2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリルのコハク酸塩の多形及びこれらの使用方法
以下の式を有する、2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリルのコハク酸塩(本明細書中では化合物Iと呼ばれる)を含む、組成物:
ここで、化合物Iには、1種類以上の多形形態が存在する。化合物Iの多形の新規調製方法、並びに組成物のキット及び製品、並びに様々な疾患を治療するための組成物の使用方法もまた、提供される。
ここで、化合物Iには、1種類以上の多形形態が存在する。化合物Iの多形の新規調製方法、並びに組成物のキット及び製品、並びに様々な疾患を治療するための組成物の使用方法もまた、提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル(本明細書中では「化合物I」と呼ばれる)のコハク酸塩の多形形態及びこれらの調製方法に関する。本発明はまた、医薬組成物、化合物Iの多形を含むキット及び製品、並びにこれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連分野の記載
以下の式を有する化合物I:
【0003】
【化1】
【0004】
は、2005年3月15日に出願された米国特許出願第11/080,992号に記載されているDPP−IV阻害剤(化合物34参照)である。その投薬、投与及び生物活性については、2006年9月13日に出願された米国特許出願第11/531,671号に記載されている。米国特許出願第11/080,992号及び第11/531,671号は、引用によってその全体が、本明細書中に援用されている。
【0005】
ジペプチジルペプチダーゼIV(IUBMB酵素命名法EC.3.4.14.5)(本明細書中では「DPP−IV」と呼ばれる)は、II型の膜タンパク質であり、ポリペプチド及びタンパク質のアミノ末端(N−末端)からXaa−Proジペプチドを取り去る非古典的なセリンアミノジペプチダーゼである。DPP−IVは、様々な異なる組織(例えば、腸、肝臓、肺、腎臓及び胎盤)の上皮細胞及び内皮細胞上に構成的に発現し、体液中にもみられる。DPP−IVはまた、循環するT−リンパ球上にも発現し、細胞表面抗原であるCD−26と同意義であることが示されている。DPP−IVは、多数のヒト疾患状態にかかわっており、糖尿病、特に、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満;炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチのような自己免疫疾患;AIDS;並びに癌が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0006】
DPP−IV阻害剤は、DPP−IVにより介される状態の予防、進行の遅延、及び/又は治療のための、有用な薬剤であると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要旨
本発明は、化合物Iの新規多形形態及びこれら多形形態の調製方法、並びに1種類以上の新規多形を含む組成物を提供する。引用しやすいように、本明細書中に記載された異なる多形は、出願全体にわたって一貫して、形態AからG、及びアモルファス形態と呼ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態A
1つの実施態様において、本発明は、本明細書中にて形態Aと呼ばれる、化合物Iの多形に関する。その物理的特性に基づくと、形態Aは結晶性形態である。
【0009】
形態Aは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Aの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)(i)アセトン、(ii)アセトニトリル、(iii)ジクロロメタン、(iv)1,4−ジオキサン、(v)ジメチルホルムアミド、(vi)エタノール、(vii)酢酸エチル、(viii)ジエチルエーテル、(ix)ヘキサン;(x)メタノール、(xi)イソプロパノール、(xii)テトラヒドロフラン、(xiii)トルエン、(xiv)トリフルオロエタノール、(xv)水、(xvi)アセトニトリル:水(85:15)、(xvii)エタノール:水(95:5)、(xviii)イソプロパノール:水(88:12)、及び(xix)テトラヒドロフラン:水(9:1)からなる群から選択される溶媒から結晶化されてもよく;
(b)溶媒に溶解した化合物Iに、混和性貧溶媒を添加することによって、沈澱されてもよく、ここで溶媒/貧溶媒系は、(i)ジメチルホルムアミド/アセトニトリル、(ii)ジメチルホルムアミド/トルエン、(iii)ジメチルホルムアミド/酢酸エチル、(iv)ジメチルホルムアミド/イソプロパノール、(v)メタノール/アセトニトリル、(v)メタノール/ジクロロメタン、(vi)トリフルオロエタノール/イソプロパノール、(vii)トリフルオロエタノール/アセトニトリル、(viii)トリフルオロエタノール/酢酸エチル、(ix)水/アセトニトリル、及び(x)水/テトラヒドロフランからなる群から選択され;
(c)約11.31、11.91、及び22.32角度2−シータ(°2θ)に回折ピークを含み、さらに特別には、約4.80、11.31、11.91、12.86、14.54、15.81、16.83、17.59、18.11、19.26、19.52、20.32、21.04、21.80、22.32、23.42、23.83、24.78、25.28、25.84、26.14、26.63、27.62、27.84、28.14、29.39、29.87、30.27、31.60、31.88、32.44、33.86、34.51、35.87、36.36、37.31、38.64,及び39.49°2θの回折ピークからなる群から選択される5つ以上の回折ピークを含み、なおさらに特別には、約11.31、11.91、19.26、21.04、及び22.32°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有し;
(d)約3141、2953、2934、2266、1699、1657、1450、及び1206波数(cm−1)に吸収帯、並びにさらに特別には、約3141、2953、2934、2266、2225、1699、1657、1450、1206、886、760、685、594、及び516cm−1に吸収帯を含む、フーリエ変換赤外吸収スペクトルを有し;
(e)約2954、2935、2225、1698、1659,及び1607cm−1にラマンピークを含み、並びにさらに特別には、約3068、2954、2935、2225、1698、1659、1607、1586、1223、1180、901、780、751、669、及び516cm−1にラマンピークを含む、ラマンスペクトルを有し;
(f)約195℃を中心とした吸熱を有する示差走査熱量スペクトル;及び
(g)25℃から165℃に加熱したときの、わずかな重量減少。
【0010】
形態B
形態Bは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Bの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)(i)イソプロパノール、(ii)エタノール:水(95:5)、(ii)イソプロパノール:水(88:12)、(iii)テトラヒドロフラン:水(9:1)、及び(iv)水からなる群から選択される溶媒から結晶化されてもよく;
(b)水に溶解した化合物Iに、ジオキサンを添加して沈澱されてもよく;
(c)約12.51、18.83、及び24.46°2θに特徴的なピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有し;
(d)約100℃に広い吸熱、並びに約138℃及び約163℃に2つの小さな吸熱、並びに約193℃に別の吸熱を含む、示差走査熱量サーモグラムを有し;
(e)約25℃から175℃に加熱したときに、有意な重量減少(>2.0%)を有し;及び
(f)水に溶解して、溶媒を蒸発して回収すると、形態Aに変換する。
【0011】
形態C
形態Cは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Cの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物Iのイソプロパノール溶液から結晶化されてもよく;及び
(b)約5.44±0.2及び6.07±0.2°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有する。
【0012】
形態D
形態Dは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Dの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物I溶液に、混和性貧溶媒を添加することによって、沈澱されてもよく;例えば、化合物Iの水溶液にアセトニトリルを添加;
(b)約12.19、22.88、及び24.33°2θに回折ピークを含む粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)か;あるいはまた、約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに、約12.19、14.04、16.71、17.75、18.86、19.96、22.08、22.88、23.27、25.02、25.49、26.03、及び27.99°2θの回折ピークからなる群から選択される4つの他のピークを含む回折パターン、並びにさらに特別には約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに約12.19、16.71、22.08、22.88、及び23.27°2θの回折ピークからなる群から選択される4つの他のピークを含む回折パターン、を有し;
(c)約88℃を中心とした広いノイズのある吸熱、並びに約107℃及び192℃に2つの他の吸熱を有する示差走査熱量サーモグラムを有し;及び
(d)20℃から85℃に加熱したとき、水分減少のために、>20%の重量減少を有する。
【0013】
形態E
形態Eは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Eの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物I溶液に、混和性貧溶媒を添加することによって、沈澱されてもよく;例えば、化合物Iの水溶液にアセトニトリルを添加することによる;
(b)約21.27及び17.15°2θに2つの回折ピーク、並びに、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.54、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34、及び31.10°2θのピークからなる群から選択される3つの他の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)、並びにさらに特別には約13.10、13.94、17.15、及び21.27°2θに回折ピークを含む、回折パターンを有し;
(c)約59℃から約75℃に2つの小さな吸熱、約107℃、110℃及び114℃にピークを有する分枝した吸熱、並びに約192℃に別の吸熱を有する、示差走査熱量サーモグラムを有し;及び
(d)25℃から85℃に加熱したとき、>2%の重量減少を有する。
【0014】
形態F
形態Fは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Fの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から結晶化されてもよく;及び
(b)約12.39、20.63、26.03、及び30.05°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有する。
【0015】
形態G
形態Gは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Gの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から結晶化によって形成されてもよく;及び
(b)約13.22、14.23、18.62、19.77、24.36、25.06、及び30.71°2θのピークからなる群から選択される、3つ以上の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有する。
【0016】
アモルファス形態
アモルファス性形態(「アモルファス形態」)は、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(アモルファス形態の存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物I水溶液を凍結乾燥することによって形成されてもよく;
(b)識別可能なピークのない、大きなハロが特徴的なXRPDスペクトルを有し;
(c)82℃にガラス転移温度、約138℃に発熱及び約199℃に吸熱を示す、示差走査熱量スペクトルを有する。
【0017】
これらの物理的特性を同定するために上記に引用した分析が行われた方法は、実施例3に記載されている。
【0018】
化合物Iを含む組成物
本発明は、化合物Iを含む組成物に関しており、ここで化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する。化合物Iの他の結晶性形態及びアモルファス性形態もまた、組成物中に存在してもよいことに留意する。
【0019】
1つの変形において、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含み、ここで0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。組成物は任意に、医薬組成物であってもよい。医薬組成物は任意に1種類以上の医薬担体をさらに含んでいてもよい。
【0020】
化合物Iを含むキット及び製品
本発明はまた、化合物Iを含む組成物を含むキット及び他の製品も提供し、ここで化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する。1つの変形において、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含み、ここで0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。キット及び製品中の組成物は任意に、医薬組成物であってもよい。医薬組成物は任意に1種類以上の医薬担体をさらに含んでいてもよい。
【0021】
医薬組成物を含む上記の各実施態様に関しては、医薬組成物は、化合物Iの少なくとも一部分が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する任意の様式で製剤化されてもよい。任意に、医薬製剤のヒトへの投与後一定期間、化合物Iの一部分は、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する。
【0022】
形態G及びアモルファス形態から形態Aの作製方法
形態G及びアモルファス形態から形態Aを作製する様々な方法がまた提供される。形態G及びアモルファス形態から1種類以上の形態Aを含む医薬組成物、キット及び他の製品を製造する様々な方法もまた提供される。
【0023】
形態G及びアモルファス形態から形態Aの使用方法
DPP−IVによって介される様々な疾患を治療するための、形態G、及びアモルファス形態から1種類以上の形態Aを含む、医薬組成物、キット及び他の製品の使用方法もまた、提供される。
【0024】
1つの実施態様において、本発明は、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する組成物の投与を含む、ジペプチジルペプチダーゼの阻害方法に関する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、化合物Iを投与することによって、化合物Iで被検体(例えば、ヒト身体)におけるジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法に関しており、ここで化合物が投与されるときに、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、化合物Iを投与することによって、化合物Iで被検体(例えば、ヒト身体)におけるジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法に関しており、ここで、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、化合物が被検体に投与された後一定期間、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0027】
さらに別の実施態様において、本発明は、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが保持する疾患状態の治療方法であって、組成物を被検体(例えば、ヒト身体)に投与することを含む方法を提供し、ここで0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、投与時に、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0028】
さらに別の実施態様において、本発明は、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが保持する疾患状態の治療方法であって、組成物を被検体(例えば、ヒト身体)に投与することを含む方法を提供し、ここで0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、組成物が被検体に投与された後一定期間、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0029】
別の実施態様において、DPP−IVにより介される状態、特に、糖尿病、さらに特別には、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満;炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチのような自己免疫疾患;AIDS、癌、並びにその他の予防、進行の遅延、及び/又は治療方法が提供される。
【0030】
化合物Iが、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在してもよいと述べた各例において、本発明は、1種類の形態のみ存在する場合、2種類の形態が存在する場合(全ての組み合わせ)並びに3種類、4種類又はそれ以上の形態が存在する場合(全ての組み合わせ)の組成物を包含するように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図の簡単な記述
【図1】図1は、形態Aの特徴的な粉末X線回折(XRPD)スペクトルである。
【図2】図2は、形態Aの特徴的な熱重量分析(TGA)サーモグラムである。
【図3】図3は、形態Aの特徴的な示差走査熱量(DSC)サーモグラムである。
【図4A】図4Aは、形態Aの特徴的なフーリエ変換赤外吸収(FT−IR)スペクトル(4000−400波数(cm−1))である。
【図4B】図4Bは、図4AのFT−IRスペクトルの拡大(4000−2500cm−1)である。
【図4C】図4Cは、図4AのFT−IRスペクトルの拡大(2500−1500cm−1)である。
【図4D】図4Dは、図4AのFT−IRスペクトルの拡大(1600−400cm−1)である。
【図5A】図5Aは、形態Aの特徴的なFT−ラマンスペクトル(3600−0cm−1)である。
【図5B】図5Bは、図5AのFT−ラマンスペクトルの拡大(3600−1500cm−1)である。.
【図5C】図5Cは、図5AのFT−ラマンスペクトルの拡大(1500−500cm−1)である。
【図5D】図5Dは、図5AのFT−ラマンスペクトルの拡大(500−100cm−1)である。
【図6】図6は、形態Aの溶液プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルである。
【図7】図7は、形態Aの固体炭素−13核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルである。
【図8】図8は、形態A及び形態Bの混合物(形態A+B)の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図9】図9は、形態A+Bの、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図10】図10は、形態A+BのTG−IR分析の、TGAサーモグラムである。
【図11】図11は、形態A+BのTG−IR分析の、関連した(〜5分遅延)IRスペクトルである。下のスペクトルは、TG分析(図10)の開始から〜5分にて発した揮発物のIR分析である。上のスペクトルは、水の参照スペクトルである。
【図12】図12は、形態A+Bの、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図13】図13は、形態A+Bの、水分吸着脱着等温線である。
【図14】図14は、形態Cの、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図15】図15は、形態Dの、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図16】図16は、形態Dの、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図17】図17は、形態DのTG−IR分析の、TGAサーモグラムである。
【図18】図18は、形態DのTG−IR分析の、関連した(〜5分遅延)IRスペクトルである。上のスペクトルは、TG分析(図17)の開始から〜5分にて発した揮発物のIRスペクトルである。下のスペクトルは、水の参照スペクトルである。
【図19】図19は、形態Dの、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図20】図20は、形態Eの、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図21】図21は、形態Eの、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図22】図22は、形態Eの、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図23】図23は、形態Eの、水分吸着脱着等温線である。
【図24】図24は、形態A及び形態Fの混合物(形態A+F)の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図25】図25は、形態A、形態E及び形態Gの混合物(形態A+E+G)の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図26】図26は、アモルファス形態の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図27】図27は、アモルファス形態の、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図28】図28は、アモルファス形態の、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図29】図29は、アモルファス形態のガラス転移温度を評価するための、DSCサーモグラムである。
【図30】図30は、アモルファス形態の、水分吸着脱着等温線である。
【図31】図31は、水分吸着脱着分析前(上)及び後(中)におけるアモルファス形態のXRPDスペクトル、並びに形態AのXRPDパターン(下)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な記載
本発明は、以下の式2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物1)のコハク酸塩を含む、新規多形、及び組成物について述べている、
【0033】
【化2】
【0034】
ここで、化合物Iの少なくとも一部分は、結晶性形態である形態AからG、及びアモルファス性形態であるアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。
【0035】
化合物Iを含む組成物を有するキット及び他の製品であって、ここで、化合物Iの少なくとも一部分が、結晶性形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在するキット及び他の製品もまた提供される。
【0036】
各開示した形態の作成方法;化合物Iを含む医薬組成物の製造方法であって、化合物Iの少なくとも一部分が、結晶性形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する方法;並びに化合物Iを含む組成物の使用方法であって、化合物Iの少なくとも一部分が、結晶性形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する方法、を含む様々な方法もまた提供される。
【0037】
理解されるように、所与の化合物を含む組成物の作製方法に依存して、そして一度作製されたら、組成物の保管方法及び操作方法に依存して、組成物の結晶性成分が影響される。従って、組成物が、結晶性成分を全く含まないか、又はより高濃度の結晶性成分を含んでいてもよい可能性がある。
【0038】
化合物が、所与の組成物中に、1種類以上の異なる多形形態で存在してもよいこと、並びに任意にアモルファス物質としてもまた存在していてもよいことにさらに留意する。これは、(a)2種類以上の異なる多形形態を物理的に混合すること;(b)2種類以上の異なる多形形態を、結晶化条件から生成させること;(c)所与の多形形態の全部又は一部分を、別の多形形態に変換させること;(d)アモルファス状態の化合物の全部又は一部分を、2種類以上の多形形態に変換させること;並びに、他の理由の結果であってもよい。
【0039】
理解されうるように、化合物を含む組成物の調製方法に依存して、所与の多形形態中の化合物の重量パーセントは、0%から100%まで様々であり得る。本発明によれば、0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%又はそれを超える化合物I(重量)が、形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する組成物が提供される。
【0040】
定義
「結晶性」は、該用語が本明細書中にて使用される場合、水和及び/又は溶媒和されていてもよく、かつXRPD又は他の回折技術により、識別可能な回折パターンを呈する化学部分の十分な秩序を有する物質を指す。たいてい、溶液中に溶解される化合物の直接的な結晶化、又は、異なる結晶化条件で得られる結晶の相互変換によって得られる結晶性物質は、結晶化において使用される溶媒(結晶性溶媒と呼ばれる)を含む結晶を有するであろう。また、結晶化が行われる特定の溶媒系及び物理的実施態様は、まとめて結晶化条件と呼ばれ、結晶化条件に特有な物理的及び化学的性質を有する結晶性物質を生じてもよく、これは一般に、結晶内での化合物の互いの化学部分の配向、及び/又は化合物の特定の多形形態が結晶性物質において優勢であることに起因する。
【0041】
組成物中に存在する化合物の多形形態(単数又は複数)に依存して、アモルファス固体状態の様々な量の化合物もまた、最初の結晶化の副産物、及び/又は結晶性物質を含む結晶の分解生成物のいずれかとして、存在してもよい。従って、結晶性とは、本明細書中にて使用される場合、組成物がアモルファス成分を含んでいてもよいこと;アモルファス物質中の結晶性物質の存在を、識別可能な回折パターンを有する組成物により、他の方法間で検出可能であることを、意図する。
【0042】
結晶性物質のアモルファス成分は、物質粉砕又は微粉砕によって増加してもよく、これは、粉砕前の結晶性物質に比較して、回折及び他のスペクトル線が広くなることによって明らかにされる。十分な粉砕及び/又は微粉砕は、粉砕前の結晶性物質に比較して、XRPD又は他の結晶特異的なスペクトルが、識別不可能になる程度にまで、線を広げてもよくて、この物質は実質的にアモルファス又は準アモルファスとなる。
【0043】
粉砕を継続すると、アモルファス成分が増加して、XRPDパターンがさらに広くなる(XRPDパターンが、もはやノイズと識別できなくなるほどにまで広がることを限界とする)ことが予期される。XRPDパターンが、識別不可能である限界まで広げられた場合には、物質は、もはや結晶性物質とはみなされず、その代わりに完全にアモルファスであるとみなされる。アモルファス成分が増加した物質、及び完全にアモルファスである物質については、粉砕により別の形態が生成することを示すピークは観察されないはずである。
【0044】
「アモルファス」は、該用語が本明細書中にて使用される場合、XRPD又は他の回折技術によって識別可能なパターンを生み出すのには、含有する化合物の結晶性成分があまりにも少ない化合物を含む組成物を指す。ガラス状物質は、アモルファス物質の一種である。ガラス状物質は、真正の結晶格子を有しておらず、非常に粘性のある非晶質液体と技術的に類似している。真正な固体であるというよりも、ガラスは、準固体アモルファス物質と記載されるほうがよいかもしれない。
【0045】
「広い(broad)」又は「広げられた(broadened)」は、該用語が本明細書中で、スペクトル線(XRPD、NMR及びIR分光法が挙げられる)、及びラマン分光法の線について記載するために使用される場合、基線スペクトルの線幅に対する相対的な用語である。基線スペクトルは、たいてい、所与の一連の物理的及び化学的条件(溶媒組成、並びに温度及び圧力のような性質)から直接得られる、特定の化合物の未操作の結晶性形態のスペクトルである。例えば、広げられた、は、粉砕又は微粉砕された、結晶性化合物を含む物質のXRPDスペクトルのスペクトル線を、粉砕前の物質に比較して、記載するのに使用されうる。構成分子、イオン又は原子が、溶媒和又は水和した場合に、すばやく回転しない物質では、線の広幅化は、化合物の化学部分の配向における無秩序性の増加を示し、従って、アモルファス成分の増加を示す。異なる結晶化条件を介して得られた結晶性物質間で比較した場合、より広いスペクトル線は、相対的により広いスペクトル線を作り出す物質が、より高レベルのアモルファス物質を有することを示す。
【0046】
「約」は、本明細書中にて使用される場合、引用した値の±5%内に、真の値があるという見積もりを指す。
【0047】
「分枝した」は、該用語がDSC吸熱及び発熱を記載するために本明細書中にて使用される場合、区別可能なピーク位置を有する重ね合わさった吸熱又は発熱を指す。
【0048】
多形の調製及び特徴づけ
A.化合物Iの調製
化合物Iを合成するために、様々な方法が使用されてもよい。代表的な化合物Iの合成方法は、実施例1に提供される。しかし、2005年3月15日出願された米国特許出願第11/080,992号、にて開示されているもの(引用によってその全体が、本明細書中に援用されている)を含む、他の合成経路もまた、化合物Iを合成するために使用されてもよいことに留意する。
【0049】
B.化合物Iの多形の調製
化合物の沈澱及び結晶化の一般的な方法は、本明細書中に記載した様々な多形を調製するために適用されてもよい。これらの一般的な方法は、有機合成化学及び医薬製剤分野の当業者には公知であり、例えば、J.March,“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,”第4版(New York:Wiley−Interscience,1992)に記載されている。
【0050】
一般に、化合物の所与の多形は、化合物の直接的な結晶化によって、あるいは、化合物の結晶化とそれに引き続く別の多形形態から又はアモルファス性形態からの相互変換によって得られてもよい。化合物が結晶化される方法に依存して、生じる組成物は、アモルファス物質とは対照的に、異なる量の化合物を、結晶性形態にて含んでいてもよい。また、生じる組成物は、化合物の異なる多形形態の、異なる混合物を含んでいてもよい。
【0051】
より高いパーセントの結晶性成分を含む組成物(例えば、格子欠陥がより少なくて、それに比例してより少ないガラス物質を有する結晶を形成すること)は、一般に、よりゆっくりとした結晶形成を好む条件(低速溶媒蒸発及び動態学に影響するものを含む)を使用した場合に、調製される。結晶化条件は、必要に応じて、より高品質な結晶性物質を得るために、適切に調節されてもよい。したがって、例えば、もし最初の一連の結晶化条件下で、わずかな結晶が形成される場合、結晶化を遅らせるために、最初の一連の結晶化条件下に比較して、溶媒温度を低くして、溶液にかける周囲圧力を増加してもよい。
【0052】
溶液からの化合物の沈澱(これは、たいていは、溶媒の高速蒸発により影響を受ける)では、アモルファス固体を形成している化合物が、結晶に対して有利であることが公知である。アモルファス状態の化合物は、溶媒和化合物から溶媒を高速蒸発させることによって、あるいは、結晶性状態にある間の化合物を、粉砕、微粉砕、又は他の物理的な負荷もしくは摩擦によって、作製されてもよい。
【0053】
実施例1に記載される方法によって調製された化合物Iは、全ての他の多形形態を調製するための出発物質として使用されてもよい。化合物Iの溶解度を試験するための方法は、実施例2に記載されており、様々な溶媒における化合物Iの溶解度は、実施例2の表Aにまとめている。ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、トリフルオロエタノール(TFE)、水、および水:溶媒混合物を除く、ほとんどの溶媒において、わずかな溶解しか観察されなかった。
【0054】
様々な多形形態が調製される方法は、実施例3のサブセクションAに記載されている。形態A〜G、及びアモルファス形態が調製される特定の方法は、実施例3の表B及びCに記載されている。形態A、形態A+B、形態C、形態D、形態E、形態A+F、形態A+E+G、及びアモルファス形態を形成するための有用な方法は、実施例3〜10にそれぞれ記載されている。
【0055】
C.化合物Iの多形
7種類の結晶性形態及び1種類のアモルファス固体が、多形スクリーニングを行うことによって同定された(実施例3)。
【0056】
本明細書中に記載されているのは、化合物Iの形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態である。可能である場合には、各異なる多形についての各試験結果が、提供される。形態A、C、D及びEは、純粋な形態として調製された。形態B、F、及びGは、形態Aとの混合物として調製された。
【0057】
化合物Iの多形を物理的に特徴付けるために、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、ホットステージ顕微鏡法、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、フーリエ変換ラマン分光法、熱重量測定−赤外分光法の組み合わせ(TG−IR)、溶液プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)、固体13炭素核磁気共鳴(13C−NMR)、及び水分吸着脱着分析(MS/Des)を含む様々な試験が行われた。各分析技術についての詳細な実験条件は、実施例3、サブセクションBに記載される。形態A〜G及びアモルファス形態の特徴づけは、実施例11〜18に記載される。化合物Iの様々な形態の安定性の試験方法、及び多形形態が相互変換する条件は、実施例19〜25に記載される。
【0058】
1.形態A
形態Aは、多形スクリーニング間に使用される様々な溶媒から、様々な結晶化条件下(例えば、急速及び低速蒸発、飽和溶液の冷却、スラリー、並びに溶媒/貧溶媒添加)における結晶化によって調製されてもよい。実施例3の表B及びCは、形態Aが調製される手法をまとめている。例えば、形態Aは、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ヘキサン、メタノール、イソプロパノール、水、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、又は他の類似の溶媒中の過剰量の化合物Iの室温スラリーをおよそ5又は7日回転板で回転させて得られた。固形物を真空ろ過によって回収して、ドラフト内で空気乾燥した。また、化合物Iのメタノール溶液から低速蒸発(SE)によって、形態Aを沈澱させた。
【0059】
形態Aは、XRPD、TGA、ホットステージ顕微鏡法、IR、ラマン分光法、溶液1H−NMR、及び固体13C−NMRによって特徴付けられた。
【0060】
図1は、形態Aの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を示す。XRPDパターンにより、形態Aは結晶性であることが確証された。主要なX線回折線は、°2θで表し、これらの相対強度は、表1にまとめている。
【0061】
【表1】
【0062】
上記のXRPDピーク位置セット又はそれらのサブセットは、形態Aを同定するために使用されうる。1つのサブセットには、約11.31、11.91、12.86、14.54、15.81、16.83、17.59、19.26、19.52、21.04、22.32、26.63、及び29.87°2θのピークが含まれる。別のサブセットには、約11.31、11.91、19.26、21.04、及び22.32°2θのピークが含まれ;このサブセットのピークは、ショルダーピーク又は0.2°2θより大きいピーク割れを示さない。別のサブセットには、約11.31、11.91及び22.32°2θのピークが含まれる。
【0063】
図2は、形態AのTGAサーモグラムである。TGA分析により、形態Aは25℃から165℃まで加熱したときに、わずかな重量減少しか呈さないことが示される;この結果は、形態Aが無水固形物であることを示唆している。
