説明

2型糖尿病の危険性の検出及び治療のための方法

T2Dなどの代謝性疾患における、ヒトEXT2遺伝子の役割を開示する。EXT2遺伝子に関連したバイオマーカーを用いて、代謝性疾患の診断、T2Dの危険度の予測、及びの代謝性疾患の臨床経過の予測を行うための方法と試験キットを開示する。更に、EXT2遺伝子、ポリペプチド及びEXT2関連経路に基づく、代謝性疾患の予防又は治療のための新しい方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、2型糖尿病などの代謝異常の診断及び治療の分野に関する。より詳細には、本発明は、2型糖尿病の素因や疾患感受性の診断方法、2型糖尿病を治療するための化合物の同定方法、及び2型糖尿病に関連するポリペプチドをコードする新しい核酸配列に関する。本発明はまた、EXT2産物とそれに関連した変異体を含む組成物と、EXT2産物とそれに関連した変異体の使用方法を提供する。このような遺伝子産物のみならず、その結合パートナー、アゴニスト及び上記遺伝子産物に対する抗体は、代謝異常に関する危険度の予測、診断、予防及び治療に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
「糖尿病(DM)」とは、高血糖を特徴とする、炭水化物代謝異常に伴う複数の症候群の総称である。糖尿病は、インシュリン分泌の相対的な又は完全な損失と共に、インシュリンの作用に対する種々の末梢抵抗値に関連している。糖尿病の慢性高血糖は、様々な器官、特に目、腎臓、神経、心臓及び血管の、長期にわたる損傷、機能不全及び障害を特徴とする(ADA, 2003)。2型糖尿病(T2D)は、成人で発症するインシュリン抵抗性と血中糖濃度の上昇を特徴とする。
【0003】
2000年には、世界中で約1億7,100万人が糖尿病であった。糖尿病患者の数は、今後25年間で2倍を超え、2030年までに3億6,600万人に達すると予想される。この増加の大部分が、発展途上国における糖尿病患者数の150%の増加の結果であろう。このことは、高カロリー摂取や座りがちなライフスタイルなどの、比較的現代的な環境や行動に伴う危険因子の役割を示唆している。しかし、T2Dの発生率と有病率における人種差と、家族内でのT2Dの集積は、遺伝的危険因子が主要な役割を果たすことを示唆している。
【0004】
糖尿病有病率の世界中での増加につながる2つの主な要因は、とりわけ発展途上国における、結果として肥満の増加をもたらす高齢化と都市化である(WHO/IDF, 2004)。現在、10億人以上の成人が過体重であり、そのうちの少なくとも3億人が臨床的に肥満である。現在の肥満率は、中国、日本及び一部のアフリカ諸国の5%未満から、サモア都市部の75%超まで幅がある。肥満の有病率は、西ヨーロッパで10〜25%、アメリカ大陸では20〜27%である(WHO, 2004)。
【0005】
2000年には、320万人が糖尿病に関連した合併症で死亡した。糖尿病は、ほとんどの国で早期疾患と早死の主要原因の1つとなっており、これは主として心血管病(CVD)の危険度の増加によるものである。糖尿病は盲目、四肢等の切断及び腎不全の主な原因である。こうした合併症は、糖尿病による社会的且つ経済的負担の大きな原因である(WHO/IDF, 2004)。
【0006】
T2Dの慢性的性質、その合併症の重篤性及びその抑制に必要な手段ゆえに、患者個人やその家族にとってだけでなく、保健機関にとっても、糖尿病は費用のかかる病気である。米国では、糖尿病に起因する直接及び間接医療費は、2002年には1,320億ドルと概算された。直接医療費だけでも合計で918億ドルになり、その内訳は、糖尿病治療のための232億ドル、糖尿病に起因する慢性合併症のための246億ドル、及び過度に発症する一般的病状のための441億ドルである。糖尿病に起因する労働損失日数、活動制限日数、死亡数及び不可逆的障害に起因する間接医療費は、合計で398億ドルになる(ADA, 2003)。
【0007】
新しい病因学的分類によれば、DMは以下の4つのカテゴリーに区別される:1型糖尿病(T1D)、2型糖尿病(T2D)、他の特異的なタイプの糖尿病、及び妊娠糖尿病である(ADA, 2003)。米国、カナダ及びヨーロッパにおいては、糖尿病の症例のうちの80%超がT2D、5〜10%がT1D、そして残りが他の特異的症例によるものである。以前はインシュリン依存型(IDDM)と呼ばれていたT1Dにおいては、生命維持に必要なインシュリンを膵臓が産生することができない。この型の糖尿病は、幼児期と青年期に最も頻繁に発症するが、それ以降に診断される例が増えつつある。以前はインシュリン非依存型(NIDDM)と呼ばれていたT2Dは、膵臓の産生したインシュリンの作用に生体が適切に応答できないことが原因である。T2Dは成人期に最も頻繁に発症するが、青年期の発症も増加している(WHO, 2004)。
【0008】
T1DとT2Dは、先天的感受性と環境因子の両方が主要な役割を担うことを示す家系調査によって確証されるように、どちらの遺伝形式も複雑である。一般的に、T1D患者の兄弟/姉妹(sibling)の発症危険度は、血縁の無い個人の発症危険度(0.4%)よりも、15倍高い値(6%)である(Field LL, 2002)。T2Dにおいては、兄弟/姉妹の絶対危険度は30〜40%であり、これは人口に対する有病率が7%であることと比べて、兄弟/姉妹間の相対危険度は4〜6倍になる。T1DとT2Dは、二卵性双生児と比べて一卵性双生児の方が一致率がずっと高い。特にT1Dにおいては、一卵性双生児の一致率は21〜70%の範囲内であると推定され、二卵性双生児について報告されている0〜13%の範囲よりも高い(Redondo MJ et al, 2001)。T2Dの場合は、十分に長い期間追跡すれば、一卵性双生児のペアは90%の一致率を示すと報告されている(Barnett AH et al, 1981)。また、デンマークでは一卵性双生児の一致率が63%であるのに対して、二卵性双生児では43%であるという報告もある(Poulsen et al, 1999)。
【0009】
公知の単一因子性糖尿病は、以下の2つのカテゴリーに分類される:β細胞の遺伝的欠陥と、インシュリン作用の遺伝的欠陥である(ADA, 2003)。β細胞機能の単一因子性欠陥と関連する型の糖尿病は、若年(一般的に25歳未満)での高血糖の発症を屡々特徴とする。この型の糖尿病は、若年発症成人型糖尿病(MODY)と呼ばれ、インシュリン作用に微小な欠陥しかないかあるいは全く欠陥が無いにも拘らず、インシュリン分泌に障害があることを特徴とする(Herman WH et al, 1994;Clement K et al, 1996;Byrne MM et al, 1996)。この型の糖尿病は、常染色体優性遺伝する。これまでに、異なる染色体上の3つの遺伝子座の異常が確認されている。最も一般的な型は、染色体12における、肝細胞核因子(HNF)−1αと呼ばれる肝臓転写因子の遺伝子座の突然変異と関連する(Vaxillaire M et al, 1995;Yamagata K et al, 1996)。第2の型は、染色体7p上のグルコキナーゼ遺伝子の遺伝子座の突然変異に関連しており、その結果として欠陥のあるグルコキナーゼ分子を生じる(Froguel P et al, 1992;Vionnet N et al, 1992)。グルコキナーゼはグルコースをグルコース−6−リン酸に変換し、この代謝は、次にβ細胞によるインシュリン分泌を促進する。グルコキナーゼ遺伝子の欠陥ゆえに、正常な量のインシュリン分泌を誘発するためには、高い血漿グルコース濃度が必要である。第3の型は、染色体20q上のHNF−4α遺伝子の突然変異に関連する(Bell GI et al, 1991;Yamagata K et al, 1996)。HNF−4αは、HNF−1αの発現の調節に関与する転写因子である。ミトコンドリアDNAの点変異によって膵臓のβ細胞機能が損なわれることが、主としてDMの原因となり得る(Reardon W et al, 1992;van den Ouwenland JMW et al, 1992;Kadowaki T et al, 1994)。遺伝学的に決定されているインシュリン作用の異常に起因する、糖尿病の珍しい病因も存在する。インシュリン受容体の突然変異に関連する代謝異常は、高インシュリン血症や軽度の高血糖症から、重度の糖尿病にまで及ぶ(Kahn CR et al, 1976;Taylor SI, 1992)。
【0010】
T1Dについて、ゲノム全域の連鎖スキャンが5種類報告されている(Davies JL et al, 1994;Hashimoto L et al, 1994;Concannon P et al, 1998;Mein CA et al, 1998;Vaessen N et al, 2002)。また、国際共同プロジェクトによって、これまでで最大のゲノム全域にわたる連鎖スキャンが実施され(Cox NJ et al, 2001)、これによって先行の観察結果が確認され拡張された。全ての連鎖スキャンはそれぞれ独立に、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子座に対する連鎖の有意な証拠を得ている。インシュリンVNTR領域のT1Dとの関連は、共同プロジェクトにおいてのみ観察された。他の連鎖ピークは、CTLA4遺伝子を含む染色体領域2q31-35に見出され、関連性解析によって更なる証拠が得られた(Nistico L et al, 1996;Marron MP et al, 1997)。
【0011】
ゲノム全域にわたる複数の連鎖解析においてT2Dの危険性をもたらす領域を探索した結果が公開されている(Florez JC et al, 2003)。T1DにおけるHLA領域とは対照的に、T2Dについては、複数の研究よって複製されている単一の領域はない。連鎖について有意な証拠を示したのは、一回のスキャン(LODスコア>3.6)の結果や数回のスキャンで一貫して複製された結果から得られたわずか数種の領域だけである。複数の研究において連鎖の証拠を示した領域としては、染色体1q25.3、2q37.3、3p24.1、3q28、10q26.13、12q24.31と18p11.22が挙げられる。最も早く発見された有意な連鎖ピークの1つは、染色体2q37.3に存在し、これはCAPN10遺伝子の同定をもたらした(Hanis CL et al, 1996;Cox NJ et al, 1999;Horikawa Y et al, 2000)。しかし、後続する諸報告においては、非常に関連性の高い個体群においてさえも、こうした初期の調査結果を再現することができなかった(Florez JC et al, 2003)。
【0012】
これまでにT1DとT2Dに関するゲノム全域にわたる連鎖研究から得られた成果は限られている。連鎖に関連すると推定される位置については多くの提案がなされているが、その中で複数の研究で複製されることによって実証されているものはわずかである。よって、連鎖から遺伝子を同定するための明瞭且つ確実な方法は存在しない。
【0013】
この失敗の原因は、1つには全ゲノムスキャン(GWS)に用いられた遺伝子マーカーの数があまりに少なすぎたことにあり、また1つには調査対象とした個体群があまりに不均質すぎたことにある。T1DとT2Dの一般的な症状については、遺伝子が関連していると推定されるものがいくつも報告されているが、多くの研究で複製されているものはほんの一握りに過ぎない。T1Dについては、以下の3つの有力な関連遺伝子が挙げられる: HLA領域(Singal DP and Blajcham MA, 1973;Cudworth AG and Woodrow JC, 1974;Nerup JP et al, 1974;Platz et al, 1981;Rotter JI et al, 1983;Tood JA et al, 1987;Sheehy MJ et al, 1989;Todd JA et al, 1989)、インシュリン VNTR(Bell GI et al, 1984;Hitman GA et al, 1985;Bennett ST and Todd AJ, 1996)及びCTLA4(Nistico L et al, 1996;Marron MP et al, 1997)。これらの3つの遺伝子によってT1Dの遺伝的危険度の約半分を説明することができるので、これら3つの遺伝子は、複雑な多遺伝子性疾患の遺伝的原理の同定に成功した珍しい例である。T2Dについては、PPARγの関与が多くの研究で再現されており(Deeb SS et al, 1998;Hara K et al, 2000;Altshuler D et al, 2000;Mori H et al, 2001)、KCNJ1(Hani EH et al, 1998;Gloyn AL et al, 2001;Gloyn AL et al, 2003)、ABCC8(Inoue H, 1996;Hani EH et al, 1997;Hansen T et al, 1998)、GCGR(Hager J et al, 1995;Gough SC et al, 1995)、GCK(Chiu KC et al, 1992;McCarthy MI et al, 1994;Takekawa K et al, 1994)及びSLC2A1(Li SR et al, 1988;Tao T et al, 1995;Pontiroli AE et al, 1996)の関与が、今では複数の研究グループによって観察されている。主要な公衆衛生問題(例えばT2D)を引き起こす遺伝子の同定は、以下に挙げる分子生物学、集団遺伝学及びバイオインフォマティクスの近年の進歩によって、今では可能になった:劇的に操業費を下げ処理能力を高める新しいジェノタイピング用プラットフォーム;高密度マーカーマップ(>100000マーカー)を用いたゲノムスキャン;ハプロタイプ共有分析を用いて連鎖不均衡を検定する、新しい強力な統計的手法によるデータ解析;及び遺伝的に均質な個体群の全ゲノムスキャンに必要な遺伝子マーカーの数が、従来考えられていたよりも少数で充分であるという知見。医療制度にとって、T2Dを予防する戦略を編み出すことは重要である。いったんT2Dが臨床的に顕在化すると、例えば動脈、腎臓及び神経、更に脳、目の網膜などの数種の標的組織において、不可逆的な細胞死と組織損傷が起こり始める。不幸なことに、死んだニューロンを蘇生させたり、幹細胞群で置き換えたりすることはできない。従って、そもそもT2Dの発症を予防する方がよい。我々は既にT2D発症率を高めるいくつかの臨床危険因子について知見しているが、疾患に対する危険度や感受性をより詳細に規定するために、T2Dに関与する遺伝因子を明らかにするという医療上のニーズがまだ満たされていない。更に、T2Dと糖尿病合併症を予防することのできる治療薬に対する高いニーズも存在している。
【0014】
発明の概要
本発明は、2型糖尿病などの代謝異常に対する疾患感受性や素因に関連した、推定、診断、予防及び治療に関する。本発明は外骨腫2(EXT2)遺伝子及びそれがコードするタンパク質やポリペプチドの新規な機能を開示する。我々は、T2D感受性をもたらす遺伝子を、東フィンランド個体群の染色体11p12-p11のEXT2遺伝子領域にマッピングした。EXT2の核酸配列には、対象生物のT2D発症率を大きく高める変異型(variant)が存在する。我々の調査結果の更なる分析は、EXT2がT2Dの生化学的経路に関連する可能性を示した。
【0015】
本発明の主要な用途の1つには、T2Dなどの代謝異常を発症する危険度が比較的高い個体の予測が含まれる。T2Dの一因となる遺伝因子を特定する診断テストは、単独で、又は一般的な個体群に対する個体の発症率を求める公知の臨床的確率因子と共に用いることが考えられる。T2Dを発症する可能性のある個体を特定する方法の改良は、現在使用されている臨床的危険因子(例えば肥満、運動不足、及びC反応性タンパク質のレベルの増加や他の炎症マーカーが反映する炎症成分)のより積極的な管理を含む、予防と治療を目的とした養生法の改善につながるはずである。遺伝的危険性に関する情報は、医師が特定の患者に生活スタイルの改善(例えば、カロリー摂取の減少や、運動量の増加)を説得するのに役立てることもできる。本発明は、個体のT2D発症率を倍加する遺伝的要素の存在を特定するための方法と試験キットを提供する。個体の有するT2D素因の診断方法には、EXT2遺伝子の多型の存在を検出し;EXT2ポリペプチドあるいはそのイソフォームの発現の変化、例えば、EXT2ポリペプチドの種々のスプライシング変異体の存在又は相対的発現、を検出し;そしてEXT2ポリペプチドの生物活性の変化を検出すると共に、EXT2遺伝子に関連する代謝経路及び病態生理学的経路の機能変化を検出することが含まれる。例えば、EXT2遺伝子の特定のスプライシング変異体の発現、又は対象生物のゲノム中の特定のSNPマーカーの存在を、T2D素因の診断マーカーとして用いることができる。個体のT2D感受性を推定するための試験キットは、増幅試薬、検出試薬及びコンピュータ解析のための判断用ソフトウェアの全て又は一部を含む。
【0016】
1つの態様において、本発明は、一般的な個体群と比較して、T2Dに対して感受性の高い個体群において存在頻度が高まっている、危険性を示すEXT2遺伝子ハプロタイプの存在をスクリーニングすることによって、個体のT2D感受性を診断する方法に関する。この方法においては、危険性を示すハプロタイプの存在は、T2Dに対する感受性が高いことを示す。こうした危険性を示すハプロタイプの1つがハプロタイプ“GGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)であって、これはSNPマーカーであるrs1518820 (G/T)(配列番号84)、rs1518818 (G/T)(配列番号85)、rs886196 (A/G)(配列番号89)、rs2863032 (C/T)(配列番号90)及びrs3814767 (A/G)(配列番号93)によって定義される。
【0017】
本発明の第2の主要な用途は、T2Dに関与する新しい経路を同定することである。多くの研究者がT2Dから採取した脂肪又は筋肉組織において過剰発現あるいは抑制発現している遺伝子を発見しようと試みているが、非糖尿病患者から採取した組織と比較した際に見られる変化の大半は、単にT2D素因をもたらすプロセスに対応する反応であって、T2Dをもたらす原因ではない。対照非糖尿病群に比べて、T2D患者においてより有意な共通性を示す遺伝的な変種を有する疾患遺伝子は、T2Dの素因の中でも特に確実な原因過程を表す。即ち、遺伝子が疾患過程の原因なのか、それとも単に疾患過程と反応しているだけなのかという不確かさがこれで除かれる。EXT2遺伝子がコードするタンパク質は、T2D素因の生物学的過程に関与する分子経路に関連する。従ってEXT2遺伝子又はEXT2関連分子経路に参加する遺伝子がコードするポリペプチドは、低分子、タンパク質、抗体、又は核酸療法によって選択的に修飾して、薬物の標的とすることもできる。T2Dの予防と治療は年間百万人を超える米国人に影響を及ぼす、満たされていない主な医療上のニーズであるため、以上のような特異的な情報の必要性が高い。
【0018】
加えて、本発明は、EXT2の代謝活性、即ちEXT2遺伝子の発現、EXT2の生物活性、EXT2の基質特異性、EXT2ポリペプチドの一次、二次又は三次構造、EXT2の濃度又はEXT2ポリペプチドの分解などを変化させる(例えば、増加したりあるいは阻害したりする)薬剤を同定するためのアッセイに関する。有用な薬剤としては、EXT2ポリペプチドの結合パートナー、アゴニスト、アンタゴニスト及び抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。こうしたアッセイはまた、1種又は数種のEXT2イソフォームの、他のイソフォームに対する相対発現量を、mRNAレベル又はポリペプチドレベルで変化させる薬剤を同定することができる。例えば、細胞、細胞画分又はEXT2ポリペプチドやその断片や誘導体を含む溶液を試験する薬剤と接触させ、EXT2ポリペプチドの発現や活性のレベルを評価することができる。代わりに、細胞、又はEXT2遺伝子の一部又は全体を、レポーター遺伝子と共に又はレポーター遺伝子なしで含有する組み換えDNA構築物を有する細胞を、転写(即ち、EXT2転写開始部位の選択、スプライシングパターン及びmRNAの安定性)に直接作用する薬剤を同定するために用いることができる。EXT2関連代謝経路の機能に対する薬剤の影響と、この経路の特定の遺伝子は、同じアッセイで同時に評価することもできる。結果として得られた情報は、EXT2又はEXT2関連経路に作用する薬物の開発に有用である。
