説明

3環性化合物の製造方法

【課題】新規な方法によりフルオレン誘導体を合成する
【解決手段】有機アルミニウム化合物と、特定の2環性含フッ素化合物とを反応させることにより、フルオレン誘導体等の3環性化合物を製造する方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3環性化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオレン誘導体(以下、「フルオレン骨格を有する化合物」、「フルオレン化合物」ともいう。)等の3環性化合物は有機半導体等としての有用性が高いものが知られており、多くの化合物の合成が検討されている。例えば、フルオレン誘導体の場合、材料の安定性を確保するために高Tgであることが求められる。また、フルオレン誘導体を発光材料として使用するためには、発光波長を可視光とする目的から、高分子量の誘導体(ポリフルオレン誘導体)が必要である。このような要件を満たすフルオレン誘導体として、フルオレン骨格の9位にアルキル基又はアリール基が導入されているものが多く知られている。
【0003】
特に、電子デバイス用材料として用いる際の機能の面から、9位にアリール基が導入されたものが有望視されており、従来の合成方法では、9位のアリール基は、フェニル基又は2,2−ビフェニル基のものがほとんどを占める。
【0004】
例えば、非特許文献1では、以下のような合成ルートにより9位にアリール基が導入されたフルオレン誘導体を得ている。
【0005】
【化1】

【0006】
また、非特許文献2では、以下のような合成ルートにより9位にアリール基が導入されたフルオレン誘導体を得ている。
【0007】
【化2】

【0008】
さらに、非特許文献3では、以下のような合成ルートにより9位にアリール基が導入されたフルオレン誘導体を得ている。
【0009】
【化3】

【0010】
しかしながら、非特許文献1〜3に開示されている方法により得られるフルオレン誘導体の合成原料となるフルオレン化合物(モノマー単位)の実用的な合成方法は知られていない。
【0011】
さらに、フルオレン誘導体の実際の使用にあたって重要な点として、純度が挙げられる。フルオレン誘導体の純度を高くするためには、モノマー単位であるフルオレン化合物の分子内の置換位置選択性を確立することが非常に重要である。具体的には、フルオレン母核と9位のアリール基の望む位置に置換基を導入できることが望ましい。
【0012】
これまでに、9−フェニルフルオレン骨格を構築後にフルオレンのフェニル基だけに選択的に臭素を導入する方法が報告されている。しかしながら、実用上十分な純度で目的物を入手するためには、以下に示すように、それぞれのフェニル基に選択的に臭素などのハロゲン元素を導入した後、炭素鎖長の延長を行う必要がある。非特許文献4に開示されている、フルオレンの4,4’位に臭素を導入する方法は下記の通りである。
【0013】
【化4】

【0014】
上記の通り、非特許文献4では、フルオレンに臭素を導入後、酸化によるフルオレノン合成、続いてフェニルマグネシウム試薬によるアリール化とFriedel-Crafts反応によるアリール化反応を行っている。しかし、この方法では、2工程目に9位に導入できるアリール基は、溶媒として用いる芳香族化合物由来のものしか導入できず、該芳香族化合物は反応溶媒として加えることから過剰量が必要となる。
【0015】
一方、特許文献1には、以下のようにアリール基2つを過剰量用いずに導入できる方法が開示されているが、この方法は工程数が多く、最終生成物の収率は満足できるものでは無い。
【0016】
【化5】

【0017】
また、非特許文献5には、フルオレノンの9位のアリール基への臭素導入方法が開示されており、下式の通り、酸存在下に過剰量のアニリンを用いたフルオレノンのアリール化後、アミノ基のジアゾ化−ザンドマイヤー反応による臭素化反応による方法が採用されている。しかしながら、この方法は、重金属である銅を等量用いる必要がある等、課題が多い。
【0018】
【化6】

【0019】
一方、非常に多様なフルオレン誘導体を合成するためには、フルオレン骨格中の望みの位置に置換基を導入できる合成法が望まれる。これには置換基を有するアリール基間のカップリングによりビアリール体を合成してから、例えば、特許文献2の下式のような反応よりフルオレン骨格を構築する方法が優れている。しかしながら、この方法は、大量のポリリン酸中で加熱により環化反応を行う必要があり、良い合成方法とは言い難い。
【0020】
【化7】

【0021】
一方、非特許文献6には、以下のような反応によりフルオレン骨格を有する化合物を得る方法が開示されている。
【0022】
【化8】

【0023】
しかしながら、この方法では過剰量のアート錯体を用いるだけでなく、重金属であるニオブを等量用いる必要があり、またフルオレン骨格を取り込んだ材料を合成するために必要なハロゲン置換基は、還元に耐えられないといった課題がある。さらに、フルオレン骨格の9位の置換基導入にあたり、溶媒として用いる化合物しか許容されない点で制限が大きい。
【特許文献1】特開2007−119785号公報
【特許文献2】特開2006−069999号公報
【非特許文献1】K-T. Wong らJ.Am.Chem.Soc. 2002年、124巻、11576頁
【非特許文献2】O. NuykenらMacromol.Chem.Phys.2000年, 201巻, 2257頁
【非特許文献3】M.S.WongらOrganic Letters,2006年, 8巻, 1499頁
【非特許文献4】Organic Letters 2001年、3巻、2285頁
【非特許文献5】Macromol.Chem.Phys.2000年, 201巻, 2257頁
【非特許文献6】T. Akiyamaら、Chem. Asian J., 2008年, 3巻, 261頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、新規な方法により3環性化合物を合成することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、有機アルミニウム化合物と、特定の2環性含フッ素化合物とを反応させることにより、フルオレン誘導体等の3環性化合物を簡便かつ高収率で製造することができることを見出した。かかる知見に基づきさらに研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の発明を提供する。
項1. 3環性化合物の製造方法であって、下記一般式(1):
Al(R (1)
[式中、Rは同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、3つのRのうち2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。]
で表される有機アルミニウム化合物と、下記一般式(2):
【0026】
【化9】

【0027】
[式中、Ar及びArは同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、
CF基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。]
で表される化合物とを反応させて3環性化合物を製造する方法。
項2. 前記一般式(2)のRがフッ素原子であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3):
【0028】
【化10】

