説明

3Dボリュームデータセット内での仮想の断層位置決め方法および医用撮像システム

【課題】後から仮想の断層位置決めを実行可能にする。
【解決手段】対象の3Dボリュームデータセット31から、対象に割り当てられている第1の特徴37を抽出するステップと、抽出された第1の特徴37を基準システム33内の対応する第2の特徴39に関係付けることによって、対象の3Dボリュームデータセット31と3Dボリュームデータセット31に対応する基準システム33との間の相関関係41を求めるステップと、求められた相関関係41に基づいて、基準システム33内に予め定められている第1の断層位置決め35を、3Dボリュームデータセット31内の第2の断層位置決め43に伝達するステップと、第2の断層位置決め43に沿って3Dボリュームデータセット31から画像データ45を作成するステップと、第2の断層位置決め43に沿って3Dボリュームデータセット31から画像データ45を作成するステップとが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準データセットによる3Dボリュームデータセット内での仮想の断層位置決め方法および医用撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像化においては、対象の3Dボリュームデータセットを記録する種々の方法、例えばコンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴断層撮影(MRT、MRトモグラフィ)が存在する。
【0003】
この種の方法は、一般的に、データ取得時にもデータ評価時にも、半自動で動作する方法の場合には後の方法経過に影響を与える使用者との対話を必要とする。対話によって、一方では使用者が方法の実施にしばしば長い時間を取られ、他方では方法の結果が使用者次第で変化し得る対話の手法にも依存する。
【0004】
したがって、しばしば既存の方法を大幅に自動化する努力がなされている。データ取得の枠内における自動化の可能性は既に公知である(例えば、特許文献1参照)。この方法は、3Dボリュームデータセットの取得時に自動断層位置決めに用いられる。迅速に作成すべき概観画像が走査された後に、そのようにして得られた画像情報が基準画像と自動的に相関させられる。医療上の課題設定に合わせて予め基準画像において決定された断層位置が、求められた相関により検査対象に合わせられる。それに応じて、伝達された断層位置に沿って画像データが記録される。これによって、検査対象が個人間の相違を有するにもかかわらず、自動的に、標準化された断層位置決めが得られる。これとは別の方法のほかに、同様に検査対象のアトラスデータに基づいて後続撮影が制御可能である類似の方法が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
データ記録時における方法ステップの自動化に取り組んだ他の方法によれば(例えば、特許文献3参照)、患者の大まかな位置決めの後に、使用者によって診断上の課題設定が選択される。次に、選択に応じて自動的に決定される解剖学的ランドマークが求められ、それに基づいて後続のMR測定のための測定パラメータが決定される。
【0006】
データ取得時における自動的な断層選択の可能性は方法に共通である。これは、とりわけ、例えば病気経過を観察するために後続測定が行なわれる場合に有利である。自動的な断層位置決めによって大幅に一定の空間的な断層方位が提供されるので、異なる時点で撮影された画像が変換なしに比較可能である。
【0007】
しかしながら、測定前に自動的な断層位置決め方法が常に実行されるとはかぎらない。実際には一般に、撮影システム全てがこの特徴を実現しているわけではないので、一人の患者において断層位置決めが一致していないデータセットが記録される。たとえ撮影システムが自動断層位置決め機能を持っていても、特定の状況においては、例えば、誤った操作時、あるいは迅速な画像記録のために自動断層位置決めが断念される緊急時においては、自動断層位置決め機能が使用されないことが起こり得る。患者の病気の経過において医療上の課題設定が変化した場合、これに起因して、異なった自動断層位置決めが選択されることも同様に起こり得る。
【0008】
これらの場合のいずれにおいても、異なった時点で記録されたデータセットとの比較が厄介であるデータセットが発生する。
【0009】
従来、一方では異なる時点で記録された2つのデータセットの表示がそもそも比較可能であるか否かを使用者が留意し、そして更に表示の僅かな差異の場合にのみこの差異を評価時に考慮するという問題が生じている。しかしながら、それによって結果の解釈が困難にされ、使用者の注意に高い要求が出される。
