説明

3−[(2−{[4−(ヘキシルオキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−フェニルアミノ]−メチル}−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−5−カルボニル)−ピリジン−2−イル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステル−メタンスルホネート及び薬剤としてのその使用

【課題】非吸湿性であり、生理学的に許容可能な酸水性媒体中に溶解し、粉砕及び圧縮の間の低非晶質化(amorphisation)及び良好な結晶性を有し、バイオアベイラビリティを確実なものとする3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオン酸−エチルエステルメタンスルホネートの結晶形態の提供。
【解決手段】Tm.p.=120±5℃の融点(示差走査熱量測定法により測定;ピーク最大により評価;加熱速度:10℃/分)でX線粉末回折図で示される半水化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Aの化合物、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート及び医薬組成物としてのその使用に関する。
式A:
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
式Aの化合物のベースは、既に、WO 98/37075に記載されており、その中において、トロンビン抑制作用及びトロンビン遅延活性を有する化合物が、1-メチル-2-[N-[4-(N-n-ヘキシルオキシカルボニルアミジノ)フェニル]-アミノ-メチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-N-(2-ピリジル)-N-(2-エトキシカルボニルエチル)-アミドの名称の下に開示されている。式Iの化合物は、化合物
【0004】
【化2】

【0005】
の二重プロドラッグであり、即ち、式Aの化合物(BIBR 1048 MS)のみが、実際に有効な化合物、即ち、式Bの化合物に、体内で変換変換される。化学式Aの化合物は、深部静脈血栓症の手術後の発病の予防及び脳卒中の予防に主に適用されている。
【0006】
先行技術に開示されている二置換された二環式ヘテロ環の上記薬理学的に有益な特性は、該化合物を医薬組成物として有効に使用するための主たる必要条件である。活性物質は、しかしながら、また、医薬組成物として使用されることを可能にするために他の要件を満たさなければならない。これらのパラメータは、かなりの程度まで活性物質の物理化学的性質に関連する。
制限されるものではないが、これらのパラメータの例としては、異なる周囲条件下での出発物質の作用の安定性、医薬配合物の製造過程における安定性及び医薬製剤の最終組成物における安定性があげられる。医薬組成物を製造するために使用される医薬的に活性な物質は、従って、高い安定性を有するべきであり、それは、また、異なる環境条件でさえ保証されるべきである。これは、例えば、活性物質自体の他に、それらの分解生成物を含む医薬組成物の使用を防止することが絶対に必要である。そのような場合においては、医薬配合物中にみられる活性物質の含量は、規定量未満であろう。
水の摂取により質量が増加する結果、水分の吸収により、医薬的に活性な物質の含量が減少する。水分を吸収する傾向を有する医薬組成物は、例えば、適切な乾燥剤の添加により、又は、水分から保護される環境中に薬剤を貯蔵することにより、貯蔵の間水分から保護されなければならない。また、水分を摂取すると、医薬物質が水分から保護されずに環境に付された場合に、製造の間、医薬活性物質の含量を低減し得る。好ましくは、従って、医薬活性物質は、わずかに吸湿性である。
【0007】
活性物質の結晶変態(crystal modification)は、製剤の再生産可能な活性物質含量にとって重要であるので、結晶形態で存在する活性物質のあらゆる多形(polymorphism)をできる限り明らかにする必要がある。活性物質の異なる多形変態が存在する場合、後に製造される医薬製剤において物質の結晶変態が変化しないように確実にすることに留意する必要がある。さもなければ、これが、薬剤の再現可能な効力(reproducible potency)に悪影響を与え得る。このため、わずかに多形であることを特徴とする活性物質が好ましい。
配合物の選択又は製造方法の選択に依存するような環境下で例外的に重要であり得る他の基準は、活性物質の溶解性である。例えば、医薬溶液を(例えば注入用に)製造する場合、活性物質が、生理学的に許容可能な溶剤に十分溶解性であることが必須である。また、経口的に摂取されるべき薬剤にとって、活性物質が十分に溶解性であることは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、高い薬理学的効力により特徴付けられるだけでなく、できる限り上記物理化学的要件を満たす医薬活性物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上に概説した課題は、式Aのエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート塩により解決される。
事実、驚くべきことに、各場合において選択的に及び均一に、この塩の結晶性変態Iが実施例1に記載する方法により製造することができ、この塩の結晶性変態IIが実施例2〜4に記載する方法により製造することができることを見い出した。
更に、例えば実施例5に記載されたある合成条件下で、水和物形態が得ることができ、その水分含量は半水化物を示す。
医薬組成物用途には、医薬組成物中に含まれる活性物質が、信頼できるバイオアベイラビリティを確実なものとする均一な結晶変態にあることが必須である。