【0029】
[式中、Ar、Ar、Rは、前記に同じであり、2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。]
で表される3環性化合物である項1に記載の製造方法。
項3. 前記一般式(2)のRが水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3c):
【0030】
【化11】

【0031】
[式中、Ar、Ar、R及びRは、前記に同じである。ただし、Rはフッ素原子でない。]
で表される3環性化合物である項1に記載の製造方法。
項4. 3環性化合物の製造方法であって、
工程1:下記一般式(4):
−X (4)
[式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン含有化合物と、下記一般式(5):
−M (5)
[式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、
Mはリチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれる金属を示す。]で表される有機金属化合物とを混合する工程、
工程2:工程1で得られた溶液と下記一般式(6):
Al(R (6)
[式中、Rは同一又は異なって、アルキル基又はハロゲン原子を示す。]
で表されるアルミニウム化合物とを混合する工程、
工程3:工程2で得られた溶液と下記一般式(2):
【0032】
【化12】

【0033】
[式中、Ar及びArは同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、
CF基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合し、
は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。]
で表される化合物とを混合する工程
を含む3環性化合物を製造する方法。
項5. 前記一般式(2)のRがフッ素原子であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3):
【0034】
【化13】

【0035】
[式中、Ar、Ar、Rは、前記に同じである。]
で表される3環性化合物である項4に記載の製造方法。
項6. 前記一般式(2)のRが水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3c):
【0036】
【化14】

【0037】
[式中、Ar、Ar、R及びRは、前記に同じである。]
で表される3環性化合物である項4に記載の製造方法。
項7. 3環性化合物の製造方法であって、
工程1:下記一般式(4b):
【0038】
【化15】

【0039】
[式中、X及びXは同一又は異なってハロゲン原子を示し、
1a及びR1bは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、
m及びnは同一又は異なって、0〜4の整数である。]
で表されるハロゲン含有化合物と、下記一般式(5):
−M (5)
[式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、
Mはリチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれる金属を示す。]で表される有機金属化合物とを混合する工程、
工程2:工程1で得られた溶液と下記一般式(6):
Al(R (6)
[式中、Rは同一又は異なって、アルキル基又はハロゲン原子を示す。]
で表されるアルミニウム化合物とを混合する工程、
工程3:工程2で得られた溶液と下記一般式(2):
【0040】
【化16】

【0041】
[式中、Ar及びArは同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、
CF基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合し、
は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。]
で表される化合物とを混合する工程
を含む3環性化合物を製造する方法。
項8. 前記一般式(2)のRがフッ素原子であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3a):
【0042】
【化17】

【0043】
[式中、Ar、Ar、R1a、R1b、m及びnは前記に同じである。]
で表される3環性化合物である項7に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、従来合成過程が煩雑であったり、収率の低かったフルオレン骨格等を有する3環性化合物を、簡便かつ高収率で製造することができる。特に、本発明においては、アルミニウムのフッ素選択性が高いため、原料フッ素化合物又はアルミニウム試薬の有機基上の望みの位置に予め反応性の置換基を導入しておくことができる。該反応性置換基を導入した3環性化合物を、さらに重合等することにより、有機半導体等としての有用性が高いポリフルオレン誘導体等の3環性化合物の重合体を簡便かつ高収率で合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明は、フルオレン骨格を有する化合物等の3環性化合物の製造方法であって、下記一般式(1):
Al(R (1)
で表される有機アルミニウム化合物と、下記一般式(2):
【0046】
【化18】

【0047】
で表される化合物とを反応させることを特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0048】
I.有機アルミニウム化合物
本発明においては、有機アルミニウム化合物として、下記一般式(1):
Al(R (1)
で表されるものを使用する。
【0049】
一般式(1)において、Rは同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。また、3つのRのうち2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0050】
一般式(1)のRで示される「置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基としては、C1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等のC1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、C1〜8アルキル基である。該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。置換基を有するものとして、例えば、ここに例示されたアルキル基中の全てのH原子がF原子で置換されたパーフルオロアルキル基が挙げられる。
【0051】
で示される「置換されていてもよいアルコキシ基」のアルコキシ基としては、C1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピロキシ、イソプロピロキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、オクチロキシ等のC1〜12のアルコキシ基が挙げられる。より好ましくは、C1〜8アルコキシ基である。該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。
【0052】
で示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基としては、例えば、1〜4環性のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等が例示される。
【0053】
該アリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基等が例示される。該アリール基は、これらなる群より選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
【0054】
で示される「置換されていてもよいヘテロアリール基」のヘテロアリール基としては、例えば、1〜4環性の酸素、窒素及び硫黄から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を環に有するアリール基が挙げられ、具体的には、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等が例示される。
【0055】
該ヘテロアリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基等が例示される。該ヘテロアリール基は、これらなる群より選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
【0056】
で示される「置換されていてもよいアラルキル基」のアラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル、ベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル等のC7〜C20アラルキル基などが挙げられる。該アラルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。
【0057】
で示される「置換されていてもよいアルケニル基」のアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、イソブテニルなどの直鎖又は分枝を有するC2〜C20アルケニル基、好ましくはC2〜C12アルケニル基が挙げられる。該アルケニル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。置換されたアルケニル基として、例えば、α又はβ-スチリル、2,2-ジフェニルビニル基等が挙げられる。
【0058】
で示される「置換されていてもよいアルキニル基」のアルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、1−オクチニルなどの直鎖又は分枝を有するC2〜C20アルキニル基、好ましくはC2〜C12アルキニル基が挙げられる。該アルキニル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。置換されたアルキニル基として、例えば、2−フェニルエチニル基等が挙げられる。
【0059】
また、3つのRのうち2つのRは互いに結合して環を形成する場合、該結合は、単結合、アルキレン結合、ヘテロ原子(O、N、S等)を介した結合のいずれであってもよい。
【0060】
一般式(1)で表されるアルミニウム化合物において、3つのRのうち2つのRが互いに結合して環を形成する場合の具体例としては、下記一般式(1a)で示される化合物が挙げられる。
【0061】
【化19】