【特許文献1】米国特許第6195409号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/139659号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19943404号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、記録された3Dボリュームデータセットにおいて、2つのデータセットの表示の相違を除くために、後から仮想の断層位置決めを実行可能にする方法を提供することにある。更に、本発明の課題は、画像の自動評価を可能にする医用撮像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1による方法および請求項11による医用撮像システムによって解決される。
【0012】
対象の画像が記憶されている3Dボリュームデータセット内での仮想の断層位置決めの本発明による方法は次のステップを有する。
対象の3Dボリュームデータセットから、対象に割り当てられている第1の特徴を抽出するステップ、
抽出された第1の特徴を基準システム内の対応する第2の特徴に関係付けることによって、対象の3Dボリュームデータセットと3Dボリュームデータセットに対応する基準システムとの間の相関関係を求めるステップ、
求められた相関関係に基づいて、基準システム内に予め定められている第1の断層位置決めを、3Dボリュームデータセット内の第2の断層位置決めに伝達するステップ、
第2の断層位置決めに沿って3Dボリュームデータセットから画像データを作成するステップ。
【0013】
基準システムは3Dボリュームデータセット内に記憶されている対象に合わせられている。基準システムは、普通、記憶された対象の一般化されそれによって理想化された形であるので、基準システムにおいて第1の断層位置決めが特に正確に、ロバストにかつ簡単に予め定められる。この第1の断層位置決めは求められた相関関係により3Dボリュームデータセットに伝達される。この場合に第1の断層位置決めは3Dボリュームデータセットとその中に記憶されている対象との個人的な特異性に合わせられる。
【0014】
相関関係は、対象の特徴と基準システムの対応する特徴とが互いに関係付けられることによって求められる。これが特にどの特徴であるかは、撮像すべき対象と、基準システムと、3Dボリュームデータセットの種類とに依存する。一般的にこれは、3Dボリュームデータセットもしくは基準システム内で特に容易に発見することができかつそれから抽出することができる顕著な特徴である。同様に特徴は、同じ種類の異なった対象間においてあまりにも大きな相違を有するべきではない。特徴がこの条件を満たす場合には、特徴の発見および抽出に使用されるアルゴリズムを比較的簡単に構成することができる。
【0015】
基準システムに由来する特徴は、一般的に本発明による方法のどの実施においても新たに抽出されるというわけではない。例えば、基準システム内の顕著な特徴を一度だけ示し、方法実施時に画像データセット内の対応する特徴を発見することで十分である。
【0016】
方法に基づいて、今や、使用者が断層位置決めを手動および/または半自動で対象の個人的な特異性に合わせなければならないことなしに、一度だけ基準システムにおいて正確に定められた第1の断層位置決めを、3Dボリュームデータセットとその中に記憶されている対象とにマッチングさせることができる。
【0017】
対象は人間または動物の体またはその一部であると好ましい。医用画像化においてはまさに、しばしば、例えば病気の経過を監視するために、複数の3Dボリュームデータセットが異なる時点で作成される。作成時に正しい断層方位が特別に考慮されない場合、作成された3Dボリュームデータセットが直接的に互いに比較されるとよい。比較可能な断層画像を得るために、後になってから3Dボリュームデータセットの修正が行なわれる場合には、このことが今までは手動で行われなければならなかった。今や、このことは、有利な実施態様において医用3Dボリュームデータセットに適用される本発明による方法によって自動的に可能である。
【0018】
基準システムとしては、撮像すべき対象を、一般化されそれによって理想化された形で撮像することができる種々のシステムが適している。例えば、基準システムとして、撮像すべき器官の解剖学的特徴を有する座標系が用いられるとよい。この種の座標系は、例えば、人間の脳を記述するタライラッハ(Talairach)座標系において使用される。座標系に加えて、タライラッハ座標系においては、脳の撮像においても比較的簡単に発見可能である複数の平面が記述されている。これは、本当の脳の撮像とタライラッハ座標系内に記述された標準的な脳とを互いに関係付けることを比較的簡単に可能にする。
【0019】
