説明

3次元CADモデル作成システム及び作成方法

【課題】各種プラント機器の設計仕様データを自動的に取得することができるとともに、設計3次元CADモデルを簡便に修正することが可能な3次元CADモデル作成システム及び作成方法を提供する。
【解決手段】各種プラント機器1−1〜1−nの各々に取り付けられ設計仕様データを記録した設計仕様タグ2−1〜2−nと、プラント機器を3次元計測する3次元計測装置3と、3次元データサーバと、設計仕様タグ読取部と、設計3次元CADモデル格納部と、設計仕様タグの位置データに対応するプラント機器を検索し、設計仕様タグとプラント機器を対応づける検索部と、3次元CADモデルに設計仕様データを付加するとともに、設計仕様タグの位置データに対応するプラント機器の位置データが異なる場合、設計仕様タグの3次元位置データに基づいて設計3次元CADモデルを修正する3次元CADモデル作成合成部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プラント機器からなるプラントの3次元CADモデルの作成システム及び作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラント、例えば、原子力プラントは、加熱冷却機器、配管、弁、ポンプ、サポート等の各種プラント機器を有し、それらのプラント機器が相互に接続されプラントを構成している。
【0003】
このようなプラントを設計する際、複数のプラント機器の配置設計は、各プラント機器の設計情報をもとに、3次元CAD作成システムにより3次元CADモデルを作成することによりおこなわれている。
【0004】
一方、これらのプラント機器を現場に設置した後、3次元計測装置により設置されたプラント機器を計測し、プラント機器の設置状況を確認することがおこなわれている。その際、設計時の3次元CADモデルが3次元計測装置により計測されたプラント機器の位置情報と異なる場合は、設計時の3次元CADモデルを修正することもおこなわれている(特許文献1)。
【0005】
この実測3次元位置データにより修正された3次元CADモデルは、プラント改造検討時に周囲の構造物と計画中の構造物との干渉チェック、搬出入ルートの確認に利用可能であり、プラント改造計画の一助となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−331383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、各種プラント機器は、それぞれ内径、肉厚等の内部構造データ及び材質データ等の設計仕様データを有している。プラントの改造、改修計画時には、3次元CADデータとともにこれらの設計仕様データが必要となるが、設計仕様データは、別途、当該機器の設計仕様書や設計図面から取得しなければならず、改造、改修計画作成の作業効率が悪いものとなっていた。
【0008】
また、従来の設計3次元CADモデルを実測3次元データで修正する手法は、膨大な演算処理を必要とするもので、コンピュータの負担が大きく、作業時間も長期化するという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、各種プラント機器の設計仕様データを自動的に取得することができるとともに、そのデータを利用して設計3次元CADモデルを簡便に修正することが可能な3次元CADモデル作成システム及び作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の3次元CADモデル作成システムは、各種プラント機器の各々に取り付けられ設計仕様データを記録した設計仕様タグと、前記設計仕様タグを含む前記各種プラント機器を3次元計測する3次元計測装置と、前記3次元計測装置で得られた3次元データを格納する3次元データサーバと、前記3次元データから前記設計仕様タグの3次元位置データと設計仕様データを読み取る設計仕様タグ読取部と、前記プラント機器の設計3次元CADモデルを格納した設計3次元CADモデル格納部と、前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器を検索し、各設計仕様タグと各プラント機器を対応づける検索部と、前記設計3次元CADモデルに設計仕様データを付加するとともに、前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器の位置データが異なる場合、当該設計仕様タグの3次元位置データに基づいて前記設計3次元CADモデルを修正する3次元CADモデル作成合成部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の3次元CADモデル作成方法は、設計仕様タグが取り付けられた各種プラント機器を3次元計測装置により計測し、3次元データを得る工程と、前記3次元データから前記設計仕様タグの3次元位置データと設計仕様データを読み取る工程と、前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器を設計3次元CADモデルから検索し、各設計仕様タグと各プラント機器を対応づける工程と、前記設計3次元CADモデルに設計仕様データを付加するとともに、前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器の位置データが異なる場合、当該設計仕様タグの3次元位置データに基づいて前記設計3次元CADモデルを修正する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各種プラント機器の設計仕様データを自動的に得ることができるとともに、設計3次元CADモデルを簡便に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る各種プラント機器の設置状況を示す模式図。
【図2】第1の実施形態に係る3次元CADモデル作成システムの作成フロー図。
【図3】第2の実施形態に係る3次元CADモデル作成システムの作成フロー図。
【図4】設計3次元CADモデルの概要図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る3次元CADモデル作成システム及び作成方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、現場に設置された各種プラント機器1−1〜1−n(例えば、加熱冷却機器、配管、ポンプ、弁、サポート、等)を3次元計測装置3で計測する際の模式図である。これらのプラント機器を設置する際は、まず、それぞれの設計情報をもとに図4に示すような設計3次元CADモデルを作成して他の機器との接続状況、配置構成等を確認し、それにしたがい据え付け設置される。