【0062】
一般式(1a)において、Rは前記一般式(1)と同じものである。
【0063】
また、一般式(1a)において、R1a及びR1bは同一又は異なって、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基を示す。
【0064】
本発明の製造方法により得られた3環性化合物をさらに重合等の反応に供する場合、これらのR1a及びR1bの中でも、ハロゲン原子、ボロン酸エステル基、保護されたアミノ基、保護されたカルボキシル基、保護された水酸基、保護されたシリル基、アジド基等が特に好ましい。さらに、これらの中でも、ハロゲン原子が特に好ましい。
【0065】
一般式(1a)において、R1a及びR1bで示される芳香環上の置換基の個数を示すm及びnは、同一又は異なって、通常、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは1である。例えば、本発明で得られる3環性化合物(フルオレン化合物)が、R1a及びR1bで示される芳香環上の置換基をそれぞれ1つずつ有し、かつ、これらの置換基が反応性又は重合性を有する場合、本発明により得られるフルオレン化合物を重合等してポリフルオレン誘導体を簡便に製造することができる。
【0066】
また、R1a及びR1bで示される芳香環上の置換基が反応性又は重合性でない場合も、これらの置換基を重合性の置換基に変換(例えば、脱保護反応)した後、反応又は重合することにより、ポリフルオレン誘導体を得ることもできる。
【0067】
有機アルミニウム化合物の調製
本発明において、有機アルミニウム化合物は、例えば、下記一般式(4):
−X (4)
で表されるハロゲン含有化合物と、下記一般式(5):
−M (5)
で表される有機金属化合物と、
下記一般式(6):
Al(R (6)
で表されるアルミニウム化合物とを混合することによって調製することができる。
【0068】
一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物、一般式(5)で表される有機金属化合物、及び一般式(6)で表されるアルミニウム化合物の混合順序は特に限定されないが、一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物と一般式(5)で表される有機金属化合物とを混合して一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物中の置換基Xを金属Mに置換した後、これに一般式(6)で表されるアルミニウム化合物を加えることにより、一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を調製するのがより好ましい。
【0069】
前記一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物において、Xはハロゲン原子を示す。該ハロゲン原子は、F、Cl、Br又はIであり、好ましくはBr又はIである。また、Rは前記一般式(1)と同じものである。
【0070】
一般式(5)において、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、これらの具体例としては、一般式(1)のRと同じものが挙げられる。特に、RがC1〜C12アルキル基、フェニル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキニル基が好ましい。また、Mはリチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれる金属を示す。
【0071】
また、上記一般式(5)で表される有機金属化合物のうち好適な具体例としては、Mがリチウムの場合、一般式(5a):
−Li (5a)
(式中、Rは前記一般式(5)のものと同じである。)
で表される化合物が挙げられる。
【0072】
Mがホウ素の場合、一般式(5b):
(RB (5b)
(式中、Rは前記一般式(5)のものと同じである。)
で表される化合物が挙げられる。
【0073】
Mがマグネシウムの場合、一般式(5c):
−MgY (5c)
(式中、Yはハロゲン原子を示し、Rは前記一般式(5)のものと同じである。)
で表される化合物が挙げられる。Yで示されるハロゲン原子としては、Cl、Br又はIが挙げられ、好ましくはCl又はBrである。
【0074】
Mが亜鉛の場合、一般式(5d):
(RZn (5d)
(式中、Rは前記一般式(5)のものと同じである。)
で表される化合物が挙げられる。
【0075】
Mが銅の場合、一般式(5e):
(RCuLi、(RCuMgY、(RCuMgLiY、又はRCu・BF (5e)
(式中、Yはハロゲン原子を示し、Rは前記一般式(5)のものと同じである。)
で表される化合物が挙げられる。Yで示されるハロゲン原子としては、Cl、Br又はIが挙げられ、好ましくはCl又はBrである。
【0076】
上記の有機基を含む有機金属化合物のうち、好ましくは一般式(5a)〜(5d)で表される化合物であり、より好ましくは一般式(5a)又は(5c)で表される化合物である。
【0077】
上記の有機基を含む有機金属化合物は、通常単離することは困難であるため、適切な溶液中で調製される。この調製方法は、いずれも公知の方法を採用することができる。
【0078】
一般式(6)で表されるアルミニウム化合物において、Rは同一又は異なって、アルキル基又はハロゲン原子を示す。
【0079】
で示されるアルキル基としては、例えば、C1〜C20アルキル基が挙げられる。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。また、Rで示されるハロゲン原子としては、F、Cl、Br又はIが挙げられ、好ましくはCl又はBrである。
【0080】
一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物、一般式(5)で表される有機金属化合物及び一般式(6)で表されるアルミニウム化合物の混合割合は、一般式(6)で表されるアルミニウム化合物1モルに対し、一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物を通常1〜2モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度の範囲、一般式(5)で表される有機金属化合物を通常3〜6モル程度、好ましくは3〜4.5モル程度の範囲として調製すればよい。
【0081】
また、この調製で用いられる溶媒としては非プロトン溶媒が用いられる。例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素等の塩素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらの中ではジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の低極性の溶媒が好ましく、さらにはジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素などの塩素系溶媒とベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が最も好ましく用いられる。
【0082】
調製は、無水条件下、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)雰囲気下で行うことが好ましい。
【0083】
調製温度は用いられるアルミニウムの活性、及び有機金属化合物の活性等に応じて適宜選択することができる。通常は、例えば−78℃から200℃程度、好ましくは−30℃から100℃程度の範囲であり、室温から用いる溶媒の沸点程度が用いられる。
【0084】
調製は、上記の反応温度で数分間から数日で終了する。調製の進行は種々の分析方法で評価でき、GLC、HPLC、TLC、NMR、IRなどの分析手段が有効である。
【0085】
また、前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物において、3つのRのうち2つのRが互いに結合して環を形成した一般式(1a)のような有機アルミニウム化合物を調製する場合、前記一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物の代わりに、前記一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物のR基が結合して二量化した化合物に対応する下記一般式(4a):
−R1c−R1c−X (4a)
で表される化合物を使用すればよい。
【0086】
一般式(4a)で表されるハロゲン含有化合物において、X及びXで示されるハロゲン原子は同一又は異なって、前記一般式(4)のXと同じものが挙げられる。また、R1cで示される基は、前記一般式(1)及び(4)のRで示される基に対応する2価の基である。即ち、R1cで示される基は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルコキシレン基、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよいヘテロアリーレン基、置換されていてもよいアラルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいアルキニレン基を示す。これらの2価の基の具体例は、前記一般式(1)のRで示される基に対応する2価の基が挙げられる。
【0087】
一般式(4a)で表されるハロゲン含有化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(4b):
【0088】
【化20】