【0019】
更に本発明は、本発明の核酸、本発明のポリペプチド、及び/又はEXT2ポリペプチドやEXT2関連代謝経路の機能を変化させる薬剤を包含する医薬組成物に関する。更に本発明は、EXT2治療薬(例えば、本発明の核酸、本発明のポリペプチド、EXT2ポリペプチドの活性や量を変化させる薬剤、EXT2関連代謝経路の機能を変化させる薬剤、又は上記核酸、ポリペプチド、及び/又はEXT2ポリペプチドの活性や量を変化させる薬剤を含む組成物)の投与に基づく、T2Dの治療方法に関する。本発明の医薬組成物はまた、健常な個体と比べて変化しているEXT2遺伝子の発現、変化しているEXT2ポリペプチドの活性、又は変化しているEXT2関連代謝経路の機能を補うことによって、治療の必要な個体がT2Dを発症するのを予防するために有用である。好ましい態様においては、本発明の薬剤を用いて、EXT2遺伝子の発現、EXT2ポリペプチドの活性又はEXT2関連代謝経路の機能を、T2Dを発症していない対照におけるレベルと異なるようにすることができる。
【0020】
本発明の第3の主要な用途は、特定の薬物(EXT2遺伝子やポリペプチドには作用しないが、EXT2関連経路には作用する薬物も含まれる)に対する個体の応答を予測するための使用である。よく知られた現象であるが、一般的に患者は、全員が同じ薬物に同じように応答するわけではない。ある薬物に対する薬物応答性の違いの多くは、個体間における特定の遺伝子とそれに対応する経路における、遺伝子及びタンパク質の差異に基づくと考えられる。本発明では、EXT2経路をT2Dに関与する重要な経路と定義する。現在又は未来の治療薬のいくつかは、この経路に直接的又は間接的に作用して、T2D発症率の一部がEXT2経路の遺伝的な変種によって決定されている患者に効果を示すだろう。一方、この同じ薬剤は、T2Dに関連する変異型やハプロタイプをEXT2遺伝子又はEXT2関連経路に有していない患者では、あまり効果を発揮しないか、全く効果を示さないことも考えられる。従って、EXT2の変異型やハプロタイプは、ある個体の示す薬物応答を予測し、治療薬を選択する指針を与えるための薬理遺伝学的診断用試薬として使用することもできる。
【0021】
本発明は、少なくとも以下の2つの主要な方法によって、現在満たされていない医療上のニーズを満たすことに寄与する: 1)医師による、T2D予防を目的としたより積極的な管理が行えるように、一般的な個体群よりもT2D発症の危険度が高い患者を特定する手段を提供し;そして 2)T2Dの発症前の予防用、又は既に臨床的にT2Dを発症している患者のT2D合併症の予防用である治療剤のスクリーニング及び開発に用いることのできる、薬物の標的を特定する。
【0022】
発明の詳細な説明
T2DのGWSを、後述するように、約100,000個のSNPマーカーを含むAffymetrix Centurion 120K マイクロアレイを用いて実施した。解析したサンプルには、15例の独立した症例と15例の独立した対照例が含まれていた。ハプロタイプマッピング(HPM−G)解析によって、T2Dと有意な関連性(P値<0.001)を示す12個の染色体領域が得られた(3p26.3、3p24.2、3q13.3、3q22.3、5q13.3、5q14.3、5q23.3、6p22.2-22.1、7p22.1、7q22.1、8q22.2及び11p11.2)。合計で17個のSNP(Affymetrix 120K チップから得た9個のSNPとdbSNPから得た更なる8個のSNP)を用いて、最も有意な領域(P値<0.0001)である染色体11p11.2(位置(bp):染色体11:43678152-44345353、長さ(bp):667201)についてFMを実施した。解析したサンプルには、51例のそれぞれ独立した発症例と51例のそれぞれ独立した対照例が含まれていた。点解析によって、SNPであるrs3814767(配列番号93)、rs4379834(配列番号94)及びrs962848(配列番号97)が、T2Dに有意に関連していることが判明した(P値<0.03)。これらの全てのSNPが、EXT2遺伝子のイントロンに位置づけられた。HPM−G解析によって、SNPである rs1518820(配列番号84)、rs1518818(配列番号85)、rs886196(配列番号89)、rs2863032(配列番号90)及びrs3814767(配列番号93)と一致するハプロタイプの分布が発症例と対照例の間で有意差を示すことが判明し(χ2乗値:18.7、P値=0.00002、オッズ比(OR):27.3、信頼区間(CI):3.5〜214.2)、その結果、染色体11の該当領域が、43837848-44080051(長さ(bp):242203)に狭められた。従って、点解析とHPM−G解析の両方によって、EXT2遺伝子内のrs3814767はT2Dと有意に関連していることが明らかになった。再シークエンシングの結果は、EXT2の中に存在する新たな3つのマーカーの高いT2D発症危険度との関連性を示した。
【0023】
EXT2遺伝子とT2Dとの関連性を説明すると考えられる機構
EXT2遺伝子
EXT2遺伝子は、11p12-p11に位置する、タンパク質をコードする公知の遺伝子である。この遺伝子は、ヘパラン硫酸生合成の鎖延長工程に関与する2つのグリコシルトランスファーゼのうちの1つである外骨腫2をコードする。この遺伝子の変異は、2型の遺伝性多発性外骨腫(HME)をもたらす。EXT2遺伝子は、以下の高度に保存された遺伝子のファミリーに属する:EXT1(8q24.11-q24.13)、EXT2(11p12-p11)、EXT3(19p)、EXTL1(1p36.1)、EXTL2(1p21)及びEXTL2(8p21)。HMEファミリーからは、合計で12種のEXT2遺伝子変異が同定されている(Wuyts W et al, 1998、表1)。この遺伝子の機能は、細胞の増殖及び/又は維持に関する機構、グリコサミノグリカン生合成、細胞周期の負の調節、シグナル伝達及び骨格の発育に関与することがわかっている。この遺伝子は、骨、骨髄、膵臓のランゲルハンス島、筋肉、肝臓、腎臓、胚幹細胞、心臓、血管、他の組織及び種々の腫瘍や癌細胞で発現されている。
【0024】
表1: EXT2遺伝子においてこれまでに同定されている変異。
【0025】
【表1】

【0026】
遺伝性多発性外骨腫
常染色体優位性骨疾患であるHMEは、最も一般的な良性骨腫瘍であり、西洋の人口では、50,000から100,000人に1人の割合で発症すると推定されている。HMEは、軟骨帽腫瘍(cartilage-capped tumor)を特徴とする骨軟骨腫又は外骨腫として知られる腫瘍であり、主に罹患した個体の長骨に幼児期から思春期に発生する。HMEは、主としてEXT1とEXT2との連鎖を有し、EXT3との連鎖は稀である。HMEを発症した個体においては、軟骨肉腫又は骨肉腫などの悪性腫瘍を続けて発症する危険度(0.5〜3%)が一般個体群よりも有意に高いと考えられる(Duncan G et al, 2001)。しかし、HMEとDMとの関連は報告されていない。
【0027】
DMと関連する骨と関節の異常
T1Dの成人患者においては、骨ミネラル密度(BMD)の穏やかな減少が中軸骨格と体肢骨格の両方で見られる。一方、T2Dの患者は、特に過体重の女性を考慮に入れた場合、対照健常者群に対して高いBMDを示す。BMDを減少させる機構としては、カルシウムの腸管吸収の低下に伴う尿排出量の増加、副甲状腺ホルモン分泌に関連した不適切なホメオスタシス反応、ビタミンD調節機構の複雑な変化、インシュリン又はインシュリン様成長因子濃度の減少又は増加、最終糖化産物の骨組織への蓄積、及び遺伝的素因などの複数の機構が考えられる(Carnevale V et al, 2004)。
【0028】
糖尿病(T1DとT2D)の患者は、骨折、特に最も危険な合併症である股関節骨折の危険性が高い。このことは、骨の質的・量的な変化のみならず、この疾患の神経障害性及び微小血管障害性の合併症ゆえの骨外性要因にも影響されていると考えられる(Espallargues M et al, 2001;Leidig-Bruckner G et al, 2001;Carnevale V et al, 2004)。強直性骨化過剰症あるいはフォレスティエ病としても知られる、瀰漫性突発性骨格性骨化過剰症(DISH)は、特に胸腰脊椎における新生骨形成を特徴とする。頭蓋、骨盤、踵又は肘など、どこか他の部位で靱帯及び腱の骨化が起きることもある。推定有病率は、糖尿病患者で13〜49%、非糖尿病患者で1.6〜13%である。DISH患者のうち12〜80%が糖尿病を発症しているか、あるいはブドウ糖耐性に障害がある。ブドウ糖負荷試験で異常を示す患者がDISH患者に広く存在することは、部分的には肥満と関連する結果であり、患者の83%が男性で、30%が肥満である。この現象の原因と考えられる機構は、糖尿病患者において、インシュリン又はインシュリン様成長因子が長時間にわたり高レベルで維持されて新生骨形成が促進されることであり、この機構によって、T2DよりもT1Dの方がDISH発症率が高い(比は3:1)ことを説明することもできる(Smith LL et al, 2003)。
【0029】
シャルコー病あるいはシャルコー関節症は、糖尿病患者の35%以下が発症する糖尿病性末梢神経障害の結果である。正常な保護的求心性神経インパルス(the normal afferent protective neural impulse)の減少のために関節が外傷から保護されなくなり、進行性で無痛の関節破壊と骨変化(外骨腫)が起こるようになる。典型的にシャルコー関節症は、長期に渡って糖尿病を患い、神経障害性合併症を発症している50歳過ぎの患者に見られる。最もよく発症する関節は足、踝及び膝などの体重を支える関節で、手や腕などの関節では稀にしか発症しない(Smith LL et al, 2003)。
【0030】
EXT2遺伝子とT2Dとの連鎖を説明すると考えられる機構
EXT1とEXT2については、腫瘍サプレッサー遺伝子と推定される機能に加えて、ヘッジホッグ(Hh)シグナル経路とグリコサミノグリカンの合成を調節する役割が考えられる。細胞間シグナル伝達タンパク質(哺乳動物のソニックヘッジホッグ(Shh)、インディアンヘッジホッグ(Ihh)とデザートヘッジホッグ(Dhh))からなるHhファミリーは、胚発生の数多くの基礎的過程に対する重要なメディエーターである(Ingham PW and McMahon AP, 2001)。本発明によると、EXT2遺伝子は、既に胚段階において2型糖尿病発症の一部又は全てに影響を及ぼすことができる。Hhシグナル伝達タンパク質の諸作用は、脊椎動物や昆虫のボディプランにおいて、色々な異なる領域の成長、パターニング、及び形態形成の中核をなす作用である。Hhシグナルは、標的領域内での明確な細胞運命を用量依存的に誘導するモルフォゲン、細胞増殖を調節するマイトジェン、又は発生途中の器官の形態を調節する誘導因子として作用することができる(Ingham PW and McMahon AP, 2001)。ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は、Hhシグナル伝達タンパク質を含む、分泌されたモルフォゲン分子のシグナル伝達活性の調節に関与している。HSPGは、ヘパラン硫酸(HS)鎖及びグリコサミノグリカン(GAG)鎖が結合しているタンパク質コアからなる。HS鎖とGAG鎖の形成は、EXT遺伝子ファミリーのメンバーのコードするグリコシルトランスファーゼが触媒する(Bellaiche Y et al, 1998;Perrimon N and Bernfield M, 2000;Han C et al, 2004)。Hhシグナル伝達は、膵臓の形態形成と細胞分化を調節する細胞間情報伝達の1つであるが(Kim SK and Hebrok M, 2001;Kawahira H et al, 2003)、更にインシュリン産生を調節する内分泌膵の分化したβ細胞にもシグナルを伝達し続ける(Thomas MK et al, 2000)。島細胞は、胚形成の際に原始膵管の上皮細胞から分化し、成人の膵臓にあっても島細胞の減損に応答して再生することができる(Yamaoka T and Itakura M, 1999)。ラットのReg(再生)遺伝子は、再生しているランゲルハンス島で特異的に発現する遺伝子として単離された(Terazono K et al, 1988)。ヒトの再生遺伝子であるREG1Aも、後に単離され特徴づけられた(Watanabe T et al, 1990)。ラット及びヒトのRegタンパク質は、膵臓を摘出したラットの90%及びNODマウスにおいて、膵β細胞の複製を促進し、膵β細胞の量を増加し、その結果として糖尿病が改善された(Watanabe T et al, 1994;Gross DJ et al, 1998)。Kobayashi et al (2000)は、ラットの島cDNAライブラリーからRegタンパク質受容体のcDNAを単離した。cDNAを導入した細胞は、高い親和性でRegタンパク質を結合した。cDNAを、Reg依存性の成長を示す膵β細胞系に導入した時には、形質転換体はRegタンパク質に応答して、細胞数の有意な増加のみならず、5’−ブロモ−2’−デオキシウリジンの取り込み量の有意な増加も示した。ホモロジー検索によって、ラットRegタンパク質受容体のcDNAがヒトEXTL3遺伝子のホモログであることが明らかになった。ラットとヒトのタンパク質のアミノ酸配列は、97%の相同性を有する。こうした結果は、受容体は外骨腫様遺伝子によってコードされており、β細胞の再生のためにRegタンパク質の成長シグナルを仲介することを強く示唆している。ヒトにおいては、Reg遺伝子ファミリーは、コードするタンパク質の一次構造に基づいて4つのサブクラス(タイプI、II、III及びIV)に分類される多重遺伝子族である(Zhang YW et al, 2003)。RegファミリーのメンバーであるREG1A、REG1B、REGL及びPAPは、染色体2p12上にタンデムに集まっており、遺伝子の重複により同じ祖先遺伝子から生じたと考えられる。REG1A遺伝子は、膵臓外分泌腺によって分泌されるタンパク質をコードする。この遺伝子は、島細胞の再生と糖尿病発症(diabetogenesis)に関連しており、更に腎結石形成に関与する可能性もある。EXT2遺伝子は、ヘパラン硫酸の生合成に影響を及ぼすことによってHhシグナル伝達に作用し、その結果、膵臓の成長と出生後のβ細胞機能に作用する。このことは、DMと関連するBMD異常が頻繁に見出されることも説明するであろう。EXT2遺伝子(11p12-p11)が他のEXT遺伝子ファミリーのメンバーであるEXT3遺伝子(8p21)に影響を及ぼし、EXT3遺伝子が、次にReg遺伝子ファミリー(2p12)のβ細胞再生に影響を与える可能性もある。
【0031】
典型的な標的個体群
T2Dを発症する危険がある個体とは、例えば以下に挙げる危険因子の少なくとも1つを有する個体である: 肥満;T2Dの家族歴;1種又は数種のT2D発症確率を示す遺伝子(T2D probability gene)に存在する、危険性を示すハプロタイプ;EXT2遺伝子に存在する、危険性を示すハプロタイプ;EXT2遺伝子の多型;EXT2発現の調節異常;EXT2関連代謝経路の機能変化;体内鉄貯蔵量の上昇;炎症マーカーの上昇(例えば以下の炎症マーカーの上昇:C反応性タンパク質(CRP)、血清アミロイドA、フィブリノーゲン、組織破壊因子−α、可溶性の血管細胞接着分子(sVCAM)、可溶性の脈管間接着分子(soluble intervascular adhesion molecule)(sICAM)、E−セレクチン、マトリックスメタロプロテアーゼ−1、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−3及びマトリックスメタロプロテアーゼ−9)。
【0032】
本発明の別の態様において、T2Dを発症する危険性がある個体とは、EXT2遺伝子に多型が存在する個体であり、このような多型の存在は、T2D感受性が高いことを示す。本明細書で使用するように、「遺伝子」という用語は、ポリペプチドコード配列内のエレメントのみならず、その上流と下流に位置する調節エレメントの両方を含み、更にmRNAの5’及び3’非翻訳領域と、遺伝子の全てのエクソン配列とイントロン配列(更に選択的スプライシングが行われるエクソンとイントロン)を含む全長ポリペプチドコード配列を含む全体の総称である。
【0033】
危険性を示すアレルと危険性を示すハプロタイプの評価
遺伝子マーカーは、疾患と関連する「多型部位」に存在する特定の「アレル」である。個体群において複数の配列が可能なヌクレオチドの位置を、本明細書では「多型部位」と称する。多型部位の長さが1ヌクレオチドの場合は、SNPと称する。例えば、特定の染色体位置のヌクレオチドが、個体群に属するある個体ではアデニンであり、同じ個体群の別の個体ではチミンの場合、この位置は多型部位であり、より詳細には、この多型部位はSNPである。多型部位は、挿入、欠失、変換又は転座によってその長さが数ヌクレオチドであってもよい。多型部位に見られる各種の配列を、本明細書では、多型部位の「アレル」と称する。従って、上記の例では、SNPとしてアデニンアレルとチミンアレルの両方が可能である。典型的には、特定の遺伝子について参照ヌクレオチド配列に参照する。参照配列とは異なるアレルを、「変異型(variation)」アレルと称する。参照ヌクレオチド配列のコードするポリペプチドは、特定の参照アミノ酸配列を有する「参照」ポリペプチドであり、変異型アレルのコードするポリペプチドを、変異型アミノ酸配列を有する「変異型」ポリペプチドと称する。
【0034】
変異型ヌクレオチド配列は、ポリペプチドの特性に作用する変化をもたらすことがある。参照ヌクレオチド配列との比較から明らかになるこうした配列差としては、挿入、欠失、変換及び置換が挙げられ、具体例としては、上記で詳細に説明したような、変異型ポリペプチドを生成するフレームシフトをもたらすことのある、挿入、欠失又は変換;未熟な終止コドン、アミノ酸の変化又は異常なmRNAスプライシングをもたらすことがある、少なくとも1つのヌクレオチドの置換;ヌクレオチドのコードする1種又は数種のアミノ酸の欠失をもたらすことがある、いくつかのヌクレオチドの欠失;読み枠中のコード配列の中断をもたらすことがある、不均等な組み換えや遺伝子変換などの、いくつかのヌクレオチドの挿入;配列の全て又は一部の重複;トランスポジション;又は詳しく上記したような、ヌクレオチド配列の再編成が挙げられる。このような配列の変化は、疾患感受性遺伝子のコードするポリペプチドを変化させる。例えば、ポリペプチド配列の変化をもたらすヌクレオチドの変化は、ポリペプチドの活性、分布及び安定性の変化、あるいはポリペプチドの特性に別の作用をもたらすことによって、ポリペプチドの生理学的特性を劇的に変化させることができる。
【0035】
あるいはまた、変異型ヌクレオチド配列は、遺伝子の転写又はそのmRNAの翻訳に影響する変化をもたらすことがある。遺伝子の調節領域に存在する多型部位は、組織特異性、転写率、転写因子への応答などの変化によって、遺伝子の転写に変化をもたらすことがある。mRNAに対応する遺伝子領域に存在する多型部位は、安定した二次構造をmRNAに誘導し、mRNAの安定性に影響を与えることなどによって、mRNAの翻訳に変化をもたらすことがある。こうした配列の変化は、疾患感受性遺伝子の発現を変化させることがある。
【0036】
本明細書に記載する「ハプロタイプ」とは、遺伝子マーカー(「アレル」)の全ての組み合わせを意味し、またハプロタイプは、2個以上のアレルを含んでいてもよい。当業者には認知されているように、ハプロタイプを決定するアレルを異なる鎖から求めることによって、同じハプロタイプであっても、異なった形で記載されることがある。例えば、本明細書に記載したハプロタイプ rs2221511、rs4940595、rs1522723、rs1395266(A T C C)は、全てのアレルをもう一方の鎖から決定したハプロタイプ rs2221511、rs4940595、rs1522723、rs1395266(T A G G)や、1番目のアレルのみをもう一方の鎖から決定したハプロタイプ rs2221511、rs4940595、rs1522723、rs1395266(T T C C)と同じである。
