説明

2−ベンゾイルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体、この調製およびこの治療的使用

塩基の形態または酸との付加塩の形態である、式(I)の化合物


(式中、Xは、場合により置換されているフェニル基であり;Rは、場合により置換されている複素環式基であり;Rは、水素原子、ハロゲン、(C−C)アルコキシ基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基またはアミノ基であり;Rは、水素原子、(C−C)アルキル基、ハロゲン原子またはヒドロキシル基であり、Rは、水素原子またはハロゲン原子である。)。治療的使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−ベンゾイルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体、この調製およびNurr−1核受容体(NR4A2、NOT、TINUR、RNR−1およびHZF3としても知られている。)に関与する疾患の治療または予防におけるこの治療的使用に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の対象は、
塩基の形態または酸との付加塩の形態である、式(I):
【0003】
【化1】

の化合物
(式中、
Xは、以下の原子または基:ハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、NRaRbから互いに独立して選択される1個以上の原子または基で場合により置換されているフェニル基であり;(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基は、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されており;
は、以下の原子または基:ヒドロキシル、ハロゲン、1個以上のヒドロキシルで場合により置換されている(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、NRcRd、−CO−R、−CO−NR、−CO−O−R、−NR−CO−R10、シアノおよびオキシド基から互いに独立して選択される1個以上の基で場合により置換されている複素環式基であり;
は、水素原子、ハロゲン、(C−C)アルコキシ基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシルまたはアミノであり;(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基は、以下の原子または基:ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、(C−C)アルコキシの1個以上で場合により置換されていることが可能であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基またはヒドロキシル基であり;
は、水素原子またはハロゲン原子であり;
は、水素原子または(C−C)アルキル基であり;
およびRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または(C−C)アルキル基であり、またはこれらを担持する窒素原子とともに、N、OまたはSから選択される別のヘテロ原子を場合により含む4員から7員環を形成しており;
は、(C−C)アルキル基であり;
およびR10は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または(C−C)アルキル基であり;
Raは、(C−C)アルキルであり;
Rb、RcおよびRdは、水素原子または(C−C)アルキルである。)である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
式(I)の化合物は、1個以上の非対称炭素原子を含むことができる。従って、式(I)の化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体の形態で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびジアステレオ異性体、ならびにさらにラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明の一部を形成する。式(I)の化合物は、塩基の形態または酸との付加塩の形態で存在することができる。このような付加塩は、本発明の一部を形成する。
【0005】
これらの塩は、医薬的に許容される酸により調製することができるが、例えば、式(I)の化合物の精製または単離に有用な他の酸の塩も、本発明の一部を形成する。
【0006】
式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形態で、即ち、1個以上の水分子または溶媒との会合または組合せの形態で存在することもできる。このような水和物および溶媒和物も、本発明の一部を形成する。
【0007】
本発明に関して:
用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味するものとし;
用語「アルキル基」は、直鎖、分枝鎖または環式の飽和アルキル基で場合により置換されている直鎖、分枝鎖または環式の飽和脂肪族基を意味するものとする。例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピルなどの基を挙げることができ;
用語「(C−C)アルコキシ基」は、アルキル基が上記定義の通りである−O−アルキル基を意味するものとし;
用語「複素環式基」は、N、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5から10個の原子を含有する飽和または不飽和もしくは部分不飽和の単環式または二環式基を意味するものとする。複素環式基の例として、限定するものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、フロフラン、チエノチオフェン、ピロロピロール、ピロロイミダゾール、ピロロピラゾール、ピロロトリアゾール、イミダゾイミダゾール、イミダゾピラゾール、フロピロール、フロイミダゾール、フロピラゾール、フロトリアゾール、ピロロ−オキサゾール、イミダゾ−オキサゾール、ピラゾロ−オキサゾール、フロ−オキサゾール、オキサゾロ−オキサゾール、オキサゾロイソオキサゾール、ピロロ−イソオキサゾール、イミダゾ−イソオキサゾール、ピラゾロ−イソオキサゾール、イソオキサゾロ−イソオキサゾール、フロ−イソオキサゾール、イソオキサゾロ−オキサジアゾール、ピロロ−オキサジアゾール、フロ−オキサジアゾール、イソオキサゾロ−オキサジアゾール、チエノピロール、チエノイミダゾール、チエノピラゾール、チエノトリアゾール、ピロロ−チアゾール、イミダゾ−チアゾール、ピラゾロ−チアゾール、トリアゾロ、チアゾール、フロ−チアゾール、オキサゾロ−チアゾール、オキサゾロイソチアゾール、ピロロ−イソチアゾール、イミダゾ−イソチアゾール、ピラゾロ−イソチアゾール、イソオキサゾロ−イソチアゾール、フロ−イソチアゾール、ピロロ−チアジアゾール、イミダゾ−チアジアゾール、フロ−チアジアゾール、イソオキサゾロ−チアジアゾール、オキサゾロ−チアジアゾール、イソチアゾロ−チアジアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、ピロロピリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、トリアゾロピリジン、テトラゾロピリジン、ピロロピリミジン、イミダゾピリミジン、ピラゾロピリミジン、ピロロピラジン、イミダゾピラジン、ピラゾロピラジン、ピロロピリダジン、イミダゾピリダジン、ピラゾロピリダジン、トリアゾロピリダジン、ピロロトリアジン、フロピリジン、フロピリミジン、フロピラジン、フロピリジダン、フロトリアジン、オキサゾロピリジン、オキサゾロピリミジン、オキサゾロピラジン、オキサゾロピリジダン、イソオキサゾロピリジン、イソオキサゾロピリミジン、イソオキサゾロピラジン、イソオキサゾロピリダジン、オキサジアゾロピリジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、チエノピリジン、チエノピリミジン、チエノピラジン、チエノピリダジン、チエノトリアジン、チアゾロピリジン、チアゾロピリミジン、チアゾロピラジン、チアゾロピリダジン、イソチアゾロピリジン、イソチアゾロピリミジン、イソチアゾロピラジン、イソチアゾロピリダジン、チアジアゾロピリジン、チアジアゾロピリミジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、ベンゾトリアジン、ピリドピリミジン、ピリドピラジン、ピリドピリダジン、ピリドトリアジン、ピリミドピリミジン、ピリミドピラジン、ピリミドピリダジン、ピラジノピラジン、ピラジノピリダジン、ピラジノトリアジン、ピリダジノピリダジンを挙げることができ;これらの基は飽和または部分不飽和であることが可能であり;ただし、N、SおよびOから選択され、窒素を介して結合している別のヘテロ原子を場合により含有する4員から7員の単一窒素含有単環式複素環を除外する。
【0008】
本発明の対象である式(I)の化合物の中で、化合物の第1の群は、
Xがフェニル基であり;
、RおよびRが水素原子であり;
が、NまたはOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む5または6個の原子を含有する不飽和単環式複素環式基であり、前記複素環式基が、−NR基で場合により置換されており、RおよびRが、水素または(C−C)アルキルである、
化合物から構成される。
【0009】
本発明の対象である式(I)の化合物の中で、化合物の第2の群は、
Xがフェニル基であり;
、RおよびRが水素原子であり;
が、NH基で場合により置換されているピリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾールまたはフラン基である、
塩基の形態または酸との付加塩の形態である化合物から構成される。
【0010】
本発明の対象である式(I)の化合物の中で、化合物の第3の群は、Rが、N、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5から10個の原子を含有する飽和または不飽和もしくは部分不飽和の単環式または二環式の複素環式基であり、ただし、N、SおよびOから選択され、窒素を介して結合している別のヘテロ原子を場合により含有する4員から7員の単一窒素含有単環式複素環を除外する化合物から構成される。
【0011】
本発明の対象である式(I)の化合物の中で、化合物の第4の群は、Rが、O、NおよびS、特にNまたはOから選択される1から3個、特に1から2個のヘテロ原子を含む5から7個の原子を含有する不飽和または部分飽和の単環式複素環式基である化合物から構成される。
【0012】
本発明の対象である式(I)の化合物の中で、化合物の第5の群は、Rが、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジンまたはトリアジン基であり、さらに特定すると、ピリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾールまたはフラン基である化合物から構成される。
【0013】
本発明の対象である式(I)の化合物の中で、特に以下の化合物を挙げることができる:
[6−(6−アミノピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン、
フェニル(6−ピリジン−2−イルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノンおよびこの二塩酸塩、
フェニル[6−(1H−ピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン、
フェニル[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン、
[6−(1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン、
[(6−フラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン、
フェニル[(6−ピリジン−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン、
または医薬的に許容される酸とのこれらの化合物の付加塩。
【0014】
本発明によれば、一般式(I)の化合物は、スキーム1に記載のプロセスにより調製することができる。
【0015】
【化2】

【0016】
第1の合成経路(転換A)は、例えば、Aust.J.Chem.,50,719(1997)においてJ−J.Bourguignonらにより記載された方法により、式(II)の2−アミノピリジン(式中、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。)を一般式(III)の3−ハロ−1−アリールプロパン−1,2−ジオン誘導体(式中、Halは、塩素、臭素またはヨウ素原子であり、Xは、上記定義の通りである。)と縮合してイミダゾ[1,2−a]ピリジン環を形成することである。
【0017】
第2の合成経路(転換BまたはB)は、一般式(IV)の有機金属誘導体(式中、Xは、上記定義の通りであり、Mは、リチウム原子またはMg−Hal基である。)を、
Tetrahedron Letters(1981),22(39),3815−18およびSibi,M.P.Organic Preparations and Procedures Int.1993,25,15−40においてWeinreb,S.M.らにより記載されている通り、当業者に公知の方法により、一般式(V)のWeinrebアミド(またはN−アルコキシ−N−アルキルアミド)(式中、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、臭素またはヨウ素以外であり、RおよびR’は、同一であってもまたは異なっていてもよく、アルキル基である。)と反応させること(転換B)、または