【0064】
図3は、形態Aの特徴的なDSCサーモグラムを示す。DSC分析により、およそ195℃(最大ピーク)にて、単一の吸熱事象がおこることが示される。この吸熱事象は、形態Aの融解(融解は177℃付近で始まり、融点はおよそ184℃であると見積もられた)を示すホットステージ顕微鏡法によって確証された。
【0065】
図4(A〜D)は、形態Aの特徴的なFT−IRスペクトルを示す。波長の逆数で表される(波数cm−1)主要なバンドは、約3815、3736、3675、3460、3402、3141、3098、3068、3049、2953、2934、2854、2760、2625、2536、2481、2266、2225、2176、1990、1890、1699、1657、1638、1626、1609、1586、1553、1517、1492、1478、1450、1419、1409、1380、1351、1327、1289、1271、1236、1206、1180、1158、1115、1087、1085、1064、1037、1027、971、960、951、926、902、886、870、831、820、806、780、760、740、728、701、685、668、637、608、594、567、558、及び516cm−1(値は、一番近い整数に四捨五入した)に位置している。この特有のIR吸収帯セット又はそれらのサブセットは、形態Aを同定するのに使用されうる。このようなサブセットの1つは、約3141、3098、3068、3049、2953、2934、2854、2266、2225、1699、1657、1609、1586、1553、1517、1492、1478、1450、1380、1351、1327、1236、1206、1115、1063、902、886、870、820、780、760、685、608、594,及び516cm−1の吸収帯を含む。別のサブセットは、約3141、2953、2934、2854、2266、2225、1699、1657、1450、1206、886、760、685、594,及び516cm−1の吸収帯を含む。また別のサブセットは、約3141、2953、2934、2266、1699、1657、1450,及び1206cm−1の吸収帯を含む。
【0066】
図5(A〜D)は、形態Aの特徴的なラマンスペクトルを示す。波長の逆数で表される(波数cm−1)主要なラマンバンドは、約3100、3068、3049、2977、2954、2935、2875、2855、2787、2263、2225、2174、1698、1659、1626、1607、1586、1492、1478、1451、1439、1409、1400、1382、1351、1328、1290、1281、1271、1237、1223、1213、1180、1155、1134、1115、1084、1063、1035、971、952、926901、868、805、780、759、740、727、701、686、669、609、594、566、558、516、487、479、433、418、409、294、274、241、218、191及び138cm−1(値は、一番近い整数に四捨五入した)に位置している。この特有のラマンバンドセット又はそれらのサブセットは、形態Aを同定するのに使用されてもよい。このようなサブセットの1つは、約2954、2935、2225、1698、1659,及び1607cm−1のラマンバンドを含む。別のサブセットは、約3068、2954、2935、2225、1698、1659、1607、1586、1223、1180、901、780、759、669,及び516cm−1のラマンバンドを含む。また別のサブセットは、約3100、3068、2225、1698、1659、1607、1586、1351、1237、1223、1180、1155、1134、1115、1063、952、926、901、868、805、780、759、740、669、609、及び516cm−1のラマンバンドを含む。
【0067】
形態Aはさらに、溶液1H NMR及び固体13炭素NMRによって特徴付けられる。スペクトルは、図6および7にそれぞれ報告する。化学帰属は行っていない;しかし、スペクトルは、化合物Iの公知の化学構造と一致する。
【0068】
相対湿度負荷研究(実施例19)により、およそ58%及び97%の相対湿度にて、29日間保管後、XRPDで明らかなように、形態Aは形態変化を示さなかったことが示された。さらなる相対湿度負荷研究により、形態B及びアモルファス形態もまた形態Aに変換したことが示された。
【0069】
上記の入手可能な特徴づけデータに基づくと、形態Aは、周囲条件において、無水かつ安定であった。
【0070】
2.形態B
形態Bは、形態Aとの混合物として調製された(本明細書後半にて「形態A+B」と呼ばれる)(実施例5)。形態A+Bは、XRPD、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、TG−IR、及び水分吸着脱着分析によって特徴付けられた。
【0071】
図8に示した形態A+BのXRPDパターンにより、形態A+Bが結晶性であることが確証した。特徴的な回折線は、°2θ(CuKα,λ=1.5418Å)で表し、それらの相対強度は、以下の表2にまとめる。
【0072】
【表2】
【0073】
この特有のXRPDピークセット又はそれらのサブセットは、化合物Iの形態A+Bを同定するのに使用されうる。形態Bに特徴的なピークセットのサブセットは、形態A+BのXRPDピーク位置から形態Aのそれを差し引いて得られた。形態Bの存在を同定するのに使用されてもよいこのサブセットは、約12.51、18.83及び24.46°2θの位置のピークを含む。
【0074】
DSC分析(図12)により、約100℃の広い吸熱、それに続く138℃及び163℃の小さな吸熱、並びに193℃の主要な吸熱が示された。これらの事象は、形態A+Bのゆっくりとした脱溶媒和/脱水和を、それから脱溶媒化した形態B(163℃)及び形態A(193℃)の融解を示唆した。
【0075】
これらの融解事象は、ホットステージ顕微鏡法で確証され、粒子の一部分はおよそ179℃で融解し、残りの粒子は188℃で融解することも示した(顕微鏡写真は挙げていない)。
【0076】
TGA分析(図9)により、形態A+Bを25℃から98℃まで加熱したときに、2.0%の重量減少、及び98℃から175℃まで加熱を続けたときに、さらに0.7%の重量減少が示された。
【0077】
TG−IR(図10及び11)分析により、TGAによって示される重量減少(図10)は、水の揮発に起因するものである(図11)ことが明らかとなった。2.4%の重量減少は、およそ0.5から1.0モルの水と一致した。形態Aは無水であることが示されたので、これらの結果は、形態Bが水和化した固体形態であることを示唆している。
【0078】
水分吸着/脱着分析(図13及び実施例23)により、5%の相対湿度の平衡にて0.7%の重量減少が示された。1.2重量%の可逆的な重量変化が、吸着/脱着において観察された。水分吸着分析後に残存した物質のXRPD分析は、形態Aと一致した。
【0079】
形態Bは、脱水条件下にて形態Aに変換されてもよい。形態A+Bが、58%及び88%の相対湿度に23日間負荷されたとき、残存固形物は形態Aであった(実施例19)。形態A+Bが、周囲条件にて2日間、そして周囲温度にて真空オーブン中に1日間、曝露されたとき、形態A+Bは形態Aに変換した(実施例20)。形態A+Bを水中でスラリーにして、引き続いて蒸発により水を除去したとき、形態A+Bは形態Aに変換した(実施例21)。
【0080】
収集した特徴づけデータに基づくと、形態Bは結晶性であり、水和化した固形物であった。
【0081】
3.形態C
形態Cは、低速冷却によって化合物IのIPA溶液からの沈澱により調製された(実施例5)。XRPDにより、形態Cが結晶性であることが確証された。
【0082】
形態Cの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を、図14に示す。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度は、以下の表3にまとめる。
【0083】
【表3】
【0084】
この特有のXRPDピーク位置セット又はそれらのサブセットは、形態Cを同定するのに使用されうる。約5.44及び6.07°2θのピークは、ショルダー又は0.2°2θより大きいピーク割れを呈さないことから、形態Cを同定するのに特に有用なピークである。
【0085】
4.形態D
形態Dは、化合物I水溶液にアセトニトリル(混和性貧溶媒)を添加することによって沈澱した(実施例6)。沈澱物は、溶液1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、及びホットステージ顕微鏡法によって特徴付けられた。
【0086】
溶液1H NMRデータ(スペクトルは挙げていない)により、形態Dが、化合物Iと同様の化学構造を有することが示された。
【0087】
形態Dの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα)を、図15に示す。XRPD回折パターンにより、形態Dが結晶性であることが確証された。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を、表4にまとめる。
【0088】
【表4】
【0089】
この上記のXRPDピーク位置のセット又はそれらのサブセットは、化合物Iの形態Dを同定するのに使用されうる。形態Dを同定するのに特に有用なものは、約24.33 °2θに位置するピーク、並びに約12.19、14.04、16.71、17.75、18.86、19.96、22.08、22.88、23.27、25.02、25.49、26.03,及び27.99°2θのピークからなる群から選択された4つの他のピークを含むピークのサブセットである。さらに特に有用なものは、約24.33°2θに位置するピーク、並びに約12.19、16.71、22.08、22.88,及び23.27°2θのピークからなる群から選択された4つの他のピークを含むピークのサブセットである。形態Dを同定するのに有用な他のピークのサブセットは、約12.19、22.88及び24.33°2θ、±0.2°2θのピークを含むものである。
【0090】
アモルファス形態が蒸気に負荷されたときに、形態Dが形成された(実施例22)。TGA分析(図16)により、形態Dは、平衡にておよそ8%の重量減少、続いて25℃から85℃で21.9%の重量減少を呈することが示された。およそ30%の総重量減少は、およそ11モルの水と一致した。
【0091】
さらに、TG−IR分析(図17及び18)により、20℃から100℃の重量減少は、水の揮発に起因するものであることが確証される。
【0092】
形態DのDSC分析により(図19)、88℃にはっきりとした最大ピークを持つ多数の広い吸熱、続いておよそ107℃及び192℃の吸熱が示された。データは、固体が脱溶媒化/脱水化し、融解し、及び形態Aに変換する可能性があること(加熱を継続すると続いて形態Aが融解する)を、示唆した。
【0093】
ホットステージ分析により、固形物の最終的な融解は192℃であることが示され(顕微鏡写真は挙げていない)、これによって、形態Dが,約192℃の融点を有する形態Aに変換されたことがさらに実証された。
【0094】
まとめると、特徴づけデータにより、形態Dは結晶性であり、水和化した固形物であることが示された。
【0095】
5.形態E
形態Eは、化合物IのH2O/ACN 溶媒/貧溶媒溶液の蒸発によって沈澱した(実施例7)。沈澱物は、溶液1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、ホットステージ顕微鏡法、及び水分吸着/脱着分析によって特徴付けられた。
【0096】
溶液1H NMRデータ(スペクトルは挙げていない)により、形態Eは、化合物Iと同様の化学構造を有することが示された。
【0097】
形態Eの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を、図20に示す。XRPD回折パターンにより、形態Eが結晶性であることが確証された。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を、以下の表5にまとめる。
【0098】
【表5】
【0099】
上記のXRPDピーク位置の特有のセット又はそれらのサブセットは、形態Eを同定するのに使用されうる。このようなピークのサブセットは、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.15、17.54、21.27、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34,及び31.10°2θのピークからなる群から選択される任意の5つのピークを含んでいてもよい。形態Eを同定するのに使用されてもよい他のピークのサブセットは、約21.27及び17.15°2θのピーク、並びに、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.54、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34,及び31.10°2θのピークからなる群から選択される3つの他のピークが挙げられる。形態Eを同定するのに使用されてもよい別のピークのサブセットは、約13.10、13.94、17.15、21.27、26.31及び27.34°2θに位置するピークを含む。
【0100】
TGA分析(図21)により、形態Eは、25℃から85℃に加熱すると、2.6%の重量減少を呈することが示された。
【0101】
DSC分析(図22)により、59℃及び75℃に2個の小さい吸熱(脱水)、107℃、110℃、及び114℃にピークがある分枝した吸熱、それに続いて192℃の単一の吸熱が示された。
【0102】
形態Eのホットステージ分析(顕微鏡写真は挙げていない)により、59℃及び81℃にて複屈折に変化が示され、これは固形物の脱水と一致している。ホットステージ顕微鏡法はさらに、融解のおよその終点は、約185℃で起こることを示した。
【0103】
水分吸着/脱着データ(図23及び実施例24)により、脱水条件下にて形態Eが形態Aに変換することが示された。1.3%の重量減少が、5%の相対湿度の平衡にて観察された。サンプルは、5〜95%の相対湿度変化による吸着で、およそ5重量%増加した。およそ6重量%の減少が、5%の相対湿度の脱着にて観察された。水分吸着/脱着後のサンプルについてのXRPD分析により、形態A及び形態Eの混合物であることが示された。
【0104】
まとめると、特徴づけデータにより、形態Eは結晶性であり、水和化した固形物であることが示された。
【0105】
6.形態F
形態Fは、低速冷却結晶化条件下にて、化合物IのTHF:水(9:1)溶液からの沈澱によって、形態Aとの混合物(形態A+F)として調製された(実施例8)。形態A+Fの沈澱物は、XRPDによって特徴付けられた。
【0106】
形態A+Fの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を、図24に示す。XRPDパターンにより、物質が結晶性であることが確証された。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を表6にまとめる。
【0107】
【表6】
【0108】
上記のXRPDピークの特有のセット又はそれらのピークのサブセットは、化合物Iの形態A+Fを同定するのに使用されうる。形態Fを同定するのに使用されてもよい形態Fのみに特徴的なピークのサブセットは、形態A+FのXRPDピークから形態Aのそれを差し引いて得られ;このサブセットは、約12.39、20.63、26.03,及び30.05°2θのピークを含み、形態Eの存在を同定するために使用されてもよい。
【0109】
7.形態G
形態Gは、周囲条件においてスラリー化した化合物IのTHF:水(9:1)溶液からの沈澱により、形態A及び形態Eの混合物(形態A+E+G)として調製された(実施例9)。沈澱物は、XRPDによって特徴付けられ、結晶性であることが確証された。形態A+E+Gの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα)を、図25に示す。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を、表7にまとめる。
【0110】
【表7】
【0111】
上記のXRPDピークの特有のセット又はそれらのサブセットは、化合物Iの形態A+E+Gを同定するのに使用されうる。形態Gに特徴的なピークのサブセットは、形態A+E+GのXRPDスペクトルから、形態A及び形態EのXRPDピークを差し引いて得られ;このサブセットは、約13.22、14.23、18.62、19.77、24.36、25.06,及び30.71°2θに位置するピークを含む。形態Gに特徴的なピークのこのサブセットは、形態Gの存在を同定するために使用されてもよい。
【0112】
8.アモルファス形態
化合物Iのアモルファス形態は、化合物Iの水溶液を凍結乾燥して調製された(実施例10)。残渣物質は、XRPDによって特徴付けられ、生じるXRPDスペクトルを、図26に図示する。XRPDスペクトルは、特定のピークが存在しない広いハロを示し、これによって物質がアモルファスであることが確証される。物質はさらに、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、及び水分吸着分析によって特徴付けられた。
【0113】
TGA分析(図27)により、25℃から95℃にて、1.8%の重量減少が示され、これはおそらく残存溶媒の減少に起因する。
【0114】
DSC分析(図28)により、130℃の発熱まで、わずかに凹型のベースライン(再結晶化)、続いて194℃の吸熱が示され、これは形態Aの融解の結果である。ホットステージ顕微鏡法により、これらの再結晶化及び融解事象が確証された(顕微鏡写真は挙げていない)。およそのガラス転移が(図29)、開始温度82℃にて観察された。
【0115】
水分吸着/脱着データ(図30及び実施例25)により、5%の相対湿度の平衡にて、1.0%の重量減少が示された。およそ8重量%が、65%の相対湿度までに増加した。およそ7重量%が、75%の相対湿度にて減少した。これはおそらく、アモルファス物質から結晶性固形物への再結晶に起因する。4.4重量%の増加が、75%から95%までの相対湿度における吸着で観察された。およそ4.7重量%が、95%から5%までの相対湿度における脱着で減少した。水分吸着分析後に残存した固形物質は、XRPDにより、形態Aであると決定された(図31)。
【0116】
アセトン又はエタノール蒸気中でアモルファス形態に負荷をかけると、形態Aが生じた(実施例22)。58%及び88%の相対湿度でアモルファス形態に負荷をかけると、形態Aが生じた(図19)。水蒸気中でアモルファス形態に負荷をかけると、形態A及びDの混合物が生じた(実施例22)。
【0117】
化合物Iの使用適応症
本発明はまた、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形態にて化合物Iを投与することによって、被検体内のDPP−IV活性を変化させる、好ましくは減少させる方法にも関する。
【0118】
DPP−IVは、阻害による被検体内のDPP−IV活性を減少が、疾患状態の治療に取り組むのに使用されてもよいような、いくつかの異なる疾患の、病理学及び/又は徴候学に寄与すると考えられる。本発明の化合物Iを使用して治療されてもよい様々な疾患の例は、本明細書中に記載されている。様々な経路で機能するDPP−IVの生物学的役割がさらに十分理解されるために、本明細書中に開示したものを超えた更なる疾患が、後に同定されてもよいことに留意する。
【0119】
化合物Iは、糖尿病及び肥満に関連した状態を治療又は予防するのに使用されてもよい。DPP−IVは、インビボにおけるGLP−1(7−36)の主要な分解酵素であることが示されている。GLP−1(7−36)は、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、満腹状態の促進、及び胃内容排出の遅延を含む、インビボでの複数の作用を有する。GLP−1(7−36)の作用は、II型糖尿病及び潜在的な肥満の予防並びに治療に有用であると考えられる。DPP−IVは、GLP−1(7−36)をGLP−1(9−36)へと効率的に分解して、GLP−1(7−36)に対する生理学的アンタゴニストとして作用すると推測されている。それゆえ、インビボでのDPP−IVの阻害は、GLP−1(7−36)の内因性レベルの増強及びそのアンタゴニストGLP−1(9−36)の形成の減弱に有用であると考えられる。従って、化合物Iは、DPP−IVにより媒介される状態、糖尿病、さらに特別には、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満の、予防、進行の遅延、及び/又は治療において有用であると考えられる。
【0120】
化合物Iは、免疫抑制剤(又はサイトカイン遊離抑制薬物)として使用されてもよい。DPP−IV発現は、分裂促進性又は抗原性の刺激時に、T細胞において増大する(Mattem,T.,et al.,Scand.J.Immunol.,1991,33,737)。DPP−IVの阻害剤及びDPP−IVに対する抗体は、分裂促進因子刺激されたT細胞及び抗原刺激されたT細胞の増殖を、用量依存的な様式で抑制することが報告されている(Schon,E.,et al.,Biol.Chem.,1991,372,305)。Tリンパ球の様々な他の機能、例えば、サイトカイン産生、IL−2媒介細胞増殖及びB細胞ヘルパー活性が、DPP−IV活性に依存的であることが示されている(Schon,E.,et al.,Scand.J.Immunol.,1989,29,127)。ボロプロリン(boroProline)(Flentke,G.R.,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,199,88,1556)由来のDPP−IV阻害剤は、不安定ではあるが、マウスCD4+Tヘルパー細胞における抗原誘発性リンパ球増殖及びIL−2産生を阻害するのに有効であった。そのようなボロン酸阻害剤は、免疫チャレンジにより誘導される抗体産生の抑制を生じるマウスにおけるインビボ効果を有することが示されている(Kubota,T.et al.,Clin.Exp.Immun.,1992,89,192)。Tリンパ球活性化の制御におけるDPP−IVの役割はまた、部分的には、膜貫通ホスファターゼであるCD45とのその細胞表面会合にも寄与しうる。DPP−IV阻害剤又は非活性なサイトリガンドは、CD45−DPP−IV会合をおそらく破壊するかもしれない。CD45は、T細胞シグナル装置の不可欠な構成要素であることが公知である。DPP−IVは、CD4+T細胞におけるHIV−1及びHIV−2ウイルスの侵入及び感染力に必須であることが報告されている(Wakselman,M.,Nguyen,C.,Mazaleyrat,J.−P.,Callebaut,C.,Krust,B.,Hovanessian,A.G.,Inhibition of HIV−1 infection of CD 26+ but not CD 26−cells by a potent cyclopeptidic inhibitor of the DPP−IV activity of CD 26. Abstract P.44 of the 24th European Peptide Symposium 1996)。さらに、DPP−IVは、T細胞の表面上で酵素アデノシンデアミナーゼ(ADA)と会合することが示されている(Kameoka,J.,et al.,Science,193,26 466)。ADA欠損は、ヒトにおいて重症複合型免疫不全症(SCID)を引き起こす。このADA−CD26相互作用は、SCIDの病態生理学の手がかりを提供してもよい。従って、DPP−IVの阻害剤は、とりわけ、臓器移植拒絶反応;自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチ)の治療;並びに、AIDSの治療に有用な免疫抑制剤(又は、サイトカイン遊離抑制薬物)であってもよいこととなる。
【0121】
化合物Iは、様々な癌の治療に使用されてもよい。肺内皮細胞DPP−IVは、肺転移性のラット乳癌細胞及び前立腺癌細胞の接着分子であることが示されている(Johnson,R.C.,et al.,J.Cell.Biol.,1993,121,1423)。DPP−IVは、フィブロネクチンに結合することが公知であり、いくつかの転移性腫瘍細胞は、その表面に多量のフィブロネクチンを持つことが公知である。強力なDPP−IV阻害剤は、例えば、乳房及び前立腺腫瘍の肺への転移を防ぐための薬物として有用であってもよい。
【0122】
化合物Iは、乾癬及び扁平苔癬のような皮膚科的疾患を治療する薬剤として有用であってもよい。高レベルのDPP−IV発現はまた、乾癬、関節リウマチ(RA)及び扁平苔癬を持つ患者由来のヒト皮膚線維芽細胞においても見出されている(Raynaud,F.,et al.,J.Cell.Physiol.,1992,151,378)。それゆえ、DPP−IV阻害剤は、これらの状態を治療するための薬剤として有用であってもよい。
【0123】
化合物Iは、男性避妊薬として、並びに女性の不妊症及び無月経を治療用に有用であってもよい。高DPP−IV活性は、良性前立腺肥大を持つ患者由来の組織ホモジネートにおいて及びプロスタトソーム(prostatosome)において、見出されている。これらは、精子の前方への運動性の増強に重要な前立腺由来の細胞小器官である(Vanhoof,G.,et al.,Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,1992,30,333)。DPP−IV阻害剤はまた、精子の運動性を抑制するように作用してもよく、それゆえ、男性避妊薬として作用してもよい。逆に言えば、DPP−IV阻害剤は、不妊症、特に、卵巣嚢(ovarian capsule)の肥厚及び多発性毛包嚢腫の形成によって特徴付けられる状態である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS、Stein−Leventhal症候群)に起因するヒト女性の不妊症の治療については新規であるとの含意がある。それは、不妊症及び無月経を招く。
【0124】
化合物Iは、(造血細胞を刺激する)様々なサイトカイン、成長因子及び神経ペプチドの切断を調節するのに使用されてもよい。DPP−IVの阻害剤は、外来的に添加されたサイトカイン又は他の成長因子あるいは間質細胞の非存在下で、造血細胞の増殖及び分化を刺激するのに有用であることが発見された。刺激された造血細胞は、インビボでの造血細胞又はその前駆体の数の減少によって特徴付けられる疾患の治療に有用である。それらの状態は、例えば、癌に対する化学療法及び/又は放射線療法の結果、免疫抑制された患者においてしばしば生じる。
【0125】
化合物Iは、成長ホルモン不足に起因する低身長(小人症)の治療において、有用であってよい。ヒト血漿中のDPP−IVは、成長ホルモン放出因子からN末端のTyr−Alaを切断し、このホルモンの不活性化をもたらすことが示されている。従って、DPP−IVの阻害は、その効果を調節して、GH依存性の組織増殖又は再増殖(re−growth)を促進するだろう。
【0126】
化合物Iは、神経疾患の制御又は正常化に有用であってよい。DPP−IVは、神経ペプチドを切断することができ、神経刺激性ペプチドサブスタンスP、神経ペプチドY及びCLIPの活性を調節することが示されている(Mentlein,R.,Dahms,P.,Grandt,D.,Kruger,R.,Proteolytic processing of neuropeptide Y and peptide YY by DPP−IV,Regul.Pept.,49,133,1993;Wetzel,W.,Wagner,T.,Vogel,D.,Demuth,H.−U.,Balschun,D.,Effects of the CLIP fragment ACTH 20−24 on the duration of REM sleep episodes,Neuropeptides,31,41,1997)。従って、DPP−IVの阻害は、神経ペプチドの打撃効果が軽減されるであろう。
【0127】
本発明の組成物は、他の活性な薬剤と投与又は同時投与されてもよい。これらのさらなる活性な薬剤としては、例えば、1種以上の他の医薬上活性な薬剤が挙げられてもよい。本発明の文脈において、同時投与とは、1種類以上の治療用薬剤(そのうち1種は、化合物Iを含む)の投与を意味するように意図される。そのような同時投与はまた、同一の範囲を有する(coextensive)(すなわち、重複した期間の間に生じる)ものであってもよいし、あるいは連続的(すなわち、重複していない期間の間に生じる)ものであってもよい。組み合わせ療法における、他の活性な成分と化合物Iの同時投与の例は、2006年9月13日に出願された、米国特許出願第11/531,671号に記載されており、この開示により、引用によってその全体が、本明細書中に明白に援用されている。
【0128】
腫瘍学的適応症については、化合物Iは、所望でない及び制御されていない細胞増殖を阻害するための他の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。化合物Iと組み合わせて使用されてもよい他の抗細胞増殖剤の例としては、レチノイド酸及びその誘導体、2−メトキシエストラジオール、ANGIOSTATINTMタンパク質、ENDOSTATINTMタンパク質、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ−Iの組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤2、軟骨由来の阻害剤、パクリタキセル、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製される)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝調節剤(例えば、プロリンアナログ((l−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA))、シスヒドロキシプロリン、d,l−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、β−アミノプロピオニトリルフマラート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、chimp−3、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エポネマイシン(eponemycin)を含む);フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−アンチコラゲナーゼ−血清、α2−アンチプラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−2−カルボキシフェニル−4−クロロアントロニリック酸二ナトリウム(n−2−carboxyphenyl−4−chloroanthronilic acid disodium)すなわち「CCA」、サリドマイド;血管新生抑制性(angostatic)ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール;BB94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。使用されてもよい他の抗血管新生剤には、これらの血管新生性の成長因子に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SF及びAng−1/Ang−2が挙げられる。Ferrara N.and Alitalo,K.“Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors”(1999)Nature Medicine 5:1359−1364。
【0129】
別の実施態様において、化合物Iの投与を含む治療方法が提供される。別の実施態様において、効果的な量の化合物Iを細胞に接触させることを含む、細胞増殖の阻害方法が提供される。別の実施態様において、治療有効量の化合物Iを患者に投与することを含む、患者における細胞増殖の阻害方法が提供される。
【0130】
別の実施態様において、治療有効量の化合物Iを患者に投与することを含む、患者の糖尿病及び関連した状態(糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満が挙げられるが、これらに限定されない)の治療方法が提供される。
【0131】
別の実施態様において、DPP−IVに介されることが公知であるか、又はDPP−IV阻害剤により治療されることが公知である患者の状態を治療する方法であって、治療有効量の化合物Iを患者に投与することを含む方法。別の実施態様において、DPP−IVに介されることが公知であるか、又はDPP−IV阻害剤により治療されることが公知である疾患状態の治療に使用するための医薬を製造するための、化合物Iの使用方法が提供される。
【0132】
別の実施態様において、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をDPP−IVが有する疾患状態を治療する方法であって、以下を含む方法が提供される:化合物Iの遊離塩基形態が疾患状態への治療有効量にて、被検体中に存在するような、被検体への化合物Iの投与。
【0133】
本発明は一般に、患者に、化合物Iを1mg/日から250mg/日の間で、任意に化合物Iを2.5mgから200mgの間で、任意に化合物Iを2.5mgから150mgの間で、及び任意に化合物Iを5mgから100mgの間で(各例において、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく)、投与することを含む方法に関する。使用されてもよい特定の投薬量としては、1日あたり、2.5mg、5mg、6.25mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg及び100mgの化合物Iが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。投薬は、1日毎の投薬又は1週間毎の投薬、1日につき1回又は1日につき複数回として投与されてもよいことに留意する。化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて投与されてもよいことに留意する。しかし、本明細書中に提供した投与量及び範囲は、常に化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づいている。
【0134】
化合物Iは、任意の投与経路にて投与されてよい。しかし、特定の実施態様においては、本発明の方法は、化合物Iの経口投与によって実行される。
【0135】
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態の少なくとも1種類が存在する化合物Iを含む医薬組成物
化合物Iは、少なくとも化合物Iの一部分が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する様々な医薬組成物中にて使用されてもよい。医薬組成物は、所望された治療効果を提供するのに十分な程度まで、インビボにおけるジペプチジルペプチダーゼ活性を軽減させるのに十分な量の化合物Iを含むべきである。このような医薬組成物は、化合物Iを0.005%から100%(重量/重量)、任意に0.1〜95%、及び任意に1〜95%の範囲で組成物中に存在するように含んでいてもよい。
【0136】
特定の実施態様においては、医薬組成物は、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態、及びそれらの混合物からなる群から選択される形態にて、化合物Iを少なくとも0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%含む。別の実施態様において、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態からなる群から選択される特定の多形形態は、医薬組成物中に、化合物I全量(重量/重量)のうち少なくとも0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%含んでいてもよい。
【0137】
化合物Iに加えて、医薬組成物は、化合物Iの使用に有害に影響しない、1種以上のさらなる成分を含んでいてもよい。例えば、医薬組成物は、化合物Iに加えて、従来の医薬担体;賦形剤;希釈剤;潤沢剤;結合剤;湿潤剤;崩壊剤;流動促進剤(glidants);甘味剤;香料;乳化剤;可溶化剤;pH緩衝化剤;芳香剤;表面安定化剤;懸濁剤;及び他の従来の医薬上不活性な薬剤を含んでいてもよい。特に、医薬組成物は、乳糖、マンニトール、グルコース、ショ糖、リン酸二カルシウム、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、タルク、デンプン、天然ゴム(例えば、アラビアゴムゼラチン(gum acaciagelatin))、糖蜜、ポリビニルピロリジン(polvinylpyrrolidine)、セルロース及びそれらの誘導体、ポビドン、酢酸クロスポビドン(crospovidone acetate)、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、生体適合性ポリマー(例えば、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及び他のこのような薬剤)を含んでいてもよい。
【0138】
本発明の医薬組成物は、任意の様々な経路により、投与に適合されてもよい。本発明の医薬組成物は、例えば、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、局所、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、経頬、鼻内、リポソーム、経吸入、膣内、眼内、経局所送達(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内、又は髄腔内によって、任意に徐放剤形で、投与されうる。特別な実施態様において、医薬組成物は、経口、吸入により、又は皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射もしくは脳脊髄液への直接的な注射により、投与される。