【0016】
本実施形態では各プラント機器1−1〜1−nの表面にそれぞれ当該プラント機器の設計仕様タグ2−1〜2−nが取り付けられている。例えば、プラント機器が配管の場合、設計仕様タグには、配管ラインナンバ、各種寸法、肉厚、材質、等の設計仕様データが記録されている。設計仕様タグ2−1〜2−nは、原子力プラントの建設時又は原子力プラントの改造工事前に取り付けられ、例えば、QRコード(登録商標)などのマトリックス型2次元コードのタグが用いられる。
【0017】
(作用)
図2を用いて、本実施形態の3次元CADモデル作成システムの作成フローを説明する。
設計仕様タグ2−1〜2−nが取り付けられた各種プラント機器1−1〜1−nの設置状況を例えばレーザ光を用いた3次元計測装置3により計測し、得られた実測3次元データを3次元データサーバ4に保存する。
【0018】
設計仕様タグ読取部5は、3次元データサーバ4に格納された実測3次元データから設計仕様タグ2−1〜2−nの3次元位置データと設計仕様データを読み取る。
一方、設計3次元CADモデル格納部6には、各種プラント機器のそれぞれの設計情報をもとに作成した設計3次元CADモデル(図4)が格納されている。
【0019】
次に、比較部7において設計3次元CADモデルから設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器を検索し、設計3次元CADモデルにおけるプラント機器1−1〜1−nと設計仕様タグ2−1〜2−nとの対応付けをおこなう。
【0020】
3次元CADモデル作成合成部8では、設計3次元CADモデルにおける各プラント機器に対し、対応する設計仕様タグ2−1〜2−nに記録された設計仕様データを付加するとともに、必要に応じて設計3次元CADモデルの修正をおこなう。
【0021】
設計3次元CADモデルの修正は、ある設計仕様タグの実測3次元位置データが、対応するプラント機器の設計3次元CADモデルに基づく位置データと相違する場合に、設計3次元CADモデルを、設計仕様タグの実測3次元位置データに合致するように修正する。その際、設計仕様タグの実測3次元位置データ以外に、近傍の実測3次元位置データを適宜用いてもよい。
【0022】
(効果)
本第1の実施形態によれば、各種プラント機器の設計仕様データを設計仕様タグにより自動的に取得するとともに、設計仕様タグの3次元位置データを利用して設計3次元CADモデルを簡便に修正することが可能なる。また、この設計仕様データ及び修正された3次元CADモデルを用いることにより、プラント改造検討時に周囲の構造物と計画中の構造物との干渉チェック、搬出入ルートの確認を容易におこなうことができるので、信頼性の高いプラント改造計画を効率よく作成することができる。
【0023】
[第2の実施形態]
本第2の実施形態では、図3に示すように、第1の実施形態の3次元CADモデル作成システムに設計仕様データ検索部9を追加する。設計仕様データ検索部9は、設計仕様タグ読取部5に保存されている設計仕様データを検索する機能を有し、検索条件と一致する設計仕様データに対応するタグ2−1〜2−nの3次元位置データを検索する。これにより設計仕様情報を条件として、対応するプラント機器の3次元位置データを検索可能とする。
本第2の実施形態によれば、設計仕様情報を条件として、対応するプラント機器の3次元位置データを簡便に検索することが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1−1〜1−n…プラント機器、2−1〜2−n…設計仕様タグ、3…3次元計測装置、4…3次元データサーバ、5…設計仕様タグ読取部、6…3次元CADモデル格納部、
7…検索部、8…3次元CADモデル作成合成部、9…設計仕様データ検索部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種プラント機器の各々に取り付けられ設計仕様データを記録した設計仕様タグと、
前記設計仕様タグを含む前記各種プラント機器を3次元計測する3次元計測装置と、
前記3次元計測装置で得られた3次元データを格納する3次元データサーバと、
前記3次元データから前記設計仕様タグの3次元位置データと設計仕様データを読み取る設計仕様タグ読取部と、
前記プラント機器の設計3次元CADモデルを格納した設計3次元CADモデル格納部と、
前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器を検索し、各設計仕様タグと各プラント機器を対応づける検索部と、
前記設計3次元CADモデルに設計仕様データを付加するとともに、前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器の位置データが異なる場合、当該設計仕様タグの3次元位置データに基づいて前記設計3次元CADモデルを修正する3次元CADモデル作成合成部と、を有することを特徴とする3次元CADモデル作成システム。
【請求項2】
前記設計仕様タグ読取部に保存された設計仕様データを検索する設計仕様データ検索部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の3次元CADモデル作成システム。
【請求項3】
設計仕様タグが取り付けられた各種プラント機器を3次元計測装置により計測し、3次元データを得る工程と、
前記3次元データから前記設計仕様タグの3次元位置データと設計仕様データを読み取る工程と、
前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器を設計3次元CADモデルから検索し、各設計仕様タグと各プラント機器を対応づける工程と、
前記設計3次元CADモデルに設計仕様データを付加するとともに、前記設計仕様タグの3次元位置データに対応するプラント機器の位置データが異なる場合、当該設計仕様タグの3次元位置データに基づいて前記設計3次元CADモデルを修正する工程とを有することを特徴とする3次元CADモデル作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−68047(P2012−68047A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210832(P2010−210832)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】