J.March,Advanced Organic Chemistry(Wiley,5th Ed.2001)p.567and1213またはこの引用文献に記載の通り、当業者に公知の方法により、一般式(VI)のイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸(式中、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、臭素またはヨウ素以外であり、Yは、ヒドロキシルまたはこの反応性塩もしくは誘導体、例えば、エステル、酸塩化物、無水物またはアミドである。)と反応させること(転換B)である。
【0018】
または、転換Bは、パラジウム触媒、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下で、式(VI)のイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸(式中、Yは、ヒドロキシルであり、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、臭素またはヨウ素以外である。)の反応性誘導体、例えば、混合無水物(現場で生成させることができる。)を、式(IV)の有機金属誘導体(式中、Xは、上記定義の通りであり、Mは、ボロン酸基である。)と反応させることにより実施することができる。
【0019】
第3の合成経路(転換C)は、一般式(VII)の誘導体(式中、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Zは、ボリル、スタンニルまたはシリル基である。)と式(VIII)の誘導体R−Z’(式中、Z’は、ハロゲン原子、例えば、臭素もしくはヨウ素またはスルホニルオキシ基であり、Rは、場合により置換されている1−アルケニル、1−アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基である。)との触媒カップリングを実施することである。または、このカップリングは、一般式(VII)の誘導体(式中、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Zは、ハロゲン原子、例えば、臭素またはヨウ素である。)と誘導体R−Z’(VIII)(式中、Z’は、反応性基、例えば、ボリル、スタンニルもしくはシリル基または水素原子であり、Rは、場合により置換されている1−アルケニル、1−アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基である。)の間で実施することができる。
【0020】
式(II)の2−アミノピリジンは、文献に記載または当業者に公知の方法により調製することができる。特に、R、RおよびRが上記定義の通りであり、Rが、場合により置換されている1−アルケニル、1−アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基である式(II)の2−アミノピリジンは、転換A、即ち、
式(IX)の2−アミノピリジン誘導体(式中、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Zは、ボリル、スタンニルまたはシリル基である。)を誘導体R−Z’(VIII)(式中、Z’は、ハロゲン原子、例えば、臭素もしくはヨウ素またはスルホニルオキシ基であり、Rは、場合により置換されている1−アルケニル、1−アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基である。)と触媒カップリング反応させること、
または、式(IX)の2−アミノピリジン誘導体(式中、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Zは、ハロゲン原子、例えば、臭素またはヨウ素である。)を誘導体R−Z’(VIII)(式中、Z’は、反応性基、例えば、ボリル、スタンニルもしくはシリル基または水素原子であり、Rは、場合により置換されている1−アルケニル、1−アルキニル、アリールまたはヘテロアリール基である。)と触媒カップリング反応させることのいずれか
により調製することができる。
【0021】
式(III)の3−ハロ−1−アリールプロパン−1,2−ジオン誘導体は、当業者に公知の方法により、対応する1−アリールプロパン−1,2−ジオンのハロゲン化により調製することができる。
【0022】
式(V)のWeinrebアミドは、当業者に公知の方法により、式(VI)の酸(式中、Yは、ヒドロキシル基またはこの反応性誘導体である。)をN,O−ジアルキルアミンとカップリングすることにより得ることができる(転換B)。このカップリングは、カップリング剤、例えば、CDI、EDCI、HATUまたはHBTUおよび塩基、例えば、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンまたはピリジンの存在下で、不活性溶媒、例えば、THF、DMFまたはジクロロメタン中で実施することができる。または、N,O−ジアルキルアミンは、触媒、例えばトリメチルアルミニウムの存在下で式(VI)のエステル(式中、Yは、アルコキシ基である。)と反応させることができる(Weinreb.S.M.et al.,Synth.Commun.1982,12,989)。
【0023】
式(VI)のイミダゾピリジン−2−カルボン酸の誘導体(式中、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Yは、(C−C)アルコキシもしくはヒドロキシル基またはハロゲン原子である。)は、J.Org.Chem.,30,2403(1965)においてJ.G.Lombardinoにより記載された条件下で、式(II)の2−アミノピリジン(式中、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。)を式(VIII)の3−ハロ−2−オキソプロピオン酸エステル(式中、Halは、塩素、臭素またはヨウ素原子であり、Yは、(C−C)アルコキシ基である。)と縮合し、例えば、次いで適切な場合には、エステルを酸に変換し、次いで酸塩化物または他の反応性誘導体に変換することにより調製することができる(転換B)。
【0024】
式(VII)のイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体(式中、X、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Zは、ハロゲン原子またはボリル、スタンニルもしくはシリル基である。)は、転換Aを介する一般式(I)の生成物の調製について上記記載の条件下で、式(II)の2−アミノピリジン(式中、Z、R、RおよびRは、上記定義の通りである。)を一般式(III)の3−ハロ−1−アリールプロパン−1,2−ジオン誘導体(式中、Halは、塩素、臭素またはヨウ素原子である。)と縮合することにより調製することができる(転換C)。
【0025】