しかし、基準システムとしては、撮像すべき身体部分のアトラスを使用することもできる。この種のアトラスは、例えば1人または複数人の管理者の撮像から作成されるとよい(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
特に簡単な作成すべき基準システムの場合、基準システムとして、単に管理者の3Dボリュームデータセットが用いられる。この管理者は解剖学的特異性を持たないと好ましい。
【0021】
基準システムは対象の3Dボリュームデータセット内でも発見できる全ての特徴を持たなくてもよい。一般には、基準システムは、相関関係の発見のために必要である全ての特徴を有し、それゆえ第1の断層位置を十分な精度で定めることができるように詳述されていれば十分である。簡単な撮像すべき器官のためには、例えば、基準システムが単に器官の輪郭を有するだけで十分である。
【0022】
相関関係が剛体変換、アフィン変換または非線形変換によって記述されると好ましい。変換の選択された種類は、医療上の課題設定および撮像すべき器官系に合わせられ、関係の精度と関係を求めるための計算時間との間の妥協である。
【0023】
有利な実施態様では、相関関係が3Dボリュームデータセット内の特徴的ランドマークと基準システム内の特徴的ランドマークとの比較によって求められる。この種の解剖学的ランドマークは、一般的には3Dボリュームデータセット内の顕著な特性であり、それゆえ、これらは比較的容易に発見することができる。解剖学的ランドマークの比較、特にそれらの大きさおよび空間姿勢の比較によって、3Dボリュームデータセットと基準システムとの間の変換および相関関係が比較的簡単に導き出される。
【0024】
他の有利な実施態様では、相関関係が3Dボリュームデータセット内の強度分布と基準システム内の強度分布との比較によって求められる。
【0025】
第2の断層位置決めに沿った3Dボリュームデータセットから画像データを作成することは多断面変換表示法により行なわれると有利である。
【0026】
基準システム内に予め定められた第1の断層位置決めは、医療上の課題設定に依存して定められると好ましい。このために、予め定められた断層位置決めは、複数の予め定められた異なる断層位置決めのプールから選択される。使用者は、このようにして、例えば、例えば左片側不全麻痺の如き症状の入力によって方法を始動し、その後方法において症状に合った予め定められた断層位置決め(このケースでは、運動皮質を特に好都合にカバーする断層位置決め)が決定される。実行すべき撮影の前に自動的な断層位置決めを行なうことができる医用撮像システムの場合、このために記憶された予め定められた断層位置決めは、3Dボリュームデータセットにおいて後からの断層位置決めを実行するためにも使用することができる。
【0027】
有利な実施態様では、予め定められた第1の断層位置決めがパラメータの入力に基づいて変更される。これは確かに不可欠というわけではない。なぜならば本発明による方法は自動的な動作のために設計されているからである。しかしながら、これによって方法は柔軟性を増す。
【0028】
有利な実施態様によれば、3Dボリュームデータセットがコンピュータ断層撮影装置または磁気共鳴断層撮影装置により記録された3Dボリュームデータセットである。
【0029】
本発明による医用撮像システムは、本発明による方法を実施するように構成されているコンピュータユニットを装備している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下において、図面を参照しながら、本発明および従属請求項の特徴による有利な実施態様をそれに限定することなしに更に詳細に説明する。
図1は医療上の課題設定に合わされた第1の断層位置決めを有する基準体を示す。
図2は記録された3Dボリュームデータセットを示し、この3Dボリュームデータセット内には患者の画像が記憶されている。
図3は基準体と患者の画像との間の対応する特徴を示し、これから、患者の画像に対する基準体の関係付けおよびその逆の関係付けをする変換が求められる。
図4は求められた変換による3Dボリュームデータセット内に記憶された画像への第1の断層位置決めのマッチングを示す。
図5は方法特徴およびそれらの相互の関係に関する概要を示す。
【0031】
図1には基準体1が示されている。個人的な特異性のないこの種の基準体1には第1の位置決め3が特に正確かつ簡単に定められている。断層位置決め3は一般的に特定の医用課題設定に合わせられている。
【0032】
図1に記入された第1の断層位置決め3は、特別な医療上の課題設定、例えば卒中発作診断にとって特に有利である特定の高さにおいて脳を撮像するために、横断方向に向けられている。
【0033】
