2パートシアノアクリレート接着剤用の活性剤
シアノアクリレートおよび2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体を含むシアノアクリレート組成物が提供され、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を有しない)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、例えば材料を接合するための接着剤といった硬化性組成物の分野、とりわけシアノアクリレート接着剤およびそれらの改善された組成物に関する。より具体的には、本発明は、そのような硬化性組成物のための活性化剤、特にシアノアクリレート接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
例えばシアノアクリレート接着剤といった硬化性組成物は、一般的には数分で、および(特定の基体によるが)多くの場合、数秒で広範囲の基体を急速に接合できる優れた性能を有すると、家庭および産業でよく認識されている。
【0003】
シアノアクリレート生成物は、特に、小さくしっかりと合わせる部品の組立における接着剤として使用するのに非常に適している。それらの普遍性は、モノマーの重合が通常の大気圧条件下でほとんどの表面上で見いだされる求核試薬によって開始されるという事実に部分的に由来する。表面化学による開始は、これらの2つの表面が2つの表面の間にシアノアクリレートの小さな層を有し、近接して接触しているとき、充分な開始種が利用できることを意味する。これらの条件下では、強い接合が短時間で達成される。このように、本質的にシアノアクリレートは瞬間接着剤として機能することが多い。
【0004】
逆に、2つの表面が近接して接触していない場合(接合領域は広がったギャップを有すると表現される)、または表面上に開始種の濃度が低いような大気圧条件下では、瞬間接着剤としてシアノアクリレートが機能するには開始種が不充分である可能性がある。
【0005】
従って、シアノアクリレート接着剤の性能、すなわち接合時間および耐久性は、基体の種類および混入物質の有無によって決まる。一般的に、性能についてはほとんどの基体に対して非常に迅速であるが、しかしながら、例えば木材または紙といった酸性質の基体に対しては、硬化時間が著しく長いことがありうる。こうした問題は、シアノアクリレートモノマーと併用して追加の求核開始成分の使用を実施することによって、またはシアノアクリレート接着剤それ自体の中へ促進剤を包含させることによって(いずれの場合にも接合形成を促進して)、ある程度克服される。促進剤は接着剤組成物に直接添加してもよく、または代替案として、それらは接合線に活性化分子を供給するために、接着剤塗布の前に、表面プライマーもしくは活性化剤として低沸点溶媒中で直接基体上に使用してもよい。活性化種は瞬間重合(衝撃硬化)を起こしてはならないが、体積全体の硬化を行うために、初めから何らかの混和性を有していなければならない。活性剤/促進剤は、(i)事前活性化(活性剤が接着剤の塗布前に基体の一方または両方に塗布され、低沸点溶媒を蒸発させて活性化種を残留させる)、または(ii)事後活性化(接着剤の塗布に引き続いて活性剤が塗布される(通常は基体の組立の後、塗布される))の2つの方法の内、1つの方法で塗布されてよい。これは典型的には、接合線外側でモノマーのフィレットを硬化するために使用される。
【0006】
残念ながら、従来の溶媒をベースとする活性剤を使用することに関して多くの欠点が存在する。活性剤の使用量を正確に特定するのが困難であることが多く(特に手動の操作において)、活性剤成分の過度の使用は接合強度の低下につながる。作業場での低沸点の有機溶媒を使用に関しては、溶媒抽出/届出要件があることが多い。さらに、活性化重合では不透明で白化した接合線を生じる可能性があり、そして最後に、使用される低沸点溶媒の多くはプラスチックを攻撃する可能性がある。使用する基体によるが、活性剤材料を使用することによって接合強度の低下をもたらす場合、または接合を形成できない場合も時々ある。
【0007】
接着剤用途で使用するのに適した促進剤は、ゴム用途の加硫にも使用されてきた。
【0008】
住友化学株式会社の日本特許第1328480号公報は、N−シクロへキシルベンゾチアジルスルフェンアミド促進剤のシクロへキシル基を高炭素原子数のアルキル基によって置換すると、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴムの混合物の共加硫が大幅に改善されることを報告している。
【0009】
【化1】
【0010】
Universal Oil Products Companyの英国特許第1420409号公報は、ゴム配合物の加硫に使用される改善されたチオカルバミルスルフェンアミド促進剤を記載している。その改善された化合物は、スルフェンアミド窒素原子上に任意に置換された芳香族置換基を有する。これらの化合物は公知の類似物より優れていると言われ、扱う際の結晶性の損失、促進剤効率の低下、および早期硬化の傾向をもたらすような、促進剤の初期保存不安定性に関連する問題を克服する。
【0011】
【化2】
【0012】
National Organic Chemicals Industriesの国際公開第2008/035375号公報は、加硫可能なゴム組成物の安定化および戻り抵抗を改善する目的で、4−アルキル置換−2−メルカプトベンゾチアゾールのスルフェンアミド誘導体を含む促進剤の使用を記載している。
【0013】
【化3】
【0014】
Monsanto Companyの米国特許第1,455,941号公報は、従来型の促進剤が無い条件でゴムの加硫を加速する主要な加硫促進剤として、ビス(スルフェンアミド)の使用を記載している。
【0015】
【化4】
【0016】
米国特許第4,665,155号公報は、最適な物理的特性が保持されるように改善する、例えばトリチオカーボネートといった加硫物を提供し、それはチアゾール系促進剤のような促進剤と併用して使用される。ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド促進剤は、特に有用であることが見いだされた。接着剤および活性剤を含む2パート製品は記載されていない。
【0017】
【化5】
【0018】
Elastomer Technologies Ltd.の国際公開第2008/007937号公報は、エラストマー材料の脱硫のために有用である組成物中での、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそれらの誘導体を含むエラストマー切り離し促進剤の使用について教示している。この技術は、ゴム再生利用工程の改善に有用である。
【0019】
【化6】
【0020】
American Cyanamid Companyの英国特許第1,499,851号公報は、特にベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびチウラムスルフィドを含むゴムのための、安定化された促進剤組成物および安定化化合物を記載している。
【0021】
【化7】
【0022】
Loctite(アイルランド)Limitedの英国特許第1,414,317号公報は、−N−C(−)=Sまたは−N=C(−)−S−基を有するシアノアクリレート接着剤促進剤/活性剤化合物を記載しているが、しかし、それらはルイス酸基を含まず、硬化を抑制する傾向があると記載されている。促進剤としての化合物は、使用時に接着剤に直接添加され、または活性剤として使用される場合には接着剤の塗布の前に少なくとも1つの基体に塗布される。英国特許第1,414,317号公報中の適した活性剤の例としては、ある種のN−二置換金属ジチオカルバメート、N−置換ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドおよびN,N−テトラ置換チウラムモノ−またはオリゴスルフィドが挙げられる。
【0023】
【化8】
【0024】
欧州特許第785865号公報は、接着剤硬化を促進するため、約0.01重量%から約10重量%の量で存在するtert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドなどを含む、環境面で危険性がなく揮発性でもない接着剤促進剤組成物を記載している。活性剤は高沸点溶媒中に提供され、ただし活性剤および接着剤配合物は2つの液体として提供されてよく、硬化は手動による混合またはスタティックミキサーによる共押出しによって達成されてよい。この方法は、活性剤を計量して添加することが可能であるために有用である。特に、tert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドは、この方法で使用されてきた。シアノアクリレートと共に使用するのに適合する高沸点溶媒は、さらに国際公開第02/053666号公報に記載されている。
【0025】
【化9】
【0026】
日本特許公開第昭62−022877号公報は、芳香族アミンの活性剤としての使用を記載している。これらの化合物の使用に関する主たる利点は、不快な臭気がなく、適切に効率のよい促進を提供する点にある(特に、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)を使用する場合)。
【0027】
【化10】
【0028】
米国特許第6,547,917号公報は、構造要素:−N=C−S−S−C=N−を有する、硬化を促進するための優れた活性剤化合物を記載している。例えばジチオジピリジン、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、ジベンゾチアジルジスルフィドのような記載された化合物は、数秒内で硬化が起こるように促進する。これらの化合物は、活性剤の塗布と接着剤の塗布との間にある待機時間を実質的に長くすることができ、つまり表面的な硬化を回避する傾向があるために優れている。
【0029】
しかしながら、現在の最新技術に関してある程度の限界がある。例えば、ある活性剤は、それらが透明なパッケージで保存された場合に失活が起こる。さらに、tert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドまたはN,Nジメチル−p−トルイジンをベースとする活性剤は、透明の2成分パッケージでの使用を可能にするのに充分なUVまたは加水分解安定性を有しているかどうか疑わしい。さらに、tert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド(欧州特許第785,865号公報)またはN,Nジメチル−p−トルイジン(日本特許公開第昭62−022877号公報)または2,2−ジチオジピリジンをベースとする2成分接着剤において、混合と重合との間の時間は典型的には30秒〜60秒の範囲にある。そのようなゲル化時間は、より大きな部品を組み立てる場合のように、いくらかの組立時間が必要とされるときには不充分である可能性がある。混合と硬化との間の時間がより長く確実なことは、接着剤利用者にとって有利であり、混合ノズルをより長い時間使用することができるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
すなわち、2パートパックで使用するのに特に適したシアノアクリレート組成物のために、追加の活性剤を提供することは好ましい。特に、UVおよび/または水に対してより反応性のない活性剤を提供することは、例えば保存安定性を改善するために好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明に従って、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート組成物を提供し、ここで、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を有していない)。
【0032】
この様に、本発明のシアノアクリレート組成物は、硬化、特に、迅速な接着剤による接合形成を促進することができる活性剤(前記2−置換ベンゾチアゾール)を含む。
【0033】
したがって、本発明のある組成物は、湿気およびUV反応性を有する傾向が低いという特定の利点を有する。本発明のある活性剤は、同等の不透明な容器よりもUVを多く透過することを許す可能性のある透明、または半透明の容器内の保存に対して特に有用である。さらに、本発明の組成物は、良好なギャップ間硬化(cure−through−gap)特性を示す。
【0034】
本発明は、すなわち、シアノアクリレート接着剤組成物で使用するための改善された活性剤、およびそれらの用途を提供する。本発明は、2パートシアノアクリレート接着剤用途で使用するためのそのような活性剤を提供し、それは周知の活性剤よりも失活する傾向が低く、および/または優れた硬化時間を提供する。
【0035】
本発明のシアノアクリレート組成物は、活性剤/促進剤として2−置換ベンゾチアゾールを含む。ベンゾチアゾール環の2−位での置換基として好適には、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチル基などの、C1〜C4アルキル基が挙げられる。分岐状プロピルまたはブチル置換基を使用して、シアノアクリレート組成物における特に好ましい活性剤を提供できることが理解されよう。最も好ましいのは、ベンゾチアゾール環の2−位にメチル置換基を有する2−置換ベンゾチアゾール化合物である。
【0036】
ベンゾチアゾール環の2−位において好適なアルケン置換基は、例えば、アリル、プロピレンまたはブチレン基などのC1〜C4アルケン基でよい。アルケン結合はベンゾチアゾール環の2−位に対して末端にあってもよく、または炭化水素鎖に沿って中間の位置にあってもよい。
【0037】
活性剤/促進剤化合物がベンゾチアゾール環の2−位でアルキルヒドロキシ置換基を有する場合、他の有利な組成物が生じる。好適には、アルキルヒドロキシ置換基は分岐状または非分岐状のC1〜C4アルキルヒドロキシ基であってよく、ただし前記アルキル鎖は、C1〜C4炭化水素の任意の位置でヒドロキシル基によって置換されている。
【0038】
活性剤/促進剤のベンゾチアゾール環の2−位における、本発明の組成物に好適な他の置換基として、エーテル基を含むことができる。好適には、エーテル置換基は分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、アルキル鎖中に少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、またはアルキル鎖中に少なくとも1つの三重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基であってよい。エーテル基の酸素原子は、ベンゾチアゾールに2−位で直接結合していることが好ましい。
【0039】
他の好ましい組成物は、ベンゾチアゾール化合物がベンゾチアゾール化合物の2−位に配置されたスルフェンアミドを有する場合にもたらされる。好適なスルフェンアミド置換基としては、スルフェンアミドのアミド部分がシクロヘキシルアミンであるスルフェンアミドが挙げられるが、しかし、アミド部分がモルホリンまたはブチルアミノ基であるスルフェンアミドは除外される。
【0040】
本発明のシアノアクリレート組成物はベンゾチアゾール化合物を含んでいてよく、それはベンゾチアゾールの2−位にチオアルキル置換基を有する。チオアルキル置換基のアルキル部分は、好ましくは、チオアルキル硫黄原子に結合した分岐状または非分岐状のC1〜C20アルキル基を含んでいてよい。チオアルキル置換基の硫黄原子は、直接ベンゾチアゾールの2−位で結合されている。また、C1〜C4チオアルキル基は、ベンゾチアゾール環上の2−位置換基として好適に使用することもできる。そのような基としては、チオメチル、チオエチル、チオプロピルまたはチオブチル基が挙げられ、それらの全てはシアノアクリレート接着剤組成物において活性剤として使用するのに好ましい化合物を提供する。分岐状チオプロピルまたはチオブチル置換基を使用できることが理解されるであろう。最も好ましいのは、ベンゾチアゾール環の2−位にチオメチル置換基を有する化合物である。
【0041】
あるいは、本発明のシアノアクリレート組成物は、ベンゾチアゾールの2−位にアルキルベンジル基を有するベンゾチアゾール化合物を含んでいてよい。アルキルベンジル基は、好適には分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル鎖を含んでいてよく、それは、さらに任意のC1〜C4位置でベンジル基によって置換されていてよい。この化合物は好ましくは、炭化水素鎖中の末端の炭素にベンジル基を有する。
【0042】
他の好ましい化合物は、ベンゾチアゾール化合物が2−位でアルキルアミノ置換基を含む場合に生じる。好適なアルキルアミノ置換基としては、分岐状または非分岐状のC1〜C4アルキル基が挙げられ、それらはさらに、任意のC1〜C4位置で少なくとも1つのアミン基によって置換されている。アミンは、第1級アミン(−NH2)もしくは第2級アミン(−NHR1;ただし、R1はC1〜C4アルキル基であってよい)、またはそれらの組合せであってよい。
【0043】
本発明のシアノアクリレート組成物は好適には、ベンゾチアゾール環の2−位でアルコキシ置換基を含むベンゾチアゾール化合物を含んでいてよい。メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ基のようなC1〜C4アルコキシ基が該置換基であることが好ましい。分岐状プロポキシまたはブトキシ置換基を使用できることは理解されよう。
【0044】
本発明の好ましい活性剤/促進剤化合物としては、ベンゾチアゾールの2−位にC1〜C4チオアルコキシ基を有するものが挙げられる。好適には、チオメトキシル、チオエトキシ、チオプロポキシまたはチオブトキシ基は、好ましい置換基でありうる。分岐状チオプロポキシまたはチオブトキシ置換基を使用できることは理解されよう。
【0045】
好ましくは、本発明のあらゆる2−置換ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環は、少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、エーテル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基で置換されていてよい。
【0046】
好適には、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上のハロ置換基は、Cl、BrもしくはF、またはそれらの組合せであってよい。ベンゾチアゾールのベンゼン環上に少なくとも1つのCl置換基を有するベンゾチアゾール化合物は、シアノアクリレート組成物の活性剤として特に好ましい化合物を提供する。すべての内で最も好ましいのは、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の5−位にClを有する化合物である。そのような化合物として特に好ましいものは、ベンゾチアゾール化合物の2−位にメチル置換基があるものである。
【0047】
あるいは、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環は、少なくとも1つのチオアルキル置換基で置換されていてよい。チオアルキル置換基のアルキル部分は好ましくは、チオアルキル硫黄原子に結合した分岐状または非分岐状のC1〜C4アルキル基を含んでいてよい。チオアルキル置換基の硫黄原子は、直接ベンゾチアゾールのベンゼン環に結合されている。そのような基としては、ベンゾチアゾールのベンゼン環において任意の位置にあるチオメチル、チオエチル、チオプロピルまたはチオブチル基が挙げられる。分岐状チオプロピルまたはチオブチル置換基が使用できることは理解されよう。
【0048】
代替的な好ましい化合物は、ベンゾチアゾールのベンゼン環上にチオメチル置換基を有するベンゾチアゾールである。特に、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の5−位にチオメチル置換基を有することが好ましい。特に好ましい化合物は、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の5−位にチオメチル置換基を有し、ベンゾチアゾール環の2−位がメチル基によって置換されている。
【0049】
2−置換ベンゾチアゾールのベンゼン環上にハロアルキル置換基を提供する化合物においては、該ハロアルキル置換基はトリフルオロメタン基であることが好ましい。
【0050】
本発明の組成物で使用するのに好ましい他の化合物としては、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上にエーテル置換基を含む2−置換ベンゾチアゾールが挙げられる。好適な置換基は、エーテル置換基が分岐状もしくは非分岐状のC1〜C10アルキルエーテル基、アルキル鎖中に少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状のC1〜C10アルキルエーテル基、または少なくとも1つの三重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状のC1〜C10アルキルエーテル基であるエーテル基を含む。エーテル基酸素原子は、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上のメチルエーテル基であることが好ましい。特に好ましいのは、メチルエーテル基がベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の4−位にある化合物である。
【0051】
本発明の化合物は好適には、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上に少なくとも1つのアルキル置換基を有してよい。好適なアルキル置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基などのC1〜C4アルキル基が挙げられる。シアノアクリレート組成物で活性剤として特に好ましいものを提供するために、分岐状プロピルまたはブチル置換基を使用できることが理解されよう。最も好ましいのは、ベンゾチアゾールのベンゼン環の5−、6−または7−位上に少なくとも1つのメチル置換基を有する化合物である。最も好ましい化合物は、ベンゾチアゾールベンゼン環の5−、6−または7−位上に少なくとも1つのメチル置換基、およびベンゾトリアゾール化合物の2−位でメチル基を有する。
【0052】
本発明の好ましい他の化合物は、ベンゾチアゾール環のベンゼン環上に少なくとも1つのアルコキシ置換基を有する2−置換ベンゾチアゾールである。そのようなアルコキシ基としては好適には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ基などのC1〜C4アルコキシ基が挙げられる。分岐状プロポキシまたはブトキシ置換基は、置換基として使用されてよいことが理解されよう。ベンゾチアゾールの芳香族上のメトキシ置換基は、シアノアクリレート組成物で活性剤として使用するのに特に好ましい化合物を提供する。そのようなメトキシ置換基がベンゾチアゾール化合物の5−および6−位にあることは特に好ましい。最も好ましい化合物は、ベンゾチアゾールベンゼン環の5−または6−位にメトキシ基を有する2−メチルベンゾチアゾール化合物である。
【0053】
ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環は好適には、シアノアクリレート組成物で活性剤として使用するのに好ましい化合物を提供するために、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてよい。特に有利な化合物は、2−メチルベンゾチアゾール化合物がヒドロキシル基で置換される場合に生じる。最も好ましいのは2−メチルベンゾチアゾール化合物であり、それは5−位でヒドロキシル基によって置換されている。
【0054】
本発明の化合物は、シアノアクリレート接着剤組成物のための活性剤として特に有用である。本発明の化合物は、湿気反応性および/または紫外線老化の傾向は低いままで、良好なゲル化時間範囲を提供する。したがって利点は、本発明の化合物を含んでいる本発明のシアノアクリレート組成物は、紫外線反応性が低くされているために、透明でUV透過性の、または不透過性の容器にパッケージ化することができる点である。本発明の組成物は、より長い保存可能期間を有することができる可能性がある。
【0055】
本発明の2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体は、以下から選択されてよい。
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
本発明の特に好ましいシアノアクリレート組成物は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体をベースとする活性剤を含み、それらは以下から選択されてよい。
【0061】
【化15】
【0062】
本発明の好ましい他の組成物は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体をベースとする活性剤を含み、以下から選択されてよい。
【0063】
【化16】
【0064】
これらの特定の活性剤を含む組成物は、例えばUV老化のような環境劣化に対して敏感であることが見いだされてきた。従って、これらの活性剤組成物は環境からの汚染に対して抵抗性があるパッケージで保持することが好ましい。例えば、UVブロッキング特性を有するパッケージでそれらを提供することが好ましい。すなわち、パックは、シアノアクリレート組成物を活性化できる活性剤の性能に関するいかなる実質的な劣化も防ぐために、UV光に対して充分に不透過性でなければならない。このことは、活性剤は時間と共に顕著に劣化せず、実質的に充分活性化できる能力を維持することが好ましいため、有用である。2パート組成物に対しては、組成物の少なくとも活性剤パートは、UV不透過性の容器に保持されることが好ましい。
【0065】
本発明の特に好ましいシアノアクリレート組成物は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体をベースとする活性剤を含み、それらは以下から選択されてよい。
【0066】
【化17】
【0067】
これらの化合物を活性剤として含む組成物は、UV光に曝露することで加速老化に曝したした後でも依然として硬化性であるため、これらの活性剤は本発明の組成物で特に有用である。従って、これらの化合物を含むシアノアクリレート接着剤組成物は、通常のUV透過パッケージでパッケージ化されてよく、それはUVブロッキングである必要がない。すなわち、本発明は、UV曝露および/または老化の影響に対して抵抗性があって、UV曝露および/または老化の影響があった後でも、なお充分に機能して充分な硬化を提供する、改善された活性剤を提供する。本発明は、先行技術の活性剤と同様に湿気反応性ではなく、それでいて保存容器へ湿気が侵入する可能性がある保存の後でも充分機能する、改善された活性剤を提供する。本発明の組成物は、以下から選択されうる活性剤を含んでいてよい。
【0068】
【化18】
【0069】
一般に2−置換ベンゾチアゾールは、キャリア成分によって媒介される。従って、2−置換ベンゾチアゾールは適したキャリアと共に存在、または適したキャリアと共に供給されてよい。キャリア成分は好適には、トリアセチン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、トリメリト酸トリオクチル、アジピン酸ジオクチル、グルタミン酸ジオクチル、ブチルシアノ酢酸、トリメリト酸トリメチル、二安息香酸ジエチレングリコール、マロン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリエチル、フタル酸ベンジルブチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、アジピン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジメチル、O−アセチルクエン酸トリブチル(TBAC)、O−アセチルクエン酸トリエチル(TEAC)、二安息香酸ジプロピレングリコール(DPGDB)、二安息香酸ジエチレングリコール(DEGBD)、フタル酸ベンジルブチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジカプリル、フタル酸ジカプリル、二安息香酸ジエチレングリコール、アジピン酸ジエチル、グルタミン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジメチル、グルタミン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、カプロン酸エチル、トリオレイン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、四安息香酸ペンタエリスリトール、ポリ(アジピン酸ネオペンチルグリコール)、O−アセチルクエン酸トリブチル、トリメリト酸トリカプリル、O−アセチルクエン酸トリエチル、トリメリト酸トリヘキシル、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、トリメリト酸トリメチル、トリメリト酸トリオクチル、有機エーテル、特にアリールまたはジアリールエーテル(ただし、各アリール基の芳香族環は、エーテルの酸素および3〜20個の炭素原子を有しかつラクトン環が4〜7員である単環または2環式ラクトンに直接結合している)から選択される可塑剤を含んでいてよい。