【0089】
で表される化合物が挙げられる。
【0090】
一般式(4b)において、X及びXは前記一般式(4a)のものと同じである。
【0091】
また、一般式(4b)において、R1a及びR1b並びにR1a及びR1bで示される芳香環上の置換基の個数を示すm及びnは、同一又は異なって、前記一般式(1a)で示される有機アルミニウム化合物のものと同じである。
【0092】
一般式(4b)で表されるハロゲン含有化合物を原料として用いることにより、前記一般式(1a)で表される有機アルミニウム化合物を調製することができる。
【0093】
有機アルミニウム化合物の調製において、一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物の代わりに、前記一般式(4a)又は一般式(4b)で示されるハロゲン含有化合物を使用する場合も、前記一般式(4)で表されるハロゲン含有化合物を使用する場合と同様の調製条件で有機アルミニウム化合物を調製できる。
【0094】
II. フッ素化合物
本発明の製造方法において、原料として使用されるフッ素化合物は、下記一般式(2):
【0095】
【化21】

【0096】
で表される。
【0097】
一般式(2)において、Ar及びArで表される環は同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。
【0098】
Ar及びArで示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基としては、例えば、1〜4環性のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等が例示される。
【0099】
該アリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基等が例示される。該アリール基は、これらなる群より選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
【0100】
Ar及びArで示される「置換されていてもよいヘテロアリール基」のヘテロアリール基としては、例えば、1〜4環性の酸素、窒素及び硫黄から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を環に有するアリール基が挙げられ、具体的には、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等が例示される。
【0101】
該ヘテロアリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基等が例示される。該ヘテロアリール基は、これらなる群より選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
【0102】
また、一般式(2)において、式:CFで示される基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合する。
【0103】
一般式(2)において、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。
【0104】
で示されるハロゲン原子としては、F、Cl、Br、Iが挙げられ、好ましくはF、Cl又はBrである。
【0105】
で示される「置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基としては、C1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等のC1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、C1〜8アルキル基である。該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。
【0106】
で示される「置換されていてもよいアルコキシ基」のアルコキシ基としては、C1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピロキシ、イソプロピロキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、オクチロキシ等のC1〜12のアルコキシ基が挙げられる。より好ましくは、C1〜8アルコキシ基である。該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。
【0107】
で示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基としては、例えば、1〜4環性のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等が例示される。
【0108】
該アリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基等が例示される。該アリール基は、これらなる群より選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
【0109】
で示される「置換されていてもよいヘテロアリール基」のヘテロアリール基としては、例えば、1〜4環性の酸素、窒素及び硫黄から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を環に有するアリール基が挙げられ、具体的には、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等が例示される。
【0110】
該ヘテロアリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基等が例示される。該ヘテロアリール基は、これらなる群より選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
【0111】
で示される「置換されていてもよいアラルキル基」のアラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル、ベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル等のC7〜C20アラルキル基などが挙げられる。該アラルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。
【0112】
で示される「置換されていてもよいアルケニル基」のアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、イソブテニルなどの直鎖又は分枝を有するC2〜C20アルケニル基、好ましくはC2〜C12アルケニル基が挙げられる。該アルケニル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。置換されたアルケニル基として、例えば、α又はβ-スチリル、2,2-ジフェニルビニル基等が挙げられる。
【0113】
で示される「置換されていてもよいアルキニル基」のアルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、1−オクチニルなどの直鎖又は分枝を有するC2〜C20アルキニル基、好ましくはC2〜C12アルキニル基が挙げられる。該アルキニル基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明の方法に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。置換されたアルキニル基として、例えば、2−フェニルエチニル基等が挙げられる。
【0114】
なお、上記一般式(2)で表される含フッ素化合物は、市販されているか或いは公知の方法に準じて当業者が容易に製造することができる。
【0115】
前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の具体例としては、下記一般式(2a):
【0116】
【化22】

【0117】
で表される化合物が挙げられる。
【0118】
一般式において、Rは前記一般式(2)と同じものである。
【0119】
前記一般式において、R2a及びR2bは同一又は異なって、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、C1〜20アルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2〜20アルケニル基)、アルコキシ基(例えば、C1〜20アルコキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、C2〜20アルケニルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、C1〜20アルキルチオ基)、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、エステル基(例えば−COO-tert-Bu等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、−OH、−O-Sitert-BuMe等)、保護されていてもよいアミノ基(−NH、−NHCH、−NCHPh等)、カルボニル基、ニトリル基、アジド基、ボロン酸エステル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいチオール基、保護されていてもよいシリル基を示す。
【0120】
本発明の製造方法により得られた3環性化合物をさらに重合等の反応に供する場合、これらのR2a及びR2bの中でもハロゲン原子、ボロン酸エステル基、保護されたアミノ基、保護されたカルボキシル基、保護された水酸基、保護されたシリル基、アジド基等が特に好ましい。
【0121】
本発明の製造方法において、一般式(2a)で表される含フッ素化合物を原料として使用すると、フルオレン骨格を有する化合物が得られる。
【0122】
一般式(2a)において、R2a及びR2bで示される芳香環上の置換基の個数を示すm及びnは、同一又は異なって、通常、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは1である。例えば、一般式(2a)において、R2a及びR2bで示される芳香環上の置換基をそれぞれ1つずつ有し、かつ、これらの置換基が反応性又は重合性を有する場合、本発明により得られる2環性化合物を重合等してポリフルオレン誘導体を簡便に製造することができる。
【0123】
また、R2a及びR2bで示される芳香環上の置換基が反応性又は重合性でない場合も、これらの置換基を重合性の置換基に変換(例えば、脱保護反応)した後、反応又は重合することにより、ポリフルオレン誘導体を得ることもできる。
【0124】
III. 3環性化合物
前記の通り、本発明の製造方法においては、前記一般式(2)で表される含フッ素化合物中のArとArとの結合位置をそれぞれ1位として、ArとArのそれぞれ2位に少なくとも1つのCF基(Ar上)及びH基(Ar上)が存在する。反応機構は明らかでないが、該含フッ素化合物を前記有機アルミニウム化合物と反応させることにより、Arの2位に結合するCF基のF原子及びAr上の2位のH原子が一般式(2)で表される化合物から離れて、CF基のC原子とArの2位のC原子が結合して環を形成し、5員環を有する3環性化合物が得られるものと考えられる。
【0125】
前記一般式(2)で表される含フッ素化合物において、前記Rがフッ素原子である場合、即ち、Arの2位のCF基がCF基である場合、下記一般式(3):
【0126】
【化23】