【0139】
一般に、本発明の医薬組成物は、気体、液体、準液体(semi−liquid)、ゲル又は固体の形態で調製されてもよくて、使用されるべき投与経路に適した様式で製剤化されてもよい。
【0140】
本発明の組成物は、任意に、ヒト及び動物への投与のために、適切な量の化合物Iを含む、単位剤形又は複数回剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、吸入器用の乾燥粉末剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液又は懸濁液、経口溶液又は懸濁液、油−水エマルジョン、持続性除放製剤(例えば、インプラント及びマイクロカプセル化した送達システムであるが、これらに限定しない))で、提供される。このような剤形の調製方法は、当該分野で公知であり、当業者には明らかであろう;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)を参照。
【0141】
本明細書中で使用する場合、単位投薬形態は、ヒト及び動物被検体にとって適切な、当分野において公知であるようにして個別に包装された物理的に分離された単位を指す。各単位投薬量は医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果を生み出すのに十分な所定量の化合物Iを含む。単位投薬形態の例としては、アンプル及び注射器、並びに個々に包装された錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位投薬形態は、その一部又は複数で投与されてもよい。複数回投薬形態は、単一容器に包装された分離された単位投薬形態で投与されるべき複数の同一の単位投薬形態である。複数回投薬形態の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤のボトル、又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。したがって、複数回投薬形態は、包装物中で分離されていない複数の単位投薬とみなされてもよい。
【0142】
一般的に、本発明の医薬組成物中の化合物Iの総量は、所望される治療効果に十分足るものであるべきである。この量は、1日につき1回の投薬、1日につきある時間間隔で投与される複数回投薬、又は持続性放出製剤として送達されてもよい。化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態及びそれらの混合物からなる群から選択される形態にて投与されてもよいことに留意する。化合物Iを1mg/日から250mg/日の間、任意に化合物Iを2.5mgから200mgの間、任意に化合物Iを2.5mgから150mgの間、及び任意に化合物Iを5mgから100mgの間(各例において、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく)の1日量を患者に投与するとき、化合物Iは有利に使用されてもよい。使用してもよい特定の投薬量としては、1日あたり、2.5mg、5mg、6.25mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg及び100mgの化合物Iが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。化合物Iは、1日あたり1回投与されるのが望ましいかもしれない。従って、本発明の医薬組成物は、化合物Iを1mg/日から250mg/日の間で、任意に化合物Iを2.5mgから200mgの間で、任意に化合物Iを2.5mgから150mgの間で、及び任意に化合物Iを5mgから100mgの間で含む、単回投薬形態の形態であってもよい。特定の実施形態においては、医薬組成物は、2.5mg、5mg、6.25mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg又は100mgの化合物Iを含む。
【0143】
A.経口投与用の製剤
経口医薬剤形は、少なくとも化合物Iの一部分が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在するような、固形剤、ゲル剤又は液剤であってもよい。
【0144】
特定の実施形態においては、化合物Iは固体剤形として提供される。固体剤形の例としては、丸剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、顆粒剤、及び原末(bulk powder)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。経口錠剤のさらに特別な例としては、圧縮された、チュアブルのロゼンジ、トローチ剤及び錠剤(これは、腸溶性コーティング、糖衣又はフィルムコートされてもよい)が挙げられる。カプセル剤の例としては、硬質又は軟質ゼラチンカプセル剤が挙げられる。顆粒剤及び粉末剤は、非発泡性又は発泡性の形態で提供されてもよい。粉末剤は、凍結乾燥又は他の適切な方法によって調製されてもよい。
【0145】
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ等は、1種類以上の以下の成分、又は同様の性質の化合物を任意に含んでいてもよい;結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤;着色剤;甘味剤;香料;及び湿潤剤。
【0146】
使用されてもよい結合剤の例としては、微結晶性セルロース、トラガントガム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、ショ糖及びデンプンペーストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
使用されてもよい希釈剤の例としては、乳糖、ショ糖、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸二カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
使用されてもよい崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、バレイショデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
使用されてもよい滑沢剤の例としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
使用されてもよい流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。
【0151】
使用されてもよい着色剤の例としては、承認され証明された水溶性FD&C色素のいずれか、それらの混合物;及び水酸化アルミニウム(alumina hydrate)に懸濁された水不溶性のFD&C色素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
使用されてもよい甘味剤の例としては、ショ糖、乳糖、マンニトール並びにサイクラミン酸ナトリウム及びサッカリン等の人工甘味剤、並びに任意の数のスプレー乾燥香料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
使用されてもよい香料の例としては、果物等の植物から抽出された天然香料及び好ましい感覚を生じる化合物の合成混合物(例えば、ペパーミント及びサリチル酸メチルであるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
使用されてもよい湿潤剤の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
使用されてもよい制吐コーティングの例としては、脂肪酸、脂質、ワックス、シェラック、アンモニア処理されたシェラック及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
使用されてもよいフィルムコーティングの例としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
剤形が丸剤、錠剤、トローチ剤などであるとき、化合物Iは、それを胃の酸性環境から保護する組成物中に、任意に提供されてもよい。例えば、組成物は、胃内でその完全性を維持し、そして腸内で活性な化合物を放出する腸溶性コーティング中に製剤化されうる。組成物はまた、制酸剤又は他のそのような成分と組み合わせて製剤化されてもよい。
【0158】
投薬単位形態がカプセル剤であるとき、それは、任意に、脂肪油などの液体担体をさらに含んでもよい。さらに、投薬単位形態は、任意に、投薬単位の物理形態を改変する様々な他の材料、例えば、糖及び他の腸溶性薬剤のコーティングをさらに含んでもよい。
【0159】
化合物Iはまた、エリキシル、エマルジョン、懸濁剤、マイクロ懸濁剤、シロップ、ウェハース、細粒、チューイングガムなどの成分として投与されてもよい。シロップは、任意に、活性な化合物に加えて、甘味剤としてのショ糖、並びに特定の保存剤、色素及び着色剤及び香料を含んでもよい。
【0160】
あるいは、液体又は準固体経口製剤は、活性化合物又は塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)及び他のそのような担体中に溶解又は分散させて、これらの溶液又は懸濁液を硬質又は軟質ゼラチンカプセル殻に封入することによって、調製されてもよい。他の有用な製剤としては、米国再発行特許第28,819号及び米国特許第4,358,603号に記載されているものが挙げられる。
【0161】
化合物Iを投与するのに使用されてもよい経口製剤の例は、2006年9月13日に出願された、米国特許出願第11/531,671号に記載されており、その開示は、引用によってその全体が、本明細書中に明白に援用されている。
【0162】
例示的な錠剤製剤が、以下に提供される。例は、例示の目的であって、限定するものではないことに留意する。化合物Iは、1種類以上の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて製剤中に存在することにもまた、留意する。本明細書中にて提供される製剤は、当該分野で公知であるように、変化してもよいことにもまた、留意する。
【0163】
1錠当たり12.5mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)化合物I 17.0mg
(2)乳酸一水和物,NF,Ph,Eur 224.6mg
(FOREMOST 316 FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース,NF,Ph,Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム,NF,Ph,Eur 32.0mg
(AC−DO−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素,NF,Ph,Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム,NF,Ph,Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT,非ウシHyqual)
総計 (1錠当たり) 400.0mg
フィルムコート (全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0164】
1錠当たり25mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)化合物I 34.0mg
(2)乳酸一水和物,NF,Ph,Eur 207.6mg
(FOREMOST 316 FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース,NF,Ph,Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム,NF,Ph,Eur 32.0mg
(AC−DO−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素,NF,Ph,Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム,NF,Ph,Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT,非ウシHyqual)
総計 (1錠当たり) 400.0mg
フィルムコート (全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0165】
1錠当たり50mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)化合物I 68.0mg
(2)乳酸一水和物,NF,Ph,Eur 173.6mg
(FOREMOST 316 FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース,NF,Ph,Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム,NF,Ph,Eur 32.0mg
(AC−DO−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素,NF,Ph,Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム,NF,Ph,Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT,非ウシHyqual)
総計 (1錠当たり) 400.0mg
フィルムコート (全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0166】
B.注射剤、溶液及びエマルジョン
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態又は形態の混合物にて存在する化合物Iは、非経口投与のために製剤化されてもよい。非経口投与は、注射(皮下、筋肉内又は静脈内のいずれか)によって一般に特徴付けられる。一定レベルの投薬量が維持されるような徐放系(slow−release or sustained−release system)の埋め込み(例えば、米国特許第3,710,795号を参照のこと)も本明細書中で意図される。そのような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、投与経路及び治療されるべき疾患の適応症に大きく依存する。
【0167】
注射剤は、任意の従来の形態で、調製されてもよい。これらの製剤としては、注射用に準備された滅菌溶液、懸濁液、マイクロ懸濁液、及びエマルジョン、並びに使用直前に担体と組み合わせられるように準備された固体形態(例えば、皮下注射用の錠剤を含む、凍結乾燥又は他の粉末)が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、生じる製剤は、溶液、マイクロ懸濁液、懸濁液及びエマルジョンであってよい。担体は水性、非水性液体、又は液体に懸濁できる固形ビヒクルであってもよい。
【0168】
本発明の注射剤と組み合わせて使用されてもよい担体の例としては、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。注射剤の組成物はまた、任意に、少量の非毒性の補助物質(例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝化剤、安定剤、溶解性増強剤、並びに、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート及びシクロデキストリンなどの他のそのような薬剤)も含んでもよい。
【0169】
静脈内投与されるとき、適切な担体の例には、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及び、増粘剤及び可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール並びにこれらの混合物)を含む溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
非経口製剤で任意に使用されてもよい医薬上許容される担体の例には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝化剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤又はキレート化剤、及び他の医薬上許容される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
任意に使用されてもよい水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及び乳酸リンゲル注射液が挙げられる。
【0172】
任意に使用されてもよい非水性非経口ビヒクルの例には、植物起源の不揮発性油、綿実油、コーン油、ゴマ油及びピーナツ油が挙げられる。
【0173】
静菌性又は静真菌性の濃縮物中の抗菌剤は、特に、製剤が、複数回投与容器に詰められ、従って、保存され複数の一定分量を取り出すように設計されているときに、非経口製剤に添加されてもよい。使用されうる抗菌剤の例としては、フェノール又はクレゾール、水銀化合物、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0174】
使用されてもよい等張化剤の例としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。使用されてもよい緩衝化剤の例としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。使用されてもよい抗酸化剤の例としては、硫酸水素ナトリウムが挙げられる。使用されてもよい局所麻酔剤の例としては、塩酸プロカインが挙げられる。使用されてもよい懸濁剤及び分散剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。使用されてもよい乳化剤の例としては、ポリソルベート80(TWEEN 80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤又はキレート化剤としては、EDTAが挙げられる。
【0175】
医薬上の担体はまた、任意に、水混和性ビヒクルのための、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを、及びpH調整のための、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含んでいてもよい。
【0176】
非経口製剤中の化合物Iの濃度は、所望の薬理学的効果を作り出すのに十分な医薬上有効な量を注射剤が投与するように、調節されてもよい。化合物Iの正確な濃度及び/又は使用される投薬量は、当該分野で公知であるように、患者又は動物の年齢、体重及び状態に最終的には依存するであろう。
【0177】
単位投薬非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針が付いた注射器中に詰められてもよい。非経口投与用のすべての製剤は、当該分野において公知であり実践されているように、滅菌されたものであるべきである。
【0178】
注射剤は、局所及び全身投与用に設計されてもよい。代表的には、治療される組織(単数又は複数)に対して、少なくとも約0.1重量/重量%から約90重量/重量%かそれ以上、好ましくは1重量/重量%を超える濃度の化合物Iを含むように、治療上有効な投薬量が製剤化される。化合物Iは、一度に投与されてもよいし、ある時間間隔で投与されるいくつかのより少ない用量に分割されてもよい。正確な投薬量及び治療期間は、組成物が非経口投与される部位、担体、及び、公知の試験プロトコールを用いて、あるいはインビボ又はインビトロ試験データからの推定によって、経験的に決定されてもよい他の変数の関数であろうことが理解される。濃度及び投薬量の値はまた、治療される個体の年齢によって変化してもよいことが留意されるべきである。任意の特定の被検体については、個々の必要性及び製剤の投与を投与又は監督する人物の専門的な判断に従って、具体的な投薬量レジメンを経時的に調整する必要性があってもよいことがさらに理解されるべきである。従って、本明細書中に記載した濃度範囲は、代表的なものであることが意図され、特許請求した製剤の範囲又は実施を制限しないことが意図される。
【0179】
化合物Iは、任意に、微粉末化された又は他の適切な形態で懸濁されるか、あるいは、より溶解性の活性生成物を作製するために又はプロドラッグを作製するために、誘導体化されてもよい。得られる混合物の形態は、投与の意図した態様及び選択した担体又はビヒクル中での化合物の溶解性を含むいくつかの要因に依存する。効果的な濃度は、疾患状態の症状を回復するのに十分であり、経験的に決定されてもよい。
【0180】
C.粉末
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態又は形態の混合物である化合物Iは、溶液、エマルジョン及び他の混合物としての投与のために再構築されうる粉末として調製されてもよい。粉末はまた、固体又はゲルとして製剤化されてもよい。
【0181】
化合物Iの粉末は、粉砕、スプレー乾燥、凍結乾燥及び当該分野で周知の他の技術によって調製されてもよい。無菌凍結乾燥粉末は、デキストロース又は他の適切な賦形剤を含むリン酸ナトリウム緩衝溶液に、化合物Iを溶解することによって、調製されてもよい。その後の溶液の滅菌ろ過、それに続く当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥は、所望の製剤をもたらす。簡潔に説明すると、凍結乾燥粉末は、任意に、デキストロース、ソルビトール、果糖、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、ショ糖又は他の適切な薬剤を、約1〜20%、好ましくは約5〜15%、適切な緩衝液(例えば、クエン酸塩、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩あるいは当業者に公知の他のそのような緩衝液(代表的には、およそ中性のpH)に、溶解することによって調製されてもよい。それから、化合物Iを、得られる混合物に、好ましくは室温超、より好ましくは約30〜35℃で、添加し、それが溶解するまで撹拌する。さらに緩衝液を添加することによって、得られる混合物を、所望の濃度まで希釈する。得られる混合物を、滅菌濾過するか、又は、微粒子を取り除くため及び滅菌性を保証するために処理し、凍結乾燥用のバイアル中に分ける。各バイアルは、単回投薬量又は複数回投薬量の化合物Iを含んでいてよい。
【0182】
D.局所投与
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する化合物Iはまた、局所混合物として投与されてもよい。局所混合物は、局所及び全身投与のために使用されてもよい。得られる混合物は、溶液、懸濁液、マイクロ懸濁液、エマルジョンなどであってよくて、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアゾール、灌注、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適した任意の他の製剤として、製剤化されてもよい。
【0183】
化合物Iは、気道への局所適用のために製剤化されてもよい。これらの肺性製剤は、エアゾール、溶液、エマルジョン、懸濁液、噴霧器用のマイクロ懸濁液の形態、または吸入用の微細粉末として、単独でありうるか、又は乳糖などの不活性担体と組み合わせうる。そのような場合、製剤の粒子は、代表的には、50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の直径を有する。局所適用(例えば、吸入による)用のエアゾールの例は、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、及び同第4,364,923号に開示されていて、これらは、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達用のエアゾールについて記載している。
【0184】
化合物Iはまた、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、局所適用(local or topical application)のために、例えば、皮膚及び粘膜(例えば、眼の)への局所適用のために、そして、眼への適用のため又は大槽内(intracisternal)若しくは髄腔内適用のために、製剤化されてもよい。局所投与は、経皮送達について、また、眼又は粘膜への投与についてあるいは吸入療法について、意図される。単独又は他の医薬上許容される賦形剤と組み合わせた化合物Iの点鼻液又は懸濁液もまた、投与されうる。
【0185】
E.他の投与経路のための製剤
治療される疾患状態に応じて、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態又は形態の混合物にて存在する化合物Iは、他の投与経路(例えば、局所適用、経皮パッチ、及び直腸投与)も使用されてもよいように、製剤化されてもよい。例えば、直腸投与のための医薬剤形は、全身効果のための直腸坐剤、カプセル剤及び錠剤である。本明細書中で使用される直腸坐剤は、1種類以上の薬理学的又は治療的に活性な成分を放出する体温で融解又は軟化する直腸内に挿入するための固形物を意味する。直腸坐剤において利用される医薬上許容される物質は、基剤又はビヒクル及び融点を上昇させるための薬剤である。基剤の例としては、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カルボワックス、(ポリオキシエチレングリコール)、並びに脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。様々な基剤の組み合わせが使用されてもよい。坐剤の融点を上昇させるための薬剤には、鯨ロウ及びワックスが挙げられる。直腸坐剤は、圧縮法によるか又は成形によって、調製されてもよい。直腸坐剤の代表的な重量は、約2〜3gmである。直腸投与のための錠剤及びカプセル剤は、経口投与のための製剤の場合と同じ医薬上許容される物質を使用し、同じ方法によって、製造されてもよい。
【0186】
化合物Iの多形を含むキット及び製品
本発明はまた、ジペプチジルペプチダーゼに関連する疾患を治療するためのキット及び他の製品についても述べる。疾患は、ジペプチジルペプチダーゼが状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性を有する全ての状態を網羅することが意図されることに留意する。
【0187】
1つの実施態様においては、0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する、化合物Iを含む医薬組成物と;キットを用いるための使用説明書と、を含むキットが提供される。任意に、組成物は、少なくとも0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。使用説明書は、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示してもよい。キットはまた、包装材料を含んでもよい。包装材料は、組成物を収容するための容器を含んでもよい。キットはまた、任意に、組成物投与のための注射器のような追加の要素を含んでもよい。キットは、単回又は複数回投薬形態で、組成物を含んでもよい。
【0188】
別の実施態様においては、0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する、化合物Iを含む医薬組成物と;包装材料と、を含む製品が提供される。任意に、組成物は少なくとも0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。包装材料は、組成物を収容するための容器を含んでもよい。容器は、任意に、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示すラベルを含んでもよい。キットはまた、任意に、組成物投与のための注射器のような追加の要素を含んでもよい。キットは、単回又は複数回投薬形態で、組成物を含んでもよい。
【0189】
本発明のキット及び製品で使用される包装材料は、複数の仕切られた容器(例えば、仕切られたボトル又は仕切られたホイル袋)を形成してもよいことに留意する。容器は、医薬上許容される材料で作られた当該分野で公知のような任意の従来の形状又は形態(例えば、紙又は段ボール箱、ガラス又はプラスチックのボトル又はジャー、再封止可能なバッグ(例えば、異なる容器への配置のために錠剤の「詰め替え品」を保持するための)、又は治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の投薬を有するブリスターパック)でありうる。用いられる容器は、関与する正確な剤形に依存するだろう(例えば、従来の段ボール箱は、液体懸濁液を保持するためには通常使用されないだろう)。1種類を超える容器が、単一剤形を市販するための単一パッケージ中で、一緒に使用されうることは実現可能である。例えば、錠剤がボトルに収容され、次いで、それが箱の中に収容されてもよい。代表的には、キットは、別個の成分を投与するための指示を含む。キット形態は、別個の成分が異なる剤形(例えば、経口、局所、経皮及び非経口)で好ましくは投与されるとき、異なる投薬間隔で投与されるか、又は、組み合わせの個々の成分の滴定が処方する医師によって望まれるとき、特に有利である。
【0190】
本発明のキットの1つの特定の例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、医薬の単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、一般的に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルでカバーされた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に、凹部がプラスチックホイルに形成される。凹部は、詰められる個々の錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有するか、あるいは、複数の詰められる錠剤及び/又はカプセル剤に合うようなサイズ及び形状を有してもよい。次に、錠剤又はカプセル剤が凹部にそれ相応に配置され、比較的硬い材料のシートが、凹部が形成された方向とは逆にあるホイルの面のプラスチックホイルに対して封止される。結果として、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の凹部に、所望に応じて、個別に封止されるか又は集合的に封止される。好ましくは、シートの強度は、凹部に手で圧力を付与し、それによって、凹部の場所のシートに開口部が形成されることにより、ブリスターパックから錠剤又はカプセル剤が取り出されうるようなものである。それから、錠剤又はカプセル剤は、前記開口部を介して取り出されうる。
【0191】
キットの別の特別な実施態様は、その意図される用途の順序で1日量を1つずつ分注するように設計された分注器である。好ましくは、分注器は、レジメンへのコンプライアンスをさらに促進するために、記憶補助が備えられる。そのような記憶補助の例は、分注した1日量の数を示す機械的カウンタである。そのような記憶補助の別の例は、液晶読み出しと一緒になった電池式のマイクロチップメモリ、又は、例えば、最後の1日量を摂取した日付を読み上げ及び/又は次の用量を摂取する日付を思い出させる可聴式のリマインダーシグナルである。
【実施例1】
【0192】
実施例
実施例1:2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル コハク酸 (化合物I)の調製
【0193】
【化3】
I
【0194】
化合物Iは、以下の合成経路で調製されてもよい(スキーム1)。
【0195】
【化4】
【0196】
A.4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル (化合物B)の調製
【0197】
【化5】
【0198】
化合物Bは、2−ブロモ−5−フルオロ−トルエン(化合物A)(3.5g,18.5mmol)及びCuCN(2g,22mmol)のDMF(100mL)混合液を、24時間還流して調製した。反応物を水で希釈して、ヘキサンで抽出した。有機物をMgSO4上で乾燥して、溶媒を除去すると、生成物Bが生じた(収率60%)。1H−NMR (400 MHz,CDCl3):δ7.60(dd,J=5.6,8.8 Hz,1H),6.93−7.06(m,2H),2.55(s,3H).
【0199】
B.2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(化合物C)の調製
【0200】
【化6】
【0201】
化合物Cは、4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル(化合物B)(2g,14.8mmol)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)(2.64g,15mmol)及びアゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)(100mg)のCCl4混合液を、窒素下にて2時間還流して調製した。反応物を、室温まで冷却した。固形物をろ過により除去した。有機溶液を濃縮して、油状形態の粗生成物が生じ、これはさらに精製しないで、次のステップで使用した。1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.68(dd,J=5.2,8.4Hz,1H),7.28(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),7.12(m,1H),4.6(s,2H).
【0202】
C.2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物D)の調製
【0203】
【化7】
【0204】
化合物Eは、粗3−メチル−6−クロロウラシルD(0.6g,3.8mmol)、2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(0.86g,4mmol)及びK2CO3(0.5g,4mmol)のDMSO(10mL)混合液を、60℃にて2時間攪拌して調製した。反応物を水で希釈して、EtOAcで抽出した。有機物をMgSO4上で乾燥して、溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。0.66gの生成物を得た(収率:60%)。1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.73(dd,J=7.2,8.4Hz,1H),7.26(d,J−4.0Hz,1H),7.11−7.17(m,1H),6.94(dd,J=2.0,9.0Hz,1H),6.034(s,2H),3.39(s,3H).MS(ES)[m+H]C13H9ClFN3O2の計算値,293.68;実測値293.68.
【0205】
D.2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物F)の調製
【0206】
【化8】
【0207】
化合物Fは、2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物E) (300 mg,1.0mmol)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(266 mg,1.5mmol)及び炭酸水素ナトリウム(500mg,5.4mmol)を、密閉したチューブ内にてEtOH(3mL)中で、100 ℃にて2時間、混合し攪拌することによって調製した。最終化合物を、HPLC精製後にトリフルオロ酢酸(TFA)塩として得た。1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ.7.77−7.84 (m,1H),7.16−7.27(m,2H),5.46(s,1H),5.17−5.34(ABq,2H,J=35.2,15.6Hz),3.33−3.47(m, 2H),3.22(s,3H),2.98−3.08(m,1H),2.67−2.92(m,2H),2.07−2.17(m,1H),1.82−1.92(m,1H),1.51−1.79(m,2H).MS(ES)[m+H]C18H20FN5O2の計算値,357.38;実測値,357.38.
【0208】
E.化合物Iの調製:2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリルのコハク酸塩
【0209】
【化9】
【0210】
上記のステップにて調製したTFA塩(実施例1,ステップD)をDCMに懸濁し、それから飽和Na2CO3で洗浄した。有機相を真空中で乾燥して除去した。ベンゾニトリル生成物(およそ10mg)を、MeOH(1mL)中に溶解して、そこにコハク酸のTHF(1.05当量)液を添加した。溶液は、3日間大気に曝して、静止させた。沈澱物が生じたときには、固形物をろ過により回収した。沈澱物が形成しなかったときには、混合物を真空中で濃縮して、溶媒を除去した後に、コハク酸塩を得た。1H−NMR(400 MHz,CD3OD):δ.7.77−7.84(m,1H),7.12−7.26(m,2H),5.47(s,1H),5.21−5.32(ABq,2H,J=32.0,16.0Hz),3.35−3.5(m,2H),3.22(s,3H),3.01−3.1(m,1H),2.69−2.93(m,2H),2.07−2.17(m,1H),1.83−1.93(m,1H),1.55−1.80(m,2H).MS(ES)[m+H]C18H20FN5O2の計算値,357.38;実測値,357.38.