本発明のメタンスルホネートは、3つの全ての結晶変態において、粉砕及び圧縮の間の低非晶質化(amorphisation)及び良好な結晶性を特徴とする。更に、それは、3つ全ての結晶変態において非吸湿性であり、生理学的に許容可能な酸水性媒体中に非常に容易に溶解する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネートの3つの結晶形態のX線粉末回折図を示す。
【図2】図2は、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネートの3つの結晶形態についての熱分析及び融点(DSC)の測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化合物エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのメタンスルホネートの結晶形態は、Tm.p.=180±3℃(形態I)、Tm.p.=190±3℃(形態II)又はTm.p.=120±5℃(半水化物)の融点(DSC=示差走査熱量測定法により測定;ピーク最大により評価;加熱速度:10℃/分)により特徴付けられる。融点は、Messrs Mettler Toledo製のDSC 821eを用いて測定した。
第1態様において、本発明は、従って、Tm.p.=180±3℃、Tm.p.=190±3℃又はTm.p.=120±5℃(DSCにより測定;ピーク最大により評価;加熱速度:10℃/分)の融点により特徴付けられる、好ましくは結晶性形態にある、塩エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネートの3つの上記多形体に関する。Tm.p.=180±3℃の融点を有する多形体Iが好ましい。
本発明は、また、3つの多形体を選択的に製造する方法並びに該方法により得ることができる変態体に関する。本発明によれば、BIBR 1048 MS多形体Iは、以下のa)〜e)の工程により得られる:
a)わずかに足りない(slight deficiency)(例えば0.98当量)メタンスルホン酸アセトン溶液を、約30〜36℃の温度でBIBR 1048ベースのアセトン溶液にゆっくりと添加し、
b)混合物を、約1時間、約26〜33℃の温度で攪拌し、
c)混合物を、約17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間、この温度で攪拌し、
d)BIBR 1048 MS形態Iの沈殿結晶を吸引ろ過し、及び
e)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること。
【0012】
本発明によれば、BIBR 1048 MS多形体IIは、以下の工程により得られる:
a)わずかに足りない(例えば0.98当量)メタンスルホン酸のアセトン中の溶液を、約40〜46℃の温度でBIBR 1048ベースのアセトン溶液に対ゆっくりと添加し、
b)場合により、混合物に、BIBR 1048多形体II結晶を接種し、
c)混合物を、約1時間、約40〜46℃の温度で攪拌し、
d)それを、約17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間、この温度で攪拌し、
e)BIBR 1048 MS形態IIの沈殿結晶を吸引ろ過し、及び
f)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること
又は
a)BIBR 1048 MS多形体Iのアセトン懸濁液を、45〜50℃に、約4時間、攪拌しながら加熱し、
b)場合により、i)BIBR 1048多形体II結晶を接種し、又はii)BIBR 1048多形体II結晶を接種し及び付加的に少量のBIBR 1048ベースを添加し、
c)その後、約15℃に冷却し、
d)BIBR 1048 MS形態IIの沈殿結晶を吸引ろ過し、及び
e)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること
又は
a)BIBR 1048 MS多形体Iをアセトン中に置き、及び
b)場合により、i)少量のBIBR 1048多形体IIを接種し、又はii)BIBR 1048多形体II結晶を接種し及び付加的に少量のBIBR 1048ベースを添加し、
c)そのようにして得られた混合物を、40〜46℃に、少なくとも1時間、攪拌しながら加熱し、
d)その後、約17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間、この温度で攪拌し、
e)BIBR 1048 MS形態IIの沈殿結晶を分離し、及び
f)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること。
【0013】
本発明によれば、BIBR 1048 MS半水化物は、以下の工程により得られる:
a)1当量のメタンスルホン酸の酢酸エチル溶液を、約35〜40℃の温度で、90%水性エタノール及び酢酸エチルの約2:5(容量比)混合物中BIBR 1048ベース溶液にゆっくりと添加し、
b)場合により、生成物の結晶化の始めに、更に、酢酸エチルを希釈剤として添加し、
c)更に約30分間、約35〜40℃で攪拌し、
d)その後、更に30分間、周囲温度で攪拌し、
e)BIBR 1048 MS半水化物の沈殿物を吸引ろ過し、及び
f)約40℃で、循環空気乾燥棚(circulating air drying cupboard)において乾燥すること。
【0014】
本発明のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネートの結晶形態を、より詳細に、粉末X線回折により研究した。得られた図を図1に示す。
以下の表1〜3に、この分析において得られたデータを記載する:
表1:エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのメタンスルホネート(形態I)のX線粉末反射及び強度(標準化)

