6.94 (1 H, br. s), 7.13 (1 H, dd, J = 8.0, 1.6 Hz), 7.48-7.56 (4 H, m), 7.57 (1 H, br. s), 7.63 (1 H, d, J = 8.0 Hz), 7.78 (1 H, br. s), 7.87-7.91 (1 H, m), 7.99-8.02 (1 H, m), 8.46 (1 H, br. d, J = 7.3 Hz)
【0160】
実施例10:3,7−ジメチル−2−(ピリジン−4−イル)アミノキノリン(化合物11)の製造
【0161】
【化18】

【0162】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに4−アミノピリジン52mg(0.55mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=15:1)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して、表題化合物74mg(57%)を淡黄色固体として得た。
【0163】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.44 (3 H, s), 2.53 (3 H, s), 6.68 (1 H, br. s), 7.21 (1 H, br. d, J = 8.0 Hz), 7.54 (1 H, d, J = 8.0 Hz), 7.71 (1 H, br. s), 7.79 (1 H, s), 7.86 (2 H, d, J = 6.1 Hz), 8.49 (2 H, d, J = 6.1 Hz)
【0164】
実施例11:3,7−ジメチル−2−[4−(モルホリン−4−イル)フェニル]アミノキノリン(化合物12)の製造
【0165】
【化19】

【0166】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに4−モルホリノアニリン107mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して、表題化合物91mg(55%)を淡褐色鱗片状晶として得た。
【0167】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.37 (3 H, s), 2.48 (3 H, s), 3.12-3.15 (4 H, m), 3.88-3.90 (4 H, m), 6.35 (1 H, br. s), 6.96 (2 H, d, J = 9.0 Hz), 7.09 (1 H, dd, J = 8.1, 1.5 Hz), 7.47 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.58 (1 H, br. s), 7.68 (1 H, s), 7.75 (2 H, d, J = 9.0 Hz)
【0168】
実施例12:2−(3,4−ジメトキシフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン(化合物13)の製造
【0169】
【化20】

【0170】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに3,4−ジメトキシアニリン92mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して、表題化合物106mg(69%)を淡黄色プリズム状晶として得た。
【0171】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.38 (3 H, s), 2.49 (3 H, s), 3.90 (3 H, s), 3.98 (3 H, s), 6.39 (1 H, br. s), 6.85 (1 H, br. d, J = 8.3 Hz), 7.08-7.14 (2 H, m), 7 48 (1 H, d, J = 8.3 Hz), 7.55 (1 H, br. s), 7.69 (1 H, s), 7.86 (1 H, s)
【0172】
実施例13:3,7−ジメチル−2−(3,4,5−トリクロロフェニル)アミノキノリン(化合物14)の製造
【0173】
【化21】

【0174】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに3,4,5−トリクロロアニリン118mg(0.6mmol)用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:6)で精製し、クロロホルム−ヘキサンから再結晶して、表題化合物41mg(23%)を淡褐色針状晶として得た。
【0175】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 2.53 (3 H, s), 6.20 (1 H, br. s), 7.18 (1 H, dd, J = 8.1, 1.6 Hz), 7.53 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.67 (1 H, br. s), 7.76 (1 H, s), 8.07 (2 H, s)
【0176】
実施例14:2−(3,4−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン(化合物15)の製造
【0177】
【化22】

【0178】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに3,4−ジクロロアニリン100mg (0.62mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して、表題化合物160mg(定量的)を白色結晶性粉末として得た。
【0179】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 2.52 (3 H, s), 6.47 (1 H, br. s), 7.16 (1 H, br. d, J = 8.1 Hz), 7.39 (1 H, d, J = 8.8 Hz), 7.51 (1 H, d, J = 8.1 Hz), 7.65 (1 H, br. s), 7.65 (1 H, dd, J = 8.8, 2.6 Hz), 7.75 (1 H, s), 8.25 (1 H, d, J = 2.6 Hz)
【0180】
実施例15:2−(3,5−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン(化合物16)の製造
【0181】
【化23】

【0182】
2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例5の工程1で製造した2−クロロ−3,7−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を、4−クロロアニリンの代わりに3,5−ジクロロアニリン100mg (0.62mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、クロロホルム−ヘキサンから再結晶して、表題化合物150mg(95%)を白色結晶性粉末として得た。
【0183】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 2.52 (3 H, s), 6.51 (1 H, br. s), 7.02 (1 H, t, J = 1.9 Hz), 7.18 (1 H, dd, J = 8.3, 1.5 Hz), 7.52 (1 H, d, J = 8.3 Hz), 7.67 (1 H, br. s), 7.76 (1 H, s), 7.89 (2 H, d, J = 1.9 Hz)
【0184】
実施例16:2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン(化合物17)の製造
【0185】
【化24】