【0211】
このように調製した化合物Iは、粉末X線回折分析(図1)により、結晶性であることを見出した。結晶物質は、形態Aと命名した。
【実施例2】
【0212】
実施例2:異なる溶媒における化合物Iのおよその溶解度
【0213】
実施例1に記載した方法により調製した化合物Iを、溶解度研究に使用した。溶媒及び他の試薬は、ACS又はHPLCグレードであり、受け取ったままで使用した。
【0214】
化合物Iの秤量されたサンプル(代表的には約20〜25mg)を、添加の間に超音波処理しながら周囲温度にて、試験溶媒の一定分量(代表的には
50μl)で処理した。溶媒は、試薬又はHPLCグレードのいずれかであった。透明な溶液(目視検査によって決定した)を得るために使用する溶媒の総量から、溶解度を見積もった。溶解度は、溶解が観察されなかったとき、「未満」と表されている。最後の一定分量を添加した結果、溶解が起きたとき、溶解度は、「を超える又は等しい」
と表されている。溶媒の過剰添加(多い一定分量)又はゆっくりとした溶解速度に起因して、実際の溶解度は、算出された溶解度を超えるかもしれない。化合物Iのおよその溶解度を、表Aにまとめる。溶解度値は、一番近い整数に四捨五入して、一番近いmg/mLで報告する。
【0215】
【表8】
【実施例3】
【0216】
実施例3:多形スクリーニング
実施例1に記載した方法にて調製した化合物Iは、多形スクリーニングのための出発物質として使用した。溶媒及び他の試薬は、ACS又はHPLCグレードであり、受け取ったままで使用した。
【0217】
A.サンプルの調製
形態を同定するための固形物は、化合物Iから以下の方法によって調製した。
【0218】
1.高速蒸発(FE)
化合物I溶液を、試験溶媒中にて調製した。サンプルはドラフト内に置き、覆いをせずに周囲条件下で蒸発させた。固形物を、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0219】
2.低速蒸発(SE)
化合物I溶液を、試験溶媒中にて調製した。サンプルは、ドラフト内に置き、小さな穴を開けたホイルで覆い、周囲条件下で蒸発させた。固形物を、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0220】
3.室温(RT)スラリー
過剰量の化合物Iを、試験溶媒中で、およそ5又は7日間回転板で回転させてスラリーとした。固形物は、代表的には真空ろ過によって回収し、ドラフト内で空気乾燥させて、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0221】
4.昇温スラリー
過剰量の化合物Iを、試験溶媒中で、およそ5日間振盪器のブロック上で47℃にて、スラリーとした。固形物は、真空ろ過によって回収し、ドラフト内で乾燥させて、それから形態同定のためにXRPDで分析した。
【0222】
5.低速冷却結晶化(SC)
化合物Iの飽和又は飽和に近い溶液を、上昇した温度にて調製した。サンプルを温めた0.2μmのフィルターに通して温めたバイアルへとろ過した。熱源のスイッチを切り、サンプルを周囲温度までゆっくりと冷却させた。1日以内に沈澱物が生じなかったときは、サンプルを冷蔵庫に置いた。数日以内に沈澱物が生じなかったときは、サンプルを冷凍庫中に移した。固形物を溶媒のデカンテーション又は真空ろ過によって回収して、ドラフト内で乾燥し、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0223】
6.急激冷却結晶化(CC)
化合物Iの飽和又は飽和に近い溶液を、上昇した温度にて調製した。サンプルを温めた0.2μmのフィルターに通して温めたバイアルへとろ過し、それからアセトン/ドライアイス又は氷浴中にて急速に冷却させた。数分後に沈澱物が生じなかったときは、サンプルを冷蔵庫又は冷凍庫に置いた。固形物を溶媒のデカンテーション又は真空ろ過によって回収して、ドラフト内で乾燥し、形態同定のためにXRPDで分析した。数日後に準周囲温度下で沈澱しなかったサンプルは、ドラフト内で蒸発させて、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0224】
7.溶媒/貧溶媒結晶化(S/AS)
化合物I溶液を、試験溶媒中にて調製した。混和性貧溶媒を、使い捨てピペットで添加した。沈澱物を真空ろ過又は溶媒デカンテーションにより回収した。沈澱物が生じなかったときは、サンプルを準周囲温度下に保管した。数日後に固形物が観察されないときは、サンプルをドラフト内で蒸発させた。回収した固形物を、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0225】
8.相対湿度(RH)負荷実験
化合物Iのサンプルを、およそ58%、88%、及び97%の相対湿度ジャー内に覆わずに置いた。サンプルは、ジャーの中におよそ8日間保管した。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0226】
9.凍結乾燥
化合物Iをガラスバイアル内の水に溶解した。アセトン/ドライアイス浴中でバイアルを回旋させることにより、溶液を凍結した。凍結した溶媒が全て除去されるまで、凍結したサンプルを凍結乾燥器内に置いた。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0227】
10.粉砕実験
一定分量の化合物Iを乳鉢及び乳棒により手動で粉砕して、乾燥固形物及び水で湿ったペーストとした。サンプルは、およそ3分間粉砕した。固形物を回収して、形態同定のために、XRPDで分析した。
【0228】
11.脱水実験
化合物Iの水和化したサンプルを、周囲条件にて(2日)、及び周囲温度下における真空オーブン(1日)にて脱水化した。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0229】
12.蒸気負荷実験
化合物Iのアモルファスを、8日までのあいだ、アセトン、エタノール、及び水蒸気チャンバー中に置いた。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0230】
B.サンプルの特徴づけ
以下の分析技術及びそれらの組み合わせは、調製した固体相の物理的特性を決定するのに使用した。
【0231】
1.粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折(XRPD)分析を、CPS((曲線位置高感度(Curved Position Sensitive))検出器を備えているInel XRG−3000回折計を使用して、2θ(2θ)の範囲が120°にて行った。0.03°の2θの分解能でおよそ4°の2θから開始するCu−Kα線を使用してリアルタイムデータを収集した。管電圧及びアンペア数はそれぞれ40kV及び30mAに設定した。2.5〜40°の2θでパターンを表示する。分析用のサンプルを、それらを薄壁のガラスキャピラリーに詰めることによって調製した。各キャピラリーを、データ取得中にキャピラリーの回転を可能にするためにモーターを取り付けたゴニオメータのヘッドに取り付けた。サンプルをおよそ5分間分析した。機器の校正は、シリコン参照標準を使用して行った。ピークの検出は、Shimazu XRD−6000ベーシックプロセスバージョン2.6の、自動ピーク検出を使用して行った。ピーク検出分析を行う前に、ファイルをShimazuフォーマットに変換した。デフォルトのパラメーターは、ピークを選択するのに使用した。
【0232】
2.熱重量分析(TGA)
TA Instruments 2950熱重量分析計を用いて熱重量(TG)分析を行った。各サンプルをアルミニウムのサンプル皿に置き、TG加熱炉へと挿入した。最初に加熱炉を25℃にて平衡化し、それから窒素下で、10℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。ニッケル及びAlumel(登録商標)を校正標準品として使用した。
【0233】
3.示差走査熱量測定(DSC)
TA Instruments示差走査熱量計2920を使用して示差走査熱量測定(DSC)を行った。サンプルをアルミニウムのDSC皿に置き、重量を正確に記録した。皿を蓋で覆い、それから圧着した。サンプルのセルを25℃にて平衡化し、それから窒素パージ下にて10℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。インジウム金属を校正標準品として使用した。記録した温度は、相転移の最大値である。
【0234】
アモルファス物質のガラス相転移温度(Tg)研究のため、サンプルのセルを周囲温度にて平衡化し、それから窒素下で、20℃/分の速度で、100℃にまで加熱した。それからサンプルのセルを冷却して−20℃にて平衡化した。再び20℃/分の速度で100℃まで加熱して、それから冷却して−20℃にて平衡化した。それからサンプルのセルを20℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。Tgは相転移の開始点から記録する。
【0235】
4.ホットステージ顕微鏡法(HSM)
Leica DM LP顕微鏡に取り付けたLinkamホットステージ(FTIR600モデル)を使用してホットステージ顕微鏡法を行った。サンプルを2枚のカバーグラス間に挟み、交差した偏光板及び一次補償器で、20倍の対物レンズを用いてサンプルを観察した。各サンプルは、ステージを加熱しながら、視覚的に観察した。SPOT Insight(登録商標)カラーデジタルカメラとSPOTソフトウェアv.3.5.8を使用してイメージを捕捉した。USP融点標準品を使用して、ホットステージを校正した。
【0236】
5.熱重量−赤外法(TG−IR)
Ever−Glo中/遠IR線源、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッタ、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたMagna560(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)に接続した、TA Instruments熱重量(TG)分析モデル2050にて、熱重量赤外(TG−IR)分析を取得した。TG装置は、パージとバランスのヘリウム流速をそれぞれ90及び10cc/分にて操作した。各サンプルをプラチナのサンプル皿に置き、TG加熱炉へと挿入し、装置で正確に重量を測定し、加熱炉を周囲温度から、20℃/分の速度で、250℃にまで加熱した。最初TG装置を開始して、すぐにFT−IR装置に続けた。各IRスペクトルは4cm−1のスペクトル分解能で収集された32の共付加スキャンを表す。バックグラウンドスキャンは、実験を開始する前に収集した。波長校正はポリスチレンを使用して行った。TG校正標準品は、ニッケル及びAlumel(登録商標)であった。揮発物は、High Resolution Nicolet TGA Vapor Phaseスペクトルライブラリーを検索して同定した。
【0237】
6.フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)
Ever−Glo中/遠IR線源、広範囲臭化カリウム(KBr)ビームスプリッタ、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたMagna−IR 560(登録商標)又は860(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)で赤外スペクトルを取得した。拡散反射アクセサリ(Collector(登録商標)、Thermo Spectra−Tech)をサンプリングに使用した。各スペクトルは4cm−1のスペクトル分解能で収集された256の共付加スキャンを表す。サンプルの調製は、サンプルをKBrと物理的に混合すること、並びに、直径13mmのカップ内にサンプルを置くことからなる。バックグラウンドデータセットを、KBrのサンプルにて取得した。これら2組のデータセットの互いの比をとることによってLog 1/R(R=反射率)スペクトルを取得した。波長校正はポリスチレンを使用して行った。自動ピーク検出は、Omnicバージョン7.2を使用して行った。
【0238】
7.フーリエ変換ラマン分光法(FT−ラマン法)
Magna 860(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)に接続した、ラマンアクセサリモジュールでFT−ラマンスペクトルを取得した。このモジュールは、1064nmの励起波長、及びヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器を使用する。サンプルの照射には、およそ0.5WのNd:YVO4レーザー出力を使用した。物質をガラス管に入れて、アクセサリー内の金コーティングしたチューブホルダーに設置することによって、分析用サンプルを調製した。Happ−Genzelアポダイゼーションを使用して、4cm−1のスペクトル分解能にて、全部で256のサンプルのスキャンを収集した。波長校正は硫黄及びシクロヘキサンを使用して行った。自動ピーク検出は、Omnicバージョン7.2を使用して行った。
【0239】
8.固体核磁気共鳴分光法(13C−NMR)
固体13C交差分極マジックアングルスピンニング(CP/MAS)NMRスペクトルを、周囲温度にて、VarianUNITYINOVA−400分光計(ラーモア周波数:13C=100.542MHz,1H=399.799MHz)にて取得した。サンプルは、4mm PENCIL型のジルコニアローターに詰めて、マジックアングルにて12kHzで回転させた。2.2μs(90°)の1Hパルス幅、5msのランプ振幅交差分極接触時間、30msの取得時間、10秒のスキャン間の遅延、2700データポイントでの45kHzのスペクトル幅、及び100の共付加スキャンを使用して、取得時間の間に、位相変調(SPINAL−64)ハイパワー1Hデカップリングでスペクトルを取得した。自由誘導減衰(FID)は、Varian VNMR 6.1Cソフトウェアを使用して、32768ポイント数と、シグナル対ノイズ比を改善するための10Hzの指数関数型線幅拡大因子で処理した。FIDの最初の3個のデータポイントは、平らなベースラインを作るためのVNMR線形予想アルゴリズムを使用してさかのぼって予測された。スペクトルピークの化学シフトは、176.5ppmにおけるグリシンのカルボニル炭素の共鳴を外部基準とした。
【0240】
9.溶液核磁気共鳴分光法(1H−NMR)
VarianUNITYINOVA−400分光計で、1Hラーモア周波数が399.803MHzにて、周囲温度で、溶液1H NMRスペクトルを取得した。サンプルはメタノールに溶解した。8.4μsの1Hパルス幅、2.50秒の取得時間、5秒のスキャン間の遅延、32000データポイントでの6400Hzのスペクトル幅、及び40の共付加スキャンでスペクトルを取得した。自由誘導減衰(FID)は、Varian VNMR 6.1Cソフトウェアを使用して、65536ポイント数及び、シグナル対ノイズ比を改善するための0.2Hzの指数関数型線幅拡大因子で処理した。スペクトルは、0.0ppmの内部テトラメチルシラン(TMS)を基準とした。
【0241】
10.水分吸着/脱着分析
VTI SGA−100蒸気吸着分析装置で水分吸着/脱着データを収集した。5%〜95%の相対湿度(RH)範囲にわたって、10%のRH間隔で窒素でパージしながら吸着及び脱着データを収集した。分析前にはサンプルを乾燥しなかった。分析のために使用した平衡基準は、5分間での重量変化が0.0100%未満であり、重量基準が満たされなかった場合の最大平衡時間は3時間であった。サンプルの初期水分含量については、データを修正しなかった。NaCl及びPVPを、校正標準品として使用した。
【0242】
多形スクリーニングについて行った結晶化実験を、表B及びCにまとめる。表Bは、様々な溶媒における結晶化実験をまとめている。表Cは、様々な溶媒/貧溶媒における結晶化実験をまとめている。
【0243】
【表9−1】
【0244】
【表9−2】
【0245】
【表9−3】
【0246】
【表9−4】
【0247】
【表10】
【実施例4】
【0248】
実施例4:形態A+Bの調製
およそ40mgの化合物I出発物質を、4mLのイソプロパノール:水(88:12)に溶解した。バイアルを、低速蒸発のために小さな穴を5個開けたアルミホイル片で覆った。形態A+Bを生じる固形物は、14日後に回収した。
【実施例5】
【0249】
実施例5:形態Cの調製
化合物I出発物質(40mg)のIPA(8mL)スラリーを、60℃に設定したホットプレート上で、およそ5時間、300rpmで攪拌した。スラリーを、温めた0.2μmナイロンフィルターで、温めたバイアル中へとろ過して、ホットプレートのスイッチを切って溶液を低速冷却した。サンプルは、周囲温度にておよそ1日間保管して、それから冷蔵庫におよそ3日間移した。透明な溶液が観察された。冷蔵庫にて3日後、サンプルを冷凍庫におよそ5日間移した。固形物を、真空ろ過によって回収して、ドラフト内で乾燥した。
【実施例6】
【0250】
実施例6:形態Dの調製
化合物I出発物質のサンプル(40mg)を、水(400μl)に溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターで、無菌バイアル中へとろ過した。アセトニトリルで満たされた使い捨てピペットのおよそ半量を、水溶液に添加した。沈澱物は観察されなかった。サンプルを冷蔵庫の中におよそ12日間置いた。沈澱物は観察されなかった。溶液を蒸発させるために、覆いをかけずにドラフト内においた。形態Dを生じる固形物は、2日後に回収した。
【実施例7】
【0251】
実施例7:形態Eの調製
化合物Iのサンプル(40mg)を、水(400μl)に溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターで、無菌バイアル中へとろ過した。アセトニトリルで満たされた使い捨てピペットのおよそ3/4を、水溶液に添加した。サンプルを手でゆすった。沈澱物は観察されなかった。溶液を蒸発させるために、覆いをかけずにドラフト内においた。固形物は、10日後に回収した。
【実施例8】
【0252】
実施例8:形態A+Fの調製
化合物Iのサンプル(51mg)を、800μlのTHF:水(9:1)溶液に溶解した。サンプルを、60℃に設定したホットプレート上で、およそ1時間、300rpmで攪拌した。ホットプレートのスイッチを切って透明な溶液を低速冷却させた。サンプルが室温に到達したら、沈澱物を誘導するために冷蔵庫に置いた。沈澱物は、およそ2日後に観察された。溶媒をデカンテーションして、固形物を空気乾燥した。
【実施例9】
【0253】
実施例9:形態A+E+Gの調製
化合物Iのスラリー(79mg)を、1mLのTHF:水(9:1)に溶解した。サンプルを、周囲条件にて13日間懸濁した。固形物をろ過で回収して、空気乾燥した。生じた固形物から、形態A+E+Gの混合物を得た。
【実施例10】
【0254】
実施例10:アモルファス形態の調製
化合物Iのサンプル(40mg)を、1000μlの水に溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターで、無菌バイアル中へとろ過して、それからドライアイス/アセトン浴中で凍結した。バイアルをキムワイプで覆い、それから凍結乾燥器に一晩置いた。生じた固形物から、アモルファス形態を得た。
【実施例11】
【0255】
実施例11:形態Aの特徴づけ
実施例1の手法により調製した物質は、形態Aと命名した。物質は、XRPD、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、FT−IR、FT−ラマン、1H NMR、及び13C NMRにより特徴づけをした。分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って、行った。
【0256】
形態Aの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図1〜7に報告する。特徴的なデータは、表Dにまとめる。
【0257】
【表11】
【実施例12】
【0258】
実施例12:形態A+Bの特徴づけ
形態A+B物質を、実施例4に従って調製した。
【0259】
物質は、XRPD、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、TG−IR及び水分吸着/脱着分析により、特徴づけをした。分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って行った。
【0260】
形態A+Bの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図8〜13に報告する。形態A+Bの特徴的なデータは、表Eにまとめる。
【0261】
【表5】
【実施例13】
【0262】
実施例13:形態Cの特徴づけ
形態Cの物質は、実施例5に従って調製した。物質は、XRPDにより特徴付けをした。形態CのXRPDスペクトルは、図14に報告する。
【実施例14】
【0263】
実施例14:形態Dの特徴づけ
形態Dの物質は、実施例6に従って調製した。物質は、1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、及びホットステージ顕微鏡法により特徴づけをした。特徴づけ分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って行った。形態Dの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図15〜19に報告する。形態Dの特徴的なデータは、表Fにまとめる。
【0264】
【表12】
【実施例15】
【0265】
実施例15:形態Eの特徴づけ
形態Eの物質を、実施例7に従って調製した。物質は、1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、及びホットステージ顕微鏡法、水分吸着/脱着分析(m s/des)により特徴づけをした。特徴づけ分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って行った。
【0266】
形態Dの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図20〜23に報告する。形態Eの水分吸着脱着等温線は、図23に報告する。形態Eの特徴的なデータは、表Gにまとめる。
【0267】
【表13】
【実施例16】
【0268】
実施例16:形態A+Fの特徴づけ
形態A+Fの物質を、実施例8に従って調製した。物質は、XRPDにより特徴づけをした。形態A+Fの生じたXRPDスペクトルは、図24にまとめる。
【実施例17】
【0269】
実施例17:形態Gの特徴づけ
形態A+E+Gの物質を、実施例9に従って調製した。物質は、XRPDにより特徴づけをした。形態A+E+Gの生じたXRPDスペクトルは、図25にまとめる。
【実施例18】
【0270】
実施例18:アモルファス形態の特徴づけ
化合物Iのアモルファス形態を、実施例10に従って調製した。
【0271】
アモルファス形態の物質は、XRPD TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、及び水分吸着/脱着分析により特徴づけをした。形態Aのガラス転移温度は、実施例3、セクションB−3に概要した手法を用いて評価した。水分吸着/脱着分析後に生じた物質を、XRPDにて特徴づけをした。
【0272】
アモルファス形態の特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図26〜29に報告する。アモルファス形態の水分吸着脱着等温線は、図30に報告する。アモルファス形態のガラス転移温度を決定するためのDSCサーモグラムは、図31に報告する。アモルファス形態の特徴的なデータは、以下の表Hにまとめる。
【0273】
【表14】
【実施例19】
【0274】
実施例19:相対湿度負荷実験
一定分量の化合物Iの形態Aを、およそ50%及び97%の相対湿度にて29日間保管した。一定分量の形態A+B混合物を、88%の相対湿度にて23日間負荷を与えた。アモルファス形態は、58%及び88%の相対湿度にて23日間負荷を与えた。残存している固形物をXRPDにより特徴づけをして、形態Aであることを決定した。結果は、表Iにまとめる。
【0275】
【表15】
【実施例20】
【0276】
実施例20:脱水実験
一定分量の化合物Iの形態A+Bを、周囲条件にて2日間、及び周囲温度における真空下で1日以上保管した。固形物を回収して、XRPDで分析して、形態Aであることが確証した。
【実施例21】
【0277】
実施例21:スラリー相互変換研究
化合物Iの形態A及び形態Bの混合サンプルを、水及びTHF:水(9:1)にて、13日までの間、懸濁した。結果として単離された固形物質は、粉末X線回折で特徴づけをして、形態A又は形態A+Bのいずれかであることが決定した。結果を表Jにまとめる。
【0278】
【表16】
【実施例22】
【0279】
実施例22:化合物Iのアモルファス固体の蒸気負荷
化合物Iのアモルファス形態の固形物を、アセトン及びエタノール蒸気負荷チャンバーにて、4日間負荷を与えた。固形物の別の一定分量を、水蒸気チャンバーにて、4日間及び8日間負荷を与えた。残存している固形物を、XRPDにより分析した。アモルファス固体は、アセトン及びエタノールへの曝露後に、形態Aに変換し、水蒸気への曝露後には、形態A及び形態Dの混合物に変換された。これらの実験結果を、表Kにまとめる。
【0280】
【表17】
【実施例23】
【0281】
実施例23:形態A+Bの水分吸着/脱着研究
水分吸着脱着研究を、形態A+Bのサンプルについて行った。化合物1のエタノール:水(95:5)溶液から、多形形態を急激冷却結晶化(実施例3,セクションA.6)することによってサンプルを調製した。水分吸着脱着研究を、実施例3、セクションB.10に概要した手法に従って行った。収集したデータは、図13にプロットし、表Lにまとめる。
【0282】
【表18】
【実施例24】
【0283】
実施例24:形態Eの水分吸着/脱着研究
水分吸着脱着研究を、形態Eのサンプルについて行った。化合物I水溶液にアセトニトリルを添加して、溶媒/貧溶媒結晶化(実施例3、セクションA.7)によって、サンプルを調製した。水分吸着脱着研究を、実施例3、セクションB.10に概要した手法に従って行った。収集したデータは、図23にプロットし、表Mにまとめる。
【0284】
【表19】
【実施例25】
【0285】
実施例25:アモルファス形態の水分吸着/脱着研究
水分吸着脱着研究を、アモルファス形態のサンプルについて行った。化合物I水溶液の凍結乾燥(実施例3、セクションA.9)によって、サンプルを調製した。水分吸着脱着研究を、実施例3、セクションB.10に概要した手法に従って行った。収集したデータは、図29にプロットし、表Nにまとめる。
【0286】
【表20】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル(本明細書中では「化合物I」と呼ばれる)のコハク酸塩の多形形態及びこれらの調製方法に関する。本発明はまた、医薬組成物、化合物Iの多形を含むキット及び製品、並びにこれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連分野の記載
以下の式を有する化合物I:
【0003】
【化1】
【0004】
は、2005年3月15日に出願された米国特許出願第11/080,992号に記載されているDPP−IV阻害剤(化合物34参照)である。その投薬、投与及び生物活性については、2006年9月13日に出願された米国特許出願第11/531,671号に記載されている。米国特許出願第11/080,992号及び第11/531,671号は、引用によってその全体が、本明細書中に援用されている。
【0005】
ジペプチジルペプチダーゼIV(IUBMB酵素命名法EC.3.4.14.5)(本明細書中では「DPP−IV」と呼ばれる)は、II型の膜タンパク質であり、ポリペプチド及びタンパク質のアミノ末端(N−末端)からXaa−Proジペプチドを取り去る非古典的なセリンアミノジペプチダーゼである。DPP−IVは、様々な異なる組織(例えば、腸、肝臓、肺、腎臓及び胎盤)の上皮細胞及び内皮細胞上に構成的に発現し、体液中にもみられる。DPP−IVはまた、循環するT−リンパ球上にも発現し、細胞表面抗原であるCD−26と同意義であることが示されている。DPP−IVは、多数のヒト疾患状態にかかわっており、糖尿病、特に、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満;炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチのような自己免疫疾患;AIDS;並びに癌が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0006】
DPP−IV阻害剤は、DPP−IVにより介される状態の予防、進行の遅延、及び/又は治療のための、有用な薬剤であると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要旨
本発明は、化合物Iの新規多形形態及びこれら多形形態の調製方法、並びに1種類以上の新規多形を含む組成物を提供する。引用しやすいように、本明細書中に記載された異なる多形は、出願全体にわたって一貫して、形態AからG、及びアモルファス形態と呼ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態A
1つの実施態様において、本発明は、本明細書中にて形態Aと呼ばれる、化合物Iの多形に関する。その物理的特性に基づくと、形態Aは結晶性形態である。
【0009】
形態Aは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Aの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)(i)アセトン、(ii)アセトニトリル、(iii)ジクロロメタン、(iv)1,4−ジオキサン、(v)ジメチルホルムアミド、(vi)エタノール、(vii)酢酸エチル、(viii)ジエチルエーテル、(ix)ヘキサン;(x)メタノール、(xi)イソプロパノール、(xii)テトラヒドロフラン、(xiii)トルエン、(xiv)トリフルオロエタノール、(xv)水、(xvi)アセトニトリル:水(85:15)、(xvii)エタノール:水(95:5)、(xviii)イソプロパノール:水(88:12)、及び(xix)テトラヒドロフラン:水(9:1)からなる群から選択される溶媒から結晶化されてもよく;
(b)溶媒に溶解した化合物Iに、混和性貧溶媒を添加することによって、沈澱されてもよく、ここで溶媒/貧溶媒系は、(i)ジメチルホルムアミド/アセトニトリル、(ii)ジメチルホルムアミド/トルエン、(iii)ジメチルホルムアミド/酢酸エチル、(iv)ジメチルホルムアミド/イソプロパノール、(v)メタノール/アセトニトリル、(v)メタノール/ジクロロメタン、(vi)トリフルオロエタノール/イソプロパノール、(vii)トリフルオロエタノール/アセトニトリル、(viii)トリフルオロエタノール/酢酸エチル、(ix)水/アセトニトリル、及び(x)水/テトラヒドロフランからなる群から選択され;
(c)約11.31、11.91、及び22.32角度2−シータ(°2θ)に回折ピークを含み、さらに特別には、約4.80、11.31、11.91、12.86、14.54、15.81、16.83、17.59、18.11、19.26、19.52、20.32、21.04、21.80、22.32、23.42、23.83、24.78、25.28、25.84、26.14、26.63、27.62、27.84、28.14、29.39、29.87、30.27、31.60、31.88、32.44、33.86、34.51、35.87、36.36、37.31、38.64,及び39.49°2θの回折ピークからなる群から選択される5つ以上の回折ピークを含み、なおさらに特別には、約11.31、11.91、19.26、21.04、及び22.32°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有し;
(d)約3141、2953、2934、2266、1699、1657、1450、及び1206波数(cm−1)に吸収帯、並びにさらに特別には、約3141、2953、2934、2266、2225、1699、1657、1450、1206、886、760、685、594、及び516cm−1に吸収帯を含む、フーリエ変換赤外吸収スペクトルを有し;
(e)約2954、2935、2225、1698、1659,及び1607cm−1にラマンピークを含み、並びにさらに特別には、約3068、2954、2935、2225、1698、1659、1607、1586、1223、1180、901、780、751、669、及び516cm−1にラマンピークを含む、ラマンスペクトルを有し;
(f)約195℃を中心とした吸熱を有する示差走査熱量スペクトル;及び
(g)25℃から165℃に加熱したときの、わずかな重量減少。
【0010】
形態B
形態Bは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Bの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)(i)イソプロパノール、(ii)エタノール:水(95:5)、(ii)イソプロパノール:水(88:12)、(iii)テトラヒドロフラン:水(9:1)、及び(iv)水からなる群から選択される溶媒から結晶化されてもよく;
(b)水に溶解した化合物Iに、ジオキサンを添加して沈澱されてもよく;
(c)約12.51、18.83、及び24.46°2θに特徴的なピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有し;
(d)約100℃に広い吸熱、並びに約138℃及び約163℃に2つの小さな吸熱、並びに約193℃に別の吸熱を含む、示差走査熱量サーモグラムを有し;
(e)約25℃から175℃に加熱したときに、有意な重量減少(>2.0%)を有し;及び
(f)水に溶解して、溶媒を蒸発して回収すると、形態Aに変換する。
【0011】
形態C
形態Cは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Cの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物Iのイソプロパノール溶液から結晶化されてもよく;及び
(b)約5.44±0.2及び6.07±0.2°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有する。
【0012】
形態D
形態Dは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Dの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物I溶液に、混和性貧溶媒を添加することによって、沈澱されてもよく;例えば、化合物Iの水溶液にアセトニトリルを添加;
(b)約12.19、22.88、及び24.33°2θに回折ピークを含む粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)か;あるいはまた、約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに、約12.19、14.04、16.71、17.75、18.86、19.96、22.08、22.88、23.27、25.02、25.49、26.03、及び27.99°2θの回折ピークからなる群から選択される4つの他のピークを含む回折パターン、並びにさらに特別には約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに約12.19、16.71、22.08、22.88、及び23.27°2θの回折ピークからなる群から選択される4つの他のピークを含む回折パターン、を有し;
(c)約88℃を中心とした広いノイズのある吸熱、並びに約107℃及び192℃に2つの他の吸熱を有する示差走査熱量サーモグラムを有し;及び
(d)20℃から85℃に加熱したとき、水分減少のために、>20%の重量減少を有する。
【0013】
形態E
形態Eは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Eの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物I溶液に、混和性貧溶媒を添加することによって、沈澱されてもよく;例えば、化合物Iの水溶液にアセトニトリルを添加することによる;
(b)約21.27及び17.15°2θに2つの回折ピーク、並びに、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.54、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34、及び31.10°2θのピークからなる群から選択される3つの他の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)、並びにさらに特別には約13.10、13.94、17.15、及び21.27°2θに回折ピークを含む、回折パターンを有し;
(c)約59℃から約75℃に2つの小さな吸熱、約107℃、110℃及び114℃にピークを有する分枝した吸熱、並びに約192℃に別の吸熱を有する、示差走査熱量サーモグラムを有し;及び
(d)25℃から85℃に加熱したとき、>2%の重量減少を有する。
【0014】
形態F
形態Fは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Fの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から結晶化されてもよく;及び
(b)約12.39、20.63、26.03、及び30.05°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有する。
【0015】
形態G
形態Gは、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(形態Gの存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から結晶化によって形成されてもよく;及び
(b)約13.22、14.23、18.62、19.77、24.36、25.06、及び30.71°2θのピークからなる群から選択される、3つ以上の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα,λ=1.5418Å)を有する。
【0016】
アモルファス形態
アモルファス性形態(「アモルファス形態」)は、以下の物理的特性を1種類以上有するとして特徴付けられてもよい(アモルファス形態の存在が示されるために、組成物が、必ずしもこれら全ての特性を呈する必要はないことに留意する):
(a)化合物I水溶液を凍結乾燥することによって形成されてもよく;
(b)識別可能なピークのない、大きなハロが特徴的なXRPDスペクトルを有し;
(c)82℃にガラス転移温度、約138℃に発熱及び約199℃に吸熱を示す、示差走査熱量スペクトルを有する。
【0017】
これらの物理的特性を同定するために上記に引用した分析が行われた方法は、実施例3に記載されている。
【0018】
化合物Iを含む組成物
本発明は、化合物Iを含む組成物に関しており、ここで化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する。化合物Iの他の結晶性形態及びアモルファス性形態もまた、組成物中に存在してもよいことに留意する。
【0019】
1つの変形において、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含み、ここで0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。組成物は任意に、医薬組成物であってもよい。医薬組成物は任意に1種類以上の医薬担体をさらに含んでいてもよい。
【0020】
化合物Iを含むキット及び製品
本発明はまた、化合物Iを含む組成物を含むキット及び他の製品も提供し、ここで化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する。1つの変形において、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含み、ここで0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。キット及び製品中の組成物は任意に、医薬組成物であってもよい。医薬組成物は任意に1種類以上の医薬担体をさらに含んでいてもよい。
【0021】
医薬組成物を含む上記の各実施態様に関しては、医薬組成物は、化合物Iの少なくとも一部分が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する任意の様式で製剤化されてもよい。任意に、医薬製剤のヒトへの投与後一定期間、化合物Iの一部分は、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する。
【0022】
形態G及びアモルファス形態から形態Aの作製方法
形態G及びアモルファス形態から形態Aを作製する様々な方法がまた提供される。形態G及びアモルファス形態から1種類以上の形態Aを含む医薬組成物、キット及び他の製品を製造する様々な方法もまた提供される。
【0023】
形態G及びアモルファス形態から形態Aの使用方法
DPP−IVによって介される様々な疾患を治療するための、形態G、及びアモルファス形態から1種類以上の形態Aを含む、医薬組成物、キット及び他の製品の使用方法もまた、提供される。
【0024】
1つの実施態様において、本発明は、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する組成物の投与を含む、ジペプチジルペプチダーゼの阻害方法に関する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、化合物Iを投与することによって、化合物Iで被検体(例えば、ヒト身体)におけるジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法に関しており、ここで化合物が投与されるときに、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、化合物Iを投与することによって、化合物Iで被検体(例えば、ヒト身体)におけるジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法に関しており、ここで、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、化合物が被検体に投与された後一定期間、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0027】
さらに別の実施態様において、本発明は、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが保持する疾患状態の治療方法であって、組成物を被検体(例えば、ヒト身体)に投与することを含む方法を提供し、ここで0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、投与時に、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0028】
さらに別の実施態様において、本発明は、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが保持する疾患状態の治療方法であって、組成物を被検体(例えば、ヒト身体)に投与することを含む方法を提供し、ここで0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、組成物が被検体に投与された後一定期間、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。任意に、組成物は、少なくとも、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%,又は99%の化合物Iを含む。
【0029】
別の実施態様において、DPP−IVにより介される状態、特に、糖尿病、さらに特別には、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満;炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチのような自己免疫疾患;AIDS、癌、並びにその他の予防、進行の遅延、及び/又は治療方法が提供される。
【0030】
化合物Iが、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在してもよいと述べた各例において、本発明は、1種類の形態のみ存在する場合、2種類の形態が存在する場合(全ての組み合わせ)並びに3種類、4種類又はそれ以上の形態が存在する場合(全ての組み合わせ)の組成物を包含するように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図の簡単な記述
【図1】図1は、形態Aの特徴的な粉末X線回折(XRPD)スペクトルである。
【図2】図2は、形態Aの特徴的な熱重量分析(TGA)サーモグラムである。
【図3】図3は、形態Aの特徴的な示差走査熱量(DSC)サーモグラムである。
【図4A】図4Aは、形態Aの特徴的なフーリエ変換赤外吸収(FT−IR)スペクトル(4000−400波数(cm−1))である。
【図4B】図4Bは、図4AのFT−IRスペクトルの拡大(4000−2500cm−1)である。
【図4C】図4Cは、図4AのFT−IRスペクトルの拡大(2500−1500cm−1)である。
【図4D】図4Dは、図4AのFT−IRスペクトルの拡大(1600−400cm−1)である。
【図5A】図5Aは、形態Aの特徴的なFT−ラマンスペクトル(3600−0cm−1)である。
【図5B】図5Bは、図5AのFT−ラマンスペクトルの拡大(3600−1500cm−1)である。.
