説明

3−位にヘテロ原子を有する新規9−アザビシクロノネン誘導体

【課題】新規9-アザビシクロ[3.3.1]ノネン誘導体および関連化合物の提供および医薬組成物の製造における活性成分としての上記誘導体および関連化合物の使用を提供する。
【解決手段】新規9-アザビシクロ[3.3.1]ノネン誘導体および関連化合物ならびに医薬組成物の製造における活性成分としての上記誘導体および関連化合物の使用、上記誘導体および関連化合物の製造方法、上記誘導体またはその関連化合物の一種または一種以上を含む医薬組成物、特にレニン阻害剤としてのそれらの使用によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式Iの新規化合物に関する。本発明は、また、当該化合物の製造法、式Iの化合物の一種または一種以上を含有する医薬組成物、および、とりわけ、心臓血管障害および腎機能不全におけるレニン阻害剤としてのこれらの化合物の使用を含む関連様相に関する。さらに、これらの化合物は、他のアスパルチルプロテアーゼ類の阻害剤であるとみなすことができ、それゆえ、マラリア治療用のプラスメプシン阻害剤として、また真菌感染症治療のためのカンジダ・アルビカンス分泌アスパルチルプロテアーゼの阻害剤として有用であろう。
【0002】
レニン・アンギオテンシン系(RAS)において、生理活性物質であるアンギオテンシンII(AngII)が、2段階機構によって産生される。特異性の高い酵素であるレニンがアンギオテンシノーゲンを切断して、アンギオテンシンI(AngI)とする。これがさらに、それほど特異的ではないアンギオテンシン変換酵素(ACE)によって処理されて、AngIIになる。AngIIは、ATおよびATと呼ばれる少なくとも2つの受容体サブタイプに作用することが知られている。ATは、AngIIの既知の機能のほとんどを伝達するようであるが、ATの役割はいまだ不明である。
【0003】
RASの調節は、心臓血管疾患の治療における大きい進歩を意味している。ACE阻害剤およびAT遮断剤は、高血圧の治療のためにすでに受入れられている(例えば、非特許文献1および2参照。)。さらに、ACE阻害剤は、腎保護のために(非特許文献3、4参照)、うっ血性心不全の予防に(例えば、非特許文献5および6参照。)および心筋梗塞の予防に(例えば、非特許文献7参照。)使用されている。
【非特許文献1】W・H・ベルケンハーゲル(Berkenhager)、J・L・リード(Reid)(編):高血圧(Hypertension)、アムステルダム、エルセヴィア・サイエンス・パブリッシング・カンパニー(Elsevier Science Publishing Co)、1996、489−519のB・ウェーバー(Waeber)ら、「レニン・アンギオテンシン系:実験的およびヒトの高血圧における役割」
【非特許文献2】M・A・ウェーバー(Weber), アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション(Am. J. Hypertens.),1992,5,247S
【非特許文献3】M・E・ローゼンベルク(Rosenberg)ら,キドニー・インタナショナル(Kidney International),1994,45,403
【非特許文献4】J・A・ブライヤー(Breyer)ら,キドニー・インタナショナル,1994,45,S156
【非特許文献5】D・E・ヴォーン(Vaughan)ら,カーディオヴァスキュラー・リサーチ(Cardiovasc. Res.),1994,28,159
【非特許文献6】F・フォウアド-タラジ(Fouad-Tarazi)ら,アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシン(Am. J. Med.),1988,84(補遺3A),83
【非特許文献7】M・A・ファイファー(Pfeffer)ら,ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(N. Engl. J. Med.),1992,327,669
【0004】
レニン阻害剤開発の理論的根拠は、レニンの特異性である(例えば、非特許文献8参照。)。レニンに対して既知の唯一の基質が、アンギオテンシノーゲンであり、これはレニンによって(生理的条件下で)プロセシングを受けうるだけである。これに対し、ACEは、AngI以外にブラジキニンをも切断でき、セリンプロテアーゼであるキマーゼによって代替されうる(例えば、非特許文献9参照。)。かくして、患者でのACE阻害はブラジキニン蓄積に至らしめ、これが咳(5−20%)や致命的となる可能性のある血管神経性浮腫(0.1−0.2%)の原因となる(例えば、非特許文献10参照。)。キマーゼはACE阻害剤によって阻害されない。それゆえ、ACE阻害剤処置患者において、AngIIの生成がなお可能である。他方、AT受容体の(例えば、ロサルタンによる)遮断は、AT受容体の遮断によってその濃度が劇的に上昇したAngIIに他のAT−受容体サブタイプを過剰暴露させることになる。このことは、AT受容体拮抗物質の安全性および効果のプロフィールに関して深刻な問題を提起するかもしれない。要するに、レニン阻害剤は、安全性に関してACE阻害剤およびAT遮断剤と異なると期待されるだけでなく、より重要なことであるが、それらのRAS遮断効果についても異なると期待される。
【非特許文献8】H・D・クライネルト(Kleinert)、カーディオヴァスキュラー・ドラッグズ(Cardiovasc. Drugs),1995,9,645
【非特許文献9】A・フサイン(Husain),ジャーナル・オブ・ハイパテンション(J. Hypertens),1993,11,1155
【非特許文献10】Z・H・イズレイリ(Israili)ら,アナルズ・オブ・インターナル・メディシン(Annals of Internal Medicine),1992,117,234
【0005】
レニン阻害剤は、それらのペプチド擬似性のために経口活性が不十分であるので(例えば、非特許文献11参照。)、それらを用いたきわめて限られた臨床経験(例えば、非特許文献12および13参照。)が得られているだけである。数種の化合物の臨床開発が、この問題ならびに製品の高価格のゆえに中止されている。4つのキラル中心をもつ1種の化合物のみが、臨床試験に入っている(例えば、非特許文献14および15参照。)。このように、大規模に調製でき、代謝に対して安定で、経口で生体利用率がよく、可溶性が十分なレニン阻害剤は、見つかっておらず、探索されている。最近、高いガラス器内活性を示す最初の非ペプチドレニン阻害剤類が記載されている(例えば、非特許文献16、特許文献1および非特許文献17参照。)。しかしながら、これらの化合物の開発状況は不明である。
【非特許文献11】H・D・クライネルト(Kleinert),カーディオヴァスキュラー・ドラッグズ,1995,9,645
【非特許文献12】M・アジジ(Azizi)ら,ジャーナル・オブ・ハイパテンション,1994,12,419
【非特許文献13】J・M・ニューテル(Neutel)ら,アメリカン・ハート(Am. Heart ),1991,122,1094
【非特許文献14】J.ラフエル(Rahuel)ら,ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chem. Biol.),2000,7,493
【非特許文献15】N・E・ミーリー(Mealy),ドラッグズ・オブ・ザ・フューチャー(Drugs of the Future),2001,26,1139
【非特許文献16】C・オフナー(Oefner)ら,ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chem. Biol.),1999,6,127
【特許文献1】国際公開第97/09311
【非特許文献17】H・P・メルキ(Marki)ら,イル・ファルマコ(Il Farmaco),2001,56,21
【発明の開示】
【0006】
本発明は、非ペプチド性で、低分子量のレニン阻害剤の同定・確認に関するものである。組織のレニン・キマーゼ系が活性化されて、腎、心臓および血管のリモデリング、アテローム性動脈硬化、あるいは再狭窄などの病態生理学的に変化した局所機能に至らしめる可能性のある血圧調節の範囲を超えた適応症において活性な持続性の経口活性レニン阻害剤を記述する。
【0007】
本発明は非ペプチド性レニン阻害剤を記載する。
【0008】
特に、本発明は、一般式Iの新規化合物に関する。
【化2】

式中、

Xは、-O-;-S-;-SO-;-SO-を表し;

Wは、Vがメタまたはパラ位で置換された6員の非ベンゼン縮合のフェニルまたはヘテロアリール環であり;

Vは、結合基; -(CH)-; -A-(CH)-; -CH-A-(CH)-; -(CH)-A-; -(CH)-A-(CH)-; -A-(CH)-B-; -CH-CH-CH-A-CH-; -A-CH-CH-B-CH-; -CH-A-CH-CH-B-; -CH-CH-CH-A-CH-CH-; -CH-CH-CH-CH-A-CH-; -A-CH-CH-B-CH-CH-; -CH-A-CH-CH-B-CH-; -CH-A-CH-CH-CH-B-; -CH-CH-A-CH-CH-B-; -O-CH-CH(OCH)-CH-O-; -O-CH-CH(CH)-CH-O-; -O-CH-CH(CF)-CH-O-; -O-CH-C(CH)-CH-O-; -O-CH-C(CH)-O-; -O-C(CH)-CH-O-; -O-CH-CH(CH)-O-; -O-CH(CH)-CH-O-; -O-CH-C(CHCH)-O-;または-O-C(CHCH)-CH-O-
を表し;

AおよびBは、-O-; -S-;-SO-;-SO-を独立に表し;

Uは、アリール;ヘテロアリールを表し;

Tは、-CONR-;-(CH)OCO-;-(CH)N(R)CO-;-(CH)N(R)SO-;または-COO-を表し;

Qは、低級アルキレン;低級アルケニレンを表し;

Mは、水素; シクロアルキル; アリール; ヘテロシクリル; ヘテロアリールを表し;

は、水素;低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;シクロアルキル;アリール;シクロアルキル-低級アルキルを表し;

pは、整数1、2、3または4である;
rは、整数3、4、5、または6である;
sは、整数2、3、4、または5である;
tは、整数1、2、3、または4である;
uは、整数1、2、または3である;
vは、整数2、3、または4である;

および医薬品として許容可能な塩類、溶媒コンプレックスおよび形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形。
【0009】
一般式Iの定義において、もし他のところで述べられていないなら、用語の低級アルキルは、単独でまたは他の基と組み合わせて、1乃至7個の炭素原子、好ましくは1乃至4個の炭素原子をもつ飽和の直鎖および分岐鎖の基を意味し、これらはハロゲンによって任意に置換されていてもよい。低級アルキル基の例はメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルである。メチル、エチルおよびイソプロピル基が好ましい。
【0010】
用語の低級アルコキシは、R-O基で示され、Rは低級アルキルである。低級アルコキシ基の例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシである。
【0011】
用語の低級アルケニルは、単独で、あるいは他の基と共に、オレフィン結合を含み、2乃至7個の炭素原子、好ましくは2乃至4個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖の基を意味し、これらはハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルケニルの例は、ビニル、プロペニルまたはブテニルである。
【0012】
用語の低級アルキニルは、単独で、または他の基と共に、三重結合を含み、2乃至7個の炭素原子、好ましくは2乃至4個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖の基を意味し、これらはハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルキニルの例は、エチニル、プロピニルまたはブチニルである。
【0013】
用語の低級アルキレンは、単独で、または他の基と共に、1乃至7個の炭素原子、好ましくは1乃至4個の炭素原子の直鎖および分岐鎖の2価の基を意味し、これらはハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルキレンの例はエチレン、プロピレンまたはブチレンである。
【0014】
用語の低級アルケニレンは、単独で、または他の基と共に、オレフィン結合を有し、2乃至7個の炭素原子、好ましくは2乃至4個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖の2価の基を意味し、ハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルケニレンの例はビニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0015】
用語の低級アルキレンジオキシは、低級アルキレンの各末端が酸素原子で置換されたものを意味する。低級アルキレンジオキシ基の例は、メチレンジオキシおよびエチレンジオキシが好ましい。
【0016】
用語の低級アルキレンオキシは、低級アルキレンの1末端が酸素原子で置換されているものを意味する。低級アルキレンオキシ基の例はメチレンオキシ、エチレンオキシおよびプロピレンオキシが好ましい。
【0017】
用語のハロゲンは、フッ素、塩素、臭素または沃素を意味し、好ましくはフッ素、塩素および臭素である。
【0018】
用語のシクロアルキルは、単独で、または組み合わせて、3乃至7個の炭素原子をもつ飽和環式炭化水素環系を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルであり、これらは低級アルキル、低級アルケニル、低級アルケニレン、低級アルコキシ、低級アルキレンオキシ、低級アルキレンジオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、-CF、-NR1'、-NRC(O)R1'、-NRS(O)R1'、C(O)NR1'、低級アルキルカルボニル、-COOR、-SR、-SOR、-SO、SONR1’により任意にモノ-、または多置換されていてもよい。なお、R1’は、水素;低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;シクロアルキル;アリール;シクロアルキル-低級アルキルを表す。シクロプロピル基が好ましい基である。
【0019】
用語のアリールは、単独で、あるいは組み合わせて、フェニル、ナフチルまたはインダニル基、好ましくはフェニル基を言い、これらは低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール環と5員または6員環を形成する低級アルケニレンまたは低級アルキレン、低級アルコキシ、低級アルキレンジオキシ、低級アルキレンオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ-低級アルキル、ハロゲン、シアノ、-CF、-OCF、-NR1’、-NR1’-低級アルキル、-NRC(O)R1’、-NRS(O)R、-C(O)NR1’、-NO、低級アルキルカルボニル、-COOR、-SR、-SOR、-SO、-SONR1’、ベンジルオキシによって、任意に、モノ-または多置換されていてもよい。なお、R1’は上記に定義した意味を有する。好ましい置換基は、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキル、CF、OCFである。
【0020】
用語のアリールオキシはAr-O-基を言い、ここで、Arはアリールである。低級アリールオキシ基の例はフェノキシである。
【0021】
用語のヘテロシクリルは、単独で、または組み合わせて、1個または2個の窒素、酸素または硫黄原子を含み、これらは同一または異なってもよく、飽和または不飽和(ただし、芳香族でない)の5、6または7員環を意味し、これらは、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシおよびハロゲンで任意に置換されてもよい。窒素原子は、もし存在するなら、-COOR基で置換されていてもよい。このような環の例は、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、1,4-ジオキサニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピロリル、イミダゾリジニル、ジヒドロピラゾリル、ピラゾリジニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルである。
【0022】
用語のヘテロアリールは、単独で、または組み合わせて、1個乃至4個の窒素原子を含む6員の芳香族環;1個乃至3個の窒素原子を含むベンゼン縮合6員芳香族環;1個の酸素、1個の窒素または1個の硫黄原子を含む5員芳香族環;1個の酸素、1個の窒素または1個の硫黄原子を含むベンゼン縮合5員芳香族環;1個の酸素および1個の窒素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体;硫黄および窒素または酸素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体;2個の窒素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体;3個の窒素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体、またはテトラゾリル環を意味する。このような環系の例は、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾリル、トリアジニル、チアジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、クマリニル、ベンゾチオフェニル、キナゾリニル、キノキサリニルである。これらの環は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキレンジオキシ、低級アルキレンオキシ、ヒドロキシ-低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、-CF、-OCF、-NR1'、-NR1'-低級アルキル、-N(R)COR、-N(R)SO、-CONR1'、-NO、低級アルキルカルボニル、-COOR、-SR、-SOR、-SO、-SONR1'、別のアリール、別のヘテロアリール、または別のヘテロシクリル等で適当に置換されていてもよい。なお、R1'は、上記で定義したものと同義である。好ましいヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルである。
【0023】
用語のヘテロアリールオキシはHet-O基を言い、Hetはヘテロアリールである。
【0024】
用語の医薬品として許容し得る塩は、塩酸または臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等で、生きている生体に対して非毒性である無機酸または有機酸との塩、または一般式Iの化合物が事実上酸性である場合、アルカリまたはアルカリ土類塩基などの無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等との塩のどちらかの塩を包含する。
【0025】
本発明の化合物は、また酸素(水酸基縮合)、硫黄(スルフィドリル縮合)および/または窒素などの1個または1個以上の部位を介してニトロソ化された一般式Iのニトロソ化合物をも含む。本発明のニトロソ化された化合物は当該技術に熟練した者に知られている通常の方法で製造できる。例えば、化合物をニトロソ化する既知の方法は米国特許第5,380,758および5,703,073;国際公開第97/27749;国際公開第98/19672;国際公開第98/21193;国際公開第99/00361およびOaeら、Org. Prep. Proc. Int., 15(3):165-198 (1983)に記載されている。これらの文献の各開示はその全部がここに文献によって組み込まれる。
【0026】
一般式Iの化合物は2個または2個以上の不斉炭素原子を含有することができ、また光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマー混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体混合物、およびそのメソ形、およびこれらの医薬品として許容し得る塩の形で製造してもよい。本発明はこれらの形態のすべてを包含する。混合物はそれ自体既知の方法、すなわち、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLCまたは結晶化により分離することができる。
【0027】
上記一般式Iの好ましい化合物のグループは、式中のX、W、V、およびUが一般式Iに定義したものと同義であり、Tが-CONR-であり、Qがメチレンであり、Mがアリールまたはヘテロアリールである化合物である。
【0028】
一般式Iのさらに好ましい化合物の別のグループは、式中のX、W、U、T、Q、およびMが上記一般式Iで定義したものと同義であり、Vが-CHCHO-;-CHCHCHO-;-OCHCHO-である化合物である。
【0029】
一般式Iのもっと好ましい化合物の別のグループは、式中のV、U、T、QおよびMが上記一般式Iに定義したものと同義であり、Wが1,4-ジ置換フェニル基を表す化合物である。
【0030】
一般式Iのもっと好ましい化合物の別のグループは、式中のX、W、V、U、T、Q、およびMが一般式Iに定義したものと同義であり、