または、式(VII)のイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体(式中、X、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、Zは、ハロゲン原子またはボリル、スタンニルもしくはシリル基である。)は、転換BまたはBを介する一般式(I)の生成物の調製について上記記載の条件下で、一般式(IV)の有機金属誘導体(式中、Xは、上記定義の通りであり、Mは、リチウム原子またはMg−Hal基である。)を式(XI)のイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸(式中、R、R、R、RおよびZは、上記定義の通りであり、臭素またはヨウ素以外であり、Yは、ヒドロキシル基またはこの反応性誘導体、例えば酸塩化物)と(転換D)、または式(X)の対応するWeinrebアミドと(転換D)、他の反応性官能基を場合により保護して反応させることにより調製することができる。
【0026】
式(X)および(XI)のイミダゾピリジン−2−カルボン酸誘導体は、式(V)および(VI)の誘導体の調製について上記記載の方法により、式(IX)の2−アミノピリジン(式中、Z、R、RおよびRは、上記定義の通りである。)を式(VIII)の3−ハロ−2−オキソプロピオン酸(式中、Halは、塩素、臭素またはヨウ素原子であり、Yは、(C−C)アルコキシ基である。)と縮合することにより調製することができる(転換D)。
【0027】
式(VII)、(IX)または(X)の誘導体と式(VIII)の生成物とのカップリングは、当業者に公知の任意の方法により、特に、例えば以下の参考文献および引用文献に記載の方法により、またはこれらの方法と類似の方法により、リガンド、例えば、ホスフィンの銅系またはパラジウム系触媒の存在下でこの手順を実施することにより実施することができる:
Suzuki−タイプの反応について:N.Miyaura,A.Suzuki,Chem.Rev.,95,2457,(1995)、
Stille−タイプの反応について:V.Farina et al.,Org.React.,50,1(1997)、
Hiyama−タイプの反応について:T.Hiyama et al.,Top.Curr.Chem.,2002,219,61(2002)、
Negishi−タイプの反応について:E.Negishi et al.,Chem.Rev.,103,1979(2003)、
Bellina−タイプの反応について:M.Miura et al.,Chem.Lett.,200(2007)。
【0028】
カップリングを実施するため、有機金属誘導体、例えば亜鉛誘導体を中間的に形成するが、単離を行わないことも可能である。
【0029】
本発明によれば、一般式(I)、(II)および(VI)の化合物は、スキーム2に記載のプロセスにより、即ち、当業者に公知の方法により、一般式(XII)、(XIII)または(XIV)の化合物(式中、R、R、RおよびXは、上記定義の通りであり、Yは、ヒドロキシル、アルコキシまたはN−アルコキシ−N−アルキルアミノ基であり、Wは、式Rの複素環を構築することができる前駆体基である。)を一般式(I)、(VI)および(II)の化合物にそれぞれ変換することにより調製することもできる(転換G、GおよびG)。
【0030】
【化3】

【0031】
例として、Wは、
例えば、チオ尿素誘導体、チオアミド誘導体、グアニジン誘導体、尿素誘導体またはアミド誘導体により処理することによりチアゾリル、イミダゾリルまたはオキサゾリル基に変換することができる2−ハロアシル基、例えばブロモアセチルまたは1−ハロ−2−オキソアルキル基、例えば1−ブロモ−2−オキソエチル;
1,2,3−トリアゾール−4−イル基に変換することができるアルキニル基、例えばエチニル;
例えば、ジヒドロイミダゾリル(2)または1,3,4−トリアゾール−2−イル基に変換することができるシアノ基
であってもよい。
【0032】
一般式(XII)の化合物は、化合物(I)の調製について記載の条件下で式(XIII)の化合物から得ることができ、転換BまたはBを介して式(V)または(VI)のイミダゾピリジン−2−カルボン酸誘導体から得ることができる。
【0033】
一般式(XIII)のイミダゾピリジン−2−カルボン酸誘導体は、転換Aを介する一般式(I)の化合物への式(II)のアミノピリジンの変換について記載の条件下で式(XIV)のアミノピリジンから得ることができる。
【0034】
式(I)の生成物および式(II)、(V)または(VI)のこの前駆体は、所望により、および必要に応じて、式(I)の生成物を得るため、または式(I)の他の生成物に変換するため、以下の転換反応の1つ以上に任意の順序で供することができる:
a)酸官能基をエステル化またはアミド化する反応、
b)エステル官能基を酸官能基に加水分解する反応、
c)ヒドロキシル官能基をアルコキシ官能基に転換する反応、
d)アルコール官能基をアルデヒドまたはケトン官能基に酸化する反応、
e)アルケニル基をアルデヒドまたはケトン官能基に酸化する反応、
f)ヒドロキシアルキル基をアルケニル基に脱水する反応、
g)アルケニルまたはアルキニル基をアルケニルまたはアルキル基に完全または部分水素化する反応、
h)ハロゲン化誘導体および有機金属誘導体、例えば、スタンナンまたはボロン酸誘導体を触媒カップリングしてアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリール置換基を導入する反応、
i)ハロゲン化誘導体を変換してボリル、スタンニルまたはシリル置換基を導入する反応、
j)反応性官能基を保護する反応、
k)保護反応性官能基が担持することができる保護基を除去する反応、
l)無機酸もしくは有機酸または塩基と塩形成して対応する塩を得る反応、
m)この形態を分割してエナンチオマーを生じさせる方法(こうして得られた前記式(I)の生成物は、適切な場合には、考えられるラセミ体、エナンチオマー体およびジアステレオ異性体のいずれかである。)。
【0035】
スキーム1において、出発化合物および反応物質は、これらを調製する方法が記載されていない場合、市販のもの、または文献に記載のものであり、そうでなければ、この文献に記載の方法または当業者に公知の方法により調製することができる。
【0036】
以下の実施例は、本発明による一部の化合物の調製を記載する。これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明の説明を目的とするにすぎない。例示する化合物の番号は、本発明による一部の化合物の化学構造および分光特性を説明する下記の表に挙げる番号に帰する。
【実施例1】
【0037】
[6−(6−アミノピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン
マイクロ波管に、フェニル[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン300mg、2−アミノ−6−ブロモ−ピリジン123mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム30mg、炭酸ナトリウム2M溶液2ml、トルエン4mlおよびアセトニトリル4mlを装入する。反応混合物をマイクロ波装置セット中で150℃において20分間加熱し、次いで冷却し、セライトに通して濾過し、酢酸エチルにより希釈し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出をジクロロメタンおよび酢酸エチルの混合物(50/50)により実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固する。固体をジクロロメタンおよびイソプロピルエーテルの混合物中で粉砕し、次いで乾燥させて[6−(6−アミノピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン57mgを褐色固体の形態で生じさせる。
【実施例2】
【0038】
フェニル[(6−ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン塩酸塩(1:2)
2.1:フェニル[6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
マイクロ波管に、フェニル[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン200mg、2−ヨードピリジン130mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム26mg、炭酸ナトリウム2M溶液2ml、トルエン4mlおよびアセトニトリル4mlを装入する。反応混合物をマイクロ波装置セット中で150℃において20分間加熱し、次いで冷却し、セライトに通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出をジクロロメタンおよび酢酸エチルの混合物(75/25)により実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固する。固体をメタノール中で粉砕し、次いで濾過してフェニル(6−ピリジン−2−イルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノン95mgを淡褐色固体の形態で生じさせる。
【0039】
2.2:フェニル[6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン塩酸塩(1:2)
塩酸のジオキサン中4M溶液200μlを、フェニル[6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン95mgのジオキサン最少量中溶液に添加する。形成した沈殿物をスピンフィルター乾燥させ、エチルエーテルにより洗浄し、乾燥させてフェニル(6−ピリジン−2−イルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノン二塩酸塩94mgをベージュ色固体の形態で生じさせる。
【実施例3】
【0040】
フェニル[6−(1H−ピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
3.1:フェニル[6−(1−トリイソプロピルシリルピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
マイクロ波管に、(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン225mg、1−トリイソプロピルシリルピロール−3−ボロン酸225mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム30mg、炭酸ナトリウム2M溶液2ml、トルエン4mlおよびアセトニトリル4mlを装入する。反応混合物をマイクロ波装置セット中で150℃において20分間加熱し、次いで冷却し、酢酸エチルにより希釈し、セライトに通して濾過し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出をジクロロメタンおよび酢酸エチルの混合物(90/10)により実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固してフェニル[6−(1−トリイソプロピルシリルピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン110mgを緑色油状物の形態で生じさせる。
【0041】
H NMRスペクトル(DMSO−d6,δ in ppm):1.09(d,J=7.5Hz,18H),1.56(m,3H),6.67(dd,J=1.5and2.0Hz,1H),6.94(t,J=2.0Hz,1H),7.40(broad s,1H),7.58(t,J=7.5Hz,2H),7.67(m,2H),7.78(dd,J=1.5and9.5Hz,1H),8.33(broad d,J=7.5Hz,2H),8.51(s,1H),8.82(broad s,1H)。
質量スペクトル(LC−MS−DAD−ELSD):m/z444[M+H]
【0042】
3.2:フェニル[6−(1H−ピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
フェニル[6−(1−トリイソプロピルシリルピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン110mgのテトラヒドロフラン1.5ml中溶液を、フッ化テトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン中1M溶液248μlにより処理し、25℃において2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出をジクロロメタンおよび酢酸エチルの混合物(75/25)により実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固してフェニル[6−(1H−ピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン31mgを褐色固体の形態で生じさせる。
【実施例4】
【0043】
フェニル[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
マイクロ波管に、(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン250mg、1H−4−ピラゾールボロン酸225mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム33mg、炭酸ナトリウム2M溶液2.5ml、トルエン5mlおよびアセトニトリル5mlを装入する。反応混合物をマイクロ波装置セット中で150℃において20分間加熱し、次いで冷却し、酢酸エチルにより希釈し、セライトに通して濾過し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出を酢酸エチルにより実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固してフェニル[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン15mgをベージュ色固体の形態で生じさせる。
【実施例5】
【0044】