【図5C】図5Cは、図5AのFT−ラマンスペクトルの拡大(1500−500cm−1)である。
【図5D】図5Dは、図5AのFT−ラマンスペクトルの拡大(500−100cm−1)である。
【図6】図6は、形態Aの溶液プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルである。
【図7】図7は、形態Aの固体炭素−13核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルである。
【図8】図8は、形態A及び形態Bの混合物(形態A+B)の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図9】図9は、形態A+Bの、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図10】図10は、形態A+BのTG−IR分析の、TGAサーモグラムである。
【図11】図11は、形態A+BのTG−IR分析の、関連した(〜5分遅延)IRスペクトルである。下のスペクトルは、TG分析(図10)の開始から〜5分にて発した揮発物のIR分析である。上のスペクトルは、水の参照スペクトルである。
【図12】図12は、形態A+Bの、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図13】図13は、形態A+Bの、水分吸着脱着等温線である。
【図14】図14は、形態Cの、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図15】図15は、形態Dの、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図16】図16は、形態Dの、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図17】図17は、形態DのTG−IR分析の、TGAサーモグラムである。
【図18】図18は、形態DのTG−IR分析の、関連した(〜5分遅延)IRスペクトルである。上のスペクトルは、TG分析(図17)の開始から〜5分にて発した揮発物のIRスペクトルである。下のスペクトルは、水の参照スペクトルである。
【図19】図19は、形態Dの、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図20】図20は、形態Eの、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図21】図21は、形態Eの、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図22】図22は、形態Eの、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図23】図23は、形態Eの、水分吸着脱着等温線である。
【図24】図24は、形態A及び形態Fの混合物(形態A+F)の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図25】図25は、形態A、形態E及び形態Gの混合物(形態A+E+G)の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図26】図26は、アモルファス形態の、特徴的なXRPDスペクトルである。
【図27】図27は、アモルファス形態の、特徴的なTGAサーモグラムである。
【図28】図28は、アモルファス形態の、特徴的なDSCサーモグラムである。
【図29】図29は、アモルファス形態のガラス転移温度を評価するための、DSCサーモグラムである。
【図30】図30は、アモルファス形態の、水分吸着脱着等温線である。
【図31】図31は、水分吸着脱着分析前(上)及び後(中)におけるアモルファス形態のXRPDスペクトル、並びに形態AのXRPDパターン(下)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な記載
本発明は、以下の式2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物1)のコハク酸塩を含む、新規多形、及び組成物について述べている、
【0033】
【化2】
【0034】
ここで、化合物Iの少なくとも一部分は、結晶性形態である形態AからG、及びアモルファス性形態であるアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する。
【0035】
化合物Iを含む組成物を有するキット及び他の製品であって、ここで、化合物Iの少なくとも一部分が、結晶性形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在するキット及び他の製品もまた提供される。
【0036】
各開示した形態の作成方法;化合物Iを含む医薬組成物の製造方法であって、化合物Iの少なくとも一部分が、結晶性形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する方法;並びに化合物Iを含む組成物の使用方法であって、化合物Iの少なくとも一部分が、結晶性形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する方法、を含む様々な方法もまた提供される。
【0037】
理解されるように、所与の化合物を含む組成物の作製方法に依存して、そして一度作製されたら、組成物の保管方法及び操作方法に依存して、組成物の結晶性成分が影響される。従って、組成物が、結晶性成分を全く含まないか、又はより高濃度の結晶性成分を含んでいてもよい可能性がある。
【0038】
化合物が、所与の組成物中に、1種類以上の異なる多形形態で存在してもよいこと、並びに任意にアモルファス物質としてもまた存在していてもよいことにさらに留意する。これは、(a)2種類以上の異なる多形形態を物理的に混合すること;(b)2種類以上の異なる多形形態を、結晶化条件から生成させること;(c)所与の多形形態の全部又は一部分を、別の多形形態に変換させること;(d)アモルファス状態の化合物の全部又は一部分を、2種類以上の多形形態に変換させること;並びに、他の理由の結果であってもよい。
【0039】
理解されうるように、化合物を含む組成物の調製方法に依存して、所与の多形形態中の化合物の重量パーセントは、0%から100%まで様々であり得る。本発明によれば、0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%又はそれを超える化合物I(重量)が、形態AからG、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する組成物が提供される。
【0040】
定義
「結晶性」は、該用語が本明細書中にて使用される場合、水和及び/又は溶媒和されていてもよく、かつXRPD又は他の回折技術により、識別可能な回折パターンを呈する化学部分の十分な秩序を有する物質を指す。たいてい、溶液中に溶解される化合物の直接的な結晶化、又は、異なる結晶化条件で得られる結晶の相互変換によって得られる結晶性物質は、結晶化において使用される溶媒(結晶性溶媒と呼ばれる)を含む結晶を有するであろう。また、結晶化が行われる特定の溶媒系及び物理的実施態様は、まとめて結晶化条件と呼ばれ、結晶化条件に特有な物理的及び化学的性質を有する結晶性物質を生じてもよく、これは一般に、結晶内での化合物の互いの化学部分の配向、及び/又は化合物の特定の多形形態が結晶性物質において優勢であることに起因する。
【0041】
組成物中に存在する化合物の多形形態(単数又は複数)に依存して、アモルファス固体状態の様々な量の化合物もまた、最初の結晶化の副産物、及び/又は結晶性物質を含む結晶の分解生成物のいずれかとして、存在してもよい。従って、結晶性とは、本明細書中にて使用される場合、組成物がアモルファス成分を含んでいてもよいこと;アモルファス物質中の結晶性物質の存在を、識別可能な回折パターンを有する組成物により、他の方法間で検出可能であることを、意図する。
【0042】
結晶性物質のアモルファス成分は、物質粉砕又は微粉砕によって増加してもよく、これは、粉砕前の結晶性物質に比較して、回折及び他のスペクトル線が広くなることによって明らかにされる。十分な粉砕及び/又は微粉砕は、粉砕前の結晶性物質に比較して、XRPD又は他の結晶特異的なスペクトルが、識別不可能になる程度にまで、線を広げてもよくて、この物質は実質的にアモルファス又は準アモルファスとなる。
【0043】
粉砕を継続すると、アモルファス成分が増加して、XRPDパターンがさらに広くなる(XRPDパターンが、もはやノイズと識別できなくなるほどにまで広がることを限界とする)ことが予期される。XRPDパターンが、識別不可能である限界まで広げられた場合には、物質は、もはや結晶性物質とはみなされず、その代わりに完全にアモルファスであるとみなされる。アモルファス成分が増加した物質、及び完全にアモルファスである物質については、粉砕により別の形態が生成することを示すピークは観察されないはずである。
【0044】
「アモルファス」は、該用語が本明細書中にて使用される場合、XRPD又は他の回折技術によって識別可能なパターンを生み出すのには、含有する化合物の結晶性成分があまりにも少ない化合物を含む組成物を指す。ガラス状物質は、アモルファス物質の一種である。ガラス状物質は、真正の結晶格子を有しておらず、非常に粘性のある非晶質液体と技術的に類似している。真正な固体であるというよりも、ガラスは、準固体アモルファス物質と記載されるほうがよいかもしれない。
【0045】
「広い(broad)」又は「広げられた(broadened)」は、該用語が本明細書中で、スペクトル線(XRPD、NMR及びIR分光法が挙げられる)、及びラマン分光法の線について記載するために使用される場合、基線スペクトルの線幅に対する相対的な用語である。基線スペクトルは、たいてい、所与の一連の物理的及び化学的条件(溶媒組成、並びに温度及び圧力のような性質)から直接得られる、特定の化合物の未操作の結晶性形態のスペクトルである。例えば、広げられた、は、粉砕又は微粉砕された、結晶性化合物を含む物質のXRPDスペクトルのスペクトル線を、粉砕前の物質に比較して、記載するのに使用されうる。構成分子、イオン又は原子が、溶媒和又は水和した場合に、すばやく回転しない物質では、線の広幅化は、化合物の化学部分の配向における無秩序性の増加を示し、従って、アモルファス成分の増加を示す。異なる結晶化条件を介して得られた結晶性物質間で比較した場合、より広いスペクトル線は、相対的により広いスペクトル線を作り出す物質が、より高レベルのアモルファス物質を有することを示す。
【0046】
「約」は、本明細書中にて使用される場合、引用した値の±5%内に、真の値があるという見積もりを指す。
【0047】
「分枝した」は、該用語がDSC吸熱及び発熱を記載するために本明細書中にて使用される場合、区別可能なピーク位置を有する重ね合わさった吸熱又は発熱を指す。
【0048】
多形の調製及び特徴づけ
A.化合物Iの調製
化合物Iを合成するために、様々な方法が使用されてもよい。代表的な化合物Iの合成方法は、実施例1に提供される。しかし、2005年3月15日出願された米国特許出願第11/080,992号、にて開示されているもの(引用によってその全体が、本明細書中に援用されている)を含む、他の合成経路もまた、化合物Iを合成するために使用されてもよいことに留意する。
【0049】
B.化合物Iの多形の調製
化合物の沈澱及び結晶化の一般的な方法は、本明細書中に記載した様々な多形を調製するために適用されてもよい。これらの一般的な方法は、有機合成化学及び医薬製剤分野の当業者には公知であり、例えば、J.March,“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,”第4版(New York:Wiley−Interscience,1992)に記載されている。
【0050】
一般に、化合物の所与の多形は、化合物の直接的な結晶化によって、あるいは、化合物の結晶化とそれに引き続く別の多形形態から又はアモルファス性形態からの相互変換によって得られてもよい。化合物が結晶化される方法に依存して、生じる組成物は、アモルファス物質とは対照的に、異なる量の化合物を、結晶性形態にて含んでいてもよい。また、生じる組成物は、化合物の異なる多形形態の、異なる混合物を含んでいてもよい。
【0051】
より高いパーセントの結晶性成分を含む組成物(例えば、格子欠陥がより少なくて、それに比例してより少ないガラス物質を有する結晶を形成すること)は、一般に、よりゆっくりとした結晶形成を好む条件(低速溶媒蒸発及び動態学に影響するものを含む)を使用した場合に、調製される。結晶化条件は、必要に応じて、より高品質な結晶性物質を得るために、適切に調節されてもよい。したがって、例えば、もし最初の一連の結晶化条件下で、わずかな結晶が形成される場合、結晶化を遅らせるために、最初の一連の結晶化条件下に比較して、溶媒温度を低くして、溶液にかける周囲圧力を増加してもよい。
【0052】
溶液からの化合物の沈澱(これは、たいていは、溶媒の高速蒸発により影響を受ける)では、アモルファス固体を形成している化合物が、結晶に対して有利であることが公知である。アモルファス状態の化合物は、溶媒和化合物から溶媒を高速蒸発させることによって、あるいは、結晶性状態にある間の化合物を、粉砕、微粉砕、又は他の物理的な負荷もしくは摩擦によって、作製されてもよい。
【0053】
実施例1に記載される方法によって調製された化合物Iは、全ての他の多形形態を調製するための出発物質として使用されてもよい。化合物Iの溶解度を試験するための方法は、実施例2に記載されており、様々な溶媒における化合物Iの溶解度は、実施例2の表Aにまとめている。ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、トリフルオロエタノール(TFE)、水、および水:溶媒混合物を除く、ほとんどの溶媒において、わずかな溶解しか観察されなかった。
【0054】
様々な多形形態が調製される方法は、実施例3のサブセクションAに記載されている。形態A〜G、及びアモルファス形態が調製される特定の方法は、実施例3の表B及びCに記載されている。形態A、形態A+B、形態C、形態D、形態E、形態A+F、形態A+E+G、及びアモルファス形態を形成するための有用な方法は、実施例3〜10にそれぞれ記載されている。
【0055】
C.化合物Iの多形
7種類の結晶性形態及び1種類のアモルファス固体が、多形スクリーニングを行うことによって同定された(実施例3)。
【0056】
本明細書中に記載されているのは、化合物Iの形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態である。可能である場合には、各異なる多形についての各試験結果が、提供される。形態A、C、D及びEは、純粋な形態として調製された。形態B、F、及びGは、形態Aとの混合物として調製された。
【0057】
化合物Iの多形を物理的に特徴付けるために、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、ホットステージ顕微鏡法、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、フーリエ変換ラマン分光法、熱重量測定−赤外分光法の組み合わせ(TG−IR)、溶液プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)、固体13炭素核磁気共鳴(13C−NMR)、及び水分吸着脱着分析(MS/Des)を含む様々な試験が行われた。各分析技術についての詳細な実験条件は、実施例3、サブセクションBに記載される。形態A〜G及びアモルファス形態の特徴づけは、実施例11〜18に記載される。化合物Iの様々な形態の安定性の試験方法、及び多形形態が相互変換する条件は、実施例19〜25に記載される。
【0058】
1.形態A
形態Aは、多形スクリーニング間に使用される様々な溶媒から、様々な結晶化条件下(例えば、急速及び低速蒸発、飽和溶液の冷却、スラリー、並びに溶媒/貧溶媒添加)における結晶化によって調製されてもよい。実施例3の表B及びCは、形態Aが調製される手法をまとめている。例えば、形態Aは、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ヘキサン、メタノール、イソプロパノール、水、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、又は他の類似の溶媒中の過剰量の化合物Iの室温スラリーをおよそ5又は7日回転板で回転させて得られた。固形物を真空ろ過によって回収して、ドラフト内で空気乾燥した。また、化合物Iのメタノール溶液から低速蒸発(SE)によって、形態Aを沈澱させた。
【0059】
形態Aは、XRPD、TGA、ホットステージ顕微鏡法、IR、ラマン分光法、溶液1H−NMR、及び固体13C−NMRによって特徴付けられた。
【0060】
図1は、形態Aの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を示す。XRPDパターンにより、形態Aは結晶性であることが確証された。主要なX線回折線は、°2θで表し、これらの相対強度は、表1にまとめている。
【0061】
【表1】
【0062】
上記のXRPDピーク位置セット又はそれらのサブセットは、形態Aを同定するために使用されうる。1つのサブセットには、約11.31、11.91、12.86、14.54、15.81、16.83、17.59、19.26、19.52、21.04、22.32、26.63、及び29.87°2θのピークが含まれる。別のサブセットには、約11.31、11.91、19.26、21.04、及び22.32°2θのピークが含まれ;このサブセットのピークは、ショルダーピーク又は0.2°2θより大きいピーク割れを示さない。別のサブセットには、約11.31、11.91及び22.32°2θのピークが含まれる。
【0063】
図2は、形態AのTGAサーモグラムである。TGA分析により、形態Aは25℃から165℃まで加熱したときに、わずかな重量減少しか呈さないことが示される;この結果は、形態Aが無水固形物であることを示唆している。
【0064】
図3は、形態Aの特徴的なDSCサーモグラムを示す。DSC分析により、およそ195℃(最大ピーク)にて、単一の吸熱事象がおこることが示される。この吸熱事象は、形態Aの融解(融解は177℃付近で始まり、融点はおよそ184℃であると見積もられた)を示すホットステージ顕微鏡法によって確証された。
【0065】
図4(A〜D)は、形態Aの特徴的なFT−IRスペクトルを示す。波長の逆数で表される(波数cm−1)主要なバンドは、約3815、3736、3675、3460、3402、3141、3098、3068、3049、2953、2934、2854、2760、2625、2536、2481、2266、2225、2176、1990、1890、1699、1657、1638、1626、1609、1586、1553、1517、1492、1478、1450、1419、1409、1380、1351、1327、1289、1271、1236、1206、1180、1158、1115、1087、1085、1064、1037、1027、971、960、951、926、902、886、870、831、820、806、780、760、740、728、701、685、668、637、608、594、567、558、及び516cm−1(値は、一番近い整数に四捨五入した)に位置している。この特有のIR吸収帯セット又はそれらのサブセットは、形態Aを同定するのに使用されうる。このようなサブセットの1つは、約3141、3098、3068、3049、2953、2934、2854、2266、2225、1699、1657、1609、1586、1553、1517、1492、1478、1450、1380、1351、1327、1236、1206、1115、1063、902、886、870、820、780、760、685、608、594,及び516cm−1の吸収帯を含む。別のサブセットは、約3141、2953、2934、2854、2266、2225、1699、1657、1450、1206、886、760、685、594,及び516cm−1の吸収帯を含む。また別のサブセットは、約3141、2953、2934、2266、1699、1657、1450,及び1206cm−1の吸収帯を含む。
【0066】
図5(A〜D)は、形態Aの特徴的なラマンスペクトルを示す。波長の逆数で表される(波数cm−1)主要なラマンバンドは、約3100、3068、3049、2977、2954、2935、2875、2855、2787、2263、2225、2174、1698、1659、1626、1607、1586、1492、1478、1451、1439、1409、1400、1382、1351、1328、1290、1281、1271、1237、1223、1213、1180、1155、1134、1115、1084、1063、1035、971、952、926901、868、805、780、759、740、727、701、686、669、609、594、566、558、516、487、479、433、418、409、294、274、241、218、191及び138cm−1(値は、一番近い整数に四捨五入した)に位置している。この特有のラマンバンドセット又はそれらのサブセットは、形態Aを同定するのに使用されてもよい。このようなサブセットの1つは、約2954、2935、2225、1698、1659,及び1607cm−1のラマンバンドを含む。別のサブセットは、約3068、2954、2935、2225、1698、1659、1607、1586、1223、1180、901、780、759、669,及び516cm−1のラマンバンドを含む。また別のサブセットは、約3100、3068、2225、1698、1659、1607、1586、1351、1237、1223、1180、1155、1134、1115、1063、952、926、901、868、805、780、759、740、669、609、及び516cm−1のラマンバンドを含む。
【0067】
形態Aはさらに、溶液1H NMR及び固体13炭素NMRによって特徴付けられる。スペクトルは、図6および7にそれぞれ報告する。化学帰属は行っていない;しかし、スペクトルは、化合物Iの公知の化学構造と一致する。
【0068】
相対湿度負荷研究(実施例19)により、およそ58%及び97%の相対湿度にて、29日間保管後、XRPDで明らかなように、形態Aは形態変化を示さなかったことが示された。さらなる相対湿度負荷研究により、形態B及びアモルファス形態もまた形態Aに変換したことが示された。
【0069】
上記の入手可能な特徴づけデータに基づくと、形態Aは、周囲条件において、無水かつ安定であった。
【0070】
2.形態B
形態Bは、形態Aとの混合物として調製された(本明細書後半にて「形態A+B」と呼ばれる)(実施例5)。形態A+Bは、XRPD、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、TG−IR、及び水分吸着脱着分析によって特徴付けられた。
【0071】
図8に示した形態A+BのXRPDパターンにより、形態A+Bが結晶性であることが確証した。特徴的な回折線は、°2θ(CuKα,λ=1.5418Å)で表し、それらの相対強度は、以下の表2にまとめる。
【0072】
【表2】
【0073】
この特有のXRPDピークセット又はそれらのサブセットは、化合物Iの形態A+Bを同定するのに使用されうる。形態Bに特徴的なピークセットのサブセットは、形態A+BのXRPDピーク位置から形態Aのそれを差し引いて得られた。形態Bの存在を同定するのに使用されてもよいこのサブセットは、約12.51、18.83及び24.46°2θの位置のピークを含む。
【0074】
DSC分析(図12)により、約100℃の広い吸熱、それに続く138℃及び163℃の小さな吸熱、並びに193℃の主要な吸熱が示された。これらの事象は、形態A+Bのゆっくりとした脱溶媒和/脱水和を、それから脱溶媒化した形態B(163℃)及び形態A(193℃)の融解を示唆した。
【0075】
これらの融解事象は、ホットステージ顕微鏡法で確証され、粒子の一部分はおよそ179℃で融解し、残りの粒子は188℃で融解することも示した(顕微鏡写真は挙げていない)。
【0076】
TGA分析(図9)により、形態A+Bを25℃から98℃まで加熱したときに、2.0%の重量減少、及び98℃から175℃まで加熱を続けたときに、さらに0.7%の重量減少が示された。
【0077】
TG−IR(図10及び11)分析により、TGAによって示される重量減少(図10)は、水の揮発に起因するものである(図11)ことが明らかとなった。2.4%の重量減少は、およそ0.5から1.0モルの水と一致した。形態Aは無水であることが示されたので、これらの結果は、形態Bが水和化した固体形態であることを示唆している。
【0078】
水分吸着/脱着分析(図13及び実施例23)により、5%の相対湿度の平衡にて0.7%の重量減少が示された。1.2重量%の可逆的な重量変化が、吸着/脱着において観察された。水分吸着分析後に残存した物質のXRPD分析は、形態Aと一致した。
【0079】
形態Bは、脱水条件下にて形態Aに変換されてもよい。形態A+Bが、58%及び88%の相対湿度に23日間負荷されたとき、残存固形物は形態Aであった(実施例19)。形態A+Bが、周囲条件にて2日間、そして周囲温度にて真空オーブン中に1日間、曝露されたとき、形態A+Bは形態Aに変換した(実施例20)。形態A+Bを水中でスラリーにして、引き続いて蒸発により水を除去したとき、形態A+Bは形態Aに変換した(実施例21)。
【0080】
収集した特徴づけデータに基づくと、形態Bは結晶性であり、水和化した固形物であった。
【0081】
3.形態C
形態Cは、低速冷却によって化合物IのIPA溶液からの沈澱により調製された(実施例5)。XRPDにより、形態Cが結晶性であることが確証された。
【0082】
形態Cの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を、図14に示す。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度は、以下の表3にまとめる。
【0083】
【表3】
【0084】
この特有のXRPDピーク位置セット又はそれらのサブセットは、形態Cを同定するのに使用されうる。約5.44及び6.07°2θのピークは、ショルダー又は0.2°2θより大きいピーク割れを呈さないことから、形態Cを同定するのに特に有用なピークである。
【0085】
4.形態D
形態Dは、化合物I水溶液にアセトニトリル(混和性貧溶媒)を添加することによって沈澱した(実施例6)。沈澱物は、溶液1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、及びホットステージ顕微鏡法によって特徴付けられた。
【0086】
溶液1H NMRデータ(スペクトルは挙げていない)により、形態Dが、化合物Iと同様の化学構造を有することが示された。
【0087】
形態Dの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα)を、図15に示す。XRPD回折パターンにより、形態Dが結晶性であることが確証された。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を、表4にまとめる。
【0088】
【表4】
【0089】
この上記のXRPDピーク位置のセット又はそれらのサブセットは、化合物Iの形態Dを同定するのに使用されうる。形態Dを同定するのに特に有用なものは、約24.33 °2θに位置するピーク、並びに約12.19、14.04、16.71、17.75、18.86、19.96、22.08、22.88、23.27、25.02、25.49、26.03,及び27.99°2θのピークからなる群から選択された4つの他のピークを含むピークのサブセットである。さらに特に有用なものは、約24.33°2θに位置するピーク、並びに約12.19、16.71、22.08、22.88,及び23.27°2θのピークからなる群から選択された4つの他のピークを含むピークのサブセットである。形態Dを同定するのに有用な他のピークのサブセットは、約12.19、22.88及び24.33°2θ、±0.2°2θのピークを含むものである。
【0090】
アモルファス形態が蒸気に負荷されたときに、形態Dが形成された(実施例22)。TGA分析(図16)により、形態Dは、平衡にておよそ8%の重量減少、続いて25℃から85℃で21.9%の重量減少を呈することが示された。およそ30%の総重量減少は、およそ11モルの水と一致した。
【0091】
さらに、TG−IR分析(図17及び18)により、20℃から100℃の重量減少は、水の揮発に起因するものであることが確証される。
【0092】
形態DのDSC分析により(図19)、88℃にはっきりとした最大ピークを持つ多数の広い吸熱、続いておよそ107℃及び192℃の吸熱が示された。データは、固体が脱溶媒化/脱水化し、融解し、及び形態Aに変換する可能性があること(加熱を継続すると続いて形態Aが融解する)を、示唆した。
【0093】
ホットステージ分析により、固形物の最終的な融解は192℃であることが示され(顕微鏡写真は挙げていない)、これによって、形態Dが,約192℃の融点を有する形態Aに変換されたことがさらに実証された。
【0094】
まとめると、特徴づけデータにより、形態Dは結晶性であり、水和化した固形物であることが示された。
【0095】
5.形態E
形態Eは、化合物IのH2O/ACN 溶媒/貧溶媒溶液の蒸発によって沈澱した(実施例7)。沈澱物は、溶液1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、ホットステージ顕微鏡法、及び水分吸着/脱着分析によって特徴付けられた。
【0096】
溶液1H NMRデータ(スペクトルは挙げていない)により、形態Eは、化合物Iと同様の化学構造を有することが示された。
【0097】
形態Eの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を、図20に示す。XRPD回折パターンにより、形態Eが結晶性であることが確証された。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を、以下の表5にまとめる。
【0098】
【表5】
【0099】
上記のXRPDピーク位置の特有のセット又はそれらのサブセットは、形態Eを同定するのに使用されうる。このようなピークのサブセットは、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.15、17.54、21.27、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34,及び31.10°2θのピークからなる群から選択される任意の5つのピークを含んでいてもよい。形態Eを同定するのに使用されてもよい他のピークのサブセットは、約21.27及び17.15°2θのピーク、並びに、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.54、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34,及び31.10°2θのピークからなる群から選択される3つの他のピークが挙げられる。形態Eを同定するのに使用されてもよい別のピークのサブセットは、約13.10、13.94、17.15、21.27、26.31及び27.34°2θに位置するピークを含む。
【0100】
TGA分析(図21)により、形態Eは、25℃から85℃に加熱すると、2.6%の重量減少を呈することが示された。
【0101】
DSC分析(図22)により、59℃及び75℃に2個の小さい吸熱(脱水)、107℃、110℃、及び114℃にピークがある分枝した吸熱、それに続いて192℃の単一の吸熱が示された。
【0102】
形態Eのホットステージ分析(顕微鏡写真は挙げていない)により、59℃及び81℃にて複屈折に変化が示され、これは固形物の脱水と一致している。ホットステージ顕微鏡法はさらに、融解のおよその終点は、約185℃で起こることを示した。
【0103】
水分吸着/脱着データ(図23及び実施例24)により、脱水条件下にて形態Eが形態Aに変換することが示された。1.3%の重量減少が、5%の相対湿度の平衡にて観察された。サンプルは、5〜95%の相対湿度変化による吸着で、およそ5重量%増加した。およそ6重量%の減少が、5%の相対湿度の脱着にて観察された。水分吸着/脱着後のサンプルについてのXRPD分析により、形態A及び形態Eの混合物であることが示された。
【0104】
まとめると、特徴づけデータにより、形態Eは結晶性であり、水和化した固形物であることが示された。
【0105】
6.形態F
形態Fは、低速冷却結晶化条件下にて、化合物IのTHF:水(9:1)溶液からの沈澱によって、形態Aとの混合物(形態A+F)として調製された(実施例8)。形態A+Fの沈澱物は、XRPDによって特徴付けられた。
【0106】
形態A+Fの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα,λ=1.5418Å)を、図24に示す。XRPDパターンにより、物質が結晶性であることが確証された。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を表6にまとめる。
【0107】
【表6】
【0108】
上記のXRPDピークの特有のセット又はそれらのピークのサブセットは、化合物Iの形態A+Fを同定するのに使用されうる。形態Fを同定するのに使用されてもよい形態Fのみに特徴的なピークのサブセットは、形態A+FのXRPDピークから形態Aのそれを差し引いて得られ;このサブセットは、約12.39、20.63、26.03,及び30.05°2θのピークを含み、形態Eの存在を同定するために使用されてもよい。
【0109】
7.形態G
形態Gは、周囲条件においてスラリー化した化合物IのTHF:水(9:1)溶液からの沈澱により、形態A及び形態Eの混合物(形態A+E+G)として調製された(実施例9)。沈澱物は、XRPDによって特徴付けられ、結晶性であることが確証された。形態A+E+Gの特徴的なXRPDスペクトル(CuKα)を、図25に示す。°2θで表される主要な回折ピーク及びそれらの相対強度を、表7にまとめる。
【0110】
【表7】
【0111】
上記のXRPDピークの特有のセット又はそれらのサブセットは、化合物Iの形態A+E+Gを同定するのに使用されうる。形態Gに特徴的なピークのサブセットは、形態A+E+GのXRPDスペクトルから、形態A及び形態EのXRPDピークを差し引いて得られ;このサブセットは、約13.22、14.23、18.62、19.77、24.36、25.06,及び30.71°2θに位置するピークを含む。形態Gに特徴的なピークのこのサブセットは、形態Gの存在を同定するために使用されてもよい。
【0112】
8.アモルファス形態
化合物Iのアモルファス形態は、化合物Iの水溶液を凍結乾燥して調製された(実施例10)。残渣物質は、XRPDによって特徴付けられ、生じるXRPDスペクトルを、図26に図示する。XRPDスペクトルは、特定のピークが存在しない広いハロを示し、これによって物質がアモルファスであることが確証される。物質はさらに、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、及び水分吸着分析によって特徴付けられた。
【0113】
TGA分析(図27)により、25℃から95℃にて、1.8%の重量減少が示され、これはおそらく残存溶媒の減少に起因する。
【0114】
DSC分析(図28)により、130℃の発熱まで、わずかに凹型のベースライン(再結晶化)、続いて194℃の吸熱が示され、これは形態Aの融解の結果である。ホットステージ顕微鏡法により、これらの再結晶化及び融解事象が確証された(顕微鏡写真は挙げていない)。およそのガラス転移が(図29)、開始温度82℃にて観察された。
【0115】
水分吸着/脱着データ(図30及び実施例25)により、5%の相対湿度の平衡にて、1.0%の重量減少が示された。およそ8重量%が、65%の相対湿度までに増加した。およそ7重量%が、75%の相対湿度にて減少した。これはおそらく、アモルファス物質から結晶性固形物への再結晶に起因する。4.4重量%の増加が、75%から95%までの相対湿度における吸着で観察された。およそ4.7重量%が、95%から5%までの相対湿度における脱着で減少した。水分吸着分析後に残存した固形物質は、XRPDにより、形態Aであると決定された(図31)。
【0116】
アセトン又はエタノール蒸気中でアモルファス形態に負荷をかけると、形態Aが生じた(実施例22)。58%及び88%の相対湿度でアモルファス形態に負荷をかけると、形態Aが生じた(図19)。水蒸気中でアモルファス形態に負荷をかけると、形態A及びDの混合物が生じた(実施例22)。
【0117】
化合物Iの使用適応症
本発明はまた、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形態にて化合物Iを投与することによって、被検体内のDPP−IV活性を変化させる、好ましくは減少させる方法にも関する。
【0118】
DPP−IVは、阻害による被検体内のDPP−IV活性を減少が、疾患状態の治療に取り組むのに使用されてもよいような、いくつかの異なる疾患の、病理学及び/又は徴候学に寄与すると考えられる。本発明の化合物Iを使用して治療されてもよい様々な疾患の例は、本明細書中に記載されている。様々な経路で機能するDPP−IVの生物学的役割がさらに十分理解されるために、本明細書中に開示したものを超えた更なる疾患が、後に同定されてもよいことに留意する。
【0119】
化合物Iは、糖尿病及び肥満に関連した状態を治療又は予防するのに使用されてもよい。DPP−IVは、インビボにおけるGLP−1(7−36)の主要な分解酵素であることが示されている。GLP−1(7−36)は、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、満腹状態の促進、及び胃内容排出の遅延を含む、インビボでの複数の作用を有する。GLP−1(7−36)の作用は、II型糖尿病及び潜在的な肥満の予防並びに治療に有用であると考えられる。DPP−IVは、GLP−1(7−36)をGLP−1(9−36)へと効率的に分解して、GLP−1(7−36)に対する生理学的アンタゴニストとして作用すると推測されている。それゆえ、インビボでのDPP−IVの阻害は、GLP−1(7−36)の内因性レベルの増強及びそのアンタゴニストGLP−1(9−36)の形成の減弱に有用であると考えられる。従って、化合物Iは、DPP−IVにより媒介される状態、糖尿病、さらに特別には、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満の、予防、進行の遅延、及び/又は治療において有用であると考えられる。
【0120】