【0186】
[工程1]プロピオニルアミノベンゼンの代わりに2−メチル−1−プロピオニルアミノベンゼン254mg(1.5mmol)を用いて実施例1の工程1と同様に反応処理し、2−クロロ−3,8−ジメチルキノリン125mg(46%)を白色固体として得た。
【0187】
[工程2]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに2−クロロ−3,8−ジメチルキノリン92mg(0.5mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、表題化合物23mg(16%)を淡黄色固体として得た。
【0188】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.42 (3 H, s), 2.71 (3 H, s), 6.55 (1 H, br. s), 7.20 (1 H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.33 (2 H, J = 8.8 Hz), 7.43 (1 H, br. d, J = 7.6 Hz), 7.46 (1 H, br. d, J = 7.6 Hz), 7.75 (1 H, s), 7.94 (2 H, d, J = 8.8 Hz)
【0189】
実施例17:4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン(化合物18)の製造
【0190】
【化25】

【0191】
[工程1]3−メチル−2−プロピオニルアミノ安息香酸メチル750mg(3.4mmol)、50%水素化ナトリウム196mg(4.1mmol)のDMF15mL溶液に、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(5.1mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液に水及び1N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、3−メチル−2−[N−プロピオニル−N−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]]アミノ安息香酸メチル1.5g(88%)を油状物として得た。
【0192】
[工程2]3−メチル−2−[N−プロピオニル−N−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]]アミノ安息香酸メチル1.16g(3.3mmol)のTHF30mL溶液に、リチウムジイソプロピルアミド・THF溶液2.5mL(4.95mmol)を滴下し、還流下3時間攪拌した。反応終了後、溶媒留去し、残渣に水及び1N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:クロロホルム=1:20)で精製し、4−ヒドロキシ−3,8−ジメチル−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]キノリン−2(1H)−オン350mg(33%)を褐色油状物として得た。
【0193】
[工程3]4−ヒドロキシ−3,8−ジメチル−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]キノリン−2(1H)−オン178mg(0.56mmol)、1N塩酸1mLを、エタノール2mL溶媒中、還流下で1.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒留去し、残渣に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、4−ヒドロキシ−3,8−ジメチルキノリン−2(1H)−オン90mg(85%)を白色固体として得た。
【0194】
[工程4]4−ヒドロキシ−3,8−ジメチルキノリン−2(1H)−オン90mg(0.46mmol)のトルエン1mL溶液に、オキシ塩化リン1mLを滴下し、100℃で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒留去し、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、2,4−ジクロロ−3,8−ジメチルキノリン70mg(65%)を淡黄色固体として得た。
【0195】
[工程5]2,4−ジクロロ−3,8−ジメチルキノリン70mg(0.31mmol)、p−クロロアニリン40mg(0.31mmol)、メタンスルホン酸30mg(0.31mmol)を、ジフェニルエーテル0.5mL溶媒中、180℃で30分攪拌した。反応終了後、反応液に水及び1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、表題化合物50mg(51%)を淡黄色固体として得た。
【0196】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.51 (3 H, s), 2.69 (3 H, s), 7.02 (1 H, br.), 7.30 (1 H, dd, J = 8.3, 7.0 Hz), 7.34 (2 H, d, J = 8.8 Hz), 7.48 (1 H, br. d, J = 7.0 Hz), 7.80 (2 H, d, J = 8.8 Hz), 7.93 (1 H, br. d, J = 8.3 Hz)
【0197】
実施例18:4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン(化合物19)の製造
【0198】
【化26】

【0199】
[工程1]2−クロロ−3−メチルキノリンの代わりに実施例17で製造した4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン(化合物18)20mg(0.063mmol)を、4−クロロアニリンの代わりにp−メトキシベンジルアミン10.4mg (0.076mmol)を用いて実施例1の工程2と同様に反応処理した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、クロロホルム−ヘキサンから再結晶して、4−(p−メトキシベンジルアミノ)−3,8−ジメチルキノリン11mg(42%)を得た。
【0200】
[工程2]4−(p−メトキシベンジルアミノ)−3,8−ジメチルキノリン5mg(0.012mmol)のトリフルオロ酢酸1mL溶液を室温で30分攪拌した。反応終了後、反応液に水及び1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:1、アンモニア添加)で精製し、表題化合物3.3mg(93%)を淡黄色固体として得た。
【0201】
1H-NMR(400MHz, CH3OD)δ:2.22 (3 H, s), 2.58 (3 H, s), 7.11 (1 H, dd, J = 8.0, 6.8 Hz), 7.24 (2 H, d, J = 8.8 Hz), 7.35 (1 H, br. d, J = 6.8 Hz), 7.73 (1 H, br. d, J = 8.0 Hz), 7.83 (2 H, d, J = 8.8 Hz)
【0202】
実施例19:2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン(化合物20)の製造
【0203】
【化27】

