3Dトポグラフィウェーハ用のリソグラフィモデル
【課題】入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法を提供する。
【解決手段】レジスト層内のある深さでの入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、レジスト層内の前記深さでの入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界からレジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、を含む方法が本明細書に記載されている。
【解決手段】レジスト層内のある深さでの入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、レジスト層内の前記深さでの入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界からレジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、を含む方法が本明細書に記載されている。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造で使用することができる。その場合、マスクは、ICの個々の層に対応する回路パターンを含むことができ、このパターンを放射感応性材料(レジスト)の層でコーティングされた基板(シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ以上のダイを含む)に結像することができる。一般に、1つのウェーハは、投影システムを介して一度に1つずつ連続的に照射される隣接するターゲット部分のネットワーク全体を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置では、マスクパターン全体をターゲット部分に一度に露光することで各ターゲット部分が照射される。上記装置は、一般にウェーハステッパと呼ばれる。一般にステップアンドスキャン装置と呼ばれる別の装置では、各ターゲット部分は、投影ビームの下でマスクパターンを所与の基準方向(「スキャン方向」)に漸次スキャンしながらそれに同期してこの方向に平行に又は逆平行に基板テーブルをスキャンすることで照射される。一般に、投影システムは、拡大率M(一般に、M<1)を持つので、基板テーブルがスキャンされる速度Vは、マスクテーブルがスキャンされる速度の因数M倍となる。
【0002】
[0002] リソグラフィ投影装置を用いた製造プロセスでは、放射感応性材料(レジスト)の層で少なくとも部分的に覆われた基板上にマスクパターンが結像される。この結像ステップを行う前に、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの種々の処理を基板に対して行うことができる。露光後、基板に対して、結像されたフィーチャの露光後ベーク(PEB)、現像、ハードベーク及び測定/検査などの他の処理を実行することができる。この一連の処理は、例えば、ICのようなデバイスの個々の層にパターン形成する基準として使用される。次に、そのようなパターン形成された層に対して、個々の層を完成させるためのエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、化学的機械的研磨などの種々の処理を行うことができる。幾つかの層が必要な場合、処理全体、又はその変形処理を新しい層ごとに繰り返す必要がある。最終的に、デバイスのアレイが基板(ウェーハ)上に形成される。これらのデバイスは、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、それにより個々のデバイスをキャリア上に装着することもできるし、ピンなどに接続することもできる。
【0003】
[0003] 話を分かりやすくするため、以下、投影システムを「レンズ」と呼ぶことがある。しかし、この用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、及び反射屈折光学系を含む種々のタイプの投影システムを含むものと広義に解釈されるべきである。放射システムは、また、放射投影ビームを誘導し、整形し、又は制御する任意のこれらの設計タイプに従って動作するコンポーネントを含むことができる。このようなコンポーネントも、以下において集合的に又は単独で「レンズ」と呼ぶことがある。さらに、リソグラフ装置は、2つ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。このような「マルチステージ」デバイスでは、追加のテーブルを、並列に使用することもでき、又は、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に、1つ以上のテーブル上で準備ステップを実行することもできる。
【0004】
[0004] 上記フォトリソグラフィマスクは、シリコンウェーハ上に集積する回路コンポーネントに対応する幾何学パターンを含む。このようなマスクを作成するのに使用するパターンは、このプロセスが多くの場合EDA(電子設計オートメーション)と呼ばれるCAD(コンピュータ支援設計)プログラムを用いて生成される。大半のCADプログラムは、機能マスクを作成するために一組の所定の設計ルールに従う。これらのルールは、処理及び設計の制限によって設定される。例えば、設計ルールは、回路デバイス(ゲート、コンデンサなど)又は相互接続線間の空間許容範囲を定義して、回路デバイス又は線が好ましくない形で相互動作しないようにする。設計ルールの限界は、通常、「クリティカルディメンション」(CD)とも呼ばれる。回路のクリティカルディメンションは、線若しくは穴の最小幅又は2本の線若しくは2つの穴の間の最小空間として定義することができる。それ故、CDは、設計された回路の全体のサイズと密度とを決定する。もちろん、集積回路の製作の目標の1つは、元の回路設計をウェーハ上に(マスクを介して)忠実に再現することである。
【0005】
[0005] 上述のように、マイクロリソグラフィは半導体集積回路の製造における中心ステップであり、半導体ウェーハ基板上に形成されるパターンは、マイクロプロセッサ、メモリチップなどの半導体デバイスの機能要素を定義する。同様のリソグラフィ技術が、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、及び他のデバイスの形成にも使用される。
【0006】
[0006] 半導体製造プロセスが進化し続ける一方で、回路素子の寸法は絶えず低減し、その間、デバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の数は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って数十年間にわたって着実に増加しつつある。現行の技術では、先端デバイスのクリティカルレイヤが、深紫外線レーザ光源の照明を用いて基板上にマスク画像を投影して100nmをはるかに下回る、すなわち、投影光の波長の半分に満たない寸法を有する個別の回路フィーチャを作成するスキャナとして既知の光リソグラフィ投影システムを用いて製造される。
【0007】
[0007] 光投影システムの伝統的な解像限界よりも小さい寸法を有するフィーチャが印刷されるこのプロセスは、一般に解像度の式、CD=k1×λ/NAによる低k1リソグラフィとして公知である。この式で、λは使用する放射の波長(現在ほとんどの場合、248nm又は193nm)、NAは投影光学系の開口数、CDは「クリティカルディメンション」、すなわち、一般に印刷される最小のフィーチャサイズ、及びk1は経験的解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能と性能を達成するために回路設計者が計画する形状と寸法に似たパターンをウェーハ上に再現することは困難になる。これらの困難を克服するために、投影システムだけでなくマスク設計にも高度の微調整ステップが適用される。これらは、例えば、NA及び光コヒーレンス設定の最適化、カスタム化された照明方法、移相マスクの使用、マスクレイアウト内の光近接効果補正、又は.一般に「高解像度化技術」(RET)と呼ばれるその他の方法を含むが、これらに限定されない。
【0008】
[0008] RETの重要な一例として、光近接効果補正(OPC)は、ウェーハ上に印刷されるフィーチャの最終寸法及び配置が、単にマスク上の対応するフィーチャの寸法及び配置に応じるものでないという事実に対処する。「マスク」及び「レチクル」という用語は、本明細書では互換的に使用されることに留意されたい。典型的な回路設計上でフィーチャ寸法が小さくフィーチャ密度が高い場合、所与のフィーチャの特定のエッジの位置は、ある程度、他の隣接するフィーチャの有無による影響を受ける。このような近接効果は、フィーチャ間で結合される微量の光から生じるものである。同様に、近接効果は、露光後ベーク(PEB)、レジスト現像、及び一般にリソグラフィ露光後のエッチング時の拡散及び他の化学的影響から生じる場合がある。
【0009】
[0009] フィーチャが所与のターゲット回路設計の要件に従って半導体基板上に確実に生成されるようにするために、高度な数値モデルを使用して近接効果を予測する必要があり、補正又はプリディストーションをマスクの設計に適用する必要があり、その後、高性能なデバイスの良好な製造が可能になる。典型的な高性能設計では、ターゲット設計に十分近づいたプリントパターンを達成するために、ほぼすべてのフィーチャエッジが何らかの修正を必要とする。これらの修正は、エッジ位置又はライン幅のシフト又はバイアス、及びそれら自体を印刷することを意図しないが、関連付けられた主フィーチャの特性に影響を与えることのない「アシスト」フィーチャの適用を含んでもよい。半導体業界で、マイクロリソグラフィ(又はリソグラフィ)とは、半導体ウェーハ(例えば、シリコン又はGaAsウェーハ)上に回路パターンを印刷するプロセスである。現在、光リソグラフィは半導体デバイス及びフラットパネルディスプレイなどのその他のデバイスの大量生産で使用される主流の技術である。そのようなリソグラフィは、可視スペクトル〜深紫外スペクトル波長域の光線を用いて基板上に感光性レジストを露光する。将来、極紫外線(EUV)及び軟X線を使用できるようになろう。露光後、レジストは現像されてレジスト像が生成される。
【0010】
[0010] 本発明を説明する前に、設計全体及び結像プロセスについて簡潔に説明する。図1は、例示的リソグラフィ投影装置10を示す。主要なコンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ放射源などの光源12、部分的なコヒーレンスを定義するとともに特定の光源整形光学系14、16a及び16bを含んでいてもよい照明光学系、マスク又はレチクル18、及び、ウェーハ面22上にレチクルパターンの画像を生成する投影光学系16cである。瞳面の調整式フィルタ又はアパーチャ20はウェーハ面22に当たるビーム角度の範囲を制限することができ、可能な最大角度は投影光学系の開口数NA=sin(Θmax)を定義する。
【0011】
[0011] リソグラフィ投影装置でのリソグラフィのシミュレーションの例示的なフローチャートを図2に示す。光源モデル31は、光源の光学特性(放射強度分布及び/又は位相分布を含む)を表す。投影光学系モデル32は、投影光学系の光学特性(投影光学系によって引き起こされる放射強度分布及び/又は位相分布の変化を含む)を表す。設計レイアウトモデル35は、パターニングデバイス上の、又はそれによって形成されるフィーチャの構成である設計レイアウトの光学特性(所与の設計レイアウト33によって引き起こされる放射強度分布及び/又は位相分布の変化を含む)を表す。空間像36は、設計レイアウトモデル35、投影光学系モデル32及び設計レイアウトモデル35からシミュレートできる。レジスト像37は、レジストモデル37を用いて空間像36からシミュレートできる。リソグラフィのシミュレーションは、例えば、レジスト像の輪郭とCDを予測できる。
【0012】
[0012] より詳細には、光源モデル31は、NAシグマ(σ)設定と任意の特定の照明源の形状(例えば、環状、四重極、及び二重極などのオフアクシス放射源)を、これらに限定されないが含む光源の光学特性を表すことができる。投影光学モデル32は、収差、歪、屈折率、物理的サイズ、物理的寸法などを含む投影光学系の光学特性を表すことができる。また、設計レイアウトモデル35は、例えば、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第7,587,704号に記載された物理パターニングデバイスの物理特性を表すことができる。シミュレーションの目的は、例えば、意図した設計と比較するためのエッジ配置、空間像強度スロープ及びCDを正確に予測することである。意図した設計は、一般にGDSII又はOASISなどの標準のデジタルファイルフォーマット或いはその他のファイルフォーマットで提供できるOPC前設計レイアウトとして定義される。
【0013】
[0013] レジストが投影像によって露光され、その後ベーク及び現像される際、レジストは、複雑な化学的及び物理的変化を受ける傾向がある。最終のレジストパターンは、通常、レジストと基板との界面のレジストフィーチャの幅として普通定義されるそのクリティカルディメンション、すなわちCDによって特徴付けられる。CDは、普通、所与のデバイス内にパターニングされている最小のフィーチャを現すように意図されているが、実際には、CDは任意のレジストフィーチャの線幅を記述するために使用される。
【0014】
[0014] 大半の露光ツールの中で、光学システムは、パターンのサイズをマスクレベルからウェーハレベルまで、通常4〜5の低減率に低減する。このため、マスクレベルのパターンは、通常ウェーハレベルの所望のパターンよりも大きく、その結果、マスクレベルで必要な寸法制御許容値が緩和され、マスク製造プロセスの歩留まりと生産性とが改善される。露光ツールのこの低減率は、露光プロセスの「寸法」に言及する際にある種の混乱をもたらす。本明細書では、フィーチャサイズ及び寸法は、ウェーハレベルのフィーチャサイズ及び寸法を指し、「最小フィーチャサイズ」は、ウェーハレベルの最小フィーチャサイズを指す。
【0015】
[0015] 露光プロセスが正確にデバイスをパターニングするために、デバイス内のすべての臨界構造のCDをパターニングして所望のターゲット寸法を達成しなければならない。すべてのターゲットCDをエラーなしに達成することは実際には不可能なため、デバイスは一定のCDエラーの許容値を有して設計されている。この場合、すべての臨界フィーチャのCDが上記の事前定義された許容値の範囲内に収まるのであれば、パターンは許容できると考えられる。製造環境内で露光プロセスが実行可能であるためには、CDの全分布が製造で発生すると予想される通常のプロセス範囲の変動を表すプロセス条件の範囲にわたる許容値限度の範囲内に収まる必要がある。例えば、名目上同一のプロセス条件の実際の照射量は、名目照射量の最大±5%まで変動することがある。名目上同一のプロセス条件の実際の焦点面は、名目焦点面の最大±100nmまで変動することがある。
【0016】
[0016] パターン転写プロセスの忠実度を制限するか、又は劣化させる要因は、マスク製造プロセス、投影光学系、レジストプロセス、及び投影光とウェーハ上に形成された膜スタックとの間の相互作用の制御での欠陥を含む。しかし、完璧なマスク、完璧な光学系、完璧なレジストシステム、及び完璧な基板反射制御をもってしても、結像するフィーチャの寸法が露光ツールで使用される光の波長よりも短くなると、像の忠実度を維持するのが困難になる。193nmの照明源を用いる露光プロセスの場合、65nm程度のフィーチャが望ましい。この深サブ波長レジームでは、パターン転写プロセスは極めて非直線的になり、ウェーハレベルの最終パターンの寸法は、マスクレベルのパターンのサイズだけでなくフィーチャの局所環境にも極めて敏感な関数になり、局所環境が光の波長の約5〜10倍の半径まで延在する。波長と比較して極めて小さいフィーチャサイズを仮定すると、隣接するフィーチャのサイズと近接性とに応じてマスク上の同一の構造であっても、また、直接隣接していないが露光ツールの光学系によって定義された近接領域内にあるフィーチャであっても、異なるウェーハレベルの寸法を有することになる。これらの光学近接効果は文献で周知である。
【0017】
[0017] 結像品質を向上させパターン転写プロセスの高い非直線性を最小限にする試みの中で、現在の処理技術は、近接効果を克服することを目的とするあらゆる技術の一般的な用語である様々なRET及びOPCを使用している。最も簡単なOPCの形態は選択的バイアスである。あるCD対ピッチ曲線が与えられると、マスクレベルのCDを変化させることで、異なるピッチのすべてが同じCD、少なくともべストフォーカス及び露光を生成するように強制される。したがって、ウェーハレベルのフィーチャの印刷が小さすぎる場合、マスクレベルのフィーチャは、名目よりもわずかに大きくなるようにバイアスされる。また、その逆も同様である。マスクレベルからウェーハレベルへのパターン転写プロセスは非直線的であるため、バイアスの量はベストフォーカスで測定されたCDエラーに一致せず、露光時間は低減率に一致せず、モデリングと実験とによって適当なバイアスを決定できる。選択的バイアスは、特に名目プロセス条件のみに適用される場合には、近接効果の問題の解決策として不備である。原則的に、そのようなバイアスが適用され、ベストフォーカス及び露光での所与の均一なCD対ピッチ曲線が得られたとしても、露光プロセスが名目条件から変化すると、各々のバイアスがかかったピッチ曲線は異なる応答をして、異なるフィーチャに対して異なるプロセスウィンドウを生成する。したがって、同一のCD対ピッチを与える「ベスト」バイアスはプロセスウィンドウ全体に悪影響を与え、全ターゲットフィーチャが所望のプロセス許容値の範囲内でウェーハ上に印刷される焦点及び露光範囲を拡大するのではなく低減することになりかねない。
【0018】
[0018] 上記の一次元バイアスの例を超えた用途のために、別のより複雑なOPC技術が開発されている。二次元近接効果は、線端短縮である。線端は、露光及び合焦の関数として所望の端点から「プルバックする」傾向がある。多くの場合、長い線の端部の線端短縮の程度は、対応する線の幅の減少よりも数倍の大きさになる。このタイプの線端プルバックの結果、例えば、ソース−ドレイン領域上のポリシリコンゲート層などの線端が完全に覆うはずであった基層を完全に横切ることができなかった場合に、製造中のデバイスの破滅的な障害が引き起こされる可能性がある。このタイプのパターンは合焦及び露光の影響を極めて受けやすいため、ベストフォーカス及び合焦又は露光不足条件下の線は過剰に長くなり、延在した線端が隣接する構造に接触して短絡を引き起こすか、又は回路内の個別のフィーチャの間にスペースが追加された場合に回路サイズが不必要に大きくなるため、線端を設計長よりも長くするようにバイアスするだけでは不適当である。集積回路設計及び製造の主要な目標の1つはチップ当たりに必要な領域を最小限にしながら機能要素の数を最大限にすることであるため、過剰な間隔を追加することは極めて望ましくない解決策である。
【0019】
[0019] 二次元OPC方法は、線端プルバックの問題の解決を助けるために開発された。「ハンマーヘッド」又は「セリフ」として知られる追加構造(又はアシストフィーチャ)は、日常的に線端に追加されそれらを所定位置に固定し、プロセスウィンドウ全体にわたって低減したプルバックを提供する。ベストフォーカス及び露光においてさえ、これらの追加構造は解像されず、単独で完全に解像されることなく主要なフィーチャの外観を変える。本明細書で使用する「主要なフィーチャ」は、プロセスウィンドウ内の幾つかの又は全部の条件下のウェーハ上に印刷されるように意図されたフィーチャを意味する。アシストフィーチャは、マスク上のパターンがもはや単に低減率によってサイズアップされた所望のウェーハパターンではなくなる程度まで、線端に加えられた簡単なハンマーヘッドよりもはるかに攻撃的な形態をとることができる。セリフなどのアシストフィーチャは、線端プルバックの単なる低減よりも多数のケースに適用できる。内部又は外部セリフを任意のエッジ、特に二次元エッジに適用してコーナーの丸み又はエッジの突起を低減することができる。すべてのサイズと極性の十分な選択的バイアス及びアシストフィーチャを用いて、マスク上のフィーチャは、ウェーハレベルで所望の最終パターンにますます似なくなる。一般に、マスクパターンはウェーハレベルのパターンの予歪バージョンであり、ここで、歪は、リソグラフィプロセスで発生するパターンの変形を打ち消すか又は覆して設計者によって意図されたパターンにできる限り近いパターンをウェーハ上に生成するように意図されている。