化合物Iは、免疫抑制剤(又はサイトカイン遊離抑制薬物)として使用されてもよい。DPP−IV発現は、分裂促進性又は抗原性の刺激時に、T細胞において増大する(Mattem,T.,et al.,Scand.J.Immunol.,1991,33,737)。DPP−IVの阻害剤及びDPP−IVに対する抗体は、分裂促進因子刺激されたT細胞及び抗原刺激されたT細胞の増殖を、用量依存的な様式で抑制することが報告されている(Schon,E.,et al.,Biol.Chem.,1991,372,305)。Tリンパ球の様々な他の機能、例えば、サイトカイン産生、IL−2媒介細胞増殖及びB細胞ヘルパー活性が、DPP−IV活性に依存的であることが示されている(Schon,E.,et al.,Scand.J.Immunol.,1989,29,127)。ボロプロリン(boroProline)(Flentke,G.R.,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,199,88,1556)由来のDPP−IV阻害剤は、不安定ではあるが、マウスCD4+Tヘルパー細胞における抗原誘発性リンパ球増殖及びIL−2産生を阻害するのに有効であった。そのようなボロン酸阻害剤は、免疫チャレンジにより誘導される抗体産生の抑制を生じるマウスにおけるインビボ効果を有することが示されている(Kubota,T.et al.,Clin.Exp.Immun.,1992,89,192)。Tリンパ球活性化の制御におけるDPP−IVの役割はまた、部分的には、膜貫通ホスファターゼであるCD45とのその細胞表面会合にも寄与しうる。DPP−IV阻害剤又は非活性なサイトリガンドは、CD45−DPP−IV会合をおそらく破壊するかもしれない。CD45は、T細胞シグナル装置の不可欠な構成要素であることが公知である。DPP−IVは、CD4+T細胞におけるHIV−1及びHIV−2ウイルスの侵入及び感染力に必須であることが報告されている(Wakselman,M.,Nguyen,C.,Mazaleyrat,J.−P.,Callebaut,C.,Krust,B.,Hovanessian,A.G.,Inhibition of HIV−1 infection of CD 26+ but not CD 26−cells by a potent cyclopeptidic inhibitor of the DPP−IV activity of CD 26. Abstract P.44 of the 24th European Peptide Symposium 1996)。さらに、DPP−IVは、T細胞の表面上で酵素アデノシンデアミナーゼ(ADA)と会合することが示されている(Kameoka,J.,et al.,Science,193,26 466)。ADA欠損は、ヒトにおいて重症複合型免疫不全症(SCID)を引き起こす。このADA−CD26相互作用は、SCIDの病態生理学の手がかりを提供してもよい。従って、DPP−IVの阻害剤は、とりわけ、臓器移植拒絶反応;自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチ)の治療;並びに、AIDSの治療に有用な免疫抑制剤(又は、サイトカイン遊離抑制薬物)であってもよいこととなる。
【0121】
化合物Iは、様々な癌の治療に使用されてもよい。肺内皮細胞DPP−IVは、肺転移性のラット乳癌細胞及び前立腺癌細胞の接着分子であることが示されている(Johnson,R.C.,et al.,J.Cell.Biol.,1993,121,1423)。DPP−IVは、フィブロネクチンに結合することが公知であり、いくつかの転移性腫瘍細胞は、その表面に多量のフィブロネクチンを持つことが公知である。強力なDPP−IV阻害剤は、例えば、乳房及び前立腺腫瘍の肺への転移を防ぐための薬物として有用であってもよい。
【0122】
化合物Iは、乾癬及び扁平苔癬のような皮膚科的疾患を治療する薬剤として有用であってもよい。高レベルのDPP−IV発現はまた、乾癬、関節リウマチ(RA)及び扁平苔癬を持つ患者由来のヒト皮膚線維芽細胞においても見出されている(Raynaud,F.,et al.,J.Cell.Physiol.,1992,151,378)。それゆえ、DPP−IV阻害剤は、これらの状態を治療するための薬剤として有用であってもよい。
【0123】
化合物Iは、男性避妊薬として、並びに女性の不妊症及び無月経を治療用に有用であってもよい。高DPP−IV活性は、良性前立腺肥大を持つ患者由来の組織ホモジネートにおいて及びプロスタトソーム(prostatosome)において、見出されている。これらは、精子の前方への運動性の増強に重要な前立腺由来の細胞小器官である(Vanhoof,G.,et al.,Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,1992,30,333)。DPP−IV阻害剤はまた、精子の運動性を抑制するように作用してもよく、それゆえ、男性避妊薬として作用してもよい。逆に言えば、DPP−IV阻害剤は、不妊症、特に、卵巣嚢(ovarian capsule)の肥厚及び多発性毛包嚢腫の形成によって特徴付けられる状態である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS、Stein−Leventhal症候群)に起因するヒト女性の不妊症の治療については新規であるとの含意がある。それは、不妊症及び無月経を招く。
【0124】
化合物Iは、(造血細胞を刺激する)様々なサイトカイン、成長因子及び神経ペプチドの切断を調節するのに使用されてもよい。DPP−IVの阻害剤は、外来的に添加されたサイトカイン又は他の成長因子あるいは間質細胞の非存在下で、造血細胞の増殖及び分化を刺激するのに有用であることが発見された。刺激された造血細胞は、インビボでの造血細胞又はその前駆体の数の減少によって特徴付けられる疾患の治療に有用である。それらの状態は、例えば、癌に対する化学療法及び/又は放射線療法の結果、免疫抑制された患者においてしばしば生じる。
【0125】
化合物Iは、成長ホルモン不足に起因する低身長(小人症)の治療において、有用であってよい。ヒト血漿中のDPP−IVは、成長ホルモン放出因子からN末端のTyr−Alaを切断し、このホルモンの不活性化をもたらすことが示されている。従って、DPP−IVの阻害は、その効果を調節して、GH依存性の組織増殖又は再増殖(re−growth)を促進するだろう。
【0126】
化合物Iは、神経疾患の制御又は正常化に有用であってよい。DPP−IVは、神経ペプチドを切断することができ、神経刺激性ペプチドサブスタンスP、神経ペプチドY及びCLIPの活性を調節することが示されている(Mentlein,R.,Dahms,P.,Grandt,D.,Kruger,R.,Proteolytic processing of neuropeptide Y and peptide YY by DPP−IV,Regul.Pept.,49,133,1993;Wetzel,W.,Wagner,T.,Vogel,D.,Demuth,H.−U.,Balschun,D.,Effects of the CLIP fragment ACTH 20−24 on the duration of REM sleep episodes,Neuropeptides,31,41,1997)。従って、DPP−IVの阻害は、神経ペプチドの打撃効果が軽減されるであろう。
【0127】
本発明の組成物は、他の活性な薬剤と投与又は同時投与されてもよい。これらのさらなる活性な薬剤としては、例えば、1種以上の他の医薬上活性な薬剤が挙げられてもよい。本発明の文脈において、同時投与とは、1種類以上の治療用薬剤(そのうち1種は、化合物Iを含む)の投与を意味するように意図される。そのような同時投与はまた、同一の範囲を有する(coextensive)(すなわち、重複した期間の間に生じる)ものであってもよいし、あるいは連続的(すなわち、重複していない期間の間に生じる)ものであってもよい。組み合わせ療法における、他の活性な成分と化合物Iの同時投与の例は、2006年9月13日に出願された、米国特許出願第11/531,671号に記載されており、この開示により、引用によってその全体が、本明細書中に明白に援用されている。
【0128】
腫瘍学的適応症については、化合物Iは、所望でない及び制御されていない細胞増殖を阻害するための他の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。化合物Iと組み合わせて使用されてもよい他の抗細胞増殖剤の例としては、レチノイド酸及びその誘導体、2−メトキシエストラジオール、ANGIOSTATINTMタンパク質、ENDOSTATINTMタンパク質、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ−Iの組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤2、軟骨由来の阻害剤、パクリタキセル、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製される)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝調節剤(例えば、プロリンアナログ((l−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA))、シスヒドロキシプロリン、d,l−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、β−アミノプロピオニトリルフマラート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、chimp−3、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エポネマイシン(eponemycin)を含む);フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−アンチコラゲナーゼ−血清、α2−アンチプラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−2−カルボキシフェニル−4−クロロアントロニリック酸二ナトリウム(n−2−carboxyphenyl−4−chloroanthronilic acid disodium)すなわち「CCA」、サリドマイド;血管新生抑制性(angostatic)ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール;BB94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。使用されてもよい他の抗血管新生剤には、これらの血管新生性の成長因子に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SF及びAng−1/Ang−2が挙げられる。Ferrara N.and Alitalo,K.“Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors”(1999)Nature Medicine 5:1359−1364。
【0129】
別の実施態様において、化合物Iの投与を含む治療方法が提供される。別の実施態様において、効果的な量の化合物Iを細胞に接触させることを含む、細胞増殖の阻害方法が提供される。別の実施態様において、治療有効量の化合物Iを患者に投与することを含む、患者における細胞増殖の阻害方法が提供される。
【0130】
別の実施態様において、治療有効量の化合物Iを患者に投与することを含む、患者の糖尿病及び関連した状態(糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満が挙げられるが、これらに限定されない)の治療方法が提供される。
【0131】
別の実施態様において、DPP−IVに介されることが公知であるか、又はDPP−IV阻害剤により治療されることが公知である患者の状態を治療する方法であって、治療有効量の化合物Iを患者に投与することを含む方法。別の実施態様において、DPP−IVに介されることが公知であるか、又はDPP−IV阻害剤により治療されることが公知である疾患状態の治療に使用するための医薬を製造するための、化合物Iの使用方法が提供される。
【0132】
別の実施態様において、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をDPP−IVが有する疾患状態を治療する方法であって、以下を含む方法が提供される:化合物Iの遊離塩基形態が疾患状態への治療有効量にて、被検体中に存在するような、被検体への化合物Iの投与。
【0133】
本発明は一般に、患者に、化合物Iを1mg/日から250mg/日の間で、任意に化合物Iを2.5mgから200mgの間で、任意に化合物Iを2.5mgから150mgの間で、及び任意に化合物Iを5mgから100mgの間で(各例において、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく)、投与することを含む方法に関する。使用されてもよい特定の投薬量としては、1日あたり、2.5mg、5mg、6.25mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg及び100mgの化合物Iが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。投薬は、1日毎の投薬又は1週間毎の投薬、1日につき1回又は1日につき複数回として投与されてもよいことに留意する。化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて投与されてもよいことに留意する。しかし、本明細書中に提供した投与量及び範囲は、常に化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づいている。
【0134】
化合物Iは、任意の投与経路にて投与されてよい。しかし、特定の実施態様においては、本発明の方法は、化合物Iの経口投与によって実行される。
【0135】
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態の少なくとも1種類が存在する化合物Iを含む医薬組成物
化合物Iは、少なくとも化合物Iの一部分が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する様々な医薬組成物中にて使用されてもよい。医薬組成物は、所望された治療効果を提供するのに十分な程度まで、インビボにおけるジペプチジルペプチダーゼ活性を軽減させるのに十分な量の化合物Iを含むべきである。このような医薬組成物は、化合物Iを0.005%から100%(重量/重量)、任意に0.1〜95%、及び任意に1〜95%の範囲で組成物中に存在するように含んでいてもよい。
【0136】
特定の実施態様においては、医薬組成物は、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態、及びそれらの混合物からなる群から選択される形態にて、化合物Iを少なくとも0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%含む。別の実施態様において、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態からなる群から選択される特定の多形形態は、医薬組成物中に、化合物I全量(重量/重量)のうち少なくとも0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%含んでいてもよい。
【0137】
化合物Iに加えて、医薬組成物は、化合物Iの使用に有害に影響しない、1種以上のさらなる成分を含んでいてもよい。例えば、医薬組成物は、化合物Iに加えて、従来の医薬担体;賦形剤;希釈剤;潤沢剤;結合剤;湿潤剤;崩壊剤;流動促進剤(glidants);甘味剤;香料;乳化剤;可溶化剤;pH緩衝化剤;芳香剤;表面安定化剤;懸濁剤;及び他の従来の医薬上不活性な薬剤を含んでいてもよい。特に、医薬組成物は、乳糖、マンニトール、グルコース、ショ糖、リン酸二カルシウム、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、タルク、デンプン、天然ゴム(例えば、アラビアゴムゼラチン(gum acaciagelatin))、糖蜜、ポリビニルピロリジン(polvinylpyrrolidine)、セルロース及びそれらの誘導体、ポビドン、酢酸クロスポビドン(crospovidone acetate)、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、生体適合性ポリマー(例えば、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及び他のこのような薬剤)を含んでいてもよい。
【0138】
本発明の医薬組成物は、任意の様々な経路により、投与に適合されてもよい。本発明の医薬組成物は、例えば、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、局所、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、経頬、鼻内、リポソーム、経吸入、膣内、眼内、経局所送達(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内、又は髄腔内によって、任意に徐放剤形で、投与されうる。特別な実施態様において、医薬組成物は、経口、吸入により、又は皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射もしくは脳脊髄液への直接的な注射により、投与される。
【0139】
一般に、本発明の医薬組成物は、気体、液体、準液体(semi−liquid)、ゲル又は固体の形態で調製されてもよくて、使用されるべき投与経路に適した様式で製剤化されてもよい。
【0140】
本発明の組成物は、任意に、ヒト及び動物への投与のために、適切な量の化合物Iを含む、単位剤形又は複数回剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、吸入器用の乾燥粉末剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液又は懸濁液、経口溶液又は懸濁液、油−水エマルジョン、持続性除放製剤(例えば、インプラント及びマイクロカプセル化した送達システムであるが、これらに限定しない))で、提供される。このような剤形の調製方法は、当該分野で公知であり、当業者には明らかであろう;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)を参照。
【0141】
本明細書中で使用する場合、単位投薬形態は、ヒト及び動物被検体にとって適切な、当分野において公知であるようにして個別に包装された物理的に分離された単位を指す。各単位投薬量は医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果を生み出すのに十分な所定量の化合物Iを含む。単位投薬形態の例としては、アンプル及び注射器、並びに個々に包装された錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位投薬形態は、その一部又は複数で投与されてもよい。複数回投薬形態は、単一容器に包装された分離された単位投薬形態で投与されるべき複数の同一の単位投薬形態である。複数回投薬形態の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤のボトル、又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。したがって、複数回投薬形態は、包装物中で分離されていない複数の単位投薬とみなされてもよい。
【0142】
一般的に、本発明の医薬組成物中の化合物Iの総量は、所望される治療効果に十分足るものであるべきである。この量は、1日につき1回の投薬、1日につきある時間間隔で投与される複数回投薬、又は持続性放出製剤として送達されてもよい。化合物Iは、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、アモルファス形態及びそれらの混合物からなる群から選択される形態にて投与されてもよいことに留意する。化合物Iを1mg/日から250mg/日の間、任意に化合物Iを2.5mgから200mgの間、任意に化合物Iを2.5mgから150mgの間、及び任意に化合物Iを5mgから100mgの間(各例において、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく)の1日量を患者に投与するとき、化合物Iは有利に使用されてもよい。使用してもよい特定の投薬量としては、1日あたり、2.5mg、5mg、6.25mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg及び100mgの化合物Iが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。化合物Iは、1日あたり1回投与されるのが望ましいかもしれない。従って、本発明の医薬組成物は、化合物Iを1mg/日から250mg/日の間で、任意に化合物Iを2.5mgから200mgの間で、任意に化合物Iを2.5mgから150mgの間で、及び任意に化合物Iを5mgから100mgの間で含む、単回投薬形態の形態であってもよい。特定の実施形態においては、医薬組成物は、2.5mg、5mg、6.25mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg又は100mgの化合物Iを含む。
【0143】
A.経口投与用の製剤
経口医薬剤形は、少なくとも化合物Iの一部分が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在するような、固形剤、ゲル剤又は液剤であってもよい。
【0144】
特定の実施形態においては、化合物Iは固体剤形として提供される。固体剤形の例としては、丸剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、顆粒剤、及び原末(bulk powder)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。経口錠剤のさらに特別な例としては、圧縮された、チュアブルのロゼンジ、トローチ剤及び錠剤(これは、腸溶性コーティング、糖衣又はフィルムコートされてもよい)が挙げられる。カプセル剤の例としては、硬質又は軟質ゼラチンカプセル剤が挙げられる。顆粒剤及び粉末剤は、非発泡性又は発泡性の形態で提供されてもよい。粉末剤は、凍結乾燥又は他の適切な方法によって調製されてもよい。
【0145】
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ等は、1種類以上の以下の成分、又は同様の性質の化合物を任意に含んでいてもよい;結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤;着色剤;甘味剤;香料;及び湿潤剤。
【0146】
使用されてもよい結合剤の例としては、微結晶性セルロース、トラガントガム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、ショ糖及びデンプンペーストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
使用されてもよい希釈剤の例としては、乳糖、ショ糖、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸二カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
使用されてもよい崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、バレイショデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
使用されてもよい滑沢剤の例としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
使用されてもよい流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。
【0151】
使用されてもよい着色剤の例としては、承認され証明された水溶性FD&C色素のいずれか、それらの混合物;及び水酸化アルミニウム(alumina hydrate)に懸濁された水不溶性のFD&C色素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
使用されてもよい甘味剤の例としては、ショ糖、乳糖、マンニトール並びにサイクラミン酸ナトリウム及びサッカリン等の人工甘味剤、並びに任意の数のスプレー乾燥香料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
使用されてもよい香料の例としては、果物等の植物から抽出された天然香料及び好ましい感覚を生じる化合物の合成混合物(例えば、ペパーミント及びサリチル酸メチルであるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
使用されてもよい湿潤剤の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
使用されてもよい制吐コーティングの例としては、脂肪酸、脂質、ワックス、シェラック、アンモニア処理されたシェラック及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
使用されてもよいフィルムコーティングの例としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
剤形が丸剤、錠剤、トローチ剤などであるとき、化合物Iは、それを胃の酸性環境から保護する組成物中に、任意に提供されてもよい。例えば、組成物は、胃内でその完全性を維持し、そして腸内で活性な化合物を放出する腸溶性コーティング中に製剤化されうる。組成物はまた、制酸剤又は他のそのような成分と組み合わせて製剤化されてもよい。
【0158】
投薬単位形態がカプセル剤であるとき、それは、任意に、脂肪油などの液体担体をさらに含んでもよい。さらに、投薬単位形態は、任意に、投薬単位の物理形態を改変する様々な他の材料、例えば、糖及び他の腸溶性薬剤のコーティングをさらに含んでもよい。
【0159】
化合物Iはまた、エリキシル、エマルジョン、懸濁剤、マイクロ懸濁剤、シロップ、ウェハース、細粒、チューイングガムなどの成分として投与されてもよい。シロップは、任意に、活性な化合物に加えて、甘味剤としてのショ糖、並びに特定の保存剤、色素及び着色剤及び香料を含んでもよい。
【0160】
あるいは、液体又は準固体経口製剤は、活性化合物又は塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)及び他のそのような担体中に溶解又は分散させて、これらの溶液又は懸濁液を硬質又は軟質ゼラチンカプセル殻に封入することによって、調製されてもよい。他の有用な製剤としては、米国再発行特許第28,819号及び米国特許第4,358,603号に記載されているものが挙げられる。
【0161】
化合物Iを投与するのに使用されてもよい経口製剤の例は、2006年9月13日に出願された、米国特許出願第11/531,671号に記載されており、その開示は、引用によってその全体が、本明細書中に明白に援用されている。
【0162】
例示的な錠剤製剤が、以下に提供される。例は、例示の目的であって、限定するものではないことに留意する。化合物Iは、1種類以上の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて製剤中に存在することにもまた、留意する。本明細書中にて提供される製剤は、当該分野で公知であるように、変化してもよいことにもまた、留意する。
【0163】
1錠当たり12.5mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)化合物I 17.0mg
(2)乳酸一水和物,NF,Ph,Eur 224.6mg
(FOREMOST 316 FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース,NF,Ph,Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム,NF,Ph,Eur 32.0mg
(AC−DO−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素,NF,Ph,Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム,NF,Ph,Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT,非ウシHyqual)
総計 (1錠当たり) 400.0mg
フィルムコート (全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0164】
1錠当たり25mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)化合物I 34.0mg
(2)乳酸一水和物,NF,Ph,Eur 207.6mg
(FOREMOST 316 FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース,NF,Ph,Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム,NF,Ph,Eur 32.0mg
(AC−DO−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素,NF,Ph,Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム,NF,Ph,Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT,非ウシHyqual)
総計 (1錠当たり) 400.0mg
フィルムコート (全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0165】
1錠当たり50mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)化合物I 68.0mg
(2)乳酸一水和物,NF,Ph,Eur 173.6mg
(FOREMOST 316 FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース,NF,Ph,Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム,NF,Ph,Eur 32.0mg
(AC−DO−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素,NF,Ph,Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム,NF,Ph,Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT,非ウシHyqual)
総計 (1錠当たり) 400.0mg
フィルムコート (全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0166】
B.注射剤、溶液及びエマルジョン
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態又は形態の混合物にて存在する化合物Iは、非経口投与のために製剤化されてもよい。非経口投与は、注射(皮下、筋肉内又は静脈内のいずれか)によって一般に特徴付けられる。一定レベルの投薬量が維持されるような徐放系(slow−release or sustained−release system)の埋め込み(例えば、米国特許第3,710,795号を参照のこと)も本明細書中で意図される。そのような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、投与経路及び治療されるべき疾患の適応症に大きく依存する。
【0167】
注射剤は、任意の従来の形態で、調製されてもよい。これらの製剤としては、注射用に準備された滅菌溶液、懸濁液、マイクロ懸濁液、及びエマルジョン、並びに使用直前に担体と組み合わせられるように準備された固体形態(例えば、皮下注射用の錠剤を含む、凍結乾燥又は他の粉末)が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、生じる製剤は、溶液、マイクロ懸濁液、懸濁液及びエマルジョンであってよい。担体は水性、非水性液体、又は液体に懸濁できる固形ビヒクルであってもよい。
【0168】
本発明の注射剤と組み合わせて使用されてもよい担体の例としては、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。注射剤の組成物はまた、任意に、少量の非毒性の補助物質(例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝化剤、安定剤、溶解性増強剤、並びに、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート及びシクロデキストリンなどの他のそのような薬剤)も含んでもよい。
【0169】
静脈内投与されるとき、適切な担体の例には、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及び、増粘剤及び可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール並びにこれらの混合物)を含む溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
非経口製剤で任意に使用されてもよい医薬上許容される担体の例には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝化剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤又はキレート化剤、及び他の医薬上許容される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
任意に使用されてもよい水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及び乳酸リンゲル注射液が挙げられる。
【0172】
任意に使用されてもよい非水性非経口ビヒクルの例には、植物起源の不揮発性油、綿実油、コーン油、ゴマ油及びピーナツ油が挙げられる。
【0173】
静菌性又は静真菌性の濃縮物中の抗菌剤は、特に、製剤が、複数回投与容器に詰められ、従って、保存され複数の一定分量を取り出すように設計されているときに、非経口製剤に添加されてもよい。使用されうる抗菌剤の例としては、フェノール又はクレゾール、水銀化合物、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0174】
使用されてもよい等張化剤の例としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。使用されてもよい緩衝化剤の例としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。使用されてもよい抗酸化剤の例としては、硫酸水素ナトリウムが挙げられる。使用されてもよい局所麻酔剤の例としては、塩酸プロカインが挙げられる。使用されてもよい懸濁剤及び分散剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。使用されてもよい乳化剤の例としては、ポリソルベート80(TWEEN 80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤又はキレート化剤としては、EDTAが挙げられる。
【0175】
医薬上の担体はまた、任意に、水混和性ビヒクルのための、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを、及びpH調整のための、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含んでいてもよい。
【0176】
非経口製剤中の化合物Iの濃度は、所望の薬理学的効果を作り出すのに十分な医薬上有効な量を注射剤が投与するように、調節されてもよい。化合物Iの正確な濃度及び/又は使用される投薬量は、当該分野で公知であるように、患者又は動物の年齢、体重及び状態に最終的には依存するであろう。
【0177】
単位投薬非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針が付いた注射器中に詰められてもよい。非経口投与用のすべての製剤は、当該分野において公知であり実践されているように、滅菌されたものであるべきである。
【0178】
注射剤は、局所及び全身投与用に設計されてもよい。代表的には、治療される組織(単数又は複数)に対して、少なくとも約0.1重量/重量%から約90重量/重量%かそれ以上、好ましくは1重量/重量%を超える濃度の化合物Iを含むように、治療上有効な投薬量が製剤化される。化合物Iは、一度に投与されてもよいし、ある時間間隔で投与されるいくつかのより少ない用量に分割されてもよい。正確な投薬量及び治療期間は、組成物が非経口投与される部位、担体、及び、公知の試験プロトコールを用いて、あるいはインビボ又はインビトロ試験データからの推定によって、経験的に決定されてもよい他の変数の関数であろうことが理解される。濃度及び投薬量の値はまた、治療される個体の年齢によって変化してもよいことが留意されるべきである。任意の特定の被検体については、個々の必要性及び製剤の投与を投与又は監督する人物の専門的な判断に従って、具体的な投薬量レジメンを経時的に調整する必要性があってもよいことがさらに理解されるべきである。従って、本明細書中に記載した濃度範囲は、代表的なものであることが意図され、特許請求した製剤の範囲又は実施を制限しないことが意図される。
【0179】
化合物Iは、任意に、微粉末化された又は他の適切な形態で懸濁されるか、あるいは、より溶解性の活性生成物を作製するために又はプロドラッグを作製するために、誘導体化されてもよい。得られる混合物の形態は、投与の意図した態様及び選択した担体又はビヒクル中での化合物の溶解性を含むいくつかの要因に依存する。効果的な濃度は、疾患状態の症状を回復するのに十分であり、経験的に決定されてもよい。
【0180】
C.粉末