この種の予め定められた断層位置決めは、始めに述べた如く、(先に挙げた特許文献1および特許文献3から引き出し得るように)MRT検査またはCT検査における測定パラメータの計画時に使用される。
【0034】
これに対して図2は患者9の画像7が理想的でない位置で記憶されている3Dボリュームデータセット5を示す。実際において理想的な位置からこのように外れることは一般的であり、そして種々の原因、例えば患者9の不正姿勢または撮影システムにおける患者9の不正確な位置決めに起因する。
【0035】
幾つかの水平に延びる断層11によって示された3Dボリュームデータセット5内の断層方位は、患者9の本来は横断方向の断層画像であるべき断層画像が頭部を斜めに切る向きになっている。これらの画像の鑑定は使用者に多くを要求する。なぜならば、使用者は斜めの断面案内を評価時に考慮しなければならないが、斜めの断面案内は斜めの程度を画像に基づいて容易に決定できないからである。とりわけ、病気の経過監視のために後続撮影が行なわれる場合、後続撮影が先行撮影に比べて異なった断面案内を有することがある。これにより、後続撮影と先行撮影との比較は容易に実施できない。なぜならば、異なった断面案内の正確な程度を容易に画像において認識できず、それゆえ使用者によって見落とされることがあるからである。その結果、本来は理想的な位置から外れた断面案内に起因する相違が、例えば病気の進行に原因があるとみなされることがある。
【0036】
この弊害を除去する可能性を、先に挙げた特許文献2、特許文献3および特許文献1の方法が明らかにしている。これらの方法により、確かに、断層位置決めを、実施すべき撮影の前に、後続の撮影が正しい断層位置決めで実施されるように決定することができる。しかしながら、これらの方法は撮影システムにおいて特別に実行されなければならず、このようなケースは稀である。患者9の最適でない位置決めを有する3Dボリュームデータセット5が既に記録されている場合に、これらの方法は後からの補正の可能性を提供しない。
【0037】
図3および図4は本発明による方法の主要な特徴を示す。図5には特徴およびそれらの相互の関係がもう一度概略的に示されている。
【0038】
先ず画像7から第1の特徴13が抽出される。この種の特徴13は、図3に示されているように、容易に発見できかつとりわけ個人的にあまり激しくは変化しない部位を有する解剖学的ランドマークであってよい。
【0039】
同様にして、基準体1からも、第1の特徴13に対応する第2の特徴15が抽出される。
【0040】
ここで、第1の特徴13と第2の特徴15とが互いに関係付けられる。これから、画像7と基準体1との間の関係を記述する変換17が導き出され、この変換17により基準体1および画像7が相互に移行可能である。
【0041】
この場合に、この種の変換17は、概略的に示されているように、さまざまの種類の変換を含み得る。
【0042】
剛体変換19は、例えば、基準体1および画像7が回転および/または移動を介して互いに関係付けられる単純な種類の関係を記述する。アフィン変換21は更に歪みおよび伸張を考慮する。さらに、非線形変換23は基準体1と画像7との間の相違を位置に依存して更に正確に検出し、画像7もしくは基準体1を位置に依存して異なった強さで変形させかつ歪ませる。
【0043】
変換17の選択された種類は、医療上の課題設定および撮像すべき器官系に合わせられ、関係の精度と関係を求めるための計算時間との間の妥協である。個人間の僅かの変動性を有する器官系については、例えば、画像7および基準体1を可能な範囲で最善に相互に関係付ける剛体変換19またはアフィン変換21を求めるだけで十分である。他の器官系の場合、例えば撮像時にさまざまに曲げられ得る四股の場合には、画像7および基準体1を相互に関係付けるために非線形変換23が必要である。再び、器官、例えば頭または四股の固定が記録時に使用されるならば、これによって器官の画像は十分に適切な姿勢を有するので、基準体へ移行させるために単純な変換だけが必要である。
【0044】
この場合に、画像もしくは基準体からそれぞれ抽出され、かつ決定すべき変換17のための基礎をなす第1の特徴13および第2の特徴15は、この実施例に示されているように、必然的に解剖学的なランドマークでなければならないというわけではない。3Dボリュームデータセット内の強度分布、例えば個々の断層画像の強度分布も、基準体内の強度分布に関係付けられる特徴として利用して、画像7と基準体1とを最善に互いに移行させる変換17を決定することができる。例えば3Dボリュームデータセット5と基準体1とが異なるMRTシーケンスで記録されたために、3Dボリュームデータセット5および基準体1がさらに異なるコントラストを有する場合、変換17はこのコントラスト差も考慮されるように拡張される。
【0045】