Uがモノ-、ジ-、またはトリ置換フェニルまたはヘテロアリールであり、前記置換基がハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、CFである化合物である。
【0031】
一般式Iの特に好ましい化合物は、下記のグループから選ばれる化合物である:

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチル-ベンジル)アミド,

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド,

(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)アミド,

(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミド,

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-[2-(3-ヒドロキシ-プロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド, および

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-[2-(3-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド.
【0032】
一般式Iの化合物および医薬品として許容可能な同化合物の塩は、例えば医薬組成物の形で治療として用いることができる。これらの医薬組成物は、一般式Iの化合物を少なくとも1種および通常の担体物質および補助剤を含み、特に、心臓血管症および腎臓症を含むレニン・アンギオテンシン系(RAS)の調節不全に関連する疾患の治療または予防に使用することができる。このような疾患の例としては、高血圧、冠状動脈疾患、心臓機能不全、腎臓機能障害、腎または心筋虚血、腎不全がある。これらの医薬組成物は、また、バルーンまたはステントによる血管形成術後の再狭窄の予防、勃起障害、糸球体腎炎、腎仙痛および緑内障の治療のためにも用いることができる。さらに、これらは糖尿病性合併症、血管または心臓手術の合併症、または臓器移植後の合併症、サイクロスポリン治療の合併症、並びにRASに関連していることが現在知られている他の疾患の治療および予防にも用いることができる。
【0033】
別の具体例においては、本発明は、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、心不全、腎臓機能障害、腎または心筋虚血、アテローム性動脈硬化症、腎不全、勃起障害、糸球体腎炎、腎仙痛、緑内障、糖尿病性合併症、血管または心臓手術後の合併症、再狭窄、臓器移植後の免疫抑制剤による治療の合併症を含むRASに関連する疾患、およびRASに関連している他の疾患の治療および/または予防のための方法に関し、該方法は一般式Iに基づく化合物をヒトまたは動物に投与することからなる。
【0034】
本発明は、さらに、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、心不全、腎臓機能障害、腎または心筋虚血、アテローム性動脈硬化症、腎不全、勃起障害、糸球体腎炎、腎仙痛、緑内障、糖尿病性合併症、血管または心臓手術後の合併症、再狭窄、臓器移植後の免疫抑制剤による治療の合併症を含むRASに関連する疾患、およびRASに関連していることが知られている他の疾患の治療および/または予防のために上記に定義した一般式Iの化合物の使用に関する。
【0035】
一般式Iの化合物は、また、上記した疾患の治療のために、一種または一種以上の薬理学的に活性な化合物、例えば、他のレニン阻害剤と共に、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、カリウム賦活剤、利尿剤、交感神経遮断薬、β-アドレナリン拮抗薬、α-アドレナリン拮抗薬、および中性エンドペプチダーゼ阻害薬と共に組み合わせて使用することもできる。
【0036】
上記の一般式Iによって含まれる活性成分をもたらすあらゆる形のプロドラッグは本発明に含まれる。
一般式Iの化合物は、以下に説明する方法、実施例中に記載する方法もしくは類似の方法により製造することができる。
【0037】
化学反応