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態又は形態の混合物である化合物Iは、溶液、エマルジョン及び他の混合物としての投与のために再構築されうる粉末として調製されてもよい。粉末はまた、固体又はゲルとして製剤化されてもよい。
【0181】
化合物Iの粉末は、粉砕、スプレー乾燥、凍結乾燥及び当該分野で周知の他の技術によって調製されてもよい。無菌凍結乾燥粉末は、デキストロース又は他の適切な賦形剤を含むリン酸ナトリウム緩衝溶液に、化合物Iを溶解することによって、調製されてもよい。その後の溶液の滅菌ろ過、それに続く当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥は、所望の製剤をもたらす。簡潔に説明すると、凍結乾燥粉末は、任意に、デキストロース、ソルビトール、果糖、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、ショ糖又は他の適切な薬剤を、約1〜20%、好ましくは約5〜15%、適切な緩衝液(例えば、クエン酸塩、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩あるいは当業者に公知の他のそのような緩衝液(代表的には、およそ中性のpH)に、溶解することによって調製されてもよい。それから、化合物Iを、得られる混合物に、好ましくは室温超、より好ましくは約30〜35℃で、添加し、それが溶解するまで撹拌する。さらに緩衝液を添加することによって、得られる混合物を、所望の濃度まで希釈する。得られる混合物を、滅菌濾過するか、又は、微粒子を取り除くため及び滅菌性を保証するために処理し、凍結乾燥用のバイアル中に分ける。各バイアルは、単回投薬量又は複数回投薬量の化合物Iを含んでいてよい。
【0182】
D.局所投与
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する化合物Iはまた、局所混合物として投与されてもよい。局所混合物は、局所及び全身投与のために使用されてもよい。得られる混合物は、溶液、懸濁液、マイクロ懸濁液、エマルジョンなどであってよくて、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアゾール、灌注、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適した任意の他の製剤として、製剤化されてもよい。
【0183】
化合物Iは、気道への局所適用のために製剤化されてもよい。これらの肺性製剤は、エアゾール、溶液、エマルジョン、懸濁液、噴霧器用のマイクロ懸濁液の形態、または吸入用の微細粉末として、単独でありうるか、又は乳糖などの不活性担体と組み合わせうる。そのような場合、製剤の粒子は、代表的には、50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の直径を有する。局所適用(例えば、吸入による)用のエアゾールの例は、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、及び同第4,364,923号に開示されていて、これらは、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達用のエアゾールについて記載している。
【0184】
化合物Iはまた、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、局所適用(local or topical application)のために、例えば、皮膚及び粘膜(例えば、眼の)への局所適用のために、そして、眼への適用のため又は大槽内(intracisternal)若しくは髄腔内適用のために、製剤化されてもよい。局所投与は、経皮送達について、また、眼又は粘膜への投与についてあるいは吸入療法について、意図される。単独又は他の医薬上許容される賦形剤と組み合わせた化合物Iの点鼻液又は懸濁液もまた、投与されうる。
【0185】
E.他の投与経路のための製剤
治療される疾患状態に応じて、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態又は形態の混合物にて存在する化合物Iは、他の投与経路(例えば、局所適用、経皮パッチ、及び直腸投与)も使用されてもよいように、製剤化されてもよい。例えば、直腸投与のための医薬剤形は、全身効果のための直腸坐剤、カプセル剤及び錠剤である。本明細書中で使用される直腸坐剤は、1種類以上の薬理学的又は治療的に活性な成分を放出する体温で融解又は軟化する直腸内に挿入するための固形物を意味する。直腸坐剤において利用される医薬上許容される物質は、基剤又はビヒクル及び融点を上昇させるための薬剤である。基剤の例としては、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カルボワックス、(ポリオキシエチレングリコール)、並びに脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。様々な基剤の組み合わせが使用されてもよい。坐剤の融点を上昇させるための薬剤には、鯨ロウ及びワックスが挙げられる。直腸坐剤は、圧縮法によるか又は成形によって、調製されてもよい。直腸坐剤の代表的な重量は、約2〜3gmである。直腸投与のための錠剤及びカプセル剤は、経口投与のための製剤の場合と同じ医薬上許容される物質を使用し、同じ方法によって、製造されてもよい。
【0186】
化合物Iの多形を含むキット及び製品
本発明はまた、ジペプチジルペプチダーゼに関連する疾患を治療するためのキット及び他の製品についても述べる。疾患は、ジペプチジルペプチダーゼが状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性を有する全ての状態を網羅することが意図されることに留意する。
【0187】
1つの実施態様においては、0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて存在する、化合物Iを含む医薬組成物と;キットを用いるための使用説明書と、を含むキットが提供される。任意に、組成物は、少なくとも0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。使用説明書は、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示してもよい。キットはまた、包装材料を含んでもよい。包装材料は、組成物を収容するための容器を含んでもよい。キットはまた、任意に、組成物投与のための注射器のような追加の要素を含んでもよい。キットは、単回又は複数回投薬形態で、組成物を含んでもよい。
【0188】
別の実施態様においては、0.1%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%を超える化合物I(重量)が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、及びアモルファス形態からなる群から選択される形態にて組成物中に存在する、化合物Iを含む医薬組成物と;包装材料と、を含む製品が提供される。任意に、組成物は少なくとも0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。包装材料は、組成物を収容するための容器を含んでもよい。容器は、任意に、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示すラベルを含んでもよい。キットはまた、任意に、組成物投与のための注射器のような追加の要素を含んでもよい。キットは、単回又は複数回投薬形態で、組成物を含んでもよい。
【0189】
本発明のキット及び製品で使用される包装材料は、複数の仕切られた容器(例えば、仕切られたボトル又は仕切られたホイル袋)を形成してもよいことに留意する。容器は、医薬上許容される材料で作られた当該分野で公知のような任意の従来の形状又は形態(例えば、紙又は段ボール箱、ガラス又はプラスチックのボトル又はジャー、再封止可能なバッグ(例えば、異なる容器への配置のために錠剤の「詰め替え品」を保持するための)、又は治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の投薬を有するブリスターパック)でありうる。用いられる容器は、関与する正確な剤形に依存するだろう(例えば、従来の段ボール箱は、液体懸濁液を保持するためには通常使用されないだろう)。1種類を超える容器が、単一剤形を市販するための単一パッケージ中で、一緒に使用されうることは実現可能である。例えば、錠剤がボトルに収容され、次いで、それが箱の中に収容されてもよい。代表的には、キットは、別個の成分を投与するための指示を含む。キット形態は、別個の成分が異なる剤形(例えば、経口、局所、経皮及び非経口)で好ましくは投与されるとき、異なる投薬間隔で投与されるか、又は、組み合わせの個々の成分の滴定が処方する医師によって望まれるとき、特に有利である。
【0190】
本発明のキットの1つの特定の例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、医薬の単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、一般的に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルでカバーされた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に、凹部がプラスチックホイルに形成される。凹部は、詰められる個々の錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有するか、あるいは、複数の詰められる錠剤及び/又はカプセル剤に合うようなサイズ及び形状を有してもよい。次に、錠剤又はカプセル剤が凹部にそれ相応に配置され、比較的硬い材料のシートが、凹部が形成された方向とは逆にあるホイルの面のプラスチックホイルに対して封止される。結果として、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の凹部に、所望に応じて、個別に封止されるか又は集合的に封止される。好ましくは、シートの強度は、凹部に手で圧力を付与し、それによって、凹部の場所のシートに開口部が形成されることにより、ブリスターパックから錠剤又はカプセル剤が取り出されうるようなものである。それから、錠剤又はカプセル剤は、前記開口部を介して取り出されうる。
【0191】
キットの別の特別な実施態様は、その意図される用途の順序で1日量を1つずつ分注するように設計された分注器である。好ましくは、分注器は、レジメンへのコンプライアンスをさらに促進するために、記憶補助が備えられる。そのような記憶補助の例は、分注した1日量の数を示す機械的カウンタである。そのような記憶補助の別の例は、液晶読み出しと一緒になった電池式のマイクロチップメモリ、又は、例えば、最後の1日量を摂取した日付を読み上げ及び/又は次の用量を摂取する日付を思い出させる可聴式のリマインダーシグナルである。
【実施例1】
【0192】
実施例
実施例1:2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル コハク酸 (化合物I)の調製
【0193】
【化3】
I
【0194】
化合物Iは、以下の合成経路で調製されてもよい(スキーム1)。
【0195】
【化4】
【0196】
A.4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル (化合物B)の調製
【0197】
【化5】
【0198】
化合物Bは、2−ブロモ−5−フルオロ−トルエン(化合物A)(3.5g,18.5mmol)及びCuCN(2g,22mmol)のDMF(100mL)混合液を、24時間還流して調製した。反応物を水で希釈して、ヘキサンで抽出した。有機物をMgSO4上で乾燥して、溶媒を除去すると、生成物Bが生じた(収率60%)。1H−NMR (400 MHz,CDCl3):δ7.60(dd,J=5.6,8.8 Hz,1H),6.93−7.06(m,2H),2.55(s,3H).
【0199】
B.2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(化合物C)の調製
【0200】
【化6】
【0201】
化合物Cは、4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル(化合物B)(2g,14.8mmol)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)(2.64g,15mmol)及びアゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)(100mg)のCCl4混合液を、窒素下にて2時間還流して調製した。反応物を、室温まで冷却した。固形物をろ過により除去した。有機溶液を濃縮して、油状形態の粗生成物が生じ、これはさらに精製しないで、次のステップで使用した。1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.68(dd,J=5.2,8.4Hz,1H),7.28(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),7.12(m,1H),4.6(s,2H).
【0202】
C.2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物D)の調製
【0203】
【化7】
【0204】
化合物Eは、粗3−メチル−6−クロロウラシルD(0.6g,3.8mmol)、2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(0.86g,4mmol)及びK2CO3(0.5g,4mmol)のDMSO(10mL)混合液を、60℃にて2時間攪拌して調製した。反応物を水で希釈して、EtOAcで抽出した。有機物をMgSO4上で乾燥して、溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。0.66gの生成物を得た(収率:60%)。1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.73(dd,J=7.2,8.4Hz,1H),7.26(d,J−4.0Hz,1H),7.11−7.17(m,1H),6.94(dd,J=2.0,9.0Hz,1H),6.034(s,2H),3.39(s,3H).MS(ES)[m+H]C13H9ClFN3O2の計算値,293.68;実測値293.68.
【0205】
D.2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物F)の調製
【0206】
【化8】
【0207】
化合物Fは、2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物E) (300 mg,1.0mmol)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(266 mg,1.5mmol)及び炭酸水素ナトリウム(500mg,5.4mmol)を、密閉したチューブ内にてEtOH(3mL)中で、100 ℃にて2時間、混合し攪拌することによって調製した。最終化合物を、HPLC精製後にトリフルオロ酢酸(TFA)塩として得た。1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ.7.77−7.84 (m,1H),7.16−7.27(m,2H),5.46(s,1H),5.17−5.34(ABq,2H,J=35.2,15.6Hz),3.33−3.47(m, 2H),3.22(s,3H),2.98−3.08(m,1H),2.67−2.92(m,2H),2.07−2.17(m,1H),1.82−1.92(m,1H),1.51−1.79(m,2H).MS(ES)[m+H]C18H20FN5O2の計算値,357.38;実測値,357.38.
【0208】
E.化合物Iの調製:2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリルのコハク酸塩
【0209】
【化9】
【0210】
上記のステップにて調製したTFA塩(実施例1,ステップD)をDCMに懸濁し、それから飽和Na2CO3で洗浄した。有機相を真空中で乾燥して除去した。ベンゾニトリル生成物(およそ10mg)を、MeOH(1mL)中に溶解して、そこにコハク酸のTHF(1.05当量)液を添加した。溶液は、3日間大気に曝して、静止させた。沈澱物が生じたときには、固形物をろ過により回収した。沈澱物が形成しなかったときには、混合物を真空中で濃縮して、溶媒を除去した後に、コハク酸塩を得た。1H−NMR(400 MHz,CD3OD):δ.7.77−7.84(m,1H),7.12−7.26(m,2H),5.47(s,1H),5.21−5.32(ABq,2H,J=32.0,16.0Hz),3.35−3.5(m,2H),3.22(s,3H),3.01−3.1(m,1H),2.69−2.93(m,2H),2.07−2.17(m,1H),1.83−1.93(m,1H),1.55−1.80(m,2H).MS(ES)[m+H]C18H20FN5O2の計算値,357.38;実測値,357.38.
【0211】
このように調製した化合物Iは、粉末X線回折分析(図1)により、結晶性であることを見出した。結晶物質は、形態Aと命名した。
【実施例2】
【0212】
実施例2:異なる溶媒における化合物Iのおよその溶解度
【0213】
実施例1に記載した方法により調製した化合物Iを、溶解度研究に使用した。溶媒及び他の試薬は、ACS又はHPLCグレードであり、受け取ったままで使用した。
【0214】
化合物Iの秤量されたサンプル(代表的には約20〜25mg)を、添加の間に超音波処理しながら周囲温度にて、試験溶媒の一定分量(代表的には
50μl)で処理した。溶媒は、試薬又はHPLCグレードのいずれかであった。透明な溶液(目視検査によって決定した)を得るために使用する溶媒の総量から、溶解度を見積もった。溶解度は、溶解が観察されなかったとき、「未満」と表されている。最後の一定分量を添加した結果、溶解が起きたとき、溶解度は、「を超える又は等しい」
と表されている。溶媒の過剰添加(多い一定分量)又はゆっくりとした溶解速度に起因して、実際の溶解度は、算出された溶解度を超えるかもしれない。化合物Iのおよその溶解度を、表Aにまとめる。溶解度値は、一番近い整数に四捨五入して、一番近いmg/mLで報告する。
【0215】
【表8】
【実施例3】
【0216】
実施例3:多形スクリーニング
実施例1に記載した方法にて調製した化合物Iは、多形スクリーニングのための出発物質として使用した。溶媒及び他の試薬は、ACS又はHPLCグレードであり、受け取ったままで使用した。
【0217】
A.サンプルの調製
形態を同定するための固形物は、化合物Iから以下の方法によって調製した。
【0218】
1.高速蒸発(FE)
化合物I溶液を、試験溶媒中にて調製した。サンプルはドラフト内に置き、覆いをせずに周囲条件下で蒸発させた。固形物を、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0219】
2.低速蒸発(SE)
化合物I溶液を、試験溶媒中にて調製した。サンプルは、ドラフト内に置き、小さな穴を開けたホイルで覆い、周囲条件下で蒸発させた。固形物を、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0220】
3.室温(RT)スラリー
過剰量の化合物Iを、試験溶媒中で、およそ5又は7日間回転板で回転させてスラリーとした。固形物は、代表的には真空ろ過によって回収し、ドラフト内で空気乾燥させて、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0221】
4.昇温スラリー
過剰量の化合物Iを、試験溶媒中で、およそ5日間振盪器のブロック上で47℃にて、スラリーとした。固形物は、真空ろ過によって回収し、ドラフト内で乾燥させて、それから形態同定のためにXRPDで分析した。
【0222】
5.低速冷却結晶化(SC)
化合物Iの飽和又は飽和に近い溶液を、上昇した温度にて調製した。サンプルを温めた0.2μmのフィルターに通して温めたバイアルへとろ過した。熱源のスイッチを切り、サンプルを周囲温度までゆっくりと冷却させた。1日以内に沈澱物が生じなかったときは、サンプルを冷蔵庫に置いた。数日以内に沈澱物が生じなかったときは、サンプルを冷凍庫中に移した。固形物を溶媒のデカンテーション又は真空ろ過によって回収して、ドラフト内で乾燥し、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0223】
6.急激冷却結晶化(CC)
化合物Iの飽和又は飽和に近い溶液を、上昇した温度にて調製した。サンプルを温めた0.2μmのフィルターに通して温めたバイアルへとろ過し、それからアセトン/ドライアイス又は氷浴中にて急速に冷却させた。数分後に沈澱物が生じなかったときは、サンプルを冷蔵庫又は冷凍庫に置いた。固形物を溶媒のデカンテーション又は真空ろ過によって回収して、ドラフト内で乾燥し、形態同定のためにXRPDで分析した。数日後に準周囲温度下で沈澱しなかったサンプルは、ドラフト内で蒸発させて、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0224】
7.溶媒/貧溶媒結晶化(S/AS)
化合物I溶液を、試験溶媒中にて調製した。混和性貧溶媒を、使い捨てピペットで添加した。沈澱物を真空ろ過又は溶媒デカンテーションにより回収した。沈澱物が生じなかったときは、サンプルを準周囲温度下に保管した。数日後に固形物が観察されないときは、サンプルをドラフト内で蒸発させた。回収した固形物を、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0225】
8.相対湿度(RH)負荷実験
化合物Iのサンプルを、およそ58%、88%、及び97%の相対湿度ジャー内に覆わずに置いた。サンプルは、ジャーの中におよそ8日間保管した。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0226】
9.凍結乾燥
化合物Iをガラスバイアル内の水に溶解した。アセトン/ドライアイス浴中でバイアルを回旋させることにより、溶液を凍結した。凍結した溶媒が全て除去されるまで、凍結したサンプルを凍結乾燥器内に置いた。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0227】
10.粉砕実験
一定分量の化合物Iを乳鉢及び乳棒により手動で粉砕して、乾燥固形物及び水で湿ったペーストとした。サンプルは、およそ3分間粉砕した。固形物を回収して、形態同定のために、XRPDで分析した。
【0228】
11.脱水実験
化合物Iの水和化したサンプルを、周囲条件にて(2日)、及び周囲温度下における真空オーブン(1日)にて脱水化した。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0229】
12.蒸気負荷実験
化合物Iのアモルファスを、8日までのあいだ、アセトン、エタノール、及び水蒸気チャンバー中に置いた。固形物を回収して、形態同定のためにXRPDで分析した。
【0230】
B.サンプルの特徴づけ
以下の分析技術及びそれらの組み合わせは、調製した固体相の物理的特性を決定するのに使用した。
【0231】
1.粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折(XRPD)分析を、CPS((曲線位置高感度(Curved Position Sensitive))検出器を備えているInel XRG−3000回折計を使用して、2θ(2θ)の範囲が120°にて行った。0.03°の2θの分解能でおよそ4°の2θから開始するCu−Kα線を使用してリアルタイムデータを収集した。管電圧及びアンペア数はそれぞれ40kV及び30mAに設定した。2.5〜40°の2θでパターンを表示する。分析用のサンプルを、それらを薄壁のガラスキャピラリーに詰めることによって調製した。各キャピラリーを、データ取得中にキャピラリーの回転を可能にするためにモーターを取り付けたゴニオメータのヘッドに取り付けた。サンプルをおよそ5分間分析した。機器の校正は、シリコン参照標準を使用して行った。ピークの検出は、Shimazu XRD−6000ベーシックプロセスバージョン2.6の、自動ピーク検出を使用して行った。ピーク検出分析を行う前に、ファイルをShimazuフォーマットに変換した。デフォルトのパラメーターは、ピークを選択するのに使用した。
【0232】
2.熱重量分析(TGA)
TA Instruments 2950熱重量分析計を用いて熱重量(TG)分析を行った。各サンプルをアルミニウムのサンプル皿に置き、TG加熱炉へと挿入した。最初に加熱炉を25℃にて平衡化し、それから窒素下で、10℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。ニッケル及びAlumel(登録商標)を校正標準品として使用した。
【0233】
3.示差走査熱量測定(DSC)
TA Instruments示差走査熱量計2920を使用して示差走査熱量測定(DSC)を行った。サンプルをアルミニウムのDSC皿に置き、重量を正確に記録した。皿を蓋で覆い、それから圧着した。サンプルのセルを25℃にて平衡化し、それから窒素パージ下にて10℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。インジウム金属を校正標準品として使用した。記録した温度は、相転移の最大値である。
【0234】
アモルファス物質のガラス相転移温度(Tg)研究のため、サンプルのセルを周囲温度にて平衡化し、それから窒素下で、20℃/分の速度で、100℃にまで加熱した。それからサンプルのセルを冷却して−20℃にて平衡化した。再び20℃/分の速度で100℃まで加熱して、それから冷却して−20℃にて平衡化した。それからサンプルのセルを20℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。Tgは相転移の開始点から記録する。
【0235】
4.ホットステージ顕微鏡法(HSM)
Leica DM LP顕微鏡に取り付けたLinkamホットステージ(FTIR600モデル)を使用してホットステージ顕微鏡法を行った。サンプルを2枚のカバーグラス間に挟み、交差した偏光板及び一次補償器で、20倍の対物レンズを用いてサンプルを観察した。各サンプルは、ステージを加熱しながら、視覚的に観察した。SPOT Insight(登録商標)カラーデジタルカメラとSPOTソフトウェアv.3.5.8を使用してイメージを捕捉した。USP融点標準品を使用して、ホットステージを校正した。
【0236】
5.熱重量−赤外法(TG−IR)
Ever−Glo中/遠IR線源、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッタ、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたMagna560(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)に接続した、TA Instruments熱重量(TG)分析モデル2050にて、熱重量赤外(TG−IR)分析を取得した。TG装置は、パージとバランスのヘリウム流速をそれぞれ90及び10cc/分にて操作した。各サンプルをプラチナのサンプル皿に置き、TG加熱炉へと挿入し、装置で正確に重量を測定し、加熱炉を周囲温度から、20℃/分の速度で、250℃にまで加熱した。最初TG装置を開始して、すぐにFT−IR装置に続けた。各IRスペクトルは4cm−1のスペクトル分解能で収集された32の共付加スキャンを表す。バックグラウンドスキャンは、実験を開始する前に収集した。波長校正はポリスチレンを使用して行った。TG校正標準品は、ニッケル及びAlumel(登録商標)であった。揮発物は、High Resolution Nicolet TGA Vapor Phaseスペクトルライブラリーを検索して同定した。
【0237】
6.フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)
Ever−Glo中/遠IR線源、広範囲臭化カリウム(KBr)ビームスプリッタ、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたMagna−IR 560(登録商標)又は860(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)で赤外スペクトルを取得した。拡散反射アクセサリ(Collector(登録商標)、Thermo Spectra−Tech)をサンプリングに使用した。各スペクトルは4cm−1のスペクトル分解能で収集された256の共付加スキャンを表す。サンプルの調製は、サンプルをKBrと物理的に混合すること、並びに、直径13mmのカップ内にサンプルを置くことからなる。バックグラウンドデータセットを、KBrのサンプルにて取得した。これら2組のデータセットの互いの比をとることによってLog 1/R(R=反射率)スペクトルを取得した。波長校正はポリスチレンを使用して行った。自動ピーク検出は、Omnicバージョン7.2を使用して行った。
【0238】
7.フーリエ変換ラマン分光法(FT−ラマン法)
Magna 860(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)に接続した、ラマンアクセサリモジュールでFT−ラマンスペクトルを取得した。このモジュールは、1064nmの励起波長、及びヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器を使用する。サンプルの照射には、およそ0.5WのNd:YVO4レーザー出力を使用した。物質をガラス管に入れて、アクセサリー内の金コーティングしたチューブホルダーに設置することによって、分析用サンプルを調製した。Happ−Genzelアポダイゼーションを使用して、4cm−1のスペクトル分解能にて、全部で256のサンプルのスキャンを収集した。波長校正は硫黄及びシクロヘキサンを使用して行った。自動ピーク検出は、Omnicバージョン7.2を使用して行った。
【0239】
8.固体核磁気共鳴分光法(13C−NMR)
固体13C交差分極マジックアングルスピンニング(CP/MAS)NMRスペクトルを、周囲温度にて、VarianUNITYINOVA−400分光計(ラーモア周波数:13C=100.542MHz,1H=399.799MHz)にて取得した。サンプルは、4mm PENCIL型のジルコニアローターに詰めて、マジックアングルにて12kHzで回転させた。2.2μs(90°)の1Hパルス幅、5msのランプ振幅交差分極接触時間、30msの取得時間、10秒のスキャン間の遅延、2700データポイントでの45kHzのスペクトル幅、及び100の共付加スキャンを使用して、取得時間の間に、位相変調(SPINAL−64)ハイパワー1Hデカップリングでスペクトルを取得した。自由誘導減衰(FID)は、Varian VNMR 6.1Cソフトウェアを使用して、32768ポイント数と、シグナル対ノイズ比を改善するための10Hzの指数関数型線幅拡大因子で処理した。FIDの最初の3個のデータポイントは、平らなベースラインを作るためのVNMR線形予想アルゴリズムを使用してさかのぼって予測された。スペクトルピークの化学シフトは、176.5ppmにおけるグリシンのカルボニル炭素の共鳴を外部基準とした。
【0240】
9.溶液核磁気共鳴分光法(1H−NMR)
VarianUNITYINOVA−400分光計で、1Hラーモア周波数が399.803MHzにて、周囲温度で、溶液1H NMRスペクトルを取得した。サンプルはメタノールに溶解した。8.4μsの1Hパルス幅、2.50秒の取得時間、5秒のスキャン間の遅延、32000データポイントでの6400Hzのスペクトル幅、及び40の共付加スキャンでスペクトルを取得した。自由誘導減衰(FID)は、Varian VNMR 6.1Cソフトウェアを使用して、65536ポイント数及び、シグナル対ノイズ比を改善するための0.2Hzの指数関数型線幅拡大因子で処理した。スペクトルは、0.0ppmの内部テトラメチルシラン(TMS)を基準とした。
【0241】
10.水分吸着/脱着分析
VTI SGA−100蒸気吸着分析装置で水分吸着/脱着データを収集した。5%〜95%の相対湿度(RH)範囲にわたって、10%のRH間隔で窒素でパージしながら吸着及び脱着データを収集した。分析前にはサンプルを乾燥しなかった。分析のために使用した平衡基準は、5分間での重量変化が0.0100%未満であり、重量基準が満たされなかった場合の最大平衡時間は3時間であった。サンプルの初期水分含量については、データを修正しなかった。NaCl及びPVPを、校正標準品として使用した。
【0242】
多形スクリーニングについて行った結晶化実験を、表B及びCにまとめる。表Bは、様々な溶媒における結晶化実験をまとめている。表Cは、様々な溶媒/貧溶媒における結晶化実験をまとめている。
【0243】
【表9−1】
【0244】
【表9−2】
【0245】
【表9−3】
【0246】
【表9−4】
【0247】
【表10】
【実施例4】
【0248】
実施例4:形態A+Bの調製
およそ40mgの化合物I出発物質を、4mLのイソプロパノール:水(88:12)に溶解した。バイアルを、低速蒸発のために小さな穴を5個開けたアルミホイル片で覆った。形態A+Bを生じる固形物は、14日後に回収した。
【実施例5】
【0249】
実施例5:形態Cの調製
化合物I出発物質(40mg)のIPA(8mL)スラリーを、60℃に設定したホットプレート上で、およそ5時間、300rpmで攪拌した。スラリーを、温めた0.2μmナイロンフィルターで、温めたバイアル中へとろ過して、ホットプレートのスイッチを切って溶液を低速冷却した。サンプルは、周囲温度にておよそ1日間保管して、それから冷蔵庫におよそ3日間移した。透明な溶液が観察された。冷蔵庫にて3日後、サンプルを冷凍庫におよそ5日間移した。固形物を、真空ろ過によって回収して、ドラフト内で乾燥した。
【実施例6】
【0250】
実施例6:形態Dの調製
化合物I出発物質のサンプル(40mg)を、水(400μl)に溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターで、無菌バイアル中へとろ過した。アセトニトリルで満たされた使い捨てピペットのおよそ半量を、水溶液に添加した。沈澱物は観察されなかった。サンプルを冷蔵庫の中におよそ12日間置いた。沈澱物は観察されなかった。溶液を蒸発させるために、覆いをかけずにドラフト内においた。形態Dを生じる固形物は、2日後に回収した。
【実施例7】
【0251】
実施例7:形態Eの調製
化合物Iのサンプル(40mg)を、水(400μl)に溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターで、無菌バイアル中へとろ過した。アセトニトリルで満たされた使い捨てピペットのおよそ3/4を、水溶液に添加した。サンプルを手でゆすった。沈澱物は観察されなかった。溶液を蒸発させるために、覆いをかけずにドラフト内においた。固形物は、10日後に回収した。
【実施例8】
【0252】
実施例8:形態A+Fの調製
化合物Iのサンプル(51mg)を、800μlのTHF:水(9:1)溶液に溶解した。サンプルを、60℃に設定したホットプレート上で、およそ1時間、300rpmで攪拌した。ホットプレートのスイッチを切って透明な溶液を低速冷却させた。サンプルが室温に到達したら、沈澱物を誘導するために冷蔵庫に置いた。沈澱物は、およそ2日後に観察された。溶媒をデカンテーションして、固形物を空気乾燥した。
【実施例9】
【0253】
実施例9:形態A+E+Gの調製
化合物Iのスラリー(79mg)を、1mLのTHF:水(9:1)に溶解した。サンプルを、周囲条件にて13日間懸濁した。固形物をろ過で回収して、空気乾燥した。生じた固形物から、形態A+E+Gの混合物を得た。
【実施例10】
【0254】
実施例10:アモルファス形態の調製
化合物Iのサンプル(40mg)を、1000μlの水に溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターで、無菌バイアル中へとろ過して、それからドライアイス/アセトン浴中で凍結した。バイアルをキムワイプで覆い、それから凍結乾燥器に一晩置いた。生じた固形物から、アモルファス形態を得た。
【実施例11】
【0255】
実施例11:形態Aの特徴づけ
実施例1の手法により調製した物質は、形態Aと命名した。物質は、XRPD、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、FT−IR、FT−ラマン、1H NMR、及び13C NMRにより特徴づけをした。分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って、行った。
【0256】
形態Aの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図1〜7に報告する。特徴的なデータは、表Dにまとめる。
【0257】
【表11】
【実施例12】
【0258】
実施例12:形態A+Bの特徴づけ
形態A+B物質を、実施例4に従って調製した。
【0259】
物質は、XRPD、TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、TG−IR及び水分吸着/脱着分析により、特徴づけをした。分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って行った。
【0260】
形態A+Bの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図8〜13に報告する。形態A+Bの特徴的なデータは、表Eにまとめる。
【0261】
【表5】
【実施例13】
【0262】
実施例13:形態Cの特徴づけ
形態Cの物質は、実施例5に従って調製した。物質は、XRPDにより特徴付けをした。形態CのXRPDスペクトルは、図14に報告する。
【実施例14】
【0263】
実施例14:形態Dの特徴づけ
形態Dの物質は、実施例6に従って調製した。物質は、1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、及びホットステージ顕微鏡法により特徴づけをした。特徴づけ分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って行った。形態Dの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図15〜19に報告する。形態Dの特徴的なデータは、表Fにまとめる。
【0264】