【0020】
[0020] 上記OPC技術の多くを単一マスク上で解像とプロセスウィンドウの拡張の両方のために追加された様々な位相の移相構造と併用することができる。一次元の線をバイアスする簡単な作業は、隣接するフィーチャとの衝突を引き起こすことなく二次元構造を移動、サイズ変更、アシストフィーチャで拡張、及びおそらくは移送させるにつれてますます複雑になる。深サブ波長リソグラフィの拡張された近接範囲のため、フィーチャに適用されるOPCタイプの変化は半ミクロン〜ミクロン以内に位置する別のフィーチャにとって意図しない結果を有することがある。この近接範囲には多数のフィーチャがあると思われるため、OPC装飾を最適化する作業はより攻撃的な方法の追加と共にますます複雑になる。追加される各々の新しいフィーチャは他のフィーチャに影響し、次に、他のフィーチャを再修正してその結果を繰り返して元の意図した方法で各フィーチャを印刷でき、同時に適当な形でその隣接するフィーチャの空間像に貢献して、それらもそれぞれの許容値の範囲内に印刷されるようにすることができる。
【発明の概要】
【0021】
[0021] 入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、レジスト層内のある深さでの入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、レジスト層内の前記深さでの入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界からレジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、を含む方法が本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0022] 具体的な実施形態について以下の添付図面に関連して説明する。
【図1】[0023]本発明の例示的実施態様によるリソグラフィシステムの様々なサブシステムのブロック図である。
【図2】[0024]図1のサブシステムに対応するシミュレーションモデルのブロック図である。
【図3】[0025]基板上のフィーチャからの入射放射線の散乱を示す。
【図4】[0026]ある実施形態による方法のフローチャートを示す。
【図5】[0027]幾つかの例示的なフィーチャ要素を示す。
【図6A】[0028]基板上のレジスト層の下の例示的なフィーチャを示す。
【図6B】[0029]図6Aの基板から発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。
【図6C】[0030]FDTDを用いて計算した図6Aのフィーチャから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。
【図6D】[0031]ある実施形態による方法を用いて計算した図6Aのフィーチャから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。
【図7】[0032]ある実施形態による方法のフローチャートを示す。
【図8】[0033]レジスト層内の所与の深さでの前方伝搬電界
【数1】
と後方伝搬電界
【数2】
の概略図を示す。
【図9A】[0034]左側のパネルはFDTDなどの厳密な方法を用いて計算した平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示し、中央のパネルは図7と同じ方法を用いた同じ平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示し、右側のパネルは左側及び中央パネルの放射電磁界の同じ場所の断面図を示す。
【図9B】[0035]同じぼかしを用いて図9Aの左側のパネル内の放射電磁界及び図9Bの左側のパネル内の放射電磁界から抽出したレジスト像を示す。
【図9C】[0036]同じぼかしを用いて、FDTDなどの厳密な方法を用いて計算した非平面膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界から抽出されたレジスト像と、図7の方法を用いて同じ非平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界から抽出されたレジスト像とを示す。
【図10】[0037]実施形態を実施できる例示的コンピュータシステムのブロック図である。
【図11】[0038]実施形態が適用可能なリソグラフィ投影装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0039] 例示的な例として提供される図面を参照して以下に本発明を詳述する。特に、以下の図及び例は範囲を1つの実施形態に限定するものではなく、下記又は図示の要素の一部又は全部を入れ替えることで別の実施形態も可能である。さらに、既知のコンポーネントを用いて本発明の特定の要素を部分的に又は完全に実施することができる場合、本発明の理解に必要な既知のコンポーネントのそれらの部分のみを説明し、分かりにくくすることなく、それら既知のコンポーネントのその他の部分の詳細な説明を省略する。ソフトウェアで実施される実施形態はそれに限定されてはならず、特に断りのない限り、当業者には明らかなように、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組合せで実施される実施形態を含むことができ、またその逆の場合も同様である。本明細書では、単一のコンポーネントを示す実施形態は限定的と考えてはならず、特に本明細書で断りのない限り、範囲は複数の同じコンポーネントを含む別の実施形態を包含し、またその逆の場合も同様である。さらに、特に断りのない限り、出願人らは明細書又は特許請求の範囲のいかなる用語にも一般的でない又は特殊な意味を与えることはない。さらに、本発明は、本明細書の図で参照する既知のコンポーネントの現在及び将来の既知の同等物を包含する。本発明者らは、リソグラフィプロセス中のマスクから基板へのパターン転写プロセスが、特にフィーチャが入射放射線の波長よりも小さいとき、又は基板が反射防止コーティング(BARC)を備えていないときに、レジスト層の下の基板上の既存のフィーチャによる投影光学系からの入射放射線の散乱によってさらに複雑になることを認識している。
【0024】
[0040] 図3に示すように、既存のフィーチャ250は、表面220、エッジ230及びコーナー240からの入射放射線210を散乱させることができる。本明細書で使用する「散乱させる」又は「散乱」という用語は、反射、回折、及び屈折を含む入射放射線への効果の組合せを意味する。散乱放射は入射放射線に干渉してレジスト層内の放射の空間強度分布を変えることがあり、その結果、その内部に形成されるレジスト像が変化することがある。散乱は残りのレジスト像を歪ませることがあり、OPC内で補償しなければならない。この散乱の効果はマクスウェルの方程式を解くことで厳密に予測できるが、マクスウェルの方程式は高価な演算であり、基板全体又はマスク全体に適用するには実際的でない。したがって、従来の方法は、レジスト層内の像のシミュレーション時にレジスト挙動のモデルのみを使用する。
【0025】
[0041] 幾つかの態様によれば、レジスト層内のシミュレートされた像は、基板内又は上のフィーチャによる散乱放射を考慮に入れて計算される。幾つかの実施形態では、レジスト層内の放射の空間強度分布を例えば図4に示すフローチャートに示す方法を用いて抽出できる。この方法は演算がそんなに高価ではなく、実質的に回路設計全体又はマスク全体に適用できる。フィーチャの散乱関数は、エッジ、コーナー及び表面などのフィーチャ要素の散乱関数のライブラリ310を用いて推定でき、フィーチャ要素の散乱関数は、任意の好適な方法を用いてマクスウェルの方程式を解くことで前もって厳密に計算される。本明細書で使用する「ライブラリ」という単語は、内部の検索を容易にする任意のインデックスを有するか、又は有さない複数の又は1つの集合を意味する。あるいは、エッジ、コーナー及び表面などのフィーチャ要素の散乱関数は、フィーチャの散乱関数の評価中にそれらが最初に必要になったときに厳密に計算することができる。フィーチャ要素の散乱関数は、特定のレジスト内のフィーチャ要素によって放射の散乱を特徴付ける散乱関数であってもよい。フィーチャ320はそのフィーチャ要素の成分に分解でき、フィーチャ320の散乱関数330は、ライブラリ310から知られているか、又は必要に応じて計算されるフィーチャ要素の成分の散乱関数から抽出できる。入射放射線(レジスト層の表面の電界、磁界又は電磁界によって特徴付けられる)にフィーチャ320の散乱関数330を適用すると、フィーチャから発生するレジスト層内に放射電磁界340が生成される。基板から発生するレジスト層内の放射電磁界350は厳密に計算できる。レジスト層内の放射電磁界360(以下、「総電磁界」と呼ぶ)は、フィーチャから発生するレジスト層内の放射電磁界と基板から発生するレジスト層内の放射電磁界の総和である。任意選択として、総電磁界から、レジスト層内の放射370の空間強度分布を抽出することができる。任意選択として空間強度分布からのレジスト像380をレジスト層内の空間強度分布、レジスト層の特性、及び現像、ベーキングなどに関連するパラメータなどの露光後処理などから抽出することができる。
【0026】
[0042] 図5は、散乱関数がライブラリ内で編集される例示的な幾つかのフィーチャ要素を示す。好ましくは、フィーチャ要素の散乱関数は、基板上のレジストのタイプから独立している。図5の上記の例示的な要素は、コーナー410、420、430及び440と、エッジ450、460、470及び480と、を含む。もちろん、その他のフィーチャ要素もライブラリ内に含むことができる。基板上の任意のフィーチャ、例えば、図3のフィーチャ250の散乱関数は、図5に示す好適なフィーチャ要素の散乱関数を含むライブラリから推定することができる。
【0027】
[0043] 図4の方法は、数学的には以下のように記述される。
【0028】
[0044] マスクの直下の平面上の光源sの放射の電気的成分は、
【数3】
で表され、ここで、Mはキルヒホッフの回折、M3D、FDTDなどの任意の好適な方法を用いて計算できるマスクの散乱をモデリングするテンソルであり、k及びksは波ベクトルであり、xは実空間内の場所であり、Esは波ベクトルksを有する光源sからの放射の電気的成分の振幅であり、jは仮想単位であり、j2=−1である。
【0029】
[0045] レジスト層の表面の放射の電気的成分は、
【数4】
で表され、ここで、
Pは、任意の好適な方法を用いて解析的に計算できる投影光学系の散乱をモデリングするテンソルであり、表面は露光中に入射放射線に対向する。
【0030】
[0046] E2から、レジスト層内の放射の電気的成分は、
【数5】
で表され、ここで、Wは基板、その上のフィーチャ及びレジスト層の散乱をモデリングするテンソルである。
【0031】
[0047] テンソルWは、以下の2つの項に分解できる。
【数6】
ここで、
【数7】
は、ディラックのデルタ関数であり、テンソルW0は、好ましくは平面状である基板とレジスト層との散乱をモデリングするものであり、テンソルSは、基板上のフィーチャの散乱をモデリングするものであってフィーチャの散乱関数である。テンソルW0は、FDTDなどの任意の好適な方法を用いて厳密に計算できる。
【0032】
[0048] したがって、レジスト層内の放射の電気的成分を2つの項
【数8】
に分解でき、ここで、
【数9】
である。
【0033】
[0049] テンソルSは、偏光から独立して以下のように近似できる。
【数10】
すなわち、テンソルSは、入射放射線の方向から独立して近似でき、露光中に入射放射線に対向するレジスト層の表面に垂直の方向の入射放射線の成分から計算できる。この近似は、テンソルS及び
【数11】
の計算を簡略化する。各々の入射方向についてテンソルSを計算できることは言うまでもない。
【0034】
[0050] レジスト層内の放射の電気的成分はさらに
【数12】
と簡略化でき、ここで
【数13】
である。
【0035】
[0051] 逆空間及び実空間内のテンソルSは、以下のようにフィーチャの散乱関数のライブラリから組み立てることができる。それぞれ
【数14】
及び
【数15】
であり、ここで、Oはフィーチャの領域関数、OVはフィーチャの垂直エッジ関数、OHはフィーチャの水平エッジ関数、OCはフィーチャのコーナー関数、o、oV、oH、oCはそれぞれO、OV、OH、OCのフーリエ変換、F、FV、FH及びFCはライブラリ内のフィーチャ要素の散乱関数、f、fV、fH及びfCはそれぞれF、FV、FH及びFCのフーリエ変換、及び
【数16】
は畳み込みを示す。
【0036】
[0052] テンソルSが組み立てられると、レジスト層内の放射の電気的成分E3を式1から抽出できる。
【0037】
[0053] 放射の空間強度分布は、レジスト層内の放射電磁界の電気的成分のモジュラス平方にすぎない。
【0038】
[0054] ガウスぼかしなどのぼかしを適用し、しきい値を適用することで、空間強度分布からレジスト像を推定することができる。その他の任意の好適な方法を用いてレジスト像を推定できることは当然である。この推定プロセス(例えば、ガウスぼかし内のパラメータ)は、レジストの特性、及び現像、ベーキングなどの任意の露光後処理に依存する。
【0039】
[0055] 図6Aは、基板4100上のレジスト層4200の下の例示的なフィーチャ4000を示す。図6Bは、基板4100から発生するレジスト層4200内の放射電磁界を示す。図6Cは、FDTD(有限差分時間ドメイン法)を用いて計算したフィーチャ4100から発生するレジスト層4200内の放射電磁界を示す。図6Dは、図6Cの内容のほぼ全部を対象とする本明細書に記載の方法を用いて計算したフィーチャ4100から発生するレジスト層4200内の放射電磁界を示す。
【0040】
[0056] 幾つかの実施形態では、図7のフローチャートに示す例示的な方法を用いてレジスト層内の放射の空間強度分布を抽出できる。この方法は演算がそんなに高価ではなく、実質的に回路設計全体又はマスク全体に適用できる。ステップ710で、レジスト層内の所与の深さzでの入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界が計算される。ステップ720で、レジスト層内の所与の深さzでの入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界が計算される。レジスト像を導出するために、電界を使用することと磁界を使用することとは同等である。分かりやすくするために、以下の説明では電界を使用する。ここで、「順方向伝搬」及び「逆方向伝搬」という語句は、それぞれ、レジスト層(点の網掛け部分の上の網掛けのない部分)の下の基板(点の網掛け部分)へ向かって(図8の左側の矢印に沿って)伝搬する電界又は磁界と、レジスト層の下の基板から遠ざかるように伝搬する電界又は磁界と、を意味する(図8)。順方向伝搬電界
【数17】
と逆方向伝搬電界
【数18】
の両方は、解析的に(例えば、マクスウェルの方程式を用いて)又はFDTD及び厳密結合波解析(RCWA)などの数値的方法を用いて計算できる。
【数19】
と
【数20】
の両方は、レジスト層の下の基板上の既存のフィーチャからの散乱からの寄与を有していてもよい。
【0041】
[0057] ステップ730で、
【数21】
と
【数22】
との間の干渉を無視してレジスト層内の所与の深さでの放射電磁界(以下、「総放射電磁界」と呼ぶ)が
【数23】
と
【数24】
から計算される(すなわち、「インコヒーレント和」)。例えば、
【数25】
だけからの放射電磁界(すなわち、
【数26】
からの寄与がない)(以下、「順方向放射電磁界」と呼ぶ)を計算できる。また、
【数27】
だけからの放射電磁界(すなわち、
【数28】
からの寄与がない)(以下、「逆方向放射電磁界」と呼ぶ)を計算できる。総放射電磁界は、順方向放射電磁界と逆方向放射電磁界との総和である。あるいは、総放射電磁界は、順方向放射電磁界と逆方向放射電磁界とを明示的に計算することなく
【数29】
及び
【数30】
から計算できる。
【0042】
[0058] 任意選択として、総放射電磁界から、レジスト層内の空間強度分布740(すなわち、空間像)を抽出できる。任意選択として、空間強度分布からのレジスト像750を、レジスト層内の空間強度分布740、レジスト層の特性、及び現像、ベーキングなどに関連するパラメータなどの露光後処理などから抽出することができる。
【0043】
[0059] 放射の空間強度分布は、レジスト層内の放射電磁界の電気的成分のモジュラス平方にすぎない。
【0044】
[0060] 一例では、空間像は、透過交差係数(TCC)を用いて計算できる。TCCは、
【数31】
として定義される。空間像AIは、
【数32】
として表現できる。
【0045】
[0061] AI(x)は、空間ドメインの空間像である。A(k)は、光源瞳面の点kからの光源振幅である。L(k)は、レンズ瞳面上の点kの投影光学系関数である。空間ドメインの投影光学系関数は、位置の関数として投影光学系を通過する光に対して投影光学系が引き起こす歪み(例えば振幅、位相又はこれら両方の歪み)を表す。投影光学系関数を一般化してレジスト層を含む膜スタックによって引き起こされる歪を含むことができる。M(k)は、空間周波数ドメインのマスク関数(すなわち設計レイアウト関数)であり、フーリエ変換によって空間ドメインのマスク関数から得ることができる。空間ドメインのマスク関数は、位置の関数としてマスクを通過する光に対してマスクが引き起こす歪み(例えば振幅、位相又はこれら両方の歪み)を表す。さらなる詳細は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第7,587,704号に記載されている。空間ドメインの関数は、フーリエ変換によって空間周波数ドメインの対応する関数に変換することができ、その逆も可能である。ここで、x及びkは、両方ともベクトルである。
【0046】
[0062] 特に、L(k+k’)は、2つの項L(k+k’)=L+(k+k’)+L−(k+k’)に分解でき、ここで、L+(k+k’)は、順方向伝搬光に対する投影光学系及び膜スタックによって引き起こされる歪を表し、L−(k+k’)は、逆方向伝搬光に対する投影光学系及び膜スタックによって引き起こされる歪を表す。
【0047】
[0063] 次に、TCCk’,k”を2つの部分TCCk’,k”=TCCa,k’,k”+TCCb,k’,k”に分離できる。ここで、
【数33】
及び
【数34】
TCCa,k’,k”は、順方向伝搬光及び逆方向伝搬光のインコヒーレント和を表す。TCCb,k’,k”は、順方向伝搬光(順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界)と逆方向伝搬光(逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界)との間の干渉を表す。
【0048】
[0064] ステップ7の方法によれば、TCCb,k’,k”は省略できる。したがって、
【数35】
である。
【0049】
[0065] ガウスぼかしなどのぼかしを適用し、しきい値を適用することで、空間強度分布からレジスト像を推定することができる。その他の任意の好適な方法を用いてレジスト像を推定できることは当然である。この推定プロセス(例えば、ガウスぼかし内のパラメータ)は、レジストの特性、及び現像、ベーキングなどの任意の露光後処理に依存する。
【0050】
[0066] 図9A〜図9Cは、図7の方法を用いて計算したレジスト層内の放射の空間強度分布がFDTDなどのより演算が高価な方法を用いて計算した放射の空間強度分布と同じ良好な結果を得たことを示す。図9Aでは、左側のパネルは、FDTDなどの厳密な方法を用いて計算した平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。中央のパネルは、図7と同じ方法を用いた同じ平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。右側のパネルは、左側及び中央のパネルの放射電磁界の同じ場所の断面図を示す。図9Bは、同じ50nmのぼかしを用いて図9Aの左側のパネル内の放射電磁界(図9Bの左上パネル)及び図9Bの左側パネル内の放射電磁界(図9Bの左下パネル)から抽出したレジスト像(図9Bの右上及び右下パネル)を示す。図9Cは、同じ50nmのぼかしを用いてFDTDなどの厳密な方法を用いて計算した非平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界(図9Cの左上パネル)から抽出されたレジスト像と、図7の方法を用いて同じ非平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界(図9Cの左下パネル)から抽出されたレジスト像とを示す。