タイプAの二環系 (スキーム 1; Jerchel, Dら; Justus Liebigs Ann. Chem., 1957, 607, 126; Zirkle, C. L.ら; J. Org. Chem., 1961, 26, 395) は出発物質として用いることができる。 立体選択的またはラセミ的アシル化(Majewski, Mら; J. Org. Chem., 1995, 60, 5825)は、タイプBの二環式化合物を得ることができる。 R は、代表的にはメチル,エチル,またはベンジル置換基でありうる。 これらの化合物は、ついで対応するビニルトリフラートCに転換でき、さらに、炭素-炭素カップリング、代表的には、Pd-錯体の触媒作用による炭素-炭素カップリングでタイプDの誘導体に導くことができる。 R は、一般式Iで定義したと同義のU-V基の化学前駆体のいずれかを任意に表す。 保護基を化学処理するとタイプEの二環系を導くことができ、さらに、脱保護や光延カップリングのような標準的な化学処理を行なうことによりタイプFの二環系に導くことができる。 エステルを加水分解することによりタイプGの化合物に導くことができ、ついでこれを例えばアミドカップリングすることによりタイプHの二環化合物にすることができる。 もし、X がイオウ原子ならば、処理のほとんどどの段階でもスルホキシドまたはスルホンに酸化できる。 ついでこれを脱保護すると最終化合物に導くことができる。 先願特許出願, 例えば国際公開03/093267号または同04/002957号に記載の化学反応もまた同様に用いることができる。
【0038】
【化3】

【0039】
式Iの化合物および医薬品として許容可能な同化合物の酸付加塩を、例えば経腸投与、非経口投与、あるいは局所投与の医薬品の形で、薬剤として用いることができる。例えば、これらは、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤もしくは懸濁剤等の形で経口的に、坐薬等の形で直腸から、注射液や輸液の形で非経口的に、あるいは軟膏、クリームまたはオイル等の形で局所的に投与(塗布)できる。
【0040】
医薬品の製造は、説明している式Iの化合物および医薬品として許容可能な同化合物の酸付加塩を、任意で他の治療的に有用な物質と組合わせて、当該技術に熟練した者によく知られている方法で、適切で、無毒性で、不活性な治療的に適合性のある固形または液体のキャリアー物質とともに、もし必要な場合は、通常の製薬補助剤を加えて、製剤形態にして、達成できる。
【0041】
適しているキャリアー物質としては、無機的なキャリアー物質だけではなく、有機的なキャリアー物質もある。したがって、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセルのキャリアー物質として、ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を用いることができる。軟ゼラチンカプセルに適したキャリアー物質には、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形ポリオールおよび液体ポリオールがある(ただし、軟ゼラチンカプセルでは、有効成分の性質によってはキャリアーが不要の場合がある)。液剤およびシロップの製造に適したキャリアー物質は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖などである。注射液に適するキャリアー物質は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロールおよび植物油などである。適当な坐薬に適したキャリアー物質は、例えば、天然油および硬化油、ワックス、脂肪および半固形または液体ポリオールである。局所用製剤に適したキャリアー物質は、グリセリド、半合成グリセリドおよび合成グリセリド、硬化油、液体ワックス、液体パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコールおよびセルロース誘導体である。
【0042】
製薬補助剤として考慮対象となるのは、通常の安定剤、保存料、湿潤剤および乳化剤、コンシステンシー改善剤、フレーバー改善剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤、マスキング剤および酸化防止剤である。
【0043】
式Iの化合物の用量は、コントロールの対象となる疾患、患者の年齢および個人的な条件、投与方法に応じて幅広い範囲内で変化し、もちろん、個々の具体的な事例の個別要件に合わせることになる。成人患者の場合は、約1mgから約1000mg、特に約50mgから約500mgの1日投与量が検討対象となる。
【0044】
調合薬は、式Iの化合物を約1〜500mg、好ましくは5〜200mg含むのが好都合である。
【0045】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明する働きをする。ただし、これらは、いかなる方法によっても、その範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0046】
略記

ACE アンギオテンシン変換酵素
Ang アンギオテンシン
aq. 水性の、水を含む
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
BSA ウシ血清アルブミン
BuLi n-ブチルリチウム
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC.HClエチル-N,N-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩
EIA 酵素免疫測定法
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
FC フラッシュ・クロマトグラフィー
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MCPBA m-クロロ過安息香酸
MeOH メタノール
org. 有機的な、有機の
PG 保護基
Ph フェニル
RAS レニン・アンギオテンシン系
PR18 C18炭化水素を充填した逆相カラム
rt 室温
sol. 溶液、水溶液、水剤
TBDMS tert-ブチルジメチルシリル
Tf トリフルオロメチルスルホニル
THF テトラヒドロフラン
【0047】
シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミンの製造

a) 2-クロロ-3,N-ジメチル-N-フェニルイソニコチンアミド
2-クロロ-N-フェニルイソニコチンアミド (Epsztajn, J.; Bieniek, A.; Plotka, M. W.; Suwald, K., Tetrahedron, 1989, 45, 7469, 139.8 g, 601 mmol)をTHF (1 L) 中に溶解した溶液に、-78℃でBuLi (ヘキサン中に1.6 M, 826 mL, 1321 mmol)を2時間にわたって添加し、 その間、反応混合物の温度を-65℃以下に保った。 ついで、この混合物を30分間この温度で撹拌した。 沃化メチル(123 mL, 1.98 mol)を加え、この混合物を1時間-78℃で撹拌した。 この混合物を放置し33℃にまでゆっくりと温め、この温度で30分間撹拌した。水(300 mL)を滴状にして添加し、 それから10%のNHOH水溶液(300 mL)を加え、 この混合物をエーテル(3 × 300 mL)で抽出した。 一緒にした有機相MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。 FCで精製して淡黄色の無定形物質の生成物を得た(124.92 g, 80%)。

b) 2-クロロ-3-メチルピリジン-4-カルバルデヒド
2-クロロ-3,N-ジメチル-N-フェニルイソニコチンアミド (124.9 g, 479 mmol)をCHCl (1300 mL)中に溶解した溶液に、-78℃でDIBAL (THF中に1M, 719 mL, 719 mmol)を1時間かけて添加し、 この混合物をそれから2時間この温度で撹拌した。 DIBAL (THF中に1M, 281 mL, 281 mmol)を再び加え、 この反応混合物を-60℃で30分間撹拌した。 飽和の酒石酸カリウムナトリウム水溶液(500 mL)を30分以上加え、 冷却浴を取り除き、 この混合物を一晩室温で撹拌した。水(100 mL)を加え、 有機相を分離し、 水相をCHCl (2×100 mL)で抽出した。 一緒にした有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、 溶媒を減圧下で除去した。 FCで精製し、生成物(58.35 g, 78%)を淡黄色の結晶として得た。

c) (2-クロロ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)シクロプロピルアミン
2-クロロ-3-メチルピリジン-4-カルバルデヒド (58.35 g, 375 mmol)およびシクロプロピルアミン (52.6 mL, 750 mmol)をMeOH (800 mL)中に含む混合物を一晩室温で撹拌した。 この混合物を0℃に冷却し、NaBH (18.4 g, 488 mmol)を滴状にして添加した。 この混合物を一晩室温で撹拌した。 1MのNaOH水溶液(250 mL)を加え、溶媒を減圧下で一部除去した。 水相をEtOAcで抽出した (3×)。 一緒にした有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、 溶媒を減圧下で除去した。 FCで精製し、化合物(54.56 g, 74%)を淡黄色の液状物として得た。

d) シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミン
(2-クロロ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)シクロプロピルアミン (10.0 g, 50.8 mmol)およびナトリウムメトキシド(13.73g, 254 mmol)をジオキサン(40 mL)中に含む混合物を還流温度に48時間加熱した。 この反応混合物をセライトで濾過し、残っている固体をエーテルで洗浄した(2×)。 溶媒を減圧下で除去した。 FCで精製し表題化合物(8.8 g, 90%)を淡黄色液体として得た。
【0048】
{2-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチル-ピリジン-4-イルメチル}シクロプロピルアミンの製造