【0015】
表2:エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのメタンスルホネート(形態II)のX線粉末反射及び強度(標準化)

【0016】
表3:エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのメタンスルホネート(半水化物)のX線粉末反射及び強度(標準化)



【0017】
先の表1〜3において、値“2θ[°]”は、回折角を単位「度」で示したものであり、値“Dhkl値[A]”は、格子面間の特定距離を単位「オングストローム」で示したものである。
本発明の範囲内において、X線源としてのCuアノード及び位置感受性検出器(OED)を備えたBruker D8 Advanced回折計を用いて、粉末X線図を記録した(CuKα1放射線、λ=1.5406Å、40kV、40mA)。
化合物エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネートの水和物が、標準条件下で半水化物の形態で生じた。この形態が溶融するのと平行して、該半水化物から約120℃の温度で水が抜けた。
図2は、3つの形態の熱分析を示す。
【0018】
実験的セクション
実施例1
エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート形態I(BIBR 1048 MS 多形体I)
52.6kgのエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベース(好ましくは、予め、酢酸エチルからの再結晶化により精製されている)を、不活性化にした攪拌装置に入れ、その後、293kgのアセトンを添加した。装置の内容物を攪拌しながら40〜46℃に加熱した。透明な溶液が得られた後、装置の内容物をレンズフィルターを通して第2攪拌装置中にろ過し、その後30〜36℃に冷却した。0〜5℃に予備冷却されたアセトン33kg、99.5%メタンスルホン酸7.9kg及びリンス用の別のアセトン9kgを、第2装置の吊り下げられた容器に入れた。吊り下げられた容器の内容物を、所定量、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベースの溶液に、26〜36℃で、15〜40分以内に添加した。その後、混合物を、40〜60分間、26〜33℃で攪拌した。それを、その後、17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間攪拌した。結晶懸濁液をフィルター乾燥機を通してろ過し、全270リットルのアセトンで洗浄した。生成物を真空で最大50℃で少なくとも4時間乾燥した。
収量:54.5〜59.4kg;理論値の90〜98%。エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベースを基準とする。
【0019】
実施例2
BIBR 1048 MS 多形体Iからの変換によるBIBR 1048 MS 多形体II
4gのBIBR 1048 MS 多形体I及び35mlのアセトンを、攪拌を伴うガラスフラスコ及び還流冷却器中に置いた。サスペンションを攪拌しながら45〜50℃に加熱し、この温度で4時間保持した。それを、その後、15℃に冷却し、ブフナー漏斗を通して結晶を吸引ろ過し、20mlのアセトンで洗浄し、真空で45℃において乾燥した。
注:合成は、また、BIBR 1048 MS多形体IIを接種することにより行うことができる。変換速度が低い場合、BIBR 1048 MS 多形体IIでの接種に加え、少量のBIBR 1048 ベース(例えば工業スケールにおいて、およそ90kgのBIBR 1048 MS 多形体Iに対して約50gのBIBR 1048 ベース)を添加することにより促進することができる。
【0020】
実施例3
エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート形態II(BIBR 1048 MS 多形体II)
52.6kgのエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベース(好ましくは、予め、酢酸エチルからの再結晶化により精製されている)を、不活性化にした攪拌装置に置き、その後、293kgのアセトンを添加した。装置の内容物を攪拌しながら40〜46℃に加熱した。透明な溶液が形成された後、装置の内容物をレンズフィルターを通して第2攪拌装置中にろ過した。0〜5℃に予備冷却されたアセトン33kg、99.5%メタンスルホン酸7.9kg及びリンス用の別のアセトン9kgを、第2装置の吊り下げられた容器に置いた。吊り下げられた容器の内容物を、所定量、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベースの溶液に、40〜46℃で、15〜40分以内に添加し、10gのBIBR 1048 MS 多形体II(例えば実施例2に従って製造)を接種した。その後、混合物を、40〜60分間、40〜46℃で攪拌した。それを、その後、17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間攪拌した。結晶懸濁液をフィルター乾燥機を通してろ過し、全270リットルのアセトンで洗浄した。生成物を真空で最大50℃で少なくとも4時間乾燥した。
収量:54.5〜59.4kg;理論値の90〜98%。エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベースを基準とする。
注:合成は、また、BIBR 1048 MS 多形体IIを接種することなしに行うことができる。
しかしながら、接種する方法が好ましい。
【0021】
実施例4
BIBR 1048 MS 多形体Iからの変換によるBIBR 1048 MS 多形体II
30.7kgのBIBR 1048 MS 多形体Iを、不活性にされた攪拌装置内に置き、その後、199kgのアセトンを添加した。装置の内容物を、10gのBIBR 1048 MS 多形体II(例えば実施例2により製造)で接種し、攪拌しながら40〜46℃に加熱し、この温度で少なくとも1時間保持した。その後、混合物を17〜23℃に冷却し、少なくとも更に40〜80分間攪拌した。結晶懸濁液を、水平遠心分離機を用いて分離し、全45kgのアセトンで洗浄した。生成物を、真空乾燥棚内において50℃の最大温度で少なくとも4時間乾燥した。
収量:27.7〜30.1kg;理論の90〜98%)
注:合成は、また、BIBR 1048 MS 多形体IIでの接種なしに行うことができる。しかしながら、接種をする方法が好ましい。変換速度が低い場合、少量のBIBR 1048 ベース(例えばおよそ90kgのBIBR 1048 MS 多形体Iに対して約50gのBIBR 1048 ベース)を、BIBR 1048 MS 多形体IIでの接種に加えて添加することができる。
【0022】
実施例5
エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート-半水化物
15mlの酢酸エチル中の、1.53(15.93mmol)のメタンスルホン酸の溶液を、16.5mlの90%水性エタノール及び40mlの酢酸エチル中の、10.0g(15.93mmol)のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートベース(WO 98/37075に記載されたように製造)の溶液に対して、攪拌しながら、35〜40℃で滴下した。数分後、生成物が析出し始め、30mlの酢酸エチルで希釈した。それを、更に30分間35〜40℃で、更に30分間室温で攪拌し、その後、沈殿物を吸引ろ過し、約20mlの酢酸エチルで洗浄し、循環空気乾燥棚内において40℃で乾燥した。
収率:理論の99%
【図1−1】