【0051】
[0067] 図10は、本明細書に開示するパターン選択方法の具体化及び/又は実施を支援することができるコンピュータシステム100を示す例示的ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を送受信するバス102又はその他の通信機構と、情報を処理するバス102に結合された1つ以上のプロセッサ104(及び105)と、を含む。コンピュータシステム100は、また、情報及びプロセッサ104によって実行される命令を記憶するためのバス102に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又はその他のダイナミックストレージデバイスなどのメインメモリ106を含む。メインメモリ106は、またプロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時的変数又はその他の中間情報を記憶するために使用することができる。コンピュータシステム100は、さらにプロセッサ104のために静的情報及び命令を記憶するバス102に結合された読取専用メモリ(ROM)108又はその他のスタティックストレージデバイスを含む。磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が提供され、バス102に結合され、情報及び命令を記憶する。
【0052】
[0068] コンピュータシステム100は、バス102を介して、コンピュータユーザに対して情報を表示する陰極管(CRT)又はフラットパネル又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合することができる。英数字キー及びその他のキーを含む入力デバイス114がバス102に結合され、プロセッサ104へ情報と選択したコマンドを送信する。別のタイプのユーザ入力デバイスが、プロセッサ104へ方向情報と選択したコマンドを送信しディスプレイ112上でのカーソルの動きを制御するマウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御装置116である。この入力デバイスは、通常、第1軸(例えば、x)と第2軸(例えば、y)の2軸で自由度2を有し、これによってデバイスは平面内の位置を指定することができる。入力デバイスとしてタッチパネル(画面)ディスプレイも使用することができる。
【0053】
[0069] 一実施形態によれば、プロセッサ104によるメインメモリ106に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスの実行に応答してコンピュータシステム100によってシミュレーションプロセスの一部を実行することができる。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込むことができる。メインメモリ106内に含まれる命令シーケンスを実行すると、プロセッサ104は本明細書に記載する各プロセスステップを実行する。マルチ処理装置内の1つ以上のプロセッサを使用してメインメモリ106内に含まれる命令シーケンスを実行することができる。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はそれと組み合わせてハードワイヤード回路を使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組合せに限定されない。
【0054】
[0070] 本明細書で使用する「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供するステップに加わる任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとることができるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などのダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バス102を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含む。また伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成される音波又は光波の形態をとることができる。コンピュータ可読媒体の一般形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の任意の磁気媒体、CD−ROM、DVD、その他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有するその他の任意の物理媒体、RAM、PROM,及びEPROM、フラッシュEPROM,その他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載する搬送波、又はコンピュータが読み取り可能なその他の任意の媒体を含む。
【0055】
[0071] 様々な形態のコンピュータ可読媒体がプロセッサ104へ1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送して実行するステップに含まれる。例えば、命令は、最初リモートコンピュータの磁気ディスク上に記憶されていてもよい。リモートコンピュータは、命令をダイナミックメモリにロードし、モデムを用いて電話回線上で命令を送信することができる。コンピュータシステム100側のモデムは電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換する。バス102に結合された赤外線検出器が赤外線信号で搬送されたデータを受信し、データをバス102上に配置することができる。バス102はデータをメインメモリ106へ搬送し、そこからプロセッサ104が命令を取り出して実行する。オプションとして、メインメモリ106によって受信された命令は、プロセッサ104による実行前又は後にストレージデバイス110に記憶することができる。
【0056】
[0072] また、コンピュータシステム100は、バス102に結合された通信インターフェイス118を含むことが好ましい。通信インターフェイス118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120への双方向データ通信接続を提供する。例えば、通信インターフェイス118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供する総合デジタル通信サービス網(ISDN)カード又はモデムであってもよい。別の例として、通信インターフェイス118は、互換LANにデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。無線リンクも実施することができる。そのような任意の実施態様で、通信インターフェイス118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号又は光信号を送受信する。
【0057】
[0073] ネットワークリンク120は、通常、1つ以上のネットワークを通してデータ通信を他のデータデバイスに提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通してインターネットサービスプロバイダ(ISP)126が運用するホストコンピュータ124又はデータ装置に接続を提供することができる。次に、ISP126は、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク、現在の通称は「インターネット」128を通してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122とインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号又は光信号を使用する。デジタルデータをコンピュータシステム100との間で送受信する様々なネットワークを介した信号及びネットワークリンク120上の信号及び通信インターフェイス118を介した信号は、情報を伝送する搬送波の例示的形態である。
【0058】
[0074] コンピュータシステム100は、ネットワーク、ネットワークリンク120、及び通信インターフェイス118を通してメッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122及び通信インターフェイス118を通してサーバ130がアプリケーションプログラムのために要求されたコードを送信することができる。実施形態によれば、そのような1つのダウンロードされたアプリケーションは、例えばこの実施形態の選択したテストパターンに備える。受信されたコードは、それが受信されるとプロセッサ104によって実行することができ、及び/又はストレージデバイス110又はその他の不揮発性記憶装置に記憶して後で実行することができる。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形式でアプリケーションコードを入手することができる。
【0059】
[0075] 図11は、本発明のテストパターン選択プロセスを使用して較正される計算リソグラフィモデルを使用してその性能をシミュレート及び/又は最適化できる例示的リソグラフィ投影装置を概略的に示す。この装置は、以下のコンポーネントを含む。
[0076] −放射投影ビームBを供給する放射システムEx、IL。この例では、放射システムは放射源SOをさらに含む。
[0077] −マスクMA(例えば、レチクル)を保持するマスクホルダを備え、投影システムPSに対してマスクを正確に位置決めする第1の位置決め手段PMに接続された第1のオブジェクトテーブル(マスクテーブル)MT。
[0078] −基板W(例えば、レジストコートシリコンウェーハ)を保持する基板ホルダを備え、投影システムPSに対して基板を正確に位置決めする第2の位置決め手段PWに接続された第2のオブジェクトテーブル(基板テーブル)WT。
[0079] −基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上にマスクMAの照射部分を結像する投影システム(「レンズ」)PS(例えば、屈折、反射光学、又は反射屈折光学システム)。
【0060】
[0080] 本明細書に記載するように、装置は透過型である(すなわち、透過マスクを有する)。しかし、一般に、装置は、例えば反射型(反射マスクを備えた)であってもよい。あるいは、装置は、マスクの使用に代えて別の種類のパターニング手段を使用してもよい。その例として、プログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリクスがある。
【0061】
[0081] 放射源SO(例えば、水銀ランプ又はエキシマレーザ)は、放射ビームを生成する。このビームは、直接、又はビームエキスパンダ又はビームデリバリシステムBDなどの調節手段を通った後で、照明システム(イルミネータ)ILに供給される。イルミネータILは、ビーム内の強度分散の外側及び/又は内側半径範囲(それぞれ一般に、σ−outer、σ−innerと呼ばれる)を設定する調整手段ADを備えてもよい。さらに、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及び集光器COなどの様々な他のコンポーネントを備える。このようにして、マスクMAに当たるビームBは、断面に所望の均一性と強度とを有する。
【0062】
[0082] 図11に関して、放射源SOはリソグラフィ投影装置のハウジング内にあってもよい(例えば、多くの場合、放射源SOが水銀ランプの場合にあてはまる)が、リソグラフィ投影装置から離れていてもよく、生成する放射ビームを装置内に誘導する(例えば、適切な誘導ミラーにより)構成であってもよいことに留意されたい。この後者のシナリオは、多くの場合、放射源SOがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF又はF2レージングに基づく)の時にあてはまる。本発明は、少なくともこれらの両方のシナリオを包含する。
【0063】
[0083] その後、ビームBは、マスクテーブルMT上に保持されたマスクMAに達する。マスクMAを横断したビームBは、レンズPSを通過し、レンズPSは基板Wのターゲット部分C上にビームBを合焦させる。第2の位置決め手段(及び干渉測定手段IF)により、基板テーブルWTを正確に移動させて様々なターゲット部分CをビームBの経路内に位置決めすることができる。同様に、第1の位置決め手段を用いて、例えば、マスクライブラリからマスクMAを機械的に取り出した後で、又はスキャン中に、ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT、WTの移動は、図11には明示していないロングストロークモジュール(粗動位置決め)とショートストロークモジュール(微動位置決め)により実現する。しかし、ウェーハステッパ(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)の場合、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータに接続するだけでよく、又は固定してもよい。
【0064】
[0084] パターニングデバイスMA及び基板Wは、必要に応じて、パターニングデバイス内の位置合わせマークM1、M2、及びウェーハ上の位置合わせワークP1、P2を使用して、位置合わせすることができる。
【0065】
[0085] 図のツールは、下記の2つの異なるモードで使用することができる。
【0066】
[0086] −ステップモードでは、マスクテーブルMTは、基本的に固定状態に維持され、全マスク画像は、1回で(すなわち、1回の「フラッシュ」で)ターゲット部分C上に投影される。次に、異なるターゲット部分CをビームBで照射することができるように、基板テーブルWTがx及び/又はy方向にシフトされる。
【0067】
[0087] −スキャンモードでは、所与のターゲット部分Cが1回の「フラッシュ」で露光されない点を除けば、基本的には同じシナリオが適用される。代わりに、マスクテーブルMTを、速度vで所与の方向(例えば、y方向のような、いわゆる「スキャン方向」)に移動することができ、その結果、投影ビームPBはマスク画像上をスキャンする。同時に、基板テーブルWTは、速度V=Mvで同じ方向又は反対方向に同時に移動する。ここで、Mは、レンズPLの倍率(通常、M=1/4又は1/5である)である。このようにして、解像度を犠牲にしないで比較的広いターゲット部分Cを露光することができる。
【0068】
[0088] 本明細書に開示する概念は、サブ波長フィーチャを結像する任意の汎用の結像システムをシミュレートするか又は数学的にモデル化することができ、特にますます微細化するサイズの波長を生成することができる台頭しつつある結像技術で有用である。すでに普及している新興技術は、ArFレーザを用いて193nmの波長を生成することができ、さらにフッ素レーザを用いて157nmの波長を生成することができるDUV(深紫外線)リソグラフィを含む。さらに、EUVリソグラフィは、シンクロトロンを用いて、又は高エネルギーの電子を材料(固体又はプラズマ)に衝突させて20〜5nmの範囲に光子を生成してこの範囲内の波長を生成することができる。この範囲内では大半の材料が光を吸収するため、モリブデンとシリコンのマルチスタックを備えた反射ミラーによって照明を生成することができる。マルチスタックミラーは、各層の厚さが波長の4分の1であるモリブデンとシリコンの40個のペアの層を有する。X線リソグラフィでさらに小さい波長を生成することができる。通常、シンクロトロンを用いてX線波長が生成される。X線波長では大半の材料が光を吸収するため、光吸収性材料の薄片によってどこにフィーチャを印刷し(正レジスト)、どこに印刷しないか(負レジスト)を定義することができる。
【0069】
[0089] 本明細書に開示する概念はシリコンウェーハなどの基板上の結像に使用することができるが、開示された概念は、例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用される任意のタイプのリソグラフィ結像システムと共に使用することができることを理解されたい。
【0070】
[0090] 以上、本発明について、その好ましい実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明の形態と内容を変更及び修正できることは当業者には明らかであろう。添付の請求の範囲はそのような変更及び修正を含むことが意図されている。本明細書で開示した概念は、サブ波長のフィーチャを結像する任意の汎用の結像システムをシミュレートし数学的にモデリングすることができ、ますます小さくなるサイズの波長を生成することができる新興の結像技術と併用すれば特に有用である。すでに普及している新興の技術は、ArFレーザを用いて193nmの波長を生成でき、フッ素レーザを用いて157nmの波長さえ生成できるEUV(極紫外線)リソグラフィを含む。さらに、EUVリソグラフィは、シンクロトロンを用いて、又は材料(固体又はプラズマ)に高エネルギー電子を衝突させて20〜5nmの範囲内に光子を生成することでこの範囲内の波長を生成できる。
【0071】
[0091] 本明細書に開示する概念はシリコンウェーハなどの基板上の結像に使用することができるが、開示された概念は任意のタイプのリソグラフィ結像システム、例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用される任意のタイプのリソグラフィ結像システムと共に使用することができることを理解されたい。
【0072】
[0092] 本発明について、以下の条項を用いてさらに説明する。
1.入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、
前記レジスト層内のある深さでの前記入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記レジスト層内の前記深さでの前記入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界から前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、を含む、方法。
2.前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界のみから順方向放射電磁界を計算するステップと、前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界のみから逆方向放射電磁界を計算するステップとをさらに含む、条項1に記載の方法。
3.前記レジスト層内の空間強度分布をさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
4.前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項4に記載の方法。
6.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項4に記載の方法。
7.前記入射放射線の前記特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及び前記レジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項6に記載の方法。
8.前記基板は、前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有する、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
9.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
10.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
11.前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップは、透過交差係数(TCC)を用いて前記放射電磁界を計算することを含む、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