【0070】
本発明のシアノアクリレート組成物は、シリンジの1つのチャンバーが9mlの容量、および他のチャンバーが1mlの容量を有する2筒型シリンジにパッケージ化されている場合、2つの基体にまたは2つの基体間の0.5mmから2mmの間に塗布された際に、一般的にギャップ間硬化を達成することができ、いわゆる「瞬間接着剤」として作用する。
【0071】
本発明のシアノアクリレート組成物は、好ましくは、ある場合では10秒未満、他の場合では30秒〜300秒の硬化時間であってよい。そのような組成物は、下記の2−置換ベンゾチアゾール化合物、または促進剤/活性剤として化合物の組合せを含んでいてよい。
【0072】
【化19】
【0073】
本発明の他の態様では、シアノアクリレート接着剤活性剤および/または促進剤として2−置換ベンゾチアゾールを使用することを提供し、ここで、2−置換基は、上で定義されたアルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である。
【0074】
2−置換ベンゾチアゾールのベンゼン環は好適には、上で定義された少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基でさらに置換されてよい。
【0075】
本発明は、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含む、シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックを提供することが好ましく、ここで、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基ではない)。このパックは、UV透過性材料またはUVブロッキング材料から構成されてよい。
【0076】
異なった態様では、本発明は、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含む、シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックを提供し、ただし、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である。ここで、保存可能期間の延長を推進するために、UV不透過性の材料を含むパック、またはUVブロッキング材料から構成されるパックを選択することが望まれ得る。
【0077】
さらに関連する態様では、本発明は、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含む、シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックを提供し、ただし、2−置換基は、アミド部分がtert−ブチルアミノまたはモルホリン基であるスルフェンアミドである。また、ここで、保存可能期間の延長を推進するために、パックはUVブロッキング材料から構成されるべきである。
【0078】
パックに関する態様では、2−置換ベンゾチアゾールは、上で定義されたアルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基でありうる2−置換基を含んでいてもよい。2−置換ベンゾチアゾールのベンゼン環は好適には、上で定義された少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基でさらに置換されていてもよい。
【0079】
1つの好ましい構成では、本発明のシアノアクリレート組成物は2パート形態で提供される。シアノアクリレート組成物は、ディスペンシングパックに詰めることが好ましい。2パート組成物については、これは2つのパートを混合するために共ディスペンスする(好適に所望の比で)パックであってよい。例えば、該ディスペンシングパックは、2筒型シリンジであってよい。例えば、シアノアクリレート接着剤組成物は、シリンジのバレルのような第1室に保持されてよく、他方、活性剤成分は第2室、例えばシリンジの別のバレルに保持される。任意の適したディスペンシングパックが使用されてよいことが理解されよう。さらなる態様では、本発明はシアノアクリレート組成物を活性化するのに使用するための活性剤を提供し、それは2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体から選択され、ただし、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)。
【0080】
他のさらなる態様では、本発明は、シアノアクリレート組成物を活性化するのに使用するための活性剤として2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体を使用する方法を提供し、そのステップは、
2−置換ベンゾチアゾールもしくはそれらの誘導体を含む活性剤を提供するステップ、ならびに
シアノアクリレートを提供するステップ
を任意の順序で含み、ただし、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基から作られるアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、シアノアクリレート−パートBの2パートの接合強度を示す。
【0082】
【図2】図2は、活性剤として化合物2(2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0083】
【図3】図3は、活性剤として化合物2(2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0084】
【図4】図4は、活性剤として化合物8(5−Cl−2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0085】
【図5】図5は、活性剤として化合物8(5−Cl−2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0086】
【図6】図6は、活性剤として化合物9(2−Me−メルカプトBT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0087】
【図7】図7は、活性剤として化合物9(2−Me−メルカプトBT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0088】
【図8】図8は、活性剤として化合物10(Santocure MBS)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0089】
【図9】図9は、活性剤として化合物10(Santocure MBS)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0090】
【図10】図10は、活性剤として化合物12(Santocure CBS)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0091】
【図11】図11は、活性剤として化合物12(Santocure CBS)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0092】
【図12】図12は、活性剤として化合物14(DMPT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0093】
【図13】図13は、活性剤として化合物14(DMPT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0094】
【図14】図14は、活性剤として化合物15(2,2−ジチオジピリジン)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0095】
【図15】図15は、活性剤として化合物15(2,2−ジチオジピリジン)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0096】
【図16】図16は、活性剤として化合物23(2−[(tert−ブチルアミノ)チオ]ベンゾチアゾール)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0097】
【図17】図17は、活性剤として化合物23(2−[(tert−ブチルアミノ)チオ]ベンゾチアゾール)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
(発明の詳細な説明)
活性剤の失活の調査究明として、本発明者らは、シアノアクリレートをベースとする「Aパート」(LOCTITE 431)、ならびに活性剤をベースとするN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびコントロールとしてトリアセチンを含んだ「Bパート」を含有する2パート製品を試験した(すべてのLoctite製品は、Henkel Ireland Limited(24 ダブリン トラット)から入手可能である)。室温(RT)で保存された幾つかの特有な試料に関して、ゲル化時間がドリフトすることが観察され、これは透明パッケージで提供された試料では特に顕著であった。UV曝露は、接着剤の硬化特性の劣化を引き起こすように思われる。
【0099】
さらなる調査究明により、ゲル化時間が増加した試料については、活性N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド活性剤の濃度が初期値から著しく減少したことが示された。初期の活性剤成分濃度は0.0455Mであった。硬化性能および活性剤濃度の低下は、活性剤の損失によって接着剤の硬化性能が悪影響を受けることを示唆しているように思われる。
【0100】
調査究明の目的は、より良好な硬化時間を提供し、および/またはUVまたは水反応性ではない、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドに代わる活性剤を見出すことであった。
【0101】
ゆえに、活性剤「Bパート」を表1に示す個々の化合物で置き換え、「Aパート」と混合する前にトリアセチンと混合した。
【0102】
考えうる活性剤として調査究明した化合物を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
これらの試料を、以下の様にパックされた2パートシリンジ(10:1、A:B)を使用して評価した。
パートA:LOCTITE 431(中間粘度のシアノアクリレート)、
パートB:トリアセチン(99.89%)および活性剤(0.1098%)を共に室温で30分間攪拌したもの。
【0107】
評価したすべての活性剤はトリアセチンに可溶性であり、2−アミノ−6−ニトロベンゾチアゾール(4)および2−メチル−β−ナフトチアゾール(22)(各々、使用濃度では黄色い溶液であった)を除いては透明溶液を与えた。
【0108】
ゲル化時間に関して試料を評価した。ゲル化時間は、スタティックミキサー(16のエレメントを含有)および材料が硬化するのにかかる時間を記録するためにストップウオッチを使用し、1gの材料を皿にディスペンスすることによって測定した。硬化が5分内に起こらなかった場合、アプリケータスティックを使用して材料を緩やかに撹拌した。試験を繰り返して再現性を確保した。接着剤試験の結果を表2に提供し、試験する個々の活性剤化合物を含む組成物に対して詳細なゲル化時間を示す。混合して20分内に硬化しなかった組成物は、硬化しなかったことを意味する「DNC」で示し、さらなる試験を行わなかった。
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
【表7】
【0113】
【表8】
【0114】
表2の結果から、下記の活性剤を有する組成物は、好適なゲル化時間をもたらした。
【0115】
【表9】
【0116】
固定時間試験
【0117】
次いで、様々な基体(軟鋼、アルミニウム、PVCおよびPC)に関して、良好な初期ゲル化時間の結果をもたらした活性剤を含む組成物の多くを用いて、固定時間試験を実施した。固定時間試験の結果を表3に示す。固定速度とは、2つの基体(各々は1インチの幅があり、0.5インチの重なりで共につながっている)を接続して、3kg重を保持するのに充分な時間のことである。すべての固定時間試験を室温で実施した。活性剤塗布前にイソプロピルアルコール(IPA)を使用して試験基体を拭いた。
【0118】
【表10】
【0119】
加速老化および固定試験時間
【0120】
加速老化を擬似するために、試料を7日間UV光に曝露させ、前に記載したようにゲル化時間を再度記録した。結果は以下、および表4で見ることができる。
【0121】
【表11】
【0122】
UV老化は、硬化時間に悪影響を及ぼさなかったことが分かる。下記の活性剤を含む残りの組成物は、UVブロッキングパックで使用するのに適している。
【0123】
【表12】
【0124】
サーモカップル試験
【0125】
また、サーモカップルを使用して、ゲル化時間測定を実施した。各材料、約0.6gを使用した。0.6gの材料を、スタティックミキサーを通して試験管(12×75mmパイレックス(登録商標))にディスペンスし、次いでサーモカップルを試験管に挿入した。サーモカップル挿入からの温度上昇を経時的に記録した。試料を7日間のUV照射の前と後とで試験した。結果は図2〜17で見ることができる。
【0126】
手による混合で観測されたゲル化時間とサーモカップルを使用して記録したゲル化時間との間に良好な相関を得た。試料の秤量と機器装置の応答の記録との間に、約15秒を考慮されなければならない。Santocure MBS、Santocure CBS、DMPTおよびコントロール試料を含め、多くの試料がUV老化を免れなかったことが理解できる。また、UV照射後の外見上の変化について試料を調べた(表5)。
【0127】
【表13】
【0128】
【表14】
【0129】
湿度試験
【0130】
また、実行可能性を有する代替活性剤に関して、新たに調製した2パートシアノアクリレートのサンプルシリンジのバッチを40℃で湿度98%のオーブン中に3週間、および同様に6週間置いた試料について湿度試験を実施した。試験前と同様に再度ゲル化時間を記録し、下の表6に比較結果を見ることができる。
【0131】
【表15】
【0132】