【0204】
[工程1]実施例17の工程3で製造した4−ヒドロキシ−3,8−ジメチルキノリン−2(1H)−オン120mg(0.63mmol)、ジイソプロピルエチルアミン163mg(1.26mmol)、トリメチルシリルジアゾメタン121mg(0.95mmol)を、アセトニトリル−メタノール(3:1)4mLの混合溶媒中、室温で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒留去し、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン−2(1H)−オン125mg(97%)を淡黄色固体として得た。
【0205】
[工程2]3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン−2(1H)−オン125mg(0.62mmol)、オキシ塩化リン942mg(6.2mmol)を、トルエン3mL溶媒中、100℃で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒留去し、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、2−クロロ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン84mg(62%)を淡黄色固体として得た。
【0206】
[工程3]アルゴン雰囲気下、2−クロロ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン84mg(0.38mmol)、4−クロロアニリン60mg(0.47mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム22mg(0.038mmol)、トリt−ブチルホスフィン0.040mL(0.16mmol)、ナトリウムt−ブトキシド75mg(0.78mmol)を、キシレン2mL溶媒中、120℃で12時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、エーテル:ヘキサン=1:2、3回展開)で精製し、表題化合物60mg(51%)を淡黄色固体として得た。
【0207】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.36 (3 H, s), 2.70 (3 H, s), 3.94 (3 H, s), 6.56 (1 H, br. s), 7.23 (1 H, dd, J = 8.3, 7.1 Hz), 7.33 (2 H, d, J = 8.9 Hz), 7.44 (1 H, br. d, J = 7.1 Hz), 7.77 (1 H, br. d, J = 8.3 Hz), 9.91 (2 H, d, J = 8.9 Hz)
【0208】
実施例20:2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−ヒドロキシキノリン(化合物21)の製造
【0209】
【化28】

【0210】
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメトキシ−4−メトキシキノリン(化合物20)10mg(0.032mmol)の塩化メチレン1mL溶液に、−78℃で1.0M三臭化ホウ素/塩化メチレン溶液0.07mL(0.070mmol)を滴下し、0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液にアンモニア水及び水を加え、次いで1N塩酸で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1〜10:1)で精製し、表題化合物7mg(73%)を淡黄色固体として得た。
【0211】
1H-NMR(400MHz, CDCl3-CDCl3(ca 1:10))δ:2.04 (3 H, s), 2.25 (3 H, s), 7.14 (1 H, dd, J = 7.8, 7.1 Hz), 7.16 (2 H, d, J = 8.7 Hz), 7.29 (1 H, br. d, J = 7.1 Hz), 7.39 (2 H, d, J = 8.7 Hz), 8.13 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz)
【0212】
[試験例]
試験例に使用した化合物の中で、化合物1〜21は実施例または製造例に記載の方法で製造したものを使用した。また、化合物22〜37はAsinex社より入手したものをそのまま使用した。さらに、化合物38〜51はEnamin社より入手したものをそのまま使用した。
【0213】
試験例
本発明の2−アリールアミノキノリン化合物によるEPO産生促進活性は、EPOプロモーター活性に基づいて測定した。
<材料と方法>
pGL3 basic(プロメガ)のルシフェラーゼ遺伝子にヒトEPOの5’プロモーター領域、及び3’エンハンサー領域を連結したベクターをリポフェクションによってヒト肝臓癌由来である細胞株HepG2に遺伝子導入した。得られた安定発現株(HepG2 EPO−luc)を被検化合物の評価に使用した。次に、HepG2 EPO−lucは、10%ウシ胎児血清を含む最小必須培地(MEM)(シグマ)を用いて96ウェルプレートの各ウェルに5×103細胞ずつ播種した。その後、DMSOに溶解した被検化合物を最終濃度10μMとなるように各ウェルに添加し、培地量を1ウェルあたり100μlとした。酸素濃度を4%としたCO2インキュベーターで24時間インキュベート後、EPOプロモーター活性として、Bright―Glo(商標)Luciferase Assay System(プロメガ)を100μl/ウェルで添加し、直ちに、ARVO(パーキンエルマー)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。上記方法は、Bright−Glo(商標)Luciferase Assay Systemに添付された取扱説明書に準じた。
【0214】
化合物を添加しない未刺激状態でのEPOプロモーター活性を100%とし、各化合物により誘導されたEPOプロモーター活性(% of control)を算出した。結果を表1に示す。
【0215】
【表6】