12.前記TCCは、投影光学系関数から計算される、条項11に記載の方法。
13.前記投影光学系関数は、前記レジスト層によって引き起こされる前記入射放射線の歪の関数である、条項12に記載の方法。
14.前記TCCは、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を表さない、条項11に記載の方法。
15.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記入射放射線の波長より小さい寸法を有する、条項8に記載の方法。
16.前記フィーチャの特性に基づいて1つ以上の散乱関数を用いて基板固有の散乱関数を決定するステップをさらに含み、前記基板固有の散乱関数は、前記フィーチャによって前記レジスト層内の前記入射放射線の散乱を特徴付ける、条項8に記載の方法。
17.前記フィーチャと1つ以上の散乱関数とに基づいて基板固有の散乱関数を計算するステップであって、前記1つ以上の散乱関数の各々が前記フィーチャの少なくとも1つに関連付けられた電磁散乱の特性である、ステップと、
前記基板固有の散乱関数と前記レジスト層に提供された電磁界とに基づいて前記レジスト層内の電磁界を計算するステップと、をさらに含む、条項8に記載の方法。
18.前記フィーチャ要素の特性に基づいてフィーチャのフィーチャ要素の散乱関数を決定するステップであって、前記散乱関数が前記フィーチャ要素によって前記レジスト層内の入射放射線の散乱を特徴付ける、ステップと、
基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が前記レジスト層内の前記設計レイアウトのかなりの部分からの前記入射放射線の散乱を、前記設計レイアウトのかなりの部分の画像領域の下の前記フィーチャ要素によって特徴付ける、ステップと、をさらに含み、
前記基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記フィーチャ要素の散乱関数を再利用するステップを含む、条項8に記載の方法。
19.基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項16から18のいずれか1項に記載の方法。
20.基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項16から19のいずれか1項に記載の方法。
21.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項20に記載の方法。
22.前記レジスト層内に形成される前記像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項20に記載の方法。
23.前記入射放射線の特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及び前記レジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項22に記載の方法。
24.前記1つ以上の散乱関数は、フィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付ける、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
25.前記1つ以上の散乱関数は、厳密なソルバを用いて計算される、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
26.放射源、設計レイアウトの少なくとも一部及び投影光学系のうち1つ以上の特性に基づいて前記入射放射線から発生する前記レジスト層の表面の電磁界を計算するステップをさらに含み、前記レジスト層の表面は、露光中に前記入射放射線に対向する、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
27.前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
28.前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、条項24に記載の方法。
29.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
30.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
31.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記入射放射線の波長よりも小さい寸法を有する、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
32.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
33.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項32に記載の方法。
34.入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、前記基板は前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有し、該方法は、
前記フィーチャの特性に基づいて1つ以上の散乱関数を用いて基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が前記フィーチャによって前記レジスト層内の前記入射放射線の散乱を特徴付けるステップを含む、方法。
35.基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項34に記載の方法。
36.前記基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項34又は35に記載の方法。
37.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項36に記載の方法。
38.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項36に記載の方法。
39.前記入射放射線の特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及びレジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項38に記載の方法。
40.前記1つ以上の散乱関数は、フィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付ける、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
41.前記1つ以上の散乱関数は、厳密なソルバを用いて計算される、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
42.放射源、設計レイアウトの少なくとも一部及び投影光学系のうち1つ以上の特性に基づいて前記入射放射線から発生する前記レジスト層の表面の電磁界を計算するステップをさらに含み、
前記レジスト層の表面は、露光中に前記入射放射線に対向する、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
43.前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
44.前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、条項40に記載の方法。
45.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
46.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
47.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記入射放射線の波長よりも小さい寸法を有する、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
48.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
49.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項48に記載の方法。
50.基板上に配置されたレジスト層内の電磁界を決定する方法であって、前記基板、又は前記レジスト層、或いはその両方は、突起及び/又は凹部によって画定されるフィーチャを有し、該方法は、
前記フィーチャと1つ以上の散乱関数とに基づいて基板固有の散乱関数を計算するステップであって、前記1つ以上の散乱関数の各々が前記フィーチャの少なくとも1つに関連付けられた電磁散乱の特性である、ステップと、
前記基板固有の散乱関数と前記レジスト層に提供された電磁界とに基づいて前記レジスト層内の電磁界を計算するステップと、を含む、方法。
51.前記レジスト層の特性に基づいて、前記基板固有の散乱関数を計算するステップ及び/又は前記レジスト層内の電磁界を計算するステップをさらに含む、条項50に記載の方法。
52.前記1つ以上の散乱関数は、厳密なソルバを用いて計算される、条項50又は51に記載の方法。
53.前記電磁界は、前記レジスト層の表面の表面電磁界であり、前記表面電磁界のソース、パターニングデバイス及び/又は投影光学系からなる群から選択される1つ以上の特性に基づいて前記レジスト層の表面の表面電磁界を計算するステップをさらに含む、条項50から52のいずれかに記載の方法。
54.前記1つ以上の散乱関数は、前記基板上に入射放射線の方向から独立している、条項50から53のいずれかに記載の方法。
55.前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、条項50から54のいずれかに記載の方法。
56.前記電磁界は、極紫外線帯域内の波長を有する、条項50から55のいずれかに記載の方法。
57.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項50から56のいずれかに記載の方法。
58.前記レジスト層内の前記電磁界に基づいてレジスト像を決定するステップをさらに含む、条項50から57のいずれかに記載の方法。
59.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記レジスト層内の前記電磁界の波長よりも小さい寸法を有する、条項50から58のいずれかに記載の方法。
60.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項50から59のいずれかに記載の方法。
61.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項60に記載の方法。
62.基板上のレジスト層内に形成される設計レイアウトのかなりの部分の像をシミュレートする方法であって、前記基板は前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有し、該方法は、
フィーチャのフィーチャ要素の散乱関数を前記フィーチャ要素の特性に基づいて決定するステップであって、前記散乱関数が前記フィーチャ要素によって前記レジスト層内の入射放射線の散乱を特徴付ける、ステップと、
基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が前記レジスト層内の設計レイアウトのかなりの部分からの前記入射放射線の散乱を、前記設計レイアウトのかなりの部分の画像領域の下の前記フィーチャ要素によって特徴付ける、ステップと、をさらに含み、
前記基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記フィーチャ要素の散乱関数を再利用することを含む、方法。
63.前記レジスト層内又はその下の前記フィーチャは、特定の散乱関数を各々有する複数のフィーチャ要素を備える、条項62に記載の方法。
64.前記散乱関数の少なくとも幾つかは、厳密なソルバを用いて計算される、条項63に記載の方法。
65.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項62から64のいずれか1項に記載の方法。
66.前記入射放射線に対向するレジスト層の表面の設計レイアウトの前記かなりの部分からの前記入射放射線を決定するステップをさらに含む、条項62から65のいずれか1項に記載の方法。
67.前記基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項62から66のいずれかに記載の方法。
68.前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、条項62から67のいずれかに記載の方法。
69.前記設計レイアウトの前記かなりの部分は、回路設計の少なくとも20%を含む、条項62から68のいずれかに記載の方法。
70.コンピュータによって実行されると、条項1から69のいずれかに記載の方法を実施する命令を記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
71.基板上のレジスト層内又はその下のフィーチャの成分であるフィーチャ要素の散乱関数のライブラリを記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
72.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項71に記載の方法。
73.前記レジスト層内のある深さでの前記入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記レジスト層内の前記深さでの前記入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界から前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップとをさらに含む、条項34、50及び62のいずれか1項に記載の方法。
74.前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界のみから順方向放射電磁界を計算するステップと、前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界のみから逆方向放射電磁界を計算するステップと、をさらに含む、条項73に記載の方法。
75.前記レジスト層内の空間強度分布をさらに含む、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
76.前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
77.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項76に記載の方法。
78.前記レジスト層内に形成される前記像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項76に記載の方法。
79.前記入射放射線の特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及び前記レジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項78に記載の方法。
80.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
81.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
82.前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップは、透過交差係数(TCC)を用いて前記放射電磁界を計算することを含む、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
83.TCCは、投影光学系関数から計算される、条項82に記載の方法。
84.前記投影光学系関数は、レジスト層によって引き起こされる前記入射放射線の歪の関数である、条項83に記載の方法。
85.TCCは、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を表さない、条項82に記載の方法。
【0073】
[0093] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような実施形態を変更できることが当業者には明らかである。
【背景技術】
【0001】
[0001] リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造で使用することができる。その場合、マスクは、ICの個々の層に対応する回路パターンを含むことができ、このパターンを放射感応性材料(レジスト)の層でコーティングされた基板(シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ以上のダイを含む)に結像することができる。一般に、1つのウェーハは、投影システムを介して一度に1つずつ連続的に照射される隣接するターゲット部分のネットワーク全体を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置では、マスクパターン全体をターゲット部分に一度に露光することで各ターゲット部分が照射される。上記装置は、一般にウェーハステッパと呼ばれる。一般にステップアンドスキャン装置と呼ばれる別の装置では、各ターゲット部分は、投影ビームの下でマスクパターンを所与の基準方向(「スキャン方向」)に漸次スキャンしながらそれに同期してこの方向に平行に又は逆平行に基板テーブルをスキャンすることで照射される。一般に、投影システムは、拡大率M(一般に、M<1)を持つので、基板テーブルがスキャンされる速度Vは、マスクテーブルがスキャンされる速度の因数M倍となる。
【0002】
[0002] リソグラフィ投影装置を用いた製造プロセスでは、放射感応性材料(レジスト)の層で少なくとも部分的に覆われた基板上にマスクパターンが結像される。この結像ステップを行う前に、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの種々の処理を基板に対して行うことができる。露光後、基板に対して、結像されたフィーチャの露光後ベーク(PEB)、現像、ハードベーク及び測定/検査などの他の処理を実行することができる。この一連の処理は、例えば、ICのようなデバイスの個々の層にパターン形成する基準として使用される。次に、そのようなパターン形成された層に対して、個々の層を完成させるためのエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、化学的機械的研磨などの種々の処理を行うことができる。幾つかの層が必要な場合、処理全体、又はその変形処理を新しい層ごとに繰り返す必要がある。最終的に、デバイスのアレイが基板(ウェーハ)上に形成される。これらのデバイスは、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、それにより個々のデバイスをキャリア上に装着することもできるし、ピンなどに接続することもできる。
【0003】
[0003] 話を分かりやすくするため、以下、投影システムを「レンズ」と呼ぶことがある。しかし、この用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、及び反射屈折光学系を含む種々のタイプの投影システムを含むものと広義に解釈されるべきである。放射システムは、また、放射投影ビームを誘導し、整形し、又は制御する任意のこれらの設計タイプに従って動作するコンポーネントを含むことができる。このようなコンポーネントも、以下において集合的に又は単独で「レンズ」と呼ぶことがある。さらに、リソグラフ装置は、2つ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。このような「マルチステージ」デバイスでは、追加のテーブルを、並列に使用することもでき、又は、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に、1つ以上のテーブル上で準備ステップを実行することもできる。