[6−(1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン
5.1:フェニル[6−(1−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
マイクロ波管に、フェニル[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン200mg、4−ヨード−1−トリチルイミダゾール276mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム26mg、炭酸ナトリウム2M溶液2ml、トルエン4mlおよびアセトニトリル4mlを装入する。反応混合物をマイクロ波装置セット中で150℃において20分間加熱し、次いで冷却し、セライトに通して濾過し、酢酸エチルにより希釈し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出をジクロロメタンおよび酢酸エチルの混合物(75/25)により実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固する。固体をメタノールおよびペンタンの混合物中で粉砕し、次いで乾燥させてフェニル[6−(1−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン135mgを淡黄色固体の形態で生じさせる。
【0045】
H NMRスペクトル(DMSO−d6,δ in ppm):7.19(d,J=7.5Hz,6H),7.7to7.48(m,9H),7.51to7.60(m,4H),7.65(m,2H),7.79(dd,J=1.5and9.5Hz,1H),8.32(d,J=7.5Hz,2H),8.53(s,1H),9.02(broad s,1H)。
質量スペクトル(LC−MS−DAD−ELSD):m/z531[M+H]
【0046】
5.2:[6−(1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン
フェニル[6−(1−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン133mgの2N塩酸5mlおよび酢酸1mlの混合物中懸濁液を、2.5時間還流させる。固体を濾過し、熱水により洗浄する。濾液を炭酸カリウムにより中和し、ジクロロメタンにより抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。固体を減圧下で乾燥させて[6−(1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン58mgをベージュ色固体の形態で生じさせる。
【実施例6】
【0047】
(6−フラン−2−イルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン
マイクロ波管に、(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン250mg、トリブチルフラン−2−イルスタンナン843mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム151mgおよびN,N−ジメチルホルムアミド4mlを装入する。反応混合物をマイクロ波装置セット中で150℃において10分間加熱し、次いで冷却し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、溶出をジクロロメタンおよび酢酸エチルの混合物(90/10)により実施する。予期生成物を含有する分画を合わせ、減圧下で濃縮乾固する。残留物をメタノールおよびジイソプロピルエーテルの混合物から結晶化して(6−フラン−2−イルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン124mgをベージュ色固体の形態で生じさせる。
【0048】
下記の中間体は、本発明の化合物の調製に有用である。
【0049】
中間体1:(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン
3−ブロモ−1−フェニルプロパン−1,2−ジオン5.5gのテトラヒドロフラン35ml中溶液を、2−アミノ−5−ヨードピリジン4.5gのテトラヒドロフラン35ml中溶液に添加する。反応混合物を20℃において16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮乾固する。残留物エタノール100ml中に取り、2.5時間還流させる。反応混合物を濃縮乾固し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液およびジクロロメタン中に取る。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。固体をエチルエーテル中で粉砕し、濾過し、乾燥させて(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン4.14gを橙色を帯びた黄色固体の形態で生じさせる。
【0050】
H NMRスペクトル(DMSO−d6,δ in ppm):7.58(t,J=7.6Hz,4H),7.67(d,J=7.3Hz,1H),8.30(d,J=7,8Hz,1H),8.54(s,1H),9.01(s,1H)。
質量スペクトル(LC−MS−DAD−ELSD):m/z349:[M+H]
【0051】
中間体1((6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン)は、文献WO2008/003854(表の化合物22)に既に記載されている。この点において、この中間体1は本発明の範囲から除外される。
【0052】
中間体2:フェニル[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン
3−ブロモ−1−フェニルプロパン−1,2−ジオン6gのテトラヒドロフラン50ml中溶液を、2−アミノ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン7gのテトラヒドロフラン50ml中溶液に添加する。反応混合物を周囲温度において16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮乾固する。残留物をエタノール100ml中に取り、2.5時間還流させる。減圧下で濃縮乾固した後、固体を重炭酸ナトリウムの飽和溶液およびジクロロメタン中に取る。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。残留物をエタノール30mlおよび2N塩酸12ml中で再溶解させる。反応混合物を25℃において撹拌し、次いで蒸発乾固し、ジクロロメタンおよび1N水酸化ナトリウム24ml中に取る。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発乾固する。残留物をジクロロメタンおよびエチルエーテルの混合物中で粉砕する。不溶性材料を濾別し、濃縮濾液をジクロロメタン、メタノールおよびエチルエーテルの混合物中で粉砕する。固体を濾別し、乾燥させてフェニル[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン1.2gを橙色を帯びたベージュ色固体の形態で生じさせる。