【図1−2】

【図2−1】

【図2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tm.p..=180±3℃(形態I)(DSCにより測定;ピーク最大により評価;加熱速度:10℃/分)を特徴とする、結晶形態のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート。
【請求項2】
Tm.p..=190±3℃(形態II)(半水化物)(DSCにより測定;ピーク最大により評価;加熱速度:10℃/分)を特徴とする、結晶形態のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート。
【請求項3】
Tm.p..=120±5℃(半水化物)(DSCにより測定;ピーク最大により評価;加熱速度:10℃/分)を特徴とする、結晶形態のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート塩を、場合により1以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項5】
手術後の深部静脈血栓症の発病の予防及び脳卒中の予防に適する医薬組成物を製造するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネートの使用。
【請求項6】
請求項4に記載の医薬組成物を製造する方法であって、非化学的方法により、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート-メタンスルホネート塩を、1以上の不活性担体及び/又は希釈剤に含ませることを特徴とする方法。
【請求項7】
a)わずかに足りないメタンスルホン酸のアセトン溶液を、約30〜36℃の温度でBIBR 1048ベースのアセトン溶液にゆっくりと添加し、
b)混合物を、約1時間、約26〜33℃の温度で攪拌し、
c)混合物を、約17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間、この温度で攪拌し、
d)BIBR 1048 MS形態Iの沈殿結晶を吸引ろ過し、及び
e)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること
を特徴とするBIBR 1048 MS多形体Iを製造する方法。
【請求項8】
a)わずかに足りないメタンスルホン酸のアセトン溶液を、約40〜46℃の温度でBIBR 1048ベースのアセトン溶液にゆっくりと添加し、
b)混合物に、場合により、BIBR 1048多形体II結晶を接種し、
c)それを、その後、約1時間、約40〜46℃の温度で攪拌し、
d)約17〜23℃に冷却し、更に40〜80分間、この温度で攪拌し、
e)BIBR 1048 MS形態IIの沈殿結晶を吸引ろ過し、及び
f)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること
を特徴とするBIBR 1048 MS多形体IIを製造する方法。
【請求項9】
a)BIBR 1048 MS多形体Iのアセトン懸濁液を、45〜50℃に、約4時間、攪拌しながら加熱し、
b)場合により、i)BIBR 1048多形体II結晶を接種し、又はii)BIBR 1048多形体II結晶を接種し及び付加的に少量のBIBR 1048ベースを添加し、
c)その後、約15℃に冷却し、
d)BIBR 1048 MS形態IIの沈殿結晶を吸引ろ過し、及び
e)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること
を特徴とするBIBR 1048 MS多形体IIを製造する方法。
【請求項10】
a)BIBR 1048 MS多形体Iをアセトン中に置き、及び
b)場合により、i)少量のBIBR 1048多形体IIを接種し、又はii)BIBR 1048多形体II結晶を接種し及び付加的に少量のBIBR 1048ベースを添加し、
c)そのようにして得られた混合物を、40〜46℃に、少なくとも1時間、攪拌しながら加熱し、
d)その後、約17〜23℃に冷却し、及び、更に40〜80分間、この温度で攪拌し、e)BIBR 1048 MS形態IIの沈殿結晶を分離し、及び
f)そのようにして得られた生成物を、真空で、少なくとも4時間、最大50℃で乾燥すること
を特徴とするBIBR 1048 MS多形体IIを製造する方法。
【請求項11】
a)1当量のメタンスルホン酸の酢酸エチル溶液を、約35〜40℃の温度で、90%水性エタノール及び酢酸エチルの約2:5(容量比)混合物中BIBR 1048ベースの溶液にゆっくりと添加し、
b)場合により、生成物が析出し始めたとき、更に、酢酸エチルを希釈のために添加し、c)混合物を、更に約30分間、約35〜40℃で攪拌し、
d)その後、更に30分間、周囲温度で攪拌し、
e)BIBR 1048 MS半水化物の沈殿物を吸引ろ過し、及び
f)約40℃で、循環空気乾燥棚において乾燥すること
を特徴とするBIBR 1048 MS半水化物を製造する方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法により得ることが可能なBIBR 1048 MS多形体I。
【請求項13】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法により得ることが可能なBIBR 1048 MS多形体II。
【請求項14】
請求項11に記載の方法により得ることが可能なBIBR 1048 MS半水化物。

【公開番号】特開2011−178803(P2011−178803A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104428(P2011−104428)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2006−524316(P2006−524316)の分割
【原出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】