【0004】
[0004] 上記フォトリソグラフィマスクは、シリコンウェーハ上に集積する回路コンポーネントに対応する幾何学パターンを含む。このようなマスクを作成するのに使用するパターンは、このプロセスが多くの場合EDA(電子設計オートメーション)と呼ばれるCAD(コンピュータ支援設計)プログラムを用いて生成される。大半のCADプログラムは、機能マスクを作成するために一組の所定の設計ルールに従う。これらのルールは、処理及び設計の制限によって設定される。例えば、設計ルールは、回路デバイス(ゲート、コンデンサなど)又は相互接続線間の空間許容範囲を定義して、回路デバイス又は線が好ましくない形で相互動作しないようにする。設計ルールの限界は、通常、「クリティカルディメンション」(CD)とも呼ばれる。回路のクリティカルディメンションは、線若しくは穴の最小幅又は2本の線若しくは2つの穴の間の最小空間として定義することができる。それ故、CDは、設計された回路の全体のサイズと密度とを決定する。もちろん、集積回路の製作の目標の1つは、元の回路設計をウェーハ上に(マスクを介して)忠実に再現することである。
【0005】
[0005] 上述のように、マイクロリソグラフィは半導体集積回路の製造における中心ステップであり、半導体ウェーハ基板上に形成されるパターンは、マイクロプロセッサ、メモリチップなどの半導体デバイスの機能要素を定義する。同様のリソグラフィ技術が、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、及び他のデバイスの形成にも使用される。
【0006】
[0006] 半導体製造プロセスが進化し続ける一方で、回路素子の寸法は絶えず低減し、その間、デバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の数は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って数十年間にわたって着実に増加しつつある。現行の技術では、先端デバイスのクリティカルレイヤが、深紫外線レーザ光源の照明を用いて基板上にマスク画像を投影して100nmをはるかに下回る、すなわち、投影光の波長の半分に満たない寸法を有する個別の回路フィーチャを作成するスキャナとして既知の光リソグラフィ投影システムを用いて製造される。
【0007】
[0007] 光投影システムの伝統的な解像限界よりも小さい寸法を有するフィーチャが印刷されるこのプロセスは、一般に解像度の式、CD=k1×λ/NAによる低k1リソグラフィとして公知である。この式で、λは使用する放射の波長(現在ほとんどの場合、248nm又は193nm)、NAは投影光学系の開口数、CDは「クリティカルディメンション」、すなわち、一般に印刷される最小のフィーチャサイズ、及びk1は経験的解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能と性能を達成するために回路設計者が計画する形状と寸法に似たパターンをウェーハ上に再現することは困難になる。これらの困難を克服するために、投影システムだけでなくマスク設計にも高度の微調整ステップが適用される。これらは、例えば、NA及び光コヒーレンス設定の最適化、カスタム化された照明方法、移相マスクの使用、マスクレイアウト内の光近接効果補正、又は.一般に「高解像度化技術」(RET)と呼ばれるその他の方法を含むが、これらに限定されない。
【0008】
[0008] RETの重要な一例として、光近接効果補正(OPC)は、ウェーハ上に印刷されるフィーチャの最終寸法及び配置が、単にマスク上の対応するフィーチャの寸法及び配置に応じるものでないという事実に対処する。「マスク」及び「レチクル」という用語は、本明細書では互換的に使用されることに留意されたい。典型的な回路設計上でフィーチャ寸法が小さくフィーチャ密度が高い場合、所与のフィーチャの特定のエッジの位置は、ある程度、他の隣接するフィーチャの有無による影響を受ける。このような近接効果は、フィーチャ間で結合される微量の光から生じるものである。同様に、近接効果は、露光後ベーク(PEB)、レジスト現像、及び一般にリソグラフィ露光後のエッチング時の拡散及び他の化学的影響から生じる場合がある。
【0009】
[0009] フィーチャが所与のターゲット回路設計の要件に従って半導体基板上に確実に生成されるようにするために、高度な数値モデルを使用して近接効果を予測する必要があり、補正又はプリディストーションをマスクの設計に適用する必要があり、その後、高性能なデバイスの良好な製造が可能になる。典型的な高性能設計では、ターゲット設計に十分近づいたプリントパターンを達成するために、ほぼすべてのフィーチャエッジが何らかの修正を必要とする。これらの修正は、エッジ位置又はライン幅のシフト又はバイアス、及びそれら自体を印刷することを意図しないが、関連付けられた主フィーチャの特性に影響を与えることのない「アシスト」フィーチャの適用を含んでもよい。半導体業界で、マイクロリソグラフィ(又はリソグラフィ)とは、半導体ウェーハ(例えば、シリコン又はGaAsウェーハ)上に回路パターンを印刷するプロセスである。現在、光リソグラフィは半導体デバイス及びフラットパネルディスプレイなどのその他のデバイスの大量生産で使用される主流の技術である。そのようなリソグラフィは、可視スペクトル〜深紫外スペクトル波長域の光線を用いて基板上に感光性レジストを露光する。将来、極紫外線(EUV)及び軟X線を使用できるようになろう。露光後、レジストは現像されてレジスト像が生成される。
【0010】
[0010] 本発明を説明する前に、設計全体及び結像プロセスについて簡潔に説明する。図1は、例示的リソグラフィ投影装置10を示す。主要なコンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ放射源などの光源12、部分的なコヒーレンスを定義するとともに特定の光源整形光学系14、16a及び16bを含んでいてもよい照明光学系、マスク又はレチクル18、及び、ウェーハ面22上にレチクルパターンの画像を生成する投影光学系16cである。瞳面の調整式フィルタ又はアパーチャ20はウェーハ面22に当たるビーム角度の範囲を制限することができ、可能な最大角度は投影光学系の開口数NA=sin(Θmax)を定義する。
【0011】
[0011] リソグラフィ投影装置でのリソグラフィのシミュレーションの例示的なフローチャートを図2に示す。光源モデル31は、光源の光学特性(放射強度分布及び/又は位相分布を含む)を表す。投影光学系モデル32は、投影光学系の光学特性(投影光学系によって引き起こされる放射強度分布及び/又は位相分布の変化を含む)を表す。設計レイアウトモデル35は、パターニングデバイス上の、又はそれによって形成されるフィーチャの構成である設計レイアウトの光学特性(所与の設計レイアウト33によって引き起こされる放射強度分布及び/又は位相分布の変化を含む)を表す。空間像36は、設計レイアウトモデル35、投影光学系モデル32及び設計レイアウトモデル35からシミュレートできる。レジスト像37は、レジストモデル37を用いて空間像36からシミュレートできる。リソグラフィのシミュレーションは、例えば、レジスト像の輪郭とCDを予測できる。
【0012】
[0012] より詳細には、光源モデル31は、NAシグマ(σ)設定と任意の特定の照明源の形状(例えば、環状、四重極、及び二重極などのオフアクシス放射源)を、これらに限定されないが含む光源の光学特性を表すことができる。投影光学モデル32は、収差、歪、屈折率、物理的サイズ、物理的寸法などを含む投影光学系の光学特性を表すことができる。また、設計レイアウトモデル35は、例えば、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第7,587,704号に記載された物理パターニングデバイスの物理特性を表すことができる。シミュレーションの目的は、例えば、意図した設計と比較するためのエッジ配置、空間像強度スロープ及びCDを正確に予測することである。意図した設計は、一般にGDSII又はOASISなどの標準のデジタルファイルフォーマット或いはその他のファイルフォーマットで提供できるOPC前設計レイアウトとして定義される。
【0013】
[0013] レジストが投影像によって露光され、その後ベーク及び現像される際、レジストは、複雑な化学的及び物理的変化を受ける傾向がある。最終のレジストパターンは、通常、レジストと基板との界面のレジストフィーチャの幅として普通定義されるそのクリティカルディメンション、すなわちCDによって特徴付けられる。CDは、普通、所与のデバイス内にパターニングされている最小のフィーチャを現すように意図されているが、実際には、CDは任意のレジストフィーチャの線幅を記述するために使用される。
【0014】
[0014] 大半の露光ツールの中で、光学システムは、パターンのサイズをマスクレベルからウェーハレベルまで、通常4〜5の低減率に低減する。このため、マスクレベルのパターンは、通常ウェーハレベルの所望のパターンよりも大きく、その結果、マスクレベルで必要な寸法制御許容値が緩和され、マスク製造プロセスの歩留まりと生産性とが改善される。露光ツールのこの低減率は、露光プロセスの「寸法」に言及する際にある種の混乱をもたらす。本明細書では、フィーチャサイズ及び寸法は、ウェーハレベルのフィーチャサイズ及び寸法を指し、「最小フィーチャサイズ」は、ウェーハレベルの最小フィーチャサイズを指す。
【0015】
[0015] 露光プロセスが正確にデバイスをパターニングするために、デバイス内のすべての臨界構造のCDをパターニングして所望のターゲット寸法を達成しなければならない。すべてのターゲットCDをエラーなしに達成することは実際には不可能なため、デバイスは一定のCDエラーの許容値を有して設計されている。この場合、すべての臨界フィーチャのCDが上記の事前定義された許容値の範囲内に収まるのであれば、パターンは許容できると考えられる。製造環境内で露光プロセスが実行可能であるためには、CDの全分布が製造で発生すると予想される通常のプロセス範囲の変動を表すプロセス条件の範囲にわたる許容値限度の範囲内に収まる必要がある。例えば、名目上同一のプロセス条件の実際の照射量は、名目照射量の最大±5%まで変動することがある。名目上同一のプロセス条件の実際の焦点面は、名目焦点面の最大±100nmまで変動することがある。
【0016】
[0016] パターン転写プロセスの忠実度を制限するか、又は劣化させる要因は、マスク製造プロセス、投影光学系、レジストプロセス、及び投影光とウェーハ上に形成された膜スタックとの間の相互作用の制御での欠陥を含む。しかし、完璧なマスク、完璧な光学系、完璧なレジストシステム、及び完璧な基板反射制御をもってしても、結像するフィーチャの寸法が露光ツールで使用される光の波長よりも短くなると、像の忠実度を維持するのが困難になる。193nmの照明源を用いる露光プロセスの場合、65nm程度のフィーチャが望ましい。この深サブ波長レジームでは、パターン転写プロセスは極めて非直線的になり、ウェーハレベルの最終パターンの寸法は、マスクレベルのパターンのサイズだけでなくフィーチャの局所環境にも極めて敏感な関数になり、局所環境が光の波長の約5〜10倍の半径まで延在する。波長と比較して極めて小さいフィーチャサイズを仮定すると、隣接するフィーチャのサイズと近接性とに応じてマスク上の同一の構造であっても、また、直接隣接していないが露光ツールの光学系によって定義された近接領域内にあるフィーチャであっても、異なるウェーハレベルの寸法を有することになる。これらの光学近接効果は文献で周知である。
【0017】
[0017] 結像品質を向上させパターン転写プロセスの高い非直線性を最小限にする試みの中で、現在の処理技術は、近接効果を克服することを目的とするあらゆる技術の一般的な用語である様々なRET及びOPCを使用している。最も簡単なOPCの形態は選択的バイアスである。あるCD対ピッチ曲線が与えられると、マスクレベルのCDを変化させることで、異なるピッチのすべてが同じCD、少なくともべストフォーカス及び露光を生成するように強制される。したがって、ウェーハレベルのフィーチャの印刷が小さすぎる場合、マスクレベルのフィーチャは、名目よりもわずかに大きくなるようにバイアスされる。また、その逆も同様である。マスクレベルからウェーハレベルへのパターン転写プロセスは非直線的であるため、バイアスの量はベストフォーカスで測定されたCDエラーに一致せず、露光時間は低減率に一致せず、モデリングと実験とによって適当なバイアスを決定できる。選択的バイアスは、特に名目プロセス条件のみに適用される場合には、近接効果の問題の解決策として不備である。原則的に、そのようなバイアスが適用され、ベストフォーカス及び露光での所与の均一なCD対ピッチ曲線が得られたとしても、露光プロセスが名目条件から変化すると、各々のバイアスがかかったピッチ曲線は異なる応答をして、異なるフィーチャに対して異なるプロセスウィンドウを生成する。したがって、同一のCD対ピッチを与える「ベスト」バイアスはプロセスウィンドウ全体に悪影響を与え、全ターゲットフィーチャが所望のプロセス許容値の範囲内でウェーハ上に印刷される焦点及び露光範囲を拡大するのではなく低減することになりかねない。
【0018】
[0018] 上記の一次元バイアスの例を超えた用途のために、別のより複雑なOPC技術が開発されている。二次元近接効果は、線端短縮である。線端は、露光及び合焦の関数として所望の端点から「プルバックする」傾向がある。多くの場合、長い線の端部の線端短縮の程度は、対応する線の幅の減少よりも数倍の大きさになる。このタイプの線端プルバックの結果、例えば、ソース−ドレイン領域上のポリシリコンゲート層などの線端が完全に覆うはずであった基層を完全に横切ることができなかった場合に、製造中のデバイスの破滅的な障害が引き起こされる可能性がある。このタイプのパターンは合焦及び露光の影響を極めて受けやすいため、ベストフォーカス及び合焦又は露光不足条件下の線は過剰に長くなり、延在した線端が隣接する構造に接触して短絡を引き起こすか、又は回路内の個別のフィーチャの間にスペースが追加された場合に回路サイズが不必要に大きくなるため、線端を設計長よりも長くするようにバイアスするだけでは不適当である。集積回路設計及び製造の主要な目標の1つはチップ当たりに必要な領域を最小限にしながら機能要素の数を最大限にすることであるため、過剰な間隔を追加することは極めて望ましくない解決策である。
【0019】
[0019] 二次元OPC方法は、線端プルバックの問題の解決を助けるために開発された。「ハンマーヘッド」又は「セリフ」として知られる追加構造(又はアシストフィーチャ)は、日常的に線端に追加されそれらを所定位置に固定し、プロセスウィンドウ全体にわたって低減したプルバックを提供する。ベストフォーカス及び露光においてさえ、これらの追加構造は解像されず、単独で完全に解像されることなく主要なフィーチャの外観を変える。本明細書で使用する「主要なフィーチャ」は、プロセスウィンドウ内の幾つかの又は全部の条件下のウェーハ上に印刷されるように意図されたフィーチャを意味する。アシストフィーチャは、マスク上のパターンがもはや単に低減率によってサイズアップされた所望のウェーハパターンではなくなる程度まで、線端に加えられた簡単なハンマーヘッドよりもはるかに攻撃的な形態をとることができる。セリフなどのアシストフィーチャは、線端プルバックの単なる低減よりも多数のケースに適用できる。内部又は外部セリフを任意のエッジ、特に二次元エッジに適用してコーナーの丸み又はエッジの突起を低減することができる。すべてのサイズと極性の十分な選択的バイアス及びアシストフィーチャを用いて、マスク上のフィーチャは、ウェーハレベルで所望の最終パターンにますます似なくなる。一般に、マスクパターンはウェーハレベルのパターンの予歪バージョンであり、ここで、歪は、リソグラフィプロセスで発生するパターンの変形を打ち消すか又は覆して設計者によって意図されたパターンにできる限り近いパターンをウェーハ上に生成するように意図されている。
【0020】
[0020] 上記OPC技術の多くを単一マスク上で解像とプロセスウィンドウの拡張の両方のために追加された様々な位相の移相構造と併用することができる。一次元の線をバイアスする簡単な作業は、隣接するフィーチャとの衝突を引き起こすことなく二次元構造を移動、サイズ変更、アシストフィーチャで拡張、及びおそらくは移送させるにつれてますます複雑になる。深サブ波長リソグラフィの拡張された近接範囲のため、フィーチャに適用されるOPCタイプの変化は半ミクロン〜ミクロン以内に位置する別のフィーチャにとって意図しない結果を有することがある。この近接範囲には多数のフィーチャがあると思われるため、OPC装飾を最適化する作業はより攻撃的な方法の追加と共にますます複雑になる。追加される各々の新しいフィーチャは他のフィーチャに影響し、次に、他のフィーチャを再修正してその結果を繰り返して元の意図した方法で各フィーチャを印刷でき、同時に適当な形でその隣接するフィーチャの空間像に貢献して、それらもそれぞれの許容値の範囲内に印刷されるようにすることができる。
【発明の概要】
【0021】
[0021] 入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、レジスト層内のある深さでの入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、レジスト層内の前記深さでの入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界からレジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、を含む方法が本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0022] 具体的な実施形態について以下の添付図面に関連して説明する。
【図1】[0023]本発明の例示的実施態様によるリソグラフィシステムの様々なサブシステムのブロック図である。
【図2】[0024]図1のサブシステムに対応するシミュレーションモデルのブロック図である。
【図3】[0025]基板上のフィーチャからの入射放射線の散乱を示す。
【図4】[0026]ある実施形態による方法のフローチャートを示す。
【図5】[0027]幾つかの例示的なフィーチャ要素を示す。
【図6A】[0028]基板上のレジスト層の下の例示的なフィーチャを示す。
【図6B】[0029]図6Aの基板から発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。
【図6C】[0030]FDTDを用いて計算した図6Aのフィーチャから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。
【図6D】[0031]ある実施形態による方法を用いて計算した図6Aのフィーチャから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。
【図7】[0032]ある実施形態による方法のフローチャートを示す。
【図8】[0033]レジスト層内の所与の深さでの前方伝搬電界
【数1】
と後方伝搬電界
【数2】
の概略図を示す。
【図9A】[0034]左側のパネルはFDTDなどの厳密な方法を用いて計算した平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示し、中央のパネルは図7と同じ方法を用いた同じ平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示し、右側のパネルは左側及び中央パネルの放射電磁界の同じ場所の断面図を示す。
【図9B】[0035]同じぼかしを用いて図9Aの左側のパネル内の放射電磁界及び図9Bの左側のパネル内の放射電磁界から抽出したレジスト像を示す。
【図9C】[0036]同じぼかしを用いて、FDTDなどの厳密な方法を用いて計算した非平面膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界から抽出されたレジスト像と、図7の方法を用いて同じ非平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界から抽出されたレジスト像とを示す。
【図10】[0037]実施形態を実施できる例示的コンピュータシステムのブロック図である。