NaH (55%, 4.97 g, 114 mmol)をトルエン中に溶解した溶液に、3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロパン-1-オール (20.1 g, 42.6 mmol)を0℃で滴状にして添加した。この混合物を1時間室温で撹拌し、(2-クロロ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)-シクロプロピルアミン(16.0 g, 81.3 mmol)を加えた。この混合物を還流温度に一晩加熱してから放置し室温にまで冷却した。溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOで希釈し、水で洗浄した(2×)。一緒にした抽出水溶液をEtO(2×)で逆抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。FCで精製し淡黄色液の表題化合物(7.56 g, 26%)を得た。
【0049】
前駆体

(rac.)-(1R*, 5S*)-9-メチル-7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-カルボン酸メチル エステル (B1)

NaH (0.91 g, 油中に60% , 21 mmol)および炭酸ジメチル(2.18 g, 24 mmol)をシクロヘキサン(16 mL)中に含む混合物を窒素下60℃にまで加熱した。9-メチル-7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン A1 (1.55 g, 10.0 mmol)を添加し、この混合物を還流温度で2時間撹拌した。 この混合物を放置し室温にまで冷却し、氷と水を加えた。相を分離し、有機相を水(1×)で洗浄した。一緒にした抽出水溶液をNHClで飽和し、CHClで逆抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製し表題化合物(1.02 g, 48%)を得た。
【0050】
(rac.)-(1R*, 5S*)-9-メチル-7-オキソ-3-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-カルボン酸メチル エステル (B2)

LDAの溶液をジイソプロピルアミン(5.8 mL, 41.2 mmol), BuLi (ヘキサン中に1.6 M, 26.2 mL, 42.0 mmol) および(60 mL)から調製した。この溶液を-78℃にまで冷却し、9-メチル-3-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オン A2 (6.42 g, 37.5 mmol)をTHF (70 mL)中に溶解した溶液を3分間にわたり滴状にして添加した。この反応混合物を3時間-78℃で撹拌し、ついで、シアノぎ酸メチル(3.87 mL, 48.9 mmol)を添加した。この反応混合物を1時間、-78℃で撹拌し、AgNO (9.12 g, 53.7 mmol)をHO/THF (1:1, 70 mL) に溶解した溶液を添加した。10分後に、HO (35 mL)とAcOH (35 mL)を加え、反応混合物を放置し室温にまで温めた。アンモニアック(ammoniac)(水中に25%, 120 mL) を加えた。この反応混合物をCHCl (2×)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し表題化合物(7.59 g, 88%)を得た。
【0051】
(rac.)-(1R*, 5S*)-9-メチル-7-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸メチル エステル (C1)

ビシクロノナン B1 (4.67 g, 21.9 mmol)を、THF (100 mL)中に溶解した溶液を0℃に冷却し、NaH (鉱油中に約60% , 1.13 g, 約26 mmol)を加えた。 気体の発生が観察された。20分後に、TfNPh (10.0 g, 28 mmol)を加えた。10分後に、氷浴を取り除いた。溶液を一晩撹拌し、EtOAcで希釈し塩水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。FCで精製して表題化合物の油状物を得た(6.11 g, 81%)。
【0052】
(rac.)-(1R*, 5S*)-9-メチル-7-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸メチル エステル (C2)

ビシクロノナン B2 (550 mg, 2.40 mmol)をTHF (10 mL)中に溶解した溶液を0℃に冷却し、NaH (鉱油中に約60%, 144 mg, 約3.60 mmol)を加えた。気体の発生が観察された。20分後に, TfNPh (1.11 g, 3.12 mmol)を加えた。10分後に、氷浴を取り除いた。溶液を一晩撹拌し、EtOAcで希釈し、塩水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。FCで精製し表題化合物の油状物を得た(667, 77%)。
【0053】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロピル]フェニル}-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸メチル エステル (D1)

[3-(4-ブロモフェニル)プロポキシ]-tert-ブチルジメチルシラン(Kiesewetter D. O., Tetrahedron Asymmetry, 1993, 4, 2183, 9.88 g, 30.0 mmol)をTHF (200 mL)中に溶解した溶液を-78℃に冷却した。BuLi (ヘキサン中に1.6M, 18.7 mL, 30.0 mmol)を加えた。30分後に、ZnCl (THF中に1M, 30 mL, 30 mmol, 150℃で一晩乾燥させたZnClとTHFから調製)を加えた。この混合物を放置し室温にまで温めた。ビニルトリフラート C1 (5.87 g, 17.0 mmol)を含むTHF (30 mL)を加え、さらにPd(PPh) (390 mg, 0.34 mmol)を加えた。この混合物を40℃に30分加熱し、1MのHCl水(1 mL)を加えた。この混合物をEtOAcで希釈し、1MのNaOH水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し、表題化合物(5.87 g, 77%)を得た。
【0054】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロピル]フェニル}-9-メチル-3-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸メチル エステル (D2)

[3-(4-ブロモフェニル)プロポキシ]-tert-ブチルジメチルシラン(Kiesewetter D. O., Tetrahedron Asymmetry, 1993, 4, 2183, 1.52 g, 4.61 mmol) をTHF (20 mL)中に溶解した溶液を-78℃に冷却した。BuLi (ヘキサン中に1.6M , 2.88 mL, 4.61 mmol)を加えた。30分後に、ZnCl (THF中に1M, 5.00 mL, 5.00 mmol, 150℃で一晩乾燥させたZnClとTHFから調製) を加えた。 この混合物を放置し室温にまで温めた。THF(20 mL)中のビニルトリフラートC2 (667 mg, 1.85 mmol)を加え、ついでPd(PPh) (107 mg, 0.093 mmol)を加えた。この混合物を50℃にまで30分間加熱し、1MのHCl水(1 mL)を加えた。この混合物をEtOAcで希釈し、1MのNaOH水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物(818 mg, 96%)を得た。
【0055】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-[4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]-ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル 6-メチル エステル (E1)

クロロぎ酸1-クロロエチル(5.90 g, 41 mmol)を、ビシクロノネンD1 (5.72 g, 12.8 mmol)を1,2-ジクロロエタン(75 mL)中に溶解した溶液に添加した。この溶液を還流温度に加熱した。4時間後に、反応混合物を放置し室温にまで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をMeOH (50 mL)で希釈し、この混合物を20分間室温で撹拌し、それから45分間80℃で撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をCHClで希釈した。この混合物を1MのNaOH水(1×)で洗浄し、さらに塩水(1×)で洗浄した。一緒にした水性抽出物をCHCl (2×)で逆抽出した。 一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、 溶媒を減圧下で除去した。 残留物をCHCl (60 mL)中に溶かし、DIPEA (3.18 g, 24.6 mmol)を加え、この混合物を0℃に冷却した。BocO (3.14 g, 14.4 mmol)を加え、この混合物を0℃で1時間撹拌し、次に室温で2時間撹拌した。この混合物を1MのHCl水 (1×)で洗浄し、さらに飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し表題化合物(4.17 g, 78%)を得た。
【0056】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-[4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル]-3-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]-ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル 6-メチル エステル (E2)