【0216】
<結果>
被検化合物を濃度10μM添加することにより、EPO産生促進が認められた(表1参照)。特に、化合物1、4、6、7、8、9、29、30は1000%を超える強力なEPO産生促進作用を有していた。このことから、これらの化合物にはEPO産生促進作用があることが明らかとなり、貧血治療剤として有用であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明は、一般式(1)で表される2−アリールアミノキノリン化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、優れたEPO産生促進作用を有していることを初めて見出し、優れたEPO産生促進作用を有する経口投与可能な低分子性の貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。本発明は、低分子性の新たな貧血の予防及び/又は治療剤を提供し、製薬工業において有用であり、産業上の利用可能性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1):
【化1】

[式中、
1は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、
2、R3、R4、R5、R6は同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基又は水酸基を示し、
7、R8、R9は同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、C2-7アルコキシカルボニル基、C2-7アルカノイルアミノ基、ニトロ基又はモルホリノ基を示しすか、又は
7、R8が一緒になって、C3-4アルキレン基、C1-3アルキレンジオキシ基又はベンゼン環を形成してもよく、
10は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、
Xは、メチン基又は窒素原子を示す]
で表される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤。
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物が、次の化合物群:
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−エチル−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−エチル−3−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)アミノキノリン、
7−ジメチル−2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ナフタレン−1−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ピリジン−4−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−モルホリノフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジメトキシフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3,4,5−トリクロロフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(3,5−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−アミノ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−ヒドロキシキノリン、
2−(4−ブロモフェニル)アミノキノリン、
4−メチル−2−(4−メチルフェニル)アミノキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
4,6−ジメチル−2−フェニルアミノキノリン、
4−メチル−2−(3−ニトロフェニル)アミノキノリン、
2−(2,5−ジメトキシフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−フェニルアミノキノリン、
4,8−ジメチル−2−フェニルアミノキノリン、
4−メチル−2−(ナフタレン−2−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3−メトキシフェニル)アミノキノリン、
2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−4,6−ジメチルキノリン、
4−メチル−2−(4−ニトロフェニル)アミノキノリン、
4,8−ジメチル−2−(2−エトキシフェニル)アミノキノリン、
2−[4−(アセチルアミノ)フェニル]アミノ−4−メチルキノリン、
2−(2−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)アミノキノリン、
2−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−4−メチルキノリン、
2−(3−メトキシフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(2,3−ジメチルフェニル)アミノキノリン、
2−(3−クロロ−4−メチルフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(3−クロロ−2−メチルフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
7−メトキシ−2−(3−メトキシカルボニルフェニル)アミノ−4−メチルキノリン、
2−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ−7−メトキシ−4−メチルキノリン、
2−(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)アミノ−7−メトキシ−4−メチルキノリン、
2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)アミノキノリン、
2−(インダン−5−イル)アミノキノリン、
2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノキノリン、及び
2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン
からなる群から選択される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である請求項1に記載のEPO産生促進剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤。
【請求項4】
一般式(1)で表される化合物が、下記の化合物群:
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3−エチル−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−7−イソプロピル−3−メチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)アミノキノリン、
7−ジメチル−2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ナフタレン−1−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(ピリジン−4−イル)アミノキノリン、
3,7−ジメチル−2−(4−モルホリノフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジメトキシフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
3,7−ジメチル−2−(3,4,5−トリクロロフェニル)アミノキノリン、
2−(3,4−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(3,5−ジクロロフェニル)アミノ−3,7−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
4−クロロ−2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチルキノリン、
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−メトキシキノリン、及び
2−(4−クロロフェニル)アミノ−3,8−ジメチル−4−ヒドロキシキノリン
からなる群から選択される2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項5】
請求項4記載の化合物群から選ばれる2−アリールアミノキノリン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の1種又は2種以上の化合物、及び医薬として許容される担体とを含有してなる医薬組成物。
【請求項6】
EPOの産生を促進させるためのものである請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
貧血の予防及び/又は治療用である請求項5に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2011−26251(P2011−26251A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174368(P2009−174368)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】