【0127】
で表される3環性化合物が得られる。
【0128】
一般式(3)において、Ar、Ar、Rは、前記一般式(1)及び一般式(2)のものと同じである。
【0129】
また、2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、前記一般式(1a)で示される有機アルミニウム化合物と前記一般式(2)で表される化合物とを反応させると、下記一般式(3a):
【0130】
【化24】

【0131】
で表される3環性化合物(フルオレン化合物)が得られる。
【0132】
一般式(3a)において、Ar、Ar、R1a、R1b、m及びnは、前記一般式(1a)及び一般式(2)のものと同じである。
【0133】
さらに、例えば、前記一般式(2a)で表される含フッ素化合物において、前記Rがフッ素原子である場合、前記一般式(1a)で示される有機アルミニウム化合物と前記一般式(2a)で表される含フッ素化合物とを反応させると、下記一般式(3b):
【0134】
【化25】

【0135】
で表される3環性化合物(フルオレン化合物)が得られる。
【0136】
一般式(3b)において、R1a、R1b、R2a、R2b、m及びnは、前記一般式(1a)及び一般式(2a)のものと同じである。
【0137】
また、前記一般式(2)で表される含フッ素化合物において、前記Rが水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基である場合、下記一般式(3c):
【0138】
【化26】

【0139】
で表される3環性化合物が得られる。
【0140】
一般式(3c)において、Ar、Ar、R及びRは、前記一般式(1)及び一般式(2)のものと同じである。なお、一般式(3c)において、Rはフッ素原子でない。
【0141】
ここで、一般式(2a)で表される含フッ素化合物と前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物とを反応させると、下記一般式(3d):
【0142】
【化27】

【0143】
で表される3環性化合物(フルオレン化合物)が得られる。
【0144】
一般式(3d)において、R2a、R2b、R、R、m及びnは、前記一般式(1)及び一般式(2a)のものと同じである。
【0145】
本発明によれば、芳香環上に置換基を有するフッ素化合物を原料として使用することにより、芳香環上の望みの位置に置換基が導入された前記一般式(3)等で表される3環性化合物が得られる。このような化合物は、モノマーとしての有用性が極めて高く、重合によりポリフルオレン誘導体等に導くことができる。
【0146】
IV. 製造方法
本発明は、前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物と、前記一般式(2)
で表される含フッ素化合物とを適切な溶媒中で反応させて行う。
【0147】
本反応で用いられる反応溶媒としては非プロトン溶媒が用いられる。例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素等の塩素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらの中ではジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの低極性の溶媒が好ましく、さらにはジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素などの塩素系溶媒とベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が最も好ましく用いられる。
【0148】
有機アルミニウム化合物の使用量は、原料含フッ素化合物1モルに対し、通常0.1〜20モル程度、好ましくは1〜10モル程度、さらに好ましくは2〜5モル程度の範囲である。
【0149】
反応における原料含フッ素化合物の濃度は、通常0.01〜10モル/L程度、好ましくは0.1〜5モル/L程度である。
【0150】
原料含フッ素化合物、有機アルミニウム化合物及び溶媒の混合順序は特に限定されない。好ましくは、溶媒と有機アルミニウム化合物の混合物に原料含フッ素化合物を加える方法、溶媒と原料含フッ素化合物の溶液に有機アルミニウム化合物を加える方法が挙げられる。
【0151】
反応は、無水条件下、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)雰囲気下で行うことが好ましい。
【0152】
反応温度は用いられるルイス酸として機能するアルミニウムの活性等に応じて適宜選択することができる。通常は、例えば−78℃から200℃程度、好ましくは−30℃から100℃の範囲であり、室温から用いる溶媒の沸点程度が用いられる。
【0153】
本発明の反応は、上記の反応温度で数分間から数日で終了する。反応の進行は種々の分析方法で評価でき、GLC、HPLC、TLC、NMR、IRなどの分析手段が有効である。
【0154】
反応終了後は、通常の精製工程を経て、前記3環性化合物が得られる。該化合物の精製工程は公知の方法を採用でき、例えば、反応液に必要に応じて有機溶媒を加えて抽出し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法で精製できる。
【0155】
本発明においては、原料含フッ素化合物に、前記一般式(4)等で表されるハロゲン含有化合物、一般式(5)等で表される有機金属化合物及び一般式(6)で表されるアルミニウム化合物とを混合することによっても3環性化合物を得ることができる。
【0156】
この場合の各試薬の混合順序は特に限定されないが、好ましくは、前記一般式(4)等で表されるハロゲン含有化合物と、前記一般式(5)等で表される有機金属化合物とを混合する工程1、
工程1で得られた溶液と前記一般式(6)で表されるアルミニウム化合物とを混合する工程2、及び
工程2で得られた溶液と前記一般式(2)等で表される含フッ素化合物とを混合する工程3
を含む方法により、一連の工程(in situ)で目的とする3環性化合物を製造することができる。
【0157】
この場合、反応系中で前記一般式(1)等で表される有機アルミニウム化合物が一旦生成し、これが前記一般式(2)等で示されるフッ素化合物と反応して3環性化合物が生成している場合と、一般式(1)等で表される有機アルミニウム化合物が明確には形成されずに、前記一般式(3)等で表される3環性化合物が生成している場合とが考えられるが、前記一般式(3)等で表される3環性化合物が得られれば、いずれの反応形式で反応が進行してもよい。
【0158】
前記の通り、本発明の製造方法においては、前記一般式(2)等で表される含フッ素化合物中のArとArとの結合位置をそれぞれ1位として、ArとArのそれぞれ2位に少なくとも1つCF基(Ar上)及びH基(Ar上)が存在する。反応機構は明らかではないが、該含フッ素化合物を前記有機アルミニウム化合物と反応させる(又は前記のようにin situで反応させる)ことにより、Arの2位に結合するCF基のF原子及びAr上の2位のH原子が一般式(2)等で表される化合物から離れて、CF基のC原子とArの2位のC原子が結合して環を形成し、5員環を有する3環性化合物が得られるものと考えられる。
【0159】
前記一般式(2)で表される含フッ素化合物において、前記Rがフッ素原子である場合、即ち、Arの2位のCF基がCF基である場合、前記の通り、下記一般式(3):
【0160】
【化28】