クロロぎ酸1-クロロエチル(1.93 mL, 17.7 mmol)を、ビシクロノネン D2 (818 mg, 1.77 mmol)およびNaHCO (1.49 g, 17.7 mmol)を1,2-ジクロロエタン(20 mL)に溶解した溶液に添加した。この溶液を還流温度に加熱した。3時間後に、この反応混合物を放置し室温にまで冷却し、濾過し、溶媒を減圧下で徹底的に除去した。MeOH (20 mL)を加え、この混合物を60℃で20分間撹拌した。この混合物を放置し室温にまで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をCHCl (20 mL)に溶かし、DIPEA(1.82 mL, 10.6 mmol)を加え、 ついでこの混合物を0℃に冷却した。BocO (1.16 g, 5.31 mmol)を加え、この混合物を0℃で30分間撹拌し、それから室温で30分間撹拌した。この混合物を1M HCl水(1×)で洗浄し、さらに飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し表題化合物(586 mg, 76%)を得た。
【0057】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチルエステル 6-メチルエステル (E3)

CHCl (15 mL)中に溶解した化合物E2(586 mg, 1.35 mmol)の溶液を、0℃に冷却し、3-クロロ過安息香酸(70%, 359 mg, 2.97 mmol)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、3-クロロ過安息香酸(70%, 359 mg, 2.97 mmol)を再び加えた。この混合物を2時間再び撹拌し、多量のCHClで希釈した。この混合物を飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し、表題化合物(578 mg, 92%)を得た。
【0058】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-3-オキソ-3λ-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル 6-メチル エステル (E4)

CHCl (21 mL)中の化合物E2 (0.82 g, 1.89 mmol)の溶液を0℃に冷却し、MCPBA (70%, 233 mg, 0.945 mmol)を加えた。この混合物を0℃で15分間撹拌した。MCPBA (197 mg, 0.880 mmol)を再び加えた。この混合物を15分間室温で撹拌し、さらに多量のCHClで希釈した。この混合物を飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し表題化合物(1.51 g, 89%)を得た。
【0059】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル 6-メチル エステル (F1)

トリブチルホスフィン(7.05 g, 30.0 mmol)を、ビシクロノネンE2(4.04 g, 9.7 mmol), 2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノール(2.89 g, 17.5 mmol)およびアゾジカルボキシルジピペリジド(7.05 g, 30.0 mmol)をトルエン(80 mL)中に溶解した溶液に添加した。この混合物を還流温度に2時間加熱し、それから放置し室温にまで冷却した。溶媒を減圧下で除去した。FCで精製して表題化合物(4.60 g, 84%)を得た。
【0060】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル 6-メチル エステル (F2)

トリブチルホスフィン(85%, 1.08 mL, 3.72 mmol)を、ビシクロノネンE3(578 mg, 1.24 mmol)、2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノール (407 mg, 2.48 mmol)およびアゾジカルボキシルジピペリジド (626 mg, 2.48 mmol)をトルエン(10 mL)中に溶解した溶液に添加した。この混合物を還流温度に2時間加熱し、それから放置し室温にまで冷却した。溶媒を減圧下で除去した。FCで精製して表題化合物(668 mg, 88%)を得た。
【0061】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル 6-メチル エステル (F3)

トリブチルホスフィン(85%, 3.30 mL, 11.3 mmol)を、ビシクロノネン E4 (1.70 mg, 3.78 mmol)、2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノール (930 mg, 5.67 mmol)およびアゾジカルボキシルジピペリジド (1.90 g, 7.26 mmol)をトルエン(45 mL)中に溶解した溶液に添加した。この混合物を還流温度にまで1時間加熱し、それから放置し室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去した。 FCで精製して表題化合物(1.94 g, 86%)を得た。
【0062】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル (G1)

ビシクロノネン F1 (4.60 g, 25 mmol)をEtOH (200 mL)に溶解した。1M NaOH水(200 mL)を加え、混合物を80℃に加熱した。この溶液を5時間80 ℃で撹拌し、ついで放置して室温にまで冷却した。1M HCl水でpH=1-2の酸性にした後、この混合物をEtOAc (3×)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製し、表題化合物(4.50 g, 定量)を得た。
【0063】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル (G2)

ビシクロノネンF2 (668 mg, 1.09 mmol)をEtOH (7 mL)に溶解した。1M NaOH水 (3 mL)を加え、混合物を80℃に加熱した。溶液を5時間80 ℃で撹拌し、ついで放置して室温にまで冷却した。1M HCl水でpH=1-2の酸性にした後、混合物をEtOAc(3×)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をさらに精製せずに用いた(624 mg, 96%)。
【0064】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6,9-ジカルボン酸9-tert-ブチル エステル (G3)

ビシクロノネン F3 (1.94 g, 3.25 mmol)をEtOH (24 mL)に溶かした。1M NaOH水(10 mL)を加えて、混合物を80 ℃に加熱した。溶液を1時間80 ℃で撹拌し、ついで放置して室温にまで冷却した。1M HCl水でpH=1-2の酸性にした後、混合物をEtOAc (3×)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をさらに精製せずに用いた(1.86 g, 98%)。
【0065】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-6-[シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)カルバモイル]-3-オキサ-9-アザビシクロ-[3.3.1]ノン-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチル エステル (H1)

ビシクロノネン G1 (360 mg, 2.0 mmol)、 シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)アミン(3-メトキシ-2-メチルベンズアルデヒド, Comins, D. L.; Brown, J. D., J. Org. Chem., 1989, 54, 3730、およびシクロプロピルアミンから還元アミノ化により調製; 1.05 g, 6.00 mmol)、DIPEA (1.37 mL, 8.00 mmol)、DMAP (61 mg, 0.50 mmol)、HOBt (149 mg, 1.10 mmol)およびEDC.HCl (1.19 g, 6.00 mmol)をCHCl (10 mL)中に含む混合物を室温で3日間撹拌した。混合物を多量のCHClで希釈し、1M HCl水(3×)で洗浄し、さらに飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して表題化合物を得た(260 mg, 55%)。
【0066】
(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-6-[シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)カルバモイル]-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ-[3.3.1]ノン-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチル エステル (H2)

ビシクロノネン G2(624 mg, 1.04 mmol)、シクロプロピル-(2,3-ジクロロ-ベンジル)アミン (676 mg, 3.13 mmol)、DIPEA (0.712 mL, 4.16 mmol)、DMAP (32 mg, 0.25 mmol)、HOBt (169 mg, 1.25 mmol)およびEDC.HCl(498 mg, 2.60 mmol)をCHCl (10 mL)中に含む混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を多量のCHClで希釈し、1M HCl水(3×)および飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0067】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-6-[シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)カルバモイル]-3-オキソ-3λ-チア-9-アザ-ビシクロ-[3.3.1]ノン-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチル エステル (H3)

