説明

2極VRソレノイド有限角モータ構造

【課題】本発明は、ステータ鉄心の磁極に形成した溝に輪状ボビンの爪を係合させ、巻線後の輪状ボビンを磁極に取付可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明による2極VRソレノイド有限角モータ構造は、ステータ鉄心(1)の各磁極(2)に溝(21)を設け、この磁極(2)に嵌合する輪状ボビン(6)の爪(20)を係合することにより、予め、巻線機で巻線後の輪状ボビン(6)を磁極(2)に嵌合できるようにした構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2極VRソレノイド有限角モータ構造に関し、特に、ステータ鉄心の磁極に設けた溝に輪状ボビンの爪を係合させることにより、予め輪状ボビンにステータコイルを巻回した後に、輪状ボビンを磁極に容易に取付けることができるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の2極VR(バリアブルリアクタンス)ソレノイド有限角モータ構造としては、例えば、特許文献1等と類似の構造で、本出願人が製造していた構造を図4及び図5に開示することができる。
すなわち、図4及び図5において符号1で示されるものは、全体形状が枠状をなすステータ鉄心であり、このステータ鉄心1の内面には内方へ向けて互いに対向するように一対の磁極2,3が形成されている。
【0003】
前記ステータ鉄心1には、その両面側からこのステータ鉄心1を挟むように上側絶縁キャップ4及び下側絶縁キャップ5が挿入して設けられ、各絶縁キャップ4,5はつき合わせることにより筒状となると共にステータ鉄心1の内壁1aに設けられている。
【0004】
前記各絶縁キャップ4,5は、輪状ボビン6を一体に形成するように構成され、各絶縁キャップ4,5が各々半分の半輪状ボビン6bを有し、各絶縁キャップ4,5を合わせた時に輪状をなす輪状ボビン6が各磁極2の外周に形成されるように構成されている。
【0005】
前記各磁極2の外周に形成された前記各輪状ボビン6の外周には、ステータコイル7が手巻き又は巻線機によって巻き付けられており、前記各絶縁キャップ4,5の中、一方の上側絶縁キャップ4に一体に形成され外方に突出するコネクタ8の端子9には、前記ステータコイル7の端線がからげて接続されている。
【0006】
前記ステータ鉄心1には、図示していないが、2極のVR型のロータが45度の有限角で回動自在に設けられ、各ステータコイル7に駆動信号を供給することにより、ロータは45度毎のステップ回転を行うように構成されている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6028383号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の2極VRソレノイド有限角モータ構造は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、ステータ鉄心に対して一対の絶縁キャップを装着することによって各磁極に輪状ボビンが形成され、この輪状ボビンに対してステータコイルの内側からステータコイルを巻付けなければならず、人手又は巻線機によるコイル巻付けは極めて難しく、特に、小型化は極めて困難であった。
また、前述の絶縁キャップ方式の構成の欠点を解決する方法として、ボビンを用いる方式があるが、この場合は、ボビンをステータ鉄心に固定することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による2極VRソレノイド有限角モータ構造は、全体形状が枠状をなし互いに内方へ向けて突出する一対の磁極を有するステータ鉄心と、前記各磁極に嵌合されステータコイルを有する輪状ボビンと、前記磁極の外壁に形成された溝と、前記輪状ボビンの内壁に形成された爪と、前記ステータ鉄心の両面に設けられた前蓋及び後蓋の軸受を介して有限角の回動を行うように設けられた回動軸と、前記回動軸に設けられ前記各磁極と対応する一対のロータ突部を有するロータとを備え、前記輪状ボビンは前記爪が前記溝に係合することにより前記各磁極に固定されている構成であり、また、前記各輪状ボビンには、端子を有するコネクタが一体に成形されて設けられており、前記コネクタは前記後蓋の外径と面一又は前記外径の内側に配設されている構成であり、また、前記回動軸には、パチンコ発射機の打球アームが接続されている構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明による2極VRソレノイド有限角モータ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、各磁極に形成された溝に輪状ボビンの爪を係合自在としたため、各磁極に対して輪状ボビンが後付け可能となり、予め、ステータコイルを巻付けた輪状ボビンを各磁極に装着することができ、巻線機による高速巻線によって、生産性の向上、コストダウン、小型化の達成等を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ステータ鉄心の磁極に設けた溝に輪状ボビンの爪を係合させることにより、予め、輪状ボビンにステータコイルを巻回した後に、輪状ボビンを磁極に容易に取付けることができるようにした2極VRソレノイド有限角モータ構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明による2極VRソレノイド有限角モータ構造の好適な実施の形態について説明とする。