【0037】
本発明で開示するハプロタイプは、ある疾患を発症していない個体よりも、その疾患を発症している個体においてより頻繁に見られるものである。従って、これらのハプロタイプは、個体における疾患又は疾患感受性を検出するための予測力を有する。従って、多型部位に存在する配列を検出するための公知の方法によって、ハプロタイプの検出を行うことができる。
【0038】
本発明で開示する、危険性を示すT2D関連アレルと危険性を示すT2D関連ハプロタイプは、本発明のEXT2遺伝子に存在する他の「多型部位」と関連するとも考えられることが理解されよう。こうした他のEXT2関連多型部位は、遺伝子マーカーと同等に有用か、あるいは本発明で用いる、危険性を示すアレルとハプロタイプについて観察されるT2Dとの関連を説明する、原因性変異型(causative variations)としてより有用である。
【0039】
本明細書で説明したいくつかの方法においては、T2Dを発症する危険性のある個体とは、危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプが同定された個体である。1つの態様においては、危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプは、T2Dの有意な危険度を示すものである。1つの態様においては、アレル又はハプロタイプと関連する有意性はオッズ比で測定する。更に別の態様においては、有意性は百分率で測定する。1つの態様においては、有意な危険度を示すオッズ比は少なくとも約1.2であり、具体的にはオッズ比が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0及び40.0の場合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、危険度の有意な増加と低下は少なくとも約20%であり、具体的には、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%及び98%が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、危険度の有意な増加は少なくとも約50%である。しかし、危険度が医学的に有意か否かの判定は、特定の疾患、アレルやハプロタイプ、そして屡々環境因子を含む、多様な因子にも依存することが理解されよう。
【0040】
プライマー、プローブ及び核酸分子
「プローブ」や「プライマー」は、塩基特異的な形式で核酸分子の相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。「塩基特異的な形式」とは、プライマーやプローブがハイブリダイズするのに十分な程度のヌクレオチド相補性を2つの配列が有していることを意味する。従って、プライマーやプローブの配列は、テンプレートの配列に対して完全に相補的である必要はない。塩基置換がハイブリダイゼーションを阻害しない限り、非相補的な塩基や修飾塩基がプライマーやプローブ中に散在していてもよい。核酸テンプレートは、プライマーやプローブに対して種々の相補性を示す「非特異的プライミング配列」又は「非特異的配列」を更に包含してもよい。このようなプローブとプライマーとしては、ポリペプチド核酸(polypeptide nucleic acid)が挙げられる(Nielsen PE et al, 1991)。
【0041】
プローブやプライマーは、本発明の核酸の中の連なった少なくとも約15ヌクレオチド、例えば約20〜25ヌクレオチド、特定の態様においては約40、50又は75ヌクレオチド(例えば、連続した核酸配列)にハイブリダイズする核酸領域を包含する。
【0042】
好ましい態様においては、プローブやプライマーは、100個以下のヌクレオチドを包含し、特定の態様においては6〜50ヌクレオチド、例えば12〜30ヌクレオチドを包含する。別の態様においては、プローブやプライマーは、連続した核酸配列又はその相補鎖と少なくとも70%同一であり、例えば、少なくとも80%同一、特定の態様においては少なくとも90%同一、別の態様においては少なくとも95%同一である。あるいはプローブやプライマーは、連続した核酸配列又はその相補鎖に選択的にハイブリダイズすることさえ可能である。プローブやプライマーは、屡々、ラジオアイソトープ、蛍光化合物、酵素又は酵素の補因子などの標識を更に包含する。
【0043】
本発明のアンチセンス核酸分子は、EXT2遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて設計し、公知の方法を用いて、化学合成及び酵素による連結反応によって構築することができる。例えば、アンチセンス核酸分子(アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)は、自然界に見られるヌクレオチドや、分子の生物学的安定性の増加や、アンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成される2本鎖の物理的安定性の増加を目的として設計された種々の修飾ヌクレオチド(例えばホスホロチオエート誘導体やアクリジン置換ヌクレオチド)を用いて化学合成することができる。また、アンチセンス核酸分子は、アンチセンスの方向に核酸分子がサブクローニングされた(つまり、挿入した核酸分子から転写したRNAが、目的の標的核酸に対してアンチセンスの方向になるようにした)発現ベクターを用いて生物学的に製造することもできる。
【0044】
本発明で開示するEXT2遺伝子とEXT2関連遺伝子の核酸配列は、患者の内在性DNA配列と比較することで遺伝的障害(T2D素因又は感受性など)を同定するために用いることができ、また、プローブとして用い、関連するDNA配列とハイブリダイズして発見したり、公知の配列をサンプルから取り除いたりすることができる。核酸配列は更に、ゲノムフィンガープリント法のためのプライマーの誘導、DNA免疫法を用いた抗ポリペプチド抗体の産生、及び抗DNA抗体の産生や免疫応答の誘発のための抗原として用いることができる。本願で同定したヌクレオチド配列(及び対応する完全な遺伝子配列)の部分又は断片は、ポリヌクレオチド試薬として種々の用途に用いることができる。例えば、これらの配列は、 (i)各配列に対応する遺伝子を染色体上にマッピングすることによる、遺伝性疾患に関連する遺伝子領域の位置の特定; (ii)微小な生物学的サンプルからの個体の同定(組織タイピング);そして (iii)生物学的サンプルの法医学的な同定の補助に用いることができる。加えて、本発明のヌクレオチド配列は、組み換えポリペプチドの同定と発現に用いることができ、得られた組み換えポリペプチドは、解析、特徴づけ又は治療用途に用いたり、対応するポリペプチドが恒常的に、組織分化の際に、又は疾患状態で発現される組織のためのマーカーとして使用できる。加えて核酸配列は、本発明で開示するスクリーニング及び/又は診断アッセイのための試薬として用いることができ、また本発明で開示するスクリーニング及び/又は診断アッセイに使用するキット(例えば試薬キット)の構成成分として含めることができる。
【0045】
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体
遺伝子産物の1つの形態には特異的に結合するが、遺伝子産物の他の形態には結合しないポリクローナル抗体及び/又はモノクローナル抗体を提供する。変異型又は参照遺伝子産物のいずれかの、1種又は数種の多型部位を含む部分に結合する抗体も提供する。本明細書に記載される「抗体」とは、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部位(即ち、ある抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)の総称である。本発明のポリペプチドに特異的に結合する分子は、該ポリペプチドやその断片には結合するが、サンプル(例えば、天然に該ポリペプチドを含む生物学的サンプル)の中の他の分子とは実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的活性部位の例としては、ペプシンなどの酵素で抗体を処理することによって得られるF(ab) 断片とF(ab’) 断片が挙げられる。本発明は、本発明のポリペプチドと結合するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を提供する。本明細書に記載される「モノクローナル抗体」や「モノクローナル抗体組成物」とは、本発明のポリペプチドの特定のエピトープと免疫反応可能な抗原結合部位の内、同じ1種を含む一群の抗体分子の総称である。従って、典型的なモノクローナル抗体組成物は、この組成物が免疫反応を示す特定の本発明のポリペプチドに対して、1つの結合親和性のみを提示する。
【0046】
ポリクローナル抗体は、当業者に公知の方法、即ち、適切な対象生物に所望の免疫原(例えば、本発明のポリペプチド又はその断片)で免疫することによって製造することができる。免疫した対象生物における抗体力価は、例えば、固定したポリペプチドを用いる酵素免疫測定法(ELISA)などの標準的な方法で、経時的にモニタリングすることができる。必要であれば、ポリペプチドに対する抗体分子を哺乳動物(例えば、血液)から単離し、更にプロテインAクロマトグラフィー法などの公知の処理方法で精製して、IgG画分を得ることができる。免疫後の適当な時点(例えば、抗体力価が最大値に達した時点)で抗体産生細胞を対象生物から採取し、それを用いて、ハイブリドーマ法(Kohler G and Milstein C, 1975)、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor D et al, 1982)、EBV−ハイブリドーマ法(Cole SP et al, 1994)又はトリオーマ法(Hering S et al, 1988)などの標準的な技術でモノクローナル抗体を製造することができる。ハイブリドーマを製造するためには、不死化細胞株(典型的には骨髄腫)を、上記の免疫原で免疫した哺乳動物に由来するリンパ球(典型的には脾細胞)に融合し、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清のスクリーニングを行って、本発明のポリペプチドと結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
【0047】
リンパ球と不死化細胞株の融合に用いる公知のプロトコルのいずれでも、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体の産生に適用することができる(Bierer B et al, 2002)。更に、当業者であれば、同じように有用な、上記の方法のバリエーションも存在することを理解できよう。モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代わりに、ポリペプチドで組み換え免疫グロブリンコンビナトリアルライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレーライブラリー)のスクリーニングを行い、ポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーのメンバーを単離することで、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を同定して単離することができる(Hayashi N et al, 1995;Hay BN et al, 1992;Huse WD et al, 1989;Griffiths AD et al, 1993)。ファージディスプレーライブラリーを産生し、スクリーニングするためのキットは市販されている。
【0048】
加えて、通常の組み換えDNA法を用いた製造が可能な、ヒト化キメラモノクローナル抗体などの、ヒト由来の部分とヒトに由来しない部分を包含する組み換え抗体も本発明の範囲内に含まれる。こうしたヒト化キメラモノクローナル抗体は、公知の組み換えDNA技術によって製造することができる。
【0049】
一般的に、本発明の抗体(例えばモノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィー法又は免疫沈降法などの標準的な技術で本発明のポリペプチドを単離するために用いることができる。ポリペプチド特異的抗体は、細胞からの天然ポリペプチドの精製と、宿主細胞で発現される、組み換えによって産生されたポリペプチドの精製を容易にする。更に、本発明のポリペプチドに特異的な抗体は、ポリペプチドの発現量と発現パターンを評価するために、(例えば、細胞融解物、細胞上清又は組織サンプル中の)ポリペプチドの検出に用いることができる。抗体は、T2D感受性を予測するための試験の一部、あるいは臨床試験の手順の一部(例えば、養生法の有効性を決めるための手順)として、組織(例えば血液)に存在するタンパク質のレベルを診断目的でモニタリングするために用いることができる。検出は、抗体を検出可能物質にカップリングさせることによって容易になる。検出可能物質としては、種々の酵素、接合団、蛍光材料、発光材料、生物発光材料及び放射性材料が挙げられる。好適な酵素の具体例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;好適な接合団複合体の具体例としては、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられ;好適な蛍光材料の具体例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド及びフィコエリトリンが挙げられ;好適な発光材料としては、ルミノールが挙げられ;好適な生物発光材料としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンが挙げられ;好適な放射性材料としては、125I、131I、35S及び3Hが挙げられる。
【0050】
診断アッセイ
本発明で開示するプローブ、プライマー及び抗体は、T2D又はT2D感受性の診断方法のみならず、T2D、T2D感受性やT2D関連疾患や病態に対する感受性の診断に有用なキットにも用いることができる。本発明の1つの態様においては、本発明で開示する危険性を示す1種又は数種のアレル、ハプロタイプ、又はそれらの組み合わせを本発明で開示する対象生物の核酸から検出することによって、T2D又はT2D感受性(又はT2D関連疾患や病態に対する感受性)の診断を行う。
【0051】
本発明の1つの態様においては、本発明で開示する危険性を示すアレル及び/又はハプロタイプに関連する1種又は数種の多型部位を本発明で開示する対象生物の核酸から検出することによって、T2D又はT2D感受性(又はT2D関連疾患や病態に対する感受性)の診断を行う。診断において最も有用な多型部位は、フレームシフト、早期停止コドン、アミノ酸の変化又は異常なmRNAスプライシングによって、T2D関連遺伝子のポリペプチド構造を変化させる多型部位である。多くの場合、ポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらすヌクレオチドの変化は、ポリペプチドの生理学的特性を変化させ、その結果、ポリペプチドの活性、分布及び安定性が変化したり、その他のポリペプチドの特性が影響を受けたりする。診断において有用な他の多型部位としては、組織特異性の変化、転写率の変化、生理学的状態に対する応答の変化、mRNAの翻訳率の変化、及びmRNAの安定性の変化によって、T2D関連遺伝子の転写又はそのmRNAの翻訳に影響を与える多型部位である。T2D関連遺伝子のポリペプチド構造の変化や、T2D関連遺伝子の発現の変化を伴う変異型ヌクレオチド配列の存在によって、T2D感受性を有すると診断することができる。
【0052】
診断用途においては、機能的多型と連鎖不均衡の状態にある、疾患危険性を予測するための情報を提供する多型を用いてもよい。こうした機能的多型は、スプライシング部位の変化や、mRNAの安定性又は輸送の変化を伴うか、あるいは核酸の転写と翻訳の変化を伴う。機能的多型に関連する変異型ヌクレオチド配列の存在によって、T2D感受性を有すると診断することができる。我々は限られた数のSNPマーカーについてジェノタイピングを行い、それらを本願の実施例に記載したが、EXT2遺伝子の上述したようなあらゆる機能的変異、調節的変異又は他の変異からも、T2D危険性の予測が可能であると期待される。
【0053】
診断アッセイにおいては、1種又は数種の本発明のT2D関連SNPマーカーに存在するヌクレオチドのみならず、本発明のT2D関連SNPマーカーと関連する多型部位も個体の核酸から検出するが、この検出は、多型部位に存在するヌクレオチドを正確に検出することが可能ないかなる方法や技術で行ってもよい。数多くの好適な方法が当業界では報告されており(Kwok P-Y, 2001;Syvanen A-C, 2001)、そのような方法としては、ハイブリダイゼーションアッセイ、連結反応アッセイ、プライマー伸長アッセイ、酵素開裂アッセイ、化学的酵素開裂アッセイ及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アッセイは、PCR、固相固定工程、修飾オリゴヌクレオチド、標識プローブ又は標識ヌクレオチドを含んでいても、含んでいなくてもよく、アッセイはマルチプレックスでもシングルプレックスでもかまわない。当業界では自明であるように、多型部位に存在するヌクレオチドは、核酸の2本鎖の内の1本又は両方から検出することができる。
【0054】
本発明の別の態様においては、T2D感受性の診断を、EXT2遺伝子の転写の検査によって行うことが可能である。転写の変化は、ハイブリダイゼーション法、酵素開裂アッセイ、RT−PCRアッセイ及びマイクロアレイなどの、当業界で報告されている多様な方法で解析することができる。個体から試験サンプルを採取し、サンプル中に含まれるRNAからEXT2遺伝子の転写の変化を評価する。転写の変化によって、T2D感受性を有すると診断することができる。
【0055】
本発明の別の態様においては、T2D感受性の診断は、EXT2ポリペプチドの発現及び/又は構造及び/又は機能の検査によっても行うことが可能である。個体から得た試験サンプルについて、EXT2遺伝子のコードするポリペプチドの発現及び/又は構造及び/又は機能の変化の存在、あるいはEXT2遺伝子のコードする特定の変異型ポリペプチド(例えばイソフォーム)の存在のいずれかを評価する。EXT2遺伝子のコードするポリペプチドの発現の変化とは、例えば、ポリペプチド発現の量的変化(即ち、産生ポリペプチド量の変化)であり、EXT2遺伝子のコードするポリペプチドの構造及び/又は機能の変化とは、ポリペプチド発現の質的変化(例えば、変異型EXT2ポリペプチド、異なるスプライシング変異体やイソフォームの発現)である。好ましい態様においては、EXT2遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体、又はスプライシング変異体の特定のパターンの検出によって、T2Dに関連する疾患や病態、又はT2Dに関連する疾患や病態に対する感受性の診断が可能となる。
【0056】
EXT2ポリペプチドの発現及び/又は構造及び/又は機能の変化は、当業界でよく知られる多様な方法、例えば、クロマトグラフィー法、分光法、比色分析法、電気泳動法、等電点電気泳動法、特異的開裂法、免疫学的手法、及び生物活性の測定に基づくアッセイや、種々のアッセイの組み合わせによって測定することができる。本明細書において、ポリペプチドの発現又は組成における「変化」とは、対照サンプルにおけるEXT2遺伝子によるポリペプチドの発現や、ポリペプチドの組成と比較した際に、試験サンプルに見られる発現と組成の変化である。対照サンプルとは、試験サンプルに対応するサンプル(例えば、同じ種類の細胞から得たもの)であって、T2Dを発症していない個体から得たものである。対照サンプルと比べて変化した、試験サンプルにおけるポリペプチドの発現と組成は、T2Dに対する感受性が高いことを示す。