ビシクロノネン G3 (150 mg, 0.257 mmol)、シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)アミン(3-メトキシ-2-メチルベンズアルデヒド、 Comins, D. L.; Brown, J. D., J. Org. Chem., 1989, 54, 3730、 およびシクロプロピルアミンから還元アミノ化により調製; 148 mg, 0.771 mmol)、DIPEA (0.180 mL, 1.02 mmol)、DMAP (8 mg, 0.06 mmol)、 HOBt (52 mg, 0.38 mmol)およびEDC.HCl(123 mg, 0.642 mmol)をCHCl (10 mL)中に含む混合物を室温で2日間撹拌した。この混合物を多量のCHClで希釈し、1M HCl水(3×)と飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、さらに溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して表題化合物を得た(183 mg, 94%)。
【0068】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[2-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)エチル]フェニル}-6-[シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルピリジン-4-イルメチル)カルバモイル]-3-オキソ-3λ-チア-9-アザ-ビシクロ-[3.3.1]ノン-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチル エステル (H4)

ビシクロノネン G3 (150 mg, 0.257 mmol)、シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルピリジン-4-イルメチル)アミン (149 mg, 0.773 mmol)、DIPEA (0.180 mL, 1.02 mmol)、DMAP (8 mg, 0.06 mmol)、HOBt(52 mg, 0.38 mmol)およびEDC.HCl(123 mg, 0.642 mmol)をCHCl (10 mL)中に含む混合物を室温で2日間撹拌した。 この混合物を多量のCHClで希釈し、1M HCl水 (3×)および飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して表題化合物を得た(180 mg, 93%)。
【0069】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-6-({2-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチルピリジン-4-イルメチル}シクロプロピルカルバモイル)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチル エステル (H5)

ビシクロノネン G1(2.05 g, 3.72 mmol)、{2-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチル-ピリジン-4-イルメチル}シクロプロピル-アミン(1.96, 5.59 mmol)、DIPEA (2.55 mL, 14.9 mmol)、 DMAP (114 mg, 0.93 mmol)、HOBt (757 mg, 5.59 mmol)およびEDC.HCl(2.51 g, 13 mmol)をCHCl (50 mL)中に含む混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を多量のCHClで希釈し、1M HCl水(3×)と飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して表題化合物を得た(3.00 g, 91%)。
【0070】
(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-6-({2-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチルピリジン-4-イルメチル}シクロプロピルカルバモイル)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチル エステル (H6)

ビシクロノネン G2 (2.23 g, 3.72 mmol)、{2-[3-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチル-ピリジン-4-イルメチル}シクロプロピル-アミン (1.96, 5.59 mmol)、DIPEA(2.55 mL, 14.9 mmol)、DMAP(114 mg, 0.93 mmol)、HOBt(757 mg, 5.59 mmol)およびEDC.HCl(2.51 g, 13 mmol)をCHCl (50 mL)中に含む混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を多量のCHClで希釈し、1M HCl水(3×)と飽和NaHCO水(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して 表題化合物を得た(2.16 g, 62%)。
【0071】
実施例

実施例 1

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)アミド

ビシクロノネン H1をCHCl (10 mL)で希釈し、この混合物を0 ℃に冷却した。 HCl (ジオキサン中に4M, 10 mL)を加え、この混合物を1時間0 ℃で、 ついで1時間室温で撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を高真空下で乾燥した。 残留物をCHClで希釈し、有機相がpH>9になるまで1M NaOH水で洗浄した。 有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、それから溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0072】
実施例 2

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド

ビシクロノネン H2をCHCl (10 mL)で希釈し、この混合物を0 ℃に冷却した。HCl(ジオキサン中に4M, 10 mL)を加え、この混合物を1 時間、0 ℃で、ついで1時間、室温で撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を高真空下で乾燥した。 残留物をCHClで希釈し、1M NaOH水で有機相がpH >9になるまで洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0073】
実施例 3

(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)アミド

ビシクロノネン H3を、CHCl (10 mL)で稀釈し、この混合物を0 ℃に冷却した。 HCl (ジオキサン中に4M, 10 mL)を加え、混合物を1時間0 ℃で、ついで1 時間室温で撹拌した。 溶媒を減圧下で除去し、残留物を高真空下で乾燥した。 残留物をCHClで希釈し、1M NaOH水で有機相がpH > 9になるまで洗浄した。 有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、 溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0074】
実施例 4

(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミド

ビシクロノネン H4 をCHCl (10 mL)で希釈し、この混合物を0 ℃に冷却した。 HCl (ジオキサン中に4M, 10 mL)を加え、この混合物を1時間、0 ℃で撹拌して、 ついで1時間、室温で撹拌した。 溶媒を減圧下で除去し、残留物を高真空下で乾燥した。 残留物をCHCl で希釈し、1M NaOH水で、有機相がpH > 9になるまで洗浄した。 有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0075】
実施例 5

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-[2-(3-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド

ビシクロノネン H5 (2.16 g, 2.32 mmol)をCHCl (10 mL) で希釈し、この混合物を0 ℃に冷却した。 HCl (ジオキサン中に4M, 10 mL)を加え、この混合物を、1 時間、0 ℃で、ついで1時間、室温で撹拌した。 溶媒を減圧下で除去し、残留物を高真空下で乾燥した。 残留物をCHCl で希釈し、1M NaOH水で、有機相がpH>9になるまで洗浄した。 有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0076】
実施例 6

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-[2-(3-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド

ビシクロノネン H6 (2.16 g, 2.22 mmol) をCHCl (10 mL)で希釈し、この混合物を0 ℃に冷却した。 HCl (ジオキサン中に4M, 10 mL)を加え、この混合物を1時間0 ℃で、 ついで1 h室温で撹拌した。 溶媒を減圧下で除去し、残留物を高真空下で乾燥した。 残留物をCHClで稀釈し、1M NaOH水で、有機相がpH>9になるまで洗浄した。 有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。 残留物をFCで精製して表題化合物を得た。
【0077】
本発明の化合物によるヒト組換えレニンの阻害