接着剤性能は、標準引張り剪断強度試験(ASTM D1002−5)を用いて評価した。張力を接合領域と平行および試験片の主要軸に平行に加え、1つの接着剤重なり連結部に応力をかけることによって接着剤接合強度を決定する。これらは、1×4×0.063インチ軟鋼およびアルミニウム基体に関して(金属対金属)、基体の重なりが0.5平方インチで、基体の間に2パートシアノアクリレート試料を配置することで実施した。シアノアクリレート試料を室温で下に示した時間、硬化させた。結果としてもたらされた接合強度は、インストロン機器を使用して下記の試験条件で測定した:MS(軟鋼)およびAl(アルミニウム)、IPA(イソプロパノール)での拭き取り、室温で24時間硬化。得られた結果は図1に見ることができる。
【0133】
本発明に関して本明細書で使用される場合、用語「含む/含んでいる」および「有する/含有する」は、記載された特徴、整数、ステップまたは成分の存在を明確にするために使用され、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、成分またはそれらの群の存在または付加を除外するものではない。本発明のある特徴は、明確を期すために別々の実施形態との関連で記載されるが、個々の実施形態の組合せで提供されてもよいこともまた理解される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔にするために個々の実施形態との関連で記載されるが、別々にまたは任意の適した副次的な組合せで提供されてもよい。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、例えば材料を接合するための接着剤といった硬化性組成物の分野、とりわけシアノアクリレート接着剤およびそれらの改善された組成物に関する。より具体的には、本発明は、そのような硬化性組成物のための活性化剤、特にシアノアクリレート接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
例えばシアノアクリレート接着剤といった硬化性組成物は、一般的には数分で、および(特定の基体によるが)多くの場合、数秒で広範囲の基体を急速に接合できる優れた性能を有すると、家庭および産業でよく認識されている。
【0003】
シアノアクリレート生成物は、特に、小さくしっかりと合わせる部品の組立における接着剤として使用するのに非常に適している。それらの普遍性は、モノマーの重合が通常の大気圧条件下でほとんどの表面上で見いだされる求核試薬によって開始されるという事実に部分的に由来する。表面化学による開始は、これらの2つの表面が2つの表面の間にシアノアクリレートの小さな層を有し、近接して接触しているとき、充分な開始種が利用できることを意味する。これらの条件下では、強い接合が短時間で達成される。このように、本質的にシアノアクリレートは瞬間接着剤として機能することが多い。
【0004】
逆に、2つの表面が近接して接触していない場合(接合領域は広がったギャップを有すると表現される)、または表面上に開始種の濃度が低いような大気圧条件下では、瞬間接着剤としてシアノアクリレートが機能するには開始種が不充分である可能性がある。
【0005】
従って、シアノアクリレート接着剤の性能、すなわち接合時間および耐久性は、基体の種類および混入物質の有無によって決まる。一般的に、性能についてはほとんどの基体に対して非常に迅速であるが、しかしながら、例えば木材または紙といった酸性質の基体に対しては、硬化時間が著しく長いことがありうる。こうした問題は、シアノアクリレートモノマーと併用して追加の求核開始成分の使用を実施することによって、またはシアノアクリレート接着剤それ自体の中へ促進剤を包含させることによって(いずれの場合にも接合形成を促進して)、ある程度克服される。促進剤は接着剤組成物に直接添加してもよく、または代替案として、それらは接合線に活性化分子を供給するために、接着剤塗布の前に、表面プライマーもしくは活性化剤として低沸点溶媒中で直接基体上に使用してもよい。活性化種は瞬間重合(衝撃硬化)を起こしてはならないが、体積全体の硬化を行うために、初めから何らかの混和性を有していなければならない。活性剤/促進剤は、(i)事前活性化(活性剤が接着剤の塗布前に基体の一方または両方に塗布され、低沸点溶媒を蒸発させて活性化種を残留させる)、または(ii)事後活性化(接着剤の塗布に引き続いて活性剤が塗布される(通常は基体の組立の後、塗布される))の2つの方法の内、1つの方法で塗布されてよい。これは典型的には、接合線外側でモノマーのフィレットを硬化するために使用される。
【0006】
残念ながら、従来の溶媒をベースとする活性剤を使用することに関して多くの欠点が存在する。活性剤の使用量を正確に特定するのが困難であることが多く(特に手動の操作において)、活性剤成分の過度の使用は接合強度の低下につながる。作業場での低沸点の有機溶媒を使用に関しては、溶媒抽出/届出要件があることが多い。さらに、活性化重合では不透明で白化した接合線を生じる可能性があり、そして最後に、使用される低沸点溶媒の多くはプラスチックを攻撃する可能性がある。使用する基体によるが、活性剤材料を使用することによって接合強度の低下をもたらす場合、または接合を形成できない場合も時々ある。
【0007】
接着剤用途で使用するのに適した促進剤は、ゴム用途の加硫にも使用されてきた。
【0008】
住友化学株式会社の日本特許第1328480号公報は、N−シクロへキシルベンゾチアジルスルフェンアミド促進剤のシクロへキシル基を高炭素原子数のアルキル基によって置換すると、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴムの混合物の共加硫が大幅に改善されることを報告している。
【0009】
【化1】
【0010】
Universal Oil Products Companyの英国特許第1420409号公報は、ゴム配合物の加硫に使用される改善されたチオカルバミルスルフェンアミド促進剤を記載している。その改善された化合物は、スルフェンアミド窒素原子上に任意に置換された芳香族置換基を有する。これらの化合物は公知の類似物より優れていると言われ、扱う際の結晶性の損失、促進剤効率の低下、および早期硬化の傾向をもたらすような、促進剤の初期保存不安定性に関連する問題を克服する。
【0011】
【化2】
【0012】
National Organic Chemicals Industriesの国際公開第2008/035375号公報は、加硫可能なゴム組成物の安定化および戻り抵抗を改善する目的で、4−アルキル置換−2−メルカプトベンゾチアゾールのスルフェンアミド誘導体を含む促進剤の使用を記載している。
【0013】
【化3】
【0014】
Monsanto Companyの米国特許第1,455,941号公報は、従来型の促進剤が無い条件でゴムの加硫を加速する主要な加硫促進剤として、ビス(スルフェンアミド)の使用を記載している。
【0015】
【化4】
【0016】
米国特許第4,665,155号公報は、最適な物理的特性が保持されるように改善する、例えばトリチオカーボネートといった加硫物を提供し、それはチアゾール系促進剤のような促進剤と併用して使用される。ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド促進剤は、特に有用であることが見いだされた。接着剤および活性剤を含む2パート製品は記載されていない。
【0017】
【化5】
【0018】
Elastomer Technologies Ltd.の国際公開第2008/007937号公報は、エラストマー材料の脱硫のために有用である組成物中での、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそれらの誘導体を含むエラストマー切り離し促進剤の使用について教示している。この技術は、ゴム再生利用工程の改善に有用である。
【0019】
【化6】
【0020】
American Cyanamid Companyの英国特許第1,499,851号公報は、特にベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびチウラムスルフィドを含むゴムのための、安定化された促進剤組成物および安定化化合物を記載している。
【0021】
【化7】
【0022】
Loctite(アイルランド)Limitedの英国特許第1,414,317号公報は、−N−C(−)=Sまたは−N=C(−)−S−基を有するシアノアクリレート接着剤促進剤/活性剤化合物を記載しているが、しかし、それらはルイス酸基を含まず、硬化を抑制する傾向があると記載されている。促進剤としての化合物は、使用時に接着剤に直接添加され、または活性剤として使用される場合には接着剤の塗布の前に少なくとも1つの基体に塗布される。英国特許第1,414,317号公報中の適した活性剤の例としては、ある種のN−二置換金属ジチオカルバメート、N−置換ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドおよびN,N−テトラ置換チウラムモノ−またはオリゴスルフィドが挙げられる。
【0023】
【化8】
【0024】
欧州特許第785865号公報は、接着剤硬化を促進するため、約0.01重量%から約10重量%の量で存在するtert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドなどを含む、環境面で危険性がなく揮発性でもない接着剤促進剤組成物を記載している。活性剤は高沸点溶媒中に提供され、ただし活性剤および接着剤配合物は2つの液体として提供されてよく、硬化は手動による混合またはスタティックミキサーによる共押出しによって達成されてよい。この方法は、活性剤を計量して添加することが可能であるために有用である。特に、tert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドは、この方法で使用されてきた。シアノアクリレートと共に使用するのに適合する高沸点溶媒は、さらに国際公開第02/053666号公報に記載されている。
【0025】
【化9】
【0026】
日本特許公開第昭62−022877号公報は、芳香族アミンの活性剤としての使用を記載している。これらの化合物の使用に関する主たる利点は、不快な臭気がなく、適切に効率のよい促進を提供する点にある(特に、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)を使用する場合)。
【0027】
【化10】
【0028】
米国特許第6,547,917号公報は、構造要素:−N=C−S−S−C=N−を有する、硬化を促進するための優れた活性剤化合物を記載している。例えばジチオジピリジン、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、ジベンゾチアジルジスルフィドのような記載された化合物は、数秒内で硬化が起こるように促進する。これらの化合物は、活性剤の塗布と接着剤の塗布との間にある待機時間を実質的に長くすることができ、つまり表面的な硬化を回避する傾向があるために優れている。
【0029】
しかしながら、現在の最新技術に関してある程度の限界がある。例えば、ある活性剤は、それらが透明なパッケージで保存された場合に失活が起こる。さらに、tert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドまたはN,Nジメチル−p−トルイジンをベースとする活性剤は、透明の2成分パッケージでの使用を可能にするのに充分なUVまたは加水分解安定性を有しているかどうか疑わしい。さらに、tert−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド(欧州特許第785,865号公報)またはN,Nジメチル−p−トルイジン(日本特許公開第昭62−022877号公報)または2,2−ジチオジピリジンをベースとする2成分接着剤において、混合と重合との間の時間は典型的には30秒〜60秒の範囲にある。そのようなゲル化時間は、より大きな部品を組み立てる場合のように、いくらかの組立時間が必要とされるときには不充分である可能性がある。混合と硬化との間の時間がより長く確実なことは、接着剤利用者にとって有利であり、混合ノズルをより長い時間使用することができるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
すなわち、2パートパックで使用するのに特に適したシアノアクリレート組成物のために、追加の活性剤を提供することは好ましい。特に、UVおよび/または水に対してより反応性のない活性剤を提供することは、例えば保存安定性を改善するために好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明に従って、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート組成物を提供し、ここで、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を有していない)。
【0032】
この様に、本発明のシアノアクリレート組成物は、硬化、特に、迅速な接着剤による接合形成を促進することができる活性剤(前記2−置換ベンゾチアゾール)を含む。
【0033】
したがって、本発明のある組成物は、湿気およびUV反応性を有する傾向が低いという特定の利点を有する。本発明のある活性剤は、同等の不透明な容器よりもUVを多く透過することを許す可能性のある透明、または半透明の容器内の保存に対して特に有用である。さらに、本発明の組成物は、良好なギャップ間硬化(cure−through−gap)特性を示す。
【0034】
本発明は、すなわち、シアノアクリレート接着剤組成物で使用するための改善された活性剤、およびそれらの用途を提供する。本発明は、2パートシアノアクリレート接着剤用途で使用するためのそのような活性剤を提供し、それは周知の活性剤よりも失活する傾向が低く、および/または優れた硬化時間を提供する。
【0035】
本発明のシアノアクリレート組成物は、活性剤/促進剤として2−置換ベンゾチアゾールを含む。ベンゾチアゾール環の2−位での置換基として好適には、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチル基などの、C1〜C4アルキル基が挙げられる。分岐状プロピルまたはブチル置換基を使用して、シアノアクリレート組成物における特に好ましい活性剤を提供できることが理解されよう。最も好ましいのは、ベンゾチアゾール環の2−位にメチル置換基を有する2−置換ベンゾチアゾール化合物である。
【0036】
ベンゾチアゾール環の2−位において好適なアルケン置換基は、例えば、アリル、プロピレンまたはブチレン基などのC1〜C4アルケン基でよい。アルケン結合はベンゾチアゾール環の2−位に対して末端にあってもよく、または炭化水素鎖に沿って中間の位置にあってもよい。
【0037】