【0057】
変異型EXT2遺伝子のコードするポリペプチドに特異的に結合する上記の抗体、変異していない遺伝子のコードするポリペプチドに特異的に結合する抗体、又はEXT2遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体に特異的に結合する抗体を用いたウエスタンブロット法によって、試験サンプルにおける、特定のスプライシング変異体やイソフォーム、又は多型EXT2遺伝子や変異型EXT2遺伝子のコードするポリペプチドの存在、あるいは特定のスプライシング変異体やイソフォーム、又は多型ではない遺伝子や変異していない遺伝子のコードするポリペプチドの不存在を検出することができる。EXT2遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体の存在(又は不存在)と同様に、多型遺伝子や変異型遺伝子のコードするポリペプチドの存在、又は多型でない遺伝子や変異していない遺伝子のコードするポリペプチドの不存在によって、T2D感受性を有すると診断することができる。
【0058】
上記方法の1つの態様においては、試験サンプル中のEXT2遺伝子のコードするポリペプチドのレベル又は量を、対照サンプル中のEXT2遺伝子のコードするポリペプチドのレベル又は量と比較する。試験サンプル中のポリペプチドのレベル又は量が、対照サンプル中のポリペプチドのレベル又は量よりも高いか低く、この差が統計的に有意である場合には、試験サンプル中のポリペプチドのレベル又は量は、EXT2遺伝子のコードするポリペプチドの発現の変化を示し、これによってT2D感受性を有すると診断することができる。上記方法に代わる方法としては、試験サンプル中のEXT2遺伝子のコードするポリペプチドの組成を、対照サンプル中のEXT2遺伝子のコードするポリペプチドの組成(例えば、種々のスプライシング変異体の存在)と比較する。試験サンプル中のポリペプチドの組成と対照サンプル中のポリペプチドの組成の違いによって、T2D感受性を有すると診断することができる。更に別の態様においては、ポリペプチドのレベルや量と組成の両方を試験サンプルと対照サンプルにおいて評価することができる。試験サンプルと対照サンプルとの比較から明らかなポリペプチドの量やレベルの違い、組成の違い、又は量やレベルの違いと組成の違いの両方が、T2Dに対する感受性が高いことを示す。
【0059】
別の態様においては、多型又は変異型のEXT2遺伝子のコードするポリペプチドのスプライシング変異体やイソフォームを評価することができる。この評価は、直接的に(例えば、ポリペプチドそのものの検出によって)又は間接的に(例えば、mRNAのプロファイリングなどによる、ポリペプチドをコードするmRNAの検査によって)行うことができる。例えば、本発明で開示するプローブやプライマーは、通常の方法によって、EXT2遺伝子のmRNAがどのスプライシング変異体やイソフォームをコードしているのかを決定することができる。
【0060】
T2D又はT2Dの危険性に関連する特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける存在、又はT2D又はT2Dの危険性と関連のない特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける不存在によって、EXT2遺伝子に関連する疾患や病態、又はEXT2遺伝子の関連する疾患や病態に対する感受性を有すると診断することができる。同様に、T2D又はT2Dの危険性に関連する特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける不存在、又はT2D又はT2Dの危険性に関連のない特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける存在によって、EXT2遺伝子に関連する疾患や病態ではないか、又はEXT2遺伝子の関連する疾患や病態に対する感受性を有していないと診断することができる。
【0061】
更に本発明は、EXT2遺伝子に存在する危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプを同定することによって、個体におけるT2D感受性の診断と同定を行うための方法に関する。1つの態様においては、この危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプは、ハプロタイプの存在によってT2Dの危険度が有意に増加するアレル又はハプロタイプである。危険度が有意か否かの判定は、特定の疾患、ハプロタイプ、そして屡々環境因子を含む多様な因子に依存すると理解すべきであるが、有意性はオッズ比又は百分率で求めることもできる。更に別の態様においては、有意性は百分率で求める。1つの態様においては、有意な危険度とはオッズ比が0.8以下又は少なくとも約1.2の場合であり、具体的にはオッズ比が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0及び40.0の場合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、オッズ比が少なくとも1.2の場合を有意とする。更に別の態様においては、オッズ比が少なくとも約1.5の場合を有意とする。更に別の態様においては、危険度の有意な増加又は低下とは、オッズ比が少なくとも約1.7の場合である。更に別の態様においては、危険度の有意な増加とは少なくとも約20%の増加であり、具体的には、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%及び98%の増加が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、危険度の有意な増加又は低下は少なくとも約50%の変化である。しかし、危険度が医学的に有意か否かの判定は、特定の疾患、アレルやハプロタイプ、そして屡々環境因子を含む多様な因子に依存することを理解されよう。
【0062】
本発明はまた、個体におけるT2D又はT2D感受性を診断する方法であって、健常個体(対照)と比較して、T2Dに対して感受性の高い(発症している)個体において存在頻度が高まっている、EXT2遺伝子に含まれる危険性を示すハプロタイプのスクリーニングを包含し、ハプロタイプの存在が、T2D又はT2Dに対する感受性を意味することを特徴とする方法に関する。
【0063】
診断方法において有用なキット(試薬キットなど)は、本明細書で説明したいかなる方法においても有用な構成成分を包含しており、そのような成分としては、例えば、以下のものが挙げられる:PCRプライマー、本明細書で説明したハイブリダイゼーション用のプローブやプライマー(標識したプローブやプライマーなど)、SNPマーカーのジェノタイピングのための試薬、標識分子を検出するための試薬、(RFLP分析などのための)制限酵素、アレル特異的なオリゴヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、標識酵素、変化した又は変化していない(天然の)EXT2ポリペプチドと結合する抗体、EXT2遺伝子から核酸断片を増幅する手段、EXT2遺伝子の核酸配列を分析するための手段、又はEXT2ポリペプチドのアミノ酸配列を分析するための手段。1つの態様においては、T2Dに対する感受性を診断するためのキットは、T2Dに対する感受性の高い個体において存在頻度が高まっている、危険性を示すハプロタイプを含むEXT2遺伝子領域の核酸増幅を行うためのプライマーを包含してもよい。このようなプライマーは、T2Dの指標となるSNPに隣接する核酸の一部を用いて設計することができる。
【0064】
本発明は、1回又は少数回のジェノタイピングを行い、T2Dを予測する能力に基づいてタイピングする変異を選択するという方針に基づいている。従って、ゲノムDNAサンプル中の変異体のジェノタイピングはいかなる方法を用いてもよい。リアルタイムPCRなどの非並列法を用いる場合には、タイピングは連続して行う。PCR反応はマルチプレックスで行うか、あるいはそれぞれ独立系で連続して行うか、又は等量を用いて並列に行う。
【0065】
本発明の検出方法は、検出法によって得られた指標を確認するために、本発明の方法(クレーム1参照)の工程b)で得られた結果を、対象生物の年齢、性別、肥満や糖尿病に関する家族歴、ウエスト/ヒップ比(waist-to-hip circumference ratio)(cm/cm)及び糖尿病の治療歴に関する情報と組み合わせる工程を更に包含してもよい。本発明の検出方法は、対象生物の血液、血清又は血漿中の、フィブリノーゲン、フェリチン、トランスフェリン受容体、C反応性タンパク質及びインシュリンの濃度を測定する工程を更に包含してもよい。
【0066】
T2Dを発症する確率を予測するスコアは、多変量故障時間モデル(multivariate failure time model)又はロジスティック回帰式を用いて計算することができる。上述した、本発明の方法に付加する工程で得られる結果によって、T2Dを発症する確率を以下のロジスティック回帰式で計算する工程が可能となる。
T2Dを発症する確率 =1/[1+e(-(-a+Σ(bi×Xi))
式中、eはネーピアの定数であり、XiはT2Dに関連した変数であり、biは上記変数のロジスティック関数における係数であり、aはロジスティック関数の定数項であるが、但し、a値とbi値は、この方法を実施する対象の属する個体群から求められる値であることが好ましく、Xi値は、この方法を実施する対象の属する個体群で測定した変数から選ばれる値であることが好ましい。bi値は−20〜20の範囲内であることが好ましく、i値は0(即ち、なし)〜100,000の範囲内であることが好ましい。bi値が負の係数であるということは、このマーカーが危険度の低下を示すことを意味し、正の係数であるということは、このマーカーが危険度の増加を示すことを意味する。Xi値は、SNPマーカーのように0又は1と表されるかコード化される2値変数である。加えてこのモデルには、変数Xi値のいかなる相互作用(積)や項(例えば、bii)が含まれてもよい。1年、2年、5年、10年又は20年以内にT2Dを発症する危険度を百分率で示す単純な予測を行うために、情報を組み合わせるアルゴリズムも開発されている。これに代わる統計学的モデルとしては、コックスの比例ハザードモデル、他の反復モデル及びニューラルネットワークモデルなどの故障時間モデルが挙げられる。
【0067】
治療の経過のモニタリング
本発明は、RNAレベル又はタンパク質レベルでのEXT2の発現(例えば、相対的又は絶対的な発現)の調節に対する治療効果、あるいは酵素活性の調節に対する治療効果をモニタリングするための方法に関する。EXT2のメッセージ、タンパク質又は酵素活性は、末梢血又はそこから誘導した細胞のサンプルから測定することができる。発現や活性の程度は、EXT2治療剤による治療を行う前と治療中に評価することができる。
【0068】
例えば、本発明の1つの態様においては、標的個体群の一員である個体について、EXT2阻害剤による治療に対する応答を評価する。評価は、末梢血中の一般的又は特定の細胞副画分、あるいは細胞副画分の組み合わせにおける、EXT2活性、あるいはEXT2タンパク質又はmRNAのイソフォームの絶対的及び/又は相対的なレベルを測定することで行う。更に、EXT2遺伝子の内部又は近傍(50〜200kbの範囲内)に見られるハプロタイプや変異などの変異型は、T2Dやその合併症を予防したり治療したりするための医薬製剤(pharmaceutical agent)に関して行う臨床試験の効力や効率を高めるために、T2Dの危険性の高い個体を同定するのに用いることができる。ハプロタイプやその他の変異型は、EXT2経路が関与しないT2Dを発症している患者を排除するか分別することで、EXT2関連経路の関与する患者を集め、臨床試験の効力と感受性を増加させるために用いることもできる。このような変異型は、個体のための医薬製剤の選択を手引きする薬理ゲノミクス試験(pharmacogenomic test)に用いることもできる。
【0069】
スクリーニングアッセイとそれによって同定される薬剤
本発明は、本願で開示したポリペプチド活性の変化(例えば、増加又は低下)をもたらすか、本願で開示したポリペプチドとの相互作用を生じる薬剤(例えば、融合タンパク質、ポリペプチド、模倣ペプチド(peptidomimetics)、プロドラッグ、受容体、結合物質、抗体、低分子や他の薬物、又はリボザイム)のいずれかを同定するための方法を提供する。例えば、このような薬剤としては、本願で開示したポリペプチドに結合する薬剤(例えば、EXT2結合性物質);本発明のポリペプチドの活性などに対して促進効果又は阻害効果を示す薬剤;本発明のポリペプチドがEXT2結合性物質(例えば、受容体又は他の結合性物質)と相互作用する活性を変化(例えば、増加又は阻害)させる薬剤;EXT2ポリペプチドの翻訳後プロセシングを変化させる薬剤(例えば、タンパク分解性プロセシングを変化させて、ポリペプチドが通常合成される場所から、細胞表面などの他の細胞内の場所に向かわせる薬剤);あるいはより多くのポリペプチドが細胞から放出されるように、タンパク質分解性プロセシングを変化させる薬剤などが挙げられる。
【0070】
1つの態様においては、本発明は本願で開示したポリペプチド(又はその生物学的活性部位)に結合するか、その活性を変化させる候補物質又は試験物質のスクリーニングを行うためのアッセイのみならず、このようなアッセイで同定される薬剤を提供する。当業界で知られるコンビナトリアルライブラリー法の数々の手法を使用することで、試験物質を得ることができる。このようなライブラリー法としては、生物学的ライブラリー法、空間アドレス可能な(spatially addressable)並列固相又は溶液相ライブラリー法、デコンヴォルーションの必要な合成ライブラリー法、「1ビーズ−1化合物」ライブラリー法、及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法が挙げられる。生物学的ライブラリー法の使用はポリペプチドライブラリーに限られるが、他の4種の手法は、ポリペプチド、非ペプチドオリゴマーや化合物の低分子ライブラリーに適用することができる(Lam KS, 1997)。
【0071】
1つの態様においては、EXT2ポリペプチドの活性を変化させる薬剤を同定するために、試験物質を、EXT2ポリペプチドや(上述した)EXT2のコードする別のスプライシング変異体、それらの断片や誘導体を含有するか発現している、細胞、細胞融解物又は溶液と接触させる。代わりに、試験物質とポリペプチドを直接接触させることもできる。EXT2活性のレベル(量)を評価し(例えば、EXT2活性のレベル(量)を直接又は間接的に測定し)、そして対照における活性のレベル(即ち、試験物質の非存在下における、EXT2ポリペプチド、その活性断片又は誘導体の活性レベル)と比較する。試験物質の存在下における活性レベルが、試験物質の非存在下における活性のレベルと統計的に有意な量の違いを示すことは、試験物質がEXT2ポリペプチド活性の変化をもたらす薬剤であることを意味する。対照に対するEXT2活性レベルの上昇は、試験物質が、EXT2活性を促進する物質(即ち、EXT2のアゴニスト)であることを示す。同様に、対照に対するEXT2活性レベルの低下は、試験物質が、EXT2活性を阻害する薬剤(即ち、EXT2活性に対するアンタゴニスト)であることを示す。他の態様においては、試験物質の存在下におけるEXT2ポリペプチド、その誘導体又は断片の活性のレベルを、既に確立されている対照レベルと比較する。試験物質の存在下における活性レベルが、対照レベルと統計的に有意な量の違いを示すことは、試験物質がEXT2ポリペプチドの活性を変化させる物質であることを意味する。
【0072】
本発明は、EXT2遺伝子の発現を変化させる薬剤(例えば、アンチセンス核酸、融合タンパク質、ポリペプチド、模倣ペプチド、プロドラッグ、受容体、結合性物質、抗体、低分子や他の薬物、又はリボザイム)、上記遺伝子の発現(例えば、転写又は翻訳)を変化(例えば、増加又は低下)させる薬剤、又は本願で開示する核酸と相互作用する薬剤のいずれかを同定するためのアッセイのみならず、このようなアッセイで同定される薬剤に関する。例えば、EXT2ポリペプチドをコードする核酸(例えば、EXT2遺伝子)を含有する溶液を、試験物質と接触させることができる。上記溶液は、例えば、核酸を含有する細胞や、核酸を含有する細胞融解物を包含する。代わりに、上記溶液は、核酸の転写/翻訳に必要な因子を包含する別の溶液でもよい。所望により、溶液に懸濁していない細胞も用いることができる。EXT2の発現レベル及び/又はパターン[例えば、発現されたmRNA又はタンパク質のレベル及び/又はパターン(種々のスプライシング変異体のレベル及び/又はパターンなど)]を評価し、対照における発現レベル及び/又はパターン(即ち、試験物質の非存在下におけるEXT2発現レベル及び/又はパターン)と比較する。試験物質の存在下におけるレベル及び/又はパターンが、試験物質の非存在下におけるレベル及び/又はパターンと統計的に有意な量又は形式の違いを示す場合には、試験物質はEXT2の発現を変化させる薬剤である。EXT2発現の増加は、試験物質が、EXT2活性に対するアゴニストであることを示す。同様に、EXT2発現の阻害は、試験物質が、EXT2活性に対するアンタゴニストであることを示す。他の態様においては、試験物質の存在下におけるEXT2ポリペプチド(例えば、種々のスプライシング変異体)のレベル及び/又はパターンを、既に確立されている対照レベル及び/又はパターンと比較する。試験物質の存在下におけるレベル及び/又はパターンが、対照レベル及び/又はパターンと統計的に有意な量又は形式の違いを示すことは、試験物質はEXT2発現を変化させることを意味する。
【0073】
本発明の別の態様においては、EXT2遺伝子の発現を変化させるか、本願で開示した核酸と相互作用する薬剤の同定は、発現可能な状態でレポーター遺伝子に連結したEXT2遺伝子のプロモーター領域をコードする核酸を含有する細胞、細胞融解物又は溶液を用いて行う。試験物質と上記の細胞、細胞融解物又は溶液を接触させた後に、レポーター遺伝子の発現レベル(例えば、発現されたmRNA又はタンパク質のレベル)を評価し、対照の発現レベル(即ち、試験物質の非存在下でのレポーター遺伝子の発現レベル)と比較する。試験物質の存在下における発現レベルが、試験物質の非存在下における発現レベルと統計的に有意な量又は形式の違いを示す場合には、試験物質はEXT2の発現を変化させる薬剤であり、これはEXT2遺伝子プロモーターに発現可能な状態で連結した遺伝子の発現を変化させるその能力からわかるものである。レポーター遺伝子の発現の促進は、試験物質が、EXT2活性に対するアゴニストであることを示す。同様に、レポーター遺伝子の発現の阻害は、試験物質が、EXT2活性に対するアンタゴニストであることを示す。他の態様においては、試験物質の存在下におけるレポーター遺伝子の発現レベルを、既に確立されている対照レベルと比較する。試験物質の存在下におけるレベルが、対照レベルと統計的に有意な量又は形式の違いを示すことは、試験物質はEXT2発現を変化させることを意味する。
【0074】
EXT2のコードする種々のスプライシング変異体の量を変化させる薬剤(例えば、第1のスプライシング変異体の活性を増加するが、第2のスプライシング変異体の活性を阻害する薬剤)のみならず、第1のスプライシング変異体の活性に対するアゴニストであり、第2のスプライシング変異体の活性に対するアンタゴニストである薬剤も、上述の方法で容易に同定することができる。
【0075】