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1及び図2において符号1で示されるものは、全体形状が枠状をなすステータ鉄心であり、このステータ鉄心1の内面には内方へ向けて突出する一対のみの磁極2が一体に対向して形成され、その先端は円弧状に形成されている。
【0013】
前記各磁極2の外壁2aには、図3で示されるように、溝21が形成され、この磁極2に嵌合して設けられた輪状ボビン6の内壁6aには内方へ向けて突出する爪20が形成されている。
【0014】
前記輪状ボビン6には、この磁極2に嵌合される前に、予め、ステータコイル7が巻線機(図示せず)によって高速で巻付けられており、ステータコイル7巻線後の輪状ボビン6が磁極2に嵌合されている。
【0015】
前記輪状ボビン6の一端には、図1及び図2で示されるように、基板9a及び端子9を有するコネクタ8が一体に成形されて設けられており、このコネクタ8はステータ鉄心1の両面側に固定ねじ50を介して設けられる前蓋30と後蓋31の中の後蓋31側に設けられ、後蓋31の外径31aの内側又は面一となるように構成されている。
【0016】
前記前蓋30及び後蓋31に設けられた一対の軸受40,41間に回動自在に設けられた回動軸42には、一対のロータ突部43aを有するロータ43が前記各磁極2に対応するように設けられている。
【0017】
従って、前述の構成において、各ステータコイル7に駆動信号を供給することにより、ロータ43は45度(45度以外も可能)の有限角の往復回動を行うことができ、特に、図示しないパチンコ発射機の打球アームを前記回動軸42に取付けることにより、打球アームは45度の回動を行った後は、その自重により元の位置に回動して戻り、回動軸42すなわち、ロータ43の往復回動を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、ソレノイド有限角モータに限らず、極数の少ないモータのステータにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による2極VRソレノイド有限角モータ構造を示す断面図である。
【図2】図1の軸直角断面図である。
【図3】図2のA部の拡大断面図である。
【図4】従来構成の平面図である。
【図5】図4の裏面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ステータ鉄心
2 磁極
2a 外壁
6 輪状ボビン
6a 内壁
7 ステータコイル
8 コネクタ
9 端子
20 爪
21 溝
30 前蓋
31 後蓋
31a 外径
40 軸受
41 軸受
42 回動軸
43 ロータ
43a ロータ突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体形状が枠状をなし互いに内方へ向けて突出する一対の磁極(2)を有するステータ鉄心(1)と、前記各磁極(2)に嵌合されステータコイル(7)を有する輪状ボビン(6)と、前記磁極(2)の外壁(2a)に形成された溝(21)と、前記輪状ボビン(6)の内壁(6a)に形成された爪(20)と、前記ステータ鉄心(1)の両面に設けられた前蓋(30)及び後蓋(31)の軸受(40,41)を介して有限角の回動を行うように設けられた回動軸(42)と、前記回動軸(42)に設けられ前記各磁極(2)と対応する一対のロータ突部(43a)を有するロータ(43)とを備え、
前記輪状ボビン(6)は前記爪(20)が前記溝(21)に係合することにより前記各磁極(2)に固定されていることを特徴とする2極VRソレノイド有限角モータ構造。
【請求項2】
前記各輪状ボビン(6)には、端子(9)を有するコネクタ(8)が一体に成形されて設けられており、前記コネクタ(8)は前記後蓋(31)の外径(31a)と面一又は前記外径(31a)の内側に配設されていることを特徴とする請求項1記載の2極VRソレノイド有限角モータ構造。
【請求項3】
前記回動軸には、パチンコ発射機の打球アームが接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の2極VRソレノイド有限角モータ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−195280(P2007−195280A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8778(P2006−8778)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】