【0053】
H NMRスペクトル(DMSO−d6,δ in ppm):1.33(s,12H),7.44(dd,J=1.5and9.5Hz,1H),7.58(t,J=7.5Hz,2H),7.69(m,3H),8.30(d,J=7.5Hz,2H),8.70(s,1H),8.95(broad s,1H)。
質量スペクトル(IE):m/z348:[M]
【0054】
以下の表は、本発明による化合物の一部の実施例の化学構造(表1)および分光特性(表2)を説明する。
【0055】
表1の「塩」欄において、「−」は、遊離塩基の形態の化合物を表す一方、「HCl」は、塩酸塩形態の化合物を表し、丸括弧間の比は(酸:塩基)比である。
【0056】
【化4】

【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
本発明による化合物を、NOTに対するこれらの調節効果を測定するための薬理学的試験の対象とした。
【0060】
N2A細胞に対するインビトロ活性の評価
本発明による化合物の活性を、マウスNurr1受容体を内因的に発現し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子に結合しているNOT結合応答エレメント(NBRE)を安定的に形質移入させた細胞系(N2A)について評価した。EC50値は、0.01から1000nMである。試験は下記の手順により実施した。
【0061】
Neuro−2A細胞系は、標準的な市販源(ATCC)に由来する。Neuro−2AクローンをR.J Klebeらにより作製されたマウスAアルビノ株を原発とする自然発生腫瘍から得た。このNeuro−2A系に8NBRE−ルシフェラーゼを安定的に形質移入する。N2A−8NBRE細胞を、ウシ胎仔血清10%、グルコース4.5g/lおよびジェネティシン0.4mg/mlを補給したDMEMを含有する75cmの培養フラスコ中でコンフルエンスにおいて培養する。1週間培養した後、細胞を0.25%トリプシンにより30秒間回収し、次いで、グルコース4.5g/lおよびHyclone脱脂血清10%を含有するフェノールレッド不含DMEM中で再懸濁させ、白色透明底96ウェルプレート中で堆積させる。細胞を、75μl中でウェル当たり60000個の割合で24時間堆積させてから、生成物を添加する。生成物を25μlで注入し、さらに24時間温置する。計測当日に、Steadylite当量(100μl)を各ウェルに添加し、次いで30分間の時間放置して細胞の完全な溶解およびシグナルの最大生成を得る。次いで、プレートを接着フィルムにより密封した後にマイクロプレートルミネセンスカウンター中で計測する。生成物を10−2Mの原液の形態で調製し、次いでDMSO100%中で希釈する。各生成物濃度を培養培地中で事前に希釈してから、各生成物をこうしてDMSOを0.625%の最終濃度で含有する細胞と温置する。
【0062】
例えば、化合物1、4および7は、それぞれ0.7、0.5および0.5nMのEC50を示した。
【0063】
従って、本発明による化合物は、NOT調節効果を有すると考えられる。
【0064】
従って、本発明による化合物は、NOT受容体に関与する疾患の治療または予防におけるこれらの治療的使用のための医薬品の調製に使用することができる。
【0065】
従って、この態様の別のものによれば、本発明の対象は、式(I)の化合物または医薬的に許容される酸との式(I)の化合物の付加塩を含む医薬品である。
【0066】
これらの医薬品は、治療、特に、神経変性疾患、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、タウ異常症(例えば、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病);脳外傷、例えば、虚血および頭蓋外傷ならびにてんかん;精神疾患、例えば、統合失調症、うつ病、物質依存、注意欠陥多動性障害;中枢神経系の炎症性疾患、例えば、多発性硬化症、脳炎、脊髄炎および脳脊髄炎ならびに他の炎症性疾患、例えば、血管病変、アテローム性動脈硬化症、関節炎、関節障害、関節リウマチ、変形性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎;アレルギー性炎症性疾患、例えば喘息、自己免疫疾患、例えば、1型糖尿病、ループス、強皮症、ギラン・バレー症候群、アジソン病および他の免疫介在疾患;骨粗鬆症;癌などの治療および予防において使用される。
【0067】
これらの化合物は、幹細胞移植および/またはグラフトと組み合わせた治療として使用することもできる。
【0068】
従って、本発明の対象は、上記疾患および障害治療用の上記定義の式(I)の化合物を対象とする。
【0069】
この態様の別のものによれば、本発明は、活性成分として、本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、少なくとも1種の本発明による化合物または医薬的に許容される前記化合物の塩の有効用量およびさらに少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤を含有する。
【0070】
前記賦形剤は、医薬形態および所望される投与方法に応じて、当業者に公知の通常の賦形剤から選択される。
【0071】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、外用、局所、気管内、鼻腔内、経皮または直腸投与用の本発明の医薬組成物において、上記式(I)の活性成分またはこの塩は、単位投与形態で、慣用の医薬賦形剤との混合物として、上記障害または疾患の予防または治療のために動物およびヒトに投与することができる。
【0072】
好適な単位投与形態は、経口投与形態、例えば、錠剤、軟もしくは硬ゲルカプセル剤、散剤、顆粒剤および経口液剤または懸濁剤、舌下、バッカル、気管内、眼内および鼻腔内投与形態、吸入による投与用の形態、外用、経皮、皮下、筋肉内または静脈内投与形態、直腸投与形態ならびにインプラントを含む。外用投与のため、本発明による化合物をクリーム剤、ゲル剤、軟膏剤またはローション剤中で使用することができる。
【0073】
例として、錠剤形態の本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含むことができる:
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカロメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0074】
より高いまたはより低い投与量が適切である特定の症例が存在し得;このような投与量は本発明の内容から逸脱するものではない。通常の実務によれば、各患者に適切な投与量は、投与方法ならびに前記患者の体重および応答に応じて医師により決定される。
【0075】