本発明の他の態様においては、EXT2結合性物質に関連して、ポリペプチドの活性に試験物質が与える影響を評価するためにアッセイを用いることができる。例えば、EXT2と相互作用する化合物(以下、「EXT2結合性物質」と称し、それは受容体などの、EXT2と相互作用するポリペプチドや他の分子である)を発現する細胞を、試験物質の存在下でEXT2と接触させ、試験物質がEXT2とEXT2結合性物質との相互作用を変化させる能力を決定する。代わりに、EXT2結合性物質を含有する細胞融解物や溶液を用いることもできる。EXT2又はEXT2結合性物質に結合する薬剤は、EXT2結合性物質に干渉するか、又はEXT2結合性物質に対するEXT2の結合能、親和能や他の相互作用を増加させることで、相互作用を変化させる。EXT2又はEXT2結合性物質に対する試験物質の結合能の決定は、例えば、ラジオアイソトープ又は酵素による標識と試験物質をカップリングすることで、試験物質のポリペプチドへの結合を、125I、35S、14C又は3Hなどによる直接又は間接的な標識の検出によって可能であり、そして放射線を直接計測するか、シンチレーションを計数することでラジオアイソトープを検出する。代わりに、試験物質を、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はルシフェラーゼなどで酵素標識し、適切な基質の産物への変換によって酵素標識を検出することもできる。試験物質がポリペプチドと相互作用する能力を、相互作用物質を標識することなく決定する方法も本発明の範囲内に含まれる。例えば、マイクロフィジオメーターを用いることで、試験物質、EXT2又はEXT2結合性物質のいずれも標識することなく、試験物質とEXT2又はEXT2結合性物質との相互作用を検出することができる(McConnell HM et al, 1992)。本明細書に記載する「マイクロフィジオメーター」(例えばCytosensorTM)とは、細胞がその周辺環境を酸性化する速度を、LAPS(light-addressable potentiometric sensor)で測定する分析機器である。酸性化速度の変化を、リガンドとポリペプチドとの相互作用の指標に用いることができる。公知のEXT2結合パートナーに関する考察については、本願の実施例を参照されたい。このような受容体は、T2Dの治療のためのEXT2受容体のアゴニストや、T2D研究のためのEXT2受容体のアンタゴニストとなる化合物のスクリーニングに用いることができる。本明細書で提供する連鎖データは、初めてEXT2とT2Dとの関連性を明らかにした。EXT2受容体の活性化を調節することで、シグナル伝達経路と下流に位置する遺伝子(Cbfa1など)の転写に関連する事象を調節する薬剤を設計することができる。
【0076】
本発明の別の態様においては、本願で開示する1種又は数種のEXT2ポリペプチドと相互作用するポリペプチドの同定に上記アッセイを用いる。例えば、(Fields S and Song O, 1989)などに記載の、酵母の2−ハイブリッドシステムを用いて、1種又は数種のEXT2ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定することができる。酵母の2−ハイブリッドシステムにおいては、2つの機能性ドメイン(DNA結合ドメインと転写活性化ドメイン)を有する転写因子の可とう性に基づいてベクターを構築する。2つのドメインが、互いに離れているが、相互作用を示す2つの異なるタンパク質とそれぞれ融合している場合には、転写活性が得られる。そこで、特異的マーカー(例えば、HisやAdeなどの栄養マーカー、lacZなどの色素マーカー)の転写を用いて相互作用と転写活性の存在を同定するたことができる。例えば、本発明の方法においては、DNA結合ドメインと共に、EXT2ポリペプチド、スプライシング変異体あるいはそれらの断片又は誘導体をコードする核酸を含有する第1のベクターと、転写活性化ドメインをコードする核酸と共に、EXT2ポリペプチド、スプライシング変異体あるいはそれらの断片又は誘導体と相互作用する可能性が有ると考えられるポリペプチド(例えば、EXT2ポリペプチド結合性物質又は受容体)をコードする核酸を含有する第2のベクターを使用する。第1のベクターと第2のベクターを有する酵母を適切な条件下で培養すると、目的のマーカーを発現するコロニーの同定が可能となる。これらのコロニーは、EXT2ポリペプチド、その断片又は誘導体と相互作用するポリペプチドを同定するために検査することができる。このようなポリペプチドは、上述したEXT2ポリペプチドの発現にかかわる活性を変化させる薬剤として有用である。
【0077】
上述した本発明のアッセイ法の複数の態様においては、相互に複合体を形成した2種のポリペプチドを、複合体を形成していない1種又は両種のポリペプチドから分離することを容易にし、更にアッセイの自動化に適応させるために、EXT2、EXT2結合性物質又はアッセイに用いる他の成分を固体支持体に固定しておくことが望ましい。試験物質のポリペプチドへの結合、又は試験物質の存在下又は非存在下でのポリペプチドと結合性物質との相互作用は、反応物質を保持するのに適切ないかなる容器でも達成することができる。このような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、マイクロ遠心管が挙げられる。1つの態様においては、EXT2又はEXT2結合性物質が基盤や他の固体支持体に結合することを可能にするドメインを、EXT2又はEXT2結合性物質に付加した融合タンパク質(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質)を提供する。
【0078】
他の態様においては、EXT2をコードする核酸を含有する細胞、細胞融解物又は溶液を試験物質と接触させ、そして細胞、細胞融解物又は溶液における、適切なmRNA又はポリペプチド(例えば、スプライシング変異体)の発現を計測することで、本発明の核酸分子の発現に対するモジュレーターを同定する。試験物質の存在下における、適切なmRNA又はポリペプチドの発現レベルを、試験物質の非存在下におけるmRNA又はポリペプチドの発現レベルと比較する。この比較に基づいて、試験物質が発現のモジュレーターであるか否かを同定することができる。例えば、試験物質の存在下におけるmRNA又はポリペプチドの発現が、試験物質の非存在下よりも統計的に有意に増加している場合には、試験物質はmRNA又はポリペプチドの発現の促進剤又はエンハンサーと同定する。又、試験物質の存在下におけるmRNA又はポリペプチドの発現が、試験物質の非存在下よりも統計的に有意に低下している場合には、試験物質はmRNA又はポリペプチドの発現の阻害剤と同定する。細胞によるmRNA又はポリペプチドの発現レベルは、本明細書に記載したmRNA又はポリペプチドを検出する方法で計測することができる。
【0079】
更に本発明は、上述したスクリーニングアッセイで同定される新規薬剤に関する。従って、本明細書に開示した方法で同定した薬剤を適切な動物モデルで使用することも、本発明の範囲内である。例えば、本明細書に開示した方法で同定した薬剤(例えば、モジュレーター物質、アンチセンス核酸分子、特異的抗体又はポリペプチド結合性物質である試験物質)は、このような薬剤を用いた治療における効果、毒性や副作用を決定するために動物モデルで使用することができる。又、本明細書に開示した方法で同定した薬剤は、このような薬剤の作用機構を決定するために動物モデルで使用することもできる。更に本発明は、本明細書に開示する治療に用いるための、上述したスクリーニングアッセイで同定される新規薬剤に関する。本明細書に開示した方法で同定した薬剤は、ポリペプチド又は遺伝子(あるいはポリペプチド又は遺伝子を有する細胞)を該薬剤と接触させることで、EXT2のコードするポリペプチドの活性を変化させたり、EXT2の発現を変化させるために用いることができる。
【0080】
治療方法
本発明は、EXT2治療剤を用いた、T2D又はT2Dに対する感受性、例えば、本願明細書で開示した標的個体群に属する個体、を治療するための方法(予防方法及び/又は療法)を包含する。「EXT2治療剤」とは、EXT2ポリペプチド(の酵素活性又は量)及び/又は本願明細書で開示したEXT2遺伝子の発現を変化(例えば、増加又は低下)させる薬剤(例えば、EXT2のアゴニスト又はアンタゴニスト)、あるいはEXT2関連代謝経路の機能を変化させる薬剤である。EXT2治療剤は、以下に例示する種々の方法でEXT2ポリペプチドの活性又はEXT2核酸の発現を変化させることができる:付加的なEXT2ポリペプチドの提供、あるいはEXT2遺伝子の転写又は翻訳の上方制御;EXT2ポリペプチドの翻訳後プロセシングの変更;EXT2スプライシング変異体の転写の変更;EXT2ポリペプチド活性への(例えば、EXT2ポリペプチドに結合することによる)干渉;EXT2遺伝子の転写又は翻訳の下方制御;あるいはEXT2ポリペプチドの排除の阻害又は向上。
【0081】
特に本発明は、T2D又はT2Dに対する感受性(例えば、本願明細書で開示した、危険性を示す個体群に属する個体)を治療する方法のみならず、T2Dの大血管性の合併症や微小血管性の合併症の治療方法に関する。大血管性の合併症としては、心筋梗塞、狭心症、アテローム性動脈硬化症、急性冠症候群(例えば、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)又はST上昇型心筋梗塞(STEMI))、下肢閉塞性動脈硬化症、脳卒中、うっ血性心不全及び心肥大が挙げられるが、これらに限定されるものではない。微小血管性の合併症としては、網膜症、ニュロパシー及びネフロパシーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
EXT2治療剤の代表例としては、以下のものが挙げられる
EXT2遺伝子に関連した核酸、その断片又は誘導体、特にEXT2ポリペプチドをコードするヌクレオチドや、このような核酸(例えば、遺伝子、cDNA及び/又はmRNA、2本鎖干渉RNA、EXT2ポリペプチド、その活性断片や誘導体をコードする核酸)を包含するベクター;
EXT2のスプライシング変異体、その断片又は誘導体などの、EXT2ポリペプチド;
他のポリペプチド(例えば、EXT2受容体);EXT2結合性物質;模倣ペプチド;上記ポリペプチドの融合タンパク質やプロドラッグ、抗体(例えば、上述したような、EXT2ポリペプチド変異体に対する抗体、変異体ではないEXT2ポリペプチドに対する抗体、EXT2のコードする特定のスプライシング変異体に対する抗体);リボザイム;他の低分子;及び
EXT2遺伝子の発現又はポリペプチドの活性を変える(例えば、阻害又は拮抗する)薬剤、EXT2スプライシング変異体の転写を調節する薬剤(例えば、発現されるスプライシング変異体がどれであるかに影響を与える薬剤や、発現されるそれぞれのスプライシング変異体の量に影響を与える薬剤)などの他の薬剤。
【0083】
所望により、1種を超えるEXT2治療剤を同時に使用することもできる。
【0084】
核酸であるEXT2治療剤は、T2Dの治療に用いられる。本願において「治療」という用語は、疾患に関連した症状を改善することだけでなく、疾患の発症を予防又は遅らせることも意味し、更には、疾患に伴う症状の重症度や頻度を減少させること、疾患又は病態の再発を予防又は遅らせること及び/又は疾患又は病態に伴う症状の重症度や頻度を減少させることも意味する。アテローム性動脈硬化症の場合、「治療」は、更にプラーク発生の最小化又は退縮も意味する。治療法は、個体におけるEXT2ポリペプチドの活性を変化(例えば、阻害又は増加)、置換又は補足するように設計する。例えば、EXT2治療剤は、EXT2遺伝子やEXT2の特定のスプライシング変異体の発現や存在量を上方制御又は増加させるために投与することができ、或いはそれとは反対に、EXT2遺伝子やEXT2の特定のスプライシング変異体の発現や存在量を下方制御又は低下させるために投与することもできる。本来のEXT2遺伝子やその特定のスプライシング変異体の発現や存在量の上方制御又は増加は、欠陥遺伝子や別のスプライシング変異体の発現や活性に干渉したり、補ったりすることができる。又、本来のEXT2遺伝子やその特定のスプライシング変異体の発現や存在量の下方制御又は低下は、欠陥遺伝子や別のスプライシング変異体の発現や活性を最小化することで、欠陥遺伝子や特定のスプライシング変異体の影響を最小化することができる。
【0085】
治療効果を発揮する量(例えば、疾患に関連した症状を改善する、疾患の発症を予防又は遅らせる、及び/又は疾患に伴う症状の重症度や頻度を減少させることで、疾患を治療するのに充分な量)のEXT2治療剤を投与する。特定の個体の有する障害又は病状を治療する上で治療効果を発揮する量は、疾患に伴う病状や重症度に依存し、標準的な臨床技術で決定することができる。更に、最適投与反範囲の同定を助けるために、in vitro又はin vivoのアッセイを所望により用いてもよい。製剤に用いる厳密な量は投与経路及び疾患又は障害の重症度にも依存するので、医療従事者の判断と各患者の状況とに基づいて決定しなければならない。効果的な量は、in vitroの試験システム又は動物モデルの試験システムから得られた用量−反応曲線から外挿することもできる。
【0086】
1つの態様においては、EXT2又はEXT2ポリペプチドをコードするcDNAは、単独で又はベクターに入れた形態で細胞に(in vitro又はin vivo)で導入し、細胞に本来のEXT2ポリペプチドを産生させる。必要であれば、遺伝子、cDNA、又は遺伝子かcDNAを含むベクターで形質転換した細胞を、疾患に罹患した個体に導入(又は再導入)することができる。こうすることで、天然では本来のEXT2の発現及び活性を失っているか、EXT2変異体の発現又は活性を有するか、又は疾患関連EXT2スプライシング変異体を発現する細胞を、EXT2ポリペプチド、あるいはEXT2ポリペプチド(又はEXT2ポリペプチドの別の変異型)の活性断片を発現するように操作することができる。好ましい態様においては、EXT2ポリペプチドをコードする核酸、その活性断片又は誘導体を発現ベクター(例えば、ウイルスベクター)に導入し、得られたベクターを動物内の適切な細胞に導入することができる。ウイルス性導入システムと非ウイルス性導入システムを含む他の遺伝子導入システムも用いることができる。また、リン酸カルシウム共沈殿法や機械的技法(例えば、マイクロインジェクション)などの非ウイルス性導入システム、膜融合リポソームによる導入(membrane fusion-mediated transfer)、又はDNAの直接取り込みも用いることができる。
【0087】
本発明の他の態様においては、上記方法の代わりに、本発明の核酸、本発明の核酸に相補的な核酸、又はこのような核酸の一部(例えば、後述するオリゴヌクレオチド)を「アンチセンス」治療法に使用する。この場合は、EXT2のmRNA及び/又はゲノムDNAに特異的にハイブリダイズする核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)を投与するか又はin situで産生する。mRNA及び/又はDNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸は、例えば、翻訳及び/又は転写を阻害することで、EXT2ポリペプチドの発現を阻害する。アンチセンス核酸の結合は、型どおりの相補的塩基対の結合によるものでもよいし、2本鎖DNAへの結合のように、二重らせんの主溝との特異的な相互作用によるものでもよい。
【0088】
本発明のアンチセンス構築物は、例えば、上述した発現プラスミドとして送達することができる。細胞内でプラスミドが転写されると、mRNA及び/又はDNAのEXT2ポリペプチドをコードする部分と相補的なRNAを産生する。また、アンチセンス構築物は、ex vivoで作製して細胞に導入したオリゴヌクレオチドプローブでもよく、これはEXT2のmRNA及び/又はゲノムDNAとハイブリダイズすることで発現を阻害する。1つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、in vivoで安定になるように、内在性のヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼ)に耐性の修飾オリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして用いる核酸分子の具体例としては、DNAのホスホロアミデートアナログ、ホスホロチオエートアナログ及びメチルホスホネートアナログが挙げられる。更に、アンチセンス療法に有用なオリゴマーを構築するための一般的な方法が、例えば、van der Krol AR et al, 1988とStein CA and Cohen JS, 1988に記載されている。アンチセンスDNAについては、翻訳開始部位(例えば、EXT2配列の−10〜+10の領域)から誘導したオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
【0089】
アンチセンス療法を実施するために、EXT2をコードするmRNAに相補的なオリゴヌクレオチド(mRNA、cDNA又はDNA)を設計する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、EXT2のmRNA転写産物に結合し、翻訳を防止する。絶対的な相補性が好ましいものの、必ずしも必要ない。本明細書で開示するような、RNAのある部分に「相補的」な配列とは、RNAにハイブリダイズし、安定な2本鎖を形成するのに充分な相補性を有している配列である。2本鎖アンチセンス核酸の場合には、2本鎖DNAの1本鎖を試験するか、又は3本鎖の形成をアッセイする。ハイブリダイズする能力は、上記で詳細に説明したように、アンチセンス核酸の有する相補性の程度と長さの両方に依存する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、そこに含まれる、RNAに対してミスマッチな塩基の数が増えても、安定な2本鎖(場合によっては3本鎖)を形成することができる。当業者は、標準的な方法を用いて許容されるミスマッチの程度を確認することができる。
【0090】
アンチセンス療法に用いるオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、又はそれらのキメラ混合物、誘導体又は修飾したものであり、1本鎖でも2本鎖でもよい。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子やハイブリダイゼーションの安定性を高めるために、その塩基成分、糖成分又はリン酸骨格が修飾されていてもよい。オリゴヌクレオチドには、他の付加的な基が含まれていてもよく、(例えば、in vivoで宿主細胞の受容体のターゲティングを行うための)ペプチドや、細胞膜(Letsinger RL et al, 1989; Lemaitre M et al, 1987)や血液脳関門(Jaeger LB and Banks WA, 2004)の通過を容易にする物質、更にはハイブリダイゼーションに伴って開裂を引き起こす試薬(hybridization-triggered cleavage agent)(van der Krol AR et al, 1988)やインターカレーション試薬(Zon G, 1988)が含まれていてもよい。そのためにオリゴヌクレオチドは他の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションに伴って架橋を引き起こす試薬(hybridization triggered cross-linking agent)、輸送試薬、又はハイブリダイゼーションに伴って開裂を引き起こす試薬)に結合していてもよい。
【0091】
アンチセンス分子は、in vivoでEXT2を発現する細胞に送達される。アンチセンスDNA又はRNAの細胞への送達には、数々の方法を用いることができ、例えば、アンチセンス分子を組織部位に直接注射したり、目的の細胞を標的とするように修飾したアンチセンス分子(例えば、標的細胞の表面に発現されている受容体や抗原に特異的に結合するペプチド又は抗体に連結したアンチセンス)を全身に投与することができる。又、好ましい態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーター(例えば、pol III又はpol II)の制御下におかれている組み換えDNA構築物を利用する。患者の中の標的細胞をトランスフェクトするためにこのような構築物を使用すると、内在性EXT2転写産物と相補的な塩基対を形成するのに充分な量の1本鎖RNAが転写され、EXT2 mRNAの翻訳を防止する。例えば、細胞がベクターを取り込み、アンチセンスRNAの転写を誘導するように、ベクターをin vivoで導入することもできる。このようなベクターは、転写されて目的アンチセンスRNAを産生する限り、エピソームのままでも、染色体に組み込まれてもかまわない。このようなベクターは、上述した標準的な組み換えDNA工学的手法で構築することができる。例えば、プラスミド、コスミド、YAC又はウイルスベクターを用いて組み換えDNA構築物を調製し、調製した構築物を組織部位に直接導入することができる。又、目的の組織に選択的に感染するウイルスベクターを用いて、他の方法(例えば、全身的な方法)で投与を達成することもできる。