活性剤/促進剤化合物がベンゾチアゾール環の2−位でアルキルヒドロキシ置換基を有する場合、他の有利な組成物が生じる。好適には、アルキルヒドロキシ置換基は分岐状または非分岐状のC1〜C4アルキルヒドロキシ基であってよく、ただし前記アルキル鎖は、C1〜C4炭化水素の任意の位置でヒドロキシル基によって置換されている。
【0038】
活性剤/促進剤のベンゾチアゾール環の2−位における、本発明の組成物に好適な他の置換基として、エーテル基を含むことができる。好適には、エーテル置換基は分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、アルキル鎖中に少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、またはアルキル鎖中に少なくとも1つの三重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基であってよい。エーテル基の酸素原子は、ベンゾチアゾールに2−位で直接結合していることが好ましい。
【0039】
他の好ましい組成物は、ベンゾチアゾール化合物がベンゾチアゾール化合物の2−位に配置されたスルフェンアミドを有する場合にもたらされる。好適なスルフェンアミド置換基としては、スルフェンアミドのアミド部分がシクロヘキシルアミンであるスルフェンアミドが挙げられるが、しかし、アミド部分がモルホリンまたはブチルアミノ基であるスルフェンアミドは除外される。
【0040】
本発明のシアノアクリレート組成物はベンゾチアゾール化合物を含んでいてよく、それはベンゾチアゾールの2−位にチオアルキル置換基を有する。チオアルキル置換基のアルキル部分は、好ましくは、チオアルキル硫黄原子に結合した分岐状または非分岐状のC1〜C20アルキル基を含んでいてよい。チオアルキル置換基の硫黄原子は、直接ベンゾチアゾールの2−位で結合されている。また、C1〜C4チオアルキル基は、ベンゾチアゾール環上の2−位置換基として好適に使用することもできる。そのような基としては、チオメチル、チオエチル、チオプロピルまたはチオブチル基が挙げられ、それらの全てはシアノアクリレート接着剤組成物において活性剤として使用するのに好ましい化合物を提供する。分岐状チオプロピルまたはチオブチル置換基を使用できることが理解されるであろう。最も好ましいのは、ベンゾチアゾール環の2−位にチオメチル置換基を有する化合物である。
【0041】
あるいは、本発明のシアノアクリレート組成物は、ベンゾチアゾールの2−位にアルキルベンジル基を有するベンゾチアゾール化合物を含んでいてよい。アルキルベンジル基は、好適には分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル鎖を含んでいてよく、それは、さらに任意のC1〜C4位置でベンジル基によって置換されていてよい。この化合物は好ましくは、炭化水素鎖中の末端の炭素にベンジル基を有する。
【0042】
他の好ましい化合物は、ベンゾチアゾール化合物が2−位でアルキルアミノ置換基を含む場合に生じる。好適なアルキルアミノ置換基としては、分岐状または非分岐状のC1〜C4アルキル基が挙げられ、それらはさらに、任意のC1〜C4位置で少なくとも1つのアミン基によって置換されている。アミンは、第1級アミン(−NH2)もしくは第2級アミン(−NHR1;ただし、R1はC1〜C4アルキル基であってよい)、またはそれらの組合せであってよい。
【0043】
本発明のシアノアクリレート組成物は好適には、ベンゾチアゾール環の2−位でアルコキシ置換基を含むベンゾチアゾール化合物を含んでいてよい。メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ基のようなC1〜C4アルコキシ基が該置換基であることが好ましい。分岐状プロポキシまたはブトキシ置換基を使用できることは理解されよう。
【0044】
本発明の好ましい活性剤/促進剤化合物としては、ベンゾチアゾールの2−位にC1〜C4チオアルコキシ基を有するものが挙げられる。好適には、チオメトキシル、チオエトキシ、チオプロポキシまたはチオブトキシ基は、好ましい置換基でありうる。分岐状チオプロポキシまたはチオブトキシ置換基を使用できることは理解されよう。
【0045】
好ましくは、本発明のあらゆる2−置換ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環は、少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、エーテル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基で置換されていてよい。
【0046】
好適には、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上のハロ置換基は、Cl、BrもしくはF、またはそれらの組合せであってよい。ベンゾチアゾールのベンゼン環上に少なくとも1つのCl置換基を有するベンゾチアゾール化合物は、シアノアクリレート組成物の活性剤として特に好ましい化合物を提供する。すべての内で最も好ましいのは、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の5−位にClを有する化合物である。そのような化合物として特に好ましいものは、ベンゾチアゾール化合物の2−位にメチル置換基があるものである。
【0047】
あるいは、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環は、少なくとも1つのチオアルキル置換基で置換されていてよい。チオアルキル置換基のアルキル部分は好ましくは、チオアルキル硫黄原子に結合した分岐状または非分岐状のC1〜C4アルキル基を含んでいてよい。チオアルキル置換基の硫黄原子は、直接ベンゾチアゾールのベンゼン環に結合されている。そのような基としては、ベンゾチアゾールのベンゼン環において任意の位置にあるチオメチル、チオエチル、チオプロピルまたはチオブチル基が挙げられる。分岐状チオプロピルまたはチオブチル置換基が使用できることは理解されよう。
【0048】
代替的な好ましい化合物は、ベンゾチアゾールのベンゼン環上にチオメチル置換基を有するベンゾチアゾールである。特に、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の5−位にチオメチル置換基を有することが好ましい。特に好ましい化合物は、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の5−位にチオメチル置換基を有し、ベンゾチアゾール環の2−位がメチル基によって置換されている。
【0049】
2−置換ベンゾチアゾールのベンゼン環上にハロアルキル置換基を提供する化合物においては、該ハロアルキル置換基はトリフルオロメタン基であることが好ましい。
【0050】
本発明の組成物で使用するのに好ましい他の化合物としては、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上にエーテル置換基を含む2−置換ベンゾチアゾールが挙げられる。好適な置換基は、エーテル置換基が分岐状もしくは非分岐状のC1〜C10アルキルエーテル基、アルキル鎖中に少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状のC1〜C10アルキルエーテル基、または少なくとも1つの三重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状のC1〜C10アルキルエーテル基であるエーテル基を含む。エーテル基酸素原子は、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上のメチルエーテル基であることが好ましい。特に好ましいのは、メチルエーテル基がベンゾチアゾール化合物のベンゼン環の4−位にある化合物である。
【0051】
本発明の化合物は好適には、ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環上に少なくとも1つのアルキル置換基を有してよい。好適なアルキル置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基などのC1〜C4アルキル基が挙げられる。シアノアクリレート組成物で活性剤として特に好ましいものを提供するために、分岐状プロピルまたはブチル置換基を使用できることが理解されよう。最も好ましいのは、ベンゾチアゾールのベンゼン環の5−、6−または7−位上に少なくとも1つのメチル置換基を有する化合物である。最も好ましい化合物は、ベンゾチアゾールベンゼン環の5−、6−または7−位上に少なくとも1つのメチル置換基、およびベンゾトリアゾール化合物の2−位でメチル基を有する。
【0052】
本発明の好ましい他の化合物は、ベンゾチアゾール環のベンゼン環上に少なくとも1つのアルコキシ置換基を有する2−置換ベンゾチアゾールである。そのようなアルコキシ基としては好適には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ基などのC1〜C4アルコキシ基が挙げられる。分岐状プロポキシまたはブトキシ置換基は、置換基として使用されてよいことが理解されよう。ベンゾチアゾールの芳香族上のメトキシ置換基は、シアノアクリレート組成物で活性剤として使用するのに特に好ましい化合物を提供する。そのようなメトキシ置換基がベンゾチアゾール化合物の5−および6−位にあることは特に好ましい。最も好ましい化合物は、ベンゾチアゾールベンゼン環の5−または6−位にメトキシ基を有する2−メチルベンゾチアゾール化合物である。
【0053】
ベンゾチアゾール化合物のベンゼン環は好適には、シアノアクリレート組成物で活性剤として使用するのに好ましい化合物を提供するために、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてよい。特に有利な化合物は、2−メチルベンゾチアゾール化合物がヒドロキシル基で置換される場合に生じる。最も好ましいのは2−メチルベンゾチアゾール化合物であり、それは5−位でヒドロキシル基によって置換されている。
【0054】
本発明の化合物は、シアノアクリレート接着剤組成物のための活性剤として特に有用である。本発明の化合物は、湿気反応性および/または紫外線老化の傾向は低いままで、良好なゲル化時間範囲を提供する。したがって利点は、本発明の化合物を含んでいる本発明のシアノアクリレート組成物は、紫外線反応性が低くされているために、透明でUV透過性の、または不透過性の容器にパッケージ化することができる点である。本発明の組成物は、より長い保存可能期間を有することができる可能性がある。
【0055】
本発明の2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体は、以下から選択されてよい。
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
本発明の特に好ましいシアノアクリレート組成物は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体をベースとする活性剤を含み、それらは以下から選択されてよい。
【0061】
【化15】
【0062】
本発明の好ましい他の組成物は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体をベースとする活性剤を含み、以下から選択されてよい。
【0063】
【化16】
【0064】
これらの特定の活性剤を含む組成物は、例えばUV老化のような環境劣化に対して敏感であることが見いだされてきた。従って、これらの活性剤組成物は環境からの汚染に対して抵抗性があるパッケージで保持することが好ましい。例えば、UVブロッキング特性を有するパッケージでそれらを提供することが好ましい。すなわち、パックは、シアノアクリレート組成物を活性化できる活性剤の性能に関するいかなる実質的な劣化も防ぐために、UV光に対して充分に不透過性でなければならない。このことは、活性剤は時間と共に顕著に劣化せず、実質的に充分活性化できる能力を維持することが好ましいため、有用である。2パート組成物に対しては、組成物の少なくとも活性剤パートは、UV不透過性の容器に保持されることが好ましい。
【0065】
本発明の特に好ましいシアノアクリレート組成物は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体をベースとする活性剤を含み、それらは以下から選択されてよい。
【0066】
【化17】
【0067】
これらの化合物を活性剤として含む組成物は、UV光に曝露することで加速老化に曝したした後でも依然として硬化性であるため、これらの活性剤は本発明の組成物で特に有用である。従って、これらの化合物を含むシアノアクリレート接着剤組成物は、通常のUV透過パッケージでパッケージ化されてよく、それはUVブロッキングである必要がない。すなわち、本発明は、UV曝露および/または老化の影響に対して抵抗性があって、UV曝露および/または老化の影響があった後でも、なお充分に機能して充分な硬化を提供する、改善された活性剤を提供する。本発明は、先行技術の活性剤と同様に湿気反応性ではなく、それでいて保存容器へ湿気が侵入する可能性がある保存の後でも充分機能する、改善された活性剤を提供する。本発明の組成物は、以下から選択されうる活性剤を含んでいてよい。
【0068】
【化18】
【0069】
一般に2−置換ベンゾチアゾールは、キャリア成分によって媒介される。従って、2−置換ベンゾチアゾールは適したキャリアと共に存在、または適したキャリアと共に供給されてよい。キャリア成分は好適には、トリアセチン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、トリメリト酸トリオクチル、アジピン酸ジオクチル、グルタミン酸ジオクチル、ブチルシアノ酢酸、トリメリト酸トリメチル、二安息香酸ジエチレングリコール、マロン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリエチル、フタル酸ベンジルブチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、アジピン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジメチル、O−アセチルクエン酸トリブチル(TBAC)、O−アセチルクエン酸トリエチル(TEAC)、二安息香酸ジプロピレングリコール(DPGDB)、二安息香酸ジエチレングリコール(DEGBD)、フタル酸ベンジルブチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジカプリル、フタル酸ジカプリル、二安息香酸ジエチレングリコール、アジピン酸ジエチル、グルタミン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジメチル、グルタミン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、カプロン酸エチル、トリオレイン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、四安息香酸ペンタエリスリトール、ポリ(アジピン酸ネオペンチルグリコール)、O−アセチルクエン酸トリブチル、トリメリト酸トリカプリル、O−アセチルクエン酸トリエチル、トリメリト酸トリヘキシル、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、トリメリト酸トリメチル、トリメリト酸トリオクチル、有機エーテル、特にアリールまたはジアリールエーテル(ただし、各アリール基の芳香族環は、エーテルの酸素および3〜20個の炭素原子を有しかつラクトン環が4〜7員である単環または2環式ラクトンに直接結合している)から選択される可塑剤を含んでいてよい。