【0161】
で表される3環性化合物が得られる。
【0162】
一般式(3)において、Ar、Ar、Rは、前記一般式(1)及び一般式(2)のものと同じである。また、2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0163】
なお、この場合、上記一般式(3)で示される化合物に加えて、環形成反応が進行しなかった場合に生成する下記一般式(3f):
【0164】
【化29】

【0165】
で表される化合物が得られることがある。
【0166】
一般式(3f)において、Ar、Ar、Rは、前記一般式(1)及び一般式(2)のものと同じである。また、前記の通り、3つのRのうち2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0167】
また、前記一般式(2)で表される含フッ素化合物において、前記Rが水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基である場合、前記の通り、下記一般式(3c):
【0168】
【化30】

【0169】
で表される3環性化合物が得られる。
【0170】
一般式(3c)において、Ar、Ar、R及びRは、前記一般式(1)及び一般式(2)のものと同じである。なお、一般式(3c)において、R基はF原子ではない。
【0171】
この場合、上記一般式(3c)で示される化合物に加えて、環形成反応が進行しなかった下記一般式(3g):
【0172】
【化31】

【0173】
で表される化合物が得られることがある。
【0174】
一般式(3g)において、Ar、Ar、R及びRは、前記一般式(1)及び一般式(2)のものと同じである。なお、一般式(3g)において、R基はF原子ではない。2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0175】
本発明によれば、芳香環上に置換基を有するフッ素化合物を原料として使用することにより、芳香環上の望みの位置に置換基が導入された前記一般式(3)等で表される3環性化合物が得られる。このような化合物は、モノマーとしての有用性が極めて高く、重合によりポリフルオレン誘導体等の3環性化合物の重合体に導くことができる。
【0176】
本発明の製造方法における反応機構は明確ではないが、有機アルミニウム化合物による脱フッ素置換反応後、脱フッ素過程で生じたカチオン中間体が、分子内のアリール基へFriedel-Crafts反応を起こして環化するものと推定される。後述の参考例に示すように、第一の脱フッ素置換による新たな炭素−炭素結合の生成過程は、アート錯体ではうまく進行させることが出来ない。本発明では中性の3価のアルミニウム試薬を使用することが必須であり、非特許文献6に記載の反応とは、この点で明確に異なった反応である。非特許文献6に記載の反応ではアート錯体を用いるために、ニオブなどの重金属を併用しなければならないものと推測される。
【0177】
本発明で用いられる基質である原料フッ素化合物(例えば、2−フルオロアルキルビフェニル誘導体等)は、以下に示す様な種々の方法で合成できるため入手が容易であり、このため既存技術による方法よりも容易に多様性に富んだ3環性化合物を合成できる。
1)2−ハロゲン化ビアリール(又はヘテロビアリール)へのフルオロアルキル基の導入
2)2位にカルボニル基やアセタール基を有するビアリール誘導体(又はヘテロビアリール誘導体)のフッ素化剤によるジフルオロメチル化反応
3)2位にフルオロアルキル基を有するアリール化合物(又はヘテロアリール化合物)のカップリング反応によるビアリール化反応
これらの中でも、3)の方法から合成すれば、ビアリール(又はヘテロビアリール)骨格に非常に多様な置換基導入が可能になるため、本発明の製造方法により得られる3環性化合物にも多くの置換基を望みの位置に導入できる。このようにして、既存の方法では得られなかった3環性化合物(フルオレン誘導体等)及びこれを用いた新たな有機半導体材料等を製造することが期待できる。
【0178】
V. 使用方法
前記の通り、本発明の製造方法により得られる3環性化合物は、原料含フッ素化合物及び/又は有機アルミニウム化合物の有機基上の望みの位置に置換基を導入しておくことができる。よって、本発明の製造方法により得られた3環性化合物が重合性の置換基(例えば、ハロゲン基、ボロン酸、ボロン酸エステル等)を有する場合、又は該化合物の置換基(保護基等)を重合性置換基に変換した場合、これらの化合物を重合することにより、有機半導体としての有用性が高いポリフルオレン誘導体等の3環性化合物の重合体を簡便かつ高収率に合成することができる。
【0179】
本発明の製造方法により得られた3環性化合物を重合して3環性化合物重合体を得る方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、WO00/53656に開示されるスズキ重合、Macromolecules, 31, 1099−1103(1988)に開示されるヤマモト重合等を用いることができる。スズキ重合は、ハロゲン基及びボロン誘導配位基のカップリングを伴う。ヤマモト重合は、ハロゲン基のカップリングを伴う。したがって、例えば、ヤマモト重合を想定する場合、フルオレン化合物に予め導入する重合性の置換基としては、ハロゲン基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボラン基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0180】
以上の通り、本願発明の製造方法によって得られる3環性化合物をこれらの方法により重合する場合、有機アルミニウム化合物の有機基上及び/又は原料含フッ素化合物の芳香環上に、ハロゲン基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボラン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性の置換基を導入しておけばよい。
【0181】
本発明の製造方法により得られる一般式(3)等で表される3環性化合物を重合して3環性化合物の重合体を得る場合、該3環性化合物を1種単独で重合してもよいし、2種以上を混合して重合してもよい。
【0182】
3環性化合物を重合してポリフルオレン誘導体とする場合、該ポリフルオレン誘導体の平均分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、良好な機械的特性が得られる点で、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算重量平均分子量が、2000〜1000000であることが好ましく、特に良好な溶解性および加工特性が得られる点で、5000〜500000であることが好ましい。
【実施例】
【0183】
以下に実施例を示し、本発明の特徴を明確にする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0184】
実施例1(2−フェニルベンゾトリフロリドから9,9-ジメチルフルオレンの合成)
窒素雰囲気下、2−フェニルベンゾトリフロリド(0.2mmol)のジクロロエタン(1mL)溶液に、2Nトリメチルアルミニウム−ヘキサン溶液(1mmol)を室温で滴下した。その温度で30分間攪拌した後、1N塩酸水溶液で反応を停止し、エーテルで生成物を抽出した。デカンを内部標準としてGLCで収率を積算した(収率48%)。構造はGC−MSにより決定した。
【0185】
【化32】