【0092】
標的化相同組み換えによってEXT2又はそのプロモーターを不活化又は「ノックアウト」することで、内在性のEXT2発現も減少させることもできる(Smithies O et al, 1985; Thomas KR and Capecchi MR, 1987;Thompson S et al, 1989)。例えば、内在性EXT2(EXT2のコード領域又は調節領域)に相同なDNAが隣接した、非機能的なEXT2変異体(又は全く関係のないDNA配列)を、単独あるいは選択マーカー及び/又は負の選択マーカーと共に用い、EXT2をin vivoで発現する細胞にトランスフェクトする。標的化相同組み換えによるDNA構築物の挿入は、EXT2の不活化をもたらす。組み換えDNA構築物は、直接投与するか、又は上述したような適切なベクターを用いることで、必要な部位にin vivoでターゲティングすることができる。代わりに、以下の類似した方法を用いて、変異体ではないEXT2の発現を増加させることもできる: 変異体ではない機能的なEXT2(例えば、配列番号1の配列を有する遺伝子であって、所望により、表9と表10に示した少なくとも1種の多型を包含するもの)又はその部分配列を包含するDNA構築物を、標的化相同組み換えを用いて、上述したような細胞の有するEXT2変異体の代わりに挿入する。他の態様においては、細胞に存在するものとは異なる変異型EXT2ポリペプチドをコードする核酸を包含するDNA構築物を、標的化相同組み換えを用いて挿入する。
【0093】
又、EXT2の調節領域(即ち、EXT2プロモーター及び/又はエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列のターゲティングを行い、体内の標的細胞において、EXT2の転写を防止する三重らせん構造を形成することで、内在性EXT2の発現を減少することもできる(Helene C, 1991;Helene C et al, 1992;Maher LJ, 1992)。同様に、EXT2タンパク質の1つの正常な生物活性と拮抗する、本願明細書に開示したアンチセンス構築物は、in vivoの組織とex vivoの培養組織の両方において、組織の操作(例えば、組織分化)を行う際に用いることができる。更にアンチセンス技術(例えば、アンチセンス分子のマイクロインジェクション、又は転写産物がEXT2 mRNA又は遺伝子配列のアンチセンスとなるプラスミドのトランスフェクション)は、成体組織におけるEXT2の正常細胞機能のみならず、発生段階におけるEXT2の役割を研究するために用いることができる。このような技術は、細胞培養に利用することができ、トランスジェニック動物の作製にも使用することできる。
【0094】
本発明の別の態様においては、本明細書に開示した他のEXT2治療剤もT2Dの治療又は予防に用いることができる。治療剤は、上述したような組成物の形態で送達するか、又は治療剤そのものを送達することができる。治療剤は全身的に投与するか、又は特定の組織にターゲティングすることができる。治療剤は、化学合成、組み換え体による産生、in vivoでの産生(例えば、トランスジェニック動物による産生(Meade H et al, 1990))などの種々の方法で製造し、本願明細書に記載したような標準的な方法で単離することができる。
【0095】
上記の治療方法のいかなる組み合わせ(例えば、変異体ではないEXT2ポリペプチドの投与と、EXT2 mRNA変異体を標的とするアンチセンス療法の組み合わせ;又はEXT2のコードする第1のスプライシング変異体の投与と、EXT2のコードする第2のスプライシング変異体を標的とするアンチセンス療法の組み合わせ)も使用することができる。
【0096】
本発明を、以下の実施例によって更に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。本明細書で参照する文献の教示の全てが、参照することによって組み込まれたものとする。
【0097】
実施例
【実施例1】
【0098】
全ゲノムスキャン(Genome-Wide Scanning;GWS)による研究
【0099】
フィンランド東部のT2D患者とその表現型の特徴づけ
クオピオ虚血性心疾患危険因子研究(Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study;KIHD)、即ち、T2Dや心臓血管疾患を含む、中年男性に見られる慢性疾患の危険因子を調査するために進行中の、前方視的な個体群研究(prospective population-based study)の参加者を被験者とした。研究対象となる個体群は、基礎検査を実施した1987年〜1989年の時点で42歳、48歳、54歳又は60歳であったフィンランド東部在住の男性から無作為に抽出した年齢別サンプルである。頚動脈の超音波診断を基礎検査で行った被験者については、1991年〜1994年(4年目の追跡調査)と1998年〜2001年(11年目の追跡調査)に再検査を行った。男性コホートの11年目の追跡調査期間に当たる1998年〜2001年に最初の検査を実施した、人口から無作為に抽出した920人の女性によって、男性コホートを補完した。合計で、854人の男性と920人の女性が11年目の追跡調査に参加した。被験者の募集と検査方法については、既に詳細に報告した。この研究は、クオピオ大学研究倫理委員会(University of Kuopio Research Ethics Committee)の承認済みである。全ての参加者から書面による同意を得ている。
【0100】
被験者は、午前8時〜10時の間に行われた血液採取の12時間前から絶食するように指示された。また、血液採取の12時間前から喫煙を自粛し、3日前からアルコールの摂取を自粛するように指示された。血糖値は、トリクロロ酢酸でタンパク質を沈殿させた後にグルコースデヒドロゲナーゼ法を用いて測定した。空腹時血糖値が6.7mmol/リットル以上の場合、あるいは既に食餌療法、経口療法又はインシュリン療法を受ける必要のある糖尿病と臨床診断結果が出ている被験者を糖尿病と定義した。11年目の追跡調査でT2Dと診断された男性と女性のうち、既にT2Dを発症している家族、この場合は両親又は兄弟/姉妹が少なくとも1人いるものを選んだ。KIHDによる11年目の追跡調査のデータベースには、このようなT2Dの発症例が51例存在した。その内、21例は女性であり、30例は男性だった。51のT2D発症例の内、28例は抗糖尿病薬の経口投与を行っており、17例はインシュリン注射により処置を行っており、6例は食餌療法のみを行っていた。それぞれの発症例について、その性別と年齢に応じて、(両親や兄弟/姉妹に)糖尿病の家族歴がない、糖尿病なしの対照を設けた。それぞれの発症例に対応する対照として、KIHDの11年目の追跡調査の残りの被験者の中で最も低い空腹時血糖値を有するものを選んだ。最初のGWSのために、15の発症例とそれに対応する対照からなる部分集団を無作為に選択した。
【0101】
ジェノタイピングアッセイ
Affymetrix early access ヒト100K ジェノタイピングアッセイ(Affymetrix early access Human 100K genotyping assay)を用いて、SNPマーカーのジェノタイピングを行った。このアッセイは2つのアレイ、即ち、XbaとHindからなり、それぞれアッセイに用いる制限酵素を表している。このアッセイによって、理論的には126,000個を超える個別の遺伝型を得ることができる。還元型EDTA−TEバッファーのゲノムDNA溶液(50ng/μl)を用い、合計250ngのDNAをそれぞれのアッセイに付した。DNAは、Xba I又はHind III(New England Biolabs(NEB製) 製)で消化した。具体的には、NEバッファー2(1×;NEB製)、ウシ血清アルブミン(1×;NEB製)、及びXba I又はHind III(0.5U/μl;NEB製)からなる混合溶液中で消化反応を+37℃で2時間行い、続いて酵素の不活化を+70℃で20分間行った。Xba Iアダプター又はHind IIIアダプター(0.25μM;Affymetrix製)、T4 DNAリガーゼバッファー(1×;NEB製)及びT4 DNAリガーゼ(250U;NEB製)を消化したDNAサンプルに加えることで、Xba Iアダプター又はHind IIIアダプターをサンプルに連結した。連結反応を+16℃で2時間行い、続いて+70℃で20分間インキュベートした。連結したDNAサンプルを75μlのH2O(BioWhittaker Molecular Applications/Cambrex製)で希釈した。10μl等量のDNAサンプルをPfx 増幅バッファー(Pfx Amplification Buffer)(1×;Invitrogen製)、PCRエンハンサー(1×;Invitrogen製)、MgSO4(1mM;Invitrogen製)、dNTP(300μM;Takara製)、PCRプライマー(1μM;Affymetrix製)及びPfx ポリメラーゼ(0.05U/μl;Invitrogen製)と共に使用することで、希釈したDNAサンプルを100μl容のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に同じ条件下で4回付した。PCRを+94℃で3分間進行させた後に、+94℃で15秒、+60℃で30秒、+68℃で60秒のサイクルを30回行い、そして+68℃で7分の最後の伸長反応を実施した。PCRの性能は、1×TBEバッファー中での標準的な2%アガロースゲル電気泳動を120Vで1時間行うことで確認した。PCR産物の精製は、Affymetrixのマニュアルに従い、MinElute 96 UF PCR精製キット(MinElute 96 UF PCR Purification kit)(Qiagen製)を用い、それぞれのサンプルについて得られた4個のPCR産物をまとめて1回の精製反応に付すことで行った。精製したPCR産物は、40μlのEBバッファー(Qiagen製)で溶出し、産物の収率を260nmの吸光度で測定した。合計40μgの各PCR産物を、0.2U/μlの断片化試薬(Affymetrix製)と1×断片化バッファー(Fragmentation Buffer)からなる断片化反応に付した。断片化反応は+37℃で35分間行い、続いて+95℃で15分間インキュベートすることで酵素を不活化した。断片化したPCR産物について、1×TBEバッファー中での4%アガロースゲル電気泳動(BMA Reliant製のプレキャストゲル使用)を120Vで30〜45分間行うことで、断片化が完全であるかどうかを確認した。断片化したPCR産物は、次に1×ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Terminal Deoxinucleotidyl Transferase)(TdT)バッファー(Affymetrix製)、GeneChip DNA標識試薬(GeneChip DNA Labeling Reagent)(0.214mM; Affymetrix製)とTdT(1.5U/μl; Affymetrix製)を用いて、標識反応を+37℃で2時間行い、続いて+95℃で15分間インキュベートした。標識したDNAサンプルを、0.056MのMES溶液(Sigma製)、5%のDMSO(Sigma製)、2.5×デンハルト溶液(Sigma製)、5.77mMのEDTA(Ambion製)、0.115mg/mlのニシン精子DNA(Promega製)、1×オリゴヌクレオチドコントロール試薬(Oligonucleotide Control reagent)(Affymetrix製)、11.5μg/mlのヒトCot−1(Invitrogen製)、0.0115%のTween-20(Pierce製)及び2.69Mの塩化テトラメチルアンモニウム(Sigma製)からなるハイブリダイゼーションバッファーと混合した。DNA−ハイブリダイゼーション混合物はGeneChipアレイとのハイブリダイゼーションを行う前に、+95℃で10分間変性処理し、10秒間氷冷してから、+48℃で2分間インキュベートした。ハイブリダイゼーションは、60rpm、+48℃の Affymetrix GeneChip ハイブリダイゼーションオーブンに16〜18時間入れることで完了した。ハイブリダイゼーションに続いて、アレイの染色と洗浄をGeneChip Fluidics Station 450の中で、推奨されるプロトコルであるMapping 10Kv1_450に従って行った。アレイはGeneChip 2500スキャナーでスキャンし、アレイ上の各SNPプローブに対するジェノタイプコール(genotype call)は、Affymetrix ジェノタイピングツール(Genotyping Tools)(GTT)ソフトウエアを用いて作製した。
【0102】
統計解析のためのSNPの選択
統計解析を行う前に、SNP遺伝型データの質を次の3つの値に基づいて判定した:コール頻度(call rate)(CR)、マイナーアレル頻度(minor allele frequency)(MAF)及びハーディワインバーグ平衡(Hardy-Weinberg equilibrium)(H−W)。コール頻度は、ジェノタイピングの結果が得られたサンプルの比率を示す。この値は、遺伝型が正しいかどうかは考慮しない。コール頻度は、以下の式で求められる:CR=ジェノタイプコールが得られたサンプルの数/サンプルの合計数。マイナーアレル頻度(MAF)は、研究対象サンプルにより低い頻度で出現するアレルの頻度である。MAFは以下の式で求められる:MAF=min(p, q)[但し、pはSNPアレル1の頻度であり、qはSNPアレル2の頻度であり、p=(11−遺伝型を有するサンプルの数+0.5×12−遺伝型を有するサンプルの数)/ジェノタイプコールが得られたサンプルの数であり、q=1−pである]。ホモ接合型(MAF=0)のSNPは遺伝子解析に用いることができない。ハーディワインバーグ(H−W)平衡は、対照のために試験した。この試験は、適合度を求めるための標準的なχ二乗検定に基づいている。観察された遺伝型の分布を、H−W平衡の元で予想される遺伝型分布と比較する。2つのアレルの場合、AA、ABとBBという遺伝型に対する分布はそれぞれp2、2pqとq2である[但し、p=f(A)で、q=1−pである]。SNPがH−W平衡にない場合には、それはジェノタイピングの誤り又は未知のポピュレーションダイナミクス(例えば、機会的浮動や選択)によるものと考えられる。
【0103】
CR>50%であり、MAF>5%であり、更にH−W平衡にある(χ二乗検定の統計値<6.635である)SNPのみを統計解析に使用した。合計で72,090個のSNPが上記の基準を満たし、統計解析に含まれた。
【0104】
統計的手法
データのセットは、ハプロタイプパターンマイニング(pattern mining)に基づくHPM−Gプログラムを用いて解析した(Toivonen et al, 2000)。フェーズが不明の遺伝型データについてHPM−Gは、遺伝型構造(genotype configuration)の一致する全てのハプロタイプパターンを検出する。ハプロタイプパターンの長さは色々あり、各ハプロタイプについてSNP内の変異も許容される。HPM−Gは、一般的なハプロタイプを利用するので、単一SNPの比較よりも強力である。これは(ハプロタイプの推定を必要とせずに)遺伝型データに用いることができ、家族に関するデータも必要ない。HPM−Gは処理速度が非常に速く、一回の処理で多量のSNPを扱うことができる。SNPのスコア付けは、発症例と対照例との間で異なるハプロタイプパターンにSNPが含まれる回数に基づいて行われる(χ二乗値の閾値はユーザーが選択することができる)。スコア値の有意性は、順列検定に基づいて評価する。HPM−Gプログラムを、次のパラメーターを用いて実行した:χ二乗閾値(9.0)、ハプロタイプパターンの最大長さ(SNPが10個)、ハプロタイプパターンに含めることのできるワイルドカードの最大長さ(SNPが2個)。ワイルドカードはハプロタイプにギャップが存在することを可能にした。
【0105】
GWSに基づく結果
HPM−G解析によると、最も有意なゲノム領域は、短腕(p-term)の43,678,152bp〜44,345,353bpにわたる、染色体11p11の領域に観察された。この領域のP値は0.0001未満だった。NCBIマップビューワー(NCBI Map Viewer)(Genome build 34)によると、この領域は以下の遺伝子を含んでいる:HSD17B12、DEPC−1、LOC387763、LOC399884、LOC390110、PHACS、EXT2及びALX4。
【実施例2】
【0106】
短腕の43,678,152bp〜44,345,353bpにわたる、染色体11p11の領域のファインマッピング
発見した領域について、以下の17個のSNPマーカー[rs7106967(HSD17B12のイントロン)、rs4755736(HSD17B12のイントロン)、rs4755741(HSD17B12のイントロン)、rs1878851(HSD17B12のイントロン)、rs6485464(HSD17B12のイントロン)、rs1518820(HSD17B12のイントロン)、rs1518818(DEPC−1のイントロン)、rs2292889(DEPC−1の非翻訳領域)、rs2056248(LOC387763のイントロン)、rs546614、rs886196、rs2863032、rs7942915、rs1O73368、rs3814767、(EXT2の未分類領域)、rs4379834(EXT2のイントロン)及びrs962848(EXT2のイントロン)]のジェノタイピングを、GWS研究に最初に用いた30人の被験者と同じKIHDコホートに属する102人の被験者(上述した51人の患者と51人の対照)について行った。遺伝型は、Applied BiosystemsのABI Prism 3100遺伝子アナライザー(ABI Prism 3100 Genetic Analyzer)(Applied Biosystems製)を用いたSNaPshotアッセイによって、後述するように求めた。
【0107】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
我々がジェノタイピングを行ったSNPマーカーを含有するゲノムDNA断片(表2)を4種の異なるマルチプレックスPCR反応で増幅した(以下、「PCRプール1、2、3又は4」と称する)。PCRプール1はSNP1,4,10,15と19のための増幅産物を含んでおり、PCRプール2はSNP2,6,9,13と18のための増幅産物を含んでおり、PCRプール3はSNP3,11,14と17のための増幅産物を含んでおり、そしてPCRプール4はSNP5,8と12のための増幅産物を含んでいた。
【0108】
全てのマルチプレックスPCR反応を10μl容で行い、各反応に20ngのゲノムDNAを用いた。マルチプレックスPCR反応混合物の組成を表3に示す。プール1に用いたPCRプログラムは、94℃で7分、35×(94℃で45秒、56℃で30秒、72℃で2分)、そして最後の伸長反応が72℃で7分だった。プール2〜4のそれぞれに用いたPCRプログラムは、94℃で7分、35×(94℃で45秒、55℃で30秒、72℃で2分)、そして最後の伸長反応が72℃で7分だった。増幅反応後にPCR産物を+4℃で保存した。PCR増幅は、PTC-220 DNAエンジンダイアドPCR装置(PTC-220 DNA Engine Dyad PCR machine)(MJ Research製)で実施した。
【0109】
SNaPshot反応のための、PCR産物の精製