【表12】
【実施例15】
【0265】
実施例15:形態Eの特徴づけ
形態Eの物質を、実施例7に従って調製した。物質は、1H NMR、XRPD、TGA、DSC、TG−IR、及びホットステージ顕微鏡法、水分吸着/脱着分析(m s/des)により特徴づけをした。特徴づけ分析は、実施例3のセクションBに概要した手法に従って行った。
【0266】
形態Dの特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図20〜23に報告する。形態Eの水分吸着脱着等温線は、図23に報告する。形態Eの特徴的なデータは、表Gにまとめる。
【0267】
【表13】
【実施例16】
【0268】
実施例16:形態A+Fの特徴づけ
形態A+Fの物質を、実施例8に従って調製した。物質は、XRPDにより特徴づけをした。形態A+Fの生じたXRPDスペクトルは、図24にまとめる。
【実施例17】
【0269】
実施例17:形態Gの特徴づけ
形態A+E+Gの物質を、実施例9に従って調製した。物質は、XRPDにより特徴づけをした。形態A+E+Gの生じたXRPDスペクトルは、図25にまとめる。
【実施例18】
【0270】
実施例18:アモルファス形態の特徴づけ
化合物Iのアモルファス形態を、実施例10に従って調製した。
【0271】
アモルファス形態の物質は、XRPD TGA、DSC、ホットステージ顕微鏡法、及び水分吸着/脱着分析により特徴づけをした。形態Aのガラス転移温度は、実施例3、セクションB−3に概要した手法を用いて評価した。水分吸着/脱着分析後に生じた物質を、XRPDにて特徴づけをした。
【0272】
アモルファス形態の特徴的なスペクトル及びサーモグラムは、図26〜29に報告する。アモルファス形態の水分吸着脱着等温線は、図30に報告する。アモルファス形態のガラス転移温度を決定するためのDSCサーモグラムは、図31に報告する。アモルファス形態の特徴的なデータは、以下の表Hにまとめる。
【0273】
【表14】
【実施例19】
【0274】
実施例19:相対湿度負荷実験
一定分量の化合物Iの形態Aを、およそ50%及び97%の相対湿度にて29日間保管した。一定分量の形態A+B混合物を、88%の相対湿度にて23日間負荷を与えた。アモルファス形態は、58%及び88%の相対湿度にて23日間負荷を与えた。残存している固形物をXRPDにより特徴づけをして、形態Aであることを決定した。結果は、表Iにまとめる。
【0275】
【表15】
【実施例20】
【0276】
実施例20:脱水実験
一定分量の化合物Iの形態A+Bを、周囲条件にて2日間、及び周囲温度における真空下で1日以上保管した。固形物を回収して、XRPDで分析して、形態Aであることが確証した。
【実施例21】
【0277】
実施例21:スラリー相互変換研究
化合物Iの形態A及び形態Bの混合サンプルを、水及びTHF:水(9:1)にて、13日までの間、懸濁した。結果として単離された固形物質は、粉末X線回折で特徴づけをして、形態A又は形態A+Bのいずれかであることが決定した。結果を表Jにまとめる。
【0278】
【表16】
【実施例22】
【0279】
実施例22:化合物Iのアモルファス固体の蒸気負荷
化合物Iのアモルファス形態の固形物を、アセトン及びエタノール蒸気負荷チャンバーにて、4日間負荷を与えた。固形物の別の一定分量を、水蒸気チャンバーにて、4日間及び8日間負荷を与えた。残存している固形物を、XRPDにより分析した。アモルファス固体は、アセトン及びエタノールへの曝露後に、形態Aに変換し、水蒸気への曝露後には、形態A及び形態Dの混合物に変換された。これらの実験結果を、表Kにまとめる。
【0280】
【表17】
【実施例23】
【0281】
実施例23:形態A+Bの水分吸着/脱着研究
水分吸着脱着研究を、形態A+Bのサンプルについて行った。化合物1のエタノール:水(95:5)溶液から、多形形態を急激冷却結晶化(実施例3,セクションA.6)することによってサンプルを調製した。水分吸着脱着研究を、実施例3、セクションB.10に概要した手法に従って行った。収集したデータは、図13にプロットし、表Lにまとめる。
【0282】
【表18】
【実施例24】
【0283】
実施例24:形態Eの水分吸着/脱着研究
水分吸着脱着研究を、形態Eのサンプルについて行った。化合物I水溶液にアセトニトリルを添加して、溶媒/貧溶媒結晶化(実施例3、セクションA.7)によって、サンプルを調製した。水分吸着脱着研究を、実施例3、セクションB.10に概要した手法に従って行った。収集したデータは、図23にプロットし、表Mにまとめる。
【0284】
【表19】
【実施例25】
【0285】
実施例25:アモルファス形態の水分吸着/脱着研究
水分吸着脱着研究を、アモルファス形態のサンプルについて行った。化合物I水溶液の凍結乾燥(実施例3、セクションA.9)によって、サンプルを調製した。水分吸着脱着研究を、実施例3、セクションB.10に概要した手法に従って行った。収集したデータは、図29にプロットし、表Nにまとめる。
【0286】
【表20】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化1】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Aとして存在する:
(i) 約11.31、11.91、及び22.32角度2−シータ(°2θ)に回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);
(ii)約2954、2935、2225、1698、1659,及び1607cm−1に、波長の逆数で表される吸収帯を含む、ラマンスペクトル;
(iii)約3141、2953、2934、2266、1699、1657、1450、及び1206cm−1に波長の逆数で表される吸収帯を含む、IRスペクトル;及び
(iv)約193℃を中心とした吸熱を有する示差走査熱量スペクトル)。
【請求項2】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化2】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Aとして存在する:
(i) 約11.31、11.91、19.26、21.04、及び22.32°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);
(ii)約3068、2954、2935、2225、1698、1659、1607、1586、1223、1180、901、780、751、669、及び516cm−1に、波長の逆数で表される吸収帯を含む、ラマンスペクトル;
(iii)約3141、2953、2934、2266、2225、1699、1657、1450、1206、886、760、685、594、及び516cm−1に波長の逆数で表される吸収帯を含む、IRスペクトル;及び
(iv)約193℃を中心とした吸熱を有する示差走査熱量スペクトル)。
【請求項3】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
以下からなる群から選択される溶媒系から化合物Iを結晶化することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の、調製方法:(i)アセトン、(ii)アセトニトリル、(iii)ジクロロメタン、(iv)1,4−ジオキサン、(v)ジメチルホルムアミド、(vi)メタノール、(vii)酢酸エチル、(viii)ジエチルエーテル、(ix)ヘキサン;(x)メタノール、(xi)イソプロパノール、(xii)テトラヒドロフラン、(xiii)トルエン、(xiv)トリフルオロエタノール、(xv)水、(xvi)アセトニトリル:水(85:15)、(xvii)エタノール:水 (95:5)、(xviii)イソプロパノール:水(88:12)、及び(xix)テトラヒドロフラン:水(9:1)。
【請求項8】
溶媒中に溶解した化合物Iに、混和性貧溶媒を添加することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の、調製方法
(ここで溶媒/貧溶媒は、(i)ジメチルホルムアミド/アセトニトリル、(ii)ジメチルホルムアミド/トルエン、(iii)ジメチルホルムアミド/酢酸エチル、(iv)ジメチルホルムアミド/イソプロパノール、(v)メタノール/アセトニトリル、(v)メタノール/ジクロロメタン、(vi)トリフルオロエタノール/イソプロパノール、(vii)トリフルオロエタノール/アセトニトリル、(viii)トリフルオロエタノール/酢酸エチル、(ix)水/アセトニトリル、及び(x)水/テトラヒドロフランからなる群から選択される)。
【請求項9】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化3】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Bとして存在する:
(i) 約12.5、18.83及び24.46°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約100℃に広い吸熱、並びに約138℃及び約163℃に2つの他の吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項10】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
以下からなる群から選択される溶媒から化合物Iを結晶化することを含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の、調製方法:(i)イソプロパノール、(ii)エタノール及び水(95:5)、(ii)イソプロパノール及び水(88:12)、(iii)テトラヒドロフラン及び水(9:1)、並びに(iv)水。
【請求項15】
水に溶解した化合物Iにジオキサンを添加することを含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項16】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化4】
(ここで、化合物Iの一部分は、約5.44及び6.07°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα)によって特徴付けられる多形形態Cとして存在する)。
【請求項17】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
化合物Iのイソプロパノール溶液から化合物Iを結晶化することを含む、請求項16〜20のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項22】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化5】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Dとして存在する:
(i) 約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに約12.19、16.71、22.08、22.88、及び23.27°2θのピークからなる群から選択される4つの他の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約88℃を中心とした広い吸熱、並びに約107℃及び192℃に2つの他の吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項23】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化6】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Dとして存在する:
(i) 約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに約12.19、14.04、16.71、17.75、18.86、19.96、22.08、22.88、23.27、25.02、25.49、26.03、及び27.99°2θのピークからなる群から選択される4つの他の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約88℃を中心とした広い吸熱、並びに約107℃及び約192℃に2つの他の吸熱を有する、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項24】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
水に溶解した化合物Iにアセトニトリルを添加することを含む、請求項22〜27のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項29】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化7】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Eとして存在する:
(i) 約13.10、13.94、17.15、及び21.27°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約107℃、約110℃及び約114℃にピークを含む分枝した吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項30】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化8】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Eとして存在する:
(i) 約21.27及び17.15°2θに2つの回折ピーク、並びに、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.54、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34、及び31.10°2θのピークからなる群から選択される3つの回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約107℃、約110℃及び約114℃にピークを含む分枝した吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項31】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
水に溶解した化合物Iにアセトニトリルを添加することを含む、請求項29〜34のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項36】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化9】
(ここで、化合物Iの一部分は、約12.39、20.63、26.03、及び30.05°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα)によって特徴付けられる多形形態Fとして存在する)。
【請求項37】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から化合物Iを結晶化することを含む、請求項36〜40のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項42】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化10】
(ここで、化合物Iの一部分は、約13.22、14.23、18.62、19.77、24.36、25.06、及び30.71°2θに回折ピークを含む群から選択される5つ以上の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα)によって特徴付けられる多形形態Gとして存在する)。
【請求項43】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項47】
化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から化合物Iを結晶化することを含む、請求項42〜46のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項48】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化11】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられるアモルファス形態として存在する:
(i) 識別可能な回折ピークのない広いハロによって特徴付けられる、XRPD回折パターン(CuKα);及び
(ii)約82℃にガラス転移温度、及び約138℃に吸熱)。
【請求項49】
0.1%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
1%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
50%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項52】
90%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項53】
化合物Iの水溶液を凍結乾燥することを含む、請求項48〜52のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項54】
請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物;と、1種類以上の医薬担体とを含む、医薬組成物。
【請求項55】
組成物が、経口、非経口、局所、経皮、及び経肺からなる群から選択される経路を介する投与に適合されている、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
組成物が、丸剤、錠剤、カプセル剤、エマルジョン、懸濁剤、マイクロ懸濁剤、ウェハース、細粒、チューイングガム、粉末剤、凍結乾燥粉末剤、顆粒剤、及びトローチからなる群から選択される経口剤形中に存在する、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項57】
化合物Iの多形形態が、投与後一定期間にわたって少なくとも部分的に保存される、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項58】
以下を含む、キット:
請求項54〜57のいずれか1項に記載の医薬組成物;及び
組成物が投与されるべき疾患状態を示すこと、組成物用の保管情報、投薬情報及び組成物の投与方法に関する指示からなる群から選択される1種類以上の情報形態を含む使用説明書。
【請求項59】
キットが、複数回投薬形態の組成物を含む、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
以下を含む、製品:
請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載の組成物;及び
包装材料。
【請求項61】
包装材料が、組成物を収納するための容器を含む、請求項60に記載の製品。
【請求項62】
容器が、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示からなる群から選択される1種類以上のものを示すラベルを含む、請求項61に記載の製品。
【請求項63】
組成物が、複数回投薬形態である、請求項60に記載の製品。
【請求項64】
ジペプチジルペプチダーゼの阻害のための医薬の製造における、請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項65】
疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが保持する疾患状態を治療するための医薬の製造における、請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項66】
疾患状態が、1型糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満;炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、及び関節リウマチのような自己乾癬免疫疾患;AIDS;並びに癌からなる群から選択される、請求項65に記載の医薬。
【請求項67】
疾患状態が、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満からなる群から選択される、請求項65に記載の医薬。
【請求項68】
疾患状態が、2型糖尿病である、請求項65に記載の医薬。
【請求項1】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化1】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Aとして存在する:
(i) 約11.31、11.91、及び22.32角度2−シータ(°2θ)に回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);
(ii)約2954、2935、2225、1698、1659,及び1607cm−1に、波長の逆数で表される吸収帯を含む、ラマンスペクトル;
(iii)約3141、2953、2934、2266、1699、1657、1450、及び1206cm−1に波長の逆数で表される吸収帯を含む、IRスペクトル;及び
(iv)約193℃を中心とした吸熱を有する示差走査熱量スペクトル)。
【請求項2】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化2】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Aとして存在する:
(i) 約11.31、11.91、19.26、21.04、及び22.32°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);
(ii)約3068、2954、2935、2225、1698、1659、1607、1586、1223、1180、901、780、751、669、及び516cm−1に、波長の逆数で表される吸収帯を含む、ラマンスペクトル;
(iii)約3141、2953、2934、2266、2225、1699、1657、1450、1206、886、760、685、594、及び516cm−1に波長の逆数で表される吸収帯を含む、IRスペクトル;及び
(iv)約193℃を中心とした吸熱を有する示差走査熱量スペクトル)。
【請求項3】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
以下からなる群から選択される溶媒系から化合物Iを結晶化することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の、調製方法:(i)アセトン、(ii)アセトニトリル、(iii)ジクロロメタン、(iv)1,4−ジオキサン、(v)ジメチルホルムアミド、(vi)メタノール、(vii)酢酸エチル、(viii)ジエチルエーテル、(ix)ヘキサン;(x)メタノール、(xi)イソプロパノール、(xii)テトラヒドロフラン、(xiii)トルエン、(xiv)トリフルオロエタノール、(xv)水、(xvi)アセトニトリル:水(85:15)、(xvii)エタノール:水 (95:5)、(xviii)イソプロパノール:水(88:12)、及び(xix)テトラヒドロフラン:水(9:1)。
【請求項8】
溶媒中に溶解した化合物Iに、混和性貧溶媒を添加することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の、調製方法
(ここで溶媒/貧溶媒は、(i)ジメチルホルムアミド/アセトニトリル、(ii)ジメチルホルムアミド/トルエン、(iii)ジメチルホルムアミド/酢酸エチル、(iv)ジメチルホルムアミド/イソプロパノール、(v)メタノール/アセトニトリル、(v)メタノール/ジクロロメタン、(vi)トリフルオロエタノール/イソプロパノール、(vii)トリフルオロエタノール/アセトニトリル、(viii)トリフルオロエタノール/酢酸エチル、(ix)水/アセトニトリル、及び(x)水/テトラヒドロフランからなる群から選択される)。
【請求項9】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化3】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Bとして存在する:
(i) 約12.5、18.83及び24.46°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約100℃に広い吸熱、並びに約138℃及び約163℃に2つの他の吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項10】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Bとして組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
以下からなる群から選択される溶媒から化合物Iを結晶化することを含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の、調製方法:(i)イソプロパノール、(ii)エタノール及び水(95:5)、(ii)イソプロパノール及び水(88:12)、(iii)テトラヒドロフラン及び水(9:1)、並びに(iv)水。
【請求項15】
水に溶解した化合物Iにジオキサンを添加することを含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項16】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化4】
(ここで、化合物Iの一部分は、約5.44及び6.07°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα)によって特徴付けられる多形形態Cとして存在する)。
【請求項17】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Cとして組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
化合物Iのイソプロパノール溶液から化合物Iを結晶化することを含む、請求項16〜20のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項22】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化5】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Dとして存在する:
(i) 約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに約12.19、16.71、22.08、22.88、及び23.27°2θのピークからなる群から選択される4つの他の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約88℃を中心とした広い吸熱、並びに約107℃及び192℃に2つの他の吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項23】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化6】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Dとして存在する:
(i) 約24.33°2θに回折ピークを1つ、並びに約12.19、14.04、16.71、17.75、18.86、19.96、22.08、22.88、23.27、25.02、25.49、26.03、及び27.99°2θのピークからなる群から選択される4つの他の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約88℃を中心とした広い吸熱、並びに約107℃及び約192℃に2つの他の吸熱を有する、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項24】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Dとして組成物中に存在する、請求項22又は請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
水に溶解した化合物Iにアセトニトリルを添加することを含む、請求項22〜27のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項29】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化7】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Eとして存在する:
(i) 約13.10、13.94、17.15、及び21.27°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約107℃、約110℃及び約114℃にピークを含む分枝した吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項30】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化8】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられる多形形態Eとして存在する:
(i) 約21.27及び17.15°2θに2つの回折ピーク、並びに、約11.90、12.66、13.10、13.59、13.94、17.54、22.03、22.61、24.06、24.70、26.31、27.34、及び31.10°2θのピークからなる群から選択される3つの回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα);及び
(ii)約107℃、約110℃及び約114℃にピークを含む分枝した吸熱を含む、示差走査熱量スペクトル)。
【請求項31】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Eとして組成物中に存在する、請求項29又は請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
水に溶解した化合物Iにアセトニトリルを添加することを含む、請求項29〜34のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項36】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化9】
(ここで、化合物Iの一部分は、約12.39、20.63、26.03、及び30.05°2θに回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα)によって特徴付けられる多形形態Fとして存在する)。
【請求項37】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Fとして組成物中に存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から化合物Iを結晶化することを含む、請求項36〜40のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項42】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化10】
(ここで、化合物Iの一部分は、約13.22、14.23、18.62、19.77、24.36、25.06、及び30.71°2θに回折ピークを含む群から選択される5つ以上の回折ピークを含む、粉末X線回折パターン(CuKα)によって特徴付けられる多形形態Gとして存在する)。
【請求項43】
0.1%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
1%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
50%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
90%を超える化合物I(重量)が、形態Gとして組成物中に存在する、請求項42に記載の組成物。
【請求項47】
化合物Iのテトラヒドロフラン及び水溶液から化合物Iを結晶化することを含む、請求項42〜46のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項48】
以下の式を有する化合物Iを含む、組成物
【化11】
(ここで、化合物Iの一部分は、以下からなる群から選択される1種類以上の物理的特性によって特徴付けられるアモルファス形態として存在する:
(i) 識別可能な回折ピークのない広いハロによって特徴付けられる、XRPD回折パターン(CuKα);及び
(ii)約82℃にガラス転移温度、及び約138℃に吸熱)。
【請求項49】
0.1%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
1%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
50%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項52】
90%を超える化合物I(重量)が、アモルファス形態として組成物中に存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項53】
化合物Iの水溶液を凍結乾燥することを含む、請求項48〜52のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物の調製方法。
【請求項54】
請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載した化合物Iの組成物;と、1種類以上の医薬担体とを含む、医薬組成物。
【請求項55】
組成物が、経口、非経口、局所、経皮、及び経肺からなる群から選択される経路を介する投与に適合されている、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
組成物が、丸剤、錠剤、カプセル剤、エマルジョン、懸濁剤、マイクロ懸濁剤、ウェハース、細粒、チューイングガム、粉末剤、凍結乾燥粉末剤、顆粒剤、及びトローチからなる群から選択される経口剤形中に存在する、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項57】
化合物Iの多形形態が、投与後一定期間にわたって少なくとも部分的に保存される、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項58】
以下を含む、キット:
請求項54〜57のいずれか1項に記載の医薬組成物;及び
組成物が投与されるべき疾患状態を示すこと、組成物用の保管情報、投薬情報及び組成物の投与方法に関する指示からなる群から選択される1種類以上の情報形態を含む使用説明書。
【請求項59】
キットが、複数回投薬形態の組成物を含む、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
以下を含む、製品:
請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載の組成物;及び
包装材料。
【請求項61】
包装材料が、組成物を収納するための容器を含む、請求項60に記載の製品。
【請求項62】
容器が、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示からなる群から選択される1種類以上のものを示すラベルを含む、請求項61に記載の製品。
【請求項63】
組成物が、複数回投薬形態である、請求項60に記載の製品。
【請求項64】
ジペプチジルペプチダーゼの阻害のための医薬の製造における、請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項65】
疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが保持する疾患状態を治療するための医薬の製造における、請求項1〜6、9〜13、16〜20、22〜27、29〜34、36〜40、42〜46、及び48〜52のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項66】
疾患状態が、1型糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満;炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、及び関節リウマチのような自己乾癬免疫疾患;AIDS;並びに癌からなる群から選択される、請求項65に記載の医薬。
【請求項67】
疾患状態が、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFT)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満からなる群から選択される、請求項65に記載の医薬。
【請求項68】
疾患状態が、2型糖尿病である、請求項65に記載の医薬。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2010−511063(P2010−511063A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539485(P2009−539485)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/085933
【国際公開番号】WO2008/067465
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/085933
【国際公開番号】WO2008/067465
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】
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