ガラス器内酵素アッセイを、384ウエルのポリプロピレン製プレート(ヌンク社)を用いて実施した。アッセイ用緩衝液は、1mMのEDTAと0.1%のBSAを含有する10mMのPBS(ギブコBRL社)からなっていた。培養物は、各ウエル当り50μLの酵素含有混合物および2.5μLのレニン阻害剤のDMSO溶液からなっていた。酵素含有混合物を4℃で予備混合した。それは次の成分からなる:
・ヒト組換えレニン(0.16ng/mL)
・合成ヒトアンギオテンシン(1−14)(0.5μM)
・ヒドロキシキノリン硫酸塩(1mM)。
次に、それらの混合物を37℃で3時間インキュベートした。
酵素活性およびその阻害率を求めるために、384ウエルのプレート(ヌンク)での酵素免疫アッセイ(EIA)によって、蓄積AngIを検出した。5μLの培養物または標準を、事前にAngIとウシ血清アルブミンとの共有結合複合体(AngI−BSA)でコーティングした免疫プレートに移した。0.01%のトゥイーン(Tween)20を含有する上記アッセイ緩衝液中のAngI抗体溶液75μLを加え、4℃で一夜一次インキュベーションを行った。プレートを0.01%トゥイーン20含有PBSで3回洗い、次に、抗ウサギペルオキシダーゼ結合抗体(WA934、アマーシャム社)とともに室温で2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄後、ペルオキシダーゼ基質ABTS(2,2’−アジノ-ジ(3−エチルベンズチアゾリンスルホネート)を加え、プレートを室温で60分間インキュベートした。0.1Mクエン酸pH4.3で反応を停止させたのち、マイクロプレートリーダーを用い、405nmでプレートを評価した。各濃度点について阻害百分率を計算し、酵素活性を50%阻害するレニン阻害濃度(IC50)を求めた。試験したすべての化合物のIC50値は、100nM未満である。しかしながら、選択された化合物は、非常に良好な生物学的利用能を示し、代謝学的に既知の化合物に比べてより高い安定性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物
【化1】

式中

X は、-O-; -S-; -SO-; -SO-を表し;

Wは、Vがメタまたはパラ位で置換された6員の非ベンゼン縮合フェニルまたはヘテロアリール環であり;

Vは、結合基; -(CH)-; -A-(CH)-; -CH-A-(CH)-; -(CH)-A-; -(CH)-A-(CH)-; -A-(CH)-B-; -CH-CH-CH-A-CH-; -A-CH-CH-B-CH-; -CH-A-CH-CH-B-; -CH-CH-CH-A-CH-CH-; -CH-CH-CH-CH-A-CH-; -A-CH-CH-B-CH-CH-; -CH-A-CH-CH-B-CH-; -CH-A-CH-CH-CH-B-; -CH-CH-A-CH-CH-B-; -O-CH-CH(OCH)-CH-O-; -O-CH-CH(CH)-CH-O-; -O-CH-CH(CF)-CH-O-; -O-CH-C(CH)-CH-O-; -O-CH-C(CH)-O-; -O-C(CH)-CH-O-; -O-CH-CH(CH)-O-; -O-CH(CH)-CH-O-; -O-CH-C(CHCH)-O-;または-O-C(CHCH)-CH-O-を表し;

A および Bは、-O-; -S-; -SO-; -SO-を独立に表し;

U は、アリール; ヘテロアリールを表し;

T は、-CONR-; -(CH)OCO-; -(CH)N(R)CO-; -(CH)N(R)SO-; または-COO-を表し;

Q は、低級アルキレン; 低級アルケニレンを表し;

M は、水素; シクロアルキル; アリール; ヘテロシクリル; ヘテロアリールを表し;

は、水素;低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;シクロアルキル;アリール;シクロアルキル-低級アルキルを表し;

p は、整数1、 2、 3または4である;
r は、整数3、 4、 5、または6である;
s は、整数2、 3、 4、または5である;
t は、整数1、 2、 3、または4である;
u は、整数1、 2、または3である;
v は、整数2、 3、または4である;

および医薬品として許容可能な塩類、溶媒コンプレックスおよび形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形。
【請求項2】
請求項1に記載の一般式Iの化合物、但し、式中のX、W、VおよびUは一般式Iに定義したものと同義であり、

T は、-CONR-を表し;
Q は、メチレンを表し;
M は、アリール、 ヘテロアリールを表す;

および医薬品として許容可能な塩類、溶媒コンプレックスおよび形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形。
【請求項3】
請求項1に記載の一般式Iの化合物、但し、式中のX、W、U、T、Q、 およびMは一般式Iで定義したものと同義であり、

V は、-CHCHO-; -CHCHCHO-; -OCHCHO-を表す;

および医薬品として許容可能な塩類、溶媒コンプレックスおよび形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形。
【請求項4】
請求項1に記載の一般式Iの化合物、但し、式中のX、V、 U、 T、 Q、およびMは、一般式Iに定義したものと同義であり、

Wは、1,4-ジ置換フェニル基を表す;

および医薬品として許容可能な塩類、溶媒コンプレックスおよび形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形。
【請求項5】
請求項1に記載の一般式Iの化合物、但し、式中のX、W、V、Q、T、およびMは、一般式Iに定義したものと同義であり、

Uは、モノ-、ジ-、またはトリ置換フェニルまたはヘテロアリールであり、 前記置換基はハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、CFである;

および医薬品として許容可能な塩類、溶媒コンプレックスおよび形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形。
【請求項6】
下記の群から選ばれる請求項1乃至5のいずれか一つに記載の化合物

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチル-ベンジル)アミド,

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド,

(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(3-メトキシ-2-メチルベンジル)アミド,

(rac.)-(1R*, 3R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミド,

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-[2-(3-ヒドロキシ-プロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド, および

(rac.)-(1R*, 5S*)-7-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-3,3-ジオキソ-3λ-チア-9-アザビシクロ[3.3.1]ノン-6-エン-6-カルボン酸シクロプロピル-[2-(3-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド.
【請求項7】
心臓血管症および腎臓症、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、心不全、 腎臓機能障害、腎または心筋虚血、アテローム性動脈硬化症、腎不全、勃起障害、糸球体腎炎、腎仙痛、緑内障、糖尿病合併症、血管または心臓外科手術後の合併症、再狭窄、臓器移植後の免疫反応抑制剤使用による合併症を含むレニン-アンギオテンシン系(RAS)の調節不全に関連する疾患、およびRASに関連する既知のその他の疾患の治療または予防のための請求項1乃至6のいずれか一つの少なくとも一つの化合物および通常の担体物質および補助剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、心不全、腎臓機能障害、腎または心筋虚血、アテローム性動脈硬化症、腎不全、勃起障害、糸球体腎炎、腎仙痛、緑内障、糖尿病合併症、血管または心臓外科手術後の合併症、再狭窄、臓器移植後の免疫反応抑制剤使用による合併症を含むRASに関連する疾患、およびRASに関連するその他の疾患の治療または予防のための方法であり、該方法は請求項1乃至6のいずれか一つに記載の化合物をヒトまたは動物に投与することからなる。
【請求項9】
高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、心不全、腎臓機能障害、腎臓または心筋虚血、アテローム性動脈硬化症、腎不全、勃起障害、糸球体腎炎、腎仙痛、緑内障、糖尿病合併症、血管または心臓外科手術後の合併症、再狭窄、臓器移植後の免疫反応抑制剤使用による合併症を含むRASに関連する疾患およびRASに関連する既知のその他の疾患の治療または予防のために請求項1乃至6のいずれか一つに記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載した疾患の治療のために、ACE阻害薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、カリウム活性化剤、利尿薬、交感神経遮断薬、β-アドレナリン拮抗薬、 α-アドレナリン拮抗薬、および中性エンドペプチダーゼ抑制剤を含むその他の薬理学的に活性な化合物と組み合わせた請求項1乃至6のいずれか一つに記載の一種または一種以上の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−524655(P2006−524655A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505260(P2006−505260)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004371
【国際公開番号】WO2004/096366
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】