4つのPCR産物のプール(プール1〜4)の全てをSAP(エビアルカリホスファターゼ、USB Corporation製)とExoI(エキソヌクレアーゼI、New England BioLabs Inc.製)で処理することで精製した。これは、取り込まれていないdNTPやプライマーが、PCR反応から次のプライマー伸長反応に持ち込まれるのを防ぐために行った。具体的には、2.5μlのSAP(1U/μl)、0.25μlのExoI(20U/μl)、1.0μlのバッファー(10×ExoIバッファー、New England BioLabs Inc.製)及び6.25μlの脱イオン水を5μlのPCR産物に加えた。反応系を混合し、37℃で1時間と75℃で15分間インキュベートし、4℃で保存した。SAP/ExoI処理後、PCRプール1とプール2のそれぞれの精製PCR産物5μlを1つにまとめて混合した。これをSAP/ExoI精製後のPCRプール3とプール4についても行った。この工程によって、SNaPshot反応(ジェノタイピング反応)に用いる異なるテンプレートプールの数を4つからたった2つに減らすことができた。
【0110】
表2: 短腕の43,678,152bp〜44,345,353bpにわたる、染色体11p11の領域のファインマッピングに用いたSNPマーカー(dbSNP rs IDはhttp://www.ncbi.nih.gov/SNP/から得た)。SNPマーカーを含有するゲノムDNA断片をジェノタイピングの前にPCRで増幅すために、フォワードプライマーとリバースプライマーを用いた。各プライマーの配列番号をカッコ内に示した。
【0111】
【表2】

【0112】
表3: ファインマッピングに使用したSNPマーカーの増幅に用いたマルチプレックスPCR反応系の組成。各プールの反応容量は10.0μlとした。
【0113】
【表3】

【0114】
プライマー伸長反応(SNaPshot反応)
続いて行うプライマー伸長反応(SNaPshot反応)においては、1.5μlのSNaPshot マルチプレックスReady反応混合物(SNaPshot Multiplex Ready Reaction Mix)(Applied Biosystems製)、プールした後に精製したPCR産物(PCRプール1と2を合わせたもの及びプール3と4を合わせたもの)の3μl、1μlのプールした伸長(SNaPshot)プライマー(プールは、各伸長プライマーを0.4〜4pmol含有)及び4.5μlのバッファー(1×AmpliTag Goldバッファー、2mMのMgCl2;Applied Biosystems製)をチューブ内で混合した。反応系を96℃で5秒間インキュベートし、PTC-220 DNAエンジンダイアドPCR装置(MJ Research製)によって、96℃で10秒、50℃で5秒、そして60℃で30秒の反応を35サイクル実施した。SNaPshotプライマーのヌクレオチド配列は表4に示した。
【0115】
表4: ジェノタイピングに用いたSNaPshotプライマーのヌクレオチド配列、各SNPに存在する可変塩基及びSNaPshot産物の予測されるサイズ。dbSNPの登録番号はhttp://www.ncbi.nih.gov/SNP/ から得たものであり、各プライマーの配列番号はカッコ内に示した。
【0116】
【表4】

【0117】
伸長反応後の処理
プライマー伸長反応を行った後、1単位のSAP(1U/μl)を反応混合物に添加し、得られた反応系を37℃で1時間インキュベートした。反応混合物を75℃で15分間インキュベートすることで酵素を不活化した。その後、サンプルを4℃で静置した。伸長反応後の処理は、ABI Prism 3100遺伝子解析器(ABI Prism 3100 Genetic Analyzer)による電気泳動の際に、取り込まれていない蛍光性ddNTPがプライマー伸長産物(SNaPshot産物)を見えにくくするのを防止するために行った。
【0118】
ABI Prism 3100遺伝子解析器によるキャピラリー電気泳動
1μl等量のプールしたSNaPshot産物、9.25μlのHi−Diホルムアミド(Applied Biosystems製)と0.25μlのGeneScan-120 LIZ サイズスタンダード(GeneScan-120 LIZ size standard)(Applied Biosystems製)を96穴の3100光学マイクロ増幅プレート(3100 optical microamp plate)(Applied Biosystems製)内で混合した。反応系を95℃に5分間放置することで変性し、ABI Prism 3100遺伝子解析器(Applied Biosystems製)にアプライした。電気泳動のデータを処理し、GeneScan解析バージョン3.7(GeneScan Analysis version 3.7)(Applied Biosystems製)を用いて遺伝型を視覚化した。
【0119】
統計的手法
発症例と対照例との間のアレルと遺伝型の分布を、全てのSNPについて検定した。検定は、df=1とした標準的なχ二乗独立検定に基づく。更にハプロタイプをχ二乗検定で試験した。オッズ比(OR)とORの95%信頼区間(CI)をアレルとハプロタイプについて計算した。ハプロタイプのパターンはHPM−Gプログラムで作製した。
【0120】
FMの結果
発症例と対照例の遺伝型分布の比較に基づいて、統計的に有意なP値(P<0.05)が得られたSNPを表5に示した。P値は、df=2としたχ二乗独立検定に基づく値である。
【0121】
発症例と対照例のアレルの分布の比較に基づいて、統計的に有意なP値(P<0.05)が得られたSNPを表6に示す。P値は、df=1としたχ二乗独立検定に基づく値である。ORはT2D危険アレル対他のアレルのオッズ比であり、95%CIはオッズ比の信頼区間である。
【0122】
表5: ファインマッピングにおいて、発症例と対照例の間に遺伝型分布の有意差(P<0.05)が見られるSNP。
【0123】
【表5】

【0124】
表6: ファインマッピングにおいて、発症例と対照例の間にアレル分布の有意差(P<0.05)が見られたSNP。
【0125】
【表6】

【0126】
例えば、EXT2のイントロンに存在する3個のSNPが、発症例と対照例の間で以下のアレル分布を示した:rs3814767(配列番号93)(対照例では59例がG−アレルで43例がA−アレル、発症例では76例がG−アレルで26例がA−アレル);rs4379834(配列番号94)(対照例では46例がC−アレルで56例がT−アレル、発症例では28例がC−アレルで74例がT−アレル);rs962848(配列番号97)(対照では48例がC−アレルで54例がT−アレル、発症例では31例がC−アレルで71例がT−アレル)。
【0127】
ハプロタイプ解析は、ファインマッピングでタイピングを行った17個のSNP(表2)についてHPM−G ソフトウエアで行った。次のSNPマーカー:rs1518820 (G/T)(配列番号84)、rs1518818 (G/T)(配列番号85)、rs886196 (A/G)(配列番号89)、rs2863032 (C/T)(配列番号90)及びrs3814767 (A/G)(配列番号93)で定義されるハプロタイプ“GGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)が50の発症例と33の対照例に存在した。このハプロタイプは1つの発症例と18の対照例には存在しなかった。これはχ二乗値が18.69(P値=0.00001)で、オッズ比が27.27(95%CI:3.47〜214.22)であることに対応する。
【実施例3】
【0128】
EXT2遺伝子の部分再シークエンシング
EXT2遺伝子に存在する変異型を見出すために、ファインマッピングに使用した102個のサンプルについて、EXT2遺伝子のコード配列を部分的にシークエンシングした。
【0129】
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅を20μl容で行った。反応混合物は、10ngのヒトゲノムDNA(末梢血から抽出)、1×PCRバッファー(QIAGEN製)、各ヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTPとdTTP;Finnzymes製)をそれぞれ100μM、20pmolのPCRプライマーペア(表7)及び1単位のDNAポリメラーゼ(HotStartTaq;QIAGEN製)を含んでいた。PCRは、PTC 220 ダイアドサーモサイクラー(PTC 220 DYAD thermocycler)(MJ Research製)で行い、以下のプログラムで実施した:94℃で7分、35×(94℃で45秒、アニーリング温度で30秒、72℃で2分)、72℃で5分、そして4℃で保持。PCR増幅産物によって、アニーリング温度を51℃〜65℃の間で変えた。シークエンシング反応を行う前に、PCR増幅産物をGFXTM 96PCR精製キット(ニュージャージ州、ピスカタウエイ、Amersham Pharmacia Biotech Inc製)で精製した。
【0130】
表7: EXT2遺伝子の標的エクソンを増幅するのに用いた、PCRプライマーペアの(5’から3’の方向に示した)ヌクレオチド配列。各プライマーの配列番号をカッコ内に示した。
【0131】
【表7】

【0132】
シークエンシング反応は、AmpliTaq DNAポリメラーゼを用いる BigDye ターミネーターサイクルシークエンシング v2.0 Ready リアクションズ(BigDye Terminator Cycle Sequencing v2.0 Ready Reactions)とFS DNAシークエンシングキット(Applied Biosystems製)を用いて行い、反応系には4μlのRR MIX、2μlのPCR産物、2μlのシークエンシング用プライマー(2pmol/μl)と2μlの水が含まれていた。シークエンシング用プライマーは表8に示す。サイクルシークエンシングはPTC 220 ダイアドサーモサイクラー(MJ Research製)で行い、以下のプログラムで実施した:25サイクル;96℃で10秒、50℃で5秒と60℃で4分、そして4℃で保持。ダイターミネーターの除去とシークエンシング反応の清浄化はMultiscreenR-HVろ過プレート(マサチューセッツ州、ベッドフォード、Millipore製)を用いて行った。精製後にはサンプルをMicroAmpR 光学96ウエル反応プレート(カリフォルニア州、フォスターシティ、Applied Biosystems製)に移し、ABI PRISMR 3100 遺伝子解析器(カリフォルニア州、フォスターシティ、Applied Biosystems製)でシークエンシングを行い、シークエンシング解析用ソフトウエア(Applied Biosystems製)とSeqManII プログラム(DNASTAR製)で解析した。
【0133】
表8: EXT2遺伝子の再シークエンシングに用いたプライマーの(5’から3’の方向に示した)ヌクレオチド配列。各プライマーの配列番号をカッコ内に示した。FS:フォワードシークエンシングプライマー;RS:リバースシークエンシングプライマー。
【0134】
【表8】

【0135】
再シークエンシングの結果
再シークエンシングによって、我々はEXT2遺伝子に存在する5個のSNPを見出し、そのうち3つは統計解析によってT2Dと関連することが明らかとなった。結果は表9にまとめた。例えば、遺伝型TTの頻度とSNP rs4755233(C/T)(配列番号98)のアレルTの頻度が対照健常群よりもT2D患者において高いことについては、統計的有意性が認められ(P=0.02)、このSNP遺伝子座における遺伝型TTやアレルTがT2Dの危険度の上昇と関連することを示している。同様に、SNP遺伝子座 rs11037909(C/T)(配列番号99)における遺伝型TTやアレルTの存在も、T2Dの危険度の上昇と関連する。また、SNP rs3740878(C/T)(配列番号100)についても、我々の結果は、遺伝型TTやアレルTがT2D患者に顕著に存在し、それ故にT2Dの危険度の上昇と関連することを示した。
【0136】
表9: 再シークエンシングによって対照及び糖尿病患者(T2D)から見つかった、EXT2のSNP(SNP1〜5)の遺伝型頻度とアレル頻度。T2D患者群と対象群との間で見られる、SNP3、SNP4とSNP5のそれぞれの遺伝型頻度の差異とアレル頻度の差異は、統計的に有意であった(*と共に示した、P0.02)。dbSNP rs の登録番号は、可能な場合には、dbSNPデータベース(http://www.ncbi.nih.gov/SNP/)の記載に従ってカッコ内に示した。
【0137】
【表9】

【0138】
考察と結論
我々の結果は、EXT2遺伝子に存在する遺伝的変異型は、T2Dと関連することを示している。EXT2の直接的な関与は、関連性の強度によって支持されている。我々は初めに、ゲノム全域にわたる約80,000個のSNPマーカーを用いて関連性を同定した。この研究は、最初のGWSによって位置を同定した領域に存在する更なるマーカーのタイピングによって補足した。更に、我々は、より大きな、確証的なデータセットに高密度で存在する17個のマーカーを位置づけ、再シークエンシングによって、ファインマッピングを行ったサンプルのセットから、T2Dに関連する更に3個のSNPマーカーを見出した(表10)。我々はEXT2遺伝子の機能的変異を同定してはいないが、EXT2遺伝子の全域にわたるハプロタイプを同定した。このハプロタイプはT2D患者の98%に存在するのに対し、対照群では65%しか存在しないことから、このハプロタイプの保因者がT2Dを発症する確率は27倍を超える。
【0139】
まとめると、我々は、EXT2遺伝子がT2D発症率の多大な上昇をもたらすという知見を支持する関連性解析(単一マーカー解析とハプロタイプの解析)について報告した。我々は、この遺伝子がT2Dの病因に関与するという説を提唱する。EXT2は、T2Dで重要な細胞種で発現されている。標的細胞全般、又はその特定の1種又は数種のイソフォームにおける、小分子薬剤又は他の薬理学的な物質によるEXT2活性の修飾により、一般人口、特にEXT2遺伝子に存在する変異型によってT2Dを発症しやすくなっている人口において、T2Dとその合併症の危険度が低下すると考えられる。
【0140】
表10: ジェノタイピングを行ったSNPマーカーと2型糖尿病との関連性についてのまとめ。発症例と対照例の間で遺伝型分布の有意差(P<0.05)が認められたSNPのP値を示した。dbSNP登録番号は、http://www.ncbi.nih.gov/SNP/ から得た。FM:ファインマッピング研究、ns:有意性なし。
【0141】
【表10】

【0142】
本発明をその好ましい態様に参照しながら具体的に開示し説明したが、当業者は、請求の範囲で定義した本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の形態及びその細部に変更を加えることが可能であることを理解するであろう。
【0143】
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【配列表フリーテキスト】
【0144】
配列番号1: PCRプライマー rs7106967 −F
配列番号2: PCRプライマー rs7106967 −R
配列番号3: PCRプライマー rs4755736 −F
配列番号4: PCRプライマー rs4755736 −R
配列番号5: PCRプライマー rs4755741 −F
配列番号6: PCRプライマー rs4755741 −R
配列番号7: PCRプライマー rs1878851 −F
配列番号8: PCRプライマー rs1878851 −R
配列番号9: PCRプライマー rs6485464 −F
配列番号10: PCRプライマー rs6485464 −R
配列番号11: PCRプライマー rs1518820 −F
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配列番号13: PCRプライマー rs1518818 −F
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配列番号15: PCRプライマー rs2292889 −F
配列番号16: PCRプライマー rs2292889 −R
配列番号17: PCRプライマー rs2056248 −F
配列番号18: PCRプライマー rs2056248 −R
配列番号19: PCRプライマー rs546614 −F
配列番号20: PCRプライマー rs546614 −R
配列番号21: PCRプライマー rs886196 −F
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配列番号23: PCRプライマー rs2863032 −F
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配列番号25: PCRプライマー rs7942915 −F
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配列番号27: PCRプライマー rs1073368 −F
配列番号28: PCRプライマー rs1073368 −R
配列番号29: PCRプライマー rs3814767 −F
配列番号30: PCRプライマー rs3814767 −R
配列番号31: PCRプライマー rs4379834 −F
配列番号32: PCRプライマー rs4379834 −R
配列番号33: PCRプライマー rs962848 −F
配列番号34: PCRプライマー rs962848 −R
配列番号35: スナップショットプライマー rs7106967 −R
配列番号36: スナップショットプライマー rs4755736 −F
配列番号37: スナップショットプライマー rs4755741 −F
配列番号38: スナップショットプライマー rs1878851 SS−F
配列番号39: スナップショットプライマー rs6485464 −F
配列番号40: スナップショットプライマー rs1518820 −R
配列番号41: スナップショットプライマー rs1518818 −R
配列番号42: スナップショットプライマー rs2292889 −F
配列番号43: スナップショットプライマー rs2056248 −F
配列番号44: スナップショットプライマー rs546614 −F
配列番号45: スナップショットプライマー rs886196 −F
配列番号46: スナップショットプライマー rs2863032 SS−R
配列番号47: スナップショットプライマー rs7942915 −F
配列番号48: スナップショットプライマー rs1073368 −R
配列番号49: スナップショットプライマー rs3814767 SS−R
配列番号50: スナップショットプライマー rs4379834 −R
配列番号51: スナップショットプライマー rs962848 −R
配列番号52: PCRプライマー エクソン12 −F
配列番号53: PCRプライマー エクソン12 −R
配列番号54: PCRプライマー エクソン11 −F
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配列番号56: PCRプライマー エクソン10 −F
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配列番号58: PCRプライマー エクソン9 −F
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配列番号60: PCRプライマー エクソン8 −F
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配列番号62: PCRプライマー エクソン7 −F
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配列番号68: PCRプライマー エクソン3 −F
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配列番号70: エクソン12 RS