【0070】
本発明のシアノアクリレート組成物は、シリンジの1つのチャンバーが9mlの容量、および他のチャンバーが1mlの容量を有する2筒型シリンジにパッケージ化されている場合、2つの基体にまたは2つの基体間の0.5mmから2mmの間に塗布された際に、一般的にギャップ間硬化を達成することができ、いわゆる「瞬間接着剤」として作用する。
【0071】
本発明のシアノアクリレート組成物は、好ましくは、ある場合では10秒未満、他の場合では30秒〜300秒の硬化時間であってよい。そのような組成物は、下記の2−置換ベンゾチアゾール化合物、または促進剤/活性剤として化合物の組合せを含んでいてよい。
【0072】
【化19】
【0073】
本発明の他の態様では、シアノアクリレート接着剤活性剤および/または促進剤として2−置換ベンゾチアゾールを使用することを提供し、ここで、2−置換基は、上で定義されたアルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である。
【0074】
2−置換ベンゾチアゾールのベンゼン環は好適には、上で定義された少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基でさらに置換されてよい。
【0075】
本発明は、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含む、シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックを提供することが好ましく、ここで、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基ではない)。このパックは、UV透過性材料またはUVブロッキング材料から構成されてよい。
【0076】
異なった態様では、本発明は、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含む、シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックを提供し、ただし、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である。ここで、保存可能期間の延長を推進するために、UV不透過性の材料を含むパック、またはUVブロッキング材料から構成されるパックを選択することが望まれ得る。
【0077】
さらに関連する態様では、本発明は、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含む、シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックを提供し、ただし、2−置換基は、アミド部分がtert−ブチルアミノまたはモルホリン基であるスルフェンアミドである。また、ここで、保存可能期間の延長を推進するために、パックはUVブロッキング材料から構成されるべきである。
【0078】
パックに関する態様では、2−置換ベンゾチアゾールは、上で定義されたアルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基でありうる2−置換基を含んでいてもよい。2−置換ベンゾチアゾールのベンゼン環は好適には、上で定義された少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基でさらに置換されていてもよい。
【0079】
1つの好ましい構成では、本発明のシアノアクリレート組成物は2パート形態で提供される。シアノアクリレート組成物は、ディスペンシングパックに詰めることが好ましい。2パート組成物については、これは2つのパートを混合するために共ディスペンスする(好適に所望の比で)パックであってよい。例えば、該ディスペンシングパックは、2筒型シリンジであってよい。例えば、シアノアクリレート接着剤組成物は、シリンジのバレルのような第1室に保持されてよく、他方、活性剤成分は第2室、例えばシリンジの別のバレルに保持される。任意の適したディスペンシングパックが使用されてよいことが理解されよう。さらなる態様では、本発明はシアノアクリレート組成物を活性化するのに使用するための活性剤を提供し、それは2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体から選択され、ただし、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)。
【0080】
他のさらなる態様では、本発明は、シアノアクリレート組成物を活性化するのに使用するための活性剤として2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体を使用する方法を提供し、そのステップは、
2−置換ベンゾチアゾールもしくはそれらの誘導体を含む活性剤を提供するステップ、ならびに
シアノアクリレートを提供するステップ
を任意の順序で含み、ただし、2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基から作られるアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、シアノアクリレート−パートBの2パートの接合強度を示す。
【0082】
【図2】図2は、活性剤として化合物2(2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0083】
【図3】図3は、活性剤として化合物2(2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0084】
【図4】図4は、活性剤として化合物8(5−Cl−2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0085】
【図5】図5は、活性剤として化合物8(5−Cl−2−MeBT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0086】
【図6】図6は、活性剤として化合物9(2−Me−メルカプトBT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0087】
【図7】図7は、活性剤として化合物9(2−Me−メルカプトBT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0088】
【図8】図8は、活性剤として化合物10(Santocure MBS)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0089】
【図9】図9は、活性剤として化合物10(Santocure MBS)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0090】
【図10】図10は、活性剤として化合物12(Santocure CBS)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0091】
【図11】図11は、活性剤として化合物12(Santocure CBS)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0092】
【図12】図12は、活性剤として化合物14(DMPT)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0093】
【図13】図13は、活性剤として化合物14(DMPT)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0094】
【図14】図14は、活性剤として化合物15(2,2−ジチオジピリジン)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0095】
【図15】図15は、活性剤として化合物15(2,2−ジチオジピリジン)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【0096】
【図16】図16は、活性剤として化合物23(2−[(tert−ブチルアミノ)チオ]ベンゾチアゾール)を含む組成物を使用した際の、接着剤の硬化時間を示す。
【0097】
【図17】図17は、活性剤として化合物23(2−[(tert−ブチルアミノ)チオ]ベンゾチアゾール)を含む組成物を使用した際の、UV曝露後の接着剤の硬化時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
(発明の詳細な説明)
活性剤の失活の調査究明として、本発明者らは、シアノアクリレートをベースとする「Aパート」(LOCTITE 431)、ならびに活性剤をベースとするN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびコントロールとしてトリアセチンを含んだ「Bパート」を含有する2パート製品を試験した(すべてのLoctite製品は、Henkel Ireland Limited(24 ダブリン トラット)から入手可能である)。室温(RT)で保存された幾つかの特有な試料に関して、ゲル化時間がドリフトすることが観察され、これは透明パッケージで提供された試料では特に顕著であった。UV曝露は、接着剤の硬化特性の劣化を引き起こすように思われる。
【0099】
さらなる調査究明により、ゲル化時間が増加した試料については、活性N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド活性剤の濃度が初期値から著しく減少したことが示された。初期の活性剤成分濃度は0.0455Mであった。硬化性能および活性剤濃度の低下は、活性剤の損失によって接着剤の硬化性能が悪影響を受けることを示唆しているように思われる。
【0100】
調査究明の目的は、より良好な硬化時間を提供し、および/またはUVまたは水反応性ではない、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドに代わる活性剤を見出すことであった。
【0101】
ゆえに、活性剤「Bパート」を表1に示す個々の化合物で置き換え、「Aパート」と混合する前にトリアセチンと混合した。
【0102】
考えうる活性剤として調査究明した化合物を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
これらの試料を、以下の様にパックされた2パートシリンジ(10:1、A:B)を使用して評価した。
パートA:LOCTITE 431(中間粘度のシアノアクリレート)、
パートB:トリアセチン(99.89%)および活性剤(0.1098%)を共に室温で30分間攪拌したもの。
【0107】
評価したすべての活性剤はトリアセチンに可溶性であり、2−アミノ−6−ニトロベンゾチアゾール(4)および2−メチル−β−ナフトチアゾール(22)(各々、使用濃度では黄色い溶液であった)を除いては透明溶液を与えた。
【0108】
ゲル化時間に関して試料を評価した。ゲル化時間は、スタティックミキサー(16のエレメントを含有)および材料が硬化するのにかかる時間を記録するためにストップウオッチを使用し、1gの材料を皿にディスペンスすることによって測定した。硬化が5分内に起こらなかった場合、アプリケータスティックを使用して材料を緩やかに撹拌した。試験を繰り返して再現性を確保した。接着剤試験の結果を表2に提供し、試験する個々の活性剤化合物を含む組成物に対して詳細なゲル化時間を示す。混合して20分内に硬化しなかった組成物は、硬化しなかったことを意味する「DNC」で示し、さらなる試験を行わなかった。
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
【表7】
【0113】
【表8】
【0114】
表2の結果から、下記の活性剤を有する組成物は、好適なゲル化時間をもたらした。
【0115】
【表9】
【0116】
固定時間試験
【0117】
次いで、様々な基体(軟鋼、アルミニウム、PVCおよびPC)に関して、良好な初期ゲル化時間の結果をもたらした活性剤を含む組成物の多くを用いて、固定時間試験を実施した。固定時間試験の結果を表3に示す。固定速度とは、2つの基体(各々は1インチの幅があり、0.5インチの重なりで共につながっている)を接続して、3kg重を保持するのに充分な時間のことである。すべての固定時間試験を室温で実施した。活性剤塗布前にイソプロピルアルコール(IPA)を使用して試験基体を拭いた。
【0118】
【表10】
【0119】
加速老化および固定試験時間
【0120】
加速老化を擬似するために、試料を7日間UV光に曝露させ、前に記載したようにゲル化時間を再度記録した。結果は以下、および表4で見ることができる。
【0121】
【表11】
【0122】
UV老化は、硬化時間に悪影響を及ぼさなかったことが分かる。下記の活性剤を含む残りの組成物は、UVブロッキングパックで使用するのに適している。
【0123】
【表12】
【0124】
サーモカップル試験
【0125】
また、サーモカップルを使用して、ゲル化時間測定を実施した。各材料、約0.6gを使用した。0.6gの材料を、スタティックミキサーを通して試験管(12×75mmパイレックス(登録商標))にディスペンスし、次いでサーモカップルを試験管に挿入した。サーモカップル挿入からの温度上昇を経時的に記録した。試料を7日間のUV照射の前と後とで試験した。結果は図2〜17で見ることができる。
【0126】
手による混合で観測されたゲル化時間とサーモカップルを使用して記録したゲル化時間との間に良好な相関を得た。試料の秤量と機器装置の応答の記録との間に、約15秒を考慮されなければならない。Santocure MBS、Santocure CBS、DMPTおよびコントロール試料を含め、多くの試料がUV老化を免れなかったことが理解できる。また、UV照射後の外見上の変化について試料を調べた(表5)。