【図11】[0038]実施形態が適用可能なリソグラフィ投影装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0039] 例示的な例として提供される図面を参照して以下に本発明を詳述する。特に、以下の図及び例は範囲を1つの実施形態に限定するものではなく、下記又は図示の要素の一部又は全部を入れ替えることで別の実施形態も可能である。さらに、既知のコンポーネントを用いて本発明の特定の要素を部分的に又は完全に実施することができる場合、本発明の理解に必要な既知のコンポーネントのそれらの部分のみを説明し、分かりにくくすることなく、それら既知のコンポーネントのその他の部分の詳細な説明を省略する。ソフトウェアで実施される実施形態はそれに限定されてはならず、特に断りのない限り、当業者には明らかなように、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組合せで実施される実施形態を含むことができ、またその逆の場合も同様である。本明細書では、単一のコンポーネントを示す実施形態は限定的と考えてはならず、特に本明細書で断りのない限り、範囲は複数の同じコンポーネントを含む別の実施形態を包含し、またその逆の場合も同様である。さらに、特に断りのない限り、出願人らは明細書又は特許請求の範囲のいかなる用語にも一般的でない又は特殊な意味を与えることはない。さらに、本発明は、本明細書の図で参照する既知のコンポーネントの現在及び将来の既知の同等物を包含する。本発明者らは、リソグラフィプロセス中のマスクから基板へのパターン転写プロセスが、特にフィーチャが入射放射線の波長よりも小さいとき、又は基板が反射防止コーティング(BARC)を備えていないときに、レジスト層の下の基板上の既存のフィーチャによる投影光学系からの入射放射線の散乱によってさらに複雑になることを認識している。
【0024】
[0040] 図3に示すように、既存のフィーチャ250は、表面220、エッジ230及びコーナー240からの入射放射線210を散乱させることができる。本明細書で使用する「散乱させる」又は「散乱」という用語は、反射、回折、及び屈折を含む入射放射線への効果の組合せを意味する。散乱放射は入射放射線に干渉してレジスト層内の放射の空間強度分布を変えることがあり、その結果、その内部に形成されるレジスト像が変化することがある。散乱は残りのレジスト像を歪ませることがあり、OPC内で補償しなければならない。この散乱の効果はマクスウェルの方程式を解くことで厳密に予測できるが、マクスウェルの方程式は高価な演算であり、基板全体又はマスク全体に適用するには実際的でない。したがって、従来の方法は、レジスト層内の像のシミュレーション時にレジスト挙動のモデルのみを使用する。
【0025】
[0041] 幾つかの態様によれば、レジスト層内のシミュレートされた像は、基板内又は上のフィーチャによる散乱放射を考慮に入れて計算される。幾つかの実施形態では、レジスト層内の放射の空間強度分布を例えば図4に示すフローチャートに示す方法を用いて抽出できる。この方法は演算がそんなに高価ではなく、実質的に回路設計全体又はマスク全体に適用できる。フィーチャの散乱関数は、エッジ、コーナー及び表面などのフィーチャ要素の散乱関数のライブラリ310を用いて推定でき、フィーチャ要素の散乱関数は、任意の好適な方法を用いてマクスウェルの方程式を解くことで前もって厳密に計算される。本明細書で使用する「ライブラリ」という単語は、内部の検索を容易にする任意のインデックスを有するか、又は有さない複数の又は1つの集合を意味する。あるいは、エッジ、コーナー及び表面などのフィーチャ要素の散乱関数は、フィーチャの散乱関数の評価中にそれらが最初に必要になったときに厳密に計算することができる。フィーチャ要素の散乱関数は、特定のレジスト内のフィーチャ要素によって放射の散乱を特徴付ける散乱関数であってもよい。フィーチャ320はそのフィーチャ要素の成分に分解でき、フィーチャ320の散乱関数330は、ライブラリ310から知られているか、又は必要に応じて計算されるフィーチャ要素の成分の散乱関数から抽出できる。入射放射線(レジスト層の表面の電界、磁界又は電磁界によって特徴付けられる)にフィーチャ320の散乱関数330を適用すると、フィーチャから発生するレジスト層内に放射電磁界340が生成される。基板から発生するレジスト層内の放射電磁界350は厳密に計算できる。レジスト層内の放射電磁界360(以下、「総電磁界」と呼ぶ)は、フィーチャから発生するレジスト層内の放射電磁界と基板から発生するレジスト層内の放射電磁界の総和である。任意選択として、総電磁界から、レジスト層内の放射370の空間強度分布を抽出することができる。任意選択として空間強度分布からのレジスト像380をレジスト層内の空間強度分布、レジスト層の特性、及び現像、ベーキングなどに関連するパラメータなどの露光後処理などから抽出することができる。
【0026】
[0042] 図5は、散乱関数がライブラリ内で編集される例示的な幾つかのフィーチャ要素を示す。好ましくは、フィーチャ要素の散乱関数は、基板上のレジストのタイプから独立している。図5の上記の例示的な要素は、コーナー410、420、430及び440と、エッジ450、460、470及び480と、を含む。もちろん、その他のフィーチャ要素もライブラリ内に含むことができる。基板上の任意のフィーチャ、例えば、図3のフィーチャ250の散乱関数は、図5に示す好適なフィーチャ要素の散乱関数を含むライブラリから推定することができる。
【0027】
[0043] 図4の方法は、数学的には以下のように記述される。
【0028】
[0044] マスクの直下の平面上の光源sの放射の電気的成分は、
【数3】
で表され、ここで、Mはキルヒホッフの回折、M3D、FDTDなどの任意の好適な方法を用いて計算できるマスクの散乱をモデリングするテンソルであり、k及びksは波ベクトルであり、xは実空間内の場所であり、Esは波ベクトルksを有する光源sからの放射の電気的成分の振幅であり、jは仮想単位であり、j2=−1である。
【0029】
[0045] レジスト層の表面の放射の電気的成分は、
【数4】
で表され、ここで、
Pは、任意の好適な方法を用いて解析的に計算できる投影光学系の散乱をモデリングするテンソルであり、表面は露光中に入射放射線に対向する。
【0030】
[0046] E2から、レジスト層内の放射の電気的成分は、
【数5】
で表され、ここで、Wは基板、その上のフィーチャ及びレジスト層の散乱をモデリングするテンソルである。
【0031】
[0047] テンソルWは、以下の2つの項に分解できる。
【数6】
ここで、
【数7】
は、ディラックのデルタ関数であり、テンソルW0は、好ましくは平面状である基板とレジスト層との散乱をモデリングするものであり、テンソルSは、基板上のフィーチャの散乱をモデリングするものであってフィーチャの散乱関数である。テンソルW0は、FDTDなどの任意の好適な方法を用いて厳密に計算できる。
【0032】
[0048] したがって、レジスト層内の放射の電気的成分を2つの項
【数8】
に分解でき、ここで、
【数9】
である。
【0033】
[0049] テンソルSは、偏光から独立して以下のように近似できる。
【数10】
すなわち、テンソルSは、入射放射線の方向から独立して近似でき、露光中に入射放射線に対向するレジスト層の表面に垂直の方向の入射放射線の成分から計算できる。この近似は、テンソルS及び
【数11】
の計算を簡略化する。各々の入射方向についてテンソルSを計算できることは言うまでもない。
【0034】
[0050] レジスト層内の放射の電気的成分はさらに
【数12】
と簡略化でき、ここで
【数13】
である。
【0035】
[0051] 逆空間及び実空間内のテンソルSは、以下のようにフィーチャの散乱関数のライブラリから組み立てることができる。それぞれ
【数14】
及び
【数15】
であり、ここで、Oはフィーチャの領域関数、OVはフィーチャの垂直エッジ関数、OHはフィーチャの水平エッジ関数、OCはフィーチャのコーナー関数、o、oV、oH、oCはそれぞれO、OV、OH、OCのフーリエ変換、F、FV、FH及びFCはライブラリ内のフィーチャ要素の散乱関数、f、fV、fH及びfCはそれぞれF、FV、FH及びFCのフーリエ変換、及び
【数16】
は畳み込みを示す。
【0036】
[0052] テンソルSが組み立てられると、レジスト層内の放射の電気的成分E3を式1から抽出できる。
【0037】
[0053] 放射の空間強度分布は、レジスト層内の放射電磁界の電気的成分のモジュラス平方にすぎない。
【0038】
[0054] ガウスぼかしなどのぼかしを適用し、しきい値を適用することで、空間強度分布からレジスト像を推定することができる。その他の任意の好適な方法を用いてレジスト像を推定できることは当然である。この推定プロセス(例えば、ガウスぼかし内のパラメータ)は、レジストの特性、及び現像、ベーキングなどの任意の露光後処理に依存する。
【0039】
[0055] 図6Aは、基板4100上のレジスト層4200の下の例示的なフィーチャ4000を示す。図6Bは、基板4100から発生するレジスト層4200内の放射電磁界を示す。図6Cは、FDTD(有限差分時間ドメイン法)を用いて計算したフィーチャ4100から発生するレジスト層4200内の放射電磁界を示す。図6Dは、図6Cの内容のほぼ全部を対象とする本明細書に記載の方法を用いて計算したフィーチャ4100から発生するレジスト層4200内の放射電磁界を示す。
【0040】
[0056] 幾つかの実施形態では、図7のフローチャートに示す例示的な方法を用いてレジスト層内の放射の空間強度分布を抽出できる。この方法は演算がそんなに高価ではなく、実質的に回路設計全体又はマスク全体に適用できる。ステップ710で、レジスト層内の所与の深さzでの入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界が計算される。ステップ720で、レジスト層内の所与の深さzでの入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界が計算される。レジスト像を導出するために、電界を使用することと磁界を使用することとは同等である。分かりやすくするために、以下の説明では電界を使用する。ここで、「順方向伝搬」及び「逆方向伝搬」という語句は、それぞれ、レジスト層(点の網掛け部分の上の網掛けのない部分)の下の基板(点の網掛け部分)へ向かって(図8の左側の矢印に沿って)伝搬する電界又は磁界と、レジスト層の下の基板から遠ざかるように伝搬する電界又は磁界と、を意味する(図8)。順方向伝搬電界
【数17】
と逆方向伝搬電界
【数18】
の両方は、解析的に(例えば、マクスウェルの方程式を用いて)又はFDTD及び厳密結合波解析(RCWA)などの数値的方法を用いて計算できる。
【数19】
と
【数20】
の両方は、レジスト層の下の基板上の既存のフィーチャからの散乱からの寄与を有していてもよい。
【0041】
[0057] ステップ730で、
【数21】
と
【数22】
との間の干渉を無視してレジスト層内の所与の深さでの放射電磁界(以下、「総放射電磁界」と呼ぶ)が
【数23】
と
【数24】
から計算される(すなわち、「インコヒーレント和」)。例えば、
【数25】
だけからの放射電磁界(すなわち、
【数26】
からの寄与がない)(以下、「順方向放射電磁界」と呼ぶ)を計算できる。また、
【数27】
だけからの放射電磁界(すなわち、
【数28】
からの寄与がない)(以下、「逆方向放射電磁界」と呼ぶ)を計算できる。総放射電磁界は、順方向放射電磁界と逆方向放射電磁界との総和である。あるいは、総放射電磁界は、順方向放射電磁界と逆方向放射電磁界とを明示的に計算することなく
【数29】
及び
【数30】
から計算できる。
【0042】
[0058] 任意選択として、総放射電磁界から、レジスト層内の空間強度分布740(すなわち、空間像)を抽出できる。任意選択として、空間強度分布からのレジスト像750を、レジスト層内の空間強度分布740、レジスト層の特性、及び現像、ベーキングなどに関連するパラメータなどの露光後処理などから抽出することができる。
【0043】
[0059] 放射の空間強度分布は、レジスト層内の放射電磁界の電気的成分のモジュラス平方にすぎない。
【0044】
[0060] 一例では、空間像は、透過交差係数(TCC)を用いて計算できる。TCCは、
【数31】
として定義される。空間像AIは、
【数32】
として表現できる。
【0045】
[0061] AI(x)は、空間ドメインの空間像である。A(k)は、光源瞳面の点kからの光源振幅である。L(k)は、レンズ瞳面上の点kの投影光学系関数である。空間ドメインの投影光学系関数は、位置の関数として投影光学系を通過する光に対して投影光学系が引き起こす歪み(例えば振幅、位相又はこれら両方の歪み)を表す。投影光学系関数を一般化してレジスト層を含む膜スタックによって引き起こされる歪を含むことができる。M(k)は、空間周波数ドメインのマスク関数(すなわち設計レイアウト関数)であり、フーリエ変換によって空間ドメインのマスク関数から得ることができる。空間ドメインのマスク関数は、位置の関数としてマスクを通過する光に対してマスクが引き起こす歪み(例えば振幅、位相又はこれら両方の歪み)を表す。さらなる詳細は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第7,587,704号に記載されている。空間ドメインの関数は、フーリエ変換によって空間周波数ドメインの対応する関数に変換することができ、その逆も可能である。ここで、x及びkは、両方ともベクトルである。
【0046】
[0062] 特に、L(k+k’)は、2つの項L(k+k’)=L+(k+k’)+L−(k+k’)に分解でき、ここで、L+(k+k’)は、順方向伝搬光に対する投影光学系及び膜スタックによって引き起こされる歪を表し、L−(k+k’)は、逆方向伝搬光に対する投影光学系及び膜スタックによって引き起こされる歪を表す。
【0047】
[0063] 次に、TCCk’,k”を2つの部分TCCk’,k”=TCCa,k’,k”+TCCb,k’,k”に分離できる。ここで、
【数33】
及び
【数34】
TCCa,k’,k”は、順方向伝搬光及び逆方向伝搬光のインコヒーレント和を表す。TCCb,k’,k”は、順方向伝搬光(順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界)と逆方向伝搬光(逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界)との間の干渉を表す。
【0048】
[0064] ステップ7の方法によれば、TCCb,k’,k”は省略できる。したがって、
【数35】
である。
【0049】
[0065] ガウスぼかしなどのぼかしを適用し、しきい値を適用することで、空間強度分布からレジスト像を推定することができる。その他の任意の好適な方法を用いてレジスト像を推定できることは当然である。この推定プロセス(例えば、ガウスぼかし内のパラメータ)は、レジストの特性、及び現像、ベーキングなどの任意の露光後処理に依存する。
【0050】
[0066] 図9A〜図9Cは、図7の方法を用いて計算したレジスト層内の放射の空間強度分布がFDTDなどのより演算が高価な方法を用いて計算した放射の空間強度分布と同じ良好な結果を得たことを示す。図9Aでは、左側のパネルは、FDTDなどの厳密な方法を用いて計算した平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。中央のパネルは、図7と同じ方法を用いた同じ平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界を示す。右側のパネルは、左側及び中央のパネルの放射電磁界の同じ場所の断面図を示す。図9Bは、同じ50nmのぼかしを用いて図9Aの左側のパネル内の放射電磁界(図9Bの左上パネル)及び図9Bの左側パネル内の放射電磁界(図9Bの左下パネル)から抽出したレジスト像(図9Bの右上及び右下パネル)を示す。図9Cは、同じ50nmのぼかしを用いてFDTDなどの厳密な方法を用いて計算した非平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界(図9Cの左上パネル)から抽出されたレジスト像と、図7の方法を用いて同じ非平面状の膜スタックから発生するレジスト層内の放射電磁界(図9Cの左下パネル)から抽出されたレジスト像とを示す。
【0051】
[0067] 図10は、本明細書に開示するパターン選択方法の具体化及び/又は実施を支援することができるコンピュータシステム100を示す例示的ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を送受信するバス102又はその他の通信機構と、情報を処理するバス102に結合された1つ以上のプロセッサ104(及び105)と、を含む。コンピュータシステム100は、また、情報及びプロセッサ104によって実行される命令を記憶するためのバス102に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又はその他のダイナミックストレージデバイスなどのメインメモリ106を含む。メインメモリ106は、またプロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時的変数又はその他の中間情報を記憶するために使用することができる。コンピュータシステム100は、さらにプロセッサ104のために静的情報及び命令を記憶するバス102に結合された読取専用メモリ(ROM)108又はその他のスタティックストレージデバイスを含む。磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が提供され、バス102に結合され、情報及び命令を記憶する。
【0052】
[0068] コンピュータシステム100は、バス102を介して、コンピュータユーザに対して情報を表示する陰極管(CRT)又はフラットパネル又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合することができる。英数字キー及びその他のキーを含む入力デバイス114がバス102に結合され、プロセッサ104へ情報と選択したコマンドを送信する。別のタイプのユーザ入力デバイスが、プロセッサ104へ方向情報と選択したコマンドを送信しディスプレイ112上でのカーソルの動きを制御するマウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御装置116である。この入力デバイスは、通常、第1軸(例えば、x)と第2軸(例えば、y)の2軸で自由度2を有し、これによってデバイスは平面内の位置を指定することができる。入力デバイスとしてタッチパネル(画面)ディスプレイも使用することができる。
【0053】
[0069] 一実施形態によれば、プロセッサ104によるメインメモリ106に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスの実行に応答してコンピュータシステム100によってシミュレーションプロセスの一部を実行することができる。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込むことができる。メインメモリ106内に含まれる命令シーケンスを実行すると、プロセッサ104は本明細書に記載する各プロセスステップを実行する。マルチ処理装置内の1つ以上のプロセッサを使用してメインメモリ106内に含まれる命令シーケンスを実行することができる。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はそれと組み合わせてハードワイヤード回路を使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組合せに限定されない。
【0054】
[0070] 本明細書で使用する「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供するステップに加わる任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとることができるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などのダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バス102を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含む。また伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成される音波又は光波の形態をとることができる。コンピュータ可読媒体の一般形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の任意の磁気媒体、CD−ROM、DVD、その他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有するその他の任意の物理媒体、RAM、PROM,及びEPROM、フラッシュEPROM,その他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載する搬送波、又はコンピュータが読み取り可能なその他の任意の媒体を含む。