同様に、基準体1と画像7との間の変換17を求めるために、特定の撮像について瞬間に基づく方法が使用可能である。最後に挙げた方法は、画像内の強度値分布を利用して、重心または主慣性軸のような質量分布の幾つかの特性量の算出と同様に、相応の抽象化された量を算出する。抽象化された量から変換を算出することによって、2つの異なる画像をそのように簡単に互いに相関させることができる。
【0046】
図4に示されているように、適切な変換17が決定された後に、基準体1内に定められている有利な第1の断層位置決め3が、求められた変換17により、3Dボリュームデータセット5内に記憶されている画像7にマッチングされる。
【0047】
このようにして、3Dボリュームデータセット5において第1の断層位置決め3に対応する状態にある第2の断層位置決め25が得られる。第2の断層位置決め25に沿って、今や、撮像すべき器官の新たな2次元画像27が作成される。ここで使用される方法は多断面変換表示法(MPR)であるとよい。
【0048】
変換17の種類に応じて、例えば非線形変換23において、第2の断層位置決め25が曲面を含むこともできる。2次元画像27は曲面に合わせられたMPR(いわゆる、曲面MPR)により作成される。
【0049】
今や、2次元画像27は、基準体1における第1の断層位置決め3によって予め与えられたのと同じ有利な方位で器官を表示する。
【0050】
後続撮影が実行される場合または異なる時点で作成された画像が比較される場合に特に、ここに提案された方法によって、たとえ患者9が3Dボリュームデータセット5の記録時に常に同じ姿勢を有していなくても、基準体1における第1の断層位置決め3に対応するビュー画像で器官を表示する2次元画像27を得ることができる。したがって、異なる時点で作成された画像の直接比較が可能である。
【0051】
図5はもう一度本発明による方法の主要な特徴を要約し、選択自由であってかつ方法に付加的な柔軟性もしくは有利な事例を与える他の特徴を示す。
【0052】
方法の出発点は対象の画像が記憶されている3Dボリュームデータセット31である。3Dボリュームデータセット31には、対象を理想的な形で表示する基準システム33が相対している。この基準システム33には第1の断層位置決め35が定められている。
【0053】
3Dボリュームデータセット31および基準システム33から、それぞれ対応する第1の特徴37および第2の特徴39が抽出される。これらの特徴37,39は、3Dボリュームデータセット31と基準システム33との間の相関関係41を得るために、互いに関係付けられる。
【0054】
この相関関係41は、基準システム33に定められている第1の断層位置決め35から、3Dボリュームデータセット31内において第1の断層位置決め35に対応する第2の断層位置決め43を得るために使用される。第2の断層位置決め43に基づいて、3Dボリュームデータセット31から、撮影された対象を標準化されたビュー画像で表示する画像データ45が得られる。
【0055】
3Dボリュームデータセット31は、コンピュータ断層撮影装置47またはMRT装置49により記録されると好ましいが、しかしながら3Dボリュームデータセット31が他の手法で、例えば3D超音波検査法またはPET(陽電子断層撮影)検査法によって得られる場合にも、本発明による方法が適用可能である。
【0056】
本発明による方法は、3Dボリュームデータセットも記録される装置のコンピュータユニットにおいてコンピュータプログラムとして実現されていると好ましい。
【0057】
基準システム33内に定められている第1の断層位置決め35は、有利な構成においては、複数の可能な断層位置決めから医療上の課題設定51に依存して選択可能である。例えば使用者が医療上の課題設定51を入力することができ、その入力された課題設定によって第1の断層位置決め35が決定される。他の有利な実施形態では、使用者が第1の断層位置決め35をパラメータ53の入力によって変更することができる。
【0058】
特に、実行すべき撮影の前に自動的な断層位置決めの特徴を実現したシステムの場合、このシステム内に格納された断層位置決めが、本発明による方法のためにも使用可能である。このようにして、自動的な断層位置決めなしに既に実行された撮影が、自動的な断層位置決めにより記録される後続撮影に整合させられる。
【0059】
本発明による方法は、医用画像化に限定されないで、対象の3Dボリュームデータセットが作成されるあらゆる画像化にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】医療上の課題設定に合わされた第1の断層位置決めを有する基準体の概略図
【図2】記録された3Dボリュームデータセットの概略図
【図3】基準体と患者画像との間の対応する特徴を示す概略図