配列番号71: エクソン11 RS
配列番号72: エクソン10 FS
配列番号73: エクソン9 FS
配列番号74: エクソン8 FS
配列番号75: エクソン7 FS
配列番号76: エクソン5 FS
配列番号77: エクソン4 FS
配列番号78: エクソン3 RS
配列番号79: rs7106967;RはA又はG
配列番号80: rs4755736;KはG又はT
配列番号81: rs4755741;RはA又はG
配列番号82: rs1878851;YはC又はT
配列番号83: rs6485464;YはC又はT
配列番号84: rs1518820;KはG又はT
配列番号85: rs1518818;KはG又はT
配列番号86: rs2292889;SはC又はG
配列番号87: rs2056248;YはC又はT
配列番号88: rs546614;MはA又はC
配列番号89: rs886196;RはA又はG
配列番号90: rs2863032;YはC又はT
配列番号91: rs7942915;YはC又はT
配列番号92: rs1073368;RはA又はG
配列番号93: rs3814767;RはA又はG
配列番号94: rs4379834;YはC又はT
配列番号95: EXT2遺伝子のSNP IVS7+126T>C;YはC又はT
配列番号96: rs12791572;SはC又はG
配列番号97: rs962848;YはC又はT
配列番号98: rs4755233;YはC又はT
配列番号99: rs11037909;YはC又はT
配列番号100: rs3740878;RはA又はG

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象生物の代謝性疾患又はその形質について、危険度の予測、診断又は予後判定を行うための方法であって、
a)対象生物から得た生物学的サンプルを提供し、
b)該サンプル中の一種又は数種のバイオマーカーであって、外骨腫2(EXT2)遺伝子、EXT2の発現又はEXT2の代謝活性に関連するバイオマーカーの種類とレベルの少なくとも一方を評価し、そして
c)バイオマーカーに関して対象生物から得たデータを、対照健常群及び対照疾病群の少なくとも一方と比較して、危険度の予測、診断又は予後判定を行う
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
代謝性疾患が2型糖尿病(T2D)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種のバイオマーカーが、EXT2の代謝活性に関連する遺伝子、RNA、タンパク質、ポリペプチド、代謝産物及び多型部位(即ち、SNPマーカー)からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
EXT2の代謝活性が、EXT2遺伝子の発現、EXT2の生物活性、EXT2の基質特異性、EXT2の一次、二次と三次構造、EXT2の濃度及びEXT2の分解を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種のバイオマーカーが、EXT2遺伝子に関連する多型部位(即ち、SNPマーカー)から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種のバイオマーカーが、EXT2遺伝子が含まれるゲノム領域に存在する多型部位(即ち、SNPマーカー)から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のバイオマーカーが、表10に示した多型部位から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該バイオマーカーが、ハプロタイプ“GGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する次のSNPマーカー:
rs1518820 (G/T)(配列番号84)、rs1518818 (G/T)(配列番号85)、
rs886196 (A/G)(配列番号89)、rs2863032 (C/T)(配列番号90)及び
rs3814767 (A/G)(配列番号93)
を含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種のバイオマーカーが、ハプロタイプ“GGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する次のSNPマーカー:
rs1518820 (G/T)(配列番号84)、rs1518818 (G/T)(配列番号85)、
rs886196 (A/G)(配列番号89)、rs2863032 (C/T)(配列番号90)及び
rs3814767 (A/G)(配列番号93)
によって定義されるハプロタイプ領域から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
T2Dを発症した対象生物に施した治療の効果の追跡に用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
T2Dを発症した対象生物にとって効率的且つ安全な治療法の選択に用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
抗糖尿病薬や他の介入療法の治験のための臨床試験に参加する対象生物の選択に用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
下記工程d)を更に包含することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
d)バイオマーカーに関して得られたデータを、個体情報及び臨床情報と組み合わせることで、代謝性疾患又はその形質について、危険度の予測、診断又は予後判定を行う。
【請求項14】
個体情報及び臨床情報が、対象生物の年齢、性別、肥満度、肥満や糖尿病に関する家族歴、ウエスト/ヒップ比(cm/cm)及び糖尿病の治療歴に関するものであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、対象生物の血液、血清又は血漿中の、フィブリノーゲン、フェリチン、トランスフェリン受容体、C反応性タンパク質及びインシュリンの濃度を測定することを包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
T2Dを発症する確率を、下記ロジスティック回帰式で計算することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
T2Dを発症する確率 =[1+e(-(-a+Σ(bi×Xi))-1
式中、eはネーピアの定数であり、XiはT2Dに関連した変数であり、biは上記変数のロジスティック関数における係数であり、aはロジスティック関数の定数項である。
【請求項17】
a値とbi値が、この方法を実施する対象の属する個体群から求められる値であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
i値が、この方法を実施する対象の属する個体群で測定した変数から選ばれる値であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
下記条件の少なくとも一方を満足することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
i値が−20〜20の範囲内である、及び
i値が、0又は1と表されるかコード化される2値変数である。
【請求項20】
i値が0(即ち、なし)〜100,000の範囲内であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
対象生物がT2Dを発症する短期危険度、中期危険度及び長期危険度の少なくとも1つを予測することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
バイオマーカーの評価に、オリゴヌクレオチドプライマーのセット、即ち、PCRプライマーのセットを用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
バイオマーカーの評価に、特異的な捕捉用核酸プローブのセットを用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
バイオマーカーの評価に、マイクロアレイ又はマルチウエルプレートを用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
バイオマーカーの評価に、配列番号1〜78からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチドプライマーを用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
対象生物の代謝性疾患又はその形質について、危険度の予測、診断又は予後判定を行うための請求項1の方法に基づく試験キットであって、
a)生物学的サンプル中の1種又は数種のバイオマーカーであって、EXT2遺伝子、EXT2の発現又はEXT2の代謝活性に関連するバイオマーカーの種類とレベルの少なくとも一方を評価するための試薬、材料及びプロトコル、並びに
b)バイオマーカーに関して対象生物から得たデータを、対照健常群及び対照疾病群の少なくとも一方と比較して、危険度の予測、診断又は予後判定を行うための手引き書とソフトウエア
を包含する試験キット。
【請求項27】
代謝性疾患が2型糖尿病であることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項28】
少なくとも1種のバイオマーカーが、EXT2の代謝活性に関連する遺伝子、RNA、タンパク質、ポリペプチド、代謝産物及び多型部位(即ち、SNPマーカー)からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項29】
EXT2の代謝活性が、EXT2遺伝子の発現、EXT2の生物活性、EXT2の基質特異性、EXT2の一次、二次と三次構造、EXT2の濃度及びEXT2の分解を含むことを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項30】
少なくとも1種のバイオマーカーが、EXT2遺伝子に関連する多型部位(即ち、SNPマーカー)から選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項31】
少なくとも1種のバイオマーカーが、EXT2遺伝子が含まれるゲノム領域に存在する多型部位(即ち、SNPマーカー)から選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項32】
少なくとも1種のバイオマーカーが、表10に示した多型部位から選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項33】
該バイオマーカーが、ハプロタイプ“GGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する次のSNPマーカー:
rs1518820 (G/T)(配列番号84)、rs1518818 (G/T)(配列番号85)、
rs886196 (A/G)(配列番号89)、rs2863032 (C/T)(配列番号90)及び
rs3814767 (A/G)(配列番号93)
を含有することを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項34】
少なくとも1種のバイオマーカーが、ハプロタイプ“GGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する次のSNPマーカー:
rs1518820 (G/T)(配列番号84)、rs1518818 (G/T)(配列番号85)、
rs886196 (A/G)(配列番号89)、rs2863032 (C/T)(配列番号90)及び
rs3814767 (A/G)(配列番号93)
によって定義されるハプロタイプ領域から選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項35】
T2Dを発症した対象生物に施した治療の効果を追跡するためのキットであることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項36】
T2Dを発症した対象生物にとって効率的且つ安全な治療法を選択するためのキットであることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項37】
該方法が、抗糖尿病薬や他の介入療法の治験のための臨床試験に参加する対象生物を選択するための方法であることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項38】
年齢、性別、身長、体重、ウエストとヒップのサイズ、皮下脂肪や脂肪組織の厚み、体脂肪率、肥満や糖尿病に関する家族歴、及びT2Dの治療歴に関する個体情報及び臨床情報を集めるためのアンケート及び手引き書を更に包含することを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
バイオマーカーの評価に、オリゴヌクレオチドプライマーのセット、即ち、PCRプライマーのセットを用いることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項40】
バイオマーカーの評価に、特異的な捕捉用核酸プローブのセットを用いることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項41】
バイオマーカーの評価に、マイクロアレイ又はマルチウエルプレートを用いることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項42】
バイオマーカーの評価に、配列番号1〜78からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチドプライマーを用いることを特徴とする、請求項26に記載の試験キット。
【請求項43】
対象生物の代謝性疾患又はその形質を予防又は治療するための方法であって、該対象生物におけるEXT2の代謝活性を調節する治療法を包含する方法。
【請求項44】
代謝性疾患が2型糖尿病であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
EXT2の代謝活性が、EXT2遺伝子の発現、EXT2の生物活性、EXT2の基質特異性、EXT2の一次、二次と三次構造、EXT2の濃度及びEXT2の分解を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
EXT2遺伝子のコードするポリペプチドの生物活性を増加又は低下させる化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする対象生物に投与することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
EXT2遺伝子の発現を増加又は低下させる化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
EXT2遺伝子又はEXT2遺伝子のコードするポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性を増加又は低下させる化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
EXT2遺伝子又はEXT2遺伝子のコードするポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路の少なくとも一方に含まれる1種又は数種の遺伝子の発現を増加又は低下させる化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
代謝異常に関与し且つEXT2遺伝子又はEXT2遺伝子のコードするポリペプチドに関連した、少なくとも1種の病態生理学的経路の活性を増加又は低下させる化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
該治療が、遺伝子治療又は遺伝子導入であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
EXT2遺伝子あるいはその断片、変異体又は誘導体の導入を包含することを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
該治療が、対象生物の体細胞の有するEXT2調節領域及びEXT2遺伝子含有領域の少なくとも一方の処置を包含することを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
該治療が、幹細胞の有するEXT2調節領域及びEXT2遺伝子含有領域の少なくとも一方の処置を包含することを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
該治療が、代謝性疾患を発症した組織中の幹細胞の有するEXT2調節領域及びEXT2遺伝子含有領域の少なくとも一方の処置を包含することを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
該化合物が、組み換えEXT2ポリペプチドあるいはその変異体、断片又は誘導体であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
該化合物が、EXT2ポリペプチド結合性物質、EXT2受容体又は抗体であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項58】
該治療が、EXT2遺伝子に対するhnRNA及びmRNAの少なくとも一方とハイブリダイズするsiRNAに基づくことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項59】
該治療が、hnRNA及びmRNAの少なくとも一方とハイブリダイズするsiRNAに基づき、hnRNA及びmRNAは、EXT2遺伝子のコードするポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路の少なくとも一方に含まれる1種又は数種の遺伝子に対するものであることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項60】
該治療方法が、食餌療法又は予防接種であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項61】
T2Dを発症していない健常対象生物と比べて変化している、対象生物におけるEXT2の生物活性の少なくとも一部を修復する治療法を包含することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項62】
T2Dを発症していない健常対象生物と比べて変化している、対象生物におけるEXT2の発現の少なくとも一部を修復する治療法を包含することを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項63】
T2Dの血管性合併症を治療するための方法であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。

【公表番号】特表2008−506379(P2008−506379A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520850(P2007−520850)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050278
【国際公開番号】WO2006/008342
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(502134580)
【Fターム(参考)】