【0127】
【表13】
【0128】
【表14】
【0129】
湿度試験
【0130】
また、実行可能性を有する代替活性剤に関して、新たに調製した2パートシアノアクリレートのサンプルシリンジのバッチを40℃で湿度98%のオーブン中に3週間、および同様に6週間置いた試料について湿度試験を実施した。試験前と同様に再度ゲル化時間を記録し、下の表6に比較結果を見ることができる。
【0131】
【表15】
【0132】
接着剤性能は、標準引張り剪断強度試験(ASTM D1002−5)を用いて評価した。張力を接合領域と平行および試験片の主要軸に平行に加え、1つの接着剤重なり連結部に応力をかけることによって接着剤接合強度を決定する。これらは、1×4×0.063インチ軟鋼およびアルミニウム基体に関して(金属対金属)、基体の重なりが0.5平方インチで、基体の間に2パートシアノアクリレート試料を配置することで実施した。シアノアクリレート試料を室温で下に示した時間、硬化させた。結果としてもたらされた接合強度は、インストロン機器を使用して下記の試験条件で測定した:MS(軟鋼)およびAl(アルミニウム)、IPA(イソプロパノール)での拭き取り、室温で24時間硬化。得られた結果は図1に見ることができる。
【0133】
本発明に関して本明細書で使用される場合、用語「含む/含んでいる」および「有する/含有する」は、記載された特徴、整数、ステップまたは成分の存在を明確にするために使用され、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、成分またはそれらの群の存在または付加を除外するものではない。本発明のある特徴は、明確を期すために別々の実施形態との関連で記載されるが、個々の実施形態の組合せで提供されてもよいこともまた理解される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔にするために個々の実施形態との関連で記載されるが、別々にまたは任意の適した副次的な組合せで提供されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアノアクリレート組成物であって、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含み、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を有しない)、シアノアクリレート組成物。
【請求項2】
前記2−置換ベンゾチアゾールが、少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基でさらに置換されている、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項3】
前記ハロ置換基が、Cl、FまたはBrである、請求項2に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項4】
前記ハロアルキル置換基が、トリフルオロメタン基である、請求項2に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項5】
前記チオアルキル置換基において前記アルキル部分が、分岐状または非分岐状C1〜C20アルキル基を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項6】
前記アルキル置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項7】
前記アルケン置換基が、少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項8】
前記アルキルベンジル置換基が、ベンジル基でさらに置換されている分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項9】
前記アルキルアミノ置換基が、アミン基でさらに置換されている分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項10】
前記アルコキシ置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4アルコキシ基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項11】
前記アルキルヒドロキシ置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4アルキルヒドロキシ基である、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項12】
前記エーテル置換基が、分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、前記アルキル鎖中に少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、または前記アルキル鎖中に少なくとも1つの三重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項13】
前記スルフェンアミド置換基が、前記アミド部分がシクロヘキシルアミンであるスルフェンアミドである、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項14】
前記チオアルコキシ置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4チオアルコキシ基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項15】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
からなる群より選択される、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項16】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化5】
からなる群より選択される、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項17】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化6】
からなる群より選択される、請求項16に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項18】
前記2−置換ベンゾチアゾールが、キャリアと共に存在する、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項19】
前記キャリアが、トリアセチン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、トリメリト酸トリオクチル、アジピン酸ジオクチル、グルタミン酸ジオクチル、ブチルシアノ酢酸、トリメリト酸トリメチル、二安息香酸ジエチレングリコール、マロン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリエチル、フタル酸ベンジルブチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、アジピン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジメチル、O−アセチルクエン酸トリブチル(TBAC)、O−アセチルクエン酸トリエチル(TEAC)、二安息香酸ジプロピレングリコール(DPGDB)、二安息香酸ジエチレングリコール(DEGBD)、フタル酸ベンジルブチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジカプリル、フタル酸ジカプリル、二安息香酸ジエチレングリコール、アジピン酸ジエチル、グルタミン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジメチル、グルタミン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、カプロン酸エチル、トリオレイン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、四安息香酸ペンタエリスリトール、ポリ(アジピン酸ネオペンチルグリコール)、O−アセチルクエン酸トリブチル、トリメリト酸トリカプリル、O−アセチルクエン酸トリエチル、トリメリト酸トリヘキシル、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、トリメリト酸トリメチル、トリメリト酸トリオクチル、有機エーテル、特にアリールまたはジアリールエーテル(ただし各アリール基の芳香族環は、エーテルの酸素および3〜20個の炭素原子を有しかつラクトン環が4〜7員である単環または2環式ラクトンに直接結合している)から選択される可塑剤である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項20】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化7】
からなる群より選択される、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項21】
シアノアクリレート接着剤活性剤および/または促進剤としての2−置換ベンゾチアゾールの使用であって、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、2−置換ベンゾチアゾールの使用。
【請求項22】
(a)容器、および
(b)(i)シアノアクリレート、および
(ii)2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート接着剤組成物
を含むパックであって、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基であり(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、ならびに、前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体は前記容器内に保持され、および前記容器はUV透過性材料を含む、パック。
【請求項23】
シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックであって、
(a)容器、および
(b)(i)シアノアクリレート、および
(ii)2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート接着剤組成物
を含み、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルもしくはチオアルコキシ基であり、ならびに、前記容器はUV不透過性の材料を含む、パック。
【請求項24】
シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックであって、
(a)容器、および
(b)(i)シアノアクリレート、および
(ii)2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート接着剤組成物
を含み、ただし、前記2−置換基はスルフェンアミドであり(ただし、前記アミド部分はtert−ブチルアミノもしくはモルホリン基であり)、ならびに、前記ベンゾチアゾールは容器内に保持され、および前記容器はUV不透過性材料を含む、パック。
【請求項25】
前記2−置換ベンゾチアゾールが、少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシもしくはヒドロキシル置換基でさらに置換されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項26】
前記ハロ置換基が、Cl、FまたはBrである、請求項22〜25のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項27】
前記ハロアルキル置換基が、トリフルオロメタン基である、請求項22〜26のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項28】
前記アルキル部分が、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C20アルキル基を含む、請求項22〜27のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項29】
前記アルキル置換基が、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C4アルキル基である、請求項22〜28のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項30】
前記アルケン置換基が、少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C4炭化水素鎖である、請求項22〜29のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項31】
前記アルキルベンジル置換基が、ベンジル基でさらに置換された分岐状もしくは非分岐状C1〜C4アルキル基である、請求項22〜30のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項32】
前記組成物が、2パート形態で供給される、請求項22〜31のいずれか1項に記載のパック。
【請求項33】
前記組成物が、2筒型シリンジにパックされている、請求項32に記載のパック。
【請求項34】
少なくとも1つのバレルが、UV不透過性である、請求項32に記載のパック。
【請求項35】
シアノアクリレート組成物を活性化するのに用いる活性剤であって、前記活性剤は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体からなる群より選択され、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、活性剤。
【請求項36】
シアノアクリレート組成物の活性化するのに用いる活性剤として、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体を使用する方法であって、そのステップは、