【0055】
[0071] 様々な形態のコンピュータ可読媒体がプロセッサ104へ1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送して実行するステップに含まれる。例えば、命令は、最初リモートコンピュータの磁気ディスク上に記憶されていてもよい。リモートコンピュータは、命令をダイナミックメモリにロードし、モデムを用いて電話回線上で命令を送信することができる。コンピュータシステム100側のモデムは電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換する。バス102に結合された赤外線検出器が赤外線信号で搬送されたデータを受信し、データをバス102上に配置することができる。バス102はデータをメインメモリ106へ搬送し、そこからプロセッサ104が命令を取り出して実行する。オプションとして、メインメモリ106によって受信された命令は、プロセッサ104による実行前又は後にストレージデバイス110に記憶することができる。
【0056】
[0072] また、コンピュータシステム100は、バス102に結合された通信インターフェイス118を含むことが好ましい。通信インターフェイス118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120への双方向データ通信接続を提供する。例えば、通信インターフェイス118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供する総合デジタル通信サービス網(ISDN)カード又はモデムであってもよい。別の例として、通信インターフェイス118は、互換LANにデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。無線リンクも実施することができる。そのような任意の実施態様で、通信インターフェイス118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号又は光信号を送受信する。
【0057】
[0073] ネットワークリンク120は、通常、1つ以上のネットワークを通してデータ通信を他のデータデバイスに提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通してインターネットサービスプロバイダ(ISP)126が運用するホストコンピュータ124又はデータ装置に接続を提供することができる。次に、ISP126は、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク、現在の通称は「インターネット」128を通してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122とインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号又は光信号を使用する。デジタルデータをコンピュータシステム100との間で送受信する様々なネットワークを介した信号及びネットワークリンク120上の信号及び通信インターフェイス118を介した信号は、情報を伝送する搬送波の例示的形態である。
【0058】
[0074] コンピュータシステム100は、ネットワーク、ネットワークリンク120、及び通信インターフェイス118を通してメッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122及び通信インターフェイス118を通してサーバ130がアプリケーションプログラムのために要求されたコードを送信することができる。実施形態によれば、そのような1つのダウンロードされたアプリケーションは、例えばこの実施形態の選択したテストパターンに備える。受信されたコードは、それが受信されるとプロセッサ104によって実行することができ、及び/又はストレージデバイス110又はその他の不揮発性記憶装置に記憶して後で実行することができる。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形式でアプリケーションコードを入手することができる。
【0059】
[0075] 図11は、本発明のテストパターン選択プロセスを使用して較正される計算リソグラフィモデルを使用してその性能をシミュレート及び/又は最適化できる例示的リソグラフィ投影装置を概略的に示す。この装置は、以下のコンポーネントを含む。
[0076] −放射投影ビームBを供給する放射システムEx、IL。この例では、放射システムは放射源SOをさらに含む。
[0077] −マスクMA(例えば、レチクル)を保持するマスクホルダを備え、投影システムPSに対してマスクを正確に位置決めする第1の位置決め手段PMに接続された第1のオブジェクトテーブル(マスクテーブル)MT。
[0078] −基板W(例えば、レジストコートシリコンウェーハ)を保持する基板ホルダを備え、投影システムPSに対して基板を正確に位置決めする第2の位置決め手段PWに接続された第2のオブジェクトテーブル(基板テーブル)WT。
[0079] −基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上にマスクMAの照射部分を結像する投影システム(「レンズ」)PS(例えば、屈折、反射光学、又は反射屈折光学システム)。
【0060】
[0080] 本明細書に記載するように、装置は透過型である(すなわち、透過マスクを有する)。しかし、一般に、装置は、例えば反射型(反射マスクを備えた)であってもよい。あるいは、装置は、マスクの使用に代えて別の種類のパターニング手段を使用してもよい。その例として、プログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリクスがある。
【0061】
[0081] 放射源SO(例えば、水銀ランプ又はエキシマレーザ)は、放射ビームを生成する。このビームは、直接、又はビームエキスパンダ又はビームデリバリシステムBDなどの調節手段を通った後で、照明システム(イルミネータ)ILに供給される。イルミネータILは、ビーム内の強度分散の外側及び/又は内側半径範囲(それぞれ一般に、σ−outer、σ−innerと呼ばれる)を設定する調整手段ADを備えてもよい。さらに、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及び集光器COなどの様々な他のコンポーネントを備える。このようにして、マスクMAに当たるビームBは、断面に所望の均一性と強度とを有する。
【0062】
[0082] 図11に関して、放射源SOはリソグラフィ投影装置のハウジング内にあってもよい(例えば、多くの場合、放射源SOが水銀ランプの場合にあてはまる)が、リソグラフィ投影装置から離れていてもよく、生成する放射ビームを装置内に誘導する(例えば、適切な誘導ミラーにより)構成であってもよいことに留意されたい。この後者のシナリオは、多くの場合、放射源SOがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF又はF2レージングに基づく)の時にあてはまる。本発明は、少なくともこれらの両方のシナリオを包含する。
【0063】
[0083] その後、ビームBは、マスクテーブルMT上に保持されたマスクMAに達する。マスクMAを横断したビームBは、レンズPSを通過し、レンズPSは基板Wのターゲット部分C上にビームBを合焦させる。第2の位置決め手段(及び干渉測定手段IF)により、基板テーブルWTを正確に移動させて様々なターゲット部分CをビームBの経路内に位置決めすることができる。同様に、第1の位置決め手段を用いて、例えば、マスクライブラリからマスクMAを機械的に取り出した後で、又はスキャン中に、ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT、WTの移動は、図11には明示していないロングストロークモジュール(粗動位置決め)とショートストロークモジュール(微動位置決め)により実現する。しかし、ウェーハステッパ(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)の場合、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータに接続するだけでよく、又は固定してもよい。
【0064】
[0084] パターニングデバイスMA及び基板Wは、必要に応じて、パターニングデバイス内の位置合わせマークM1、M2、及びウェーハ上の位置合わせワークP1、P2を使用して、位置合わせすることができる。
【0065】
[0085] 図のツールは、下記の2つの異なるモードで使用することができる。
【0066】
[0086] −ステップモードでは、マスクテーブルMTは、基本的に固定状態に維持され、全マスク画像は、1回で(すなわち、1回の「フラッシュ」で)ターゲット部分C上に投影される。次に、異なるターゲット部分CをビームBで照射することができるように、基板テーブルWTがx及び/又はy方向にシフトされる。
【0067】
[0087] −スキャンモードでは、所与のターゲット部分Cが1回の「フラッシュ」で露光されない点を除けば、基本的には同じシナリオが適用される。代わりに、マスクテーブルMTを、速度vで所与の方向(例えば、y方向のような、いわゆる「スキャン方向」)に移動することができ、その結果、投影ビームPBはマスク画像上をスキャンする。同時に、基板テーブルWTは、速度V=Mvで同じ方向又は反対方向に同時に移動する。ここで、Mは、レンズPLの倍率(通常、M=1/4又は1/5である)である。このようにして、解像度を犠牲にしないで比較的広いターゲット部分Cを露光することができる。
【0068】
[0088] 本明細書に開示する概念は、サブ波長フィーチャを結像する任意の汎用の結像システムをシミュレートするか又は数学的にモデル化することができ、特にますます微細化するサイズの波長を生成することができる台頭しつつある結像技術で有用である。すでに普及している新興技術は、ArFレーザを用いて193nmの波長を生成することができ、さらにフッ素レーザを用いて157nmの波長を生成することができるDUV(深紫外線)リソグラフィを含む。さらに、EUVリソグラフィは、シンクロトロンを用いて、又は高エネルギーの電子を材料(固体又はプラズマ)に衝突させて20〜5nmの範囲に光子を生成してこの範囲内の波長を生成することができる。この範囲内では大半の材料が光を吸収するため、モリブデンとシリコンのマルチスタックを備えた反射ミラーによって照明を生成することができる。マルチスタックミラーは、各層の厚さが波長の4分の1であるモリブデンとシリコンの40個のペアの層を有する。X線リソグラフィでさらに小さい波長を生成することができる。通常、シンクロトロンを用いてX線波長が生成される。X線波長では大半の材料が光を吸収するため、光吸収性材料の薄片によってどこにフィーチャを印刷し(正レジスト)、どこに印刷しないか(負レジスト)を定義することができる。
【0069】
[0089] 本明細書に開示する概念はシリコンウェーハなどの基板上の結像に使用することができるが、開示された概念は、例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用される任意のタイプのリソグラフィ結像システムと共に使用することができることを理解されたい。
【0070】
[0090] 以上、本発明について、その好ましい実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明の形態と内容を変更及び修正できることは当業者には明らかであろう。添付の請求の範囲はそのような変更及び修正を含むことが意図されている。本明細書で開示した概念は、サブ波長のフィーチャを結像する任意の汎用の結像システムをシミュレートし数学的にモデリングすることができ、ますます小さくなるサイズの波長を生成することができる新興の結像技術と併用すれば特に有用である。すでに普及している新興の技術は、ArFレーザを用いて193nmの波長を生成でき、フッ素レーザを用いて157nmの波長さえ生成できるEUV(極紫外線)リソグラフィを含む。さらに、EUVリソグラフィは、シンクロトロンを用いて、又は材料(固体又はプラズマ)に高エネルギー電子を衝突させて20〜5nmの範囲内に光子を生成することでこの範囲内の波長を生成できる。
【0071】
[0091] 本明細書に開示する概念はシリコンウェーハなどの基板上の結像に使用することができるが、開示された概念は任意のタイプのリソグラフィ結像システム、例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用される任意のタイプのリソグラフィ結像システムと共に使用することができることを理解されたい。
【0072】
[0092] 本発明について、以下の条項を用いてさらに説明する。
1.入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、
前記レジスト層内のある深さでの前記入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記レジスト層内の前記深さでの前記入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界から前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、を含む、方法。
2.前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界のみから順方向放射電磁界を計算するステップと、前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界のみから逆方向放射電磁界を計算するステップとをさらに含む、条項1に記載の方法。
3.前記レジスト層内の空間強度分布をさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
4.前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項4に記載の方法。
6.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項4に記載の方法。
7.前記入射放射線の前記特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及び前記レジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項6に記載の方法。
8.前記基板は、前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有する、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
9.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
10.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
11.前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップは、透過交差係数(TCC)を用いて前記放射電磁界を計算することを含む、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
12.前記TCCは、投影光学系関数から計算される、条項11に記載の方法。
13.前記投影光学系関数は、前記レジスト層によって引き起こされる前記入射放射線の歪の関数である、条項12に記載の方法。
14.前記TCCは、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を表さない、条項11に記載の方法。
15.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記入射放射線の波長より小さい寸法を有する、条項8に記載の方法。
16.前記フィーチャの特性に基づいて1つ以上の散乱関数を用いて基板固有の散乱関数を決定するステップをさらに含み、前記基板固有の散乱関数は、前記フィーチャによって前記レジスト層内の前記入射放射線の散乱を特徴付ける、条項8に記載の方法。
17.前記フィーチャと1つ以上の散乱関数とに基づいて基板固有の散乱関数を計算するステップであって、前記1つ以上の散乱関数の各々が前記フィーチャの少なくとも1つに関連付けられた電磁散乱の特性である、ステップと、
前記基板固有の散乱関数と前記レジスト層に提供された電磁界とに基づいて前記レジスト層内の電磁界を計算するステップと、をさらに含む、条項8に記載の方法。
18.前記フィーチャ要素の特性に基づいてフィーチャのフィーチャ要素の散乱関数を決定するステップであって、前記散乱関数が前記フィーチャ要素によって前記レジスト層内の入射放射線の散乱を特徴付ける、ステップと、
基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が前記レジスト層内の前記設計レイアウトのかなりの部分からの前記入射放射線の散乱を、前記設計レイアウトのかなりの部分の画像領域の下の前記フィーチャ要素によって特徴付ける、ステップと、をさらに含み、
前記基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記フィーチャ要素の散乱関数を再利用するステップを含む、条項8に記載の方法。
19.基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項16から18のいずれか1項に記載の方法。
20.基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項16から19のいずれか1項に記載の方法。
21.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項20に記載の方法。
22.前記レジスト層内に形成される前記像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項20に記載の方法。
23.前記入射放射線の特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及び前記レジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項22に記載の方法。
24.前記1つ以上の散乱関数は、フィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付ける、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
25.前記1つ以上の散乱関数は、厳密なソルバを用いて計算される、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
26.放射源、設計レイアウトの少なくとも一部及び投影光学系のうち1つ以上の特性に基づいて前記入射放射線から発生する前記レジスト層の表面の電磁界を計算するステップをさらに含み、前記レジスト層の表面は、露光中に前記入射放射線に対向する、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
27.前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
28.前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、条項24に記載の方法。
29.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
30.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
31.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記入射放射線の波長よりも小さい寸法を有する、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
32.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