【0186】
MS m/z 194 (M+), 179 (M-CH3), 89 (C7H5).
1H-NMR (CDCl3):δ1.48 (s, 6H), 7.25 - 7.34 (m, 4H), 7.40 - 7.45 (m, 2H), 7.70 - 7.73 (m, 2H)。
【0187】
実施例2(トリフェニルアルミニウムヘキサン溶液の調製と2−フェニルベンゾトリフロリドから9,9-ジフェニルフルオレンの合成)
窒素雰囲気下、二径フラスコ中に入れたn-BuLi(1Mヘキサン溶液)3mL(3mmol)中に、−78℃でヨードベンゼン(612mg, 3mmol)を滴下した。この溶液を、室温で1時間攪拌した。ここで得られたフェニルリチウム溶液を−78℃に冷却し、窒素気流下で臭化アルミニウム267mg(1mmol)を加えて攪拌した。さらにこの溶液に塩化メチレン3mLを加え−78℃で24時間攪拌した。
【0188】
ここで得られたトリフェニルアルミニウム溶液に、攪拌下に室温で、2−フェニルベンゾトリフロリド(0.2mmol)を加えた。この反応液をこの温度で1時間攪拌後、1N塩酸でクエンチし、エーテル抽出した。反応液のGLC分析より、9,9-ジフェニルフルオレンが12%収率で得られたことが判った。なお、ここで得られた生成物の構造は、GC-MSによる分析において分子イオンピークおよびフラグメントピークから決定した。
【0189】
【化33】

【0190】
MS m/z 318 (M+), 241 (M-C6H5).
1H-NMR(CDCl3):δ 7.10-7.60 (m, 16H), 7.76 (d, J=7.6Hz, 2H).
13C-NMR(CDCl3):δ 65.48, 120.13, 126.20, 126.60, 127.44, 127.69, 128.13, 128.18, 140.14, 145.93, 151.14。
【0191】
実施例3(2,2−ビフェニルアルミニウムの調製と2−フェニルベンゾトリフロリドからスピロビフルオレンの合成)
2,2−ジヨードビフェニル(0.6mmol)とn-ブリルリチウム(1.8mmol)をヘキサン−トルエン(1:1、2mL)中で室温下、1時間攪拌し、2,2−ジリチオビフェニルを調製した。これに臭化アルミニウム(0.55mmol)を加えて、室温で30分間攪拌することで、2,2−ビフェニルアルミニウムのヘキサン溶液を調製した。この溶液に2−フェニルベンゾトリフロリド(0.5mmol)のトルエン溶液(5mL)を滴下して、室温で1時間攪拌した。反応液をこれまで同様に後処理した後、反応液のGC-MS及びGLC分析から、スピロビフルオレンが27%収率で得られていることを確認した。
【0192】
【化34】

【0193】
MS m/z 316 (M+).
1H-NMR(CDCl3):δ 6.72 (d, J=7.6Hz, 4H), 7.06-7.11 (m, 4H), 7.30 - 7.37 (m, 4H), 7.83 (d, J=7.6Hz, 4H).
13C-NMR(CDCl3):δ 65.92, 119.95, 124,01, 127.67, 127.78, 141.73, 148.74。
【0194】
実施例4(2,7−ジブロモスピロビフルオレンの合成)
4,4’-ジブロモ-2-トリフルオロメチルビフェニルを4,4’-ジブロモビフェニル-2-カルボン酸 (J.Am.Chem.Soc.,1956年,78巻,3196頁に従い合成した)からSF4により合成した。次に、実施例3と同様にして調製したビフェニルアルミニウム試薬(0.55mmol、ヘキサン−トルエン溶液(1:1、2mL))に、室温で4,4’-ジブロモ-2-トリフルオロメチルビフェニル(0.5mmol)のトルエン溶液(5mL)を滴下して、この温度で30分間攪拌した。後処理後、反応液のGC-MS及びGLC分析から、2,7−ジブロモスピロビフルオレンが45%収率で得られていることが判った。
【0195】
【化35】

【0196】
MS m/z 477 (M+5), 475 (M+3), 473 (M+1), 396 (M+3-Br), 394(M+1-Br), 334, 314
1H-NMR(CDCl3):δ6.72 (d, J=7.5Hz, 2H), 6.85 (s, 2H), 7.06 - 7.11 (m, 2H), 7.33 - 7.37 (m, 2H), 7.50 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.65 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.83 (d, J=7.5Hz, 2H)。
【0197】
実施例5(2−ブロモスピロビフルオレンの合成)
4−ブロモ−2−フェニルベンゾトリフロリドをChemistry&Biology, 2006年,13巻,1227頁に従い合成した。次に、実施例3と同様にして調製した2,2−ビフェニルアルミニウム試薬(0.44mmol)に、室温で4−ブロモ−2−フェニルベンゾトリフロリド(0.4mmol)のキシレン溶液(5mL)を滴下して、この温度で30分間攪拌した。後処理後、反応液のGC-MS及びGLC分析から、2−ブロモスピロビフルオレンが50%収率で得られていることを確認した。
【0198】
【化36】

【0199】
MS m/z 396 (M+2), 394 (M+), 315 (M-Br).
1H-NMR(CDCl3):δ6.70 - 6.88 (m, 2H), 6.75 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.15 - 7.20 (m, 3H), 7.33 - 7.43 (m, 2H), 7.35 - 7.56 (m, 2H), 7.74 - 7.87 (m, 2H), 7.75 (d, J=7.5Hz, 2H)。
【0200】
実施例6(スピロインデノチオフェンフルオレンの合成)
3−フェニル−2−トリフルオロメチルチオフェンをApoLLo社より購入してそのまま使用した。実施例3と同様にして調製した2,2−ビフェニルアルミニウム試薬(0.44mmol)に、室温で3−フェニル−2−トリフルオロメチルチオフェン(0.4mmol)のキシレン溶液(5mL)を滴下して、この温度で1時間攪拌した。後処理後、反応液のGC-MS及びGLC分析から、スピロインデノチオフェンフルオレンが46%収率で得られていることが確認された。
【0201】
【化37】