2−置換ベンゾチアゾールもしくはそれらの誘導体を含む活性剤を提供するステップ、ならびに
シアノアクリレートを提供するステップ
を任意の順序で含み、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、方法。
【請求項1】
シアノアクリレート組成物であって、
シアノアクリレート、および
2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含み、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドのアミド部分は、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を有しない)、シアノアクリレート組成物。
【請求項2】
前記2−置換ベンゾチアゾールが、少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシル置換基でさらに置換されている、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項3】
前記ハロ置換基が、Cl、FまたはBrである、請求項2に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項4】
前記ハロアルキル置換基が、トリフルオロメタン基である、請求項2に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項5】
前記チオアルキル置換基において前記アルキル部分が、分岐状または非分岐状C1〜C20アルキル基を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項6】
前記アルキル置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項7】
前記アルケン置換基が、少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項8】
前記アルキルベンジル置換基が、ベンジル基でさらに置換されている分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項9】
前記アルキルアミノ置換基が、アミン基でさらに置換されている分岐状または非分岐状C1〜C4アルキル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項10】
前記アルコキシ置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4アルコキシ基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項11】
前記アルキルヒドロキシ置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4アルキルヒドロキシ基である、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項12】
前記エーテル置換基が、分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、前記アルキル鎖中に少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基、または前記アルキル鎖中に少なくとも1つの三重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C10アルキルエーテル基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項13】
前記スルフェンアミド置換基が、前記アミド部分がシクロヘキシルアミンであるスルフェンアミドである、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項14】
前記チオアルコキシ置換基が、分岐状または非分岐状C1〜C4チオアルコキシ基である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項15】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
からなる群より選択される、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項16】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化5】
からなる群より選択される、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項17】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化6】
からなる群より選択される、請求項16に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項18】
前記2−置換ベンゾチアゾールが、キャリアと共に存在する、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項19】
前記キャリアが、トリアセチン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、トリメリト酸トリオクチル、アジピン酸ジオクチル、グルタミン酸ジオクチル、ブチルシアノ酢酸、トリメリト酸トリメチル、二安息香酸ジエチレングリコール、マロン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリエチル、フタル酸ベンジルブチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、アジピン酸ジエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジメチル、O−アセチルクエン酸トリブチル(TBAC)、O−アセチルクエン酸トリエチル(TEAC)、二安息香酸ジプロピレングリコール(DPGDB)、二安息香酸ジエチレングリコール(DEGBD)、フタル酸ベンジルブチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジカプリル、フタル酸ジカプリル、二安息香酸ジエチレングリコール、アジピン酸ジエチル、グルタミン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジメチル、グルタミン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、二安息香酸ジプロピレングリコール、カプロン酸エチル、トリオレイン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、四安息香酸ペンタエリスリトール、ポリ(アジピン酸ネオペンチルグリコール)、O−アセチルクエン酸トリブチル、トリメリト酸トリカプリル、O−アセチルクエン酸トリエチル、トリメリト酸トリヘキシル、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、トリメリト酸トリメチル、トリメリト酸トリオクチル、有機エーテル、特にアリールまたはジアリールエーテル(ただし各アリール基の芳香族環は、エーテルの酸素および3〜20個の炭素原子を有しかつラクトン環が4〜7員である単環または2環式ラクトンに直接結合している)から選択される可塑剤である、先行する請求項のいずれかに記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項20】
前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体が、
【化7】
からなる群より選択される、請求項1に記載のシアノアクリレート組成物。
【請求項21】
シアノアクリレート接着剤活性剤および/または促進剤としての2−置換ベンゾチアゾールの使用であって、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、2−置換ベンゾチアゾールの使用。
【請求項22】
(a)容器、および
(b)(i)シアノアクリレート、および
(ii)2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート接着剤組成物
を含むパックであって、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基であり(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、ならびに、前記2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体は前記容器内に保持され、および前記容器はUV透過性材料を含む、パック。
【請求項23】
シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックであって、
(a)容器、および
(b)(i)シアノアクリレート、および
(ii)2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート接着剤組成物
を含み、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルもしくはチオアルコキシ基であり、ならびに、前記容器はUV不透過性の材料を含む、パック。
【請求項24】
シアノアクリレート接着剤組成物を含むパックであって、
(a)容器、および
(b)(i)シアノアクリレート、および
(ii)2−置換ベンゾチアゾール、またはそれらの誘導体
を含むシアノアクリレート接着剤組成物
を含み、ただし、前記2−置換基はスルフェンアミドであり(ただし、前記アミド部分はtert−ブチルアミノもしくはモルホリン基であり)、ならびに、前記ベンゾチアゾールは容器内に保持され、および前記容器はUV不透過性材料を含む、パック。
【請求項25】
前記2−置換ベンゾチアゾールが、少なくとも1つのハロ、チオアルキル、ハロアルキル、アルキル、アルコキシもしくはヒドロキシル置換基でさらに置換されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項26】
前記ハロ置換基が、Cl、FまたはBrである、請求項22〜25のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項27】
前記ハロアルキル置換基が、トリフルオロメタン基である、請求項22〜26のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項28】
前記アルキル部分が、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C20アルキル基を含む、請求項22〜27のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項29】
前記アルキル置換基が、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C4アルキル基である、請求項22〜28のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項30】
前記アルケン置換基が、少なくとも1つの二重結合を含有する分岐状もしくは非分岐状C1〜C4炭化水素鎖である、請求項22〜29のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項31】
前記アルキルベンジル置換基が、ベンジル基でさらに置換された分岐状もしくは非分岐状C1〜C4アルキル基である、請求項22〜30のいずれか1項に記載のパック、または請求項21に記載の使用。
【請求項32】
前記組成物が、2パート形態で供給される、請求項22〜31のいずれか1項に記載のパック。
【請求項33】
前記組成物が、2筒型シリンジにパックされている、請求項32に記載のパック。
【請求項34】
少なくとも1つのバレルが、UV不透過性である、請求項32に記載のパック。
【請求項35】
シアノアクリレート組成物を活性化するのに用いる活性剤であって、前記活性剤は、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体からなる群より選択され、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、活性剤。
【請求項36】
シアノアクリレート組成物の活性化するのに用いる活性剤として、2−置換ベンゾチアゾールまたはそれらの誘導体を使用する方法であって、そのステップは、
2−置換ベンゾチアゾールもしくはそれらの誘導体を含む活性剤を提供するステップ、ならびに
シアノアクリレートを提供するステップ
を任意の順序で含み、ただし、前記2−置換基は、アルキル、アルケン、アルキルベンジル、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、エーテル、スルフェンアミド、チオアルキルまたはチオアルコキシ基である(ただし、前記スルフェンアミドは、tert−ブチルアミノまたはモルホリン基を含むアミド部分を有するスルフェンアミド以外の任意のスルフェンアミドである)、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−506470(P2012−506470A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532625(P2011−532625)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063833
【国際公開番号】WO2010/046412
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(501194879)ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】LOCTITE (R & D) LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063833
【国際公開番号】WO2010/046412
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(501194879)ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】LOCTITE (R & D) LIMITED
【Fターム(参考)】
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