33.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項32に記載の方法。
34.入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、前記基板は前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有し、該方法は、
前記フィーチャの特性に基づいて1つ以上の散乱関数を用いて基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が前記フィーチャによって前記レジスト層内の前記入射放射線の散乱を特徴付けるステップを含む、方法。
35.基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項34に記載の方法。
36.前記基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項34又は35に記載の方法。
37.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項36に記載の方法。
38.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項36に記載の方法。
39.前記入射放射線の特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及びレジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項38に記載の方法。
40.前記1つ以上の散乱関数は、フィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付ける、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
41.前記1つ以上の散乱関数は、厳密なソルバを用いて計算される、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
42.放射源、設計レイアウトの少なくとも一部及び投影光学系のうち1つ以上の特性に基づいて前記入射放射線から発生する前記レジスト層の表面の電磁界を計算するステップをさらに含み、
前記レジスト層の表面は、露光中に前記入射放射線に対向する、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
43.前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
44.前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、条項40に記載の方法。
45.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
46.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
47.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記入射放射線の波長よりも小さい寸法を有する、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
48.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項34から36のいずれか1項に記載の方法。
49.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項48に記載の方法。
50.基板上に配置されたレジスト層内の電磁界を決定する方法であって、前記基板、又は前記レジスト層、或いはその両方は、突起及び/又は凹部によって画定されるフィーチャを有し、該方法は、
前記フィーチャと1つ以上の散乱関数とに基づいて基板固有の散乱関数を計算するステップであって、前記1つ以上の散乱関数の各々が前記フィーチャの少なくとも1つに関連付けられた電磁散乱の特性である、ステップと、
前記基板固有の散乱関数と前記レジスト層に提供された電磁界とに基づいて前記レジスト層内の電磁界を計算するステップと、を含む、方法。
51.前記レジスト層の特性に基づいて、前記基板固有の散乱関数を計算するステップ及び/又は前記レジスト層内の電磁界を計算するステップをさらに含む、条項50に記載の方法。
52.前記1つ以上の散乱関数は、厳密なソルバを用いて計算される、条項50又は51に記載の方法。
53.前記電磁界は、前記レジスト層の表面の表面電磁界であり、前記表面電磁界のソース、パターニングデバイス及び/又は投影光学系からなる群から選択される1つ以上の特性に基づいて前記レジスト層の表面の表面電磁界を計算するステップをさらに含む、条項50から52のいずれかに記載の方法。
54.前記1つ以上の散乱関数は、前記基板上に入射放射線の方向から独立している、条項50から53のいずれかに記載の方法。
55.前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、条項50から54のいずれかに記載の方法。
56.前記電磁界は、極紫外線帯域内の波長を有する、条項50から55のいずれかに記載の方法。
57.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項50から56のいずれかに記載の方法。
58.前記レジスト層内の前記電磁界に基づいてレジスト像を決定するステップをさらに含む、条項50から57のいずれかに記載の方法。
59.前記フィーチャの少なくとも1つは、前記レジスト層内の前記電磁界の波長よりも小さい寸法を有する、条項50から58のいずれかに記載の方法。
60.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項50から59のいずれかに記載の方法。
61.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項60に記載の方法。
62.基板上のレジスト層内に形成される設計レイアウトのかなりの部分の像をシミュレートする方法であって、前記基板は前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有し、該方法は、
フィーチャのフィーチャ要素の散乱関数を前記フィーチャ要素の特性に基づいて決定するステップであって、前記散乱関数が前記フィーチャ要素によって前記レジスト層内の入射放射線の散乱を特徴付ける、ステップと、
基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が前記レジスト層内の設計レイアウトのかなりの部分からの前記入射放射線の散乱を、前記設計レイアウトのかなりの部分の画像領域の下の前記フィーチャ要素によって特徴付ける、ステップと、をさらに含み、
前記基板固有の散乱関数の決定ステップは、前記フィーチャ要素の散乱関数を再利用することを含む、方法。
63.前記レジスト層内又はその下の前記フィーチャは、特定の散乱関数を各々有する複数のフィーチャ要素を備える、条項62に記載の方法。
64.前記散乱関数の少なくとも幾つかは、厳密なソルバを用いて計算される、条項63に記載の方法。
65.前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、条項62から64のいずれか1項に記載の方法。
66.前記入射放射線に対向するレジスト層の表面の設計レイアウトの前記かなりの部分からの前記入射放射線を決定するステップをさらに含む、条項62から65のいずれか1項に記載の方法。
67.前記基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項62から66のいずれかに記載の方法。
68.前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、条項62から67のいずれかに記載の方法。
69.前記設計レイアウトの前記かなりの部分は、回路設計の少なくとも20%を含む、条項62から68のいずれかに記載の方法。
70.コンピュータによって実行されると、条項1から69のいずれかに記載の方法を実施する命令を記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
71.基板上のレジスト層内又はその下のフィーチャの成分であるフィーチャ要素の散乱関数のライブラリを記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
72.前記ライブラリは、インデックス情報を含む、条項71に記載の方法。
73.前記レジスト層内のある深さでの前記入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記レジスト層内の前記深さでの前記入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界から前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップとをさらに含む、条項34、50及び62のいずれか1項に記載の方法。
74.前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界のみから順方向放射電磁界を計算するステップと、前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界のみから逆方向放射電磁界を計算するステップと、をさらに含む、条項73に記載の方法。
75.前記レジスト層内の空間強度分布をさらに含む、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
76.前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
77.前記レジスト層内に形成される前記レジスト像の計算ステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、条項76に記載の方法。
78.前記レジスト層内に形成される前記像の計算ステップは、前記入射放射線の特性にさらに基づく、条項76に記載の方法。
79.前記入射放射線の特性は、前記レジスト層の表面の電磁界、前記レジスト層の表面の電界及び前記レジスト層の表面の磁界からなる群から選択される、条項78に記載の方法。
80.前記入射放射線は、前記極紫外線帯域内の波長を有する、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
81.前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
82.前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップは、透過交差係数(TCC)を用いて前記放射電磁界を計算することを含む、条項72から74のいずれか1項に記載の方法。
83.TCCは、投影光学系関数から計算される、条項82に記載の方法。
84.前記投影光学系関数は、レジスト層によって引き起こされる前記入射放射線の歪の関数である、条項83に記載の方法。
85.TCCは、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を表さない、条項82に記載の方法。
【0073】
[0093] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような実施形態を変更できることが当業者には明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、前記基板は前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有し、該方法は、
前記フィーチャの特性に基づいて1つ以上の散乱関数を用いて基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が、前記フィーチャによる前記レジスト層内の前記入射放射線の散乱を特徴付ける、ステップを含む、方法。
【請求項2】
前記基板固有の散乱関数を決定するステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レジスト層内に形成される前記レジスト像を計算するステップは、前記レジスト層の特性及び/又は前記入射放射線の特性にさらに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の散乱関数がフィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付け、及び/又は、前記1つ以上の散乱関数が厳密なソルバを用いて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の散乱関数がフィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付けるときに、前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
放射源、設計レイアウトの少なくとも一部及び投影光学系のうち1つ以上の特性に基づいて前記入射放射線から発生するレジスト層の表面の電磁界を計算するステップをさらに含み、前記レジスト層の表面は、露光中に前記入射放射線に対向する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レジスト層内のある深さでの前記入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記レジスト層内の前記深さでの前記入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界から前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップは、透過交差係数(TCC)を用いて前記放射電磁界を計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記TCCが投影光学系関数から計算され、及び/又は、前記TCCが前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を表さない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータによって実行されると請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施する命令を記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項15】
基板上のレジスト層内又はその下のフィーチャの成分であるフィーチャ要素の散乱関数のライブラリを記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項16】
前記ライブラリは、インデックス情報を含む、請求項15に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項1】
入射放射線に起因して基板上のレジスト層内に形成される像をシミュレートする方法であって、前記基板は前記レジスト層内又はその下のフィーチャを有し、該方法は、
前記フィーチャの特性に基づいて1つ以上の散乱関数を用いて基板固有の散乱関数を決定するステップであって、前記基板固有の散乱関数が、前記フィーチャによる前記レジスト層内の前記入射放射線の散乱を特徴付ける、ステップを含む、方法。
【請求項2】
前記基板固有の散乱関数を決定するステップは、前記レジスト層の特性にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板固有の散乱関数を用いて前記レジスト層内に形成されるレジスト像を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レジスト層内に形成される前記レジスト像を計算するステップは、前記レジスト層の特性及び/又は前記入射放射線の特性にさらに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の散乱関数がフィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付け、及び/又は、前記1つ以上の散乱関数が厳密なソルバを用いて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の散乱関数がフィーチャ要素の特性による放射の散乱を特徴付けるときに、前記フィーチャ要素は、水平エッジ、垂直エッジ、領域、コーナー、又はこれらの組合せである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
放射源、設計レイアウトの少なくとも一部及び投影光学系のうち1つ以上の特性に基づいて前記入射放射線から発生するレジスト層の表面の電磁界を計算するステップをさらに含み、前記レジスト層の表面は、露光中に前記入射放射線に対向する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の散乱関数は、前記入射放射線の方向から独立している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板は、反射防止コーティングを備えていない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の散乱関数は、ライブラリ内で編集される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レジスト層内のある深さでの前記入射放射線から発生する順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記レジスト層内の前記深さでの前記入射放射線から発生する逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界を計算するステップと、
前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を考慮することなく、前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界及び前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界から前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記レジスト層内の前記深さでの放射電磁界を計算するステップは、透過交差係数(TCC)を用いて前記放射電磁界を計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記TCCが投影光学系関数から計算され、及び/又は、前記TCCが前記順方向伝搬電界又は順方向伝搬磁界と前記逆方向伝搬電界又は逆方向伝搬磁界との間の干渉を表さない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータによって実行されると請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施する命令を記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項15】
基板上のレジスト層内又はその下のフィーチャの成分であるフィーチャ要素の散乱関数のライブラリを記録したコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項16】
前記ライブラリは、インデックス情報を含む、請求項15に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−47798(P2013−47798A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−171799(P2012−171799)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171799(P2012−171799)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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