この態様の別のものによれば、本発明はまた、本発明による化合物または医薬的に許容されるこの塩の有効用量を患者に投与することを含む、上記病変を治療する方法に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の形態または酸との付加塩の形態である、式(I):
【化1】

の化合物
(式中、
Xは、以下の原子または基:ハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、NRaRbから互いに独立して選択される1個以上の原子または基で場合により置換されているフェニル基であり;(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基は、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されており;
は、以下の原子または基:ヒドロキシル、ハロゲン、1個以上のヒドロキシルで場合により置換されている(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、NRcRd、−CO−R、−CO−NR、−CO−O−R、−NR−CO−R10、シアノおよびオキシド基から互いに独立して選択される1個以上の基で場合により置換されている複素環式基であり;
は、水素原子、ハロゲン、(C−C)アルコキシ基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシルまたはアミノであり;(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基は、以下の原子または基:ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、(C−C)アルコキシの1個以上で場合により置換されていることが可能であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基またはヒドロキシル基であり;
は、水素原子またはハロゲン原子であり;
は、水素原子または(C−C)アルキル基であり;
およびRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または(C−C)アルキル基であり、またはこれらを担持する窒素原子とともに、N、OまたはSから選択される別のヘテロ原子を場合により含む4員から7員環を形成しており;
は、(C−C)アルキル基であり;
およびR10は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または(C−C)アルキル基であり;
Raは、(C−C)アルキルであり;
Rb、RcおよびRdは、水素原子または(C−C)アルキルである。)。
【請求項2】
Xがフェニル基であり;
、RおよびRが水素原子であり;
が、NまたはOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む5または6個の原子を含有する不飽和単環式複素環式基であり、前記複素環式基が、−NR基で場合により置換されており、RおよびRが、水素または(C−C)アルキルである
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Xがフェニル基であり;
、RおよびRが水素原子であり;
が、NH基で場合により置換されているピリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾールまたはフラン基である
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
[6−(6−アミノピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン、
フェニル(6−ピリジン−2−イルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノンおよびこの二塩酸塩、
フェニル[6−(1H−ピロール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン、
フェニル[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン、
[6−(1H−イミダゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン、
[(6−フラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン、
フェニル[(6−ピリジン−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン、
または医薬的に許容される酸とのこれらの化合物の付加塩
から選択される、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または医薬的に許容される酸とのこの化合物の付加塩を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの化合物の塩およびさらに医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
神経変性疾患の治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
脳外傷およびてんかんの治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
精神疾患の治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
炎症性疾患の治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
骨粗鬆症および癌の治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
パーキンソン病、アルツハイマー病、タウ異常症および多発性硬化症の治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
統合失調症、うつ病、物質依存および注意欠陥多動性障害の治療および予防において使用される医薬品の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
化合物
フェニル[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノン。
【請求項15】
請求項1から4に記載の一般式(I)の生成物の合成のための、請求項14に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−508761(P2011−508761A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541086(P2010−541086)
【出願日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001837
【国際公開番号】WO2009/112652
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】