【図4】3Dボリュームデータセット内に記憶された画像への第1の断層位置決めのマッチングを示す概略図
【図5】方法特徴およびそれらの相互関係に関する概要を示す流れ図
【符号の説明】
【0061】
1 基準体
3 第1の断層位置決め
5 3Dボリュームデータセット
7 画像
9 患者
11 断層
13 第1の特徴
15 第2の特徴
17 画像と基準体との間の関係を記述する変換
19 剛体変換
21 アフィン変換
23 非線形変換
25 第2の断層位置決め
27 2次元画像
31 3Dボリュームデータセット
33 基準システム
35 第1の断層位置決め
37 第1の特徴
39 第2の特徴
41 相関関係
43 第2の断層位置決め
45 画像データ
47 コンピュータ断層撮影装置
49 MRT装置
51 医療上の課題設定
53 パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の画像が記憶されている3Dボリュームデータセット(31)内での仮想の断層位置決め方法において、
対象の3Dボリュームデータセット(31)から、対象に割り当てられている第1の特徴(37)を抽出するステップ、
抽出された第1の特徴(37)を基準システム(33)内の対応する第2の特徴(39)に関係付けることによって、対象の3Dボリュームデータセット(31)と3Dボリュームデータセット(31)に対応する基準システム(33)との間の相関関係(41)を求めるステップ、
求められた相関関係(41)に基づいて、基準システム(33)内に予め定められている第1の断層位置決め(35)を、3Dボリュームデータセット(31)内の第2の断層位置決め(43)に伝達するステップ、
第2の断層位置決め(43)に沿って3Dボリュームデータセット(31)から画像データ(45)を作成するステップ
を有することを特徴とする3Dボリュームデータセット内での仮想の断層位置決め方法。
【請求項2】
対象が人間または動物の体またはその一部であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
相関関係(41)が剛体変換(19)、アフィン変換(21)または非線形変換(23)によって記述されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
相関関係(41)が3Dボリュームデータセット(5,31)内の特徴的ランドマーク(13)と基準システム(1,33)内の特徴的ランドマーク(15)との比較によって求められることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
相関関係(41)が3Dボリュームデータセット(31)内の強度分布と基準システム(33)内の強度分布との比較によって求められることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
第2の断層位置決め(25,43)に沿った画像データ(27,45)の作成が多断面変換表示法により行なわれることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の方法。
【請求項7】
基準システム(33)内に予め定められた第1の断層位置決め(35)が医療上の課題設定(51)に依存して決定されることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
【請求項8】
予め定められた第1の断層位置決め(35)がパラメータ(53)の入力に基づいて変更されることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の方法。
【請求項9】
3Dボリュームデータセット(31)がコンピュータ断層撮影装置(47)により記録された3Dボリュームデータセットであることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の方法。
【請求項10】
3Dボリュームデータセット(31)が磁気共鳴断層撮影装置(49)により記録された3Dボリュームデータセットであることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の1つに記載の方法を実施するように構成されているコンピュータユニットを備えた医用撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−252904(P2007−252904A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71880(P2007−71880)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】