【0202】
MS m/z 322 (M+).
1H-NMR(CDCl3):δ6.60 (d,J=7.6Hz, 1H), 6.82 (d, J=7.2Hz, 2H), 6.95 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.15 (t, J=7.5Hz, 2H), 7.28 (t, J=7.5Hz, 1H), 7.34 - 7.40 (m, 4H), 7.58(d, J=7.5Hz, 1H), 7.82 (d, J=7.5Hz, 2H)。
【0203】
実施例7(2−ジフルオロメチルビフェニルとトリメチルアルミニウムによる9-メチルフルオレンの合成)
2−ジフルオロメチルビフェニルは2-biphenylcarboxaldehyde(アルドリッチ社購入)と2,2-difluoro-1,3-dimethylimidazolidine(東京化成社購入)を、アセトニトリル中で加熱することにより合成した。窒素雰囲気下、2−ジフルオロメチルビフェニル(0.2mmol)のジクロロエタン(1mL)溶液に、2Nトリメチルアルミニウム−ヘキサン溶液(1mmol)を室温で滴下した。その温度で30分間攪拌した後、1N塩酸水溶液で反応を停止し、エーテルで生成物を抽出した。デカンを内部標準としてGLCで収率を積算した(収率35%)。構造はGC−MSにより決定した。
【0204】
【化38】

【0205】
MS m/z 180 (M+), 179 (M-H), 165 (M-CH3).
1H-NMR (CDCl3):δ1.53 (t, J= 7.6H, 3H), 3.95 (q, J= 7.6H, 1H), 7.28 - 7.40 (m, 4H), 7.50 - 7.55 (m, 2H), 7.75 - 7.80 (m, 2H).
13C-NMR (CDCl3):δ18.3, 42.4, 119.8, 124.1, 126.5, 127.0, 140.6, 149.2。
【0206】
参考例1(2,2−ビフェニルアルミニウムとジフェニルジフルオロメタンの脱フッ素ビフェニル化反応)
実施例3と同様にして調製した2,2−ビフェニルアルミニウム(0.4mmol)のヘキサン溶液に、さらに当モル量のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液を加えて2,2−ビフェニルアルミニウムにブチルアニオンの付加したアート錯体を調製した。この溶液にジフェニルジフルオロメタン(0.2mmol)を滴下して、室温で30分間攪拌した。1N塩酸で後処理後、生成物のGLC分析から9,9-ジフェニルフルオレンが1%収率でしか得られていないことが確認された。
【0207】
参考例2
実施例2と同様にして調製したトリフェニルアルミニウム(0.8mmol)のヘキサン溶液(1mL)に4−イソブチル−α, α−ジフルオロトルエン(0.2mmol)のジクロロエタン溶液(1mL)を室温で30分間攪拌した。後処理後、GLCおよびGC−MSにより4−イソブチルフェニルジフェニルメタンが84%の収率で得られていた。
【0208】
【化39】

【0209】
参考例3
実施例2の方法により得られたトリフェニルアルミニウムにさらにアルミニウムと当モルのフェニルリチウムを滴下して、テトラフェニルアルミニウムリチウム−アート錯体のヘキサン溶液を調製した。これに参考例3と同様に4−イソブチル−α, α−ジフルオロトルエンを反応させたところ、目的物の収率は20%に過ぎなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3環性化合物の製造方法であって、下記一般式(1):
Al(R (1)
[式中、Rは同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、3つのRのうち2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。]
で表される有機アルミニウム化合物と、下記一般式(2):
【化1】

[式中、Ar及びArは同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、
CF基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。]
で表される化合物とを反応させて3環性化合物を製造する方法。
【請求項2】
前記一般式(2)のRがフッ素原子であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3):
【化2】

[式中、Ar、Ar、Rは、前記に同じであり、2つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。]
で表される3環性化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記一般式(2)のRが水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3c):
【化3】

[式中、Ar、Ar、R及びRは、前記に同じである。ただし、Rはフッ素原子でない。]
で表される3環性化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
3環性化合物の製造方法であって、
工程1:下記一般式(4):
−X (4)
[式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン含有化合物と、下記一般式(5):
−M (5)
[式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、
Mはリチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれる金属を示す。]で表される有機金属化合物とを混合する工程、
工程2:工程1で得られた溶液と下記一般式(6):
Al(R (6)
[式中、Rは同一又は異なって、アルキル基又はハロゲン原子を示す。]
で表されるアルミニウム化合物とを混合する工程、
工程3:工程2で得られた溶液と下記一般式(2):
【化4】

[式中、Ar及びArは同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、
CF基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合し、
は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。]
で表される化合物とを混合する工程
を含む3環性化合物を製造する方法。
【請求項5】
前記一般式(2)のRがフッ素原子であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3):
【化5】

[式中、Ar、Ar、Rは、前記に同じである。]
で表される3環性化合物である請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記一般式(2)のRが水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3c):
【化6】

[式中、Ar、Ar、R及びRは、前記に同じである。]
で表される3環性化合物である請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
3環性化合物の製造方法であって、
工程1:下記一般式(4b):
【化7】

[式中、X及びXは同一又は異なってハロゲン原子を示し、
1a及びR1bは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、
m及びnは同一又は異なって、0〜4の整数である。]
で表されるハロゲン含有化合物と、下記一般式(5):
−M (5)
[式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示し、
Mはリチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれる金属を示す。]で表される有機金属化合物とを混合する工程、
工程2:工程1で得られた溶液と下記一般式(6):
Al(R (6)
[式中、Rは同一又は異なって、アルキル基又はハロゲン原子を示す。]
で表されるアルミニウム化合物とを混合する工程、
工程3:工程2で得られた溶液と下記一般式(2):
【化8】

[式中、Ar及びArは同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、
CF基及びH基は、それぞれArとArとの結合位置から2位に結合し、
は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアルキニル基を示す。]
で表される化合物とを混合する工程
を含む3環性化合物を製造する方法。
【請求項8】
前記一般式(2)のRがフッ素原子であり、得られる3環性化合物が下記一般式(3a):
【化9】

[式中、Ar、Ar、R1a、R1b、m及びnは前記に同じである。]
で表される3環性化合物である請求項7に記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−138089(P2010−138089A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314574(P2008−314574)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】